JP2012061770A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録ヘッド内に滞留しているインクが増粘することを回避するために、インク抜きが行われるが、全てのチャネルからインクを抜き出せない事態がある。
【解決手段】記録ヘッドが非画像記録時のタイミングで、インク供給側の第1の空気導入手段から記録ヘッドの第1の共通インク室内に空気を取り込み、及び前記第2の空気導入手段により前記第2のタンクを大気開放し、チャンネル内のメニスカスが破壊される圧力よりも低い圧力を印加して、第1の共通インク室側から第2の共通インク室側に向かって、全チャネル内のインクを空気に置換するインクジェット記録装置である。
【選択図】図9

Description

本発明は、記録媒体にインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置に関する。
従来、インクジェット記録装置、例えばインク滴を記録媒体に吐出して、画像を記録するインクジェットプリンタが知られている。記録ヘッドに供給されたインクは、乾燥することにより増粘或いは固化したり、又は異物が侵入したりすることにより、ノズルを塞ぎ、インクの吐出が不能になる事態か生じる虞がある。
例えば、特許文献1には、このような事態を回避する1つの手法が開示されている。通常、記録ヘッドの吐出を回復させるためには、インク供給源から加圧インクを供給して、各ノズル内に滞留する増粘インクを外部に押し出す、所謂パージ(加圧パージ)動作を行っている。この特許文献1は、記録ヘッドの発熱、パージ動作に使用するインク消費量の増加及び、消費電力の増加等の問題に着目し、記録ヘッドのパージ動作前又はパージ動作中の少なくともいずれかの動作の際に、複数のノズルの中から主インク流路から離れてパージ圧力が低いノズルを選択的にプリカーサ又はフラッシングする技術が提案されている。
特開2010−89312号公報
日本機械学會論文集.B編65(630),544−550 日本機械学會論文集37(301),1708−1715
前述した特許文献1に開示されている手法は、インクジェット記録装置を長期に渡り起動せずに放置していた場合、記録ヘッド内に滞留しているインクが増粘してしまうことは回避しきれない。また、記録ヘッド内には、ノズル数に相当する数のチャネルが形成されているが、共通インク室内の温度勾配等のばらつきにより、チャネル内におけるインクの粘度に差が生じて、一部のチャネル内のインクが他のチャネル内のインクよりも増粘が進行する場合がある。
このような状態の記録ヘッドのインク流路に対して、パージ動作を実行しても、粘度の低いインクがより多くスムーズに排出されるため、全体的に加えられたパージ加圧によって流路抵抗が低くなったチャネルに偏ってインクが流れてしまい、粘度の高いインクが留まってしまったチャネルからは効率的に増粘したインクが除去されない。
そこで本発明は、記録ヘッド内におけるインクの滞留を防止することにより、長期間に渡り起動されない場合でも、増粘又は固化したインクによる流通の妨げを抑制するインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に従う実施形態は、を提供する。
本発明によれば、記録ヘッド内におけるインクの滞留を防止することにより、長期間に渡り起動されない場合でも、増粘又は固化したインクによる流通の妨げを抑制するインクジェット記録装置を提供することができる。
図1は、第1の実施形態に係るインクジェット記録装置におけるインク経路に関する概念的な構成例を示す図である。 図2(a)乃至図2(d)は、メンテナンス処理について説明するための図である。 図3は、記録ヘッドにおける内部構造を示す図である。 図4(a)乃至図4(g)は、1つのチャネルにおけるインクの抜け状態を示す図である。 図5は、配列された複数のチャネルをベースプレート側から透視した構成を示す図である。 図6は、インク抜き処理(インク/空気置換)の制御について説明するためのフローチャートである。 図7(a)乃至図7(d)は、チャネルからインクが抜ける状態(インク/空気置換)を示す図である。 図8は、チャネルにインクが残留した状態を示す図である。 図9(a)及び図9(b)は、第2の実施形態におけるチャネルからインクが抜ける状態(インク/空気置換)を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るインクジェット記録装置におけるインク経路に関する概念的な構成例を示す図である。本実施形態のインクジェット記録装置は、水性インクを用いたインク循環経路を備えるインクジェットプリンタ(以下、プリンタと称する)を一例として説明する。尚、図1に示すインク供給系においては、1色のインク循環経路を示しており、カラー画像を記録する場合には、その色数に応じたインク循環経路数となる。
プリンタ1は、大別して、インク供給系2と、記録媒体7の搬送機構3と、インクを吐出する記録ヘッド4と、メンテナンス機構5と、廃液タンク6と、制御部9とで構成される。
インク供給系2は、インク供給路(第1のインク経路)11と、インク排出路(第2のインク経路)12と、インク帰還路(第3のインク経路)13と、でインク循環経路が形成され、さらにインク供給路11には、インク補充路(第4のインク経路)14が設けられている。インクは、画像記録動作が実施される時、及び装置起動時等におけるインク温度の調整時に、インク循環経路を循環する。
このインク循環経路上には、上流タンク21、記録ヘッド4、下流タンク26及び、循環ポンプ32が配置される。インク供給路11は、上流タンク21から後述する第1の空気導入手段である三方弁30を介して記録ヘッド4までインクチューブ23(23a,23b)で接続し、インクチューブ23a,23bを通じて記録ヘッド(インクジェットヘッド)4にインクを供給する。
三方弁30は、インクチューブ23aと記録ヘッド4とを連通させて大気と遮断するインク循環姿勢、又はインクチューブ23aとの連通を閉塞させて、大気と記録ヘッド4内部とを連通させる大気開放姿勢、の2つの連通状態をとる。
記録ヘッド4は、対向して搬送される記録媒体7に向けて、所定のタイミングで所定量のインク滴8を吐出する。図示していないが、インク供給路11上にフィルタを設けて、インク流路内の異物やインク塊を排除してもよい。
圧力発生部となる上流タンク21には、電磁弁22、上流タンク液面センサ24が設けられている。電磁弁22は、制御部9の制御により開閉して、上流タンク21内を大気開放状態又は密閉状態にする。上流タンク液面センサ24は、上流タンク21のインクの液面高さを検出するセンサである。また、図示していないが、上流タンク21のインク流入ポート又は流出ポートの近傍、又は記録ヘッドの供給ポートの近傍のインク経路上にインク温度を調整(加温及び冷却)する温度調整機構を設けてもよい。
記録ヘッド4は、複数のノズルによるノズル列を有するノズル面4Nが記録媒体7と対向するように設けられている。記録ヘッド4は、ノズル面4Nの下方を通過するように搬送される記録媒体7に向けて、所定のタイミングで画像データに基づく液量のインク滴8を噴射する。
インク排出路12は、記録ヘッド4から下流タンク26までをインクチューブ23で接続し、記録ヘッド4から使用(吐出)されなかったインクが排出されて、下流タンク26に流入する。下流タンク26には、電磁弁27、下流タンク液面センサ28及び加圧ポンプ29が設けられている。
これらのうち、電磁弁27は、制御部9の制御により開閉して、下流タンク26内を大気開放状態又は密閉状態にする。下流タンク液面センサ28は、下流タンク26のインクの液面高さを検出するセンサである。パージ手段である加圧ポンプ29は、メンテナンス機構の一部位であり、外気を下流タンク26内に送り込むことにより、インク循環経路内を加圧することができる。
下流タンク26は、上流タンク21よりも重力方向の下方に配置され、上流タンク21からインクの自重(重力)により記録ヘッド4に流れ込み、さらに記録ヘッド4から下流タンク26に流入するように高さの差を設けている。この高さの差は、記録ヘッド4にはメニスカスを形成し、さらに吐出されなかったインクが下流タンク26に流れ込むように、設計時に適宜、配置される。
このように、本実施形態においては、重力方向で高い位置から、メインインクタンク35、上流タンク21及び、下流タンク26の順に配置され、上流タンク21と下流タンク26との間の高さ位置に記録ヘッド4が配置される。また、記録ヘッド4を基準位置(基準高さ)として、インクを供給する上流タンク21側を上流とし、記録ヘッド4から排出されたインクが流れ込む下流タンク26側を下流と称する。
インク帰還路13は、下流タンク26から循環ポンプ32を経て上流タンク21までをインクチューブ33で接続し、下流タンク26から上流タンク21にインクを汲み上げて、再供給する。循環ポンプ32は、後述するメンテナンス処理時におけるパージ動作開始からワイプ動作終了までの期間を除き駆動している。
また、循環ポンプ32は、インクを上流タンク21に汲み上げることで下流タンク26内を負圧にすることができ、記録ヘッド4からインクを排出させるインク排出手段としての役目も有している。また、インク補充路14は、メインインクタンク35から電磁弁36を経て上流タンク21までをインクチューブで接続し、メインインクタンク35から上流タンク21にインクを補充する。
メインインクタンク35は、上流タンク21よりも高い位置に配置され、インクは、重力(インクの自重)によりインクチューブを流れて、上流タンク21に流れ込む。電磁弁36は、制御部9の制御により開閉して、上流タンク21へのインク補充を行い、インク循環経路内のインク量を調整する。メインインクタンク35は、共に図示しないコネクタをインクチューブのコネクタに嵌合させて着脱自在に接続される。
さらに、メインインクタンク35に接続されるインクチューブの途中には、電磁弁37が設けられ、制御部9の制御により開閉して、メインインクタンク35内を大気開放又は密閉する。
制御部9は、上流タンク21及び下流タンク26の液面センサ24,28を含めたプリンタ全体のセンサ類からのセンサ信号を受信する。制御部9は、それらのセンサ信号に基づいて、記録ヘッド4、ベルト搬送機構10、電磁弁22,27,36,37、循環ポンプ32及び加圧ポンプ29を含めたプリンタ1の全ての駆動部分の駆動制御を行う。また、図示しないタイマ(時計)を有しており、記録ヘッドからインクが吐出されていない非吐出状態が継続する、又は予め定めた設定した所定時間以上継続したか否かを判断する。
また、ベルト搬送機構10は、例えば、ベルトプラテン機構を採用している。この機構は、記録媒体以上の長さ(幅)を有する、少なくとも2つのローラと、これらのローラに捲回されたベルトによって構成される。少なくとも1つのローラには、モータによる駆動源が接続され、ベルトが回転移動される。さらに、ベルトには多数の孔が開口されており、ベルト内部には、吸引用ファンが配設される。この構成により、記録媒体7は、吸引用ファンによりベルト表面に吸着されて、そのベルトの回転と共に、記録ヘッド4のノズルの直前を通過するように搬送される。この時、記録ヘッド4は、対向して搬送される記録媒体7に向けて、所定のタイミングで所定量のインク滴8を吐出して、画像を形成する。
メンテナンス機構5は、インクパン51と、インクパン51内に設けられる払拭手段52とで構成され、記録ヘッド4をメンテナンスする。払拭手段52は、ノズル面4Nを払拭するブレード53、このブレード53を支持する支持部材54及び、図示しない駆動機構により構成される。ブレード53は、ノズル面4Nを傷つけない硬度で弾性を有する部材であり、例えばバイトン、テフロン(登録商標)等で形成されている。
また、ブレード53は、支持部材54により上端がノズル面4Nよりも例えば1mm程度高くなるようにされている。支持部材54は、レール55に摺動可能に嵌合している。支持部材54は、金属、プラスチック等のある程度の剛性を備えたものが好適する。
このメンテナンス機構5は、非メンテナンス時には、ベルト搬送機構10下方の待機位置に退避している。メンテナンス処理時には、図示しない移動機構によってベルト搬送機構10が画像記録位置から移動して、メンテナンススペースを空ける。代わって、メンテナンス機構5がそのメンテナンススペースに入り、記録ヘッド4のノズル面と対峙する。廃液タンク6は、メンテナンス機構5のインクパン51と接続されており、メンテナンス処理により生じた廃液を一時的に貯留する。
次に、このように構成されたプリンタにおけるインク循環について説明する。
本実施形態において、インクの循環動作時には、電磁弁22は開状態、電磁弁27は閉状態であって、上流タンク21は大気開放、下流タンク26は密閉されている。このような状態で、循環ポンプ32を駆動して、下流タンク26から上流タンク21ヘインクへ汲み上げる。
下流タンク26は、密閉されているためタンク内は負圧となり、その結果、上流タンク21から記録ヘッド4を経て下流タンク26側ヘインクが排出される。この時、記録ヘッド4が画像形成に好適な所定の負圧、即ち、内側に凹んだメニスカスが形成される圧力となるように、循環ポンプ32の駆動(インク汲み上げ量)が制御される。画像記録動作は、このようなインク循環時に実行される。尚、本実施形態においては、負圧とは、常にゲージ負圧のことを示唆する。一方、インク非循環時には、電磁弁22は閉状態、電磁弁27は開状態であって、循環ポンプ32は停止している。画像記録動作を行わない待機時や、電源OFF時等には、インク非循環である。
前述したように、記録ヘッド4は、上流タンク21及び下流タンク26よりも重力方向上方に配置されており、循環時、待機時の共に記録ヘッド4内は、負圧になり、ノズルにメニスカスが形成されている。このメニスカスの表面張力により、記録ヘッド4が微正圧、ここでは、例えば1kPa以下程度の小さな正圧になっても、ノズルからインクが垂れ落ちることはない。但し、これ以上の正圧が加わると、メニスカスが破壊されて、インクがノズルから垂れ落ちることになる。同様に、微負圧は、例えば、−1kPa以下程度の小さな負圧であって、ノズルからインクが垂れ落ちることはない圧力を意味するものとする。
記録ヘッド4の画像形成動作によって、循環経路内のインクが所定量以下になったことが上流タンク液面センサ24、及び下流タンク液面センサ28の出力信号から所定のアルゴリズムにより判定されると、電磁弁37、36が共に開状態となり、メインインクタンク35から上流タンク21ヘインクが補給される。これによって、インク循環経路内のインク量は、常に適正に保たれる。
次に、メンテナンス機構5のメンテナンス動作について説明する。
図2(a)は、メンテナンス開始時における記録ヘッド4の近傍の状態を示している。
メンテナンス処理の開始時、記録ヘッド4は、ノズル面4Nがインクパン51に覆われ、メンテナンス廃液が外部に飛散することを抑制する。ブレード53は、ノズル面4aの一端の近傍に位置する。メンテナンス処理中において、循環ポンプ32は、停止している。
図2(b)に示すように、メンテナンス処理は、電磁弁22,27を閉じ、加圧ポンプ32により下流タンク26を加圧することにより、インク循環経路内のインクに掛かる圧力を上げ、少なくともノズル面4Hからインク滴8が押し出される程度まで加圧する。この加圧により、唯一、外気と連通しているノズル4Hからインクが押し出されて滴下される。
その後、加圧ポンプ32を停止し、電磁弁22、27を開いて、インク循環経路の圧力を大気圧に戻し、電磁弁22を閉じて待機状態にする。その後、図2(c)に示すように、払拭手段52は、駆動機構によって、レール55に従って、ノズル列方向に沿って移動される。ブレード53の先端部分は、ノズル面4Nを払拭し、残留しているインク滴8を除去する。その後、図2(d)に示すように、ノズル面4Nを拭ききって、メンテナンス処理が完了となる。
次に、本実施形態の記録ヘッド4の内部構造について説明する。
図3は、記録ヘッド4における上面にノズル面を露呈する姿勢でインクと接触する内部構造を示している。
記録ヘッド4のベースプレート4Bの一面上の両端には、第1の共通インク室である上流共通インク室4M1と、第2の共通インク室である下流共通インク室4M2とが配置され、それぞれに複数の上流孔4F1及び下流孔4F2が形成されている。
また、ベースプレート4B上で、上流共通インク室4M1と下流共通インク室4M2により挟まれた空間には、圧電素子で形成される薄い直方体のピエゾ壁4Pが等間隔で配列されている。これらのピエゾ壁4Pの間がチャネル4Cとなる。ピエゾ壁4Pの上面には、ノズルプレートが貼り付けられており、ノズルプレートにおけるチャネル4C毎の中央に相当する位置にノズル4Hがそれぞれ開口され、ノズル列が形成されたノズル面4Nとなっている。
上流共通インク室4M1、下流共通インク室4M2のベースプレート4Bを挟んだ向かい側に、上流分配経路4D1と下流分配路4D2とが形成されている。上流分配路4D1は、各上流孔4F1及び上流主流路4K1と連通し、下流分配路4D2は、各下流孔4F2及び図示しない下流主流路と連通している。
上流主流路4K1は、一端が上流分配路4D1に接続され、また他端が記録ヘッド外に延出して、三方弁30に接続されている。図示しない下流主流路は、一端が下流分配路4D2に接続され、他端は記録ヘッド外に延出して、下流チューブ25と接続されている。三方弁30から記録ヘッド4に流入したインクは、上流主流路4K1、上流分配路4D1、上流孔4F1、上流共通インク室4M1、チャネル4C、下流共通インク室4M2、下流孔4F2、下流分配路4D2及び、図示しない下流主流路を順に通過して、記録ヘッド4外の下流チューブ25へ流出する。
このような構成において、本実施形態では、次の関係が常に満たされているものとする。ノズル4H外の大気圧POとチャネル4C内のインク圧P1との差圧が、ノズル4Hに形成されるメニスカスの限界圧力差±ΔP1を逸脱、即ち、(式1)を満たさない場合には、球面のメニスカスが破壊されてノズル4Hからチャネル4Cへの空気の侵入又はチャネル4Cからノズル4Hの外へインクが流出する。
|PO−P1|≦ΔP1 … (式1)
この(式1)は、(式2)のラプラスの式により表されることが知られている。
ΔP1=2σ/d1 …(式2)
但し、σ:表面張力、d1:ノズル径とする。
しかしながら、ノズル4Hから空気又はインクの出入りが生じるのは好ましくない。ノズル4Hからのインクの漏れや空気の巻き込みが発生し、その後、インクが空気と置換(以下、インク/空気置換と称する)された時には、ノズル4Hに再びメニスカスが形成されるとは限らない。メニスカスが形成されなければ、内部のインク・空気の流れの制御が困難である。従って、本実施形態においては、チャネル内を空気で置換する間は、メニスカスによってチャネル4Cの内部と外気とを実質的に分離させておくことがよい。
次に、本実施形態の記録ヘッドにおけるインク抜きの特徴について説明する。
本実施形態では、以降所定時間以上に渡って、記録動作が実行されないと判断された時、記録ヘッド4のチャネル4Cのインク量を減少させ、好ましくは、全てのインクを抜き取り、チャネル4C内が空気で満たされるようにする。
このインク抜き処理を行うことにより、例えば水性インクを使うプリンタであれば、記録動作が行われない間に生じる、ノズル4Hからの溶媒の揮発によるチャネル4C内インクの増粘に対して、その発生を防止又はその進行を抑制することができる。さらに、紫外線硬化型インクを使うプリンタであれば、外部から入射する迷光がノズル4Hに照射されて、チャネル4C内のインクが硬化されることを防止、又はその進行が遅くなるように抑制することができる。つまり、このようなインク抜き処理を行うことにより、プリンタのチャネル4Cのインク流通性が回復不能になることを防止する。
次に、本実施形態における、インク抜き処理を実施するためのタイミング判定について説明する。
インク抜き処理を実行するタイミングは、記録動作やメンテナンス等が実施されていない待機状態の時で、チャネル4Cのインク流通性が回復不能になる前に実施する。プリンタにおけるチャネルのインク流通性の回復不能は、インクや記録ヘッドの特性、記録ヘッド4周囲環境の温湿度、ノズル4Hに到来する迷光の光量等に依存している。チャネル4Cのインク流通性が回復不能になるタイミングは、予め実測等により求めておくとよい。
インク抜き処理は、以下の事態の時に実施することができる。
第1に、記録動作終了毎に実施してもよく、前回の記録動作又はメンテナンス動作終了後の所定時間、例えば5分間、記録動作又はメンテナンス動作が実施されない場合等でもよい。第2に、所定時間、例えば5分間以上記録動作に使用されていないノズルが存在する場合等でもよい。第3に、プリンタの電源がOFFされた時でもよい。例えば、三方弁30が非通電状態において大気開放姿勢されるものとして、電源OFF後に自動的に実行される。又は、電源OFF後に、所定時間が経過した場合でもよい。この場合は、プリンタにバッテリを搭載しておく等の処置をとってもよい。あるいは、電源OFF操作時に、ユーザがインク抜き処理を選択的に実施できるようにしてもよい。以上の第1乃至第3の事態を組み合わせて実施してもよい。
本実施形態におけるインク抜き処理を実施する具体的な方法について説明する。
図4(a)乃至図4(g)は、上流主流路4K1、又は上流分配路4M1、上流チューブ23等、記録ヘッド4に向けて空気を導入する経路のいずれかであるインク経路40におけるインクの抜け状態を示す図である。図5は、配列された複数のチャネル4Cをベースプレート4B側から透視した構成を示す図である。
まず、経路40のインクを空気で置換するために、外部から導入される空気がインク経路を通過する際に、インク経路内に気泡(空気で挟まれたインク液膜)が発生するのを防ぐことで、経路40のインク流通性を確保する。
インク/空気置換の際に経路40に気泡が混じった状態でインク抜きを継続していくと、図5に示すように、ヘッドのチャネル4Cにて残留液膜43Aが留まる虞がある。このインクによる残留液膜43Aがある程度の厚さを持っていると、経時により増粘又は硬化するなどの変化を起こして流動性を失い、残留液膜43Aが形成されたチャネル4Cのインク流通性は完全に失われる。これを防止するために、本実施形態では、ヘッドよりも上流に位置づけられる経路40からインク抜き処理を実施する時のインク抜き流量を規定する。
そのインク抜き量の規定方法を以下に説明する。
変数の意味は、次の通りである。ρ:密度、σ:表面張力、g:重力加速度、μ=粘度、D:経路径。
図4(a)に示すように、インクの充填されている円管インク経路40に空気が流れ込み、図4(b)に示すように、メニスカス45が通過して、インクが流れ出た後には、インク経路40壁面には、ある量のインク液膜41が付着した状態で残留する。
その後、図4(c)及び図4(d)に示すように、インク液膜41が流下する際に、表面波42が発生し、インク経路40壁面から測った波高が経路径の半分程度に達すると、図4(e)に示すように、架橋したインク液膜43が経路内を塞ぐように形成され、空気を断絶し、気泡44が発生する。
図4(f)に示すように、インクが満たされたインク経路40内を空気が速度Uで進行した後、残留する液膜の厚さδは、例えば、非特許文献1によれば、(式3)で表すことができる。
δ=0.67×D×Ca^(2/3) …(式3)
ここで、Caはキャピラリ数であり、(式4)で表される。
Ca=μ×U/σ …(式4)
流下液膜にインク経路壁面から測った波高が経路径の半分程度の表面波が発生する波動発生限界レイノルズ数Rewは、例えば非特許文献2によれば、次の(式5)で表される。
Rew=0.6075×Fi^(1/11) …(式5)
ここで、Fiはフィルム数であり、次の(式6)で表される。
Fi=ρ×σ^3/(g×μ^4) …(式6)
また、流下液膜のレイノルズ数Reは、次の(式7)で定義される。
Re=ρ×q/μ …(式7)
尚、厚さδの液膜の単位幅あたりの流下流量qは、定常流の場合には、次の(式8)で表される。
q=g×ρ×δ^3/(3×μ) …(式8)
流下液膜に表面波を発生させない条件は、例えばRe<Rewと書かれる。これを満たす最大のUが流下液膜に表面波を発生させない限界気泡速度Uwであって、それは、(式3)〜(式8)から(式9)として書かれる。
Uw=2.5×(σ^25/(9^12×ρ^21×μ^4))^(1/22)×D^(−3/2) …(式9)
例えば、インクジェットに使用される典型的なインクの物性値である、密度ρ=1000kg/立方m、表面張力σ=25mN/m、粘度10mPa・s、及び物理定数g=9.8m/平方s、また経路径DとしてD=4mmとすると、Uw=O.14m/s、流量1.7ml/sである。また、D=2mmとすると、Uw=0.38m/s、流量1.2ml/sである。
本実施形態では、上述した(式9)で規定されるインク経路40の各断面における限界気泡速度Uwのうち最も遅い速度で空気が導入されるように、例えば、インク経路40の断面形状や長さ、又は三方弁30の開口面積等が設計されている。
これにより、導入された空気により生じたメニスカス45は、常に、限界気泡速度Uw以下となるため、気泡を発生させずにチャネル7Cのインクを空気で置換することができる。尚、移動しているメニスカス45が存在する位置の経路径Dに対応する限界気泡速度Uwとなるように導入される空気の量を調整してもよい。より具体的には、例えば、三方弁30の開口面積を可変に制御できるものとする。
さらにメニスカス45の位置を検出できるように、図4(g)に示すように、インク経路40に電極対46A1と46A2、46B1と46B2等を所定の間隔で並べておく。もしくは、あるいは上流主流路4K1と上流分配路4M1との接合部等の経路の切り替わり位置に設置してもよい。これらの電極対の間の電気抵抗を測定することで、電極対の間にインクが満たされているか、空気に置換されているかを判定することができる。一般に、インクで満たされている方が電気抵抗は低い。これにより、メニスカス45の位置を特定することができる。特定されたメニスカス45の位置に応じて、三方弁30の開口面積を変更することで、メニスカス45の移動速度を制御することができる。
又は、インク経路40に対するメニスカス45の位置と移動速度、三方弁30の開口面積、環境温度、インク抜き実施時間の相互関係等を予め実測する。その測定値に従って、メニスカス45の各位置で限界気泡速度Uwを超えないように、三方弁30の開口面積を制御するテーブルを作成し、このテーブルに用いて制御してもよい。この時、例えば、経路径Dが変化する(細くなる又は、太くなる)部分を導入された空気のメニスカス45が通過する際、所定時間を待機するように制御にする、即ち経路径Dに合わせて時間を変えることにより、細くなる場合には、インク経路42の継ぎ目の部分に気泡ができ難くなり好適である。空気が径の変化する部分に掛かったことを検出するには、図4(g)に示したように、径が変化する箇所にセンサを設けて、センサの検出信号の変化を検出することで、空気がセンサ位置に到達したことを検出することができる。
尚、本実施形態では、円管のインク経路40の例について説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、矩形断面、多角形、楕円等であった場合、経路径Dの代わりに、短辺、対角線、水力直径等で置き換えるなどの補正を行ってもよい。
図6に示すフローチャートを参照して、本実施形態におけるインク抜き処理の制御について説明する。
まず、プリンタ1の制御部4に対して、インク抜き処理の実行を設定する(ステップS1)。そして、プリンタ1の待機状態において、制御部9は、予め定めた周期でインク抜き処理開始のタイミングであるか否かを判定する(ステップS2)。この判定で、インク抜き処理開始のタイミングでなければ(NO)、次の周期によるタイミングまで待機する(ステップS3)。一方、インク抜き処理開始のタイミングであると判定されたならば(YES)、三方弁30を大気開放姿勢にする(ステップS4)。この大気開放姿勢に従い、三方弁30より下流(記録ヘッド4から下流タンク26まで)の記録ヘッド4を含むインク経路23b,25が大気開放される。この大気開放により、三方弁30下のインク経路23bから記録ヘッド4に空気が流れ込み、順次、チャネル4C内のインクを押し流して空気により置換される。
次に、予め設定したインク/空気置換の所要時間が経過したか否かを判定する(ステップS5)。この判定で経過していなければ(NO)、大気開放状態を維持したまま、設定された所要時間に達するまで待機して(ステップS6)、ステップS4に戻り、再度判定する。一方、所要時間が経過したと判定されたならば(YES)、三方弁30をインク循環姿勢に変更する(ステップS7)。この操作により、三方弁30より下流のインク経路が密閉状態に戻る。
さらに、インク抜き処理を設定時間後に継続して実施するか、設定を終了するか判定して(ステップS8)、終了するならば(YES)、一連のシーケンスを終了させる。一方、そのインク抜き処理の実施を継続させるならば(YES)、ステップS2に戻り、インク抜き処理の開始タイミングの有無を判定する。
尚、インク/空気置換の所要時間としては、例えば、チャネル4Cから完全にインクが抜け切ると想定される時間を採用してもよい。他にも、下流のインク経路23b内のインクが中程程度まで抜ける程度の時間、又はインク経路23b内のインクが完全に抜ける程度の時間としてもよい。
インク抜き処理から記録動作可能状態への復帰方法について説明する。
インク抜き処理が行われると、記録ヘッド4のチャネル4C内にインクが無い状態となっている。このため、記録動作を開始するに際して、例えば、上述したメンテナンス処理を実施する。このメンテナンス処理をインク抜き処理後からの記録動作を可能にするための復帰モードとして設けてもよい。
その復帰モードは、例えば、通常のメンテナンス処理時のインクに掛ける圧力よりも高い圧力を掛けてメンテナンス処理を実行する。又は、数回連続でメンテナンス処理を実行する。
尚、本実施形態においては、記録ヘッド4と下流タンク26のインク液面の高低差が第2の空気導入手段に相当する。下流タンク26のインク液面は、インクの補給により調整することができる。又は、図示しないマスフローコントローラ等をインク経路に設置しておき、流量の動的制御により、気泡の速度が限界気泡速度Uwを超えないようにしてもよい。チャネル4Cのインク/空気置換される時間は、予め実測して求めてもよい。又は、マスフローメータ等により、流量をリアルタイムにモニタしておき、その検出値に基づき、インク/空気置換の進行状況を把握してもよい。
また、上述した本実施形態においては、限界気泡速度Uwを(式9)で規定されるとしたが、これを例えば、実験的に求めてもよい。或いは、残留する液膜の厚さδや波動発生限界レイノルズ数Rewに、例えば、非特許文献1や非特許文献2で言及されている、(式3)や(式5)と異なる実験式等を用いてもよい。
さらに、本実施形態では、チャネル4Cのインク/空気置換の駆動力を重力としたが、例えば、ポンプ等による三方弁30の大気開放側の加圧や下流タンク内の減圧等を駆動力として用いることもできる。本実施形態では、三方弁30を第1の空気導入手段として用いたが、これに限定されず、大気開放する上流タンク21を用いてもよく、構成が簡易となる。また、本実施形態では、第2の空気導入手段を記録ヘッド4と下流タンク26液面の高低差による重力を用いたが、第1の空気導入手段と同様に三方弁30を用いてもよい。この場合は、インクチューブ23は、インクが満たされたままとなるため、インク再充填が容易である。
以上説明したように、本実施形態のインク抜き処理によれば、インク経路に気泡が発生しない条件でインク抜き処理を実施するため、記録ヘッドのチャネル内のインクを残留させずに抜くことができる。また、チャネル内を空気で置換する間も、ノズルにおけるメニスカスが破壊されずに残っているため、メニスカスによってチャネル4Cの内部と外気とを実質的に分離することができる。従って、記録ヘッド内におけるインクの滞留を防止することにより、長期間に渡り起動されない場合でも、増粘又は固化したインクによる流通の妨げを抑制することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係るインクジェット記録装置における記録ヘッドのチャネルからのインク抜き処理について説明する。本実施形態の特徴部分について説明し、前述した第1の実施形態と同様に部分については説明を省略する。
本実施形態は、記録ヘッド4の複数のチャネル4Cからインクを抜く際に、チャネル4C毎にインクが抜けるタイミングが異なる点に着目した例である。つまり、前述した第1の実施形態では、複数のチャネル4Cは、等しい断面積を持つことを想定しているが、現実的に実施する場合には、製造誤差等により多少の仕上がり寸法ばらつきを考慮しなくてはならない。
以下に、ばらつきにより生じる問題について説明する。
図7(a)乃至図7(d)は、チャネル4Cから一般的にインクが抜ける状態(インク/空気置換)について説明するための図である。図8は、チャネル4Cにインクが残留した状態を示す図である。
図7(a)は、チャネル4C周辺の模式図であって、インクで満たされている。三方弁30を大気開放姿勢にする等により、記録ヘッド4に空気を送り込むと、図7(b)に示すように、空気60が上流孔4F1から上流共通インク室4M1に流入する。空気60の流入が進むと、図7(c)に示すように、チャネル4C内のインクが順次、空気と置換される。
この時、上流孔4F1や下流孔4F2と各チャネル4Cとの位置関係や、各チャネル4Cの幾何学的形状、温度分布等により、相対的にインク/空気置換の進行が速いチャネル4Cと遅いチャネル4Cとが現れてくる。例えば、上流孔4F1に近いチャネル4Cは、遠いチャネル4Cに比べて、インク/空気置換が早く進行する。
また、例えば製造誤差等により、複数のチャネル4Cの中で断面積が他に比べて広く製造されたチャネル4Cは、狭いチャネル4Cに比べると、インク/空気置換が早く進行する。このようなインク/空気置換がさらに進行すると、図7(d)に示すように、最も速いメニスカス61が下流共通インク室4M2側に到達して、そのチャネル4CVは完全に空気で置換される。完全に空気置換完了チャネル4CVの通風抵抗は、インクを押し流す際の抵抗に比べて、はるかに小さい。このため、他のチャネル4C内のインクの空気への置換を待たずに、空気置換が完了したチャネル4CVからの空気が回り込み、下流共通インク室4M2をインク/空気置換が行われる。
その結果、図8に示すように、インク/空気置換が完了したチャネル4CVと、未完了のチャネル4CL、即ちインクが残留した状態のチャネルが発生する。それ以降、三方弁30から送り込まれた空気は、その完了したチャネル4CVを通過するのみとなり、未完了チャネル4CLの残留インクを流し出すことができない。このような状態に関わらず、インク/空気置換が完了したものとして、長時間放置されると、残留したインクが増粘或いは硬化してインク流通性が失われ、前述したようにメンテナンス処理を行ってもインクが補充されないチャネルが発生することが懸念される。
そこで、本実施形態では、例えば、下流共通インク室4M2と下流タンク26内のインク液面との高低差Hを所定値以下とすることにより、大気圧POと下流共通インク室4M2におけるインク圧力P2との差を、チャネル4端部に形成されるメニスカス62の限界圧力ΔP2以下とする。ここで、メニスカス62の限界圧力とは、これ以上の圧力を印加した場合には、図9(b)に示すメニスカス62が破壊されてしまう圧力値である。破壊された場合には、図7(d)に示すように抜けてしまうこととなる。メニスカス62の限界圧力ΔP2は、式10で表される関係式を満たすようにする。
|P2−P0|≦ΔP2 …(式10)
このΔP2は、例えばチャネル7の出口部分の形状が短辺d1、長辺d2の矩形であった場合、インクの表面張力をσとして、ラプラスの式である式11で表される。
ΔP2=σ×(1/d1+1/d2) …(式11)
ΔP2の大きさは、例えば、前述のインク物性値を使うこととし、チャネル7の短辺d1=60μm、長辺d2=120μmとすると、ΔP2=625Paとなる。
このときの高低差Hは、H=64mmである。ここで、チャネル4Cの幾何学的形状等のばらつきを考慮し、ΔP2が最も小さくなるチャネルのパラメータで算定するのが好適である。
以上の関係を満たしてインク抜き動作を実施すると、図9(a)に示すように、インク抜き動作中に、インク/空気置換が完了したチャネル4CVの出口に形成されたメニスカス26が破壊されることが無いため、インク/空気置喚が完了したチャネル4CVの空気の流れは止まる。以降、全チャネル4Cにおいて、インク/空気置換が進行して完了に至ると、各チャネル4Cの端部でメニスカスを形成した状態で空気の流れが停止する。
最終的に、図9(b)に示すように、全てのチャネル4Cがインク/空気置換を完了したチャネル4CVとなり、各チャネル4Cにメニスカスが形成された状態となり、三方弁30からの空気の流入は止まる。この状態でインク抜き動作完了と見なしてもよい。例えば、全チャネル7Cの空気置換は完了しており、下流共通インク室7M2において水性インクが増粘しても、一般にメンテナンス動作等でチャネル4Cのインク流通性は回復容易である。
又は、下流共通インク室4M2側のチャネル4Cの端部にメニスカス62が形成された状態となった後、例えば、電磁弁22を開き、電磁弁27を閉じ、循環ポンプを動作させるモードを実施する等により、下流タンク26の圧力を下げて式10の関係式が成り立たないようにして、メニスカスを破壊し、下流共通インク室7M2を空気置換してもよい。
このとき、空気は三方弁30bから流入するようにしてもよいし、又はノズル7Hから流入させてもよい。
以上のように、本実施形態によれば、前述した第1の実施形態の効果に加えて、チャネルの配置や幾何学的形状の差によらずチャネルの空気置換を完遂することができる。
以上説明した各実施形態においては、以下の発明の要旨を含んでいる。
(1)列状に配列され、記録媒体にインクを吐出する複数のノズルと、前記ノズル毎に形成される複数のチャネルと、全ての前記チャネルのインク供給側と連通してインクを供給する第1の共通インク室と、全ての前記チャネルのインクの排出側と連通してインクを排出する第2の共通インク室と、で構成される記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの上方に位置して、インクを供給するための第1のタンクと、
前記記録ヘッドの下方に位置して、排出されたインクを収容する第2のタンクと、
前記記録ヘッドと前記第1のタンクを連通する第1のインク経路及び、前記記録ヘッドと前記第2のタンクを連通する第2のインク経路とからなるインク経路と、
前記第1のインク経路上に設けられ、前記第1の共通インク室に外部から空気を導入する第1の空気導入手段と、
前記第2インク経路を経由して前記第2の共通インク室からインクを排出させる第2の空気導入手段と、
を具備し、
非画像記録時のタイミングで、前記第1の空気導入手段から第1のインク経路内に空気を取り込み、及び前記第2の空気導入手段により前記第2のタンクを大気開放して、前記記録ヘッド内の複数のチャネル内に空気を導入し、前記第1の共通インク室側から前記第2の共通インク室側に向かって、全チャネル内のインクを空気に置換することを特徴とするインクジェット記録装置。
(2)前記第1の空気導入手段及び前記第2の空気導入手段によって、前記全チャネル内のインクを空気に置換する際に、
大気圧PO、下流共通インク室4M2におけるインク圧力P2、及びメニスカスの限界圧力ΔP2として、|P2−P0|≦ΔP2の関係を満たし、
メニスカスの限界圧力ΔP2、チャネルの出口形状の短辺d1,長辺d2及び、インクの表面張力σとして、
前記チャネルに掛かる圧力が、ΔP2=σ×(1/d1+1/d2)を満たすこと、を特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
(3)前記第1の空気導入手段及び前記第2の空気導入手段によって、前記全チャネル内のインクを空気に置換する際に、
前記ノズルに掛かる圧力ΔP1が、大気圧PO、チャネル内のインク圧P1として、
|PO−P1|≦ΔP1を満たすことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
(4)前記第1の空気導入手段及び前記第2の空気導入手段によって、前記全チャネル内のインクを空気に置換する際に、
インクの密度ρ、インクの表面張力σ、インクの粘度μ、経路径D及び限界気泡速度Uwとして、
メニスカスの流速Uは、限界気泡速度Uw=2.5×(σ^25/(9^12×ρ^21×μ^4))^(1/22)×D^(−3/2)以下であること、を特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
1…インクジェット記録装置(プリンタ)、2…インク供給系、3…搬送機構、4…記録ヘッド、5…メンテナンス機構、6…廃液タンク、7…記録媒体、8…インク滴、9…制御部、10…ベルト搬送機構、11…インク供給路(第1のインク経路)、12…インク排出路(第2のインク経路)、13…インク帰還路(第3のインク経路)、14…インク補充路(第4のインク経路)、21…上流タンク、22,27,36,37…電磁弁、23(23a,23b)…インクチューブ、24…上流タンク液面センサ、26…下流タンク、27…電磁弁、28…下流タンク液面センサ、29…加圧ポンプ、30…三方弁、35…メインインクタンク、51…インクパン、52…払拭手段、53…ブレード、54…支持部材。

Claims (8)

  1. インクを吐出する複数のノズルと、前記ノズル毎に対応して形成される複数のチャネルと、全ての前記チャネルの一端側と連通している第1の共通インク室と、全ての前記チャネルの他端側と連通している第2の共通インク室と、を有する記録ヘッドと、
    前記チャネルの一端が、第1の共通インク室に接続され、前記記録ヘッド内にインクを供給する第1のインク経路と、
    前記チャネルの他端が第2の共通インク室に接続され、前記記録ヘッド内のインクを排出する第2のインク経路と、
    前記記録ヘッドの前記ノズルからインクの非吐出状態が継続する、又は所定時間以上継続したと判断する判断手段と、
    前記第1のインク経路を介して前記記録ヘッド内に空気を導入する空気導入手段と、
    前記第2のインク経路を介して前記記録ヘッド内からインクを排出するインク排出手段と、を具備し、
    前記判断手段によって、前記記録ヘッドのノズルにおいてインクの非吐出状態が継続した又は、所定時間以上継続したと判断した場合、
    前記空気導入手段及び前記インク排出手段は、前記ノズルにメニスカスが形成された状態を維持しつつ、前記第1のインク経路を介して記録ヘッド内に空気を導入すると共に、前記第の2インク経路を介して、該記録ヘッド内からインクを排出することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記記録ヘッド内に空気を導入する際に、前記第1のインク経路内を流れる空気の速度U1は、
    前記第1インク経路の直径をD1、前記第1インク経路を流れるインクの密度をσ、前記第1インク経路を流れるインクの重力加速度をg、前記第1インク経路を流れるインクの表面張力をρ、前記第1インク経路を流れるインクの粘度をμ、としたとき、
    U1≦2.5×(σ^25/(g^12×ρ^21×μ^4))^(1/22)×D1^(−3/2)
    を満たすように設定されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記記録ヘッド内に空気を導入する際に、前記第2のインク経路内を流れる空気の速度U2は、
    前記第2インク経路の直径をD2、前記第2インク経路を流れるインクの密度をσ、前記第2インク経路を流れるインクの重力加速度をg、前記第2インク経路を流れるインクの表面張力をρ、前記第2インク経路を流れるインクの粘度をμ、としたとき、
    U2≦2.5×(σ^25/(g^12×ρ^21×μ^4))^(1/22)×D2^(−3/2)
    を満たすように設定されることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記第1インク経路内を流れる空気の速度の上限値UW1が、2.5×(σ^25/(g^12×ρ^21×μ^4))^(1/22)×D1^(−3/2)であり、
    前記第2インク経路内を流れる空気の速度の上限値UW2が、2.5×(σ^25/(g^12×ρ^21×μ^4))^(1/22)×D2^(−3/2)であるとき、
    前記2つの上限値のうち低い方の上限値に合わせて、前記第1インク経路及び前記第2インク経路における空気の導入速度を設定することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. さらに、前記第1のインク経路内を流れる空気の速度Uを制御する制御手段を具備することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記空気導入手段は、前記第1のインク経路上に設けられた大気開放弁(三方弁)であって、
    前記制御手段は、前記大気開放弁の開放量を制御することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記記録ヘッド内に空気を導入し、前記記録ヘッド内からインクを排出する際に、該記録ヘッド内における全てのチャネルの端部にて、メニスカスが形成されているように、前記第2の共通インク室におけるインク圧力(P2)が設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記第2のインク経路の他端に、前記ノズルよりも鉛直方向下方に高さHの間隔をおいてインク液面が設定されるインクタンクが接続され、
    前記高さHは、前記第2の共通インク室におけるインク圧力P2と大気圧P0との絶対値の差が、前記記録ヘッド内の全てのチャネルにおいて、その端部に形成されるメニスカスの限界圧力ΔP2よりも小さくなるように設定されることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
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