以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。この画像形成装置1は、スキャナ機能、複写機能、プリンター機能、及びファクシミリ機能等を有する所謂複合機であり、画像読取り装置41により読取られた原稿の画像を外部に送信したり(スキャナ機能に相当する)、この読取られた原稿の画像又は外部から受信した画像をカラーもしくは単色で記録用紙に記録形成する(複写機能、プリンター機能、及びファクシミリ機能に相当する)。
画像形成装置1は、画像を記録用紙に印刷するべく、光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、帯電器15、中間転写ベルト装置16、定着装置17、用紙搬送経路S、給紙トレイ18、及び用紙排出トレイ19等を備えている。
画像形成装置1において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(c)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。このため、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、及び帯電器15は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
各感光体ドラム13は、それらの表面に光感光層を有している。各帯電器15は、それぞれの感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、接触型であるローラ型やブラシ型の帯電器のほか、チャージャー型の帯電器が用いられる。
光走査装置11は、レーザダイオード及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)であり、帯電された各感光体ドラム13表面を画像データに応じて露光して、それらの表面に画像データに対応する静電潜像を形成する。
各現像装置12は、それぞれの感光体ドラム13表面に形成された静電潜像を各色のトナーにより現像し、これらの感光体ドラム13表面にトナー像を形成する。各ドラムクリーニング装置14は、現像及び画像転写後にそれぞれの感光体ドラム13表面に残留したトナーを除去及び回収する。
中間転写ベルト装置16は、各感光体ドラム13の上方に配置されており、中間転写ベルト21、中間転写ベルト駆動ローラ22、従動ローラ23、4つの中間転写ローラ24、及びベルトクリーニング装置25を備えている。
中間転写ベルト21は、フィルムを無端ベルト状に形成したものである。中間転写ベルト駆動ローラ22、従動ローラ23、各中間転写ローラ24等は、中間転写ベルト21を張架して支持し、中間転写ベルト21を矢印C方向に周回移動させる。
各中間転写ローラ24は、中間転写ベルト21近傍に回転可能に支持され、中間転写ベルト21を介してそれぞれの感光体ドラム13に押圧されている。各感光体ドラム13表面のトナー像が中間転写ベルト21に順次重ねて転写されて、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像(各色のトナー像)が形成される。各感光体ドラム13から中間転写ベルト21へのトナー像の転写は、中間転写ベルト21裏面に圧接されている各中間転写ローラ24によって行われる。各中間転写ローラ24は、金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われたローラである。各中間転写ローラ24には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されており、その導電性の弾性材により高電圧が記録用紙に対して均一に印加される。
こうして各感光体ドラム13表面のトナー像は、中間転写ベルト21で転写積層され、画像データによって示されるカラーのトナー像となる。このカラーのトナー像は、中間転写ベルト21と共に搬送され、中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26a間のニップ域で記録用紙上に転写される。
2次転写装置26の転写ローラ26aには、中間転写ベルト21上の各色のトナー像を記録用紙に転写させるための電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
また、2次転写装置26によって中間転写ベルト21上のトナー像が記録用紙上に完全に転写されず、中間転写ベルト21表面にトナーが残留することがあり、この残留トナーが次工程でトナーの混色を発生させる原因となる。このため、ベルトクリーニング装置25によって中間転写ベルト21表面の残留トナーを除去及び回収する。ベルトクリーニング装置25には、例えばクリーニング部材として、中間転写ベルト21表面に接触して残留トナーを除去するクリーニングブレードが設けられており、クリーニングブレードが接触する部位で、従動ローラ23により中間転写ベルト21裏側が支持されている。
記録用紙は、中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26a間のニップ域でカラーのトナー像を転写された後、定着装置17へと搬送される。定着装置17は、加熱ローラ31及び加圧ローラ32等を備えており、加熱ローラ31と加圧ローラ32間に記録用紙を挟み込んで搬送する。
加熱ローラ31は、図示しない温度検出器の検出出力に基づき、所定の定着温度となるように制御されており、加圧ローラ32と共に記録用紙を熱圧着することにより、記録用紙に転写されたカラーのトナー像を溶融、混合、圧接し、記録用紙に対して熱定着させる。
また、画像形成装置1の下部には、記録用紙を供給する給紙トレイ18が設けられている。画像形成装置1には、給紙トレイ18から供給された記録用紙を2次転写装置26や定着装置17を経由させて用紙排出トレイ19に送るための、用紙搬送経路Sが設けられている。
給紙トレイ18の端部には用紙ピックアップローラ33が設けられており、この用紙ピックアップローラ33により給紙トレイ18から記録用紙が1枚ずつ引き出されて用紙搬送経路Sへと搬送される。
用紙搬送経路Sに沿って、用紙レジストローラ34、定着装置17、搬送ローラ35、及び排紙ローラ36等が配置されている。搬送ローラ35は、記録用紙の搬送を促進補助するための小型のローラであり、複数組設けられている。
用紙レジストローラ34は、搬送されて来た記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃え、中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26a間のニップ域で中間転写ベルト21上のカラーのトナー像が記録用紙に転写されるように、各感光体ドラム13及び中間転写ベルト21の回転にあわせて、記録用紙をタイミングよく搬送する。
更に、記録用紙は、定着装置17でカラーのトナー像を定着され、定着装置17を通過した後、排紙ローラ36によって用紙排出トレイ19上にフェイスダウンで排出される。
また、記録用紙の表面だけではなく、裏面の印字を行う場合は、記録用紙を排紙ローラ36により搬送する途中で、排紙ローラ36を停止させてから逆回転させ、記録用紙を反転経路Srに通して、記録用紙の表裏を反転させ、記録用紙を用紙レジストローラ34へと導き、記録用紙の表面と同様に、記録用紙の裏面に画像を記録して定着し、記録用紙を用紙排紙トレイ19に排出する。
次に、画像形成装置1の本体上部に搭載されている画像読取り装置41及び原稿搬送装置42について説明する。原稿搬送装置42は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により画像読取り装置41の奥一辺に枢支され、その手前部分を上下させることにより開閉される。原稿搬送装置42が開かれたときには、画像読取り装置41のプラテンガラス44が開放され、このプラテンガラス44上に原稿が載置される。
画像読取り装置41は、プラテンガラス44、第1走査ユニット45、第2走査ユニット46、結像レンズ47、及びCCD(Charge Coupled Device)48等を備えている。第1走査ユニット45は、照明装置51及び第1反射ミラー52を備えており、副走査方向に原稿サイズに応じた距離だけ一定速度Vで移動しながら、プラテンガラス44上の原稿を照明装置51によって露光し、その反射光を第1反射ミラー52により反射して第2走査ユニット46へと導き、これにより原稿表面の画像を副走査方向に走査する。第2走査ユニット46は、第2及び第3反射ミラー53、54を備えており、第1走査ユニット45に追従して速度V/2で移動しつつ、原稿からの反射光を第2及び第3反射ミラー53、54により反射して結像レンズ47へと導く。結像レンズ47は、原稿からの反射光をCCD48に集光して、原稿表面の画像をCCD48上に結像させる。CCD48は、原稿の画像を繰り返し主走査方向に走査し、その度に、1主走査ラインのアナログ画像信号を出力する。
また、画像読取り装置41は、静止原稿だけではなく、原稿搬送装置42により搬送されている原稿表面の画像を読取ることができる。この場合は、第1走査ユニット45を原稿読取りガラス55下方の読取り範囲に移動させ、第1走査ユニット45の位置に応じて第2走査ユニット46を位置決めし、この状態で、原稿搬送装置42による原稿の搬送を開始する。
原稿搬送装置42では、ピックアップローラ56を原稿トレイ57上の原稿に押し当て回転させて、原稿を引き出し、原稿を原稿搬送路58を通じて搬送し、原稿を原稿読取りガラス55と読取りガイド板59間に通過させ、更に原稿を排紙ローラ61から排紙トレイ62へと搬送する。原稿搬送路58に沿って、原稿をその先端を揃えてから搬送するレジストローラ63や、原稿を搬送する搬送ローラ64が配置されている。
この原稿の搬送に際し、第1走査ユニット45の照明装置51により原稿表面を原稿読取りガラス55を介して照明し、原稿表面からの反射光を第1及び第2走行ユニット45、46の各反射ミラーにより結像レンズ47へと導き、原稿表面からの反射光を結像レンズ47によりCCD48に集光させ、原稿表面の画像をCCD48上に結像させ、これにより原稿表面の画像を読取る。
また、原稿の裏面を読取る場合は、中間トレイ67をその軸周りで点線で示すように回転させておき、原稿を排紙ローラ61から排紙トレイ62へと排出する途中で、排紙ローラ61を停止させて、原稿を中間トレイ67上に受け、排紙ローラ61を逆回転させて、原稿を反転搬送路68を介してレジストローラ63へと導いて、原稿の表裏を反転させ、原稿表面の画像と同様に、原稿裏面の画像を読取り、中間トレイ67を実線で示す元の位置に戻して、原稿を排紙ローラ61から排紙トレイ62へと排出する。
こうしてCCD48により読取られた原稿の画像は、CCD48からアナログ画像信号として出力され、このアナログ画像信号がデジタル画像信号(画像データ)にA/D変換される。そして、この画像データは、種々の画像処理を施されてから画像形成装置1の光走査装置11へと送受され、画像形成装置1において画像が記録用紙に記録され、この記録用紙が複写原稿として出力される。
図2は、本実施形態の画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。図2において、制御部71は、画像形成装置1を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース等からなる。印刷部72は、図1における光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、帯電器15、中間転写ベルト装置16、定着装置17、用紙搬送経路S、給紙トレイ18、及び用紙排出トレイ19等に相当し、電子写真方式により印刷画像を記録用紙に印刷する。画像処理部73は、画像データに対して各種の画像処理を施す。
また、入力操作部74は、例えば複数の入力キーや液晶表示装置からなる。メモリ(記憶部)75は、例えばハードディスク装置(HDD)であって、種々のデータやプログラムを記憶する。2つのレジストセンサ78は、中間転写ベルト装置16の中間転写ベルト21上に形成されたテストパターンを検出するためのものである。
例えば、制御部71は、画像読取り装置41及び原稿搬送装置42を制御して、原稿搬送装置42で原稿を搬送させつつ、画像読取り装置41で原稿の画像を読取らせ、原稿の画像を示す画像データをメモリ75に記憶したり、画像処理部73で画像データを処理させ、印刷部72でメモリ75内の画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に記録させる。
図3は、入力操作部74を例示する平面図である。入力操作部74は、複数の操作キー76、液晶表示装置の表示画面77、及び表示画面77に重ねられた透明なタッチパネル等を備えており、画像形成装置1の制御部71により液晶表示装置が制御されて、画像形成装置1の操作ガイダンス等が表示画面77に表示される。
ところで、画像形成装置1においては、光走査装置11の光ビームによる感光体ドラム13上の走査線の傾き(スキュー)等の調整対象を調整する必要がある。例えば、感光体ドラム13上の走査線の傾き角度を測定して、この測定した傾き角度が許容範囲に入るか否かを判定し、傾き角度が許容範囲に入らなければ、傾き角度と目標角度の角度差(差分)を求め、この差分が0となるように光走査装置11の光学素子(後で述べる第2fθレンズ)の位置(傾き)を調整し、この後に感光体ドラム13上の走査線の傾き角度を再度測定して、この測定した傾き角度が許容範囲に入るか否かを再度判定している。
しかしながら、感光体ドラム13上の走査線の傾き角度の測定には測定誤差が含まれ、測定の度に、その測定誤差が変動する。このため、最初に測定した傾き角度が許容範囲に入ったとしても、傾き角度を再度測定したときには、この測定した傾き角度が許容範囲から外れていることがあり、傾き角度の調整作業に混乱が生じた。
そこで、本実施形態では、第2回目の判定に用いられる許容範囲を第1回目の前記判定に用いられる許容範囲よりも広く設定している。この場合は、感光体ドラム13上の走査線の傾き角度の測定誤差があったとしても、第1回目のより狭い許容範囲に入った傾き角度が、第2回目のより広い許容範囲に確実に入るので、調整作業が混乱することはない。また、第1回目のより狭い許容範囲に感光体ドラム13上の走査線の傾き角度αが入らなかった場合には、走査線の傾き角度αが調整されるが、このときに第1回目のより狭い許容範囲に入るような高精度の調整を期待することができ、調整精度が向上する。
次に、そのような光走査装置11の光学素子の位置調節について詳しく説明する。まず、光走査装置11の概要を説明する。図4及び図5は、図1の走査装置11の筐体内部を上面及び側面から見て概略的に示す図であり、図5には感光体ドラム13も示されている。図6は、上蓋を外した状態での光走査装置11の要部を示す斜視図である。
光走査装置11は、4つの半導体レーザ201から出射された各光ビームBMをミラーやレンズ等の各光学素子により矢印方向に回転駆動されているポリゴンミラー202の各反射面へと導き、各光ビームBMをポリゴンミラー202の各反射面で反射して偏向させ、反射された各光ビームBMをミラーやレンズ等の各光学素子によりそれぞれの感光体ドラム13へと導き、各光ビームBMによりそれぞれの感光体ドラム13を走査するというものである。
半導体レーザ201からポリゴンミラー202までは、4つの半導体レーザ201からポリゴンミラー202へと向う順に、4つのコリメートレンズ203、4つの第1反射ミラー204、シリンドリカルレンズ205、及び第2反射ミラー206が配置されている。
各コリメートレンズ203は、各半導体レーザ201から出射されたそれぞれの光ビームBMを平行光に変換する。各第1反射ミラー204は、各コリメートレンズ203からのそれぞれの光ビームBMを反射して、シリンドリカルレンズ205に入射させる。シリンドリカルレンズ205は、副走査方向について、各光ビームBMをポリゴンミラー202の反射面でほぼ収束するように集光し、主走査方向について、各光ビームBMをそのまま平行光として出射する。第2反射ミラー206は、シリンドリカルレンズ205からのそれぞれの光ビームBMを反射し、ポリゴンミラー202に入射させる。
次に、ポリゴンミラー202から感光体ドラム13までは、ポリゴンミラー202から感光体ドラム13へと向う順に、第1fθレンズ207、出射折り返しミラー208、及び第2fθレンズ209が配置されている。
第1fθレンズ207は、副走査方向について、ポリゴンミラー202からの拡散光の各光ビームBMを平行光に変換し、主走査方向について、ポリゴンミラー202からの平行光の各光ビームBMを感光体ドラム13の表面で所定のビーム径となるように集光して出射する。また、第1fθレンズ207は、ポリゴンミラー202の等角速度運動により主走査方向に等角速度で偏向されている光ビームBMを感光体ドラム13上の主走査ライン上で等線速度で移動するように変換する。
各出射折り返しミラー208は、第1fθレンズ207を通過したそれぞれの光ビームBMを反射し、第2fθレンズ209に入射させる。第2fθレンズ209は、副走査方向について、平行光の各光ビームBMを感光体ドラム13上で所定のビーム径となるように集光し、主走査方向について、第1fθレンズ207で収束光となった各光ビームBMをそのまま感光体ドラム13に入射させる。
このような光走査装置11においては、各光ビームBMが、ポリゴンミラー202の反射面で反射されて偏向され、それぞれの光路を通って各感光体ドラム13に入射し、各感光体ドラム13の表面を繰返し主走査する。その一方で、各感光体ドラム13が回転駆動されるので、各光ビームBMにより各感光体ドラム13の2次元表面(周面)が走査され、各感光体ドラム13の表面に静電潜像が形成されることになる。
次に、第2fθレンズ209の取付け構造を詳しく説明する。図5に示すように各第2fθレンズ209は、光走査装置11の筐体210の第1及び第2側部211、216に架け渡され、板バネ214や押え部材218、移動ピン221、位置決め部材222等により位置決めされて支持されている。
図7は、第2fθレンズ209の傾き調整が可能な支持構造を概略的に示す平面図である。第2fθレンズ209の第1端部209Aの軸292が筐体210の第1側部211側で回転可能に支持され、第2fθレンズ209が軸292周りで回転可能であり、第2fθレンズ209の第2端部209BがX方向に移動可能である。
筐体210の第2側部216には、第2fθレンズ209の第2端部209BをX方向に移動させる移動機構が設けられている。この移動機構は、第2fθレンズ209の第2端部209Bを矢印Xaの方向に付勢する押圧バネ部218eと、矢印Xaの方向に付勢されている第2fθレンズ209の第2端部209Bに当接して位置決めする位置決め部材222と、位置決め部材222をX方向に移動させる移動ピン221とから構成されている。
移動ピン221は、シャフト221aと、頭部221bとを有している。シャフト221aは、雄ネジとなっており、シャフト221aが筐体210の第2側部216に設けられた支持部232の雌ネジ孔に螺合し、移動ピン221の先端221cが筐体210の内側に突出している。
移動ピン221の頭部221bには、ドライバ先端が嵌合される溝が形成されており、この頭部221bの溝にドライバ先端が嵌合されて、ドライバが回動されると、移動ピン221のシャフト221a(雄ネジ)が支持部232の雌ネジ孔で回動し、移動ピン221の先端221cが筐体210の内側でY方向に直線移動する。移動ピン221が正回転されるか逆回転されるかにより、移動ピン221の先端221cが筐体210の内側でYa方向に引っ込んだりYb方向に突出したりする。
位置決め部材222は、その本体部222aがX方向のみに移動できるようにガイドされている。また、位置決め部材222は、傾斜面より成るカム面222cを有しており、このカム面222cが移動ピン221の先端221cに当接する。更に、位置決め部材222は、カム面222cとは反対側に設けられた当接部222dを有しており、この当接部222dが第2fθレンズ209の第2端部209Bに当接する。
押圧バネ部218eにより第2fθレンズ209の第2端部209Bが矢印Xaの方向に付勢されていることから、第2端部209Bが位置決め部材222の当接部222dに押圧されて当接する。この押圧バネ部218eによる押圧力は、第2端部209Bに常に作用し、第2端部209Bを位置決め部材222の当接部222dに当接させて、第2端部209Bを位置決めする。
ここで、移動ピン221が正回転されて、移動ピン221の先端221cが筐体210の内側でYa方向に引っ込むと、位置決め部材222のカム面222cにおける移動ピン221の先端221cの当接位置が変位しつつ、押圧バネ部218eの押圧力により第2fθレンズ209の第2端部209BがXa方向に移動する。また、移動ピン221が逆回転されて、移動ピン221の先端221cが筐体210の内側でYb方向に突出すると、位置決め部材222のカム面222cにおける移動ピン221の先端221cの当接位置が変位しつつ、押圧バネ部218eの押圧力に抗して、第2fθレンズ209の第2端部209BがXa方向とは逆のXb方向に移動する。従って、移動ピン221が正回転又は逆回転されることにより、移動ピン221の先端221cがYa方向又はYb方向に移動し、第2fθレンズ209の第2端部209Bの中心PがXa方向又はXb方向に移動する。
第2fθレンズ209の第2端部209Bの中心PがXa方向又はXb方向に移動すると、第2fθレンズ209が第1端部209Aの軸292周りで回動し、XY平面における第2fθレンズ209の位置(傾き)が変化する。そして、この第2fθレンズ209の傾きの変化により、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾きが変更される。
本実施形態の画像形成装置1では、ブラック(K)、シアン(c)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像を形成するものであって、4つの感光体ドラム13を備え、4つの光ビームを光走査装置11の4つの第2fθレンズ209を介してそれぞれの感光体ドラム13に出射していることから、4つの第2fθレンズ209の傾きを調節する必要があり、このため第2fθレンズ209毎に、第2fθレンズ209の第2端部209BをX方向に移動させる移動機構を設けている。
図8(a)、(b)は、光ビームBMにより走査された感光体ドラム13上の主走査ラインが傾いていない状態と傾いた状態とを示している。図8(a)に示すように光ビームBMにより走査された感光体ドラム13上の主走査ラインが傾いていない状態では、感光体ドラム13手前側の主走査ラインのX方向位置x1と感光体ドラム13奥側の主走査ラインのX方向位置x2とが一致する。また、図8(b)に示すように光ビームBMにより走査された感光体ドラム13上の主走査ラインが傾いている状態では、感光体ドラム13手前側の主走査ラインのX方向位置x1と感光体ドラム13奥側の主走査ラインのX方向位置x2とがずれている。
次に、各感光体ドラム13別に、光ビームによる感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度を求める手順を説明する。
図2において、制御部71は、印刷部72を駆動制御し、光走査装置11により、各感光体ドラム13別に(各色別に)、一対のテストパターンの静電潜像を感光体ドラム13の両端部に形成し、現像装置12により感光体ドラム13の両端部の静電潜像を現像して、感光体ドラム13の両端部に各テストパターンを形成し、各感光体ドラム13の両端部の各テストパターンを中間転写ベルト21の両端部に転写して形成する。
図9は、各色(YMCK)別に、中間転写ベルト21の両端部に転写された一対のテストパターンP1、P2を模式的に示している。中間転写ベルト21の両端部近傍には、各テストパターンP1、P2を検出するそれぞれのレジストセンサ78が設けられている。各レジストセンサ78は、各色別に、中間転写ベルト21の周回移動に伴い副走査方向に搬送される各テストパターンP1、P2をそれぞれ検出し、それぞれの検出出力を制御部71に逐次出力する。この後、中間転写ベルト21上の各テストパターンP1、P2は、中間転写ベルト21の周回移動に伴い、ベルトクリーニング装置25により除去される。
制御部71は、各色別に、各レジストセンサ78の検出出力を入力し、各テストパターンP1、P2の検出タイミングと中間転写ベルト21の周回移動速度に基づき、各テストパターンの副走査方向の記録位置を求め、各テストパターンP1、P2のX方向のずれを求める。このX方向のずれは、図8(b)における主走査ラインのX方向位置x1とX方向位置x2とのずれに相当する。そして、制御部71は、図8に示すように各テストパターンP1、P2のX方向のずれ量をhとし、各テストパターンP1、P2の離間距離(既知)をiとすると、ずれ量h及び離間距離iに基づき感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αを求める。これにより、各感光体ドラム13別に(各色別に)、主走査ラインの傾き角度αが求められる。
次に、各感光体ドラム13別に、光走査装置11の移動ピン221を回動させて、XY平面における第2fθレンズ209の位置(傾き)を調節し、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αを0にするための調節手順を説明する。
ここで、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αの調節は、入力操作部74の入力操作により調整モードを指示することにより開始される。制御部71は、この指示に応答して調整モードを設定して実施する。この調整モードでは、主走査ラインの傾き角度αを測定し、測定した傾き角度αが許容範囲に入るか否かを判定し、この判定結果を入力操作部74の表示画面77に表示するという一連の処理と第2fθレンズ209の位置(傾き)の調整作業が複数回交互に繰り返される。
図10(a)は、そのような調節モードで用いられるデータテーブルDを示している。このデータテーブルDは、メモリ75に予め記憶されたものであって、第1回目〜第6回目の判定に対応付けて、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾きの許容範囲(角度範囲)、測定した傾き角度α、及び測定した傾き角度αが許容範囲に入るか否かの判定結果(表示及び作業)が記憶されている。また、第1回目、第2回目、……の調整モード別に、第1回目〜第6回目の判定に対応付けて、許容範囲、測定した傾き角度α、及び判定結果が記憶されている。
ここでは、第1回目の判定に対応する許容範囲が「±1」に設定され、第2回目の判定に対応する許容範囲が「±2」に設定され、第3回目以降の判定に対応するそれぞれの許容範囲が「±3」に設定されている。許容範囲は、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αの許容範囲を表している。また、第3回目以降の判定に対応するそれぞれの許容範囲「±3」は、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αの最大許容範囲(許容誤差もしくはスペック)に対応し、画像形成装置1で維持すべき画像品質に応じて予め設定される。
データテーブルDから明らかなように、第3回目以降の判定に用いられる許容範囲「±3」を第2回目の判定に用いられる許容範囲「±2」以上の最大許容範囲に設定している。あるいは、第3回目以降の判定に用いられる許容範囲「±3」を最大許容範囲「±3」に設定し、第1回目及び第2回目の判定に用いられる許容範囲「±1」、「±2」を最大許容範囲未満「±3」に設定している。
また、データテーブルDは、各第2fθレンズ209並びに各感光体ドラム13別に設けられており、計4つのデータテーブルDがメモリ75に予め記憶されている。
図11は、制御部71による調整モードの実施手順を示すフローチャートである。このフローチャートに従って、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αを0にするための第2fθレンズ209の傾き調節が行われる。
まず、制御部71は、作業者による入力操作部74の入力操作で調整モードが指示されると、調整モードを開始し、図9を参照して先に説明した手順で、各感光体ドラム13別に、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αを測定し(ステップS301)、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αを入力操作部74の表示画面77に表示する(ステップS302)。
また、制御部71は、調整モードを開始すると、制御部71に内蔵のカウンタ71aによる計数値を歩進して「1」に設定し、この計数値「1」から第1回目の判定であるとみなし(ステップS303で「No」、S304で「No」)、メモリ75内のデータテーブルDを参照して、第1回目の判定に対応する許容範囲「±1」を取得する。カウンタ71aは、予めリセットされて、計数値が初期値「0」となっており、その歩進により計数値が「1」となる。そして、制御部71は、各感光体ドラム13別に、ステップS301で測定した主走査ラインの傾き角度αが第1回目の許容範囲「±1」に入るか否かを判定し、この判定結果(OK又はNG)を入力操作部74の表示画面77に表示する(ステップS305)。
また、制御部71は、各感光体ドラム13別に、測定した主走査ラインの傾き角度αと許容範囲「±1」の中心の目標角度との角度差に対応する調整量βを求め、この調整量βを入力操作部74の表示画面77に表示する。調整量βは、測定した傾き角度αと目標角度との角度差(差分)だけ、第2fθレンズ209の傾きを変更するための移動ピン221の回転数を示しており、調整量βだけ移動ピン221が回動されると、調整量βする対応する距離だけ移動ピン221の先端221cがYa方向又はYb方向に移動して、第2fθレンズ209の第2端部209Bの中心PがXa方向又はXb方向に移動し、感光体ドラム13上の主走査線の傾き角度αが0となるように第2fθレンズ209の傾きが変更される。感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αと第2fθレンズ209の傾き角度とは対応関係にあり、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αが0となるような第2fθレンズ209の傾き角度を求めることができ、更に第2fθレンズ209の傾き角度と移動ピン221の回動数とは対応関係にあるから、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αが0となるような移動ピン221の回動数(調整量β)を求めることができる。
更に、制御部71は、第1回目の判定に対応付けて測定した傾き角度α及び判定結果をデータテーブルDに記憶する。
例えば、制御部71は、各感光体ドラム13のいずれについても、ステップS301で測定した感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αが第1回目の許容範囲「±1」に入ると判定したならば、その判定結果「OK」を入力操作部74の表示画面77に表示し(ステップS305)、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αを調整する必要がないので、カウンタ71aをリセットして、その計数値を初期値「0」に設定し、図11の処理を終了する(ステップS306で「Yes」)。
また、制御部71は、各感光体ドラム13の少なくとも1つについて、ステップS301で測定した感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αが第1回目の許容範囲「±1」に入っていないと判定したならば、この判定がなされた感光体ドラム13に対する判定結果「NG」を入力操作部74の表示画面77に表示する(ステップS305)。作業者は、判定結果「NG」を表示画面77上で確認すると(ステップS306で「No」)、この判定結果「NG」がなされた感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αと目標角度との角度差に対応する調整量βを表示画面77から読取り、ドライバを用いて、調整量β(回動数)だけ、「NG」の感光体ドラム13へと光ビームを出射する第2fθレンズ209の傾きを調整するための移動ピン221を回動させる(ステップS307)。例えば、調整量βが「−1.5」であれば、移動ピン221を逆方向に1.5回転させる。あるいは、調整量βが「+1.0」であれば、移動ピン221を正方向に1.0回転させる。これにより、感光体ドラム13上の主走査線の傾き角度αが0となるように第2fθレンズ209の傾きが変更される。
こうして主走査ラインの傾き角度αが第1回目の許容範囲「±1」に入っていないと判定された全ての感光体ドラム13について、感光体ドラム13上の主走査線の傾き角度αが0となるように第2fθレンズ209の傾きを調整した後、作業者は、入力操作部74を操作して、調整を行った旨を入力する。これに応答して制御部71は、ステップS301、S302の処理に戻って、各感光体ドラム13別に、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αを測定し、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αを入力操作部74の表示画面77に表示する。また、制御部71は、各感光体ドラム13別に、測定した主走査ラインの傾き角度αと目標角度との角度差に対応する調整量βを求め、この調整量βを入力操作部74の表示画面77に表示する。更に、制御部71は、制御部71に内蔵のカウンタ71aによる計数値を歩進して「2」に設定し、この計数値「2」から第2回目の判定であるとみなし(ステップS303で「No」、S304で「Yes」)、メモリ75内のデータテーブルDを参照して、第2回目の判定に対応する許容範囲「±2」を取得する。そして、制御部71は、各感光体ドラム13別に、ステップS301で測定した主走査ラインの傾き角度αが第2回目の許容範囲「±2」に入るか否かを判定し、この判定結果(OK又はNG)等を入力操作部74の表示画面77に表示する(ステップS308)。更に、制御部71は、第2回目の判定に対応付けて測定した傾き角度α及び判定結果をデータテーブルDに記憶する。
この第2回目の判定に対応する許容範囲「±2」は、第1回目の判定に対応する許容範囲「±1」よりも広くなっている。このため、第1回目の許容範囲「±1」に既に入っていると判定された感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αについては、第2回目の許容範囲「±2」に入る可能性が高い。また、第1回目の許容範囲「±1」に入っていないと判定された感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αについては、主走査線の傾き角度αが0となるように第2fθレンズ209の傾きが変更されているので、第2回目の許容範囲「±2」に入る可能性が高い。
このため、通常、制御部71は、各感光体ドラム13のいずれについても、ステップS301で測定した感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αが第2回目の許容範囲「±2」に入ると判定し、判定結果「OK」を入力操作部74の表示画面77に表示し(ステップS308)、カウンタ71aをリセットして、その計数値を初期値「0」に設定し、図11の処理を終了する(ステップS306で「Yes」)。
また、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αの測定誤差や移動ピン221の回動操作の誤り等を原因として、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αが第2回目の許容範囲「±2」に入っていないこともある。この場合、制御部71は、この判定がなされた感光体ドラム13に対する判定結果「NG」を入力操作部74の表示画面77に表示する(ステップS308)。作業者は、判定結果「NG」を表示画面77上で確認すると(ステップS306で「No」)、この判定結果「NG」がなされた感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αと目標角度との角度差に対応する調整量βを表示画面77から読取り、ドライバを用いて、調整量βだけ、「NG」の感光体ドラム13へと光ビームを出射する第2fθレンズ209の傾きを調整するための移動ピン221を回動させる(ステップS307)。これにより、感光体ドラム13上の主走査線の傾き角度αが0となるように第2fθレンズ209の傾きが変更される。
この後、作業者は、入力操作部74を操作して、調整を行った旨を入力する。これに応答して制御部71は、ステップS301、S302の処理に戻って、各感光体ドラム13別に、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αを測定し、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αを入力操作部74の表示画面77に表示する。また、制御部71は、各感光体ドラム13別に、測定した主走査ラインの傾き角度αと目標角度との角度差に対応する調整量βを求め、この調整量βを入力操作部74の表示画面77に表示する。更に、制御部71は、制御部71に内蔵のカウンタ71aによる計数値を歩進して「3」に設定し、この計数値「3」から第3回目の判定であるとみなし(ステップS303で「Yes」)、メモリ75内のデータテーブルDを参照して、第3回目の判定に対応する許容範囲「±3」を取得する。そして、制御部71は、各感光体ドラム13別に、ステップS301で測定した主走査ラインの傾き角度αが第3回目の許容範囲「±3」に入るか否かを判定し、この判定結果(OK又はNG)等を入力操作部74の表示画面77に表示する(ステップS309)。更に、制御部71は、第2回目の判定に対応付けて測定した傾き角度及び判定結果をデータテーブルDに記憶する。
この第3回目の許容範囲「±3」は、第1回目の許容範囲「±1」及び第2回目の許容範囲「±2」よりも更に広くなっている。このため、第1回目の許容範囲「±1」及び第2回目の許容範囲「±2」に既に入っていると判定された感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αについては、第3回目の許容範囲「±2」に入る可能性が非常に高い。また、第1回目の許容範囲「±1」及び第2回目の許容範囲「±2」に入っていないと判定された感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αについては、主走査線の傾き角度αが0となるように第2fθレンズ209の傾きが変更されているので、第3回目の許容範囲「±3」に入る可能性がやはり非常に高い。
このため、通常、制御部71は、各感光体ドラム13のいずれについても、ステップS301で測定した感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αが第2回目の許容範囲「±2」に入ると判定し、判定結果「OK」を入力操作部74の表示画面77に表示し(ステップS309)、カウンタ71aをリセットして、その計数値を初期値「0」に設定し、図11の処理を終了する(ステップS306で「Yes」)。
また、何等かの原因で、感光体ドラム13上の主走査ラインの傾き角度αが第3回目の許容範囲「±3」に入らないと判定された場合は、判定結果「NG」が入力操作部74の表示画面77に表示され(ステップS309)、作業者による判定結果「NG」の確認と調整量βの調整作業が行われ(ステップS306で「No」、ステップS307)、以降、傾き角度αが第3回目の許容範囲「±3」に入るまで、あるいは第6回目の判定が終了するまで、ステップS301、S302、S303、S309、S306、S307が繰り返される。
このように本実施形態では、図10(a)のデータテーブルDにおいて第2回目の判定に用いられる許容範囲を第1回目の判定に用いられる許容範囲よりも広く設定しているので、測定誤差があったとしても、第1回目のより狭い許容範囲に入っていた感光体ドラム13上の走査線の傾き角度αが第2回目のより広い許容範囲に確実に入る。このため、調整作業が混乱することはない。また、第1回目のより狭い許容範囲に感光体ドラム13上の走査線の傾き角度αが入らなかった場合には、走査線の傾き角度αが調整されるが、このときに第1回目のより狭い許容範囲に入るような高精度の調整の実施を期待することができ、調整精度が向上する。
図10(b)は、比較例のデータテーブルDDを示している。この比較例のデータテーブルDDでは、第1回目〜第6回目の判定に用いられる全ての許容範囲が「±3」に設定されている。この場合、第1回目〜第6回目の判定の度に、感光体ドラム13上の走査線の傾き角度αを測定しても、測定誤差により傾き角度αが変動して、判定結果が変わることがあり、作業者の調整作業に混乱を招いた。例えば、第1回目の判定で、最初に測定した走査線の傾き角度αが「+2.9」であって許容範囲「±3」に入り、判定結果が「OK」であっても、第2回目の判定では、傾き角度αが「+3.9」となって許容範囲「±3」に入らず、判定結果が「NG」になることがあった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
例えば、上記実施形態では、光走査装置11の第2fθレンズ209の傾きの調整を例示しているが、他の部品の位置調整等にも本発明を適用し得る。例えば、画像読取り装置41により読取られるプラテンガラス44上の主走査線の傾きを調整することが可能である。具体的には、プラテンガラス44上に規定パターンを描いた用紙を載せて、第1及び第22走査ユニット45、46を副走査方向に移動させて、用紙の規定パターンを読取り、この規定パターンの画像に基づきプラテンガラス44上の主走査線の傾きを測定する。そして、この測定したプラテンガラス44上の主走査線の傾きが許容範囲に入るか否かを判定し、この判定結果を表示する。また、プラテンガラス44上の主走査線の傾きは、第1走査ユニット45を副走査方向に沿ってガイドするガイドレールの傾きを変更することにより調整することができる。そこで、プラテンガラス44上の主走査線の傾きを測定し、主走査線の傾きが許容範囲に入るか否かを判定し、この判定結果を表示するという一連の処理と主走査線の傾き調整を複数回繰り返す調整モードに際し、第2回目の判定に用いられる許容範囲を第1回目の判定に用いられる許容範囲よりも広く設定する。