JP2012088145A - 波源推定装置及び波源推定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】波源推定装置は、アレーアンテナ24aにより電波又は音波を受信して受信波の波源の位置を推定する。波源推定装置は、波源の初期推定を行い、初期推定に基づく受信波のモード行列の位相を回転して変換行列を求め、受信波の相関行列を変換行列によって平均化し、波源演算に必要な相関行列を算出する。そして、波源推定装置は、演算過程で算出した変換行列と、先に算出された平均化処理後の相関行列とを基に代数的手法によって波源の位置を算出する。
【選択図】図1
Description
請求項1に記載の発明は、複数の受信素子により電波又は音波を受信して受信波の波源を推定する波源推定装置において、波源算出の前処理の過程で、波源の初期推定を行い、当該初期推定に基づく受信波のモード行列の位相を回転して変換行列を求め、受信波の相関行列を前記変換行列によって平均化し、波源演算に必要な相関行列を算出する相関行列算出手段と、前記相関行列算出手段が演算過程で算出した前記変換行列と、前記相関行列算出手段により算出された平均化処理後の前記相関行列とを基に、代数的手法によって波源の位置又は方向を算出する波源算出手段とを備えたことをその要旨としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の波源推定装置において、前記相関行列算出手段は、VSSP法によって平均化された前記相関行列を算出することをその要旨としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の波源推定装置において、前記相関行列算出手段は、ビームフォーマ法によって前記初期推定を行うことをその要旨としている。
請求項6に記載の発明は、複数の受信素子により電波又は音波を受信して受信波の波源を推定する波源推定方法において、波源算出の前処理の過程で、波源の初期推定を行い、当該初期推定に基づく受信波のモード行列の位相を回転して変換行列を求め、受信波の相関行列を前記変換行列によって平均化し、波源演算に必要な相関行列を算出する相関行列算出と、前記相関行列算出の演算過程で算出した前記変換行列と、前記相関行列算出により算出された平均化処理後の前記相関行列とを基に、代数的手法によって波源の位置又は方向を算出する波源算出とを行うことをその要旨としている。
図1に示されるように、車両2には、例えば運転者が実際に車両キーを操作しなくてもドアロックの施解錠やエンジンの始動及び停止等の車両動作を行うことが可能な電子キーシステム、いわゆるキー操作フリーシステムが搭載されている。キー操作フリーシステムは、キー固有のIDコードを無線通信で発信可能な電子キー1が車両キーとして使用され、電子キー1と車両2との狭域無線通信によりID照合が実行される。
波源の個数をLとする。図4は(x,y)=(xl,yl)=βlに位置する第l波(l=1,2,…,L)の狭帯域波源と、x軸上に配置された素子間隔dのK素子等間隔リニアアレーとの位置関係を示した図である。L波の到来波がアレーアンテナに入射した場合、k番目(k=1,2,…,K)のアンテナ素子の受信信号xkは次式のように表すことができる。
ESPRIT法は、波源が十分遠方であり、到来波が平面波とみなせることを前提として成立する。今、十分遠方に存在するl番目(l=1,2,・・・,L)の波源が、y軸となす角θl(反時計回り方向を正とする)から到来する場合を考える。すると、波源が近傍である場合に式(8)で表されたモードベクトルa(βl)の成分ak(βl)は、次式のように変更される。
上記では、波源が遠方である場合にはESPRIT法の適用が可能であることを確認した。しかし、波源が近傍である場合には、等間隔アレーであるにも関わらず、隣接素子間の受信信号の位相差が一定ではない不等間隔アレーで受信したような状態となる。したがって、ESPRIT法の原理式である回転不変式(17)を満たすような、同形のサブアレーのペアを取り出すことができない。
上記では、近傍波源に対するESPRIT法を適用する方法について説明した。続いて、変換行列Bを求めるために行う初期推定について説明する。また、初期推定結果には一般に誤差が含まれるため、この初期推定に含まれる誤差の影響と、その対策について説明する。
ESPRIT法、近傍ESPRIT法、MUSIC法等の固有値展開に基づく推定方法は、そのままではコヒーレントな波源の推定を正しく行うことができない。そこで、何らかの前処理を行い波源の相互相関値を低下させる必要がある。VSSP法は、空間平均法やCSS法と同様、この前処理のための1手法である。ここでは、このVSSP法を用いて波源の相互相関値を低減し、近傍ESPRIT法の適用を可能とする。
通常、初期推定値には誤差が含まれる。この誤差を含む初期推定位置β'lより得られるモード行列をA'とし、これらを用いて算出されるVSSP法における変換行列をTn'とする。このTn'を用い真の波源位置を表すモード行列Aを変換すると次式のように表される。
続いて、図3〜図6に示すように、前処理としてVSSP法を行い、その後、近傍ESPRIT法によって電子キー1の位置を推定するまでの算出手順を説明する。VSSP法では、相関行列を算出する仮定において初期位置(推定位置β)と変換行列Bとを求めるが、初期位置β及び変換行列Bは近傍ESPRIT法でも使用可能な演算パラメータとなっている。つまり、近傍ESPRIT法の式(31)とVSSP法の式(52)とに着目すると、VSSP法の式(52)においてn=1である場合の変換行列T1と、近傍ESPRIT法の変換行列Bはまったく同一の変換を行うことが分かる。よって、VSSP法で算出した変換行列Tnは、どれでも近傍ESPRIT法の変換行列Bとして用いることができる。
(1)アレーアンテナ24aにより電波を受信して、位置推定部21bにより波源の位置を算出するにあたって、コヒーレント波の波源位置推定の前処理として、VSSP法に基づき、アレーアンテナ24aが受信した受信波のモード行列Aの位相を回転して変換行列Tnを求め、位相回転されたモード行列を含む相関行列を平均化した相関行列RxxTを算出する。そして、相関行列RxxTを算出する過程で算出した変換行列Tnと、相関行列RxxTとに基づいて近傍ESPRIT法によって波源の位置を算出する。従来、コヒーレント波の位置を推定する場合には前処理としてVSSP法を行い、近傍ESPRIT法が用いられるが、サーチに要する演算負荷が大きいという問題点がある。そこで、本装置では、コヒーレント波の場合に、前処理で算出した変換行列Tnを変換行列Bとして利用するので、変換行列Bを算出する演算負荷が低減することができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態では、回転不変式の対角行列の対角成分として算出される固有値を考慮することなく変換行列を算出したが、回転不変式の対角行列の成分として算出される固有値と、波源の存在し得る位置とが、一対一対応となる変換行列を算出してもよい。
・上記実施形態では、変換行列Bと入力ベクトルXとを掛けたが、変換行列Bと固有ベクトルEsとを掛けて算出するようにしてもよい。
・上記実施形態では、変換行列算出時に窓関数を用いたが、所望の推定精度を得ることができれば、窓関数を用いなくともよい。
・上記実施形態では、推定方法として近傍ESPRIT法を用いたが、他の推定方法、近傍波源でなければ、例えばESPRIT法、MUSIC法等を用いてもよい。
・上記の推定手法と前処理方法との組み合わせは、波源の状態に応じて適宜選択する。
・また、波源位置推定装置に限らず、波源方向推定装置として種々の通信機器に適用してもよい。
・電子キーシステムで使用する各通信の周波数はどの周波数の電波を使用してもよい。
・上記実施形態において、受信素子は電波を受信する装置であったが、これに限らず、例えばマイクロホンのような音波を受信する装置であっても良い。
Claims (6)
- 複数の受信素子により電波又は音波を受信して受信波の波源を推定する波源推定装置において、
波源算出の前処理の過程で、波源の初期推定を行い、当該初期推定に基づく受信波のモード行列の位相を回転して変換行列を求め、受信波の相関行列を前記変換行列によって平均化し、波源演算に必要な相関行列を算出する相関行列算出手段と、
前記相関行列算出手段が演算過程で算出した前記変換行列と、前記相関行列算出手段により算出された平均化処理後の前記相関行列とを基に、代数的手法によって波源の位置又は方向を算出する波源算出手段とを備えた
ことを特徴とする波源推定装置。 - 請求項1に記載の波源推定装置において、
前記波源算出手段は、前記代数的手法で得られるモードベクトルによって前記波源の位置を算出する
ことを特徴とする波源推定装置。 - 前記相関行列算出手段は、VSSP法によって平均化された前記相関行列を算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の波源推定装置。 - 前記相関行列算出手段は、ビームフォーマ法によって前記初期推定を行う
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の波源推定装置。 - 前記相関行列算出手段は、前記代数的手法による演算に必要な前記受信素子のモード行列と、前記変換行列を求めるための一パラメータである対角行列とを基に、前記変換行列を算出する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の波源推定装置。 - 複数の受信素子により電波又は音波を受信して受信波の波源を推定する波源推定方法において、
波源算出の前処理の過程で、波源の初期推定を行い、当該初期推定に基づく受信波のモード行列の位相を回転して変換行列を求め、受信波の相関行列を前記変換行列によって平均化し、波源演算に必要な相関行列を算出する相関行列算出と、
前記相関行列算出の演算過程で算出した前記変換行列と、前記相関行列算出により算出された平均化処理後の前記相関行列とを基に、代数的手法によって波源の位置又は方向を算出する波源算出とを行う
ことを特徴とする波源推定方法。
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