以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る遊技機枠ユニットを備えるパチンコ機2の正面図である。このパチンコ機2は、遊技機枠3、遊技盤ユニット5、ガラス10、発射ユニット(不図示)、球皿14を有している。発射ユニットは、1個ずつ遊技球23を遊技盤ユニット5に構成される遊技領域16に向けて発射可能である。
パチンコ機2は、遊技者が後述する発射装置ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて遊技球23が発射ユニットによって発射され、遊技球23の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
パチンコ機2の遊技機枠3は、後述する遊技盤ユニット5を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲側面及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。遊技機枠3の内部側には、遊技盤ユニット5の他にも後述する各種制御基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、遊技機枠3によって周囲側面及び前方又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
パチンコ機2の周囲を囲む外枠4、その内側にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する前枠9、前枠9の前方にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されガラス10及びその周囲を装飾する装飾部材32を保持するガラス枠12、を有して遊技機枠3が構成される。なお、ガラス10は、遊技機枠3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。遊技機枠ユニットは、遊技盤ユニット5を保持する前枠9と、後述する賞球払出ユニット100と、によって構成されている。
ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。ガラス10は、2枚の透明平板ガラスで形成されてガラス枠12の裏面側に保持され、遊技盤6との間に遊技球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者がガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないように不正アクセスを防止する機能、を発揮する。
球皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上球皿14aと下球皿14bとを有している。上球皿14aは、球抜き部材14cを有して遊技盤6の下方、すなわちガラス枠12の下方部分に配置され、下球皿14bは、その上球皿14aの更に下方に配置されている。
発射ユニットは、球送り装置(不図示)によって球皿14の一部としての上球皿14aから発射位置に送り出された遊技球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、例えば発射位置の遊技球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、前枠9に取り付けられている。その発射ユニットによる球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射装置ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
遊技盤ユニット5は、遊技盤面6a側の略中央に遊技役物としてのセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘27も配置されている。センター役物7の中央部には、画像表示手段としての演出表示装置7aが配置されると共に、この演出表示装置7aの表示部7bを露出させるための表示開口部7dが形成されている。
遊技盤6は、その表面側に遊技球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように遊技機枠3(本実施の形態においては、遊技機枠3の一部としての前枠9。)に保持されている。その遊技盤6の表面には略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の外レール26aが遊技盤に対して立設するように配置されている。そして、レール飾り26の外レール26aによって画定され、外レール26aに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
遊技釘27は、遊技領域16を流下する遊技球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、多数が遊技領域16内に配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、始動入賞口29、大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。更に、遊技領域16には、ゲート33、風車34等が配置されており、流下する遊技球23が各入球部材に流入したり、ゲート33を通過したり、風車34を回転させたりすることによって、遊技球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
センター役物7は、演出表示装置7aの周囲を覆うように構成されており、図柄変動遊技(1種遊技)を実現するものである。センター役物7の上部には、図柄表示手段としての第1図柄(特別図柄)表示装置17が配置されると共に、センター役物7の中央部には、演出表示装置7aが配置されている。
第1図柄表示装置17には、抽選手段の抽選結果である第1図柄17aの変動が表示される。第1図柄は、始動入賞口29への遊技球23の入球を契機として実行される抽選の結果に対応した図柄である。第1図柄の変動表示が所定の当選態様で停止することにより第1特別遊技としての大当りが発生する。
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示部7b上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示部7bには、第1図柄に連動する表示図柄(第1装飾図柄)7cの表示がなされる。表示図柄は、第1抽選手段の抽選結果を視覚的に演出するための図柄であり、第1の遊技に対応する。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示部7b上に表示されるようになっている。演出表示装置7aには、遊技制御手段としての演出制御基板が中継基板を介して電気的に接続されており、演出制御基板によって画像表示が制御される。
遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う主制御手段(主制御基板)200を収容した主制御基板ケース35と、演出表示装置7aの画像表示等の演出制御を行う演出制御手段(演出制御基板)220を収容した演出制御基板ケース36と、後述する賞球払出ユニット100による賞球の払出しを制御する払出制御手段(払出制御基板)230を収容した払出制御基板ケース37と、電源手段(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御手段によって遊技が実現される。主制御基板ケース35と演出制御基板ケース36とは、遊技盤ユニット5の後面に装着されており、遊技盤ユニット5と共に前枠9に対して着脱自在に構成されている。
更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。また、パチンコ機2の背面側には、演出制御基板ケース36及び賞球払出ユニット100の一部を覆うカバー部材42が設けられている。
また、図2に示すように、パチンコ機2の背面には、パチンコ機2が設置されるホールの設備から供給された遊技球23を一時的に貯留するための遊技球貯留装置としての球貯留タンク40と、球貯留タンク40からの遊技球23が流入し、この遊技球23を1球ずつ通過させる賞球払出ユニット100と、賞球払出ユニット100を通過した遊技球23を球皿14に向かって導く賞球供給通路41と、を備えている。
賞球払出ユニット100は、後述する払出制御手段230によって駆動制御されるように構成されており、各種入賞口への遊技球23の入球や、遊技者からの遊技球23の貸出し要求に応じて、遊技者に遊技球23を供給するように構成されている。本実施の形態では、各種入賞口への遊技球23の入球に基づく賞球の払出処理について例示説明する。この賞球払出ユニット100については後述する。
図示しない球発射装置により遊技球23が発射されると、遊技球23はレール飾り26の外レール26aに沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、遊技球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、あるものはレール飾り26の外レール26aに沿って右側に移動し、あるものは遊技釘27に衝突しつつ遊技領域16内を下方に流下し、あるものは普通入賞口28に流入して一定賞球数の払出しの契機となり、あるものはいずれの入球装置にも流入せずに遊技領域16内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
図柄変動遊技中に遊技球23が始動入賞口29に流入すると、その流入に起因して演出表示装置7aの表示図柄7cが回転表示(第1の特別遊技の抽選)を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当り(第1の特別遊技。以下、図柄変動大当りという。)が発生する。そして、大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の賞球が球皿14へと払い出されるようになっている。
次に、図3及び図4を参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機の賞球払出ユニット100の構造と遊技球の払出を行う動作原理を説明することとする。まず、図3に示されるように、賞球払出ユニット100は、払出の際に駆動される払出モータ(ステッピングモータ)141dを有している。そして、図4に示されるように、賞球払出ユニット100は、ステッピングモータ141dと連結したカム軸を有している。このような構造の賞球払出ユニット100は、下記の原理に従い動作する。まず、遊技領域内の入賞口に遊技球が入球すると、入賞信号が主制御基板200に送られ主制御基板200は払出個数を決定し、払出制御基板230へ賞球の信号を送信する。或いは、カードユニットC等の遊技球貸出装置から払出制御基板230へ球貸しの要求がなされる。これを受けて払出制御基板230は賞球払出ユニット100を作動させ、賞球払出ユニット100内のステッピングモータ141dが遊技球の払出を実行する。図4に示されるように、ステッピングモータ141dが回転することにより、カム軸が回転し、遊技球が1球ずつ払い出される。また、払い出された遊技球は、賞球払出ユニット100の下流に連続して設けられたカウントセンサ143により検知される。
図5は、ロータ位置確認センサ(払出モータ位置センサ)150と回転体(スプロケット)141とを模式的に示した図である(一例)。ロータ位置確認センサ150は、一対の測定部を有しており、測定部間の物体を光の投受光により検出するフォトセンサである。ここで、一対の測定部は、光を投光する投光部と、投光部からの光を受光する受光部であり、回転確認用部材141cを挟んで配置されている。ここで、回転確認用部材141cは、円周に沿って6個の凹部が形成されており、回転確認用部材141cがこれら投光部と受光部との間に介在しているときにはオフとなり、回転確認用部材141cがこれら投光部と受光部との間に介在していないときにはオン(図5の状態)となる。
《電気的構成》
次に、図6のブロック図を参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機の電気的な概略構成を説明する。本最良形態に係るパチンコ遊技機は、前述したように、遊技の進行を制御する主制御基板200と、主制御基板200からのコマンドに基づいて遊技球の払出を制御する払出制御基板230と、装飾図柄の変動・停止等の演出表示装置2140上での各種演出・スピーカ114からの音響・遊技効果ランプ190の点灯等の演出全般や賞球払出エラー報知を制御する演出制御基板220と、演出表示装置2140上での装飾図柄の変動表示・停止表示及び保留表示や予告表示等を制御するサブサブ制御基板4000とを備える。ここで、払出制御基板230は、遊技球の払出を実行する賞球払出ユニット100と、遊技球の払出に関する状態をLEDによって外部に表示する状態表示部130とに接続している。
ここで、主制御基板200、払出制御基板230、演出制御基板220及びサブサブ制御基板4000には、様々な演算処理を行うCPU、CPUの演算処理を規定したプログラムを予め記憶するROM、CPUが取り扱うデータ(遊技中に発生する各種データやROMから読み出されたコンピュータプログラム等)を一時的に記憶する情報処理用RAMが搭載されている。また、本最良形態に係る払出制御基板230では、電源断時において払出制御基板230側に設けられた情報処理用RAMに一時的に記憶されている情報を保持できるよう、当該情報のバックアップ機能を有している。ここで、バックアップ機能の実現方法として、(1)電源断時には払出制御基板230側に設けられた情報処理用RAM自体にバックアップ電源を供給する方法、(2)バックアップ用RAMを別途設け、保持すべき情報を情報処理用RAMからバックアップ用RAMに退避させた上で、バックアップ用RAMに対してのみバックアップ電源を供給する方法等が挙げられる。ここで、当該実現方法の(2)は(1)と比して、相対的に保持すべき情報量を低減させ、RAMの低消費電力化を図りやすいという利点があるため、本最良形態においては、当該実現方法の(2)を前提として構成されているが、これには限定されない。また、主制御基板200や演出制御基板220及びサブサブ制御基板4000においても、当該情報のバックアップ機能を有するよう構成してもよい。
ここで、主制御基板200と払出制御基板230とのコマンドや情報の送受信、主制御基板200から演出制御基板220への情報やコマンドの送信、演出制御基板220からサブサブ制御基板4000への情報やコマンドの送信は、パラレル通信でもシリアル通信でもよい。また、払出制御基板230と主制御基板200との間には賞球払出状況を伝達する一本の回線が配置されており、主制御基板200側から賞球払出コマンドが送信されると払出信号がオンになり、払出が完了してモータが停止すると払出信号がオフになる。
また、図6に示すように、主制御基板200は、図示しない入力ポートを介して、各種入賞口センサS(例えば、特図始動口の入球検知センサや大入賞口の入球検知センサ)と接続している。また、演出制御基板220は、図示しない出力ポートを介して、エラー報知手段195(例えば、エラーの種類に応じて点滅態様を変える遊技効果ランプ190)と接続している。
《ステッピングモータの構成》
次に、図7〜図8を参照しながら、本最良形態に係るステッピングモータ141dの励磁方法を説明する。まず、図7は、本最良形態に係るステッピングモータ141dの概念図である。図7に示すように、ステッピングモータの基本構造は、回転軸に取り付けられた磁石(ロータ)141d−1と、その外側に固定された巻き線コイルである電磁石(ステータ)141d−2とで構成される。そして、このロータ141d−1とステータ141d−2は、回転軸を囲むように複数(本例では4組)固定されている。このステータが巻きつけられたコイルにパルス電流を流すと、磁力が発生し、ロータが引きつけられることで一定角度だけ回転する。ここで、ステッピングモータを巻き線の方式で分けるとユニポーラ型とバイポーラ型とがある。バイポーラ型では、回転させるため縦及び横方向に配置された固定極の極性を順次変化させる場合、励磁極の印加電圧の極性を反転させる必要がある。他方、ユニポーラ型では、励磁する極を選択することにより、磁束の向きを変えることができる。本最良形態に係るステッピングモータはいずれの方式でもよいが、本例のステッピングモータは、汎用されているユニポーラ型である。
次に、本最良形態に係るステッピングモータの励磁方法(励磁方式)について説明する。本最良形態での励磁方法は、周知のように、1相(1−1相)励磁方法、2相(2−2相)励磁方法及び1−2相励磁方法を対象としている(但し、これらには限定されない)。ここで、表1は、各励磁方法(励磁シーケンス)を示したものである。まず、表1上段は、1相励磁方法である。この方法では、W→X→Y→Z→W
〜→X
〜→Y
〜→Z
〜というシーケンスに従って励磁する(ここで、W
〜やX
〜等の「−」は、WやXの反転論理であることを意味する)。このようにひとつのパルスを与える度に決められたステップ角だけ回転する。尚、励磁のシーケンスを逆にしてZ
〜→Y
〜→X
〜→W
〜→Z→Y→X→Wというシーケンスに従って励磁すると逆回転する。次に、表1中段は、2相励磁方法である。この方法では、各相のパルス幅を1相励磁の2倍の幅とし、次の相と1パルス分ずつずらしながら同時に励磁する。この方法では、WX→XY→YZ→ZW
〜→W
〜X
〜→X
〜Y
〜→Y
〜Z
〜→Z
〜Wというシーケンスに従って励磁する(逆回転の場合は反対)。尚、この方法では、1相方式と比較し、トルクが大きいというメリットがある反面、消費電流が増えるというデメリットがある。最後に、表1下段は、1−2相励磁方法である。この方法は、各相のパルス幅を3とし、次の相とは2パルス分だけずらして励磁していく方法である。この方法では、WX→X→XY→Y→YZ→Z→ZW
〜→W
〜→W
〜X
〜→X
〜→X
〜Y
〜→Y
〜→Y
〜Z
〜→Z
〜→Z
〜W→Wというシーケンスに従って励磁する(逆回転の場合は反対)。この励磁方法では、1パルス幅毎に回転する角度が1相励磁や2相励磁に比べて半分になる。
次に、図8を参照しながら、本最良形態におけるステッピングモータ141dの回転と賞球払出との関係を説明することとする。まず、本最良形態に係る2相励磁方式及び1−2相励磁方式のステッピングモータ141dの回転軸は、それぞれ8ステップ及び16ステップで1球払い出される角度分回転する(60度回転)。そして、ステッピングモータ141dの回転軸が回転すると、当該回転軸に固定された回転体(スプロケット)141も追従回転する。ここで、本例では、前述のように、ステッピングモータ141dの回転軸が60度回転すると、スプロケット141(特に141a及び141b)の保持部(図5に示すように回転体毎に3箇所の保持部が設けられており、両回転体合わせて6箇所)から球が1個排出されるように構成されている。より具体的には後述するが、通常時に2相励磁方式である場合、賞球個数の記憶が0でなければ、1ステップ3msの速度で払出モータを回転させ、8ステップ駆動することにより1個の払出を行う。即ち、通常時の割り込み処理タイミングは3msに設定されている。また、払出モータ位置センサ150により払出モータの位置判定を行い正常に回転しているか否かの検出を行う。賞球払出は、払出球数、払出モータを逆転(盤裏面から見て反時計回り)方向に駆動させることにより行い、払い出した遊技球をカウントセンサ143でカウントし、正常に払い出したことを確認する。尚、1回の連続払出動作では1コマンドで指定された賞球払出個数(例えば最大で15球)の遊技球の払出を行うため、賞球払出中の信号により主制御基板側に賞球払出中であることを伝達する。また、1回の連続払出動作(本例では3個)後所定時間(例えば、球通過待ち時間・モータ休止時間として500ms)のモータ休止時間が設定されている。ここで、3個の賞球払出を一度に行う場合、3×8=24ステップ分のパルスが送信されることとなる。尚、本最良形態では、当該モータ休止時間にはロータを固定することを目的として、ステッピングモータへの励磁を中断するのではなく、励磁出力を落とした上で特定のステータに対して継続的に励磁するよう構成されている。
《機能構成》
次に、図9の機能ブロック図を参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機の機能を説明することとする。尚、ここに主として示す機能は、本発明と特に関連する、主制御基板200/払出制御基板230間での機能である。また、図中の点線囲み部については、本最良形態に係る変更例以降の説明欄にて後述する。
(主制御基板200)
まず、主制御基板200(主制御手段1000)は、遊技の進行や賞球払出決定に関する制御を司る遊技制御手段1100と、払出制御基板230側等とのコマンド・情報の送受信の制御を司る送受信制御手段1200と、払出関連の処理に関する情報を一時記憶するための処理関連情報一時記憶手段1400と、主制御基板200及び払出制御基板230等での賞球払出に関するエラーを制御するエラー制御手段1500と、を有する。尚、遊技制御手段1100は、従来機が有する周知構成である。具体的には、遊技制御手段1100は、まず遊技の進行に関する処理としては、例えば、従来の第1種遊技機の場合を例に採ると、乱数発生、始動口入球を契機とした乱数取得、取得した乱数を用いての抽選、抽選結果に基づいた図柄(特別図柄)変動、抽選に当選している場合に通常は閉状態にある可変入賞口を開放する特別遊技の実行等、周知の処理を実行し、また、各入賞口に遊技球が入球した場合には、入賞口に対応した賞球数の払出決定処理を実行する。以下、本発明の特徴的な各手段について詳述する。
まず、送受信制御手段1200は、主制御基板200から払出制御基板230等への送信制御を司る送信制御手段1210と、各種周辺機器(例えば、払出制御基板や各種信号出力装置)からの情報(信号も含む)を受信する受信制御手段1220と、を有している。
ここで、送信制御手段1210は、払出制御基板230側にコマンドや情報を送信するための払出制御側送信制御手段1211を有している。そして、払出制御側送信制御手段1211は、賞球払出の際、払出制御基板230側に送信される賞球払出コマンドがセットされる送信コマンド一時記憶手段1211aを更に有している。
また、受信制御手段1220は、遊技機に備えられた信号出力装置(例えば、入賞口センサS1、S2・・・等)からの情報(信号)を受信する遊技側受信制御手段1221と、払出制御基板230からの情報を受信する払出制御側受信制御手段1122と、を有している。ここで、遊技側受信制御手段1221は、信号出力装置から受信した情報を、当該情報に係る処理が実行されるまで一時記憶するための遊技側受信情報一時記憶手段1221aを更に有している。また、払出制御側受信制御手段1122は、払出制御基板230から受信した情報を、当該情報に係る処理が実行されるまで一時記憶するための払出制御側受信情報一時記憶手段1222aを更に有している。
次に、処理関連情報一時記憶手段1400は、賞球払出の順番に到達していない未払賞球情報(待機賞球払出情報)を一時記憶するための未払賞球情報一時記憶手段1410を更に有している。
次に、エラー制御手段1500は、主制御基板200及び払出制御基板230側での賞球払出に関するエラーを含む遊技関連エラー(例えば、賞球払出に関するエラー以外として扉開放エラー等)を監視すると共に、所定のエラーが発生した際に外部に異常を報知する制御を司る異常報知制御手段1510を更に有している。ここで、異常報知制御手段1510は、遊技関連エラーフラグのオンオフ状態を一時記憶するためのエラーフラグ一時記憶手段1511を更に有している。
(払出制御基板230)
次に、払出制御基板230は、主制御基板200側やカードユニットC側等とのコマンド・情報の送受信の制御を司る送受信制御手段3100と、賞球払出コマンドや貸球コマンドを受けて所定数の遊技球の払出処理を実行する払出制御手段3300と、払出制御基板230側での電断時及び電断復帰時におけるバックアップ処理及びバックアップ情報復元処理を実行する電断時・電断復帰時処理制御手段3500と、を有している。また、図示しないが、払出制御基板230は、バックアップ電源と接続している。尚、この接続形態であるが、例えば、バックアップ電源と直接接続していてもよく(即ち、主制御基板にもバックアップ機能がある場合、主制御基板とは独立してバックアップ電源が供給)、或いは、主制御基板200を介して間接的に接続していてもよい。尚、本最良形態では、図23に示すように制御でバックアップ電源を供給するように構成されているが、NMI信号の受信を契機としてバックアップ電源を自動供給する回路構成としてもよい。以下、各手段について詳述する。
まず、送受信制御手段3100は、主制御基板200やカードユニットCからの情報(例えば、コマンドや信号)の受信制御を司る受信制御手段3110と、主制御基板200やカードユニットCへの情報の送信制御を司る送信制御手段3120と、を有している。
ここで、受信制御手段3110は、主制御基板200からの情報(例えば、コマンド)の受信制御を司るメイン側受信制御手段3111を更に有している。そして、メイン側受信制御手段3111は、主制御基板200側から送信されてきた情報が一時記憶されるメイン側受信データ一時記憶手段3111aを更に有している。
次に、払出制御手段3300は、払出処理の際に必要な情報を一時記憶するための払出処理関連情報一時記憶手段3310を有している。ここで、払出処理関連情報一時記憶手段3310は、払出に関連した状態(例えば、払出中か否か・払出異常が発生しているか否か)を一時記憶するための払出状態フラグ一時記憶手段3311と、払出処理時に、払い出されるべき遊技球数がセットされる払出カウンタ3312と、ステッピングモータ141dの駆動されるべきステップ数を一時記憶するためのステップカウンタ一時記憶手段3313と、ステッピングモータ141dが駆動されている際、励磁されているステータの位置情報を一時記憶するための励磁ステータ位置特定カウンタ値一時記憶手段3314と、1回の連続払出動作後における所定時間(球通過待ち時間・モータ休止時間)を計時するための球通過待ちタイマ3315と、を更に有している。ここで、本最良形態においては、球通過待ちタイマ3315はデクリメント方式のタイマであり、タイマ値が0となった時点で停止するよう構成されているが、これには限定されず、インクリメント方式のタイマを用いて構成することも可能である。
次に、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、払出制御基板230側での電断時においてバックアップすべき情報が一時記憶される電断時情報一時記憶手段3510と、電断復帰時において復元された情報に基づき払出個数の補正処理を実行する払出個数補正処理制御手段3520と、を有している。ここで、電断時情報一時記憶手段3510は、払出制御基板230側での電断時においてバックアップすべきフラグ状態が一時記憶される電断時フラグ類一時記憶手段3511と、払出制御基板230側での電断時における球通過待ちタイマ3315のタイマ値がセットされる電断時球通過待ちタイマ3512と、払出制御基板230側での電断時における払出カウンタ3312のカウンタ値がセットされる電断時払出カウンタ3514と、を更に有している。
《メイン制御基板/払出制御基板間で送受信されるコマンド・情報の内容》
次に、図10を参照しながら、主制御基板200及び払出制御基板230間で送受信されるコマンド及び情報の内容を説明する。ここで、本最良形態に係る主制御基板200から払出制御基板230へのコマンドは、賞球払出コマンドであることの特定情報及び賞球個数の情報からなる。具体的には、ビット7〜4は、1001固定である(当該コマンドが賞球払出コマンドであることの識別情報)。次に、ビット3〜0は、賞球個数に関するものであり、例えば、0(0000B)は賞球0個であることを意味し、15(1111A)は賞球15個であることを意味する。
次に、払出制御基板230から主制御基板200側に送信される払出関連情報を説明することとする。ここで、払出関連情報(賞球払出関連情報又は払出異常関連情報)は、固定値、上皿満タンエラー情報、球切れエラー、他の払出関連エラー情報(例えばモータ故障エラー等)及び賞球払出完了情報からなる。具体的には、ビット7〜4は、0110固定である。次に、ビット3は、上皿満タンエラー情報であり、「0」は受け皿満タンでないことを意味し、「1」は受け皿満タン中であることを意味する。次に、ビット2は、球切れエラー情報であり、「0」は球切れが発生していないことを意味し、「1」は球切れが発生中であることを意味する。次に、ビット1は、他の払出関連エラー(例えばモータ故障エラー等)に関するものであり、「0」は他の払出関連エラー発生中でないことを意味し、「1」は他の払出関連エラー発生中であることを意味する。最後に、ビット0は、賞球払出完了に関するものであり、「0」は賞球払出完了であることを意味し、「1」は賞球払出未完了であることを意味する。
《処理》
次に、図11〜図23のフローチャートを参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機で実行される制御処理を説明する。ここで、図11〜図15が、主制御基板200側での処理を示すフローチャートである。また、図16〜図23が、払出制御基板230側での処理を示すフローチャートである。以下、順に説明することとする。
《主制御基板側での処理》
まず、図11〜図15のフローチャートを参照しながら、主制御基板200における処理を説明することとする。まず、図11は、主制御基板200側で実行されるメイン処理のフローチャートである。はじめに、ステップ1200で、主制御手段1000は、後述する未払出賞球管理処理を実行する。次に、ステップ1300で、主制御手段1000は、後述する払出制御基板230側へのコマンド送信制御処理を実行する。次に、ステップ1400で、主制御手段1000は、後述する払出制御基板230側からの情報受信制御処理を実行する。そして、ステップ1500で、主制御手段1000は、後述するエラー時対応制御処理を実行し、ステップ1200に移行する。以下、各処理を詳述する。
まず、図12は、図11のステップ1200のサブルーチンに係る、未払出賞球(賞球払出コマンド送信前)管理処理のフローチャートを示したものである。まず、ステップ1205で、遊技側受信制御手段1221は、遊技側受信情報一時記憶手段1221aを参照し、いずれかの入賞口センサS(S1、S2・・・)から入賞信号を受信したか否かを判定する。ステップ1205でYesの場合、ステップ1210で、遊技側受信制御手段1221は、受信した入賞信号に係る未払出賞球情報を、未払出賞球情報一時記憶手段1410に一時記憶し、次の処理(ステップ1300の対払出制御基板送信制御処理)に移行する。尚、ステップ1205でNoの場合にも、次の処理(ステップ1300の対払出制御基板送信制御処理)に移行する。
次に、図13は、図11のステップ1300のサブルーチンに係る、対払出制御基板送信制御処理のフローチャートを示したものである。まず、ステップ1305で、払出制御側送信制御手段1211は、第二回線(賞球払出中か否かに係るONOFF信号を送信する線)の入力ポートを参照し、払出信号がOFFであるか否か、即ち、現在払出が実行されていないか否かを判定する。ステップ1305でYesの場合、ステップ1310で、払出制御側送信制御手段1211は、未払賞球情報一時記憶手段1410を参照し、未払出賞球(まだ賞球払出コマンドを払出制御基板230側に送信していない賞球)が存在するか否かを判定する。ステップ1310でYesの場合、ステップ1315で、払出制御側送信制御手段1211は、エラーフラグ一時記憶手段1511を参照し、賞球払出を行うことが不適なエラーである賞球払出関連エラー(例えば、払出モータの故障に関するエラー、上皿満タン、球切れエラー等)が発生していないか否かを判定する。ステップ1315でYesの場合、ステップ1320で、払出制御側送信制御手段1211は、未払賞球情報一時記憶手段1410に一時記憶されている、今回払出処理が実行される順番の未払出賞球情報に対応した賞球数分の賞球払出コマンド(図10参照)を、送信コマンド一時記憶手段1211aにセットする。そして、ステップ1325で、払出制御側送信制御手段1211は、今回セットした賞球払出コマンドに対応する未払出賞球情報を、未払出賞球情報一時記憶手段1410から消去し、以後の情報をシフトさせる処理を実行する。次に、ステップ1330で、払出制御側送信制御手段1211は、送信コマンド一時記憶手段1211aにセットした賞球払出コマンドを払出制御基板230側に送信し、次の処理(ステップ1400の対払出制御基板受信制御処理)に移行する。尚、ステップ1305、ステップ1310及びステップ1315でNoの場合にも、次の処理(ステップ1400の対払出制御基板受信制御処理)に移行する。
次に、図14は、図11のステップ1400のサブルーチンに係る、対払出制御基板受信制御処理のフローチャートを示したものである。まず、ステップ1405で、払出制御側受信制御手段1122は、払出制御側受信情報一時記憶手段1122aを参照し、払出関連情報を受信したか否かを判定する。ここで、ステップ1405でYesの場合、ステップ1410で、エラー制御手段1500は、受信した払出関連情報中にエラー情報(球切れエラー、上皿満タンエラー、他の払出関連エラー)が存在するか否かを判定する。ステップ1410でYesの場合、ステップ1415で、エラー制御手段1500は、エラーフラグ一時記憶手段1511にアクセスし、該当するエラーに係るエラーフラグをオンにすることで、払出制御基板230側でのエラー情報を主制御基板200側でも管理(一元管理)する。他方、ステップ1410でNoの場合、ステップ1420で、エラー制御手段1500は、エラーフラグ一時記憶手段1511にアクセスし、払出制御基板230側でのエラーに係るエラーフラグをオフにする。そして、ステップ1425で、送受信制御手段1200は、受信した払出関連情報中に賞球払出完了情報が存在するか否かを判定する。ステップ1425でYesの場合、ステップ1430で、送受信制御手段1200は、送信コマンド一時記憶手段1211aにセットされている賞球払出コマンド(今回の払出完了に係る賞球払出コマンド)をクリアし、次の処理(ステップ1500のエラー時対応制御処理)に移行する。尚、ステップ1405及びステップ1425でNoの場合にも、次の処理(ステップ1500のエラー時対応制御処理)に移行する。
次に、図15は、図11のステップ1500のサブルーチンに係る、エラー時対応制御処理のフローチャートを示したものである。まず、ステップ1505で、エラー制御手段1500は、エラーフラグ一時記憶手段1511を参照し、エラーが発生しているか否かを判定する。ステップ1505でYesの場合、ステップ1510で、エラー制御手段1500は、発生したエラーが重要エラーであるか(例えば、不正行為の危険性が高い上皿満タンエラー)否かを判定する。ステップ1510でYesの場合、ステップ1515で、エラー制御手段1500は、外部出力端子板39を介してホールコンピュータに対し、今回発生したエラーに対応したエラー情報を送信する。そして、ステップ1520で、エラー制御手段1500は、今回発生したエラーに対応したエラー報知コマンドを演出制御基板220側に送信し、次の処理{ステップ1200の未払出賞球(賞球払出コマンド送信前)管理処理}に移行する。尚、ステップ1505でNoの場合にも次の処理{ステップ1200の未払出賞球(賞球払出コマンド送信前)管理処理}に移行し、ステップ1510でNoの場合にはステップ1520に移行する。
ここで、表2は、主制御基板200側から演出制御基板230側に送信されるエラー報知コマンドの一例を示したものである。このように、主制御基板200側又は払出制御基板230側で発生したエラー内容と対応したエラー報知コマンドが送信される。
次に、図16〜図23のフローチャートを参照しながら、払出制御基板230側での処理を詳述することとする。ここで、図16(左)のフローチャートは、電源立ち上げ後の、通常時における払出制御基板230で実行される処理である。また、図16(右)のフローチャートは、電源電圧が所定値を下回ると発せられるNMI信号を契機として払出制御基板230で実行される電源断(電断)時処理である。
まず、図16(左)は、払出制御基板230側で実行されるメインルーチン2000のフローチャートである。はじめに、ステップ2600で、払出制御基板(払出制御手段)230は、後述する電断復帰時初期処理を実行する。次に、ステップ2100で、払出制御基板(払出制御手段)230は、主制御基板200との間での、後述する賞球払出関連情報送受信処理を実行する。次に、ステップ2200で、払出制御基板(払出制御手段)230は、後述する賞球払出制御処理(賞球払出開始・モータ駆動開始時)を実行する。次に、ステップ2300で、払出制御基板(払出制御手段)230は、後述する賞球払出制御処理(モータ駆動終了時・賞球払出終了時)を実行する。そして、ステップ2400で、払出制御基板(払出制御手段)230は、後述する賞球払出制御処理(モータ駆動実行時)を実行し、ステップ2600に移行する。以下、各サブルーチンを詳述することとする。
まず、図17は、図16のステップ2600のサブルーチンに係る、電断復帰時初期処理のフローチャートである。はじめに、本処理は、払出制御基板230側での電断復帰時において実行される処理であり、その目的は、払出制御基板230側での電断発生時にバックアップ(バックアップ処理については後述する)した情報に基づき、電断発生前の払出制御基板230側での処理実行に係る情報を復元することと、当該復元した情報に基づき、電断発生前に実行していた処理へと復帰することである。まず、ステップ2605で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、電断時フラグ類一時記憶手段3511を参照し、払出制御側電断フラグがオンであるか否かを判定する。ここで、払出制御側電断フラグとは、払出制御基板230側での電断発生時においてオンとなるフラグである。ステップ2605でYesの場合、ステップ2610で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、電断時フラグ類一時記憶手段3511にアクセスし、払出制御側電断フラグをオフにする。次に、ステップ2615で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、電断時払出カウンタ3514を参照してカウンタ値を取得すると共に、当該カウンタ値を払出処理関連情報一時記憶手段3310内の払出カウンタ3312にセットする。
次に、ステップ2630で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、後述する払出個数補正処理を実行する。次に、ステップ2690で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、払出カウンタ3312を参照し、当該カウント値が0超過であるか否かを判定する。ステップ2690でYesの場合、ステップ2695で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、払出状態フラグ一時記憶手段3311内の賞球払出開始許可フラグをオンにして、次の処理(ステップ2100の賞球払出関連情報送受信処理)へ移行する。ここで、後述するように、賞球払出開始許可フラグがオンである状況下では、ステッピングモータの賞球払出動作が開始されることとなる。尚、ステップ2605又はステップ2690でNoの場合にも、次の処理(ステップ2100の賞球払出関連情報送受信処理)へ移行する。
次に、図18は、図17のステップ2630のサブルーチンに係る、払出個数補正処理のフローチャートである。はじめに、本処理の目的は、払出制御基板230側での電断発生時にバックアップした情報に基づき電断発生時の遊技球払出動作状態を確認し、電断発生を要因として、電断時に検出し得なかった遊技球払出の有無を判定することと、当該検出し得なかった遊技球の払出ありと判定された場合には、電断復帰後に復元された払出カウンタ3312のカウント値(即ち、未払出となっている遊技球個数)を補正(減算)することである。
尚、この処理は、電断により払出制御基板側で管理しているカウントセンサ143やロータ位置確認センサ150に電源供給されなくなることに起因した処理である。具体的には、本最良形態では、電断後に電断時情報一時記憶手段3510には電源供給されるが、カウントセンサ143やロータ位置確認センサ150には電源供給されない。したがって、電断後、これらのセンサは検知不能状態となる。このような状況下でも、遊技球が払い出される可能性があることを踏まえ(例えば、スプロケットから遊技球が放出された瞬間に電断が発生し、当該遊技球がカウントセンサに到達する頃にはカウントセンサが検知不能状態に陥っている場合)、払い出されたであろう遊技球数を残遊技球数から減算する処理を実行するのである。尚、この処理は電断時にこれらセンサにはバックアップ電源が供給されないことを前提としているが、電断時にこれら(又はいずれか一方)にバックアップ電源が供給される{継続的でなくとも電断時から少なくともT秒(例えばこのT秒は、スプロケットから放出された球がカウントセンサまで到達するまでの時間)}よう構成した場合には、当該処理は不要である。この場合、電断直後にカウントセンサの通過を検知した際、バックアップされている電断時払出カウンタ(残球数)から通過した分の球数を減算する。以下、当該処理を説明する。
まず、ステップ2605で、払出個数補正処理制御手段3520は、電断時フラグ類一時記憶手段3511内の賞球払出中フラグのフラグ状態を参照する。ここで、賞球払出中フラグとは、払出制御側での賞球払出処理が実行中の場合(払出装置の払出モータが駆動動作中である場合や、球通過待ち時間・モータ休止時間中である場合)にオンとなるフラグである。次に、ステップ2640で、払出個数補正処理制御手段3520は、ステップ2635における賞球払出中フラグの参照値がオンであるか否かを判定する。ステップ2640でYesの場合、ステップ2645で、払出個数補正処理制御手段3520は、電断時フラグ類一時記憶手段3511内のモータ駆動中フラグのフラグ状態を参照する。ここで、モータ駆動中フラグとは、ステッピングモータの駆動開始時にオンとなり、駆動終了時にオフとなるフラグである。次に、ステップ2650で、払出個数補正処理制御手段3520は、ステップ2645におけるモータ駆動中フラグの参照値がオンであるか否かを判定する。ステップ2650でYesの場合、ステップ2655で、払出個数補正処理制御手段3520は、払出カウンタ3312のカウンタ値から所定数(例えば、1)を減算し、次の処理(ステップ2690)へ移行する。ここで、当該払出カウンタ3312のカウンタ値から減算される所定数は、賞球払出ユニット100の内部機構(例えば、賞球払出ユニット100内の球流路の形状や、スプロケット141の径・形状・孔数、スプロケット141とカウントセンサ143の位置関係等)や、スプロケット141の孔壁等に設けられた遊技球検知センサの有無、払出制御プログラム処理内容によって左右されるため、特に限定されないが、電断発生後にカウントセンサ143を通過し得る遊技球の最大個数としておくことが好適である。フローチャートの説明に戻ると、他方、ステップ2650でNoの場合、ステップ2660で、払出個数補正処理制御手段3520は、電断時球通過待ちタイマ3512を参照する。次に、ステップ2665で、払出個数補正処理制御手段3520は、ステップ2660におけるタイマ参照値(T)が、0<T<所定値であるか否か(即ち、電断発生時に球通過待ちタイマ3315が作動中であったか否か)を判定する。ステップ2665でYesの場合には、ステップ2655へ移行し、払出カウンタ3312のカウンタ値減算処理が実行されることとなる。尚、ステップ2640又はステップ2665でNoの場合には、次の処理(ステップ2690)へ移行する。
次に、図19は、図16のステップ2100のサブルーチンに係る、賞球払出関連情報受信処理(対主制御基板)のフローチャートである。ここで、当該フローの前半が主制御基板200からの情報受信処理(及びこれに伴う賞球払出数のセット処理)であり、当該フローの後半が主制御基板200への情報送信処理である。そこで、前半の主制御基板200からの情報受信処理(及びこれに伴う賞球払出数のセット処理)から説明すると、まず、ステップ2105で、メイン側受信制御手段3111は、払出状態フラグ一時記憶手段3311を参照し、賞球払出中フラグがオフであるか否かを判定する。ステップ2105でYesの場合、ステップ2110で、メイン側受信制御手段3111は、メイン側受信情報一時記憶手段3111aを参照し、賞球払出コマンドを受信したか否かを判定する。ステップ2110でYesの場合、ステップ2115で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311のフラグ領域にアクセスし、賞球払出開始許可フラグをオンにする。次に、ステップ2120で、払出制御手段3300は、メイン側受信情報一時記憶手段3111aに一時記憶されている賞球払出コマンド情報に基づき、今回払い出されるべき賞球数を導き、当該賞球数情報を払出カウンタ3312にセットし、次の処理(ステップ2125)に移行する。以上で、通常の賞球払出処理が実行される際の、賞球払出数のセット処理を終了する。尚、ステップ2105及びステップ2110でNoの場合にも次の処理(ステップ2125)に移行する。
次に、主制御基板200への情報送信処理を説明すると、まず、ステップ2125で、送信制御手段3120は、エラーフラグ一時記憶手段3221を参照し、いずれかの払出関連エラー報知フラグがオンであるか否かを判定する。ここで、「払出関連エラー報知フラグ」とは、払出関連エラー{例えば、上皿満タンエラー、球切れエラー、他の払出関連エラー(例えばモータ故障エラー)}が発生した際にオンとなり、当該エラー報知が主制御基板側になされた後にオフとなるフラグである。ステップ2125でYesの場合、ステップ2130で、エラー制御手段3200は、エラーフラグ一時記憶手段3221の、今回発生したエラーに対応した払出関連エラー報知フラグをオフにする。そして、ステップ2135で、送信制御手段3120は、今回発生したエラーに対応した払出関連エラー情報を主制御基板200側に送信し、次の処理(ステップ2140)に移行する。尚、ステップ2125でNoの場合にも次の処理(ステップ2140)に移行する。
次に、ステップ2140で、送信制御手段3120は、払出状態フラグ一時記憶手段3311を参照し、賞球払出完了フラグがオンであるか否かを判定する。ここで、「賞球払出完了フラグ」とは、払出制御手段3300により賞球払出が完了したと判定された場合にオンとなるフラグである。ステップ2140でYesの場合、ステップ2145で、送信制御手段3120は、払出状態フラグ一時記憶手段3311のフラグ領域にアクセスし、賞球払出完了フラグをオフにする。そして、ステップ2150で、送信制御手段3120は、主制御基板200側に対して賞球払出が完了した旨の情報を送信し、次の処理{ステップ2200の賞球払出制御処理(賞球払出開始・モータ駆動開始時)}に移行する。尚、ステップ2140でNoの場合にも、次の処理{ステップ2200の賞球払出制御処理(賞球払出開始・モータ駆動開始時)}に移行する。以上で、賞球払出完了情報送信処理を終了する。
次に、図20は、図16のステップ2200のサブルーチンに係る、賞球払出制御処理(賞球払出開始・モータ駆動開始時)のフローチャートである。ここで、当該処理は、次のステップ2300のモータ駆動処理を実行する前段階の処理であり、主制御基板側からの賞球払出コマンドを受信したことを受けてモータ駆動のステップ数等をセットする処理である。まず、ステップ2205で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311を参照し、賞球払出開始許可フラグ(図19のステップ2115参照)がオンであるか否かを判定する。ステップ2205でYesの場合、ステップ2210及びステップ2215で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311にアクセスし、賞球払出中フラグをオンにすると共に賞球払出開始許可フラグをオフにする。そして、ステップ2220で、払出制御手段3300は、払出カウンタ3312にセットされている賞球払出個数が所定個数(例えば3個)以上であるか否かを判定する。ステップ2220でYesの場合、ステップ2225で、払出制御手段3300は、所定個数分払い出されるよう、ステップカウンタ一時記憶手段3313にカウンタ値(n)を一時記憶し、ステップ2235に移行する。ここで一時記憶されるカウンタ値(n)は、ステッピングモータのステップ数である(本最良形態では、1−1相励磁方式及び2−2相励磁方式の場合は8ステップで1球が排出され、1−2相励磁方式の場合は16ステップで1球が排出される)。他方、ステップ2220でNoの場合、払出制御手段3300は、払出カウンタ3312にセットされている賞球払出個数が払い出されるよう、ステップカウンタ一時記憶手段3313にカウンタ値(n)を一時記憶し、ステップ2235に移行する。そして、ステップ2235で、払出制御手段3300は、励磁ステータ位置特定カウンタ値(j)として0をセットする。ここで、励磁ステータ位置特定カウンタは、ステータに対するロータの相対位置を示したものであり、「0」が払出待機(停止)時におけるデフォルト位置に相当する。次に、ステップ2238で、払出制御手段3300は、ステッピングモータ動作に係る球通過待ち時間・モータ休止時間として所定値(本例では、500ms)を、球通過待ちタイマ3315にセットする。そして、ステップ2240で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311にアクセスし、モータ駆動中フラグをオンにし、次の処理{ステップ2300の賞球払出制御処理(モータ駆動終了時・賞球払出終了時)}に移行する。他方、ステップ2205でNoの場合、ステップ2245で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311を参照し、モータ駆動中フラグがオンであるか否かを判定する。ステップ2245でYesの場合には、既にモータが駆動されているので、次の処理{ステップ2300の賞球払出制御処理(モータ駆動終了時・賞球払出終了時)}に移行する。他方、ステップ2245でNoの場合には、ステップ2250で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311にアクセスし、賞球払出継続フラグがオフであるか否かを判定する。ここで、賞球払出継続フラグとは、所定ステップ数分のステッピングモータ動作後であって、球通過待ち時間・モータ休止時間経過時にオンとなるフラグである。ステップ2250でYesの場合には、次の処理{ステップ2300の賞球払出制御処理(モータ駆動終了時・賞球払出終了時)}に移行する。他方、ステップ2250でNoの場合には、ステップ2252で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311にアクセスし、賞球払出継続フラグをオフにして、ステップ2220へ移行する。即ち、賞球払出継続フラグがオンである場合には、主制御基板側からの賞球払出コマンドの受信を契機とすることなく、再度モータ駆動のステップ数等をセットする処理を実行することとなる。
次に、図21は、図16のステップ2300のサブルーチンに係る、賞球払出制御処理(モータ駆動終了時・賞球払出終了時)のフローチャートである。ここで、当該処理は、前の処理(ステップ2200)で予定されているすべてのモータの駆動終了を実行し、或いは、予定されているすべての賞球払出が実行された際の終了処理である。ここで、ステップ2302〜ステップ2319にかけてモータ駆動終了処理を実行し、ステップ2320〜ステップ2325にかけて遊技球検知処理を実行し、ステップ2330〜ステップ2362にかけて賞球払出終了処理を実行する。はじめに、モータ駆動終了処理から説明すると、まず、ステップ2302で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311のフラグ領域を参照し、賞球払出中フラグがオンであるか否かを判定する。ステップ2302でYesの場合、ステップ2305で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311のフラグ領域を参照し、モータ駆動中フラグがオンであるか否かを判定する。ステップ2305でYesの場合、ステップ2310で、払出制御手段3300は、ステップカウンタ一時記憶手段3313内のカウンタ値(n)を参照し、カウンタ値が0であるか否か、即ち、図20のステップ2225又はステップ2230でセットしたステップ数がすべて実行されたか否かを判定する。ステップ2310でYesの場合、ステップ2315で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311のフラグ領域にアクセスし、モータ駆動中フラグをオフにする。次に、ステップ2318で、払出制御手段3300は、ステッピングモータの休止状態を維持(本例では、励磁出力を下げた上で、現在の励磁ステータ位置特定カウンタ値(j)に継続励磁)する。次に、ステップ2319で、払出制御手段3300は、球通過待ちタイマ3315をスタートさせ、ステップ2320に移行する。尚、ステップ2305又はステップ2310でNoの場合にもステップ2320に移行する。以上で、モータ駆動終了処理を終了する。
次に、賞球払出終了処理を説明すると、まず、ステップ2320で、払出制御手段3300は、カウントセンサ143から遊技球検出信号を受信したか否かを判定する。ステップ2320でYesの場合、ステップ2325で、払出制御手段3300は、払出カウンタ3312に一時記憶されているカウンタ値を1減算し、次の処理(ステップ2330)に移行する。尚、ステップ2320でNoの場合にも次の処理(ステップ2330)に移行する。以上で、遊技球検出時処理を終了する。
次に、賞球払出終了処理を説明すると、まず、ステップ2330で、払出制御手段3300は、払出カウンタ3312を参照し、カウント値が0であるか否かを判定する。ステップ2330でYesの場合、ステップ2335及びステップ2340で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311にアクセスし、賞球払出中フラグをオフにすると共に賞球払出完了フラグをオンにし、次の処理{ステップ2400の賞球払出制御処理(モータ駆動実行時)}に移行する。他方、ステップ2330でNoの場合、ステップ2345で、払出制御手段3300は、球通過待ちタイマ3315のタイマ値を参照し、当該タイマ値が0であるか否かを判定する。ステップ2345でYesの場合、ステップ2350で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311にアクセスし、賞球払出継続フラグをオンにし、次の処理{ステップ2400の賞球払出制御処理(モータ駆動実行時)}へ移行する。尚、ステップ2302又はステップ2345でNoの場合にも、次の処理{ステップ2400の賞球払出制御処理(モータ駆動実行時)}へ移行する。
次に、図22は、図16のステップ2400のサブルーチンに係る、賞球払出制御処理(モータ駆動実行時)のフローチャートである。ここで、当該処理は、前の処理(ステップ2200)でセットされたステップ数に基づき、実際にモータ駆動を実行する処理である。まず、ステップ2405で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311のフラグ領域を参照し、モータ駆動中フラグがオンであるか否かを判定する。尚、モータ駆動中フラグは、ステップカウンタ一時記憶手段3313に所定のステップカウンタ数がセットされた際にオンとなるフラグであり(図20のステップ2240参照)、当該所定のステップカウンタ数と対応した励磁がすべて実行された際にオフとなるフラグである。ここで、ステップ2405でYesの場合、ステップ2410で、払出制御手段3300は、ステップカウンタ一時記憶手段3313のステップカウンタ値(n)を1減算する。次に、ステップ2420で、払出制御手段3300は、励磁ステータ位置特定カウンタ値一時記憶手段3314における励磁ステータ位置特定カウンタ値(j)を更新(1インクリメント)する。次に、ステップ2425で、払出制御手段3300は、所定の励磁方式(本例では、2相励磁方式)と切替速度(本例では、3ms)に基づき、励磁ステータ位置特定カウンタ値一時記憶手段3314における励磁ステータ位置特定カウンタ値(j)に対応したステータを励磁し、次の処理(ステップ2600の電断復帰時初期処理)に移行する。
次に、図16(右)フローチャートを参照しながら、NMI信号を受信した際の払出制御基板230で実行される処理を説明する。NMI信号を受信した場合、ステップ2900で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、後述する電断時処理を実行する。尚、NMI信号を受信した場合には、他の処理が実行中であっても他の処理を中断して当該処理を優先実行するように構成されている。以下、図16(右)のフローチャートにおける各サブルーチンに係る処理について詳述する。ここで、図23は、図16におけるステップ2900のサブルーチンに係る、電断時処理のフローチャートである。まず、NMI信号を受信した払出制御基板230では、ステップ2920で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、払出処理関連情報一時記憶手段3310内の払出カウンタ3312を参照してカウンタ値を取得すると共に、当該カウンタ値を電断時払出カウンタ3514にセット(バックアップ)する。次に、ステップ2925で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、払出状態フラグ一時記憶手段3311を参照し、賞球払出中フラグ、モータ駆動中フラグのフラグ値を取得すると共に、当該フラグ値を電断時フラグ類一時記憶手段3511にセットする。次に、ステップ2930で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、球通過待ちタイマ3315を参照してタイマ値を取得すると共に、当該タイマ値を電断時球通過待ちタイマ3512にセットして、ステップ2935へ移行する。次に、ステップ2935で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、電断時フラグ類一時記憶手段3511内の払出制御側電断フラグをオンにする。そして、ステップ2940で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、払出制御基板230内のバックアップ領域(バックアップRAM)に対してバックアップ電源を供給し、当該処理をループする。
次に、図24を参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機の作用について説明することとする。はじめに、同図の上段は、本最良形態における賞球払出ユニット100及び払出制御基板230での払出動作開始からの一連の処理動作に係るタイミングチャートであり、同図の下段は、当該タイミングチャートにおける電断発生タイミング毎の作用を示した図である。まず、上段のタイミングチャートから説明すると、払出制御基板230側では、主制御基板200側からの賞球払出に係るコマンドに基づき、所定個数(本例では、15個)の遊技球の払出動作を実行できるよう、当該所定個数を払出カウンタにセットすると共に、賞球払出中フラグをオンにする(図中囲みの1)。次に、当該セットされた情報に基づきステッピングモータ141dを回転駆動して遊技球の払出動作を実行するが、ステッピングモータ141dの回転動作に追従して回転動作するスプロケット141が所定の回転角度分だけ回転動作すると、スプロケット141の凹部に保持されていた遊技球がカウントセンサ143に向かって放出される(図中囲みの2)。次に、カウントセンサ143に向かって放出された遊技球は、自重により賞球払出ユニット100内の球流路を流下し、カウントセンサ143を通過する(図中囲みの3)。そして、カウントセンサ143を通過した遊技球を、当該カウントセンサ143のセンサ部によって検知したことを契機として、払出カウンタのカウンタ値が減算される(図中囲みの4)。ここで、本例では、払出カウンタにセットされた所定個数の内、最大3個分の払出動作を連続して行った後には、スプロケット141から放出された遊技球がカウントセンサ143を通過するまでのタイムラグを考慮し、一旦ステッピングモータ141dを休止状態とし球通過待ち時間を設けるよう構成してある。その後、当該球通過待ち時間としてセットされた所定時間経過後には、払出カウンタのカウンタ値を参照し、全ての払出動作が完了していない場合(即ち、カウンタ値が0でない場合)には、再度ステッピングモータ141dを回転駆動して、未払出分の払出動作を継続して実行することとなる(図中囲みの5)。尚、本例では、主制御基板200側からの賞球払出に係るコマンドに基づき、15個の遊技球の払出動作を実行しているが、15個を超過する遊技球の払出動作を実行する場合もある。例えば、カードユニットCからの払出コマンド(遊技球貸出に係るコマンド)に基づき、15個を超過(例えば、25個)する遊技球の払出動作を実行する例を挙げることができる。
次に、下段について説明する。はじめに、本最良形態に係る払出制御基板230では、電断発生時における払出カウンタのカウンタ値をバックアップすると共に、電断復帰後には当該バックアップされたカウンタ値を復元できるよう構成されているため、未払出分の遊技球個数に係る情報を保持することができる。他方、このような構成を有していない場合には、未払出分の遊技球個数に係る情報が消去されてしまうため、電断・電断復帰前後において遊技者に不利益を与えてしまうことになる。例えば、図中電断1のタイミング(即ち、払出制御基板230側での主制御基板200側からの賞球払出に係るコマンド受信後〜1個目の遊技球がスプロケット141から放出される前)で電断が発生した場合に、遊技者に与える不利益が最大(本例では、未払出15個分の損失であるが、前述のような15個を超過する払出の場合には、更に不利益が増大する)となる。ここで、本最良形態においては、図中電断1のタイミングで電断が発生した場合、電断・電断復帰前後において払出カウンタのカウンタ値が保持(カウンタ値は15)されることにより、電断・電断復帰前後の払出個数の差異がゼロとなるため、遊技者に不利益を与えることが無くなるのである。尚、当該タイミングにおいては払出個数の補正(減算)処理も実行されない(図18のステップ2640参照)ことを補足しておく。また、図中電断4のタイミングで電断が発生した場合にも、同様の作用により電断・電断復帰前後における払出個数の差異をゼロにすることができることとなる。次に、賞球払出ユニット100及び払出制御基板230が本例のような特性を有していた場合、図中電断2のタイミング(即ち、少なくとも1個の遊技球がスプロケット141から放出された後〜カウントセンサ143での遊技球の検出前)で電断が発生した際には、電断・電断復帰前後における払出個数の差異が最大となり得る。即ち、電断発生前に2個の遊技球がスプロケット141から放出されているにも関わらず、カウントセンサ143での遊技球の検出前に電断が発生しているため、当該2個の遊技球が検出されないまま電断復帰し、保持された払出カウンタのカウンタ値(カウンタ値は15)に基づき、払出動作が再開されることが考えられる。この場合、実質的な遊技球の払出個数は、未払出分15個+未検出分2個=17個となるため、遊技者に不当な利益を与えてしまう(遊技場の運営者側に不利益を与える)ことになる。しかしながら、本最良形態では、前述のような払出個数の補正(減算)処理(図18のステップ2655参照)を実行できるよう構成されているため、電断復帰後に復元された払出カウンタのカウンタ値(カウンタ値は15)から、当該カウントセンサ143にて未検出である2個分のカウント値を減算することが可能であり、図中電断2のタイミングでの電断・電断復帰前後における払出個数の差異をゼロにすることができるのである。また、図中電断3のタイミングで電断が発生した場合にも、同様の作用により電断・電断復帰前後における払出個数の差異をゼロにすることができることとなる。尚、賞球払出ユニット100及び払出制御基板230が本例のような特性を有していることは、製品の開発段階にて予測し得るものであるため、図18のステップ2655において、払出カウンタのカウンタ値から減算する所定数(本例では2)を、予め設定しておくことは可能であることを補足しておく。
本最良形態によれば、主制御手段からの払出コマンドに基づき払出処理を実行する払出制御手段を有するパチンコ遊技機において、払い出されるべき遊技球個数が電断・電断復帰前後において保持されるよう構成されているため、主制御手段にて残り払出個数を管理する場合と比較し、電断・電断復帰前後における払出個数の差異を減少させ、遊技者に不利益を与えてしまうことを有効に防止することができるという効果を奏する。
更に、前記効果に加え、払出動作が実行中の状態であるか否かを示す情報及び/又は払出された遊技球を検出中の状態であるか否かを示す情報が、電断・電断復帰前後において保持されると共に、当該保持された情報に基づき、電断復帰後における払い出されるべき遊技球個数を更新するよう構成されているため、より適切な遊技球数が払い出されることを担保することが可能になるという効果を奏する。
尚、本最良形態に係る払出個数の補正(減算)処理(図18のステップ2655参照)において、払出カウンタのカウンタ値から減算する所定数(本例では2)を、予め設定しておいたとしても、電断・電断復帰前後における払出個数の差異が生じる場合がある。即ち、図24の下段における図中電断4〜7のタイミングで電断が発生した場合であり、当該タイミングでは、電断復帰後にはステッピングモータ141dが駆動中であった又は球通過待ち時間中であったことを条件として、当該払出個数の補正(減算)処理が実行されるが、払出カウンタのカウンタ値から減算する所定数とカウントセンサ143にて未検出である遊技球個数に差異があるため、払出個数の補正(減算)処理結果が適切でないのである。そこで、このような問題点を解決し得る方法を、本最良形態からの変更例として以下説明する。
<本最良形態からの変更例1>
次に、本最良形態に係るパチンコ遊技機の変更例について説明する。はじめに、本最良形態においては、払出カウンタにセットされた所定個数の内、所定個数分(本例では、最大3個分)の払出動作を連続して行った後、スプロケット141から放出された遊技球がカウントセンサ143を通過するまでのタイムラグを考慮し、一旦ステッピングモータ141dを休止状態とし球通過待ち時間を設けるよう構成してあるが、これには限定されない。以下、変更例1として、本最良形態からの変更点について詳述する。
次に、図25は、本最良形態に係るパチンコ遊技機の変更例1における、図17のステップ2630(変1)のサブルーチンに係る、払出個数補正処理のフローチャートである。はじめに、本最良形態からの変更点は、ステップ2655の処理についてであり、その目的は、電断復帰後に復元された情報に基づき電断発生前の払出処理状態を確認すると共に、当該払出処理状態が所定の条件を満たした場合には、電断復帰後に復元された払出カウンタ3312のカウンタ値から1を減算することである。尚、後述するように、当該払出処理状態が所定の条件を満たした場合には、電断発生時においてカウントセンサ143にて未検出である遊技球個数が1個である可能性が高いことを補足しておく。即ち、ステップ2650(変1)でNoの場合において、ステップ2665(変1)でYesの場合、払出個数補正処理制御手段3520は、払出カウンタ3312のカウント値から1を減算(デクリメント)し、次の処理(ステップ2690)へ移行する。
次に、図26は、本最良形態に係るパチンコ遊技機の変更例1における、図16のステップ2200(変1)のサブルーチンに係る、賞球払出制御処理(賞球払出開始・モータ駆動開始時)のフローチャートである。はじめに、本最良形態からの変更点は、ステップ2225(変1)及びステップ2230(変1)の処理についてであり、その目的は、ステッピングモータ141dを励磁するステップ数として、遊技球1個の払出に相当するステップ数を設定することである。即ち、ステップ2225(変1)で、払出制御手段3300は、遊技球1個分が払い出されるよう、ステップカウンタ一時記憶手段3313にカウンタ値(n)を一時記憶する。また、ステップ2230(変1)で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311内の賞球払出確認フラグをオフにし、ステップ2235(変1)へ移行する。ここで、賞球払出確認フラグとは、カウントセンサ143にて遊技球の通過を検知した際にオンとなるフラグである。
次に、図27は、本最良形態に係るパチンコ遊技機の変更例1における、図16のステップ2300(変1)のサブルーチンに係る、賞球払出制御処理(モータ駆動終了時・賞球払出終了時)のフローチャートである。はじめに、本最良形態からの変更点は、ステップ2327(変1)及びステップ2345(変1)の処理についてであり、その目的は、カウントセンサ143にて遊技球の通過を検出した場合であって、払出カウンタにセットされた所定個数が全て払出されていない場合には、更なる遊技球1個分の払出動作を行うよう制御することである。即ち、ステップ2320(変1)でYesの場合において、ステップ2327(変1)で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311内の賞球払出確認フラグをオンにし、ステップ2330(変1)へ移行する。また、ステップ2330(変1)でNoの場合、ステップ2345(変1)で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311を参照し、賞球払出確認フラグがオンであるか否かを判定する。ステップ2345(変1)でYesの場合には、ステップ2350(変1)へ移行する。他方、ステップ2345(変1)でNoの場合には、ステップ2355(変1)へ移行する。
次に、図28を参照しながら、本最良形態に係る変更例1における作用について説明することとする。はじめに、同図の上段は、本最良形態に係る変更例1における、賞球払出ユニット100及び払出制御基板230での払出動作開始からの一連の処理動作に係るタイミングチャートであり、同図の下段は、当該タイミングチャートにおける電断発生タイミング毎の作用を示した図である。まず、上段のタイミングチャートから説明すると、払出制御基板230側では、主制御基板200側からの賞球払出に係るコマンドに基づき、所定個数(本例では、3個)の遊技球の払出動作を実行できるよう、当該所定個数を払出カウンタにセットすると共に、賞球払出中フラグをオンにする(図中囲みの1)。次に、当該セットされた情報に基づきステッピングモータ141dを回転駆動して遊技球の払出動作を実行するが、遊技球1個分だけ払出されるようステッピングモータ141dが駆動される(図中囲みの2)。次に、ステッピングモータ141dの回転動作に追従して回転動作するスプロケット141が所定の回転角度分だけ回転動作すると、スプロケット141の凹部に保持されていた遊技球1個だけがカウントセンサ143に向かって放出される(図中囲みの3)。次に、カウントセンサ143を通過した遊技球を、当該カウントセンサ143のセンサ部によって検知したことを契機として、払出カウンタのカウンタ値が減算される(図中囲みの4)。そして、カウントセンサ143での遊技球の検知及び払出カウンタのカウンタ値の減算処理実行後に、更なる遊技球1個分だけの払出動作が実行される。以上の動作を、払出カウンタのカウンタ値が0となるまで繰り返すことで、所定個数の遊技球の払出動作が実行されることとなる。
次に、下段について説明する。変更例1のような構成とした場合、図示されるような何れのタイミングにて電断が発生したとしても、電断・電断復帰前後における払出個数の差異を最大でも1個とすることが可能となる。まず、図中電断1のタイミングで電断が発生した場合、払出カウンタのカウンタ値(現在値は3)と共に、賞球払出中フラグがオン、ステッピングモータ141dが停止状態(即ち、モータ駆動中フラグがオフ)、球通過待ちタイマが非作動状態(即ち、球通過待ちタイマに所定値がセットされている状態)であることがバックアップされる。そして、電断復帰後に復元されたこれら情報に基づき、払出カウンタのカウンタ値は減算されないため、電断・電断復帰前後における払出個数の差異はゼロである。次に、図中電断2のタイミングで電断が発生した場合、払出カウンタのカウンタ値(現在値は3)と共に、賞球払出中フラグがオン、ステッピングモータ141dが回転駆動状態(即ち、モータ駆動中フラグがオン)、球通過待ちタイマが非作動状態(即ち、球通過待ちタイマに所定値がセットされている状態)であることがバックアップされる。そして、電断復帰後に復元されたこれら情報に基づき、払出カウンタのカウンタ値は減算されないため、電断・電断復帰前後における払出個数の差異はゼロである。次に、図中電断3のタイミングで電断が発生した場合、払出カウンタのカウンタ値(現在値は3)と共に、賞球払出中フラグがオン、ステッピングモータ141dが休止状態、球通過待ちタイマが作動状態{即ち、球通過待ちタイマのタイマ値(T)が0<T<所定値である状態}であることがバックアップされる。そして、電断復帰後に復元されたこれら情報に基づき、払出カウンタのカウンタ値が減算される(現在値は2)ため、電断・電断復帰前後における払出個数の差異はゼロである。即ち、払出動作が正常に行われている場合には、払出個数の差異はゼロとなり得るのである。他方、払出動作が正常に行われていない場合には、払出個数に差異が生じ得る。尚、払出動作が正常に行われていない場合の要因としては、スプロケット141に遊技球が供給されていない(所謂球切れ、球不足)状況下であることを挙げることができる。このような状況下では、ステッピングモータ141dが球1個分の払出動作を完了させたとしても、スプロケット141から遊技球が放出されない(所謂空振り)場合がある。ここで、当該ケースの一例である、図中電断4のタイミングで電断が発生した場合、払出カウンタのカウンタ値(現在値は2)と共に、賞球払出中フラグがオン、ステッピングモータ141dが回転駆動状態、球通過待ちタイマが非作動状態であることがバックアップされる。そして、電断復帰後に復元されたこれら情報に基づき、払出カウンタのカウンタ値は減算されないため、電断・電断復帰前後における払出個数の差異はゼロである。しかしながら、図中電断5のタイミングで電断が発生した場合、払出カウンタのカウンタ値(現在値は2)と共に、賞球払出中フラグがオン、ステッピングモータ141dが休止状態、球通過待ちタイマが作動状態であることがバックアップされる。そして、電断復帰後に復元されたこれら情報に基づき、払出カウンタのカウンタ値が減算される(現在値は1)ため、電断・電断復帰前後における払出個数の差異が1となるである。
本最良形態に係る変更例1によれば、前記効果に加え、払出されるべき遊技球個数に基づき、まず遊技球1個分の払出動作を実行した後、実際に払出された遊技球が検出された場合には、更なる遊技球1個分の払出動作を実行するよう構成されているため、電断・電断復帰前後における払出個数の差異を最大でも1個とすることが可能となり、遊技者に不利益を与えてしまうことを更に有効に防止することができるという効果を奏する。
尚、本最良形態に係る変更例1においては、所謂球切れ、球不足等により、払出動作が正常に行われていない状況下では、払出個数に差異が生じ得るが、その対策方法として、スプロケット141の直上等に遊技球の検知センサ(球有りセンサ)を設ける方法を挙げることができる。その場合には、電断復帰後における、払出カウンタのカウンタ値補正(減算)処理において、電断発生時に当該検知センサが遊技球を検知していたことを条件として、払出カウンタのカウンタ値を補正(減算)するよう構成すればよい。即ち、図28の図中電断5のタイミングで電断が発生した場合において、当該検知センサが遊技球を検知していなかった際には、スプロケット141に遊技球が供給されていなかったと見做し、払出カウンタのカウンタ値が減算されなくなるため、電断・電断復帰前後における払出個数の差異をゼロとすることが可能となるのである。
更に、本最良形態に係る変更例1においては、払出動作が正常に行われている場合において、払出個数の差異がゼロとなり得る、としている。ここで、本最良形態に係る変更例1では、ステッピングモータ141dが回転駆動状態である場合には、電断復帰後の払出カウンタのカウンタ値補正(減算)処理が実行されないよう構成されているが、ステッピングモータ141dが回転駆動状態中であっても、スプロケット141から遊技球が放出される場合が考えられるため、払出個数の差異が生じ得るのである。即ち、ステッピングモータ141dの回転駆動が停止した時点では、スプロケット141から遊技球が放出されるとこを担保するために、ステッピングモータ141dの回転駆動停止直前には既にスプロケット141から遊技球が放出されるよう遊びが設けられている場合である。例えば、当該遊びの一例として、ステッピングモータ141dを8ステップ回転駆動させて1球の払出を行う場合に、7ステップ目の回転駆動時{本例では、励磁ステータ位置特定カウンタ値(j)が「7」である場合}には、既にスプロケット141から遊技球が放出されるよう構成しておくことを挙げることができる。このような構成である場合には、電断発生時に当該励磁ステータ位置特定カウンタ値(j)をバックアップしておき、電断復帰後における、払出カウンタのカウンタ値補正(減算)処理において、当該バックアップされた励磁ステータ位置特定カウンタ値(j)が、「7」もしくは「8」であることを条件として、払出カウンタのカウンタ値を補正(減算)するよう構成することで、更に効果的に払出個数の差異を抑えることが可能となるのである。
次に、本発明に係るパチンコ遊技機の第二最良形態について説明する。本最良形態では、払出制御基板230側での賞球払出処理が完了し、第二回線(賞球払出中か否かに係るONOFF信号を送信する線)の入力ポートに係る払出信号がOFFとなるまで、主制御基板200側から更なる賞球払出に係るコマンドを払出制御基板230側へ送信しない(図13のステップ1305参照)よう構成されているが、これには限定されない。本最良形態に係る払出制御基板230では、バックアップ領域を有しており、電断・電断復帰前後において払出処理動作に係る任意の情報を保持できるよう構成されているため、本最良形態とは異なる態様を概念することができる。以下、第二最良形態として、本最良形態からの変更点について説明する。
まず、図9を参照しながら、第二最良形態に係るパチンコ遊技機におけるブロック図について、本最良形態からの変更点を説明する。まず、第二最良形態におけるメイン側受信制御手段3111は、主制御基板200側から送信された未払出賞球に係るコマンドに基づき導き出された賞球数情報(払出待ち賞球情報)が一時記憶される払出待ち賞球情報一時記憶手段311bを有している。また、電断時情報一時記憶手段3510は、電断時における賞球数情報を一時記憶(バックアップ)するための電断時払出待ち賞球情報一時記憶手段3515を有している。
次に、図29は、第二最良形態に係るパチンコ遊技機における、図11のステップ1300(第2)のサブルーチンに係る、対払出制御基板送信制御処理のフローチャートを示したものである。はじめに、本最良形態からの変更点は、ステップ1310(第2)の実行前に、第二回線(賞球払出中か否かに係るONOFF信号を送信する線)の入力ポートを参照し、払出信号がOFFであるか否かを判定していない点である(図13のステップ1305参照)。即ち、主制御基板200における払出制御側送信制御手段1211は、払出制御基板230側での賞球払出処理が実行中であるか否かに係らず、未払出賞球に係るコマンドを払出制御基板230へ送信することとなる。
次に、図30は、第二最良形態に係るパチンコ遊技機における、図16のステップ2600(第2)のサブルーチンに係る、電断復帰時初期処理のフローチャートを示したものである。はじめに、本最良形態からの変更点は、ステップ2612(第2)及びステップ2697(第2)の存在であり、その目的は、払出制御基板230側での電断時においてバックアップされている払出待ち賞球情報を復元することである。即ち、ステップ2612(第2)で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、電断時払出待ち賞球情報一時記憶手段3515を参照して払出待ち賞球情報を取得すると共に、当該取得した払出待ち賞球情報をメイン側受信制御手段3111内の払出待ち賞球情報一時記憶手段3111bにセット(復元)する。また、ステップ2697(第2)で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、払出状態フラグ一時記憶手段3311内の賞球払出中フラグをオンにする。
次に、図31は、第二最良形態に係るパチンコ遊技機における、図16のステップ2100(第2)のサブルーチンに係る、賞球払出関連情報送受信処理(対主制御基板)のフローチャートを示したものである。はじめに、本最良形態からの変更点は、ステップ2120(第2)の処理についてであり、その目的は、主制御基板200から送信された未払出賞球に係るコマンドをバッファリングすることである。ここで、第二最良形態においては、払出制御基板230側での賞球払出処理が実行中であるか否かに係らず、未払出賞球に係るコマンドを主制御基板200側から払出制御基板230へ送信するよう構成されているため、当該バッファリング処理が必要となることを補足しておく。即ち、ステップ2120(第2)で、メイン側受信制御手段3111は、メイン側受信情報一時記憶手段3111aに一時記憶されている賞球払出コマンド情報に基づき、払い出されるべき賞球数を導き出すと共に、当該賞球数情報を払出待ち賞球情報一時記憶手段3111bにセット(バッファリング)する。
次に、図32は、第二最良形態に係るパチンコ遊技機における、図16のステップ2200(第2)のサブルーチンに係る、賞球払出制御処理(賞球払出開始・モータ駆動開始時)のフローチャートを示したものである。はじめに、本最良形態からの変更点は、ステップ2202−1(第2)〜ステップ2202−5(第2)の処理についてであり、その目的は、払出制御基板230側でバッファリングされている{図31のステップ2120(第2)参照}未払出賞球に係る賞球数情報に基づき、今回の払出処理にて払出されるべき賞球数を導き出すと共に、当該賞球数情報に基づき払出処理を開始することである。即ち、ステップ2202−1(第2)で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311を参照し、賞球払出中フラグがオフであるか否かを判定する。ステップ2202−1(第2)でYesの場合、ステップ2202−2(第2)で、払出制御手段3300は、払出待ち賞球情報一時記憶手段3111bを参照し、賞球数情報(払出待ち賞球情報)が存在しているか否かを判定する。ステップ2202−2(第2)でYesの場合、ステップ2202−3(第2)で、払出制御手段3300は、払出待ち賞球情報一時記憶手段3111bに一時記憶されている、今回払出処理が実行される順番の払出待ち賞球情報に対応した賞球数を取得すると共に、当該取得した賞球数を払出カウンタ3312にセットする。次に、ステップ2202−4(第2)で、払出制御手段3300は、今回セットした賞球数に係る払出待ち賞球情報を、払出待ち賞球情報一時記憶手段3111bから消去し、以後の情報をシフトさせる処理を実行する。そして、ステップ2202−5(第2)で、払出制御手段3300は、払出状態フラグ一時記憶手段3311内の賞球払出開始許可フラグをオンにし、ステップ2205(第2)へ移行する。尚、ステップ2202−1(第2)又はステップ2202−2(第2)でNoの場合にも、ステップ2205(第2)へ移行する。
次に、図33は、第二最良形態に係るパチンコ遊技機における、図16のステップ2900(第2)のサブルーチンに係る、電断時処理のフローチャートを示したものである。はじめに、本最良形態からの変更点は、ステップ2910(第2)の処理についてであり、その目的は、払出制御基板230側でバッファリングされている払出待ち賞球情報をバックアップすることである。即ち、ステップ2910(第2)で、電断時・電断復帰時処理制御手段3500は、メイン側受信制御手段3111内の払出待ち賞球情報一時記憶手段311bを参照して全ての払出待ち賞球情報を取得すると共に、当該取得した払出待ち賞球情報を電断時払出待ち賞球情報一時記憶手段3515にセット(バックアップ)する。
以上の変更により、第二最良形態では、払出制御基板230側での賞球払出処理が実行中であるか否かに係らず、未払出賞球に係るコマンドを主制御基板200側から払出制御基板230へ送信することが可能となるため、主制御基板200側では未払出賞球に係る情報が蓄積されにくくなる。換言すれば、主制御基板200側でのプログラム容量(バッファ容量)を削減することが可能となるという効果を奏するのである。尚、第二最良形態における作用は、本最良形態における作用と同等であると共に、本最良形態に係る変更例1を第二最良形態へ適用することも可能であることを補足しておく。
また、本最良形態(変更例1を含む)及び第二最良形態では、払出制御基板230側での電断時において、当該電断発生に伴うNMI信号を受信したことを契機として、払出制御基板230側でのバックアップ処理を実行するよう構成{図16(右)参照}されているが、これには限定されない。また、払出制御基板230側での電断復帰時において、当該電断復帰時におけるバックアップ情報の復元処理は、払出制御基板230側での電断が発生したことを示すフラグ(払出制御側電断フラグ)に基づき実行されるよう構成されているが、これにも限定されない。その場合には、当該払出制御基板230側でのバックアップ処理及びバックアップ情報の復元処理を、主制御基板200側からのコマンドに基づき実行するよう構成する例を挙げることができる。即ち、(1)主制御基板200側にて電断発生に伴うNMI信号を受信するよう構成し、(2)当該NMI信号を受信した主制御基板200は、払出制御基板230に対してバックアップ処理を実行する旨のコマンドを送信する。そして、(3)当該バックアップ処理を実行する旨のコマンドを払出制御基板230側で受信したことを契機として、払出制御基板230でのバックアップ処理を実行する。また、(4)主制御基板200側での電源復帰時には、払出制御基板230に対してバックアップ情報の復元処理を実行する旨のコマンドを送信し、(5)当該バックアップ情報の復元処理を実行する旨のコマンドを払出制御基板230側で受信したことを契機として、払出制御基板230でのバックアップ情報の復元処理を実行(当該コマンドを受信するまでは、受信待ちループ処理を実行)する。ここで、(1)〜(5)のような構成とする利点としては、払出制御基板230におけるRAM領域(及びバックアップ領域)に保持されている情報をクリアするか否かを主制御基板200側で制御することが可能となるため、払出制御基板230側にRAMクリア装置等を別途設ける必要がなくなる点を挙げることができる。
更に、本最良形態(変更例1を含む)及び第二最良形態では、パチンコ遊技機の外部に設けられたホールコンピュータ等の情報管理装置に対して、払出に係る情報を送信する場合には、払出制御基板230側から送信された当該払出に係る情報を主制御基板200側で受信し、主制御基板200側から外部出力端子板39を介して情報管理装置へ出力するよう構成(図6、図15のステップ1515参照)されているが、これには限定されず、払出制御基板230側から直接、外部出力端子板39を介して情報管理装置へ出力するよう構成してもよい。このような構成が可能となる理由としては、払出制御基板230側にて当該払出に係る情報をバックアップ及び復元することができるよう構成されているため、情報管理装置へ送信すべき当該払出に係る情報が消失しないことを担保できるためである。そして、払出制御基板230側から直接、外部出力端子板39を介して情報管理装置へ出力するよう構成することによって、主制御基板200側での処理負担を軽減することが可能になるという効果を奏するのである。