JP2012094684A - 太陽光発電システム - Google Patents
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Abstract
【課題】効率よく、かつ安定して発電および電力の供給を行なうことのできる太陽光発電システムを提供する。
【解決手段】太陽光発電システム100は、光電変換部2を含む生成装置30を備える。光電変換部2で生じた電力は供給が要求された外部装置や系統電力に供給される他、蓄電池60に蓄電される。生成装置30では光電変換部2で生じた電力のうちの装置外に供給されなかった電力を用いて水分解し、水素を生成する。生成された水素は制御装置40で流量・圧縮が調整されて貯蔵装置70に貯蔵される。
【選択図】図1
【解決手段】太陽光発電システム100は、光電変換部2を含む生成装置30を備える。光電変換部2で生じた電力は供給が要求された外部装置や系統電力に供給される他、蓄電池60に蓄電される。生成装置30では光電変換部2で生じた電力のうちの装置外に供給されなかった電力を用いて水分解し、水素を生成する。生成された水素は制御装置40で流量・圧縮が調整されて貯蔵装置70に貯蔵される。
【選択図】図1
Description
この発明は太陽光発電システムに関し、特に、太陽電池と気体製造装置とが一体型となった装置を含む太陽光発電システムに関する。
近年、地球温暖化の懸念から発電に伴い二酸化炭素が発生しない太陽光発電が普及しつつある。
太陽光発電は、電力供給が不安定な地域に対する安定した電力供給を可能とする手段としても注目されている。電力供給が不安定な地域としては、たとえば発展途上国や新興国あるいは先進国でもキャンプ場等の屋外などの電力網が十分に普及していない地域や、たとえば電力網が脆弱であったり停電が頻発したりするような電力網が十分に発達していない地域、などが挙げられる。
太陽光発電はその特性上、時間帯や季節などにより発電量が変動する。そのため、上述のような地域に対して安定した電力の供給とはならない。たとえば、太陽光発電の導入量が極端に増加すると創出されるエネルギーの変動幅が大きくなり、電力網が発達している地域であっても電力供給が不安定な地域となり得る。
その課題を解決するために、通常、太陽光発電で得られた太陽光エネルギーをバッテリー等の蓄電装置に貯蔵し、必要なときに蓄電装置から太陽光エネルギーを供給するような技術がすでに実用化されている。
しかしながら、この技術ではエネルギー利用効率が低いこと、太陽光エネルギーを蓄電装置に貯蔵し、電気を得るまでのトータルコストが依然高いこと、蓄電装置自体のコストも高いこと、などの課題がある。さらに、これら電気や熱というエネルギー形態は、短期のエネルギー変動を補完するような使用法は実現できるものの、たとえば季節変動などの長期での変動を補完することは極めて困難であることや、エネルギー量の増加により発電設備の稼働率低下を招く可能性があることが課題である。つまり、この技術では、上述のような電力供給が不安定な地域に対して安定して、かつ低コストで電力を供給する、ということが実現され難い。
これに対し、太陽光発電で得られた太陽光エネルギーを化学エネルギーに変換し、化学エネルギーとして貯蔵する技術が開発されている。たとえば、特開2003−288955号公報(以下、特許文献1)は、基板上に形成した透明電極膜の上に薄膜太陽電池と電解触媒層とを並列に形成し、薄膜太陽電池に光を照射することにより電解液を電気分解して水素を発生させる水素製造装置を開示している。
また、特開2001−338672号公報(以下、特許文献2)は、太陽電池からの給電を受けて水電解装置で水素を生成し、生成した水素を貯蔵装置で貯蔵しておき、必要なタイミングで、貯蔵装置から発電装置に水素を供給して燃料として発電するシステムを開示している。
この技術では、長期変動を効率よく補完するとともに発電設備の稼働率を高めることが可能となり、上述のような電力供給が不安定な地域に対して安定して、かつ低コストで電力を供給する、ということが可能となる。
しかしながら、特許文献1の装置は太陽電池の起電力を利用して水素を発生させるものであり、同じ太陽電池を利用して電力を外部回路に供給することができない。つまり、特許文献1の装置では生成された太陽光エネルギーである電力がいったん化学エネルギーである水素に変換されてから、再度、必要時に電力に変換されることになるため、貯蔵せずに直ちにエネルギーを使用する場合にはエネルギー効率が落ちる、という問題がある。
また、特許文献2のシステムはいったん太陽電池で生成された太陽光エネルギーを水電解装置に供給するものであるため、太陽電池装置に接続された抵抗に起因して起電力が低下し、発電効率が落ちる、という問題がある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、効率よく、かつ安定して発電および電力の供給を行なうことのできる太陽光発電システムを提供することを目的の一つとしている。
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、太陽光発電システムは、光電変換部を含む水素生成装置と、蓄電装置と、水素生成装置で生成される水素を供給するための水素供給部と、光電変換部で生じる電力を供給するための電力供給部と、水素の供給および電力の供給を制御するための制御装置とを備える。制御装置は、電力の供給として、光電変換部で生じる電力のうちの、水素の生成に用いられる電力と水素の生成以外に用いられる電力との供給を制御する。蓄電装置は制御装置および水素生成装置に接続されて、これらとの間で電力をやり取りする。
好ましくは、蓄電装置は光電変換部で生じる電力を蓄電し、制御装置は光電変換部で生じ水素の生成以外に用いられる電力のうちの一部を当該制御装置に供給するよう制御し、供給された電力によって駆動される。
好ましくは、光電変換部は受光面と裏面とを有し、水素生成装置は、光電変換部の裏面側に設けられ、かつ、電解液に浸漬可能に設けられた第1電解用電極と、光電変換部の裏面に設けられ、かつ、電解液に浸漬可能に設けられた第2電解用電極とをさらに含む。
好ましくは、光電変換部は受光面と裏面とを有し、受光面で受光することによって受光面と前記裏面との間に電位差が生じる。水素生成装置は、受光面上に設けられた第1電極と、光電変換部の裏面側に設けられ、かつ、電解液に浸漬可能に設けられた第1電解用電極と、光電変換部の裏面に設けられ、かつ、電解液に浸漬可能に設けられた第2電解用電極とをさらに含む。
より好ましくは、蓄電装置は第1電極に接続される。
好ましくは、光電変換部は受光面と裏面とを有し、水素生成装置は、裏面の上にそれぞれ設けられた第1電解用電極および第2電解用電極をさらに含む。光電変換部は、受光することにより、裏面の、第1電解用電極に電気的に接続された第1区域と、第2電解用電極に電気的に接続された第2区域との間に電位差が生じ、第1電解用電極および第2電解用電極のいずれもが電解液に接触するとき、第1電解用電極は、光電変換部が受光することにより生じる起電力を利用して電解液から水素を発生させる水素発生部を形成し、第2電解用電極は起電力を利用して電解液から酸素を発生させる酸素発生部を形成することを特徴とする。
好ましくは、光電変換部は受光面と裏面とを有し、水素生成装置は、裏面の上にそれぞれ設けられた第1電解用電極および第2電解用電極をさらに含む。光電変換部は、受光することにより、裏面の、第1電解用電極に電気的に接続された第1区域と、第2電解用電極に電気的に接続された第2区域との間に電位差が生じ、第1電解用電極および第2電解用電極のいずれもが電解液に接触するとき、第1電解用電極は、光電変換部が受光することにより生じる起電力を利用して電解液から水素を発生させる水素発生部を形成し、第2電解用電極は起電力を利用して電解液から酸素を発生させる酸素発生部を形成することを特徴とする。
好ましくは、水素生成装置は、蓄電装置の蓄電電力を用いて水素を生成する。
好ましくは、制御装置は、水素生成装置を、起動させた起動状態、動作を停止させた停止状態、水素を供給する水素供給状態、電力を供給する電力供給状態、水素と電力とを共に供給する状態、のそれぞれの状態とするための制御モードを有し、制御モードのうちのいずれか1の制御モードを選択して制御処理を実行する。
好ましくは、制御装置は、水素生成装置を、起動させた起動状態、動作を停止させた停止状態、水素を供給する水素供給状態、電力を供給する電力供給状態、水素と電力とを共に供給する状態、のそれぞれの状態とするための制御モードを有し、制御モードのうちのいずれか1の制御モードを選択して制御処理を実行する。
好ましくは、制御装置は、光電変換部での受光状況により、水素生成装置において水素を製造するための駆動電力を、光電変換部で生じる電力と蓄電池に蓄えられた電力とで切替える。
好ましくは、制御装置は、蓄電池の蓄電量により、水素生成装置において水素を製造するための駆動電力を、光電変換部で生じる電力と蓄電池に蓄えられた電力とで切替える。
この発明によると、太陽光発電システムにおいて、効率よく、かつ安定して発電および電力の供給を行なうことができる。さらに、この発明によると、系統電力を使わず独立分散的な電力供給を行なうことが可能となる。さらに、この発明によると安全性を向上させることが可能となる。
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
<システム構成>
図1は、本実施の形態にかかる太陽光発電システム100の構成の具体例を示す図である。
図1は、本実施の形態にかかる太陽光発電システム100の構成の具体例を示す図である。
図1を参照して、太陽光発電システム100は、エネルギーを生成するための装置である生成装置30と、生成装置30などを制御するための制御装置40と、生成されたエネルギーを蓄積するための装置であって、電力を蓄積するための蓄電池60および水素を貯蔵するための貯蔵装置70とを含む。
生成装置30は、太陽光発電を行なうための、後述する光電変換部2、および水素を生成するための、後述する水素発生部7(または8)が一体型で形成された生成部23と、図示しない貯水タンクから導水して生成部23に給水し、または生成部23内の水を排水するためのバルブ、ポンプなどからなる給排水部31とを含む。
給排水部31は、後述する制御装置40の制御部41に電気的に接続されて、バルブの開閉や開き幅、ポンプの駆動電力などが制御部41からの制御信号によって制御される。これにより、生成部23に対する給水、排水、また、その水の量、速度が制御される。
生成部23に含まれる光電変換部2は太陽光発電を行なって電力を生成する。生成された電力は、後述する構成によって水素発生部7(または8)に供給される。または、後述するケーブル62で生成装置30外に供給される。
生成部23に含まれる水素発生部7(または8)は、光電変換部2で生成された電力と供給された水とを用いて水電解処理を行ない、水素を生成する。
生成装置30には、さらに、生成部23内の水量を検知するためのセンサ35Aと、生成部23内の水温を検知するためのセンサ35Bと、生成部23内の水温を適正温度とするために給排水部31で供給される水の温度を調整するためのヒータや冷却ファンなどで構成された温度調整部36とが含まれる。
センサ35A,35Bは、後述する制御装置40の制御部41に電気的に接続されて、それぞれ、検出された生成部23内の水量および水温を示すセンサ信号を制御装置40の制御部41に入力する。温度調整部36は、後述する制御装置40の制御部41に電気的に接続されて、制御部41からの制御信号に従ってヒータや冷却ファンなどを駆動させて生成部23の温度を調整する。
生成装置30と蓄電池60とはケーブル62で接続される。生成装置30で生成された電力は、ケーブル62によって生成装置30から蓄電池60に供給され、蓄電池60に蓄電される。ケーブル62上には、供給する電力の電圧を変換するためのDC−DCコンバータなどからなり、生成装置30から出力される電力量を制御するための切替部34が配される。切替部34は後述する制御装置40の制御部41に電気的に接続されて、制御部41からの制御信号によって供給する電力の電圧が制御される。
蓄電池60には配電装置50が接続される。配電装置50は、後述する制御装置40の制御部41と電気的に接続され、その制御信号に従って蓄電池60からの電力の供給を制御する。
ケーブル62には、さらに、外部の電力を消費する装置(以下、単に外部装置とも称する)、系統電力などの外部の電源、および制御装置40が接続される。生成装置30で生成された電力がケーブル62によって外部装置に供給されてもよいし、系統電力に供給されてもよいし、制御装置40に供給されてもよい。または、蓄電池60に蓄電された電力がケーブル62によって外部装置に供給されてもよいし、系統電力に供給されてもよいし、制御装置40に供給されてもよい。また、系統電力からの電力がケーブル62によって外部装置に供給されてもよいし、制御装置40に供給されてもよいし、生成装置30に供給されてもよい。
生成装置30と蓄電池60との間のケーブル62にはスイッチ63Aが設けられる。生成装置30と外部装置との間のケーブル62にはスイッチ63Bが設けられる。生成装置30と系統電力との間のケーブル62にはスイッチ63Cが設けられる。これらスイッチ63A,63B,63Cは後述する制御装置40の制御部41に電気的に接続されて、制御部41からの制御信号によってその開閉が制御される。スイッチが開放されることでケーブル62での接続が切断され、電力のやり取りがなくなる。スイッチが閉塞されることでケーブル62での接続が確立され、電力がやり取りされる。
生成装置30と貯蔵装置70とは制御装置40を経てパイプ61で接続される。生成装置30で生成された水素は、パイプ61によって、生成装置30から制御装置40を経て貯蔵装置70に供給され、貯蔵装置70に貯蔵される。
貯蔵装置70はたとえばタンク、水素貯蔵合金、無機系、または有機系水素貯蔵材料などが該当し、その内部に水素が貯蔵可能である。貯蔵装置70は、燃料電池などの水素消費装置に接続されて該装置に水素を供給する。または、貯蔵装置70自身が燃料電池などの水素消費装置に含まれるものであってもよい。
貯蔵装置70には、貯蔵装置70内の水素量を検知するためのセンサ71Aと、貯蔵装置70内の水素圧力を検知するためのセンサ71Bとが含まれる。センサ71A,71Bは、それぞれ、制御装置40の制御部41に電気的に接続されて、検出された貯蔵装置70内の水素量および圧力を示すセンサ信号を制御装置40の制御部41に入力する。
貯蔵装置70には、さらに、図示しない貯蔵装置70内の水素温度を検知するためのセンサと、その温度を調整するための調整装置とが含まれてもよい。そして、それらは制御装置40の制御部41に電気的に接続され、その制御信号に従って水素温度を調整するようにしてもよい。
貯蔵装置70と上記水素消費装置とを接続するパイプには貯蔵装置70内の水素を供給するためのバルブ、ポンプなどからなる供給部72が配される。供給部72は、後述する制御装置40の制御部41に電気的に接続されて、バルブの開閉や開き幅、ポンプの駆動電力などが制御部41からの制御信号によって制御される。これにより、貯蔵装置70から上記水素消費装置に対する水素の供給、また、その量、速度が制御される。
制御装置40は、各部を制御するための制御部41と、パイプ61上に配され、バルブ等を含んで生成装置30から貯蔵装置70へ水素を供給するための機構である接続部42と、生成装置30から制御装置40に供給される水素の圧力を検出するための圧力検知部43と、制御装置40から貯蔵装置70に供給される水素の圧力を検出するための圧力検知部44と、制御装置40内の温度や制御装置40内の各装置の温度を調整するためのヒータや冷却ファンなどで構成された温度調整部45と、制御装置40内の温度や制御装置40内の各装置の温度を検知するためのセンサ46とを含む。制御装置40には外部装置からの信号を受付けるための通信機能が含まれ、他の装置からの信号が入力されてもよい。
制御装置40の制御部41は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を含み、図示しないメモリに記憶されるプログラムを読み出して実行することによって図1に示された各部に対して制御信号を出力する。
圧力検知部43および圧力検知部44は制御部41に電気的に接続されて、検出された圧力を示すセンサ信号を制御部41に入力する。センサ46もまた制御部41に電気的に接続されて、検出された温度を示すセンサ信号を制御部41に入力する。
温度調整部45は制御部41に電気的に接続されて、制御部41からの制御信号に従ってヒータや冷却ファンなどを駆動させて制御装置40内の温度や制御装置40内の各装置の温度を調整する。
接続部42は、貯蔵装置70へ供給する水素の流量を調整するためのバルブ、ポンプなどからなる流量調整部421と、貯蔵装置70へ供給する水素の圧力を調整するためのコンプレッサなどからなる圧力調整部422とを含む。接続部42は制御部41に電気的に接続されて、制御部41からの制御信号に従ってバルブの開閉や開き幅、ポンプの駆動電力、コンプレッサの駆動電力などが制御部41からの制御信号によって制御される。これにより、生成装置30から供給される水素の量や貯蔵装置70へ供給される水素の量や圧力などが制御される。
<生成部の構成の第1の例>
生成部23の第1の例について説明する。
生成部23の第1の例について説明する。
図2は、生成装置30に含まれる生成部23の構成の第1の例を示す図であって、光電変換部の受光面側から見た概略平面図である。図3は、図2の点線A−Aの概略断面図である。図4は、生成装置30に含まれる生成部23の構成を示す図であって、光電変換部の裏面側から見た概略裏面図である。
図2を参照して、生成部23は、受光面および裏面を有する光電変換部2と、光電変換部2の裏面側に該面に接して設けられた第1の気体発生部8と、光電変換部2の裏面側に該面に接して設けられた第2の気体発生部7とを備える。
光電変換部2の受光面側に第1電極4が設けられ、裏面側に第2電極5が設けられる。第1電極4および第2電極5は、いずれもケーブル62に接続される。
第1の気体発生部8および第2の気体発生部7のうち、一方は電解液からH2を発生させるための水素発生部であり、他方は電解液からO2を発生させるための酸素発生部である。第1の気体発生部8は光電変換部2の裏面と電気的に接続され、第2の気体発生部7は第1の導電部9を介して光電変換部2の受光面と電気的に接続される。
第1の導電部9は、第1電極4と第2の導電部10とから構成されてもよい。また、生成部23は、基板1、第2電極5、絶縁部11、隔壁13、天板14、電解液流路15、シール材16、給水口18、第1ガス排出口20および第2ガス排出口19を備えてもよい。
[基板]
基板1は生成部23に含まれてもよい。また、光電変換部2は、受光面が基板1側となるように透光性の基板1の上に設けられてもよい。なお、光電変換部2が、半導体基板などからなり一定の強度を有する場合、基板1は省略することが可能である。また、光電変換部2が樹脂フィルムなど柔軟性を有する材料の上に形成可能な場合、基板1は省略することができる。
基板1は生成部23に含まれてもよい。また、光電変換部2は、受光面が基板1側となるように透光性の基板1の上に設けられてもよい。なお、光電変換部2が、半導体基板などからなり一定の強度を有する場合、基板1は省略することが可能である。また、光電変換部2が樹脂フィルムなど柔軟性を有する材料の上に形成可能な場合、基板1は省略することができる。
基板1は、生成部23を構成するための土台となる部材である。また、太陽光を光電変換部2の受光面で受光するためには、透明であり光透過率が高いことが好ましいが、光電変換部2へ効率的な光の入射が可能な構造であれば、光透過率に制限はない。
光透過率が高い基板材料として、例えば、ソーダガラス、石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の透明なリジッド材、または透明樹脂板やフィルム材等が好適に用いられる。化学的および物理的安定性を備える点より、ガラス基板を用いることが好ましい。
基板1の光電変換部2側の表面には、入射した光が光電変換部2の表面で有効に乱反射されるように、微細な凹凸構造に形成することができる。この微細な凹凸構造は、例えば反応性イオンエッチング(RIE)処理もしくはブラスト処理等の公知の方法により形成することが可能である。
[第1の導電部]
第1の導電部9は、第2の気体発生部7と光電変換部2の受光面とを電気的に接続させる。第1の導電部9は、1つの部材から構成されてもよいし、第1電極4と第2の導電部10とから構成されてもよい。第1の導電部9を設けることにより、光電変換部2の受光面の電位と第2の気体発生部7の電位とをほぼ同じにすることができ、第2の気体発生部7で水素または酸素を発生させることができる。
第1の導電部9は、第2の気体発生部7と光電変換部2の受光面とを電気的に接続させる。第1の導電部9は、1つの部材から構成されてもよいし、第1電極4と第2の導電部10とから構成されてもよい。第1の導電部9を設けることにより、光電変換部2の受光面の電位と第2の気体発生部7の電位とをほぼ同じにすることができ、第2の気体発生部7で水素または酸素を発生させることができる。
第1の導電部9が1つの部材から構成される場合としては、第1の導電部9は、例えば、光電変換部2の受光面と第2の気体発生部7とを電気的に接続させる金属配線などである。また、例えば、第1の導電部9は、Agからなる金属配線である。また、この金属配線は、光電変換部2に入射する光を減少させいないように、フィンガー電極のような形状を有してもよい。第1の導電部9は、基板1の光電変換部2側に設けられてもよく、光電変換部2の受光面に設けられてもよい。
[第1電極]
第1電極4は、基板1の上に設けることができ、光電変換部2の受光面と接触するように設けることができる。また、第1電極4は透光性を有してもよい。また、第1電極4は、基板1を省略可能の場合、光電変換部2の受光面に直接設けられてもよい。第1電極4を設けることにより、光電変換部2の受光面と第2の気体発生部7との間に流れる電流を大きくすることができる。
第1電極4は、基板1の上に設けることができ、光電変換部2の受光面と接触するように設けることができる。また、第1電極4は透光性を有してもよい。また、第1電極4は、基板1を省略可能の場合、光電変換部2の受光面に直接設けられてもよい。第1電極4を設けることにより、光電変換部2の受光面と第2の気体発生部7との間に流れる電流を大きくすることができる。
第1電極4は、例えば、ITO、SnO2などの透明導電膜から構成されてもよく、Ag、Auなどの金属のフィンガー電極からなってもよい。
以下に第1電極4を透明導電膜とした場合について説明する。
透明導電膜は、光電変換部2の受光面と第2の気体発生部7とのコンタクトを取りやすくするために用いている。
透明導電膜は、光電変換部2の受光面と第2の気体発生部7とのコンタクトを取りやすくするために用いている。
一般に透明電極として使用されているものを用いることが可能である。具体的にはIn−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O、SnO2等を挙げることができる。なお本透明導電膜は、太陽光の光線透過率が85%以上、中でも90%以上、特に92%以上であることが好ましい。このことにより光電変換部2が光を効率的に吸収することができるためである。
透明導電膜の作成方法としては公知の方法を用いることができ、スパッタリング、真空蒸着、ゾルゲル法、クラスタービーム蒸着法、PLD(Pulse Laser Deposition)法などが挙げられる。
[光電変換部]
光電変換部2は、受光面および裏面を有し、光電変換部2の裏面の上に第1の気体発生部8と第2の気体発生部7とが設けられている。なお、受光面とは、光電変換するための光を受光する面であり、裏面とは、受光面の裏の面である。また、光電変換部2は、第1電極4が設けられた基板1の上に受光面を下にして設けることができる。
光電変換部2は、受光面および裏面を有し、光電変換部2の裏面の上に第1の気体発生部8と第2の気体発生部7とが設けられている。なお、受光面とは、光電変換するための光を受光する面であり、裏面とは、受光面の裏の面である。また、光電変換部2は、第1電極4が設けられた基板1の上に受光面を下にして設けることができる。
光電変換部2は、入射光により電荷分離することができ、受光面と裏面との間に起電力が生じるものであれば特に限定されないが、例えば、シリコン系半導体を用いた光電変換部、化合物半導体を用いた光電変換部、色素増感剤を利用した光電変換部、有機薄膜を用いた光電変換部などである。
光電変換部2は、光を受光することにより、水素発生部および酸素発生部においてそれぞれ水素と酸素が発生するために必要な起電力が生じる材料を使用する必要がある。水素発生部と酸素発生部との電位差は、水分解のための理論電圧(1.23V)より大きくする必要があり、そのためには光電変換部2で十分大きな電位差を生み出す必要がある。そのため光電変換部2は、pn接合など起電力を生じさせる部分を二接合以上直列に接続することが好ましい。
光電変換を行なう材料は、シリコン系半導体、化合物半導体、有機材料をベースとしたものなどが挙げられるが、いずれの光電変換材料も使用することが可能である。また、起電力を大きくするために、これらの光電変換材料を積層することが可能である。積層する場合には同一材料で多接合構造を形成することが可能であるが、光学的バンドギャップの異なる複数の光電変換層を積層し、各々の光電変換層の低感度波長領域を相互に補完することにより、広い波長領域にわたり入射光を効率よく吸収することが可能となる。
また、光電変換層間の直列接続特性の改善や、光電変換部2で発生する光電流の整合のために、層間に透明導電膜等の導電体を介在させることが可能である。これにより光電変換部2の劣化を抑制することが可能となる。
光電変換部2の例を以下に具体的に説明する。また、光電変換部2は、これらを組み合わせたものでもよい。
[シリコン系半導体を用いた光電変換部]
シリコン系半導体を用いた光電変換部2は、例えば、単結晶型、多結晶型、アモルファス型、球状シリコン型、およびこれらを組み合わせたもの等が挙げられる。いずれもp型半導体とn型半導体とが接合したpn接合を有することができる。また、p型半導体とn型半導体との間にi型半導体を設けたpin接合を有するものとすることもできる。また、pn接合を複数有するもの、pin接合を複数有するもの、pn接合とpin接合とを有するものとすることもできる。
シリコン系半導体を用いた光電変換部2は、例えば、単結晶型、多結晶型、アモルファス型、球状シリコン型、およびこれらを組み合わせたもの等が挙げられる。いずれもp型半導体とn型半導体とが接合したpn接合を有することができる。また、p型半導体とn型半導体との間にi型半導体を設けたpin接合を有するものとすることもできる。また、pn接合を複数有するもの、pin接合を複数有するもの、pn接合とpin接合とを有するものとすることもできる。
シリコン系半導体とは、シリコンを含む半導体であり、例えば、シリコン、シリコンカーバイド、シリコンゲルマニウムなどである。また、シリコンなどにn型不純物またはp型不純物が添加されたものも含み、また、結晶質、非晶質、微結晶のものも含む。
また、シリコン系半導体を用いた光電変換部2は、基板1の上に形成された薄膜または厚膜の光電変換層であってもよく、また、シリコンウェハなどのウェハにpn接合またはpin接合を形成したものでもよく、また、pn接合またはpin接合を形成したウェハの上に薄膜の光電変換層を形成したものでもよい。
シリコン系半導体を用いた光電変換部2の形成例を以下に示す。
基板1上に積層した第1電極4上に、第1導電型半導体層をプラズマCVD法等の方法で形成する。この第1導電型半導体層としては、導電型決定不純物原子濃度が1×1018〜5×1021/cm3程度ドープされた、p+型またはn+型の非晶質Si薄膜、または多結晶あるいは微結晶Si薄膜とする。第1導電型半導体層の材料としては、Siに限らず、SiCあるいはSiGe,SixO1-x等の化合物を用いることも可能である。
基板1上に積層した第1電極4上に、第1導電型半導体層をプラズマCVD法等の方法で形成する。この第1導電型半導体層としては、導電型決定不純物原子濃度が1×1018〜5×1021/cm3程度ドープされた、p+型またはn+型の非晶質Si薄膜、または多結晶あるいは微結晶Si薄膜とする。第1導電型半導体層の材料としては、Siに限らず、SiCあるいはSiGe,SixO1-x等の化合物を用いることも可能である。
このように形成された第1導電型半導体層上に、結晶質Si系光活性層として多結晶あるいは微結晶の結晶質Si薄膜をプラズマCVD法等の方法で形成する。なお、導電型は第1導電型半導体よりドーピング濃度が低い第1導電型とするか、あるいはi型とする。結晶質Si系光活性層の材料としては、Siに限らず、SiCあるいはSiGe,SixO1-x等の化合物を用いることも可能である。
次に、結晶質Si系光活性層上に半導体接合を形成するため、第1導電型半導体層とは反対導電型である第2導電型半導体層をプラズマCVD等の方法で形成する。この第2導電型半導体層としては、導電型決定不純物原子が1×1018〜5×1021/cm3程度ドープされた、n+型またはp+型の非晶質Si薄膜、または多結晶あるいは微結晶Si薄膜とする。第2導電型半導体層の材料としては、Siに限らず、SiCあるいはSiGe,SixO1-x等の化合物を用いることも可能である。また接合特性をより改善するために、結晶質Si系光活性層と第2導電型半導体層との間に、実質的にi型の非単結晶Si系薄膜を挿入することも可能である。このようにして、受光面に最も近い光電変換層を一層積層することができる。
続けて第二層目の光電変換層を形成する。第二層目の光電変換層は、第1導電型半導体層、結晶質Si系光活性層、第2導電型半導体層からなり、それぞれの層は、第一層目の光電変換層中の対応する第1導電型半導体層、結晶質Si系光活性層、第2導電型半導体層と同様に形成する。二層のタンデムで水分解に十分な電位を得ることができない場合は、三層あるいはそれ以上の層状構造を取ることが好ましい。ただし第二層目の光電変換層の結晶質Si系光活性層の体積結晶化分率は、第一層目の結晶質Si系光活性層と比較すると高くすることが好ましい。三層以上積層する場合も同様に下層と比較すると体積結晶化分率を高くすることが好ましい。これは、長波長域での吸収が大きくなり、分光感度が長波長側にシフトし、同じSi材料を用いて光活性層を構成した場合においても、広い波長域で感度を向上させることが可能となるためである。すなわち、結晶化率の異なるSiでタンデム構造にすることにより、分光感度が広くなり、光の高効率利用が可能となる。このとき低結晶化率材料を受光面側にしないと高効率とならない。また結晶化率が40%以下に下がるとアモルファス成分が増え、劣化が生じてしまう。
[化合物半導体を用いた光電変換部]
化合物半導体を用いた光電変換部は、例えば、III−V族元素で構成されるGaP、GaAsやInP、InAs、II−VI族元素で構成されるCdTe/CdS、I−III−VI族で構成されるCIGS(Copper Indium Gallium DiSelenide)などを用いpn接合を形成したものが挙げられる。
化合物半導体を用いた光電変換部は、例えば、III−V族元素で構成されるGaP、GaAsやInP、InAs、II−VI族元素で構成されるCdTe/CdS、I−III−VI族で構成されるCIGS(Copper Indium Gallium DiSelenide)などを用いpn接合を形成したものが挙げられる。
化合物半導体を用いた光電変換部の製造方法の一例を以下に示すが、本製造方法では、製膜処理等はすべて有機金属気相成長法(MOCVD;Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置を使って連続して行われる。III族元素の材料としては、例えばトリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、トリメチルインジウムなどの有機金属が水素をキャリアガスとして成長装置に供給される。V族元素の材料としては、例えばアルシン(AsH3)、ホスフィン(PH3)、スチビン(SbH3)等のガスが使われる。p型不純物またはn型不純物のドーパントとしては、例えばp型化にはジエチルジンク、またはn型化には、モノシラン(SiH4)やジシラン(Si2H6)、セレン化水素(H2Se)等が利用される。これらの原料ガスを、例えば700℃に加熱された基板上に供給することにより熱分解させ、所望の化合物半導体材料膜をエピタキシャル成長させることが可能である。これら成長層の組成は導入するガス組成により、また膜厚はガスの導入時間によって制御することが可能である。これらの光電変換部を多接合積層する場合は、層間での格子定数を可能な限り合わせることにより、結晶性に優れた成長層を形成することができ、光電変換効率を向上することが可能となる。
pn接合を形成した部分以外にも、例えば受光面側に公知の窓層や、非受光面側に公知の電界層等を設けることによりキャリア収集効率を高める工夫を有してもよい。また不純物の拡散を防止するためのバッファ層を有していてもよい。
[色素増感剤を利用した光電変換部]
色素増感剤を利用した光電変換部は、例えば、主に多孔質半導体、色素増感剤、電解質、溶媒などにより構成される。
色素増感剤を利用した光電変換部は、例えば、主に多孔質半導体、色素増感剤、電解質、溶媒などにより構成される。
多孔質半導体を構成する材料としては、例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム等公知の半導体から1種類以上を選択することが可能である。多孔質半導体を基板上に形成する方法としては、半導体粒子を含有するペーストをスクリーン印刷法、インクジェット法等で塗布し乾燥もしくは焼成する方法や、原料ガスを用いたCVD法等により製膜する方法、PVD法、蒸着法、スパッタ法、ゾルゲル法、電気化学的な酸化還元反応を利用した方法等が挙げられる。
多孔質半導体に吸着する色素増感剤としては、可視光領域および赤外光領域に吸収を持つ種々の色素を用いることが可能である。ここで、多孔質半導体に色素を強固に吸着させるには、色素分子中にカルボン酸基、カルボン酸無水基、アルコキシ基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアルキル基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基等が存在することが好ましい。これらの官能基は、励起状態の色素と多孔質半導体の伝導帯との間の電子移動を容易にする電気的結合を提供する。
これらの官能基を含有する色素として、例えば、ルテニウムビピリジン系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、アゾ系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ベリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素等が挙げられる。
多孔質半導体への色素の吸着方法としては、例えば多孔質半導体を、色素を溶解した溶液(色素吸着用溶液)に浸漬する方法が挙げられる。色素吸着用溶液に用いられる溶媒としては、色素を溶解するものであれば特に制限されず、具体的には、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトニトリル等の窒素化合物類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル等のエステル類、水等を挙げることができる。
電解質は、酸化還元対とこれを保持する液体または高分子ゲル等固体の媒体とからなる。
酸化還元対としては一般に、鉄系、コバルト系等の金属類や塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン物質が好適に用いられ、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせが好ましく用いられる。さらに、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド等のイミダゾール塩等を混入することもできる。
また、溶媒としては、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、アセトニトリル等のニトリル化合物、エタノール、メタノール等のアルコール、その他、水や非プロトン極性物質等が用いられるが、中でも、カーボネート化合物やニトリル化合物が好適に用いられる。
[有機薄膜を用いた光電変換部]
有機薄膜を用いた光電変換部は、電子供与性および電子受容性を持つ有機半導体材料で構成される電子正孔輸送層、または電子受容性を有する電子輸送層と電子供与性を有する正孔輸送層とが積層されたものであってもよい。
有機薄膜を用いた光電変換部は、電子供与性および電子受容性を持つ有機半導体材料で構成される電子正孔輸送層、または電子受容性を有する電子輸送層と電子供与性を有する正孔輸送層とが積層されたものであってもよい。
電子供与性の有機半導体材料としては、電子供与体としての機能を有するものであれば特に限定されないが、塗布法により製膜できることが好ましく、中でも電子供与性の導電性高分子が好適に使用される。
ここで導電性高分子とはπ共役高分子を示し、炭素−炭素またはヘテロ原子を含む二重結合または三重結合が、単結合と交互に連なったπ共役系からなり、半導体的性質を示すものをさす。
電子供与性の導電性高分子材料としては、例えばポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリカルバゾール、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、およびこれらの誘導体、共重合体、あるいはフタロシアニン含有ポリマー、カルバゾール含有ポリマー、有機金属ポリマー等が挙げられる。中でも、チオフェン−フルオレン共重合体、ポリアルキルチオフェン、フェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体、フルオレン−フェニレンビニレン共重合体、チオフェン−フェニレンビニレン共重合体等が好適に利用される。
電子受容性の有機半導体材料としては、電子受容体としての機能を有するものであれば特に限定されないが、塗布法により製膜できることが好ましく、中でも電子供与性の導電性高分子が好適に使用される。
電子受容性の導電性高分子としては、例えばポリフェニレンビニレン、ポリフルオレン、およびこれらの誘導体、共重合体、あるいはカーボンナノチューブ、フラーレンおよびこれらの誘導体、CN基またはCF3基含有ポリマーおよびそれらの−CF3置換ポリマー等が挙げられる。
また、電子供与性化合物がドープされた電子受容性の有機半導体材料や、電子受容性化合物がドープされた電子供与性の有機半導体材料等を用いることが可能である。電子供与性化合物がドープされる電子受容性の導電性高分子材料としては、上述の電子受容性の導電性高分子材料を挙げることができる。ドープされる電子供与性化合物としては、例えばLi、K、Ca、Cs等のアルカリ金属やアルカリ土類金属のようなルイス塩基を用いることができる。なお、ルイス塩基は電子供与体として作用する。また、電子受容性化合物がドープされる電子供与性の導電性高分子材料としては、上述した電子供与性の導電性高分子材料を挙げることができる。ドープされる電子受容性化合物としては、例えばFeCl3、AlCl3、AlBr3、AsF6やハロゲン化合物のようなルイス酸を用いることができる。なお、ルイス酸は電子受容体として作用する。
上記にて示した光電変換部2においては、第一義的には太陽光を受光させ光電変換を行なうことを想定しているが、用途により蛍光灯や白熱灯、LED、特定の熱源から発せられる光等の人工光を照射し光電変換を行なうことも可能である。
[第2電極]
第2電極5は、光電変換部2と第1の気体発生部8との間に設けることができる。第2電極5を設けることにより、光電変換部2の裏面の電位と第1の気体発生部8の電位とをほぼ同じにすることができる。また、光電変換部2の裏面と第1の気体発生部8との間に流れる電流を大きくすることができる。このことにより、光電変換部2で生じた起電力により水素または酸素をより効率的に発生させることができる。
第2電極5は、光電変換部2と第1の気体発生部8との間に設けることができる。第2電極5を設けることにより、光電変換部2の裏面の電位と第1の気体発生部8の電位とをほぼ同じにすることができる。また、光電変換部2の裏面と第1の気体発生部8との間に流れる電流を大きくすることができる。このことにより、光電変換部2で生じた起電力により水素または酸素をより効率的に発生させることができる。
第2電極5は、導電性を有すれば特に限定されないが、例えば、金属薄膜であり、また、例えば、Al、Ag、Auなどの薄膜である。これらは、例えば、スパッタリングなどにより形成することができる。また、例えば、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O、SnO2等の透明導電膜である。
[絶縁部]
絶縁部11は、光電変換部2の裏面と第2の気体発生部7との間に設けることができる。また、絶縁部11は、第1の気体発生部8と第2の気体発生部7との間に設けることもできる。さらに、絶縁部11は、第1の導電部9と光電変換部2との間、第2の導電部10と光電変換部2との間、および第2の導電部10と第2電極5との間に設けることができる。
絶縁部11は、光電変換部2の裏面と第2の気体発生部7との間に設けることができる。また、絶縁部11は、第1の気体発生部8と第2の気体発生部7との間に設けることもできる。さらに、絶縁部11は、第1の導電部9と光電変換部2との間、第2の導電部10と光電変換部2との間、および第2の導電部10と第2電極5との間に設けることができる。
絶縁部11を設けることにより、光電変換部2で生じた起電力により、光電変換部2の受光面と第2の気体発生部7との間に電流を流し、光電変換部2の裏面と第1の気体発生部8との間に電流を流すことができる。また、リーク電流をより小さくすることができる。このことにより、光電変換部2の受光面の電位と第2の気体発生部7の電位とをほぼ同じにすることができ、また、光電変換部2の裏面の電位と第1の気体発生部8の電位とをほぼ同じにすることができ、より効率的に水素および酸素を発生させることができる。
絶縁部11としては、有機材料、無機材料を問わず用いることが可能であり、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリーレン、芳香族ビニル化合物、フッ素系重合体、アクリル系重合体、ビニルアミド系重合体等の有機ポリマー、無機系材料としては、Al2O3等の金属酸化物、多孔質性シリカ膜等のSiO2や、フッ素添加シリコン酸化膜(FSG)、SiOC、HSQ(Hydrogen Silsesquioxane)膜、SiNx、シラノール(Si(OH)4)をアルコール等の溶媒に溶かし塗布・加熱することにより製膜する方法を用いることが可能である。
絶縁部11を形成する方法としては、絶縁性材料を含有するペーストをスクリーン印刷法、インクジェット法、スピンコーティング法等で塗布し乾燥もしくは焼成する方法や、原料ガスを用いたCVD法等により製膜する方法、PVD法、蒸着法、スパッタ法、ゾルゲル法を利用した方法等が挙げられる。
[第2の導電部]
第2の導電部10は、第1電極4と第2の気体発生部7とにそれぞれ接触するように設けることができる。第2の導電部10を設けることにより、容易に光電変換部2の受光面に接触した第1電極4と第2の気体発生部7とを電気的に接続することができる。
第2の導電部10は、第1電極4と第2の気体発生部7とにそれぞれ接触するように設けることができる。第2の導電部10を設けることにより、容易に光電変換部2の受光面に接触した第1電極4と第2の気体発生部7とを電気的に接続することができる。
第2の導電部10は光電変換部2の受光面と接触した第1電極4と光電変換部2の裏面上に設けられた第2の気体発生部7とに接触するため、光電変換部2の受光面と平行な第2の導電部の断面積を大きくしすぎると、光電変換部2の受光面の面積を小さくすることにつながる。また、光電変換部2の受光面に平行な第2の導電部10の断面積を小さくしすぎると光電変換部2の受光面の電位と第2の気体発生部7の電位との間に差が生じ、電解液を分解する電位差が得られなくなる場合もあり、水素または酸素の発生効率の減少につながる場合もある。従って、光電変換部2の受光面と平行な第2の導電部の断面積は、一定の範囲である必要がある。例えば、光電変換部2の受光面と平行な第2の導電部の断面積(第2の導電部が複数の場合、その断面積の総計)は、光電変換部2の受光面の面積を100%としたとき、0.1%以上10%以下とすることができ、好ましくは、0.5%以上8%以下、さらに好ましくは、1%以上6%以下とすることができる。
また、第2の導電部10は、光電変換部2を貫通するコンタクトホールに設けられてもよい。このことにより、第2の導電部10を設けることによる光電変換部2の受光面の面積の減少をより小さくすることができる。また、このことにより、光電変換部2の受光面と第2の気体発生部7との間の電流経路を短くすることができ、より効率的に水素または酸素を発生させることができる。また、このことにより、光電変換部2の受光面と平行な第2の導電部10の断面積を容易に調節することができる。
また、第2の導電部10が設けられたコンタクトホールは、1つまたは複数でもよく、円形の断面を有してもよい。また、光電変換部2の受光面と平行なコンタクトホールの断面積(コンタクトホールが複数の場合、その断面積の総計)は、光電変換部2の受光面の面積を100%としたとき、0.1%以上10%以下とすることができ、好ましくは、0.5%以上8%以下、さらに好ましくは、1%以上6%以下とすることができる。
第2の導電部10の材料は、導電性を有しているものであれば特に制限されない。導電性粒子を含有するペースト、例えばカーボンペースト、Agペースト等をスクリーン印刷法、インクジェット法等で塗布し乾燥もしくは焼成する方法や、原料ガスを用いたCVD法等により製膜する方法、PVD法、蒸着法、スパッタ法、ゾルゲル法、電気化学的な酸化還元反応を利用した方法等が挙げられる。
図5は生成部23を受光面側から見た形態である。第2の導電部10の光電変換部2の受光面と平行な断面は、図2のように円形でもよく、図5のように細長い形状を有してもよい。また、第2の導電部10の数は、図2のように複数でもよく、図5のように1つでもよい。また、光電変換部2の受光面と第2の気体発生部7とを電気的に接続するためのコンタクトホールに設けられた第2の導電部10が、隔壁13と実質的に平行な長い形状を形成していてもよい。
[第1の気体発生部]
第1の気体発生部8は、光電変換部2の裏面の上に設けられる。このことにより、第1の気体発生部8は光電変換部2に入射する光を遮ることはない。また、第1の気体発生部8は、水素発生部および酸素発生部のいずれか一方であり、光電変換部2の裏面と電気的に接続する。このことにより、光電変換部2の裏面の電位と第1の気体発生部8の電位とをほぼ同じとすることができ、光電変換部2で生じた起電力により水素または酸素を発生させることができる。また、第1の気体発生部8は、第2の気体発生部7と接触しないように設けることができる。このことにより、第1の気体発生部8と第2の気体発生部7との間にリーク電流が流れるのを防止することとができる。さらに、第1の気体発生部8は、電解液流路15に露出してもよい。このことにより、第1の気体発生部8の表面で電解液からH2またはO2を発生させることができる。
第1の気体発生部8は、光電変換部2の裏面の上に設けられる。このことにより、第1の気体発生部8は光電変換部2に入射する光を遮ることはない。また、第1の気体発生部8は、水素発生部および酸素発生部のいずれか一方であり、光電変換部2の裏面と電気的に接続する。このことにより、光電変換部2の裏面の電位と第1の気体発生部8の電位とをほぼ同じとすることができ、光電変換部2で生じた起電力により水素または酸素を発生させることができる。また、第1の気体発生部8は、第2の気体発生部7と接触しないように設けることができる。このことにより、第1の気体発生部8と第2の気体発生部7との間にリーク電流が流れるのを防止することとができる。さらに、第1の気体発生部8は、電解液流路15に露出してもよい。このことにより、第1の気体発生部8の表面で電解液からH2またはO2を発生させることができる。
[第2の気体発生部]
第2の気体発生部7は、光電変換部2の裏面の上に設けられる。このことにより、第2の気体発生部7は光電変換部2に入射する光を遮ることはない。また、第2の気体発生部7は、水素発生部および酸素発生部のいずれか一方であり、光電変換部2の受光面と第1の導電部9を介して電気的に接続する。このことにより、光電変換部2の受光面の電位と第2の気体発生部7の電位とをほぼ同じにすることができ、光電変換部2で生じた起電力により水素または酸素を発生させることができる。また、第2の気体発生部7は、絶縁部11を介して光電変換部2の裏面の上に設けられてもよい。また、第2の気体発生部7は、第1の気体発生部8と接触しないように設けることができる。このことによりリーク電流が流れることを防止することができる。また、第2の気体発生部7は、電解液流路15に露出してもよい。このことにより、第2の気体発生部7の表面で電解液からH2またはO2を発生させることができる。
第2の気体発生部7は、光電変換部2の裏面の上に設けられる。このことにより、第2の気体発生部7は光電変換部2に入射する光を遮ることはない。また、第2の気体発生部7は、水素発生部および酸素発生部のいずれか一方であり、光電変換部2の受光面と第1の導電部9を介して電気的に接続する。このことにより、光電変換部2の受光面の電位と第2の気体発生部7の電位とをほぼ同じにすることができ、光電変換部2で生じた起電力により水素または酸素を発生させることができる。また、第2の気体発生部7は、絶縁部11を介して光電変換部2の裏面の上に設けられてもよい。また、第2の気体発生部7は、第1の気体発生部8と接触しないように設けることができる。このことによりリーク電流が流れることを防止することができる。また、第2の気体発生部7は、電解液流路15に露出してもよい。このことにより、第2の気体発生部7の表面で電解液からH2またはO2を発生させることができる。
[水素発生部]
水素発生部は、電解液からH2を発生させる部分であり、第1の気体発生部8および第2の気体発生部7のうちどちらか一方である。また、水素発生部は、電解液からH2が発生する反応の触媒を含んでもよい。このことにより、電解液からH2が発生する反応の反応速度を大きくすることができる。水素発生部は、電解液からH2が発生する反応の触媒のみからなってもよく、この触媒が担持体に担持されたものであってもよい。また、水素発生部は、光電変換部2の受光面の面積より大きい触媒表面積を有してもよい。このことにより、電解液からH2が発生する反応をより速い反応速度とすることができる。また、水素発生部は、触媒が担持された多孔質の導電体であってもよい。このことにより、触媒表面積を大きくすることができる。また、光電変換部2の受光面または裏面と水素発生部に含まれる触媒との間に電流が流れることによる電位の変化を抑制することができる。また、この水素発生部を第1の気体発生部8としたとき、第2電極を省略しても光電変換部2の裏面と触媒との間に電流が流れることによる電位の変化を抑制することができる。さらに、水素発生部は、水素発生触媒としてPt、Ir、Ru、Pd、Rh、Au、Fe、NiおよびSeのうち少なくとも1つを含んでもよい。
水素発生部は、電解液からH2を発生させる部分であり、第1の気体発生部8および第2の気体発生部7のうちどちらか一方である。また、水素発生部は、電解液からH2が発生する反応の触媒を含んでもよい。このことにより、電解液からH2が発生する反応の反応速度を大きくすることができる。水素発生部は、電解液からH2が発生する反応の触媒のみからなってもよく、この触媒が担持体に担持されたものであってもよい。また、水素発生部は、光電変換部2の受光面の面積より大きい触媒表面積を有してもよい。このことにより、電解液からH2が発生する反応をより速い反応速度とすることができる。また、水素発生部は、触媒が担持された多孔質の導電体であってもよい。このことにより、触媒表面積を大きくすることができる。また、光電変換部2の受光面または裏面と水素発生部に含まれる触媒との間に電流が流れることによる電位の変化を抑制することができる。また、この水素発生部を第1の気体発生部8としたとき、第2電極を省略しても光電変換部2の裏面と触媒との間に電流が流れることによる電位の変化を抑制することができる。さらに、水素発生部は、水素発生触媒としてPt、Ir、Ru、Pd、Rh、Au、Fe、NiおよびSeのうち少なくとも1つを含んでもよい。
電解液からH2が発生する反応の触媒(水素発生触媒)は、2つのプロトンと2つの電子とから1分子の水素への変換を促進する触媒であり、化学的に安定であり、水素生成過電圧が小さい材料を用いることができる。例えば、水素に対して触媒活性を有するPt,Ir,Ru,Pd,Rh,Au等の白金族金属およびその合金あるいは化合物、水素生成酵素であるヒドロゲナーゼの活性中心を構成するFe,Ni,Seの合金あるいは化合物、およびこれらの組み合わせ等を好適に用いることが可能である。中でもPtおよびPtを含有するナノ構造体は水素発生過電圧が小さく好適に用いることが可能である。光照射により水素発生反応が確認されるCdS,CdSe,ZnS,ZrO2などの材料を用いることもできる。
水素発生触媒を直接光電変換部2の裏面などに担持することは可能であるが、反応面積をより大きくし気体生成速度を向上させるために、触媒を導電体に担持することができる。触媒を担持する導電体としては、金属材料、炭素質材料、導電性を有する無機材料等が挙げられる。
金属材料としては、電子伝導性を有し、酸性雰囲気下で耐腐食性を有する材料が好ましい。具体的には、Au、Pt、Pd等の貴金属、Ti、Ta、W、Nb、Ni、Al、Cr、Ag、Cu、Zn、Su、Si等の金属並びにこれらの金属の窒化物および炭化物、ステンレス鋼、Cu−Cr、Ni−Cr、Ti−Pt等の合金が挙げられる。金属材料には、Pt、Ti、Au、Ag、Cu、Ni、Wからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含むことが、他の化学的な副反応が少ないという観点から、より好ましい。これら金属材料は、比較的電気抵抗が小さく、面方向に電流を取り出しても電圧の低下を抑制することができる。また、Cu、Ag、Zn等の酸性雰囲気下での耐腐食性に乏しい金属材料を用いる場合には、Au、Pt、Pd等の耐腐食性を有する貴金属および金属、カーボン、グラファイト、グラッシーカーボン、導電性高分子、導電性窒化物、導電性炭化物、導電性酸化物等によって耐腐食性に乏しい金属の表面をコーティングしてもよい。
炭素質材料としては、化学的に安定で導電性を有する材料が好ましい。例えば、アセチレンブラック、バルカン、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、VGCF、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン等の炭素粉末や炭素繊維が挙げられる。
導電性を有する無機材料としては、例えば、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O、SnO2、酸化アンチモンドープ酸化スズが挙げられる。
なお、導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン等が挙げられ、導電性窒化物としては、窒化炭素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化ゲルマニウム、窒化チタニウム、窒化ジルコニウム、窒化タリウム等が挙げられ、導電性炭化物としては、炭化タンタル、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタニウム、炭化モリブデン、炭化ニオブ、炭化鉄、炭化ニッケル、炭化ハフニウム、炭化タングステン、炭化バナジウム、炭化クロム等が挙げられ、導電性酸化物としては、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンドープ酸化スズ等が挙げられる。
水素発生触媒を担持する導電体の構造としては、板状、箔状、棒状、メッシュ状、ラス板状、多孔質板状、多孔質棒状、織布状、不織布状、繊維状、フェルト状が好適に使用できる。また、フェルト状電極の表面を溝状に圧着した溝付き導電体は、電気抵抗と電極液の流動抵抗を低減できるので好適である。
[酸素発生部]
酸素発生部は、電解液からO2を発生させる部分であり、第1の気体発生部8および第2の気体発生部7のうちどちらか一方である。また、酸素発生部は、電解液からO2が発生する反応の触媒を含んでもよい。このことにより、電解液からO2が発生する反応の反応速度を大きくすることができる。また、酸素発生部は、電解液からO2が発生する反応の触媒のみからなってもよく、この触媒が担持体に担持されたものであってもよい。また、酸素発生部は、光電変換部2の受光面の面積より大きい触媒表面積を有してもよい。このことにより、電解液からO2が発生する反応をより速い反応速度とすることができる。また、酸素発生部は、触媒が担持された多孔質の導電体であってもよい。このことにより、触媒表面積を大きくすることができる。また、光電変換部2の受光面または裏面と酸素発生部に含まれる触媒との間に電流が流れることによる電位の変化を抑制することができる。また、この水素発生部を第1の気体発生部8としたとき、第2電極を省略しても光電変換部2の裏面と触媒との間に電流が流れることによる電位の変化を小さくすることができる。さらに、酸素発生部は、酸素発生触媒としてMn、Ca、Zn、CoおよびIrのうち少なくとも1つを含んでもよい。
酸素発生部は、電解液からO2を発生させる部分であり、第1の気体発生部8および第2の気体発生部7のうちどちらか一方である。また、酸素発生部は、電解液からO2が発生する反応の触媒を含んでもよい。このことにより、電解液からO2が発生する反応の反応速度を大きくすることができる。また、酸素発生部は、電解液からO2が発生する反応の触媒のみからなってもよく、この触媒が担持体に担持されたものであってもよい。また、酸素発生部は、光電変換部2の受光面の面積より大きい触媒表面積を有してもよい。このことにより、電解液からO2が発生する反応をより速い反応速度とすることができる。また、酸素発生部は、触媒が担持された多孔質の導電体であってもよい。このことにより、触媒表面積を大きくすることができる。また、光電変換部2の受光面または裏面と酸素発生部に含まれる触媒との間に電流が流れることによる電位の変化を抑制することができる。また、この水素発生部を第1の気体発生部8としたとき、第2電極を省略しても光電変換部2の裏面と触媒との間に電流が流れることによる電位の変化を小さくすることができる。さらに、酸素発生部は、酸素発生触媒としてMn、Ca、Zn、CoおよびIrのうち少なくとも1つを含んでもよい。
電解液からO2が発生する反応の触媒(酸素発生触媒)は、2つの水分子から1分子の酸素および4つのプロトンと4つの電子とへの変換を促進する触媒であり、化学的に安定であり、酸素発生過電圧が小さい材料を用いることができる。例えば、光を用い水から酸素発生を行なう反応を触媒する酵素であるPhotosystem IIの活性中心を担うMn,Ca,Zn,Coを含む酸化物あるいは化合物や、Pt,RuO2,IrO2等の白金族金属を含む化合物や、Ti,Zr,Nb,Ta,W,Ce,Fe,Ni等の遷移金属を含む酸化物あるいは化合物、および上記材料の組み合わせ等を用いることが可能である。中でも酸化イリジウム、酸化マンガン、酸化コバルト、リン酸コバルトは、過電圧が小さく酸素発生効率が高いことから好適に用いることができる。
酸素発生触媒を直接光電変換部2の受光面または裏面に担持することは可能であるが、反応面積をより大きくし気体生成速度を向上させるために、触媒を導電体に担持することができる。触媒を担持する導電体としては、金属材料、炭素質材料、導電性を有する無機材料等が挙げられる。これらの説明は、[水素発生部]に記載した水素発生触媒についての説明が矛盾がない限り当てはまる。
水素発生触媒および酸素発生触媒の単独の触媒活性が小さい場合、助触媒を用いることも可能である。例えば、Ni,Cr,Rh,Mo,Co,Seの酸化物あるいは化合物などが挙げられる。
なお、水素発生触媒、酸素発生触媒の担持方法は、導電体または半導体に直接塗布する方法や、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等のPVD法、CVD法等の乾式塗工法、電析法など、材料により適宜その手法を変えて作製することが可能である。光電変換部と触媒との間に適宜導電物質を担持することが可能である。また水素発生および酸素発生のための触媒活性が十分でない場合、金属やカーボン等の多孔質体や繊維状物質、ナノ粒子等に担持することにより反応表面積を大きくし、水素および酸素発生速度を向上させることが可能である。
[天板]
天板14は、第1の気体発生部8および第2の気体発生部7の上に基板1と対向するように設けることができる。また、天板14は、第1の気体発生部8および第2の気体発生部7と天板14との間に空間が設けられるように設けることができる。
天板14は、第1の気体発生部8および第2の気体発生部7の上に基板1と対向するように設けることができる。また、天板14は、第1の気体発生部8および第2の気体発生部7と天板14との間に空間が設けられるように設けることができる。
また、天板14は、電解液などの流路を構成し、生成した水素および酸素を閉じ込めるために構成される材料であり、機密性が高い物質が求められる。透明なものであっても不透明なものであっても特に限定されるものではないが、水素および酸素が発生していることを視認できる点においては透明な材料であることが好ましい。透明な天板としては特に限定されず、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の透明なリジッド材、あるいは透明樹脂板、透明樹脂フィルムなどを挙げることができる。中でも、ガスの透過性がなく、化学的物理的に安定な物質である点でガラス材を用いることが好ましい。
[隔壁]
隔壁13は、第1の気体発生部8と天板14との間の空間および第2の気体発生部7と天板14との間の空間とを仕切るように設けることができる。このことにより、第1の気体発生部8および第2の気体発生部7で発生させた水素および酸素が混合することを防止することができ、水素および酸素を分離して回収することができる。
隔壁13は、第1の気体発生部8と天板14との間の空間および第2の気体発生部7と天板14との間の空間とを仕切るように設けることができる。このことにより、第1の気体発生部8および第2の気体発生部7で発生させた水素および酸素が混合することを防止することができ、水素および酸素を分離して回収することができる。
また、隔壁13は、イオン交換体を含んでもよい。このことにより、第1の気体発生部8と天板14との間の空間の電解液と第2の気体発生部7と天板14との間の空間の電解液でアンバランスとなったプロトン濃度を一定に保つことができる。つまり、プロトンが隔壁13を介してイオンの移動が起こることによりプロトン濃度のアンバランスを解消することができる。
隔壁13は、例えば、図3のように天板14に接触するように設けてもよく、図6のように天板14と隔壁13との間に空間が残るように設けてもよい。図6のように設けることにより、プロトンのアンバランスをより容易に解消できる。また、隔壁13に孔を設けてもよい。このことによりプロトンのアンバランスをより容易に解消できる。なお、天板14と隔壁13との間に空間を設けても、水素製造装置を光電変換部2の受光面を上向きに設置することにより、水素と酸素の混合を防止することができる。また、隔壁13の天板14に近い部分に孔を設けることにより水素と酸素の混合を防止することができる。
図3においては第1の気体発生部8と天板14との間の電解液流路15と第2の気体発生部7と天板14との間の電解液流路15を隔壁13で完全に隔離していたが、上記電解液流路間のイオン移動に障害が無ければ、図6のように隔壁13をガス流路を形成するように設置することが可能である。この場合、図6に示すように、発生する水素および酸素が混合しないように隔壁13を印刷法など、より低コストな手法にて設置することが可能となる。この際、基板1と天板14とを結合する箇所はシール材16となる。構造の安定性を増すために、一部に隔壁13を天板14に接触するように設けることも可能である。
電解液からの水素発生量および酸素発生量の割合は、2:1のモル比であり、第1の気体発生部8と第2の気体発生部7とでは気体発生量が異なる。このため、装置内の含水量を一定量にする目的から、隔壁13は水を透過する材料であることが好ましい。隔壁13は、例えば、多孔質ガラス、多孔質ジルコニア、多孔質アルミナ等の無機膜あるいはイオン交換体を用いることが可能である。
イオン交換体としては、当該分野で公知のイオン交換体をいずれも使用でき、プロトン伝導性膜、カチオン交換膜、アニオン交換膜等を使用できる。
プロトン伝導性膜の材質としては、プロトン伝導性を有しかつ電気的絶縁性を有する材質であれば特に限定されず、高分子膜、無機膜又はコンポジット膜を用いることができる。
高分子膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系電解質膜である、デュポン社製のナフィオン(登録商標)、旭化成社製のアシプレックス(登録商標)、旭硝子社製のフレミオン(登録商標)等の膜や、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン等の炭化水素系電解質膜等が挙げられる。
無機膜としては、例えば、リン酸ガラス、硫酸水素セシウム、ポリタングストリン酸、ポリリン酸アンモニウム等からなる膜が挙げられる。コンポジット膜としては、スルホン化ポリイミド系ポリマー、タングステン酸等の無機物とポリイミド等の有機物とのコンポジット等からなる膜が挙げられ、具体的にはゴア社製のゴアセレクト膜(登録商標)や細孔フィリング電解質膜等が挙げられる。さらに、高温環境下(例えば、100℃以上)で使用する場合には、スルホン化ポリイミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、ホスホン化ポリベンゾイミダゾール、硫酸水素セシウム、ポリリン酸アンモニウム等が挙げられる。
カチオン交換膜としては、カチオンを移動させることができる固体高分子電解質であればよい。具体的には、パーフルオロカーボンスルフォン酸膜や、パーフルオロカーボンカルボン酸膜等のフッ素系イオン交換膜、リン酸を含浸させたポリベンズイミダゾール膜、ポリスチレンスルホン酸膜、スルホン酸化スチレン・ビニルベンゼン共重合体膜等が挙げられる。
支持電解質溶液のアニオン輸率が高い場合には、アニオン交換膜の使用が好ましい。アニオン交換膜としては、アニオンの移動可能な固体高分子電解質を使用できる。具体的には、ポリオルトフェニレンジアミン膜、アンモニウム塩誘導体基を有するフッ素系イオン交換膜、アンモニウム塩誘導体基を有するビニルベンゼンポリマー膜、クロロメチルスチレン・ビニルベンゼン共重合体をアミノ化した膜等が挙げられる。
水素発生、酸素発生がそれぞれ水素発生触媒、酸素発生触媒にて選択的に行なわれ、これに伴うイオンの移動が起こる場合、必ずしもイオン交換のための特殊な膜等の部材を配置する必要はない。ガスを物理的に隔離することのみの目的であれば、後述のシール剤に記載の紫外線硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を用いることが可能である。
[シール材]
シール材16は、基板1と天板14とを接着し、生成部23内を流れる電解液および生成部23内で生成した水素および酸素を密閉するための材料である。シール材16は、例えば、紫外線硬化性接着剤、熱硬化性接着剤等が好適に使用されるが、その種類は限定されるものではない。
シール材16は、基板1と天板14とを接着し、生成部23内を流れる電解液および生成部23内で生成した水素および酸素を密閉するための材料である。シール材16は、例えば、紫外線硬化性接着剤、熱硬化性接着剤等が好適に使用されるが、その種類は限定されるものではない。
紫外線硬化性の接着剤としては、200〜400nmの波長を持つ光を照射することにより重合が起こり光照射後数秒で硬化反応が起こる樹脂である。このような樹脂は、ラジカル重合型とカチオン重合型とに分けられる。ラジカル重合型樹脂としてはアクリルレート、不飽和ポリエステルが挙げられる。カチオン重合型としては、エポキシ、オキセタン、ビニルエーテル等が挙げられる。
また熱硬化性の高分子接着剤としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、熱硬化性ポリイミド等の有機樹脂が挙げられる。熱硬化性の高分子接着剤は、熱圧着時に圧力を掛けた状態で加熱重合し、その後、加圧したまま、室温まで冷却することにより、各部材を良好に接合させるため、締め付け部材等を要しない。
また、有機樹脂に加えて、ガラス基板に対して密着性の高いハイブリッド材料を用いることが可能である。ハイブリッド材料を用いることによって、弾性率や硬度等の力学的特性が向上し、耐熱性や耐薬品性が飛躍的に向上する。ハイブリッド材料は、無機コロイド粒子と有機バインダ樹脂とから構成される。例えば、シリカなどの無機コロイド粒子と、エポキシ樹脂、ポリウレタンアクリレート樹脂やポリエステルアクリレート樹脂などの有機バインダ樹脂とから構成されるものが挙げられる。
ここではシール材16と記しているが、基板1と天板14とを接着させる機能を有するものであれば限定されず、樹脂製あるいは金属製のガスケットを用い外部からネジ等の部材を用いて物理的に圧力を加え機密性を高める方法等を適宜用いることも可能である。
[電解液流路]
電解液流路15は、第1の気体発生部8と天板14との間の空間および第2の気体発生部7と天板14との間の空間とすることができる。また、電解液流路15は、隔壁13により仕切ることができる。
電解液流路15は、第1の気体発生部8と天板14との間の空間および第2の気体発生部7と天板14との間の空間とすることができる。また、電解液流路15は、隔壁13により仕切ることができる。
生成した水素および酸素の気泡が効率よく第1の気体発生部8または第2の気体発生部7から離れるように、電解液流路の内部で電解液を循環させるような例えばポンプやファン、熱による対流発生装置などの簡易装置を備え付けることも可能である。
[給水口、第1ガス排出口および第2ガス排出口]
給水口18は、生成部23に含まれるシール材16の一部に開口を作ることにより設けることができる。給水口18は、水素および酸素へと分解された水を補充するために配置される。その配置箇所および形状は、原料となる水が効率よく水素製造装置へ供給されさえすれば、特に限定されるものではないが、流動性および供給の容易性の観点から、水素製造装置下部に設置することが好ましい。
給水口18は、生成部23に含まれるシール材16の一部に開口を作ることにより設けることができる。給水口18は、水素および酸素へと分解された水を補充するために配置される。その配置箇所および形状は、原料となる水が効率よく水素製造装置へ供給されさえすれば、特に限定されるものではないが、流動性および供給の容易性の観点から、水素製造装置下部に設置することが好ましい。
また、第1ガス排出口20および第2ガス排出口19は、給水口18を下側にして生成部23を設置したとき、生成部23の上側の部分のシール材16に開口を作ることにより設けることができる。また、第1ガス排出口20および第2ガス排出口19は、それぞれ、隔壁13を挟んで第1の気体発生部8側および第2の気体発生部7側に設けることができる。
このように給水口18、第1ガス排出口20および第2ガス排出口19を設けることにより、生成部23を光電変換部2の受光面が上向きの状態で水平面に対し傾斜し、給水口18が下側になり第1ガス排出口20および第2ガス排出口19が上側になるように設置することができる。このように設置することにより、給水口18から電解液を生成部23内に導入し、電解液流路15を電解液で満たすことができる。この状態で、生成部23に光を入射させることにより、水素発生部および酸素発生部で、それぞれ、連続して水素および酸素を発生させることができる。この発生した水素および酸素は、隔壁13により分離することができる。水素および酸素は、それぞれ、生成部23の上部へ上昇し、第1ガス排出口20および第2ガス排出口19から回収することができる。
[電解液]
電解液は、電解質を含む水溶液であり、例えば、0.1MのH2SO4を含む電解液、0.1Mリン酸カリウム緩衝液などである。
電解液は、電解質を含む水溶液であり、例えば、0.1MのH2SO4を含む電解液、0.1Mリン酸カリウム緩衝液などである。
<生成部の構成の第2の例>
生成部23の構成は、第1の例に示された構成に限定されるものではない。
生成部23の構成は、第1の例に示された構成に限定されるものではない。
そこで、生成部23の他の構成例について第2の例として説明する。
図14〜図18は、それぞれ、生成装置30に含まれる生成部23の構成の第2の例としての様々な構成を示す図であって、図2に示された点線A−Aと同様の位置の概略断面図である。生成部23の第2の例に示される構成は、第1の例に示された構成と電極構成が異なる。
図14〜図18は、それぞれ、生成装置30に含まれる生成部23の構成の第2の例としての様々な構成を示す図であって、図2に示された点線A−Aと同様の位置の概略断面図である。生成部23の第2の例に示される構成は、第1の例に示された構成と電極構成が異なる。
[光電変換部]
裏面の第1および第2区域間に起電力が生じる光電変換部2を形成する方法としては、例えば、半導体ウェハを材料として用い、p型半導体部4’の一部およびn型半導体部5’の一部が半導体ウェハの裏面にそれぞれ形成されるようにp型半導体部4’およびn型半導体部5’を形成することが挙げられる。このように形成した光電変換部2の受光面から光を入射させると、光電変換部の裏面のp型半導体部4’が形成された区域とn型半導体部5’が形成された区域との間に電位差を生じさせることができる。なお、半導体基板には半導体ウェハを加工したものが含まれる。
裏面の第1および第2区域間に起電力が生じる光電変換部2を形成する方法としては、例えば、半導体ウェハを材料として用い、p型半導体部4’の一部およびn型半導体部5’の一部が半導体ウェハの裏面にそれぞれ形成されるようにp型半導体部4’およびn型半導体部5’を形成することが挙げられる。このように形成した光電変換部2の受光面から光を入射させると、光電変換部の裏面のp型半導体部4’が形成された区域とn型半導体部5’が形成された区域との間に電位差を生じさせることができる。なお、半導体基板には半導体ウェハを加工したものが含まれる。
半導体ウェハにp型半導体部4’およびn型半導体部5’をこれらが接するように形成すると、光電変換部2にpn接合を形成することができる。また、i型半導体からなる半導体ウェハにp型半導体部4’およびn型半導体部5’をこれらが接しないように形成すると、光電変換部2にpin接合を形成することができる。また、p型半導体の半導体ウェハを用いるとnpp+接合を有する光電変換部2を形成することができ、n型半導体の半導体ウェハを用いるとpnn+接合を有する光電変換部2を形成することができる。
p型半導体部4’およびn型半導体部5’は、図14のように半導体ウェハにそれぞれ一箇所ずつ形成してもよい。また、図16のように半導体ウェハにp型半導体部4’およびn型半導体部5’をそれぞれ複数形成してもよく、図17のように半導体ウェハにp型半導体部4’およびn型半導体部5’のうちどちらか一方を一箇所形成し、他方をその両側に二箇所形成してもよい。
光電変換部2の材料となる半導体ウェハは、pn接合、pin接合、npp+接合またはpnn+接合を形成し光電変換可能なものであれば特に限定されないが、例えば、シリコンウェハである。また、半導体ウェハは、単結晶のものを用いてもよく、多結晶のものを用いてもよい。
p型半導体部4’およびn型半導体部5’を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、半導体ウェハにp型不純物およびn型不純物をそれぞれ熱拡散する方法または、半導体ウェハにp型不純物およびn型不純物をそれぞれイオン注入する方法が挙げられる。これらの方法によりp型不純物およびn型不純物を半導体ウェハの一方の面から熱拡散またはイオン注入することによりp型半導体部4’およびn型半導体部5’を形成することができ、光電変換部2の裏面にp型半導体部4’の一部およびn型半導体部5’の一部をそれぞれ形成することができる。
光電変換部2は、好ましくは、直列接続された複数のpin接合、複数のpn接合、複数のnpp+接合または複数のpnn+接合を有する。このことにより、光電変換部2が受光することにより生じる起電力を大きくすることができ、水分解に必要な起電力を第1の気体発生部8および第2の気体発生部7に出力することができる。直列接続された複数のpin接合などを有する光電変換部2を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、図14および図18のように、p型半導体部4’およびn型半導体部5’を形成した半導体ウェハを並列に設け、隣接する半導体ウェハを第3導電部29で接続することにより、形成することができる。また、図16のように半導体ウェハをトレンチアイソレーション26で区切られた複数の部分を形成し、各部分にp型半導体部4’およびn型半導体部5’を形成した後、各部分を第3導電部29により接続することにより形成することができる。
なお、ここでは、半導体ウェハを用いて形成した光電変換部2について説明したが、光電変換部2は、裏面の2つの区域間に電位差が生じるものであれば、半導体薄膜、有機半導体などを用いたものであってもよい。
[絶縁部]
絶縁部11は、光電変換部2の裏面と第1の気体発生部8との間の一部および光電変換部2の裏面と第2の気体発生部7との間の一部に設けることができる。このことにより、第1の気体発生部8と電気的に接続する光電変換部2の裏面の第1区域と、第2の気体発生部7と電気的に接続する光電変換部2の裏面の第2区域との間隔を広くすることができ、光電変換部2の光電変換効率を高くすることができる。また、光電変換部2が直列接続されたpin接合などを有する場合、絶縁部11を設けることによりリーク電流の発生を防止することができる。
絶縁部11は、光電変換部2の裏面と第1の気体発生部8との間の一部および光電変換部2の裏面と第2の気体発生部7との間の一部に設けることができる。このことにより、第1の気体発生部8と電気的に接続する光電変換部2の裏面の第1区域と、第2の気体発生部7と電気的に接続する光電変換部2の裏面の第2区域との間隔を広くすることができ、光電変換部2の光電変換効率を高くすることができる。また、光電変換部2が直列接続されたpin接合などを有する場合、絶縁部11を設けることによりリーク電流の発生を防止することができる。
絶縁部11は、第1の気体発生部8と電気的に接続する光電変換部2の裏面の第1区域の上および第2の気体発生部7と電気的に接続する光電変換部2の裏面の第2区域の上には、形成されない。このことにより、第1区域の上に第1の気体発生部8を、第2区域の上に第2の気体発生部7を形成することができ、第1または第2区域を介してp型半導体部4’またはn型半導体部5’と第1の気体発生部8または第2の気体発生部7とを電気的に接続することができる。
例えば、図14、図16、および図18のようにp型半導体部4’の一部である光電変換部2の裏面の第2区域上およびn型半導体部5’の一部である光電変換部2の裏面の第1区域上に絶縁部11の開口をそれぞれ設け、第1区域上の開口中と絶縁部11の上とに第1の気体発生部8を設け、第2区域上の開口中と絶縁部11の上とに第2の気体発生部7を設けることができる。
また、第1の気体発生部8の光電変換部側に第1の気体発生部8と接触するように第1導電部27を設けることができ、第2の気体発生部7の光電変換部側に第2の気体発生部7と接触するように第2導電部28を設けることもできる。例えば、図15および図17のように第1区域上の絶縁部11の開口の内壁と第1の気体発生部8との間および絶縁部11と第1の気体発生部8との間に第1導電部27を設け、第2区域上の絶縁部11の開口の内壁と第2の気体発生部7との間および絶縁部11と第2の気体発生部7との間に第2導電部28を設けることができる。
第1導電部27および第2導電部28に電気伝導率の高い材料を用いることができ、光電変換部2が受光することにより生じた起電力を第1の気体発生部8および第2の気体発生部7に出力する場合に内部抵抗を低減することができる。
[気体発生部]
第1の気体発生部8および第2の気体発生部7は、並列に設けることができ、また、第1の気体発生部8と第2の気体発生部7との間に隔壁13を設けることもできる。第1の気体発生部8および第2の気体発生部7は図14〜図16のようにそれぞれ1つずつ設けてもよく、それぞれ複数設けもよく、交互に設けてもよい。また、図17および図18のように第1の気体発生部8および第2の気体発生部7のうち一方を1つ設け、その両側に他方を設けてもよい。
第1の気体発生部8および第2の気体発生部7は、並列に設けることができ、また、第1の気体発生部8と第2の気体発生部7との間に隔壁13を設けることもできる。第1の気体発生部8および第2の気体発生部7は図14〜図16のようにそれぞれ1つずつ設けてもよく、それぞれ複数設けもよく、交互に設けてもよい。また、図17および図18のように第1の気体発生部8および第2の気体発生部7のうち一方を1つ設け、その両側に他方を設けてもよい。
さらに第1の気体発生部8および第2の気体発生部7は、電解液流路15の内壁に設けてもよい。このことにより、第1の気体発生部8および第2の気体発生部7と電解液とを接触させることができ、電解液から水素および酸素を発生させることができる。
<制御装置の制御構成>
制御装置40の制御部41における制御構成について説明する。
制御装置40の制御部41における制御構成について説明する。
図7は、制御装置40の制御部41の制御構成を示すブロック図である。図7の各部は、制御部41に含まれる図示しないCPUが図示しないメモリに記憶されるプログラムを読み出して実行することによって主にCPU上に形成される機能であってもよいし、電気回路などのハードウェアで形成される機能であってもよい。
図7を参照して、制御部41は、センサ35A,35B,71A,71B、圧力検知部43,44、および外部装置からの信号の入力を受付けるための入力部411と、給排水部31での生成部23に対する給排水量や給排水速度を制御するための水量制御部412と、流量調整部421での貯蔵装置70への水素の供給量、および圧力調整部422での貯蔵装置70へ供給する水素の圧力を制御するための流量・圧縮制御部413と、生成部23から供給される電力の電圧を制御するための電圧制御部414と、温度調整部36での生成部23の温度の調整を制御するための温度制御部415と、温度調整部45での制御装置40内や制御装置40内の各装置の温度の調整を制御するための温度制御部416と、スイッチ63A,63B,63Cの切り替えを制御するための切替制御部417と、貯蔵装置70からの燃料電池等に対する水素の供給を制御するための供給制御部418と、後述する動作モードを判定するための判定部419とを含む。
判定部419は、入力部411で入力を受付けた各センサ信号、外部装置からのエネルギー供給を要求する信号、および図示しない生成部23の受光面での受光を検知する機構からの信号、などに基づいて、後述する動作モードを判定する。そして、判定された動作モードでの制御を実行させるために、必要な制御ブロックに対して制御信号を出力する。
<電力供給の制御>
前述のように、生成部23の光電変換部2は受光面に太陽光の照射を受けることによって発電し、電力を生成する。その電力が第1電極4に接続された第2の気体発生部7または第2電極5に接続された第1の気体発生部8のうちの水素発生部7(または8)に導電されることで、水分解に用いられる。よって、生成された電力が水素に変換される。
前述のように、生成部23の光電変換部2は受光面に太陽光の照射を受けることによって発電し、電力を生成する。その電力が第1電極4に接続された第2の気体発生部7または第2電極5に接続された第1の気体発生部8のうちの水素発生部7(または8)に導電されることで、水分解に用いられる。よって、生成された電力が水素に変換される。
一方、生成された電力は、第1電極4および第2電極5に接続されたケーブル62によって生成装置30の外部に出力される。
制御装置40の制御部41は、後述する動作モードに対応させて、光電変換部2で生成された電力のうちの水素生成に用いられる電力の供給と、生成装置30の外部に出力される電力とを制御する。
具体的には、生成部23内の水と水素発生部7(または8)との接する面積が少なくなるほど生成部23における水分解が進まなくなり、逆に、接する面積が多くなるほど水分解が進む。すなわち、生成部23内の水と水素発生部7(または8)との接する面積によって光電変換部2で生成された電力のうちの水分解に用いられる電力量が影響される。光電変換部2で生成された電力のうちの水分解に用いられる電力量が多くなるほど生成装置30の外部に出力可能な電力量が少なくなり、水分解に用いられる電力量が少なくなるほど生成装置30の外部に出力可能な電力量が多くなる。
よって、電力供給のための第1の制御として、制御部41は、生成部23に供給される水量を制御することによって水素生成の程度を制御することが可能となる。すなわち、生成部23に供給する水量を多くすることによって生成される水素量を多くすることができ、出力可能な電力量を抑えることができる。逆に、生成部23に供給する水量を少なくすることによって生成される水素量を少なくすることができ、出力可能な電力量を増やすことができる。
電力供給のための第2の制御として、制御部41は、生成部23から供給される水素量を制御することによって水素生成の程度を制御することが可能となる。すなわち、生成部23から供給される水素量を多くしてパイプ61内またはパイプ61に接続し設けられた図示されない1次バッファ槽内の水素圧力を増加させることによって水素発生部7(または8)付近に存在する水素量が減り、生成される水素量を多くすることができ、出力可能な電力量を抑えることができる。逆に、生成部23から供給される水素量を少なくしてパイプ61内またはパイプ61に接続し設けられた図示されない1次バッファ槽内の水素圧力を減少させることによって水素発生部7(または8)付近に存在する水素量が増し、生成される水素量を少なくすることができ、出力可能な電力量を増やすことができる。
電力供給のための第3の制御として、制御部41は、切替部34を制御することによって生成装置30から出力される電力の量を調整することが可能となる。生成装置30から出力される電力量を多くすることで、水分解に用いることのできる電力量が減るため生成される水素量が少なくなる。生成装置30から出力される電力量を少なくすることで、水分解に用いることのできる電力量が増えるため生成される水素量が多くなる。
制御部41は、後述する動作モードに対応させて上記第1〜第3の制御の少なくとも1つを実行することで、光電変換部2で生成された電力のうちの、水素生成に用いられる電力の供給と、生成装置30の外部に出力される電力とを制御する。
<制御モード>
制御装置40の制御部41は、図示しないCPUがメモリからプログラムを読み出して実行することによって後述する制御動作を行なって各部を制御する。制御部41の実行する、太陽光発電システム100全体の制御には、「起動モード」および「停止モード」が含まれる。生成装置30でのエネルギーの生成および供給の制御には、「発電モード」、「水素生成モード」、および「発電および水素生成モード」が含まれる。メモリに記憶されている基本制御のためのメインのプログラムは、それぞれのモードの制御のためのプログラムに分岐する。
制御装置40の制御部41は、図示しないCPUがメモリからプログラムを読み出して実行することによって後述する制御動作を行なって各部を制御する。制御部41の実行する、太陽光発電システム100全体の制御には、「起動モード」および「停止モード」が含まれる。生成装置30でのエネルギーの生成および供給の制御には、「発電モード」、「水素生成モード」、および「発電および水素生成モード」が含まれる。メモリに記憶されている基本制御のためのメインのプログラムは、それぞれのモードの制御のためのプログラムに分岐する。
[起動モード]
「起動モード」は、生成装置30および制御装置40に動作の開始が可能な電力を供給し、流量調整部421に含まれるバルブを開放させる制御を指す。ここでの電力の供給は、蓄電池60に必要な電力量が蓄電されている場合には蓄電池60からなされ、そうでない場合には、いわゆる系統電力などの外部の電源からなされる。この制御によって、制御装置40は図示しない操作部からの動作開始を指示する操作信号や他の装置からの信号の入力を待機する状態となる。この制御によって実現される状態を「起動状態」または「スタンバイ状態」とも称する。
「起動モード」は、生成装置30および制御装置40に動作の開始が可能な電力を供給し、流量調整部421に含まれるバルブを開放させる制御を指す。ここでの電力の供給は、蓄電池60に必要な電力量が蓄電されている場合には蓄電池60からなされ、そうでない場合には、いわゆる系統電力などの外部の電源からなされる。この制御によって、制御装置40は図示しない操作部からの動作開始を指示する操作信号や他の装置からの信号の入力を待機する状態となる。この制御によって実現される状態を「起動状態」または「スタンバイ状態」とも称する。
[発電モード]
「発電モード」は、生成部23の光電変換部2に太陽光が照射されることで発電された電力をケーブル62で生成装置30から出力させるための制御を指す。この制御によって実現される状態を「発電状態」とも称する。
「発電モード」は、生成部23の光電変換部2に太陽光が照射されることで発電された電力をケーブル62で生成装置30から出力させるための制御を指す。この制御によって実現される状態を「発電状態」とも称する。
なお、制御装置40が、貯蔵装置70に接続された燃料電池に電気的に接続されている場合には、「発電モード」には、さらに、当該燃料電池に対して発電させ、その電力を当該燃料電池から出力させるための制御が含まれる。
また、「発電モード」には、発電によって生成された電力を供給するための制御が含まれてもよい。供給先は、要求された外部装置であってもよいし、蓄電池60であってもよいし、当該制御装置40自身であってもよい。供給先が蓄電池60である場合には、その制御は充電モードになる。制御装置40の制御部41は要求された装置に対して電力を供給するために、スイッチ63A,63B,63Cの開閉や切替部34での出力される電力量を制御する。また、いずれの装置にも生成された電力を供給せず、放電させる制御も電力を供給するための制御に含まれる。
[水素生成モード]
「水素生成モード」は、生成部23の水素発生部7(または8)に水分解に必要な電力を供給して水素の生成を行なわせる制御を指す。この制御によって実現される状態を「水素生成状態」とも称する。また、「水素生成モード」には、生成された水素を貯蔵装置70に供給するための制御が含まれてもよい。
「水素生成モード」は、生成部23の水素発生部7(または8)に水分解に必要な電力を供給して水素の生成を行なわせる制御を指す。この制御によって実現される状態を「水素生成状態」とも称する。また、「水素生成モード」には、生成された水素を貯蔵装置70に供給するための制御が含まれてもよい。
生成部23の水素発生部7(または8)に水分解に必要な電力が生成部23の光電変換部2から供給される場合、「水素生成モード」には必要な電力を生成するための「発電モード」が含まれることになる。このときの制御モードを「発電および水素生成モード」と称する。すなわち、「発電および水素生成モード」は、生成部23の光電変換部2に太陽光が照射されることで発電された電力をケーブル62で生成装置30から出力させ、かつ、生成部23の水素発生部7(または8)に水分解に必要な電力を供給して水素の生成を行なわせる制御を指す。この制御によって実現される状態を「発電および水素生成状態」とも称する。そして、「発電および水素生成モード」に含まれる「発電モード」には、上述した制御が含まれてもよい。
[停止モード]
「停止モード」は、生成装置30および制御装置40への電力の供給を終了し(または動作可能な電力よりも低い電力を供給し)、流量調整部421に含まれるバルブを閉塞させる制御を指す。この制御によって実現される状態を「停止状態」とも称する。
「停止モード」は、生成装置30および制御装置40への電力の供給を終了し(または動作可能な電力よりも低い電力を供給し)、流量調整部421に含まれるバルブを閉塞させる制御を指す。この制御によって実現される状態を「停止状態」とも称する。
<制御装置の制御フロー>
[全体フロー]
図8は、制御装置40における制御の基本的な流れを示すフローチャートである。図8のフローチャートに示される制御は、制御部41の図示しないCPUがメモリからプログラムを読み出して図7の各部を制御することによって実現される。
[全体フロー]
図8は、制御装置40における制御の基本的な流れを示すフローチャートである。図8のフローチャートに示される制御は、制御部41の図示しないCPUがメモリからプログラムを読み出して図7の各部を制御することによって実現される。
図8を参照して、始めに、ステップS1でCPUは、貯蔵装置70を始めとする他の装置との電気的な接続を確認する。この確認は特定の方法には限定されず、たとえば、物理的にコネクタが接続されていることを確認することでなされてもよいし、接続確認のための通信を行なうことでなされてもよい。接続が確認されないと(ステップS1でNO)、以降の制御を実行せずに接続が確認されるまで待機する。制御装置40が図示しないブザーや表示装置などの報知機能を有する場合、CPUはこれら報知機能を用いて接続がなされていないことを報知してもよい。
接続が確認されると(ステップS1でYES)、ステップS3でCPUは起動制御を実行する。起動制御は起動モードでの制御であって、メインのプログラムから起動モード用のプログラムに分岐することで実行される。
起動モードでの制御で、CPUは、生成装置30に対して光電変換部2において太陽光発電の開始が可能な電力を供給すると共に、制御装置40に対して以降の制御の開始が可能な電力を供給する。また、流量調整部421に含まれるバルブを開放して貯蔵装置70への水素の供給を可能な状態にする。これにより、制御装置40は待機状態となり、図示しない操作部からの動作開始を指示する操作信号や他の装置からの信号の入力を待機する。
待機状態において上述の入力を受付けると(ステップS5でYES)、ステップS7でCPUは、その入力に応じて、エネルギーを生成し、供給するための制御モードを決定した上で、決定された制御モードでの制御を実行する。それぞれの制御モードでの制御は、メインのプログラムから該当する制御モード用のプログラムに分岐することで実行される。
そして、その制御が終了すると、ステップS9でCPUは、当該太陽光発電システム100での動作を終了するための制御を実行する。
ステップS9の制御は停止モードでの制御であって、メインのプログラムから起動モード用のプログラムに分岐することで実行される。
停止モードでの制御で、CPUは、生成装置30および制御装置40に対する電力の供給を終了する。または、生成装置30および制御装置40に対して供給する電力を動作可能な電力よりも低い電力に切り替える。また、流量調整部421に含まれるバルブを閉塞させて貯蔵装置70への水素の供給を遮断する。これにより、制御装置40は停止状態となる。そして、CPUは、一連の制御を終了する。
なお、この全体制御に並行して、CPUは、各部の制御を行なう。各部の制御としては、給水制御、温度制御、流量・圧縮制御、および接続制御が挙げられる。
[給水制御]
給水制御とは、生成装置30の生成部23への給水の制御を指す。
給水制御とは、生成装置30の生成部23への給水の制御を指す。
制御装置40の制御部41は電気的に接続されたセンサ35Aからのセンサ信号に基づいて生成部23内の水量を検出し、その水量が予め規定されている水量を下回っていないか否かを判断する。予め規定される水量とは、少なくとも生成部23において水分解が行なわれて水素の生成に必要な水量を指す。
この判断は、一定間隔で行なわれてもよいし、上記ステップS7のエネルギーを生成し、供給するための制御モードを開始する際に行なわれてもよい。その結果、生成部23内の水量が上記規定されている水量を下回っていた場合、予め規定された水量だけ生成装置30の生成部23に給水させるための制御信号を、電気的に接続された給排水部31に対して出力する。
なお、制御部41は、生成部23内の水量、光電変換部2における受光量、生成部23における水素の生成速度、パイプ61内またはパイプ61に接続し設けられた図示されない1次バッファ槽内の水素圧力、および光電変換部2における発電量の少なくとも1つを検出し、これらに基づいて給水を制御するようにしてもよい。すなわち、光電変換部2における発電量が多い場合、または、光電変換部2における受光量が多い場合には、発電量が多くなるため、生成部23に多く給水するよう制御してもよい。生成部23における水素の生成速度が速い場合、または、パイプ61内またはパイプ61に接続し設けられた図示されない1次バッファ槽内の水素圧力が高い場合には、水素が多く生成されているため、生成部23に少なく給水するよう制御してもよい。
この制御によって、生成装置30の生成部23には、少なくとも水分解が行なわれて水素が生成されるために必要な量の水、または適切な量の水が存在することになり、必要なときに安定して水素の生成が可能となる。
[流量・圧縮制御]
流量・圧縮制御とは、貯蔵装置70に供給される水素の流量や圧力の制御を指す。この制御は、貯蔵装置70への水素供給の要求があったときに行なわれる。
流量・圧縮制御とは、貯蔵装置70に供給される水素の流量や圧力の制御を指す。この制御は、貯蔵装置70への水素供給の要求があったときに行なわれる。
制御装置40の制御部41は電気的に接続された圧力検知部43および圧力検知部44からのセンサ信号に基づいて生成装置30から供給された水素の圧力と、貯蔵装置70に供給される水素の圧力とを検出する。そして、貯蔵装置70に供給される水素の圧力の方が生成装置30から供給された水素の圧力よりも高くなるようにする。すなわち、これらの圧力を比較して、生成装置30から供給された水素の圧力の方が貯蔵装置70に供給される水素の圧力よりも高い場合には、パイプ61内の水素を圧縮させるための制御信号を、電気的に接続された圧力調整部422に対して出力する。その上で、予め規定される所定量の水素をパイプ61で貯蔵装置70に水素を供給させるための制御信号を、電気的に接続された流量調整部421に対して出力する。
なお、圧力検知部44からのセンサ信号に替えてセンサ71Bからのセンサ信号を用いて、貯蔵装置70内の水素の圧力と生成装置30から供給された水素の圧力とを比較して圧力制御を行なうようにしてもよい。
この制御によって、生成装置30からの水素は圧縮されて貯蔵装置70に供給されることになる。
[温度制御]
温度制御とは、一例として、生成装置30の生成部23内の水および制御装置40の温度の制御を指す。他の例として、貯蔵装置70内の水素の温度の制御が含まれてもよい。また、これらのうちの少なくとも1装置のみの温度制御であってもよい。
温度制御とは、一例として、生成装置30の生成部23内の水および制御装置40の温度の制御を指す。他の例として、貯蔵装置70内の水素の温度の制御が含まれてもよい。また、これらのうちの少なくとも1装置のみの温度制御であってもよい。
制御装置40の制御部41は電気的に接続されたセンサ35Bおよびセンサ46からのセンサ信号に基づいて生成部23内の水温および制御装置40本体(たとえば圧力調整部422等)の温度を検出し、それらの温度が所定範囲内とするための制御信号を、電気的に接続された温度調整部36,45に対して出力する。
図9は、制御部41での温度制御の具体例を示すフローチャートである。
図9を参照して、具体的な制御方法として、たとえば、ステップS11でCPUは生成部23内の水温および制御装置40本体を検出する。CPUは、予め規定されている限界温度と検出された制御装置40本体の温度とを比較する。また、生成部23内の規定水温と生成部23内の水温とを比較する。
図9を参照して、具体的な制御方法として、たとえば、ステップS11でCPUは生成部23内の水温および制御装置40本体を検出する。CPUは、予め規定されている限界温度と検出された制御装置40本体の温度とを比較する。また、生成部23内の規定水温と生成部23内の水温とを比較する。
制御装置40本体の温度が限界温度以上であり、かつ生成部23内の水温が規定水温を下回っていない場合には(ステップS13でYES、かつステップS15でNO)、ステップS17でCPUは、制御装置40本体を冷却させるための制御信号を、電気的に接続されている温度調整部45に対して出力する。
制御装置40本体の温度が限界温度以上であり、かつ生成部23内の水温が規定水温を下回っている場合には(ステップS13でYES、かつステップS15でYES)、ステップS19でCPUは、生成部23内の水温を上昇させ、かつ制御装置40本体を冷却させるため、これらの熱交換を行なう。または、電気的に接続されている温度調整部36,45に対して制御信号を出力してもよい。
制御装置40本体の温度が限界温度を上回っておらず、かつ生成部23内の水温が規定水温を下回っている場合には(ステップS13でNO、かつステップS21でYES)、ステップS23でCPUは制御装置40本体を冷却するための制御信号を、電気的に接続されている温度調整部45に対して出力する。
この制御によって、たとえば冬等の外気温の低い環境において生成部23内の水温が低い場合に電解効率が低くなることに対して、給排水部31を加熱することにより温水を供給して生成部23の温度を高くすることにより、水素生成効率を向上させることが可能となる。
また、制御装置40本体の温度を適正に保つことが可能となり、異常な高温による誤動作などを防止することができる。すなわち、夏等の外気温の高い環境において接続部42の温度が高くなるため装置の誤動作が増加することに対し、接続部42を温度調整部45に含まれるファンで冷却することにより、接続部42の動作の安定性を向上させることが可能となる。
[接続制御]
接続制御とは、制御装置40の貯蔵装置70との接続の制御であって、具体的には、流量調整部421に含まれるバルブの開閉の制御を指す。
接続制御とは、制御装置40の貯蔵装置70との接続の制御であって、具体的には、流量調整部421に含まれるバルブの開閉の制御を指す。
制御部41は、貯蔵装置70と制御装置40との間のパイプ61での接続を確認するための機構を有する。該機構の一例として、貯蔵装置70に対してパイプ61を継ぎ手などのジョイントで接続/非接続とすることが可能であって、制御部41は、そのジョイントに設けられたコネクタの接続/非接続を電気的に検出することで貯蔵装置70と制御装置40との間のパイプ61での接続を確認することができる。または、制御部41は、パイプ61のジョイント部分の圧力を検知するための図示しない検知器と電気的に接続され、そのセンサ信号に基づいて貯蔵装置70と制御装置40との間のパイプ61での接続を圧力に基づいて確認してもよい。
制御部41は、貯蔵装置70と制御装置40との間のパイプ61での接続が確認されると、流量調整部421に含まれるバルブを開放させるための制御信号を、電気的に接続された流量調整部421に対して出力する。
これにより、生成装置30からのパイプ61が貯蔵装置70に接続されることになる。
なお、制御部41は、好ましくは、接続時に、生成装置30の気体発生部7,8中の気体を排出するためのガスパージ処理を行なう。一例として、制御装置40に図示しない窒素ガス等のガスパージ処理に用いられる気体が充填された容器が接続され、該容器から気体を気体発生部7,8内に注入するための機構に制御部41が電気的に接続されている場合、該制御部41は、接続が完了した時点で該機構に対して制御信号を出力し、上記気体を気体発生部7,8に所定量注入させる。これにより、生成された水素の純度を向上させることができる。
なお、制御部41は、好ましくは、接続時に、生成装置30の気体発生部7,8中の気体を排出するためのガスパージ処理を行なう。一例として、制御装置40に図示しない窒素ガス等のガスパージ処理に用いられる気体が充填された容器が接続され、該容器から気体を気体発生部7,8内に注入するための機構に制御部41が電気的に接続されている場合、該制御部41は、接続が完了した時点で該機構に対して制御信号を出力し、上記気体を気体発生部7,8に所定量注入させる。これにより、生成された水素の純度を向上させることができる。
また、制御部41は、電気的に接続されたセンサ71Bからのセンサ信号に基づいて貯蔵装置70内の圧力を検出し、その圧力変化がなくなった(または、変化幅がある程度小さな所定範囲内となった)ことを検出することで貯蔵装置70への水素の供給が停止していることを検出する。貯蔵装置70への水素の供給が停止したことが検出されると、流量調整部421に含まれるバルブを閉塞させるための制御信号を、電気的に接続された流量調整部421に対して出力する。
これにより、生成装置30からのパイプ61の貯蔵装置70への接続が切断されることになる。
[状態制御フロー1]
図10は、上記ステップS7での、エネルギーを生成し、供給するための制御モードを決定してその制御を開始するための、第1の制御の流れを示すフローチャートである。この第1の制御は、外部装置からの信号に基づいた動作のための制御ではなく、当該太陽光発電システム100内での信号に基づいた動作のための制御を指す。
図10は、上記ステップS7での、エネルギーを生成し、供給するための制御モードを決定してその制御を開始するための、第1の制御の流れを示すフローチャートである。この第1の制御は、外部装置からの信号に基づいた動作のための制御ではなく、当該太陽光発電システム100内での信号に基づいた動作のための制御を指す。
図10を参照して、始めに、CPUは、生成装置30の光電変換部2での発電量を監視するなどして、光電変換部2が太陽光を受光しているか否かを判断する。その結果、光電変換部2が太陽光を受光していないと判断された場合(ステップS101でNO)、ステップS103でCPUは、蓄電池60の蓄電量を確認して、水素発生部7(または8)で電気分解を実行するために必要な蓄電量である場合には(ステップS103でYES)、以降の動作に移行する。そうでない場合には(ステップS103でNO)、CPUは、一連のエネルギーを生成し、供給するための制御を終了する。これにより、制御を上記ステップS9の停止モードの制御に移行し、制御装置40が停止状態となる。
光電変換部2が太陽光を受光していると判断された場合(ステップS101でYES)、さらに、CPUは、その受光量が水素発生部7(または8)で電気分解を実行するために必要な電力を発電し得る、一定量以上であるか否かを判断する。
その結果、受光量が上記一定量以上であると判断された場合に(ステップS107でYES)、CPUはさらに、水素供給の要求の有無を判断する。または、蓄電池60の蓄電量が水素発生部7(または8)で電気分解を実行するために必要な蓄電量である場合にも(ステップS103でNO)、同様に、CPUは水素供給の要求の有無を判断する。
詳しくは、CPUは、貯蔵装置70の水素の貯蔵量を確認して、予め規定されている必要量が貯蔵されているか否かを判断することによって、貯蔵装置70への水素供給の要求の有無を判断する。または、貯蔵装置70に図示しない貯蔵量を維持するための装置が含まれている場合、CPUは、該装置から水素の供給を要求する信号が受信されたか否かで水素供給の要求の有無を判断してもよい。
なお、水素供給の要求の有無を判断するに先立って、CPUは、貯蔵装置70に水素の供給が可能であるか否かを判断する。その判断としては、貯蔵装置70との接続状態が適切であるか、生成装置30内の水量が適切であるか、およびパイプ61内の水素圧力が適切であるか、の少なくとも一つの判断が該当する。貯蔵装置70との接続状態が適切であるか否かの判断は上述の接続制御における判断と同様であり、生成装置30内の水量が適切であるか否かの判断は上述の給水制御における判断と同様でありパイプ61内の水素圧力が適切であるか否かの判断は上述の流量・圧縮制御における判断と同様である。貯蔵装置70との接続状態、生成装置30内の水量、およびパイプ61内の水素圧力が適切である(またはこのうちの判断対象とする少なくとも1つのが満たされている)場合に、CPUは、貯蔵装置70への水素供給の要求の有無を判断する。
なお、上記条件の少なくとも1つが満たされていない場合には、CPUは貯蔵装置70への水素供給の要求の有無を判断することなく、次の処理へ進む。その結果、上記条件の少なくとも1つが満たされていない場合には水素供給が行なわれない。
上記条件がすべて満たされ、かつ、貯蔵装置70に対する水素供給の要求があると判断された場合(ステップS109でYES)、CPUは、水素を生成させるための制御が必要と判断する。なおこのとき、CPUは、さらに電力供給の要求の有無を判断する。詳しくは、CPUは、蓄電池60の蓄電量を確認して、蓄電量が予め規定されている必要量であるか否か、また、制御装置40での以降の制御に必要な蓄電量であるか否か、を判断することによって、電力供給の要求の有無を判断する。その結果、蓄電池60にいずれの条件も満たす蓄電量が蓄電されている場合には、CPUは電力供給の要求はないものと判断して(ステップS111でNO)、ステップS113で制御モードとして「水素生成モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行する。これにより、生成装置30において水素が生成され、要求元である貯蔵装置70に対して供給されて貯蔵される。
ステップS113の水素生成モードでの制御が終了して該制御を抜けると、CPUは、制御を一連のエネルギーを生成し、供給するための制御の開始に戻し、再び、光電変換部2が太陽光を受光しているか否かを判断する。そして、一連の制御を実行する。
一方、蓄電池60に上記いずれかの条件を満たす蓄電量が蓄電されていない場合には、CPUは電力供給の要求もあると判断し(ステップS111でYES)、ステップS115で制御モードとして「発電および水素生成モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行する。これにより、生成装置30において水素が生成されて、要求元である貯蔵装置70に対して供給されて貯蔵されると共に、電力も生成されて、蓄電池60に対して供給されて蓄電される。
ステップS115の発電および水素生成モードでの制御が終了して該制御を抜けると、CPUは、制御を一連のエネルギーを生成し、供給するための制御の開始に戻し、再び、光電変換部2が太陽光を受光しているか否かを判断する。そして、一連の制御を実行する。
光電変換部2での受光量が水素発生部7(または8)で電気分解を実行するために必要な電力を発電し得る受光量に満たないと判断された場合であって、蓄電池60からの電力供給の要求がある場合には(ステップS107でNO、かつステップS117でYES)、ステップS119でCPUは制御モードとして「発電モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行する。これにより、生成装置30において電力が生成されて、蓄電池60に対して供給されて蓄電される。
ステップS119の発電モードでの制御が終了して該制御を抜けると、CPUは、制御を一連のエネルギーを生成し、供給するための制御の開始に戻し、再び、光電変換部2が太陽光を受光しているか否かを判断する。そして、一連の制御を実行する。
なお、光電変換部2での受光量が水素発生部7(または8)で電気分解を実行するために必要な電力を発電し得る受光量に満たないと判断された場合であって、蓄電池60からの電力供給の要求もない場合には(ステップS107でNO、かつステップS117でNO)、CPUは一連のエネルギーを生成し、供給するための制御を抜けて、制御を上記ステップS3の起動モードの制御に移行する。これにより、制御装置40が待機状態となる。
上述のように、制御部41は、制御開始時に光電変換部2や蓄電池60において電気分解に必要な発電量が確保できていない場合には、水素供給の要求の有無を判断することなく電力供給の要求の有無を判断し、それに応じた制御モードとする。一方、制御開始時に光電変換部2や蓄電池60において電気分解に必要な発電量が確保できている場合には、電力供給の要求の有無を判断するよりも先に水素供給の要求の有無を判断し、それに応じた制御モードとする。
これにより、太陽光発電システム100では、まずは制御部41での開始以降の制御が可能な電気量が確保されるまで発電が行なわれることになる。そしてその後、電気分解が可能な電気量が確保されると、要求に応じてその電力を用いて電気分解を行なって水素を供給し、さらに電力供給の要求がある場合には電力も供給する。すなわち、この制御によって、太陽光発電システム100での動作開始時に必要な電力が蓄電池60に蓄電されていない場合にはその必要分が外部の電源または系統電力から供給されるものの、それ以降、待機状態より後の動作においては太陽光発電システム100内で生成された電力によって動作が行なわれることになる。このため、開始時の電力のみ必要であれば供給することによって、太陽光発電システム100内での信号に基づいた動作は外部からの電力供給を受けることなく、自立して動作が可能となる。
[状態制御フロー2]
図11は、上記ステップS7での、エネルギーを生成し、供給するための制御モードを決定してその制御を開始するための、第2の制御の流れを示すフローチャートである。この第2の制御は、当該太陽光発電システム100内での信号に基づいた動作のための制御ではなく、外部装置からの信号に基づいた動作のための制御を指す。
図11は、上記ステップS7での、エネルギーを生成し、供給するための制御モードを決定してその制御を開始するための、第2の制御の流れを示すフローチャートである。この第2の制御は、当該太陽光発電システム100内での信号に基づいた動作のための制御ではなく、外部装置からの信号に基づいた動作のための制御を指す。
図11を参照して、CPUは、制御装置40がいずれの外部装置とも接続されていない場合には(ステップS201でNO)、一連のエネルギーを生成し、供給するための制御を終了する。これにより、制御を上記ステップS9の停止モードの制御に移行し、制御装置40が停止状態となる。
制御装置40が1または複数の外部装置と接続されている場合(ステップS201でYES)、接続されている外部装置から水素供給の要求があったか否かを判断する。ここでの外部装置としては、たとえば、貯蔵装置70に接続された(または貯蔵装置70を含んだ)燃料電池や水素を消費する装置などが該当する。
水素供給の要求がある場合(ステップS203でYES)、CPUは、蓄電池60の蓄電量を確認して、蓄電量が予め規定されている必要量であるか否か、また、制御装置40での以降の制御に必要な蓄電量であるか否か、を判断することによって、蓄電池60への電力供給の要求の有無を判断する。その結果、蓄電池60にいずれの条件も満たす蓄電量が蓄電されている場合には、CPUは蓄電池60への電力供給の要求はないものと判断する(ステップS205でNO)。また、接続された外部装置や外部装置などから電力供給の要求があったか否かを判断する。
水素供給の要求があり、かつ蓄電池60へも外部装置へも電力供給の要求がない場合には(ステップS203でYES、S205でNO、かつS207でNO)、ステップS209でCPUは、制御モードとして「水素生成モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行する。これにより、生成装置30において水素が生成されて、要求元である他の装置に水素が供給される。
ステップS209の水素生成モードでの制御が終了して該制御を抜けると、CPUは、制御を一連のエネルギーを生成し、供給するための制御の開始に戻し、再び、制御装置40が外部装置と接続されているか否かを判断する。そして、一連の制御を実行する。
水素供給の要求があり、かつ蓄電池60または外部装置のいずれかへの電力供給の要求がある場合には(ステップS203でYES、かつS205でYES、またはS207でYES)、ステップS211でCPUは制御モードとして「発電および水素生成モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行する。これにより、生成装置30において水素が生成されて要求元である他の装置に対して供給されると共に、電力も生成されて、蓄電池60または外部装置に対して供給される。
ステップS211の発電および水素生成モードでの制御が終了して該制御を抜けると、CPUは、制御を一連のエネルギーを生成し、供給するための制御の開始に戻し、再び、制御装置40が外部装置と接続されているか否かを判断する。そして、一連の制御を実行する。
一方、水素供給の要求がなく、かつ蓄電池60または外部装置のいずれかへの電力供給の要求がある場合には(ステップS203でNO、かつS213でYES、またはS215でYES)、ステップS217でCPUは制御モードとして「発電モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行する。これにより、生成装置30において電力が生成されて、蓄電池60または外部装置に対して供給される。
ステップS217の発電モードでの制御が終了して該制御を抜けると、CPUは、制御を一連のエネルギーを生成し、供給するための制御の開始に戻し、再び、制御装置40が外部装置と接続されているか否かを判断する。そして、一連の制御を実行する。
水素供給の要求がなく、かつ蓄電池60へも外部装置へも電力供給の要求がない場合には(ステップS203でYES、S213でNO、かつS215でNO)、CPUは一連のエネルギーを生成し、供給するための制御を抜けて、制御を上記ステップS3の起動モードの制御に移行する。これにより、制御装置40が待機状態となる。
制御部41が以上の制御を行なうことで、太陽光発電システム100では、外部装置に対して、要求に応じた形態でエネルギーを供給することが可能となる。
[状態制御フロー3]
図12は、上記ステップS7での、エネルギーを生成し、供給するための制御モードを決定してその制御を開始するための、第3の制御の流れを示すフローチャートである。この第3の制御は、主に太陽光発電システム100の外部装置からの信号に基づいた動作のための制御を指す。
図12は、上記ステップS7での、エネルギーを生成し、供給するための制御モードを決定してその制御を開始するための、第3の制御の流れを示すフローチャートである。この第3の制御は、主に太陽光発電システム100の外部装置からの信号に基づいた動作のための制御を指す。
図12を参照して、CPUは、始めに、接続されている外部装置や系統電力などからの電力供給の要求の有無を判断する。
外部装置から電力供給の要求がある場合(ステップS301でYES)、CPUは、さらに、光電変換部2が太陽光を受光しているか否かを判断する。その結果、光電変換部2が太陽光を受光していないと判断された場合(ステップS303でNO)、CPUは、さらに貯蔵装置70の水素貯蔵量が接続された燃料電池において発電可能な水素量であるか否かを確認する。燃料電池において発電可能な水素量が貯蔵されていない場合には(ステップS305でNO)、CPUは一連のエネルギーを生成し、供給するための制御を抜けて、制御を上記ステップS3の起動モードの制御に移行する。これにより、制御装置40が待機状態となる。
一方、燃料電池において発電可能な水素量が貯蔵されている場合には(ステップS305でYES)、ステップS307でCPUは、制御モードとして「発電モード」のうちの燃料電池での発電モードを決定し、当該制御モードでの処理を実行する。すなわち、CPUは、燃料電池に対して貯蔵装置70に貯蔵されている水素を供給し、当該燃料電池で発電させる。これにより、燃料電池において電力が生成されて、要求元の外部装置に対して供給される。
光電変換部2が太陽光を受光していると判断された場合には(ステップS303でYES)、CPUは、さらに、その発電力と外部装置から供給を要求された電力量とを比較する。発電量が供給を要求された電力量を上回っていない場合には(ステップS309でNO)、ステップS311でCPUは制御モードとして「発電モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行する。これにより、生成装置30において電力が生成されて、要求元の外部装置に対して供給される。
光電変換部2での発電量が供給を要求された電力量を上回っている場合には(ステップS309でYES)、CPUは、さらに、蓄電池60の蓄電量が予め規定されている最低量を満たしているか否かを判断する。蓄電池60の蓄電量が上記最低量よりも少ないと判断されると(ステップS313でNO)、ステップS315でCPUは制御モードとして「発電モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行する。そして、CPUは、要求された量の電力を外部装置に供給すると共に、余剰分を蓄電池60に供給して蓄電させる。
蓄電池60の蓄電量が上記最低量を満たしている場合には(ステップS313でYES)、CPUは、さらに、貯蔵装置70の水素の貯蔵量が予め規定されている水素量を満たしているか否かを判断する。貯蔵装置70の水素の貯蔵量が上記水素量よりも少ないと判断されると(ステップS317でNO)、ステップS319でCPUは制御モードとして「発電および水素生成モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行する。そして、CPUは、要求された量の電力を外部装置に供給すると共に、余剰分を水素として貯蔵装置70に供給し貯蔵させる。
貯蔵装置70の水素の貯蔵量が上記水素量を満たしている場合には(ステップS317でYES)、ステップS321でCPUは制御モードとして「発電モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行して、要求された量の電力を外部装置に供給する。この場合、余剰分は制御装置40に供給してその稼動に用いてもよいし、放電されてもよい。
なお、外部装置から電力供給の要求がない場合(ステップS301でNO)、光電変換部2が太陽光を受光していないときには(ステップS323でNO)、CPUは一連のエネルギーを生成し、供給するための制御を終了する。これにより、制御を上記ステップS9の停止モードの制御に移行し、制御装置40が停止状態となる。
光電変換部2が太陽光を受光しているときには(ステップS323でYES)、蓄電池60の蓄電量が上記最低量よりも少ない場合には(ステップS325でNO)、ステップS327でCPUは制御モードとして「発電モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行して、生成された電力を蓄電池60に蓄電する。
蓄電池60の蓄電量が上記最低量を満たしており(ステップS325でYES)、かつ、貯蔵装置70の水素の貯蔵量が上記水素量よりも少ない場合には(ステップS329でNO)、ステップS331でCPUは制御モードとして「水素生成モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行して、生成された電力を水素として貯蔵装置70に貯蔵する。
蓄電池60の蓄電量も貯蔵装置70の水素の貯蔵量も十分である場合には(ステップS325でYES、かつステップS3295でYES)、CPUは一連のエネルギーを生成し、供給するための制御を抜けて、制御を上記ステップS3の起動モードの制御に移行する。これにより、制御装置40が待機状態となる。
制御部41が以上の制御を行なうことで、太陽光受光時に電力供給の要求がある場合には、いったん水素に変換されることなく、直接発電された電力が供給される。蓄電池60には当該太陽光発電システム100の起動に必要最低限の電力が貯蔵され、余剰に発電された電力は水素として貯蔵される。これにより、蓄電池の蓄電容量を小さくすることができる。一方、太陽光を受光していない場合には貯蓄されている水素を元に燃料電池で発電し、その電力が供給される。
これにより、最も効率的なエネルギー利用を可能とし、低コストで安定した電力供給を実現し得る。
[状態制御フロー4]
図13は、上記ステップS7での、エネルギーを生成し、供給するための制御モードを決定してその制御を開始するための、第4の制御の流れを示すフローチャートである。この第4の制御は、主に太陽光発電システム100の外部装置からの信号に基づいた動作のための制御を指す。
図13は、上記ステップS7での、エネルギーを生成し、供給するための制御モードを決定してその制御を開始するための、第4の制御の流れを示すフローチャートである。この第4の制御は、主に太陽光発電システム100の外部装置からの信号に基づいた動作のための制御を指す。
図13を参照して、CPUは、接続されている外部装置から電力供給の要求がある場合(ステップS401でYES)、さらに、光電変換部2が太陽光を受光しているか否かを判断する。その結果、光電変換部2が太陽光を受光していないと判断された場合(ステップS403でNO)、CPUは、系統電力から電力の供給を受けて利用が可能であるか否かを判断する。また、貯蔵装置70の水素の貯蔵量が予め規定されている水素量を確認する。ここでは、接続されている燃料電池において発電可能な水素量が貯蔵装置70が貯蔵されているか否かを確認する。
その結果、系統電力を利用ができず、かつ水素の貯蔵量が発電可能な水素量を満たしている場合には(ステップS405でNO、かつステップS407でYES)、ステップS409でCPUは、制御モードとして「発電モード」のうちの燃料電池での発電モードを決定し、当該制御モードでの処理を実行する。すなわち、CPUは、燃料電池に対して貯蔵装置70に貯蔵されている水素を供給し、当該燃料電池で発電させる。これにより、燃料電池において電力が生成されて、要求元の外部装置に対して供給される。
系統電力を利用ができず、かつ水素の貯蔵量も発電可能な水素量を満たしていない場合には(ステップS405でNO、かつステップS407でNO)、CPUは一連のエネルギーを生成し、供給するための制御を終了する。これにより、制御を上記ステップS9の停止モードの制御に移行し、制御装置40が停止状態となる。
系統電力を利用可能であって、かつ水素の貯蔵量が発電可能な水素量を満たしていない場合には(ステップS405でYES、かつステップS411でNO)、ステップS413でCPUは、系統電力から電力の供給を受け、該電力を供給の要求のあった外部装置に供給する。
系統電力を利用可能であって、かつ水素の貯蔵量も発電可能な水素量を満たしている場合であっても(ステップS405でYES、かつステップS411でYES)、ステップS415でCPUは、ステップS409と同様に、制御モードとして「発電モード」のうちの燃料電池での発電モードを決定し、当該制御モードでの処理を実行する。すなわち、CPUは、燃料電池に対して貯蔵装置70に貯蔵されている水素を供給し、当該燃料電池で発電させる。これにより、燃料電池において電力が生成されて、要求元の外部装置に対して供給される。
光電変換部2が太陽光を受光していると判断された場合には(ステップS403でYES)、CPUは、さらに、その発電力と外部装置から供給を要求された電力量とを比較する。発電量が供給を要求された電力量を上回っていない場合には(ステップS417でNO)、ステップS419でCPUは制御モードとして「発電モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行する。そして、光電変換部2で生成された電力を外部装置に供給する。
光電変換部2での発電量が供給を要求された電力量を上回っている場合には(ステップS417でYES)、CPUは、さらに、貯蔵装置70の水素の貯蔵量が予め規定されている水素量を満たしているか否かを判断する。貯蔵装置70の水素の貯蔵量が上記水素量よりも少ないと判断されると(ステップS421でNO)、ステップS423でCPUは制御モードとして「発電および水素生成モード」を決定し、当該制御モードでの処理して、要求された量の電力を外部装置に供給すると共に、余剰分を水素として貯蔵装置70に貯蔵する。
貯蔵装置70の水素の貯蔵量が上記水素量を満たしている場合には(ステップS421でYES)、ステップS425でCPUは制御モードとして「発電モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行して、要求された量の電力を外部装置に供給する。この場合、余剰分は制御装置40に供給してその稼動に用いてもよいし、放電されてもよい。
なお、外部装置から電力供給の要求がない場合(ステップS401でNO)、光電変換部2が太陽光を受光していないときであって、かつ、系統電力を利用ができないときには(ステップS427でNO、かつステップS429でNO)、CPUは一連のエネルギーを生成し、供給するための制御を終了する。これにより、制御を上記ステップS9の停止モードの制御に移行し、制御装置40が停止状態となる。
系統電力を利用可能であって、かつ水素の貯蔵量が予め規定されている所定の水素量を満たしていない場合には(ステップS429でYES、かつステップS431でNO)、ステップS433でCPUは制御モードとして「水素生成モード」を決定し、系統電力から電力の供給を受けて当該制御モードでの処理を実行する。生成された水素は、貯蔵装置70に供給され、貯蔵される。
系統電力を利用可能であって、かつ水素の貯蔵量も上記水素量を満たしている場合であっても(ステップS429でYES、かつステップS431でYES)、CPUは一連のエネルギーを生成し、供給するための制御を終了する。これにより、制御を上記ステップS9の停止モードの制御に移行し、制御装置40が停止状態となる。
光電変換部2が太陽光を受光しているときには(ステップS427でYES)、貯蔵装置70の水素の貯蔵量が上記水素量よりも少ない場合には(ステップS435でNO)、ステップS437でCPUは制御モードとして「水素生成モード」を決定し、当該制御モードでの処理を実行して、生成された電力を水素として貯蔵装置70に貯蔵する。
貯蔵装置70の水素の貯蔵量が上記水素量を満たしている場合には(ステップS435でYES)、CPUは一連のエネルギーを生成し、供給するための制御を抜けて、制御を上記ステップS3の起動モードの制御に移行する。これにより、制御装置40が待機状態となる。
制御部41が以上の制御を行なうことで、太陽光受光時に電力供給の要求がある場合には、いったん水素に変換されることなく、直接発電された電力が供給される。電力供給の要求がない場合には、水素に変換した上で貯蔵される。
一方、太陽光を受光していない場合、系統電力の利用ができないときには貯蔵された水素を燃料電池に供給することで発電させ、電力を得る。系統電力の利用が可能なときは、その供給を受けて水素を生成し、水素を貯蔵する。
これにより、当該太陽光発電システム100では常に余剰な水素を確保するが可能になり、安定した電力供給を実現し得る。すなわち、より強固なライフラインの確保が可能となる。
なお、以上のエネルギーを生成し、供給するための制御モードを決定してその制御を開始するための第1の制御〜第4の制御は、適宜組み合わされてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 基板、2 光電変換部、4 第1電極、4’ p型半導体部、5 第2電極、5’ n型半導体部、7 第2の気体発生部、8 第1の気体発生部、9 第1の導電部、10 第2の導電部、11 絶縁部、13 隔壁、14 天板、15 電解液流路、16 シール材、18 給水口、19 第2ガス排出口、20 第1ガス排出口、23 生成部、30 生成装置、31 給排水部、34 切替部、35A,35B,46,71A,71B センサ、36,45 温度調整部、40 制御装置、41 制御部、42 接続部、43,44 圧力検知部、50 配電装置、60 蓄電池、61 パイプ、62 ケーブル、70 貯蔵装置、72 供給部、100 太陽光発電システム、411 入力部、412 水量制御部、413 流量・圧縮制御部、414 電圧制御部、415,416 温度制御部、417 切替制御部、418 配電制御部、419 判定部、421 流量調整部、422 圧力調整部。
Claims (10)
- 光電変換部を含む水素生成装置と、
蓄電装置と、
前記水素生成装置で生成される水素を供給するための水素供給部と、
前記光電変換部で生じる電力を供給するための電力供給部と、
前記水素の供給および前記電力の供給を制御するための制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記電力の供給として、前記光電変換部で生じる電力のうちの、水素の生成に用いられる電力と前記水素の生成以外に用いられる電力との供給を制御し、
前記蓄電装置は前記制御装置および前記水素生成装置に接続されて、これらとの間で電力をやり取りする、太陽光発電システム。 - 前記蓄電装置は前記光電変換部で生じる電力を蓄電し、
前記制御装置は前記光電変換部で生じ前記水素の生成以外に用いられる電力のうちの一部を当該制御装置に供給するよう制御し、供給された電力によって駆動される、請求項1に記載の太陽光発電システム。 - 前記光電変換部は受光面と裏面とを有し、
前記水素生成装置は、
前記光電変換部の裏面側に設けられ、かつ、電解液に浸漬可能に設けられた第1電解用電極と、
前記光電変換部の裏面に設けられ、かつ、電解液に浸漬可能に設けられた第2電解用電極とをさらに含む、請求項1または2に記載の太陽光発電システム。 - 前記光電変換部は受光面と裏面とを有し、前記受光面で受光することによって前記受光面と前記裏面との間に電位差が生じ、
前記水素生成装置は、
前記受光面上に設けられた第1電極と、
前記光電変換部の裏面側に設けられ、かつ、電解液に浸漬可能に設けられた第1電解用電極と、
前記光電変換部の裏面に設けられ、かつ、電解液に浸漬可能に設けられた第2電解用電極とをさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の太陽光発電システム。 - 前記蓄電装置は前記第1電極に接続される、請求項4に記載の太陽光発電システム。
- 前記光電変換部は受光面と裏面とを有し、
前記水素生成装置は、前記裏面の上にそれぞれ設けられた第1電解用電極および第2電解用電極をさらに含み、
前記光電変換部は、受光することにより、前記裏面の、前記第1電解用電極に電気的に接続された第1区域と、前記第2電解用電極に電気的に接続された第2区域との間に電位差が生じ、
前記第1電解用電極および前記第2電解用電極のいずれもが電解液に接触するとき、前記第1電解用電極は、前記光電変換部が受光することにより生じる起電力を利用して前記電解液から水素を発生させる水素発生部を形成し、前記第2電解用電極は前記起電力を利用して前記電解液から酸素を発生させる酸素発生部を形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の太陽光発電システム。 - 前記水素生成装置は、前記蓄電装置の蓄電電力を用いて水素を生成する、請求項1〜6のいずれかに記載の太陽光発電システム。
- 前記制御装置は、前記水素生成装置を、起動させた起動状態、動作を停止させた停止状態、水素を供給する水素供給状態、電力を供給する電力供給状態、水素と電力とを共に供給する状態、のそれぞれの状態とするための制御モードを有し、前記制御モードのうちのいずれか1の制御モードを選択して制御処理を実行する、請求項1〜7のいずれかに記載の太陽光発電システム。
- 前記制御装置は、前記光電変換部での受光状況により、前記水素生成装置において水素を製造するための駆動電力を、前記光電変換部で生じる電力と前記蓄電池に蓄えられた電力とで切替える、請求項1〜7のいずれかに記載の太陽光発電システム。
- 前記制御装置は、前記蓄電池の蓄電量により、前記水素生成装置において水素を製造するための駆動電力を、前記光電変換部で生じる電力と前記蓄電池に蓄えられた電力とで切替える、請求項1〜7のいずれかに記載の太陽光発電システム。
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