JP2012080998A - 脱水兼用洗濯機 - Google Patents

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美穂 林
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Abstract

【課題】リトライ前の給水における給水量を減少させる。
【解決手段】クラッチ切替指令が出力されると、クラッチ切替成否判定手段(ステップS3、S7)によりクラッチ切替不成功と判定される都度、前記改善処理(ステップS6)を、給水によりその給水水位を上昇させながら(ステップS5)実行し、この改善処理実行の都度クラッチ切替成否を判定し、クラッチ切替成功であれば、前記改善処理を終了する。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は脱水兼用洗濯機に関する。
脱水兼用洗濯機では、洗い槽兼脱水槽である回転槽の内底部に撹拌体を備え、洗い運転時には、モータの回転を撹拌体にのみ伝達して撹拌体を回転駆動し、脱水運転時には、前記モータの回転を撹拌体及び回転槽の双方に伝達してそれらを一体的に高速回転させるようになっている。そして、クラッチを、二位置間(脱水用クラッチ位置と洗い用クラッチ位置との間)で移動させることにより、回転槽と撹拌体との連結及び切離しを行なう構成が知られている。
前記クラッチによる回転槽と撹拌体との連結及び切離し動作がうまくいかない(不成功)場合、前記回転槽に一義的に高水位まで水を給水した後、再度、上記連結及び切離し動作(いわゆるリトライ)を行うようにしている(例えば特許文献1)。
特許第3493120号公報
しかし、上記構成では、リトライを行う場合に常に高水位まで水を給水するため、水の使用量が多いといった不具合があった。
そこで、リトライ前の給水における給水量を減少させることができる脱水兼用洗濯機を提供する。
本実施形態の脱水兼用洗濯機は、洗濯物が収容される回転槽と、前記回転槽内に設けられ、モータにより回転される撹拌体と、前記回転槽を回転させる槽軸の外周に常時係合した状態で上下動可能とされ、下降することにより前記回転槽が当該撹拌体と連結した状態になる脱水用クラッチ位置と、上昇することにより前記回転槽が前記撹拌体から切離された状態になる洗い用クラッチ位置との間で切替可能に設けられたクラッチと、前記クラッチを前記脱水用クラッチ位置および前記洗い用クラッチ位置に切替えるクラッチ切替手段と、洗濯運転の所定タイミングで前記クラッチ位置の切替指令を出力して前記クラッチ切替手段を駆動するクラッチ切替指令手段と、前記クラッチが前記脱水用クラッチ位置にあるか前記洗い用クラッチ位置にあるかを検出するクラッチ位置検出手段と、前記切替指令が出力された後に前記モータを回転させるクラッチ調整手段と、前記切替指令が出力されてから所定時間内に前記クラッチ位置が切替わったことが前記クラッチ位置検出手段により検出されたことをもってクラッチ切替成功と判定し所定時間内に前記クラッチ位置が切替わらないことが前記クラッチ位置検出手段により検出されたことをもってクラッチ切替不成功と判定するクラッチ切替成否判定手段と、前記回転槽内に給水した状態で前記クラッチ調整手段を動作させる改善処理を実行する改善処理実行手段と、前記切替指令の出力後前記クラッチ切替成否判定手段によりクラッチ切替不成功と判定される都度、前記改善処理を、給水によりその給水水位を上昇させながら実行し、この改善処理実行の都度クラッチ切替成否を判定し、クラッチ切替成功であれば、前記改善処理を終了する改善処理実行制御手段とを備えたことを特徴とする。
第1の実施形態の脱水兼用洗濯機におけるクラッチ位置切替の切替制御を示すフローチャート(その1) 同フローチャート(その2) 同フローチャート(その3) 脱水兼用洗濯機の全体構成を概略的に示す縦断側面図 操作パネルの正面図 クラッチの脱水用クラッチ位置におけるクラッチ部分の拡大縦断面図 クラッチの洗い用クラッチ位置におけるクラッチ部分の拡大縦断面図 モータ及び回転伝達機構部分の縦断面図 モータ及びクラッチ部分の分解斜視図 クラッチの縦断面図 被嵌合部及び嵌合部の歯部の形状を示す拡大図 共回り防止装置にクラッチレバーを組付けた状態の斜視図 共回り防止装置にクラッチレバーを組付けた状態の縦断面図 共回り防止装置の斜視図 図14のX−X線に沿う支持部の外壁部の縦断面図 クラッチレバーの上下反転した状態の斜視図 図16のY−Y線に沿うクラッチレバーの軸部部分の縦断面図 脱水運転時におけるクラッチレバーの斜面部と操作レバーの斜面部との関係を示す縦断背面図 ギアドモータと操作レバーとの関係を示すもので、排水弁の閉塞状態(a)及び開放状態(b)の底面図 (a)はクラッチが脱水用クラッチ位置にある状態の概略側面図、(b)は洗い用クラッチ位置にある状態の概略側面図、(c)は中間位置にある状態の概略側面図 電気的構成を概略的に示す図 洗濯運転の行程の一例を示す図 各動作におけるモータの動作パターンを示す図 水位変化の一例を示すタイムチャート 水位変化の別の例を示すタイムチャート 水位変化のさらに異なる例を示すタイムチャート 水位変化のさらに異なる例を示すタイムチャート 洗濯物量検出結果と最高限度水位との関係を示す図 洗濯コースと最高限度水位と給水形態との関係を示す図 第2の実施形態における布質検出結果と最高限度水位との関係を示す図 第3の実施形態におけるすすぎ形態とすすぎ回数と最高限度水位と給水形態との関係を示す図
以下、第1の実施形態の脱水兼用洗濯機について図1〜図28を参照して説明する。
図4に示す脱水兼用洗濯機1は、ほぼ矩形箱状をなす外箱2を有している。外箱2内には、脱水時などに水を受ける水槽3が弾性吊持機構4を介して設けられている。水槽3内には、回転槽5が回転可能に設けられている。回転槽5は、内部に洗濯物が収容される洗い槽兼脱水槽として機能するものである。回転槽5内の底部には、水流生成用の撹拌体6が設けられている。
水槽3の外底部には、詳しくは後述するが、インバータ駆動方式のアウタロータ形のモータ7、およびそのモータ7の回転駆動力を回転槽5及び撹拌体6へ伝達する回転伝達機構8が設けられている。これらモータ7及び回転伝達機構8により、洗い行程時などにおいては、撹拌体6が正逆回転されて回転槽5内に撹拌による水流が生成され、脱水行程時などにおいては、回転槽5が撹拌体6と一体的に高速回転されるようになっている。
水槽3の底部には、回転槽5からの排水を行う排水路9が設けられている。排水路9には、排水弁10を介して排水ホース11が接続されている。排水弁10は、排水弁用ギアドモータ12(図19、図21参照)により開閉される。さらに、水槽3の底部には、水槽3からの排水を行う排水口13が設けられている。排水口13は、排水ホース11に接続されている。排水路9には、エアトラップ14が設けられている。
回転槽5の上端部には、円環状のバランスリング15が設けられている。また、回転槽5の上端部の壁面には、脱水孔16が複数形成されている。これにより、脱水時において、回転槽5内の水は、回転槽5とバランスリング15との間、および脱水孔16を通って回転槽5の外側に移動するようになる。また、水槽3の上端部には、一部のみ示すように、ほぼ円環状をなす桶カバー17が設けられている。桶カバー17の開口部は、回転槽5の上面開口部に連通している。
外箱2の上端部には、プラスチック製のトップカバー18が設けられている。詳しく図示はしないが、このトップカバー18は、中央にほぼ円形の洗濯物出入口を有する矩形枠状をなすと共に、薄形の中空箱状をなしている。トップカバー18の上面部には、洗濯物出入口を開閉するための二つ折りタイプの蓋19が設けられている。
トップカバー18の後辺部には、回転槽5内に水道水を給水を行うための給水機構部20が設けられている。給水機構部20は、第1給水管21と、給水弁22と、注水ケース23と、第2給水管24とを有している。第1給水管21は、一端部が水道の蛇口に接続されている図示しないホースと連結し、他端部が注水ケース23と連結している。注水ケース23は、箱状をなし、内部に洗剤や柔軟剤が適宜収容されるものである。第2給水管24は、蛇腹状をなし、一端部が注水ケース23と連結し、他端部が回転槽5の上端部まで延びている。これにより、給水弁22が開放すると、水道水が図示しないホース、第1給水管21、給水弁22、注水ケース23および第2給水管24を通って回転槽5内に供給される。また、水道水が注水ケース23内を通ることにより、注水ケース23内に収容されている洗剤なども、水道水とともに回転槽5内に供給される。
トップカバー18の前部には、図5にも示す操作パネル31が設けられている。以下、操作パネル31について図5を参照して説明する。なお、操作パネル31の部位の説明において用いる方向は、図5を正面から見たときの方向である。操作パネル31の右上部には、電源の入り切りを行う電源スイッチ32が設けられている。電源スイッチ32の下方には、スタート/一時停止スイッチ33が設けられている。スタート/一時停止スイッチ33の左方には、洗濯のコースを選択するコース選択スイッチ34が設けられている。コース選択スイッチ34の上方には、選択されたコース名を表示するコース表示部35が設けられている。
コース選択スイッチ34の左方には、行程スイッチ36が設けられている。行程スイッチ36の上方には、行程表示部37が設けられている。行程表示部37には、行程スイッチ36が押圧操作されることにより、設定されている行程の時間、および設定されているすすぎ回数などが表示される。行程スイッチ36の左方には、水位設定スイッチ38が設けられている。水位設定スイッチ38は、回転槽5内に供給される水の高さをユーザが設定するためのものである。水位設定スイッチ38の上方には、水位表示部39が設けられている。水位表示部39には、水位設定スイッチ38が押圧操作されることにより設定されている水位の高さが表示される。水位設定スイッチ38の左方には、水流設定スイッチ40が設けられている。水流設定スイッチ40は、撹拌体6の回転によって発生する回転槽5内の水流の強さをユーザが設定するためのものである。水流設定スイッチ40の上方には、水流表示部41が設けられている。水流表示部41には、水流設定スイッチ40が押圧操作されて設定されている水流の強さが表示される。水流の強さは、単位時間における撹拌体6の回転する角度の大きさに比例する。
また、エアトラップ14内の圧力は、図示しないエアチューブを介して設けられた水位センサ44(図21にのみ図示)によって検出されるようになっている。さらに、蓋19部分には、蓋19の開閉を検知するための蓋スイッチ45(図21にのみ図示)が設けられている。
外箱2における操作パネル31の内側には、図21に示す制御装置46が設けられている。制御装置46は、マイクロコンピュータを主体に、ROM46a、RAM46b、タイマ46cなどを備えている。制御装置46は、後述するクラッチ切替指令手段、クラッチ調整手段、クラッチ切替成否判定手段、改善処理実行手段、改善処理実行制御手段として機能するものである。
外箱2内には、ポンプモータ48(図21参照)により駆動され風呂水等を給水するための図示しない風呂水ポンプも設けられている。
ここで、モータ7及び回転伝達機構8について、図6から図19を参照して述べる。図8は、これらモータ7及び回転伝達機構8部分の構成を示している。水槽3の外底部には、中空ハウジング51が設けられている。中空ハウジング51は、上フレーム52と下フレーム53とを外周側部分にて結合して構成されている。上フレーム52の中央部には、上向きに凸となる円筒部52aが形成されている。下フレーム53の中央部には、下向きに凸となる円筒部53aが形成されている。
円筒部52a内には、ボールベアリングからなる軸受54が設けられている。また、円筒部53a内にもボールベアリングからなる軸受55が設けられている。軸受54,55は、円管状の槽軸56を支持している。槽軸56のうち軸受54から突出する上端部外周には、支持筒57が設けられている。支持筒57の上端にはフランジ部57aが形成されている。フランジ部57aは、回転槽5に固定されている。これにより、槽軸56が回転すると、回転槽5も当該槽軸56と一体に回転する。なお、円筒部52aの内周面と支持筒57の外周面との間には、シール部材58が設けられている。
槽軸56内には、撹拌軸59が設けられている。撹拌軸59は、槽軸56の内周部上下部に設けられたメタル軸受60,60、および支持筒57の上端部内周部に設けられた軸受61によって槽軸56に対して回転自在に支持されている。撹拌軸59の上端部は、撹拌体6に連結されている。撹拌軸59の下端部は、モータ7に連結されている。これにより、モータ7が駆動して撹拌軸59が回転すると、撹拌体6も当該撹拌軸59と一体に回転する。
モータ7は、図8にも示すように、円環状をなすステータ62と、薄形円筒容器状をなすロータ63とを備えている。ステータ62は、ステータコア64と、当該ステータコア64の外周の各ティース部に巻装された三相の巻線65とから構成されている。ステータ62は、下フレーム53の下面に対して下方からねじ止めによって取付けられている。ロータ63は、ロータマグネット66とロータヨーク67とをインサート成形によって一体的に有して構成されている。ロータマグネット66は、ステータ62の外周に僅かな隙間を存して配置されている。ロータヨーク67は、ロータマグネット66の外周に位置している。
ロータ63の中心部には、円筒状のボス部68が例えばナット締めにより取付けられている。ボス部68内には、撹拌軸59の下端部がセレーション結合状態に挿入されている。従って、ロータ63の回転は常に撹拌軸59にダイレクトに伝達される。なお、図6及び図7にも示すように、このボス部68の上端は、槽軸56の下端よりも僅かに下方に位置している。また、ボス部68の外径寸法は、槽軸56の外径寸法よりも大きく構成されている。
槽軸56の下端外周部には、クラッチ69が設けられている。また、下フレーム53の下面部には、クラッチ69を上下動させて、クラッチ69を脱水用クラッチ位置および洗い用クラッチ位置に切替えるクラッチ切替手段を構成する昇降機構70、および嵌合部を有した共回り防止装置71が設けられる。
クラッチ69は、回転槽5を回転させる槽軸56の外周に常時係合した状態で上下動可能とされ、下降することにより回転槽5が撹拌体6と連結した状態になる脱水用クラッチ位置と、上昇することにより回転槽5が撹拌体6から切離された状態になる洗い用クラッチ位置との間で切替可能に設けられている。具体的には、クラッチ69は、合成樹脂この場合ガラスフィラー入りのポリアセタール樹脂製であり、図6及び図7、図10にも示すように、全体としてほぼ円筒状をなしている。クラッチ69の内周部は、上半部で径小、下半部で径大とされた段付き形状となっている。このクラッチ69の上半部の内周面全周には上下方向に延びる係合部たる上部内セレーション部72が形成され、下半部の内周面全周には上下方向に延びる下部内セレーション部73が形成されている。
槽軸56の下端部であって軸受55から下方に突出した部位の外周部には、図6、図7、図9に示すように、上部内セレーション部72に対応して上下方向に延びる摺動案内部たるセレーション部74が形成されている。一方、ボス部68の上部外周部にも、下部内セレーション部73(図6、図7参照)に対応して係合部たるセレーション部75が形成されている。クラッチ69は、上部内セレーション部72がセレーション部74に常に係合されることにより、槽軸56の下端部外周に上下動自在且つ周方向に一体的に回転するように嵌め合わされている。
これにより、クラッチ69が図6および図8に示す下降した位置である脱水用クラッチ位置にあるときには、クラッチ69の上部内セレーション部72が槽軸56のセレーション部74に係合すると共に、下部内セレーション部73がボス部68のセレーション部75に係合する。その結果、ボス部68と、撹拌軸59と、槽軸56とが一体的に回転するようになる。
槽軸56の下端部外周部であってクラッチ69と軸受55の下端部との間には、コイルばね76が配設されている。コイルばね76は、クラッチ69を常に下降位置である脱水用クラッチ位置に向けて付勢している。クラッチ69は、槽軸56及び撹拌軸59と同心状態をなしている。
クラッチ69の上端部外周部には、図10にも示すように、円形鍔状のフランジ部69aが一体に形成されている。フランジ部69aの上面外周部には、被嵌合部77が形成されている。被嵌合部77は、円周方向に並んだ複数の歯部77aを有するいわばウォームギアの如き形態である。歯部77aの上端部の先端部は、図11に示すように、山形である。歯部77aの山形の両側の傾斜面の傾斜角度αは、水平方向に対して45度未満とされている。
共回り防止装置71は、例えばガラスフィラー入りのポリアセタール樹脂製であり、図6、図7、図13等に示すように、下フレーム53の円筒部53aの外周に嵌り込む大きさの薄形の円筒状をなしている。共回り防止装置71の上端外周には、フランジ部71aが一体に形成されている。フランジ部71aは、下フレーム53の底面にねじ止めによって固定されている。また、共回り防止装置71が円筒部53aの外周に位置して設けられているため、回転伝達機構8部分全体を上下方向にさほど大形化することなく配設されている。
共回り防止装置71の内周面の下半部には、図12〜図14にも示すように、歯部78aを有する嵌合部78が設けられている。そして、嵌合部78の歯部78aがクラッチ69の上昇位置にて歯部77a同士間の谷部に嵌ることにより、嵌合部78が被嵌合部77と嵌合する構成である。歯部78aの下端部の先端部も、図11に示すように、被嵌合部77の歯部77aと同様な山形である。歯部78aの山形の両側の傾斜面の傾斜角度αは、水平方向に対して45度未満とされている。さらに、共回り防止装置71には、後述するクラッチレバー79を支持するための一対の支持部80,80が一体に設けられている。
これにより、クラッチ69が図7に示す上昇した位置である洗い用クラッチ位置にあるときには、クラッチ69はボス部68から切離され、上部内セレーション部72がセレーション部74に係合するのみとなり、被嵌合部77が嵌合部78に嵌合する。その結果、クラッチ69が下フレーム53ひいては水槽3に固定され回転不能とされ、撹拌軸59のみが回転可能となる。尚、詳しく図示はしないが、クラッチ69の脱水用クラッチ位置と洗い用クラッチ位置との途中の位置において、クラッチ69の下部内セレーション部73がボス部68のセレーション部75に一部結合され、且つ被嵌合部77の歯部77aが嵌合部78に一部嵌合する状態を有する寸法関係とされている。
昇降機構70は、図8に示すようにコイルばね76、クラッチ69を上下動させるクラッチレバー79、このクラッチレバー79を揺動させる操作レバー81、クラッチレバー付勢手段たる引張ばね82などから構成されている。クラッチレバー79は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂製であり、図16に示すように、平行に延びる一対の腕部79a,79aを基端側で繋いだ形態のほぼU字状をなしている。クラッチレバー79の基端部中央部には、後側に突出する突出部79bが形成されている。突出部79bの上面には、図12にも示すような斜面部83が形成されている。
各腕部79aの先端部には、当接ピン84が互いに向き合うように設けられている。当接ピン84は、クラッチ69のフランジ部69aの下面側に係止してそれを押し上げるための作動部として機能するものである。一対の当接ピン84,84は、フランジ部69aのうち直径方向両端の2か所に当接するようになっている。また、腕部79aの基端側部分には、図17に示すように、後述する支持部80(図14など参照)に軸支される内側軸部85及び及び外側軸部86が同軸となるように一体に設けられている。このうち外側軸部86は、先端部に斜め上向きの傾斜面86aが形成されている。なお、図17では、傾斜面86aが斜め下向きで示されている。
共回り防止装置71の一対の支持部80,80は、図12〜図14、図18にも示すように、共回り防止装置71のやや後部寄り部分に円筒状部分を左右に挟むように対向して設けられ、フランジ部71aの下面から下方に延びる角筒状をなしている。支持部80は、左右に対向する板状の内壁部80a及び板状の外壁部80bを有している。内壁部80aの下端部には、図14に示すように、下方に開放するU字状の溝部87が形成されている。外壁部80bには、係止孔部88が形成されている。尚、図15に示すように、外壁部80bのうち内面には、係止孔部88から下方に延びて、肉厚がほぼ半分とされた如き案内凹部89が形成されている。
クラッチレバー79の腕部79aの基端側は、図18に示すように支持部80の内壁部80a及び外壁部80b間に挟まれて支持されている。また、内側軸部85は、U字状の溝部87に下方から差込まれてその溝部87内に保持されている。また、外側軸部86は、傾斜面86aが案内凹部89を摺動するように案内されて係止孔部88内に挿入されている。これにより、クラッチレバー79は、図12及び図13に示すように、中間部分が支持部80に軸支されて、上下方向、例えば図8及び図13に示す矢印A及びB方向に揺動可能になる。
操作レバー81は、図8及び図18に示すように、中間部が下フレーム53に軸支されて水平方向、例えば図18及び図19に示す矢印C及びD方向に回動可能に設けられている。操作レバー81の先端部の下面には、図18にも示すように、斜面部90が形成されている。斜面部90は、クラッチレバー79の基端部の斜面部83に接している。
引張ばね82は、図8及び図13に示すように、共回り防止装置71とクラッチレバー79において内側軸部85および外側軸部86よりも基端部側の部位との間に掛け渡され、当該クラッチレバー79を矢印A方向に付勢している。これにより、クラッチレバー79の斜面部83は、操作レバー81の斜面部90に常に接した状態となる。
図19に示すように、排水弁10は、排水弁用ギアドモータ12に接続されている。
同じく図19に示すように、前記操作レバー81の一端部は、ワイヤ91及び連結金具92を介してクラッチ用ギアドモータ47に連結されている。図19(a)では排水弁10が閉塞された状態を示し、操作レバー81は、クラッチ69を洗い用クラッチ位置に位置させた状態である。図19(b)は排水弁10が開放された状態となっており、操作レバー81は、クラッチ69を脱水用クラッチ位置に位置させた状態である。
そして、操作レバー81は、例えば図18及び図19に示すに示す矢印C及びD方向に回動する。
これにて、洗い及び第2すすぎ(ためすすぎ)の行程においては、操作レバー81は図19(a)の状態、言い換えると図18の状態から矢印C方向に回動した状態にあって、クラッチレバー79の基端部を押し下げており、これにより、当該基端部が矢印B方向に揺動し、図7に示すようにクラッチレバー79の先端の当接ピン84がクラッチ69をコイルばね76のばね力に抗して上方に押上げて洗い用クラッチ位置に移動するようになっている。
これに対し、シャワーすすぎ及び最終脱水の行程においては、操作レバー81は図19(a)の状態から矢印D方向に回動されて図19(b)に示す状態となり、斜面部90が斜面部83を相対的に摺動することにより、図6、図8及び図18に示すように、クラッチレバー79の基端部が矢印A方向に揺動し、当接ピン84が下降し、これにより、クラッチ69がコイルばね76のばね力によって脱水用クラッチ位置に移動するようになっている。なお、このクラッチ69の脱水用クラッチ位置では、当接ピン84がクラッチ69のフランジ部69aから若干量だけ下方に離間するようになっている。
クラッチ69のフランジ部69aの下面には、図6〜図8に示すように、当該クラッチ69の動作位置を検出するために円環状の永久磁石94が同心状態に取り付けられている。この永久磁石94は、例えばプラスチックマグネットから形成されており、図20に示すように上半分がN極に着磁され、下半分がS極に着磁されている。すなわち、永久磁石94には、上下に異なる磁極が形成されている。
また、図6〜図8に示すように、共回り防止装置71のうち永久磁石94の移動域に対応する部位に、永久磁石94の磁極を検出する位置検出器95が取付けられている。位置検出器95は、この永久磁石94とで、クラッチ69が脱水用クラッチ位置にあるか洗い用クラッチ位置にあるかを検出するクラッチ位置検出手段を構成するものである。
前記位置検出器95は、上側磁極検出手段としての上側ホールIC95aと、下側磁極検出手段としての下側ホールIC95bとを上下に有している。これら両ホールIC95a,95bは、検出する磁極に応じて出力電圧が例えば5Vから0Vの間で異なるものである。すなわち、両ホールIC95a,95bは、出力電圧により磁極検出を行うものである。
この場合、図20(a)に示すように、クラッチ69が脱水用クラッチ位置(図6参照、永久磁石94が下側位置)にあるときに、両ホールIC95a,95bが相対的に永久磁石94のN極と接近する(S極よりはN極に近い)ことで、両ホールIC95a,95bが永久磁石94のN極検出相当の電圧(例えば1.25V未満の電圧)を出力する。この場合、制御装置46は、両入力が上記N極検出相当の電圧(例えば1.25V未満の電圧)であることをもって、両ホールIC95a,95bがN極を検出したと判定し、これをもって、クラッチ69が脱水用クラッチ位置にあることを検出する。
また、図7および図20(b)に示すように、クラッチ69が洗い用クラッチ位置、すなわち永久磁石94が上側位置にあるときに、両ホールIC95a,95bが相対的に永久磁石94のS極と接近する(N極よりはS極に近い)ことで当該S極を検出し、それぞれS極検出相当の電圧(例えば3.75V以上の電圧)を出力する。この両ホールIC95a,95bの出力は、図21に示す制御装置46に与えられ、この制御装置46は両入力が上記S極検出相当の電圧(例えば3.75V以上の電圧)であることをもって、両ホールIC95a,95bがS極を検出したと判定し、これをもって、クラッチ69が洗い用クラッチ位置にあることを検出する。
さらに、図20(c)に示すように、クラッチ69が洗い用クラッチ位置と脱水用クラッチ位置との中間にあるときには、永久磁石94が両ホールIC95a,95bの中間に位置するようになり、上側ホールIC95aが相対的に永久磁石94のN極と接近し、下側ホールIC95bがS極と接近する。これにより上側ホールIC95aがN極検出相当の電圧(1.25V未満の電圧)を出力し、下側ホールIC95bがS極検出相当の電圧(3.75V以上の電圧)を出力する。そして制御装置46は、上側ホールIC95aからの入力がN極検出相当の電圧であって、下側ホールIC95bからの入力電圧がS極検出相当の電圧であることをもって、クラッチ69が中間位置にあることを検出する。
上述した永久磁石94と位置検出器95とからなるクラッチ位置検出手段により、上側ホールIC95a及び下側ホールIC95bの磁極検出結果に基づいてクラッチ69の位置が脱水用クラッチ位置であるか洗い用クラッチ位置であるかを区別して検出され、さらに中間位置もこれらと区別して検出するものである。
図21は、前記制御装置46を中心とした電気的構成を概略的に示している。ここで、交流電源Vacを直流に変換する直流電源回路110には、モータ駆動回路としてのインバータ主回路111が接続されている。インバータ主回路111は、6個のスイッチング素子111a〜111fを3相ブリッジ接続して構成されている。インバータ主回路111には、モータ7の各相の巻線65が接続されている。
インバータ主回路111の各スイッチング素子111a〜111fは、制御装置46によりインバータ制御回路112を介してオン、オフ制御されるようになっている。また、モータ7には、ロータ63の位置検出を行なう複数の位置検出素子113(1個のみ図示)が設けられている。位置検出素子113の位置検出の信号は、モータ7の回転速度検出にも用いられるようになっている。これにて、モータ7は、制御装置46により、可変速且つ正逆転可能に駆動制御されるようになっている。
制御装置46には、操作パネル31の各種ボタンの押圧操作の信号が入力され、また、水位センサ44、蓋スイッチ45からの検出信号及び両ホールIC95a,95bからの磁極検出用信号である出力電圧が入力される。そして、制御装置46は、モータ7を制御し、駆動回路114を介して給水弁22を制御し、駆動回路115を介して排水弁用ギアドモータ12を制御し、駆動回路116を介してポンプモータ48を制御し、さらに駆動回路47aを介してクラッチ用ギアドモータ47を制御する。さらに、制御装置46は、報知手段として機能するブザー117も制御する。ブザー117は、クラッチ69などの異常をユーザに報知させるものである。
これにて、制御装置46は、使用者による操作パネル31の各種ボタンの押圧操作による入力信号等に基づき、ROM46a等に記憶された制御プログラムおよびRAM46bに書き込まれたデータに基づき、モータ7や給水弁22、排水弁用ギアドモータ12、クラッチ用ギアドモータ47等の各機構を制御して、洗い、すすぎ(第1脱水、シャワーすすぎ、第2すすぎ)、脱水に大別される3行程からなる洗濯運転を自動で実行させるようになっている。
次に、実施形態の作用について図22を参照して説明する。
図22は、洗濯運転の行程の詳細を、「標準コース」を具体例として示しており、ここで、洗い行程では、洗濯物量検出、給水、布質検出、給水、洗いに細分化された行程が順に実行され、すすぎ行程では、排水、第1脱水、シャワーすすぎ、給水、第2すすぎ(ためすすぎ)に細分化された行程が順に実行され、脱水行程では、排水、最終脱水の行程が順に実行される。具体的には、各行程で下記の制御が行われる。
(洗い行程)
「洗濯物量検出」は、回転槽5内に洗濯物を収容した状態でモータ7に一定の電力を与えて撹拌体6を回転させて得られた回転数と、回転槽5内に洗濯物が収容されていない状態でモータ7に一定の電力を与えて撹拌体6を回転させて得られている回転数との比較から、洗濯物量(重量)を検出するものである。この検出データは水位設定などに用いる。
洗濯物量検出直後の「給水」は、排水弁10を閉塞し、給水弁22の開閉を制御して回転槽5内に布質検出に用いる所定量の水を供給するものである。
「布質検出」は、回転槽5内に一定量の水が収容された状態でモータ7に一定の電力を与えて撹拌体6を回転させ、撹拌体6の回転数の大きさにより洗濯物の布質、例えば、「ごわごわ」、「標準」、「しなやか」の3段階のいずれかを検出するものである。この検出データは、水流の強弱度合いの設定などに用いる。
布質検出後の「給水」は、排水弁10の閉塞を維持した状態で、回転槽5内に設定された水位に達するまで水を供給するものである。
「洗い」は、回転槽5に水が溜められて当該回転槽5が回転しない状態で、撹拌体6を間欠的に正逆回転させるものである。
(すすぎ行程)
「排水」は、排水弁10を開放し回転槽5内の水を排出するものである。
「第1脱水」は、回転槽5及び撹拌体6を回転させ、回転槽5内の水を除去するためのものである。
「シャワーすすぎ」は、排水弁10を開放した状態で、回転槽5及び撹拌体6を回転させるとともに、回転槽5内の洗濯物に水を供給するものである。シャワーすすぎにおいては、洗濯物に水道水がかけられることによって当該洗濯物がすすがれる。
「給水」は、排水弁10の閉塞を維持した状態で、回転槽5内に設定された水位に達するまで水を供給するものである。
「第2すすぎ」は、ためすすぎのことであり、回転槽5内に一定量の水が収容された状態で、撹拌体6を間欠的に正逆回転させるものである。ためすすぎにおいては、回転槽5に溜められた水道水によって洗濯物がすすがれる。
(脱水行程)
「排水」は、排水弁10を開放し回転槽5内の水を排出するものである。
「最終脱水」は、回転槽5及び撹拌体6を回転させ、回転槽5内の水を除去するためのものである。
これにより、洗濯運転が終了する。
上述したすすぎ行程の第1脱水、並びに脱水行程の脱水では、モータ7を正方向に高速で回転させる脱水が実行される。また、洗い行程の洗い及びすすぎ行程の第2すすぎでは、モータ7は脱水よりも低速で正逆方向に交互に回転される。
次に、上述したクラッチ69のクラッチ位置の切替えについて説明する。
洗い用クラッチ位置から脱水用クラッチ位置への切替制御においては、制御装置46は、クラッチ用ギアドモータ47にクラッチ切替指令を出力して当該クラッチ用ギアドモータ47を一方向に回転させて、昇降機構70の操作レバー81を図19(a)の状態から矢印D方向に回動(クラッチ69は下方へ移動)させている。また、脱水用クラッチ位置から洗い用クラッチ位置への切替制御においては、制御装置46は、クラッチ用ギアドモータ47を逆方向へ回転させて、操作レバー81を図19(b)の状態から矢印C方向に回動(クラッチ69は上方へ移動)させている。すなわち、クラッチ用ギアドモータ47及び昇降機構70からクラッチ切替手段が構成され、クラッチ切替手段によってクラッチ69が脱水用クラッチ位置及び洗い用クラッチ位置に切替えられる。
具体的には、制御装置46は、クラッチ69が洗い用クラッチ位置から脱水用クラッチ位置に切替えられたときの脱水を実行する前に、図22においては第1脱水の開始前、及び最終脱水の開始前に、クラッチ69の被嵌合部77の嵌合部78からの離脱を促す離脱促進動作を実行するようになっている。
離脱促進動作では、図23(a)に示すように、制御装置46は、モータ7を正方向(脱水回転方向)及び反転方向へ、所定角度づつ、小刻みに回転させる制御を行う。すなわち、制御装置46は、モータ7を最初の角度位置(0°位置)から正方向へ2.5°の角度分回動するように駆動し、そして反転方向へ5°回動させ、次に正方向へ5°回動させ、さらに2.5°反転させ、若干時間休止をして正方向へ5°、反転方向へ2.5°を所定回数繰り返し、最初の0°位置から例えば正方向へ30°回動させたところで、若干時間休止をし、その後、正方向へ2.5°回動し、そして5°反転方向へ回動し、同じく2.5°正方向へ回動し、最終的には離脱促進動作前の位置から例えば正方向に30°回転させる制御を行っている。離脱促進動作の所要時間は約10秒である。
そして、この後、係合補助動作を実行させた上で脱水に移行するようになっている。
上記係合補助動作では、図23(b)に示すように、制御装置46は、モータ7を停止状態(角度0°)から逆転方向(脱水時の回転方向(正転)とは反対方向)に、低速で短時間(角度−28°まで)回転させた後停止させる制御を行っている。係合補助動作の所要時間は約3秒である。
クラッチ69が洗い用クラッチ位置から脱水用クラッチ位置に切替わる場合、図6などに示すように、クラッチ69の被嵌合部77が、下フレーム53に固定された嵌合部78から離脱して嵌合が解かれる共に、クラッチ69の下部内セレーション部73がボス部68の係合部43に係合するようになる。これにて、ボス部68と槽軸56とが連結され、ひいては回転槽5が撹拌体6に連結されて一体的に回転されるようになり、脱水が可能となる。また、このとき、図20(a)に示すように、両ホールIC95a,95bは、永久磁石94の上部のN極を検出する。
制御装置46は、クラッチ69が脱水用クラッチ位置から洗い用クラッチ位置に切替えられたときに、図22においては洗濯物量検出前、及びすすぎ行程中のシャワーすすぎ後で給水前に、モータ7を正逆回転させる嵌合補助動作を実行する。この嵌合補助動作は、図23(c)に示すように、モータ7を小さな角度だけ正逆回転させることにより行なわれる。
この嵌合補助動作では、制御装置46は、モータ7を停止状態(角度0°)から正転方向に角度2.5°の位置まで回転させた後、逆転方向に角度−2.5°の位置まで回転させ、角度0°の位置に戻し、次いで、角度12°の位置まで回転させた後、角度−12°の位置まで逆転させ、角度0°の位置に戻し、さらに、角度2.5°の位置まで回転させた後、角度−2.5°の位置まで逆転させ、角度0°の位置に戻す制御を行っている。通常モードの嵌合補助動作の所要時間は約10秒である。
制御装置46は、切替指令出力後において、前記係合補助動作、上記所定離脱促進動作及び係合補助動作といったクラッチ調整のためにモータ7を回転させるクラッチ調整手段としても機能する。
クラッチ69が脱水用クラッチ位置から洗い用クラッチ位置に切替わる場合、図7に示すように、クラッチ69の下部内セレーション部73がボス部68の係合部43から外れると共に、クラッチ69の被嵌合部77が、嵌合部78に嵌合するようになる。これにて、モータ7の回転が撹拌軸59(撹拌体6)にのみ伝達されるようになると共に、槽軸56が下フレーム53に固定されて回転槽5が洗濯物や水流によっていわゆる共回りすることが防止される。また、このとき、図20(b)に示すように、両ホールIC95a,95bは、永久磁石94の下部のS極を検出する。
また、クラッチ69の洗い用クラッチ位置から脱水用クラッチ位置への切替が不十分である場合、あるいはクラッチ69の脱水用クラッチ位置から洗い用クラッチ位置への切替が不十分である場合には、図20(c)に示すように、ホールIC95aは永久磁石94の上部のN極を検出し、ホールIC95bは永久磁石94の下部のS極を検出する。
さて、上記構成において、制御装置46は、図22の洗濯行程中の所定のタイミングで、クラッチ位置の切替指令を出力する(クラッチ切替指令手段)。ここで、「排水」後(「第1脱水」前)においては、洗い用クラッチ位置から脱水用クラッチ位置へクラッチ69を切替えるための切替指令を出力する。すると、制御装置46は以下の制御を行う。この制御内容を図1のフローチャートを参照して説明する。なお、この図1の場合、洗濯コースとして自動コースのうちの「標準コース」が設定された場合を示している。
この図1のステップS1では、クラッチ用ギアドモータ47を一方向(図19(a)の状態で操作レバー81を矢印D方向へ回動させる方向)へ回転駆動させる。これにより、昇降機構70を駆動し、クラッチ69を洗い用クラッチ位置から脱水用クラッチ位置に下降させる動作をさせる。そして、ステップS2で、前述した離脱促進動作及び係合補助動作を実行し(クラッチ調整手段)、ステップS3でクラッチ切替成功したか否かを判断する(クラッチ切替成否判定手段)。この場合、前記切替指令が出力されてから所定時間内に前記クラッチ位置が洗い用クラッチ位置から脱水用クラッチ位置に切替わったことが前記クラッチ位置検出手段により検出されたこと(位置検出器95のホールIC95a、95bがいずれもN極を検出したこと)をもってクラッチ切替成功と判定し所定時間内に前記クラッチ位置が切替わらないことが前記クラッチ位置検出手段により検出されたことをもってクラッチ切替不成功と判定する。
このステップS3で、クラッチ切替成功(「YES」)と判定されれば、次の行程へ移行する。又、クラッチ切替不成功と判定されれば(「NO」)、ステップS4でリトライの回数のパラメータnを「1」に設定し、ステップS5に移行する。このステップS5では、n回目(このタイミングでは1回目)の設定水位(後述する)まで給水する。つまり水位センサ44が設定水位を検出するまで給水弁22を開放し検出時点で当該給水を停止し、もって水位を上昇させる。
この後、ステップS6に移行して、前記ステップS2と同様の離脱促進動作及び係合補助動作(クラッチ調整)を実行する(この給水後の離脱促進動作及び係合補助動作をリトライという)。
この後、ステップS7で、前記ステップS3と同様、クラッチ切替成功か否かを判断する。通常は第1回目のリトライで、クラッチ切替成功となる確率が高い。このクラッチ切替成功の場合には、ステップS11で排水して次の行程に移行する。
ここでクラッチ切替不成功が判断されると、ステップS8で、現水位が予め設定された最高限度水位(後述する)か否かを判断する。最高限度水位でなければ、ステップS9で、パラメータnをインクリメントして、ステップS5に戻って、さらに給水水位を上昇させるべく給水し、ステップS6で、再度リトライを実行する。このリトライによってもクラッチ切替不成功が続けば、図24に示すように段階的に給水水位を上昇させてその都度リトライを実行する。
ここで、リトライする場合の給水水位(前記n回目の設定水位及び最高限度水位など)について説明する。本実施形態では、図29に示すように、洗濯物量検出結果に応じて、最高限度水位が設定されている。すなわち、「標準コース」、「スピーディコース」、「ドライコース」では洗濯物量検出結果に応じて最高限度水位を決定している。ただし例外として「毛布コース」では「高+30秒追加給水」の水位を最高限度水位としている。そして、この最高限度水位をリトライ回数n(例えばn=5)で等分して設定されている。従って、給水水位は、最初(初期設定水位)は、(最高限度水位/5)×1 となり、以降、(最高限度水位/5)×2、(最高限度水位/5)×3、(最高限度水位/5)×4、最後に最高限度水位となる。なお、上記各回目の設定水位は、n等分でなくても良い。又、最初の水位は、撹拌体6が水によって隠れるような高さ以上に設定される。これにより、最初のリトライでのクラッチ切替成功の確率が高くなる。
この実施形態の場合、この最高限度水位は、洗濯物量検出結果が、図28の「多」、「中」、「少」、「極少」である場合には、「高」、「中」、「少」、「極少」の水位に設定される。
この図24の場合には、給水を段階的に行う(これを「段階的給水」という)場合を示したが、選択された洗濯コースが「スピーディ(短時間)コース」や「毛布(大物)コース」の場合には、給水を連続して行いながら(これを「一気給水」という)リトライを行う。この一気給水を実行しながらリトライを行う場合の例を図2及び図25に示している。図2及び図25において特徴的な部分について述べると、ステップT4で連続給水を開始し、ステップT6で1回目の設定水位まで水位が上昇したところで、ステップT7に移行してリトライを実行する。そしてクラッチ切替成功が判断されないままに最高限度水位となると(ステップT9の「YES」)、ステップT11に移行して、給水を停止した上で、異常報知を行う。
又、ステップT8で「YES」となると、ステップT12で給水を停止し、そして排水し、次の行程に移行する。
なお、この図2の場合、各回の設定水位の間隔は、最高限度水位/6 となる。
図29には洗濯コースによる「段階的給水」と「一気給水」との区別を示している。なお、「毛布(大物)コース」の場合には、最高限度水位は例外的に当該毛布(大物)で設定される洗い水位である「高水位」に「30秒追加給水」を加えた水位に設定されている。
又、図3は、脱水用クラッチ位置から洗い用クラッチ位置へのクラッチ切替指令が出力された場合の制御内容を示している。この図3の場合は図1の場合と次の点が異なる。ステップU1では、クラッチ用ギアドモータ47を逆方向(操作レバー81を図19(b)から矢印C方向へ回動させる方向)へ回転させる。ステップU2では前記嵌合補助動作(クラッチ調整)を実行する。又、ステップU6で記嵌合補助動作(リトライ)を実行する。
ところで、従来では、高水位(最高限度水位)まで給水した後にリトライを実行していたため、最初のリトライでクラッチ切替成功となったとしても、必ず、最高限度水位までの給水量を必要としていた。まして、クラッチ切替不成功であった場合には、その都度、最高限度水位の水量の水を使用することになっていた。
しかし、上述した実施形態によれば、クラッチ切替指令の出力後、クラッチ切替成否判定手段によりクラッチ切替不成功と判定される都度(図1のステップS3の「NO」及びS7の「NO」、図2のステップT3及びT8の「NO」、図3のステップU3及びU7の「NO」)、回転槽5内に給水した状態(ステップS5、T6、U5)でクラッチ調整(ステップS6)を動作させる改善処理を、給水によりその給水水位を上昇させながら実行するようにし(改善処理実行制御手段)、クラッチ切替成功が判定されたときには、その時点で、改善処理を終了し給水も終了するから、低水位のうちにリトライによるクラッチ切替が成功すれば、一義的に高水位まで給水してからリトライする従来に比して、低水位でのリトライ実行機会が多く、当該低水位でクラッチ切替が成功すればリトライ前の給水における給水量を減少させることができる。
例えば、図26、図27に示すように、最初のリトライでクラッチ切替成功となれば、給水量は、「最高限度水位/5」、「最高限度水位/6」で済む。なお、低水位のリトライではクラッチ切替成功の確率が低いといった懸念が予想されるが、当該水位は順次上昇させてリトライを順次実行するので、結果的には最高限度水位前でのクラッチ切替成功の確率は高い。
又、この実施形態においては、上昇させる給水水位の最高限度水位を、洗濯物量検出結果に応じて変更するから、洗濯物量検出結果に関係なく最高限度水位を一律高水位とした場合に比して、水使用量を適正化できる。
この場合、最高限度水位の高・低に応じて途中の給水水位の上昇勾配も変更(最高限度水位の高・低に応じて上昇勾配急・緩)するから、途中での水使用量も適正化できる。
なお、本発明の実施形態は、次のように変更しても良い。
ユーザーが洗濯水位を設定するための水位設定手段(前記実施形態では水位設定スイッチ38)を備え、前記改善処理実行制御手段が、上昇させる給水水位の最高限度水位を、前記水位設定手段による設定水位とするようにしても良い。このようにすると、ユーザーの意思に応じて最高限度水位及び給水上昇度合いを変更できる。
又、洗濯物の布質を判定する布質判定手段を備え、前記改善処理実行制御手段は、上昇させる給水水位の最高限度水位を、前記布質判定手段により判定された布質に応じて設定するようにしても良い。この場合の最高限度水位は、第2の実施形態として示す図30のように、例えば、洗濯物量が「中」である条件としたとき、布質「しなやか」で最高限度水位「少」、布質「標準」で最高限度水位「中」、布質「ごわごわ」で最高水位「高」としている。このようにすれば、布質に応じた最高限度水位及び給水上昇度合いとすることができる。
又、前記改善処理実行制御手段が、上昇させる給水水位の最高限度水位を、洗濯コースに応じて設定するようにしても良い。すなわち、前記図29で示したように、「標準コース」、「スピーディコース」、「ドライコース」では洗濯物量に応じた水位を最高限度水位とし、「毛布コース」では一律に「高+30秒」の水位を最高限度水位とするようにしても良い。
又、前記改善処理実行制御手段が、上昇させる給水水位の最高限度水位を、第3の実施形態として示す図31のように、すすぎ回数又はすすぎ形態に応じて設定するようにしても良い。すなわち、シャワーすすぎの場合は、回数に関係なく洗濯物量による水位を最高限度水位とし、そして給水形態はいずれも「段階的給水」としている。又、ためすすぎの場合も回数に関係なく洗濯物量による水位を最高限度水位とし、そして給水形態はためすすぎ1回の場合は「一気給水」として、2回、3回の場合は「段階的給水」としている。さらに注水すすぎの場合は回数に関係なく「洗濯物量による水位+30秒」を最高限度水位とし、給水形態は、注水すすぎ1回の場合は「一気給水」として、2回、3回の場合は「段階的給水」としている。
上述のようにすれば、すすぎ回数又はすすぎ形態に応じた最高限度水位及び給水上昇度合いとすることができる。
又、最高限度水位までの途中の水位の上昇は、洗濯物量や布質などに関係なく一定水位づつ上昇させるようにしても良い。
又、クラッチ位置検出手段としては、クラッチ用ドアドモータの回転がクラッチの動作に直結する構成の場合、クラッチ用ドアドモータの回転量とクラッチ位置とが相関関係を示すから、当該クラッチ用ドアドモータの回転量を検出することでクラッチ位置を検出する構成としても良い。この場合、クラッチ用ドアドモータをステッピングモータで構成すると回転量検出が容易となる。
以上説明した脱水兼用洗濯機は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適宜変更して適用可能である。
図面中、1は脱水兼用洗濯機、5は回転槽、6は撹拌体、7はモータ、8は回転伝達機構(クラッチ切替手段)、12は排水弁用ギアドモータ(クラッチ切替手段)、46は制御装置(クラッチ切替指令手段、クラッチ調整手段、クラッチ切替成否判定手段、改善処理実行手段、改善処理実行制御手段)、47はクラッチ用ギアドモータ、69はクラッチ、70は昇降機構(クラッチ切替手段)、94は永久磁石(クラッチ位置検出手段)、95は位置検出器(クラッチ位置検出手段)を示す。

Claims (7)

  1. 洗濯物が収容される回転槽と、
    前記回転槽内に設けられ、モータにより回転される撹拌体と、
    前記回転槽を回転させる槽軸の外周に常時係合した状態で上下動可能とされ、下降することにより前記回転槽が当該撹拌体と連結した状態になる脱水用クラッチ位置と、上昇することにより前記回転槽が前記撹拌体から切離された状態になる洗い用クラッチ位置との間で切替可能に設けられたクラッチと、
    前記クラッチを前記脱水用クラッチ位置および前記洗い用クラッチ位置に切替えるクラッチ切替手段と、
    洗濯運転の所定タイミングで前記クラッチ位置の切替指令を出力して前記クラッチ切替手段を駆動するクラッチ切替指令手段と、
    前記クラッチが前記脱水用クラッチ位置にあるか前記洗い用クラッチ位置にあるかを検出するクラッチ位置検出手段と、
    前記切替指令が出力された後に前記モータを回転させるクラッチ調整手段と、
    前記切替指令が出力されてから所定時間内に前記クラッチ位置が切替わったことが前記クラッチ位置検出手段により検出されたことをもってクラッチ切替成功と判定し所定時間内に前記クラッチ位置が切替わらないことが前記クラッチ位置検出手段により検出されたことをもってクラッチ切替不成功と判定するクラッチ切替成否判定手段と、
    前記回転槽内に給水した状態で前記クラッチ調整手段を動作させる改善処理を実行する改善処理実行手段と、
    前記切替指令の出力後前記クラッチ切替成否判定手段によりクラッチ切替不成功と判定される都度、前記改善処理を、給水によりその給水水位を上昇させながら実行し、この改善処理実行の都度クラッチ切替成否を判定し、クラッチ切替成功であれば、前記改善処理を終了する改善処理実行制御手段と
    を備えたことを特徴とする脱水兼用洗濯機。
  2. 前記改善処理実行制御手段は、給水水位を段階的に上昇させることを特徴とする特徴とする請求項1に記載の脱水兼用洗濯機。
  3. 洗濯物量を検出する洗濯物量検出手段を備え、
    前記改善処理実行制御手段は、上昇させる給水水位の最高限度水位を、前記洗濯物量検出手段による洗濯物量検出結果に応じて変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の脱水兼用洗濯機。
  4. ユーザーが洗濯水位を設定するための水位設定手段を備え、
    前記改善処理実行制御手段は、上昇させる給水水位の最高限度水位を、前記水位設定手段による設定水位としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の脱水兼用洗濯機。
  5. 洗濯物の布質を判定する布質判定手段を備え、
    前記改善処理実行制御手段は、上昇させる給水水位の最高限度水位を、前記布質判定手段により判定された布質に応じて設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の脱水兼用洗濯機。
  6. 洗濯コースとして複数のコースが設定されており、
    前記改善処理実行制御手段は、上昇させる給水水位の最高限度水位を、前記洗濯コースに応じて設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の脱水兼用洗濯機。
  7. 前記改善処理実行制御手段は、上昇させる給水水位の最高限度水位を、すすぎ回数又はすすぎ形態に応じて設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の脱水兼用洗濯機。
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