〔避難用制御ユニットおよびエレベータの運転方法の説明〕
図1には昇降装置1の概略の構成が、図2にはその要部の構造の例が、それぞれ示されている。
図1および図2に示すように、昇降装置1は、建屋フレーム11の昇降通路TR内に配置されて駆動装置KSにより昇降移動するケージ13、およびカウンターバランスCBを備える。カウンターバランスCBは、ケージ13を上昇させる方向の力を発生するものであり、ケージ13の昇降移動にともなってこれとは逆の方向に移動する。
さらに、昇降装置1は、速度抑制装置SY、連結装置RS、および連結開放部RKなどを有する避難用制御ユニットHYを備える。
速度抑制装置SYは、ケージ13の下降速度を抑制する。速度抑制装置SYには、連結装置RSを上昇させる方向の力を発生させる加重部材(ウエイトWT)を含むことがある。速度抑制装置SYとして、後で説明するような流体圧方式の装置、その他の種々の装置を用いることが可能である。
連結装置RSは、異常時などにおいて駆動装置KSが動作停止となったときに、ケージ13と速度抑制装置SYとを連結する。連結装置RSは、一端が速度抑制装置SYに接続された連結用ワイヤWRRの他端である可動端に接続された可動連結部RSKと、ケ−ジ13に設けられて可動連結部RSKとの間で連結と連結の解除を行うことが可能なケ−ジ連結部RSCとを有する。連結装置RSは、例えば、可動爪または可動フックを持った把持装置が被把持部材を把持しまたは離脱するような構造とすることができる。そのような連結装置RSとして、例えば上に述べた特許文献2(特開平6−156896)の図8に示された係脱機構を用いることが可能である。
なお、連結用ワイヤWRRの可動端をケージ13に常に接続した状態とし、ケージ13の昇降移動とともに連結用ワイヤWRRが移動するようにしておいてもよい。例えば、最上階と最下階との間で連結用ワイヤWRRが循環走行するように張り渡し、そのような連結用ワイヤWRRとケージ13とを接続しておく。
この場合に、連結装置RSとしては、連結用ワイヤWRRの他方の端部または連結用ワイヤWRRの中間部などにおいて、速度抑制装置SYの所定の部材が接続(連結)されるようにすればよい。
また、最上階と最下階との間で連結用ワイヤWRRが循環走行するように張り渡し、そのような連結用ワイヤWRRと速度抑制装置SYとを常時接続しておき、異常時において、連結用ワイヤWRRの中間部を連結装置RSによりケージ13と接続(連結)するようにしてもよい。
つまり要は、連結装置RSは、異常時などにおいて駆動装置が動作停止となったときに、ケージ13と速度抑制装置SYとを連結するものであればよい。
なお、異常時とは、例えば、地震が発生したときまたは地震の発生が予知されたとき、火災が発生したとき、落雷があったとき、商用電力の停電時などである。異常時であるか否かの検出は、適当なセンサを設けることにより、または気象庁などからそれぞれの情報を受信することにより、または手動による入力などによって、行うことが可能である。
連結開放部RKは、異常時において駆動装置KSによるケージ13の昇降移動に対する拘束力を解除する。連結開放部RKは、また、異常時において駆動装置KS以外によるケージ13の昇降移動に対する全ての拘束力を解除する。例えば、異常時にケージ13が昇降しないようにロックする装置、ブレーキ装置、その他の拘束のための装置を解除し、ケージ13が重量バランスによって昇降できる状態とする。
連結開放部RKとして、例えば、ケ−ジ13を吊り下げるケ−ジワイヤWRCが巻き付けられた駆動ローラRRの回転軸を、駆動装置KSによる出力軸から開放するためのクラッチを用いることができる。
なお、駆動装置KSとして、通常、電気モータDMがブレーキ装置BKおよび減速装置などとともに用いられる。この場合に、駆動装置KSへの電力の供給が停止されると、電気モータは回転駆動力を発生しないが、ブレーキ装置BKによって回転がロックされる。このため、連結開放部RKが動作しない状態では、駆動ローラRRは駆動装置KSと一体的に連結されているため回転することはできない。したがって、駆動装置KSへの電力の供給が停止された場合に、連結開放部RKが動作し、駆動ローラRRを駆動装置KSから開放して回転可能な状態にする。このような駆動装置KSとして、例えば、三菱電機社製のエレベータ用巻き上げ機を用いることが可能である。
昇降装置1では、ケージ13は、定常時は駆動装置KSによって通常の昇降運転が行われるが、異常時には、駆動装置KSが動作停止となり、ケージ13と速度抑制装置SYとが連結され、連結開放部RKによって駆動装置KSによるケージ13の昇降移動に対する拘束力が解除され、ケージ13が速度抑制装置SYによる下降速度の抑制を受けながら、ケージ13およびケ−ジ13に乗った人の重力によって下降する。
ケージ13が1階(最下階)で停止すると、人がケージ13から降り、これによってケージ13の荷重がなくなるので、ケージ13の全体の重力がカウンターバランスCBなどよりも軽くなって上昇する。2階(上階)でケージ13に人が乗ると、ケージ13の全体の重力がカウンターバランスCBなどよりも重くなって下降する。このように、ケージ13とカウンターバランスCBおよび加重部材WTとの重力バランスによって、ケージ13が上昇しまたは下降する。
その間において、ケージ13の下降速度は、速度抑制装置SYによって所定の安全な速度となるように調節される。
したがって、空のケージ13が重力バランスによって上昇するためには、ケージ13の重量Wc、カウンターバランスCBの重量Wb、加重部材WTの重量Wwの間に、次の関係が成り立つ必要がある。
Wc<Wb+Ww
なお、カウンターバランスCBの重量Wbおよび加重部材WTの重量Wwは、ケージ13の上昇に直接に作用するように換算した値である。
また、人が乗ったケージ13が重力バランスによって下降するためには、次の関係が成り立つ必要がある。つまり、乗った人の重量をWhとして、
Wc+Wh>Wb+Ww
ここで、重量Whは、最小重量として、例えば子供の10kg程度を想定しておけばよい。
また、加重部材WTの重量Wwは、連結用ワイヤWRRが撓まない程度に大きくしておく必要がある。したがって、カウンターバランスCBの重量Wbは、通常、ケージ13の重量Wcよりも小さくしておく必要がある。
なお、図1において、機械室には全体を制御する制御盤SBが、ピットには緩衝装置SAが、それぞれ設けられている。
図2において、速度抑制装置SYは、液圧シリンダ21および動滑車装置22などを備える。
液圧シリンダ21は、液圧シリンダ21のロッド側室とヘッド側室とを連通することが可能な連通管路、連通管路における液体の流量を調整するための絞り弁、連通管路を遮断しまたは連通させるように切り換える切換え弁、および、連通管路に接続されてロッド側室とヘッド側室との面積の差による液量を調整するためのリザーバなどからなる液圧装置15を備える。詳しくは後で説明する。
また、上に述べた加重部材WTは、連結装置RSがケージ13と連結された状態で、ケージ13に荷重が載っていないときにロッドを伸長作動または収縮作動させてケージ13を上昇させるように設けられ、ケージ13に荷重が載っているときにロッドを収縮作動または伸長作動させてケージ13を下降させることが可能な大きさの力を発生させる。
動滑車装置22は、可動ビーム224、天板115に取り付けられた複数の定滑車221,222、可動ビーム224に取り付けられた複数の動滑車223を備える。
連結用ワイヤWRRがケージ13の重量によって下方に引っ張られると、動滑車装置22を介して液圧シリンダ21のロッドを収縮させる。液圧シリンダ21のロッドが収縮する際に、後で述べる液圧装置15によってそのロッドが収縮速度が制御される。これにより、ケージ13の下降速度が調節される。
なお、各階には、ケージ13の出入口に対応した位置に扉12が設けられる。扉12は、異常時には開放するようにしてもよく、手動で開閉できるようにしてもよい。
避難用制御ユニットHYおよび異常時における昇降装置1の動作のために必要な電源は、バッテリーまたはソーラーパネルなどから得ることができる。バッテリーは、定常時において、商用電源またはソーラーパネルからの電力によって充電しておけばよい。
次に、避難用制御ユニットによる昇降装置1の動作を説明する。
図3〜図6には、液圧シリンダ21を制御する液圧装置15の回路が示されている。図3は、停電によってケージ13が1階と2階の間で停止した状態を示す。図4は、ケージ13が停止した状態で、速度抑制装置SYの動作により連結用ワイヤWRRが降りてきてケージ13と連結した状態を示す。図5は、重量バランスによってケージ13が1階に下降した状態を示す。図6は、人が下りたあとでケージ13が2階へ上昇した状態を示す。
図3に示す液圧装置15において、液圧シリンダ21のロッド側室RSに連通するロッド側連通路TRSとヘッド側室HSに連通するヘッド側連通路THSとが設けられる。ロッド側連通路TRSには、そこを流れる液体に対する絞り量(流量)を切り換えるための切換え弁162、および連通と遮断とを切り換えるための切換え弁163が設けられる。
ヘッド側連通路THSには、そこを流れる液体に対する絞り量(流量)を切り換えるための切換え弁164、および連通と遮断とを切り換えるための切換え弁165が設けられる。
ロッド側連通路TRSおよびヘッド側連通路THSによって、連通管路151が形成される。
切換え弁163,165は、2方2位置切り換え弁であり、バネ復帰式のシングルソレノイド弁である。
切換え弁162,164は、液体の流量を調整するために、2段階で絞り量を可変することのできる切り換え絞り弁である。つまり、切換え弁162,164は、絞り弁とチェック弁との並列接続体が、それぞれ2組ずつ内蔵されたものである。
これら、切換え弁162,164は、ケージ13の昇降速度の調整、およびケージ13の停止時の減速のために用いられる。つまり、切換え弁162,164は、通常はオフであり、この状態において流量が適当に絞られるように調整される。また、ケージ13が昇降移動から停止する直前に切換え弁162,164がオンとなることにより、ロッド側連通路TRSまたはヘッド側連通路THSにおける流量がより多く絞られ、これによりケージ13の速度が減速され、円滑に停止に至ることとなる。
このように、切換え弁162,164は、それぞれの絞り量を調整しておくことによって、切り換えられたときのそれぞれの液体の流量を調整することができる。
切換え弁162,164は、昇降装置1を避難用昇降機として用いる際に動作する。
なお、切換え弁162,164として、2方2位置切り換え弁を用い、絞り弁とチェック弁との並列接続体を外部に設けてもよい。
また、ロッド側連通路TRSには、ロッド側室RSに液体を供給するための、ガス圧で液体を送出可能なアキュムレータ167が、切換え弁168を介して接続される。
アキュムレータ167は、密閉されたタンクの中に液体と圧縮ガスとを収納したものであり、圧縮ガスの圧力によって液体を外部へ送りだす。圧縮ガスとして、空気、窒素、その他のガスが用いられる。圧縮ガスの供給のために、タンクに対して着脱可能なカートリッジ式のガスボンベを用いてもよい。また、液体の増減とともに移動するピストンを設けてもよい。
アキュムレータ167の内部のガス圧は、圧力センサなどによって検知されており、ガス圧が設定圧力よりも低下したときに、ガスまたは液体が補給される。
アキュムレータ167は、液圧シリンダ21のロッド側室RSに液体を供給する必要が生じたときに、切換え弁168を開いて、ロッド側連通路TRSを介して液体を供給する。このとき、同時に、切換え弁163、165が開かれる。
すなわち、通常の乗用エレベータとして動作中に停電が発生し、これによってケージ13が停止した際に(図3の状態)、図4に示すように、切換え弁168、163、165を開いて、アキュムレータ167から液圧シリンダ21のロッド側室RSに液体を供給し、ロッドを収縮駆動する。これにより、動滑車装置22が上昇し、連結用ワイヤWRRが下方へ延びて可動連結部RSKが下降し、可動連結部RSKとケ−ジ連結部RSCとが連結される。
連結装置RSの連結が完了すると、図5に示すように切換え弁168が閉じられる。
次に、連結開放部RKが動作して駆動ローラRRが駆動装置KSによるロックから開放され、また、図示しない連結開放部RKによってケージ13の昇降移動に対する全ての拘束が開放される。
これにより、ケージ13は、ケージ13およびケ−ジ13に乗った人の重力によって下降する。その間において、液圧シリンダ21および液圧装置15によって、連結用ワイヤWRRの移動速度、つまりケージ13の下降速度が制御される。
図5に示すように、ケージ13が1階まで下降して停止すると、人はケージ13から降りて安全な場所に避難する。これによってケージ13の荷重がなくなるので、図6に示すように、ケージ13は上昇して2階に至る。ケージ13の上昇速度は、速度抑制装置SYによって所定の安全な速度となるように調節される。
2階でケージ13に人が乗ると、その重量によってケージ13は下降し、1階に至る。この動作が繰り返され、2階にいる人は昇降装置1によって安全に1階に降りることができる。
上の動作をフローチャートによって説明する。
図7において、昇降装置1が定常モードで運転されている間は(#11)、駆動装置KSによる駆動によって通常のエレベータとして利用することができる(#12)。
異常が発生して異常モードとなると(#13でイエス)、連結装置RSが連結され(#14)、連結開放部RKによって駆動装置KSなどによる拘束力が開放され(#15)、ケージ13は重力バランスによって運転される(#16)。重力バランスによる運転中は、速度抑制装置SYによる速度制御が行われ、ケージ13が安全な速度となるように調節される。
以下に、昇降装置1の各部の具体例について詳しく説明する。ただし、以下の説明においては、上に述べた昇降装置1の例に必ずしも対応してはいない。しかし、以下の説明によって、昇降装置1の各部の構成、構造、動作、作用、制御方法、およびそれらの変形例または適用例などを理解することができるであろう。また、以下に説明する事項を上に述べた昇降装置1の適当な部分に組み込んだり入れ替えたりできることが理解されるであろう。本明細書に示した事項については、必要に応じて種々組み合わせることが可能である。
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態として、商用電力の停電時においても動作可能な昇降装置(避難用昇降装置)1について説明する。
図8において、2階建ての建築物KBが示されている。建築物KBは、例えば、老人養護施設、病院、住居用のマンションなどである。建築物KBには、ベランダBDが設けられ、手摺りTSが設けられている。建築物KBに接して、2階用の避難用昇降装置(昇降装置)1が地面の上に設置されている。
図9および図13〜図19をも参照して、避難用昇降装置(昇降装置)1は、全体として縦長の直方体形状の建屋フレーム11を有する。
建屋フレーム11は、金属材料などからなる角パイプなどを用いた多数のフレーム材111,112,113を連結することによって構成される。フレーム材111,112に支持されて、ケージ13の昇降移動を案内するための4本のガイドレール114,114…が設けられる(図19参照)。
建屋フレーム11の2階部分には、ベランダBDから人や物が乗り込むことが可能なように、入口HGが設けられる。入口HGには、ベランダBDに向かって観音開きで開閉可能な扉12(12a,12b)が設けられる。建屋フレーム11の1階部分には、人が外へ出るための出口DGが設けられる。出口DGには扉が設けられていないが、扉または柵などを設けてもよい。
なお、図示は省略したが、建屋フレーム11には、入口HGおよび出口DGを除く外周面に、金属板または合成樹脂板などからなるカバーが張り付けられる。
図10をも参照して、建屋フレーム11は、その内部が昇降通路TRとなっており、昇降通路TR内において上昇および下降が可能なケージ13が配置される。建屋フレーム11の上部には、2本のワイヤWRを介してケージ13を昇降駆動する駆動装置14が取り付けられる。
なお、建屋フレーム11は、ブラケット111aを介し、地面に対してボルト締めされる。また、取り付け板116を介し、ベランダBDに対してボルト締めされる。これによって、建屋フレーム11は建築物KBに対して固定される。
図10および図12を参照して、ケージ13は、金属材料などからなる角パイプなどを用いたフレーム材を連結することによって構成され、床面部131およびその両側の側面部132,132を有する。
ケージ13には、床面部131および側面部132,132の表面に、図示しない薄板が張られて覆われている。そのような薄板として、例えば、アルミニウム合金製のチェッカ−プレートなどを用いることができる。これにより、人が安全にケージ13に乗ることができるようになっている。
床面部131の中央に設けたフレーム材131aの両端が床面部131から突出しており、そこに各ワイヤWRの一端が連結される。ワイヤWRは、動滑車装置22に設けられた複数の滑車に掛け渡され、他の一端が建屋フレーム11の天井部分のフレーム材113に対して固定される。
すなわち、図21に示すように、ケージ13のフレーム材131aに調整ネジ101が取り付けられ、リング状のシャックル102を介してワイヤWRの一端が連結される。また、天板115aに調整ネジ104が取り付けられ、シャックル103を介してワイヤWRの他の一端が連結される。このようなワイヤWRが、ケージ13の中央部に対して左右の対称位置に設けられ、2本のワイヤWRによってケージ13が吊り下げられる。
なお、調整ネジ101,104として、アイボルトとナット、ターンバックルなどが用いられる。ケージ13が下降端にまで移動したときに、ケージ13が床面または地面に当たらないよう、ワイヤWRの長さを調整しておく。
また、ケージ13の下面またはそれに対応する地面に、万が一にケージ13が落下した場合の衝撃を緩和するための衝撃緩和装置を設けておいてもよい。
2本のワイヤWRが同じ速度で引っ張られまたは緩められることにより、ケージ13は床面部131が水平状態を保って上下に移動する。
なお、ワイヤWRは、金属製のものが好適であるが、合成樹脂製または繊維製のものであってもよい。
各側面部132,132の外側には、ガイドブシュ133,133…が取り付けられる。これらのガイドブシュ133は、ガイドレール114に摺動可能に嵌まり込み、ケージ13の昇降移動をガイドする。
図10および図11を参照して、駆動装置14は、液圧シリンダ21および動滑車装置22を備える。
液圧シリンダ21は、シリンダチューブ211、ピストン211a、ロッド212、ロッドカバー213、ヘッドカバー214などを備えた複動型のものであり、油または水などの液体によって動作する。液圧シリンダ21は、そのヘッドカバー214が建屋フレーム11の天井部分のフレーム材113または板115aなどに対して固定され、ロッド212が下方へ延びるよう、鉛直姿勢で取り付けられている。
動滑車装置22は、複数の定滑車221,222、動滑車223、および可動ビーム224を備える。
定滑車221は、建屋フレーム11の天井部分のフレーム材113に固定された天板115aに対して固定的に取り付けられる。本実施形態では、定滑車221の個数は6つである。つまり、3つ一組の定滑車群が、天板115aの左右の対称位置に1組ずつ合計2組設けられる。
これら6つの定滑車221の他、各ワイヤWRの方向を転換するための4つの定滑車222が、天板115a,115bに対して固定的に取り付けられる。
図22には定滑車222が示されている。図22において、対向する2枚の保持金具222bが、ボルトによって天板115bに取り付けられる。保持金具222bには、軸を介して滑車222aが回転可能に支持される。また、滑車222aに掛けたワイヤWRが外れないように、滑車222aの外周縁に接近した位置において、保持金具222bの間に渡ってボルトなどを用いた外れ止め部材222cが取り付けられる。
6つの定滑車221についても、図22に示した定滑車222と同様な構造である。
図20をも参照して、可動ビーム224は、建屋フレーム11の幅方向に延びるように水平姿勢で設けられ、建屋フレーム11に対して固定された両側のガイド部材225に案内されて昇降移動可能である。可動ビーム224は、その中央部において、液圧シリンダ21のロッド212の先端部が連結される。
なお、ロッド212の先端部と可動ビーム224との連結部分には、例えばフローティング金具などが用いられ、若干の傾きやズレなどが許容可能となっている。
このように、液圧シリンダ21は、建屋フレーム11と動滑車装置22との間に配置され、ケージ13の上昇移動または下降移動にともなって、ロッド212が伸長作動または収縮作動する。
なお、可動ビーム224の移動可能範囲は、液圧シリンダ21の伸縮動作の範囲と等しいが、可動ビーム224の移動範囲を規制するために、建屋フレーム11の適当な位置にストッパを設けてもよい。
動滑車223は、可動ビーム224に対して固定的に取り付けられる。本実施形態では、動滑車223の個数は6つである。つまり、3つ一組の動滑車群が、可動ビーム224の左右の対称位置に1組ずつ合計2組設けられる。
なお、動滑車223の構造は、図22に示した定滑車222と同様の構造である。
可動ビーム224には、ウエイトWTを取り付けるためのウエイト取付け部226が設けられる。ウエイト取付け部226は、可動ビーム224におけるロッド212との連結部を中心として、その左右の対称位置に設けられた2本ずつ合計4本の係止棒227を備える。
ウエイトWTは、所定の重量を有した直方体状のものであり、それぞれに設けられた2つの貫通孔を係止棒227が挿通するようにしてウエイト取付け部226に取り付ける。ウエイトWTを含めて、可動ビーム224に加わる全ての荷重が、空のケージ13の重力に打ち勝ってケージ13を上昇移動させるための加重部材となる。
つまり、この加重部材は、ケージ13に荷重KJが載っていないときに、ロッド212を伸長作動させてケージ13を上昇させるように設けられ、ケージ13に荷重KJが載っているときにロッド212を収縮作動させてケージ13を下降させることが可能な大きさの力を発生させるものである。
加重部材の重力が、ケージ13の重力に対して適切な関係となるように、ウエイトWTの個数および大きさを選定してウエイト取付け部226に取り付ける。その場合に、ウエイト取付け部226に設けられた左右の係止棒227に対して、左右が同じ荷重となるように、互いに同数のウエイトWTを取り付ける。
なお、ウエイトWTの形状は、直方体状のもの以外に、円板状、板状、ブロック状など、種々の形状のものとすることができる。
図23および図24において、扉12a,12bには、ケージ13が2階に到着しない限り、閉じた状態から開かないないようにロックするロック機構LKが設けられている。ロック機構LKは、各扉12a,12bに、左右対称位置に1つずつ設けられている。
すなわち、各扉12a,12bは、扉フレーム121a,121bなどが連結部材121cなどによって連結されて枠状に形成され、その表面に図示しない薄板が張られている。下辺に位置する扉フレーム121bの内側には、扉フレーム121bの表面との間にスリットを形成するロック受け金具122が取り付けられる。
一方、建屋フレーム11には、ベランダBDと同じ高さ位置において水平方向に設けられたフレーム材113に、基板123が取り付けられる。基板123には軸ピン125がネジ込まれ、軸ピン125によって、ロック金具124が鉛直面内で回転自在に支持されている。
ロック金具124は、帯板状であり、軸ピン125に支持された孔の部分を中心とした各端部までの長さが異なっている。つまり、ロック金具124は、長い方である長部124aおよび短い方である短部124bを有している。自由状態では、重力によって長部124aが下方に垂れ下がり、短部124bが上方に突き出た状態となる。この状態において、図に2点鎖線で示すように、短部124bがロック受け金具122のスリットに入り込み、これによって扉12a,12bがロックされる。
ロック金具124が自由状態となって扉12がロックされるのは、ケージ13が2階に存在しないときである。
なお、フレーム材113には、軸ピン125の下の方に、係止ピン126が取り付けられる。ロック金具124の自由状態において、長部124aの端縁が係止ピン126に当接し、これによってロック金具124が若干傾いた姿勢で止まるようになっている。
ケージ13には、床面部131のフレームに、断面が略Z字形の解除金具127が取り付けられる。ケージ13が1階から2階に上昇移動する間に、解除金具127が自由状態のロック金具124の長部124aに当接して押し上げ、これによってロック金具124が回転して実線で示すようにほぼ水平姿勢となり、短部124bがロック受け金具122のスリットから抜けでる。これによって扉12a,12bのロックが解除される。
このように、ケージ13が2階にないときにはロック機構LKによって扉12がロックされて空かないので、避難しようとする人の安全が図られる。ケージ13が2階に到着するとロック機構LKが自動的に解除され、避難しようとする人は扉12を開けてケージ13に乗り込むことができる。
ケージ13が下降移動すると、再びロック金具124が自由状態となり、扉12がロックされる。
次に、液圧シリンダ21の周辺の液圧回路について説明する。
すなわち、避難用昇降装置1には、液圧シリンダ21を制御するための液圧装置15が設けられている。液圧装置15の液圧回路が図25に示されている。液圧装置15の作動液として、油、水、その他の液体が用いられる。
図25において、液圧シリンダ21のロッド側室RSとヘッド側室HSとを連通する連通管路151が、各ポートPT1,PT2間に設けられる。
連通管路151は、ポートPT1とポートPT2との間において、液圧シリンダ21の外部に設けられる管路である。連通管路151として、鋼管またはステンレス管などの金属管、ゴムまたは合成樹脂などからなる可撓性を有したホースまたはチューブなどを用いることが可能である。また、連通管路151を液圧シリンダ21のシリンダチューブ211に沿って配置してもよく、また、シリンダチューブ211、ロッドカバー213、またはヘッドカバー214の一部を連通管路151としてもよい。
連通管路151には、液体の流量を調整するための絞り弁152,153、連通管路151を遮断しまたは連通させるように切り換える切換え弁154、および、連通管路151に接続されてロッド側室RSとヘッド側室HSとの面積の差による液量を調整するためのリザーバ155が設けられる。絞り弁152,153には、それぞれチェック弁152a,153aが並列に接続される。
切換え弁154は、2方2位置切り換え弁である。しかし、単なる開閉弁、またはストップ弁などであってもよい。図25では、切換え弁154として手動式のものが示されているが、例えば電磁式のものつまり電磁弁など、他の操作方式のものを用いることができ、後の説明では、切換え弁154が電磁弁である場合について説明する。
なお、切換え弁154が手動式の場合には、切換え弁154の操作部に索条を連結しておき、ケージ13に乗った人がその索条を引くなどして切換え弁154を操作するようにできる。
リザーバ155は、液体を収納したタンクであってよく、適当な蓋体があればよい。液体の増減とともに移動するピストンを設けてもよい。また、シリンダチューブ211、ロッドカバー213、またはヘッドカバー214の一部をリザーバ155として利用してもよい。
液圧シリンダ21は、伸縮動作におけるストローク端においてクッション作用を発揮するクッション機構が設けられている。したがって、各ストローク端において、衝撃を発生することなく、滑らかに停止する。
図25に示す液圧回路で分かるように、液圧装置15には、液圧を積極的に発生する液圧源や動力源は設けられていない。液圧シリンダ21には、ケージ13の昇降動作に起因してロッド212を伸縮させるように力が作用するが、この力を液圧回路によって制御し、ロッド212を停止させ、またその伸縮速度を調整する。
すなわち、切換え弁154がオフのとき、つまり連通管路151が遮断され、ポートPT2が閉塞されているときは、液圧シリンダ21のピストン211aおよびロッド212は移動しない。特に、ピストン211aおよびロッド212は上方向へは移動しない。したがって、この状態では、ケージ13は移動しない。
切換え弁154がオンのとき、つまり連通管路151が連通されているときは、液圧シリンダ21のピストン211aおよびロッド212は、絞り弁152,153の絞り状態に応じた速度で移動可能である。
つまり、ピストン211aが上方へ移動するとき、つまり液圧シリンダ21が収縮動作を行うときは、その速度は絞り弁153によって調整され、ピストン211aが下方へ移動するとき、つまり液圧シリンダ21が伸縮動作を行うときは、その速度は絞り弁152によって調整される。これにより、ケージ13の昇降速度が調整される。
なお、ロッド212に下方への力が作用したときに、その力によるピストン圧が1気圧を越えた場合に、リザーバ155の中の液体が絞り弁153およびチェック弁153aを通ってヘッド側室HSに入ることによってロッド212が下方へ移動する可能性がある。しかし、ロッド212を下方へ移動させる力は、空のケージ13を上昇移動させるために可動ビーム224に加える余裕荷重によるものであるので、ヘッド側室HSが真空状態にならないように、その余裕荷重を適切に選定することにより、ロッド212のそのような下方への移動を防止できる。
液圧装置15は上のように構成されているので、ケージ13に何も乗っていないときには、ロッド212に連結された可動ビーム224およびそれに積載されたウエイトWTなどによる重力の方が大きいため、ロッド212が下方に引っ張られる。
したがって、その状態で切換え弁154がオンになると、液圧シリンダ21は伸長動作を行う。これにより、ケージ13は上昇移動する。つまり、1階にあるケージ13が2階に自動的に移動する。そのときのケージ13の速度は、絞り弁152によって調整される。
そして、2階にあるケージ13に人や物による荷重KJが乗ると、ケージ13の全体の重力が増え、可動ビーム224およびウエイトWTなどによる重力よりも大きくなってロッド212が上方に押される。
したがって、その状態で切換え弁154がオンになると、液圧シリンダ21は伸縮動作を行う。これにより、ケージ13は下降移動する。つまり、2階にあるケージ13が人および物とともに1階まで自動的に下降する。そのときのケージ13の速度は、絞り弁153によって調整される。
上に説明した液圧装置15の全体またはその一部は、例えば、図13に示すように、建屋フレーム11の上に適当なボックスに収納して設置することが可能である。
ここで、ケージ13の重量と加重部材の重量と動滑車装置22の作用との関係について説明する。
図26において、可動ビーム224は、3つの動滑車223を用いた6本のワイヤWRによって吊り下げられていることになる。したがって、ケージ13に加わる荷重の6倍が、可動ビーム224を持ち上げる方向に作用する。
つまり、可動ビーム224の全荷重をKA、ケージ13の全荷重をKBとすると、 KA>6・KB+α ……(1)
の関係が成り立つときに、ケージ13は上昇移動する。また、
6・KB>KA+β ……(2)
の関係が成り立つときに、ケージ13は下降移動する。
なお、α,βは、摩擦などによる抵抗力である。
また、ケージ13の全荷重KBは、人または物などによる荷重KJがないときには、空のケージ13の重量であり、荷重KJが乗ったときには、ケージ13に荷重KJを加算した重量である。
したがって、上の(2)式の関係が成り立つように、ケージ13、可動ビーム224、およびウエイトWTなどの重量を設定しておくことによって、ケージ13を自動的に昇降移動させることができる。
例えば、ケージ13の重量を25kgとすると、これによって可動ビーム224には150kgの力が作用する。可動ビーム224およびウエイトWTの重量(KA)を例えば180kgとしておくと、空のケージ13は軽いので、これを上昇移動させることができる。
そして、ケージ13に体重60kgの大人が2人乗ると、ケージ13の荷重KBは145kgとなり、可動ビーム224およびウエイトWTを上昇移動させ、ケージ13は下降する。
また、ケージ13に体重10kgの子供が1人乗ったとすると、ケージ13の荷重KBは35kgとなり、可動ビーム224に対して210kgの上昇方向の力が作用する。したがって、この場合も、可動ビーム224を上昇移動させ、ケージ13は下降する。
つまり、子供が1人乗った場合でも、ケージ13は十分に下降移動する。
なお、ケージ13には、通常、2人または3人程度が乗ることができる。ケージ13の最大積載荷重に耐えれるように、ワイヤWR、液圧シリンダ21の耐圧、その他の部材の強度が設定されている。
次に、避難用昇降装置1における制御装置について説明する。
図9において、建屋フレーム11には、ケージ13の下降位置を検出するための位置センサSE1、建屋フレーム11内の出口DGの付近に人または物がいないかどうかを検出するための人検出センサSE2、ケージ13の上昇位置を検出するための位置センサSE3、扉12が閉まったことを検出する扉センサSE4,5が設けられる。
位置センサSE1,3として、ケージ13に設けられた適当なドグが当接することにより作動するリミットスイッチ、またはそのようなドグによって作動する近接スイッチまたは光電スイッチなどを用いることが可能である。
また、人検出センサSE2として、投光機と受光機からなる光電センサ、赤外線または超音波などを発してその反射信号を検出することにより所定の範囲における人や物体の存在を検出する反射センサ、その他のセンサを用いることが可能である。その場合に、ケージ13の中にも人などがいないことを検出できるものが好ましい。そのために、複数のセンサを用いてもよい。
また、人や物体の存在を検出しなくなってから所定の時間が経過した後で、人や物体が存在しないことの検出信号を出力するセンサを用いることも可能である。
扉センサSE4,5として、扉12に設けられた適当なドグが当接することにより作動するリミットスイッチ、またはそのようなドグによって作動する近接スイッチまたは光電スイッチなどを用いることが可能である。
また、ケージ13には、乗った人が操作するための操作ボックスSBが設けられる。操作ボックスSBには、ケージ13の下降を指示するため下降ボタンが設けられる。操作ボックスSBは、可撓性を有しケ−ブルCBによって、他のボックスなどと電気的に接続される。
扉12の付近には、ケージ13が2階にあって乗り込むことが可能なことを示す表示灯が設けられる。
また、建屋フレーム11の上に、ソーラーパネルSPが設置され、太陽光によって図示しないバッテリーを充電する。このバッテリーの電力が、切換え弁154、センサSE1〜5、表示灯などの電源として使用される。
これら制御装置のための回路部品の一部は、例えば、ケージ13に設けた操作ボックスSBの内部に収納するようにしてもよい。また、扉12の近辺に適当なボックスを設けてそこに収納することも可能である。
また、ソーラーパネルSPによってバッテリーを充電するようにしたが、商用電源によってバッテリーを充電するようにしてもよい。また、制御回路が商用電源によって動作するようにしてもよい。その場合に、バッテリーを補助のために用いることが好ましい。
次に、上に述べた制御装置による制御動作の例を、図27に示すフローチャートを参照して説明する。
図27において、ケージ13が上昇端である2階にあるときに(#11)、位置センサSE3はオンしている。このとき、扉12の付近に設けた表示灯が点灯する。また、このとき、ロック機構LKはロックが解除されている。
ベランダBDに居る避難者が、扉12を開けて(#12)、ケージ13に乗り込む(#13)。扉12を開けると、扉センサSE4,5がオフする。扉センサSE4,5がオフしているときは、下降ボタンを押してもケージ13は下降しない。
扉12を締めると(#14)、扉センサSE4,5がオンする。下降ボタンを押すと(#15)、切換え弁154がオンし(#16)、ケージ13が下降する(#17)。
ケージ13が下降端である1階までくると(#18)、位置センサSE1がオンする。位置センサSE1のオンによって、切換え弁154がオフし(#19)、ケージ13が移動しないように固定される。
避難者は、ケージ13から降りて出口DGから外に出る(#20)。ケージ13および出口DGの付近に誰もいなくなると、これを人検出センサSE2が検出して例えばオフとなる(#21)。これにより、切換え弁154がオンし(#22)、ケージ13は上昇移動する(#23)。
このような動作が繰り返され、避難者は順次地上に降りて安全な場所に避難することができる。
上に述べたように、本実施形態の避難用昇降装置1によると、地震や火災などが発生したときに、多数の避難者が順次迅速に地上に降りて安全な場所に避難することができる。
避難用昇降装置1では、避難者が乗るためのケージ13が1つであり、建屋フレーム11には1つのケージ13が昇降できて動滑車装置22を設置できるスペースがあればよいので、比較的少ないスペースであっても設置可能である。
また、液圧シリンダ21に絞り弁152,153を設けるという、簡単な構成によってケージ13の速度調整を容易に行うことができる。
また、ケージ13の昇降は、重力を利用して行われるので、液圧源や動力源が必要でなく、地震や火災などに際しての動作が確実であり、信頼性が高い。
また、切換え弁154を手動式にすることにより、バッテリーも不要な完全な無動力源化を図ることも可能である。
また、ケージ13は2本のワイヤWRで吊り下げられているので、万が一そのうちの1本が切れた場合であっても他の1本で保持され、ケージ13の落下を防止することができ、この点においても安全性が図られている。
また、動滑車装置22は、左右にほぼ対称に設けられた2組の定滑車群および動滑車群によって構成され、2本のワイヤWRが左右対称に掛け渡されているので、可動ビーム224を傾けようとする大きな力がかかることがない。そのため、可動ビーム224をガイドするガイド部材225に適当な強度を持たせておくことにより、可動ビーム224が円滑に上下移動し、液圧シリンダ21にも横荷重が加わらない。
上に述べた実施形態の避難用昇降装置1では、加重部材として、可動ビーム224およびウエイトWTなどを用いた。しかし、ウエイトWTに代えて、またはウエイトWTとともに、コイルバネのようなバネ部材を用いることも可能である。
例えば、液圧シリンダ21のヘッド側室HSの中に、ピストン211aを押す方向に作用するコイルバネを装着する。コイルバネによって、ロッド212が伸長方向に移動する力が与えられ、これが加重部材の一部の役割を果たすこととなる。
また、液圧シリンダ21の両側に、天板115aと可動ビーム224との間にバネ部材を設置してもよい。その他、種々の位置に種々の形態のバネ部材を設置することが可能である。
上に述べた実施形態の避難用昇降装置1において、避難者のための足元の照明装置、避難者を誘導するための表示灯、避難者に対して音で知らせるためのブザーまたはスピーカ、通路TR内やケージ13の様子を監視するためのカメラ、避難者が操作可能な緊急停止ボタンなどを、必要に応じて設置することが可能である。
上に述べた実施形態の避難用昇降装置1において、3つの動滑車223と3つの定滑車221とを一組とした動滑車装置22を用いることにより、ケージ13の昇降量に対する可動ビーム224の移動量を6分の1にした。しかし、一組の動滑車223および定滑車221の個数を、2つ以下または4つ以上とし、ケージ13の昇降量に対する可動ビーム224の移動量を4分の1以上または8分の1以下にすることができる。それらの個数は、建築物KBの構造、階数、避難用昇降装置1におけるケージ13の定員などに応じて設定すればよい。また、必要に応じて種々の安全装置を設けることができる。
また、動滑車装置22において、定滑車群と動滑車群との組みが二組設けられたが、一組み、または三組み以上であってもよい。
上に述べた実施形態の避難用昇降装置1では、駆動装置14に動滑車装置22を設けたが、動滑車装置22を設けることなく、液圧シリンダ21のロッド212によってケージを直接的に支持し、またはワイヤWRを介して間接的に支持するようにしてもよい。
上に述べた実施形態の避難用昇降装置1では、2階建ての建築物KBに設置した例について説明したが、3階以上の建築物KBに設置することが可能である。
図28には、避難用昇降装置1を3階の建築物KBに設置した例が示されている。この場合に、ケージ13は1階と3階との間のみを移動し、2階では乗降できない。しかし、2階で乗降可能なようにすることも可能である。
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態の昇降装置について説明する。
第2の実施形態として、商用電力の通電時には乗用エレベータとして動作し商用電力の停電時には避難用昇降機として動作する昇降装置1Bについて説明する。
第2の実施形態の昇降装置1Bでは、その機械的な構造については第1の実施形態の昇降装置1と同様であるが、液圧回路として追加の機器が含まれている。
すなわち、昇降装置1Bでは、通常の乗用エレベータとしても動作するように、液圧ユニット(油圧ユニット)が追加されている。また商用電力の通電時と停電時とで、通常の乗用エレベータとしての動作と避難用昇降機としての動作とが円滑に切り換わるように、かつそれぞれの動作が行われるように、圧力調整弁、アキュムレータ、電磁弁など、種々の液圧機器(油圧機器)が追加で用いられている。
したがって、第2の実施形態の昇降装置1Bにおいても、建屋フレーム11、扉12、ケージ13、駆動装置14、液圧装置15B、液圧シリンダ21、動滑車装置22、ウエイトWT、およびワイヤWRなどが設けられる。
また、人または物などによる荷重KJを検出するために、ケージ13にはロードセルが設けられる。例えば、荷重KJが10kgを越えたときに、ケージ13に大人が乗っていると判断することができる。
また、ケージ13内に設けられた操作ボックスSBには、ケージ13の下降を指示するための下降ボタンの他、上昇を指示するための上昇ボタン、停止階を指定する停止階ボタン、扉の開閉のための開ボタンおよび閉ボタンなどが設けられる。
第2の実施形態の昇降装置1Bの説明においては、主として第1の実施形態の昇降装置1との相違点について説明する。第1の実施形態の昇降装置1と同様な機能を有する要素については、それと同じ符号を付して、または同じ符号にさらに「B」を付して、説明を省略しまたは簡略化する。
図29には第1の実施形態の液圧装置15Bの液圧回路が示されている。
図29において、液圧シリンダ21のロッド側室RSに連通するロッド側連通路TRSとヘッド側室HSに連通するヘッド側連通路THSとが設けられ、これらを互いに連通させまたは遮断するための切換え弁161が設けられている。
ロッド側連通路TRSには、そこを流れる液体に対する絞り量(流量)を切り換えるための切換え弁162、および連通と遮断とを切り換えるための切換え弁163が設けられる。
ヘッド側連通路THSには、そこを流れる液体に対する絞り量(流量)を切り換えるための切換え弁164、および連通と遮断とを切り換えるための切換え弁165が設けられる。
ロッド側連通路TRS、ヘッド側連通路THS、および切換え弁161で構成される管路(連通管路)151Bは、第1の実施形態の連通管路151に相当する。
なお、切換え弁161は、本実施形態においては2方2位置切り換え弁であり、バネ復帰式のシングルソレノイド形の電磁弁である。切換え弁161は、常時は連通しているが、ソレノイドに通電すると遮断に切り換わる。つまり、ソレノイドのオンオフによって、連通管路151Bの遮断と連通とが切り換えられる。
切換え弁163,165は、切換え弁161と同様、2方2位置切り換え弁であり、バネ復帰式のシングルソレノイド弁である。
切換え弁162,164は、液体の流量を調整するために、2段階で絞り量を可変することのできる切り換え絞り弁である。つまり、切換え弁162,164は、第1の実施形態で説明した絞り弁152,153とチェック弁152a,153aとの並列接続体が、それぞれ2組ずつ内蔵されたものである。
これら、切換え弁162,164は、ケージ13の昇降速度の調整、およびケージ13の停止時の減速のために用いられる。つまり、切換え弁162,164は、通常はオフであり、この状態において流量が適当に絞られるように調整される。また、ケージ13が昇降移動から停止する直前に切換え弁162,164がオンとなることにより、ロッド側連通路TRSまたはヘッド側連通路THSにおける流量がより多く絞られ、これによりケージ13の速度が減速され、円滑に停止に至ることとなる。
このように、切換え弁162,164は、それぞれの絞り量を調整しておくことによって、切り換えられたときのそれぞれの液体の流量を調整することができる。
切換え弁162,164は、昇降装置1Bを避難用昇降機として用いる際に動作するものであるが、乗用エレベータとして用いる際にも動作するようにしてもよい。
なお、切換え弁162,164として、2方2位置切り換え弁を用い、絞り弁とチェック弁との並列接続体を外部に設けてもよい。
連通管路151Bとリザーバ155との間には、それらの間の接続を連通しまたは遮断するための切換え弁166が設けられる。
切換え弁166は、リザーバ155を使用しないときには連通管路151Bから切り離すとともに、リザーバ155内の液体の量が減ったときに、液圧ユニットEUから液体を補給するために用いられる。
そして、第2の実施形態では、液圧シリンダ21のロッド212が伸長作動または収縮作動するように、ロッド側室RSとヘッド側室HSとに選択的に液体を給排するための液圧ユニットEUが設けられる。
液圧ユニットEUとして、エレベータ用に用いられる公知の種々の構造の油圧ユニットを用いることが可能である。図29に示す例では、液圧ユニットEUは、油タンクTK、油圧ポンプYP、モータM、リリーフ弁VRE、および切換え弁VKKなどを備える。
なお、液圧ユニットEUは、例えば最下階のケージ13と干渉しない位置に配置すればよい。また、液圧ユニットEUを最上階に配置した場合には、リザーバ155と兼用することが可能である。
モータMによって油圧ポンプYPが回転し、油タンクTK内の液体が切換え弁VKKを介してポートPK1またはPK2に送り出される。つまり、切換え弁VKKを切り換えることによって、ポートPK1またはポートPK2から所定の圧力または流量の液体が供給され、または、ポートPK2またはポートPK1に液体が戻される。図29に示す例では、ポートPK2またはポートPK1に戻された液体は、切換え弁VKKを介して油タンクTKに戻る。
モータMは、商用電力によって駆動されるので、商用電力が停電すると液圧ユニットEUは作動しない。
なお、液圧ユニットEUから液体が供給されるときには、切換え弁161は遮断状態となる。しかし、昇降装置1Bが乗用エレベータとして動作している場合において、ケージ13とウエイトWTとの重量バランスによってケージ13の昇降が可能な場合には、切換え弁161を連通させて、避難用昇降機と同様な動作(エコ動作)を行わせることが可能である。
また、ロッド側連通路TRSには、ロッド側室RSに液体を供給するための、ガス圧で液体を送出可能なアキュムレータ167が、切換え弁168を介して接続される。
アキュムレータ167は、密閉されたタンクの中に液体と圧縮ガスとを収納したものであり、圧縮ガスの圧力によって液体を外部へ送りだす。圧縮ガスとして、空気、窒素、その他のガスが用いられる。圧縮ガスの供給のために、タンクに対して着脱可能なカートリッジ式のガスボンベを用いてもよい。また、液体の増減とともに移動するピストンを設けてもよい。
アキュムレータ167には、その内部の液体が不足したときに液圧ユニットEUから補給するための補給管路HKRが、切換え弁169とともに設けられる。アキュムレータ167の内部のガス圧は、圧力センサ170によって検知されており、ガス圧が設定圧力よりも低下したときに、切換え弁169が切り換えられ、液圧ユニットEUからアキュムレータ167のタンク内に液体が補給される。
なお、アキュムレータ167は、液圧シリンダ21のロッド側室RSに液体を供給する必要が生じたときに、切換え弁168を開いて、ロッド側連通路TRSを介して液体を供給する。これは、次のようなときに生じる。
すなわち、通常の乗用エレベータとして動作中に停電になった場合に、液圧ユニットEUは停止するので、液圧シリンダ21は液圧ユニットEUから液体の供給を受けることができない。液圧シリンダ21がどのような状態、つまりロッド212がどのようなストローク位置であっても、停電になった場合には、昇降装置1Bは、その状態から避難用昇降機として動作しなければならない。
そこで、液圧シリンダ21のロッド212が伸長した状態、つまりケージ13が上の方の階に上がった状態で、停電になると、ケージ13に人が載っていない限りケージ13は下の階に降りてこない。
例えば、誰も載っていないケージ13が4階にあるときに停電になったとすると、3階または2階にいる避難者は、ケージ13が3階または2階まで降りてきてもらわないと乗れない。このときに、液圧ユニットEUは停電のため動作しないので、それに代えて、アキュムレータ167から液体が供給される。
したがって、アキュムレータ167の液体の量およびガス圧は、ケージ13を例えば4階から2階まで下降させるに必要な量およびガス圧を越えた値とされる。そのような液体の量が維持されるように、液圧ユニットEUの動作時において、圧力センサ170の検知による適当なタイミングで、切換え弁169が切り換えられ、アキュムレータ167に液体が補給される。
アキュムレータ167のガス圧は、例えば0.6Kg/cm2 以上であり、例えば0.8〜1.0Kg/cm2 程度に低下したときに、切換え弁169が切り換えられて液体が補給される。
なお、切換え弁169の切り換えは、電気制御によって行ってもよいが、液圧または機械的なパイロット動作によって行うようにしてもよい。例えば、圧力センサ170の検知によるパイロット圧の発生によって切換え弁169を切り換えることでもよい。
なお、アキュムレータ167は、昇降装置1Bが3階建て以上の建築物KBに設置された場合に、上のような状況を回避するために必要である。しかし、昇降装置1Bが2階建ての建築物KBに設置された場合には必要でなく、この場合に、切換え弁168,169、圧力センサ170なども当然に不要となる。
ロッド側連通路TRSとポートPK1との間には、ロッド側連通路TRSの液圧を液圧ユニットEUの側、つまりポートPK1の側の液圧よりも高く維持するための圧力調整弁171を備える。圧力調整弁171には、並列にチェック弁172が接続される。
圧力調整弁171は、リザーバ155内の液体が、リザーバ155内の圧力によって液圧ユニットEUのタンクに戻ってしまわないようにするためのものであり、リザーバ155内の圧力よりも大きい圧力に調整される。
例えば、リザーバ155において、液体とガスとの境界部分に、容器の内周面を摺動するピストンが設けられる場合に、そのピストンの摺動抵抗や重量などにより、またはリザーバ155の高さ位置により、液体に圧力が発生する。それらの圧力を考慮して、それらによってロッド側連通路TRSに加わる総圧力Kよりも大きい圧力となるように、圧力調整弁171の設定圧力が調整される。
なお、リザーバ155の内部に圧力が発生するので、その蓋体などはその圧力に耐えれるように構成しておけばよい。
液圧装置15Bにおいて、上に述べたように、切換え弁161〜166、168、169は電磁弁であるので、電力によって作動する。これらのうち、停電時においても切り換え作動を行う必要のあるものについては、商用電力とは別の電源装置、例えばバッテリーまたは太陽電池などから電力が供給される。
例えば、切換え弁162〜165、168を、太陽電池を用いた電源装置によって作動させる。切換え弁161、166は、商用電力で作動させる。切換え弁161、166を商用電力で作動させると、商用電力の通電時においてのみオンオフして切り換えられ、停電時にはオフの状態となり、したがって液体は連通状態となる。
なお、図には示していないが、乗用エレベータとして用いることができるように、種々の必要な機器が設けられる。例えば、各階の扉12の開閉のためのモータなどのアクチュエータ、扉12の開閉を確認するためのリミットスイッチ、各階におけるケージ13の停止および減速の指令信号を発生するためのリミットスイッチ、ケージ13内における照明装置、操作装置、案内のためのスピーカ、などが必要に応じて設けられる。
また、扉12の開閉のためにモータを設けた場合に、そのモータを、商用電力の通電時には商用電力で、停電時にはバッテリーまたは太陽電池を用いた電源装置で、それぞれ作動させるように切り換える。また、停電時には扉12の開閉を手動で行うように構成しておくことも可能である。
なお、第2の実施形態においては、昇降装置1Bが通常の乗用エレベータとしても用いられるので、扉12はスライドの両開きで開閉可能に構成しておけばよい。
また、昇降装置1Bの制御装置には、商用電力の停電を検知する回路または装置が設けられる。そのような停電検知装置は、例えば、商用電力を電源として接点がオンオフ動作する継電器(リレー)であってもよい。商用電力の通電または停電によって、接点のオンまたはオフが切り換わる。停電検知装置によって、通常の乗用エレベータとしての制御と避難用昇降機としての制御とを切り換え、また、各切換え弁のソレノイドの電源回路を切り換えればよい。
制御装置は、商用電力の通電時には、昇降装置1Bを通常の乗用エレベータとして作動させ、商用電力の停電を検知することにより、昇降装置1Bを避難用昇降機として作動させる。
次に、商用電力の通電時および停電時における昇降装置1Bの動作について、図30〜図46を用いて説明する。
図30〜図37は、商用電力の通電時における動作状態を示す。
そして、図30は人が搭乗した状態での上昇時、図31は人が搭乗した状態での上昇の停止時、図32は人が搭乗した状態での下降時、図33は人が搭乗した状態での下降の停止時、図34は無人の状態での上昇時、図35は無人の状態での上昇の停止時、図36は無人の状態での下降時、図37は無人の状態での下降の停止時を、それぞれ示す。
図38〜図44は、商用電力の停電時における動作状態を示す。
そして、図38は無人の状態での上階での停止時、図39は無人の状態での上階での停止時に下降指令が発生した時、図40は上階での停止時に人が搭乗してきた時、図41は人が搭乗した状態での下降時、図42は人が搭乗した状態での下降の終了時、図43は下階で停止した状態で人が避難する時、図44は無人の状態での上昇時を、それぞれ示す。
図45および図46には、図30〜図44の各状態における切換え弁の動作状態が示されている。
なお、昇降装置1Bは、通常の乗用エレベータとして用いられる場合においても、液圧ユニットEUから液体の供給を受けることなく、避難用昇降機の場合と同じく、ケージ13とウエイトWTとの重力バランスによって昇降動作が行われる。
図30において、階下にあるケージ13に搭乗者(荷重KJ)が乗り込み、上昇ボタンを押した状態である。切換え弁161は遮断し、切換え弁163,165は連通した状態となる。液圧ユニットEUからの液圧が、ヘッド側連通路THSを通って液圧シリンダ21のヘッド側室HSに供給される。液圧シリンダ21のロッド212が伸長し、動滑車装置22が下降し、ケージ13が上昇する。
なお、このときに、リザーバ155内の液体の量が規定量に満たない場合に、切換え弁166が連通し、液圧ユニットEUからリザーバ155に液体が供給される。つまり、リザーバ155には、その液体の量の上限および下限を検知するためのセンサーが設けられており、センサーが下限を検知したときであってケージ13が待機中のときに、切換え弁166が連通して液体が供給される。
図31において、目的階に到達すると、切換え弁163,165が遮断し、液圧シリンダ21は停止する。なお、停止の直前に切換え弁162,164が動作して絞り量が切り換えられ、ケージ13は減速されて円滑に停止する。搭乗者は、扉12を開けてケージ13から降りる。
図32において、上階にあるケージ13に新たな搭乗者が乗り込み、下降ボタンを押す。この状態での下降の動作は、重力を利用して行われる。
つまり、切換え弁161が連通し、切換え弁163,165が連通する。切換え弁166も連通する。液圧ユニットEUは停止してもよい。
搭乗者による荷重KJによって、ケージ13は自然に下降する。これにともなって、液圧シリンダ21のロッド212は収縮する。ヘッド側室HSの液体がヘッド側連通路THSに押し出され、ロッド側連通路TRSを通ってロッド側室RSに流入する。ヘッド側室HSとロッド側室RSとの面積の差によって余った液体は、リザーバ155に流入する。なお、ロッド側連通路TRSの液体は、圧力調整弁171の設定圧力を越えないため、液圧ユニットEUには流れ込まない。
図33において、目的階に到達すると、切換え弁163,165が遮断し、液圧シリンダ21は停止する。切換え弁161,166も遮断する。搭乗者は、扉12を開けてケージ13から降りる。
図34において、上階からケージ13の呼出しがあると、ケージ13が空の状態で上昇する。このとき、切換え弁161が連通し、切換え弁163,165が連通する。切換え弁166も連通する。液圧ユニットEUは停止してもよい。
ケージ13に乗った荷重KJが0であるので、ウエイトWTの荷重によって、ケージ13は自然に上昇する。これにともなって、液圧シリンダ21のロッド212は伸長する。ロッド側室RSの液体がロッド側連通路TRSに押し出され、ヘッド側連通路THSを通ってヘッド側室HSに流入する。ヘッド側室HSとロッド側室RSとの面積の差によって不足する液体は、リザーバ155から供給される。なお、ロッド側連通路TRSの液体は、圧力調整弁171の設定圧力を越えないため、液圧ユニットEUには流れ込まない。
図35において、目的階に到達すると、切換え弁163,165が遮断し、液圧シリンダ21は停止する。
図36において、階下からケージ13の呼出しがあると、ケージ13が空の状態で下降する。このとき、切換え弁163,165が連通し、液圧ユニットEUからロッド側連通路TRSを介してロッド側室RSに液体が供給される。
図37において、目的階に到達すると、切換え弁163,165が遮断し、液圧シリンダ21は停止する。
このように、昇降装置1Bは、商用電力の通電時には通常の乗用エレベータとして動作する。
本実施形態においては、通常の乗用エレベータとしての動作の中に、図32および図34に示したように、液圧ユニットEUからの液体の供給によることなく、ケージ13とウエイトWTとの重力バランスによる昇降動作がある。したがって、その分だけ液圧ユニットEUを動作させる必要がないので、電力の消費量が抑制され、省エネルギーとなる。
しかし、通常の乗用エレベータとしての動作中においては、ケージ13とウエイトWTとの重力バランスに関係なく、常に液圧ユニットEUからの液体の供給によってケージ13を昇降させるようにしてもよい。
図38において、搭乗者のいないケージ13が上階で停止している。切換え弁161,166は連通し、切換え弁163,165は遮断している。商用電力が停電であるため、液圧ユニットEUは動作を停止している。
図39において、ケージ13が上階で停止中に、階下からケージ13の呼出しがあると、空のケージ13を下降させるために、切換え弁165が連通するとともに、切換え弁168が連通し、アキュムレータ167から液圧シリンダ21のロッド側室RSに液体が供給される。
これにより、ロッド212は収縮し、ウエイトWTが上昇し、ケージ13は下降する。液圧シリンダ21のヘッド側室HSの液体は、ヘッド側連通路THSを経て、切換え弁166を通って、リザーバ155に流入する。
図40において、上階で停止しているケージ13に搭乗者が乗ってくる。切換え弁163,165は遮断した状態である。
図41において、切換え弁163,165が連通することにより、ケージ13とウエイトWTとの重力バランスによってケージ13は下降する。
図42において、ケージ13が階下(1階)に到達すると、切換え弁163,165が遮断し、ケージ13は停止する。
図43において、1階で停止したケージ13から搭乗者が降りて外に出る。この間において、切換え弁163,165が遮断し、ケージ13は停止した状態である。
図44において、搭乗者が降りてケージ13が空になると、切換え弁163,165が連通し、ケージ13は上昇する。
このように、昇降装置1Bは、商用電力の停電時には避難用昇降機として動作する。
上の説明で明らかなように、昇降装置1Bが乗用エレベータとして動作している間において、どのような状態で停電が起こっても、その時点から昇降装置1Bは避難用昇降機として動作することが可能である。
したがって、本実施形態の昇降装置1Bによると、商用電力の通電時には乗用エレベータとして使用できるとともに、地震や火災などの非常事態が起こった場合でも避難用昇降機として使用できるので安心である。
上に述べた実施形態において、可動ビーム224、液圧シリンダ21、動滑車装置22、建屋フレーム11、扉12、ケ−ジ13、駆動装置14、液圧装置15、制御装置、ロック機構LK、液圧ユニットEU、または昇降装置1,1Bの各部または全体の構成、構造、回路、形状、個数、材質、配置などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
なお、本発明の昇降装置は、上に述べたような避難用の他、荷役用に、または膝が弱った老人などの日常における下降移動用に、その他の用途に利用することができる。また、ケ−ジを鉛直方向に移動させるのではなく、鉛直方向に対して角度を持った斜め方向にケ−ジを移動させるようにしてもよい。その場合に、ケ−ジがレールの上を走行するようにしてもよい。