JP2012084235A - プラズマディスプレイパネル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、MgCaO保護層を、高温の大気中における封着プロセスに導入した場合に、安定した低い放電電圧特性を有するプラズマディスプレイパネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】表示電極12、13を覆う誘電体層14上に保護層15が形成された前面板10と、アドレス電極22を覆う誘電体層23上に隔壁24が形成された背面板20とが対向配置されたプラズマディスプレイパネルであって、
前記保護層は、酸化カルシウムと酸化マグネシウムの組成比の合計が少なくとも95%以上のCaMgO膜であり、表面に形成される炭素が1%以上存在する炭酸塩層17の厚さが3.3nm以下であることを特徴とする。
【選択図】図5
【解決手段】表示電極12、13を覆う誘電体層14上に保護層15が形成された前面板10と、アドレス電極22を覆う誘電体層23上に隔壁24が形成された背面板20とが対向配置されたプラズマディスプレイパネルであって、
前記保護層は、酸化カルシウムと酸化マグネシウムの組成比の合計が少なくとも95%以上のCaMgO膜であり、表面に形成される炭素が1%以上存在する炭酸塩層17の厚さが3.3nm以下であることを特徴とする。
【選択図】図5
Description
本発明は、プラズマディスプレイパネル及びその製造方法に関し、特に、表示電極を覆う誘電体層上に保護層が形成された前面板と、アドレス電極を覆う誘電体層上に隔壁が形成された背面板とが対向配置されたプラズマディスプレイパネル及びその製造方法に関する。
従来から、気体放電からの放射を利用した平面表示装置として、プラズマディスプレイパネルが知られている。プラズマディスプレイパネルは、高速の表示や大型化が容易であり、映像表示装置や広報表示装置などの分野で広く実用化されている。
図1は、従来から用いられている一般的なAC型プラズマディスプレイパネルの構成を示した図である。図1に示すプラズマディスプレイパネルは、前面板110及び背面板120を貼り合わせて構成される。図1において、前面ガラス基板111の背面板120に面した側に、走査電極113及び維持電極112を一対とする表示電極対が複数にわたり配設され、表示電極対112、113を覆うように、誘電体層114および保護層115が順次積層されている。誘電体層114として、軟化点が550℃〜600℃の鉛系PbO2あるいは非鉛系Bi2O3の低融点ガラスと、ZnO、B2O3、SiO2等の材料粉末にブチルカルビトールアセテート等からなる有機バインダーを混合したペーストを塗布する。そして550℃〜650℃程度で焼成し、最終厚みが膜厚数μm〜数十μmの誘電体層114を形成する。
保護層115は、上記誘電体層114及び表示電極対112、113をプラズマ放電のイオン衝突から保護すると共に、二次電子を効率よく放出し、放電開始電圧を低下させる役割を果たす。通常、保護層115は、二次電子放出特性、耐スパッタ性、光学透明性に優れる酸化マグネシウム(MgO)を用いて、EB(Electron Beam、電子ビーム)蒸着法やスパッタ法で厚み0.5μm〜1μm程度で成膜される。一方、背面板120は、背面ガラス基板121の前面板110に面した面上に、画像データを書き込むための複数のデータ(アドレス)電極122が、前面板110の表示電極対112、113と直交方向で交差するように併設される。次に、アドレス電極122を覆うように誘電体を塗布し、これを焼成することで、下地誘電体層123を形成する。背面板120において隣接する放電セルとの境界上には、低融点ガラスからなる所定の高さの隔壁124が放電空間を区画するように、ストライプあるいは井桁状等のパターンで形成される。隔壁124間の下地誘電体層123上および隔壁124の側面には、R、G、B各色の蛍光体インクが塗布及び焼成されてなる蛍光体層125(赤)、(緑)、(青)が形成されている。
前面板110と背面板120は、表示電極対112、113とデータ電極122とが放電空間をおいて互いに直交するように配置され、その各周囲で封着される。この際に内部封止された放電空間には、放電ガスとしてXe−Ne系の希ガスが約数十kPaの圧力で封入される。このようにして、プラズマディスプレイパネルが構成される。
ここで、従来のプラズマディスプレイパネルにおいては、以下の諸問題が存在する。近年、電気製品の省電力化が強く求められており、プラズマディスプレイパネルについても同様の要求がある。プラズマディスプレイパネルを含めた近年のディスプレイ分野では、画素が高精細となり、走査線数が増加する傾向にある。例えば、フルハイビジョンTVでは、従来のNTSC(National Television Standards Committee)方式のTVと比べて、走査線の数が2倍以上になる。高精細なプラズマディスプレイパネルにおいては、放電セルが微細化されて放電セル数も増大するので、消費電圧が大きくなる問題が生じる。そこで、発光効率を高めるため、蛍光体125を発光させる紫外線を放射するXeガスの封入分圧を増加させたいが、この際に動作電圧が高くなる問題が生じてしまう。そこで、駆動電圧を低減するためのプラズマディスプレイパネルとして、従来のMgO保護層115よりも二次電子放出利得が高く、放電電圧の低い酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシウム(CaO)などのアルカリ土類金属を保護層115に用いることが試みられている。
しかしながら、これらの材料は反応性が高く、パネルを製作する際の大気中加熱プロセスにおいて、大気中の水分、炭酸ガス、炭化水素系ガスなどと反応し、放電電圧のより高いアルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩に変化してしまい、放電電圧が上昇してしまうことが知られている。そのため、これらの材料を導入するためには、真空中や、N2などの環境下でパネルを加熱して張り合わせるなど、製作工程が複雑になり、製作費も高価になってしまうといった問題がある。
そこで、例えば、CaO保護層の表面を現行のMgO保護層材料を用いて300nmほどコートすることにより、現行のプロセスに対する耐性を持たせ、パネル製作後の放電によるエージングにより、表面のMgOコートをスパッタで取り除いて低電圧化させる方法が提案されている(例えば、非特許文献1)。しかしながら、この方法では、エージング(350V、15kHzの条件下)により電圧を低下させ、その値を安定させるまでに約200時間近くかかってしまい、実用化することができない。
そこで、プロセス耐性がより強い低電圧な保護層として、現行の酸化マグネシウムに、放電電圧がより低いアルカリ土類金属の酸化物材料である酸化カルシウム(CaO)を加えてCaMgOとし、これをEB蒸着法で成膜し、保護層とするプラズマディスプレイが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
Minoru Hasegawa, Shin’ya Fukuta, and Keiichi Betsui, "Air Stable High-g Discharge Protective Layer Covered with Barrier Material," in Proc. Int. Display Workshops ’09, pp. 1941-1944, Dec. 2009.
Takanobu Yano and Kazuya Uchida, Giichiro Uchida, Tsutae Shinoda, and Hiroshi Kajiyama, "Discharge Characteristics of PDPs with the Ternary Oxides Protective Layers Manufactured by Using All-In-Vacuum Process," in Proc. SID Int. Symp. Dig. Tech. Papers, May 2010, pp. 739-741.
しかしながら、上述の特許文献1、2に記載のプラズマディスプレイパネルにおいては、パネルの封着プロセスが、現行の大気焼成によるものなのか否か明記されていないが、いずれにしても、これらのデータはすべて、Caの濃度を高くしていくと、ある濃度から(特許文献1では、15atomic%、特許文献2では約30atomic%)低下していた放電電圧が上昇を始めるという問題があった。
一方、CaMgO保護層を持つパネルを、真空中やN2などの環境下で加熱した場合は、Caの濃度を高くするほど放電電圧が低下する放電特性結果が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
図2は、発明者等が行ったCaMgO保護層のCaとMgの組成比を変化させた場合の放電開始電圧特性実験結果である。図3は、発明者等が行ったCaMgO保護層のCaとMgの組成比を変化させた場合の維持放電電圧特性実験結果である。図2、3に示すように、発明者等による実験でも同様の結果となった。このことから、図2、3に示すような、Caの比率が増加するにつれて放電電圧が低下する右肩下がりの特性がCaMgO本来の特性と考えられる。
しかしながら、特許文献1、2に記載のプラズマディスプレイおいては、Caの濃度を多くすると、放電電圧が増加する結果となっている。これは、プラズマディスプレイ製造プロセスにおいて、前面板110と背面板120とを貼り合わせる封着工程において、大気中で焼成を行った際、CaMgO保護層表面のCaO成分が放電電圧の高いアルカリ土類金属の炭酸塩CaCO3により多く変化してしまい、本来的なCa濃度の値が変化してしまうためであると考えられる。
そこで、本発明は、MgCaO保護層を、高温の大気中における封着プロセスを用いた現行の製作プロセスに導入した場合に、安定した低い放電電圧特性を有するプラズマディスプレイパネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明に係るプラズマディスプレイパネルは、表示電極を覆う誘電体層上に保護層が形成された前面板と、アドレス電極を覆う誘電体層上に隔壁が形成された背面板とが対向配置されたプラズマディスプレイパネルであって、
前記保護層は、酸化カルシウムと酸化マグネシウムの組成比の合計が少なくとも95%以上のCaMgO膜であり、表面に形成される炭素が1%以上存在する炭酸塩層の厚さが3.3nm以下であることを特徴とする。
前記保護層は、酸化カルシウムと酸化マグネシウムの組成比の合計が少なくとも95%以上のCaMgO膜であり、表面に形成される炭素が1%以上存在する炭酸塩層の厚さが3.3nm以下であることを特徴とする。
これにより、保護層の表面に、放電電圧を上昇させる要因となる炭酸塩層が厚く形成されるのを防止することができ、プラズマディスプレイパネルの放電電圧を低減させることができる。
第2の発明は、第1の発明に係るプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記酸化カルシウムに含まれるカルシウムと、前記酸化マグネシウムに含まれるマグネシウムの組成比は、カルシウムの比率が35atomic%より大きく45atomic%以下であることを特徴とする。
前記酸化カルシウムに含まれるカルシウムと、前記酸化マグネシウムに含まれるマグネシウムの組成比は、カルシウムの比率が35atomic%より大きく45atomic%以下であることを特徴とする。
これにより、従来のプラズマディスプレイパネルよりもカルシウムの比率を高くすることができ、放電電圧を低下させることができる。
第3の発明は、第1の発明に係るプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記酸化カルシウムに含まれるカルシウムと、前記酸化マグネシウムに含まれるマグネシウムの組成比は、カルシウムの比率が25atomic%より大きく35atomic%以下であり、
前記炭酸塩層の厚さは、1.5nm以下であることを特徴とする。
前記酸化カルシウムに含まれるカルシウムと、前記酸化マグネシウムに含まれるマグネシウムの組成比は、カルシウムの比率が25atomic%より大きく35atomic%以下であり、
前記炭酸塩層の厚さは、1.5nm以下であることを特徴とする。
これにより、カルシウムの濃度を適切な範囲とし、保護層の表面に形成される炭酸塩層の厚さを薄くすることができる。
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明に係るプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記保護層は、X線回折分析において、前記酸化カルシウムの結晶方位面(111)のピークが発生する回折角と、該ピークと同じ方位の前記酸化マグネシウムのピークが発生する回折角との間に、該ピークと同じ方位のピークを有することを特徴とする。
前記保護層は、X線回折分析において、前記酸化カルシウムの結晶方位面(111)のピークが発生する回折角と、該ピークと同じ方位の前記酸化マグネシウムのピークが発生する回折角との間に、該ピークと同じ方位のピークを有することを特徴とする。
第5の発明に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法は、表示電極を覆う誘電体層が形成された前面板と、アドレス電極を覆う誘電体層上に隔壁が形成された背面板とを用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記前面板の前記誘電体層上に、酸化カルシウムと酸化マグネシウムの組成比の合計が少なくとも95%以上のCaMgO膜を保護層として形成する保護層形成工程と、
前記前面板と前記背面板とを対向配置させ、焼成して周辺部を封着する封着工程と、
前記表示電極に交流電圧を印加して放電を発生させ、前記封着工程において前記保護層の表面に形成された炭酸塩層にイオンを衝突させて該炭酸塩層を削るエージング工程と、を有することを特徴とする。
前記前面板の前記誘電体層上に、酸化カルシウムと酸化マグネシウムの組成比の合計が少なくとも95%以上のCaMgO膜を保護層として形成する保護層形成工程と、
前記前面板と前記背面板とを対向配置させ、焼成して周辺部を封着する封着工程と、
前記表示電極に交流電圧を印加して放電を発生させ、前記封着工程において前記保護層の表面に形成された炭酸塩層にイオンを衝突させて該炭酸塩層を削るエージング工程と、を有することを特徴とする。
これにより、保護層の表面に形成された炭酸塩層を適切に除去することができ。カルシウム本来が持つ放電電圧を低下させる特性を十分に発揮させることができる。
第6の発明は、第5の発明に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
前記エージング工程は、前記炭酸塩層に存在する炭素が1%未満となる深さまで行うことを特徴とする。
前記エージング工程は、前記炭酸塩層に存在する炭素が1%未満となる深さまで行うことを特徴とする。
これにより、炭酸塩層を保護層の表面から確実に除去し、カルシウムを保護層の表面に十分露出させることができる。
本発明によれば、プラズマディスプレイパネルの放電電圧を低下させ、放電効率を向上させることができる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
図4は、本発明の実施形態に係るプラズマディスプレイパネルの構造を示す斜視図である。プラズマディスプレイパネルの基本構造は、一般的な交流面放電型プラズマディスプレイパネルと同様である。図4に示すように、プラズマディスプレイパネルは、前面板10と背面板20とが対向して配置され、その外周部をガラスフリットなどからなる封着材によって気密封着されている。封着されたプラズマディスプレイパネル内部の放電空間には、キセノン(Xe)とネオン(Ne)などの放電ガスが50kPa〜80kPaの圧力で封入されている。前面ガラス基板11の背面板20に面した側に、走査電極13及び維持電極12よりなる一対の帯状の表示電極対12、13が互いに平行にそれぞれ複数列配置されている。前面ガラス基板11上には、表示電極対12、13を覆うように、電荷を保持してコンデンサとしての働きをする誘電体層14が形成され、さらにその上に保護層15が形成されている。
保護層15は、CaMgOで構成されており、カルシウムを含んでいる。酸化カルシウム(CaO)と酸化マグネシウム(MgO)の合計の組成比は、95%以上を占めている。保護層15の表面には、必要に応じて、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子を配設した結晶微粒子層16が形成されてもよい。また、保護層15の表面には、意図せず炭酸塩層が形成されるが、本実施例に係るプラズマディスプレイにおいては、炭酸塩層中の炭素の比率が1%以上となる厚さが3nm以下となるように構成されている。なお、この点については後述する。
背面ガラス基板21の前面板に面した面上には、前面板10の走査電極13及び維持電極12と直交する方向に、複数の帯状のアドレス電極22が互いに平行に配置され、これを下地誘電体層23が被覆している。さらに、アドレス電極22間の下地誘電体層23上には、放電空間を区切る所定の高さの隔壁24が形成されている。隔壁24間の溝ごとに、紫外線によって赤色、緑色及び青色にそれぞれ発光する蛍光体層25が順次塗布して形成されている。走査電極13及び維持電極12とアドレス電極22とが交差する位置に放電空間が形成され、表示電極対12、13方向に並んだ赤色、緑色、青色の蛍光体層25を有する放電空間がカラー表示のための画素になる。
図5は、本発明の実施形態に係るプラズマディスプレイパネルの前面板10の構成を示す断面図であり、図5は図4と上下を反転させて示している。図5に示すように、フロート法などにより製造された前面ガラス基板11に、走査電極13と維持電極12よりなる表示電極対12、13と遮光層がパターン形成されている。走査電極13と維持電極12は、それぞれインジウムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO2)などからなる透明電極13a、12aと、透明電極13a、12a上に形成された金属バス電極13b、12bとにより構成されている。金属バス電極13b、12bは透明電極13a、12aの長手方向に導電性を付与する目的として用いられ、銀(Ag)材料を主成分とする導電性材料によって形成されている。誘電体層14は、前面ガラス基板11上に形成されたこれらの透明電極13a、12aと金属バス電極13b、12bを覆って形成される。さらに誘電体層14上に保護層15が形成されている。保護層15は酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)からなる金属酸化物により形成している。さらに、その保護層15上に酸化マグネシウム(MgO)や酸化カルシウム(CaO)等の結晶粒子を配設した結晶微粒子層16を形成してもよい(例えば、特許文献3参照)。
保護層15の表面上には、炭酸塩層17が形成されているが、維持電極12及び走査電極13の前の位置の炭酸塩層17は除去され、保護層15及び結晶微粒子層16が露出した構成となっている。炭酸塩層17の厚さは、炭素を1%以上含む領域の深さが表面から3.3nm以下、好ましくは1.5nm以下となるように構成されている。なお、ここでいう1%以上とは、保護層15及び炭酸塩層17の全体の中で、炭素が1atomic%以上含まれることを意味している。つまり、C/(C+Ca+Mg+O)を意味している。これにより、保護層15のカルシウム成分を露出させ、放電電圧を低下させることができる。
また、より詳細には、炭酸塩層17の厚さは、CaMgOからなる保護層15に含まれるカルシウムの、Ca/(Ca+Mg)の組成比と関連性を有する。つまり、カルシウムとマグネシウムの和に対するカルシウムの比率が35%より大きく45%以下の場合には、炭素を1%以上含む表面からの深さは3.3nm以下となり、カルシウムの比率が25%より大きく35%以下の場合には、炭素をw1%以上含む表面からの深さは1.5nm以下となる。なお、この点については、後述する実施例で更に詳細に説明する。
次に、図6乃至図8を用いて、本実施形態に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法について説明する。
図6は、本実施形態に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法の前面板10の製造工程の一例を示した図である。
図6(A)は、電極形成工程の一例を示した図である。電極形成工程においては、前面ガラス基板11上に、走査電極13及び維持電極12を形成する。走査電極13と維持電極12とを構成する透明電極13a、12aと金属バス電極13b、12bは、フォトリソグラフィ法などを用いてパターニングして形成される。透明電極13a、12aは薄膜プロセスなどを用いて形成され、金属バス電極13b、12bは銀(Ag)材料を含むペーストを所定の温度で焼成して固化している。
図6(B)は、誘電体層形成工程の一例を示した図である。誘電体層形成工程においては、走査電極13、維持電極12を覆うように前面ガラス基板11上に誘電体ペーストをダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト(誘電体材料)層を形成する。誘電体ペーストを塗布した後、所定の時間放置することによって塗布された誘電体ペースト表面がレベリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を550℃〜650℃程度で焼成固化することにより、走査電極13、維持電極12を覆う、最終厚みが膜厚数μm〜数十μmの誘電体層14が形成される。なお、誘電体ペーストは、軟化点が550℃〜600℃の鉛系PbO2あるいは非鉛系Bi2O3の低融点ガラスと、ZnO、B2O3、SiO2等の材料粉末にブチルカルビトールアセテート等からなる有機バインダーを混合塗料である。
図6(C)は、保護層形成工程の一例を示した図である。保護層形成工程においては、誘電体層14上に保護層15を形成する。本発明の実施形態においては、保護層15を酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)からなる金属酸化物で形成している。保護層15は、酸化マグネシウム(MgO)や酸化カルシウム(CaO)の単独材料のペレットや、それらの材料を混合したペレットを用いて薄膜成膜方法によって形成される。
薄膜成膜方法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の方法を適用できる。一例として、スパッタリング法では1Pa、蒸着法の一例である電子ビーム蒸着法では0.1Paが実際上取り得る圧力の上限と考えられる。また電子ビーム蒸着法では基板温度は少なくとも250度以上とし、蒸着速度は2.0nm/sec以下とした。また、保護層15の成膜時の雰囲気としては、水分付着や不純物の吸着を防止するために外部と遮断された密閉状態とし、成膜時の雰囲気を調整することにより、所定の電子放出特性を有する金属酸化物よりなる保護層15を形成することができる。
次に、図5に戻り、保護層15上に、必要に応じて付着形成する酸化マグネシウム(MgO)の結晶微粒子層16について述べる。これらの結晶微粒子は、以下に示す気相合成法または前駆体焼成法のいずれかで製造することができる。気相合成法では、不活性ガスが満たされた雰囲気下で純度が99.9%以上のマグネシウム金属材料を加熱し、さらに、雰囲気に酸素を少量導入することによって、マグネシウムを直接酸化させ、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子を作製することができる。一方、前駆体焼成法では、酸化マグネシウム(MgO)の前駆体を700℃以上の高温で均一に焼成し、これを徐冷して酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子92aを得ることができる。前駆体としては、例えば、マグネシウムアルコキシド(Mg(OR)2)、マグネシウムアセチルアセトン(Mg(acac)2)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸マグネシウム(MgCO2)のうちのいずれか1種以上の化合物を選ぶことができる。上記いずれかの方法で得られた酸化マグネシウム(MgO)の結晶微粒子を、溶媒に分散させ、その分散液をスプレー法やスクリーン印刷法、静電塗布法などによって保護層15の表面に分散散布させる。その後、乾燥・焼成工程を経て溶媒除去を図り、酸化マグネシウム(MgO)の結晶微粒子層を保護層15の表面に定着させることができる。このような一連の工程により前面ガラス基板11上に所定の構成物(走査電極13、維持電極12、誘電体層14、保護層15)が形成されて前面板10が完成する。
図7は、本実施形態に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法の背面基板の製造工程の一例を示した図である。
図7(A)は、電極形成工程の一例を示した図である。電極形成工程においては、背面ガラス基板21上に、アドレス電極22が形成される。具体的には、まず、背面ガラス基板21上に、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、金属膜を全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによりアドレス電極12用の構成物となる材料層を形成する。その後、所定の温度で焼成することによりアドレス電極22を形成する。
図7(B)は、誘電体層形成工程の一例を示した図である。誘電体層形成工程においては、アドレス電極22が形成された背面ガラス基板21上に、ダイコート法などにより、アドレス電極22を覆うように誘電体ペーストを塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、誘電体ペースト層を焼成することにより下地誘電体層23を形成する。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料とバインダー及び溶剤を含んだ塗料である。
図7(C)は、隔壁形成工程の一例を示した図である。隔壁形成工程においては、下地誘電体層23上に隔壁材料を含む隔壁形成用ペーストを塗布し、所定の形状にパターニングすることにより隔壁材料層を形成する。その後、所定の温度で焼成することにより隔壁24を形成する。ここで、下地誘電体層23上に塗布した隔壁用ペーストをパターニングする方法としては、フォトリソグラフィ法やサンドブラスト法を用いることができる。
図7(D)は、蛍光体形成工程の一例を示した図である。蛍光体形成工程においては、隣接する隔壁24間の下地誘電体層23上及び隔壁24の側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペーストを塗布し、焼成することにより蛍光体層25が形成される。
以上の工程により、背面ガラス基板21上に所定の構成部材を有する背面板11が完成する。
図8は、本実施形態に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法の封着工程及びエージング工程の一例を示した図である。
図8(A)は、封着工程の一例を示した図である。封着工程においては、所定の構成部材を備えた前面板10と背面板20とを走査電極13とアドレス電極22とが直交するように対向配置し、その周囲をガラスフリット30で封着する。ガラスフリット30は、鉛系PbO2あるいは非鉛系Bi2O3の低融点ガラスと、ZnO、B2O3、SiO2等の材料粉末を混合したもので、これを酢酸イソアミルからなる有機バインダーを用いてペースト化する。
封着においては、片方の基板の周囲にこのガラスフリットペーストを塗布、乾燥させた後、有機バイダーが分解される過程で生じる不純ガスを除去する目的で、ガラスフリット層30を形成した片方の基板のみを350℃〜400℃で焼成(仮焼成)する。その後、前面板10と背面板20を重ね合わせ、クリップ40等で加圧した状態で、大気が充満された炉中でガラスフリットの軟化点以上である400℃〜500℃に加熱して、ガラスフリット材を溶融、凝固させる。そうすると、前面板10と背面板20の各周囲で封着される。この際に内部封止された放電空間は、排気管50を用いて内部の不純物が排気される。その後、放電ガスとしてXe−Ne系の希ガスが約数十kPaの圧力で封入され、プラズマディスプレイパネルの外形が完成する。
次に、前面板10に焦点を当てて、エージング工程のメカニズムについて説明する。
図8(B)は、封着工程において、焼成による封着を行う前の前面板10の状態を示した図である。封着を行う前は、前面ガラス基板11の表面に、維持電極12及び走査電極13が配設され、誘電体層14及び保護層15で覆われた状態が示されている。この段階では、保護層15は、CaMgO膜として構成されている。なお、保護層15の表面には、結晶微粒子層16は特に示していないが、形成されていても形成されていなくてもよい。図8においては、結晶微粒子層16が存在しない場合を例に挙げて説明する。
図8(C)は、封着工程において、焼成による封着後の前面板10の状態を示した図である。図8(C)において、封着を行った後は、焼成加熱により、保護層15の表面にCaCO3の炭酸塩層17が形成される。炭酸塩層17は、意図的に形成するものではなく、本来的には形成したくないが、加熱によりカルシウムCaが炭素を取り込んで発生してしまうものである。カルシウムは、CaOの状態であれば、放電電圧が低い特性を有するが、CaCO3の状態では、別な物質と化し、放電電圧がMgOよりも高い特性となってしまう。そこで、放電電圧を低下させるためには、このCaCO3を除去する必要がある。
図8(D)は、エージング工程の一例を示した図である。エージング工程においては、維持電極12及び走査電極13に交流電圧が印加され、プラズマディスプレイの放電が行われる。上述のように、放電空間にはXe等の放電ガスが封入されているので、エージングにより、放電時の陰極にXeイオン等の正イオンが衝突する。これにより、保護層15の表面に形成された炭酸塩層17がスパッタされ、削られてゆく。
図8(E)は、エージング工程終了後の前面板10の状態を示した図である。エージングにより、維持電極12及び走査電極13上の炭酸塩層17がスパッタにより除去され、放電電圧の低い保護層15が露出する。これにより、プラズマディスプレイパネルの放電電圧を低下させることができる。
このように、本実施形態に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法においては、本来的に放電電圧の低いCaMgO膜で前面板10の保護層15を形成し、大気中で封着後にエージングを行い、封着時に保護層15の表面に形成された炭酸塩層17を除去することにより、CaMgO膜が本来的に有する低放電電圧の機能を適切に発揮させ、放電電圧を低下させることができる。これにより、プラズマディスプレイパネルの駆動電圧を低下させ、高効率で放電を行わせることができる。
以下、本発明の実施形態に係るプラズマディスプレイを実施した実施例について説明する。なお、今まで説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、その説明を省略するものとする。
まず、本実施例に係るプラズマディスプレイパネルの前面板10の保護層15の詳細について説明する。本実施例に係るプラズマディスプレイパネルは、全体としては、図4及び図5で説明した構成としたが、MgOの結晶微粒子16は特に保護層15の表面には散布しなかった。また、本実施例では、保護層15を、酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)とを原材料として電子ビーム蒸着法で形成した金属酸化物で構成した。
図9は、本実施例に係るプラズマディスプレイパネルの保護層15の金属酸化物の組成を、X線回折(X-ray Diffraction、XRD)分析した結果を示した図である。図9に示すように、保護層15を構成する金属酸化物は、X線回折(XRD)分析において、酸化マグネシウム(MgO)結晶の面指数(111)のピークが発生する回折角と、そのピークと同一方位の酸化カルシウム(CaO)のピークが発生する回折角との間に1本のピークが表れた。このことから、CaMgO保護膜が、CaOとMgOが互いの固有位置を置換した置換型の固溶体として形成されていると考えられる。各ピーク位置における格子定数の比から、べガード(Vegard)則を用いて組成比を求めた。本実施例でのCaMgO保護膜の組成比は、このようにして求めている。
ここで、CaMgO保護膜を有するパネルのCa濃度(atomic%、Ca/(Ca+Mg))に対する維持放電電圧と放電開始電圧の特性を図2と図3にそれぞれ示す。なお、本実施例におけるパネルのガス条件はすべてNe−Xe:10%、67KPaである。ここで、Mgが100%からCaが100%まで変化するにつれて、各電圧とも30%以上放電電圧が低減することが分かる。これは、パネルを真空中で加熱することができるチャンバーを利用した測定結果であり、非特許文献1、2で報告されている結果と同様の特性となった。
図10は、カルシウムの濃度とエージング時間と放電開始電圧との関係を示した図である。また、図11は、カルシウムの濃度とエージング時間と維持放電電圧との関係を示した図である。図10及び図11において、Ca及びMgの右下の数字は、(Ca+Mg)を1とした場合のCa、Mgの各比率を示している。図10及び図11に示すように、パネルを通常の大気焼成(ここでは450℃)を伴うプロセスで製作した場合は、Caの濃度を多くするほど、パネルの放電電圧を低下させ、安定した状態にするまでの放電(矩形波による20kHz駆動)によるエージング時間が長くなることが実験から明らかになった。Caの濃度が36atomic%の場合は、20時間を超えたあたりで電圧が低下して安定するのに対し、76atomic%の場合は、300時間を過ぎてもまだ36atomic%の場合よりも高い状態である。また、Cano濃度が100atomic%の場合は、電圧の下がり方が著しく遅く、この時点では一番電圧が高い。この原因を、図12を用いて説明する。
図12は、CaMgO保護層中のCa濃度と、これを大気焼成した後の保護層の表面から深さ方向における原子組成濃度特性(X線光電子分光(XPS)分析によって測定)との関係を表した図である。図12(A)はCaO、図12(B)はCa0.76Mg0.24O、図12(C)はCa0.36Mg0.64Oについて保護層の表面から深さ方向における原子組成濃度特性を示した図である。
ここで、炭素Cの濃度は、カルシウムの炭酸塩CaCO3の濃度を表している。図12から、CaMgO保護層中のCa濃度が高いほど、大気焼成プロセスで表面に形成される放電電圧の高いCaCO3層の厚みが増していくことが判る。このCaCO3層が厚くなるほど、それをスパッタで取り除いて放電電圧を低下させ、安定した状態にするまでに要するエージング時間が長くなることから、図10、図11の結果が説明できる。ここで、XPSの測定条件として、X線源に単色化Al(1486.6eV)、深さ方向のスパッタ条件Ar+:2.0kV、スパッタ速度2.7nm/minとした。
図13は、実験から求めたCaMgO保護層中のCa濃度と、エージングにより電圧が低下し安定するまでの時間との関係を示した図である。図13のエージング時間は、矩形波による20kHzのデータを50kHz駆動のデータに換算したもので、駆動電圧は250V〜300Vとした。ガス組成は、Ne−Xeが10%、ガス圧力は67kPaである。ここで、Ca濃度が増加して、35atomic%付近でエージング時間が10時間を超え、45atomic%でエージング時間が24時間を超えている。また、この先さらにCa濃度が増加すると、急激にエージング時間が長くなるため、Ca濃度の上限は45atomic%程度とすることが望ましい。一般に、エージング時間は駆動周波数と電圧によって変わるが、同じ条件で比較した場合の相対的な比較は可能である。Ca濃度を増加させても、45atomic%あたりまでは、大気焼成で生じるCaCO3層の厚みが(X線光電子分光分析による)、焼成前とほとんど変わらない実験結果が得られたことから、上限をこのように定めた。なお、Ca濃度を35atomic%とすれば、エージング時間は10時間以下となるので、エージング時間的には更に好ましい。一方、Ca濃度を更に下げていくと、電圧が低減するまでのエージング時間は問題ないが、今度は、図2、図3に示されるように、目的とする電圧の低減効果が減ってきてしまう、そこで、なるべく大きな電圧低減効果(約25%以上)を維持するために、Ca濃度の下限は、25%より大きくすることが望ましい。このような構成にすれば、CaMgO保護層15を、現行の製作プロセス(高温の大気中における封着プロセス)に導入した場合に、実用可能なエージング時間で安定した低い駆動電圧にすることができ、その低減効果もこれまでに提案された例よりも大きくすることができる。
図14は、本実施例に係るプラズマディスプレイパネルの炭酸塩層の厚さとエージング条件との関係を示した図である。図14において、エージング条件は図13と同様であり、エージング時間は、矩形波による20kHzのデータを50kHz駆動のデータに換算したもので、駆動電圧は250V〜300Vとした。
図14において、横軸は炭素が1%以上存在する保護層15の表面からの深さ(nm)を示しており、縦軸はエージング時間(h)を示している。なお、炭素の比率は、保護層15全体の成分(C+Ca+Mg+O)に対する炭素Cの比率を示しており、C/(C+Ca+Mg+O)×100である。また、炭素Cの比率の測定は、XPS測定で行われており、CaCO3におけるCの成分を表している。
図14において、エージング時間が10時間以下の場合には、炭素Cが1%以上存在する表面からの深さは1.5nm以下であり、エージング時間が24時間以下の場合には、炭素Cが1%以上存在する表面からの深さは、3.3nm以下を示している。図14は、図13のCa濃度の条件と対応しており、Ca濃度が25%より大きく35%以下の場合には、10時間以下のエージングで炭素Cが1%以上存在する表面からの深さが1.5nm以下となり、Ca濃度が35%より大きく45%以下の場合には、24時間以下のエージングで炭素Cが1%以上存在する表面からの深さが3.3nm以下となったことを示している。
よって、図2、3で示したCa濃度の増加による放電電圧の低減効果と、Ca濃度の増加によるCaCO3膜の厚さの増加による放電電圧上昇の影響を考慮するとともに、現実的なエージング時間を考慮してCa濃度を定める必要がある。図13及び図14の結果から、24時間のエージング時間で炭素Cが1%以上存在する表面からの深さを3.3nmとできるCa濃度が45%以下の場合を上限とし、10時間のエージング時間で炭素Cが1%以上存在する表面からの深さを1.5nmとできるCa濃度が35%以下の場合がより好ましい。また、下限は、図13において述べたように、Ca濃度が25%より大きい場合とするのが妥当であると考えられる。
なお、図14において、炭素が1%以上存在する、という表現を用いているのは、XPS測定の測定限界に起因するものであり、炭素が1%未満の測定が困難である現状を考慮して表現したに過ぎず、本発明を限定するものではない。
また、保護層における課題として、放電電圧の低減とともに重要なのが、アドレス放電の速度を高めることである。この方策として、実施の形態で説明したように、保護層15上にMgOの結晶粒子を配設した結晶微粒子層16を形成する構成が開示されているが(例えば、特許文献3参照)、本発明にこの技術を導入することは可能であり、従来のMgO保護膜の場合と同様に、放電速度を高めることができた。また、CaMgO保護膜に、放電特性を改善するための珪素Si、ゲルマニウムGe、スカンジウムSc、イットリウムY,バリウムBa、アルミAl、セリウムCe等の金属を5%程度まで添加しても、本発明におけるCaMgO保護膜の高いプロセス耐性と、低い放電電圧の特性は有効である。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
本発明は、プラズマディスプレイパネル及びこれを用いたプラズマディスプレイ装置に利用することができる。
10 前面板
11 前面ガラス基板
12 維持電極
12a、13a 透明電極
12b、13b 金属バス電極
13 走査電極
14、23 誘電体層
15 保護層
16 結晶微粒子層
17 炭酸塩層
20 背面板
21 背面ガラス基板
22 アドレス電極
24 隔壁
25 蛍光体層
30 ガラスフリット
40 クリップ
50 排気管
11 前面ガラス基板
12 維持電極
12a、13a 透明電極
12b、13b 金属バス電極
13 走査電極
14、23 誘電体層
15 保護層
16 結晶微粒子層
17 炭酸塩層
20 背面板
21 背面ガラス基板
22 アドレス電極
24 隔壁
25 蛍光体層
30 ガラスフリット
40 クリップ
50 排気管
Claims (6)
- 表示電極を覆う誘電体層上に保護層が形成された前面板と、アドレス電極を覆う誘電体層上に隔壁が形成された背面板とが対向配置されたプラズマディスプレイパネルであって、
前記保護層は、酸化カルシウムと酸化マグネシウムの組成比の合計が少なくとも95%以上のCaMgO膜であり、表面に形成される炭素が1%以上存在する炭酸塩層の厚さが3.3nm以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 前記酸化カルシウムに含まれるカルシウムと、前記酸化マグネシウムに含まれるマグネシウムの組成比は、カルシウムの比率が35atomic%より大きく45atomic%以下であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記酸化カルシウムに含まれるカルシウムと、前記酸化マグネシウムに含まれるマグネシウムの組成比は、カルシウムの比率が25atomic%より大きく35atomic%以下であり、
前記炭酸塩層の厚さは、1.5nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。 - 前記保護層は、X線回折分析において、前記酸化カルシウムの結晶方位面(111)のピークが発生する回折角と、該ピークと同じ方位の前記酸化マグネシウムのピークが発生する回折角との間に、該ピークと同じ方位のピークを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 表示電極を覆う誘電体層が形成された前面板と、アドレス電極を覆う誘電体層上に隔壁が形成された背面板とを用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記前面板の前記誘電体層上に、酸化カルシウムと酸化マグネシウムの組成比の合計が少なくとも95%以上のCaMgO膜を保護層として形成する保護層形成工程と、
前記前面板と前記背面板とを対向配置させ、焼成して周辺部を封着する封着工程と、
前記表示電極に交流電圧を印加して放電を発生させ、前記封着工程において前記保護層の表面に形成された炭酸塩層にイオンを衝突させて該炭酸塩層を削るエージング工程と、を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 前記エージング工程は、前記炭酸塩層に存在する炭素が1%未満となる深さまで行うことを特徴とする請求項5に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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2010
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