JP2012093664A - ロール状偏光板のセット及びその製造方法並びに液晶パネルの製造方法 - Google Patents

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敬之 名田
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秀樹 林
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Abstract

【課題】強度や耐摩耗性に優れたロール状偏光板のセット及びその製造方法並びに液晶パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】液晶セル40の背面側に貼合するためのロール状偏光板71と、視認側に貼合するためのロール状偏光板71´とからなるロール状偏光板のセットであって、ロール状偏光板71は、外側樹脂フィルム25、偏光フィルム21、粘着剤層27、離型フィルム80をこの順に積層した長尺の偏光板である。ロール状偏光板71´は、外側樹脂フィルム35、偏光フィルム31、粘着剤層37、離型フィルム90、をこの順に積層した長尺の偏光板である。外側保護フィルム25と外側保護フィルム35の少なくとも一方は、下記の(I)及び(II)の条件を満たす高分子結晶体からなることを特徴とする。(I)上記高分子結晶体の結晶化度が70%以上である;(II)上記高分子結晶体の結晶のサイズが300nm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ロール状偏光板のセット及びその製造方法並びに液晶パネルの製造方法に関し、特に、表面に保護フィルムを備えたロール状偏光板のセット及びその製造方法並びに液晶パネルの製造方法に関する。
液晶表示装置は、消費電力が少ない、低電圧で動作する、軽量で薄型である等の特徴があるため、これらの特徴を生かして、各種の表示用デバイスに用いられている。液晶表示装置は、液晶セル、偏光板、位相差フィルム、集光シート、拡散フィルム、導光板、光反射シート等、多くの材料から構成されている。そのため、構成フィルムの枚数を減らしたり、フィルム又はシートの厚みを薄くしたりすることで、生産性や軽量化、明度の向上等を目指した改良が盛んに行われている。
一方で、液晶表示装置は、用途によっては厳しい耐久条件に耐えうる製品が必要とされている。例えば、カーナビゲーションシステム用の液晶表示装置は、それが置かれる車内の温度や湿度が高くなることがあり、通常のテレビやパーソナルコンピュータ用のモニターと比べると、温度及び湿度条件が厳しい。そのような用途には、偏光板も高い耐久性を示すものが求められる。
偏光板は通常、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの片面又は両面に、透明な保護フィルムが積層された構造を有する。偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに縦一軸延伸と二色性色素による染色とを行った後、ホウ酸処理して架橋反応を起こさせ、次いで水洗、乾燥する方法により製造されている。二色性色素としては、ヨウ素又は二色性有機染料が用いられる。このようにして得られる偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムを積層して偏光板が形成され、液晶表示装置に組み込まれて使用される。
保護フィルムには、トリアセチルセルロースに代表されるセルロースアセテート系樹脂フィルムが多く使用されており、その厚みは通例30〜120μm程度の範囲内である。また、保護フィルムの積層には、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を用いることが多い。
しかしながら、二色性色素が吸着配向している偏光フィルムの片面又は両面に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介してトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを積層した偏光板は、湿熱条件下で長時間使用した場合に、偏光性能が低下したり、保護フィルムと偏光フィルムとが剥離し易くなったりするという問題がある。
そこで、少なくとも一方の保護フィルムを、セルロースアセテート系以外の樹脂で構成する方法が提案されている。例えば、偏光フィルムの両面に保護フィルムを積層した偏光板において、その保護フィルムの少なくとも一方を、ポリプロピレン系樹脂で構成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、従来のポリプロピレン系樹脂は、他の樹脂と比べて柔軟性が高いため強度が低く、耐摩耗性などに乏しいという不都合があった。
一方で近年、ポリプロピレン系樹脂をはじめとする汎用プラスチックにおいて、結晶化度が高く、結晶のサイズが小さい高分子結晶体が新たに開発された(例えば、特許文献2、非特許文献1、非特許文献2参照)。この高分子結晶体は、高分子融液を臨界伸長ひずみ速度以上のひずみ速度で伸長し、この高分子融液を配向融液状態にした後で、この配向融液状態を維持しつつ冷却結晶化することで製造することができる。このようにして製造された高分子結晶体は、結晶粒子が小さく、伸長方向に高い配向性を有していることから、ナノ配向結晶体と呼ばれ、従来の配向結晶材料に比べて機械的強度、耐熱性、透明性等の特性が非常に優れている。
ところで、光学部材メーカーでは、液晶表示装置に用いられる偏光板などの光学機能を有する長尺の光学フィルムやそれらの積層体を、ロール状に巻き取りながら連続して製造するのが一般的である。このようにして製造された偏光板は、液晶パネル加工メーカーに納品され、液晶パネル加工メーカーにおいて液晶セルに貼合され、液晶パネルが製造される。従来、光学部材メーカーは、偏光板などの光学部品を液晶パネル加工メーカーに納品する際には、液晶パネル加工メーカーが所望する所定のサイズに長尺光学シートを打ち抜いて枚葉体の光学シートに加工し、これを検品した上で、数枚を重ねて梱包するようにしていた。
このように、光学部材メーカーにおいて、所定のサイズに打ち抜いて得られた光学シートを数枚重ねて梱包する際には、埃や汚れなどが生じないように、クリーン度の高い作業環境が求められている。また、輸送中に傷やクラックなどが生じないように、梱包資材は特別に選定され、梱包作業も入念に行う必要があった。一方、液晶パネル加工メーカーでは、厳重に梱包された光学シートを組み立て加工に用いるが、梱包が厳重であるため、梱包を解く作業が大変であり、かつ、梱包を解く作業は、傷やクラックが生じないように厳重に注意して行わなければならず、作業が煩雑となり生産性が落ちるとともに、作業者の負担が大きいものとなっていた。また、通常、梱包前、開梱後及び液晶パネル部材を貼合した後など、何度も検品することになるため、過剰検品という問題もあった。
これを解決する手段として、偏光板を含む光学フィルムを備える2つのロールからなるロール原反セットを使用して、これらのロールを所定長さに切断し、各々の偏光板の吸収軸が直交するように光学表示ユニット(液晶セル)に貼り合わせる技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この技術によれば、貼り合わせの軸精度が良好になり、また装置内の汚染による欠点が発生しにくくなるとされている。
特開2007−334295号公報(請求項1〜3、段落0009〜0018) 特開2008−248039号公報(請求項1,12、段落0028) 特開2009−276751号公報(請求項1〜7)
M. Hikosaka, et al.、"Elongational crystallization of isotactic polypropylene forms nano−oriented crystals with ultra−high performance"、Polymer Journal、社団法人高分子学会、2010年、42巻、p.464−473 岡田聖香・彦坂正道、「高分子伸長結晶化による高性能化」、高分子、社団法人高分子学会、2010年、59巻、7月号、p.492−496
上述した特許文献2や非特許文献1、非特許文献2には、エンジニアリングプラスチックや金属の代替として高分子結晶体を利用することが可能であり、具体的には乗物用内装、外装材などへ適用できることが記載されている。しかしながら、これらの文献には、偏光板の光学フィルム用途へ上記の高分子結晶体が適用できるとの記載はない。
一方、上述した特許文献3には、ロール原反セットとして、どのような材質、特性を有するものを用いれば、貼り合わせの軸精度が良好になり、装置内の汚染による欠点が発生しにくいのかについては、明確には考察されていない。
また、このような偏光板は、偏光フィルムの片面のみに位相差フィルムが貼合されたり、偏光フィルムを挟んで異なる種類の保護フィルムが貼合されたりするなど、偏光フィルムを基準に表裏非対称な構造となっている。このような表裏非対称な偏光板は、枚葉に打ち抜かれた状態ではカールを起こしやすく、粘着剤層を介して枚葉の偏光板を液晶セルに貼合する際に、端部や中央部に気泡を噛み込むなどの不具合が生じやすい。また、枚葉の偏光板であると、偏光フィルム中の水分率の変化に伴い、カールが大きくなることもあり、これにより、液晶セルへの貼合が更に難しくなる。特に、ポリプロピレン系樹脂など保護フィルムが柔軟性の高い材料で形成される場合、このようなカールの影響は更に大きくなり、貼合がより困難になる。
本発明の目的は、強度や耐摩耗性に優れ、かつ偏光板のカールやこれに伴う偏光板貼合時の気泡や異物の噛み込みを効果的に抑制しつつ液晶セルへの貼合を行うことが可能なロール状偏光板のセット及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、強度や耐摩耗性に優れ、かつ偏光板のカールやこれに伴う偏光板貼合時の気泡や異物の噛み込みを効果的に抑制しつつ液晶セルへの貼合を行うことが可能な液晶パネルの製造方法を提供することにある。
上記課題は、本発明のロール状偏光板のセットによれば、液晶セルの背面側に貼合するための第1のロール状偏光板と、前記液晶セルの視認側に貼合するための第2のロール状偏光板とからなるロール状偏光板のセットであって;前記第1のロール状偏光板は、透明樹脂からなる第1の外側保護フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルムと、第1の粘着剤層と、第1の離型フィルムがこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ前記第1の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、前記液晶セルの長辺又は短辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており;前記第2のロール状偏光板は、透明樹脂からなる第2の外側保護フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルムと、第2の粘着剤層と、第2の離型フィルムがこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ前記第2の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1のロール状偏光板とは反対の辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており、前記第1の外側保護フィルムと前記第2の外側保護フィルムの少なくとも一方は、下記の(I)及び(II)の条件を満たす高分子結晶体からなることを特徴とするロール状偏光板のセットにより解決される。
(I)上記高分子結晶体の結晶化度が70%以上である;
(II)上記高分子結晶体の結晶のサイズが300nm以下である。
あるいは、上記課題は、本発明のロール状偏光板のセットによれば、液晶セルの背面側に貼合するための第1のロール状偏光板と、前記液晶セルの視認側に貼合するための第2のロール状偏光板とからなるロール状偏光板のセットであって;前記第1のロール状偏光板は、透明樹脂からなる第1の外側保護フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルムと、第1の粘着剤層と、第1の離型フィルムがこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ前記第1の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、前記液晶セルの長辺又は短辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており;前記第2のロール状偏光板は、透明樹脂からなる第2の外側保護フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルムと、第2の粘着剤層と、第2の離型フィルムがこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ前記第2の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1のロール状偏光板とは反対の辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており、前記第1の外側保護フィルムと前記第2の外側保護フィルムの少なくとも一方は、下記の(I)及び(II´)の条件を満たす高分子結晶体からなることを特徴とするロール状偏光板のセットにより解決される。
(I)上記高分子結晶体の結晶化度が70%以上である;
(II´)上記高分子結晶体の結晶の数密度が40μm−3以上である。
上記の場合において、前記高分子結晶体が汎用プラスチックであることが好ましい。
さらにこの場合、前記汎用プラスチックがポリプロピレン系樹脂であると好適である。
また、前記第1のロール状偏光板及び前記第2のロール状偏光板のいずれか一方又は両方は、前記偏光フィルムと前記粘着剤層との間に透明樹脂からなる内側保護フィルムを有することが好ましい。
上記課題は、本発明のロール状偏光板の製造方法によれば、上記のいずれかに記載のロール状偏光板のセットの製造方法であって、前記高分子結晶体は、高分子融液を、臨界伸長ひずみ速度以上のひずみ速度で伸長して配向融液状態にする配向融液化工程と、前記高分子融液の配向融液状態を維持しつつ冷却結晶化する急冷結晶化工程と、を含むことにより解決される。
また、上記課題は、本発明のロール状偏光板の製造方法によれば、上記のいずれかに記載のロール状偏光板のセットの製造方法であって、前記第1の外側保護フィルムと、前記第1の偏光フィルムと、前記第1の粘着剤層と、前記第1の離型フィルムとをこの順に、かつ前記第1の偏光フィルムの吸収軸が長辺方向と平行な方向となるように積層して第1の偏光板長尺原反を作製する第1原反作製工程と、前記第1原反作製工程で得られる第1の偏光板長尺原反を前記液晶セルの長辺又は短辺に対応する幅となるように切断する第1スリット工程と、前記第1スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第1偏光板巻き取り工程と、を備える第1のロール状偏光板製造工程;及び前記第2の外側保護フィルムと、前記第2の偏光フィルムと、前記第2の粘着剤層と、前記第2の離型フィルムとをこの順に、かつ前記第2の偏光フィルムの吸収軸が長辺方向と平行な方向となるように積層して第2の偏光板長尺原反を作製する第2原反作製工程と、前記第2原反作製工程で得られる第2の偏光板長尺原反を前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1スリット工程とは反対の辺に対応する幅となるように切断する第2スリット工程と、前記第2スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第2偏光板巻き取り工程と、を備える第2のロール状偏光板製造工程を含むことにより解決される。
また、上記課題は、本発明の液晶パネルの製造方法によれば、液晶セルの背面側に第1の偏光板を貼合し、前記液晶セルの視認側に第2の偏光板を貼合して、液晶パネルを製造する方法であって;前記液晶セルの短辺又は長辺のうち、上記のいずれかに記載のロール状偏光板のセットにおける第1のロール状偏光板の幅に対応する辺とは反対の辺が流れ方向の辺となるように前記液晶セルを搬送する液晶セルの第1搬送工程;前記第1のロール状偏光板から長尺の偏光板を、前記液晶セルの第1搬送工程で供給される前記液晶セルの背面側に向かうように巻き出す第1偏光板巻き出し工程と、前記第1偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1搬送工程における流れ方向の辺に対応する長さに裁断する第1偏光板裁断工程と、前記第1偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は前記第1偏光板裁断工程で裁断された偏光板を、前記液晶セルの第1搬送工程で搬送される液晶セルの貼合されるべき位置に合わせる第1偏光板位置合わせ工程と、前記第1偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板を前記液晶セルの第1搬送工程で搬送される前記液晶セルの背面側に貼り合わせる第1偏光板貼合工程と、を備え、かつ前記第1偏光板巻き出し工程が最初に行われ、その後、前記第1偏光板裁断工程、前記第1偏光板位置合わせ工程、及び前記第1偏光板貼合工程の順、又は、前記第1偏光板位置合わせ工程、前記第1偏光板裁断工程、及び前記第1偏光板貼合工程の順、又は前記第1偏光板位置合わせ工程、前記第1偏光板貼合工程、及び前記第1偏光板裁断工程の順に行われる第1偏光板供給貼合工程;前記液晶セルを、その長辺又は短辺方向のうち前記第1搬送工程とは反対の辺が流れ方向となるように搬送する液晶セルの第2搬送工程;及び上記のいずれかに記載のロール状偏光板のセットのうち、第2のロール状偏光板から長尺の偏光板を、前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される前記液晶セルの視認側に向かうように巻き出す第2偏光板巻き出し工程と、前記第2偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を前記液晶セルの長辺又は短辺のうち前記第2搬送工程における流れ方向の辺に対応する長さに裁断する第2偏光板裁断工程と、前記第2偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は前記第2偏光板裁断工程で裁断された偏光板を、前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される液晶セルの貼合されるべき位置に合わせる第2偏光板位置合わせ工程と、前記第2偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板を前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される前記液晶セルの視認側に貼り合わせる第2偏光板貼合工程と、を備え、かつ前記第2偏光板巻き出し工程が最初に行われ、その後、前記第2偏光板裁断工程、前記第2偏光板位置合わせ工程、及び前記第2偏光板貼合工程の順、又は前記第2偏光板位置合わせ工程、前記第2偏光板裁断工程、及び前記第2偏光板貼合工程の順、又は前記第2偏光板位置合わせ工程、前記第2偏光板貼合工程、及び前記第2偏光板裁断工程の順に行われる第2偏光板供給貼合工程を含むことにより解決される。
この場合、前記第1偏光板巻き出し工程及び前記第2偏光板巻き出し工程は、前記第1偏光板巻き出し工程で第1のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板の流れ方向と、前記第2偏光板巻き出し工程で第2のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板の流れ方向とが直交するように行われることが好ましい。
また、前記液晶セルは、VAモードの液晶セル、IPSモードの液晶セル、又はブルー相の液晶を用いた液晶駆動モードの液晶セルであると好適である。
本発明のロール状偏光板のセット及びその製造方法によれば、外側保護フィルムを構成する高分子結晶体の結晶化度が高く、かつ結晶サイズが小さいため、分子配向度が高い。このため、外側保護フィルムの強度が高く、保護性能に優れたものとなる。したがって、この外側保護フィルムを備えたロール状偏光板のセットは、強度や耐摩耗性に優れたものとなる。また、本発明のロール状偏光板のセット及びその製造方法によれば、このように強度が高く保護性能に優れた外側保護フィルムを備え、偏光フィルムを挟んで表裏非対称な長尺の偏光板を、枚葉に切り出すことなく液晶パネルの製造工程に供することが可能である。このため、偏光板のカールや偏光板貼合時に気泡や異物の噛み込みを効率的に抑制しつつ液晶セルへの貼合を行うことが可能となる。
ロール状偏光板のセットの断面模式図である。 ロール状偏光板のセットを用いた液晶パネル及び液晶表示装置の断面模式図である。 他の実施形態に関するロール状偏光板のセットの断面模式図である。 液晶パネルの製造方法における第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程の一例を示す概略図である。 液晶パネルの製造方法における第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程の一例を示す概略図である。 液晶パネルの製造方法における第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程の一例を示す概略図である。 液晶パネルの製造方法における第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程の一例を示す概略図である。 液晶パネルの製造方法の一例を示す概略図である。 液晶パネルの製造方法の一例を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。なお、本発明は以下に説明する部材や配置等によって限定されず、これらの部材等は本発明の趣旨に沿って適宜改変することができる。
<ロール状偏光板のセット>
図1は、本発明の一実施形態におけるロール状偏光板のセットの断面模式図を示している。この図に示すように、本発明のロール状偏光板のセットは、ロール状偏光板71とロール状偏光板71´の2つのロール状偏光板から構成される。後述する図2に示すように、これらのロール状偏光板71,71´は、液晶パネル2の構成部品として用いられる。液晶パネル2は、液晶セル40の両面に偏光板20と偏光板30を積層することにより作製することができる。ロール状偏光板71、ロール状偏光板71´は、液晶パネル2のそれぞれ背面側偏光板(偏光板20)、視認側偏光板(偏光板30)を作製するための、長尺の偏光板を巻き取ったロールである。
ここで、「背面側偏光板」とは、液晶パネル2を液晶表示装置1に搭載した際にバックライト10側に位置する偏光板を意味し、「視認側偏光板」とは、液晶パネル2を液晶表示装置1に搭載した際に視認側(バックライト10とは反対側)に位置する偏光板を意味する。以下、各ロール状偏光板71,71´について詳細に説明する。
(ロール状偏光板71:第1のロール状偏光板)
ロール状偏光板71は、液晶パネル2の背面側偏光板(偏光板20)として用いられるロール状の偏光板である。ロール状偏光板71は、本発明の第1のロール状偏光板に相当する。図1に示すように、ロール状偏光板71は、外側保護フィルム25と、偏光フィルム21と、内側保護フィルム23と、粘着剤層27と、離型フィルム80と、をこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成されている。ロール状偏光板71は、偏光フィルム21の吸収軸が長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、液晶セル40の長辺又は短辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれている。ロール状偏光板71の巻き回し方向は、特に制限されないが、例えば離型フィルム80の側が内側となるように巻き回すことができる。なお、本発明において内側保護フィルム23は必須の構成要素ではない。
ここで、「液晶セル40の長辺又は短辺に対応する幅」とは、ロール状偏光板71が貼り合わされる液晶セル40の長辺あるいは短辺の長さに応じて適切に設定された幅を指し、液晶セル40の長辺又は短辺の長さとロール状偏光板71の幅とは必ずしも同じでなくてもよい。
(1)偏光フィルム21(第1の偏光フィルム)
偏光フィルム21は、自然光を直線偏光に変換する機能を有するフィルムである。偏光フィルム21は、本発明の第1の偏光フィルムに相当する。偏光フィルム21としては、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものを用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができ、ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度であり、好ましくは1,500〜5,000程度である。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルム21の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの厚みは特に限定されないが、例えば10〜150μm程度である。
偏光フィルム21は、通常、このようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、を経て製造される。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、複数の段階で一軸延伸を行うこともできる。一軸延伸には、周速度の異なるロール間で一軸に延伸する方法や、熱ロールを用いて一軸に延伸する方法などが採用できる。また、一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、水等の溶剤を用いてポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、例えば、二色性色素を含有する水溶液にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法により行うことができる。二色性色素として、具体的にはヨウ素や二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水に浸漬して膨潤させる処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100重量部あたり、通常0.01〜1重量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり、通常0.5〜20重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、水100重量部あたり、通常1×10−4〜10重量部程度であり、好ましくは1×10−3〜1重量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常20〜80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行うことができる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部程度であり、好ましくは5〜12重量部程度である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり、通常0.1〜15重量部程度であり、好ましくは5〜12重量部程度である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常60〜1,200秒程度であり、好ましくは150〜600秒程度、更に好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常1〜120秒程度である。
水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルム21が得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃程度であり、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒程度であり、好ましくは120〜600秒である。
こうしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色とホウ酸処理が施され、偏光フィルム21が得られる。偏光フィルム21の厚みは、例えば2〜40μm程度とすることができる。
(2)外側保護フィルム25
外側保護フィルム25は、偏光フィルム21の外側に積層され、偏光フィルム21の表面を保護するためのフィルムである。外側保護フィルム25は、本発明の第1の外側保護フィルムに相当する。外側保護フィルム25としては、透明樹脂から構成されるものが好ましい。
本発明は、外側保護フィルム25と外側保護フィルム35のうち、少なくとも一方が下記の(I)及び(II)の条件を満たすか、あるいは(I)及び(II´)の条件を満たす点を特徴としている。
(I)高分子結晶体の結晶化度が70%以上である;
(II)高分子結晶体の結晶のサイズが300nm以下である;
(II´)高分子結晶体の結晶の数密度が40μm−3以上である。
高分子結晶体を構成する樹脂の例としては、特には限定されず、例えば汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。汎用プラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどが挙げられる。また、エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、テフロン(登録商標)などのフッ素樹脂が挙げられる。
このような樹脂としては、結晶性樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリアルキレン、ポリアミド、ポリエーテル等が挙げられる。具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、環状オレフィン系樹脂、ステレオブロックポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体等のα−オレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性直鎖ポリエステル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド等のポリスルフィド系樹脂;ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸系樹脂;ポリヘキサメチレンアジパミド等の直鎖ポリアミド系樹脂;シンジオタクチックポリスチレン等の結晶性のポリスチレン系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオロライド等のフッ素樹脂;ポリイミド、ポリアミドイミド、アクリル酸、メタクリル酸、ナイロン等の縮合系樹脂;三酢酸セルロース等の結晶性セルロース樹脂;ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリエーテルニトリル等が挙げられる。
結晶性樹脂の中では、柔軟性が高く安価である点や、後述する核剤の使用効果が顕著である点から、オレフィン系樹脂が好適である。オレフィン系樹脂のうち、特にポリプロピレン、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体、エチレン以外のα−オレフィン/プロピレンブロック又はランダム共重合体及びこれらのプロピレン系重合体と他のα−オレフィン重合体との混合物等のポリプロピレン系樹脂、及びポリエチレンが好適である。
高分子結晶体の結晶化度は、70%以上であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。また、高分子結晶体の結晶サイズは、300nm以下であり、好ましくは100nm以下、より好ましくは20nm以下である。さらに、高分子結晶体の結晶の数密度は、40μm−3以上であり、好ましくは10μm−3以上、より好ましくは10μm−3以上である。なお、結晶サイズは、小角X線散乱法(SAXS法)など、公知のX線散乱法によって測定することができる。
高分子結晶体は、数平均粒子径が0.1μm以下(さらに好ましくは50nm以下)の微細な核剤(「ナノ核剤」という)を含んでもよい。また、高分子結晶体には、その他の添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物などの流れ性改良剤、ウェルド強度改良剤、天然油、合成油、ワックスなどを挙げることができる。また、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などを用いることができる。
高分子結晶体の製造方法の一態様は、高分子融液を臨界伸長ひずみ速度以上のひずみ速度で伸長し、この高分子融液を配向融液状態にする配向融液化工程と、高分子融液の配向融液状態を維持しつつ冷却結晶化する急冷結晶化工程と、を含む方法である。また、この製造方法は、ナノ核剤高分子融液の臨界伸長ひずみ速度を決定する、臨界伸長ひずみ速度決定工程を含んでいてもよい。
この製造方法について簡単に説明する。通常、高分子融液中に存在する高分子の分子鎖は、無秩序で等方的なランダムコイルの形態で存在しており、このような高分子融液を等方融液という。この等方融液に対して、せん断や伸長などの外場が加わると、高分子の分子鎖が伸長され、エントロピーの減少により高分子鎖が平行配列するが、高分子鎖はエントロピー緩和に伴ってランダムな状態に戻ろうとする。しかしながら、ある一定以上のひずみ速度以上の外場を等方融液に加えることで、エントロピー緩和に打ち勝って高分子鎖が高い配向秩序を保った「配向融液」になる。このエントロピー緩和に打ち勝って等方融液を配向融液にすることができるひずみ速度を「臨界ひずみ速度」といい、特に伸長により配向融液にする場合の臨界ひずみ速度を「臨界伸長ひずみ速度」という。
臨界伸長ひずみ速度は、以下の方法で算出することができる。まず、半径X、厚さ2Zのディスク状の高分子融液を透明板ではさみ、この高分子融液を冷却して過冷却状態にし、この高分子融液を透明板によって厚み方向に一定速度vで押し潰して配向結晶となる臨界点半径xを計測する。そして、式ε=ax*2(ただし、a=v/(2x )である)から臨界伸長ひずみ速度εを算出する。なお、高分子融液が配向結晶となる臨界点の厚さ2Zを計測し、式ε=(v/2)Z*−1から臨界ひずみ速度εを算出してもよい。
あるいは、臨界伸長ひずみ速度は、以下の方法でも算出することができる。まず、中心距離x'、厚さ2Zであり、幅一定の板状の高分子融液を透明板ではさみ、この高分子融液を冷却して過冷却状態にする。そして、この高分子融液を透明板によって厚み方向に一定速度vで押しつぶし、高分子融液が配向結晶となる臨界点中心距離x'を計測し、式ε=ax'(ただし、a=v/(x')である)から臨界伸長ひずみ速度εを算出する。
急冷結晶化工程は、配向融液を過冷却することで、配向融液状態を維持しつつ冷却する工程である。配向融液状態を維持したまま結晶化するためには、できるだけ急速に結晶化することが好ましい。冷却温度は、高分子の融点よりも低い温度であれば特に限定されない。例えば、ポリプロピレン系樹脂の場合は、過冷却温度が20〜60℃が好ましい。
なお、上記の高分子融液に数平均粒子径が0.1μm以下の核剤を0.1〜0.5重量%含有させた状態で配向融液を伸長してもよい。本発明の製造方法においてナノ核剤は任意成分であるが、ナノ核剤を所定量含む配向融液を結晶化した場合は、ナノ核剤を含まない結晶融液を結晶化する場合と比較して、結晶核の生成効率が向上するため好ましい。
以上、上記の高分子結晶体の材料や製造方法について簡単に説明した。これらの詳細については、上述した特許文献1、非特許文献1、非特許文献2を参照することができる。
外側保護フィルム25は、上述した高分子結晶体を構成材料とするフィルムである。外側保護フィルム25としては、透明性を有しており位相差が少ないフィルムが好ましい。具体的には、内部ヘイズ値が0.5%以下でかつ外部ヘイズ値が5%以下であり、波長590nmにおける面内の位相差値(R)が10nm以下であり、波長590nmにおける厚み方向の位相差値(Rth)の絶対値が10nm以下であるフィルムが好適である。外側保護フィルム25の厚みとしては、特に限定されないが、例えば20〜200μm程度とすることが好ましく、より好ましくは20〜120μm程度である。外側保護フィルム25の表面には、種々の機能を有する機能性層を設けることができる。機能性層としては、例えば、ハードコート層が挙げられる。
このように、外側保護フィルム25は、フィルムを構成する高分子結晶体の結晶化度が高く、かつ結晶サイズが小さいため、分子配向度が高い。このため、外側保護フィルム25自体の強度が高く、保護性能に優れたものとなる。また、結晶化度が高いことで耐熱温度も高いため、高温条件下においても収縮が起らず、保護性能ならびに光学性能を維持することが可能である。したがって、このフィルムの表面に機能性層を備えた機能性フィルムは、強度や耐摩耗性,耐熱性に優れたものとなる。
(3)内側保護フィルム23(第1の内側保護フィルム)
内側保護フィルム23は、偏光フィルム21のうち液晶セル40側に配置される保護フィルムである。内側保護フィルム23としては、任意の樹脂フィルムを採用することができ、例えば通常の保護フィルムのほか、視野角を広げる光学補償機能も兼ね備えた位相差フィルムなどを採用することができる。通常の保護フィルムとしては、光学異方性を有していない無配向性フィルムを採用することができる。ここで、無配向性フィルムとは、樹脂を膜状に製膜した、延伸されてない樹脂フィルム(未延伸フィルム)を意味する。未延伸フィルムの製膜方法としては、溶融樹脂をスクリューの回転などでTダイから押し出してシート状に成形する押出成形法や、有機溶剤に溶解させた樹脂を平板上に流延したのち溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法などを採用することができる。
また、位相差フィルムとしては、面内や厚み方向に位相差を有する樹脂フィルムを採用することができる。位相差フィルムの位相差値は、偏光板20が適用される液晶セル40の種類等に応じて適宜設定することができるが、例えば、以下のフィルムを例示することができる。
(a)波長590nmにおける面内位相差値が40〜500nmの範囲にあるポジティブAプレート;
(b)波長590nmにおける面内位相差値が40〜500nmの範囲にあり、厚み方向位相差値が20〜500nmの範囲にあるポジティブBプレート;
(c)波長590nmにおける面内位相差値が10〜300nmの範囲にある1/4波長板;
(d)波長590nmにおける面内位相差値が10〜300nmの範囲にある1/4波長板と、波長590nmにおける面内位相差値が240〜400nmの範囲にある1/2波長板と、が積層された複合位相差板。
内側保護フィルム23を構成する樹脂材料としては、特には限定されない。このような樹脂材料としては、例えば、オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂など公知の材料を適宜選択して使用することができる。このうち特に、通常の保護フィルムとしては、セルロースアセテート系樹脂が好適である。また、視野角補償フィルムとしては、非晶性オレフィン系樹脂が好適である。
内側保護フィルム23は、未延伸フィルムに対して縦一軸延伸、横一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの公知の方法で延伸処理することで、製造することができる。延伸方法としては、テンター延伸機を用いたテンター法を挙げることができる。延伸方向としては、未延伸フィルムの機械流れ方向(MD)、これに直交する方向(TD)、機械流れ方向に斜交する方向などが挙げられる。
特に、内側保護フィルム23が1/4波長板や1/4波長板と1/2波長板の複合位相差板の場合において、偏光フィルム21と内側保護フィルム23をロール・トゥ・ロール貼合方式により貼合して偏光板20を作製するためには、偏光フィルム21の吸収軸に対して内側保護フィルム23の分子を斜め配向させる必要がある。このような場合において、延伸方向として機械流れ方向に斜交する方向に延伸して、フィルムの長手方向に対して遅相軸を斜めに傾斜させることが好ましい。なお、斜め配向した内側保護フィルム23を作製する方法としては、光照射により液晶配向能を生じさせた光配向による斜め配向コーティング法なども採用することができる。
(4)粘着剤層27(第1の粘着剤層)
粘着剤層27は、粘着性を有する層であり、偏光板20を液晶セル10に貼合するために用いられる。粘着剤層27は、本発明の第1の粘着剤層に相当する。粘着剤層27を形成する粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルなどをベースポリマーとする樹脂などが挙げられる。なかでも、アクリル系樹脂をベースポリマーとするアクリル系粘着剤は、光学的な透明性に優れ、適度の濡れ性や凝集力を保持し、更に耐候性や耐熱性などに優れ、加熱や加湿の条件下でも、浮きや剥がれなどのセパレート問題が生じにくいため、好ましく用いられる。
アクリル系粘着剤を構成するアクリル系ベースポリマーには、エステル部分が、メチル基、エチル基、ブチル基、又は2−エチルヘキシル基のような炭素数20以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのような官能基含有(メタ)アクリル系モノマーとのアクリル系共重合体が好ましく用いられる。このようなアクリル系共重合体を含む粘着剤層は、液晶セル10に貼合した後で何らかの不具合があって剥離する必要が生じた場合に、ガラス基板に糊残りなどを生じさせることなく、比較的容易に剥離することができる。粘着剤に用いるアクリル系共重合体は、そのガラス転移温度が25℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましい。また、このアクリル系共重合体は、通常10万以上の重量平均分子量を有する。
粘着剤層27を形成する粘着剤として、光拡散剤が分散された拡散粘着剤を用いることもできる。光拡散剤は、粘着剤層に光拡散性を付与するためのものである。光拡散剤は、粘着剤層を構成するベースポリマーと異なる屈折率を有する微粒子であればよく、無機化合物からなる微粒子や有機化合物(ポリマー)からなる微粒子を用いることができる。上記したようなアクリル系ベースポリマーを含めて、粘着剤層を構成するベースポリマーは1.4前後の屈折率を示すことが多いので、光拡散剤は、その屈折率が1〜2程度のものから適宜選択すればよい。粘着剤層を構成するベースポリマーと光拡散剤との屈折率差は、通常0.01以上であり、適用される液晶表示装置1の明るさや視認性を確保する観点からは、0.01以上0.5以下であることが好ましい。光拡散剤として用いる微粒子は、球形のもの、それも単分散に近いものが好ましく、平均粒径が2〜6μm程度の微粒子が好適に用いられる。
無機化合物からなる微粒子としては、例えば、酸化アルミニウム(屈折率1.76)、酸化ケイ素(屈折率1.45)などを挙げることができる。また、有機化合物(ポリマー)からなる微粒子としては、例えば、メラミン樹脂ビーズ(屈折率1.57)、ポリメタクリル酸メチルビーズ(屈折率1.49)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(屈折率1.50〜1.59)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.55)、ポリエチレンビーズ(屈折率1.53)、ポリスチレンビーズ(屈折率1.6)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.46)、シリコーン樹脂ビーズ(屈折率1.46)などが挙げられる。
光拡散剤の配合量は、それが分散される粘着剤層に必要とされるヘイズ値や、それが適用される液晶表示装置1の明るさなどを考慮して適宜決められるが、通常、粘着剤層を構成するベースポリマー100重量部に対して3〜30重量部程度である。
光拡散剤が分散された粘着剤層のJIS K 7361に従って測定されるヘイズ値は、適用される液晶表示装置1の明るさを確保するとともに、表示像のにじみやボケを生じにくくする観点から、20〜80%の範囲とすることが好ましい。
透明な粘着剤又は拡散粘着剤を構成する各成分(ベースポリマー、光拡散剤、架橋剤など)は、酢酸エチルなどの適当な溶剤に溶かして粘着剤組成物とされる。ただし、光拡散剤などの溶剤に溶けない成分は、分散された状態となる。この粘着剤組成物を内側保護フィルム23や離型フィルム(不図示)上に塗布し、乾燥させることにより、粘着剤層27を形成することができる。
粘着剤層27は、偏光板20に帯電する静電気を除電するために、帯電防止性を有することが好ましい。偏光板20は、粘着剤層27上に積層された離型フィルムを剥離して液晶セル10に貼合するときなどに、静電気を帯びることがある。このとき、粘着剤層27が帯電防止性を有していると、その静電気が速やかに除電され、液晶セル10の表示回路が破壊されたり、液晶分子が配向を乱されたりすることが抑制される。
粘着剤層27に帯電防止性を付与する方法としては、例えば、粘着剤組成物に、金属微粒子、金属酸化物微粒子、又は金属等をコーティングした微粒子等を含有させる方法;電解質塩とオルガノポリシロキサンとからなるイオン導電性組成物を含有させる方法;有機塩系の帯電防止剤を配合する方法などが挙げられる。求められる帯電防止性の保持時間は、一般的な偏光板の製造、流通及び保管期間の観点から、最低6ヶ月程度である。
粘着剤層27は、接着剤層を硬化させるため、活性エネルギー線を通す場合がある。そのため、活性エネルギー線の該当スペクトル領域に高透過率を有することが好ましい。なお、活性エネルギー線の照射により粘着剤としての諸特性が変化しないことが好ましい。
粘着剤層27は、例えば、温度23℃、相対湿度65%の環境下で3〜20日程度熟成され、架橋剤の反応を十分に進行させた後、液晶セル10への貼合に供される。
粘着剤層27の厚みは、その接着力などに応じて適宜決定されるが、通常、1〜40μm程度である。加工性や耐久性などの特性を損なうことなく、薄型の偏光板20を得るためには、粘着剤層の厚みは3〜25μm程度とすることが好ましい。また、光拡散剤が分散された粘着剤層を用いる場合、粘着剤層27の厚みをこの範囲とすることにより、液晶表示装置1を正面から見た場合や斜めから見た場合の明るさを保ち、表示像のにじみやボケを生じにくくすることができる。
(5)離型フィルム(第1の離型フィルム)
離型フィルム80は、粘着剤層27に剥離可能に貼合され、粘着剤層27の表面を乾燥等から保護するためのフィルムである。離型フィルム80は、本発明の第1の離型フィルムに相当する。離型フィルム80としては、通常、透明基材フィルムに易剥離層を形成して、粘着剤層からの剥離性を付与したものが用いられる。透明基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフトレート、ポリエチレン、及びポリプロピレンのような熱可塑性樹脂の押出フィルム、それらを組み合わせた共押出フィルム、それらを一軸又は二軸に延伸したフィルムなどが挙げられる。
離型フィルム80のJIS L 1096に準処して測定されるガーレ法剛軟度は、20mgf以上であることが好ましく、70mgf以上であることがより好ましい。ガーレ法剛軟度が20mgf未満であると、離型フィルムの剛性が不足であり、ハンドリング性が低下することがある。
(6)接着剤層(不図示)
偏光フィルム21への内側保護フィルム23と外側保護フィルム25の貼合は、通常、接着剤層を介してなされる。偏光フィルム21の両面に設けられる接着剤層を形成する接着剤は、同種であってもよく、異種であってもよい。
接着剤としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを接着剤成分とする接着剤を用いることができる。好ましく用いられる接着剤の1つは、無溶剤型の接着剤である。無溶剤型の接着剤は、有意量の溶剤を含まず、加熱や活性エネルギー線(例えば、紫外線、可視光、電子線、X線等)の照射により反応硬化する硬化性化合物(モノマー又はオリゴマーなど)を含み、この硬化性化合物の硬化により接着剤層を形成するものであり、典型的には、加熱や活性エネルギー線の照射により反応硬化する硬化性化合物と、重合開始剤とを含む。特に、内側保護フィルム23や外側保護フィルム25がポリプロピレン系樹脂からなる場合、ポリプロピレン系樹脂フィルムは透湿度が低いため、水系接着剤を使用した場合に水抜けが悪く、接着剤の水分によって偏光フィルム21の損傷や偏光性能の劣化などを引き起こす場合がある。したがって、このような透湿度の低い樹脂フィルムを接着する場合には、無溶剤系の接着剤が好ましい。
速硬化性及びこれに伴う偏光板20の生産性向上の観点から、接着剤層を形成する好ましい接着剤の例として、活性エネルギー線の照射で硬化する活性エネルギー線硬化性接着剤を挙げることができる。このような活性エネルギー線硬化性接着剤の例として、例えば、紫外線や可視光などの光エネルギーで硬化する光硬化性接着剤が挙げられる。光硬化性接着剤としては、反応性の観点から、カチオン重合で硬化するものが好ましく、特に、エポキシ化合物を硬化性化合物とする無溶剤型のエポキシ系接着剤は、偏光フィルム21と内側保護フィルム23や外側保護フィルム25との接着性に優れているためより好ましい。
上記無溶剤型のエポキシ系接着剤に含有される硬化性化合物であるエポキシ化合物としては、特に制限されないが、カチオン重合により硬化するものが好ましい。特に、耐候性や屈折率などの観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を用いることがより好ましい。このような分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物として、芳香族エポキシ化合物の水素化物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが例示できる。なお、硬化性化合物であるエポキシ化合物は、通常、分子内に2個以上のエポキシ基を有する。
未硬化のエポキシ系接着剤からなる接着剤層を介して偏光フィルム21に内側保護フィルム23や外側保護フィルム25を貼合した後は、活性エネルギー線を照射するか、又は加熱することにより、接着剤層を硬化させ、偏光フィルム21上に内側保護フィルム23や外側保護フィルム25を固着させる。活性エネルギー線の照射により硬化させる場合、好ましくは紫外線が用いられる。具体的な紫外線光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどを挙げることができる。活性エネルギー線、例えば紫外線の照射強度や照射量は、カチオン重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光フィルム21などのフィルムに悪影響を与えないように適宜選択される。また、加熱により硬化させる場合は、一般的に知られた方法で加熱することができ、そのときの温度や時間も、カチオン重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光フィルム21などのフィルムに悪影響を与えないように適宜選択される。
以上のようにして得られる、硬化後のエポキシ系接着剤からなる接着剤層の厚みは、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下であり、また通常は1μm以上である。
また、接着剤として、接着剤層を薄くする観点から、水系接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解した、又は接着剤成分を水に分散させた接着剤を用いることもできる。水系接着剤としては、例えば、主成分として架橋性エポキシ樹脂やウレタン樹脂を用いた水系組成物が挙げられる。
架橋性エポキシ樹脂としては、例えば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンとアジピン酸のようなジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂を挙げることができる。かかるポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている"スミレーズレジン 650"や"スミレーズレジン 675"などがある。
接着剤成分として水溶性のエポキシ樹脂を用いる場合は、塗工性と接着性を更に向上させるために、ポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を混合するのが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。中でも、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸又はその塩との共重合体のケン化物、すなわち、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。なお、ここでいう「カルボキシル基」とは、「−COOH」やその塩を含む概念である。
市販されている好適なカルボキシル基変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、それぞれ(株)クラレから販売されているクラレポバールKL−506、クラレポバールKL−318及びクラレポバールKL−118、それぞれ日本合成化学工業(株)から販売されているゴーセナール(登録商標)T−330及びゴーセナール(登録商標)T−350、電気化学工業(株)から販売されているDR−0415、それぞれ日本酢ビ・ポバール(株)から販売されているAF−17、AT−17及びAP−17などが挙げられる。
水溶性のエポキシ樹脂を含む接着剤とする場合、そのエポキシ樹脂及び必要に応じて加えられるポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を水に溶解して、接着剤溶液を構成する。この場合、水溶性のエポキシ樹脂は、水100重量部あたり0.2〜2重量部程度の範囲の濃度とするのが好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その量は、水100重量部あたり1〜10重量部程度、さらには1〜5重量部程度とするのが好ましい。
一方、ウレタン系樹脂を含む水系の接着剤を用いる場合、適当なウレタン樹脂の例として、アイオノマー型のウレタン樹脂、特にポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を挙げることができる。ここで、アイオノマー型とは、骨格を構成するウレタン樹脂中に、少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。また、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。このようなアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の市販品として、例えば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている"ハイドラン(登録商標) AP−20"、"ハイドラン(登録商標) APX−101H"などがあり、いずれもエマルジョンの形で入手できる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を接着剤成分とする場合、通常はさらにイソシアネート系などの架橋剤を配合するのが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、分子内にイソシアナト基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物であり、その例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのようなポリイソシアネート単量体のほか、それらの複数分子がトリメチロールプロパンのような多価アルコールに付加したアダクト体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分でイソシアヌレート環を形成した3官能のイソシアヌレート体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分で水和・脱炭酸して形成されるビュレット体のようなポリイソシアネート変性体などがある。好適に使用しうる市販のイソシアネート系架橋剤として、例えば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている"ハイドラン(登録商標)アシスター C−1"などが挙げられる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を含む水系接着剤を用いる場合は、粘度と接着性の観点から、そのウレタン樹脂の濃度が10〜70重量%程度、更には20重量%以上、また50重量%以下となるように、水中に分散させたものが好ましい。イソシアネート系架橋剤を配合する場合は、ウレタン樹脂100重量部に対してイソシアネート系架橋剤が5〜100重量部程度となるように、その配合量を適宜選択すればよい。
偏光フィルム21の表面に、接着剤を用いて内側保護フィルム23と外側保護フィルム25を貼合する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクターブレード法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などにより、偏光フィルム21及び/又はこれに貼合されるフィルムの接着面に接着剤を塗布し、両者を重ね合わせる方法が挙げられる。流延法とは、被塗布物であるフィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、又は両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。
偏光フィルム21及び/又はそれに貼合されるフィルムの接着表面には、接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
水系接着剤を介して接合された積層体は、通常、乾燥処理が施され、接着剤層の乾燥、硬化が行われる。乾燥処理は、例えば熱風を吹き付けることにより行うことができる。乾燥温度は、通常40〜100℃程度の範囲から選択され、好ましくは60〜100℃である。乾燥時間は、例えば20〜1,200秒程度である。乾燥後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上、また好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下である。接着剤層の厚みが大きくなりすぎると、偏光板20の外観不良となりやすい。
(偏光フィルム21と保護フィルム23,25の貼合)
次に、偏光フィルム21と内側保護フィルム23、及び偏光フィルム21と外側保護フィルム25などを貼合してロール状偏光板71を作製する方法について説明する。ロール状偏光板71は、後述するロール・トゥ・セル貼合で液晶セル40に貼合するためには、ロール状である必要があり、このため各フィルムの貼合はロール・トゥ・ロール貼合方式で行われることが好ましい。なお、ロール・トゥ・ロール貼合方式は、ロール状の偏光フィルムとロール状の樹脂フィルムを貼合する方式である。
偏光フィルム21と外側保護フィルム25を貼り合わせる際には、偏光フィルム21のうち外側保護フィルム25と貼り合わされる側の表面にコロナ放電処理を施し、この処理面を介して外側保護フィルム25に貼合するようにすることが好ましい。このように表面処理することで、偏光フィルム21と外側保護フィルム25との密着性が良好となる。偏光フィルム21と内側保護フィルム23を貼り合わせる場合も同様である。
(ロール状偏光板71´:第2のロール状偏光板)
次に、ロール状偏光板71´について説明する。ロール状偏光板71´は、液晶パネル2の視認側(前面側)偏光板(偏光板30)として用いられる。ロール状偏光板71´は、本発明の第2のロール状偏光板に相当する。ロール状偏光板71´は、外側保護フィルム35と、偏光フィルム31と、内側保護フィルム33と、粘着剤層37と、離型フィルム90とをこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成されている。なお、本発明において内側保護フィルム33は必須の構成要素ではない。
ロール状偏光板71´は、偏光フィルム31の吸収軸が長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、液晶セル40の短辺又は長辺のうちロール状偏光板71とは反対の辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれている。ロール状偏光板71´の巻き回し方向は特に制限されないが、例えば離型フィルム90側が内側となるように巻き回すことができる。
上記「液晶セル40の短辺又は長辺のうちロール状偏光板71とは反対の辺に対応する幅」とは、ロール状偏光板71´が貼り合わされる液晶セル40の短辺又は長辺の長さに応じて適切に設定された幅を指し、液晶セル40の短辺又は長辺の長さとロール状偏光板71´の幅とは必ずしも同じでなくてもよい。
(1)偏光フィルム31(第2の偏光フィルム)
偏光フィルム31は、本発明の第2の偏光フィルムに相当する。偏光フィルム31としては、上述した偏光フィルム21と同様に、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものを用いることができる。偏光フィルム21と偏光フィルム31とは、外形(厚み等)、材質及び製造方法などに関し、同じであっても異なっていてもよい。
(2)外側保護フィルム35(第2の外側保護フィルム)
外側保護フィルム35は、偏光フィルム31の外側に積層される樹脂フィルムである。外側保護フィルム35は、本発明の第2の外側保護フィルムに相当する。外側保護フィルム35としては、例えば通常の保護フィルムを採用することができる。この保護フィルムとしては、上述した外側保護フィルム25で説明したものと同様の構成を採用することができる。外側保護フィルム25と外側保護フィルム35とは、外形(厚み等)、材質及び製造方法などに関し、同じであっても異なっていてもよい。
外側保護フィルム35の表面には、種々の機能を発現する機能性層を設けてもよい。このような機能性層としては、例えば、ハードコート層、防眩層、反射防止層、低反射層、防汚層、帯電防止層などが挙げられる。
(3)内側保護フィルム33(第2の内側保護フィルム)
内側保護フィルム33は、偏光フィルム31の表面を保護する機能を有している。内側保護フィルム33としては、上述した内側保護フィルム23と同様に、延伸され位相差を有する保護フィルムであっても、延伸されておらず面内や厚み方向に実質的に位相差がない無配向性の保護フィルムのいずれであってもよい。
内側保護フィルム33が位相差を有する場合、面内位相差値(R)が40〜500nmの範囲にあり、厚み方向の位相差値(Rth)の絶対値が20〜500nmの範囲にあり、二軸性の樹脂フィルムが好ましい。この場合、内側保護フィルム33は、上述した内側保護フィルム23と同様に、オレフィン系樹脂フィルムを逐次二軸延伸して得られるものが好ましい。このような二軸延伸フィルムは、上述した内側保護フィルム23で説明したとおりであるため、詳細な説明は省略する。
また、内側保護フィルム33としては、無配向性フィルムを採用することもできる。ここで無配向性フィルムとは、樹脂を膜状に製膜した、延伸されていない樹脂フィルム(未延伸フィルム)を意味する。未延伸フィルムの製造方法としては、上述した内側保護フィルム23で説明した押出成形法、溶剤キャスト法などを採用することができる。
無配向性フィルムは、位相差を有していないため、二軸延伸フィルムのように液晶表示装置1の視野角を広げる機能はないが、二軸延伸フィルムのように延伸処理を行う必要がないため製造コストが低い。したがって、二軸延伸フィルムを使用する場合と比較して、液晶表示装置1の製造コストをより低くすることができる。
(4)粘着剤層37(第2の粘着剤層)
粘着剤層37は、本発明の第2の粘着剤層に相当する。粘着剤層37も、上記粘着剤層27において説明したものを同様に用いることができる。粘着剤層27と粘着剤層37は、外形(厚み等)、材質及び製造方法などに関し、同じであっても異なっていてもよい。
(5)離型フィルム90(第2の離型フィルム)
離型フィルム90は、本発明の第2の離型フィルムに相当する。離型フィルム90も、上記離型フィルム80において説明したものを同様に用いることができる。離型フィルム80と離型フィルム90は、外形(厚み等)、材質及び製造方法などに関し、同じであっても異なっていてもよい。
偏光フィルム31への外側保護フィルム35の貼合、積層は、ロール状偏光板71について記述した方法と同様であってよい。偏光フィルム31の両面に用いられる接着剤は、同種であってもよく、異種であってもよい。また、ロール状偏光板71の作製に使用される接着剤とロール状偏光板71´の作製に使用される接着剤は、同種であってもよく、異種であってもよい。
以上がロール状偏光板71とロール状偏光板71´を構成する各フィルムの説明である。ロール状偏光板71とロール状偏光板71´は、ロール状偏光板のセットとしてロール・ツゥー・セル方式の貼合工程(すなわち、ロール状の偏光板を液晶セル40に貼合していく工程)に供され、液晶パネル2とされる。本発明のロール状偏光板のセットによれば、ロール状偏光板71、ロール状偏光板71´は貼合する液晶セル40の長辺又は短辺に対応する幅を有しているため、それぞれ液晶セル40の短辺又は長辺のうちロール状偏光板の幅に対応する辺とは反対の辺の長さに裁断するだけで、液晶セル40に対応するサイズを有する偏光板を得ることができる。また、ロール状偏光板71,71´は、その長辺方向に吸収軸を有するため、後述するようにロール・ツゥー・セルでの貼合によって、優れた軸精度で偏光板と液晶セル40との貼合を行うことができる。これにより、光漏れが顕著に低減され、正面コントラストなどの表示性能も格段に向上した液晶パネル2を得ることができる。
(液晶表示装置1・液晶パネル2)
図2は、液晶パネル2と液晶表示装置1の基本的な層構成の一例を示す概略断面図である。この図に示す液晶表示装置1は、液晶パネル2と、バックライト10と、光拡散板50と、を備えている。液晶パネル2は、液晶セル40と、液晶セル40の背面側に貼合された偏光板20と、液晶セル40の視認側に貼合された偏光板30と、から構成されている。偏光板20は、液晶セル40側に内側保護フィルム23が、液晶セル40と反対側(液晶セル40から最も遠い側)に外側保護フィルム25が配置されるように液晶セル40に貼合される。また、偏光板30は、液晶セル40側に内側保護フィルム33が、液晶セル40と反対側(液晶セル40から最も遠い側)に外側保護フィルム25が配置されるように液晶セル40に貼合される。
液晶セル40は、ガラス基板の間に液晶物質を封入したセルを電気的に制御することで、画像を表示させる素子である。より詳細には、液晶セル40は、図示しない表示制御部からの電気的制御により液晶物質の分子配向を変化させることで、液晶セル40の背面側に配置した偏光板20により偏光化されたバックライト10の光の偏光状態を変化させ、液晶セル40の視認側に配置した偏光板30を透過する光の光量を制御することによって画像を表示させる。液晶セル40のモードは特に制限されないが、例えばVAモード、IPSモード、TNモード、STNモード、OCBモード、ASMモード、ブルー相の液晶を用いた液晶駆動モードなどを使用することができる。このうち特に、VAモード、IPSモード、ブルー相の液晶を用いた液晶駆動モードが好適である。
液晶パネル2や液晶表示装置1は、公知の方法で製造することができる。液晶パネル2の製造方法としては、ロール状に巻かれた長尺状の偏光板20や偏光板30を枚葉に切り出し、液晶セル40に貼合することで製造することができる。
通常、これらのモードの液晶セル40を用いて液晶パネル2が形成される場合には、偏光板20と偏光板30の吸収軸は互いに直交(クロスニコル)であり、かつこれらの吸収軸は矩形の液晶セル40の長辺方向又は短辺方向に平行となるように配置される。
バックライト10は、液晶セル40を照明するための装置である。バックライト10の種類としては、エッジライト式や直下型方式などが挙げられる。エッジライト式のバックライト10は、側面に配置した冷陰極管などの光源から導光板を通じて液晶セル40に光を照射する。また、直下型方式のバックライト10では、液晶セル40の背面側に光源を配置して液晶セル40に光を照射する。バックライト10の種類は、液晶表示装置1の用途に応じたものを適宜採用することができる。
光拡散板50は、バックライト10からの光を拡散させる機能を有する光学部材であって、例えば、熱可塑性樹脂に光拡散剤である粒子を分散させて光拡散性を付与したもの、熱可塑性樹脂フィルムの表面に凹凸を形成して光拡散性を付与したもの、熱可塑性樹脂フィルムの表面に粒子が分散された樹脂組成物の塗布層を設け、光拡散性を付与したものなどであり得る。光拡散板50の厚みは、0.1〜5mm程度とすることができる。
光拡散板50と液晶パネル2との間には、輝度向上シート(反射型偏光フィルムである(「DBEF」など))、光拡散シートなど、他の光学機能性を示すシート又はフィルムを配置することもできる。他の光学機能性を示すシート又はフィルムは、必要に応じて2枚以上、複数種類配置することも可能である。
上述したように、本発明では外側保護フィルム25と外側保護フィルム35のうち、少なくとも一方が上記高分子結晶体からなる点を特徴としている。外側保護フィルム25,35のうち一方のみが上記の条件を満たす高分子結晶体からなる保護フィルムである場合、他方は任意の保護フィルムを採用することができる。このような保護フィルムとしては、例えば内側保護フィルム23で説明した無配向性フィルムを採用することができる。外側保護フィルム25,35の種類の組合せとしては、以下の3通りが挙げられる。
(a)外側保護フィルム25が上記の条件を満たす高分子結晶体からなるフィルム、外側保護フィルム35が無配向性フィルム;
(b)外側保護フィルム25が無配向性フィルム、外側保護フィルム35が上記の条件を満たす高分子結晶体からなるフィルム;
(c)外側保護フィルム25、外側保護フィルム35の両方が上記の条件を満たす高分子結晶体からなるフィルム。
(b)や(c)の場合のように、視認側の偏光板30に上記の高分子結晶体からなる外側保護フィルム35を備える場合、以下の利点がある。すなわち、視認側の偏光板30は、液晶パネル2においてユーザーに対向する位置にあるため、外部からの衝撃等を受けやすい。このため、視認側の偏光板30に上述した高分子結晶体からなる外側保護フィルム25を配置することで、耐衝撃性や耐摩耗性などに優れた液晶パネル2や液晶表示装置1を提供することが可能となる。
(他の実施形態)
上述した実施形態では、偏光板20と偏光板30がいずれも内側保護フィルムを備える層構成の例について説明したが、本発明の偏光板のセットとしては、内側保護フィルムを備えていない層構成であってもよい。以下、この実施形態について説明する。
図3は、他の実施形態のロール状偏光板のセットを示した断面模式図である。この図に示すとおり、本実施形態の偏光板のセットは、液晶セル40の背面側に配置される偏光板20と、視認側に配置される偏光板30と、からなる。このうち偏光板30は、偏光フィルム31と外側保護フィルム35から構成されている。すなわち、上述した実施形態と異なり、本実施形態では内側保護フィルム33を備えていない。このように、内側保護フィルム33を備えない構成とすることで、層構成を簡単にすることが可能となり、製造コストの低減を図ることができる。
このように、本発明では内側保護フィルムを備えない構成であってもよい。なお、上述した図3では、視認側の偏光板30のみ内側保護フィルム33を備えない構成について説明したが、背面側の偏光板20についても内側保護フィルム23を備えない構成であってもよい。
<ロール状偏光板のセットの製造方法>
次に、ロール状偏光板のセットの製造方法について説明する。以下に掲げる製造方法は、図1に記載したロール状偏光板のセットを製造する場合の実施形態について説明している。なお、図3など他の実施形態のロール状偏光板のセットを製造する場合も同様の製造方法を採用することができることは言うまでもない。
この実施形態におけるロール状偏光板のセットは、以下の工程(a)〜(c)を備える第1のロール状偏光板製造工程と、以下の工程(d)〜(f)を備える第2のロール状偏光板製造工程とを含む方法によって好適に作製することができる。なお、図4〜図7に記載した他の構成のロール状偏光板を製造する際にも、同様の製造方法を採用することができる。
(a)外側保護フィルム25と、偏光フィルム21と、内側保護フィルム23と、粘着剤層27と、離型フィルム80とをこの順に、かつ偏光フィルム21の吸収軸が長辺方向(第1の偏光板長尺原反の長辺方向)と平行な方向となるように積層して第1の偏光板長尺原反を作製する第1原反作製工程、
(b)第1原反作製工程で得られる第1の偏光板長尺原反を液晶セル40の長辺又は短辺に対応する幅となるように切断して長尺の偏光板を得る第1スリット工程、
(c)第1スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第1偏光板巻き取り工程。
(d)外側保護フィルム35と、偏光フィルム31と、内側保護フィルム33と、粘着剤層37と、離型フィルム90とをこの順に、かつ偏光フィルム31の吸収軸が長辺方向(第2の偏光板長尺原反の長辺方向)と平行な方向となるように積層して第2の偏光板長尺原反を作製する第2原反作製工程、
(e)第2原反作製工程で得られる第2の偏光板長尺原反を液晶セル40の短辺又は長辺のうち前記第1スリット工程とは反対の辺に対応する幅となるように切断して長尺の偏光板を得る第2スリット工程、
(f)第2スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第2偏光板巻き取り工程。
第1原反作製工程(a)及び第2原反作製工程(d)で行われる各種フィルム(粘着剤層を含む)の貼合、積層は、同時に行ってもよいし、逐次的に行ってもよい。これらのフィルムの貼合、積層は、例えば、ロール状のフィルムを用いたロール・ツゥー・ロール方式で行うことができる。
第1スリット工程(b)において、第1の偏光板長尺原反は、偏光フィルム21の吸収軸に平行に(第1の偏光板長尺原反の長辺方向に平行に)液晶セル40の長辺に対応する幅でスリット加工される。その場合、第2スリット工程(e)において、第2の偏光板長尺原反は、偏光フィルム31の吸収軸に平行に(第2の偏光板長尺原反の長辺方向に平行に)液晶セル40の短辺に対応する幅でスリット加工される。
第1スリット工程(b)及びそれに続く第1偏光板巻き取り工程(c)においては、ロール状に巻き取られた第1偏光板長尺原反を巻き出してスリットしながら、スリットされた長尺の偏光板をロール状に巻き取る方法、第1原反作製工程で得られるロール状に巻き取られていない第1の偏光板長尺原反を巻き取ることなくスリットし、スリットされた長尺の偏光板をロール状に巻き取る方法があり、いずれも採用できる。第2スリット工程(e)及びそれに続く第2偏光板巻き取り工程(f)についても同様である。第1偏光板巻き取り工程(c)及び第2偏光板巻き取り工程(f)におけるスリットされた長尺の偏光板の巻き取り方向は特に制限されないが、例えば離型フィルム80,90側が内側となるように巻き取ることができる。
第1のロール状偏光板製造工程と第2のロール状偏光板製造工程の順序は特に制限されず、同時に並行して行ってもよいし、逐次的に行ってもよい。
このロール状偏光板のセットの製造方法によれば、ロール状偏光板71とロール状偏光板71´は液晶セル40の短辺又は長辺に対応する幅でスリット加工される。このため、これらをロール状偏光板としてセットで用いることにより、それぞれを液晶セル40の短辺又は長辺のうち、ロール状偏光板の幅に対応する辺とは反対の辺の長さに切断するだけで、液晶セル40に対応するサイズを有する偏光板を得ることができる。また、ロール状偏光板71,71´は、その長辺方向に吸収軸を有するため、偏光板と液晶セル40との貼合時における軸精度が良くなり、光漏れが顕著に低減され、正面コントラストなどの表示性能に優れる液晶パネル2を得ることができる。さらに、得られるロール状偏光板のセットにおいては、一方のロール状偏光板の吸収軸は液晶セル40の長辺に平行となり、他方のロール状偏光板の吸収軸は液晶セル40の短辺に平行となるため、両方のロール状偏光板(又はこれを所定形状に裁断して得られる偏光板)の長辺方向が液晶パネル製造工程における液晶セル40の搬送方向と平行になるようにして液晶セル40との貼合を行うだけで、それぞれの偏光板の吸収軸を互いに直交させることができる。
<液晶パネルの製造方法>
液晶パネル2は、上記ロール状偏光板のセットを用い、液晶セル40の背面側に偏光板20(ロール状偏光板71から所定形状に裁断された偏光板)を貼合し、液晶セル40の視認側に偏光板30(ロール状偏光板71´から所定形状に裁断された偏光板)を貼合して製造される。液晶パネル2の製造方法は、例えば、ロール状偏光板71は液晶セル40の長辺に対応する幅を有し、ロール状偏光板71´は液晶セル40の短辺に対応する幅を有する場合、液晶セル40を、その短辺方向が流れ方向となるように搬送する液晶セル40の第1搬送工程;下記工程(A)〜(D)を備える第1偏光板供給貼合工程;液晶セル40を、その長辺方向が流れ方向となるように搬送する液晶セル40の第2搬送工程;及び、下記工程(E)〜(H)を備える第2偏光板供給貼合工程を含んでいる。これにより、液晶セル40の一方の面に偏光板20が積層され、他方の面には偏光板30が積層された液晶パネル2が得られる。
(A)上記ロール状偏光板のセットのうち、ロール状偏光板71から長尺の偏光板を、液晶セル40の第1搬送工程で供給される液晶セル40の背面側に向かうように巻き出す第1偏光板巻き出し工程、
(B)第1偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を液晶セル40の短辺に対応する長さに裁断して、偏光板20を得る第1偏光板裁断工程、
(C)第1偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は第1偏光板裁断工程で裁断された偏光板(偏光板20)を、液晶セル40の第1搬送工程で搬送される液晶セル40の貼合されるべき位置に合わせる第1偏光板位置合わせ工程、
(D)第1偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板(偏光板20)を液晶セル40の第1搬送工程で搬送される液晶セル40の背面側に貼り合わせる第1偏光板貼合工程。
(E)上記ロール状偏光板のセットのうち、ロール状偏光板71´から長尺の偏光板を、液晶セル40の第2搬送工程で搬送される液晶セル40の視認側に向かうように巻き出す第2偏光板巻き出し工程、
(F)第2偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を液晶セル40の長辺に対応する長さに裁断して、偏光板30を得る第2偏光板裁断工程、
(G)第2偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は第2偏光板裁断工程で裁断された偏光板(偏光板30)を、液晶セル40の第2搬送工程で搬送される液晶セル40の貼合されるべき位置に合わせる第2偏光板位置合わせ工程、
(H)第2偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板(偏光板30)を液晶セル40の第2搬送工程で搬送される液晶セル40の視認側に貼り合わせる第2偏光板貼合工程。
図4は、液晶パネル2の製造方法の一例を示す概略図であり、具体的には、第1搬送工程及び第1偏光板供給貼合工程、並びにこれらの工程の実施に好適に用いることができる装置の概略を示したものである。この図に示すように、液晶セル40の背面側への偏光板20の貼合は、以下の工程を経て行われ、これにより片面に偏光板20が貼合された液晶セル41が得られる。
・ベルトコンベヤー等を用いた液晶セル40の第1搬送工程64;
・巻き出し用ロール等を用いて、ロール状偏光板71から長尺の偏光板72を巻き出す(A)第1偏光板巻き出し工程60;
・巻き出された長尺の偏光板72を、切断手段62aを用いて、液晶セル40の短辺に対応する長さに裁断して、偏光板20を得る(B)第1偏光板裁断工程62;
・巻き出された長尺の偏光板72又は第1偏光板裁断工程62で裁断して得られた偏光板20を、センサ61a等を用いた位置制御により、搬送された液晶セル40の貼合されるべき位置に合わせる(C)第1偏光板位置合わせ工程61;
・第1偏光板位置合わせ工程61を経た後の長尺の偏光板72又は裁断して得られた偏光板20を、貼合ロール63a等を用いて、搬送された液晶セル40の背面側に貼り合わせる(D)第1偏光板貼合工程63。
(B)第1偏光板裁断工程62で用いる切断手段62aとしては、例えば、レーザー、切断刃、その他の公知の切断手段を用いることができる。なお、当該裁断工程においては、図4に示されるように、長尺の偏光板72の最表面に配置される離型フィルム80を裁断することなく他各層のみを裁断する、いわゆる「ハーフカット」を行うことが好ましい。これにより、離型フィルム80を、所定形状に裁断された偏光板20の搬送媒体として利用することができる。また、この際、離型フィルム80に適度な張力をかけることにより、所定形状に裁断された偏光板20のカール発生を抑制することができる。
ただし、図5に示されるように、所定形状に裁断された偏光板20の搬送媒体として、別途、離型フィルム回収用フィルム76を用いる場合には、「ハーフカット」ではなく、長尺の偏光板72を構成するすべての層を切断してもよい。この場合、後述する離型フィルム回収工程65においては、裁断された偏光板から剥離された離型フィルム80ごと離型フィルム回収用フィルム76が回収される。離型フィルム回収用フィルム76としては、離型フィルム80に対して粘着性を有するフィルムが用いられる。
(C)第1偏光板位置合わせ工程61においては、センサ61aによって得られる長尺の偏光板72又は偏光板20と液晶セル40との相対的位置関係情報に基づいて、長尺の偏光板72又は偏光板20を固定し、液晶セル40の位置を調整して位置合わせを行ってもよいし、液晶セル40を固定し、長尺の偏光板72又は偏光板20の位置を調整して位置合わせを行ってもよい。後者の場合、ハンドリング性の観点から、(B)第1偏光板裁断工程62を(C)第1偏光板位置合わせ工程61の前に行い、所定形状に裁断された偏光板20の状態で位置合わせを行うことが好ましい。
(D)第1偏光板貼合工程63において、長尺の偏光板72又は裁断して得られた偏光板20の液晶セル40への貼合は、図4に示されるように、離型フィルム剥離装置81を用いて、位置合わせされた長尺の偏光板72又は偏光板20から離型フィルム80を剥離した後(離型フィルム回収工程65)、露出した粘着剤層27側で液晶セル40上に積層し、貼合ロール63aを用いて押し付けることにより行うことができる。離型フィルム回収工程65は、剥離した離型フィルム80を巻き取る工程を含む。
ここで、(A)第1偏光板巻き出し工程60に続く、(B)第1偏光板裁断工程62、(C)第1偏光板位置合わせ工程61及び(D)第1偏光板貼合工程63の順序は特に制限されず、例えば、(B)→(C)→(D)の順、又は(C)→(B)→(D)の順に行うことができる。あるいは、図6に示されるように、(C)→(D)→(B)の順に行うこともできる。このような順序で行う装置においては、この図に示されるように、センサ61a、切断手段62a及び貼合ロール63a等は、必要に応じて、その伸縮により各構成部品の装置における位置を移動させることができる伸縮部75を備えることができる。各構成部品が固定式であり、いずれかの工程を行うためのスペースが確保できない場合であっても、伸縮部75を設けることにより、工程終了後に構成部品の位置を移動させることが可能になるため、次工程を行うためのスペースを確保することができる。
偏光板のハンドリング性の観点からは、(B)第1偏光板裁断工程62を(C)第1偏光板位置合わせ工程61の前に行い、所定形状に裁断された偏光板20の状態で位置合わせを行うことが好ましい。
(B)→(C)→(D)の順に行う場合、工程(B)における長尺の偏光板72の裁断と、工程(C)における位置合わせのタイミングは特に制限されず、図4に示されるように、工程(C)の直前に工程(B)の位置合わせを行うようにしてもよいし、あるいは図7に示されるように、工程(B)と(C)との間に一定のインターバルを設けるようにしてもよい。後者の場合、裁断時に偏光板の位置ずれが生じることによって、工程(C)における位置合わせ精度が低下することを防止することができる。
液晶セル40の視認側への偏光板30(図4において図示せず)の貼合(第2偏光板供給貼合工程)も、液晶セル40への上記偏光板20の貼合(第1偏光板供給貼合工程)と同様にして行うことができる。なお、図4〜図7及び後述する図8,図9は、液晶セル40にまず偏光板20を貼合する例を示しているが、偏光板30を貼合した後、偏光板20を貼合するようにしてもよい。
図8は、液晶パネル2の製造方法の一例を示す概略図であり、具体的には、液晶セル40の背面側に偏光板20を貼合して、片面に偏光板20が貼合された液晶セル41を得た後、液晶セル40の視認側に偏光板30を貼合して液晶パネル2を作製する場合の一例を示したものである。この図において、(A)第1偏光板巻き出し工程60及び(E)第2偏光板巻き出し工程60´は、(A)第1偏光板巻き出し工程60でロール状偏光板71から巻き出された長尺の偏光板72の流れ方向と、(E)第2偏光板巻き出し工程60´でロール状偏光板71´から巻き出された長尺の偏光板72´の流れ方向とが直交するようになっている。これらの流れ方向が直交していると、必然的に液晶セル40の両面に貼合される偏光板の吸収軸も互いに直交した状態となる。このため、この製造方法では、後述する図9に示される方法において必要とされる液晶セル40の旋回工程92を省略し、上下反転工程91のみを介して第1偏光板供給貼合工程と第2偏光板供給貼合工程とを連続的に行うことが可能となり、生産効率を向上させることができる。なお、第1偏光板供給貼合工程と第2偏光板供給貼合工程とは、同じ場所で行ってもよいし、異なる場所で行ってもよい。
また、(A)第1偏光板巻き出し工程60及び(E)第2偏光板巻き出し工程60´は、図9に示されるように、(A)第1偏光板巻き出し工程60でロール状偏光板71から巻き出された長尺の偏光板72の流れ方向と、(E)第2偏光板巻き出し工程60´でロール状偏光板71´から巻き出された長尺の偏光板72´の流れ方向とが平行になるように行われてもよい。このような場合においては、通常、この図に示されるように、上下反転工程91を経た、片面に偏光板20が貼合された液晶セル41を、次の第2偏光板供給貼合工程の流れ方向に旋回させる旋回工程92が設けられる。この図で示されるように、省スペースの観点から、第1偏光板供給貼合工程の工程ラインと第2偏光板供給貼合工程の工程ラインとは上下に配置されることが好ましい。
なお、上記いずれの液晶パネル2の製造方法においても、(A)第1偏光板巻き出し工程60及び(E)第2偏光板巻き出し工程60´での長尺の偏光板72、72´の供給を液晶セル40の両側から行うことにより、上下反転工程91を省略することが可能となる。図8及び図9には、第1偏光板巻き出し工程60で巻き出される長尺の偏光板72及び第2偏光板巻き出し工程60´で巻き出される長尺の偏光板72´が、ともに液晶セル40,41の上側から供給され、貼合される形態を示したが、上下を反転させ、長尺の偏光板72,72´がそれぞれ、液晶セル40,41の下側から供給され、貼合されるようにすることも可能である。
上記(A)〜(H)のいずれかの工程の前若しくは後、又はこれらのいずれかの工程と並行して、偏光板の欠点検査工程を設けてもよい。欠点検査方法としては特に制限されず、例えば、偏光板の両面に対して透過光又は反射光を照射して画像撮影を行い、得られた画像から欠点を検出する方法、検査用偏光板をCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の吸収軸とクロスニコルとなるように配置(0°クロスと称することがある)して画像撮影を行い、得られた画像から欠点を検出する方法、検査用偏光板をCCDカメラと検査対象物との間に、検査対象である偏光板の吸収軸に対して検査用偏光板の吸収軸が所定角度(例えば、0°より大きく10°以内の範囲)になるように配置(x°クロスと称することがある)して画像撮影を行い、得られた画像から欠点を検出する方法が挙げられる。なお、得られた画像から欠点を検出する際の画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
上記のうち、透過光を照射して画像撮影を行う方法では、偏光板内部の異物を検出できる。反射光を照射して画像撮影を行う方法では、偏光板表面に付着した異物を検出できる。0°クロスで検査用偏光板を配置し、画像撮影を行う方法では、主に、表面に付着した異物又は汚れ、及び内部の異物等を輝点として検出できる。x°クロスで検査用偏光板を配置し、画像撮影を行う方法では、主に、偏光フィルム21,31と、外側保護フィルム25,35、内側保護フィルム23,33との界面において生じる局所的な凹凸欠陥、いわゆるクニックを検出することができる。
上記欠点検査工程を設ける場合には、欠点検査工程で得られた欠点の情報に基づいて、裁断工程(工程(B)及び(F)、位置合わせ工程(工程(C)及び(G))又は貼合工程(工程(D)及び(H))において、液晶セル40に貼合される偏光板領域内に欠点を含まないように、欠点を避けて切断、位置合わせ又は貼合されることが好ましい。また、歩留まりの観点からは、欠点検査工程は、好ましくは第1、第2偏光板貼合工程(D)、(H)より前に行われて、欠点部分を排除することが好ましい。
また、液晶パネル2の製造方法においては、液晶セル40の両面に偏光板を貼合した後、液晶パネル2を検査する液晶パネル欠点検査工程を含むことが好ましい。欠点検査方法としては、液晶パネル2の両面に対して反射光を照射して画像撮影を行い、得られた画像から欠点を検出する方法が例示される。また、他の方法として、検査用偏光板をCCDカメラと検査対象物との間に設置する方法も例示される。なお、得られた画像から欠点を検出する際の画像処理のアルゴリズムは公知の方法を適用でき、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
さらに、上記液晶パネル2の欠点検査工程で得られた欠点の情報に基づいて、液晶パネル2の良品判定がなされる判定工程を設けてもよい。良品判定された液晶パネル2は、次工程である液晶表示装置1への実装工程に供される。一方、不良品判定された場合には、リワーク処理(液晶セル40から偏光板を剥がす工程)が施され、新たに偏光板が貼合され、次いで検査される。良品判定の場合、実装工程に移行し、不良品判定の場合、再度リワーク処理に移行するかあるいは廃棄処分される。
以上に示した液晶パネル2の製造方法は、第1偏光板供給貼合工程と第2偏光板供給貼合工程とを連続した製造ラインで実施することができ、製造効率に優れる。本発明の液晶パネル2の製造方法に含まれる各工程は、高品質の液晶パネル2を得るために、清浄度の高い隔離構造内部で行うことが好ましい。
上述した例では、ロール状偏光板71は液晶セル40の長辺に対応する幅を有する状態で、ロール状偏光板71´は液晶セル40の短辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれていた。そして、液晶セルの第1搬送工程において、液晶セル40の短辺が流れ方向となるように搬送し、第1偏光板裁断工程において、ロール状偏光板71を液晶セル40の短辺に対応する長さに裁断して液晶セル40の背面側に貼合し、液晶セルの第2搬送工程において、液晶セル40の長辺が流れ方向となるように搬送し、ロール状偏光板71´を液晶セル40の長辺に対応する長さに裁断して液晶セル40の視認側に貼合している。
しかしながら、ロール状偏光板71は液晶セル40の短辺に対応する幅を有する状態で、ロール状偏光板71´は液晶セル40の長辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれていた場合、液晶セルの第1搬送工程において、液晶セル40の長辺が流れ方向となるように搬送し、第1偏光板裁断工程において、ロール状偏光板71を液晶セル40の長辺に対応する長さに裁断して液晶セル40の背面側に貼合し、液晶セルの第2搬送工程において、液晶セル40の短辺が流れ方向となるように搬送し、ロール状偏光板71´を液晶セル40の短辺に対応する長さに裁断して液晶セル40の視認側に貼合することになる。
1 液晶表示装置、2 液晶パネル、10 バックライト、20 偏光板(第1の偏光板)、21 偏光フィルム(第1の偏光フィルム)、23 内側保護フィルム(第1の内側フィルム)、25 外側保護フィルム(第1の外側保護フィルム)、27 粘着剤層(第1の粘着剤層)、30 偏光板(第2の偏光板)、31 偏光フィルム(第2の偏光フィルム)、33 内側保護フィルム(第2の内側保護フィルム)、35 外側保護フィルム(第2の外側保護フィルム)、37 粘着剤層(第2の粘着剤層)、40 液晶セル、41 片面に偏光板が貼合された液晶セル、50 光拡散板、60 第1偏光板巻き出し工程、60´ 第2偏光板巻き出し工程、61 第1偏光板位置合わせ工程、61´ 第2偏光板位置合わせ工程、61a センサ、62 第1偏光板裁断工程、62´ 第2偏光板裁断工程、62a 切断手段、63 第1偏光板貼合工程、63´ 第2偏光板貼合工程、63a 貼合ロール、64 液晶セルの第1搬送工程、64´ 液晶セルの第2搬送工程、65,65´ 離型フィルム回収工程、71 ロール状偏光板、71´ 第2のロール状偏光板、72 ロール状偏光板71から巻き出された長尺の偏光板、72´ ロール状偏光板71´から巻き出された長尺の偏光板、75 伸縮部、76 離型フィルム回収用フィルム、80 離型フィルム(第1の離型フィルム)、81 離型フィルム剥離装置、90 離型フィルム(第2の離型フィルム)、91 上下反転工程、92 旋回工程

Claims (10)

  1. 液晶セルの背面側に貼合するための第1のロール状偏光板と、前記液晶セルの視認側に貼合するための第2のロール状偏光板とからなるロール状偏光板のセットであって;
    前記第1のロール状偏光板は、
    透明樹脂からなる第1の外側保護フィルムと、
    ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルムと、
    第1の粘着剤層と、第1の離型フィルムがこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ
    前記第1の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、
    前記液晶セルの長辺又は短辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており;
    前記第2のロール状偏光板は、
    透明樹脂からなる第2の外側保護フィルムと、
    ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルムと、
    第2の粘着剤層と、第2の離型フィルムがこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ
    前記第2の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、
    前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1のロール状偏光板とは反対の辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており、
    前記第1の外側保護フィルムと前記第2の外側保護フィルムの少なくとも一方は、下記の(I)及び(II)の条件を満たす高分子結晶体からなることを特徴とするロール状偏光板のセット:
    (I)上記高分子結晶体の結晶化度が70%以上である;
    (II)上記高分子結晶体の結晶のサイズが300nm以下である。
  2. 液晶セルの背面側に貼合するための第1のロール状偏光板と、前記液晶セルの視認側に貼合するための第2のロール状偏光板とからなるロール状偏光板のセットであって;
    前記第1のロール状偏光板は、
    透明樹脂からなる第1の外側保護フィルムと、
    ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルムと、
    第1の粘着剤層と、第1の離型フィルムがこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ
    前記第1の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、
    前記液晶セルの長辺又は短辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており;
    前記第2のロール状偏光板は、
    透明樹脂からなる第2の外側保護フィルムと、
    ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルムと、
    第2の粘着剤層と、第2の離型フィルムがこの順に積層してなる長尺の偏光板から構成され、かつ
    前記第2の偏光フィルムの吸収軸が前記長尺の偏光板の長辺方向と平行な方向となり、
    前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1のロール状偏光板とは反対の辺に対応する幅を有する状態でロール状に巻かれており、
    前記第1の外側保護フィルムと前記第2の外側保護フィルムの少なくとも一方は、下記の(I)及び(II´)の条件を満たす高分子結晶体からなることを特徴とするロール状偏光板のセット:
    (I)上記高分子結晶体の結晶化度が70%以上である;
    (II´)上記高分子結晶体の結晶の数密度が40μm−3以上である。
  3. 前記高分子結晶体が汎用プラスチックである、請求項1又は2に記載のロール状偏光板のセット。
  4. 前記汎用プラスチックがポリプロピレン系樹脂である、請求項3に記載のロール状偏光板のセット。
  5. 前記第1のロール状偏光板及び前記第2のロール状偏光板のいずれか一方又は両方は、前記偏光フィルムと前記粘着剤層との間に透明樹脂からなる内側保護フィルムを有する、請求項1〜4のいずれかに記載のロール状偏光板のセット。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のロール状偏光板のセットの製造方法であって、
    前記高分子結晶体は、
    高分子融液を、臨界伸長ひずみ速度以上のひずみ速度で伸長して配向融液状態にする配向融液化工程と、
    前記高分子融液の配向融液状態を維持しつつ冷却結晶化する急冷結晶化工程と、を含むことを特徴とするロール状偏光板のセットの製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のロール状偏光板のセットの製造方法であって、
    前記第1の外側保護フィルムと、前記第1の偏光フィルムと、前記第1の粘着剤層と、前記第1の離型フィルムとをこの順に、かつ前記第1の偏光フィルムの吸収軸が長辺方向と平行な方向となるように積層して第1の偏光板長尺原反を作製する第1原反作製工程と、
    前記第1原反作製工程で得られる第1の偏光板長尺原反を前記液晶セルの長辺又は短辺に対応する幅となるように切断する第1スリット工程と、
    前記第1スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第1偏光板巻き取り工程と、を備える第1のロール状偏光板製造工程;及び
    前記第2の外側保護フィルムと、前記第2の偏光フィルムと、前記第2の粘着剤層と、前記第2の離型フィルムとをこの順に、かつ前記第2の偏光フィルムの吸収軸が長辺方向と平行な方向となるように積層して第2の偏光板長尺原反を作製する第2原反作製工程と、
    前記第2原反作製工程で得られる第2の偏光板長尺原反を前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1スリット工程とは反対の辺に対応する幅となるように切断する第2スリット工程と、
    前記第2スリット工程で得られる長尺の偏光板をロール状に巻き取る第2偏光板巻き取り工程と、を備える第2のロール状偏光板製造工程を含むことを特徴とするロール状偏光板のセットの製造方法。
  8. 液晶セルの背面側に第1の偏光板を貼合し、前記液晶セルの視認側に第2の偏光板を貼合して、液晶パネルを製造する方法であって;
    前記液晶セルの短辺又は長辺のうち、請求項1〜5のいずれかに記載のロール状偏光板のセットにおける第1のロール状偏光板の幅に対応する辺とは反対の辺が流れ方向の辺となるように前記液晶セルを搬送する液晶セルの第1搬送工程;
    前記第1のロール状偏光板から長尺の偏光板を、前記液晶セルの第1搬送工程で供給される前記液晶セルの背面側に向かうように巻き出す第1偏光板巻き出し工程と、
    前記第1偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を前記液晶セルの短辺又は長辺のうち前記第1搬送工程における流れ方向の辺に対応する長さに裁断する第1偏光板裁断工程と、
    前記第1偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は前記第1偏光板裁断工程で裁断された偏光板を、前記液晶セルの第1搬送工程で搬送される液晶セルの貼合されるべき位置に合わせる第1偏光板位置合わせ工程と、
    前記第1偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板を前記液晶セルの第1搬送工程で搬送される前記液晶セルの背面側に貼り合わせる第1偏光板貼合工程と、を備え、かつ
    前記第1偏光板巻き出し工程が最初に行われ、その後、前記第1偏光板裁断工程、前記第1偏光板位置合わせ工程、及び前記第1偏光板貼合工程の順、又は、前記第1偏光板位置合わせ工程、前記第1偏光板裁断工程、及び前記第1偏光板貼合工程の順、又は前記第1偏光板位置合わせ工程、前記第1偏光板貼合工程、及び前記第1偏光板裁断工程の順に行われる第1偏光板供給貼合工程;
    前記液晶セルを、その長辺又は短辺方向のうち前記第1搬送工程とは反対の辺が流れ方向となるように搬送する液晶セルの第2搬送工程;
    及び請求項1又は2に記載のロール状偏光板のセットのうち、第2のロール状偏光板から長尺の偏光板を、前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される前記液晶セルの視認側に向かうように巻き出す第2偏光板巻き出し工程と、
    前記第2偏光板巻き出し工程で巻き出された後の長尺の偏光板を前記液晶セルの長辺又は短辺のうち前記第2搬送工程における流れ方向の辺に対応する長さに裁断する第2偏光板裁断工程と、
    前記第2偏光板巻き出し工程で巻き出された長尺の偏光板又は前記第2偏光板裁断工程で裁断された偏光板を、前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される液晶セルの貼合されるべき位置に合わせる第2偏光板位置合わせ工程と、
    前記第2偏光板位置合わせ工程を経た後の長尺の偏光板又は裁断された偏光板を前記液晶セルの第2搬送工程で搬送される前記液晶セルの視認側に貼り合わせる第2偏光板貼合工程と、を備え、かつ
    前記第2偏光板巻き出し工程が最初に行われ、その後、前記第2偏光板裁断工程、前記第2偏光板位置合わせ工程、及び前記第2偏光板貼合工程の順、又は前記第2偏光板位置合わせ工程、前記第2偏光板裁断工程、及び前記第2偏光板貼合工程の順、又は前記第2偏光板位置合わせ工程、前記第2偏光板貼合工程、及び前記第2偏光板裁断工程の順に行われる第2偏光板供給貼合工程を含むことを特徴とする液晶パネルの製造方法。
  9. 前記第1偏光板巻き出し工程及び前記第2偏光板巻き出し工程は、前記第1偏光板巻き出し工程で第1のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板の流れ方向と、前記第2偏光板巻き出し工程で第2のロール状偏光板から巻き出された長尺の偏光板の流れ方向とが直交するように行われる、請求項8に記載の液晶パネルの製造方法。
  10. 前記液晶セルは、VAモードの液晶セル、IPSモードの液晶セル、又はブルー相の液晶を用いた液晶駆動モードの液晶セルである、請求項8又は9に記載の液晶パネルの製造方法。
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