図1を参照して、この実施例の携帯電話機10は、携帯端末の一種であり、CPUまたはコンピュータと呼ばれるプロセッサ24を含む。また、このプロセッサ24には、無線通信回路14、A/D16、第1D/A20a、第2D/A20b、第3D/A20c、キー入力装置26、表示ドライバ28、フラッシュメモリ32、RAM34、近距離無線通信回路38および電源回路44が接続される。無線通信回路14にはアンテナ12が接続され、A/D16にはマイク18が接続される。第1D/A20aおよび第2D/A20bにはアンプ(図示せず)を介して、第1スピーカ22aおよび第2スピーカ22bが接続される。また、第3D/A20cにはアンプを介して音声出力端子36が接続される。表示ドライバ28には、ディスプレイ30が接続される。近距離無線通信回路38には近距離無線通信アンテナ40が接続される。そして、電源回路44にはリチウムイオン電池である二次電池46が接続される。
RAM34は、プロセッサ24の作業領域(描画領域を含む)ないしバッファ領域として用いられる。フラッシュメモリ32には、携帯電話機10の文字、画像、音声、音および映像のようなコンテンツのデータが記録される。
A/D16は、当該A/D16に接続されたマイク18を通して入力される音声ないし音についてのアナログ音声信号を、デジタル音声信号に変換する。第1D/A20aおよび第2D/A20bは、デジタル音声信号をアナログ音声信号に変換(復号)して、アンプを介して第1スピーカ22aおよび第2スピーカ22bに与える。したがって、アナログ音声信号に対応する音声ないし音が第1スピーカ22aまたは第2スピーカ22bから出力される。また、第3D/A20cは、他のD/Aと同様、デジタル音声信号をアナログ音声信号に変換して、アンプを介して音声出力端子36に与える。この音声出力端子36は、イヤフォンが接続される端子であり、第3D/A20cが変換したアナログ音声信号は、音声出力端子36を介して、イヤフォンから出力される。
また、音声出力端子36は、イヤフォンが接続されているかを示す接続信号をプロセッサ24に出力する。そして、プロセッサ24は、RAM34などに記憶される音声データを再生する場合、イヤフォンの接続状態に応じて、第2スピーカ22bまたはイヤフォンから音声を出力する。たとえば、プロセッサ24は、イヤフォンが接続されていればデジタル音声信号を第2D/A20bに出力し、イヤフォンが接続されていなければデジタル音声信号を第3D/A20cに出力する。
キー入力部であるキー入力装置26は、通話キーおよび終話キーなどを備える。そして、使用者が操作したキーの情報(キーデータ)はプロセッサ24に入力される。また、キー入力装置26に含まれる各キーが操作されると、クリック音が鳴る。そのため、使用者は、クリック音を聞くことで、キー操作に対する操作感を得ることができる。
表示ドライバ28は、プロセッサ24の指示の下、当該表示ドライバ28に接続されたディスプレイ30の表示を制御する。なお、表示ドライバ28は表示する画像データを一時的に記憶するビデオメモリ(図示せず)を含む。
近距離無線通信回路38は、たとえばBluetooth(登録商標)形式の近距離無線通信を、ヘッドセット42との間に確立する。また、プロセッサ24は、音声データを再生しているときに、ヘッドセット42との近距離無線通信が確立されていなければ、デジタル音声信号を近距離無線通信回路38に出力する。さらに、近距離無線回路38は、近距離無線通信アンテナ42を介して、デジタル音声信号をヘッドセット42に与える。そして、ヘッドセット42では、受信したデジタル音声信号がアナログ音声信号に変換(複合)され、図示しないイヤフォンから音声が出力される。
電源回路44は電源管理用のICであり、電源回路44は二次電池46の電圧に基づく電源をシステム全体に供給する。ここで、電源回路44が電源をシステム全体に供給している状態を、電源オン状態と言うことにする。一方、電源回路44が電源をシステム全体に供給していない状態を、電源オフ状態と言うことにする。電源回路44は、電源オフ状態で、キー入力装置26によって電源オン操作がされると起動され、電源オン状態で電源オフ操作がされると停止される。さらに、電源オフ状態であっても、電源回路44は、図示しない外部電源コネクタに外部電源が接続され、二次電池46に電力が供給(充電)されると起動し、二次電池46の満充電状態が検出されると停止する。また、「充電」とは、外部電源コネクタが外部電源と接続され外部電源から電力の供給を受け、二次電池46が電気エネルギーを蓄えることを言う。
無線通信回路14は、CDMA方式での無線通信を行うための回路である。たとえば、使用者がキー入力装置26を用いて電話発信(発呼)を指示すると、無線通信回路14は、プロセッサ24の指示の下、電話発信処理を実行し、アンテナ12を介して電話発信信号を出力する。電話発信信号は、基地局および通信網(図示せず)を経て相手の電話機に送信される。そして、相手の電話機において着信処理が行われると、通信可能状態が確立され、プロセッサ24は通話処理を実行する。
通常の通話処理について具体的に説明すると、相手の電話機から送られてきた変調音声信号はアンテナ12によって受信される。受信された変調音声信号には、無線通信回路14によって復調処理および復号処理が施される。そして、これらの処理によって得られた受話音声信号は、第1D/A20aによってアナログ音声信号に変換された後、第1スピーカ22aから出力される。一方、マイク18を通して取り込まれた送話音声信号は、A/D16によってデジタル音声信号に変換された後、プロセッサ24に与えられる。デジタル音声信号に変換された送話信号には、プロセッサ24の指示の下、無線通信回路14によって符号化処理および変調処理が施され、アンテナ12を介して出力される。したがって、変調音声信号は、基地局および通信網を介して相手の電話機に送信される。
また、相手の電話機からの電話発信信号がアンテナ12によって受信されると、無線通信回路14は、電話着信(着呼)をプロセッサ24に通知する。これに応じて、プロセッサ24は、表示ドライバ28を制御して、着信通知に記述された発信元情報(電話番号)をディスプレイ30に表示する。また、これとほぼ同時に、プロセッサ24は、第2スピーカ22bから着信音(着信メロディ、着信音声と言うこともある。)を出力させる。
そして、使用者が通話キーを用いて応答操作を行うと、無線通信回路14は、プロセッサ24の指示の下、電話着信処理を実行する。すると、通信可能状態が確立され、プロセッサ24は上述した通常の通話処理を実行する。
また、通話可能状態に移行した後に終話キーによって通話終了操作が行われると、プロセッサ24は、無線通信回路14を制御して、通話相手に通話終了信号を送信する。通話終了信号の送信後、プロセッサ24は通話処理を終了する。また、先に通話相手から通話終了信号を受信した場合も、プロセッサ24は通話処理を終了する。さらに、通話相手によらず、移動通信網から通話終了信号を受信した場合も、プロセッサ24は通話処理を終了する。
携帯電話機10は、RAM34に記憶される音声(音楽)データを再生する音楽プレイヤ機能を有している。音楽プレイヤ機能が実行されると、使用者の設定に応じて近距離無線通信出力、スピーカ出力またはイヤフォン出力のいずれか1つが選択され、音楽が出力される。
たとえば、携帯電話機10とヘッドセット42との近距離無線通信が確立されていれば、近距離無線通信出力が選択される。この場合、近距離無線通信が確立されたヘッドセット42を利用して、再生された音楽が出力される。また、携帯電話機10がヘッドセット42との近距離無線通信を確立しておらず、音声出力端子36にイヤフォンが接続されていなければ、スピーカ出力が選択される。さらに、スピーカ出力が選択されると、携帯電話機10に設けられた第2スピーカ22bから、再生された音楽が出力される。
そして、携帯電話機10の音声出力端子36にイヤフォンが接続されている場合、イヤフォン出力が選択される。また、イヤフォン出力は、左右のイヤフォンから音声を出力するイヤフォン(ステレオ)出力と、片方のイヤフォンから音声を出力するイヤフォン(モノラル)出力とに分かれる。したがって、プロセッサ24は、デジタル音声信号を出力するD/Aを切り替えることで、出力形式を変更することができる。また、イヤフォン出力の場合、プロセッサ24は、RAM34に記憶される設定に従って、第3D/A20cに与えるデジタル音声信号をステレオとするか、モノラルとするかを選択する。
また、音楽プレイヤ機能が実行された場合、二次電池46の残電池容量に関わらず、現在の出力形式において、音声を出力し続けることが可能な時間(出力可能時間)が異なる。図2を参照して、イヤフォン(モノラル出力)が選択されると出力可能時間はAA時間となり、イヤフォン(ステレオ)出力が選択されると出力可能時間はBB時間となり、スピーカ出力が選択されると出力可能時間はCC時間となり、近距離無線通信出力が選択されると出力可能時間はDD時間となる。
また、二次電池46の電池容量がBCmAh(ミリ・アンペア・アワー)であり、現在の残電池容量がRB%であり、イヤフォン(モノラル出力)が1時間毎に消費する量(毎時電池消費量)がaamAh(図3参照)であれば、数1に示す式に従って、イヤフォン(モノラル出力)の出力可能時間が算出される。
[数1]
残電池容量×電池容量÷毎時電池消費量=出力可能時間
ただし、残電池容量は、二次電池46が低電圧状態になったときの最低限の電源を維持するために、全体の残電池容量から15%を除いた値とする。たとえば、二次電池46が満充電状態(100%)であれば、数1に代入される残電池容量は85%となる。なお、この15%と言う数値は、他の数値であってもよい。
また、図3を参照して、イヤフォン(ステレオ)出力の毎時電池消費量はbbmAhであり、スピーカ出力の毎時電池消費量はccmAhであり、近距離無線通信出力の毎時電池消費量はddmAhである。そして、各出力形式の毎時電池消費量は、イヤフォン(モノラル)出力が最も小さく、イヤフォン(ステレオ)出力がその次に大きい。また、スピーカ出力はイヤフォン(ステレオ)出力の次に大きく、近距離無線通信出力は最も大きい。つまり、毎時電池消費量の大小関係は、aa<bb<cc<ddとなる。一方、各出力形式の出力可能時間の大小関係は、毎時電池消費量の大小関係とは逆にAA>BB>CC>DDとなる。つまり、毎時電池消費量が小さいほど、出力可能時間が長くなる。
ここで、再生された音楽データが近距離無線通信出力、スピーカ出力またはイヤフォン(ステレオ)出力(第1出力形式)される場合、音声を出力し始めてからの時間(出力時間)が出力可能時間に達すると、イヤフォン(モノラル)出力(第2出力形式)に切り替えられる。
たとえば、再生された音楽データが近距離無線通信出力される場合、プロセッサ24は、出力を開始した時点での出力可能時間を上記数1に従って算出するとともに、時間の計測を開始する。また、出力時間が所定の出力可能時間(第1出力可能時間)に達すると、図4(A)に示すGUIが表示される。
図4(A)を参照して、ディスプレイ30の表示領域は、状態表示領域70および機能表示領域72から構成される。状態表示領域70には、アンテナ12による電波受信状態および二次電池46の残電池容量を示すアイコン(ピクトと言うこともある。)と、現在日時とが表示される。なお、現在時刻は、図示しないRTCが出力する時刻情報に基づく。機能表示領域72には、出力形式をイヤフォン(モノラル)出力に変更することを確認する文章、出力形式の変更を承諾または拒否するキー、その2つのキーを仮選択するカーソルCuおよび仮選択を確定する確定キー74が表示される。
そして、使用者は、出力形式をイヤフォン(モノラル)出力に変更する場合には、承諾キーをカーソルCuで仮選択した後に、確定キー74を操作すればよい。また、出力形式を変更せずに音楽データの再生を終了する場合には、拒絶キーをカーソルCuによって仮選択した後に、確定キー74を操作すればよい。
また、再生された音楽データがイヤフォンから出力される場合、プロセッサ24は、上記したように出力可能時間を算出するとともに、時間の計測を開始する。また、出力時間が所定の出力可能時間に達すると、図4(B)に示すGUIが表示される。図4(B)のGUIは、図4(A)に示すGUIと文章は異なるが、出力形式をイヤフォン(モノラル)出力に変更することを確認する文章であることに変わりは無い。なお、図4(B)のGUIでは、文章以外は図4(A)のGUIと同じであるため、詳細な説明は省略する。
また、図4(A)および図4(B)に示すGUIが表示された後に、確認キー74が所定時間、操作されない場合、使用者の確認操作が無くても、出力形式はイヤフォン(モノラル)出力に切り替わる。つまり、使用者が携帯電話機10をすぐに操作できないような状況であっても、出力形式が自動的に変更されるため、使用者の利便性が向上する。
さらに、出力形式がイヤフォン(モノラル)出力に変更されると、変更後の出力形式に対応する出力可能時間が再び計算される。そして、イヤフォン(モノラル)出力に変更した後に、出力時間が変更後の出力形式に対応する出力可能時間(第2出力可能時間)に達すると、プロセッサ24は音楽プレイヤ機能を終了する。つまり、イヤフォン(モノラル)出力に変更した後に、二次電池46が完全に消費されないようにする。
なお、上記のように、変更後の出力形式に対応する出力可能時間を再び計算する場合、最初の出力形式に対応する出力可能時間を算出するときに数1の残電池容量から15%を引いていれば、変更後の出力可能時間を算出するときには、数1の残電池容量から10%を引いて計算する。つまり、変更後の出力形式に対応する出力可能時間を計算する場合、消費できる残電池容量を多くすることで、音声が出力される時間を長くする。ただし、残電池容量が5%になったときに低電圧アラートを行う場合、最初に出力可能時間を算出するときには残電池容量から20%を引き、変更後の出力可能時間を算出するときには残電池容量から15%を引く。このように、残電池容量から差し引く値は、携帯電話機の仕様によって任意に変化する。
たとえば、他の実施例では、残電池容量の算出のために全体の残電池容量から除く値は30%または50%などの適宜な値とすることができる。この場合、全体の残電池容量から除く値が小さくなれば、第1出力形式での音声の出力時間が短くなるが、第2出力形式での音声出力時間を長くすることができる。一方、全体の残電池容量から除く値が大きくなれば、第1出力形式での音声の出力時間は長くなるが、第2出力形式での音声出力時間は短くなる。
また、音楽データを再生しているときに、電話着信などの割り込み処理が発生すると、二次電池46の残電池容量が変化する。そのため、割り込み処理が終了すると、プロセッサ24は、出力可能時間を再計算する。たとえば、割り込み処理が電話着信処理である場合、消費量が大きくなり、二次電池46の残電池容量が大幅に減る。そのため、元々の出力可能時間に合わせて出力形式を変更しようとしても、出力時間が元々の出力可能時間に達する前に二次電池46を消費しきってしまう恐れがある。ところが、電話着信処理が終了した後に、出力可能時間を再計算すれば、的確なタイミングで出力形式が変更できるようになる。
図5は、RAM34のメモリマップ300を示す図である。RAM34のメモリマップ300には、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304が含まれる。また、プログラムおよびデータの一部は、フラッシュメモリ32から一度に全部または必要に応じて部分的かつ順次的に読み出され、RAM34に記憶されてからプロセッサ24によって処理される。
プログラム記憶領域302には、携帯電話機10を動作させるためのプログラムが記憶されている。たとえば、携帯電話機10を動作させるためのプログラムは、音声出力プログラム310および音声出力制御プログラム312などから構成されている。音声出力プログラム310は、RAM34に記憶されている音声(音楽)データを出力(再生)するためのプログラムであり、音楽プレイヤ機能が実行されるのに合わせて実行される。また、音声出力制御プログラム312は、携帯電話機10の状態に合わせて音声の出力形式を選択するためのプログラムである。
なお、図示は省略するが、携帯電話機10を動作させるためのプログラムには、電話着信状態を通知するためのプログラムおよび通話状態を確立するためのプログラムなどが含まれる。
続いて、データ記憶領域304には、出力可能時間バッファ330および残電池容量バッファ332が設けられるとともに、音声データ334および消費量テーブルデータ336が記憶される。さらに、データ記憶領域304には、割り込みフラグ338、充電フラグ340、近距離無線通信フラグ342、イヤフォンフラグ344およびモノラル出力フラグ346、出力カウンタ348および無操作カウンタ350なども設けられる。
出力可能時間バッファ330には、上記数1によって算出された出力可能時間が一時的に格納される。残電池容量バッファ332には、電源回路44が出力する二次電池46の残電池容量を示す値が格納される。
音声データ334は、音楽プレイヤ機能が実行されると読み出され、音声出力制御プログラム312の処理によって選択された出力形式で、出力される。消費量テーブルデータ336は、図3に示す構成のテーブルデータであり、各出力形式に対応する消費量が記録されている。そのため、出力可能時間を算出する際に、消費量テーブルデータ336から消費量が読み出される。
割り込みフラグ338は、電話着信処理などが実行されかを判断するためのフラグである。たとえば、割り込みフラグ338は、1ビットのレジスタで構成される。割り込みフラグ338がオン(成立)されると、レジスタにはデータ値「1」が設定される。一方、割り込みフラグ338がオフ(不成立)されると、レジスタにはデータ値「0」が設定される。そして、割り込みフラグ338は、電話着信処理などが実行されるとオンになり、電話着信処理ないし通話処理などが終了するとオフとなる。
充電フラグ340は、二次電池46が充電状態であるか否かを判断するためのフラグである。また、充電フラグ340は、電源回路44が出力する信号に基づいてオン/オフが切り替えられる。近距距離無線通信フラグ342は、ヘッドセット42などと近距離無線通信が確立されているか否かを判断するためのフラグである。また、近距離無線通信フラグ342は、近距離無線通信回路38が出力する信号に基づいてオン/オフが切り替えられる。
イヤフォンフラグ344は、音声出力端子36にイヤフォンが接続されているか否かを判断するためのフラグである。また、イヤフォンフラグ344は、音声出力端子36から出力される接続信号に基づいてオン/オフが切り替えられる。また、モノラル出力フラグ346は、イヤフォンから出力される音声がモノラルにされているか否かを判断するためのフラグである。また、モノラル出力フラグ346は、音声出力制御プログラム312の処理に基づいてオン/オフが切り替えられる。
出力カウンタ348は、音声が出力されている時間を計測するためのカウンタであり、初期化されるとカウントを開始する。また、後述する出力タイマが実行されると、出力カウンタ348が初期化され、カウントが始まる。さらに、出力カウンタ348によってカウントされた値が出力可能時間バッファ330に格納された出力可能時間と一致したときに、出力タイマが満了する。
また、無操作カウンタ350は、所定時間(たとえば、30秒)を計測するためのカウンタであり、初期化されるとカウントを開始する。また、無操作カウンタ350は無操作タイマとも呼ばれ、無操作タイマが実行されると、無操作カウンタ350は初期化されてカウントを開始する。
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、RTCが出力するデータを一時的に記憶するバッファや、文字列を表示するための文字データなどが記憶されると共に、携帯電話機10の動作に必要なカウンタや、フラグも設けられる。
プロセッサ24は、Android(登録商標)およびREXなどのLinux(登録商標)ベースのOSや、その他のOSの制御下で、図6および図7に示す音声出力制御処理などを含む、複数のタスクを並列的に処理する。
図6は音声出力制御処理のフロー図である。音声出力処理が実行されると、プロセッサ24はステップS1で、近距離無線通信か否かを判断する。つまり、プロセッサ24は、近距離無線通信フラグ342がオンであるか否かを判断する。ステップS1で“YES”であれば、たとえば、ヘッドセット42との近距離無線通信が確立していれば、プロセッサ24はステップS3で、近距離無線通信の出力可能時間を算出し、ステップS11に進む。たとえば、プロセッサ24は、残電池容量バッファ332に格納された二次電池46の残電池容量から15%を引いた値、二次電池46の電池容量BCおよび消費量テーブルデータ336に記録された近距離無線通信の消費量ddmAhから、数1に従う数式に基づいて、近距離無線通信の出力可能時間を算出する。また、算出された出力可能時間は、出力可能時間バッファ330に格納される。
また、ステップS1で“NO”であれば、たとえばヘッドセット42との近距離無線通信が確立していなければ、プロセッサ24はステップS5で、スピーカ出力か否かを判断する。つまり、プロセッサ24は、近距離無線通信フラグ342およびイヤフォンフラグ344がオフであるか否かを判断する。ステップS5で“YES”であれば、たとえば携帯電話機10がヘッドセット42との近距離無線通信を確立しておらず、音声出力端子36にイヤフォンが接続されていなければ、プロセッサ24はステップS7で、スピーカの出力可能時間を算出し、ステップS11に進む。つまり、プロセッサ24は、消費量テーブルデータ336からスピーカの消費量ccmAhを読み出し、ステップS3の処理と同様に、スピーカの出力可能時間を算出する。
また、ステップS5で“NO”であれば、たとえば音声出力端子36にイヤフォンが接続され、イヤフォンフラグ344がオンであれば、プロセッサ24はステップS9で、イヤフォンの出力可能時間を算出する。つまり、ステップS3およびステップS7の処理と同様、プロセッサ24は、消費量テーブルデータ336からイヤフォン出力(ステレオ)の消費量bbmAhを読み出し、出力可能時間を算出する。
なお、ステップS3,ステップS7またはステップS9の処理を実行するプロセッサ24は第1算出部または算出部として機能する。
続いて、プロセッサ24は、ステップS11で出力タイマを実行する。つまり、プロセッサ24は、出力カウンタ348を初期化して、音声データ334に対応する音声が出力される時間を計測し始める。なお、ステップS11の処理を実行するプロセッサ24は第1計測部または計測部として機能する。
続いて、プロセッサ24は、ステップS13で、割り込み処理が発生したか否かを判断する。つまり、プロセッサ24は、割り込みフラグ338がオンにされているか否かを判断する。ステップS13で“YES”であれば、たとえば電話着信処理が実行され、割り込みフラグ338がオンにされていれば、プロセッサ24はステップS15で、割り込み処理が終了したか否かを判断する。たとえば、プロセッサ24は、電話着信処理および通話処理が終了して、割り込みフラグ338がオフにされたか否かを判断する。ステップS15で“NO”であれば、たとえば通話処理が終了しておらず、割り込みフラグ338がオンのままであれば、プロセッサ24はステップS15の判断を繰り返し実行する。
一方、ステップS15で“YES”であれば、たとえば通話処理が終了し、割り込みフラグ338がオフになれば、プロセッサ24は、ステップS1に戻る。つまり、二次電池46の残電池容量が大幅に変化したため、プロセッサ24は、出力可能時間を再計算するために、ステップS1に戻る。
また、ステップS13で“NO”であれば、つまり割り込みフラグ338がオフであれば、プロセッサ24はステップS17で、充電開始か否かを判断する。つまり、プロセッサ24は、二次電池46が図示しない外部電源から電力の供給を受け、充電フラグ340がオンにされているか否かを判断する。ステップS17で“YES”であれば、つまり二次電池46が充電状態にされると、プロセッサ24は、音声出力制御処理を終了する。つまり、二次電池46が充電されている状態では、消費量よりも供給量の方が上回っているため、二次電池46の残電池容量が減ることは無い。つまり、電池残容量の変化合わせて出力形式を変更する必要がなくなるため、プロセッサ24は音声出力制御処理を終了する。
また、ステップS17で“NO”であれば、つまり充電フラグ340がオフであれば、プロセッサ24はステップS19で、出力タイマが満了か否かを判断する。つまり、プロセッサ24は、出力カウンタ348のカウント値が出力可能時間バッファ330に格納された出力可能時間と一致するか否かを判断する。ステップS19で“NO”であれば、つまり音声が出力されてから計測され始めた時間が、出力可能時間に達していなければ、プロセッサ24はステップS13に戻る。つまり、出力可能時間になるまで、割り込み処理の有無と、充電開始の有無とが繰り返し判断される。
また、ステップS19で“YES”であれば、つまり出力カウンタ348を利用する出力タイマが満了すれば、プロセッサ24はステップS21で、イヤフォン出力か否かを判断する。つまり、プロセッサ24は、イヤフォンフラグ344がオンであるか否かを判断する。なお、ステップS19で“YES”と判断された場合、音声の出力は一時停止される。
ステップS21で“YES”であれば、つまり音声出力端子36に接続されたイヤフォンから音声が出力されていれば、プロセッサ24はステップS23で、モノラル出力に切り替えるか確認するメッセージを表示し、ステップS31に進む。たとえば、プロセッサ24は、図4(B)に示すGUIをディスプレイ30に表示する。一方、ステップS21で“NO”であれば、つまりヘッドセット42に接続されたイヤフォンまたは第2スピーカ22bから音声が出力されていれば、プロセッサ24はステップS25で、イヤフォン(モノラル)出力に切り替えるかを確認するメッセージを表示する。たとえば、プロセッサ24は、図4(A)に示すGUIをディスプレイ30に表示する。
なお、ステップS23またはステップS25の処理を実行するプロセッサ24は表示部とし機能する。
続いて、プロセッサ24は、ステップS27で、イヤフォンが接続されたか否かを判断する。つまり、携帯電話機10にイヤフォンが接続されていないため、プロセッサ24はイヤフォンフラグ344がオンにされたか否かを判断する。ステップS27で“YES”であれば、つまりイヤフォンが音声出力端子36に接続されると、プロセッサ24はステップS31に進む。また、ステップS27で“NO”であれば、つまりイヤフォンが音声出力端子36に接続されなければ、プロセッサ24はステップS29で、タイムアウトか否かを判断する。つまり、プロセッサ24は、イヤフォンの接続を判断してから、イヤフォンが接続されないままタイムアウト時間(たとえば、30秒)が経過したか否かを判断する。ステップS29で“NO”であれば、たとえば30秒経過していなければ、プロセッサ24はステップS27に戻る。一方、ステップS29で“YES”であれば、たとえばイヤフォンが接続されないまま30秒経過すれば、プロセッサ24はステップS53で、音声出力処理を終了する。つまり、イヤフォンが接続されなければ音声の出力形式を変更できないため、ディスプレイ30にメッセージが表示されてからイヤフォンが接続されず、携帯電話機10が30秒間放置されると、プロセッサ24は音声出力処理を終了する。
図7を参照して、プロセッサ24はステップS31で、無操作タイマを実行する。つまり、プロセサ24は、無操作カウンタ450を初期化する。続いて、プロセッサ24は、ステップS33で、モノラル出力に変更する操作がされたか否かを判断する。つまり、図4(A),(B)に示すGUIにおいて、承諾キーがカーソルCuによって仮選択された状態で、確定キー74が操作されたか否かを判断する。なお、ステップS31の処理を実行するプロセッサ24は無操作計測部として機能する。また、ステップS33の処理を実行するプロセッサ24は受付部として機能する。
ステップS33で“YES”であれば、たとえば承諾キーが仮選択された状態で確定キー74が操作されると、プロセッサ24はステップS39に進む。一方、ステップS33で“NO”であれば、つまり、確定キー74が操作されなければ、プロセッサ24はステップS35で、無操作タイマが満了したか否かを判断する。つまり、プロセッサ24は、無操作カウンタ350の値が一定時間に対応する値であるか否かを判断する。
ステップS35で“NO”であれば、つまり無操作タイマが満了していなければ、プロセッサ24はステップS37で、出力を変更しない操作がされたか否かを判断する。つまり、プロセッサ24は、拒絶キーが仮選択された状態で確定キー74が操作されたか否かを判断する。ステップS37で“NO”であれば、つまり確定キー74が操作されなければ、プロセッサ24はステップS33に戻る。また、ステップS37で“YES”であれば、つまり拒絶キーが仮選択された状態で確定キー74が操作されると、プロセッサ24は音声出力制御処理を終了する。
また、ステップS35で“YES”であれば、つまり図4(A),(B)に示すGUIが表示されてから所定時間が経過すれば、プロセッサ24はステップS39で、モノラルの出力可能時間を算出する。たとえば、プロセッサ24は、ステップS9などと同様、消費量テーブルデータ336から読み出されたモノラルの消費量aamAh、二次電池46の残電池容量から10%を引いた値および二次電池46の電池容量BCから、モノラルの出力可能時間を算出する。なお、ステップS39の処理を実行するプロセッサ24は第2算出部として機能する。
続いて、プロセッサ24は、ステップS41で、モノラル出力に変更する。つまり、プロセッサ24は、モノラル出力フラグ346をオンにする。これにより、音声出力処理では、第3D/A20cにモノラルのデジタル音声信号が入力されるようになる。そして、ステップS41の処理が実行されると、一時停止されていた音声の出力が再開される。なお、ステップS41の処理を実行するプロセッサ24は変更部として機能する。
続いて、プロセッサ24はステップS43で、ステップS11と同様、出力タイマを実行する。また、プロセッサ24はステップS45で、ステップS13と同様、割り込み処理か否かを判断する。ステップS45で“YES”であれば、つまり割り込み処理が実行されると、プロセッサ24はステップS47で、ステップS15と同様、割り込み処理が終了したか否かを判断する。ステップS47で“NO”であれば、つまり割り込み処理が終了していなければ、プロセッサ24はステップS47の処理を繰り返し実行する。一方、ステップS47で“YES”であれば、つまり割り込み処理が終了すれば、プロセッサ24はステップS39に戻る。つまり、プロセッサ24は、モノラルの出力可能時間を再算出する。なお、ステップS43の処理を実行するプロセッサ24は第2計測部として機能する。
また、ステップS45で“NO”であれば、つまり割り込み処理が実行されていなければ、プロセッサ24はステップS49で、ステップS17と同様、充電開始か否かを判断する。ステップS49で“YES”であれば、つまり二次電池46の充電が開始されると、プロセッサ24は音声出力制御処理を終了する。一方、ステップS49で“NO”であれば、つまり二次電池46の充電が開始されていなければ、プロセッサ24はステップS51で、ステップS19と同様、出力タイマが満了か否かを判断する。ステップS51で“NO”であれば、つまり出力タイマが満了していなければ、プロセッサ24はステップS45に戻る。
一方、ステップS51で“YES”であれば、つまり出力タイマが満了すれば、プロセッサ24はステップS53で、音声終了処理を終了する。たとえば、プロセッサ24は、最低限の残電池容量を確保するために、実行中の音楽プレイヤ機能を終了する。そして、ステップS53の処理が終了すると、プロセッサ24は音声出力制御処理を終了する。
なお、ステップS53の処理を実行するプロセッサ24は終了部として機能する。また、ステップS13、ステップS15、ステップS45およびステップS47の処理を実行するプロセッサ24は判断部として機能する。
また、プロセッサ24は、ステップS23またはステップS25の処理を実行した後に、ビープ音を出力したり、図示しないモータを振動させたりして、GUIが表示されていることを使用者に通知してもよい。
さらに、他の実施例では、無操作タイマが満了したときにモノラルの出力に変更せず、ステップS53を実行して、音声出力処理を終了してもよい。
以上の説明から分かるように、携帯電話機10は音楽プレイヤ機能を有しており、音楽データが再生されると音声出力端子36に接続されたイヤフォンなどから音声を出力することができる。また、イヤフォンから音声が出力されると、二次電池46の残電池容量などから出力可能時間が算出され、時間の計測が始まる。さらに、イヤフォンから音声を出力している時間が上記出力可能時間に達すると、出力形式をモノラルに変更することを確認するGUIがディスプレイ30に表示される。このとき、使用者によって変更を承認する確認操作がされると、音声の出力形式が、二次電池46の消費量が低いイヤフォン(モノラル)出力に変更される。
このように、音声の出力時間に基づいて消費量が低い出力方式に変更することができるため、携帯電話機10の消費電力を効率よく削減し、音声が出力される時間を長くすることができる。
なお、他の実施例では、割り込み処理には、メール受信処理や、アラーム処理などが含まれる。
また、他の実施例では、近距離無線通信出力またはスピーカ出力からイヤフォン(モノラル)出力に変更される前に、イヤフォン(ステレオ)出力に変更されてもよい。つまり、出力形式が2回変更されてもよい。たとえば、音声がスピーカ出力されているときに出力可能時間に達すると、出力形式がイヤフォン(ステレオ)出力に変更される。次に、イヤフォン(ステレオ)出力の出力可能時間に達すると、イヤフォン(モノラル)出力に変更される。
そして、上記のように出力形式が変更される場合であっても、音声出力制御処理が大きく変化することは無い。つまり、プロセッサ24は、近距離無線通信出力またはスピーカ出力からイヤフォン(ステレオ)出力に変更したときに、音声出力制御処理のステップS1の処理から実行し直すことで、イヤフォン(ステレオ)出力からイヤフォン(モノラル)出力に変更することができる。
また、一般に、消費電力の大きさとしては、近距離無線通信出力>スピーカ出力>イヤフォン(ステレオ)出力>イヤフォン(モノラル)出力である。そのため、第1出力形式として近距離無線通信出力を用いた場合は、第2出力形式として、スピーカ出力、イヤフォン(ステレオ)出力およびイヤフォン(モノラル)出力などを用いることができる。また、第1出力形式としてスピーカ出力を用いた場合は、第2出力形式として、イヤフォン(ステレオ)出力およびイヤフォン(モノラル)出力などを用いることができる。さらに、第1出力形式としてイヤフォン(ステレオ)出力を用いた場合は、第2出力形式として、イヤフォン(モノラル)出力をなどを用いることができる。
また、携帯電話機10の通信方式はCDMA方式であるが、LTE(Long Term Evolution)方式、W-CDMA方式、GSM方式、TDMA方式、FDMA方式およびPHS方式などが採用されてもよい。
また、音声出力制御プログラム312は、データ配信用のサーバのHDDに記憶され、ネットワークを介して携帯電話機10に配信されてもよい。また、CD,DVD,BD(Blu-ray Disc)などの光学ディスク、USBメモリおよびメモリカードなどの記憶媒体にこれらのプログラムを記憶させた状態で、その記憶媒体が販売または配布されてもよい。そして、上記したサーバや記憶媒体などを通じてダウンロードされた、音声出力制御プログラム312が、本実施例と同等の構成の携帯電話機にインストールされた場合、本実施例と同等の効果が得られる。
さらに、本実施例は、携帯電話機10のみに限らず、スマートフォンおよびPDA(Personal Digital Assistant)に適用されてもよい。
そして、本明細書中で挙げた、残電池容量、一定時間、所定時間およびタイムアウト時間などの具体的な数値は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。