JP2012062019A - 自動車用シートの振動抑制装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】乗員にかかる振動の周波数を検出する振動センサー11と、背もたれ部2及び座部3に内蔵されたエアクッション12A,12B,12C,12Dと、エアクッション12A,12B,12C,12Dのそれぞれに空気を供給する空気供給手段13,14,15A,15B,15C,15Dと、背もたれ部2及び座部3の角度を変化させる角度調整手段18A,18B,19A,19Bと、乗員にかかる振動の周波数に対応した、振動を最小とする背もたれ部2及び座部3の硬さと角度である最適パターンが予め入力されたパターン表が記憶された記憶部16と、最適パターンを記憶部16から読み出して、背もたれ部2及び座部3の硬さと角度を最適化させる制御部17を備える。
【選択図】図4
Description
運転中の疲労の原因の一つに、運転手が長時間振動に曝されていることが挙げられる。この振動には、自動車の加速減速及び旋回によるものや、路面の凹凸によるものがあり、運転手等の乗員が受ける振動が大きいとそれだけ疲労は大きくなる。
これらは、運転状況に応じて、自動車用シートに内蔵したエアクッションの硬度を調整等して乗員にかかる振動や加速度をアクティブ(能動的)に制御するものである。
また、特許文献2に記載の発明は、自動車の加速状態において、アクチュエータによって自動車用シートを後方に移動させ、急激な慣性力の変化を緩和させるものであるが、路面の凹凸による振動の上下方向の加速度については何ら考慮がなされていないため(段落番号(0063))、乗員にかかる振動をより低減させるためには改善の余地がある。
しかも、制御部は、自動車用シートに座った乗員にかかる振動の周波数に対応して、振動を最小とするように背もたれ部又は座部の硬さを最適化させるので、どの周波数に対しても同じように振動を制御する場合に比べて、振動をより低減することができる。
さらに、自動車用シートに座った乗員にかかる振動の周波数に対応した、振動を最小とする背もたれ部又は座部の硬さである最適パターンが、記憶部のパターン表に予め入力されており、制御部がその最適パターンを記憶部から読み出して背もたれ部又は座部の硬さを最適化させるので、振動を検出するたびに制御部がその周波数に対応して、振動を最小とする背もたれ部又は座部の硬さを演算し、それに基づいて硬さを最適化する場合に比べ、背もたれ部又は座部の硬さの制御を高速に行うことができる。よって、乗員にかかる振動を瞬時に低減することができるので、乗員は快適で疲れ難い。
しかも、制御部は、自動車用シートに座った乗員にかかる振動の周波数に対応して、振動を最小とするように背もたれ部又は座部の角度を最適化させるので、どの周波数に対しても同じように振動制御する場合に比べて、振動をより低減することができる。
さらに、自動車用シートに座った乗員にかかる振動の周波数に対応した、振動を最小とする背もたれ部又は座部の角度である最適パターンが、記憶部のパターン表に予め入力されており、制御部がその最適パターンを記憶部から読み出して背もたれ部又は座部の角度を最適化させるので、振動を検出するたびに制御部がその周波数に対応して、振動を最小とする背もたれ部又は座部の角度を演算し、それに基づいて角度を最適化する場合に比べ、背もたれ部又は座部の角度の制御を高速に行うことができる。よって、乗員にかかる振動を瞬時に低減することができるので、乗員は快適で疲れ難い。
しかも、制御部は、自動車用シートに座った乗員にかかる振動の周波数に対応して、振動を最小とするように背もたれ部又は座部の硬さ及び背もたれ部又は座部の角度を最適化させるので、どの周波数に対しても同じように振動制御する場合に比べて、振動をより低減することができる。
さらに、自動車用シートに座った乗員にかかる振動の周波数に対応した、振動を最小とする背もたれ部又は座部の硬さ及び背もたれ部又は座部の角度である最適パターンが、記憶部のパターン表に予め入力されており、制御部がその最適パターンを記憶部から読み出して背もたれ部又は座部の硬さ及び背もたれ部又は座部の角度を最適化させるので、振動を検出するたびに制御部がその周波数に対応して、振動を最小とする背もたれ部又は座部の硬さ及び背もたれ部又は座部の角度を演算し、それに基づいて硬さ及び角度を最適化する場合に比べ、背もたれ部又は座部の硬さ及び背もたれ部又は座部の角度の制御を高速に行うことができる。よって、乗員にかかる振動を瞬時に低減することができるので、乗員は快適で疲れ難い。
車体に路面からの振動が自動車用シート1まで伝わったときに、自動車用シート1に座った乗員の体の各部位は、どの部位も全て同じように共振するわけではないので、まず、自動車用シート1に座った乗員にかかる振動のうち、どの部位における振動が最も大きいかを調べた。最も振動の影響を受ける部位の振動を抑制することにより、効果的に乗員の快適さを向上させることができる。その結果を図1乃至図3を参照して説明する。
最初に、一般的な体格の乗員を想定して、振動解析モデルを用い、ルンゲクッタ・ギル法により振動解析(コンピューターシミュレーション)を行った。共振点として解析した部位は図1に示すように、頭部H、胴体部C、大腿部T、下腿部Sである。
これにより、共振による加速度は頭部Hにおいて最も大きいことがわかったので、以下では頭部Hにおける振動の加速度を抑制する。
自動車用シート1の座部3の硬さの最適化方法として、滑降シンプレックス法を採用し、自動車用シート1に座った乗員にかかる振動の周波数に対応した、振動の加速度を最小とする座部3の硬さを決定した。具体的には、通常乗員が不快に感じ易い振動の周波数帯域4〜8Hzに、頭部Hにおける振動の周波数のピーク値が入らないようにした。その結果が図3である。
これにより、上下方向の加速度のピーク値が約25%低減可能であることが確認できた。また、座部3の硬さの最適化前には加速度のピーク値が、人間が不快に感じる周波数である4Hz付近にあったが、最適化後ではピーク値が不快な4〜8Hzから外れた2Hz付近にシフトした。
この自動車用シート1の振動抑制装置10は、ヘッドレスト2aを有する背もたれ部2と座部3からなる自動車用シート1にかかる振動を抑制するものであって、主に振動センサー11と、エアクッション12A,12B,12C,12Dと、モーター18A,18Bと、記憶部16と、制御部17と、を備えるものである。
いずれのエアクッション12A,12B,12C,12Dも、空気供給管13を通してコンプレッサー14から空気が供給される。そして、エアクッション12A,12B,12C,12Dとコンプレッサー14との間には空気供給管13にそれぞれバルブ15A,15B,15C,15Dが設けられており、それぞれのエアクッション12A,12B,12C,12Dは他のエアクッションとは独立してその圧力(内圧)を調整できるようになっている。
また、背もたれ部2及び座部3におけるエアクッション12A,12B,12C,12Dの配置されている深さは、それぞれのエアクッション12A,12B,12C,12Dの圧力の調整によって、乗員が背もたれ部2及び座部3の硬さの変化を感じ取れる程度の深さである。
また、それぞれのエアクッション12A,12B,12C,12Dの圧力は圧力検出部20によりモニターされている。
また、ピニオン19A,19Bには角度検出部21が併設されており、角度検出部21でピニオン19A,19Bの回転量を計測することにより、背もたれ部2及び座部3の角度θ,φがモニターされている。
この最適パターンとして入力されているものとは、図7に示すように、2〜14Hzの周波数帯(2Hz間隔の平均値)及び乗員の体格(身長、体重)に対応して、仮想試験システム(コンピューターシミュレーション)で滑降シンプレックス法を用いることによって算出され、最適化された背もたれ部2の硬さ及び座部3の硬さ(最適硬さ)、すなわちそれぞれのエアクッション12A,12B,12C,12Dの最適圧力と、背もたれ部2の角度θ及び座部3の角度φ(最適角度)である。
これらの具体的な数値としては、図8に示すようになる。図8(a)は、振動解析モデルにおける各部位と図8(b)に示すばね定数kn及び粘性減衰係数cnとの関係を示している。図8(b)では、背もたれ部2及び座部3の硬さを、エアクッション12A,12B,12C,12Dのばね定数kn及び粘性減衰係数cnとして算出している。なお、このn=1,2,3,4は第一エアクッション12Aから順に対応している。このようにばね定数kn及び粘性減衰係数cnを最適パターンとしてパターン表に入力していても、ばね定数kn及び粘性減衰係数cnをエアクッション12A,12B,12C,12Dの圧力や、背もたれ部2及び座部3の硬さに変換可能である。
なお、パターン表におけるパラメータとして、周波数と体格だけでなく、男女の別、年齢、体型等を加えた最適パターンを予め準備しておくと、振動抑制がより向上する。また、周波数帯の分割を細かくするほど、振動抑制がより向上する。
それと同時に制御部17は、最適パターンと、角度検出部21で検出された現状の背もたれ部2及び座部3の角度θ,φとの差分を算出し、モーター18A,18Bを介して背もたれ部2及び座部3の角度θ,φを最適化させる。
ここで、入力部22で乗員が自ら入力する手間を省くために、座高を測定する赤外線センサーや、体重を測定する重量センサーを設けておいてもよい。
さらには、指紋や静脈等の生体認証によって、個人データを入力(呼び出し)可能にしておいてもよい。
まず、システム全体の初期化を行う(ステップS101(以下、「ステップ」という語を省略する))。
次に、制御部17は、乗員によって入力され記憶部16に記憶された乗員の身長、体重を読み込む(S102)。
このとき、振動があれば振動センサー11からその振動の周波数を読み込む(S106)。
それと同時に制御部17は、背もたれ部2及び座部3の最適角度と角度測定値とを比較して、モーター18A,18Bを駆動し、背もたれ部2及び座部3の角度θ,φを最適角度に合わせる(S109)。
以上が自動車用シート1の振動抑制装置10のアクティブな制御の1サイクルであり、制御を終了するか否か判断する(S110)。
このとき、制御を終了しない場合には、S105に戻る。
また、S105において振動を検出しなかったが制御を終了しない場合には、振動を検出するまで待ち続ける。
さらに、自動車用シート1に座った乗員にかかる振動の周波数に対応した、振動を最小とする背もたれ部2の硬さ、座部3の硬さ、背もたれ部2の角度θ、及び座部3の角度φである最適パターンが、記憶部16のパターン表に予め入力されており、制御部17がその最適パターンを記憶部16から読み出して背もたれ部2の硬さ、座部3の硬さ、背もたれ部2の角度θ、及び座部3の角度φを最適化させるので、振動を検出するたびに制御部17がその周波数に対応して、振動を最小とする背もたれ部2の硬さ、座部3の硬さ、背もたれ部2の角度θ、及び座部3の角度φを演算し、それに基づいて硬さ及び角度θ,φを最適化する場合に比べ、背もたれ部2の硬さ、座部3の硬さ、背もたれ部2の角度θ、及び座部3の角度φの制御を高速に行うことができる。よって、乗員にかかる振動を瞬時に低減することができるので、乗員は快適で疲れ難い。
また、最適パターンは、仮想試験システム(コンピューターシミュレーション)によって算出されたので、それぞれの振動の周波数について実測して最適パターンを作成する場合に比べ、最適パターンを短時間で得ることができる。しかも最適パターン作成にかかるコストが低廉である。
さらに、振動センサー11は、シート1下部の床上に設置されているので、車体下部からシート1に伝わる振動の周波数を、乗員に伝わる前に検出することができる。つまり、振動はタイヤ、車体下部、シート、乗員の順に伝わるので、振動が乗員に伝わる前に車体下部が振動した段階で振動抑制装置1を作動させることができ、乗員はより快適である。
次に図10乃至図12を参照して、本発明の第二実施形態に係る自動車用シート1の振動抑制装置10を説明する。なお、第一実施形態と同一部分には同一符号を付した。
つまり、振動に対して背もたれ部2及び座部3の硬さのみを最適化して、乗員の頭部Hにかかる振動を抑制する。
まず、システム全体の初期化を行う(S201)。
次に、制御部17は、乗員によって入力され記憶部16に記憶された乗員の身長、体重を読み込む(S202)。
このとき、振動があれば振動センサー11からその振動の周波数を読み込む(S206)。
そして、制御を終了するか否か判断する(S210)。制御を終了しない場合には、S205に戻る。
また、角度調整手段を備えない分、自動車用シート1の振動抑制装置10の構造が単純になるので、故障の可能性が低くなるとともに、コストも低廉となる。
さらに、振動センサー11は、シート1下部の床上に設置されているとしたが、これに限られるものではなく、例えばヘッドレスト2aに内蔵されていてもよい。
また、角度調整手段として、モーター18A,18Bとピニオン19A,19Bを挙げたが、これに限られるものではなく、公知の他の機構によって背もたれ部2及び座部3の角度θ,φを調整してもよい。エアクッション12A,12B,12C,12Dの圧力調整も同様である。
また、最適パターンは、仮想試験システム(コンピューターシミュレーション)によって算出されたとしたが、それぞれの振動の周波数や体格等ごとに事前に実測して作成していてもよい。
2 背もたれ部
2a ヘッドレスト
3 座部
10 自動車用シートの振動抑制装置
11 振動センサー
12 エアクッション
12A エアクッション(第一エアクッション)
12B エアクッション(第二エアクッション)
12C エアクッション(第三エアクッション)
12D エアクッション(第四エアクッション)
13 空気供給管(空気供給手段)
14 コンプレッサー(空気供給手段)
15A バルブ(空気供給手段)
15B バルブ(空気供給手段)
15C バルブ(空気供給手段)
15D バルブ(空気供給手段)
16 記憶部
17 制御部
18A モーター(第一モーター、角度調整手段)
18B モーター(第二モーター、角度調整手段)
19A ピニオン(角度調整手段)
19B ピニオン(角度調整手段)
20 圧力検出部
21 角度検出部
22 入力部
C 胴体部
H 頭部
S 下腿部
T 大腿部
θ 背もたれ部の角度
φ 座部の角度
Claims (7)
- 背もたれ部と座部からなる自動車用シートにかかる振動を抑制する装置であって、
前記自動車用シートに座った乗員にかかる振動の周波数を検出する振動センサーと、
前記背もたれ部及び前記座部の両方又は一方に内蔵された複数のエアクッションと、
前記複数のエアクッションのそれぞれに空気を供給する空気供給手段と、
前記自動車用シートに座った乗員にかかる振動の周波数に対応した、振動を最小とする前記背もたれ部又は前記座部の硬さである最適パターンが予め入力されたパターン表が記憶された記憶部と、
前記振動センサーが検出した振動の周波数に対応した前記最適パターンを前記記憶部から読み出して、前記空気供給手段を介して空気を前記複数のエアクッションに供給して前記背もたれ部又は前記座部の硬さを最適化させる制御部を備えることを特徴とする自動車用シートの振動抑制装置。 - 背もたれ部と座部からなる自動車用シートにかかる振動を抑制する装置であって、
前記自動車用シートに座った乗員にかかる振動の周波数を検出する振動センサーと、
前記背もたれ部及び前記座部の両方又は一方の角度を変化させる角度調整手段と、
前記自動車用シートに座った乗員にかかる振動の周波数に対応した、振動を最小とする前記背もたれ部又は前記座部の角度である最適パターンが予め入力されたパターン表が記憶された記憶部と、
前記振動センサーが検出した振動の周波数に対応した前記最適パターンを前記記憶部から読み出して、前記角度調整手段を介して前記背もたれ部又は前記座部の角度を最適化させる制御部を備えることを特徴とする自動車用シートの振動抑制装置。 - 背もたれ部と座部からなる自動車用シートにかかる振動を抑制する装置であって、
前記自動車用シートに座った乗員にかかる振動の周波数を検出する振動センサーと、
前記背もたれ部及び前記座部の両方又は一方に内蔵された複数のエアクッションと、
前記複数のエアクッションのそれぞれに空気を供給する空気供給手段と、
前記背もたれ部及び前記座部の両方又は一方の角度を変化させる角度調整手段と、
前記自動車用シートに座った乗員にかかる振動の周波数に対応した、振動を最小とする前記背もたれ部又は前記座部の硬さ及び前記背もたれ部又は前記座部の角度である最適パターンが予め入力されたパターン表が記憶された記憶部と、
前記振動センサーが検出した振動の周波数に対応した前記最適パターンを前記記憶部から読み出して、前記空気供給手段を介して空気を前記複数のエアクッションに供給して前記背もたれ部又は前記座部の硬さを最適化させるとともに、前記角度調整手段を介して前記背もたれ部又は前記座部の角度を最適化させる制御部を備えることを特徴とする自動車用シートの振動抑制装置。 - 前記最適パターンは、前記自動車用シートに座った乗員にかかる振動の周波数に加え、乗員の体格にも対応していることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の自動車用シートの振動抑制装置。
- 前記振動センサーは、前記自動車用シートに座った乗員の頭部にかかる振動の周波数を検出することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の自動車用シートの振動抑制装置。
- 前記振動センサーは、前記シート下部の床上に設置されていることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載の自動車用シートの振動抑制装置。
- 前記最適パターンは、仮想試験システムによって算出されたことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一つに記載の自動車用シートの振動抑制装置。
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