JP2012072371A - 液晶ポリエステル組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶ポリエステルと板状充填材と中空状充填材とを所望の割合で含む組成物を有利に製造する。
【解決手段】シリンダーと、前記シリンダー内に配置されたスクリュウと、前記シリンダーに上流側から順に設けられた第1供給部、第2供給部及び第3供給部とを有する押出機を用い、前記スクリュウを回転させながら、前記シリンダーに、液晶ポリエステルを前記第1供給部から供給し、板状充填材を前記第2供給部から供給し、中空状充填材を前記第3供給部から供給し、溶融混練して押し出すことにより、組成物を製造する。
【選択図】図1
【解決手段】シリンダーと、前記シリンダー内に配置されたスクリュウと、前記シリンダーに上流側から順に設けられた第1供給部、第2供給部及び第3供給部とを有する押出機を用い、前記スクリュウを回転させながら、前記シリンダーに、液晶ポリエステルを前記第1供給部から供給し、板状充填材を前記第2供給部から供給し、中空状充填材を前記第3供給部から供給し、溶融混練して押し出すことにより、組成物を製造する。
【選択図】図1
Description
本発明は、液晶ポリエステルと板状充填材と中空状充填材とを含む組成物の製造方法に関する。
液晶ポリエステルは、溶融流動性に優れ、耐熱性も高いことから、薄肉部を有する電気・電子部品を製造するための成形材料として好ましく用いられているが、成形時の流動方向とその垂直方向とで成形収縮率や成形体の機械的性質に異方性が生じ易いため、成形体に反りが生じ易かったり、成形体のウエルド強度が低下し易かったりするという問題がある。このような問題を解消するため、液晶ポリエステルに板状充填材を配合することが検討されている(例えば特許文献1〜5)。また、軽量すなわち低比重の成形体が求められる場合、液晶ポリエステルに中空状充填材を配合することが検討されており、例えば、特許文献6には、スクリュウが内部に配置されたシリンダーを有する押出機を用い、スクリュウを回転させながら、シリンダーに上流側供給部から液晶ポリエステルを供給し、下流側供給部から中空状充填材を供給し、他の充填材を上流側供給部又は下流側供給部から供給し、溶融混練して押し出すことにより、組成物を製造する方法が開示されている。
前記従来の方法で液晶ポリエステルと板状充填材と中空状充填材とを含む組成物を製造する場合、板状充填材がバックフローすなわち噛み込み不良により供給され難いことがあり、所望の組成の組成物が得られ難いことがある。そこで、本発明の目的は、液晶ポリエステルと板状充填材と中空状充填材とを所望の割合で含む組成物を有利に製造しうる方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、シリンダーと、前記シリンダー内に配置されたスクリュウと、前記シリンダーに上流側から順に設けられた第1供給部、第2供給部及び第3供給部とを有する押出機を用い、前記スクリュウを回転させながら、前記シリンダーに、液晶ポリエステルを前記第1供給部から供給し、板状充填材を前記第2供給部から供給し、中空状充填材を前記第3供給部から供給し、溶融混練して押し出すことを特徴とする組成物の製造方法を提供する。
本発明によれば、液晶ポリエステルと板状充填材と中空状充填材とを所望の割合で含む組成物を有利に製造することができる。
液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
液晶ポリエステルの典型的な例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる化合物とを重合(重縮合)させてなるもの、複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる化合物とを重合させてなるもの、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを重合させてなるものが挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのそれぞれの一部又は全部に代えて、その重縮合可能な誘導体を用いてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重縮合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基やアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの、カルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるものが挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重縮合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるものが挙げられる。芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重縮合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるものが挙げられる。
液晶ポリエステルは、下記式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を有するものであることが好ましく、さらに、下記式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)と、下記式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)とを有するものであることがより好ましい。
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
(Ar1は、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(−NH−)を表す。Ar1、Ar2又はAr3で表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar4−Z−Ar5−
(Ar4及びAr5は、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
ここで、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基及び2−エチルヘキシル基が挙げられ、その炭素数は通常1〜10である。アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は通常6〜20である。アルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基及び2−エチルヘキシリデン基が挙げられ、その炭素数は通常1〜10である。
繰返し単位(1)は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位であり、Ar1としては、p−フェニレン基(p−ヒドロキシ安息香酸に由来)及び2,6−ナフチレン基(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来)が好ましい。
繰返し単位(2)は、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位であり、Ar2としては、p−フェニレン基(テレフタル酸に由来)、m−フェニレン基(イソフタル酸に由来)及び2,6−ナフチレン基(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来)が好ましい。
繰返し単位(3)は、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位であり、Ar3としては、p−フェニレン基(ヒドロキノン、p−アミノフェノール又はp−フェニレンジアミンに由来)及び4,4’−ビフェニリレン基(4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジアミノビフェニルに由来)が好ましい。
繰返し単位(1)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量を各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30モル%以上であり、より好ましくは30〜80モル%であり、さらに好ましくは40〜70モル%である。繰返し単位(1)の含有量が多いほど、液晶ポリエステルの液晶性が向上する傾向にあり、液晶ポリエステルひいては組成物の溶融流動性が向上する傾向にあるが、あまり多いと、液晶ポリエステルの溶融温度が高くなり易く、組成物の成形に高温を要し易くなる。
繰返し単位(2)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下であり、より好ましくは10〜35モル%であり、さらに好ましくは15〜30モル%である。
繰返し単位(3)の含有量は、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下であり、より好ましくは10〜35モル%であり、さらに好ましくは15〜30モル%である。
繰返し単位(2)と繰返し単位(3)との含有割合は、[繰返し単位(2)]/[繰返し単位(3)](モル/モル)で表して、0.9/1〜1/0.9であることが、液晶ポリエステルの分子量が高くなり易く、液晶ポリエステルひいては組成物の耐熱性や強度が向上し易いので、好ましい。
繰返し単位(3)は、X及びYがそれぞれ酸素原子であること、すなわち、芳香族ジオールに由来する繰返し単位であることが、液晶ポリエステルひいては組成物の溶融粘度が低くなり易いので、好ましい。
液晶ポリエステルは、原料モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(プレポリマー)を固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や強度が高い高分子量の液晶ポリエステルを操作性良く製造することができる。前記溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよく、この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、好ましくは360℃以上、より好ましくは370℃以上であり、また、通常410℃以下、好ましくは400℃以下である。液晶ポリエステルの流動開始温度が高いほど、液晶ポリエステルひいては組成物の耐熱性や強度が向上する傾向にあるが、あまり高いと、液晶ポリエステルの溶融温度が高くなり易く、組成物の成形に高温を要し易くなる。
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管レオメータを用い、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下において、4℃/分の昇温速度で液晶ポリエステルの加熱溶融体をノズルから押し出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48,000ポイズ)を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
液晶ポリエステルに配合される板状充填材としては、例えば、タルク、マイカ、ガラスフレーク、モンモリロナイト、スメクタイト、黒鉛、窒化ホウ素及び二硫化モリブデンが挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。中でも、マイカを用いる場合に本発明の方法は好適である。
マイカの例としては、金雲母、白雲母、セリサイト、フッ素金雲母、K四珪素雲母、Na四珪素雲母、Naテニオライト及びLiテニオライトが挙げられ、電気絶縁性や耐熱性の点から、金雲母や白雲母が好ましい。マイカを製造する際の粉砕法は、湿式粉砕法であってもよいし、乾式粉砕法であってもよいが、粒度分布が小さくなり易いことから、湿式粉砕法が好ましい。
板状充填材の体積平均粒径は、好ましくは5〜50μmであり、より好ましくは15〜40μmである。板状充填材の体積平均粒径が小さいほど、噛み込み不良が生じ易い傾向にあるので、これを抑制する本発明の方法が有利に採用される。ただし、板状充填材の体積平均粒径があまり小さいと、板状フィラー表面に付着している付着水の量が多くなり易く、この付着水の影響で液晶ポリエステルの加水分解が生じ易くなる。
板状充填材の配合量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、通常10〜50質量部であり、好ましくは15〜45質量部である。板状充填材の配合量があまり少ないと、組成物の剛性が低下し易くなり、あまり多いと、組成物の溶融流動性が低下し易くなり、組成物を薄肉部を有する成形体に成形し難くなる。
液晶ポリエステルに配合される中空状充填材としては、例えば、シラスバルーン、ガラスバルーン、セラミックバルーン、有機樹脂バルーン及びフラーレンが挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。中でも、破損し難いことから、ガラスバルーンが好ましい。
中空状充填材の体積平均粒径は、好ましくは1〜200μmであり、より好ましくは5〜100μmであり、さらに好ましくは10〜50μmであり、特に好ましくは10〜30μmである。中空状充填材の体積平均粒径があまり大きいと、中空状充填材の強度が低下し易くなり、中空状充填材が破損し易くなり、あまり小さいと、中空状充填材の表面積が大きくなるため、中空状充填材が吸湿し易くなり、組成物の製造時(造粒時)に液晶ポリエステル加水分解され易くなる恐れがある。中空状充填材の強度は、好ましくは1000kg/cm2以上であり、より好ましくは1000〜1800kg/cm2であり、さらに好ましくは1200〜1800kg/cm2である。
中空状充填材の配合量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、通常5〜30質量部であり、好ましくは5〜20質量部である。中空状充填材の配合量があまり少ないと、組成物の軽量化(低比重化)効果が不十分になり易く、あまり多いと、組成物の剛性が低下し易くなる。
液晶ポリエステルには、必要に応じて、液晶ポリエステル以外の樹脂、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルやその変性物、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を配合してもよいが、その量は液晶ポリエステル100質量部に対して、通常20質量部までである。
また、液晶ポリエステルには、必要に応じて、添加剤、例えば、金属石鹸類等の離型改良剤;染料、顔料等の着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤等;高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等の外部滑剤効果を有する添加剤を配合してもよい。
本発明では、前記の如き液晶ポリエステルと板状充填材と中空状充填材とを含む組成物の製造を、シリンダーと、その中に配置されたスクリュウと、シリンダーに上流側から順に設けられた第1供給部、第2供給部及び第3供給部とを有する押出機を用いて行う。そして、スクリュウを回転させながら、シリンダーに、液晶ポリエステルを第1供給部から供給し、板状充填材を第2供給部から供給し、中空状充填材を第3供給部から供給し、溶融混練して押し出す。これにより、板状充填材の噛み込み不良を抑制して、液晶ポリエステルと板状充填材と中空状充填材とを所望の割合で含む組成物を有利に製造することができる。
図1は、本発明で用いる押出機の例を模式的に示す断面図である。押出機は、スクリュウを1本有する短軸押出機であってもよいし、スクリュウを2本有する二軸押出機であってもよいが、二軸押出機が好ましい。二軸押出機では同方向回転の1条ネジのものから3条ネジのものまで使用可能であり、異方向回転の平行軸型、斜軸型又は不完全噛み合い型のものであってもよい。
シリンダー7内には、スクリュー6が配置されている。ここで、スクリュウ6の第3供給部3cよりも下流側の部分は、押出方向に対して正方向のネジスクリューで構成されていることが好ましい。例えばスクリュー6としてフルフライトスクリューを用いることにより、液晶ポリエステルを押出方向に効率よく輸送することができ、その結果、溶融樹脂の低分子量化を抑制することができる。
スクリュー6には、ニーディングディスク4a,4b,4cを有しており、これにより、シリンダー7に供給される液晶ポリエステル等を効率良く混練することが可能となり、充填材の分散性を向上させることができる。ニーディングディスク4a,4b,4cは、右ニーディングディスクであってもよいし、ニュートラルニーディングディスクであってもよいし、左ニーディングディスクであってもよく、また、その代わりにミキシングスクリューを用いてもよい。
モーター1は、変速機2を介して、スクリュー6に連結されている。これにより、モーター1でスクリュー6を回転駆動することができ、また、変速機2で回転速度を調整できる。
シリンダー用ヒーター8は、シリンダー7の外側面を覆うように配置されており、シリンダー7の内部を加熱するために用いられる。シリンダー用ヒーター8としては、例えば、アルミ鋳込ヒーター、真鍮鋳込ヒーター、バンドヒーター及びスペースヒーターが挙げられる。また、シリンダー用ヒーター8を複数の加熱部品によって構成してもよい。
第1供給部3aは、シリンダー7の上流側端部付近に設けられ、第2供給部3bは、第1供給部3aとシリンダー7の下流側端部との中央よりも上流側に設けられることが好ましい。なお、これら供給部3a,3b,3cは、ホッパーとシリンダー7に通ずる供給口から構成されており、各原料をホッパーに定量的に供給するための定量フィーダーが設けられていてもよい。
シリンダー7には、ベント部5a,5b,5cが設けられており、これらベント部5a,5b,5cを減圧にすることにより、シリンダー7内を減圧脱気することができる。また、これらベント部5a,5b,5cは、単にシリンダー7内のガスを大気中に解放する目的で用いてもよい。
シリンダー7の下流側端部には、ダイス9が配置されており、このダイス9は、組成物を押し出すためのノズル11を有している。ダイス9は、ダイス用ヒータ10により加熱される。
シリンダー7をシリンダー加熱用ヒーターで液晶ポリエステルの流動開始温度±50℃程度に加熱し、ダイス9をダイス加熱用ヒーター10で加熱し、モーター1を駆動させてスクリュウ6を回転させた状態で、シリンダー7に、第1供給部3aから液晶ポリエステルを供給し、第2供給部3bから板状フィラーを供給し、第3供給部から球状充填材を供給し、シリンダー7内で溶融混練して、ダイス9のノズル11から組成物のストランドを押し出す。
なお、必要に応じて、液晶ポリエステルの一部を第2供給部3bや第3供給部3から供給したり、板状充填材の一部を第2供給部3aや第3供給部3cから供給したり、中空状充填材の一部を第1供給部3aや第2供給部3bから供給することも可能であるが、中空状充填材は、第1供給部3aや第2供給部3bから供給すると、せん断がかかる時間が長くなり、破砕する恐れがあるため、第3供給部3から全量供給することが好ましい。また、他の成分を供給する場合は、その供給部を3a,3b,3cの1箇所又は2箇所から適宜選択すればよい。
ノズル11から押し出された組成物のストランドは、切断されて、ペレット状の造粒物に加工される。ストランドの切断にあたっては、予めストランドを空冷又は水冷により固化させてもよい。切断に用いるカッターとしては、一般に、回転刃と固定刃とを組み合わせてなるカッターが用いられる。
こうして得られる組成物を溶融成形することにより、成形体を得ることができる。成形方法としては射出成形法が好ましく、射出成形は組成物に含まれる液晶ポリエステルの流動開始温度より10〜80℃高い温度で行うことが好ましい。成形温度がこの範囲にあれば、組成物が優れた溶融流動性を発現し、薄肉部を有する成形体や複雑な形状を有する成形体に成形できる。例えば、光ピックアップレンズホルダーは、軽量化や低コスト化の要求が強くなっており、その形状は益々薄肉化が進んでいく傾向にある。本発明により得られる組成物は、厚み0.1〜1.5mmの薄肉部を有する光ピックアップレンズホルダーへの成形も容易であり、さらに流動長が比較的短い場合には、厚み0.05〜0.15mmの薄肉部を有する光ピックアップレンズホルダーにも、良好な寸法精度で成形することが可能となる。
製造例1
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸830.7g(5.0モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル465.5g(2.5モル)、テレフタル酸394.6g(2.375モル)、イソフタル酸20.8g(0.125モル)及び無水酢酸1153g(11.0モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して180分間還流させた。その後、副生酢酸と未反応の無水酢酸を留去しながら、2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められた時点で、内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から320℃まで5時間かけて昇温し、320℃で3時間保持することにより、固相重合を行った。固相重合後、冷却して液晶ポリエステルAを得た。この液晶ポリエステルAの流動開始温度は385℃であった。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸830.7g(5.0モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル465.5g(2.5モル)、テレフタル酸394.6g(2.375モル)、イソフタル酸20.8g(0.125モル)及び無水酢酸1153g(11.0モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して180分間還流させた。その後、副生酢酸と未反応の無水酢酸を留去しながら、2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められた時点で、内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から320℃まで5時間かけて昇温し、320℃で3時間保持することにより、固相重合を行った。固相重合後、冷却して液晶ポリエステルAを得た。この液晶ポリエステルAの流動開始温度は385℃であった。
製造例2
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸996.8g(6.0モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル372.4g(2.0モル)、テレフタル酸298.9g(1.8モル)、イソフタル酸33.3g(0.20モル)及び無水酢酸1153g(11.0モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して180分間還流させた。その後、副生酢酸と未反応の無水酢酸を留去しながら、2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められた時点で、内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から320℃まで5時間かけて昇温し、320℃で3時間保持することにより、固相重合を行った。固相重合後、冷却して液晶ポリエステルBを得た。この液晶ポリエステルBの流動開始温度は362℃であった。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸996.8g(6.0モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル372.4g(2.0モル)、テレフタル酸298.9g(1.8モル)、イソフタル酸33.3g(0.20モル)及び無水酢酸1153g(11.0モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して180分間還流させた。その後、副生酢酸と未反応の無水酢酸を留去しながら、2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められた時点で、内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から320℃まで5時間かけて昇温し、320℃で3時間保持することにより、固相重合を行った。固相重合後、冷却して液晶ポリエステルBを得た。この液晶ポリエステルBの流動開始温度は362℃であった。
実施例1
二軸押出機として、東芝機械(株)の「TEM41SS」を用いた。この押出機は、C1からC14の14バレル構成を有しており、これに第1供給部、第2供給部及び第3供給部を設けた。表1では、各供給部の設置位置を、対応するバレルの番号で示している。
二軸押出機として、東芝機械(株)の「TEM41SS」を用いた。この押出機は、C1からC14の14バレル構成を有しており、これに第1供給部、第2供給部及び第3供給部を設けた。表1では、各供給部の設置位置を、対応するバレルの番号で示している。
製造例1で得られた液晶ポリエステルA、マイカ((株)山口雲母工業所の「AB−25S」(体積平均粒径21μm))及びガラスバルーン(住友スリーエム(株)の「グラスバブルズS60HS」(体積平均粒径27μm))を、表1に示す割合で、表1に示す供給箇所から二軸押出機のシリンダーに供給し、溶融混練して押し出すことにより、組成物のストランドを得、このストランドを切断することにより、組成物のペレットを得た。このペレットの灰分量を次のように測定し、灰分量の理論値(供給量ベース)と比較することにより、充填材の噛み込み性、すなわちフィード性を評価した。
実施例2
製造例2で得られた液晶ポリエステルB、マイカ((株)山口雲母工業所の「AB−25S」(体積平均粒径21μm))及びガラスバルーン(住友スリーエム(株)の「グラスバブルズS60HS」(体積平均粒径27μm))を、表1に示す割合で、表1に示す供給箇所から二軸押出機のシリンダーに供給し、溶融混練して押し出すことにより、組成物のストランドを得、このストランドを切断することにより、組成物のペレットを得た。このペレットの灰分量を次のように測定し、灰分量の理論値(供給量ベース)と比較することにより、充填材の噛み込み性、すなわちフィード性を評価した。
製造例2で得られた液晶ポリエステルB、マイカ((株)山口雲母工業所の「AB−25S」(体積平均粒径21μm))及びガラスバルーン(住友スリーエム(株)の「グラスバブルズS60HS」(体積平均粒径27μm))を、表1に示す割合で、表1に示す供給箇所から二軸押出機のシリンダーに供給し、溶融混練して押し出すことにより、組成物のストランドを得、このストランドを切断することにより、組成物のペレットを得た。このペレットの灰分量を次のように測定し、灰分量の理論値(供給量ベース)と比較することにより、充填材の噛み込み性、すなわちフィード性を評価した。
〔灰分量の測定〕
ペレットを約2g精秤して、るつぼに入れ、約600℃の電気炉中で3時間処理した。次いで、電気炉からるつぼを取り出し、デシケーター中で放冷した後、残った灰分の重量を精秤した。この灰分の重量を前記ペレット(約2g)の重量で割った値を、灰分量とした。
ペレットを約2g精秤して、るつぼに入れ、約600℃の電気炉中で3時間処理した。次いで、電気炉からるつぼを取り出し、デシケーター中で放冷した後、残った灰分の重量を精秤した。この灰分の重量を前記ペレット(約2g)の重量で割った値を、灰分量とした。
1・・・モーター、2・・・変速機、
3a・・・第1供給部、3b・・・第2供給部、3c・・・第3供給部、
4a,4b,4c・・・ニーディングディスク、5a,5b,5c・・・ベント部、
6・・・スクリュウ、7・・・シリンダー、8・・・シリンダー用ヒーター、
9・・・ダイス、10・・・ダイス用ヒーター、11・・・ノズル。
3a・・・第1供給部、3b・・・第2供給部、3c・・・第3供給部、
4a,4b,4c・・・ニーディングディスク、5a,5b,5c・・・ベント部、
6・・・スクリュウ、7・・・シリンダー、8・・・シリンダー用ヒーター、
9・・・ダイス、10・・・ダイス用ヒーター、11・・・ノズル。
Claims (9)
- シリンダーと、前記シリンダー内に配置されたスクリュウと、前記シリンダーに上流側から順に設けられた第1供給部、第2供給部及び第3供給部とを有する押出機を用い、前記スクリュウを回転させながら、前記シリンダーに、液晶ポリエステルを前記第1供給部から供給し、板状充填材を前記第2供給部から供給し、中空状充填材を前記第3供給部から供給し、溶融混練して押し出すことを特徴とする組成物の製造方法。
- 前記押出機が前記スクリュウを2本有する二軸押出機である請求項1に記載の組成物の製造方法。
- 前記シリンダーがベント部を有し、前記ベント部の減圧度がゲージ圧で−0.06MPa以下の状態で、溶融混練を行う請求項1又は2に記載の組成物の製造方法。
- 前記液晶ポリエステルの流動開始温度が360℃以上である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物の製造方法。
- 前記板状充填材がマイカである請求項1〜4のいずれかに記載の組成物の製造方法。
- 前記板状充填材の体積平均粒径が5〜50μmである請求項1〜5のいずれかに記載の組成物の製造方法。
- 前記中空状充填材がガラスバルーンである請求項1〜6のいずれかに記載の組成物の製造方法。
- 前記板状充填材の供給量が、前記液晶ポリエステル100質量部に対して、10〜50質量部である請求項1〜7のいずれかに記載の組成物の製造方法。
- 前記中空状充填材の供給量が、前記液晶ポリエステル100質量部に対して、5〜30質量部である請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の製造方法。
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- 2011-08-25 JP JP2011183399A patent/JP2012072371A/ja not_active Withdrawn
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