JP2012084729A - レーザ装置 - Google Patents

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弘之 大橋
Arata Ko
新 高
Kazunori Shinoda
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【課題】励起光1パルス当たり複数パルスのレーザ光出力を得る場合において出力パルス群のパルス間隔を容易に制御することができるレーザ装置を提供する。
【解決手段】レーザ装置1は、発振部10,励起光源部20および励起光学系30を備える。発振部10は、第1反射部11,レーザ媒質12,可飽和吸収体13および第2反射部14が一体化されたものである。励起光源部20は、レーザ媒質12に含有される光活性物質を励起するための励起光をパルス出力する。励起光学系32は、励起光源部20から出力された励起光を第1反射部11側からレーザ媒質12に供給するものであり、レーザ媒質12での励起光のビーム径を調整するビーム径調整手段を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ装置に関するものである。
レーザ光源として、励起光が供給されることで放出光を発生させるレーザ媒質と、光吸収の飽和により光吸収率が小さくなり受動Qスイッチとして作用する可飽和吸収体とを、レーザ共振器の共振光路上に有する構成のものが知られている。また、特許文献1〜3には、パルス励起光がレーザ共振器内に供給されることで励起光1パルス当たり複数パルスのレーザ光出力(以下「出力パルス群」という場合がある。)が得られることが記載されている。
特開2003−086873号公報 特開2001−185794号公報 実開昭63−136369号公報
しかしながら、上記のような励起光1パルス当たり複数パルスのレーザ光出力を得ようとする従来の技術では、出力パルス群の各パルスの間隔を制御することは容易ではない。例えば、励起光パワーによって出力パルス群のパルス間隔が変動するが、励起光パワーとは別の様々な要因によっても出力パルス群のパルス間隔が変動するので、励起光パワーを調整することのみでは出力パルス群のパルス間隔を制御することはできない。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、励起光1パルス当たり複数パルスのレーザ光出力を得る場合において出力パルス群のパルス間隔を容易に制御することができるレーザ装置を提供することを目的とする。
本発明のレーザ装置は、励起光が供給されることで放出光を発生させるレーザ媒質と、光吸収の飽和により光吸収率が小さくなる可飽和吸収体と、励起光を透過させる第1反射部と、レーザ媒質および可飽和吸収体を共振光路上に有して放出光を共振させるレーザ共振器を第1反射部とともに構成する第2反射部と、励起光をパルス出力する励起光源部と、励起光源部から出力された励起光を第1反射部側からレーザ媒質に供給する励起光学系と、を備えることを特徴とする。さらに、本発明のレーザ装置は、レーザ媒質,可飽和吸収体,第1反射部および第2反射部が一体化されており、励起光学系が、レーザ媒質での励起光のビーム径を調整するビーム径調整手段を含むことを特徴とする。
本発明のレーザ装置では、励起光源部が、励起光のパルス幅を調整するパルス幅調整手段を含むのが好適である。また、励起光源部の励起光出力部,レーザ媒質,可飽和吸収体,第1反射部および第2反射部の相対的配置が固定されており、励起光学系がビーム径調整手段として光軸方向に移動自在のレンズを含むのが好適である。
本発明によれば、励起光1パルス当たり複数パルスのレーザ光出力を得る場合において出力パルス群のパルス間隔を容易に制御することができる。
本実施形態のレーザ装置1の構成図である。 本実施形態のレーザ装置1の組立ての一例を示す平面図、正面図および側面図である。 本実施形態のレーザ装置1における励起光および出力レーザ光それぞれの波形の一例を模式的に示す図である。 本実施形態のレーザ装置1において励起光のパワー,パルス幅およびレーザ媒質12でのビーム径それぞれを変化させたときの出力レーザ光の波形の変化の一例を模式的に示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態のレーザ装置1の構成図である。レーザ装置1は、発振部10,励起光源部20および励起光学系30を備える。発振部10は、第1反射部11,レーザ媒質12,可飽和吸収体13および第2反射部14を含む。
レーザ媒質12は、光活性物質を含有していて、励起光源部20から出力される励起光が供給されることで光活性物質が励起され、その光活性物質から放出光を発生させる。レーザ媒質12は、Nd:YAGやYb:YAGなどの結晶であるのが好適である。レーザ媒質12の厚さは例えば0.01mm〜1.5mmである。
可飽和吸収体13は、光吸収の飽和により光吸収率が小さくなるものであって、レーザ共振器において受動Qスイッチとして用いられる。すなわち、可飽和吸収体13は、光強度が小さいときには光吸収率が大きく、光強度が或る値を超えると光吸収が飽和して光吸収率が急に小さくなる。可飽和吸収体13はCr:YAGなどの結晶であるのが好適である。
第1反射部11は、励起光を透過させ、放出光を反射させる。第2反射部14は、放出光の一部を透過させ残部を反射させる。第2反射部14は、励起光を反射させるのが好適である。放射光波長における第2反射部14の反射率は例えば90%程度である。第1反射部11および第2反射部14それぞれは誘電体多層膜であるのが好適である。
第1反射部11および第2反射部14は、レーザ媒質12および可飽和吸収体13を共振光路上に有して放出光を共振させるレーザ共振器を構成している。また、第1反射部11,レーザ媒質12,可飽和吸収体13および第2反射部14は順に配置されて一体化されていて、この一体化されたものが発振部10となっている。この一体化に際しては、ダイレクトボンディング(表面活性化接合技術)により接合されているのが好適である。
ダイレクトボンディングとは、シリコン基板同士を接合するためにMEMS分野で開発が進められてきたものである。ダイレクトボンディングは、結晶-誘電体膜、誘電体膜同士の何れでも可能である。ダイレクトボンディングの条件として、結晶または誘電体多層膜の表面状態は、平面度が好ましくはλ以下(より好ましくはλ/10以下)で、表面粗さRaが好ましくは1nm以下(より好ましくは0.5nm以下)である。
励起光源部20は、レーザ媒質12に含有される光活性物質を励起するための励起光をパルス出力するものであって、レーザダイオード21および駆動部22を含む。レーザダイオード21は、駆動部22から供給される駆動電流によりQCW(Quasi Continuous Wave)駆動されて励起光をパルス出力する。例えば、レーザ媒質12がNd:YAGの結晶である場合、励起光の波長は808nmであり、出力レーザ光の波長は1064nmである。
励起光源部20は、レーザダイオード21から出力される励起光のパルス幅を調整するパルス幅調整手段を含むのが好適である。具体的には、励起光源部20は、駆動部22からレーザダイオード21に与えられる駆動電流のパルス幅を調整することで、励起光のパルス幅を調整することができる。
励起光学系30は、励起光源部20のレーザダイオード21から出力された励起光を第1反射部11側からレーザ媒質12に供給するものであって、レンズ31およびレンズ32を含む。レンズ31は、レーザダイオード21から発散出力された励起光をコリメートする。なお、レーザダイオード21から出力される励起光は、ファスト軸およびスロー軸を有し、軸方向によって拡がり角が相違する。したがって、コリメートのためのレンズ31として、ファスト軸コリメート用レンズおよびスロー軸コリメート用レンズが設けられるのが好適である。レンズ32は、レンズ31によりコリメートされた励起光を入力し、その励起光を収斂させてレーザ媒質12に供給する。
図2は、本実施形態のレーザ装置1の組立ての一例を示す平面図、正面図および側面図である。同図(a)は平面図を示し、同図(b)は正面図を示し、同図(c)は側面図を示す。
発振部10,レーザダイオード21,レンズ31およびレンズ32は、架台40に搭載されている。発振部10は、架台40に固定された支持台41により支持されている。レーザダイオード21は、架台40に固定された支持台42により支持されている。レンズ31は、架台40に固定された支持台43により支持されている。すなわち、これら発振部10,レーザダイオード(励起光源部の励起光出力部)21およびレンズ31の相対的配置が固定されている。
レンズ32は、一軸直動ステージ50に固定された支持台51により支持されている。一軸直動ステージ50は、基部が架台40に固定されていて、支持台51により支持されたレンズ32を光軸方向に移動させることができる。一軸直動ステージ50は、マイクロメータの回転により移動が可能であってもよいし、ステッピングモータにより移動が可能であってもよい。レンズ32は、このように光軸方向に移動自在であることにより、レーザ媒質12での励起光のビーム径を調整するビーム径調整手段として作用し得る。
なお、支持台41は、発振部10で発生した熱を放熱するために、熱伝導率が高い金属で構成されているのが好適である。また、支持台42は、レーザダイオード21で発生した熱を放熱するために、熱伝導率が高い金属で構成されているのが好適である。
図3は、本実施形態のレーザ装置1における励起光および出力レーザ光それぞれの波形の一例を模式的に示す図である。同図に示されるように、駆動部22により駆動されたレーザダイオード21から出力される励起光はQCWパルス光である。このような励起光が励起光学系30を経てレーザ媒質12に供給される。
発振部10では、励起光が供給されたレーザ媒質12において放出光が発生する。その放出光のパワーが小さいときは、可飽和吸収体13の光吸収率が大きく、レーザ共振器においてレーザ発振は起こらない。やがて、レーザ媒質12で発生する放出光のパワーが大きくなって、可飽和吸収体13における光強度が或る値を超えると、可飽和吸収体13の光吸収が飽和して光吸収率が急に小さくなる。可飽和吸収体13の光吸収率が小さくなると、レーザ媒質12で発生した放出光は、可飽和吸収体13を透過することができ、反射部11と反射部14との間で往復することでレーザ媒質12において誘導放出を生じさせる。
これにより、レーザ共振器においてレーザ発振が起こる。このようなレーザ発振が生じると直ちに、レーザ媒質12で発生する放出光のパワーが小さくなり、可飽和吸収体13の光吸収率が大きくなって、レーザ共振器においてレーザ発振が終了する。励起光パルスの期間、以上のような動作が繰り返されることで、レーザ光源1はパルスレーザ光を出力することができる。すなわち、レーザ光源1では、励起光1パルス当たり複数パルスのレーザ光出力(出力パルス群)が得られる。
例えば、励起光のピークパワーは200Wであり、励起光のパルス幅は60〜200μsであり、励起光のパルスの繰り返し周波数は100Hzである。このとき、出力レーザ光のピークパワーは1kWであり、出力レーザ光の出力パルス群の各パルス幅は2nsであり、出力レーザ光の出力パルス群の繰り返し周波数は100Hzである。
図4は、本実施形態のレーザ装置1において励起光のパワー,パルス幅およびレーザ媒質12でのビーム径それぞれを変化させたときの出力レーザ光の波形の変化の一例を模式的に示す図である。同図(a)の場合を基準として、同図(b)では励起光のパワーが大きく、同図(c)では励起光のパルス幅が狭く、また、同図(d)ではレーザ媒質12での励起光のビーム径が小さい。
同図に示されるように、励起光のパルス幅が一定のまま励起光のパワーが大きくなると(同図(a),(b))、出力パルス群の各パルスのピークパワーが変化することなく、出力パルス群の各パルス間隔が狭くなり、したがって、出力パルス群のパルス数が増加する。励起光のパワーが一定のまま励起光のパルス幅が狭くなると(同図(a),(c))、出力パルス群の各パルスのピークパワーが変化することなく、また、出力パルス群の各パルス間隔も変化することなく、したがって、出力パルス群のパルス数が減少する。
また、励起光のパワーが一定で励起光のパルス幅も一定のままレーザ媒質12での励起光のビーム径が小さくなると(同図(a),(d))、出力パルス群の各パルスのピークパワーが小さくなり、出力パルス群の各パルス間隔が狭くなり、出力パルス群のパルス数が増加する。
ところで、レーザダイオード21から出力される励起光のパワーやパルス幅を含む種々の条件を調整して、出力パルス群のパルス間隔について所望の値を得ることは、容易ではなく、また、レーザダイオード21からの出力が所望値に安定するまでに時間を要する場合もある。これに対して、本実施形態では、レーザダイオード21から出力される励起光のパワーやパルス幅を変化させることなく、レーザ媒質12での励起光のビーム径を調整することのみで出力パルス群のパルス間隔を制御するので、容易かつ迅速に制御をすることができる。
本実施形態のレーザ装置1は、第1反射部11,レーザ媒質12,可飽和吸収体13および第2反射部14が一体化されてなる発振部10を備え、また、レーザ媒質12での励起光のビーム径を調整するビーム径調整手段を備える。したがって、本実施形態のレーザ装置1は、小型化が容易であるとともに、発振部10,励起光源部20および励起光学系30を組み立てる際のアライメントが容易であり、アライメント後の位置ずれが生じ難く取り扱いが容易であり、また、出力パルス群のパルス間隔を容易かつ迅速に制御をすることができる。
また、本実施形態のレーザ装置1は、QCW励起であるのでレーザダイオード21から出力される励起光のピークパワーを大きくすることができる。本実施形態のレーザ装置1は、レーザ媒質12の蛍光寿命(Nd:YAGでは200μs程度)を中心とするパルス幅範囲(例えば数十μs〜500μsの範囲)で励起光のパルス幅を調整することで、良好な出力パルス群を自在に安定して発生させることができる。また、励起光1パルス当たり1パルスのレーザ光出力の場合の光-光変換効率は約2%であったのに対して、励起光1パルス当たり複数パルスのレーザ光出力の場合の最大効率は約17%であった。
一般に、レーザ加工の分野では、出力パルス群中のパルス間隔は、金属等の加工対象物とレーザ光との相互作用において加工速度や加工深度に関して好ましい効果を発揮する領域を有している。本実施形態のQCW励起のレーザ装置1は、レーザ媒質12での励起光のビーム径を調整することで出力パルス群のパルス間隔を容易かつ迅速に制御をすることができるので、レーザ加工用途に好適に用いられ得る。また、本実施形態のレーザ装置1は、レーザ誘起発光分光(LIBS: Laser Induced Breakdown Spectroscopy)等の計測・分析の分野においても好適に用いられ得る。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、励起光源部20と発振部10との間の励起光学系30の構成は様々な態様が可能であり、また、レーザ媒質12での励起光のビーム径を調整するビーム径調整手段の構成も様々な態様が可能である。レーザ媒質12での励起光のビーム径を調整するために、上記実施形態ではレンズ32を光軸方向に移動させたが、レンズ31を光軸方向に移動させてもよいし、レンズ31およびレンズ32の双方を光軸方向に移動させるようにしてもよいし、また、発振部10を光軸方向に移動させてもよい。ただし、発振部10の熱的安定性が重要であるので、発振部10は位置固定されるのが好ましい。
1…レーザ装置、10…発振部、11…第1反射部、12…レーザ媒質、13…可飽和吸収体、14…第2反射部、20…励起光源部、21…レーザダイオード、22…駆動部、30…励起光学系、31,32…レンズ。

Claims (3)

  1. 励起光が供給されることで放出光を発生させるレーザ媒質と、
    光吸収の飽和により光吸収率が小さくなる可飽和吸収体と、
    前記励起光を透過させる第1反射部と、
    前記レーザ媒質および前記可飽和吸収体を共振光路上に有して前記放出光を共振させるレーザ共振器を前記第1反射部とともに構成する第2反射部と、
    前記励起光をパルス出力する励起光源部と、
    前記励起光源部から出力された励起光を前記第1反射部側から前記レーザ媒質に供給する励起光学系と、
    を備え、
    前記レーザ媒質,前記可飽和吸収体,前記第1反射部および前記第2反射部が一体化されており、
    前記励起光学系が、前記レーザ媒質での前記励起光のビーム径を調整するビーム径調整手段を含む、
    ことを特徴とするレーザ装置。
  2. 前記励起光源部が、前記励起光のパルス幅を調整するパルス幅調整手段を含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  3. 前記励起光源部の励起光出力部,前記レーザ媒質,前記可飽和吸収体,前記第1反射部および前記第2反射部の相対的配置が固定されており、
    前記励起光学系が前記ビーム径調整手段として光軸方向に移動自在のレンズを含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
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