JP2012077084A - 腎疾患の治療におけるモノおよびジカルボン酸のアミドの使用 - Google Patents

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Abstract

【課題】腎疾患のための治療、特に、糖尿病患者または白金誘導体などの抗腫瘍性化学療法および腫瘍性疾患の治療のための腎レベルでのより一般的な細胞毒性薬による治療の対象となっている患者において進展する腎疾患のための治療剤の提供。
【解決手段】腎疾患、特に代謝障害性疾患により引き起こされる腎疾患、または毒性薬若しくは白金誘導体などの化学療法剤により引き起こされる腎疾患の治療における使用のためのパルミトイルエタノールアミドおよびフマル酸のジエタノールアミド。パルミトイルエタノールアミドは、微粉化または超微粉化形態で好ましく使用される。フマル酸のジエタノールアミドは水溶液中で好ましく使用される。
【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、腎疾患の治療および続く腎機能の変化、特に、しかしながらこれに限定するものではないが、糖尿病患者または白金誘導体を使用する化学療法による抗腫瘍性の治療を受けている患者において進展する腎疾患の腎機能の変化のための治療に関する。
発明の背景
慢性腎疾患およびそれに由来する腎障害は、実際に診断下にあるものだけではあるが極めて頻繁な疾患である;実際に、成人の人口の17%がこの疾患に罹患していると推定される。
最も頻繁な腎疾患は、損傷された腎糸球体により特徴付けられる。
腎疾患は、先天性のものも後天性のものもあり、特に後天性のものは多様な原因を有する:
・グッドパスチュア症候群、ループス腎炎および免疫グロブリンAネフロパシーなどの免疫性。免疫学的に媒介される腎疾患の場合において、原因は、免疫反応を引き起こす強い抗原性刺激の存在にある;
・代謝障害性、特に糖尿病性ネフロパシー、慢性腎疾患最の一般的な原因の1つ。患者数は、1型糖尿病の患者においては20〜30%であり、2型糖尿病の患者の場合では約10%である。これは潜行性の疾患であり、非常に緩慢な発生(糖尿病の発生から20〜30年まで)により特徴付けられ、且つ長い期間に亘って事実上無症状である;病初に微量アルブミン尿(30〜300mg/Lを含む尿中アルブミン量)を経て生じ、明らかなネフロパシーを示す多量アルブミン尿(24時間以内に3gの量に届くまでの300mg/Lを超える尿中アルブミン量)にゆっくりと発展する;
・動脈の高血圧による血行動態性。腎臓の血流の圧力機構における変化が、徐々に腎の濾過容量の減少を導く;
・虚血性。腎虚血は、生来の腎および移植腎の両方における急性腎疾患と続く腎尿細管液に関与する最も頻出の病原性事象である;
・毒性。多くの臨床的に重要な薬物(細胞毒性薬、化学療法薬、非ステロイド性抗炎症薬、副腎皮質ステロイド療法など)および多様な化学製品(例えば、放射性物質造影剤、溶剤など)は、非常に高い頻度で腎実質レベルでの炎症と一過性および慢性の両方の機能不全を引き起こし得る腎臓毒性を生ずる。
獣医学においてさえも、慢性腎疾患の発展に繋がる腎疾患は重要な医療部門を構成し、腫瘍起源の疾患後のイヌの死亡の第2位の原因、および加齢したネコの死因の第1位の原因で代表される。因果関係の視点から、小動物におけるネフロンの機能の進行性で不可逆的な損失を決定する原因は、Squires et al, 1998において次のように正確に分類された:
− 退行性:慢性間質性腎炎;腎梗塞
− 自己免疫性:抗GBM糸球体腎炎
− 代謝性:糖尿病;甲状腺機能亢進症(ネコ);高カルシウム血症
− 腫瘍性:腎臓リンパ腫および上皮性悪性腫瘍
− 特発性:アミロイド症;特発性糸球体腎炎
− 感染性:細菌性腎盂腎炎;ライムネフロパシー(ボレリオ症)
− 免疫介在性:免疫複合体糸球体腎炎
− 毒性:腎毒性薬物(例えば、シスプラチン、アミノグリコシド系抗生物質、NSAID)
− 外傷性:膀胱および尿道の破裂。
何れの場合においても、病因に拘らず、ヒトおよび動物の両者における後天的な腎疾患の全てにおいて炎症性プロセスの活性化があり、これは有害な事象の反撃を主な目的とするが、ネフロンの大部分が破壊される前末期(前末期腎疾患)に至るまでの慢性腎疾患の進行を決定し得る腎糸球体硬化および尿細管間質性繊維症の原因となり得る。腎臓病学の2つの主な目的のうちの1つは、第一に、また最初に、急性腎障害から問題の慢性繊維化腎疾患への推移を調節する機序の理解であり、ひとたび繊維成長が開始されれば、現在では繊維形成過程を阻害することは非常に難しいだろう;何れの場合においても、慢性腎疾患の進行を止める、または少なくとも遅くするという目的は、そのような疾患は、更に循環器疾患の重要な危険因子を構成することを考えれば、依然として極めて重要である。この点で、現在のところ、当該疾患の不可逆性を決定する現象を防ぐ目的と共に、出現の最も重要な機序を正確に理解することを目的とする幾つかの研究がある。これらの現象の中で、最も重要なものは、慢性腎疾患の主な原因であると考えられている尿細管間質性繊維症を引き起こすものである;繊維症は、主に構成されたコラーゲンの細胞外型の過剰な蓄積を引き起こし、通常、正常組織が瘢痕性組織により置き換わるときに、腎機能の進行性喪失に付随して生じる。1つの最近研究されている現象は、ミオ繊維芽細胞の発生を制御するプロセスによって構成され、繊維性瘢痕性組織の形成においてこれらの細胞によってなされる役割によって構成されている。特に、そのような研究は、連続して大量の病毒を被る腎組織などの組織により通常は提供される修復現象が、ある時点で細胞外マトリックスの過剰な増大、従って尿細管間質性繊維症を決定し得ることの理由を理解しようとするものである。尿細管上皮細胞および内皮細胞の両方から開始され、上皮からTGF−1β(トランスフォーミング成長因子)により強く刺激された間葉への表現型の形質転換のプロセスを経るミオ繊維芽細胞の発生に対して、現在、特別な注意が払われている。実際に、TGF−1βの発現は、活発な繊維成長のプロセスの間、腎尿細管上皮において常に増大している。腎障害の動物モデルにおいて、TGF−1βの腎尿細管上皮における用量は、繊維成長の活性化の状態の興味深い目安、従って、腎疾患により誘導される機能的変化の興味深い目安であると考えられている。
腎疾患の進行に関与する病原性の機序に関する詳細な新たな情報に拘らず、これらの状態を調節するための十分な治療のための解決策は、未だに発見されるべきままである。
パルミトイルエタノールアミド(PEA)は、アリアミドと称されるN−アシルアミド群の起源である:内因性の脂質分子の類は、局所的なアンタゴニスト機序を介して免疫細胞の活性を正常化することが可能である。代わりに、鎮痛性効果は、NGF様の栄養素の調節された放出の正常化に関連し、もし組織において過剰に存在するならば、それは痛覚過敏および異痛の発生と共に、ニューロン構造を過敏且つ過興奮させる。臨床の観点から、PEAを含む製品の経口摂取が、末梢神経障害に関連する神経障害性の総体症状を改善する能力があり、また、運動伝導速度の機能的な回復を促進する。PEAは、実験レベルで、代謝障害性の神経障害においても有効であり、特に、ストレプトゾトシンで糖尿病を形成された動物に対するその投与は、異痛を取り除き、且つ体重の部分的な回復とインスリン血中量の増加とを誘導する。また、これらの動物は、血中フリーラジカルの低い過剰産生と同じレベルの坐骨神経におけるNGFとに曝される。
PEAに類似する、一般的にモノエタノールアミンと飽和および不飽和のジカルボキシル脂肪酸から形成される問題のN−アシルアミドは、それ自身非生理的であるが、異化の間に哺乳類の動物に生理的に存在する物質を形成する同等な能力があり、従って、何れの種類の蓄積および/または毒性を与えることはなく、親PEAと同等の薬理効果を与えることが可能であることが判明した。
現在、我々はアミノアルコールとモノまたはジカルボン酸との間のアミドに分類される幾つかの分子が腎疾患の治療において活性があるという驚くべき発見をした。特に、哺乳類の動物において通常存在するパルミトイルエタノールアミド(PEA)およびフマル酸のジエタノールアミド、一価不飽和ジカルボキシル脂肪酸は、前記疾患に対して相当な活性を示すことが観察された。
従って、本発明の第1の目的は、腎疾患の治療、特に、しかしながらこれに限定するものではないが、代謝障害性疾患または毒物により引き起こされる腎疾患の治療において使用するための、モノエタノールアミンおよびセリンの中から選択されるアミンをそれぞれ有する飽和または単不飽和のC12−C20モノカルボン酸のモノまたはジアミド、または飽和または単不飽和のC4−C14ジカルボン酸のモノまたはジアミド、またはその混合物により構成される。
本発明の更なる目的は、腎疾患の治療において使用するためのパルミトイルエタノールアミド(PEA)、好ましくは微粉化形態または超微粉化形態にあるPEAにより表される。
本発明の更なる目的は、腎疾患の治療において使用するためのPEA、経口により投与されるPEAにより構成される。
本発明の更なる目的は、水溶液中で、腎疾患の治療において使用するためのフマル酸のジエタノールアミドにより構成される。
発明の詳細な説明
本発明は、モノエタノールアミンおよびセリンの中から選択されるアミンをそれぞれ有する、飽和または単不飽和のC12−C20モノカルボン酸のモノまたはジアミド、または飽和または単不飽和のC4−C14ジカルボン酸のモノまたはジアミドの外因性の投与、特に、好ましくは微粉化形態(PEAm)または超微粉化形態(PEAum)にあるパルミトイルエタノールの経口投与および/または好ましくは適切な水性媒体中で可溶化形態で投与されるフマル酸のジエタノールアミドが、糖尿病ネフロパシーおよび抗腫瘍性薬剤によるネフロパシーに関連する腎疾患に冒された哺乳動物における腎機能を実質的に改善する能力があるという驚くべき発見に基づく。本発明者らはまた、腎機能の改善が、進行において繊維成長の重要な兆候であると考えられているTGF−1βのより低い発現に関連することを見出した。腎機能の改善は、炎症性ネフロパシーおよび糖尿病性ネフロパシーに冒された患者においても確認済みである。
本発明の1つの態様において、前記飽和または単不飽和のC12−C20モノカルボン酸は、パルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸の中から選択される。
本発明の1つの態様において、前記飽和または単不飽和のC4−C14ジカルボン酸は、フマル酸、アゼライン酸およびトランス−トラウマチン酸の中から選択される。
パルミトイルエタノールアミドは、市販される製品であり、これは当業者に周知の従来法により製造され、例えば、縮合のために適切な条件で、場合により保護された形態のエタノールアミンまたはセリンと、前記モノまたはジカルボン酸との間の反応を提供する方法、また縮合剤の使用を提供し得る方法を介して製造できる。
用語「微粉化形態におけるPEA」または「PEAm」は、当該粒子の少なくとも94%または少なくとも95%または約96%が10ミクロンよりも小さい寸法を有し、および好ましくは当該粒子の少なくとも77%または少なくとも78%または約80%が6ミクロンよりも小さい寸法を有するパルミトイルエタノールアミドを示すために使用される。PEAmは、欧州特許EP1207870B1の開示に従い製造されてもよい。
用語「超微粉化形態にあるPEA」または「PEAum」は、当該粒子の少なくとも97%または少なくとも98%または少なくとも99%または約99.9%が6ミクロンよりも小さい寸法を有し、および好ましくは当該粒子の少なくとも57%または少なくとも58%または少なくとも59%または約59.6%が2ミクロンよりも小さい寸法を有するパルミトイルエタノールアミドを示すために使用される。PEAumは、特許出願PCT/IT2009/000399の開示に従い製造されてもよい。
フマル酸のジエタノールアミドは、特許US5,618,842の例10の開示に従う合成により製造されてもよい。
従って、本発明は、腎疾患の治療、特に、しかしながらこれに限定するものではないが、代謝障害性糖尿病または毒物により引き起こされる腎疾患の治療において使用するための、モノエタノールアミンまたはセリンの中から選択されるアミンをそれぞれ有する、飽和または単不飽和のC12−C20モノカルボン酸のモノまたはジアミドまたは飽和または単不飽和のC4−C14ジカルボン酸のモノまたはジアミド、またはその混合物に関する。
1つの態様において、前記飽和または単不飽和のC12−C20モノカルボン酸のモノまたはジアミド、または飽和または不飽和のC4−C14ジカルボン酸のモノまたはジアミドは、PEAまたはフマル酸のジエタノールアミドである。
1つの態様において、PEAは、微粉化形態(PEAm)において使用される。
異なる態様において、PEAは、超微粉化形態(PEAum)において、単独またはPEAmと混合されて使用される。
1つの態様において、フマル酸のジエタノールアミドは、適切な水性溶媒中で可溶化された形態で使用される。
本発明の化合物の薬理活性
マウスに対するストレプトゾトシン投与後の腎性障害の発生
マウスにおけるストレプトゾトシンモデルは、特徴のあるパラメータの明確な変化を伴い、腎疾患に導かれる進行性の腎障害を動物に対して誘発することができる高血糖の典型的な公知のモデルを代表するものである。
適用されるモデルは、以下の通りである:雄性マウスC57BL6/Jは標準的条件の管理下に維持された。糖尿病を、8週齢マウスに対して、連続した5日間に亘るクエン酸緩衝液(55mg/Kg/重量/日)中のストレプトゾトシンの腹腔内注射よって約22gの平均重量で誘発した。コントロール動物はクエン酸緩衝液のみを用いる同じ条件で処理した。
処理は、担体中に懸濁された微粉化パルミトイルエタノールアミドPEAm(10.0mg/Kg)および担体中に懸濁された超微粉化パルミトイルエタノールアミドPEAum(10.0mg/Kg)の両方を用いて、チューブにより経口的に投与した;結果は担体のみで処理されたコントロール動物と比較した。0.5%のカルボキシメチルセルロースを担体として使用した。
フマル酸のジエタノールアミドを滅菌生理食塩水中で腹腔内注射(10.0mg/Kg)により投与した;結果は滅菌生理食塩水のみで処理された動物と比較した。
担体の投与、およびパルミトイルエタノールアミドを含む2つの異なる懸濁液の投与、またはフマル酸のジエタノールアミドを含む注射溶液の投与はストレプトゾトシンの最終投与日から開始して1日当たり1回実施した。屠畜に先立って、血液を、微小注射器を用いて伏在静脈から採集し、従来法により血清中の血糖、糖化ヘモグロビンおよびクレアチニンの濃度を測定した。
腎組織におけるTGF−1βの評価は以下の方法により管理した;
慎重に分離し、重さを量った腎皮質の小片を、2MのNaCl、1mMのPMSF(プロテアーゼ阻害剤としてのフッ化フェニルメチルスルホニル)、1mMのEDTAおよび0.01%のツィーン80を含むpH7.4のトリス−HClの10mM緩衝液中でホモジナイズした。サンプルを19,000rpmで30分間に亘って遠心分離し、上清を回収し、測定し、−80℃で保存した。TGF−1βの評価を市販のELISAキット(Quantikine KitTM,Res&Diagn Systems,Minneapolis,USA)を使用して行い、値を総タンパク質のpg/mgで表した。総タンパク質の濃度は、市販のバイオ−ラドテスト(Hercules,Ca,USA)を用いて測定した。
得られた結果を表1に纏めた。
Figure 2012077084
マウスに対するシスプラチン投与後の腎障害の発生
シスプラチン、公知であり且つ広く用いられる化学療法剤は、悪名が知れ渡るほどに治療を受ける患者の50%において重篤な腎障害を生じる。実験的な動物モデルはマウスが使用され、そこにおいてシスプラチンが、腎疾患が続く重篤な腎毒性を誘発する。適用されるモデルは以下の通りである:雄性マウスC57BL6/Jは、標準的条件の管理下に維持された。腎毒性は8週齢マウスに対する、生理食塩水(1投与において20mg/Kg)中でのシスプラチン二塩酸塩の腹腔内注射によって約23gの平均重量で誘発した。コントロール動物は生理食塩水のみを使用する同じ条件で処理した。動物はシスプラチンでの処理後72時間で屠畜した。
6つの処理は、担体中に懸濁された微粉化パルミトイルエタノールアミドPEAm(10.0mg/Kg)および担体中に懸濁された超微粉化パルミトイルエタノールアミドPEAum(10.0mg/Kg)の両方を使用して、チューブにより12時間毎に1回で経口的に投与した;1回目の処理は、シスプラチン投与の12時間前に行った。結果は、担体のみで処理されたコントロール動物と比較した。0.5%のカルボキシメチルセルロースを担体として使用した。
フマル酸のジエタノールアミドは、滅菌生理食塩水中において、PEAと薬量学的に類似させて腹腔内注射(10.0mg/Kg)により投与した;結果は、滅菌生理食塩水のみで処理された動物と比較した。
屠畜に先駆けて、血液を微小注射器を用いて伏在静脈から採集し、血清中のクレアチニンレベルを従来法により測定した。
腎組織におけるTGF−1βのレベルを以下の方法により測定した:
慎重に分離し、重さを量った腎皮質の小片を、2MのNaCl、1mMのPMSF(プロテアーゼ阻害剤としてのフッ化フェニルメチルスルホニル)、1mMのEDTAおよび0.01%のツィーン80を含むpH7.4の10mMのトリス−HCl緩衝液中でホモジナイズした。サンプルを19,000rpmで30分間に亘って遠心し、上清を回収し、測定し、−80℃で保存した。TGF−1βの量を市販のELISAキット(Quantikine KitTM, Res & Diagn Systems, Minneapolis, USA)を使用して測定し、値を総タンパク質のpg/mgで表した。総タンパク質の濃度は、市販のバイオ−ラドテスト(Hercules, Ca, USA)を用いて測定した。
得られた結果を表2に纏めた。
Figure 2012077084
腎障害患者における超微粉化パルミトイルエタノールアミド、PEAumの効果
パルミトイルエタノールアミドは、超微粉化形態中にそれぞれ600mgの活性成分を含む錠剤の形態で患者に対して投与された;1日当たり2錠(12時間毎に1回、食後)が連続する60日間に亘り患者に対して投与された。
クレアチニン内因性マーカーによるGRF(糸球体濾過速度)の測定を、USナショナル・リーナル・ファウンデーション・クリテリア(the US National renal Foundation criteria, K/DOQI clinical practice guidelines for chronic kidney disease, 2002)に従い、コッククラフト−ゴー方程式(Cockcroft D.W. et al, 1976)を用いて行った。
結果を表3に示した。
Figure 2012077084
上記に示された結果は、PEA、特に、微粉化または超微粉化形態において経口により投与された場合のPEAが哺乳動物における腎疾患の治療において成功裏に使用されることを明確に示す。また、フマル酸のジエタノールアミドも、腹腔内注射により活性であることが明らかとなった。
従って、本発明の化合物は、腎疾患の治療においてヒトおよび獣医学目的の両方のために用いられ得る。
そのような疾患は、好ましくは以下の中から選択される;
−糖尿病性ネフロパシー
−腎血管硬化症
−腎盂腎炎
−多嚢胞性腎疾患(多嚢胞性腎)
−アルポート症候群
−レッシュ−ナイハン症候群
−グッドパスチュア症候群
−ループス腎炎
−免疫グロブリンAネフロパシー
−腎尿細管壊死
−糸球体腎炎
−尿道狭窄症
−医原性ネフロパシー(NSAIDによる、細胞毒性薬による、リチウムによる、抗生物質による、シクロスポリンによる、など)
−放射線治療によるネフロパシー
−放射線治療によるネフロパシー
−老齢の加齢によるネフロパシー。
従って、本発明の化合物は、経口、口腔、非経口、直腸または経皮投与のために製剤化されてもよい。
PEAは、好ましくは経口投与のために製剤化されてもよい。
フマル酸のジエタノールアミドは、好ましくは水中の前記合成分子の高溶解性を考慮して経口または注射投与のために製剤化されてもよい。
経口投与のために、薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウムなど);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはグルコール酸ナトリウムデンプン);または阻害剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)と共に、慣習的に製造される錠剤またはカプセルの形態で提供されてもよい。錠剤は、周知の手段によって被覆されてもよい。経口投与のための液体製剤は、例えば、溶液、シロップもしくは懸濁液の形態にあってもよく、またそれらは水または他の適切な担体により、使用前に再構成されるべき凍結乾燥された製品の形態にあってもよい。そのような液体製剤は、薬学的に許容される添加物、例えば、沈殿防止剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または食用の水素添加された脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性担体(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分画された植物油);および保存剤(例えば、メチル−またはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)と共に慣習的な方法によって製造されてもよい。製剤は、アロマ、着色剤および甘味料を適切に含んでもよい。
経口投与のための製剤は、適切に製剤化されて、活性成分の制御された放出を可能にしてもよい。
口腔投与のために、組成物は口腔粘膜レベルでの吸収のために適切な従慣習的に製剤化される錠剤の形態にあってもよい。典型的な口腔製剤は、舌下投与のための錠剤である。
本発明の化合物は、注射による非経口投与のために製剤化されてもよい。注射のための製剤は、添加される保存剤と共に、例えば、バイアル中で1用量の形態であってもよい。組成物は、油性または水性担体中の懸濁液、溶液または乳液などのような形態であってもよく、且つそれらは、懸濁液タビライジング(tabilising)剤および/または分散剤などのような製剤化剤を含んでもよい。或いは、活性成分は、適切な担体、例えば滅菌水によって、使用に先駆けて再構成されるべき粉末の形態にあってもよい。
フマル酸のジエタノールアミドは、製薬産業の慣習的な文献に従って、無菌および非発熱性の水溶液中に容易に製剤化されてもよい。
本発明に従うと、本発明の化合物は、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドなどのような一般的な坐薬の基本的な成分を含む坐薬または停留浣腸などのような直腸組成物に従って製剤化されてもよい。
前述した組成物に加えて、本発明の化合物はデポジット製剤としても製剤化されてもよい。そのような長期製剤は、移植(例えば、皮下、経皮的または筋肉内)または筋肉内注射によって投与されてもよい。従って、例えば、本発明の化合物は、適切なポリマーまたは疎水性物質(例えば、適切な油中の乳液の形態において)またはイオン交換樹脂と共に製剤化されてもよい。
本発明に従うと、ヒト(約70kgの体重を有する)に対する投与のために企図される本発明の化合物またはそれらの混合物の用量、投与量単位当たり活性成分1mg〜2g、好ましくは100mg〜1gの範囲である。投与量単位は、例えば、1日当たり1〜4回投与されてもよい。用量は、選択された投与方法によって決定されるべきである。用量の頻繁な変化が、患者の年齢および体重、更に治療されるべき臨床症状の重篤度に依存して要求されてもよいことが考慮されるべきである。最後に、正確な用量および投与方法は、問題になっている医師または獣医師の自由裁量にあるべきである。
本発明の薬学的組成物は、レミントンズ・ファーマシューティカル・サイエンス・ハンドブック(Remington's Pharmaceutical Sciences Handbook, Mack Pub. Co., N.Y.,USA, 17th edition, 1985)に記述されるような慣習的な方法を用いて製造されてもよい。
以下は、本発明に従う薬学的組成物の非網羅的な例である。
製剤の例
例1
各錠剤は以下を含む;
−クロスカルメロースナトリウム 45.00mg
−ポリビニルピロリドン 10.00mg
−ステアリン酸マグネシウム 4.00mg
− −ポリソルベート80 2.00mg。
例2
各錠剤は、以下を含む;
−PEAm 300.00mg
−微結晶セルロース 78.47mg
−クロスカルメロースナトリウム 45.00mg
−ポリビニルピロリドン 10.00mg
−ステアリン酸マグネシウム 4.00mg
−ポリソルベート80 2.00mg。
例3
各錠剤は、以下を含む;
−PEAm 600.00mg
−微結晶セルロース 156.94mg
−クロスカルメロースナトリウム 90.00mg
−ポリビニルピロリドン 20.00mg
−ステアリン酸マグネシウム 8.00mg
− −ポリソルベート80 4.00mg。
例4
各錠剤は、以下を含む;
−フマル酸のジエタノールアミド 400.00mg
−微結晶セルロース 100.00mg
−クロスカルメロースナトリウム 80.00mg
−ポリビニルピロリドン 15.00mg
−ステアリン酸マグネシウム 7.00mg
−ポリソルベート80 6.00mg。
例5
小児科用の5g用量の経口溶解可能な微粒剤は以下を含む;
−PEAm 50.00mg
−非カリエス性糖 200,00mg
−薬学的に許容される賦形剤 適量 5.00gまで。
例6
小児科用の5mL用量の経口溶解可能な微粒剤は以下を含む;
−PEAm 80,00mg
−カルボキシメチルセルロース 25.00mg
−複蒸留水(Bi-distilled water) 適量 5.00mLまで。
例7
5g用量の経口溶解可能な微粒剤は以下を含む;
−PEAm 600.00mg
−非カリエス性糖 200,00mg
−薬学的に許容される賦形剤 適量 5.00gまで。
例8
各無菌単一用量5mLの2層容器は以下を含む;
水性ゲル中に:
−ヒアルロン酸ナトリウム塩 80.00mg
−複蒸留水 適量 2.50mLまで
油性ゲル中に:
−PEAm 600.00mg
−モノステアリン酸グリセリル(ゲレオール) 40.00mg
−植物油 適量 2,50mLまで。
例9
獣医師使用(犬および猫)のための各軟ゼラチンカプセルは以下を含む;
−PEAm 100.00g
−薬学的に許容される油性賦形剤 300.00mg。
例10
2mLのガラスバイアルは以下を含む;
−フマル酸のジエタノールアミド 100.00mg
−滅菌生理食塩水 適量 2.0mLまで。
例11
4mLの凍結乾燥されたガラスバイアルは以下を含む;
−フマル酸のジエタノールアミド 200.00mg
−グリココール 85.00mg。
4mL溶媒バイアルは以下を含む;
滅菌生理食塩水 4.0mL。

Claims (16)

  1. 腎疾患の治療において使用するための、モノエタノールアミンおよびセリンの中から選択されたアミンをそれぞれ有する飽和若しくは単不飽和のC12−C20モノカルボン酸または飽和若しくは単不飽和のC4−C14ジカルボン酸のモノアミドまたはジアミド、または前記モノアミド若しくはジアミドの混合物。
  2. 請求項1に記載のモノカルボン酸のモノアミドであって、前記飽和または単不飽和のモノカルボン酸が、パルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸の中から選択されるモノカルボン酸のモノアミド。
  3. 請求項1に記載のジカルボン酸のジアミドであって、前記飽和または単不飽和のジカルボン酸が、フマル酸、アゼライン酸およびトラウマチン酸の中から選択されるジカルボン酸のジアミド。
  4. 請求項1から3の何れか1項に記載のモノアミドまたはジアミドであって、前記モノアミドまたはジアミドがパルミトイルエタノールアミドまたはフマル酸のジエタノールアミドであるモノアミドまたはジアミド。
  5. 請求項4に記載のモノアミドであって、前記パルミトイルエタノールアミドが微粉化形態にあるモノアミド。
  6. 請求項2に記載のモノアミドであって、前記微粉化パルミトイルエタノールアミドの粒子の少なくとも94%または少なくとも95%または約96%が10ミクロンよりも小さい寸法を有する、および好ましくは、前記微粉化パルミトイルエタノールアミドの粒子の少なくとも77%または少なくとも78%または約80%が6ミクロンよりも小さい寸法を有するモノアミド。
  7. 請求項4に記載のモノアミドであって、前記パルミトイルエタノールアミドが、全体的または部分的に超微粉化形態にあるモノアミド。
  8. 請求項7に記載のモノアミドであって、前記超微粉化パルミトイルエタノールアミドの粒子の少なくとも97%または少なくとも98%または少なくとも99%または約99.9%が6ミクロンよりも小さい寸法を有する、および好ましくは前記超微粉化パルミトイルエタノールアミドの粒子の少なくとも57%または少なくとも58%または少なくとも59%および約59.6%が2ミクロンよりも小さい寸法を有するモノアミド。
  9. 代謝障害性疾患により引き起こされる腎障害または毒物により引き起こされる腎障害の治療において使用するための、請求項1〜8の何れか1項に記載のモノアミドまたはジアミド。
  10. 請求項1〜9の何れか1項に記載のモノアミドまたはジアミドであって、前記腎疾患が、
    − 糖尿病性ネフロパシー
    − 腎血管硬化症
    − 腎盂腎炎
    − 多嚢胞性腎疾患(多嚢胞性腎)
    − アルポート症候群
    − レッシュ−ナイハン症候群
    − グッドパスチュア症候群
    − ループス腎炎
    − 免疫グロブリンAネフロパシー
    − 腎尿細管壊死
    − 糸球体腎炎
    − 尿道狭窄症
    − 医原性ネフロパシー(NSAIDによる、細胞毒性薬による、リチウムによる、抗生物質による、シクロスポリンによる、など)
    − 放射線治療によるネフロパシー
    − 加齢によるネフロパシー
    の中から選択されるモノアミドまたはジアミド。
  11. 請求項1〜10の何れか1項に記載のモノアミドまたはジアミドであって、前記治療が経口によるモノアミドまたはジアミド。
  12. 請求項1〜11の何れか1項に記載のモノアミドまたはジアミドであって、前記モノアミドまたはジアミドが、投与量単位当たりの当該活性成分について1mg〜2gの範囲の量または100mg〜1gの範囲の量で薬学的組成物中に含まれるモノアミドまたはジアミド。
  13. 請求項1〜12の何れか1項に記載のモノアミドまたはジアミドであって、前記モノアミドまたはジアミドが、経口投与のための、場合により制御された放出様式の錠剤、カプセル、溶液、シロップ、懸濁液;口腔投与または舌下投与のための錠剤;注射可能な投与のための油性または水性担体中の懸濁液、溶液または乳液;直腸投与のための坐薬または停留浣腸;皮下、経皮若しくは筋肉内投与または筋肉内注射のためのデポ剤;の中から選択される薬学的組成物中に含有されるモノアミドまたはジアミド。
  14. 請求項1〜13の何れか1項に記載のジアミドであって、前記ジアミドが注射可能な形態にあるフマル酸のジエタノールアミドであるジアミド。
  15. ヒトの治療において使用するための請求項1〜14の何れか1項に記載のモノアミドまたはジアミド。
  16. 獣医学的な治療において使用するための請求項1〜14の何れか1項に記載のモノアミドまたはジアミド。
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