JP2012098159A - Nmr装置の静磁場制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】、試料管内に温度勾配が存在する場合であっても、均一な静磁場を実現することが可能な、NMR装置の静磁場制御方法を提供すること。
【解決手段】試料管内の温度を所与の温度に設定し、校正用試料のNMRスペクトルに存在する2つのピークそれぞれについての試料管内の共鳴周波数の分布をNMR測定により求め、前記2つのピークそれぞれについての共鳴周波数の分布の差分に基づき前記2つのピークについての試料管内のケミカルシフト差の分布を求め、前記2つのピークについてのケミカルシフト差の分布に基づいて、前記設定温度における前記試料管内の温度分布を求め、前記設定温度における前記試料管内の温度分布に基づいて、測定に用いられる溶媒の前記設定温度における試料管内のケミカルシフトの分布を求め、前記溶媒のケミカルシフトの分布に基づいて、磁場勾配を用いたシム調整を行う。
【選択図】図2
【解決手段】試料管内の温度を所与の温度に設定し、校正用試料のNMRスペクトルに存在する2つのピークそれぞれについての試料管内の共鳴周波数の分布をNMR測定により求め、前記2つのピークそれぞれについての共鳴周波数の分布の差分に基づき前記2つのピークについての試料管内のケミカルシフト差の分布を求め、前記2つのピークについてのケミカルシフト差の分布に基づいて、前記設定温度における前記試料管内の温度分布を求め、前記設定温度における前記試料管内の温度分布に基づいて、測定に用いられる溶媒の前記設定温度における試料管内のケミカルシフトの分布を求め、前記溶媒のケミカルシフトの分布に基づいて、磁場勾配を用いたシム調整を行う。
【選択図】図2
Description
本発明は、試料管内の温度を制御可能なNMR装置の静磁場制御方法に関する。
従来から、NMR試料空間の磁場均一度を向上させる手法として、磁場勾配を用いたシム調整法(Field Gradient Shimming法:グラジエントシミング法)が知られている(例えば、非特許文献1)。この方法では、磁場勾配をかけてNMR信号を測定し、得られた静磁場の強度分布から静磁場を均一にするシム値を計算する。
さて、NMR装置で試料温度を制御する手法として、加熱したガスを試料管の下部から上部に向けて吹き上げる手法が知られている。この手法により試料温度を制御すると試料管の高さ方向に温度勾配が生じる。この状態でグラジエントシミングを行うと、温度勾配によってケミカルシフトが試料管内の位置によって変化するため、均一な静磁場を実現することができない。特に、ケミカルシフトの温度依存性が大きい重水(D2O)等の溶媒に対してグラジエントシミングを行うと、温度勾配の影響により不均一な静磁場を達成してしまう。
この問題を解決する方法として、試料管内の温度勾配を小さくする手法がある(例えば、特許文献1)が、他の性能低下を避けて試料管内の試料を均一な温度にすることは困難である。また、溶媒をケミカルシフトの温度依存性が小さいものに変える方法もあるが、溶媒が異なるとデータの直接比較が難しく、また観測対象が溶けない場合には使えない。また、室温でシミングした後、高温に温度制御して測定を行う方法もあるが温度変化に伴う磁場の変化を打ち消すことができない。
J. Magn. Reson. 125, 197-201(1997), A practical Method for Automated Shimming with Normal Spectrometer Hardware, H. Barjat, P.B. Chilvers, B.K. Fetler, T. J. Horne, and G. A. Morris
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、試料管内に温度勾配が存在する場合であっても、均一な静磁場を実現することが可能な、NMR装置の静磁場制御方法を提供することができる。
(1)本発明は、試料管内の温度を制御可能なNMR装置の静磁場制御方法であって、
試料管内の温度を所与の温度に設定し、校正用試料のNMRスペクトルに存在する2つのピークそれぞれについての試料管内の共鳴周波数の分布をNMR測定により求め、前記2つのピークそれぞれについての共鳴周波数の分布の差分に基づき前記2つのピークについての試料管内のケミカルシフト差の分布を求め、前記2つのピークについてのケミカルシフト差の分布に基づいて、前記設定温度における前記試料管内の温度分布を求め、
前記設定温度における前記試料管内の温度分布に基づいて、測定に用いられる溶媒の前記設定温度における試料管内のケミカルシフトの分布を求め、
前記溶媒のケミカルシフトの分布に基づいて、磁場勾配を用いたシム調整を行うことを特徴とするNMR装置の静磁場制御方法に関する。
試料管内の温度を所与の温度に設定し、校正用試料のNMRスペクトルに存在する2つのピークそれぞれについての試料管内の共鳴周波数の分布をNMR測定により求め、前記2つのピークそれぞれについての共鳴周波数の分布の差分に基づき前記2つのピークについての試料管内のケミカルシフト差の分布を求め、前記2つのピークについてのケミカルシフト差の分布に基づいて、前記設定温度における前記試料管内の温度分布を求め、
前記設定温度における前記試料管内の温度分布に基づいて、測定に用いられる溶媒の前記設定温度における試料管内のケミカルシフトの分布を求め、
前記溶媒のケミカルシフトの分布に基づいて、磁場勾配を用いたシム調整を行うことを特徴とするNMR装置の静磁場制御方法に関する。
本発明によれば、試料管内に温度勾配が存在する場合であっても、均一な静磁場を実現することができる。
(2)本発明に係るNMR装置の静磁場制御方法では、
前記校正用試料は、ケミカルシフトの温度による変化率が異なる2つのピークを有する試料であればよい。
前記校正用試料は、ケミカルシフトの温度による変化率が異なる2つのピークを有する試料であればよい。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.構成
図1は、本実施形態に係るNMR(核磁気共鳴)装置の構成を模式的に示す図である。
図1は、本実施形態に係るNMR(核磁気共鳴)装置の構成を模式的に示す図である。
超伝導磁石1の中心軸に沿って貫通された縦穴の内部には、シムコイル3が設けられている。シムコイル3は、超伝導磁石1が発生する静磁場の歪みを補正するためのコイルであり、シムユニット7により制御される。シムユニット7は、シムコイル3に電流を供給するシム電源8と、シム電源8を制御する制御部9とを含む。
シムコイル3の内側には、NMRプローブ2が装着されている。NMRプローブ2の内部には、試料を収容した試料管4を取り囲むようにして、検出コイル5と磁場勾配コイル6が設けられている。
検出コイル5は、試料にRFパルスを照射するとともに、試料から放出されるNMR信号を検出する。RFパルスは発振器11で生成され、パワーアンプ12で増幅され、デュプレクサ10を介して検出コイル5から試料に照射される。また、検出コイル5で検出されたNMR信号は、デュプレクサ10を介してプリアンプ13で増幅され、受信器14でオーディオ周波数に変換され、更に、AD変換器15でデジタル信号に変換される。このデジタル信号をコンピュータ16に取り込んでフーリエ変換し、NMRスペクトルを得る。
磁場勾配コイル6は、パルス状の磁場勾配を試料に印加するコイルである。磁場勾配コイル6には磁場勾配電源17から電流が供給され、磁場勾配電源17は制御部18により制御される。磁場勾配コイル6により磁場勾配をかけつつNMR信号を測定することで、静磁場の強度分布を得ることができ、この静磁場の強度分布から静磁場を均一にするためのシム値を得ることができる。
温度制御部19は、NMRプローブ2内に設けられた温度センサ(図示省略)によって計測された計測値に基づいて、NMRプローブ2内に設けられたヒーター(図示省略)に流す電流を制御して、試料管4の温度を可変制御する。ヒーターによって加熱された不活性ガス等の流体は、NMRプローブ2内の流路を通って試料管4に吹き付けられ、試料管4は高温に加熱される。ここで、加熱された流体は試料管4の下部から上部に向けて吹き上げられるため、試料管4の底部の温度が最も高くなり、試料管4の上部に行くほど温度が低下して、試料管4の高さ方向に温度勾配が生じる。
2.本実施形態の手法
本実施形態に係るNMR装置の静磁場制御方法の手順の一例について図2のフローチャートを用いて説明する。
本実施形態に係るNMR装置の静磁場制御方法の手順の一例について図2のフローチャートを用いて説明する。
まず、校正用試料が入った試料管4をNMRプローブ2に挿入する(ステップS1)。
次に、温度制御部19を制御して試料管4内の温度を所与の温度tに設定する(ステップS10)。
次に、校正用試料のNMRスペクトルに存在する2つのピークそれぞれについて、試料管4内の共鳴周波数の高さ方向の分布(共鳴周波数マップ)をNMR測定により求める(ステップS12、ステップS14)。校正用試料としては、エチレングリコール、メタノール、アセトニトリルと水の混合物等の、ケミカルシフトの温度による変化率の差が大きい2つのピークがある試料を用いることが好ましい。
本実施形態では、校正用試料としてエチレングリコールを用い、ケミカルシフトの温度依存性が大きいOH基(ピークA)と、ケミカルシフトの温度依存性が小さいCH2基(ピークB)のそれぞれについて、共鳴周波数マップを測定する。
図3(A)は、ピークAについて測定した共鳴周波数マップfA(z)を示し、図3(B)は、ピークBについて測定した共鳴周波数マップfB(z)を示す。図3(A)、図3(B)において、横軸は試料管4における高さ位置zを示す。図3(A)に示すように、ケミカルシフトの温度依存性が大きいピークAについては、試料管4内の温度勾配によって共鳴周波数が位置によって大きく変化している。一方、図3(B)に示すように、ケミカルシフトの温度依存性が小さいピークBについては、共鳴周波数の位置による変化は小さい。
目標となる静磁場をB0、静磁場の歪みの分布をΔB(z)とし、ピークAについての温度によるケミカルシフトの分布をσA(z)とすると、ピークAについての共鳴周波数マップfA(z)は、次式により表すことができる。
fA(z)=γ/2π*B0(1+ΔB( z)/B0)(1+σA(z))
=γ/2π*B0(1+ΔB(z)/B0+σA(z)) (1)
式(1)において、γは、核磁気回転比である。なお、ΔB(z)/B0とσA(z)の値は、通常10-8未満であるから、式(1)ではΔB(z)/B0*σA(z)の項を無視している。
=γ/2π*B0(1+ΔB(z)/B0+σA(z)) (1)
式(1)において、γは、核磁気回転比である。なお、ΔB(z)/B0とσA(z)の値は、通常10-8未満であるから、式(1)ではΔB(z)/B0*σA(z)の項を無視している。
同様に、ピークBについてのケミカルシフトの分布をσB(z)とすると、ピークBについての共鳴周波数マップfB(z)は、次式により表すことができる。
fB(z)=γ/2π*B0(1+ΔB(z)/B0)(1+σB(z))
=γ/ 2π*B0(1+ΔB(z)/B0+σB(z)) (2)
次に、ピークA、Bの共鳴周波数マップfA(z)、fB(z)の差分を計算し、ピークA、Bのケミカルシフト差のマップ(試料管4内のケミカルシフト差の分布)を求める(図2のステップS16)。
=γ/ 2π*B0(1+ΔB(z)/B0+σB(z)) (2)
次に、ピークA、Bの共鳴周波数マップfA(z)、fB(z)の差分を計算し、ピークA、Bのケミカルシフト差のマップ(試料管4内のケミカルシフト差の分布)を求める(図2のステップS16)。
ピークA、Bの共鳴周波数マップの差分Δf(z)は、式(1)、(2)から、次式により表すことができる。
Δf(z)=fA(z)-fB(z)
=γ/2π*B0(σA(z)-σB(z))
=γ/2π*B0(ΔσAB(z)) (3)
従って、ピークA、Bの共鳴周波数マップfA(z)、fB(z)の差分Δf(z)を計算し、式(3)に代入することで、図3(C)に示すようなピークA、Bのケミカルシフト差のマップΔσAB(z)を求めることができる。
=γ/2π*B0(σA(z)-σB(z))
=γ/2π*B0(ΔσAB(z)) (3)
従って、ピークA、Bの共鳴周波数マップfA(z)、fB(z)の差分Δf(z)を計算し、式(3)に代入することで、図3(C)に示すようなピークA、Bのケミカルシフト差のマップΔσAB(z)を求めることができる。
次に、ピークA、Bのケミカルシフト差のマップΔσAB(z)に基づいて、ステップS10で設定した温度tにおける試料管4内の実際の温度マップ(温度分布、温度勾配)を求める(図2のステップS18)。校正用試料における2つのピークのケミカルシフト差ΔσABと温度Tとの関係は既知の関数T=F(ΔσAB)で表すことができる。従って、ピークA、Bのケミカルシフト差のマップΔσAB(z)を次式に代入することで、図3(D)に示すような温度マップT(z)を求めることができる。
T(z)=F(ΔσAB(z)) (4)
なお、本実施形態の校正用試料である濃度100%のエチレングリコールにおけるOH基(ピークA)とCH2基(ピークB)のケミカルシフト差ΔσAB(単位ppm)と、温度T(単位ケルビン)との関係は、次式により表すことができる。
なお、本実施形態の校正用試料である濃度100%のエチレングリコールにおけるOH基(ピークA)とCH2基(ピークB)のケミカルシフト差ΔσAB(単位ppm)と、温度T(単位ケルビン)との関係は、次式により表すことができる。
T=466.5-102.00ΔσAB (5)
このように、設定温度を変えながら図2のステップS10〜S18の手順を繰り返して、複数の異なる設定温度t1、t2、t3・・・毎に、試料管内4の実際の温度マップT1(z)、T2(z)、T3(z)・・・を測定しておく。
このように、設定温度を変えながら図2のステップS10〜S18の手順を繰り返して、複数の異なる設定温度t1、t2、t3・・・毎に、試料管内4の実際の温度マップT1(z)、T2(z)、T3(z)・・・を測定しておく。
次に、校正用試料が入った試料管4をNMRプローブ2から取り出し、測定する試料とNMR測定用の溶媒が入った試料管4をNMRプローブ2に挿入する(ステップS20)。次に、温度制御部19を制御して試料管4内の温度を所与の温度tに設定する(ステップS22)。
次に、設定温度tにおける温度マップT(z)に基づいて、NMR測定に用いられる溶媒の設定温度tにおけるケミカルシフトのマップ(試料管4内のケミカルシフトの分布)を求める(ステップS24)。溶媒のケミカルシフトσCと温度Tとの関係は既知の関数T=F(σC)で表すことができる。従って、設定温度tにおける温度マップT(z)を次式に代入することで、図4(A)に示すような溶媒のケミカルシフトのマップσC(z)を求めることができる。
T(z)=F(σC(z)) (6)
なお、本実施形態では、NMR測定用の溶媒として重水(D2O)溶媒を用いるため、設定温度tにおける重水素核(2H)のケミカルシフトのマップを求める。
なお、本実施形態では、NMR測定用の溶媒として重水(D2O)溶媒を用いるため、設定温度tにおける重水素核(2H)のケミカルシフトのマップを求める。
次に、溶媒のケミカルシフトのマップσC(z)をターゲット関数としてグラジエントシミング(磁場勾配を用いたシム調整)を行う(図2のステップS26)。すなわち、図4(B)に示すように、溶媒の共鳴周波数マップ(ΔB(z)/B0+σc(z)の関数)を、ターゲット関数である溶媒のケミカルシフトのマップσC(z)に一致させるようにグラジエントシミングを行う。これにより、静磁場歪みの項(ΔB(z)/B0)のみを消すようなシム値を求めることができ、求めたシム値(-ΔB(z)/B0)を用いて静磁場を均一化することができる(図4(C)参照)。
以上のように本実施形態では、複数の設定温度で試料管内の温度マップ(温度勾配)を予め測定しておき、その設定温度での温度勾配から溶媒のケミカルシフトの分布を求め、このケミカルシフトの分布をターゲット関数として静磁場歪みのみを補正するシミングを行って静磁場を調整する。このようにすると、ケミカルシフトの温度依存性が大きい重水溶媒を用いてNMR測定を行う場合であっても、高温のまま静磁場を均一にするシミングを行うことができる。
3.測定結果
設定温度を室温(25℃)、30℃、50℃、80℃と変化させ、校正用試料としてエチレングリコールを用いて、共鳴周波数マップと温度マップの測定を行った。図5に、各設定温度におけるピークA(エチレングリコールOH基の水素核(1H))の共鳴周波数マップfA(z)と、ピークB(エチレングリコールCH2基の水素核(1H))の共鳴周波数マップfB(z)と、共鳴周波数マップから求めた温度マップT(z)の測定結果を示す。なお、図5において各横軸は高さ位置を示し、左側がコイル上端位置を示し、右側がコイル下端位置を示す。また温度マップT(z)の縦軸上側は低温を示し、縦軸下側は高温を示す。
設定温度を室温(25℃)、30℃、50℃、80℃と変化させ、校正用試料としてエチレングリコールを用いて、共鳴周波数マップと温度マップの測定を行った。図5に、各設定温度におけるピークA(エチレングリコールOH基の水素核(1H))の共鳴周波数マップfA(z)と、ピークB(エチレングリコールCH2基の水素核(1H))の共鳴周波数マップfB(z)と、共鳴周波数マップから求めた温度マップT(z)の測定結果を示す。なお、図5において各横軸は高さ位置を示し、左側がコイル上端位置を示し、右側がコイル下端位置を示す。また温度マップT(z)の縦軸上側は低温を示し、縦軸下側は高温を示す。
図5に示すように、室温では温度勾配が生じていないため、各ピークの共鳴周波数は位置によらず一定である。また、設定温度が高くなるにつれて温度勾配が大きくなり、その影響により、特にケミカルシフトの温度依存性が大きいピークAについて共鳴周波数が位置によって大きく変化している。
図6は、D2O溶媒を用いてグラジエントシミングを行った場合のNMRスペクトルの測定結果を示す。なお、図6(A)は、設定温度50℃において本実施形態の手法によりターゲット関数σC(z)を用いてグラジエントシミングを行った場合のNMRスペクトルであり、図6(B)は、設定温度50℃において従来の手法によりグラジエントシミングを行った場合のNMRスペクトルであり、図6(C)は、室温においてグラジエントシミングを行った場合のNMRスペクトルである。
図6(C)に示すように、室温においてグラジエントシミングを行った場合には、温度勾配が生じておらずグラジエントシミングによって静磁場が均一となっているため、D2OのピークS1と試料のピークS2について共にシャープな信号になっている。
また図6(B)に示すように、従来の手法により高温状態でグラジエントシミングを行った場合には、D2OのピークS1についてはシャープな信号となっているものの、観測対象である試料のピークS2については、図6(C)の室温の場合と比較して線幅が広がってブロードな信号となっている。これは、試料管内の温度勾配によりD2Oのケミカルシフトの分布が均一でない状態で、D2Oの共鳴周波数分布が一定となるようにグラジエントシミングを行っているため、結果として不均一な静磁場を達成してしまうためである。このため、ケミカルシフトの温度依存性が小さい試料のピークS2がブロードな信号となっている。
一方、図6(A)に示すように、本実施形態の手法により高温状態でグラジエントシミングを行った場合には、D2OのピークS1についてはブロードな信号となっているものの、観測対象である試料のピークS2については、図6(C)の室温の場合と同様にシャープな信号となっている。これは、温度勾配T(z)から求めたD2Oのケミカルシフトの分布σC(z)をターゲット関数として、D2Oの温度勾配によるケミカルシフトの影響を考慮してグラジエントシミングを行うことで、静磁場歪みのみを補正して均一な静磁場を実現しているからである。このため、ケミカルシフトの温度依存性が小さい試料の信号についてはシャープなスペクトルを得ることができる。
このように本実施形態の手法によれば、温度可変測定において試料管内に温度勾配が存在する場合であっても、グラジエントシミングを用いて均一な静磁場を実現することができる。
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1 超伝導磁石、2 NMRプローブ、3 シムコイル、4 試料管、5 検出コイル、6 磁場勾配コイル、7 シムユニット、8 シム電源、9 制御部、10 デュプレクサ、11 発振器、12 パワーアンプ、13 プリアンプ、14 受信器、15 AD変換器、16 コンピュータ、17 磁場勾配電源、18 制御部、19 温度制御部
Claims (2)
- 試料管内の温度を制御可能なNMR装置の静磁場制御方法であって、
試料管内の温度を所与の温度に設定し、校正用試料のNMRスペクトルに存在する2つのピークそれぞれについての試料管内の共鳴周波数の分布をNMR測定により求め、前記2つのピークそれぞれについての共鳴周波数の分布の差分に基づき前記2つのピークについての試料管内のケミカルシフト差の分布を求め、前記2つのピークについてのケミカルシフト差の分布に基づいて、前記設定温度における前記試料管内の温度分布を求め、
前記設定温度における前記試料管内の温度分布に基づいて、測定に用いられる溶媒の前記設定温度における試料管内のケミカルシフトの分布を求め、
前記溶媒のケミカルシフトの分布に基づいて、磁場勾配を用いたシム調整を行うことを特徴とするNMR装置の静磁場制御方法。 - 請求項1において、
前記校正用試料は、ケミカルシフトの温度による変化率が異なる2つのピークを有する試料であることを特徴とするNMR装置の静磁場制御方法。
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