JP2012063844A - ユーザ識別システム、装置及びプログラム - Google Patents

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Tsutomu Ishii
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Abstract

【課題】基準となる指の接触位置を登録した際と同じ把持状況での指の接触位置を取得してユーザ識別を行うことができるようにする。
【解決手段】筆記具の把持部にはシート状圧力センサ102が巻き付けられており、そのセンサが定期的に検出する圧力分布が、検出時刻と対応づけてメモリ108に記憶される。筆記具に装着される加速度センサ104の出力を監視することにより、ペン先が紙面に当接して筆記動作が開始されるタイミングを検出する。そのタイミングよりも微小時間だけ遡ったタイミングの圧力分布をメモリから読み出し、ホスト装置150に送る。ホスト装置150の個人特徴データベース168には、各ユーザが基準の筆記具を把持した状態で、筆記動作が開始されるタイミングで採取した圧力分布が登録されている。ホスト装置150は、筆記具側装置100から受信した圧力分布をそれら登録情報と比較することで、ユーザ識別を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、ユーザ識別システム、装置及びプログラムに関する。
例えばボールペンやホワイトボードマーカーなどの筆記具による手書きの記入内容を電子化して保存・利用するアプリケーションシステム等のシステムにおいて、各記入内容を記入したのが誰かを識別して記録することが行われている。記入者の識別の方式の例として、筆記具のグリップ(把持部)を取り巻くように圧力センサを設け、把持時の指の位置関係や指紋などといった特徴情報を取得し、この特徴情報に基づき識別を行う方式がある。
特許文献1には、ペンのグリップの周囲に圧力センサを設け、圧力センサが検出した指の接触位置に応じて各種コマンドを出力する技術が開示されている。
特許文献2に開示されたペン型入力装置は、ペングリップの外周部に複数の圧力センサと各圧力センサが検出した圧力の分布を基にユーザを識別するデータを記憶するユーザ辞書部を有し、各圧力センサが検出した圧力の分布を基にユーザ辞書部に記憶したデータを参照してペンを握っているユーザの識別を行なう。
特許文献3に開示されたペン型の入力機器は、グリップに巻き付けられた高解像度の圧力センサによりユーザの指紋を読み取り、その指紋によってユーザを識別する。
特開平7−020983号公報 特開平10−198509号公報 特開2009−266097号公報
ところで、人が筆記具を持つ際の指の把持部に対する接触位置は、筆記具を手にとって把持したときや、まさに筆記しようとしているとき、あるいは筆記中、などというように把持状況が異なるとある程度異なってくる。認識のための基準となる指の接触位置の登録の際の把持状況と、認識時点の把持状況が異なっていれば、誤認識を招く可能性がある。
本発明は、基準となる指の接触位置を登録した際と同じ把持状況での指の接触位置を取得してユーザ識別を行うことができるようにすることを目的とする。
請求項1に係る発明は、筆記具の把持部を把持する各指の接触位置を検出する接触位置検出手段と、前記筆記具の加速度又は前記筆記具のペン先にかかる圧力を検出し、その加速度又は圧力に基づき、前記筆記具による筆記開始の時点を検出する開始検出手段と、前記開始検出手段が検出した前記筆記開始の時点に対してあらかじめ定められた時間関係を持つ検出の時点において前記接触位置検出手段が検出した各指の接触位置の実測データを、前記検出の時点において各ユーザが前記把持部を把持するときの各指の接触位置を示すユーザごとの基準データと照合することにより、前記筆記具を把持するユーザを識別するユーザ識別手段と、を備えるユーザ識別システムである。
請求項2に係る発明は、前記接触位置検出手段は、前記筆記具の把持部の外周に巻き付けて装着される面状の圧力センサを備え、前記面状の圧力センサの巻き付け方向に沿った両端部は互い重なり合っているとともに、その重なり合った部分の巻き付け方向に沿った重なり幅が装着先の前記筆記具の把持部の外周長に応じて変化するよう構成されており、前記ユーザ識別システムは、外周長の初期化指示を受け付ける指示受付手段と、前記初期化指示を受けた場合に、前記圧力センサの前記重なり合った部分が面に押しつけられた状態での前記圧力センサの出力から、前記両端部のそれぞれにおける前記巻き付け方向に沿った予め定められた閾値を超える圧力ピーク同士の間隔を前記把持部の外周長として求め、求めた外周長に対応するサイズ情報を記憶装置に記憶させる外周長測定手段と、前記圧力センサが装着された基準のサイズを持つ把持部を各ユーザが把持したときの各指の接触位置の情報を、ユーザごとの基準情報として記憶する基準情報記憶手段と、を備え、前記ユーザ識別手段は、前記記憶装置に記憶されたサイズ情報と前記基準のサイズとに基づいて、前記接触位置検出手段が検出した各指の接触位置と、前記基準情報記憶手段に記憶された各ユーザの基準情報における前記各指の接触位置とを、縮尺合わせを行った上で照合する、ことを特徴とする請求項1に記載のユーザ識別システムである。
請求項3に係る発明は、筆記具に設けられた加速度センサ又は前記筆記具のペン先にかかる圧力を検出するペン先圧力センサの出力データ、を受信する第1の受信手段と、前記受信手段が受信した前記加速度センサ又は前記ペン先圧力センサの出力データに基づき、前記筆記具による筆記開始の時点を検出する開始検出手段と、前記筆記具の把持部に巻き付けられた面状の圧力センサが前記筆記開始の時点に対してあらかじめ定められた時間関係を持つ検出の時点にて検出した圧力分布のデータ、を受信する第2の受信手段と、前記第2の受信手段が受信した圧力分布のデータを、前記検出の時点において各ユーザが前記把持部を把持するときの各指の接触位置を示すユーザごとの基準データと照合することにより、前記筆記具を把持するユーザを識別するユーザ識別手段と、を備えるユーザ識別装置である。
請求項4に係る発明は、コンピュータを、筆記具に設けられた加速度センサ又は前記筆記具のペン先にかかる圧力を検出するペン先圧力センサの出力データ、を受信する第1の受信手段、前記受信手段が受信した前記加速度センサ又は前記ペン先圧力センサの出力データに基づき、前記筆記具による筆記開始の時点を検出する開始検出手段、前記筆記具の把持部に巻き付けられた面状の圧力センサが前記筆記開始の時点に対してあらかじめ定められた時間関係を持つ検出の時点にて検出した圧力分布のデータ、を受信する第2の受信手段、前記第2の受信手段が受信した圧力分布のデータを、前記検出の時点において各ユーザが前記把持部を把持するときの各指の接触位置を示すユーザごとの基準データと照合することにより、前記筆記具を把持するユーザを識別するユーザ識別手段、として機能させるためのプログラムである。
請求項1,3又は4に係る発明によれば、基準となる指の接触位置を登録した際と同じ把持状況での指の接触位置を取得してユーザ識別を行うことができる。
請求項2に係る発明によれば、把持部のサイズが異なる筆記具に対して、共通の基準情報で照合を行うことができる。
実施形態のシステム構成の一例を示す図である。 実施形態で用いられる、シート状圧力センサが巻き付けられた筆記具の一例の外観を模式的に示す図である。 巻き付けられたシート状圧力センサの両端部の重なり位置を検出するための処理を説明するための図である。 加速度センサの出力から、照合対象の圧力分布データの検出(取得)タイミングを求める処理を説明するための図である。 筆記具に対して着脱自在なラバーグリップにシート状圧力センサを内蔵した例を示す図である。
図1を参照して、筆記具を把持しているユーザを識別するためのユーザ識別システムの一実施形態を説明する。この例のシステムは、筆記具側装置100とホスト装置150とを備えている。この例では、筆記具側装置100は、ボールペンやホワイトボードマーカーなどの筆記具に内蔵又は装着される電子装置であり、ホスト装置150は、筆記具側装置100と無線又は有線(例えばUSB(Universal Serial Bus)接続)などで通信可能なコンピュータである。
筆記具側装置100は、シート状圧力センサ102、加速度センサ104、プロセッサ106、メモリ108、不揮発性記憶装置110、通信装置118などの構成要素を備えている。これら構成要素は、2以上のハードウエアに分散配置されていてもよい。
シート状圧力センサ102は、図2に示すように筆記具200のグリップ(把持部)202に巻き付けられる面状の圧力センサである。シート状圧力センサ102としては、例えば、フレキシブル基板上に設けた下部電極と、フィルム上に設けた上部電極とを有し、下部電極と上部電極とを空気層を介して向かい合わせに配置することでコンデンサを形成したものなど、従来知られたもの又はこれから開発されるものを用いればよい。シート状圧力センサ102は、ユーザが筆記具のグリップを把持したときの指先(例えば親指、人差し指、及び中指)や手のひらの一部の接触位置を示す圧力の二次元分布を出力する。本実施形態では、指紋の検出は不要なので、シート状圧力センサ102の解像度は高くなくてもよい。指等の接触位置の検出の目的ならば、例えば0.1mm程度の解像度の一般的なシート状圧力センサで足りる。
本実施形態のシート状圧力センサ102は、筆記具200のグリップ202の外周長以上の長さを有し、グリップ部202に巻き付けると、シート状圧力センサ102の両端部が重なり合う。本実施形態では、この重なりを利用して、グリップ202のサイズを算出する(詳細は後述)。
加速度センサ104は、少なくとも筆記具200の軸方向(すなわち筆記具のペン先と後端を結ぶ軸の方向)についての加速度を検出するセンサである。もちろん、この他の方向の加速度が検出できるセンサを用いてもよい。加速度センサ104としては、従来のもの、又はこれから開発されるものを用いてもよい。本実施形態では、加速度センサ104の出力により、ユーザの筆記開始の時点(タイミング)を検出する(詳細は後述)。
プロセッサ106は、筆記具側装置100の動作を制御するマイクロプロセッサであり、不揮発性記憶装置110に記憶された圧力分布記録処理(図示省略)、初期化処理112や照合対象選択処理116、などの各種処理のためのプログラムを実行する。メモリ108は、RAM(ランダムアクセスメモリ)などの半導体メモリである。メモリ108は、プロセッサ106が演算処理を実行する際の作業用領域、又はシート状圧力センサ102や加速度センサ104の出力データを時系列的に記憶する記憶領域などとして用いられる。
不揮発性記憶装置110は、プロセッサ106が実行する各種処理112、116等を記述したプログラムや、初期化処理112により求められるグリップサイズデータ114を記憶する不揮発性の記憶装置である。不揮発性記憶装置110としては、例えば、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの書込可能な不揮発性メモリを用いてもよい。また、各種処理112、116等を記述したプログラムを記憶する部分は、ROM(リードオンリーメモリ)であってもよい。
不揮発性記憶装置110に記憶される圧力分布記録処理(図示省略)のプログラムは、シート状圧力センサ102から読み出し周期ごとに読み出される圧力分布のデータを、読み出し時刻と対応づけて時系列的にメモリ108に記憶する処理を記述したものである。圧力分布記録処理では、シート状圧力センサ102から出力された生データをそのまま記録してもよいし、その生データに対して公知のデータ圧縮処理を施した結果の圧縮データを記録してもよい。また、生データの代わりに、その生データを公知の方法で解析して得た各指及び手のひらのシート状圧力センサ102に対する接触点の位置(例えば二次元的な位置)を表す情報を記録してもよい。また、生データからガウシンアンミクスチャなどの手法で特徴量を抽出し、その特徴量を解析結果として、生データの代わりに記録してもよい。
圧力分布記憶処理では、時々刻々と読み出される圧力分布のデータをメモリ108内に確保された圧力分布データ用の記憶領域に対して例えばリングバッファ方式で記憶していくようにしてもよい。すなわち、順に生じる新たな圧力分布データを、その時点での記憶された最古の圧力分布データに上書きしていってもよい。同様に、不揮発性記憶装置110には、加速度センサ104から定期的に出力される加速度データを、例えばリングバッファ方式で、出力時刻に対応づけて時系列的にメモリに記憶する処理を記述したプログラムを記憶している。
不揮発性記憶装置110に記憶された初期化処理112のプログラムは、当該筆記具側装置100が装着される筆記具200のグリップ202のサイズ(径又は外周長など。以下では「グリップサイズ」と呼ぶ)を算出するための演算処理を記述したプログラムである。この処理により求められたグリップサイズデータ114は、不揮発性記憶装置110に記憶される。
この初期化処理の例を、図3を参照して説明する。図3の(a)に示すように、シート状圧力センサ302(図1のシート状圧力センサ102と同じもの)は、例えば矩形のシートであり、シート状圧力センサ302は、その横方向(すなわちグリップ202に対して巻き付ける方向)の幅よりも外周長が短いグリップ202に海苔巻きのように巻き付けて使用する。したがって、巻き付けた状態では、(b)に示すように、シート状圧力センサ302の巻き付け方向に沿った両端部が部分的に上下に重なり合うこととなる。(b)では、シート状圧力センサ302の両端部が重なり合った部分を、重なり部分304として破線で囲んで図示している。グリップ202の径が小さいほど、巻き付け方向についての重なり部分304の幅は大きくなる。
初期化処理では、ユーザは、図3の(b)に模式的な断面図として示すように、筆記具300のグリップにシート状圧力センサ302を巻き付けた状態で、重なり部分304をテーブルの表面などの平面310に向かって押しつける。これにより、重なり部分304のうち矢印306で指し示す1点(実際には、巻き付けられたシート状圧力センサ302は、図3(b)の紙面に垂直な方向に延びているので、その点をその方向に延長した直線)が平面310に向かって押圧されることとなる。この状態で、ユーザが、筆記具200に設けられた初期化ボタン(図示省略)を押下することで、プロセッサ106は初期化処理112のプログラムを実行する。これにより、プロセッサ106は、そのときのシート状圧力センサ302(102)の圧力分布データを受け取り、その分布から圧力が定めた閾値を超えている直線(図3(a)の直線306a及び306b)を2本検出する。この閾値は、ノイズ等を誤認識しないようあらかじめ定められ、不揮発性記憶装置110等に記憶されている値である。なお、閾値を超える直線状の圧力分布が2本検出されない場合は、検出されるまで新たな圧力分布データの取得及び閾値以上の圧力値を持つ直線の検出を繰り返す。なお、この繰り返しの間、筆記具200の側面等に設けられた液晶等の表示画面に対して、重なり部分304を面に当接して筆記具200をその面に押しつける操作を案内する情報、又はもっと強く押しつけるように促すメッセージなどの情報を表示してもよい。このようにして閾値以上の圧力を持つ2本の直線状の分布306a及び306bが特定されると、プロセッサ106は、それら直線306aと306bとの間隔Lを計算し、この計算結果をグリップサイズ(この場合はグリップ202の外周長)データ114として不揮発性記憶装置110に書き込み又は上書きする。間隔Lの代わりに、これを円周率で割って得られるグリップの径などのような、グリップ202のサイズを表す他の指標値を計算して不揮発性記憶装置110に記憶するようにしてもよい。
いままでシート状圧力センサ102を巻き付けてきた筆記具200からシート状圧力センサ102を外して別の筆記具に巻き付けた場合には、この初期化処理を実行することで、当該別の筆記具200のグリップ202のグリップサイズを算出する。
再び図1の説明に戻り、このような初期化処理が完了し、グリップサイズデータ114が記憶されると、筆記具側装置100は通常動作(すなわちユーザ認識のための処理動作)が可能な状態となる。この状態で、筆記具側装置100の例えば電源ボタン(図示省略)をオンすると、プロセッサ106は、不揮発性記憶装置110に保持されたユーザ認識処理のためのプログラム(すなわち圧力分布記録処理及び照合対象選択処理116など)を実行する。これにより、シート状圧力センサ102から例えば定期的に出力される圧力分布データ又はその解析結果(以下、圧力分布データと総称する)がメモリ108に時系列的に記憶されていく。
不揮発性記憶装置110に記憶された照合対象選択処理116のプログラムは、加速度センサ104が時系列的に出力する加速度データから、ユーザが筆記動作を開始する直前のタイミングを特定し、そのタイミングでの圧力分布データをメモリ108から読み出し、通信装置118を介してホスト装置150側に送信する。「筆記動作を開始する直前のタイミング」の圧力分布を用いるのは、そのタイミングでのユーザの把持状態が最も安定していると考えられるからである。筆記していないときは、ユーザは様々な形でペンを把持するので、指等のシート状圧力センサ102への接触位置もまちまちであり、ユーザ識別のための照合には適さない。筆記中の把持状態は、筆記していないときよりもユーザの癖を反映したものとなっているが、運筆方向等の状況に応じて指先への力の入り具合が様々に変わってくるので、指先等の接触による圧力分布として十分に安定したパターンが得られるとは必ずしも限らない。これに対し、筆記動作の開始直前、すなわちペン先が筆記先の面に当接される直前のタイミングでは、ユーザはグリップをしっかり握っており、しかも筆記時の運筆方向等による圧力分布の偏りもないので、得られる圧力分布は安定した再現性の高いものとなる。
「筆記動作を開始する直前のタイミング」は、筆記動作が開始されたタイミングからの逆算で求める。すなわち、照合対象選択処理116は、加速度センサ104が検出する筆記具200の軸方向についての加速度の時系列的な変化を監視する。例えば図4に示すような加速度の時間的変化が得られたとする。軸方向の加速度(絶対値)が最も大きくなるのは、筆記具200のペン先204が紙等の筆記面に当接した時である。すなわち、筆記具200は、当接時点までは筆記面に向かってある速度(この速度は多少は変化するがその変化に係る加速度は決して大きいものではない)で進んでいくが、ペン先204が筆記面に当接して筆記面に向かう運動が停止するまでの間に、筆記具200は筆記面から遠ざかる方向に大きな加速度を受けることになる。そこで、図4に例示するように、筆記面から遠ざかる向きの加速度を正の方向とした場合に、加速度があらかじめ定めた加速度閾値を超えたタイミングを、ユーザが筆記を開始したタイミングtsと判定する。そして、その開始タイミングtsからあらかじめ定めた微小時間δtだけ遡った時刻を、筆記動作を開始する直前のタイミングtcとして算出する。
メモリ108には、開始タイミングtsから遡った過去の圧力分布データが検出時刻と対応づけて記憶されているので、照合対象選択処理116は、その中から、筆記動作を開始する直前のタイミングtcで検出された圧力分布データを読み出し、グリップサイズデータ114と共に、通信装置118を介してホスト装置150に送信する。複数の筆記具につきそれぞれの把持者を識別することを想定したシステムでは、この圧力分布データと共に、筆記具200又は筆記具側装置100の識別情報も合わせてホスト装置150に送信する。
通信装置118は、例えば無線又は有線接続でホスト装置150と通信するための装置である。有線接続の場合は、例えば、USB接続などの方式で筆記具側装置100をホスト装置150に接続された接続端子に例えば接続する形で行う。この場合、筆記具側装置100は、特定した筆記動作を開始する直前のタイミングtcでの圧力分布データを、ホスト装置150に有線接続されるまで保存しておき、接続されるとその圧力分布データを他の情報(もしあれば)とともにホスト装置150に送信する。
ホスト装置150では、通信装置152が、筆記具側装置100から送られてくる直前のタイミングtcでの圧力分布データ及びグリップサイズデータ114を受け取り、プロセッサ154に渡す。プロセッサ154は、ホスト装置150における演算処理を実行するCPU(中央演算装置)などの装置である。メモリ156は、プロセッサ154がプログラムを実行する際に作業領域として用いられる半導体メモリである。不揮発性記憶装置160は、プロセッサ154が実行する各種処理164、166等を記述したプログラムや、それら処理に用いられるデータを記憶する不揮発性の記憶装置である。不揮発性記憶装置160としては、例えば、EPROMやEEPROMなどの書込可能な不揮発性メモリ、あるいはハードディスクなどを用いてもよい。また、各種処理164、166等を記述したプログラムを記憶する部分は、ROMであってもよい。
不揮発性記憶装置160に記憶される個人特徴データベース168には、各ユーザの識別情報に対応づけて、そのユーザの個人特徴、すなわち当該ユーザが筆記具のグリップを把持したときの圧力分布データ(生データ、圧縮データ、又は解析結果である指等の位置情報等のうちのいずれか)を記憶している。この個人特徴は、シート状圧力センサをグリップに巻き付けたある基準の筆記具をユーザが把持したときの、筆記動作の開始直前のタイミング(前述のタイミングtcと同じタイミング)でのシート状圧力センサの出力から求められたものである。また、不揮発性記憶装置160に記憶された基準サイズデータ162は、そのような基準の筆記具のグリップのサイズ(外周長又は径など)のデータである。なお、個人特徴の採取の際に、特定のサイズのグリップを持つ基準の筆記具を用いる代わりに任意の筆記具を用い、採取した圧力分布データを後述する照合対象拡縮処理164と同様の処理により基準のサイズに合わせて拡大又は縮小することで、正規化した個人特徴データを生成してもよい。
筆記具側装置100から圧力分布データ及びグリップサイズデータ114を受け取ると、プロセッサ154は照合対象拡縮処理164を実行する。照合対象拡縮処理164では、グリップサイズデータ114と基準サイズデータ162との比に応じて、筆記具側装置100から受信した圧力分布データを、シート状圧力センサ102の巻き付け方向に沿って拡大又は縮小する。この拡大又は縮小により、圧縮分布データのサイズ(縮尺)を、個人特徴データベース168に記憶された個人特徴のサイズに合わせることができる。このようなサイズ合わせを正規化と呼ぶ。なお、この逆に、各ユーザの個人特徴のサイズを、筆記具側装置100から受け取った圧力分布データのサイズに合わせてもよい。
サイズ合わせが完了すると、プロセッサ154は、個人識別処理166のプログラムを実行する。これにより、プロセッサ154は、サイズ合わせ後の状態で、圧力分布データを個人特徴データベース168の各ユーザの個人特徴、すなわち圧力分布データと比較し、この比較により、筆記具側装置100から受け取った圧力分布データがどのユーザのものかを識別する。この識別処理には、例えばEM(expectation-maximization)アルゴリズムなどの公知の技術を用いればよい。
以上、実施形態を説明した。以上のようなユーザ識別は、筆記具側装置100に電源が投入された直後に一回だけ行ってもよいし、その後も何らかの条件に従って行うようにしてもよい。例えば、初期化処理後、筆記具側装置100の電源をオンしている間、ずっと加速度センサ104の出力を監視して例えば毎ストローク(筆記の際のひと筆)の筆記動作開始の直前のタイミングtcでの圧力分布データを求めてユーザ認識を行ってもよい。
本実施形態の方式により識別された筆記具の把持者の情報がどのように用いられるかは、この方式を利用するアプリケーション次第であり、特に限定されるものではない。例えば、公知の様々な筆記ストローク認識技術により認識された筆記内容のデータを把持者の識別情報と対応づけて保存することで、誰が何を記入したのかを記録するなどといった、様々な応用が考えられる。
次に、図5を参照して、筆記具側装置100に対するシート状圧力センサの装着方式の一例を説明する。この例では、シート状圧力センサ502を、筆記具200のグリップ202に対して着脱自在なラバーグリップ504の中に内蔵する。ラバーグリップ504は、例えばゴムなどの伸縮可能な材料から構成された、外形が円筒状の部材であり、図5の例では、その内部に外形の円筒形状と同心の円筒形の中空部506が形成されている。この中空部506の中に、シート状圧力センサ502が、その両端部が重なるように丸められた状態で収容されている。内蔵するシート状圧力センサ502のサイズは、ラバーグリップ504が最大限まで伸びた状態でも両端部の重なり部分508が残るよう、十分大きなサイズとする。1つの例では、シート状圧力センサ502には、電源と通信装置が付属しており、この通信装置により、筆記具側装置100のプロセッサ154と通信する。なお、筆記具側装置100全体をラバーグリップ504内に内蔵又は装着してもよい。
例えば、ラバーグリップ504の外側面の、シートの巻き付け方向についての重なり部分508の中央位置近傍に、初期化処理の際に面510に押しつける位置を示すマークを形成(例えば色づけするなど)しておいてもよい。
ユーザは、このラバーグリップ504を筆記具200に装着し、初期化処理を実行することで、その筆記具200のグリップのサイズを筆記具側装置100に登録する。その後の動作は、上記実施形態で説明した通りである。
なお、一例としてラバーグリップ504を取り上げたが、このようなグリップ部材としては、径方向に伸縮可能な材質又は構造からなるものであれば、ゴム以外のものをもちいてもよい。
以上に説明した実施形態はあくまで一例に過ぎず、本発明の範囲内で様々な変形が可能である。
例えば、以上の例では、筆記動作の開始タイミングを検出するのに加速度センサ104を用いたが、これは一例に過ぎない。この代わりに、筆記具200のペン先に係る圧力を検出する圧力センサを設け、この圧力センサが出力する圧力値の時間的変化を監視することで、ペン先が面に当接されたタイミングを筆記動作の開始タイミングとして求めてもよい。このような圧力センサは、例えば、筆記具200のペン軸の中に内蔵されたペン芯(の例えば後端)と、ペン軸内でそのペン芯を支持する部分との間に設ければよい。
また、以上の例では、システムの構成要素が筆記具側装置100とホスト装置150とに分散していたが、これは一例に過ぎない。この代わりに、ホスト装置150の不揮発性記憶装置16に記憶されるデータやプログラムを筆記具側装置100に持たせ、筆記具側装置100だけでユーザ識別を行うようにしてもよい。また、この逆に、筆記具側装置100にはシート状圧力センサ102と加速度センサ104などといったセンサ類と、それらセンサ類が検出した信号をホスト装置150側に送信する通信装置のみを設け、初期化処理112や照合対象選択処理116などの情報処理をホスト装置150が行うようにしてもよい。筆記具側装置100とホスト装置150との処理の分担の仕方は、この他にも様々なバリエーションが考えられる。
100 筆記具側装置、102 シート状圧力センサ、104 加速度センサ、106 プロセッサ、108 メモリ、110 不揮発性記憶装置、112 初期化処理、114 グリップサイズデータ、116 照合対象選択処理、118 通信装置、150 ホスト装置、152 通信装置、154 プロセッサ、156 メモリ、160 不揮発性記憶装置、162 基準サイズデータ、164 照合対象拡縮処理、166 個人識別処理、168 個人特徴データベース。

Claims (4)

  1. 筆記具の把持部を把持する各指の接触位置を検出する接触位置検出手段と、
    前記筆記具の加速度又は前記筆記具のペン先にかかる圧力を検出し、その加速度又は圧力に基づき、前記筆記具による筆記開始の時点を検出する開始検出手段と、
    前記開始検出手段が検出した前記筆記開始の時点に対してあらかじめ定められた時間関係を持つ検出の時点において前記接触位置検出手段が検出した各指の接触位置の実測データを、前記検出の時点において各ユーザが前記把持部を把持するときの各指の接触位置を示すユーザごとの基準データと照合することにより、前記筆記具を把持するユーザを識別するユーザ識別手段と、
    を備えるユーザ識別システム。
  2. 前記接触位置検出手段は、前記筆記具の把持部の外周に巻き付けて装着される面状の圧力センサを備え、
    前記面状の圧力センサの巻き付け方向に沿った両端部は互い重なり合っているとともに、その重なり合った部分の巻き付け方向に沿った重なり幅が装着先の前記筆記具の把持部の外周長に応じて変化するよう構成されており、
    前記ユーザ識別システムは、
    外周長の初期化指示を受け付ける指示受付手段と、
    前記初期化指示を受けた場合に、前記圧力センサの前記重なり合った部分が面に押しつけられた状態での前記圧力センサの出力から、前記両端部のそれぞれにおける前記巻き付け方向に沿ったあらかじめ定められた閾値を超える圧力ピーク同士の間隔を前記把持部の外周長として求め、求めた外周長に対応するサイズ情報を記憶装置に記憶させる外周長測定手段と、
    前記圧力センサが装着された基準のサイズを持つ把持部を各ユーザが把持したときの各指の接触位置の情報を、ユーザごとの基準情報として記憶する基準情報記憶手段と、
    を備え、
    前記ユーザ識別手段は、前記記憶装置に記憶されたサイズ情報と前記基準のサイズとに基づいて、前記接触位置検出手段が検出した各指の接触位置と、前記基準情報記憶手段に記憶された各ユーザの基準情報における前記各指の接触位置と、を縮尺合わせを行った上で照合する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のユーザ識別システム。
  3. 筆記具に設けられた加速度センサ又は前記筆記具のペン先にかかる圧力を検出するペン先圧力センサの出力データ、を受信する第1の受信手段と、
    前記受信手段が受信した前記加速度センサ又は前記ペン先圧力センサの出力データに基づき、前記筆記具による筆記開始の時点を検出する開始検出手段と、
    前記筆記具の把持部に巻き付けられた面状の圧力センサが前記筆記開始の時点に対してあらかじめ定められた時間関係を持つ検出の時点にて検出した圧力分布のデータ、を受信する第2の受信手段と、
    前記第2の受信手段が受信した圧力分布のデータを、前記検出の時点において各ユーザが前記把持部を把持するときの各指の接触位置を示すユーザごとの基準データと照合することにより、前記筆記具を把持するユーザを識別するユーザ識別手段と、
    を備えるユーザ識別装置。
  4. コンピュータを、
    筆記具に設けられた加速度センサ又は前記筆記具のペン先にかかる圧力を検出するペン先圧力センサの出力データ、を受信する第1の受信手段、
    前記受信手段が受信した前記加速度センサ又は前記ペン先圧力センサの出力データに基づき、前記筆記具による筆記開始の時点を検出する開始検出手段、
    前記筆記具の把持部に巻き付けられた面状の圧力センサが前記筆記開始の時点に対してあらかじめ定められた関係を持つ検出の時点にて検出した圧力分布のデータ、を受信する第2の受信手段、
    前記第2の受信手段が受信した圧力分布のデータを、前記検出の時点において各ユーザが前記把持部を把持するときの各指の接触位置を示すユーザごとの基準データと照合することにより、前記筆記具を把持するユーザを識別するユーザ識別手段、
    として機能させるためのプログラム。
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