JP2012066576A - インクジェット記録装置及び記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録する画像の色相に合わせた高画質な画像を得ることができる記録装置および記録方法を提供する。
【解決手段】単位領域に付与する複数色の前記インクの、インク滴の総数と、インク色毎のインク滴の数の比と、を取得し、取得した総数と比との両方に基づいて、単位領域に付与すべき処理液の量を決定する記録データの比率と量に基づいてインクの記録順序が異なる領域毎に処理液の付与量を変更する。以上の処理を行うことで、記録する画像の色相に合わせた高画質な画像を得ることができる。
【選択図】図12
【解決手段】単位領域に付与する複数色の前記インクの、インク滴の総数と、インク色毎のインク滴の数の比と、を取得し、取得した総数と比との両方に基づいて、単位領域に付与すべき処理液の量を決定する記録データの比率と量に基づいてインクの記録順序が異なる領域毎に処理液の付与量を変更する。以上の処理を行うことで、記録する画像の色相に合わせた高画質な画像を得ることができる。
【選択図】図12
Description
本発明は、記録ヘッドを走査しながら記録媒体にインク等の記録液体を吐出して画像を形成するインクジェット記録装置および記録方法に関する。
一般的に、インクジェット方式の記録装置は、記録ヘッドを搭載するキャリッジと、被記録媒体を搬送する搬送手段とこれらを制御するためのコントローラとを具備する。そして、複数のノズルからインク滴を吐出させる記録ヘッドを記録紙の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)にシリアルスキャンさせるとともに、一方で非記録時に記録媒体を記録幅に等しい量で間欠搬送する。上記のような記録装置においてカラー画像を記録する場合、例えば、黒インク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクを吐出する記録ヘッドを主走査方向に配列したものを用いることができる。このような記録装置を用いると、1回の主走査で全ての色のインクが画像データに応じて吐出される。また、往方向の主走査と復方向の主走査とを交互に双方向記録を繰り返して画像を形成すると、例えばブルー、レッド、グリーンのいわゆる2次色を形成する場合には、インクの記録順序が往走査と復走査とで異なってしまう。記録媒体の種類にも依存するが先に記録されたインクが記録媒体の表層に留まり、後から記録されたインクが記録媒体内部に浸透する傾向がある。そのため、例えば、ブルーの画像を形成する場合に、シアンの記録後にマゼンタを記録した場合にはシアンが記録媒体表層に存在するためシアンよりのブルーに見える。反対に、マゼンタの記録後にシアンを記録した場合にはマゼンタよりのブルーに見える。このように、インクの記録順が往方向の主走査と復方向の主走査とで異なってしまう場合には、各主走査で色相が異なり色ムラとなって画像品位を低下させてしまう可能性がある。
特許文献1は、インク中の色材を不溶化させる処理液を備え、インクの種類および吐出順序に応じて、処理液の吐出量を制御する技術を開示している。具体的には、処理液の付与量を制御することにより、インクの記録順の違いに起因した色ムラを低減させる。しかしながら、この刊行物に開示された技術では、記録する画像の色相によっては処理液の量が不十分あるいは過剰である場合が想定され、画質改善効果が十分に得られない可能性がある。
本発明の目的は、記録する画像の色相に合わせた高画質な画像を得ることができる記録装置および記録方法を提供することにある。
本発明は、複数色のインクと、前記インクと反応する処理液と、を付与可能な記録手段を用い、前記記録手段を記録媒体に対して走査させながら前記記録媒体の単位領域に対して画像を記録するための記録データを生成する画像処理装置であって、前記単位領域に記録すべき画像データに基づいて、前記単位領域に付与する複数色の前記インクの、インク滴の総数と、インク色毎のインク滴の数の比と、を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した前記総数と前記比との両方に基づいて、前記単位領域に付与すべき処理液の量を決定する決定手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、記録する画像の色相に合わせた高画質な画像を得ることができる。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明に係るインクジェット式の記録装置および画像処理装置の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態では、カラー画像を形成可能とするカラーインクジェット式の記録装置を例に説明する。但し、本発明は必ずしもカラー画像を形成するものに限らず、白黒画像を形成するものにも適用可能である。
以下、図面を参照して本発明に係るインクジェット式の記録装置および画像処理装置の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態では、カラー画像を形成可能とするカラーインクジェット式の記録装置を例に説明する。但し、本発明は必ずしもカラー画像を形成するものに限らず、白黒画像を形成するものにも適用可能である。
図1は、本発明を適用可能なカラーインクジェット記録装置の一実施形態の構成を示す概略斜視図である。インクタンク211、216は処理液を収容し、インクタンク212〜215は4色のインク(イエロー、マゼンダ、シアン、黒:Y、M、C、K)をそれぞれ収容している。そして、インクタンク211〜216は、これら処理液と4色のインクを記録ヘッド200のノズル201〜206に対して供給可能に構成されている。記録ヘッド200のノズル201〜206は、主走査方向Xおよび搬送方向Yに複数配列され、インクタンク211〜216から供給される処理液及びインクを吐出できるように構成されている。すなわち、ノズル202〜205は、複数種のインクを吐出可能であり、ノズル201および206は、処理液を吐出可能である。処理液とはインクと接触することでインクに作用する液体であって、例えばインク中の色剤を不溶化、または凝集させる作用を有する成分を含有する液体である。このような液体としては、記録された画像の耐水性を向上させたり、濃度を増加させたり、にじみを防いだり、フェザリング現象を低減する等のプリント性を向上させる効果を奏する液体とすることができる。
搬送ローラ103は、補助ローラ104とともに記録媒体107を挟持しながら回転して記録媒体107を搬送するとともに、記録媒体(記録用紙)107を保持する役割も担っている。キャリッジ106は、インクタンク211〜216及び記録ヘッド200を搭載可能であって、これら記録ヘッドおよびインクタンクを搭載しながらX方向に沿って往復移動可能に構成されている。このキャリッジ106の往復移動中に記録ヘッドから処理液及びインクが吐出され、これにより記録媒体に画像が記録される。記録ヘッド201〜206の回復動作時等の非記録動作時には、このキャリッジ106は図中の点線で示したホームポジション位置hに待機するように制御される。
記録開始前にキャリッジ106と共に図1に示すホームポジションhに位置する記録ヘッド200は、記録開始命令が入力されると、図中のX方向に移動しつつ、処理液及びインクを吐出して記録媒体107上に画像を記録する。この記録ヘッドの1回の移動によって、記録ヘッドのノズルの配列範囲に対応した幅を有する領域に対して記録が行われる。記録走査が終了してから、続く記録走査が始まる前には搬送ローラ103が回転して、図中のY方向へと記録媒体が搬送される。続いて、記録ヘッドはホームポジジョンhに向かって−X方向に移動しつつ、処理液及びインクを吐出して記録媒体107上に画像を記録する。記録走査が終了してから、続く記録走査が始まる前には搬送ローラ103が回転して、図中のY方向へと記録媒体が搬送される。このように記録ヘッドの記録走査と記録媒体の搬送とを繰り返すことにより記録媒体107上への記録が完成する。記録ヘッド200からインクを吐出する記録動作は、後述の制御手段による制御に基づいて行われる。
次に、図1に示したカラーインクジェット記録装置の記録制御系回路の概略構成を図2に示すブロック図を参照して説明する。図2において、400は記録信号や記録に関連する制御信号を入力するインターフェ−ス、401はMPU(Micro Processing Unit)である。また、402はMPU401が実行する制御プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)である。403は各種データ(記録ヘッド200に供給される記録信号や記録のための制御信号等)を保存しておくダイナミック型のRAM(Dynamic Random Access Memory (DRAM))である。RAM403には、記録ドット数や記録ヘッド200の交換回数等も記憶が可能である。404は記録ヘッド200に対する記録データの供給制御を行うゲートアレイであり、インターフェース400、MPU401、DRAM403間のデータの転送制御も行う。以上が記録制御部500を構成している。
また、406は、記録ヘッド200を搭載するキャリッジ106を往復移動させるためのキャリッジモータである。405は、記録媒体107の搬送のために搬送ローラ103を回転させるための搬送モータである。408、407は、搬送モータ405、キャリッジモータ406をそれぞれ駆動するためのモータドライバである。409は記録ヘッド200を駆動するヘッドドライバであり、記録ヘッドのノズルの数に対応して複数設けられている。また、410はヘッド種別信号発生回路であり、キャリッジ106に相当するヘッド部501に搭載されている記録ヘッド200の種類や数を示す信号をMPUに与える。
次に、インクの記録順が往方向の主走査(往方向走査)と復方向の主走査(復方向走査)とで異なることに起因して画像に色ムラが発生するしくみについて説明する。図3は処理液を付与しないでレッド画像を1パス記録の往復走査による双方向記録する例を示す図である。記録ヘッドの往走査と復走査とでマゼンタインク、イエローインクの記録順序が異なる(往走査ではマゼンタ→イエロー、復走査ではイエロー→マゼンタ)ため、記録ヘッドの走査幅毎に互いに隣接する画像の間で色ムラが発生する。
図4(a)は往走査時のマゼンタ→イエローの記録順で記録した場合における記録媒体へのインクの定着状態を表す模式図である。先に記録されたマゼンタインクが記録媒体の表層に留まり、後から記録されたイエローインクが記録媒体内部に浸透するため、メディア表層付近で3つの領域を形成する。領域(i)はマゼンタが多く含まれる領域。領域(ii)はマゼンタとイエローが混合した中間領域。領域(iii)はイエローが多く含まれる領域である。この場合記録媒体の最表層には領域(i)が形成されているため、印刷物を観察するとM成分が強く表れマゼンタよりのレッドに見える。
図4(b)は復走査時にイエロー→マゼンタの記録順で記録した場合における記録媒体へのインクの定着状態を表す模式図である。往走査時とは反対に、記録媒体の最表層には領域(iii)が形成されているため、印刷物を観察するとY成分が強く表れイエローよりのレッドに見える。このように往走査と復走査で記録順により色みの異なるレッドが形成されるため、走査幅毎に色ムラが発生し、画質を劣化させる。
図5は処理液を付与した場合にレッド画像を1パス記録の往復走査による双方向記録する例を示す図である。ここで処理液は必ずインクが記録される前に記録ヘッドから吐出し記録媒体に付与する。往走査時には記録ヘッド200のノズル201から処理液を吐出、復走査時にはノズル206から処理液を吐出することで常にインクの記録を行う前に処理液を付与可能である。処理液を付与する場合においても記録ヘッドの往走査と復走査とでマゼンタインク、イエローインクの記録順序が異なる(往走査では処理液→マゼンタ→イエロー、復走査では処理液→イエロー→マゼンタ)ために、記録ヘッドの走査幅毎に色ムラが発生する。図6(a)は往走査時の処理液→マゼンタ→イエローの記録順で記録した場合における記録媒体へのインクの定着状態を表す模式図である。図6(b)は復走査時に処理液→イエロー→マゼンタの記録順で記録した場合における記録媒体へのインクの定着状態を表す模式図である。処理液を付与する場合においても先に記録されたインクが記録媒体の表層に留まり、後から記録されたインクが記録媒体内部に浸透する傾向は変わらない。しかし、処理液と反応することによりインクはより記録媒体の表層の狭い領域に定着するため、記録順による発色の違いはより顕著に現われ、画質を劣化させる。
次に、処理液の付与量とインクの定着状態と色の見え方との関係について説明する。
図7は往走査と復走査時に付与する処理液量を変化させた場合のインクの定着状態と色の見え方を表す模式図である。図7(a)は往走査で処理液→マゼンタ→イエローの記録順で付与する処理液量の量が相対的に多い条件で記録した場合を表す。インクの浸透深さはd1である。この場合インクと反応する処理液量が多いため、より記録媒体表層にインクが定着する。図7(b)は同じく往走査で処理液→マゼンタ→イエローの記録順で付与する処理液量が相対的に少ない条件で記録した場合を表す。インクの浸透深さはd2である。この場合インクと反応する処理液量が少ないため、処理液量が多い場合と比較して、より記録媒体内部にインクが拡がり定着する。このように処理液量の違いに応じて記録媒体へのインクの定着状態は変化する。その結果、印刷物を観察した際の色の見え方は、処理液量が多い場合は色の見え方A、処理液量が少ない場合は色の見え方Bとして見える。すなわち、記録するインクの量は同量であっても、付与する処理液量に応じて色は異なって見える。
図7(c)は復走査で処理液→イエロー→マゼンタの記録順で付与する処理液量が比較的多い条件で記録した場合を表す。インクの浸透深さはd3である。図7(d)は復走査で処理液→イエロー→マゼンタの記録順で付与する処理液量が比較的少ない条件で記録した場合を表す。インクの浸透深さはd4である。復走査の場合も往方向の場合同様印刷物を観察した際の色の見え方は処理液量が多い場合は色の見え方C、処理液量が少ない場合は色の見え方Dであり、両者は異なる色として見える。すなわち、記録するインクの量は同量でも付与する処理液量によって色は異なって見える。また、浸透深さは処理液の量、または記録順によって異なる深さになる。
ところで、処理液の付与量が同量の条件において往復走査で色みが異なり色ムラとなってしまう場合であっても、往走査と復走査とで処理液の付与量を変化させると色みが近い組み合わせが存在しうる。図7を例にとると、色の見え方A(付与量多い)とC(付与量少ない)では色みが大きく異なるが、色の見え方A(付与量多い)とD(付与量少ない)では観察した際の色がほぼ等しくなる。すなわち、往復走査において、色みが等しくなる最適な処理液量を付与することができれば色ムラを低減できることを意味する。
また、往走査と復走査とにおいて色ムラを低減できる最適な処理液量は、一定ではなく、これはインク自体の組成による物性の違い(浸透性等)に加えて、各インクと処理液との反応の大小の程度差によって変化する。例えば、処理液とイエローは強反応、マゼンタとは弱反応、シアンとは中程度の反応性である場合には、各インクの組み合わせにより往復走査で色みが等しくなる最適な処理液量は当然異なってくる。色ムラを低減するためには画像を形成する各インクの割合に応じて適宜最適な処理液量を付与する必要がある。
表1は、異なる記録デューティのレッドを記録した際に往復走査で色みが等しくなる処理液の付与量の関係を示している。
なお、ここでいう記録デューティとは、複数のドット形成エリアの全てに1つずつドットが形成された場合を100%の記録デューティとし、複数のドット形成エリアのエリア数に対する、複数のドット形成エリアに形成されるドットの総数の割合である。従って、例えば、全てのエリアのうち1/2のエリアそれぞれに1つのドットが形成されている場合は、50%デューティとなる。また、全てのエリアに2つのドットがそれぞれ形成されている場合は200%デューティとなる。
表1において、レッド1はマゼンタ20%、イエロー20%デューティ、合計で40%デューティの組み合わせに対しては往走査に付与する処理液量を10%、復走査に付与する処理液量を15%にすると往復走査の色みが最も近似することを示す。レッド2はマゼンタ50%、イエロー50%デューティ、合計で100%デューティの組み合わせに対しては往走査に付与する処理液量を20%、復走査に付与する処理液量を40%にすると往復走査の色みが最も近似することを示している。同じ色相のレッドであっても記録する合計デューティが異なれば往復走査で色みを近づけるための最適な処理液量は異なってくることを示している。
要するに、インクの記録順に起因した色ムラを低減するためには、単位領域に付与する複数種のインクの相対的な割合(比率)及び複数種のインクの総量(合計デューティ)に応じて、適宜最適な処理液量を付与する必要がある。
次に、処理液付与量の決定方法について説明する。往復走査それぞれにおいてマゼンタ50%、イエロー50%デューティで形成されるレッドの記録を行う場合を例にとって説明する。表2は記録順1(第1の記録順)と記録順2(第2の記録順)において付与する処理液量と、記録物を測色機で測定した際の測色値との関係を示した表である。
記録順1は処理液→マゼンタ→イエローの順、記録順2は処理液→イエロー→マゼンタの順に記録を行う。表中に示す測色値の記号の意味であるが、L*a*b*の値を表している。表2の記録順1の往走査処理液付与量20%の場合は(L*、a*、b*)=(L*2、a*2、b*2)を意味している。
次に、記録順1の記録物の測色値と、記録順2の記録物の測色値の組み合わせ全ての色差(ΔE)を算出する。色差(ΔE)は記録順1処理液付与量20%、記録順2処理液20%の場合を例にすると次式で算出を行う。
ΔE={(L*2−L*5)2+(a*2−a*5)2+(b*2−b*5)2}1/2
ΔE={(L*2−L*5)2+(a*2−a*5)2+(b*2−b*5)2}1/2
表3は記録順1の記録物(第1の画像)の測色値と、記録順2の記録物(第2の画像)の測色値の組み合わせと算出した色差の関係を示した表である。
表3において、最も色差が小さい組み合わせで往復走査で記録を行った場合に、発生する色ムラが最も小さいことを意味する。処理液付与量は最も色差が小さい組み合わせを選択することで決定される。例えば表3において色差fが最も小さい値であった場合、記録順1では20%、記録順2では40%の処理液を付与して行えば色ムラを低減することができる。すなわち、記録順毎に付与する最適な処理液量は、第1の画像と第2の画像との間の色差に関連付けられている。
このようにして記録順毎に付与する処理液量の決定を行う。また、本実施形態ではL*a*b*表色系で説明したが他の表色系を用いた構成であっても構わない。また、本実施形態において処理液付与量は色差が最も小さくなる組み合わせを選択することで決定するとした。しかし、濃度を得るために一定以上の処理液を付与する必要がある場合には、一定量以上の処理液量の組み合わせの中から色差が小さくなる組み合わせを選択するようにすればよい。
次に、画像を形成する各インクの割合及び合計デューティに応じた処理液データの生成処理について説明する。
図8は、本実施形態において、入力画像データをインクジェット記録装置にて記録可能な記録データへと変換するデータ変換処理を示す機能ブロック図である。図8に示すプリンタ1210は、図2に示した概略構成における記録制御部500に略相当する。また、図8に示すホストコンピュータ(以下、ホストPC)1200は、図2のインターフェース400を介してプリンタ1210と以下で説明するデータなどの授受を行う。
ホストPC1200では、まず、アプリケーションから受け取った入力データ(入力画像データ)1000を、例えば、300dpiの解像度でレンダリング処理1001を行う。これによって、多値(本実施形態では、256値)の記録用多値RGBデータ1002が生成される。生成された多値RGBデータ1002はプリンタ1210に転送される。
プリンタ1210では、多値RGBデータ1002から多値のKCMYデータ1004への変換処理1003を行う。変換されたKCMYデータ1004は所定の量子化方法で解像度300dpiの2値のデータに量子化される。本実施形態では、誤差拡散法によって記録ヘッドによって記録可能な解像度300dpiの2値のデータに量子化される。最後に、2値のKCMYデータ1005に基づいて、後に詳述する処理液データ生成処理1006が行われる。
本実施形態では、記録データを複数のブロック、すなわち、所定の単位領域に分割してドットカウントを行い、その結果に基づき処理液データの生成を行う。すなわち、記録データの所定の単位領域毎に規定される前記単位領域において打ち込まれるべき複数種のインクの相対的な割合および複数種のインクの総量に応じて、処理液量を決定し、その処理液量に基づき処理液データの生成を行う。図9は処理液データ生成処理1006の処理対象ブロックを説明する模式図である。1つのドットカウントブロックの大きさは、16×16ドット(300dpi)である。本実施形態における記録ヘッドのノズル数は80であり、各ノズルはノズル列方向に300dpiの間隔で等間隔に並んでいる(不図示)。紙送り方向にはヘッド幅に対応する80(300dpi)を5等分され、5個の処理ブロックに分割される。主走査方向には記録データを記録幅分複数個に分割して並んでいる。記録ヘッドの記録走査1回分のデータ、すなわち、(ノズル数)×(走査方向のドット数)分のデータは、紙送り方向(副走査方向)には5個、主走査方向にはN等分され、N個のドットカウントブロックに分割される。本実施形態の場合、主走査方向については記録幅8インチをN=150で分割する。また、各処理ブロックでは、縦16×横16の画素に対して、吐出“1”あるいは非吐出“0”のデータが対応付けられている。
処理液データは、図9で示すと左上の注目処理ブロック(単位領域)から順に主走査方向に向かって処理され、一の行の処理が終了すれば次の行の左端から同様に主走査方向に向かって処理され、全記録データに対応する処理液データが生成される。なお、本実施形態では処理ブロックの大きさを16×16ドッ(300dpi)としたが、本体構成やインク組成等により他の大きさの方が好ましい場合には任意の大きさに設定すればよい。
図10は本実施形態における処理液データ生成処理1006の手順を示すフローチャートである。なお、以下の説明で用いる記号について説明しておく。
Dk:ブラックのドットカウント値
Dc:シアンのドットカウント値
Dm:マゼンタのドットカウント値
Dy:イエローのドットカウント値
Dmax:Dy、Dm、Dcの中で最大値
D3min:Dy、Dm、Dcの中で最小値
Dmid:Dy、Dm、Dcの中で最大でも最小でもない値
DcL:Dy、Dm、Dcの合計値
DK+cL:Dy、Dm、Dc、Dkの合計値
D1(1次色ドット数):D1 = Dmax − Dmid
D2(2次色ドット数):D2 = Dmid − D3min
D3(3次色ドット数):D3 = D3min + Dk
Dc:シアンのドットカウント値
Dm:マゼンタのドットカウント値
Dy:イエローのドットカウント値
Dmax:Dy、Dm、Dcの中で最大値
D3min:Dy、Dm、Dcの中で最小値
Dmid:Dy、Dm、Dcの中で最大でも最小でもない値
DcL:Dy、Dm、Dcの合計値
DK+cL:Dy、Dm、Dc、Dkの合計値
D1(1次色ドット数):D1 = Dmax − Dmid
D2(2次色ドット数):D2 = Dmid − D3min
D3(3次色ドット数):D3 = D3min + Dk
まず、処理対象領域が往走査で記録される領域であるか復走査で記録される領域であるかの情報を取得し、インクの記録順を確定する(S101)。ここで、インク記録順は往走査であればブラック→シアン→マゼンタ→イエローの順、復走査であればイエロー→マゼンタ→シアン→ブラックというように走査方向によって一意に決まる。この場合、往走査の記録順を記録順1、復走査の記録順を記録順2とする。次に、K(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色毎の記録データのドットカウントを行い、各色のドットカウント値、Dk、Dc、Dm、Dyを取得する(S102)。続いて、取得したドットカウント値に基づき後述する1次色2次色判定処理(S103)、色相領域判定処理(S104)、彩度領域判定処理(S105)を行う。そして、S103からS105の3つの判定処理の結果に基づき後述する処理ブロックの色判定処理(S106)を行う。次に色判定処理から得られた色情報及び記録順及びDk、Dc、Dm、Dyの合計値から予め設定してある処理液マスクテーブルから対応する処理液生成マスクの読み込みを行う(S107)。最後にK、C、M、Y入力データと処理液生成マスクデータから処理液データを生成し(S108)、終了する。
図11はステップS103で行う1次色2次色判定処理の手順を示すフローチャートである。まず、Dc、Dm、Dyの中でDyが最大であるか否か判定を行う(S201)。仮にDyが最も大きい値である場合はステップS202へ進み処理領域は一次色がYと判定される。そうでない場合にはステップS206へ進む。ステップS202で一次色がYと判定された後はステップS203へ進み、Dm>Dyであるか否かの判定を行う。Dm>Dyであるならば処理領域は2次色がRと判定され(S204)、そうでないならば2次色はGと判定される(S205)。
次にステップS206においてDc、Dm、Dyの中でDmが最大であるか否か判定を行う。仮にDmが最も大きい値である場合はステップS202へ進み、処理領域は一次色がMと判定される。そうでない場合にはステップS211へ進み、一次色がCと判定される。ステップS207で一次色がMと判定された後はステップS208へ進みDy>Dcであるか否かの判定を行う。Dy>Dcであるならば処理領域は2次色がRと判定され(S204)、そうでないならば2次色はBと判定される(S205)。
ステップS211で一次色がCと判定された後はステップS212へ進み、Dy>Dmであるか否かの判定を行う。Dy>Dmであるならば処理領域は2次色がGと判定され(S213)、そうでないならば2次色はBと判定される(S214)。以上で1次色2次色判定処理を終了する。
このようにして処理領域が1次色としてC、M、Yのどの領域に属しているか、2次色としてR、G、Bのどの領域に属しているかについて判定を行う。
図12はステップS104で行う色相領域判定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、D1≧3×D2であるか否か判定を行う(S301)。D1が3×D2以上であれば色相は1次色領域H1と判定される(S302)。D1が3×D2より小さければ次にD2≧3×D1であるか否か判定を行う(S303)。D2が3×D1以上であれば色相は2次色領域H2と判定される(S304)。D2が3×D1より小さければ色相中間領域と判定される(S305)。以上で色相領域判定処理を終了する。
このようにして処理領域の色相が1次色、2次色、中間領域のどの領域に属しているかについて判定を行う。なお、本実施形態における色相領域判定処理は1次色領域と2次色領域及び色相中間領域の3段階にしか区分しなかったが、より細かく制御を行いたい場合には、閾値を複数段階設け複数の色相領域に区分すればよい。
図13はステップS105で行う彩度領域判定処理の手順を示すフローチャートである。まず、D1+D2≧2×D3K+CLであるか否か判定を行う(S401)。D1+D2が2×D3K+CL以上であれば高彩度領域CHと判定される(S402)。D1+D2が2×D3K+CLより小さければ低彩度領域CLと判定される(S305)。なお、本実施形態における彩度領域判定処理は高彩度領域CHと低彩度領域CLの2段階にしか区分しなかったが、より細かく制御を行いたい場合には、閾値を複数段階設け複数の彩度領域に区分すればよい。
次に、上記1次色2次色判定処理(S103)及び色相領域判定処理(S104)及び彩度領域判定処理(S105)の判定結果に基づきステップ106の色判定処理において処理領域がどの色領域に属するか判定を行う。
図14はステップ106で行う色判定処理の手順を示すフローチャートである。まず、Dk≧5×DCLであるか否か判定を行う(S501)。Dkが5×DCL以上であれば色領域はKと判定される(S502)。Dkが5×DCLより小さければ次に彩度領域がCH(高彩度領域)であるか否か判定を行う(S503)。彩度領域がCHであれば次に色相領域がH1であるか否か判定を行う(S504)。色相領域がH1であれば後述するCHH1色判定処理を行う(S505)。ステップS504で色相領域がH1でなければ色相領域がHMであるか否か判定を行う(S506)。色相領域がHMであれば後述するCHHM色判定処理を行う(S507)。ステップS506で色相領域がHMでなければ後述するCHH2色判定処理を行う(S508)。
次に、ステップS503で彩度領域がCHでなければ次に色相領域がH1であるか否か判定を行う(S509)。色相領域がH1であれば後述するCLH1色判定処理を行う(S510)。ステップS509で色相領域がH1でなければ色相領域がHMであるか否か判定を行う(S511)。色相領域がHMであれば後述するCLHM色判定処理を行う(S512)。ステップS511で色相領域がHMでなければ後述するCLH2色判定処理を行う(S513)。以上で色判定処理を終了する。
図15はCHH1色判定処理(S505)の手順を示すフローチャートである。まず1次色判定結果がYあるか否か判定を行う(S601)。1次色判定結果がYであったなら色領域はYHと判定される(S602)。ステップS601で1次色判定結果がYでなければ次に1次色判定結果がMあるか否か判定を行う(S603)。1次色判定結果がMであったなら色領域はMHと判定される(S604)。ステップS603で1次色判定結果がMでなければ色領域はCHと判定される(S605)。以上でCHH1色判定処理は終了する。
図16はCHHM色判定処理(S507)の手順を示すフローチャートである。まず、1次色判定結果がYあるか否か判定を行う(S701)。1次色判定結果がYであったなら次に2次色判定結果がRであるか否か判定を行う(S702)。1次色判定結果がY、2次色判定結果Rであったなら色領域はYRHと判定される(S703)。ステップS702で2次色判定結果がRでなければYを含む2次色の色相はGのみであるため、色領域はYGHと判定される(S704)。ステップS701で1次色判定結果がYでなければ次に1次色判定結果がMあるか否か判定を行う(S705)。1次色判定結果がMであったなら次に2次色判定結果がRであるか否か判定を行う(S706)。2次色判定結果Rであったなら色領域はMRHと判定される(S707)。ステップS706で2次色判定結果がRでなければ色領域はMBHと判定される(S708)。ステップS705で1次色判定結果がMでなければ、1次色判定結果はC以外にありえない。次に2次色判定結果がGあるか否か判定を行う(S709)。2次色判定結果Gであったなら色領域はCGHと判定される(S710)。ステップS709で2次色判定結果がGでなければ色領域はCBHと判定される(S711)。以上でCHHM色判定処理を終了する。
図17はCHH2色判定処理(S508)の手順を示すフローチャートである。まず2次色判定結果がRあるか否か判定を行う(S801)。2次色判定結果がRであったなら色領域はRHと判定される(S802)。ステップS801で2次色判定結果がRでなければ次に2次色判定結果がGであるか否か判定を行う(S803)。2次色判定結果がGであったなら色領域はGHと判定される(S804)。ステップS803で2次色判定結果がGでなければ色領域はBHと判定される(S605)。以上でCHH2色判定処理は終了する。
図18はCLH1色判定処理(S510)の手順を示すフローチャートであるが、処理の内容は、CHH1色判定処理(S505)と同じであるため説明は省略する。同様に図19はCLHM色判定処理(S512)はCHHM色判定処理(S507)と、図20はCLH2色判定処理(S513)はCHH2色判定処理(S508)と処理の内容が同じであるため説明は省略する。
以上説明した処理を行うことで各色のドットカウント値の比率から処理対象ブロックがどの色領域に属すかについて判定を行うことができる。すなわち、単位領域に記録される画像の色相を示す情報を取得することができる。
図21は判定された色領域を説明するイメージ図である。H1、HM、H2は1次色領域、2次色領域、色相中間領域といった色相を表す。グレーで塗り潰した領域は低彩度領域、それ以外は高彩度領域を表している。Kのみは別に区分してある。例えば、処理領域に含まれるデータがほぼYデータのみでその他のインクデータがほとんど含まれない場合にはYHと色判定される。また、処理領域に含まれるデータはYデータが最も多く、M、Cデータは等量含まれるようなデータの場合、YLと色判定される。つまり色判定を行うことで、処理領域毎にどのインクがどの程度の割合で含まれているかが分かる。
次に図10のステップS107における処理液生成マスクの選択方法について説明する。
表4は処理液マスクテーブルを説明するための表である。色判定がRHと色判定された場合に走査方向とDK+CL(合計デューティ)によって選択される処理液生成マスクの関係を表している。
例えば色判定処理(S106)でRHと判定された場合、ステップS107では表4に示すRH処理液生成マスクテーブルを参照する。ステップS107は、処理液量決定手段を構成する。表4には説明を簡単にするためRHのみ記載しているが、その他の色についても同様のテーブルを備えているものとする。次に処理領域の記録順が記録順1、DK+CLの値が50%から100%の間であった場合処理液生成マスクはCが選択される。別の例として、記録順が記録順2、DK+CLの値が150%から200%の間であった場合処理液生成マスクはHが選択される。なお、処理液生成マスクのサイズは処理領域と同じ16×16(300dpi)である。また、処理液生成マスクAからJは少なくとも1つが異なるマスクデータである。ここでDK+CLの値によっても選択されるマスクデータを異ならせている理由であるが、同じ色相の色であっても、付与するインクの総量が異なれば最適な処理液量が異なるためである。DK+CLの値によって選択されるマスクを切り替えることで処理液の付与量を最適な量に制御することができる。
次に、図10のステップS108における処理液データの生成方法について説明する。入力K、C、M、YデータとステップS107で選択された処理液生成マスクから処理液データの生成を行う。
図22は処理液データ生成方法を説明する模式図である。まず、入力データK、C、M、Yの論理和(OR)をとり、入力ORデータを生成する。ここで、入力データK、C、M、Y及び入力ORデータのサイズは処理領域と同じ16×16(300dpi)である。次に入力ORデータとステップS107で選択した処理液生成マスクとの論理積(AND)をとり、処理液データを生成する。ここで、図22に示した処理液生成マスクは50%の記録デューティに相当する。入力ORデータとANDすることで50%デューティに間引かれたデータが生成される。このように最適な処理液量となる処理液生成マスクを選択し、処理液データを生成することで処理液の記録デューティを任意に制御することが可能になる。
以上が本実施形態における処理液データ生成処理に関する説明である。
また、本実施形態においては2値のKCMYデータ1005に基づいて、処理液データ生成処理1006を行う構成とした。しかし、特に2値データである必要はなく、多値データに基づき処理液データを生成する構成としてもよい。この場合も、多値データに基づいて単位領域に打ち込まれる複数色のインクの総量及びインク色毎の量の比を取得し、処理液の付与量を決定すればよい。また、処理液データ生成をプリンタ本体1210で行う構成としているが、ホストPC等でデータを生成する構成としてももちろん構わない。画像を形成する各インクの付与量の合計及びインク色毎の比に応じて色判定を行い、処理液量を決定できる構成であればよい。
また、本実施形態においてはブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色構成の場合について説明を行った。しかしながら、例えばフォトシアン、フォトマゼンタといった淡インクやレッド、ブルー、グリーンのインクを加えた場合においても同様に画像を形成する各インクの相対的割合及び総打ち込み量に応じて処理液量を決定すればよい。
また、本実施形態は、往復走査で記録を行う形態において往走査と復走査とで別々に処理液量を生成する方法であるが、記録される画像の色を示す情報に応じて処理液量を決定する方法であれば、往復走査で記録する形態に限るものではない。
また、本実施形態は、単位領域に打ち込むインク滴の数をカウントしたドットカウント値に基づいて、単位領域に記録する画像の色判定を行ったが、複数のインク滴のサイズがある場合にはこの形態に限るものではない。すなわち、記録される画像の色相は、単位領域に付与されるインクの総量と色毎の量の割合によって決まるものであり、複数のインク滴のサイズがある場合には、付与されるインク滴の数が同じでも、色が異なる場合がある。従って、単位領域に付与されるインクの量及び色毎の相対的な割合に基づいて色を判定し、処理液量を決定すればよい。
また、本実施形態は、往走査と復走査とで異なる色が記録されてしまう場合の色ムラを低減できる構成としているが、色によっては往復走査での色ムラがほとんど生じない場合がある。例えば、色判定処理(S106)で一次色領域であるYH、CH、MHのいずれかと判定された場合には、往復走査での色ムラがほとんど生じない。なぜなら、この一次色領域に付与されるインクのほとんどがある1色のインクであり、他のインクが付与される量は0であるか、微小な量であるからである。従って、記録順による色ムラがほとんど生じないこれらの領域では、往走査と復走査で処理液の付与量を変える必要がない。つまり、処理液の付与量が実質同じ量でもよいため、往走査と復走査のそれぞれのマスクを記憶しておく必要がない。
また、本実施形態において記録順によって処理液量を変更するということは、インクのメディアへの定着位置をコントロールしていることを意味している。本明細書では処理液とは接触することで、例えばインク中の色剤を不溶化、または凝集させる作用を有する成分を含有する液体としているが、インクの浸透を促進する成分を含有する液体であってもよい。処理液はインクのメディアへの定着位置を変化させる成分を含有する液体であればよい。また、本実施形態では、インクよりも先に処理液を付与する形態を用いているが、これに限るものではなく、例えばインクの後に処理液を付与する形態であってもよい。
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては往復走査における処理液付与量の決定方法においては色差ΔEが最も小さくなる組み合わせを選択する方法について説明した。第2の実施形態では色相の差が最も小さくなる組み合わせを選択する方法について説明する。処理液付与量の決定方法以外の構成は第1の実施形態と同じである。
第1の実施形態においては往復走査における処理液付与量の決定方法においては色差ΔEが最も小さくなる組み合わせを選択する方法について説明した。第2の実施形態では色相の差が最も小さくなる組み合わせを選択する方法について説明する。処理液付与量の決定方法以外の構成は第1の実施形態と同じである。
往復走査それぞれにおいてマゼンタ50%、イエロー50%デューティの組み合わせのレッドの記録を行う場合を例にとって説明する。表2は第1の実施形態においても説明したが各記録順において付与する処理液量と、記録物を測色機で測定した際の測色値との関係を示した表である。
第2の実施形態においては、記録順1の場合における記録物の測色値と、記録順2の場合における記録物の測色値の組み合わせ全てに対してL*を除いた色差ΔEHを算出する。明度L*を除いた色差を用いる理由は、色ムラは明度が異なるよりも色相が異なる場合の方がより顕著に見える場合があるためである。ΔEHは記録順1処理液付与量20%、記録順2処理液20%の場合を例にすると次式で算出を行う。
後は第1実施形態と同様算出したΔEHの中で最も小さい値の組み合わせを選択し、往復走査で付与する処理液量の決定を行う。すなわち、記録順毎に付与する最適な処理液量は、第1の画像と第2の画像との間の色差に関連付けられている。
また、本実施形態において処理液付与量は色相差が最も小さくなる組み合わせを選択することで決定するとした。しかし、濃度を得るためには一定以上の処理液を付与する必要がある場合には、一定量以上の処理液量の組み合わせの中から色相差が小さくなる組み合わせを選択するようにすればよい。
(第3の実施形態)
本実施形態においては異なるメディア種における処理液データ生成処理について説明する。その他の構成については第1の実施形態と同じである。メディアの種類によってインクの浸透、定着状態は変化する。その結果あるメディアαでは往復走査で色ムラが発生しない処理液の付与量であってもメディアβでは色ムラが発生する。つまりメディア種によって付与する処理液量を変化させる必要がある。
本実施形態においては異なるメディア種における処理液データ生成処理について説明する。その他の構成については第1の実施形態と同じである。メディアの種類によってインクの浸透、定着状態は変化する。その結果あるメディアαでは往復走査で色ムラが発生しない処理液の付与量であってもメディアβでは色ムラが発生する。つまりメディア種によって付与する処理液量を変化させる必要がある。
本実施形態では、処理液データ生成処理における処理液生成マスクテーブルをメディア種毎に備え、処理液データを生成することでメディアが異なっても色ムラを低減することが可能な構成について説明を行う。
ここで、図10のステップS107における処理液生成マスクの選択方法について説明する。表5は処理液マスクテーブルを説明するための表である。色判定がRHと色判定された場合に走査方向とDK+CL(合計デューティ)によって選択される処理液生成マスクの関係を表している。
例えば色判定処理(S106)でRHと判定された場合、ステップS107では表5に示すRH処理液生成マスクテーブルを参照する。この際記録するメディア種がメディアαの場合は表5(a)のテーブルを参照し、メディアβであった場合には表5(b)を参照する。
例えばメディア種がαで記録順が記録順1、DK+CLの値が50%から100%の間であった場合処理液生成マスクはCが選択される。一方記録順やDK+CLの値が全く同じ場合であってもメディア種がβの場合には処理液生成マスクはLが選択される。このようにメディア種毎にテーブルを備え、選択されるマスクを切り替える構成をとることでメディア種が異なる場合においても色ムラを低減させることができる。
(第4の実施形態)
第1の実施形態においては、1回の記録走査でヘッド幅分の記録を完成させる1パス記録を例に挙げて説明を行った。本実施形態においては複数回の記録走査で記録を完成させるマルチパス記録における処理液データ生成処理について説明を行う。その他の構成については第1の実施形態と同じである。
第1の実施形態においては、1回の記録走査でヘッド幅分の記録を完成させる1パス記録を例に挙げて説明を行った。本実施形態においては複数回の記録走査で記録を完成させるマルチパス記録における処理液データ生成処理について説明を行う。その他の構成については第1の実施形態と同じである。
図23(a)はレッド画像を1パス双方向記録する場合を説明する図である。第1の実施形態でも説明をしたが、記録ヘッドの往走査と復走査とでマゼンタインク、イエローインクの記録順序が異なる(往走査では(A)マゼンタ→イエロー、復走査では(B)イエロー→マゼンタ)ために、記録ヘッドの走査幅毎に色ムラが発生する。1パス記録の場合は(A)と(B)の領域毎に処理液の付与量を変更することで双方向記録時の色ムラを低減することができる。
図23(b)はレッド画像を2パス双方向記録する場合を説明する図である。2パス記録ではまず第1の記録走査で記録ヘッドの下半分のノズルを使用し、マゼンタ→イエローの記録順で画像の約50%デューティの記録を行う。次に紙送りをヘッド幅の半分行い、ヘッドの上半分で残りの約50%デューティの記録をイエロー→マゼンタの記録順で行い画像を完成させる。これを交互に繰り返すことで画像全体の記録を行う。記録ヘッドの往走査と復走査とでマゼンタインク、イエローインクの記録順序が異なるために、記録ヘッド幅の半分の長さ毎に色ムラが発生する。図25(b)で示すと(C)マゼンタ→イエロー→イエロー→マゼンタの記録順で記録された領域と(D)イエロー→マゼンタ→マゼンタ→イエローの記録順で記録された領域毎に色ムラが発生する。2パス記録の場合は(C)と(D)の領域毎に処理液の付与量を変更することで双方向記録時の色ムラを低減することができる。
本実施形態では、処理液データ生成処理における処理液生成マスクテーブルを記録パス数毎(方向毎)に備え、処理液データを生成することで記録パス数が異なっても色ムラを低減することが可能な構成について説明を行う。
ここで、図10のステップS107における処理液生成マスクの選択方法について説明する。表6は処理液マスクテーブルを説明するための表である。色判定がRHと色判定された場合に走査方向とDK+CL(合計デューティ)によって選択される処理液生成マスクの関係を表している。
例えば、色判定処理(S106)でRHと判定された場合、ステップS107では表6に示すRH処理液生成マスクテーブルを参照する。この際、記録パス数が1パス記録の場合は表6(a)のテーブルを参照し、2パス記録であった場合には表6(b)を参照する。すなわち、各画像を完成させるために必要な走査回数に応じて処理液量を決定する。
例えば2パス記録で処理領域の記録順がC、DK+CLの値が50%から100%の間であった場合処理液生成マスクはC2が選択される。このように記録パス数毎にテーブルを備え、選択されるマスクを切り替える構成をとることで記録パス数が異なる場合においても色ムラを低減させることができる。
また、本実施形態においては1パス記録、2パス記録について説明を行ったが、4パス、8パス等のマルチパス記録においても同様に記録順が異なる領域毎に処理液データを生成する構成とすればよい。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、インクジェット記録装置のROM402に処理液を付与する量を決定するためのマスクテーブルが格納されている方法を示したが、本発明はこれに限られるものではない。マスクテーブルはRAM403に格納されている形態でもよい。さらに、上述した処理液を付与する量を決定するための処理はインクジェット記録装置本体ではなく、ホストPCのプリンタドライバにおいて行われる形態であってもよい。尚、ホストPCにおいて記録データのドットカウントを行う場合は、ホストPCにおいて記録すべき多値の画像データを2値の画像データに変換する処理を行うことが好ましい。
上述の実施形態では、インクジェット記録装置のROM402に処理液を付与する量を決定するためのマスクテーブルが格納されている方法を示したが、本発明はこれに限られるものではない。マスクテーブルはRAM403に格納されている形態でもよい。さらに、上述した処理液を付与する量を決定するための処理はインクジェット記録装置本体ではなく、ホストPCのプリンタドライバにおいて行われる形態であってもよい。尚、ホストPCにおいて記録データのドットカウントを行う場合は、ホストPCにおいて記録すべき多値の画像データを2値の画像データに変換する処理を行うことが好ましい。
211、216…インクタンク処理液
200…記録ヘッド(記録手段)
107…記録媒体
200…記録ヘッド(記録手段)
107…記録媒体
Claims (12)
- 複数色のインクと、前記インクと反応する処理液と、を付与可能な記録手段を用い、前記記録手段を記録媒体に対して走査させながら前記記録媒体の単位領域に対して画像を記録するための記録データを生成する画像処理装置であって、
前記単位領域に記録すべき画像データに基づいて、前記単位領域に付与する複数色の前記インクの、インク滴の総数と、インク色毎のインク滴の数の比と、を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記総数と前記比との両方に基づいて、前記単位領域に付与すべき処理液の量を決定する決定手段とを有することを特徴とする画像処理装置。 - 前記記録手段は、往方向の走査及び復方向の走査で記録媒体に対して画像を記録可能な記録手段であって、
前記決定手段は、前記総数及び前記比と、前記単位領域に対する走査の方向を示す情報とに基づいて、前記単位領域に付与すべき処理液の量を決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記記録手段は、前記単位領域に対して1回の前記記録手段の走査で画像を記録することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記総数及び前記比と、前記単位領域に付与すべき処理液の量と、を前記単位領域に対する走査の方向毎に対応づけたテーブルを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記決定手段は、前記テーブルを用いて、前記単位領域に付与すべき処理液の量を決定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。 - 前記記録手段は、前記単位領域に対して複数色の前記インクよりも先に前記処理液を付与することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記決定手段は、前記取得手段により取得した前記総数及び前記比がそれぞれ所定の値を示す場合、前記単位領域に対する走査の方向がいずれの走査であっても、前記単位領域に付与すべき処理液の量が同じ量となるように決定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
- 前記単位領域に対する前記付与手段の走査の方向が、往方向である場合の前記決定手段は決定する前記単位領域に付与すべき処理液の量と、前記単位領域に対する前記付与手段の走査の方向が復方向である場合の前記決定手段は決定する前記単位領域に付与すべき処理液の量と、が異なることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。。
- 前記処理液は、前記インク中の色材を不溶化または凝集させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記決定手段は、さらに前記記録媒体の種類に応じて付与すべき処理液の量を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 請求項1に記載の画像処理装置と、前記記録手段とを備える記録装置。
- 複数色のインクと、前記インクと反応する処理液と、を付与可能な記録手段を用い、前記記録手段を記録媒体に対して走査させながら前記記録媒体の単位領域に対して画像を記録するための記録データを生成する画像処理方法であって、
前記単位領域に記録すべき画像データに基づいて、前記単位領域に付与する複数色の前記インクの、インク滴の総数と、インク色毎のインク滴の数の比と、を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得した前記総数と前記比との両方に基づいて、前記単位領域に付与すべき処理液の量を決定する決定ステップと、を有することを特徴とする方法。 - 複数色のインクと、前記インクと反応する処理液と、を付与可能な記録手段を用い、前記記録手段を記録媒体に対して走査させながら前記記録媒体の単位領域に対して画像を記録するための記録データを生成する画像処理装置であって、
前記単位領域に記録すべき画像データに基づいて、前記単位領域に対して付与する複数色の前記インクの総量と、前記単位領域に対して付与するインク色毎の量の比と、を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記総量と前記比との両方に基づいて、前記単位領域に付与すべき処理液の量を決定する決定手段とを有することを特徴とする装置。
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