JP2012098119A - 原子力プラントの主蒸気ヘッダ - Google Patents
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Abstract
【課題】通常運転時には主蒸気系統の圧力損失を抑えることによりプラントの運転効率低下を抑制する一方で、主蒸気管の破断時には圧力損失を生じさせることにより主蒸気管内の逆流を抑制し、これにより破断面からの流出量を最小限にする。
【解決手段】複数の原子炉側主蒸気管13とタービン側主蒸気管18が接続された原子力プラントの主蒸気ヘッダ3において、前記各原子炉側主蒸気管13は前記主蒸気ヘッダ3の内側に突出部14を有する。
【選択図】図1
【解決手段】複数の原子炉側主蒸気管13とタービン側主蒸気管18が接続された原子力プラントの主蒸気ヘッダ3において、前記各原子炉側主蒸気管13は前記主蒸気ヘッダ3の内側に突出部14を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、原子力プラントの主蒸気ヘッダに関する。
原子力プラント、特に、沸騰水型原子力プラントでは、図8に示すように、炉心1aで発生した蒸気を主蒸気管2によって直接タービン(図示せず)まで誘導している。通常、主蒸気管2は、万一配管が破断した時に、圧力容器1内の急減圧や炉内の構造物に対する圧力差を抑制する観点から複数設置されており、主蒸気ヘッダ3でいったん合流したのち、主蒸気止め弁4を通過して高圧タービンに流入するものと、主蒸気ヘッダ3からタービンバイパス系へ向かうものとに分岐する構造になっている。
また、圧力容器1と主蒸気ヘッダ3の間には、それぞれの系統に主蒸気流量制限器5、主蒸気逃し弁6、原子炉格納容器8を挟んで一対の主蒸気隔離弁7が設けられている。このうち、主蒸気流量制限器5は圧力容器1の出口部分の流路面積を絞ったノズル形状の部材からなり(特許文献1)、主蒸気管2が破断した際に、蒸気の流れをノズルのスロート部で臨界流とすることにより、圧力容器1から流出する蒸気量を抑え、炉内の冷却材の喪失を抑制する効果を果たしている。また、主蒸気隔離弁7は主蒸気管2が破断した場合に、数秒で自動的に閉鎖され、外部への冷却材および放射性物質の流出を防止する役割を持っている。
いま、図9及び図10に示すように、複数ある主蒸気管2の1本が原子炉格納容器8の内部の破断面12で破断した場合を想定する。図9は原子炉格納容器8内における圧力容器1と破断した主蒸気管2の配置関係を示す図である。蒸気は、まず、破断面12から主蒸気管2が通過しているドライウェル9に放出され、内部の圧力・温度はピークに達する。その後蒸気はベント管10を介して下部にあるサプレッションプール11に誘導され、そこで凝縮することによってドライウェル9の圧力、温度は低下する。
このとき、ドライウェル9への蒸気流出の経路は、図10に示すように圧力容器1から直接破断面12へ流出する経路Aと、破断していない主蒸気管2から主蒸気ヘッダ3を介して破断した系統内を逆流し、破断面12に到達する経路Bの2つが考えられる。
このうち、経路Aについては、破断流は主蒸気流量制限器5によって臨界流となり、流量が制限される。経路Bは、破断から主蒸気隔離弁7が全閉するまでの間に蒸気の流出が起こる。結果として破断面12からの流出量は、破断から主蒸気隔離弁が閉止し始めるまでの時間で最も大きくなる。したがって、この期間の流出量が原子炉格納容器8の最高使用温度、圧力の設計に大きく影響することから、流出量のピーク値はできるだけ少なくなることが望ましい。
その際、経路Bでは健全な主蒸気管2の主蒸気流量制限器5から破断面12までの距離が非常に長くなることから、主蒸気流量制限器5において臨界圧まで圧力が低下せず、破断面11の近傍で臨界流になる可能性がある。すなわち、経路Bの流出量は破断面12近傍のよどみ圧が大きいほど大きくなる。この破断面12近傍のよどみ圧は、原子炉1におけるよどみ圧から破断面12に至るまでの経路の圧力損失を差し引いたもので決まる。
経路Bのような逆流による破断流を防止するために、主蒸気管2の途中に逆止弁を設けることが考えられるが、一般に原子力プラントで用いられる主蒸気管2の口径は約80cm以上と大きく、逆止弁も大型となりコスト増加要因となることや、主蒸気管2内に弁構造を設けることによる通常運転時の圧力損失の増大が懸念される。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、通常運転時には主蒸気系統の圧力損失を抑えることによりプラントの運転効率低下を抑制する一方で、主蒸気管の破断時には圧力損失を生じさせることにより主蒸気管内の逆流を抑制し、これにより破断面からの流出量を最小限にすることが可能な原子力プラントの主蒸気ヘッダを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る原子力プラントの主蒸気ヘッダは、複数の原子炉側主蒸気管とタービン側主蒸気管が接続された主蒸気ヘッダにおいて、前記原子炉側主蒸気管は前記主蒸気ヘッダの内側に突出部を有することを特徴とする。
本発明によれば、通常運転時には主蒸気系統の圧力損失を抑えることにより原子力プラントの運転効率低下を抑制する一方で、主蒸気管の破断時には圧力損失を生じさせることにより主蒸気管内の逆流を抑制し、これにより破断面からの流出量を最小限にすることができる。
以下、本発明に係る主蒸気ヘッダの実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る主蒸気ヘッダを図1及び図2により説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る主蒸気ヘッダを図1及び図2により説明する。
(構成)
図1は第1の実施形態に係る主蒸気ヘッダ3の断面図である。
主蒸気ヘッダ3は、主蒸気ヘッダ3に接続される複数の原子炉側主蒸気管13及び複数のタービン側主蒸気管18と、タービンバイパスライン15とから構成される。各原子炉側主蒸気管13と各タービン側主蒸気管18は、それぞれ所定の間隙を介して対向するように主蒸気ヘッダ3の管板3a、3bに接続されている。その際、各原子炉側主蒸気管13は、その先端部が管板3aから主蒸気ヘッダ3の内側に突出する突出部14を形成するように接続されている。また、各タービン側主蒸気管18はその先端部が管板3bに接続されている。
図1は第1の実施形態に係る主蒸気ヘッダ3の断面図である。
主蒸気ヘッダ3は、主蒸気ヘッダ3に接続される複数の原子炉側主蒸気管13及び複数のタービン側主蒸気管18と、タービンバイパスライン15とから構成される。各原子炉側主蒸気管13と各タービン側主蒸気管18は、それぞれ所定の間隙を介して対向するように主蒸気ヘッダ3の管板3a、3bに接続されている。その際、各原子炉側主蒸気管13は、その先端部が管板3aから主蒸気ヘッダ3の内側に突出する突出部14を形成するように接続されている。また、各タービン側主蒸気管18はその先端部が管板3bに接続されている。
(作用)
このように構成された主蒸気ヘッダ3において、通常運転では原子炉側主蒸気管13を流れてきた主蒸気は、一部が主蒸気ヘッダ3内をタービンバイパスライン15へ向かうバイパス流16を形成するが、主蒸気流17はそのまま対向するタービン側主蒸気管18に流入する。そのため、原子炉側主蒸気管13は主蒸気ヘッダの内側に突出する突出部14を有するが、これによる流路断面積の差はほとんどなく、主蒸気流17に対する損失は突出部14がない場合と同等である。
このように構成された主蒸気ヘッダ3において、通常運転では原子炉側主蒸気管13を流れてきた主蒸気は、一部が主蒸気ヘッダ3内をタービンバイパスライン15へ向かうバイパス流16を形成するが、主蒸気流17はそのまま対向するタービン側主蒸気管18に流入する。そのため、原子炉側主蒸気管13は主蒸気ヘッダの内側に突出する突出部14を有するが、これによる流路断面積の差はほとんどなく、主蒸気流17に対する損失は突出部14がない場合と同等である。
一方、原子炉側主蒸気管13のうち1本、例えば、図2に示す原子炉側主蒸気管21が破断したときには、図2に示すように、主蒸気ヘッダ3内の蒸気流19は、健全な原子炉側主蒸気管13から破断した原子炉側主蒸気管21に向かう。このとき、突出部14により、主蒸気ヘッダ3の管板3a近傍の蒸気流19は、破断した原子炉側主蒸気管21に流入する際に突出部14を回り込んで原子炉側主蒸気管21内へ流入し、圧力損失が発生する。
(効果)
このように主蒸気ヘッダ3を構成したことにより、通常運転時において主蒸気流れの圧力損失をほとんど増大させることはない一方、主蒸気管破断による逆流が発生した場合には、逆流する蒸気の流れに対して圧力損失を発生させ、破断面からの流出量を抑制することができる。
このように主蒸気ヘッダ3を構成したことにより、通常運転時において主蒸気流れの圧力損失をほとんど増大させることはない一方、主蒸気管破断による逆流が発生した場合には、逆流する蒸気の流れに対して圧力損失を発生させ、破断面からの流出量を抑制することができる。
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、原子炉側主蒸気管を主蒸気ヘッダの内部に突出させて接続したことにより、通常運転時には主蒸気系統の圧力損失はほとんど発生しないのでプラントの運転効率低下を防ぐことができるとともに、主蒸気管の破断時には圧力損失を生じさせることにより破断面からの流出量を抑制することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る主蒸気ヘッダを図3により説明する。
本第2の実施形態では、図3に示すように、各原子炉側主蒸気管13の突出部14の先端を鋭角状にしている。
第2の実施形態に係る主蒸気ヘッダを図3により説明する。
本第2の実施形態では、図3に示すように、各原子炉側主蒸気管13の突出部14の先端を鋭角状にしている。
これにより、主蒸気ヘッダ3から破断した原子炉側主蒸気管21へ流入する蒸気流19が、入口で剥離し縮流する効果が大きくなり、実効的な流路面積Acを減少させることによる圧力損失を増大させ、流出量をさらに効果的に抑制することができる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る主蒸気ヘッダを図4により説明する。
本第3の実施形態では、図4に示すように、各原子炉側主蒸気管13の突出部をノズル状の突出部23としている。このノズル状突出部23の流出口径dは主蒸気管内径Dよりも小さく設定されている。
第3の実施形態に係る主蒸気ヘッダを図4により説明する。
本第3の実施形態では、図4に示すように、各原子炉側主蒸気管13の突出部をノズル状の突出部23としている。このノズル状突出部23の流出口径dは主蒸気管内径Dよりも小さく設定されている。
突出部をノズル状とすることにより、圧力損失はほぼノズルの長さ部分の摩擦損失のみとなるため、ノズル状突出部23から蒸気が流出する通常運転時の圧力損失増加はほとんどない。一方、主蒸気管破断によってノズル状突出部23に流入する流れが発生した場合は、流入口径dが主蒸気管内径Dより小さいことによる流速の増加により損失を増大させることができるだけでなく、主蒸気ヘッダ3の管板3a側からの回り込みに伴う入口損失及びノズル状の突出部を逆流する際のディフューザ効果による局所損失などが発生し、破断面からの流出量をさらに抑制することができる。
(変形例)
上記実施形態では主蒸気ヘッダ3内にノズル状の突出部23を形成しているが、図5に示すように、各原子炉側主蒸気管13の先端をノズル状として主蒸気ヘッダに突出させずに管板3aに接続してもよい。
上記実施形態では主蒸気ヘッダ3内にノズル状の突出部23を形成しているが、図5に示すように、各原子炉側主蒸気管13の先端をノズル状として主蒸気ヘッダに突出させずに管板3aに接続してもよい。
[第4の実施形態]
第4の実施形態に係る主蒸気ヘッダを図6により説明する。
本第4の実施形態では、原子炉側主蒸気管13だけでなく、各タービン側主蒸気管18も主蒸気ヘッダ3側に突出させて主蒸気ヘッダ3に接続されている。その突出部24は先端に向けて拡開する構造となっている。
第4の実施形態に係る主蒸気ヘッダを図6により説明する。
本第4の実施形態では、原子炉側主蒸気管13だけでなく、各タービン側主蒸気管18も主蒸気ヘッダ3側に突出させて主蒸気ヘッダ3に接続されている。その突出部24は先端に向けて拡開する構造となっている。
このタービン側主蒸気管18の突出部24は、原子炉側主蒸気管の破断時に主蒸気ヘッダ3内を破断した原子炉側主蒸気管(図示せず)に向かう蒸気流の圧力損失を増大させ、流出量をさらに抑制することができる。
さらに、突出部24の口径を先端に向かって拡開したことにより、通常運転時には原子炉側主蒸気管13からタービン側主蒸気管18に流入する蒸気の剥離流れを抑制し、入口損失を低減することができる。
[第5の実施形態]
第5の実施形態に係る主蒸気ヘッダを図7により説明する。
本第5の実施形態では、各原子炉側主蒸気管13の突出部14を傾斜させている。傾斜方向は、手蒸気ヘッダ3の中央部の両側に配置されている原子炉側主蒸気管13A及び13Bの突出部14がそれぞれ相互に離反するように傾斜している。
第5の実施形態に係る主蒸気ヘッダを図7により説明する。
本第5の実施形態では、各原子炉側主蒸気管13の突出部14を傾斜させている。傾斜方向は、手蒸気ヘッダ3の中央部の両側に配置されている原子炉側主蒸気管13A及び13Bの突出部14がそれぞれ相互に離反するように傾斜している。
このとき、各タービン側主蒸気管18も、それぞれが対応する原子炉側主蒸気管13A、Bの突出部14の傾斜角度と同じ角度になるように傾斜させて主蒸気ヘッダ3に接続され、通常運転時の主蒸気流に対し付加的な圧力損失が発生しないように構成されている。
このように構成された主蒸気ヘッダ3において、例えば原子炉側主蒸気管21が破断した場合、原子炉側主蒸気管13Aからの蒸気流れ19Aは、原子炉側主蒸気管13Bからの蒸気流れ19Bよりも多く、かつその流れが破断した原子炉側主蒸気管21に流入する際に90度以上曲がるため、直角に曲がる場合よりも圧力損失が大きくなる。
このように突出部14を傾斜させたことにより、原子炉側主蒸気管が破断した際に、主蒸気ヘッダ3から破断した原子炉側主蒸気管21内に流入する蒸気流れのうち、流量の多い側からの圧力損失を大きくすることができるため、破断時における破断面からの流出量をさらに効率的に抑制することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組合せ、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…圧力容器、1a…炉心、2…主蒸気管、3…主蒸気ヘッダ、3a,3b…管板、4…主蒸気止め弁、5…主蒸気流量制限器、6…主蒸気逃し弁、7…主蒸気隔離弁、8…原子炉格納容器、9…ドライウェル、10…ベント管、11…サプレッションプール、12…破断面、13…原子炉側主蒸気管、14…突出部、15…タービンバイパスライン、16…バイパス流、17…主蒸気流、18…タービン側主蒸気管、19…蒸気流、21…破断した原子炉側主蒸気管、23…ノズル状突出部、24…突出部。
Claims (7)
- 複数の原子炉側主蒸気管とタービン側主蒸気管が接続された原子力プラントの主蒸気ヘッダにおいて、
前記各原子炉側主蒸気管は前記主蒸気ヘッダの内側に突出部を有することを特徴とする原子力プラントの主蒸気ヘッダ。 - 前記手蒸気ヘッダの中央部の一方の側に配置された複数の突出部と他方の側に配置された突出部は、それぞれが相互に離反するように傾斜していることを特徴とする請求項1記載の原子力プラントの主蒸気ヘッダ。
- 前記タービン側主蒸気管は、対応する原子炉側主蒸気管の突出部の傾斜角度と同じ傾斜角度で主蒸気ヘッダに接続されていることを特徴とする請求項2記載の原子力プラントの主蒸気ヘッダ。
- 前記突出部の先端は鋭角状であることを特徴とする請求項1記載の原子力プラントの主蒸気ヘッダ。
- 前記突出部はノズル状突出部であることを特徴とする請求項1記載の原子力プラントの主蒸気ヘッダ。
- 前記タービン側主蒸気管は前記主蒸気ヘッダの内側に突出部を有するとともに、当該突出部は先端に向けて拡開していることを特徴とする請求項1記載の原子力プラントの主蒸気ヘッダ。
- 複数の原子炉側主蒸気管とタービン側主蒸気管が接続された原子力プラントの主蒸気ヘッダにおいて、
前記主蒸気ヘッダに接続される前記各原子炉側主蒸気管の先端部をノズル状としたことを特徴とする原子力プラントの主蒸気ヘッダ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010245321A JP2012098119A (ja) | 2010-11-01 | 2010-11-01 | 原子力プラントの主蒸気ヘッダ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016507758A (ja) * | 2013-02-27 | 2016-03-10 | ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー | 加圧水型原子炉の減圧システム |
-
2010
- 2010-11-01 JP JP2010245321A patent/JP2012098119A/ja active Pending
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