JP2012073252A - インクジェットデバイスから射出される液滴の定量化及び分析 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェットデバイスから射出される液滴の定量化及び分析の方法を提供する。
【解決手段】インクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴の質量、又は、インクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴について溶解した溶質の濃度、のいずれかを測定する方法は、紫外線可視光分光法を利用する。溶質の成分の紫外線吸収スペクトルは、1滴の液滴の質量及び濃度を精密に測定するために、所定の検量線と比較され得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェットデバイス又はディスペンサーから射出される液滴の質量を測定する方法、より具体的には、液滴の質量を測定し、並びに、紫外線可視光分光法を利用してインクジェットディスペンサーから射出される溶液の混合効果を評価するための方法に関する。
ますます多数の業界において、所与の物質のナノグラム量を精密にかつ繰り返し注入する能力は、新技術の発展のために非常に重要である。これは、主に、極めて精密な処理工程を必要とするマイクロ及びナノスケールの製品に対しての動きにより駆動される。多くの処理は、標的上の正確な位置にナノ又はピコリットル量の溶液を繰り返し注入することを必要とする。これは、多くの医療デバイスの製造に特にあてはまり、薬物充填の量及び配置は、非常に正確な規格に制御されなければならない。このような場合、ドロップ・オン・デマンドのインクジェット技術は、精密な標的及び繰り返し可能な液滴射出の両方の必要に対処するので、魅力的な選択である。
これらの種類の高度に制御された処理については特に、インクジェットデバイスから射出される物質の量は、極めて正確に把握されなければならない。原子間力顕微鏡カンチレバー、水晶振動子マイクロ天秤、ナノメカニカル共振器及び重量分析など、物質の量を測定するための様々な方法が述べられてきた。しかしながら、これらの方法の全てが、精密な測定を確保するために、製造プロセス用途には非実用的である、感受性が高い、時間のかかる校正プロセスか又は多数の液滴かのいずれかを必要とする。少ない液滴数で分注される物質を定量化でき、ほとんど校正を必要とせず、既存のプロセスに容易に統合できるシステムは、多くの業界で重要である。紫外線可視光分光法は、その感受性検出制限、比較的単純な校正及び短いサンプリング時間により、これらの基準を満たす。
紫外線可視光分光法は、未知の化合物の同定については相対的に弱いものの、溶液中の既知の物質を定量化する能力は、きわめて強固である。そのため、既知の溶媒中に既知の物質が溶解しており、濃度の測定のみが所望される用途については、紫外線可視光分光法は、一般的な選択である。更に、2種以上の成分との混合溶液では、多数の波長にて測定される吸光度は、個々の成分の相対濃度を決定するために比較され得、これは溶液混合及び個々の成分の分解の評価に有用である。
したがって、インクジェットデバイスから射出される個々の少量の液滴の質量を測定する方法、及び、インクジェットデバイスから分注される溶液の混合効果を定量的に評価する方法を発展させることにより、現行技術に伴う欠点を克服する必要が存在している。
本発明によるインクジェットデバイスから射出される液滴の定量化及び分析の方法は、上記に簡潔に記載したような先行技術に関する制限を克服する。
一態様によれば、本発明は、インクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴について、液滴質量又は溶解した溶質の濃度のうちの少なくとも1つを測定する方法を目的とする。この方法は、インクジェット分注デバイスから第一溶媒の1滴又は2滴以上の液滴を、所定の量の第二溶媒を含有するキュベットの中に分注して混合することと、キュベット内の第一溶媒と第二溶媒とで得られる溶液の紫外線吸収スペクトルを測定することと、第一溶媒に対応する特定の波長にて紫外線吸収スペクトルを利用し、それを所定の検量線と比較することにより、インクジェット分注デバイスにより分注される1滴又は2滴以上の液滴の質量を計算することと、を含む。
別の態様によれば、本発明は、インクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴について液滴質量又は溶解した溶質の濃度のうちの少なくとも1つを測定する方法を目的とし、この方法は、インクジェット分注デバイスから第一溶媒と1つ又は2つ以上の溶質とを含む目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴を、所定の量の第二溶媒を含有するキュベットの中に分注して混合し、その結果生じる溶液を得ることと、キュベット内の得られた溶液の紫外線吸収スペクトルを測定することと、第一溶媒に対応する特定の波長にて紫外線吸収スペクトルを利用し、それを所定の検量線と比較することにより、インクジェット分注デバイスにより分注される1滴又は2滴以上の液滴の質量を計算することと、溶液中の1つ又は2つ以上の溶質に対応する特定の波長にて紫外線吸収スペクトルを利用し、それを所定の検量線と比較することにより、インクジェット分注デバイスにより分注される1滴又は2滴以上の液滴中の各々の1つ又は2つ以上の溶質の濃度を計算することと、を含む。
本発明によるインクジェットディスペンサーから射出される液滴の質量を測定する代表的な方法は、既知の有限数の液滴を既知の体積の溶媒の中に分注することと、この最終溶液の吸光度を紫外線可視光分光法を用いて測定することと、を含む。インクジェットディスペンサーから分注される溶液は、純粋物質又は溶液のいずれかであり得、溶液である場合には、溶液中の物質のいずれかが、本発明の代表的な方法により測定され得る。本発明の代表的な方法は、紫外線可視光分光法が溶液の吸光度を精密かつ正確に測定できる能力を利用し、溶液の吸光度は試料濃度に相関し得る。選択された溶媒中に液滴が射出された後、溶液の吸光度が、インクジェットから分注される溶液の成分に関連する波長にて測定される。これにより、個々の成分の要素別に、インクジェットから分注された体積の迅速な測定が可能になる。各成分は同時にかつ他から独立して測定されるので、この方法はまた、溶液混合効果の定量的評価を可能にする。
本発明の代表的な方法は、研究開発目的に利益をもたらすだけでなく、製造環境に好適でもあり、インクジェット動作の迅速で精密な測定を可能にする。更に、代表的な方法が試料採取に不揮発性溶媒を使用することは、インクジェット用途において多くの場合使用される揮発性溶液の測定に関する問題を改善する。
本発明の前述の及び他の特徴及び利点は、以下の付随する図面に示される本発明の好ましい実施態様のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
拡張可能ステントの形態における治療薬送達デバイスの斜視図。 層状の開口部内に収容された有益な薬剤を有する治療薬送達デバイスの一部分の断面図。 有益な薬剤の送達のための圧電マイクロ・ジェットディスペンサーの側面図。 マンドレル及び圧電マイクロ・ジェットディスペンサー上の拡張可能な医療デバイスの断面図。 拡張可能な医療デバイスに有益な薬剤を搭載するためのシステムの斜視図。 図5のシステムに使用するための軸受の斜視図。 拡張可能な医療デバイスに有益な薬剤を送達するための音波ディスペンサーの側面断面図。 別の音波ディスペンサーリザーバの側面断面図。 別の圧電ディスペンサーシステムの側面断面図。 本発明に従ってラベルされた入力パラメータでインクジェットディスペンサーを制御するための代表的な波形の図表示。 本発明に従った、望ましい数の連続液滴を分注するのに必要なエレクトロニクスの図表示。 本発明による、連続液滴間の相違を示す、速度853.4m/s(2,800fps)でシャッタースピード2マイクロ秒で撮影された高速画像。 本発明による、30マイクロ秒間隔で隣接バーストが分離された5滴のバースト25セットの、高速ビデオ撮影の画像分析結果のプロット。 本発明による、異なる数の連続液滴の駆動振幅の関数としての、平均液滴重量のプロット。 本発明による、図14で定義された領域Aにおけるバースト1回の液滴量の関数としての、平均液滴質量のプロット。 本発明による、図14で定義された領域Cにおける連続液滴の可変数に対する、1滴当たりの平均液滴質量のプロット。 本発明による、バースト1回内の射出順の関数としての、液滴質量のプロット。 本発明による、隣接バースト間の時間の関数としての、連続液滴全体の平均液滴質量のプロット。 本発明による、単一のチャネルインクジェット装置の単純化した概略図。 本発明による、異なる振幅のパルスを有する複数の波形の図表示。 本発明による脱イオン水中に溶解した様々な濃度のDMSOの紫外線可視光スペクトルのプロット。 本発明による、脱イオン水中のDMSO、シロリムス及びPLGAの溶液(1ミリリットル当たり10マイクログラム)の紫外線可視光スペクトルのプロット。
本発明は、個々の及び少量の液滴の質量を測定するため、及び、インクジェットデバイスから分注される溶液の混合効果を定量的に測定するための方法に関する。本発明の方法により、例えば、有益な薬剤を拡張可能な医療デバイスの中に充填するために、標的位置にて少量の物質を精密及び繰り返し可能に付着させることが可能になる。
用語「有益な薬剤」は、本明細書で使用されるとき、可能な限り広く解釈されることを意図し、任意の治療薬又は薬物、及び例えばバリア層、担体層、治療層、保護層、又はこれらの組み合わせの不活性薬剤を含むよう使用される。
用語「薬物」及び「治療薬」は、交換可能に使用され、通常有益である、所望の効果を生じるための、生物の体の導管に送達される、任意の治療的に活性な物質を指す。本発明は特に、例えば、抗新生物薬、脈管形成因子、免疫抑制剤、抗炎症剤及び抗増殖剤(抗再狭窄剤)(例えばパクリタキセル及びラパマイシン)、並びに例えばヘパリンなどの抗トロンビン剤の送達に好適である。
用語「マトリックス」又は「生体適合性マトリックス」は、交換可能に使用され、対象内に埋め込まれた際に、このマトリックスの拒絶をもたらす程に有害な応答を引き出さない媒体又は材料を指す。マトリックスは典型的には、それ自体では治療的反応をもたらすものではないが、マトリックスは、本明細書に定義される治療薬、活性化剤若しくは不活性化剤を含むか又はこれを取り囲むことができる。マトリックスはまた、単に支持、構造的一体性又は構造的バリアを提供する媒体でもある。マトリックスは、ポリマー性、非ポリマー性、疎水性、親水性、親油性、両親媒性等であり得る。
用語「生体吸収性」は、本明細書において、生理学的環境との相互作用により、化学的又は物理的プロセスのいずれかによって分解し得ると定義されるようなマトリックスを指す。生体吸収性マトリックスは、数分〜数年(好ましくは1年未満)の時間で、代謝可能又は排泄可能である要素に分解され、また同じ期間、必要とされる構造一体性を維持する。
用語「ポリマー」は、モノマーと称される2つ又はそれ以上の繰り返し単位の化学結合から形成される分子を指す。したがって、用語「ポリマー」には、例えば二量体、三量体及びオリゴマーが含まれ得る。ポリマーは、合成であっても、天然に存在していても又は半合成であってもよい。好ましい形態において、用語「ポリマー」は、典型的には約3000より大きい、好ましくは約10,000より大きいMを有し、約1,000万より小さい、好ましくは約100万より小さい、より好ましくは約200,000より小さいMを有する分子を指す。
用語「開口部」は、任意の形状の穴を指し、貫通開口部、めくら穴、スロット、チャンネル、及び陥凹部を含む。
用語「ショット」又は「液滴」は、本明細書で使用されるとき、インクジェット内の圧電素子に対する単一の電圧パルスの結果、インクジェットディスペンサー、インクジェット、又はマイクロ・ジェットディスペンサーから射出された材料を指す。材料は、インクジェットからの出射後、本明細書で「液滴」と呼ばれる、より小さな塊に断片化され得る。更に、用語、インクジェットディスペンサー、インクジェット、インクジェット分配ユニット、マイクロ・ジェットディスペンサー等は同じ意味で用いられ得る。
図1は、大きな非変形性壁体12及びリンク14を備えたステント設計の形状の、本発明による医療デバイス10を示す。これには、壁体若しくはリンクの、又はデバイス全体としての機械的特性を損なうことなく、開口部(又は穴)20が含まれ得る。非変形性壁体12及びリンク14は、延性のヒンジを使用することによって達成可能であるが、これは米国特許第6,241,762号に記述されており、かかる特許の全体が参考として本明細書に組み込まれる。穴20は、デバイス着床部位の領域にある組織領域内の組織に、さまざまな有益な薬剤を送達するための、大きな保護されたリザーバとして機能する。
図1に示されるように、開口部20の形状は、円形22、矩形24、又はD字形26であってよく、医療デバイス10の幅全体に貫通する円柱状、矩形、又はD字形の穴を形成してもよい。開口部20は、本発明から逸脱することなく、他の形状であってもよいことが理解されよう。加えて、この穴又はリザーバは、上述のような貫通穴である必要はない。
開口部20を使用して送達され得る有益な薬剤の量は、同じステント/容器壁被覆比でステントを覆う5マイクロメートルコーティングの体積の、約3〜10倍である。このように、ずっと多量の有益な薬剤容量により、いくつかの利点がもたらされる。有効性向上のため、それぞれ独立の放出特性を備えた多剤組み合わせを送達するのに、この大きな容量を利用することができる。更に、より大きな容量は、強度の低い薬剤をより多量に提供するために、また、より強力な薬剤による望ましくない副作用(内皮層の治癒の遅れなど)なしに臨床的有効性を達成するために、利用できる。
図2は、層状の開口部20内に1つ又は2つ以上の有益な薬剤が搭載されている、医療デバイス10の断面図を示す。そのような層及び層構成を作製するいくつかの方法の例が、米国特許第7,208,010号(2007年4月24日発行)に記述されており、この全体が参考として本明細書に組み込まれる。これらの層は積層構造体として図示されているが、送達時にこれらの層を一緒に混合して、層間の明瞭な境界を生成することなく治療薬の濃度勾配を有するよう有益な薬剤のはめ込みを生じさせることもできる。
一実施形態によって、この開口部20の合計深さは約100〜約140マイクロメートル、典型的には125マイクロメートルであり、典型的な層厚さは約2〜約50マイクロメートルであり、好ましくは約12マイクロメートルである。典型的な層はそれぞれ、例えば、表面コーティングステントに適用されている典型的なコーティングの約2倍の厚さをそれぞれ有する。典型的な開口部内には、そのような層が少なくとも2層、好ましくは約10〜12層存在し得るが、ただし、この数量は個々のニーズに合わせて調節することができ、合計の有益な薬剤の厚さを、典型的な表面コーティングの約25〜28倍の厚さにすることができる。本発明の1つの好ましい実施形態によれば、開口部はそれぞれ、少なくとも0.0032mm(5×10−6平方インチ)、好ましくは少なくとも0.0045mm(7×10−6平方インチ)の面積を有する。典型的には、開口部は、約50%〜約75%まで、有益な薬剤で充填される。
各層は独立に作製されるため、個別の化学組成及び薬物動態特性を各層に分与することができる。そのような層の数多くの有用な構成を形成することができるが、そのいくつかについて下記に述べる。各層には、層間で同じ又は異なる割合の、1つ又は2つ以上の薬剤が含まれ得る。これらの層は、中実、多孔質、又は薬剤若しくは賦形剤で充填されたものであり得る。上記のように、これらの層は別々に付着させることができるが、層間の境界のないはめ込みを形成するよう混合することができ、これによりはめ込み内に移行勾配をもたらすことができる。
図2に示されるように、開口部20は有益な薬剤で充填されている。この有益な薬剤には、バリア層40、治療層30、及びキャップ層50が含まれる。
別の方法としては、異なる時点で異なる治療薬を放出する能力を形成するよう、異なる層には異なる治療薬を全体に含ませることができる。有益な薬剤の層は、異なる用途のために送達特性を調整する能力を提供する。これにより、本発明による医療デバイスが、体内の幅広くさまざまな部位に、異なる有益な薬剤を送達するのに使用され得るようになる。
キャップ層50の形状における保護層は、医療デバイスの、組織に接触する表面に提供される。キャップ層50は、一定時間、後続の層の生分解をブロックするか若しくは遅らせることができ、及び/又はその方向への有用な薬剤の拡散をブロックするか若しくは遅らせることができ、これにより体内の望ましい部位に医療デバイスを送達することが可能になる。医療デバイス10が、管腔内に埋め込まれるステントである場合、開口部20の、管腔の内側に面する側に、バリア層40が配置される。バリア層40は、治療薬30が管腔内へ通過して管腔組織に送達されずに運び去られてしまうのを防ぐ。代わりに、管腔内側への好ましい方向の薬剤送達が正当化される場合があり得るが、そのような場合、バリア層40は、開口部20の、組織側に面した面に配置され得、これにより治療薬30は組織に向けられることが妨げられる。
このような医療デバイスに組み込まれる治療薬の典型的な処方は、当業者に周知である。
本発明は、ステントの形態の医療デバイスを参照して記述されているが、本発明の医療デバイスは、身体、他の臓器、及び組織への薬剤の部位特異的送達及び持続放出送達に有用な、他の形状の医療デバイスであり得る。この薬剤は、さまざまな治療薬を、冠状血管及び末梢血管を含む脈管構造に、並びに他の体内管腔に送達し得る。この薬剤は、管腔の直径を増大させ、閉塞を形成し、又は他の理由のため薬剤を送達することができる。
本明細書に記述されている医療デバイス及びステントは、特に、経皮経管血管形成術及び経管ステント配置の後の、再狭窄の防止又は改善に有用である。抗再狭窄剤の徐放又は持続放出に加え、抗炎症剤などの他の薬剤を、このデバイス内の複数の穴にある多層に組み込むことができる。これにより、ステント配置後の非常に特異的な時点で起こることが知られている、ステント配置に伴って通常起こる合併症の、部位特異的治療又は予防が可能になる。
図3は、医療デバイスの開口部内にある有益な薬剤を分注するために使用される、圧電マイクロ・ジェットディスペンサー100を示す。ディスペンサー100は、液出口又はオリフィス102を有する毛細管108、液入口104、及び電気ケーブル106を有する。圧電ディスペンサー100には好ましくは、オリフィス102から液滴を分注するため、ハウジング112内に圧電性結晶110が含まれる。この結晶110は毛細管108の一部の周囲を取り囲み、電荷を受け取ってこの結晶の形状が摂動される。結晶が内側に接触すると、微少量の液が管108の液出口102から押し出され、医療デバイスの開口部20を満たす。更に、この結晶が外側に拡大すると、この結晶が、液入口104に連結された液リザーバから毛細管108内へと追加の液を引き込み、これにより、医療デバイスの開口部に排出された液を再充填する。
図3に示される代表的な実施形態において、マイクロ・ジェットディスペンサー100には、ガラス毛細管108に連結された環状圧電(PZT)作動装置110が含まれる。ガラス毛細管108は、一端が液体供給(図示なし)に接続され、もう一方の端にはオリフィス102を有しており、このオリフィスは一般に直径が約0.5〜約150マイクロメートルの範囲であり、より好ましくは約30〜約60マイクロメートルの範囲である。電圧がPTZアクチュエータに印加されると、ガラス毛細管108の断面は縮小/拡大され、ガラス毛細管108内に封入された液体の圧力変動を生じる。この圧力変動は、オリフィス102に向かってガラス毛細管108内を伝搬する。オリフィス102での急激な断面変化(音波インピーダンス)が、液滴を形成させる。この液滴形成モードは一般に、ドロップ・オン・デマンド(DOD)と呼ばれる。
操作中、液の粘度及び接触角に応じ、マイクロ・ジェットディスペンサー100には、液入口104での正圧又は負圧のいずれかが必要になり得る。典型的には、液入口104で圧力を提供するには2つの方法がある。第1は、液入口104での圧力は、液供給リザーバの配置によって正水頭又は負水頭のいずれかによって提供され得る。例えば、液リザーバをディスペンサー100より数ミリメートルだけ上に取り付けることにより、一定の正圧が提供される。一方、液リザーバをディスペンサー100より数ミリメートル下に取り付けると、オリフィス102では負圧が生じる。
別の方法としては、入口104での液圧は、既存の圧縮空気又は減圧源を使用して調整され得る。例えば、液源とディスペンサー100との間に加圧減圧調整器を挿入することにより、ディスペンサー100へ一定の圧力流れを提供するよう圧力を調整することができる。
加えて、有益な薬剤を含み又は備える幅広い範囲の液が、このディスペンサー100を経て分注され得る。ディスペンサー100によって送達される液は、好ましくは、約0.04Pa.s(40センチポアズ)以下の粘度を有する。ディスペンサー100の液滴体積は、液、オリフィス102の直径、及び作動装置駆動パラメータ(電圧とタイミング)の関数であり、通常、1滴当たり約50ピコリットル〜約200ピコリットルの範囲である。連続的な液滴生成が望ましい場合は、液に圧力をかけ、正弦波信号を作動装置に印加して、連続的な液のジェットを提供することができる。分注される有益な薬剤に応じて、各液滴はフィラメント状である場合があり得る。
本発明から逸脱することなく、他の液分注デバイスも使用し得ることが理解されよう。一実施形態において、このディスペンサーは、MicroFab Technologies,Inc.(Plano,Tex.)によって製造された圧電マイクロ・ジェットデバイスである。他のディスペンサーの例は、図7〜9に対応して後述される。
電気ケーブル106は好ましくは、パルス電気信号を提供するため、付随する駆動エレクトロニクス(図示なし)に連結される。電気ケーブル106は、結晶を摂動することによって、ディスペンサー100を通じた液の分配を制御するための電気信号を提供する。
図4は、圧電マイクロ・ジェットディスペンサー100から穴142内へと、有益な薬剤の液滴120を受け取るステント140形状の、拡張可能な医療デバイスを示す。ステント140は好ましくは、マンドレル160上に取り付けられている。このステント140は、(図1に示されるように)大きな非変形性ストラット及びリンクを備えた設計であってよいが、これは、ストラット若しくはリンク、又はデバイス全体としての機械的特性を損なうことなく、複数の開口部142を含む。開口部142は、デバイス埋め込み部位にさまざまな有益な薬剤を送達するための、大きな、保護されたリザーバとして機能する。開口部142の形状は円形、矩形、又はD字形であってよく、ステント140の幅全体に貫通する円柱状、矩形又はD字形の穴を形成してもよい。加えて、ステント140の厚さよりも浅い深さを有する開口部142を、使用することもできる。本発明から逸脱することなく、他の形状の穴142も使用し得ることが理解されよう。
穴142の体積は、穴142の形状、深さ及び寸法によって異なる。例えば、幅0.1520mm(0.006インチ)及び高さ0.1270mm(0.005インチ)を有する矩形開口部142は、約2.22ナノリットルの体積を有する。一方、半径0.0699mm(0.00275インチ)を有する円形開口部では、約1.87ナノリットルの体積を有する。D字の直線部分に沿って幅0.1520mm(0.006インチ)を有するD字形開口部は、約2.68ナノリットルの体積を有する。一実施例による開口部は、深さ約0.1346mm(0.0053インチ)であり、レーザー切断によりわずかに円錐形状を有する。
延性ヒンジを含む1つの組織支持デバイス構成が図1に示されているが、有用な薬剤は、数多くの既知のステントを含むさまざまな設計を有するステントの開口部内に収容され得ることが理解されよう。
マンドレル160には、弾力性又はゴム状材料の外側被覆164によって包み込まれたワイヤ部材162が含まれ得る。このワイヤ部材162は、円形の断面を有する金属製の糸又はワイヤで形成され得る。この金属製の糸又はワイヤは好ましくは、ニチノール、ステンレススチール、タングステン、ニッケル、又は他の同様の特質及び特性を有する金属を含む、金属製の糸又はワイヤからなる群から選択される。
一実施例において、ワイヤ部材162は、外径約3mm(0.118インチ)、全長約17mm(0.669インチ)を有する円筒形又は埋め込み可能な管状デバイスとともに使用するため、約0.889mm(0.035インチ)〜約0.991mm(0.039インチ)の外径を有する。ワイヤ部材162の外径は、拡張可能な医療デバイス140の寸法及び形状によって変わることが理解されよう。
外側被覆164のゴム状材料の例には、シリコーン、高分子材料(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチルビニルアセテート(EVA)、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びこれらの混合物)、並びにコポリマーが挙げられる。しかしながら、当業者に既知のそのようなゴム状材料を含め、外側被覆164のために他の材料も実用され得ることが理解されよう。
代表的な一実施形態において、ワイヤ部材162は、約0.635mm(0.25インチ)の内径を有する管状外側被覆164内に包み込まれている。外側被覆164は、ワイヤ部材162の外径よりも大きな寸法までこの管状部材を膨張させることによって、ワイヤ部材162の上に装着することができる。この管状部材は、当業者に既知の空気圧デバイスを使用して膨張させることができる。ワイヤ部材162は、ワイヤ部材162の上にシリコーン(silicon)の外側被覆164を浮かせることによって、外側被覆164の内側に配置される。しかしながら、ワイヤ部材162は、当業者に既知の任意の方法により、シリコーン(silicon)又は他のゴム状材料の外側被覆内に包み込むことができる。
直径約3mm(0.118インチ)及び長さ約17mm(0.669インチ)を有するステントを搭載するための代表的な一実施形態においては、外径0.939mm(0.037インチ)を有するワイヤ部材162が選択される。一実施例において、ワイヤ部材162は長さ約304.8mm(12インチ)である。外側被覆164は、約0.635mm(0.025インチ)の内径を有する。
拡張可能な医療デバイス又はステント140は、次に、当業者に既知の任意の方法で、マンドレル160上に装着される。代表的な一実施形態において、ステント140及びマンドレル160は、ステント140及びマンドレル160を潤滑するため、多量の潤滑剤に浸される。ステント140は次に、マンドレル160上に装着される。ステント140及びマンドレル160を乾燥させることにより、ステント140はマンドレル160上に実質的にしっかりと密着される。別の方法としては、又は乾燥させることに加えて、当業者に既知の方法を使用して、ステント140をマンドレル160上にけん縮させることができる。このけん縮により、ステント140は、開口部のマッピング中又は搭載中に動いたり回転したりしない。
図5は、拡張可能な医療デバイス内に有益な薬剤を搭載するためのシステム200を示す。システム200には、拡張可能な医療デバイス232の開口部に有益な薬剤を分注するためのディスペンサー210、有益な薬剤のリザーバ218、少なくとも1つの観測システム220、及びマンドレル230に装着された複数の拡張可能医療デバイス232を有するマンドレル230が含まれる。システム200にはまた、回転するマンドレル230を支持するための複数の軸受240、拡張可能な医療デバイス232の円筒軸に沿ってマンドレル230を回転及び移動させるための手段250、モニター260、並びに中央演算処理装置(CPU)270が含まれる。
ディスペンサー210は好ましくは、医療デバイス232内の開口部に有益な薬剤を分注するための圧電ディスペンサーである。ディスペンサー210は、液出口又はオリフィス212、液入口214及び電気ケーブル216を有する。圧電ディスペンサー200は、オリフィス212を介して液滴を分注する。
少なくとも1つの観測システム220を使用して、液滴の形成、並びに医療デバイス232内の複数の開口部に対するディスペンサー210の位置が観測される。観測システム220には、電荷結合装置(CCD)カメラが含まれ得る。代表的な一実施形態において、少なくとも2台のCCDカメラがこの充填プロセスに使用される。第1のカメラはマイクロ・ジェットディスペンサー210の上に配置され、医療デバイス232の充填を観測する。この第1のカメラはまた、後述のように、マンドレル230のマッピングにも使用される。第2のカメラは好ましくは、マイクロ・ジェットディスペンサー210の側方に配置され、側方又は直交視点からマイクロ・ジェットディスペンサー210を観測する。この第2のカメラは好ましくは、医療デバイス232に有益な薬剤を搭載する前にこのディスペンサーの位置を定める際、マイクロ・ジェットディスペンサーを可視化するのに使用される。しかしながら、この観測システム220には、カメラ、顕微鏡、レーザー、マシン・ビジョン・システム、又はその他の当業者に既知の装置を含む、任意の数の可視化システムが含まれ得ることが理解されよう。例えば、光線屈折を使用して、ディスペンサーからの液滴を数えることができる。モニターへの合計倍率は、約50〜100倍の範囲であるべきである。
代表的な1つの実施形態において、PZTパルスと同期したLED光224が、システム260の照明を提供する。PZTパルスとLEDパルスとの間の遅延は調整可能であり、これによりさまざまな進行段階での液滴形成を捕捉することができる。観測システム220はまた、開口部に搭載する際の、マンドレル230及び医療デバイス232のマッピングにも使用される。一実施形態において、LED同期光224を使用する代わりに、拡散蛍光照明システムを使用して照明が実施される。本発明から逸脱することなく、他の照明システムも使用し得ることが理解されよう。
上述のように、複数の拡張可能な医療デバイス232が、マンドレル230に取り付けられる。例えば、長さ約30.5cm(12インチ)のマンドレルは、それぞれ長さ約17mmを有するステント約11本に対応できる。各マンドレル230は、バーコード234でラベルされ、各マンドレルが適切に識別され、マッピングされ、更に望ましい仕様で充填されることを確実にする。
マンドレル230は、複数の軸受240上に配置される。図6に示されるように、軸受240の一例には、V字形ノッチ242がある。マンドレル230は、このV字形ノッチ242内に配置され、クリップ244を使用して固定される。クリップ244は好ましくはコイルバネであるが、任意のタイプのクリップ又は固定手段を含め、V字形ノッチ内にマンドレルを固定する他の手段も使用することができる。軸受240は、金属材料で構成することができ、好ましくは例えばステンレススチール、銅、真鍮、又は鉄などの、マンドレルワイヤとは異なる金属で構成することができる。
マンドレル230は、医療デバイス232の円筒軸に沿って、マンドレルを回転及び移動させるための手段250に接続される。この、マンドレルを回転及び移動させるための手段250は、任意のタイプのモーター又はモーターの組み合わせ又は当業者に既知の他のシステムであり得る。
代表的な1つの実施形態において、マンドレル250及び医療デバイス232を第1位置から第2位置へと移動させて、医療デバイス232の開口部に有益な薬剤を充填する。別の代表的な一実施形態において、このシステムは更に、医療デバイス232の円筒軸方向に沿って第1位置から第2位置へと分注システムを動かすための手段を含む。
モニター260は好ましくは、医療デバイス232への有益な薬剤の搭載を観測するのに使用される。任意のタイプのモニター、又はマッピング及び搭載プロセスを観測するための他の手段を使用できることが理解されよう。
中央演算処理装置270(CPU)は、医療デバイス232に有益な薬剤を搭載するのを制御する。CPU 270は、有益な薬剤を分注するための医療デバイス232上の情報を処理する。CPU 270は最初に、医療デバイス232の開口部の寸法、形状及び配置について、メーカー仕様に従ってプログラムされる。キーボード272は好ましくは、CPU 270の搭載を支援し、搭載プロセスに関する情報を入力するのに使用される。
医療デバイス232は好ましくは、マンドレル230に固定され、搭載プロセスの前にマッピングされる。マッピングプロセスにより、観測システム及び関連制御システムが、開口部それぞれの正確な位置を決めることができるが、これは、マンドレルに対するデバイスの搭載の不正確さから、開口部はデバイスごと及びマンドレルごとにわずかながら異なり得るためである。開口部それぞれの正確な位置は、その特定のマンドレルに固有のマップとして保存される。マンドレル230のマッピングは、マンドレル230上に配置される各医療デバイス232の開口部の寸法、形状及び配置を正確にするために、観測システムを使用して実施される。複数の医療デバイス232を含むマンドレル230がマッピングされたら、マッピング結果は、メーカー仕様と比較され、医療デバイス232の各穴に有益な薬剤をディスペンサーが正確に分注できるよう調節される。
別の代表的な一実施形態において、マンドレル230のマッピングは、開口部ごとの比較について実施される。操作中、観測システムは医療デバイスの第1の開口部をマッピングし、そのマッピング結果をメーカー仕様と比較する。第1開口部がメーカー仕様の指定通りに配置されている場合は、調整は不要である。しかしながら、第1開口部がメーカー仕様の指定通りに配置されていない場合、調整が記録され、分注プロセス中に調整が行われて、メーカー仕様の指定とは異なっているその位置に修正される。各医療デバイス232がマッピングされるまで、医療デバイスの各開口部についてマッピングが繰り返される。加えて、一実施形態においては、1つの開口部がマッピングされ、その開口部がメーカー仕様に従って配置されている場合、本発明から逸脱することなく、開口部1つおきに、又は任意の数の開口部をスキップしてマッピングを進めるよう、マッピングプロセスを設計することができる。
マンドレルがマッピングされたら、医療デバイス232は、メーカー仕様、及びマッピング結果からの調整に基づいて、有益な薬剤で充填される。CPUは、各医療デバイス232の充填について、プログラムされたデータを提供する。このプログラムされたデータには、医療デバイス設計コード、作製日、作製ロット番号、マンドレル上の医療デバイス232の数、医療デバイス232内の各開口部の体積、医療デバイス232の開口部に搭載又は分注される異なる有益薬剤、層の数、各層の乾燥/焼結時間、及びその他のデータが挙げられる。
代表的な1つの実施形態において、医療デバイス232は、有益な薬剤層を少なくとも10層有するが、これには少なくとも1層のバリア層、有益な薬剤を有する少なくとも1層の治療層、及び少なくとも1層のキャップ層が含まれ充填される。有益な薬剤層には、薬剤又は治療薬の各溶液の濃度及び強度、ポリマーの量、並びに溶媒の量が異なる層が含まれ得る。
操作中、操作者は、CPU 270に、マンドレル234のバーコードを入力又はスキャンしてから、充填プロセスを開始する。最初の充填には一般に、バリア層を形成するための、ポリマーと溶媒の混合物が含まれる。各開口部は典型的に、容量の約80パーセントまで充填され、次に、医療デバイス232が取り付けられたままのマンドレルをシステムから取り出して、オーブンに入れて焼結させる。焼結プロセスにより、開口部から液体部分又は溶媒が蒸発し、固体層が残る。マンドレルは、典型的には、約60分±5分にわたって約55℃にて焼結される。誤作動防止を支援するために、CPUソフトウェアは、マンドレルのバーコードを受信し、最終充填から少なくとも60分が経過するまで第2層の充填を開始しないようにする。次に、第2層及びそれ以降の層を、望ましい容量まで開口部が充填されるまで、第1層と同様に充填する。リザーバ218も、リザーバ内の溶液を識別するようバーコードを利用し得る。
観測システム220をまた利用して、人間によるモニター270上の観測、又は観測システムから受け取りCPUに運ばれたデータを介する方法のいずれかにより、ディスペンサー210が有益な薬剤を開口部に分注していることを確認し、これにより、医療デバイス232の開口部内に有益な薬剤が分注されていることを確認し得る。あるいは、光線の屈折を使用して、高速で分注される液滴を数えることができる。
ディスペンサー100は、一度に何時間もの間、非常に安定的に動作するが、日毎にずれが生じる。また、波形の小さな変化によっても、液滴のサイズが変化する。よって、ディスペンサー100の出力は、カップ内に既知の数の液滴を射出させ、次にカップ内の薬剤の量を測定することによって、校正することができる。あるいは、ディスペンサー100は、既知の体積のカップに射出させ、そのカップを正確に満たすまでの液滴数を数えてもよい。
医療デバイス232の開口部を充填する際、マイクロ・ジェットディスペンサー100は、複数の液滴を開口部に分注する。好ましい一実施形態において、このディスペンサーは、約40マイクロメートルのマイクロ・ジェットディスペンサーを介して、毎秒3000滴を分注することができる。しかしながら液滴は、必要な充填量に応じて、穴1つ当たり約8〜20ショットで分注されることが好ましい。マイクロ・ジェットディスペンサーは、各穴(又は望ましい穴)を、医療デバイス232の水平軸に沿って進行することにより充填する。CPU 270はディスペンサー100のオン及びオフを切り替えて、液を医療デバイスの開口部の間に実質的に分注することなく、開口部を充填する。ディスペンサーが医療デバイス232の終端に達すると、マンドレル回転手段によってマンドレルを回転させ、水平軸に沿って医療デバイス232の第2経路が実施される。一実施形態において、医療デバイス232は、直径約3mm及び長さ約17mmを有するステントであり、約6本の経路で充填することができる。医療デバイス232が充填されると、ディスペンサー210は次の医療デバイス232に移動し、同様に充填を行う。
CPU 270は、充填プロセス内に組み込まれた安全性要素を有することで、精密に充填される。また、マイクロ・ジェットディスペンサーを利用して開口部を充填することによって、使用される薬剤又は治療薬の量は、スプレー又は浸漬を含むこれまでの既知の方法を使用した医療デバイス232コーティングよりも、実質的に少ない。加えて、有益な薬剤のマイクロ・ジェットにより、他の既知の方法よりも、作業者を曝露する薬剤量が実質的に少なくなることによって、改善された作業環境を提供することができる。
システム200には、圧電マイクロ・ジェットディスペンサー210に電気を提供する電源290も含まれる。
医療デバイス232は、デバイスを拡張し、マンドレルから滑らせて外すことにより、マンドレルから取り外すことができる。一実施形態において、ステントは、ワイヤ部材162の外径と外側被覆の内径との間に空気を注入することによって、マンドレルから取り外すことができる。この空気圧は、医療デバイス232を拡張させ、これにより医療デバイス232の内径が、マンドレルの外径よりも大きくなる。一実施形態において、ワイヤ部材162の外径と外側被覆164の内径との間に空気圧をかける際、ダイをマンドレル周囲に配置して、医療デバイス232の拡張を制限する。このダイは、ステンレススチール又はプラスチックで構成することができ、これにより医療デバイス232は、マンドレルからの取り外しの際に破損することがない。加えて、好ましい実施形態において、医療デバイス232は、マンドレルから一度に4本取り外される。1本の12インチ(30.5cm)マンドレルは、約597個の開口部を有する3mm×17mmの医療デバイス約11本を収容する。
図7は、音波液滴射出により液滴を正確に送達するディスペンサー300の代表的な一実施形態を示す。ディスペンサー300には、交換可能な液リザーバ320と組み合わせた音波エネルギー変換器310が含まれる。このディスペンサー300は、リザーバ320内の液表面から、液滴の経路中に配置された医療デバイス140の開口部へと精密に、ナノリットル又はピコリットルの液滴を放出する。
ディスペンサー300は、リザーバ320の液表面上のレンズによって、変換器310からの音波エネルギーの焦点を絞ることにより動作する。次に液表面が隆起し、これが噴出され、制御されたサイズ及び軌道の液滴を放出する。音波エネルギーの焦点絞りのためのシステムの一例が、米国特許第6,548,308号に記述されており、これは参考として本明細書に組み込まれる。医療デバイス140及びマンドレル164を動かして、又はディスペンサー300を動かして、医療デバイスの開口部への液滴の分注を正確に制御することができる。
音波ディスペンサー300を使用するいくつかの利点には、より粘稠な液を送達できること、及び溶媒を含む揮発性の液を送達できることが挙げられる。例えば、ディスペンサー300によって送達される液は、約0.04Pa.s(40センチポワズ)より大きい粘度を有し得る。より粘稠な材料の送達により、送達される液に、より高濃度の固体内容物を使用することが可能になり、よって層数を少なくすることができる。ディスペンサー300を使用した場合の液滴体積は、液及び変換器駆動パラメータの関数であり、1滴当たり約1ピコリットル〜約50ナノリットルの範囲であり得る。
ディスペンサー300はまた、リザーバが内蔵型であり、部品にクリーニングの必要がないため、液の分注と分注との間に、単純かつ迅速な移動ができる利点がある。加えて、薬剤を切り替える際に薬剤の損失が生じない。
音波ディスペンサー300は、リザーバ320の側壁から一切干渉を受けることなく、まっすぐな軌道で液滴を送達する。この液滴軌道がまっすぐであることにより、ディスペンサー300は、医療デバイスから離れたところで精密に動作でき、可視化が改善される。
図8は、揮発性溶媒を含む組成物を送達することができる、音波ディスペンサーのリザーバ400の、別の代表的な実施形態を示す。リザーバ400には、液チャンバ420の上方に、蒸気チャンバ410がある。この蒸気チャンバ410は、蒸発した溶媒蒸気を保持し、液の表面に高濃度の溶媒蒸気を提供することによって、揮発性溶媒の急速な蒸発速度を抑える。
図9のディスペンサー500は、ディスペンサー510(例えば図3の圧電ディスペンサー)を、分注液に使用されているのと同じ溶媒の雲で包み込むことにより、ディスペンサー先端の溶媒蒸発及びフォーリング(fowling)を低減することができる、溶媒雲形成システムを使用している。図9の例において、溶媒雲は、補助の溶媒源からの供給ライン530から送達された溶媒を介して、多孔質金属などの多孔質材料の環520によって形成される。多孔質材料の環520から蒸発した溶媒は、ディスペンサー先端の周囲に直接、溶媒の雲を形成する。ディスペンサー先端周囲に溶媒雲を形成することにより、ディスペンサー先端近くの溶媒蒸気濃度差が低減される。この差を低く抑えることにより、溶媒蒸発による詰まりを生じさせることなく、ディスペンサーを休止状態にしておける時間が延長される。これにより、プロセスの堅牢性が向上する。
別の方法としては、又は図9に示される溶媒雲形成システムに追加して、分注を支援し、ディスペンサーの詰まりを低減するために、ディスペンサー先端周辺に雲又は制御された局所的環境を形成するよう、他の気体を送達することができる。
ディスペンサー先端周囲に送達されるこの気体は、シールドガスと呼ばれ、望ましい局所的環境を形成し、分注プロセスに有害であり得る気体からディスペンサー先端及び分注液を保護する。シールドガスを送達するためのシステムは、溶接及びレーザー切断の分野で既知であり、ディスペンサー先端近くに配置された1つ又は2つ以上の出口、ジェット、又はノズルが含み、処理位置において望ましい局所的環境を形成する。本明細書で使用される用語「シールドガス」は、局所的環境を変えるために作業領域周辺に局所的に送達されるガスを指す。
一実施形態において、シールドガスは、細胞、遺伝学的材料、酵素、リボソーム、又はウイルスなどの生物製剤とともに使用される。このシールドガスには、酸化を防ぐのに使用される還元的雰囲気を形成する低酸素ガスが含まれ得る。
別の実施形態において、環境中が高湿度であると、ディスペンサー先端によって分注される液体溶液内の水分含有量が増加する。高湿度によって生じた高水分含有量は、一部の薬剤を結晶化させ、ディスペンサー先端を詰まらせることがある。この高湿度による詰まりは特に、例えばパクリタキセル、ラパマイシン、エベロリムス、及びその他のリムス系薬剤などの親油性薬剤が分注されるときに見られる。よって、詰まりを防ぐため、乾燥したシールドガスが使用され得る。加えて、分注液中の1つ又は2つ以上の溶媒に、高湿度環境から水を吸収する溶媒を使用すると、高湿度によって生じる薬剤結晶化を刺激することがある。例えば、溶媒DMSOは高湿度環境中で水を吸収し、一部の薬剤の沈殿及び結晶化を増大させる。ディスペンサー先端周辺の局所的環境内の湿度は、使用される特定の有益な薬剤の組み合わせに応じて、望ましい湿度レベルを提供することによって制御することができる。例えば、局所的湿度は45パーセント未満、30パーセント未満、又は15パーセント未満に維持することができる。
シールドガスとして使用可能な乾燥ガスの例には、窒素、不活性ガス(例えばアルゴン又はヘリウム)、乾燥空気、又はこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書で使用される用語「乾燥ガス」は、含水量が10パーセント未満である気体を指し、好ましくは、選択される乾燥ガスは、1パーセント未満の含水量を有する。
シールドガスは加圧液化形態で提供することができ、これはシールドガスとして送達されるときに膨張して蒸発する。代わりに、シールドガスはガス状で保存することができ、又は空気若しくは別の気体から水を除去することによって形成することができる。シールドガス送達のためのシールドガスオリフィスは、ディスペンサー先端近く、例えばディスペンサー先端から約2.54cm(1インチ)以内、好ましくは約0.64cm(1/4インチ)以内に配置されるべきである。このディスペンサー先端は、2面以上の側面を、シールド又は囲い板で囲まれていてもよく、このシールドとディスペンサー先端周囲との間に、局所的環境を形成するシールドガスが包含される。
このシールドガス分注システムは、環境の検出条件に基づいて制御することができる。例えば、シールドガス流量は、部屋の湿度、又はディスペンサー先端近くの局所的湿度に基づいて自動的に制御することができる。代わりに、シールドガスは、ディスペンサー先端近くの湿度を検出する局所的湿度センサ、又は部屋の湿度センサによって、自動的に稼働する(オン又はオフにする)ことができる。シールドガス分注システムはまた、酸素含有量など、環境中の他の検出条件に基づいて制御することもできる。
このシールドガス分注システムは、ディスペンサー先端、特に、ディスペンサー先端周囲の局所的環境を制御することによって、圧電ディスペンサー先端の詰まりを実質的に低減することができる。このシールドガスは、室内全体の環境条件を注意深く制御する必要を不要にし得る。このシステムは、薬剤の結晶化、溶媒の急速な蒸発、乾燥、その他などを含むさまざまな詰まりメカニズムによるディスペンサーの詰まりを経済的に防ぐことを可能にし得る。
下記の実施例において、下記の略語は次の意味を有する。略語が定義されていない場合は、一般的に受け入れられている意味を有する。
Figure 2012073252
DMSO=ジメチルスルホキシド
IV=固有粘度
PLGA=乳酸グリコール酸共重合体
Figure 2012073252
複数の医療デバイス、好ましくはマンドレル当たり11本の医療デバイスが、一連のマンドレル上に配置される。各マンドレルには固有のしるしのバーコードがつけられ、これが少なくとも、医療デバイスのタイプ、その医療デバイスの開口部に搭載される有益な薬剤の層、及び各マンドレルの固有識別を特定する。バーコード情報及びマッピング結果は、ステント搭載のため、CPUに保管される。
ポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)(Birmingham Polymers,Inc.)と好適な溶媒(例えばDMSO)との第1混合物が調製される。この混合物は、液滴によってステントの穴内へ搭載される。このステントを好ましくは温度55℃で約60分間焼結し、溶媒を蒸発させて、バリア層を形成する。第2層は、同じ方法で、開口部にポリマー溶液を充填した後、溶媒を蒸発させることにより、第1層の上に重ねる。医療デバイスの開口部に9層の個別の層が搭載されるまでこのプロセスを継続し、バリア層を形成する。
治療層を形成するため、パクリタキセル、PLGA、及び好適な溶媒(DMSOなど)の第2混合物を、医療デバイスの開口部内にあるこのバリア層の上に導入する。溶媒を蒸発させて、薬剤で充填されたデバイス保護層を形成し、望ましい量のパクリタキセルがこの医療デバイスの開口部内に追加されるまで、穴が充填されるまで充填と蒸発の手順を繰り返す。
PLGA及びDMSOの第3の混合物をこの治療薬の上、開口部内に導入し、キャップ層を形成する。溶媒を蒸発させ、医療デバイスにキャップ層が追加されるまで、充填と蒸発の手順を繰り返す。この実施形態においては、1層のキャップ層が追加される。
望ましい溶液を有する有益な薬剤の複数の層を提供するためには、リザーバを交換し、圧電マイクロ・ジェットディスペンサーのクリーニングを行う。リザーバの交換とディスペンサーのクリーニング(必要な場合)により、異なる有益層が、正しい量の薬剤、溶媒、及びポリマーを含んだ望ましい溶液を有していることが確かになる。
充填された医療デバイスを生体内に埋め込んだ後、PLGAポリマーは加水分解により分解し、パクリタキセルが放出される。
インクジェット印刷技術が、ますます幅広い範囲の用途に適用されるに従い、その固有の感受性により、使用方法の注意深い特徴付けが重要になる。インクジェット技術における一般的な動作モードはドロップ・オン・デマンド射出として知られ、標的の正確な位置に、制御された量の材料を提供する方法として使用されている。この動作方法により、設定したタイミングでのトリガーイベントに基づいて、液滴の個々の射出、又は液滴の連続(バースト)射出が可能になる。本発明は、射出された連続液滴の検査について記述しており、ドロップ・オン・デマンド・インクジェットシステムを設計する際に考慮しなければならないたくさんの現象を示している。これらの現象は、バーストで最初に射出された液滴と、その後の液滴との間の差によって生じ、これによって駆動振幅と液滴質量との間に期待される線形相関関係の破断をもたらすと見られる。この第1の液滴は、後述のように高速ビデオ撮影及びその後の画像解析によって定量されるが、バースト内の後続の液滴と、形態、軌道、速度及び体積が異なり得る。これらの発見は、体積と質量の両方の測定技法によって直交的に確認され、これにより単一の液滴まで定量化することができる。
用途の範囲がますます広がる中で、正確な標的位置にナノグラム量の所与の物質を精密かつ繰り返して送達できる能力は、新しい技術の開発に重要である。インクジェット技術は印刷用途に関して最も一般的であるが、最近では、ポリマー、薬剤、又はこれら2つの組み合わせを含む溶液を付着させるための医療デバイス製造など、その他数多くの分野で利用されるようになっている。
インクジェット技術は、音波の原理に基づいており、詳細はこれまでに数多く記述されている。典型的なインクジェットディスペンサーは、外径を圧電素子に包まれた中空のガラス管を含む。この圧電素子が、駆動振幅の増加及び減少によって寸法を摂動され、その直径がそれぞれ拡張及び収縮する。この拡張と収縮によりガラス管内に圧力の波が生じ、これが、正しい組み合わせとタイミングで、液滴射出をもたらす。典型的な駆動波形が、関連するパラメータを付記して図10に示されている。本明細書で利用されている溶液の典型的なパラメータは、上昇時間3マイクロ秒、停止時間20マイクロ秒、下降時間3マイクロ秒であり、周波数2.8kHzで振幅駆動26ボルトであった。これらパラメータは全て液滴質量にある程度の影響を有するが、主要な要素は駆動振幅であり、ひいてはこれが、射出される質量の主な制御メカニズムである。
電気的パラメータは、射出される液滴のサイズと形態を決める要素の単なる一部分であり、他に、オリフィスのサイズと条件、液の特性、液頭及び環境的要素が挙げられる。これらの要素は、本発明の主要な関心事ではないが、混乱させる影響を排除するため、できる限り緊密に制御された。
インクジェット技術は、連続型及びドロップ・オン・デマンド型と呼ばれる2つの主な動作モードで実用化され得る。連続型モードでは、駆動エレクトロニクスは一定の駆動波形を供給し、固定された周波数で連続的に分注される液滴がもたらされる。これら液滴全てが標的に達するのは望ましくないため、液滴をしばしば、静電場を介して荷電し、別の電場を用いて屈折させることによって、その軌道が制御される。このようにして、標的に達する液滴の数は、電場内の変動によって制御され得る。
これらシステムを含めるのは複雑さとコストが大幅に増大するため、多くの用途はこの代わりに、ドロップ・オン・デマンド型モードでインクジェットを動作させる方を選んでいる。このモードでは、駆動エレクトロニクスはトリガーに応じて一組の駆動波形だけを送達し、これにより標的に到達する制御可能な数の液滴をもたらす。この連続液滴は、望ましい標的位置が定位置にあるときにだけ分注するようトリガーすることができ、これにより、望ましくない液滴を偏向させる必要を排除することができる。多くの用途では、この方法を用いて、少量の液滴を標的表面に沿ったさまざまな点(例えば、電子回路のはんだ付け点、及び本明細書に記述される薬剤溶出ステント内のリザーバなど)に送達させている。各トリガーイベントで分注される液滴の数を変えて、分注される物質の最終的な量を制御することができ、また更に、閉ループの制御システム内でリアルタイムで調節し、射出質量の処理中の推移や急激な変化に対応することもできる。
標的に送達される材料の合計量を制御するには、ドロップ・オン・デマンド動作により、液滴サイズを調節するとともに、トリガー当たりに送達される液滴の数を調節することができる。しかしながら、バースト当たり送達される液滴の数の変化が、射出動作にどのように影響を与えるかを特徴付けるため実施された研究は、非常に限られた数しか行われていない。標的に沿った位置に送達される材料の量の制御に液滴数を使用するには、各液滴の質量が等しいことが仮定され、すなわち、液滴の数量と合計射出量には線形関係があることが含意されている。本発明はこの仮定に挑戦するものであり、特に、最初に射出される液滴は、量及び質ともにその後に続く液滴といかに異なっているか、及びこれによりバースト中の液滴数と射出量との間にどのような非線形関係がもたらされるかを示すものである。この差はまた、駆動波形によっても影響を受け、そのようなシステムを設計する際に考慮しなければならないドロップ・オン・デマンド型インクジェットに、別の複雑さの層を加えることになる。
MicroFab Technologiesから市販されているドロップ・オン・デマンド型インクジェットシステムが、本明細書に記述されている研究に用いられた。このインクジェットヘッドは低温型装置でオリフィス直径40μmであり(MicroFab MJ−AB−63−40、MicroFab Technologies(Plano,TX))、JetDrive III電子制御装置を使用して駆動されるが、これはJetServerソフトウェアが実行されている標準のコンピュータに接続された。JetServerソフトウェアを介したトリガーは、バス速度及びソフトウェア関連のサイクル時間によって約250msに制限されるため、2つのJetDrive装置をカスケード構成で接続した。このようにすることで、第1制御装置は液滴射出のための駆動波形と、バースト当たりに必要な液滴の数の設定に使用され、第2装置は、分注されるバーストの数と、その間の間隔を制御した。これは、結果として生じる波形群の例とともに図11に図示されている。図11に図示されているように、第2制御装置は、第1制御装置のトリガーに使用され、この第1制御装置はインクジェットヘッドに直接接続されている。
これらの実験に使用された液は、薬剤とポリマーをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した溶液であり、NEVO(商標)シロリムス溶出冠状動脈用ステントの充填に使用された。追加されたポリマーは、非ニュートン流体的動作をもたらした。一定した分注を可能にするのに十分なだけ溶液粘度を低下させるため、溶液は、インクジェット装置を通過する際に40℃に加熱され、これにより粘度は0.00495Pa.s(4.95cP)まで下がり、表面張力は41.5dyn/cmまで下がった。溶液バイアルは、大気圧への通気が維持され、溶液レベルはインクジェット先端の高さと同じ位置に維持され、これにより一定した静的液頭が確保された。
このタイプのインクジェットディスペンサーに共通して存在する問題は、溶液中の固体が溶液中に沈殿して、ジェット先端で遮断を起こす可能性をもたらし得る、ディスペンサーオリフィスでの溶媒蒸発である。これらの研究に使用される溶液については、比較的高沸点であるDMSO(189℃)を使用したため、蒸発の影響は最小限であった。しかしながらDMSOは高い吸湿性も有し、実験中に存在する環境湿度条件(約30パーセント)では、これによる吸水が溶媒蒸発よりも大きな懸念であった。しかしながら、溶媒蒸発又は吸水は両方とも、溶解しているポリマー及び薬剤を沈殿させ得る働きをし、オリフィス遮断をもたらす可能性があるため、これらのいずれかによるジェット先端での正味の影響は同じである。吸水を防ぐために、窒素ガス(99.998パーセント高純度グレード、Airgas,Inc.(Radnor,PA))をインクジェットのオリフィス周辺に1.0L/分で連続的に流すことにより、周辺から水分を除外した。
下記の実験では混合方法が使用され、それぞれが、連続液滴間の差を定量する異なる方法を提供した。最初の研究は、標準のプロジェクション−電球光源を用いて背後から照明した液滴についての、高速ビデオカメラ(Phantom v9.1、Vision Research,Inc.(Wayne,New Jersey))によって撮影した写真を用いた、画像解析により実施された。液滴連続の画像は、射出周波数(2.8kHz)に合わせたフレーム速度で記録され、1滴当たり1フレームで撮影された。これら画像は次に、ImageJ画像解析ソフトウェアスイート(National Institutes of Health(Bethesda,MD))を使用して解析された。液滴の体積は、最初に画像に対し閾値関数を実行し、次に液滴の直径を測定することによって決定され、これによって体積を算出することができた。カメラ及びレンズシステムは、Edmund Optics(Barrington,NJ)のN.I.S.T.トレーサブル光学標準を使用して校正された。ジェット先端から十分な距離の位置で画像が記録され、これにより、プラトー・レイリーの不安定性による液滴の振動が減衰して(約1mm)、最大の球形性を得るようにした。
より敏感な液滴質量定量は、UV分光法を用いて実施された。この方法では、複数の液滴(1〜5滴)を分注させて100μLのMilliQ脱気脱イオン水内に入れ、これをピペットでAgilent石英ウルトラマイクロ10mm光路長キュベットに移した。208nm(DMSOに関連する吸光度ピーク)でこのサンプルの吸光度を測定し、これからDMSOの濃度、更には液滴体積を、予め測定した標準曲線を介して算出することができた。この方法の再現性(1〜5滴について4.1パーセントRSD)は、より多数の液滴(200滴について0.26パーセントRSD)を秤量した場合とは合致しなかったが、小さな液滴数については優れた感度を提供した。
最後に使用した方法は、多数の液滴数を、秤量した小さな容器(VWRアルミニウムマイクロ秤量皿)に分注させることであった。この容器は、溶媒蒸発と水分吸収を制限するため、液を捕捉後すぐにMettler−Toledo UMX2サブマイクログラムスケールで秤量した。これらの2つの緩和可能性のある因子は両方とも実験的に測定し、精密な測定を実現するのに十分なだけ低いことが判定された。このはかりの測定限界のため、この方法では、適切な精度を得るため、多数の液滴(1000滴超)を分注させる必要があった(2000滴で再現性0.26パーセントRSD)。
これらの方法は、ジェット性能に対する第1の液滴の相違の影響のさまざまな面を分析するため、組み合わせて使用された。高速ビデオ撮影は、液滴形態の定性的評価とともに、軌道及び速度測定を提供し、UV分光法は少量の液の正確な定量化を提供し(およそ90pLで単一の液滴まで)、マイクロ天秤による質量測定では、適切な精度を維持しながら、大きなサンプルサイズでの迅速な分析を提供した。
上述の方法の組み合わせにより、ドロップ・オン・デマンド型インクジェット性能の注意深い分析シナリオが可能になった。このモードで動作するインクジェットは、制御可能な時間間隔によって分離された液滴バーストを供給し、これは、標的に沿って異なる点に1滴又は2滴以上の液滴を送達するのに有用である。この研究において、これらバースト内の個々の液滴が、形態、軌道、速度及び体積について解析され、液滴間の差が射出動作にどのように影響し得るかを判定した。連続液滴はこのようにして、特に一連続内でどのような差があるかに注意を向けて、形態、軌道、速度及び体積が解析された。
高速ビデオ撮影で撮影された画像は、この溶液の射出がバーストで分注されたときに同一の液滴を生じなかったことを示す最初のものであった。形態と速度における相違を示す、5滴のバーストの例を図12に示す。この画像は、シャッタースピード2マイクロ秒、速度853.4m/s(2800fps)で撮影され、連続する液滴の相違を示すものである。最初の液滴は、後の液滴に比べて、1つのジェット先端からの距離によって明らかなように、より速い速度で進んでおり、小さな衛星液滴が後に続いており、これは後の液滴の形態とは合致しない。これらの属性は液滴2〜5では非常に一貫しているが、第1の液滴は動作が合致せず、より速い射出速度と、小さな衛星液滴の尾を呈している。衛星液滴の長い尾は、標的の観点から望ましくなく、また射出質量の変動にも寄与し得る。
画像解析は、上述のような画像の大きな集合について、液滴体積の定量化を提供する。高速ビデオが本明細書に記述及び図示されているように25連続で撮影され、平均の液滴質量が解析された。その結果を図13に示す。具体的には、5滴のバースト(隣接するバーストは30ms間隔)の25セットの高速ビデオ撮影の画像解析が実施された。液滴直径を決定するためにエッジ検出が実施され、これにより液滴質量が計算された。平均及び2つの標準偏差が示されている。この特定の駆動条件群(停止時間=23μs、振幅=20V)において、液滴質量は、射出順に増えることが見出され、第5の液滴は第1の液滴より10.3±2.2パーセント大きかった。この影響により、このように射出される液滴のバーストは、バースト中の液滴の数の関数として平均液滴質量の増加を呈し、これにより、射出質量を精密に予測するためには、追加のジェット校正作業が必要になった。
溶液効果がこの現象を推進している可能性を排除するため、この研究に使用される液体の適合性を制限し、純粋な溶媒(この場合は脱イオン水)で高速ビデオ撮影を繰り返した(駆動パラメータは停止時間18μs、振幅12V)。これらの画像は図示されていないが、バースト液滴中第1の液滴は、その後のものに比べて速度が速く、形態も不一致である、という同様の動作が観察された。よって、この動作は、ポリマー溶液の非ニュートン溶液的動作の結果ではなく、より基本的な効果が、さまざまな液の射出中に存在する。
マイクロ天秤による重力測定は、1000滴を超える液滴数に有用な唯一のものであるが、多数のサンプルを測定するのにも効果的な方法を提供した。これらの研究において、多数のバースト群を用い、バースト当たりの液滴数を変えて、正確な測定のため十分な液滴数を蓄積することによって、平均液滴重量が決定された。図14はこの一例を示し、バースト当たり5滴及び800滴で、駆動振幅の関数として平均液滴質量をプロットしたものである。液滴数が多いときは高い線形性を示しているが、液滴数が少ないときは非線形的動作を示しており、低振幅及び高振幅領域(それぞれ領域A及びC)では傾きが同じだが、中間の遷移領域(領域B)とはそれぞれ異なる。この動作は定例的に線形であると報告されるが、このプロットは明らかに、必ずしも線形ではないことを示している。これらの研究に使用された液について、小さな液滴連続は、この振幅範囲内の3つの異なる領域で、非線形的動作を示した。すなわち、低振幅(領域A)及び高振幅(領域C)は傾きが同じだが、これらの間の遷移領域(領域B)は異なる傾きと切片を有している。
この非線形性は、インクジェット装置の校正が非常に精密であることが必要な用途(例えば活性薬剤成分の送達)では重大である。状況によっては、インクジェット装置を校正するというプロセス設計の見地から、例えば校正精度の向上、又は校正時間の短縮などにより、少数のよりプロセス反映的なバーストよりも、1つの連続中に多数の液滴を分注することの方が魅力的であり得る。しかしながらこのデータは、平均液滴質量はバースト当たりに分注される液滴の数に伴って変化しているため、これが必ずしも適切な解決策ではないことを示している。よって、真に精密な校正は、実際のプロセスに使用されるのと同じバースト当たり液滴数を分注させることによってのみ達成され得る。
これらの曲線はある特定の駆動振幅で交叉していることから、この設定でインクジェットを動作させれば、この影響を考慮に入れなくとも済むと考える向きもあるかもしれない。しかしながら、この液については、この遷移領域は数日間にわたって、同じ振幅では発生しなかったことに注意するべきである。すなわち、これら曲線が交叉した振幅は、1週間の期間で+/−2ボルト変化した。この原因は明らかではないが、実用的な見地から、この重複する振幅が不変であることを確認するため、この関係は適切な時間間隔をおいて再検討されるべきものである。
この動作を推進する影響を理解するには、遷移ゾーンでの駆動振幅について、上述の高速ビデオ撮影を繰り返して行うことが必要であった。これはしかしながら、これらの振幅では液滴形態は非常に不規則であり、非球形の液滴形態と、多くの衛星液滴を伴っていたため、実行不能であった。このため、画像解析では十分に精密な成果を得ることはできなかった。代わりに、バースト当たりの液滴数の関数として平均液滴質量を決定することにより、重力測定的に結果が得られた。これを達成するため、各バースト内の液滴数は異なるが、同じ合計数(ここでは1800滴)の液滴を分注させた。
その結果を図15に示す。この図は、バースト当たりの液滴数の関数としての、平均液滴質量のプロットである。結果として得られた平均液滴質量の動作は、第1の液滴とその後続の液滴との相違を示している。インクジェットパラメータは、停止時間18マイクロ秒、振幅38V、駆動周波数2.8kHz、連続配列の間の遅延30msとして与えられた。エラーバーは2つの標準偏差を示す。図15に示されているこれらの結果は、図13に示された高速ビデオ撮影データとは矛盾するように見える。しかしながら、この研究は異なるインクジェットパラメータで実施されたものであり、図14に示される遷移ゾーン(領域C)の上で動作していた。その結果、ここで示されている第1の液滴は後続の液滴よりも有意に大きな質量を有し、一方低振幅(領域A)では第1の液滴はより小さな質量を有していた(図13参照)。この第1の液滴の相違の結果、同じ駆動振幅で生成された小さなバーストサイズと大きなバーストサイズは、異なる平均液滴質量を示すと考えられる。これは、小さなバーストは第1の液滴により大きな影響をもたらすが、十分に大きな群はこの影響を覆い隠し得るからである。
するとこの発見は、図14に示すデータを補強することになる。多数の液滴群では、液滴重量は駆動振幅に対し線形的に変化する。この群は、第1の液滴の影響を克服するのに十分に大きいからである。しかしながら少数の液滴群はこの影響に対するずっと大きな感受性が示す。更に、第1の液滴の質量も、連続の後続液滴よりもずっと、駆動振幅に対する感受性が高い。その結果、第1の液滴は低振幅では後続液滴より小さくなり、高振幅では後続液滴より大きくなる。これにより、上述の非線形性動作が生じることになる。
上述のマイクロ天秤測定は、この影響を推進する現象を特定しているように見えるが、個々の液滴質量の直接測定はないため、混乱させるような影響(例えば、サンプル採取時間にわたってジェットに対する異なる熱伝導特性(バースト内の液滴数を変えることにより異なるバルク質量流量によって生じる可能性がある))が導入された可能性が考えられる。よって、UV分光法を使用して確認研究が実施された。これは、単一の液滴を定量するのに十分な感受性を有していた。この方法により、重量測定に必要な多数の液滴を集める代わりに、1回のバーストの液滴を精密に定量化することができる。
UV法の、少数の液滴(1〜10滴)の質量を測定する繰り返し精度は、重量測定法(約2,000滴近くが必要)ほどのエラー強さはないが、UV法の感受性により、単一液滴の質量測定も可能であり、混乱させる要素なしに、他の方法で見られた傾向を確認することが可能である。この場合、図16に示すように、図14の領域Cにおいて動作しているジェットで、これらのデータは前の結果を支持しており、連続液滴の第1の液滴の平均質量は、後の液滴よりも大きく、第3滴当たりで平均液滴質量がプラトーに達することを示している。DMSOを検出するため、水対照を差し引いた後の208ナノメートルでの吸光度スペクトルが解析された。吸光度データの標準曲線から決定された濃度により、質量が算出された。10サンプルの平均値及び2つの標準偏差が図16に示されている。
これまでの研究では、「第1の液滴問題」としばしば呼ばれる問題の存在が示されてきたが、これは、本明細書に示されているものとは異なる時間尺度の現象であると見られる。一般に言及されてきた第1の液滴問題とは、オリフィスでの溶媒蒸発による、インクジェットの詰まり又は誤射を指している。利用される溶媒に応じて、この効果は、この種の影響を起こすのに十分なレベルで現われるまでに、数秒又は数分かかり得る。しかしながら、現在の効果は液滴間の間隔わずか30msでの連続液滴それぞれについて見られるものであり、これが、溶媒蒸発、あるいはより当問題に即した現行のシナリオである吸水の問題を超えた現象であることを示唆している。よって、この効果は、a)このチャンネル内で確立された通常の音波反響に不十分な時間のために生じた結果である、インクジェットチャンネル内の音波不安定性と、b)液滴が分注され始めた後にのみ起こり得る、ジェットオリフィス周囲の液体蓄積の結果である、オリフィス湿潤効果と、を含む、効果の組み合わせによって生じると仮説が立てられる。不安定な音波の場合、バースト間30msの間隔の後で、この音波反響がこの最初の第1の液滴現象のために十分に減衰されて、それ自体を再確立し、これにより全ての液滴バーストにおいて観測される。同様の説明が、表面湿潤の場合にも該当し得る。30msの遅延は、射出中にオリフィス周囲で採取された液がインクジェットチャンネル内に引き戻されるには十分であり、これが各バーストの始まりに繰り返される。溶媒蒸発を制限しようとする試みは、他のところで示唆したように、純水の射出中であっても存在する効果によって証明されたように、これらの問題のいずれも改善しない。
インクジェット装置のドロップ・オン・デマンド動作は、標的に到達する材料の量を正確に制御するための単純な方法を提供する。しかしながら、連続分注動作よりも、ドロップ・オン・デマンド型分注を実施するのに必要な特性付けの方が顕著に多いことが示されている。これは、大きく言えば、射出された第1の液滴と後続液滴との間の相違の結果であるが、第1の液滴はしばしば形態と軌道が異なり、これらは2つとも標的に精密に到達する能力に影響し、質量においても、分注の正確さに影響を与え得る。これは、少数の液滴を標的に沿ったさまざまな点に付着させる用途において最大の懸念となる。それというのも少数の液滴のバーストが、第1の液滴によって導入される影響に最も敏感だからである。後続の液滴に比べた第1の液滴のサイズは、駆動振幅の関数であるため、この影響によって導入される偏向の方向と規模のいずれも一貫したものではなく、よって数学的に考慮に入れることはできない。標的に到達するのを妨げるため第1の液滴を屈折させるのが理想的な解決策であるが、実際にはこれは、急速な射出頻度と、システムに導入する場合に加わる複雑さのため、達成が困難であり得る。代わりに、特定の目的の解決のために完全なインクジェット特性付けを行うことによって裏付けられた、入念に設計された分注プロトコルが、これらの効果に対処するのに推奨される方法である。
個々の液滴重量は10ナノグラム〜1マイクログラムであるため、たとえオフラインモードであってもその質量を精密に測定するのは非常に難しい。この問題は、実際の液滴付着に使用される複雑な形状及び機械設計により、更に複雑になる。よって、付着時の液滴サイズのオンライン測定及びフィードバック制御は、非常に難しい課題である。その結果、多数の液滴(5000〜20000)を収集し重量を計測して、射出された液滴の平均質量を決定するという、校正スキームが採用されている。このスキームでは、射出された液滴数がいくつであろうとも、液滴の質量は同じままであると仮定されている。本明細書に記述されているように、校正と実際の付着との間の不一致のため、実際の製品は、望ましい物質の正しい量を受け取っていない。
上述のように、この不一致による更なる問題が明らかになった。最初の2、3滴の重量が、これらの液滴生成に使用される電圧振幅の関数として変化することが見出されている。よって、上述の校正手順を使用して計算された平均質量と、最初の1〜20滴(およそ)との間の差は、電圧振幅の関数として変化する。これは図14に図示されている。
これは、連続液滴の中で、個々の液滴の重量が徐々に増加し、次いで領域Aでの動作時にプラトーに達するために起こる(図17を参照。これは、図14の領域Aのバースト内で、関数又は排除命令として、1滴の質量を図示している)。任意のバーストの液滴の第1の液滴は、バースト中の後続の液滴よりも、駆動振幅に対して有意に感受性が高く、質量は、駆動振幅の関数として、後続液滴よりもずっと急速に増加する。よって、領域Cの振幅で、各バーストの第1の液滴は後続の液滴よりもずっと大きい。少数のバーストの液滴については(例えば図14に示されるバースト当たり5滴の場合)、この大きな第1の液滴は、大きな影響を有し、バーストの平均質量を増加させる。しかしながら、多数のバーストの液滴(例えば図14に示されるバースト当たり800滴の場合)については、この影響は、非常に多くの液滴を分注している平均効果によりマスクされるため、反応は線形である。この平均効果のため、平均の液滴質量はバースト内の液滴数の関数となり、第1の液滴の影響は、液滴数が増えるに従って次第に消えていく。よって、いくつの液滴が分注されるかによって異なるため、校正と実際の液滴付着用途との間の不一致を補正するのに、定数オフセットを使用することはできない。
第1の液滴の影響を修正して、液滴付着適用中に分配される材料の正しい量を達成するのには、数多くの方法を利用することができる。本発明は、目的の対象物上にある、十分に画定されたさまざまな位置に、特定の物質を正確に同じ量付着させるための方法を目的とする。本明細書に記述されている代表的な実施形態において、この十分に画定された位置とはリザーバであり、目的の対象物はステントである。上述のように、ジェットは、各位置でたくさんの液滴を付着させ、ジェット又は対象物を動かすことにより、ジェットを次の位置へといずれの方向にも動かすことができる。
隣接するバースト間の時間間隔の関数として、連続液滴全体の平均液滴質量を図示した図17に示しているように、動作領域(図14)によって、この液滴質量は最初に増加又は減少してから、プラトーに達し得る。よって、第1の代表的な方法に従って、もしバースト周波数とジェット/対象物の移動が制御可能なのであれば、Ts<Tdとなり、ここにおいてTsは、2つの連続液滴の時間間隔、又はジェットを次の位置まで動かすのに必要な時間であり、Tdは連続液滴内の隣接する液滴射出の時間間隔である。ただし、最初のバースト周波数は、液滴を生成するためにジェットによって使用されているため、Tdは1/(バースト周波数)に等しくなり、すると下記に示す第1の代表的な方法を利用して、各位置で正確に等しい合計液滴質量を得ることができる。
第1の工程において、多数の液滴が採取され、これにより充填プロセスの開始時に、デバイスはプラトー領域で動作することになる。これには、数百〜数千滴の採取のみが必要となる。このことから、平均液滴重量を算出することができ、このようにして最初の液滴重量は、平均を有意に変化させることがない。第2の工程において、各位置で望ましい液滴質量をもたらすのに何滴の液滴が必要かの計算が実施される。第3及び最後の工程において、ジェットをオンにして実際の液滴付着動作を開始させ、プラトー領域に達するまで最初の数滴を廃棄採取容器に集めてから、Ts<Tdであることを確認しながら各位置で液滴が付着される。動作はこの時点でプラトー領域にあるため、一貫した液滴質量が確実に得られる。
分注の高速周波数、及びサーボ速度などの制限を含むさまざまな要素のため、Ts<Tdの条件に適合することは難しい可能性があるため、異なる方法論が必要になることがある。図18は、隣接バースト間の時間の関数としての、連続液滴全体の平均液滴質量を図示したものである。図18は、引き続く連続液滴の間に、十分な時間Tr(ここでTrは第1の液滴の影響をリセットするのに必要な時間)が許される場合には、第1の液滴の影響をリセットできることを示す。したがって、Ts>Trならば、各連続液滴は同じ合計重量を有することになる。この例において、下記に述べる第2の代表的な方法を利用して、各位置で同じ合計液滴質量を得るか又は達成することができる。
第1の工程において、連続液滴を採取容器内に分注することにより、多数の液滴を採取する。これは、1つの連続液滴中の液滴数を1から多数まで変えて、全連続液滴についてTs>Trを維持した状態で、液滴重量のプラトー部に到達する場所を決定するため、多くの異なる場合について実行しなければならない。次に、異なる液滴数での平均液滴重量が決定される。第2の工程において、各位置で望ましい質量をもたらすのに何滴の液滴が必要かの計算が実施される。第3及び最後の工程において、上記で選択された液滴数を使用し、Ts>Trである状態を確保することによって、対象物の全ての位置で液滴が付着される。
これらの条件のいずれも満たすことができない場合、多数の液滴による校正と、少数の液滴での分注プロセスとの間の差は依然として残る。しかしながら、これは2つの方法のうち1つで対処され得る。特定のプロセスについて図14に示した関係を決定して、校正と分注プロセスとの間の差を理解する。下記に概略を示す第三の代表的な方法は、動作が領域A又はCのいずれであるかに依存して、校正プロセスにより計算されるよりも多いか又は少ないかのいずれかの物質を適用することにより、この差を数学的に補正するのに使用され得る。あるいは、いかなる偏向も導入しないように、校正及び分注プロセスが、連続液滴の数などの全てのパラメータについて同一であることを確保する。第1の液滴の影響は依然として存在するが、校正と分注プロセスで同一になるため、送達される標的材料は依然として精密に達成される。
別の代表的な実施形態によると、本発明によるインクジェット装置の閾値下の電圧の準備は、本明細書に記載される第1の液滴の影響を改善する機構として機能する。この第1の液滴の影響は、本明細書で記載されるように、ドロップ・オン・デマンドディスペンスモードにあるインクジェット又はインクジェット装置の操作の好ましくない結果である。このモードは、トリガーイベントごとに、有限数の液滴の分配を可能にする。このモードで動作しているとき、第1の液滴のバーストは、他の液滴のバーストと比較したとき、モルホロジー、体積、軌道、及び/又は速度において異なることが多い。この差は、液滴の精密な照準及び/又はトリガーイベントごと(例えば、治療薬を埋め込み型医療デバイス内に若しくはその上に充填するなどの)に出射される物質の量に対する正確な制御を必要とするプロセスに、弊害をもたらす場合がある。
上記に概略されたインクジェット装置は、液滴を生成するために、音波原理に基づいて動作する。図19は、典型的ではあるが簡略化されたインクジェット分配要素1900を図示する。現在の構成では、環状の圧電(PZT)素子1902が、中空のシリンダガラス1904を取り囲む。中空のシリンダガラス又はチャネル1904の第1端部1906は、溶液リザーバに接続され(図示されていない)、閉鎖端部と呼ばれ、その一方で中空のシリンダガラス又はチャネル1904の第2端部1908は、ノズル若しくは開口端部である。保護ケーシング1910は、中空のシリンダガラス又はチャネル1904を取り囲む。
PZT素子1902は、電気的波形発生器(図示されていない)を介して制御され、その中のリード1912は、PZT素子1902の内径及び外径に接続される。このタイプの構成で、PZT素子1902は、正電圧又は負電圧に供されるとき、寸法的に摂動される。電圧の上昇は、PZT素子の内径及び外径を拡張させ、その一方で、負電圧は、PZT素子の内径及び外径を収縮させる。これらの正及び負の拡張の正しいタイミングは、中空のシリンダガラス若しくはチャネル1904の開口端部若しくはノズル1908で液滴を出射するのに十分なエネルギーを伴って、中空のシリンダガラス若しくはチャネル1904内に堆積する音波を作製する。液滴を出射するのに使用される、典型的な電気波形が、図10に示されている。上昇時間、滞留時間、及び降下時間がある。
インクジェット装置の動作の連続モードでは、図10に示される波形は、正確な所定の周波数で次々に続き、非常に安定した音波環境を、インクジェットチャネルの内部に形成する(即ち、それぞれ後続の音波が、前の音波のように、同じ音波環境で作られる)。これは、ドロップ・オン・デマンド動作モードでは当てはまらない。なぜならば、このモードの動作では、有限数の液滴が出射され、遅延時間が続き、別の有限数の液滴が続くからである。有限数の液滴のバースト間の、この遅延時間は、液滴のバースト内の動作の周波数と一致しない場合があり、標的の位置の間でチャネルが移動するとき、異なる場合がある。この一致しない音波環境は、本明細書に記載の第1の液滴の影響に対する、主要な寄与因子であるということが以下で推測される。
この影響への他の潜在的な寄与因子は、出射中のインクジェットチャネルのオリフィス周辺の、過剰な流体の堆積である。この堆積は、既知の現象であり、表面湿潤特性及び液滴の出射速度の結果である。この過剰な流体は通常、毛管力を介してチャネル内に引き戻される一方で、出射速度が速すぎるとき及び/又は表面湿潤特性があまりにも好ましくないとき、過剰な流体が引き戻され得るよりも速く、オリフィスの周辺で堆積することがある。この流体の付着は、表面張力の効果を介して、場合によっては、液滴速度及び体積を変えながら、出射された液滴を著しく変える場合がある。
一連の液滴が分配される前に、オリフィスには、これらの流体の付着はない。しかしながら、液滴出射が開始すると、この流体が付着し始め、後の液滴に影響を及ぼす。第1の液滴と後の液滴との間の、このオリフィスの状態の不一致はまた、本明細書に記載の第1の液滴の影響に寄与する。
これらの仮定される要因の両方は、第1の出射された液滴と後の液滴との間の異なる環境に関連しているため、本発明による方法は、本明細書では、第1の液滴が出射される前に安定した環境を確立するために示されている。これは、上記のように、動作の所望の周波数ではあるが、実際に液滴を作製するのに必要である周波数の直下の規模で、音波をインクジェットチャネルの内部に導入することによって達成され得る。この規模において、音波はチャネルの内部で前後に移動し、安定した音波環境を確立する。これらの波はまた制御されて、表面張力を破壊し、実際に液滴を作製するには不十分な力で、チャネルのオリフィスを通過した流体を押すことができる。この条件を用いて、ジェットオリフィスに任意の流体湿潤も、液滴出射が開始する前に確立される。この閾値下の多くの準備サイクルが達成されると、波形送達の周波数を変更することなく、PZT素子に供給される電圧がリアルタイムで上昇し、これはインクジェットチャネルにおける音波環境を乱し得る。準備及び液滴生成波形の一連の概略は、液滴を作製するのに必要である閾値電圧以下のパルスA、B、C(準備パルス)、及び液滴を出射するのに必要である閾値以上のパルスD及びEとともに図21に示されている。図示されているように図21の波形は、それぞれ、図10に示されているものと同じであるが、パルスA、B、Cは、液滴を作製するのに必要な程度以下の、電圧振幅を有している。
これらの準備パルスの導入は、ドロップ・オン・デマンド出射中に存在するのと同様な、安定した再現性のある音波及びオリフィスの湿潤環境を確立する。この準備は、あらゆるドロップ・オン・デマンド塗布において、非常に望ましくない、第1の液滴の影響を最小限にするか、排除する。
電気パルスを、インクジェットの圧電素子に導入することで、チャネル内の流体は摂動し、チャネルの各端部で反射によって、前後に反響する流体内で、音波を生じる。これらの波は最終的には弱まるが、既存の反射波が十分に弱まる前に、第2の電気パルスが導入された場合、反射した波の効果及び新しく導入された波は付加的である。チャネル内の音波の付加的な影響のために、これらの状況下では、第2の電気パルスの影響は、第1の電気パルスの影響と同じではない。また、それぞれの後の電気パルスが、前のパルスと同じ最大音波振幅となるまで、更なる電気パルスの影響は、前の電気パルスとは同じではない。インクジェットから出射された液滴の粒径及び速度は、インクジェットの出射オリフィスに到達する音波の振幅に一致するので、バーストの後続の液滴の粒径及び速度は、音波の振幅が安定するまで、変化すると予想され得る。適切な設計の準備パルスの使用は、液滴出射に必要とされる閾値直下の、安定した音波振幅を作製することができる。より大きな振幅の電気インパルス後の変化は、次いで、液滴出射のために十分な振幅を有する音波を生じる一方で、チャネル内の既存の音波環境の摂動を最小限にする。これは、一連の出射された液滴となるので、第1の液滴の速度又は質量は後の液滴の速度又は質量と最小限に異なる。
薬剤/薬剤の組み合わせの局所への送達を利用することによって、任意の数の医療機器を用いて多岐にわたる状態を治療し、あるいは機器の機能及び/又は寿命を向上させることが可能であることに注意することが重要である。例えば、白内障の手術後に視力を回復するために留置される眼内レンズはしばしば後発白内障の形成によって機能が損なわれる。後発白内障はしばしばレンズ表面における細胞の異常増殖の結果起こり、薬物をデバイスと組み合わせることによって最小限にされる可能性がある。組織の内部成長やデバイスの内部、表面、及び周囲へのタンパク性物質の蓄積によってその機能がしばしば損なわれる、水頭症用のシャント、透析グラフト、人工肛門形成術用バッグ取り付け装置、耳のドレナージ管、ペースメーカーのリード、及び移植型除細動器といった他の医療デバイスもこうしたデバイス−薬物の複合的アプローチによって利するものである。組織又は臓器の構造及び機能を改善する機能を有するデバイスも、適当な薬剤又は薬物と組み合わせた場合にやはり効果を示す。例えば、移植されるデバイスの安定性を高める整形外科用デバイスの骨結合(osteointegration)は、デバイスを骨形成タンパク質等の薬剤と組み合わせることによって達成される可能性がある。同様に他の手術デバイス、縫合糸、ステープル、吻合装置、椎間板(vertebral disk)、骨ピン、縫合糸アンカー、止血バリア、クランプ、スクリュー、プレート、クリップ、血管インプラント、組織接着剤及びシーラント、組織スキャフォールド、各種ドレッシング、骨代用材、管腔内装置、及び血管支持具もこうした薬物−デバイスの複合的アプローチを用いることで患者にとって利するところが大きい。血管周囲ラップは単独又は他の医療デバイスと組み合わせても特に効果的である。血管周囲ラップは治療部位に更なる薬物を供給することが可能である。本質的に、任意の種類の医療デバイスを薬物又は薬物の組み合わせによって何らかの方法で被覆することが可能であり、これによりデバイス又は治療薬の単独の使用と比較して優れた治療効果が得られる。
さまざまな医療デバイスに加え、このデバイスのコーティングを利用して、任意の数の治療薬及び薬剤を送達するのに使用できる。本発明とともに使用するための治療薬のいくつかは、主に管腔側から、主に壁面から、又はその両方で、単独で、又は組み合わせで伝達することができ、それらは抗増殖剤、抗トロンビン、シロリムスを含む免疫抑制剤、抗高脂血薬、抗炎症剤、抗新生物薬、抗血小板薬、血管形成剤、血管新生阻害剤、ビタミン、有糸分裂阻害剤、メタプロテアーゼ阻害剤、NOドナー、エストラジオール、抗硬化剤、及び血管作動薬、内皮増殖因子、エストロゲン、β遮断薬、AZ遮断薬、ホルモン、スタチン、インスリン増殖因子、抗酸化剤、膜安定化剤、カルシウム拮抗剤、レチノイド(retenoid)、ビバリルジン、フェノキソジオール、エトポシド、チクロピジン、ジピリダモール及びトラピジルを含むがこれらに限定されず、これらは単独で、又は本明細書に言及した任意の治療薬と組み合わせて送達することができる。治療薬は、いくつか例を挙げれば、ペプチド、リポタンパク質、ポリペプチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、脂質、タンパク質−薬物、タンパク質コンジュゲート薬、酵素、オリゴヌクレオチド及びこれらの誘導体、リボザイム、他の遺伝子材料、細胞、アンチセンス、オリゴヌクレオチド、モノクローナル抗体、血小板、プリオン、ウイルス、細菌、及び内皮細胞等の真核生物細胞、幹細胞、ACE阻害剤、単球/マクロファージ又は血管平滑筋細胞を含む。治療薬は、宿主に投与された際に、所望の薬物に代謝されるプロ−ドラッグであってもよい。加えて、治療薬は、治療層内に組み込まれるに先立って、マイクロカプセル、ミクロスフェア、微小気泡、リポソーム、ニオソーム(niosome)、乳剤、分散剤又は同様物として予め調製されてもよい。治療薬は、放射性同位体、又は光若しくは超音波エネルギー等の数種の他の形態のエネルギーにより、若しくは全身投与し得る他の循環分子により活性化された薬剤であってもよい。治療薬は、血管新生、再狭窄、細胞増殖、血栓症、血小板凝集、血塊、及び血管拡張の調整を含む多数の機能を実行し得る。
抗炎症剤は、例えばアリール酢酸誘導体、例えばジクロフェナク、アリールプロピオン酸誘導体、例えばナプロキセン、及びサリチル酸誘導体、例えばジフルニサル等の非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)を含むが、これらに限定されない。抗炎症剤は、デキサメタゾン、アスピリン、プレドニゾロン、及びトライアムシナロン等のグルココルチコイド(ステロイド)、ピルフェニドン、メクロフェナム酸、トラニラスト、並びに非ステロイド性抗炎症剤も含む。抗炎症剤は抗増殖剤と組み合わせて使用されて、抗増殖剤に対する組織反応を緩和し得る。
薬剤はまた、抗リンパ球薬;抗マクロファージ物質;免疫調節薬;シクロオキシゲナーゼ阻害物質;抗酸化剤;コレステロール低下薬;変換酵素(ACE)におけるスタチン及びアンジオテン;線維素溶解薬;内因性凝固カスケードの阻害物質;抗高リポタンパク血症薬;及び抗血小板薬;2−クロロデオキシアデノシン(2−CdA又はクラドリビン)などの抗代謝産物;シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、エトポシド及びミトキサントロンなどの免疫抑制剤;2−CdA、IL−1阻害物質、抗CD116/CD18モノクローナル抗体、VCAM又はICAMに対するモノクローナル抗体、亜鉛プロトポルフィリンなどの抗白血球薬;NOを上昇させる薬剤などの抗マクロファージ物質;グリタゾンなどのインスリンに対する細胞増感剤;高比重リポタンパク質(HDL)及び誘導体;リピトール、ロバスタチン(lovestatin)、プラバスタチン、アトルバスタチン、シムバスタチン及びスタチン誘導体などのHDLの合成複製;アデノシン及びジピリダモールなどの血管拡張薬;一酸化窒素ドナー;プロスタグランジン及びその誘導体;抗TNF化合物;β遮断薬、ACE阻害物質及びカルシウムチャネル遮断薬などの高血圧薬;血管作動性腸管ポリペプチド(VIP)などの血管作動性物質;インスリン;グリタゾン、P par増殖因子及びメトホルミンなどのインスリンに対する細胞増感剤;プロテインキナーゼ;レステン−NGなどのアンチセンスオリゴヌクレオチド;チロフィバン、エプチフィバチド及びアブシキシマブなどの抗血小板剤;VIP、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)、アポA−lミラノ、アムロジピン、ニコランジル、シロスタキソン及びチエノピリジンなどの心臓保護剤;COX−1及びCOX−2阻害物質などのシクロオキシゲナーゼ阻害物質;並びに、オムニパトリラット(omnipatrilat)などの解糖代謝を上昇させるペチドース(petidose)阻害物質を含み得る。炎症の処置に使用し得る他の薬物には、脂質低下剤、エストロゲン及びプロゲスチン、エンドセリン受容体作動薬及びインターロイキン−6拮抗薬、並びにアディポネクチンが挙げられる。
薬剤は、遺伝子療法ベースの手法を、拡張可能な医療デバイスと組み合わせて用いて送達することができる。遺伝子療法は、外来遺伝子を細胞又は組織に送達して、標的細胞に外来遺伝子産物を発現させることを指す。遺伝子は、典型的には、機械的又はベクター仲介による方法のいずれかで送達される。
本明細書に記載されるいくつかの薬剤は、薬剤の活性を保存する添加剤と組み合わされてもよい。例えば、界面活性剤、制酸剤、抗酸化剤及び洗浄剤を含む添加剤は、タンパク質薬物の変性及び凝集を最小限にするために用いることができる。アニオン性、カチオン性、又は非イオン性界面活性剤を使用してもよい。非イオン性賦形剤の例には、ソルビトール、ショ糖、トレハロースを含む糖;デキストラン、カルボキシメチル(CM)デキストラン、ジエチルアミノエチル(DEAE)デキストランを含むデキストラン;D−グルコサミン酸、及びD−ブドウ糖ジエチルメルカプタールを含む糖誘導体;ポリエチレングリコール(PEO)及びポリビニルピロリドン(PVP)を含む合成ポリエステル;D−乳酸、グリコール酸、及びプロピオン酸を含むカルボン酸;n−ドデシル−β−D−マルトシド、n−オクチル−β−D−グルコシド、PEO−脂肪酸エステル(例えば、ステアリン酸エステル(myrj 59)又はオレイン酸エステル)、PEO−ソルビタン−脂肪酸エステル(例えば、Tween 80、PEO−20モノオレイン酸ソルビタン)、ソルビタン−脂肪酸エステル(例えば、SPAN 60、モノステアリン酸ソルビタン)、PEO−グリセリル−脂肪酸エステルを含む、疎水性界面のための親和性を伴う界面活性剤;グリセリル脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸グリセリル)、PEO−炭化水素−エーテル(例えば、PEO−10オレイルエーテル);トリトンX−100;並びにルブロールが挙げられるが、これらに限定されない。イオン性洗浄剤の例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸亜鉛を含む脂肪酸塩;レシチン及びフォスファチジルコリンを含むリン脂質;(PC)CM−PEG;コール酸;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);ドクサート(AOT);並びにタウロコール酸が挙げられるが、これらに限定されない。
別の代表的な実施形態によれば、インクジェット液滴質量の定量化のための紫外線可視光分光法が、標的位置にてナノグラム量の所与の物質を精密にかつ繰り返し付着させるために、利用され得る。この方法の背後にある一般的な原則は、インクジェットディスペンサーから目的の溶液の既知の数の液滴を、正確な量の所与の溶媒を充填したキュベットの中に分注することを伴う。次に、キュベット内の試料の吸光度スペクトル(本明細書では分光用溶液と呼ぶ)を測定し、標準曲線を使用して、キュベット内の様々な成分の濃度を計算する。次に、キュベット内の溶媒の元々の体積が既知であるので、得られた濃度を利用して、インクジェットから分注された液滴の質量を計算してもよい。
続いて説明される実験で用いるドロップ・オン・デマンド型装置は、40μmのオリフィス直径を有する低温生物学的インクジェット(MJ−AB−63−40、MicroFab Technologies(Plano,TX))であった。この装置は、標準的なコンピュータに接続されたMicroFab JetDrive III電子制御ユニットを介して操作され、それを介して駆動波形についての電気的パラメータが構成された。液滴を形成するためにこれらの実験で使用されるインクジェット溶液は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)及びシロリムス(ラパマイシン)を含んだ。Agilent 8453紫外線可視光分光光度計(Agilent Technologies(Santa Clara,CA))を使用して、吸光度データを測定し、続いてこれらをAgilent ChemStationソフトウェア一式を用いて分析した。
遮断波長の低さ並びに製造環境における移送及び廃棄の容易さにより、脱イオン水(MilliQ又は相当物)を、この実験における全試料について、キュベット内に充填された溶媒として使用した。試料を調製し、ガラスシンチレーションバイアルに採取し、次に、ピぺッターを用いて、定量化される液滴の量に応じて、2種類のAgilent石英キュベットの1つに移した。このキュベットは、2mL又は0.1mLの試料体積のいずれかを必要とし、そのため、本明細書に記載の全試料は、これらのうちの一方の体積の水(使用前に脱気済み)の中に溶解させた。1秒の積分時間により1nmの増分にて190〜1100nmで、吸光度値を採取した。
幅広い波長にわたって吸光度が測定されるように、様々な濃度における溶液成分の測定の実用可能性を判定するために、予備スクリーニング実験を実施した。後の実験には、208nmの波長における吸光度値のみを使用した。これはDMSOについてのピーク吸光度に相当する。より正確な吸光度測定が必要とされる場合には、まずキュベットの重さを化学天秤(Mettler Toledo XP205 DeltaRange)で量り、次に1mLの脱イオン水を充填し、同じ天秤で量った。これにより、溶媒体積が体積測定及び重量測定の両方で決定されたので、濃度のより精密な測定が可能になった。
この実験は、インクジェットマイクロディスペンサーの特徴付けのための紫外線可視光分光法の開発のために設計された。2つの主要目標が関心事であった:数千の代わりに数百の液滴でインクジェット出力を定量化できることによる現行方法の検出限界における改善、並びに、射出後のインクジェット溶液混合特性の評価における補助。第一の目標は、分光用溶液中の単一種の追跡と、他の因子について注意深く制御しながら吸光度を測定することを必要とした。第二の目標は、第一の目標の拡張であり、均質性を確保するように分光用溶液中の複数種を追跡するために、並びに、偏析及び沈殿などの起こり得るインクジェットに誘発された非均一性について洞察を得るために、求められる。
最初の実用可能性実験は、インクジェット溶液中の物質が検出可能であるかどうか、並びに、関連する濃度が検出器飽和を生じることなく問題の種を定量化するのに適切な吸光度値を生じるかどうか、を判定することを目的とした。これを達成するために、DMSOのみの水溶液を用いて190〜1100nmの波長範囲で幅広い吸光度用溶液濃度を測定した。DMSOはインクジェット溶液の86体積パーセントを構成するので、DMSOが最も強い吸光度を呈し、ジェット出力の測定において最大の影響を有する種を構成することを前提とした。
図21は、様々な濃度のDMSOが脱イオン水中に溶解したこのような実験のうちの第一のものを示す。1900以上の液滴量は検出器読み取りを飽和させることが判明し、57以下の液滴量は定量化のために十分な吸光度を呈さなかった。これらの値の間の濃度は、分光計にとって所望される吸光度範囲内の208nmにて吸光度ピークを生じ、この波長は、DMSOの理論的吸光度と一致した。DMSOに関する吸光度ピークが水の遮断波長に近接するにも関わらず、ピークは、更なる調査を正当化するのに十分に明確であった。
定量化のために目的の種として溶媒を使用すると、蒸発に関する問題が生じるが、それは蒸発により、この方法がインクジェットから射出される物質の実際量を正確に評価する能力が阻害されるからである。多くの用途はこれを考慮する必要があるが、DMSOの比較的高い沸点(189℃)及びその結果としての緩慢な蒸発速度に起因して、この研究に関しては考慮の必要はほとんどない。更に、過剰な蒸発を防止すると、射出された液滴が採取液体に届く前に空気中で過ごす時間が最小限の量になる(およそ10ms)。DMSOと共に処理する場合には、その吸湿挙動に起因して、研究室環境からの水分吸収がより大きな関心事である。しかしながら、水分吸収はDMSOピーク吸光度波長に全く影響を与えず、推定される水分吸収量は、水性の分光法用試料体積に有意な影響をもたらさないと計算され、測定可能な影響を濃度計算に与えなかった。
インクジェット溶液の主要成分についての理想的な濃度範囲を決定してから、この溶液に薬剤及びポリマーを加え、同様のスクリーニング研究を行って、これらの他の種に関する吸光度ピークを測定した。完全溶液についての典型的なスペクトルを図22に示す。
DMSO及びPLGAに関する208nmにおける吸光度ピークに加えて、281nmを中心にして271及び293nmに肩部となるピークを有する三つ組ピークも存在する。この三つ組は、ラパマイシンの理論的吸光度波長及び挙動と一致するが、最大で、DMSOの吸光度のおよそ三分の一の吸光度を呈する。しかしながら、どちらの種についても吸光度ピークは、同一の分光法用試料の濃度にて捕捉することができ、これらの2つの種についての濃度の同時評価は実行可能である。DMSO及びPLGAはどちらも208nmにて吸収するが、分光法用溶液中のPLGAの濃度は検出限界以下であり、それ自体は、この波長においては吸光度に寄与しない。吸光度強度の最大化と液滴量の最小化との間のバランスに基づいて、インクジェット性能特徴付けのために10μg/mL(インクジェットから分注される200滴の液滴に相当)の分光法用試料の濃度を選択した。
この試料濃度を、使用されるキュベットに基づいて、インクジェットデバイスから射出される液滴の様々な量と関連付けた。約2mL試料体積の大きい方のキュベットについては、これは、現行インクジェット構成についておよそ200滴の液滴に等しかった。しかしながら、約100μLの試料体積のマイクロキュベットについては、この濃度は、現行インクジェット構成について1滴の液滴に等しかった。ある程度の再現性の喪失が光路長の短さゆえにマイクロキュベットについて予想されるが、本方法は、マイクロキュベットの中に分注された1滴の液滴について193:1の信号対雑音比を呈した。
本発明は、インクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴について液滴質量又は溶解した溶質の濃度のうちの少なくとも1つを測定する方法として単純に記述され得る。
インクジェットから分注される液滴は、様々な溶解した微量の溶質成分、例えば、ポリマー又は活性薬物又は治療薬物質、を追加的に含んでもよく又は含まなくてもよい主液体成分からなる。この分注溶液の慎重な調製は、全成分の正確な質量比が分かることを意味する。1滴又は2滴以上の液滴の質量の紫外線測定に関しては、目的の成分についての適切な紫外線吸光度波長が測定される必要がある。これは多くの溶液の調製を伴い、これらの溶液の第一のものは主液体成分であり、第二のものは存在する場合には第一微量溶質成分と組み合わせた主液体成分であり、第三のものは存在する場合には第二微量溶質成分と組み合わせた主液体成分である、といったようになっている。各溶液を次に石英キュベット内に配置し、このキュベットを紫外線可視光分光計の紫外線光源により照射する。光はキュベットを通過するので、一部の光は、波長によっては、分注溶液成分により吸収され得る。190〜400nmで各分注溶液成分について紫外線吸収を調べることにより、存在する場合には、最大限の吸収に対応する波長を定めることができる。
次に、分注溶液を水に加えて様々な正確に制御された希釈濃度に希釈し、目的の成分の最大限の吸光度に対応する波長にて各溶液の吸光度を測定することにより、標準曲線を準備する。次に、成分濃度に対するこの波長における吸収のプロットを作成する。起こり得る吸光度の不安定性を回避するために、紫外線吸収測定前に各溶液を超音波処理してマイクロ気泡を除去してもよい。
分注された液滴の質量の測定のために、正確な所定の量の水(典型的には高精度マイクロ天秤で定量)を含む紫外線キュベット内に1滴又は2滴以上のインクジェット液滴を分注する。主液体成分に対応する最大吸収波長における吸光度値をその標準曲線と比較し、次にこれによりキュベット内のその濃度の測定が可能になる。キュベット内の水の量は分かっているので、キュベット内の得られた濃度は、分注された主液体成分全体の質量に変換され得る。続いて、分注溶液の全成分についての質量比は分かっているので、1滴又は2滴以上の液滴に分注された分注溶液全体の質量を計算してもよい。
同様に、様々な微量溶質成分の濃度を測定するために、各微量成分についての最大吸収波長における吸収値をその標準曲線と比較し、これによりキュベット内の各成分の濃度を個別に決定することが可能になる。上記と同様な論理を用いて、これらの成分の濃度比、並びに、各成分についての液滴1滴当たりの質量を計算してもよい。
ここで図示及び説明した実施形態は、最も実用的で好適な実施形態と考えられるが、当業者であれば、ここに図示及び開示した特定の設計及び方法からの変更はそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、記載及び図示された特定の構成に限定されず、添付の特許請求の範囲内に含まれ得る全ての変更物と一致するよう構成されるべきである。
〔実施の態様〕
(1) インクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴について液滴質量又は溶解した溶質の濃度のうちの少なくとも1つを測定する方法であって、該方法は、
前記インクジェット分注デバイスから第一溶媒の1滴又は2滴以上の液滴を、所定の量の第二溶媒を含有するキュベットの中に分注して混合することと、
前記キュベット内の前記第一溶媒と第二溶媒とで得られる溶液の紫外線吸収スペクトルを測定することと、
前記第一溶媒に対応する特定の波長にて紫外線吸収スペクトルを利用し、それを所定の検量線と比較することにより、前記インクジェット分注デバイスにより分注される前記1滴又は2滴以上の液滴の質量を計算することと、を含む、方法。
(2) インクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴について液滴質量又は溶解した溶質の濃度のうちの少なくとも1つを測定する方法であって、該方法は、
前記インクジェット分注デバイスから第一溶媒と1つ又は2つ以上の溶質とを含む目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴を、所定の量の第二溶媒を含有するキュベットの中に分注して混合し、その結果生じる溶液を得ることと、
前記キュベット内の前記得られた溶液の紫外線吸収スペクトルを測定することと、
前記第一溶媒に対応する特定の波長にて紫外線吸収スペクトルを利用し、それを所定の検量線と比較することにより、前記インクジェット分注デバイスにより分注される前記1滴又は2滴以上の液滴の質量を計算することと、
前記溶液中の前記1つ又は2つ以上の溶質に対応する特定の波長にて紫外線吸収スペクトルを利用し、それを所定の検量線と比較することにより、前記インクジェット分注デバイスにより分注される前記1滴又は2滴以上の液滴中の各々の前記1つ又は2つ以上の溶質の濃度を計算することと、を含む、方法。
(3) 前記1つ又は2つ以上の溶質がポリマー、治療薬又はポリマーと治療薬との組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、実施態様1に記載のインクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴について液滴質量又は溶解した溶質の濃度のうちの少なくとも1つを測定する方法。
(4) 前記治療薬がラパマイシンを含む、実施態様3に記載のインクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴について、液滴質量又は溶解した溶質の濃度のうちの少なくとも1つを測定する方法。
(5) 前記ポリマーがPLGAを含む、実施態様3に記載のインクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴について、液滴質量又は溶解した溶質の濃度のうちの少なくとも1つを測定する方法。

Claims (5)

  1. インクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴について液滴質量又は溶解した溶質の濃度のうちの少なくとも1つを測定する方法であって、該方法は、
    前記インクジェット分注デバイスから第一溶媒の1滴又は2滴以上の液滴を、所定の量の第二溶媒を含有するキュベットの中に分注して混合することと、
    前記キュベット内の前記第一溶媒と第二溶媒とで得られる溶液の紫外線吸収スペクトルを測定することと、
    前記第一溶媒に対応する特定の波長にて紫外線吸収スペクトルを利用し、それを所定の検量線と比較することにより、前記インクジェット分注デバイスにより分注される前記1滴又は2滴以上の液滴の質量を計算することと、を含む、方法。
  2. インクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴について液滴質量又は溶解した溶質の濃度のうちの少なくとも1つを測定する方法であって、該方法は、
    前記インクジェット分注デバイスから第一溶媒と1つ又は2つ以上の溶質とを含む目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴を、所定の量の第二溶媒を含有するキュベットの中に分注して混合し、その結果生じる溶液を得ることと、
    前記キュベット内の前記得られた溶液の紫外線吸収スペクトルを測定することと、
    前記第一溶媒に対応する特定の波長にて紫外線吸収スペクトルを利用し、それを所定の検量線と比較することにより、前記インクジェット分注デバイスにより分注される前記1滴又は2滴以上の液滴の質量を計算することと、
    前記溶液中の前記1つ又は2つ以上の溶質に対応する特定の波長にて紫外線吸収スペクトルを利用し、それを所定の検量線と比較することにより、前記インクジェット分注デバイスにより分注される前記1滴又は2滴以上の液滴中の各々の前記1つ又は2つ以上の溶質の濃度を計算することと、を含む、方法。
  3. 前記1つ又は2つ以上の溶質がポリマー、治療薬又はポリマーと治療薬との組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のインクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴について液滴質量又は溶解した溶質の濃度のうちの少なくとも1つを測定する方法。
  4. 前記治療薬がラパマイシンを含む、請求項3に記載のインクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴について、液滴質量又は溶解した溶質の濃度のうちの少なくとも1つを測定する方法。
  5. 前記ポリマーがPLGAを含む、請求項3に記載のインクジェット分注デバイスから分注される目的の液体の1滴又は2滴以上の液滴について、液滴質量又は溶解した溶質の濃度のうちの少なくとも1つを測定する方法。
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