JP2012066313A - クロップシャーの切断制御装置 - Google Patents

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Kazunobu Takami
和伸 高見
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Abstract

【課題】この発明は、クロップシャーの起動タイミングを一旦算出した後でも、被切断材の速度変化に応じて起動タイミングを適切に補正することを目的とする。
【解決手段】クロップシャー1の起動タイミング演算装置6は、被切断材検出器3により被切断材Aを検出した時点から、速度検出器4により被切断材Aの移動速度V[n]を周期的に検出し、この検出結果に基いて最新の起動タイミングLCUT[n]を算出する。タイミング判定回路7は、位置検出器5により被切断材Aの移動距離Icntを計測し、移動距離Icntが起動タイミングLCUT[n]に達した時点で、クロップシャー1を起動する。これにより、被切断材Aの検出後に移動速度が変化した場合でも、この速度変化が反映された起動タイミングLCUT[n]を正確に算出し、クロップシャー1を常に最適なタイミングで起動することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば製鉄所の熱間薄板圧延ラインに設置され、搬送走行中の圧延材の尾端部をクロップ切断するのに好適に用いられるクロップシャーの切断制御装置に関し、特に、被切断材(圧延材)を所望の設定位置で精度よく切断するようにしたクロップシャーの切断制御装置に関する。
従来技術の切断制御装置において、クロップシャーを制御するときには、まず、被切断材検出器により被切断材を検出した後に、クロップシャーを起動するタイミングを演算する。この演算では、クロップシャー及び被切断材の加速率が一定であるものとして、被切断材の検出時点の速度と、被切断材の現在位置とに基いてクロップシャーの起動タイミングを算出する。以下、起動タイミングの演算方法について説明する。
まず、クロップシャーの起動タイミングを生成するLCUTは、下記(1)式のように表される。ここで、LMSは、被切断材検出器からクロップシャーの中心までの距離(設備上の絶対距離=一定値)を示し、LSETは、被切断材の切断長さ(設定値)を示し、LSは、クロップシャーが起動してから切断が実行されるまでに被切断材が進む距離を示している。
CUT=LMS−LSET−LS ・・・(1)
また、クロップシャーによる被切断材の切断時、即ち、クロップシャーが被切断材と接触するタイミングにおいて、クロップシャーの速度は、被切断材の移動速度Vに対して所定のラグ率(リード率)Kを乗算した値(KV)に制御される。このため、上記(1)式中のLSは、次のようにして求められる。
まず、クロップシャーの起動してからt秒後の速度VBは、クロップシャーの加速率αB(一定値)に基いて下記(2)式のように表される。また、同じくt秒後の被切断材の速度VSは、クロップシャーの起動時における被切断材の速度Vと、被切断材の加速率αS(一定値)とに基いて下記(3)式のように表される。
B=αB×t ・・・(2)
S=V+αS×t ・・・(3)
ここで、クロップシャーの速度VBは、前述したように、被切断材の移動速度Vに対して速度(KVS)に制御されているので、VB=K・VSが成立する。従って、加速時間tは、前記(2),(3)式により下記(4)式のように表される。なお、ラグ率(リード率)Kは、適切な値に設定される設定値である。
Figure 2012066313
また、クロップシャーが起動してから切断が実行されるまでに被切断材が進む距離LSについては、下記(5)式のように表すことができる。この式において、LCは、クロップシャーが起動してから切断が実行されるまでに回転する距離であり、予め設定された一定値である。
Figure 2012066313
そして、前記(5)式に(4)式を代入することにより、下記(6)式を得ることができる。さらに、この(6)式を前記(1)式に代入することにより、最終的に下記(7)式を得ることができる。
Figure 2012066313

Figure 2012066313
上記(7)式に示すように、クロップシャーの起動タイミングを生成するLCUTは、被切断材の検出時点の移動速度Vと、被切断材及びクロップシャーの加速率αS,αBとの関数として演算される。従来技術のクロップシャー制御では、このようにしてクロップシャーの起動タイミングLCUTを算出すると共に、これと同時に被切断材の移動距離のトラッキングを実施する。そして、被切断材を検出してから、被切断材の移動距離がクロップシャーの起動タイミングLCUTに到達したときに、クロップシャーの駆動装置に対して起動指令を出力し、クロップシャーを起動するようにしていた。
上述した制御方法は、被切断材及びクロップシャーの加速率αS,αBが一定であることを前提としている。しかし、起動タイミングLCUTの算出後に被切断材の速度に変化が生じた場合、即ち、加速率αSに変化が生じた場合には、起動タイミングLCUTの算出値に誤差が発生し、切断位置の精度が低下する。このため、例えば特許文献1(特開2007−307672号公報)に開示された他の従来技術では、被切断材の切断長さの実績(履歴)に基いて、クロップシャーの起動タイミングを補正するようにしている。
特開2007−307672号公報
上述した従来技術では、被切断材の加速率αSが一定であるものとして、クロップシャーの起動タイミングLCUTを算出している。しかし、実際の圧延ラインでは、被切断材の温度制御等により移動速度が変化することがあり、被切断材の加速率は必ずしも一定とは限らない。このため、従来技術では、起動タイミングLCUTの算出後に生じた加速率の変化に対応できず、被切断材の切断位置(切断長さ)に誤差が生じ易いという問題がある。
また、他の従来技術では、被切断材の切断長さの実績に基いて、クロップシャーの起動タイミングを補正するようにしている。しかし、補正のために参照されるのは過去の切断長さに過ぎず、リアルタイムで生じる加速率の変化に対しては、起動タイミングを適切に補正することができないという問題がある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、クロップシャーの起動タイミングを一旦算出した後でも、被切断材の速度変化に応じて起動タイミングを適切に補正することができ、被切断材を所望の切断長さで高精度に切断することが可能なクロップシャーの切断制御装置を提供することにある。
第1の発明は、薄板圧延ラインに設置され、搬送走行中の被切断材を切断するクロップシャーと、
前記被切断材を検出する被切断材検出器と、
前記被切断材の移動速度を検出する速度検出器と、
前記被切断材検出器により前記被切断材を検出した時点及び検出後の時点において、それぞれ前記速度検出器により前記被切断材の移動速度を検出し、当該検出結果に基いて前記クロップシャーの起動タイミングを算出する起動タイミング算出手段と、
前記起動タイミング算出手段により算出された起動タイミングが到来したときに、前記クロップシャーを起動するクロップシャー起動手段と、
を備えることを特徴とする。
第2の発明によると、前記起動タイミング算出手段は、前記移動速度の検出処理と前記起動タイミングの算出処理とを周期的に実行する構成としている。
第3の発明は、搬送走行中における前記被切断材の位置を検出する位置検出器を備え、
前記クロップシャー起動手段は、前記位置検出器により検出した前記被切断材の検出位置が前記起動タイミングに対応する位置に到達したときに、前記クロップシャーを起動する構成としている。
第4の発明は、前記起動タイミング算出手段により周期的に算出される起動タイミングのうち、最新の起動タイミングと前記被切断材の検出位置との差分が所定値よりも小さい場合に、当該最新の起動タイミングが前記クロップシャー起動手段により用いられるのを禁止する禁止手段を備えている。
第1の発明によれば、起動タイミング算出手段は、被切断材検出器により被切断材を検出した時点だけでなく、被切断材を検出した後にも、被切断材の移動速度を検出し、当該検出結果に基いてクロップシャーの起動タイミングを算出することができる。従って、初回の起動タイミングを算出した後に、被切断材の移動速度が変化した場合でも、この速度変化が反映された起動タイミングを正確に算出することができる。即ち、被切断材の速度変化に応じて起動タイミングを適切に補正することができる。これにより、温度変化等による移動速度の変化に影響されることなく、クロップシャーを常に最適なタイミングで起動し、被切断材を所望の切断長さで高精度に切断することができる。
第2の発明によれば、移動速度の検出処理と起動タイミングの算出処理とを周期的に実行しているので、被切断材の速度変化がどのようなタイミングで生じた場合でも、この速度変化を起動タイミングに対して迅速かつ安定的に反映させることができる。
第3の発明によれば、クロップシャー起動手段は、被切断材の検出位置が起動タイミングに対応する位置に到達したときに、クロップシャーを起動することができる。
第4の発明によれば、禁止手段は、最新の起動タイミングと前記被切断材の検出位置との差分が所定値よりも小さい場合に、当該最新の起動タイミングがクロップシャー起動手段で用いられるのを禁止することができる。これにより、クロップシャー起動手段で用いられる起動タイミングは、前回算出された値に保持されるので、例えば被切断材の移動速度が搬送走行中に大きく変化した場合でも、クロップシャー起動手段によりクロップシャーを適切なタイミングで起動することができる。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための全体構成図である。 クロップシャーの起動タイミングが周期的に更新される状態を示す説明図である。 本発明の実施の形態2のシステム構成を説明するための全体構成図である。 出力可否判定回路が必要となる状況を示す説明図である。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
以下、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための全体構成図である。本実施の形態のシステムは、例えば製鉄所の熱間薄板圧延ラインに設置されるクロップシャー1を備えている。クロップシャー1は、搬送走行中の圧延材(被切断材A)の尾端部をクロップ切断するもので、クロップシャー駆動装置2により駆動される。
また、圧延ラインには、被切断材検出器3、速度検出器4及び位置検出器5が設けられている。被切断材検出器3は、搬送走行中の被切断材Aを検出するもので、被切断材Aの検出時には、後述の起動タイミング演算装置6に検出信号Sを出力する。速度検出器4は、搬送走行中における被切断材Aの移動速度を検出するもので、検出した移動速度Vを起動タイミング演算装置6に出力する。
位置検出器5は、圧延ライン上における被切断材Aの位置を検出するもので、被切断材Aの位置に対応するパルス信号Pを後述のタイミング判定回路7に出力する。なお、上記検出器3〜5のうち、被切断材検出器3と速度検出器4とは、被切断材Aの搬送方向において、例えばクロップシャー1の上流側に配置され、位置検出器5はクロップシャー1の下流側に配置されている。
また、本実施の形態のシステムは、起動タイミング演算装置6、タイミング判定回路7及びクロップシャー起動回路8を備えている。起動タイミング演算装置6は、例えばマイクロコンピュータ等の演算処理装置により構成され、ROM、RAM、タイマ機能等を備えている。起動タイミング演算装置6の入力側には、被切断材検出器3及び速度検出器4が接続されており、同装置の出力側にはタイミング判定回路7が接続されている。
そして、起動タイミング演算装置6は、速度検出器4により被切断材Aの移動速度Vを検出し、当該検出結果に基いてクロップシャー1の起動タイミングLCUTを算出する。ここで、移動速度Vの検出処理と起動タイミングLCUTの算出処理とは、被切断材検出器3により被切断材Aを検出した時点及び検出後の時点にそれぞれ実行されるもので、具体的には、被切断材Aを検出した時点から、所定のサンプリング周期ΔT毎に繰り返し実行される。なお、これらの処理の詳細については後述する。起動タイミング演算装置6とクロップシャー起動回路8とは、上記の処理を含む各種の処理をサンプリング周期ΔT毎に実行するサンプリング制御部を構成している。
一方、タイミング判定回路7は、例えばパルスカウント機能を備えたハードウェア回路により構成され、その入力側には、位置検出器5及び起動タイミング演算装置6が接続されている。また、タイミング判定回路7の出力側には、クロップシャー起動回路8が接続されている。そして、タイミング判定回路7は、位置検出器5により検出した被切断材Aの検出位置が起動タイミングLCUTに対応する位置に到達したときに、クロップシャー1を起動するように構成されている。
具体的に述べると、タイミング判定回路7は、位置検出器5から入力されるパルス信号Pに基いて被切断材Aの移動距離(被切断材検出器3により被切断材Aを検出した後の移動距離)を計測し、この移動距離と、起動タイミング演算装置6から入力される起動タイミングLCUTとを比較する。これにより、タイミング判定回路7は、クロップシャー1を起動すべきタイミングが到来したか否かを判定する。そして、このタイミングが到来したときには、クロップシャー起動回路8に起動指令Cを出力し、クロップシャー起動回路8を作動させる。なお、上記の計測処理及び判定処理は、サンプリング周期ΔTよりも短い周期で連続的に繰り返されるように構成されている。
クロップシャー起動回路8は、起動タイミング演算装置6から起動指令Cが入力されたときに、クロップシャー駆動装置2に駆動信号Dを出力し、クロップシャー1を起動する。この結果、被切断材Aは、クロップシャー1により切断され、その切断長さは、被切断材Aの移動速度Vと起動タイミングLCUTとに応じた寸法となる。
[実施の形態1の作動]
次に、上記システムの作動について説明する。まず、被切断材検出器3により圧延ライン上の被切断材Aが検出されると、被切断材検出器3から起動タイミング演算装置6に検出信号Sが入力される。これにより、起動タイミング演算装置6は、速度検出器4により被切断材Aの速度検出を開始し、この検出動作をサンプリング周期ΔT毎に実行する。この結果、被切断材Aの移動速度Vは、被切断材検出器3により被切断材Aを検出した時点から、一定の周期ΔTでサンプリングされた時系列データV[n](n=0,1,2,3,…)として起動タイミング演算装置6に読込まれる。そして、起動タイミング演算装置6は、まず、被切断材検出器3により被切断材Aを検出した時点の移動速度V[0]に基いて、下記(8)式により起動タイミングの初期値LCUT[0]を算出する。
Figure 2012066313
上記(8)式は、従来技術の(7)式とほぼ同様の手順により導出されるもので、この式中のLMS,LSET,K,αB,LCは、前述したように一定値または設定値として与えられるものである。また、αS[0]は、被切断材Aの加速率αSの初期値であり、予め適切な値に設定される。起動タイミング演算装置6は、このように算出した起動タイミングLCUT[0]をタイミング判定回路7に出力し、当該回路にセットする。
また、起動タイミング演算装置6は、被切断材Aの検出時点からサンプリング周期ΔTが経過する毎に、下記(9)式により起動タイミングLCUT[n]を算出し、この算出値をタイミング判定回路7にセットする。
Figure 2012066313
ここで、上記(9)式中のαS[n]は、各サンプリング時点における被切断材Aの加速率である。この加速率αS[n]は、当該時点(最新)の移動速度V[n]と、前回の移動速度V[n−1]と、サンプリング周期ΔTとに基いて下記(10)式により算出される。
αS[n]=(V[n]−V[n−1])/ΔT ・・・(10)
上記処理により、タイミング判定回路7には、サンプリング周期ΔTが経過する毎に最新の起動タイミングLCUT[n]がセットされる。この結果、起動タイミングLCUTの値は、図2に示すように、被切断材検出器3により被切断材Aが検出された後にも、被切断材Aの速度変化が反映された最新の値LCUT[n]に更新される。ここで、図2は、クロップシャーの起動タイミングが周期的に更新される状態を示す説明図である。なお、起動タイミングLCUT[n]は、後述の移動距離Icntと同様に、パルストラッキングカウント値として算出されている。
一方、タイミング判定回路7は、位置検出器5から入力されるパルス信号Pに基いて、被切断材検出器3により被切断材Aを検出した後の被切断材Aの移動距離Icntを計測する。この計測処理は、起動タイミング演算装置6によるサンプリング制御とは関係なく、連続的に実行される。また、移動距離Icntは、例えばパルストラッキングカウント値として得られるもので、図2に示すように、被切断材Aが移動するにつれて増加していく。そして、タイミング判定回路7は、任意のサンプリング時点nにおいて、下記(11)式に示すように移動距離Icntが起動タイミングLCUT[n]以上となった場合に、クロップシャー1を起動すべきタイミングが到来したものと判定し、クロップシャー起動回路8に起動指令Cを出力する。これにより、クロップシャー起動回路8から駆動信号Dが出力され、クロップシャー1が起動する。
CUT[n]≦Icnt ・・・(11)
以上詳述した通り、本実施の形態によれば、起動タイミング演算装置6は、被切断材検出器3により被切断材Aを検出した時点だけでなく、被切断材Aを検出した後にも、所定のサンプリング周期ΔT毎に被切断材Aの移動速度V[n]を検出することができる。そして、移動速度V[n]を検出する毎に、その最新(現在)の検出値V[n]と前回の検出値V[n−1]とに基いて被切断材Aの加速率αS[n]を算出し、前記(9)式によりクロップシャー1の起動タイミングLCUT[n]を算出することができる。
従って、初回の起動タイミングLCUT[0]を算出した後に、被切断材Aの移動速度が変化した場合でも、この速度変化が反映された最新の起動タイミングLCUT[n]を正確に算出することができる。即ち、被切断材Aの速度変化に応じて起動タイミングLCUT[n]を適切に補正することができるので、温度変化等による移動速度の変化に影響されることなく、クロップシャー1を常に最適なタイミングで起動することができ、被切断材Aを所望の切断長さLSETで高精度に切断することができる。
また、本実施の形態では、移動速度V[n]の検出処理と起動タイミングLCUT[n]の算出処理とを周期的に実行しているので、被切断材Aの速度変化がどのようなタイミングで生じた場合でも、この速度変化を起動タイミングLCUT[n]に対して迅速かつ安定的に反映させることができる。また、移動速度V[n]の現在値と前回値との差分に基いて加速率の時系列データαS[n]を容易に算出することができ、起動タイミングLCUT[n]の算出処理を簡略化することができる。
なお、前記実施の形態1では、起動タイミング演算装置6が請求項1,2における起動タイミング算出手段の具体例を示し、タイミング判定回路7が請求項1,3におけるクロップシャー起動手段の具体例を示している。
また、実施の形態1では、図1に示すように、起動タイミング演算装置6、タイミング判定回路7及びクロップシャー起動回路8をそれぞれ個別の回路部品により構成する場合を例示した。しかし、本発明はこれに限らず、起動タイミング演算装置6、タイミング判定回路7及びクロップシャー起動回路8のうち何れか2つまたは3つ全部を、単一の制御ユニットや制御回路等により構成してもよい。
また、実施の形態1では、被切断材Aの移動速度V[n]を一定のサンプリング周期ΔTで検出するものとした。しかし、本発明において、被切断材Aの移動速度は、必ずしも周期的に検出する必要はない。即ち、被切断材Aの移動速度は、被切断材検出器3により被切断材Aを検出した後に、少なくとも1回検出すればよいものであり、この場合にも、被切断材Aの検出後に生じた速度変化を起動タイミングに反映させることができる。
実施の形態2.
次に、図3及び図4を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態は、前記実施の形態1の構成及び制御に加えて、起動タイミングの更新を状況に応じて禁止することを特徴としている。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
[実施の形態2の特徴]
図3は、本発明の実施の形態2のシステム構成を説明するための全体構成図である。この図に示すように、本実施の形態のシステムは、例えば演算処理装置により構成された出力可否判定回路10を備えている。出力可否判定回路10は、後述の更新停止条件が成立した場合に、起動タイミング演算装置6により演算された新たな起動タイミングLCUT[n]がタイミング判定回路7に出力(セット)されるのを停止するものである。出力可否判定回路10の入力側及び出力側には、起動タイミング演算装置6が接続されており、また、入力側にはタイミング判定回路7も接続されている。
ここで、出力可否判定回路が必要となる状況について説明すると、まず、通常の状態では、前述の図2に示すように、起動タイミングLCUT[n]が被切断材Aの移動距離Icntよりも大きな値として算出され、タイミング判定回路7にセットされる。その後に、移動距離Icntが増加して起動タイミングLCUT[n]に達すると、前記(11)式が成立し、クロップシャー1が起動される。このとき、タイミング判定回路7は、前記(11)式が不成立の状態から成立状態に移行する変化を検出するように構成されている。
一方、図4は、出力可否判定回路が必要となる状況を示す説明図である。被切断材Aの移動速度Vが何らかの理由により大きく変化した場合には、図4に示すように、変化後の移動速度Vに基いて算出された起動タイミングLCUT[n]′が現在の移動距離Icnt以下となることがある。この場合、起動タイミングLCUT[n]′をタイミング判定回路7にセットすると、セットした時点(サンプリング時点n)において既に前記(11)式が成立しているので、タイミング判定回路7が正常に作動しないという問題が生じる。
このため、本実施の形態では、起動タイミングLCUTの算出値が最新の移動距離Icnt以下となり得る場合に、出力可否判定回路10により起動タイミングLCUTの更新を停止し、起動タイミングとして前回の算出値LCUT[n−1]を用いる構成としている。以下、その具体的な処理について説明する。まず、出力可否判定回路10は、被切断材Aが検出されてからサンプリング周期Δが経過する毎に、タイミング判定回路7により計測された被切断材Aの移動量ΔXを読み込む。ここで、移動量ΔXとは、前回のサンプリング時点(n−1)から今回のサンプリング時点(n)までに被切断材Aが移動した距離である。
タイミング判定回路7は、位置検出器5のパルス信号Pに基いて被切断材Aの移動を連続的に検出している。このため、出力可否判定回路10は、タイミング判定回路7からの読み込み動作をサンプリング周期Δ毎に実行することにより、前回のサンプリング時点(n−1)から今回のサンプリング時点(n)までの移動量ΔXを得ることができる。そして、出力可否判定回路10は、被切断材Aの前回の検出位置X[n−1]と、移動量ΔXとに基いて、下記(12)式により被切断材Aの今回(最新)の検出位置X[n]を算出する。なお、前回の検出位置X[n−1]は、過去の移動量ΔXの総和に相当するもので、前回のサンプリング時点において(12)式により算出され、出力可否判定回路10の記憶回路等に記憶されている。
X[n]=ΔX+X[n−1] ・・・(12)
そして、出力可否判定回路10は、最新の検出位置X[n]と、最新の起動タイミングLCUT[n]と、予め設定された閾値Zとに基いて、下記(13)式に示す更新停止条件が成立するか否かを判定する。そして、更新停止条件が成立した場合には、起動タイミング演算装置6に更新停止信号Soffを出力する。
CUT[n]−X[n]<Z ・・・(13)
前記(13)式は、起動タイミングLCUTの算出値が最新の検出位置X[n]以下となる可能性があるか否かを判定するものである。閾値Zは、上述した不具合が発生し易くなるような起動タイミングLCUTと検出位置X[n]との差分の最大値として設定することができ、その値は実験等により求めることができる。
起動タイミング演算装置6は、前記(13)式が成立することにより更新停止信号Soffが入力された場合に、最新の起動タイミングLCUT[n]をタイミング判定回路7にセットする更新動作を停止する。このように、出力可否判定回路10は、最新の起動タイミングLCUT[n]と被切断材Aの最新の検出位置X[n]との差分が所定の閾値Zよりも小さい場合に、当該最新の起動タイミングLCUT[n]がタイミング判定回路7での判定処理に用いられるのを禁止するものである。これにより、タイミング判定回路7で用いられる起動タイミングLCUT[n]は、前回セットされた値LCUT[n−1]に保持されるので、タイミング判定回路7は、起動タイミングの判定処理を正常に行うことができる。
一方、前記(13)式が不成立の場合には、上述した不具合が生じる虞れがないので、出力可否判定回路10は、更新停止信号Soffを出力しない。これにより、起動タイミング演算装置6は、実施の形態1の場合と同様に、今回の起動タイミングLCUT[n]をタイミング判定回路7にセットする。従って、本実施の形態によれば、例えば被切断材Aの移動速度が搬送走行中に大きく変化した場合でも、不適切な起動タイミングLCUT[n]が使用されるのを回避し、クロップシャー1を常に適切なタイミングで起動することができる。
なお、前記実施の形態2では、出力可否判定回路10が請求項4における禁止手段の具体例を示している。また、実施の形態2では、出力可否判定回路10を単体の回路部品により構成したが、本発明はこれに限らず、出力可否判定回路10を起動タイミング演算装置6及び/又はタイミング判定回路7と一体化する構成としてもよい。
1 クロップシャー
2 クロップシャー駆動装置
3 被切断材検出器
4 速度検出器
5 位置検出器
6 起動タイミング演算装置(起動タイミング算出手段)
7 タイミング判定回路(クロップシャー起動手段)
8 クロップシャー起動回路
10 出力可否判定回路(禁止手段)
A 被切断材
V 移動速度
CUT 起動タイミング

Claims (4)

  1. 薄板圧延ラインに設置され、搬送走行中の被切断材を切断するクロップシャーと、
    前記被切断材を検出する被切断材検出器と、
    前記被切断材の移動速度を検出する速度検出器と、
    前記被切断材検出器により前記被切断材を検出した時点及び検出後の時点において、それぞれ前記速度検出器により前記被切断材の移動速度を検出し、当該検出結果に基いて前記クロップシャーの起動タイミングを算出する起動タイミング算出手段と、
    前記起動タイミング算出手段により算出された起動タイミングが到来したときに、前記クロップシャーを起動するクロップシャー起動手段と、
    を備えることを特徴とするクロップシャーの切断制御装置。
  2. 前記起動タイミング算出手段は、前記移動速度の検出処理と前記起動タイミングの算出処理とを周期的に実行する構成としてなる請求項1に記載のクロップシャーの切断制御装置。
  3. 搬送走行中における前記被切断材の位置を検出する位置検出器を備え、
    前記クロップシャー起動手段は、前記位置検出器により検出した前記被切断材の検出位置が前記起動タイミングに対応する位置に到達したときに、前記クロップシャーを起動する構成としてなる請求項1または2に記載のクロップシャーの切断制御装置。
  4. 前記起動タイミング算出手段により周期的に算出される起動タイミングのうち、最新の起動タイミングと前記被切断材の検出位置との差分が所定値よりも小さい場合に、当該最新の起動タイミングが前記クロップシャー起動手段により用いられるのを禁止する禁止手段を備えてなる請求項3に記載のクロップシャーの切断制御装置。
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