以下に、本発明にかかる無線送信装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる送信装置を含んだ通信システムの実施の形態1の構成例を示す図である。この通信システムは、送信側の通信装置と受信側の通信装置により構成される。図1では、送信側と受信側の役割を明確に示すため、送信側の通信装置が備える送信装置1,受信側の通信措置が備える受信装置2,を示している。通常は、送信側および受信側の双方の通信装置が送信装置1および受信装置2を備えている。
送信装置1は、データシンボル生成部11と、パイロットシンボル生成部12と、ヌルシンボル生成部13と、フォーマット決定部14と、送信信号構築部15と、情報格納部16と、制御情報受信部17と、を備える。また、受信装置2は、受信信号分離部21と、データシンボル検出部22と、受信制御部23と、フォーマット識別部24と、情報格納部25と、制御情報受信部26と、を備える。
送信装置1において、データシンボル生成部11は、入力された送信データを用いてデータシンボルを生成する。また、パイロットシンボル生成部12,ヌルシンボル生成部13は、フォーマット決定部14からの指定に従い、それぞれ、パイロットシンボル,ヌルシンボルを生成する。
フォーマット決定部14(推測手段)は、情報格納部16が保持している情報に基づいて送信信号の信号フォーマットを決定し、決定内容に従った送信信号を生成するための動作を実行するように、データシンボル生成部11、パイロットシンボル生成部12、ヌルシンボル生成部13および送信信号構築部15に対して指示を行う。
送信信号構築部15(パケット生成手段)は、フォーマット決定部14からの指定に従い、データシンボル生成部11から受け取ったデータシンボル、パイロットシンボル生成部12から受け取ったパイロットシンボルおよびヌルシンボル生成部から受け取ったヌルシンボルをフレーム内に配置して送信信号(パケット)を構築する。
情報格納部16は、制御情報受信部17から受け取った情報を保持しておく。制御情報受信部17(情報取得手段)は、対向する受信側の通信装置から送信された制御情報を受信する。
また、受信装置2では、受信信号分離部21が、受信信号からデータシンボルとパイロットシンボルを分離させる。データシンボル検出部22(受信手段)は、受信制御部23からの指示に従い、受信信号分離部21から受け取ったデータシンボルに対する受信処理を行う。受信制御部23は、フォーマット識別部24から通知された受信信号の信号フォーマットに適したチャネル推定法,アンテナ間での信号合成法などを決定する。
フォーマット識別部24は、情報格納部25が保持している情報に基づいて受信信号の信号フォーマットを識別する。情報格納部25は、パケットの送信状態、受信アンテナ数などの情報を保持する。制御情報受信部26は、対向する送信側の通信装置から送信された制御情報を受信する。
図2−1および図2−2は、本実施の形態で使用する信号フォーマット(パイロットシンボル配置)の一例を示す図であり、ガードインターバル(GI)にデータ(Data)が付加されたデータシンボルとパイロットシンボル(Pilot symbol)とにより構成される。なお、網掛け部分がパイロットシンボルを示している。これ以降、本実施の形態では、図2−1に示したフォーマットをフォーマットA、図2−2に示したフォーマットをフォーマットBと呼んで区別する。
図3および図4は、本実施の形態の送信装置1による信号フォーマットの選定パターン(選定結果)の一例を示す図である。図5および図6は、それぞれ、本実施の形態をセルラシステム下りリンクに適用した場合の送信装置(基地局)の動作例を示すフローチャート、受信装置(端末)の動作例を示すフローチャートである。図7および図8は、それぞれ、本実施の形態をセルラシステム上りリンクに適用した場合の送信装置(端末)の動作例を示すフローチャート、受信装置(基地局)のフローチャートである。また、図9−1および図9−2は、本実施の形態で使用する制御信号の構成例を示す図である。
以下、図1〜9に基づいて本実施の形態の信号送信手順を説明する。最近の無線通信ではマルチキャリア伝送方式が広く用いられており、一定時間(たとえば、1ms)単位で、信号伝送するサブキャリア群(以下、サブバンドと呼ぶ)を適応的に選定する方法が考えられている。本手法では、伝搬状態の良いサブバンドを選んで信号伝送することにより、信号伝送を良好に行える利点がある。このような手法は周波数スケジューリングとして知られている。本伝送方式では、特定の送信装置と受信装置の間での信号伝送に用いるサブバンドが時間フレームによって変化する場合もあれば、同じサブバンドを連続時間フレームで継続的に用いる場合もある。
本実施の形態では、まず送信装置1がマルチキャリア信号を伝送するにあたり、パケットの連続送信状態に応じてパケットの信号フォーマットを適応的に決定する。具体的には、図2−1に示したパイロットシンボルを多く配置した(密度が高い)フォーマットAと、図2−2に示したパイロットシンボルの密度が低いフォーマットBを準備しておき、送信に用いるフォーマットをパケットの送信状態に応じて適応的に選定する。
図3は、送信装置1による信号フォーマットの選定パターンの一例を示す図であり、同一サブバンドで連続してパケットを伝送する場合の信号フォーマット選定パターンを示している。図3に示したように、本発明にかかる送信装置1では、パケット伝送を開始する第1番目の時間フレームでは高い密度のパイロットシンボルを持つフォーマットAを用いてパケットを伝送する。一方、同じサブバンドで時間的に連続して送信される後続の(2番目以降の)パケットでは、パイロットシンボル密度の低いフォーマットBを用いてパケットを伝送する。これは、1番目のパケットではパケット内に存在するパイロットシンボルのみを用いて受信側(受信装置2)がチャネル推定を行う必要があり、チャネル推定を精度よく行うために多くのパイロットシンボルが必要となるためである。これに対して、その後に連続的に伝送されるパケットでは、1番目のパケットを伝送した時間とチャネル(伝搬路)状態に相関があるため、1番目のパケットでのチャネル推定結果の一部を用いてチャネル推定精度を向上させることが可能である。具体例を示すと、1番目のパケットで推定されたチャネル係数と2番目のパケットで推定されるチャネル係数を適切に重み付け平均することで推定精度を向上できる。
従って、同一サブバンドで連続送信されるパケットの2番目以降のパケットでは、それ以前に伝送されるパケットで行ったチャネル推定結果の一部を利用することにより、所望のチャネル推定精度を得るために必要なパイロットシンボル数を1番目のパケットよりも小さくできる。パイロットシンボル数を小さくすると、その分データ伝送に用いるシンボル数を多くすることができ、効率的な信号伝送が可能となる。このように、送信装置1がパケットの送信状態に応じて信号を送信する際の信号フォーマット(パイロットシンボル数)を適応的に選定することにより、データ伝送効率を向上できる。
図4は、送信装置1による信号フォーマットの選定パターンの一例を示す図であり、上記図3とは異なる選定パターンを示している。図4は、送信装置1が一つのサブバンド(サブバンド#2)の連続時間フレームで3つのパケットを送信し、また、異なるサブバンド(サブバンド#N)の連続時間フレームで2つのパケットを送信する例を示している。この場合、サブバンド#Nで連続送信する最初のパケットでは、チャネル推定をそのパケット内のみで行う必要があるため、パイロットシンボル密度の高いフォーマットAを選定する。また、後続(2番目)のパケットでは、パイロットシンボル密度の低いフォーマットBを選定する。
図5は、本発明にかかる送信装置1が信号を伝送する際の信号フォーマット選定手順の一例を示すフローチャートであり、セルラシステム下りリンクに適用した送信装置1(基地局に相当)での制御手順を示している。
まず、送信装置1(基地局)では、フォーマット決定部14が、各端末(受信装置2)へのパケット伝送に利用するサブバンド(1つに限らない)を決定する(ステップS11)。次に、決定したサブバンドの一つを処理対象として選択し(ステップS12)、選択したサブバンド(対象サブバンド)を直前の時間フレームでも同じ端末への送信に利用したか否かを確認する(ステップS13)。基地局は情報格納部16に直前の時間フレームで各端末へパケット伝送したサブバンド情報を格納しており、フォーマット決定部14は、その情報を参照してステップS13の判定を行う。そして、対象サブバンドを直前の時間フレームでも同じ端末への送信に利用した場合(ステップS13,Yes)、パイロットシンボル密度の低いフォーマットBを選定する(ステップS14)。一方、直前の時間フレームで同じ端末への送信に利用していない場合には(ステップS13,No)、パイロットシンボル密度の高いフォーマットAを選定する(ステップS15)。次に、他にもパケット伝送に利用するサブバンドがあるかどうか、すなわち、上記ステップS11で決定したサブバンドの中で、使用する信号フォーマットの選定が未だ行われていないものが存在するかどうか、を確認する(ステップS16)。選定が行われていないサブバンドが存在していれば(ステップS16,Yes)、その中の一つを処理対象として再選択し(ステップS17)、上述した処理を実行する(ステップS13→ステップS14またはステップS13→ステップS15)。以降、上記ステップS11で決定したサブバンドすべてについて信号フォーマットが選定されるまで処理を継続する。上記ステップS11で決定したサブバンドすべてについて、信号フォーマット選定が終了すると(ステップS16,No)、信号フォーマット選定手順を終了する。以上の処理により、基地局は図3,図4に示したような適応的なフォーマットの選定を実現できる。
図6は、本発明にかかる送信装置1が送信した信号を受信側で適切に受信するための処理手順の一例を示す図であり、セルラシステム下りリンクに適用した受信装置2(端末に相当)での制御手順を示している。
まず、受信装置2(端末)では、フォーマット識別部24(パイロットシンボル特定手段)が、制御情報受信部26を介して取得した制御情報からパケットを受信するサブバンドを認識する(ステップS21)。次に、フォーマット識別部24は、直前の時間フレームと現在の時間フレームでの利用サブバンド状態から現在の時間フレームで伝送される信号のフォーマットを識別する(ステップS22)。端末は、情報格納部25に直前の時間フレームで利用したサブバンド情報を格納しており、その情報を参照することにより現在の時間フレームで受信するパケットが連続的に伝送される(直前の時間フレームと同じサブバンドで伝送される)パケットか否かを判別する。連続的に伝送されるパケットの場合にはフォーマットBで伝送されると判断し、それ以外の場合にはフォーマットAで伝送されると判断する。フォーマットを認識すると、認識結果に従い、受信信号分離部21がデータシンボルとパイロットシンボルを分離する。そして、パイロットシンボルを使用して受信制御部23が受信信号のフォーマットに適したチャネル推定方法を決定し(ステップS23)、データシンボル検出部22が受信制御部23での決定結果に従った動作を実行することによりデータパケットを受信する(ステップS24)。なお、受信装置2が複数のアンテナを備える構成の場合、受信制御部23は、上記ステップS23でアンテナ間の信号合成方法も併せて決定する。
図9−1および図9−2は、送信装置1から受信装置2へ通知される制御情報の一例を示しており、図9−1に示した例では、次の時間フレームで利用するサブバンド情報(サブバンド番号(1)、サブバンド番号(2)、…)が受信機IDとともに通知対象の受信装置2宛に送付される。受信装置2は、制御情報が示す受信機IDおよびサブバンド番号から、次の時間フレームで利用されるサブバンドとその送信先の受信装置を把握する。図9−2に示した例では、次の時間フレームで利用するサブバンド情報(サブバンド番号(1)、サブバンド番号(2)、…)に加えて、各サブバンドでの信号フォーマット情報(フォーマット(1)、フォーマット(2)、…)も同時に送付される。図9−2のように、信号フォーマット情報が制御情報に含まれる場合、受信装置2は、受信した制御情報から即座に信号フォーマットを認識できるため上述したステップS22の処理を省略できる。
図7は、本発明にかかる送信装置1が信号を伝送する際の信号フォーマット選定手順の一例を示すフローチャートであり、セルラシステム上りリンクに適用した送信装置(端末に相当)での制御手順を示している。
まず、送信装置1(端末)では、パケット伝送に利用するサブバンドの指示を制御情報受信部17経由で基地局(受信装置2)から受信する(ステップS31)。次に、指示された利用サブバンドの一つを処理対象として選択し(ステップS32)、選択したサブバンド(対象サブバンド)を直前の時間フレームでも送信に利用したか否かを確認する(ステップS33)。端末は情報格納部16に直前の時間フレームで送信に利用したサブバンド情報を格納しており、フォーマット決定部14は、その情報を参照してステップS33の判定を行う。そして、対象サブバンドを直前の時間フレームでも送信に利用した場合(ステップS33,Yes)、パイロットシンボル密度の低いフォーマットBを選定する(ステップS34)。一方、直前の時間フレームで送信に利用していない場合には(ステップS33,No)、パイロットシンボル密度の高いフォーマットAを選定する(ステップS35)。次に、他にもパケット伝送に利用するサブバンドがあるかどうか、すなわち、上記ステップS31で指示された利用サブバンドの中で、使用する信号フォーマットの選定が未だ行われていないものが存在するかどうか、を確認する(ステップS36)。選定が行われていないサブバンドが存在していれば(ステップS36,Yes)、その中の一つを処理対象として再選択し(ステップS37)、上述した処理を実行する(ステップS33→ステップS34またはステップS33→ステップS35)。以降、上記ステップS31で指示された利用サブバンドすべてについて信号フォーマットが選定されるまで処理を継続する。上記ステップS31で指示された利用サブバンドすべてについて、信号フォーマット選定が終了すると(ステップS36,No)、信号フォーマット選定手順を終了する。以上の処理により、端末は図3,図4に示したような適応的なフォーマットの選定を実現できる。
図8は、本発明にかかる送信装置1が送信した信号を受信側で適切に受信するための処理手順の一例を示す図であり、セルラシステム上りリンクに適用した受信装置2(基地局に相当)での制御手順を示している。
まず、受信装置2(基地局)では、フォーマット識別部24が、制御情報受信部26を介して取得した制御情報からパケットを受信するサブバンドを認識する(ステップS41)。なお、基地局が端末に通知したスケジューリング情報を情報格納部25に格納するなどして記憶している場合には、記憶しているスケジューリング情報からパケットを受信するサブバンドを認識するようにしてもよい。
次に、フォーマット識別部24は、直前の時間フレームと現在の時間フレームでの利用サブバンド状態から現在の時間フレームで伝送される信号のフォーマットを識別する(ステップS42)。基地局は情報格納部25に直前の時間フレームで利用したサブバンド情報を格納しており、その情報を参照することにより現在の時間フレームで受信するパケットが連続的に伝送される(直前の時間フレームと同じサブバンドで伝送される)パケットか否かを判別する。連続的に伝送されるパケットの場合にはフォーマットBで伝送されると判断し、それ以外の場合にはフォーマットAで伝送されると判断する。フォーマットを認識すると、認識結果に従い、受信信号分離部21がデータシンボルとパイロットシンボルを分離する。そして、パイロットシンボルを使用して受信制御部23が受信信号のフォーマットに適したチャネル推定方法を決定し(ステップS43)、データシンボル検出部22が受信制御部23での決定結果に従った動作を実行することによりデータパケットを受信する(ステップS44)。
以上の処理により、送信装置はパケットの連続送信状態に応じて適切なフォーマットでパケットを送信することができる。その結果、直前のチャネル推定結果を利用することにより十分なチャネル推定精度が得られる連続パケット伝送ではパイロットシンボル数を低減することができ、データ伝送効率を向上することができる。なお、ここでは適切なフォーマット選定の一例として、パイロットシンボル数を変化する場合を述べたが、後の実施の形態で述べるようにヌルシンボル、制御情報形式などさまざまな方式でフォーマットを変更することが可能である。従って、パイロットシンボル数の変更は信号伝送フォーマットを変更する一例に過ぎない。また、上記説明では、選択するフォーマットが2種類の場合について説明を行ったが、直前のチャネル推定結果との相関などを考慮して3種類以上の中から選択するようにしてもよい。
図5〜図8で示したように、本実施の形態はセルラ方式の上りリンクおよび下りリンクの双方に適用できる。また、セルラ方式以外のマルチキャリア伝送を用いるいかなる無線伝送システムに対しても本実施の形態を適用することができる。また、本実施の形態では、一例として周波数スケジューリングを行う無線システムに対して適用する場合について説明を行ったが、連続的にパケット伝送を行ういかなる無線システムにも適用できる。たとえば、全システム帯域でサブバンドが1つのみである場合にも適用可能である。
また、ここでは説明の便宜上「連続時間でのパケット伝送」との言葉を用いたが、過去に送信されたパケットに含まれる情報の一部(本実施の形態ではチャネル推定結果)を利用できれば、完全に時間的に連続でなくても(時間領域で隣接していなくても)上述と同様の効果を得ることができる。従って、パケット伝送を行う複数時間フレームのチャネル状態に相関があれば複数時間フレームに時間間隔が存在する場合も同様に本実施の形態を適用できる。たとえば、現在のチャネル状態が2つ前の時間フレームのチャネル状態と相関がある場合、直前(1つ前)の時間フレームの同じサブバンドで同一相手先へ送信されている必要はなく、2つ前の時間フレームで同じサブバンドが使用されていれば、パイロットシンボル密度が低いファーマットを選択できる、など、現在のチャネル状態が、近接したパケットを送信した際のチャネル状態との間で相関があればよい。これは、後述する実施の形態でも同様である。
また、本実施の形態の信号フォーマット選択制御動作は、送信装置および受信装置が複数のアンテナを用いるMIMO(Multi−Input Multi−Output)システムにも適用可能である。MIMOシステムでは送信装置が複数のアンテナまたは送信ビームから複数の信号を同時に伝送する場合もあるが、この場合、アンテナ又は送信ビームごとに選択制御を行うようにすることで、円滑に信号伝送フォーマットを選定できる。
図10は、空間多重伝送を行うMIMOシステムに対して上述した信号フォーマット選択制御を適用した場合の動作例を示す図である。ここでは、簡単のため、各空間多重伝送における伝送帯域におけるサブバンド数は1としている。このMIMOシステムでは、送信装置が複数の信号を空間多重することも可能であり、各送信ビームにおいて連続的にパケット伝送する場合には、先頭パケットでパイロットシンボル密度の高いフォーマットAを使用し、連続的に送信される後続のパケットでパイロットシンボル密度の低いフォーマットBを使用する。本制御は送信ビームごとに個別に、上記図5〜図8に示した制御を実施することにより実現できる。このように、本実施の形態で示した信号フォーマット選択制御はMIMOチャネルにおいて空間多重伝送する場合にも適用可能である。また、図10ではサブバンド数を1とした場合の構成を示したが、各送信ビームから複数のサブバンドで信号が送信される場合にも、同様に適用できる。
このように、本実施の形態では、1送信信号(データパケット)ごとに、そのフォーマット(パケット内のパイロットシンボル配置)を複数のフォーマットの中から選択し、送信信号を生成することとした。また、フォーマットを選定するにあたり、以前の時間フレームでのパケット送信に利用したサブバンドの状態を確認し、確認の結果、以前の時間フレームでのチャネル推定結果を利用したチャネル推定が可能であると判断した場合、パイロットシンボル密度が低いフォーマットを選定することとした。これにより、1フレームあたりで送信するデータシンボル数が多くなり、データ伝送効率を向上させることができる。
実施の形態2.
つづいて、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、複数のサブバンドを使用して信号伝送する際に他のサブバンドでのチャネル推定結果を利用することによりデータ伝送の効率化を図る送信装置について説明する。なお、送信装置の構成および通信相手先(受信装置)の構成は上述した実施の形態1と同様である(図1参照)。
図11は、実施の形態2の送信装置による信号フォーマットの選定パターンの一例を示す図である。図12および図13は、それぞれ、本実施の形態をセルラシステム下りリンクに適用した場合の送信装置(基地局)の動作例を示すフローチャート、受信装置(端末)の動作例を示すフローチャートである。
以下、図11〜13に基づいて本実施の形態の信号送信手順を説明する。近年のマルチキャリア伝送方式では、信号伝送するサブバンドを適応的に選定する方法が考えられている。その選定方法を使用した場合、複数の連続するサブバンドを選定して信号伝送を行うケースも多く発生するが、隣接するサブバンド間では類似したチャネル状態を有するため、相互の相関を用いてチャネル推定精度を向上できる。
例えば、図11に示すように周波数軸方向に連続するサブバンド#1〜#4を用いて信号伝送する場合、サブバンド#2および#3では隣接する両側のサブバンドでもパケット伝送が行われる。従って、サブバンド#2および#3では隣接する両側のサブバンドでのチャネル推定結果を用いてチャネル推定精度を向上できる。具体的には、まず各サブバンドで独立にチャネル推定を行い、隣接するサブバンドでのチャネル推定結果と適切な重み付け平均化を行うことにより推定精度を向上できる。これに対して、サブバンド群(この例では連続するサブバンド#1〜#4)の両端に位置するサブバンド#1および#4ではチャネル推定において片側のサブバンドでのチャネル推定結果のみしか利用できないため不利となる(両側の推定結果が利用可能な場合と比較して推定精度が落ちる)。従って、両端のサブバンド#1および#4では、サブバンド#2や#3と同じチャネル推定精度を維持するためにより多くのパイロットシンボルを必要とする。
そこで、本実施の形態では図11に示した例のように複数の連続サブバンドでパケット伝送を行う場合、隣接するサブバンドの使用状況に応じて適応的に信号伝送フォーマットを選定する。たとえば、図11に示したように、サブバンド群の両端のサブバンド(サブバンド#1および#4)ではパイロットシンボル密度の高いフォーマットAを利用した伝送を行い、それ以外(サブバンド#2および#3)ではパイロットシンボル密度の低いフォーマットBを利用した伝送を行う。このように、サブバンド群の両端に位置していないサブバンド(サブバンド#2および#3)におけるパイロットシンボル密度を低くすることにより、その分フレーム内でデータシンボルを多く伝送することができ、データ伝送効率を向上できる。
図12は、実施の形態2の送信装置1が信号を伝送する際の信号フォーマット選定手順の一例を示すフローチャートであり、セルラシステム下りリンクに適用した送信装置1(基地局に相当)での制御手順を示している。なお、実施の形態1の基地局による信号フォーマット選定手順(図5参照)と同じ処理については、同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
送信装置1(基地局)のフォーマット決定部14は、ステップS11およびS12を実行してパケット伝送に利用するサブバンドの決定、および、フォーマット選定の処理対象の選択を行う。そして、選択したサブバンド(対象サブバンド)の両側のサブバンドを利用して同じ端末へ送信するか否かを確認する(ステップS13a)。基地局は情報格納部16に各端末への送信に利用するサブバンドの情報を格納しており、フォーマット決定部14は、その情報を参照してステップS13aの判定を行う。そして、両側のサブバンドを利用して同じ端末へ送信する場合(ステップS13a,Yes)、パイロットシンボル密度の低いフォーマットBを選定する(ステップS14)。それ以外の場合には(ステップS13a,No)、パイロットシンボル密度の高いフォーマットAを選定する(ステップS15)。以上の処理をステップS11で決定したサブバンドすべてについて実行することにより、基地局は図11に示したような適応的なフォーマットの選定を実現できる。
一方、受信装置2(端末)では制御信号からパケットの伝送されるサブバンドを認識し、サブバンド情報から送信に利用されるサブバンドの信号フォーマットを識別できる。本制御手順は実施の形態1で説明した図6において時間フレーム情報をサブバンド情報に置き換えれば図6と同じ手順で実行できるため、詳細な記述は省略する。
図13は、本発明にかかる送信装置1が信号を伝送する際の信号フォーマット選定手順の一例を示すフローチャートであり、セルラシステム上りリンクに適用した送信装置(端末に相当)での制御手順を示している。なお、実施の形態1の端末による信号フォーマット選定手順(図7参照)と同じ処理については、同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
送信装置1(端末)のフォーマット決定部14は、ステップS31およびS32を実行してパケット伝送に利用するサブバンドの決定、および、フォーマット選定の処理対象の選択を行う。そして、選択したサブバンド(対象サブバンド)の両側のサブバンドを送信に利用するか否かを確認する(ステップS33a)。端末は情報格納部36に送信に利用するサブバンドの情報を格納しており、フォーマット決定部34は、その情報を参照してステップS33aの判定を行う。そして、両側のサブバンドを送信に利用する場合(ステップS33a,Yes)、パイロットシンボル密度の低いフォーマットBを選定する(ステップS34)。それ以外の場合には(ステップS33a,No)、パイロットシンボル密度の高いフォーマットAを選定する(ステップS35)。以上の処理をステップS31で決定したサブバンドすべてについて実行することにより、端末は図11に示したような適応的なフォーマットの選定を実現できる。
一方、受信装置2(基地局)では制御信号からパケットの伝送されるサブバンドを認識し、サブバンド情報から送信に利用されるサブバンドの信号フォーマットを識別できる。本制御手順は実施の形態1で説明した図8において時間フレーム情報をサブバンド情報に置き換えれば図6と同じ手順で実行できるため、詳細な記述は省略する。
以上に示すように、連続するサブバンドで信号伝送する場合には、その利用サブバンドに応じてパイロットシンボル密度を変化することにより、データの伝送効率を向上できる。
また、ここでは説明の便宜上「連続するサブバンドでのパケット伝送」との言葉を用いたが、過去または同時に送信されたパケットに含まれる情報の一部(本実施の形態ではチャネル推定結果)を利用できれば、完全に時間的に連続でなくても上述と同様の効果を得ることができる。従って、パケット伝送を行う複数サブバンド間にチャネル状態が維持される程度の周波数間隔が存在する場合も同様に本実施の形態を適用できる。
また、本実施の形態では、MIMOシステムにおいて送信装置が複数のアンテナ又は送信ビームから複数の信号を同時に伝送する場合にも、アンテナ又は送信ビームごとに選択制御を行うようにすることで、円滑に信号フォーマットを選定できる。
このように、本実施の形態では、送信信号のフォーマットを選定するにあたり、隣接するサブバンドの利用状態を確認し、確認の結果、両側のサブバンドも同時に利用されると判断した場合、パイロットシンボル密度が低いフォーマットを選定することとした。これにより、1フレームあたりで送信するデータシンボル数が多くなり、データ伝送効率を向上させることができる。
実施の形態3.
つづいて、実施の形態3について説明する。実施の形態2では、連続するサブバンドを利用して送信を行う際に、サブバンド群の両端のサブバンドで同じパイロットシンボル配置のフォーマットを用いたが(図11参照)、それぞれ異なるフォーマット(ただしパイロットシンボル密度は同じ)を用いることもできる。本実施の形態では、両端のサブバンドで異なるフォーマットを用いる場合について説明する。なお、送信装置の構成および通信相手先(受信装置)の構成は上述した実施の形態1と同様である(図1参照)。
図14は、実施の形態3の送信装置による信号フォーマットの選定パターンの一例を示す図である。図15−1〜図15−4は、本実施の形態で使用する信号フォーマットの一例を示す図であり、網掛け部分がパイロットシンボルを示している。これ以降、本実施の形態では、図15−1〜図15−4に示したフォーマットを、それぞれ、フォーマットA0、フォーマットA1、フォーマットA2、フォーマットA3と呼ぶ。また、図16は、本実施の形態をセルラシステム下りリンクに適用した場合の送信装置(基地局)の動作例を示すフローチャートである。
以下、図14〜16に基づいて本実施の形態の信号送信手順を説明する。実施の形態2で述べたように、チャネル推定精度が問題となるのは、サブバンド群の両端のサブバンドである。これをさらに注意深く見れば、両端のサブバンドの中でもチャネル推定精度が問題となるのは、両端のサブキャリア部分(隣接するサブバンドが利用されていない側のサブキャリア部分)と言える。これは、隣接する片側のサブキャリアでのチャネル推定情報しか利用できず、両側のサブキャリアでのチャネル推定情報を利用できる他のサブキャリアよりも条件的に不利となるためである。
この点を考慮すると、図14に示すように両端のサブバンドでは特にその中でも両端の周波数位置に近いサブキャリアにおいて多くのパイロットシンボル密度を持つように、フォーマットA1,A2を利用する。これにより、チャネル推定精度の劣化を防ぐことができる。ここで、図15−1〜図15−4に示すように、フォーマットA1およびA2はサブバンド内でサブキャリア群を半分に分割すると一方のサブキャリア群で他方のサブキャリア群よりも多くのパイロットシンボル密度を持つように設定される。このようなフォーマットを導入し、図14において両端となるサブキャリア近辺でのパイロットシンボル密度を高めることにより、全サブキャリアで安定したチャネル推定を行える。
図16は、実施の形態3の送信装置1が信号を伝送する際の信号フォーマット選定手順の一例を示すフローチャートであり、セルラシステム下りリンクに適用した送信装置1(基地局に相当)での制御手順を示している。なお、実施の形態1の基地局による信号フォーマット選定手順(図5参照)と同じ処理については、同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
送信装置1(基地局)のフォーマット決定部14は、ステップS11およびS12を実行してパケット伝送に利用するサブバンドの決定、および、フォーマット選定の処理対象の選択を行う。そして、選択したサブバンド(対象サブバンド)より高い周波数の隣接のサブバンドでも同じ端末へ送信するか否かを判定し(ステップS13b)、送信する場合「i=1」とし(ステップS13b,Yes、ステップS51)、そうでなければ「i=0」とする(ステップS13b,No、ステップS52)。さらに、対象サブバンドより低い周波数の隣接のサブバンドでも同じ端末へ送信するか否かを判定し(ステップS53)、送信する場合「j=1」とし(ステップS53,Yes、ステップS54)、そうでなければ「j=0」とする(ステップS53,No、ステップS55)。
その後、上記「i」および「j」の状態に対応したフォーマットを選定する(ステップS56)。この例では、「i=0,j=0」であればフォーマットA0を選択し、「i=1,j=0」であればフォーマットA1を選択する。また、「i=0,j=1」,「i=1,j=1」の場合、それぞれフォーマットA2,フォーマットBを選定する。
次に、他にもパケット伝送に利用するサブバンドがあるかどうか、すなわち、上記ステップS11で決定したサブバンドの中で、使用する信号フォーマットの選定が未だ行われていないものが存在するかどうか、を確認する(ステップS16)。選定が行われていないサブバンドが存在していれば(ステップS16,Yes)、その中の一つを処理対象として再選択し(ステップS17)、上述した処理を実行する。以降、上記ステップS11で決定したサブバンドすべてについて信号フォーマットが選定されるまで処理を継続する。上記ステップS11で決定したサブバンドすべてについて、信号フォーマット選定が終了すると(ステップS16,No)、信号フォーマット選定手順を終了する。以上の処理により、基地局は図14に示したような適応的なフォーマットの選定を実現できる。
なお、ここではセルラシステム下りリンクに適用した送信装置(基地局)を一例として示したが、対応する受信装置(端末)の動作、セルラシステム上りリンクに適用した送信装置(端末)および受信装置(基地局)の動作は、図16と実施の形態1の図6〜図8との組み合わせから容易に類推できるので、その説明は省略する。
このように本実施の形態では、送信信号のフォーマットを選定するにあたり、隣接するサブバンドの利用状態を確認し、確認の結果、両側のサブバンドも同時に利用されると判断した場合、パイロットシンボル密度が低いフォーマットを選定することとした。また、サブバンド群の両端では、より外側(端側)に近い領域のサブキャリア密度を高くしたフォーマットを選定することとした。これにより、1フレームあたりで送信するデータシンボル数が多くなり、上述した実施の形態2の場合と比較してさらにデータ伝送効率を向上させることができる。
実施の形態4.
つづいて、実施の形態4について説明する。上述した実施の形態1〜3ではパイロットシンボル密度を変化させた複数の信号フォーマットの中から適応的に信号フォーマットを選定する送信装置について説明した。これに対して、本実施の形態ではパイロットシンボル電力を変化させた複数の信号フォーマットの中から適応的に信号フォーマットを選定する送信装置について説明する。なお、送信装置の構成および通信相手先(受信装置)の構成は上述した実施の形態1と同様である(図1参照)。
実施の形態1〜3では、チャネル推定を円滑に行うためにパイロットシンボル密度の調整(信号フォーマットの選定)を行った。しかしながら、高いパイロットシンボル電力を用いることでも良好なチャネル推定精度を維持できる。これは、パイロットシンボルの電力が大きいと、受信装置でのパイロットシンボル電力と干渉雑音電力の比が大きくなり、良好なチャネル推定精度を得られるためである。
そこで、本実施の形態では図17−1〜図17−4に示すようにパイロットシンボルとデータ信号の送信電力差(電力オフセット)を変化させたフォーマットA0,A1,A2,Bを定義し、パケットの連続伝送状態に応じてフォーマットを選定する。これにより、サブバンド毎に適切なチャネル推定を行うのに必要な電力でパイロットシンボルを送信する。なお、図17−1〜図17−4に示した例では、電力オフセットを3dBとしているが、オフセット値をこれに限定するものではない。後述する実施の形態で使用するオフセット値も同様である。
また、図17−1〜17−4ではパイロットシンボルの電力オフセットを固定値として設定したが、状態に応じて送信側で自由に設定することもできる。図18は、可変電力オフセットを用いる場合に必要となる送信装置1から受信装置2への制御信号の一例を示す図である。この制御信号は受信機ID、フォーマット情報およびパイロット信号(シンボル)の電力オフセット量αを含んでいる。送信装置1は、図17−1〜図17−4のフォーマットを基準として、パイロットシンボルの送信電力をさらにα[dB]増加させることができ、本制御信号はその伝送状態を受信装置2に通知する。受信装置2は本制御信号から伝送状態を把握してチャネル推定を行う。また、送信装置1は、受信装置2からフィードバックされた受信状態に基づいて電力オフセットαを設定するようにしてもよい。
このように、本実施の形態では、パイロットシンボルの送信電力を適応的に変更できるフレーム構成を用いることによって、チャネル推定に必要なパイロットシンボルの送信電力のみを高めて送信することとした。これにより、従来の固定的なフレーム構成では不要なパイロットシンボルも送信されていたが、本構成を用いてより効率的な信号伝送を行える。
実施の形態5.
つづいて、実施の形態5について説明する。上述した実施の形態1および2では、連続時間または連続サブバンドを利用したパケット伝送時に信号フォーマットを適応的に選定する送信装置について説明したが、これらを時間周波数の2次元領域で連続的にパケット伝送を行う場合に拡張できる。本実施の形態では時間周波数の2次元領域で連続的にパケット伝送を行う場合に、信号フォーマットを適応的に選定する送信装置について説明する。なお、送信装置の構成および通信相手先(受信装置)の構成は上述した実施の形態1と同様である(図1参照)。
図19は、実施の形態5の送信装置による信号フォーマットの選定パターンの一例を示す図である。また図20は、本実施の形態をセルラシステム下りリンクに適用した場合の送信装置(基地局)の動作例を示すフローチャートである。
以下、図11〜13に基づいて本実施の形態の信号送信手順を説明する。実施の形態1および2で述べたように、チャネル推定精度が問題となるのは、サブバンド群の両端のサブバンドで送信するパケット、および、同一サブバンドを利用して連続送信する場合の送信開始時のパケット(最初に送信するパケット)である。従って、時間周波数の2次元領域でパケットの連続伝送を行う場合には、送信開始時の両端のサブバンドでパイロットシンボル密度の高い伝送フォーマットを用いて信号伝送することが求められる。この点を考慮すると、図19に示すように送信開始時の両端のサブバンドで多くのパイロットシンボル密度を持つフォーマットAを使用することにより、チャネル推定精度の劣化を防ぐことができる。なお、図19で示したフォーマットAは図2−1に示したフォーマット、Bは図2−2に示したフォーマットである。
図20は、実施の形態5の送信装置1が信号を伝送する際の信号フォーマット選定手順の一例を示すフローチャートであり、セルラシステム下りリンクに適用した送信装置1(基地局に相当)での制御手順を示している。なお、実施の形態1の基地局による信号フォーマット選定手順(図5参照)と同じ処理については、同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
送信装置1(基地局)のフォーマット決定部14は、ステップS11およびS12を実行してパケット伝送に利用するサブバンドの決定、および、フォーマット選定の処理対象の選択を行う。そして、選択したサブバンド(対象サブバンド)の両側のサブバンドを利用して同じ端末へ送信するか否かを確認する(ステップS13b)。そして、両側のサブバンドを利用して同じ端末へ送信する場合(ステップS13b,Yes)、パイロットシンボル密度の低いフォーマットBを選定する(ステップS14)。一方、両側のサブバンドを利用しない場合(ステップS13a,No)、さらに、対象サブバンドを直前の時間フレームでも同じ端末への送信に利用したか否かを確認する(ステップS61)。そして、対象サブバンドを直前の時間フレームでも同じ端末への送信に利用した場合(ステップS61,Yes)、パイロットシンボル密度の低いフォーマットBを選定する(ステップS14)。一方、直前の時間フレームで同じ端末への送信に利用していない場合には(ステップS61,No)、パイロットシンボル密度の高いフォーマットAを選定する(ステップS15)。以上の処理をステップS11で決定したサブバンドすべてについて実行することにより、基地局は図19に示したような適応的なフォーマットの選定を実現できる。
なお、ここではセルラシステム下りリンクに適用した送信装置(基地局)を一例として示したが、対応する受信装置(端末)の動作、セルラシステム上りリンクに適用した送信装置(端末)および受信装置(基地局)の動作は、図20と実施の形態1の図6〜図8との組み合わせから容易に類推できるので、その説明は省略する。
また、ここでは、実施の形態1や2で使用したフォーマットAおよびB(図2−1および図2−2参照)の2種類を用いたが、実施の形態3や4で示したフォーマット(図15−2、図15−3、図17−2および図17−3参照)を本実施の形態に適用することもできる。
このように、本実施の形態では、時間周波数の2次元領域で連続的にパケット伝送を行う場合、サブバンド群の両端かつ送信開始時のパケット以外ではパイロットシンボル密度が低いフォーマットを選定することとした。これにより、1フレームあたりで送信するデータシンボル数が多くなり、データ伝送効率を向上させることができる。
実施の形態6.
つづいて、実施の形態6の送信装置について説明する。本実施の形態ではパイロットシンボルの送信電力設定に関して、上述した実施の形態4と異なる例について説明する。送信装置の構成および通信相手先(受信装置)の構成は上述した実施の形態1と同様である。
本実施の形態では、実施の形態4で使用した図17−1の代わりに図21−1または図21−2に示すようにサブキャリアの両端およびパケットの送信開始時間と終了時間の近辺で送信電力の高いフレーム構成をフォーマットA0として用いる。これは、電力オフセットが0dBのパイロットシンボルの位置では周辺のパイロットシンボルを用いて良好なチャネル推定を行いやすい反面、電力オフセットが3dBのパイロットシンボルの位置では利用できる周辺のパイロットシンボルが限られるためである。
なお、図21−1,図21−2のフォーマットは連続パケット伝送時のみに限らず、単一のパケット伝送を行う際にも適用できる。従来のフレームでは、パイロットシンボルは単一の送信電力で送信されたが、本フレーム構成ではパケットを伝送する時間周波数領域においてパイロットシンボルの電力を低減することにより、チャネル推定に必要とされるパイロットシンボル電力のみを送信する。その結果、不要なパイロットシンボルの送信電力を低減でき、周辺機器への干渉を低減することで伝送効率を向上できる。
またここでは、パケットを伝送する時間周波数領域においてパイロットシンボルの電力を低減する場合の例について説明したが、同様にパイロットシンボル密度を低くする方法も可能である。
実施の形態7.
つづいて、実施の形態7について説明する。本実施の形態の送信装置の構成および通信相手先(受信装置)の構成は上述した実施の形態1と同様である。
実施の形態1〜6ではパケット受信時に良好なチャネル推定を維持するためのフレーム構成について述べたが、受信装置では干渉電力測定も重要となる。干渉電力測定結果は、信号の復号時または複数アンテナでの信号合成ウエイト決定時に主に用いられる。
干渉電力測定はパイロットシンボルを用いて行うこともできるが、その他の有効な手法として信号を伝送しないヌルシンボル(Null symbol、送信電力0のシンボル)をパケット内に挿入し、容易に周辺からの干渉電力を測定する方法もある。図22−1および図22−2は、ヌルシンボルを挿入した信号フォーマットの一例を示す図である。例えば、図22−1において「0」は送信電力が0であるヌルシンボルの位置を表しており、ヌルシンボルをパケットの時間周波数領域でランダムに配置する。受信装置は信号フォーマットに関する情報からヌルシンボルの配置を認識し、ヌルシンボル位置で受信される電力を観測することによって、容易に周辺からの干渉電力を測定することができる。
通常、パケットを連続サブバンドまたは連続時間フレームで同一サブバンドを使用して伝送する場合には、干渉電力レベルにも相関があり、隣接するサブバンドまたは時間フレームで測定された干渉電力の一部を用いて対象パケットでの干渉電力の測定精度を向上させることができる。たとえば、隣接サブバンドまたは時間フレームで測定された干渉電力測定値と対象パケットで独自に測定した干渉電力測定値を適切に重み付け加算して平均化することで、測定精度を向上できる。
従って、連続パケット伝送時には、実施の形態1〜5で説明したパイロットシンボル密度または電力オフセットが異なるフォーマットの中から適応的に選択する信号送信手順と同様に、ヌルシンボルに関しても適応的に設定されたフォーマットを用いることで効率的な信号伝送が可能となる。なお、本実施の形態の受信装置が備えるフォーマット識別部24がヌルシンボル特定手段に相当する。
図22−1および図22−2は、その具体例を示す図であり、ヌルシンボル密度の異なる2つのフォーマットAとBを用意し、実施の形態1、2および5で述べたフォーマット選定手順と同様のアルゴリズムを用いて適切なフォーマットを選定することで、良好な干渉電力測定を維持しつつ高い信号伝送効率を達成できる。
このように、本実施の形態では、ヌルシンボルをデータシンボル領域へランダムに挿入し、またヌルシンボル密度が異なる複数の信号フォーマットを適応的に使用してデータ伝送を行うこととした。これにより、干渉電力測定精度を維持しつつ高い信号伝送効率が達成できる。
実施の形態8.
つづいて、実施の形態8について説明する。本実施の形態の送信装置の構成および通信相手先(受信装置)の構成は上述した実施の形態1と同様である。
実施の形態1〜7では、パイロットシンボル、ヌルシンボルの状態が異なる複数の信号フォーマットの中から適応的に信号フォーマットを選定し、パケット毎にフォーマットを変更する送信装置について説明したが、この他にもフォーマットの変更にはさまざまな形態がある。本実施の形態では、連続パケット伝送時の制御情報量の削減法と制御情報の削減に伴うパケット伝送フォーマットの選定について説明する。
最近の無線通信ではマルチキャリア伝送方式が広く用いられており、一定時間(たとえば、1ms)単位で、伝搬状態のよいサブバンドを適応的に選定して信号伝送するスケジューリングなどの方法が考えられている。下りリンクで本方式を用いる場合、基地局は端末ごとにサブバンドを選定し、パケット伝送を行う。この際、基地局は端末に利用サブバンド情報を通知するが、その通知方法にもさまざまな方法がある。
上記利用サブバンド情報の通知方法の一つとして、サブバンドで伝送されるパケットのヘッダに制御情報を記述し、端末は各パケットの制御情報に含まれる端末IDを検出して、自己の端末IDである場合にパケットを受信する方法がある。このような方法は例えば、文献「原,川端,段,関口,”周波数スケジューリングMC-CDMにおけるフレーム構成と制御方法に関する検討”,RCS2002-130,July,2002.」に記載されている。
上記文献に記載された方式を利用する場合、パケットは、たとえば図23のような構成をとる。このパケットは、受信機IDおよびMCSを含んだ制御情報部(制御情報フィールド)がプリアンブル部に挿入されている。制御情報部は、パケットの中で固定的に設定される。
受信装置は、パケットに含まれる受信機IDをチェックし、自己のIDと一致する場合にはそのパケット(データ)を受信する。このように、制御情報部にある受信機IDをチェックすることにより、自分宛のパケットを判別して受信できる。従来、この制御情報部は各パケットにおいて固定的に設定するようにしていたが、本実施の形態ではパケットの伝送状態に応じて可変シンボル数を持つ制御情報部を設定する。
図24は、本実施の形態の送信装置1による信号フォーマットの選定パターン、信号フォーマットおよびパケット内に配置される制御情報の一例を示す図であり、連続する時間フレームを利用してパケット伝送を行う場合の例を示している。図24に示したように、送信を開始する先頭のパケットはパイロットシンボル密度が高いフォーマットAを使用する。この先頭のパケットは、送信開始に当たり必要となる詳細な制御情報(継続時間フレーム識別ビット、受信機ID、MCS情報、データ量、継続時間フレーム数、パケットのシリアル番号、などを含んだ制御情報部)を含んでいる。ここで、継続時間フレーム識別ビットは、送信開始の先頭パケットでは「0」となり、連続的な時間フレームを用いてパケット伝送する際の後続のパケットでは「1」となる。また、パイロットシンボル以外の領域へ各制御情報が配置される。すべての制御情報が配置された後の残りの領域へはデータシンボルが配置される。
一方、先頭のパケットに続いて送信される各パケットではパイロットシンボル密度が低いフォーマットBを使用する。これらのパケットに含まれる制御情報部は、継続時間フレーム識別ビット、差分制御情報(図24の例では「MCS差分」と表記している)を含む。なお、各パケットは、先頭パケットではないため、継続時間フレーム識別ビットは「1」となる。また、差分制御情報は前の時間フレームで用いた制御情報との差分を表す信号であり、例えばMCSのレベルが1上昇した場合には「+1」、1つ下降した場合には「−1」となる。
MCSは多くのレベルが用意されるが、連続パケット伝送時には前の時間フレームとチャネル状態が類似しているため、MCSは類似したMCSレベルで送信される。そのため、差分制御情報として表すことで、少ないビット数の制御情報として通知できる。また、図24ではMCS差分情報のみを差分制御情報として示したが、その他に送信電力レベルの差分情報などさまざまな制御情報を伝送できる。
図25は、本実施の形態の送信装置1がパケットを構築する手順の一例を示すフローチャートである。まず送信装置1は、実施の形態1で述べた方法と同じくパケットが送信開始パケットか否かに応じてフォーマットの選定を行う。すなわち、フォーマット決定部14が図5に示した手順を実行する。その結果は送信信号構築部15へ通知され、送信信号構築部15は、フォーマット決定部14からの通知内容に基づいて図25に示した手順を実行し、パケットを構築する。このときの送信信号構築部15の動作を以下に示す。
パケット構築動作を開始した送信信号構築部15は、フォーマット決定部14からの通知内容を確認し、構築するパケットがフォーマットAのパケットかどうかを判断する(ステップS71)。フォーマットAのパケット(すなわち送信開始パケット)を構築する場合(ステップS71,Yes)、制御情報部を構成する継続時間フレーム識別ビットを「0」とする(ステップS72)。次に、初期制御情報(継続時間フレーム識別ビット、受信機ID、MCS情報、データ量、継続時間フレーム数など)を記述し(ステップS73)、さらに、構築するパケットのフォーマット(この場合フォーマットA)に従いデータシンボルを付加してパケットを生成する(ステップS74)。これに対して、フォーマットA以外のパケットを構築する場合には(ステップS71,No)、制御情報部を構成する継続時間フレーム識別ビットを「1」とする(ステップS75)。次に、構築中のパケットに対して時間領域で直前に位置するパケットの制御情報(MCS情報)に対する差分情報を制御情報部に記述し(ステップS76)、さらに、構築するパケットのフォーマット(この場合フォーマットB)に従いデータシンボルを挿入してパケットを生成する(ステップS77)。以上の処理を繰り返すことにより時間領域で連続するデータパケットを構築していく。なお、フォーマットAとBでは制御情報ビット数は異なるが、図26に示したような手順で受信動作を行うことにより、受信側で可変ビットを識別できるので実用上問題ない。
つづいて、本実施の形態の受信装置2が送信装置1からの信号を受信するための手順を図26に基づいて説明する。図26は、実施の形態8の受信装置2による信号受信手順の一例を示すフローチャートである。まず受信装置2のフォーマット識別部24(フォーマット特定手段,判断手段)は、受信したパケットの制御情報部に含まれる継続時間フレーム識別ビットを検出し(ステップS81)、この識別ビットが「1」かどうかを確認する(ステップS82)。識別ビットが「0」の場合(ステップS82,No)、受信機IDのアドレスが自己のIDと一致するか否か確認する(ステップS83)。確認の結果、自己のIDと一致している場合(ステップS83,Yes)、データシンボル検出部22が当該パケット(受信処理の対象パケット)に含まれている初期制御情報を使用して対象パケット(対象パケットに含まれるデータ)を受信する(ステップS84)。これに対して、受信機IDと自己のIDが一致しない場合には(ステップS83,No)、対象パケットを受信しない(ステップS86)。
一方、上記継続時間フレーム識別ビットが「1」の場合(ステップS82,Yes)、前時間フレームでのパケットが自分宛か否か、すなわち直前の時間フレームで自分宛のパケットを受信したか否かを確認する(ステップS85)。前時間フレームでのパケットが自分宛の場合(ステップS85,Yes)、データシンボル検出部22が、前時間フレームでパケットを受信した際に利用した制御情報と、対象パケット内の差分制御情報とを使用して対象パケットを受信する(ステップS87)。具体的には、対象パケット内の差分制御情報を確認し、前時間フレームで利用した制御情報を必要に応じて更新し、更新後の制御情報を利用して対象パケットを受信する。なお、制御情報を更新した場合には、以降の受信処理のために保持しておく。これに対して、前時間フレームでのパケットが自分宛でない場合(ステップS85,No)、対象パケットを受信しない(ステップS86)。
このような一連の手順により、受信装置2は対象パケットが自分宛のパケットであるか否かを識別でき、制御情報を認識してデータを受信できる。制御情報のビット数はフォーマットAとBで異なるが、上述した手順に基づけば問題なく受信できる。また、同一サブバンドを利用して継続的に伝送されるパケットではフォーマットBを用いてビット数の少ない差分情報として制御情報を認識できる。その結果、フォーマットBのパケットではフォーマットAのパケットよりも多くのデータシンボルを伝送できる。また、フォーマットBのパケットでは受信機IDを含んでいないが、前の時間フレームで送信されたパケットと宛先が同じであることを少ないビット数で表すことで、受信装置はパケットの宛先を認識できる。
このように、本実施の形態では、パケットの伝送状態に応じて、パイロットシンボルの密度を適応的に変化させつつ制御情報を適応的に構成することとしたので、上述した実施の形態1などと比較して、さらに高い伝送効率でパケット伝送を行うことができる。
なお、上記説明では制御情報を適応的に構成する制御とパイロットシンボル密度を適応的に変化させる制御を組み合わせた場合の例について述べたが、実施の形態4のパイロットシンボル電力を適応的に変化させる制御と組み合わせてもよい。また、実施の形態7のヌルシンボル密度を適応的に変化させる制御と組み合わせてもよい。
実施の形態9.
つづいて、実施の形態9について説明する。本実施の形態の送信装置の構成および通信相手先(受信装置)の構成は上述した実施の形態1と同様である。
本実施の形態では、上述した実施の形態8とは異なる手順を用いて行う、連続パケット伝送時の制御情報量の削減法と制御情報の削減に伴うパケット伝送フォーマットの選定について説明する。
実施の形態8では連続時間フレームでパケットを伝送する場合を例として制御情報を適応的に構成する手順について説明したが、連続サブバンドを用いて信号伝送する場合にも、制御情報を適応的に構成し、制御情報量を低減できる。
図27は、本実施の形態の送信装置1による信号フォーマットの選定パターン、信号フォーマットおよびパケット内に配置される制御情報の一例を示す図であり、連続するサブバンドでパケット伝送を行う場合の例を示している。図27に示したように、連続サブバンドの中で最も周波数が高い(または低い)位置に存在するパケットではパイロットシンボル密度が高いフォーマットA0を使用する。フォーマットA0のパケットは、パケット伝送に必要となる詳細な制御情報(継続サブバンド識別ビット、受信機ID、MCS情報、データ量、継続サブバンド数、パケットのシリアル番号、などを含んだ制御情報部)を含んでいる。ここで、継続サブバンド識別ビットは、周波数の最も高い(または低い)位置に存在するパケットでは「0」となり、周波数領域での先頭パケットであることを示す。先頭パケット以外のパケットでは、継続サブバンド識別ビットが「1」となる。また、パイロットシンボル以外の領域へ各制御情報が配置される。すべての制御情報が配置された後の残りの領域へはデータシンボルが配置される。
一方、周波数領域での先頭パケットに続いて送信される各パケットではパイロットシンボル密度が低いフォーマットBを使用する。これらのパケットに含まれる制御情報部は、継続サブバンド識別ビット、差分制御情報(MCS差分情報)を含む。なお、各パケットは、周波数領域での先頭パケットではないため、継続サブバンド識別ビットは「1」となる。また、差分制御情報は前のパケットで用いた制御情報との差分を表す信号であり、例えばMCSのレベルが1上昇した場合には「+1」、1つ下降した場合には「−1」となる。
MCSは多くのレベルが用意されるが、周波数上での連続パケット伝送時には隣接するサブバンドとチャネル状態が類似しているため、連続パケットは類似したMCSレベルで送信される。そのため、差分制御情報として表すことで、少ないビット数の制御情報として通知できる。また、図27ではMCS差分情報のみを差分制御情報として示したが、その他に送信電力レベルの差分情報などさまざまな制御情報を伝送できる。
また、周波数領域上の先頭パケットの他方の端に位置するパケット(同一時間フレーム内の周波数が最も低いパケット)はフォーマットA1を使用する。このフォーマットA1は、フォーマットA0と同様に高いパイロットシンボル密度を含む。一方で、制御情報に関しては、フォーマットBと同じく継続サブバンド識別ビット「1」と差分制御情報を含む。
図28は、本実施の形態の送信装置1がパケットを構築する手順の一例を示すフローチャートである。まず送信装置1は、実施の形態2で述べた方法と同じくパケットが送信開始パケットか否かに応じてフォーマットの選定を行う。すなわち、フォーマット決定部14が図12に示した手順を実行する。その結果は送信信号構築部15へ通知され、送信信号構築部15は、フォーマット決定部14からの通知内容に基づいて図28に示した手順を実行し、パケットを構築する。このときの送信信号構築部15の動作を以下に示す。
パケット構築動作を開始した送信信号構築部15は、フォーマット決定部14からの通知内容を確認し、構築するパケットがフォーマットA0のパケットかどうかを判断する(ステップS91)。フォーマットA0のパケット(すなわち周波数領域の先頭パケット)を構築する場合(ステップS91,Yes)、制御情報部を構成する継続サブバンド識別ビットを「0」とする(ステップS92)。次に、初期制御情報(継続サブバンド識別ビット、受信機ID、MCS情報、データ量、継続時間フレーム数など)を記述し(ステップS93)、さらに、構築するパケットのフォーマット(この場合フォーマットA0)に従いデータシンボルを付加してパケットを生成する(ステップS94)。これに対して、フォーマットA0以外のパケットを構築する場合には(ステップS91,No)、制御情報部を構成する継続サブバンド識別ビットを「1」とする(ステップS95)。次に、生成済みの隣接パケットの制御情報(MCS情報)に対する差分情報を制御情報部に記述し(ステップS96)、さらに、構築するパケットのフォーマット(この場合フォーマットBまたはA1)に従いデータシンボルを挿入してパケットを生成する(ステップS97)。以上の処理を繰り返すことにより周波数領域上で連続するデータパケットを構築していく。なお、フォーマットA0と他のフォーマット(A1,B)では制御情報ビット数は異なるが、図29に示したような手順で受信動作を行うことにより、受信側で可変ビットを識別できるので実用上問題ない。
つづいて、本実施の形態の受信装置2が送信装置1からの信号を受信するための手順を図29に基づいて説明する。図29は、実施の形態9の受信装置2による信号受信手順の一例を示すフローチャートである。まず受信装置2は、周波数の高い(または低い)パケットを処理対象として選択し(ステップS101)、その制御情報部に含まれる継続サブバンド識別ビットが「1」かどうかを確認する(ステップS102)。識別ビットが「0」の場合(ステップS102,No)、受信機IDのアドレスが自己のIDと一致するか否か確認する(ステップS103)。確認の結果、自己のIDと一致している場合(ステップS103,Yes)、当該パケット(受信処理の対象パケット)に含まれている初期制御情報を使用して対象パケット(対象パケットに含まれるデータ)を受信する(ステップS104)。これに対して、受信機IDと自己のIDが一致しない場合には(ステップS103,No)、対象パケットを受信しない(ステップS105)。
一方、上記継続サブバンド識別ビットが「1」の場合(ステップS102,Yes)、その前に確認した隣のサブバンドのパケットが自分宛か否か、すなわち隣のサブバンドで自分宛のパケットを受信したか否かをチェックする(ステップS106)。隣のサブバンドのパケットが自分宛の場合(ステップS106,Yes)、隣のサブバンドでパケットを受信した際に利用した制御情報と、対象パケット内の差分制御情報とを使用して対象パケットを受信する(ステップS107)。具体的には、対象パケット内の差分制御情報を確認し、隣接サブバンドでパケットを受信した際に利用した制御情報を必要に応じて更新し、更新後の制御情報を利用して対象パケットを受信する。なお、制御情報を更新した場合には、以降の受信処理のために保持しておく。これに対して、前時間フレームでのパケットが自分宛でない場合(ステップS106,No)、対象パケットを受信しない(ステップS106)。このような一連の手順を周波数の高い順(または低い順)に全てのサブバンドに対して行う(ステップS108、S109)。順番は、フォーマットA0のパケットを最初に処理するような順番とする。全てのサブバンドに対して処理を実行すると(ステップS108,Yes)、動作を終了する。
このような一連の手順により、受信装置2は対象パケットが自分宛のパケットであるか否かを識別でき、制御情報を認識してデータを受信できる。制御情報のビット数はフォーマットA0と他のフォーマットで異なるが、上述した手順に基づけば問題なく受信できる。また、継続的に伝送されるパケットではビット数の少ない差分情報として制御情報を認識できる。その結果、先頭パケット(フォーマットA0のパケット)よりも多くのデータシンボルを伝送できる。また、フォーマットA以外のパケットでは受信機IDを含んでいないが、隣のサブバンドで送信されたパケットと同じ宛先であることを示すことで、受信装置はパケットの宛先を認識できる。
このように、本実施の形態では、パケットの伝送状態に応じて、パイロットシンボルの密度を適応的に変化させつつ制御情報を適応的に構成することとしたので、上述した実施の形態2などと比較して、さらに高い伝送効率でパケット伝送を行うことができる。
なお、上記説明では制御情報を適応的に構成する制御とパイロットシンボル密度を適応的に変化させる制御を組み合わせた場合の例について述べたが、実施の形態4のパイロットシンボル電力を適応的に変化させる制御と組み合わせてもよい。また、実施の形態7のヌルシンボル密度を適応的に変化させる制御と組み合わせてもよい。
実施の形態10.
つづいて、実施の形態10について説明する。本実施の形態の送信装置の構成および通信相手先(受信装置)の構成は上述した実施の形態1と同様である。
実施の形態9では、先頭のパケットの場合は初期制御情報を受信側へ通知し、連続伝送パケット(先頭以外のパケット)の場合には、差分制御情報を受信側へ通知するようにしていた。すなわち、先頭パケットか否かにより通知される制御情報が決まっていた。しかしながら、パケットの状態(先頭パケットか否か)によらず独立に、初期制御情報と差分制御情報を適応的に切り替えることも可能である。
図30−1および図30−2は、実施の形態10で使用する制御情報の構成例を示す図である。図示したように、本実施の形態では、上述した実施の形態8で使用した継続時間フレーム識別ビットや実施の形態10で使用した継続サブバンド識別ビットに代えて「制御情報形式識別ビット」が付加された構成の制御情報を使用する。この制御情報形式識別ビットは、初期制御情報と差分制御情報とを識別するためのビットである。このビットが「0」であれば初期制御情報を表し、単独パケットでも動作する制御情報が後続する領域へ記述される。また「1」であれば、差分制御情報を表し、他のパケットの制御情報に対する差分情報が記述される。差分制御情報では、相対的な差のみをビットとして通知することで、制御量を低減できる。
このように、図30−1および30−2のフォーマットを用いれば、制御情報形式の変更を、先頭または連続パケット伝送とは独立に選定できる。例えば、連続パケット伝送状態であっても、制御情報が大きく変更される場合には、先頭以外のパケットでも初期制御情報を送信できる。また、異なる例として、チャネル状態は過去のパケットと相関が無くても、制御情報に関しては過去のパケットと大きな相関がある場合もある。この場合、チャネル推定に関しては先頭パケットとして扱われるが、制御情報に関しては過去のパケットに対する差分情報として表すことができるため、制御量を削減できる。
このように、本発明では過去に送信されたパケットの付随情報(チャネル推定値、干渉電力、制御情報など)との相関を利用して、現在のパケットの付随情報を得るために必要なフォーマットを決定する。すなわち、上述した実施の形態および後述する実施の形態で述べる「連続伝送」とは、広い意味で「付随情報が過去のパケットと相関を有する状態」に相当する。
従って、各実施の形態では無線通信環境におけるマルチキャリア伝送について説明を行っているが、有線通信におけるパケット伝送においても、制御情報をそれ以前のパケットとの相関に応じて適応的に絶対値または相対値(差分値)で表現することにより、制御情報量を低減できる。
実施の形態11.
つづいて、実施の形態11について説明する。本実施の形態の送信装置の構成および通信相手先(受信装置)の構成は上述した実施の形態1と同様である。
本実施の形態では、上述した実施の形態8,9とは異なる手順を用いて行う、連続パケット伝送時の制御情報量の削減法と制御情報の削減に伴うパケット伝送フォーマットの選定について説明する。
実施の形態7,8では連続時間フレームまたは連続サブバンドでパケットを伝送する場合を例として制御情報を適応的に構成する手順について説明したが、時間周波数の2次元領域で連続的にパケット伝送する場合にも、制御情報を適応的に構成し、制御情報量を低減できる。
図31は、実施の形態11の送信装置1による信号フォーマットの選定パターン、信号フォーマットおよびパケット内に配置される制御情報の一例を示す図であり、時間周波数の2次元領域で連続パケット伝送を行う場合の例を示している。図31に示したように、連続伝送されるパケットの中で時間的に最も早くかつ最も周波数の高い(または低い)位置に存在するパケットでは、パイロットシンボル密度が高いフォーマットA0を使用する。フォーマットA0のパケットは、パケット伝送に必要となる詳細な制御情報(継続時間フレーム識別ビット、継続サブバンド識別ビット、受信機ID、MCS情報、データ量、継続サブバンド数、パケットのシリアル番号、などを含んだ制御情報部)を含んでいる。ここで、継続時間フレーム識別ビットは、送信開始の先頭パケットでは「0」となり、連続的な時間フレームを用いてパケット伝送する際の後続のパケットでは「1」となる。また、継続サブバンド識別ビットは、周波数の最も高い(または低い)位置に存在するパケットでは「0」となり、周波数領域での先頭パケットであることを示す。周波数領域での先頭パケット以外のパケットでは、継続サブバンド識別ビットが「1」となる。また、パイロットシンボル以外の領域へ各制御情報が配置される。すべての制御情報が配置された後の残りの領域へはデータシンボルが配置される。
一方、周波数領域での先頭パケットに続いて送信される各パケットではパイロットシンボル密度が低いフォーマットBを使用する。これらのパケットに含まれる制御情報部は、継続時間フレーム識別ビット、継続サブバンド識別ビット、差分制御情報(MCS差分情報)を含む。なお、フォーマットがA0の先頭パケットと同一時間フレーム上のパケットでは、継続時間フレーム識別ビットは「0」、継続サブバンド識別ビットは「1」となる。また、差分制御情報は、前のパケットで用いた制御情報との差分を表す信号であり、例えばMCSのレベルが1上昇した場合には「+1」、1つ下降した場合には「−1」となる。このように、パケット伝送開始時間フレームにおけるパケット(先頭パケットと同一時間フレーム上のパケット)は、全て継続時間フレーム識別ビットと継続サブバンド識別ビットを有する。
次に、後続の時間フレームで継続的に伝送されるパケットでは、制御情報部に継続時間フレーム識別ビット「1」を有し、継続サブバンド識別ビットは有さない。これは、時間フレームでのパケット伝送に連続性があり、前時間フレームでのパケットの制御情報を基準に処理を進めるため、サブバンドにおける連続性は特に情報として必要としないためである。
図32は、実施の形態11の送信装置1がパケットを構築する手順の一例を示すフローチャートである。まず送信装置1は、実施の形態2で述べた方法と同じくパケットが送信開始パケットか否かに応じてフォーマットの選定を行う。すなわち、フォーマット決定部14が図20に示した手順を実行する。その結果は送信信号構築部15へ通知され、送信信号構築部15は、フォーマット決定部14からの通知内容に基づいて図32に示した手順を実行し、パケットを構築する。このときの送信信号構築部15の動作を以下に示す。
パケット構築動作を開始した送信信号構築部15は、フォーマット決定部14からの通知内容を確認し、構築するパケットがフォーマットA0のパケットかどうかを判断する(ステップS111)。フォーマットA0のパケット(すなわち先頭時間フレームにおける最も周波数の高い(または低い)位置に存在する先頭パケット)を構築する場合(ステップS111,Yes)、制御情報部を構成する継続時間フレーム識別ビットおよび継続サブバンド識別ビットをともに「0」とする(ステップS112)。次に、初期制御情報(継続サブバンド識別ビット、受信機ID、MCS情報、データ量、継続時間フレーム数など)を記述し(ステップS113)、さらに、構築するパケットのフォーマット(この場合フォーマットA0)に従いデータシンボルを付加してパケットを生成する(ステップS114)。
一方、フォーマットA0以外のパケットを構築する場合には(ステップS111,No)、さらに、構築するパケットがフォーマットB0またはA1のパケットかどうかを判断する(ステップS115)。フォーマットA1またはB0のパケット(すなわち先頭時間フレーム上の先頭パケット以外のパケット)を構築するのであれば(ステップS115,Yes)、継続時間フレーム識別ビットを「0」とし、継続サブバンド識別ビットを「1」とする(ステップS116)。次に、生成済みの隣接パケットの制御情報(MCS情報)に対する差分情報を制御情報部に記述し(ステップS117)、さらに、構築するパケットのフォーマット(フォーマットB0またはA1)に従いデータシンボルを付加してパケットを生成する(ステップS118)。
また、フォーマットB0またはA1以外のパケットを構築する場合には(ステップS115,No)、継続時間フレーム識別ビットを「1」とする(ステップS119)。次に、次に、構築中のパケットに対して時間領域で直前に位置するパケットの制御情報(MCS情報)に対する差分情報を制御情報部に記述し(ステップS120)、さらに、構築するパケットのフォーマットに従いデータシンボルを付加してパケットを生成する(ステップS121)。このような手順により、送信装置1ではフォーマットに応じた制御情報の記述を行える。以上の処理を繰り返すことにより時間周波数領域で連続するデータパケットを構築していく。
つづいて、本実施の形態の受信装置2が送信装置1からの信号を受信するための手順を図3に基づいて説明する。図33は、実施の形態11の受信装置2による信号受信手順の一例を示すフローチャートである。なお、実施の形態9の基地局による信号フォーマット選定手順(図29参照)と同じ処理については、同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
まず受信装置2は、周波数の高い(または低い)パケットを処理対象として選択し(ステップS101)、その制御情報部に含まれる継続時間フレーム識別ビットが「1」かどうかを確認する(ステップS131)。識別ビットが「0」の場合(ステップS131,No)、さらに、継続サブバンド識別ビットが「1」かどうかを確認する(ステップS102)。ステップS103〜S107は、実施の形態9の図29に示した同一ステップ番号の処理と同様である。
一方、上記ステップS131で継続時間フレーム識別ビットが「1」であると判断した場合(ステップS131,Yes)、前時間フレームでのパケットが自分宛か否か、すなわち直前の時間フレームで自分宛のパケットを受信したか否かを確認する(ステップS132)。前時間フレームでのパケットが自分宛の場合(ステップS132,Yes)、前時間フレームでパケットを受信した際に利用した制御情報と、対象パケット内の差分制御情報とを使用して対象パケットを受信する(ステップS133)。これに対して、前時間フレームでのパケットが自分宛でない場合(ステップS132,No)、対象パケットを受信しない(ステップS105)。なお、ステップS132およびS133の処理は、それぞれ実施の形態8の図26に示したステップS85、S87と同じ処理である。
上記一連の手順を周波数の高い順(または低い順)に全てのサブバンドに対して実行すると(ステップS108,Yes)、動作を終了する。
このような一連の手順により、受信装置2は対象パケットが自分宛のパケットであるか否かを識別でき、制御情報を認識してデータを受信できる。制御情報のビット数はフォーマットA0と他のフォーマットで異なるが、上述した手順に基づけば問題なく受信できる。また、時間または周波数領域で継続的に伝送されるパケットではビット数の少ない差分情報として制御情報を認識できる。その結果、先頭パケット(フォーマットA0のパケット)よりも多くのデータシンボルを伝送できる。このように、パケットの伝送状態に応じて制御情報を適応的に構成することにより、高い伝送効率でパケット伝送を行うことができる。
本実施の形態では、パケットの伝送状態に応じて、パイロットシンボルの密度を適応的に変化させつつ制御情報を適応的に構成することとしたので、上述した実施の形態5と比較して、さらに高い伝送効率でパケット伝送を行うことができる。
なお、実施の形態1〜11で述べた全ての適応的なフォーマット選定は、受信装置から送信装置へのフィードバック情報を必要としない利点がある。
実施の形態12.
つづいて、実施の形態12について説明する。本実施の形態では実施の形態1〜11で述べた適応的なフォーマット選定に加えて、受信装置から受信品質情報をフィードバックして、フォーマット選定を行う場合の動作について説明する。
図34は、実施の形態12の送信装置および受信装置の構成例を示す図である。本実施の形態では、受信装置が受信品質を測定し、受信品質情報を送信装置にフィードバックする。受信品質情報はパイロットシンボルを用いて測定しても良いし、過去に伝送されたパケットの受信状態に基づいて測定してもかまわない。送信装置は、フィードバックされた受信品質情報とパケットの連続伝送状態の双方を考慮したうえで、適切なフォーマット選定を行う。具体的には、連続パケット伝送時の後続パケットであっても、受信品質情報が不良の場合には後続パケットの標準的なフォーマットよりもパイロットシンボル密度の高いフォーマットを用いる。また、受信品質情報が十分良い場合には、後続パケットの標準的なフォーマットよりもパイロットシンボル密度の低いフォーマットを用いる。また、送信装置はフォーマット情報を受信装置に通知する。受信装置はフォーマット情報を認識し、認識したフォーマットに従ってパケットを受信する。
このように、本実施の形態では、連続パケット伝送状態に加えて、受信装置からの受信品質情報を用いてフォーマット選定を行うこととしたので、受信状態に応じてさらに適切なフォーマットの選定を行うことができる。
実施の形態13.
つづいて、実施の形態13について説明する。本実施の形態の送信装置の構成および通信相手先(受信装置)の構成は上述した実施の形態1と同様である。
本実施の形態では、パケット伝送状態に応じて信号伝送フォーマットを変更する場合の再送制御法について説明する。実施の形態1〜11ではパケットの伝送状態に応じて利用する伝送フォーマット及び制御情報を適応的に構築したが、その結果伝送できるデータシンボル数は利用するフォーマットに応じて変化する。送信装置は送信すべき全データを各フォーマットのもつデータシンボル数に合わせて区切ってパケットを生成し、複数のパケットとして送信する。この際、一度目のパケットが受信装置で正確に受取れずに誤りを生じる場合もある。この場合、無線通信では再送制御に従い、送信装置は再度パケット伝送を行うが、再送時のパケットのフォーマットは初送時のパケットのフォーマットと同じとは限らない。従って、初送と再送パケットでは利用できるデータシンボル数が異なる場合も存在する。本実施の形態はこのような異なるデータシンボル数をもつフォーマットでの再送制御法を示すものである。
図35は、実施の形態13における再送制御動作の一例を示す図である。図35に示した例では、送信装置は初送動作では、適応的に選定したパケットのフォーマットに従いQ1データシンボル(Q1個のデータシンボルを含んだデータパケット)を伝送する。そして、受信装置でパケットの受信誤りが発生した場合には、NACK信号が送信装置へ返送される。送信装置は、NACK信号を受信するとQ2データシンボルを用いて再度データを伝送する。この際、本実施の形態ではパケット伝送状態に応じてパケットのフォーマットを適応的に変更するため、Q1とQ2が同数になるとは限らない。しかし、以下で示すように一種のハイブリッドARQ(Hybrid ARQ)を用いて伝送を行うことにより、異なるデータシンボル数に対応して再送制御を行うことができる。
図36は、実施の形態13における再送制御を示す送信装置での信号生成過程を示した図であり、情報源はJビットで構成されるとする。初送では符号化器において符号化率r1の符号化を行い、符号化後のJ/r1ビットを得る。次に、決められた変調方式に応じてビットをI(Inphase)位相とQ(Quadrature)位相にマッピングして、変調されたQ1シンボルとする。ここで、変調後にQ1シンボルが得られるように符号化率r1、変調方式および情報源Jビットは適切に設定される。
また、初送パケットが受信装置で正確に受取れず誤りが発生した場合、送信装置は、再送パケットを構築するにあたり、初送と同じ情報源Jビットを符号化器に入力して符号化率r2の符号化を行い、符号化後のJ/r2ビットを得る。次に、決められた変調方式に応じてビットをI位相とQ位相にマッピングして、変調されたQ2シンボルとする。ここで、変調後にQ2シンボルが得られるように符号化率r2および変調方式は適切に設定される。
ただし、Q2シンボルが初送時のQ1シンボルと完全に一致する符号化率r2および変調方式が見つからない場合には、Q2シンボルよりもやや少ないデータシンボルへの変換を行っても構わない。この場合、Q2シンボルのうち未使用のシンボルは送信時にブランク(送信なし)とする。このように、符号化率r2および変調方式を適切に設定することにより、情報源をQ2シンボルとして再送することができる。
なお、r2と変調方式の組合せはQ1とQ2の関係によって決定されるが、これらをあらかじめQ1,Q2に対して一意に設定されるように決めておいても構わない。この場合、受信装置はQ1,Q2の値が与えられれば、一意に再送パケットの符号化率R2、変調方式を認識できる。他の方法として、符号化率R2、変調方式は送信装置から受信装置へ制御信号として伝送しても構わない。
図37は、実施の形態13の再送制御における受信装置での信号受信過程を示した図である。なお、初送パケットの受信過程は一般的な処理と同じであるため示していない。受信装置は再送パケットを受信すると、変調方式を認識し、その認識に基づきIQデマッピングを行い、J/r2シンボルに変換する。同様に、初送のパケットのデータシンボルは、初送時にQIデマッピングによりJ/r1シンボルに変換されており、メモリに蓄積されている。受信装置はメモリに蓄積された初送のJ/r1シンボルを呼び出し、再送のJ/r2シンボルとつなげた後、符号化率(r1-1+r2-1)-1の復号器に入力して復号を行い、Jビットを得る。このとき、受信装置では低い符号化率で信号の復号を行うことができ、初送と再送を合成したハイブリッドARQにより高い成功確率で信号を受信できる。最後に、一般的な手法に従いCRCに基づくエラーチェックを行い、パケットが誤り無く受信できたか否かを判定する。パケットが誤り無く受信できた場合には送信装置にACK信号をフィードバックし、受信成功を通知する。パケット受信に誤りが生じた場合には、NACK信号を送信して再送を要求する。
このような一連の処理により、本実施の形態では初送と再送パケットの持つデータシンボル数Q1とQ2が異なる場合にも符号化率r2および変調方式を調整しつつ再送制御を行うことができる。本制御では、初送と再送の変調方式が必ずしも同じである必要は無く、異なる変調方式を用いて再送を行うこともできる。この場合にも、IQでマッピングの後に、初送と再送の受信信号をまとめて復号を行うことにより、良好な受信性能を実現することができる。
以上のように、適応的なフレーム構成を用いつつ、再送時の符号化率r2および変調方式を適切に設定することで、再送制御を円滑に行うことが可能となる。
実施の形態14.
つづいて、実施の形態14について説明する。本実施の形態の送信装置の構成および通信相手先(受信装置)の構成はアンテナ構成を除いて上述した実施の形態1と同様である。
本実施の形態では、受信装置のアンテナ数に応じてパケットの伝送フォーマットを変更する場合信号伝送法について説明する。なお、本実施の形態は単一のパケット伝送にも適用でき、連続パケット伝送である必要は無い。
近年の無線通信では、受信装置が複数のアンテナを用いて信号を受信し、複数アンテナ間で信号合成を行うことで、受信品質を向上するアレーアンテナ技術が広く用いられている。代表的な信号合成法としてはMMSE(Minimum Mean Square Error)合成法が知られており、本合成法では干渉除去を行いつつ希望信号を高品質に合成できる。
通常、MMSE合成法ではパイロットシンボルの位置に存在する受信信号を用いて合成ウエイトを算出する。例えば、Mアンテナを備える受信装置での受信信号をM×1受信ベクトルx(p)=hs(p)+z(p)と表す。ここで、z(p)はM×1干渉雑音ベクトル、hはM×1チャネル応答ベクトル、s(p)はパイロットシンボルまたはデータ信号を表す。MMSE合成法ではs(p)のパイロットシンボル部を用いてM×1ウエイトvを次式(1)で計算する。
ここで、p0はパイロットシンボル数、Hは転置共役、*は複素共役を表す。受信装置では、受信信号に対してウエイト乗算を行い、合成出力y(p)=vHx(p)を得る。
理想的な合成ウエイトはp0→∞によって与えられるが、実際には有限個のパイロットシンボルp0を用いる必要がある。理想ウエイト利用時に得られる合成出力での平均SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)をΓ、現実のウエイト利用時に得られる合成出力での平均SINRをΓ0とすると、Γ0/Γによってウエイト収束の度合いを確かめることができる。このウエイト収束の詳細は例えば文献「Y.Hara,“Weight convergence analysis of adaptive array antennas based on SMI algorithm”, IEEE Trans. On Wireless Commun., Vol.2, issue 4, pp. 749--757, July 2003.」などに示されており、基本的にアンテナ数が大きくなるにつれウエイト収束は遅くなる。この様子を理解するため、図38に受信装置アンテナ数がM=2,4,6,8、Γ0=15とした場合のΓ0/Γとパイロットシンボル数p0の関係をシミュレーションにより計算した結果を示す。概算として、のΓ0/Γ=−1dBを実現するためにアンテナ数Mの3〜5倍程度のパイロットシンボル数が必要と言われている。このように、受信装置では受信アンテナ数に応じて合成ウエイト演算に必要となるパイロットシンボル数は変化する。
そこで、本実施の形態の送信装置は、受信装置のアンテナ数Mに応じてパケット内で伝送するパイロットシンボル数を適応的に決定する。具体的には、図39−1に示すように、アンテナ数が少ない場合には、パイロットシンボル密度の低いフォーマットBを選定する。また、図39−2に示すように、アンテナ数が多い場合には、パイロットシンボル密度の高いフォーマットAを選定する。例えば、図2−1,2−2,15−1〜15−4に示すフォーマットA,Bを用いることができる。また、パイロットシンボル電力が大きいほどウエイト収束は良好となるので、図17−1〜17−4に示すようにパイロットシンボル電力を変えるフォーマットを用いても構わない。
また、文献「Y.Hara, C.Fujita, Y.Kamio, “Initial weight computation method with rapid convergence for adaptive array antennas”,IEEE Trans. On Wireless Commun., vol.3, no.6, pp.1902--1905, Nov. 2004.」によると、希望信号の存在しない位置の受信信号を用いてウエイト収束を高速化することもできる。従って、パケット内にヌルシンボル(送信電力0のシンボル)を多く含むことによっても、ウエイト収束を改善できる。従って、図22−1,22−2に示すようにヌルシンボル数の異なるフォーマットA,Bを用いることで、アンテナ数Mによって異なるウエイト収束に対応することができる。また、図40−1および図40−2に示すようにパイロットシンボル密度とヌルシンボル密度の両方を変化させるフォーマットを用いても構わない。
図41は、実施の形態14の送信装置による信号送信手順の一例を示すフローチャートである。送信装置は、受信装置のアンテナ数Mを受信装置から受け取った制御信号から確認する(ステップS141)。なお、この処理は通常、通信の開始前に行う。次に、パケット伝送時に送信装置は、受信側の受信アンテナ数Mに応じて受信アンテナ数に適したフォーマットを選定する(ステップS142)。そして、送信装置は、選定されたフォーマットに従い、送信信号を生成し、送信する(ステップS143)。
図42は、実施の形態14の受信装置による信号受信手順の一例を示すフローチャートである。受信装置は、アンテナ数Mまたは基地局から受け取った制御情報から、伝送されるフォーマットを識別する(ステップS151)。次に、識別したフォーマットに従い、パイロットシンボルの存在する受信信号を用いて合成ウエイトを計算し、アンテナ間で信号合成を行って信号を受信する(ステップS152)。このような処理手順に従うと、アンテナ数Mに応じて適切なフォーマットを選定して信号伝送することができる。
なお、実施の形態1〜13では、受信装置アンテナ数Mに無関係に固定的なフォーマットで信号を伝送するようにしている、この場合、アンテナ数Mが大きい場合に必要なパイロットシンボル数が不足してウエイト収束が十分得られず、受信信号品質が劣化すると言う問題がある。また、アンテナ数Mが少ない場合には、パイロットシンボル数が過剰となり、データ伝送効率が低下するという問題が発生する。これに対して、本実施の形態に示すようにアンテナ数Mに応じて適応的に伝送フォーマットを選定することによって、データ伝送効率を向上させることができる。また、上述した実施の形態1〜13と本実施の形態を組み合わせてもよい。これによりさらにデータ伝送効率を向上させることができる。