JP2012091504A - 積層シート及びそれを備える太陽電池モジュール - Google Patents

積層シート及びそれを備える太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】光線が、特定の一面側表面に放射された場合に、受光した最表層において可視光線を吸収するが赤外線は透過して蓄熱しにくく、別の層において最表層を透過した光を反射する性質を有する積層シートであり、耐熱性に優れ、エチレン・酢酸ビニル樹脂等を含む部材との接着性に優れる樹脂層を有し、この接着状態において冷熱サイクル環境による裂けが発生しにくい積層シート並びにそれを備える太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】本発明の積層シート1は、酢酸ビニル単位の含有率が2〜25質量%のエチレン・酢酸ビニル樹脂及び赤外線透過性着色剤を含有する層(A)11、並びに、飽和ポリエステル樹脂及び白色系着色剤を含有する層(B)12を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、特定の一面側表面に、光線が放射された場合に、受光した最表層において可視光線を吸収するが赤外線は透過して蓄熱しにくく、別の層において最表層を透過した光を反射する性質を有する積層シートに関し、耐熱性に優れ、エチレン・酢酸ビニル樹脂等を含む部材との接着性に優れる樹脂層を有し、この接着状態において冷熱サイクル環境による裂けが発生しにくく一体化物として耐久性に優れた積層シート並びにそれを備える太陽電池モジュールに関する。
本発明の積層シートは、一般に、太陽電池用バックシート等として知られるシートとして好適であり、層(A)の表面を、太陽電池素子を包埋する、エチレン・酢酸ビニル樹脂等を含む充填材部の露出面(裏面側封止膜の表面)に接着させるため等に用いられる。
近年、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を形成するエネルギー源である石油に代わって、太陽電池がエネルギー供給手段として、一層の注目を浴びている。太陽電池の需要も増しており、太陽電池に含まれる太陽電池モジュールを構成する各種部材の安定供給及び低コスト化が求められている。また、太陽電池の発電効率の改良要求も高まっている。
太陽電池モジュールは、板状の太陽電池素子を多数配置するとともに、これらを、直列、並列に配線し、この素子を保護するためにパッケージして、ユニット化させたものである。そして、この太陽電池モジュールは、通常、太陽電池素子における、太陽光が当たる面をガラス板で覆い、例えば、エチレン・酢酸ビニル樹脂等を含む組成物等の、透明性が高く耐湿性に優れる封止剤を、太陽電池素子の間隙に充填して充填材部とし、充填材部の露出面を、太陽電池用バックシート等で接着及び封止した構造となっている。
太陽電池を、家屋の屋根等に配置する場合には、外観性の観点から、黒色等の暗色系の色に着色されることが好まれており、そのために、暗色系の色に着色されたシートが求められている。暗色系の色に着色されたシートとしては、カーボンブラックを用いてなるシートが一般的である。しかしながら、この態様では、カーボンブラックが太陽光を吸収して温度が上昇し、太陽電池の発電効率が低下するだけでなく、シートの耐久性が低下するおそれがあった。
太陽光の吸収による温度上昇を避けるため、熱可塑性樹脂と、赤外線反射特性を有する無機顔料とを含む低蓄熱性熱可塑性樹脂組成物からなるシートが知られている(特許文献1参照)。また、ペリレン系顔料を含有させた黒色樹脂層を表面に備え、波長800〜1,100nmの光の反射率を30%以上として近赤外線を反射させることにより蓄熱を防止したシートが知られている(特許文献2参照)。更に、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂層の一方の側に、赤外線(波長800〜1,400nm)の吸収率が低い着色樹脂層を有し、上記熱可塑性樹脂層の他方の側に、光(波長400〜1,400nm)の反射率が50%以上と高い着色樹脂層を有する、少なくとも3層を備える赤外線反射性積層体が知られている(特許文献3参照)。
特開2007−103813号公報 特開2007−128943号公報 特開2009−178851号公報
本発明は、特定の一面側表面に、光線が放射された場合に、受光した最表層において可視光線を吸収するが赤外線は透過して蓄熱しにくく、別の層において最表層を透過した光を反射する性質を有する積層シートであって、耐熱性に優れ、エチレン・酢酸ビニル樹脂等を含む部材との接着性に優れる樹脂層を有し、この接着状態において冷熱サイクル環境による裂けが発生しにくく一体化物として耐久性に優れた積層シート並びにそれを備える太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明は以下に示される。
1.酢酸ビニル単位の含有率が2〜25質量%のエチレン・酢酸ビニル樹脂及び赤外線透過性着色剤を含む層(A)、並びに、飽和ポリエステル樹脂及び白色系着色剤を含む層(B)を備えることを特徴とする積層シート。
2.上記層(A)におけるエチレン・酢酸ビニル樹脂を構成する酢酸ビニル単位の含有率が、8質量%を越えて25質量%以下である上記1に記載の積層シート。
3.波長400〜700nmの光を、上記積層シートにおける上記層(A)の表面に放射した場合、該光に対する吸収率が60%以上である上記1又は2に記載の積層シート。
4.波長800〜1,400nmの光を、上記積層シートにおける上記層(A)の表面に放射した場合、該光に対する反射率が50%以上である上記1乃至3のいずれか一項に記載の積層シート。
5.厚さが30〜900μmである上記1乃至4のいずれか一項に記載の積層シート。
6.上記1乃至5のいずれか一項に記載の積層シートを備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
本発明の積層シートは、暗色系外観を有し、層(A)の表面に光線が放射された場合に、受光層である層(A)において可視光線を吸収するが赤外線は透過して蓄熱しにくく、層(B)において、層(A)を透過した光を反射する性質を有する積層シートである。本発明の積層シートによれば、耐熱性に優れ、層(A)の表面とエチレン・酢酸ビニル樹脂等を含む部材との接着性に優れ、この接着状態において冷熱サイクル環境による裂けが発生しにくく一体化物として耐久性に優れる。即ち、本発明の積層シートを、エチレン・酢酸ビニル樹脂等を含む部材と接着させてなる一体化物の接着耐久性にも優れる。
本発明の積層シートを、太陽電池用バックシートとして用い、層(A)の表面と、エチレン・酢酸ビニル樹脂等を含み、(複数の)太陽電池素子を包埋する充填材部(の露出面)とを接着させて、一体化した太陽電池モジュールとすることにより、太陽光が、隣り合う太陽電池素子の隙間から、太陽電池用バックシート(積層シート)の方へ漏れた場合に、層(A)を透過した赤外線等の光を層(B)において反射させ、反射光を太陽電池素子に放射して光電変換に利用することができ、光電変換効率を改良することができる。
上記層(A)におけるエチレン・酢酸ビニル樹脂を構成する酢酸ビニル単位の含有率が、8質量%を超えて25質量%以下である場合には、積層シートにおける層(A)の表面と、エチレン・酢酸ビニル樹脂等を含む部材とを接着する場合に、例えば、110℃といった低い温度で、一体化物における優れた接着性を得ることができ、一体化物の生産効率を向上させることができる。
本発明の積層シートは、波長400〜700nmの光を、積層シートにおける層(A)の表面に放射したときに、上記光に対する吸収率が60%以上であるものとすることができる。従って、本発明の積層シートを、太陽電池用バックシートして用いる場合には、上記層(A)に配合された赤外線透過性着色剤の色に準じて暗色系外観に優れた太陽電池モジュールを提供することができ、この積層シートを備える太陽電池モジュールを家屋の屋根等に配置した場合に、優れた外観性、意匠性等を得ることができる。
本発明の積層シートは、波長800〜1,400nmの光を、積層シートにおける層(A)の表面に放射したときに、上記光に対する反射率が50%以上であるものとすることができる。従って、本発明の積層シートを、太陽電池用バックシートして用い、太陽電池モジュールを形成した場合、太陽光が、隣り合う太陽電池素子の隙間から、積層シートの方へ漏れたときに、積層シートにおける蓄熱が抑制される。そして、層(A)を透過した光を層(B)により反射させた光を、太陽電池素子に入射させることができ、発電効率を向上させることができる。
本発明の積層シートの厚さが30〜900μmである場合には、強度と柔軟性とに優れる。
本発明の太陽電池モジュールは、本発明の積層シートを備えることから、太陽光や風雨に長期間曝される屋外での使用に好適であり、太陽電池における発電効率に優れる。
積層シートの一例を示す概略断面図である。 積層シートの他の例を示す概略断面図である。 積層シートの他の例を示す概略断面図である。 積層シートの他の例を示す概略断面図である。 太陽電池モジュールの一例を示す概略断面図である。 実施例において、冷熱サイクル試験に用いる積層シートの形態を示す概略平面図である。 実施例において、冷熱サイクル試験に用いるサンプル構造を示す概略断面図である。
以下、本発明を詳しく説明する。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。また、「エチレン・酢酸ビニル樹脂」は、エチレン単位及び酢酸ビニル単位からなる共重合体、エチレン単位と、酢酸ビニル単位と、更に他の単量体単位とからなる共重合体、更には、これらの共重合体のケン化物とすることができる。そして、「酢酸ビニル単位の含有率」は、エチレン・酢酸ビニル樹脂を構成する全ての単位の合計量を100質量%としたときの割合を意味する。
本発明の積層シートは、酢酸ビニル単位の含有率が2〜25質量%のエチレン・酢酸ビニル樹脂及び赤外線透過性着色剤を含む層(A)と、飽和ポリエステル樹脂及び白色系着色剤を含む層(B)とを備え、その概略断面は、図1に例示される。即ち、図1の積層シート1は、層(A)11及び層(B)12を備える積層型シートである。尚、本発明の積層シートは、他の層13を備えることができ、層(A)11、層(B)12及び他の層13を、順次、備える態様(図3参照)、並びに、層(A)11、他の層13及び層(B)12を、順次、備える態様(図4参照)とすることができる。
本発明の積層シートは、更に、図2に示す概略断面を有するものとすることができる。即ち、図2の積層シート1は、層(A)11、並びに、飽和ポリエステル樹脂及び白色系着色剤を含む層121、及び、飽和ポリエステル樹脂及び白色系着色剤を含む層122からなる層(B)12を、順次、備える積層型シートである。層121に含まれる飽和ポリエステル樹脂、及び、層122に含まれる飽和ポリエステル樹脂は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。また、層121に含まれる白色系着色剤、及び、層122に含まれる白色系着色剤は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。また、3層以上からなる層(B)とすることもできる。
これらの態様は、例えば、積層シートの製造時に、層(B)を形成する原料として、層121を形成する原料、層122を形成する原料等、いずれも、飽和ポリエステル樹脂及び白色系着色剤を含む原料が2種以上用いられ、これらの原料によって連続する層が形成された例である。図2の場合、飽和ポリエステル樹脂及び白色系着色剤を含む層が2つ連続している層(B)である。尚、図2に示す、層(B)に係る多層型の態様は、一例であって、層(B)のみに限られず、図示していないが、層(A)についても同様である。
上記層(A)は、酢酸ビニル単位の含有率が2〜25質量%であるエチレン・酢酸ビニル樹脂(以下、「エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)」ともいう。)と、赤外線透過性着色剤とを含む樹脂組成物からなる赤外線透過性着色樹脂層であり、通常、赤外線透過性着色剤の色に準じた色に着色されており、可視光線を吸収するとともに赤外線を透過させる作用を有する層である。尚、着色剤として、上記赤外線透過性着色剤と、後述する他の着色剤とを含む場合には、層(A)は、これらの着色剤が混じった暗色系の色に着色されている。
本発明の積層シートにおいて、層(A)の表面と、エチレン・酢酸ビニル樹脂等のオレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の樹脂や、シリコーンゴム、水添共役ジエン系ゴム等のゴム等を含む部材(以下、「相手材」ともいう。)とを接着させると、得られる一体化物は、その接着性に優れる。そして、層(A)が、切り込み部、切り欠き部等を有する場合、一体化物を冷熱サイクル環境に曝しても、裂け等の不良現象が発生しにくく、その外観性は維持され、耐久性に優れる。また、相手材の側から光を放射された場合に、赤外線が層(A)を透過し、層(B)により相手材の側へ反射するので、一体化物の蓄熱を抑制することができる。従って、本発明の積層シートを、太陽電池用バックシートして用い、層(A)の表面と、上記の樹脂やゴム等を含み、(複数の)太陽電池素子を包埋する充填材部(の露出面)とを接着させて太陽電池モジュールを形成すると、接着性、低蓄熱性及び耐久性に優れる。
上記のように、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)を構成する酢酸ビニル単位の含有率は、2〜25質量%であり、これにより、本発明の積層シートは、耐熱性に優れ、層(A)の表面と、エチレン・酢酸ビニル樹脂等を含む部材(相手材)との接着性に優れ、この接着状態において冷熱サイクル環境による裂けが発生しにくく耐久性に優れる。この酢酸ビニル単位の含有率の下限は、好ましくは3質量%、より好ましくは5質量%、更に好ましくは8質量%超え、特に好ましくは9質量%である。また、酢酸ビニル単位の含有率の上限は、好ましくは23質量%、より好ましくは22質量%、特に好ましくは21質量%である。エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)中の酢酸ビニル単位の含有率が8質量%を超えると、特に、層(A)の柔軟性に優れ、相手材との接着性に更に優れたものとすることができる。尚、酢酸ビニル単位の含有率が25質量%を超えると、耐熱性が十分ではない。
上記層(A)に含まれるエチレン・酢酸ビニル樹脂(A)は、後述の方法等により得られる架橋構造を有していてもよい。
次に、上記層(A)に含まれる赤外線透過性着色剤は、可視光線を吸収し、赤外線を透過させる性質を有する着色剤である。この赤外線透過性着色剤は、通常、白色以外の有色を呈しており、好ましくは黒色、褐色、濃青色、深緑色等の暗色系である。
上記赤外線透過性着色剤としては、例えば、ペリレン系化合物、アゾ系化合物及びアゾメチンアゾ系化合物等が挙げられる。ペリレン系化合物としては、下記一般式(I)〜(III)で表される化合物等を用いることができる。
Figure 2012091504
〔式中、R及びRは、互いに同一又は異なって、ブチル基、フェニルエチル基、メトキシエチル基又は4−メトキシフェニルメチル基である。〕
Figure 2012091504
〔式中、R及びRは、互いに同一又は異なって、フェニレン基、3−メトキシフェニレン基、4−メトキシフェニレン基、4−エトキシフェニレン基、炭素数1〜3のアルキルフェニレン基、ヒドロキシフェニレン基、4,6−ジメチルフェニレン基、3,5−ジメチルフェニレン基、3−クロロフェニレン基、4−クロロフェニレン基、5−クロロフェニレン基、3−ブロモフェニレン基、4−ブロモフェニレン基、5−ブロモフェニレン基、3−フルオロフェニレン基、4−フルオロフェニレン基、5−フルオロフェニレン基、ナフチレン基、ナフタレンジイル基、ピリジレン基、2,3−ピリジンジイル基、3,4−ピリジンジイル基、4−メチル−2,3−ピリジンジイル基、5−メチル−2,3−ピリジンジイル基、6−メチル−2,3−ピリジンジイル基、5−メチル−3,4−ピリジンジイル基、4−メトキシ−2,3−ピリジンジイル基又は4−クロロ−2,3−ピリジンジイル基である。〕
Figure 2012091504
〔式中、R及びRは、互いに同一又は異なって、フェニレン基、3−メトキシフェニレン基、4−メトキシフェニレン基、4−エトキシフェニレン基、炭素数1〜3のアルキルフェニレン基、ヒドロキシフェニレン基、4,6−ジメチルフェニレン基、3,5−ジメチルフェニレン基、3−クロロフェニレン基、4−クロロフェニレン基、5−クロロフェニレン基、3−ブロモフェニレン基、4−ブロモフェニレン基、5−ブロモフェニレン基、3−フルオロフェニレン基、4−フルオロフェニレン基、5−フルオロフェニレン基、ナフチレン基、ナフタレンジイル基、ピリジレン基、2,3−ピリジンジイル基、3,4−ピリジンジイル基、4−メチル−2,3−ピリジンジイル基、5−メチル−2,3−ピリジンジイル基、6−メチル−2,3−ピリジンジイル基、5−メチル−3,4−ピリジンジイル基、4−メトキシ−2,3−ピリジンジイル基又は4−クロロ−2,3−ピリジンジイル基である。〕
また、上記ペリレン系化合物としては、「Paliogen Black S 0084」、「Paliogen Black L 0086」、「Lumogen Black FK4280」、「Lumogen Black FK4281」(以上、いずれもBASF社製商品名)等の市販品を用いることができる。
上記赤外線透過性着色剤は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記層(A)における赤外線透過性着色剤の含有率は、赤外線の透過性及び可視光線の吸収性の観点から、上記エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂の合計を100質量部とした場合に、好ましくは10質量部以下、より好ましくは0.01〜8質量部、更に好ましくは0.05〜5質量部である。
上記のように、層(A)は、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)及び赤外線透過性着色剤を含む層を、複数備える多層型構造とすることができる。この場合、各層における、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂の合計量に対する赤外線透過性着色剤の含有率は、上記範囲とすることができ、一方の側から他方の側にかけて、赤外線透過性着色剤の濃度分布を有してよいし、一定であってもよい。上記層(A)が、多層型構造であって、後述する他の着色剤、添加剤等を含む場合においても、それらの含有率(各層における、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂の合計量に対する割合)は、後述する範囲とすることができる。
本発明において、上記層(A)における赤外線の透過性を低下させるものでなければ、上記層(A)は、目的、用途等に応じて、他の着色剤を含むことができる。
他の着色剤としては、シアン系着色剤(青色系着色剤)、マゼンタ系着色剤(赤色系着色剤)、イエロー系着色剤(黄色系着色剤)等が挙げられる。
例えば、他の着色剤として、黄色系顔料、青色系顔料等を用い、下記のような組合せにより、種々に着色された層(A)を備える積層シートとすることができる。
[1]黒色系赤外線透過性着色剤及び黄色系顔料の組合せによる褐色着色。
[2]黒色系赤外線透過性着色剤及び青色系顔料の組合せによる濃青色着色。
他の着色剤を用いる場合、上記層(A)における含有率は、上記赤外線透過性着色剤100質量部に対して、通常、80質量部以下、好ましくは0.01〜60質量部である。
尚、暗色系の着色剤としては、赤外線領域の波長の光を吸収する、カーボンブラックが知られている。赤外線透過性着色剤を含む層(A)に代えて、カーボンブラックを用いた熱可塑性樹脂組成物により形成させた層(A’)を備える積層シートの層(A’)の表面に、太陽光を受光させた場合、この層(A’)における蓄熱が顕著となる。従って、この層(A’)を備える積層シートを、太陽電池バックシートとして用い、層(A’)の表面と、太陽電池素子を包埋する、充填材部(の露出面)とを接着させて太陽電池モジュールとした場合、太陽光が、カーボンブラックを含む層(A’)へ漏れたときに、蓄熱した太陽電池バックシートから、太陽電池素子を含む充填材部の温度を上昇させることとなり、発電効率を低下させる不具合がある。従って、本発明において、上記層(A)が赤外線透過性着色剤を含む態様とすることにより、低蓄熱性を保持し、太陽電池用途等における上記のような不具合を抑制することができる。
上記層(A)は、目的、用途等に応じて、添加剤を含有してもよい。従って、この層(A)を形成する、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)及び赤外線透過性着色剤を含有する組成物(以下、「層(A)形成用樹脂組成物」という。)もまた、添加剤を含有してもよい。この添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、可塑剤、蛍光増白剤、耐候剤、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、防曇剤、抗菌剤、防かび剤、防汚剤、粘着付与剤等が挙げられる。これらの添加剤のうち、主な添加剤における具体的な化合物、及び、層(A)形成用樹脂組成物における含有率は、後述する。
上記層(A)を構成するエチレン・酢酸ビニル樹脂(A)が、架橋構造を有するようにするためには、層(A)形成用樹脂組成物は、有機過酸化物、光増感剤、シランカップリング剤等を含むことが好ましい。
上記有機過酸化物としては、100℃以上の温度でラジカルを発生するものであれば、特に限定されない。
上記有機過酸化物としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記有機過酸化物としては、層(A)形成用樹脂組成物を調製する際の配合時の安定性の観点から、半減期10時間の分解温度が70℃以上である化合物が好ましい。
上記層(A)形成用樹脂組成物が、有機過酸化物を含有する場合、その含有量は、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂全体に対し、好ましくは5質量%以下である。
上記光増感剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソエチルエーテル、ベンゾインイソプロピリエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ジベンゾイル、ヘキサクロロシクロペンタジエン、パラニトロジフェニル、パラニトロアニリン、2,4,6−トリニトロアニリン、1,2−ベンズアントラキノン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記層(A)形成用樹脂組成物が、光増感剤を含有する場合、その含有量は、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂全体に対し、好ましくは10質量%以下である。
上記光増感剤を用いる場合、例えば、層(A)形成用樹脂組成物を用いて薄肉体等を作製した後、これに光照射することで、架橋構造を有するエチレン・酢酸ビニル樹脂(A)を含む層(A)部を形成することができる。
上記シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチル−トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカトプロピルトリエメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記層(A)形成用樹脂組成物が、シランカップリング剤を含有する場合、その含有量は、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂全体に対し、好ましくは5質量%以下である。
また、上記層(A)形成用樹脂組成物は、架橋助剤を含有することもできる。架橋助剤としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアネート等の3官能の架橋助剤等が挙げられる。
上記層(A)形成用樹脂組成物が、架橋助剤を含有する場合、その含有量は、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂全体に対し、好ましくは10質量%以下である。
上記層(A)形成用樹脂組成物が、架橋助剤を含有する場合、更に、重合禁止剤を含有してもよい。この重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、メチルハイドロキノン等が挙げられる。
上記層(A)形成用樹脂組成物が、重合禁止剤を含有する場合、その含有量は、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂全体に対し、好ましくは5質量%以下である。
上記層(A)形成用樹脂組成物を調製する場合には、通常、溶融混練法が用いられる。溶融混練に用いる装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、連続ニーダー等が挙げられる。
上記層(A)の厚さは、積層シートの機械的強度及び柔軟性の観点から、好ましくは10〜500μmである。上記厚さの上限は、より好ましくは400μm、更に好ましくは300μm、特に好ましくは250μmである。また、上記厚さの下限は、より好ましくは15μm、更に好ましくは20μm、特に好ましくは25μmである。
上記層(B)は、熱可塑性樹脂である飽和ポリエステル樹脂と、白色系着色剤とを含む樹脂組成物からなる白色層(白色系樹脂層)であり、主として、光の反射性を有するとともに、積層シートとしての機械的強度及び可撓性のバランスを保持する作用を有する層である。
上記のように、層(A)は、赤外線を透過する作用を有するので、層(B)により、赤外線を含む光を効率よく反射させることができる。そして、本発明の積層シートを用いて得られた一体化物において、層(A)及び層(B)における蓄熱を抑制することができる。従って、本発明の積層シートを、太陽電池用バックシートして用い、層(A)の表面と、エチレン・酢酸ビニル樹脂等を含み、(複数の)太陽電池素子を包埋する充填材部(の露出面)とを接着させて、一体化した太陽電池モジュールを形成すると、太陽光が、隣り合う太陽電池素子の隙間から、太陽電池用バックシート(積層シート)の方へ漏れた場合に、層(A)を透過した赤外線等の光を層(B)において反射させ、反射光を光電変換に利用することができるだけでなく、積層シートにおける蓄熱を抑制することができる。
上記飽和ポリエステル樹脂は、好ましくは、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを重縮合反応させることによって得られた樹脂である。
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキシンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等が挙げられる。
また、グリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール等が挙げられる。
これらの、ジカルボン酸成分及びグリコール成分は、それぞれ、1種のみ用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記飽和ポリエステル樹脂としては、テレフタル酸あるいはテレフタル酸ジメチルと、エチレングリコールとをエステル化反応もしくはエステル交換反応を利用した重縮合反応によって得られた、エチレンテレフタレートを主たる構成単位として含むポリエステル樹脂が好ましく、このポリエステル樹脂を用いることにより、機械強度、加工性、熱特性等に優れる。尚、「主たる構成単位」とは、ポリエステル樹脂を構成するエチレンテレフタレートの含有量が30モル%以上であることを意味する。また、上記飽和ポリエステル樹脂としては、強度及び耐熱安定性の観点から、ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂も好ましく用いられる。
上記層(B)は、飽和ポリエステル樹脂以外に、他の熱可塑性樹脂を含んでもよい。他の熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構造単位を含むアクリル樹脂、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む芳香族ビニル系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素系樹脂、エチレン・酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記層(B)が、他の熱可塑性樹脂を含む場合、その含有率は、上記飽和ポリエステル樹脂に対して、好ましくは50質量%未満、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
上記層(B)に含まれる白色系着色剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、シリカ、2PbCO・Pb(OH)、[ZnS+BaSO]、タルク、石膏等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記層(B)における白色系着色剤の含有率は、特に、波長800〜1,400nmの光に対する反射性の観点から、上記飽和ポリエステル樹脂を含む熱可塑性樹脂の合計を100質量部とした場合に、好ましくは1〜45質量部、より好ましくは3〜40質量部、更に好ましくは5〜30質量部である。この白色系着色剤の含有率が低すぎると、光の反射率が十分でない場合がある。一方、この白色系着色剤の含有率が高すぎると、積層シートの機械的強度、柔軟性等が低下する場合がある。
上記のように、層(B)は、飽和ポリエステル樹脂及び白色系着色剤を含む層を、連続的に複数備える多層型構造とすることができる(図2参照)。この場合、各層における、飽和ポリエステル樹脂を含む熱可塑性樹脂に対する白色系着色剤の含有率は、上記範囲とすることができ、一方の側から他方の側にかけて、白色系着色剤の濃度分布を有してよいし、一定であってもよい。上記層(B)が、多層型構造であって、後述する他の着色剤、添加剤等を含む場合においても、それらの含有率(各層における、飽和ポリエステル樹脂(B)を含む熱可塑性樹脂の合計量に対する割合)は、後述する範囲とすることができる。
上記層(B)は白色層であり、その単独層からなるフィルムの表面におけるL値(明度)が、好ましくは60以上、より好ましくは65以上、特に好ましくは70以上の性質を有する。
上記層(B)は、上記L値を低下させないものであれば、白色系着色剤以外の他の着色剤(例えば、黄色系着色剤、青色系着色剤等)を含んでもよい。他の着色剤を用いる場合、その含有率は、上記飽和ポリエステル樹脂を含む熱可塑性樹脂の合計を100質量部とした場合に、通常、10質量部以下である。
上記層(B)は、目的、用途等に応じて、添加剤を含有してもよい。従って、この層(B)を形成する、飽和ポリエステル樹脂及び白色系着色剤を含有する組成物(以下、「層(B)形成用樹脂組成物」という。)もまた、添加剤を含有してもよい。この添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、可塑剤、蛍光増白剤、耐候剤、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、防曇剤、抗菌剤、防かび剤、防汚剤、粘着付与剤等が挙げられる。これらの添加剤のうち、主な添加剤における具体的な化合物、及び、層(B)形成用樹脂組成物における含有率は、後述する。
上記層(B)形成用樹脂組成物を調製する場合には、通常、溶融混練法が用いられる。溶融混練に用いる装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、連続ニーダー等が挙げられる。
上記層(B)の厚さは、積層シートの機械的強度及び可撓性のバランスの観点から、好ましくは10〜500μmである。上記厚さの上限は、より好ましくは400μm、更に好ましくは300μm、特に好ましくは250μmである。また、上記厚さの下限は、より好ましくは15μm、更に好ましくは20μm、特に好ましくは25μmである。尚、本発明の積層シートが、2以上の独立した層(B)を備える場合、上記の数値範囲で示す厚さは、各層(B)の厚さであるものとする。
次に、上記層(A)及び上記層(B)に含有される添加剤について説明する。
酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系化合物、ハイドロキノン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、含硫黄化合物、含リン化合物等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸化防止剤の含有率は、上記層(A)の全体、又は、上記層(B)の全体に対して、それぞれ、好ましくは0.05〜10質量%である。尚、この割合は、いずれも、上記層(A)を形成する層(A)形成用樹脂組成物、及び、上記層(B)を形成する層(B)形成用樹脂組成物に対する割合とすることができる。他の添加剤についても同様である。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記紫外線吸収剤の含有量は、上記層(A)の全体、又は、上記層(B)の全体に対して、それぞれ、好ましくは0.05〜10質量%である。
老化防止剤としては、ナフチルアミン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、キノリン系化合物、ヒドロキノン誘導体系化合物、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、トリスフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、チオビスフェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸ニッケル塩系化合物、リン酸系化合物等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記老化防止剤の含有量は、上記層(A)の全体、又は、上記層(B)の全体に対して、それぞれ、好ましくは0.05〜10質量%である。
可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オクチルデシルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソブチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソオクチルセバケート等の脂肪酸エステル類;トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸n−オクチルエステル、トリメリット酸イソノニルエステル等のトリメリット酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート、ジエチレングリコールモノオレート、グリセリルモノリシノレート、トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、エポキシ化大豆油等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記可塑剤の含有量は、上記層(A)の全体、又は、上記層(B)の全体に対して、それぞれ、好ましくは0.05〜10質量%である。
難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トキヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン、グアニジン塩、シリコーン系化合物等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系化合物、モリブデン系化合物、スズ酸亜鉛等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記難燃剤の含有量は、上記層(A)の全体、又は、上記層(B)の全体に対して、それぞれ、好ましくは10質量%以下である。
尚、層(A)形成用樹脂組成物及び層(B)形成用樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物に、難燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を併用することが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の積層シートは、図3及び図4に示すように、他の層13を備えることができる。他の層13は、上記層(A)及び(B)と異なる構成である、樹脂層、可飾層、塗布層等とすることができ、目的、用途等により、適宜、選択される。樹脂層としては、飽和ポリエステル樹脂を含み白色系着色剤を含まない透明層又は半透明層、エチレン・酢酸ビニル樹脂等を含む透明層又は半透明層、フッ素系樹脂を含む層等とすることができる。フッ素系樹脂としては、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)、PCTEFE(三フッ化塩化エチレン樹脂)、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)、PVDF(フッ化ビニリデン樹脂)、PVF(フッ化ビニル樹脂)等が挙げられる。
本発明において、図3における最外層である他の層13を、フッ素系樹脂を含む層とすることにより、他の層13側からの熱、外力等に対する保護作用に優れ、耐熱性、難燃性、耐薬品性、耐候性等に優れた積層シートとすることができる。
図3及び図4において、他の層13は、1層として示したが、これに限られず、2以上で連続した層とすることができる。また、図示していないが、他の層13は、層(B)12の両側に配されてもよい。
本発明の積層シートが、他の層13を有する場合、2以上の白色層を、独立して備えることができる。このとき、層(A)11に近い白色層(飽和ポリエステル樹脂及び白色系着色剤を含む白色層)を層(B)12とする。そして、層(A)11から2番目以降の、飽和ポリエステル樹脂及び白色系着色剤を含む白色層は、他の層13に含まれるものとする。この態様を示す具体的な層構成は、図示していないが、例えば、以下に示される。
[1]層(A)と、層(B)と、層(B)以外の他の層と、他の白色層(飽和ポリエステル樹脂及び白色系着色剤を含む白色層)とを、この順に備えるシート。
[2]層(A)と、層(B)以外の他の層と、層(B)と、層(B)以外の他の層と、他の白色層(飽和ポリエステル樹脂及び白色系着色剤を含む白色層)とを、この順に備えるシート。
本発明の積層シートの厚さは、可撓性、相手材と接着させる際の形状追随性及びその作業性等の観点から、好ましくは30〜900μm、より好ましくは40〜700μm、更に好ましくは50〜500μmである。
本発明において、層(A)の表面に光線が放射された場合に、受光層である層(A)において可視光線を吸収するが赤外線は透過して蓄熱しにくく、層(B)において、層(A)を透過した光の反射性に優れた積層シートの好ましい態様は、以下に示される。
[I]図1に示す構造を有する積層シートであって、層(A)11が、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)と、赤外線透過性着色剤とを含む赤外線透過性着色樹脂層であり、層(B)12が、飽和ポリステル樹脂と、白色系着色剤とを含む白色層であるシート。
[II]図2に示す構造を有する積層シートであって、層(A)11が、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)と、赤外線透過性着色剤とを含む赤外線透過性着色樹脂層であり、層(B)12を構成する層121及び122が、互いに、同一又は異なって、いずれも、飽和ポリエステル樹脂と、白色系着色剤とを含む白色層であるシート。
[III]図3に示す構造を有する積層シートであって、層(A)11が、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)と、赤外線透過性着色剤とを含む赤外線透過性着色樹脂層であり、層(B)12が、飽和ポリステル樹脂と、白色系着色剤とを含む白色層であり、他の層13が、飽和ポリエステル樹脂を含み白色系着色剤を含まない透明層又は半透明層であるシート。
[IV]図4に示す構造を有する積層シートであって、層(A)11が、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)と、赤外線透過性着色剤とを含む赤外線透過性着色樹脂層であり、他の層13が、飽和ポリエステル樹脂を含み白色系着色剤を含まない透明層又は半透明層であり、層(B)12が、飽和ポリステル樹脂と、白色系着色剤とを含む白色層であるシート。
[V]図示していないが、以下の層を、順次、備える積層シートであって、層(A)11が、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)と、赤外線透過性着色剤とを含む赤外線透過性着色樹脂層であり、層(B)12が、飽和ポリステル樹脂と、白色系着色剤とを含む白色層であり、他の層13の一方が、飽和ポリエステル樹脂を含み白色系着色剤を含まない透明層又は半透明層であり、他方が、飽和ポリエステル樹脂と、白色系着色剤とを含む白色層であるシート。
[VI]図3に示す構造を有する積層シートであって、層(A)11が、エチレン・酢酸ビニル樹脂(A)と、赤外線透過性着色剤とを含む赤外線透過性着色樹脂層であり、層(B)12が、飽和ポリステル樹脂と、白色系着色剤とを含む白色層であり、他の層13が、フッ素系樹脂を含む層であるシート。
上記態様の積層シートを、太陽電池用バックシートとして用いる場合には、光電変換効率の観点から、[I]、[II]、[IV]、[V]及び[VI]のシートが特に好ましい。
本発明の積層シートにおいて、層(A)11及び層(B)12(層121及び122)、並びに、層(A)11、層(B)12及び他の層13は、いずれも、連続的な積層状態であってよいし、各層が、接着層を介して接合されてなる構造を有してもよい。接着層の構成としては、例えば、ポリウレタン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等が挙げられる。本発明の積層シートにおいては、層(A)11及び層(B)12が、接着層を介して接合された構造を有することが、機械的強度、可撓性等の観点から好ましい。
本発明の積層シートの製造方法は、その断面構造、各層の構成材料等によって選択され、特に限定されない。
図1に示す構造を有する積層シートを製造する方法としては、以下に例示される。
(s1)層(A)形成用樹脂組成物及び層(B)形成用樹脂組成物を用いて、Tダイキャストフィルム成形法等の共押出を行う方法。
(s2)層(A)形成用樹脂組成物からなるシート又はフィルムと、層(B)形成用樹脂組成物からなるシート又はフィルムとを、熱融着又はドライラミネート若しくは接着剤により接着する方法。
図2に示す構造を有する積層シートを製造する方法としては、以下に示される。
(t1)層(A)形成用樹脂組成物及び2つの層(B)形成用樹脂組成物を用いて共押出を行う方法。
(t2)層(A)形成用樹脂組成物からなるシート又はフィルムと、2つの層(B)形成用樹脂組成物からなるシート又はフィルムとを、いずれも、熱融着又はドライラミネート若しくは接着剤により接着する方法。
(t3)層(A)形成用樹脂組成物及び一方の層(B)形成用樹脂組成物を用いて共押出を行い、層(A)11及び層121からなる積層シートを形成した後、この積層シートの層121側表面と、他方の層(B)形成用樹脂組成物からなるシート又はフィルムとを、熱融着又はドライラミネート若しくは接着剤により接着する方法。
(t4)2つの層(B)形成用樹脂組成物を用いて共押出等を行い、2層型の層(B)用積層シートを形成した後、この2層型積層シートの一面側表面と、層(A)形成用樹脂組成物からなるシート又はフィルムとを、熱融着又はドライラミネート若しくは接着剤により接着する方法。
また、図3に示す構造を有する積層シートを製造する方法としては、以下に示される。
(u1)層(A)形成用樹脂組成物、層(B)形成用樹脂組成物及び他の層13を形成する樹脂組成物(以下、「他層形成用樹脂組成物」という。)を用いて共押出を行う方法。
(u2)層(A)形成用樹脂組成物からなるシート又はフィルムと、層(B)形成用樹脂組成物からなるシート又はフィルムと、他層形成用樹脂組成物からなるシート又はフィルムとを、いずれも、熱融着又はドライラミネート若しくは接着剤により接着する方法。
(u3)層(A)形成用樹脂組成物及び層(B)形成用樹脂組成物を用いて共押出を行い、層(A)及び層(B)からなる積層シートを形成した後、この積層シートの層(B)側表面と、他層形成用樹脂組成物からなるシート又はフィルムとを、熱融着又はドライラミネート若しくは接着剤により接着する方法。
(u4)層(B)形成用樹脂組成物及び他層形成用樹脂組成物を用いて共押出等を行い、層(B)及び他の層からなる積層シートを形成した後、この積層シートの層(B)側表面と、層(A)形成用樹脂組成物からなるシート又はフィルムとを、熱融着又はドライラミネート若しくは接着剤により接着する方法。
図4に示す構造を有する積層シートを製造する方法は、図3に示す構造を有する積層シートの製造方法の場合と同様とすることができる。
上記方法(s1)、(t1)、(t3)、(t4)、(u1)、(u3)及び(u4)において、共押出を行う場合の条件は、使用する樹脂組成物等によって選択され、特に限定されない。
上記層(B)形成用樹脂組成物からなるシート又はフィルムとしては、市販の樹脂フィルム(白色樹脂フィルム)等を用いてもよい。
白色樹脂フィルムとして、例えば、東レ社製「ルミラーE20」(商品名)、帝人デュポンフィルム社製「PETフィルムU2」(商品名)等を用いることができる。
また、図3及び図4に示すように、他の層13を備える場合であって、他の層13が、透明層又は半透明層である場合には、帝人デュポンフィルム社製「テイジンテトロンフィルムVW」(商品名)等を用いることができる。
尚、市販の樹脂フィルムを用いて層(B)を形成し、本発明の積層シートを得る場合には、難燃性を有する樹脂フィルムを用いることが、積層シートにおける層(B)側の表面における耐火性の観点から、好ましい。難燃性を有する樹脂フィルムの難燃性は、UL94VTM−2クラスか、それ以上のクラスであることが好ましい。
本発明における上記層(B)の形成に際しては、上記の市販の白色樹脂フィルムの複数を用いることができ、また、上記の市販の白色樹脂フィルムと、市販の透明又は半透明の樹脂フィルムとを、組み合わせて用いることもできる。
本発明の積層シートにおいて、波長400〜700nmの光を、積層シートにおける層(A)の表面に放射した場合、この光に対する吸収率は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上である。この吸収率が高いほど、層(A)側から見た積層シートの明度が低下し、暗色系を顕著に呈した積層シートとすることができる。これにより、透明又は半透明の相手材と、層(A)の表面とを接着させて一体化物とした場合に、相手材の側から見た外観性及び意匠性に優れる。例えば、本発明の積層シートを、太陽電池用バックシートとして用い、層(A)の表面と、(複数の)太陽電池素子を包埋し、その間隙がエチレン・酢酸ビニル樹脂等を含有する組成物により充填形成された充填材部(の露出面)に接着させて太陽電池モジュールを作製し、その後、太陽電池とした場合、家屋の屋根等に配設された太陽電池の外観性及び意匠性に優れる。尚、「波長400〜700nmの光に対する吸収率が60%以上」とは、400nmから700nmまでの波長域における光の吸収率を、400nm又は700nmから20nm毎に測定し、各吸収率を用いて算出される平均値が60%以上であることを意味し、上記波長域における光の吸収率が全て60%以上であることを要求するものではない。
また、本発明の積層シートにおいて、波長800〜1,400nmの光を、積層シートにおける層(A)の表面に放射した場合、この光に対する反射率は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上である。この反射率が高いほど、少なくとも上記波長を有する光を、より多く層(A)側の方へ反射させることができる。例えば、本発明の積層シートを、太陽電池用バックシートとして用い、太陽電池モジュールを作製した場合、少なくとも上記波長を有する光を、太陽電池素子の方へ反射させることができ、光電変換効率を向上させることができる。尚、「波長800〜1,400nmの光に対する反射率が50%以上である」とは、800nmから1,400nmまでの波長域における光の反射率を、800nm又は1,400nmから20nm毎に測定し、各反射率を用いて算出される平均値が50%以上であることを意味し、上記波長域における光の反射率が全て50%以上であることを要求するものではない。
これらの好ましい性能を備える積層シートにおいては、層(A)の表面に放射された、波長400〜700nmの光の60%以上が層(A)に吸収され、波長800〜1,400nmの光が透過し、この光が層(B)に達した場合に、少なくとも層(B)によって、この光を十分に反射させることができ、光による熱変形の発生を抑制することができる。また、積層シートを、太陽電池用バックシートとして用い、層(A)の表面を、(複数の)太陽電池素子を包埋し、その間隙がエチレン・酢酸ビニル樹脂等を含有する組成物により充填形成された充填材部(の露出面)に接着させて太陽電池モジュールとした場合に、層(B)からの反射光を光電変換に利用し、発電効率を改良することができる。
本発明の積層シートを太陽電池用バックシートとして用いる場合、本発明の積層シートを備える太陽電池モジュールの概略図は、図5に示される。
図5の太陽電池モジュール2は、太陽光の受光面側(図面で上側)から、表面側透明保護部材21、表面側封止膜(表面側充填材部)23、太陽電池素子25、裏面側封止膜(裏面側充填材部)27、及び上記本発明の積層シート1が、この順で配設されたものとすることができる。尚、本発明の太陽電池モジュールは、必要に応じて、上記構成要素以外に、適宜、必要に応じて、各種部材を備えることもできる(図示せず)。
上記表面側透明保護部材21としては、水蒸気バリア性に優れた材料からなるものが好ましく、通常、ガラス、樹脂等からなる透明基板が使用される。尚、ガラスは、透明性及び耐候性に優れるが、耐衝撃性、作業性等の観点から、耐候性の透明樹脂(フッ素系樹脂等を含む樹脂組成物)が好ましい。上記表面側透明保護部材21として、透明樹脂を用いると、太陽電池を軽量化することができるため、家屋の屋根に載せる太陽電池とする場合には、据え付け時等において優れた作業性を得ることができる。
上記表面側透明保護部材21の厚さは、ガラスを使用した場合は、通常、1〜5mm程度であり、透明樹脂を使用した場合は、通常、0.1〜5mm程度である。
上記太陽電池素子25は、太陽光の受光により発電機能を有するものである。このような太陽電池素子としては、光起電力としての機能を有するものであれば、特に限定されることなく、公知のものを用いることができる。例えば、単結晶シリコン型太陽電池素子、多結晶シリコン型太陽電池素子等の結晶シリコン太陽電池素子;シングル結合型若しくはタンデム構造型等からなるアモルファスシリコン太陽電池素子;ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池素子;カドミウムテルル(CdTe)や銅インジウムセレナイド(CuInSe)等のII−VI族化合物半導体太陽電池素子等が挙げられる。これらのうち、結晶シリコン太陽電池素子が好ましく、多結晶シリコン型太陽電池素子が特に好ましい。尚、薄膜多結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜微結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜結晶シリコン太陽電池素子とアモルファスシリコン太陽電池素子とのハイブリッド素子等を用いることができる。
図5において、図示していないが、上記太陽電池素子25は、通常、配線電極及び取り出し電極を備える。配線電極は、太陽光の受光により、複数の太陽電池素子において生じた電子を集める作用を有するものであり、例えば、表面側封止膜(表面側充填材部)21側の太陽電池素子と、裏面側封止膜(裏面側充填材部)27側の太陽電池素子とを連結するように接続される。また、取り出し電極は、上記配線電極等により集められた電子を電流として取り出す作用を有するものである。
上記表面側封止膜(表面側充填材部)21及び上記裏面側封止膜(裏面側充填材部)27(以下、これらを併せて「封止膜」という。)は、通常、互いに同一又は異なる封止膜形成材料を用いて、予め、シート状又はフィルム状の封止膜とした後、上記表面側透明保護部材21及び積層シート1の間において、太陽電池素子25等を熱圧着して形成される。
各封止膜(充填材部)の厚さは、通常、100μm〜4mm程度、好ましくは200μm〜3mm程度、より好ましくは300μm〜2mm程度である。厚さが薄すぎると、太陽電池素子25が損傷する場合があり、一方、厚さが大きすぎると、製造コストが高くなり好ましくない。
上記封止膜形成材料は、通常、樹脂組成物又はゴム組成物である。樹脂としては、オレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。また、ゴムとしては、シリコーンゴム、水添共役ジエン系ゴム等が挙げられる。これらのうち、オレフィン系樹脂及び水添共役ジエン系ゴムが好ましい。
オレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン、又は、ジオレフィンを重合して得られた重合体等のほか、エチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等の他のモノマーとの共重合体、アイオノマー等を用いることができる。具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。これらのうち、エチレン・酢酸ビニル樹脂及びエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましく、エチレン・酢酸ビニル樹脂が特に好ましい。エチレン・酢酸ビニル樹脂等を含む樹脂組成物からなる封止膜形成材料は、透明性に優れていることが、太陽電池セルが太陽光を受光する上で重要である。
また、水添共役ジエン系ゴムとしては、水添スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロックポリマー等が挙げられる。好ましくは、下記の構造を有する共役ジエンブロック共重合体の水素添加物、即ち、芳香族ビニル化合物単位を含む重合体ブロックA;1,2−ビニル結合含量が25モル%を超える共役ジエン系化合物単位を含む重合体の二重結合部分を80モル%以上水素添加してなる重合体ブロックB;1,2−ビニル結合含量が25モル%以下の共役ジエン系化合物単位を含む重合体の二重結合部分を80モル%以上水素添加してなる重合体ブロックC;並びに芳香族ビニル化合物単位及び共役ジエン系化合物単位を含む共重合体の二重結合部分を80モル%以上水素添加してなる重合体ブロックD、から選ばれた少なくとも2種を有するブロック共重合体である。
上記封止膜形成材料は、必要に応じて、架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系やホスファイト系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、光拡散剤、難燃剤、変色防止剤等の添加剤を含有することができる。
上記のように、表面側封止膜(表面側充填材部)23を形成する材料と、裏面側封止膜(裏面側充填材部)27を形成する材料は、同一であっても異なってもよいが、接着性の点から同じであることが好ましい。
本発明の太陽電池モジュールは、例えば、表面側透明保護部材、表面側封止膜、太陽電池素子、裏面側封止膜及び上記本発明の積層シートを、この順に配置した後、これらを一体として、真空吸引しながら加熱圧着する、ラミネーション法等により製造することができる。
このラミネーション法におけるラミネート温度は、上記本発明の積層シートの接着性の観点から、通常、100℃〜250℃程度である。また、ラミネート時間は、通常、3〜30分程度である。
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
1.評価方法
各種評価項目の測定方法を以下に示す。
1−1.寸法変化率(耐熱性)
積層シート(厚さは表に記載)を切削加工し、120mm(MD;樹脂押出方向)×120mm(TD;MDに対して直交方向)の大きさの試験片を作製した。次いで、この試験片の中央に、100mm(MD)×100mm(TD)の正方形の標線を引き、恒温槽中、130℃で30分間放置した。その後、冷却して、上記標線における長さを測定し、寸法変化率を下記式より算出した。
Figure 2012091504
1−2.エチレン・酢酸ビニル樹脂フィルムとの接着性
上記のように、積層シートを、太陽電池モジュールを構成する部材(太陽電池用バックシート)として用いる場合、この積層シートを、層(A)の表面と、太陽電池モジュールに含まれる太陽電池素子を包埋して形成された裏面側封止膜とを接着させるために用いることができる。裏面側封止膜の形成材料として、エチレン・酢酸ビニル樹脂組成物が広く用いられていることから、積層シートにおける層(A)の表面と、下記のエチレン・酢酸ビニル樹脂フィルムとを接着させて、これらの接着性を評価した。
積層シートを切削加工して、短冊状(長さ200mm、幅15mm、厚さは表に記載)とし、2枚の評価用シートを得た。長さ100mm、幅15mm及び厚さ400μmのエチレン・酢酸ビニル樹脂フィルム(商品名「ウルトラパール」、サンビック社製)を、2枚の評価用シートにおける層(A)どうしの間に位置するように配置し、積層状態でラミネーターに入れた。その後、ラミネーターの上部及び下部を真空状態にし、110℃又は150℃で5分間予熱した。次いで、上部を大気圧に戻して15分間プレスし、剥離強度測定用試料を得た。得られた剥離強度測定用試料(予熱温度110℃)及び剥離強度測定用試料(予熱温度150℃)のそれぞれにおいて、評価用シートがエチレン・酢酸ビニル樹脂フィルムと接着していない部分からT字剥離することにより、剥離強度を測定し、た。この測定では、島津製作所社製引張試験機「オートグラフAG2000」を用い、引張速度100mm/分の条件とした。得られた剥離強度から、接着性を、下記基準で判定した。
「3」:剥離強度が25N以上であった。
「2」:剥離強度が15N以上25N未満であった。
「1」:剥離強度が15N未満であった。
1−3.冷熱サイクル試験
積層シートを切削加工して、正方形(230mm×230mm、厚さは表に記載)とし、更に、図6に示すように、中央部に切り込み(長さ100mm)を形成した。
次に、230mm×230mm×3mmのガラス板の上に、230mm×230mm×400μmのエチレン・酢酸ビニル樹脂フィルム(商品名「ウルトラパール」、サンビック社製)2枚、及び、上記積層シートを、順次、重ねた(図7参照)。積層シートは、層(A)の表面が、エチレン・酢酸ビニル樹脂フィルムに面するように配設した。その後、この積層物を、ラミネーターに入れ、その上部及び下部を真空状態とし、150℃で5分間加熱した。次いで、上部を大気圧に戻して、15分間プレスすることにより、一体化させた。この一体化物を評価用試験体とし、冷熱サイクル試験に供した。
冷熱サイクル試験は、エスペック社製サーマルショックチャンバー「TSA−101S−W」(型式名)により行った。具体的には、評価用試験体を、高温下(100℃で30分間)及び低温下(−40℃で30分間)に、交互に、曝すことを繰り返し(200回)、積層シートにおける切り込み部からの裂けの発生状態を目視にて観察した。
「3」:裂けの発生がなかった。
「2」:裂けの長さが1mm未満であった。
「1」:裂けの長さが1mm以上であった。
1−4.衝撃強度
積層シート(厚さは表に記載)を切削加工し、100mm(MD)×100mm(TD)の大きさの試験片とした後、以下の要領で、試験片における層(A)の表面への衝撃強度を、安田精機社製フィルム・インパクト・テスターを用いて測定した。試験片を、開口径50mmのリングに固定し、先端部に配設した半球状の衝撃球(直径6.25±0.1mmR)を備える振り子を用いて、衝撃球を、試験片における層(A)の表面に打ちつけ、試験片の打ち抜きに要した衝撃強度を測定した。(容量3J)
1−5.波長400〜700nmの光に対する吸収率(%)
積層シート(50mm×50mm、厚さは表に記載)を測定試料とし、日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計「V−670」(型式名)により、透過率及び反射率を測定した。即ち、測定試料の層(A)の表面に、光を放射し、400nmから700nmまでの波長域における透過率及び反射率を、20nm毎に測定し、これらの平均値を算出した。吸収率は、透過率の平均値及び反射率の平均値を用いて、下記式により算出した。
吸収率(%)=100−{透過率(%)+反射率(%)}
1−6.波長800〜1,400nmの光に対する反射率(%)
積層シート(50mm×50mm、厚さは表に記載)を測定試料とし、日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計「V−670」(型式名)により、反射率を測定した。即ち、測定試料の層(A)の表面に、光を放射し、800nmから1,400nmまでの波長域における反射率を、20nm毎に測定し、これらの平均値を算出した。
1−7.光電変換効率向上率(バックシート開放率14%)
温度25℃±2℃、湿度50±5%RHに調整された室において、ワコム電創社製Solar Simulator「WXS−200S−20、AM1.5G」(型式名)を用い、予め、セル単体の光電変換効率を測定した単結晶シリコンセルの表面に、厚さ3mmのガラスを、裏面に、積層シートを、太陽電池用バックシートとしてこれを配置して、シリコンセルを挟み、ガラスと、積層シートの層(A)の表面との間に封止用樹脂(エチレン・酢酸ビニル樹脂)を注入してシリコンセルを封止し太陽電池モジュールを作製した。その後、温度の影響を低減させるために、光を照射後すぐに光電変換効率を測定した。得られた光電変換効率と、セル単体の光電変換効率とを用いて、光電変換効率向上率を求めた。
光電変換効率向上率(%)={(バックシート開放率14%のモジュールの光電変換効率−バックシート開放率0%のモジュールの光電変換効率)÷(バックシート開放率0%のモジュールの光電変換効率)}×100
2.積層シートの製造原料
2−1.エチレン・酢酸ビニル樹脂(X1−1)
日本ポリエチレン社製エチレン・酢酸ビニル樹脂「ノバテックLV120」(商品名)を用いた。酢酸ビニル単位の含有率は4%である。
2−2.エチレン・酢酸ビニル樹脂(X1−2)
日本ポリエチレン社製エチレン・酢酸ビニル樹脂「ノバテックLV342」(商品名)を用いた。酢酸ビニル単位の含有率は10%である。
2−3.エチレン・酢酸ビニル樹脂(X1−3)
日本ポリエチレン社製エチレン・酢酸ビニル樹脂「ノバテックLV430」(商品名)を用いた。酢酸ビニル単位の含有率は15%である。
2−4.エチレン・酢酸ビニル樹脂(X1−4)
日本ユニカー社製エチレン・酢酸ビニル樹脂「NUC3461」(商品名)を用いた。酢酸ビニル単位の含有率は20%である。
2−5.エチレン・酢酸ビニル樹脂(X1−5)
日本ユニカー社製エチレン・酢酸ビニル樹脂「NUC3269」(商品名)を用いた。酢酸ビニル単位の含有率は28%である。
2−6.ポリエチレン樹脂(X2)
日本ポリエチレン社製ポリエチレン樹脂「ノバテックLC525」(商品名)を用いた。
2−7.ゴム強化樹脂(X3)
三菱レイヨン社製「メタブレン SX−006」(商品名)を用いた。この製品は、シリコーン・アクリル複合ゴムにアクリロニトリル・スチレン共重合体をグラフトさせてなるシリコーン・アクリル複合ゴム強化スチレン系樹脂であり、シリコーン・アクリル複合ゴムの含有量が50%であり、グラフト率が80%であり、極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)が0.38dl/gの樹脂である。
2−8.アクリロニトリル・スチレン樹脂(X4)
テクノポリマー社製AS樹脂「SAN−H」(商品名)を用いた。
2−9.マレイミド系樹脂(X5)
日本触媒社製アクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体「ポリイミレックス PAS1460」(商品名)を用いた。この製品は、N−フェニルマレイミド単位の含有率が40%であり、スチレン単位の含有率が51%である樹脂であり、GPCによるポリスチレン換算のMwは120,000である。
2−10.赤外線透過性着色剤
BASF社製ペリレン系黒色顔料「Lumogen BLACK FK4280」(商品名)を用いた。
2−11.黄色系着色剤
BASF社製キノフタロン系黄色顔料「Paliotol Yellow K0961HD」(商品名)を用いた。
2−12.白色系着色剤
石原産業社製酸化チタン「タイペークCR−60−2」(商品名)を用いた。平均一次粒子径は0.21μmである。
2−13.層(A)形成用樹脂組成物の調製
下記の製造例により得られた組成物(I−1)〜(I−7)を用いた。
製造例1−1
エチレン・酢酸ビニル樹脂(X1−1)と、赤外線透過性着色剤(Y1)と、黄色系着色剤(Y2)とを、表1に示す割合で、ヘンシェルミキサーに投入し、これらを混合した。その後、日本製鋼所製二軸押出機「TEX44」(型式名)を用いて、バレル温度160℃で溶融混練し、ペレット状の層(A)形成用樹脂組成物(I−1)を得た(表1参照)。
製造例1−2〜1−5
エチレン・酢酸ビニル樹脂(X1−1)に代えて、表1に示す種類のエチレン・酢酸ビニル樹脂を用いた以外は、製造例1−1と同様にして、ペレット状の層(A)形成用樹脂組成物(I−2)〜(I−5)を得た(表1参照)。
製造例1−6
エチレン・酢酸ビニル樹脂(X1−1)に代えて、ポリエチレン樹脂(X2)を用いた以外は、製造例1−1と同様にして、ペレット状の層(A)形成用樹脂組成物(I−6)を得た(表1参照)。
製造例1−7
エチレン・酢酸ビニル樹脂(X1−1)に代えて、ゴム強化樹脂(X3)、アクリロニトリル・スチレン樹脂(X4)及びマレイミド系樹脂(X5)を、表1に示す割合で用い、バレル温度を240℃とした以外は、製造例1−1と同様にして、ペレット状の層(A)形成用樹脂組成物(I−7)を得た(表1参照)。
Figure 2012091504
2−14.ポリエステルフィルム
層(B)又は他の層を形成するために、下記のポリエステルフィルムを用いた。
(1)ポリエステルフィルム(W1)
東レ社製白色高隠蔽PETフィルム「ルミラーE20」(商品名)を用いた。厚さは100μmである。フィルム表面におけるL値は91である。
(2)ポリエステルフィルム(W2)
帝人デュポン社製PETフィルム「テイジンテトロンフィルムVW」(商品名)を用いた。厚さは125μmである。このフィルムは、厚さ100μmの半透明PET層と、厚さ25μmの白色PET層とを備える積層フィルムであり、半透明PET層の表面におけるL値は88であり、白色PET層の表面におけるL値は89である。
(3)ポリエステルフィルム(W3)
帝人デュポン社製PETフィルム「テイジンテトロンフィルムVW」(商品名)を用いた。厚さは50μmである。このフィルムは、厚さ35μmの半透明PET層と、厚さ15μmの白色PET層とを備える積層フィルムであり、半透明PET層の表面におけるL値は88であり、白色PET層の表面におけるL値は89である。
3.積層シートの製造及び評価
実施例1
ダイ幅1,400mm及びリップ間隔1.5mmのTダイを有し、スクリュー径65mmの押出機を備えるフィルム成形機を用い、押出機に、層(A)形成用樹脂組成物(I−3)を供給した。そして、Tダイから、温度135℃で溶融させた樹脂組成物を吐出させ、軟質フィルムとした。その後、この軟質フィルムを、エアーナイフにより、表面温度が40℃に制御されたキャストロールに面密着させ、冷却固化し、層(A)形成用フィルムを得た。尚、層(A)形成用フィルムの厚さは、表2に記載の通りである。フィルムの厚さは、ミツトヨ社製シックネスゲージ「ID−C1112C」(型式名)を用い、フィルムの製造開始から1時間経過後のフィルムを切り取り、フィルム幅方向の中心、及び、中心より両端に向けて、10mm間隔で厚さを測定し(n=107)、その平均値とした。フィルムの端部から20mmの範囲にある測定点の値は、上記平均値の計算から除去した。
次に、上記層(A)形成用フィルムと、層(B)を形成するためのポリエステルフィルム(W1)とを、ポリウレタン系の接着剤を用いて接着させ、層(A)及び(B)からなる2層構造の積層シートを得た(図1参照)。厚さは160μmである。そして、この積層シートについて、各種評価を行い、その結果を表2に併記した。
実施例2
実施例1で得られた積層シートの層(B)側表面と、ポリエステルフィルム(W3)の半透明PET層側表面とを、ポリウレタン系の接着剤を用いて接着させ、層(A)、層(B)、半透明PET層(他の層)、及び層(B)からなる、4層構造の積層シートを得た(図示せず)。厚さは210μmである。そして、この積層シートについて、各種評価を行い、その結果を表2に併記した。
実施例3
層(A)形成用樹脂組成物(I−3)に代えて、層(A)形成用樹脂組成物(I−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、層(A)形成用フィルムを得た。その後、上記層(A)形成用フィルムと、ポリエステルフィルム(W2)の半透明PET層側表面とを、ポリウレタン系の接着剤を用いて接着させ、層(A)、半透明PET層(他の層)、及び層(B)からなる、3層構造の積層シートを得た。厚さは185μmである。そして、この積層シートについて、各種評価を行い、その結果を表2に併記した。
実施例4〜6
層(A)形成用樹脂組成物(I−1)に代えて、表2に示す種類の層(A)形成用樹脂組成物を用いた以外は、実施例3と同様にして、層(A)、半透明PET層(他の層)、及び層(B)からなる、3層構造の積層シートを得た。厚さは185μmである。この積層シートについて、各種評価を行い、その結果を表2に併記した。
実施例7
実施例1で得られた層(A)形成用フィルムと、ポリエステルフィルム(W3)の半透明PET層側表面とを、ポリウレタン系の接着剤を用いて接着させ、層(A)、半透明PET層(他の層)、及び層(B)からなる、3層構造の積層シートを得た。厚さは110μmである。そして、この積層シートについて、各種評価を行い、その結果を表2に併記した。
比較例1〜3
層(A)形成用樹脂組成物(I−1)に代えて、表3に示す種類の層(A)形成用樹脂組成物を用いた以外は、実施例3と同様にして、層(A)、半透明PET層(他の層)、及び層(B)からなる、3層構造の積層シートを得た。厚さは185μmである。この積層シートについて、各種評価を行い、その結果を表3に併記した。
Figure 2012091504
Figure 2012091504
実施例1は、図1に示す構造を有する積層シートの例である。実施例2は、図3に示す構造を有する積層シートの例であり、その製造に用いたポリエステルフィルム(W3)に由来する半透明PET層及び白色PET層は、他の層13に相当する。また、実施例3〜7及び比較例1〜3は、図4に示す構造を有する積層シートの例である。
本発明の積層シートにおいて、層(A)の表面に光が放射された場合に、層(A)において赤外線が透過しやすいことから、層(A)における蓄熱が抑制される。層(B)が白色層であるので、層(A)を透過した光の、層(B)における反射性に優れ、層(B)における蓄熱も抑制される。そして、受光等による劣化が生じることがなく耐候性に優れ、冷熱サイクル環境による裂け等の不良現象が発生しにくく、耐熱性及び強度に優れ、長期に渡って意匠性及び形状を維持することができる。更に、層(A)の表面と、相手材との接着性に極めて優れる。従って、太陽光に長時間曝され、長期に渡って形状安定性等が求められる用途に好適である。なかでも、家屋、建物等の屋根等に配設される太陽電池を構成する太陽電池モジュールの構成部材、即ち、太陽電池用バックシートとして有用である。この積層シートは、柔軟性に優れるので、太陽電池モジュールの形状に依存することなく、即ち、太陽電池モジュールに含まれる太陽電池素子を包埋する充填材部の表面形状に応じて配設することができ、太陽電池素子の保護に好適である。
1:積層シート
11:層(A)
12:層(B)
13:他の層
2:太陽電池モジュール
21:表面側透明保護部材
23:表面側封止膜
25:太陽電池素子
27:裏面側封止膜
3:切り込み
5:エチレン・酢酸ビニル樹脂フィルム
7:ガラス板

Claims (6)

  1. 酢酸ビニル単位の含有率が2〜25質量%のエチレン・酢酸ビニル樹脂及び赤外線透過性着色剤を含む層(A)、並びに、飽和ポリエステル樹脂及び白色系着色剤を含む層(B)を備えることを特徴とする積層シート。
  2. 上記層(A)におけるエチレン・酢酸ビニル樹脂を構成する酢酸ビニル単位の含有率が、8質量%を越えて25質量%以下である請求項1に記載の積層シート。
  3. 波長400〜700nmの光を、上記積層シートにおける上記層(A)の表面に放射した場合、該光に対する吸収率が60%以上である請求項1又は2に記載の積層シート。
  4. 波長800〜1,400nmの光を、上記積層シートにおける上記層(A)の表面に放射した場合、該光に対する反射率が50%以上である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層シート。
  5. 厚さが30〜900μmである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層シート。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層シートを備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
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