JP2012060144A - 磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果ヘッド、磁気記憶装置、および磁気メモリ - Google Patents
磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果ヘッド、磁気記憶装置、および磁気メモリ Download PDFInfo
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Abstract
、磁気抵抗効果ヘッド、磁気記憶装置、および磁気メモリを提供する。
【解決手段】磁化固着層、非磁性層、磁化自由層を有する磁気抵抗効果素子の磁化固着層
、または磁化自由層内にZr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,La,Hf,Ta
,W,Re,Os,Ir,Pt,Auのいずれかを含む層を配置する。
【選択図】図1
Description
抵抗効果素子、磁気抵抗効果ヘッド、磁気記憶装置、および磁気メモリに関する。
バイス、特に磁気ヘッドの性能が飛躍的に向上している。特に、スピンバルブ膜(Spin-V
alve:SV膜)の磁気ヘッドやMRAM(Magnetic Random Access Memory)などへの適
用は、磁気デバイス分野に大きな技術的進歩をもたらした。
し、一方の強磁性層(「ピン層」や「磁化固着層」などと称される)の磁化を反強磁性層
などで固着し、もう一方の強磁性層(「フリー層」や「磁化自由層」などと称される)の
磁化を外部磁界に応じて回転するようにした積層膜をいう。スピンバルブ膜では、ピン層
とフリー層の磁化方向の相対角度が変化することによって、巨大な磁気抵抗変化が得られ
る。
ne)−GMR素子であった。近年、膜面に対してほぼ垂直方向にセンス電流を通電するC
PP(Current Perpendicular to Plane)−GMR素子(以下、「CPP素子」という)
が、CIP−GMR素子よりも大きなGMR効果を発現することから、注目されている。
くなるとショットノイズおよび高周波応答の点で問題が生じる。素子抵抗に関しては、R
A(抵抗×通電面積)で評価するのが妥当である。具体的には、RAは、200Gbps
i(Gigabit per square inch)の記録密度で数百mΩμm2〜1Ωμm2、500Gbp
siの記録密度で500mΩμm2以下であることが必要とされている。
において、抵抗が低くても大きなMR変化率が得られるポテンシャルを有している。この
ような背景から、CPP素子およびそれを用いた磁気ヘッドは、200Gbpsi〜1T
bpsi(Terabit per square inch)の記録密度を実現するための有力候補と考えられる
。
またはスピンバルブ膜と呼ぶ)が金属層で形成されているメタルCPP素子では、磁化に
よる抵抗変化量が小さく、高密度化に伴う微弱磁界を検知するのは困難である。
化物層[NOL(nano-oxide layer)]を用いたCPP素子が提案されている(例えば特
許文献1参照)。このようなCPP素子では、電流狭窄[CCP(Current-confined-pat
h)]効果により素子抵抗およびMR変化率ともに増大させることができる。以下、この
ような素子をCCP−CPP素子という。
のサイズを100nm×100nmより小さくすることが要求される。例えば、磁気ディ
スクの高密度化により、0.1μm以下のトラック幅が必要となる。
、スピントランスファートルクに起因するノイズが生じることが報告されている(STI(S
pin-Transfer Induced)ノイズの発生、非特許文献1、2参照)。
たときに、外部磁界を全く印加しない状態でも、フリー層の磁化方向が変化する現象であ
る。このとき、通電方向が変化すると、フリー層の磁化方向が反転する可能性がある。言
い換えれば、通電方向が一方向に固定されれば、フリー層の磁化安定方向も一方向に固定
されることになる。
る(電流がフリー層からピン層に流れる)ときには、フリー層の磁化方向がピン層の向き
に揃うようなスピントルクが働く。一方、電子がフリー層からピン層に流れる(電流がピ
ン層からフリー層に流れる)ときには、フリー層の磁化方向がピン層とは反平行の向きに
揃うような方向にスピントルクが働く。
、通電方向が一定の場合、フリー層の磁化方向によっては、フリー層が磁化的に不安定と
なり、ノイズが発生する可能性がある。
磁化が不安定となり、素子のノイズが増大する可能性がある。このノイズは、スピントラ
ンスファー効果に誘導されたノイズということで、STI(Spin Transfer Induced)ノ
イズと呼ばれる。
ッドのS/N比が悪くなり、HDDでのBER(Bit Error Rate)が増大してしまう。こ
の結果、高密度記録時の微弱な媒体磁界を素子で検知することが困難となり、磁気ヘッド
等に用いることが実質的に不可能となる危険性がある。
バルブ膜でのSTIノイズが示されている。CCPを有するNOLスペーサ層を用いた、
CCP−CPPスピンバルブ膜においては、メタルCPPスピンバルブ膜と比べて、ST
Iノイズを巡る状況がより複雑となる可能性がある。
流が局所的に集中した状態で、フリー層からピン層、もしくはピン層からフリー層へと、
電子が注入される。局所的な電流密度は通常のメタルCPPスピンバルブ膜よりもはるか
に大きな値となる。STIノイズが電流密度に敏感な点を考慮すると、CCP−CPPス
ピンバルブ膜でのSTIノイズは、メタルCPPスピンバルブ膜でのSTIノイズよりも
大きくなる可能性がある。このように、CCP−CPPスピンバルブ膜において、STI
ノイズの抑制は重要な課題である。
、磁気記憶装置、および磁気メモリを提供することを目的とする。
と、前記磁化固着層上に配置され、絶縁層と、この絶縁層の層方向に電流を通過させる導
電体と、を有する非磁性層と、前記非磁性層上に配置され、かつ磁化方向が外部磁界によ
って変化する磁化自由層と、前記磁化固着層、または前記磁化自由層の少なくとも一方に
配置され、Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,La,Hf,Ta,W,Re,
Os,Ir,Pt,Auのいずれかを含み、かつ厚さが0.1nm以上、1nm以下の所
定の層と、を具備することを特徴とする。
おいては、合金の組成は原子%(atomic%)で表される。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る磁気抵抗効果素子(CCP−CPP素子)を
表す斜視図である。なお、図1および以降の図は全て模式図であり、図上での膜厚同士の
比率と、実際の膜厚同士の比率は必ずしも一致しない。
びこれを上下から夾む下電極11および上電極20を有し、図示しない基板上に構成され
る。
スペーサ層(CCP−NOL)16、上部金属層17、フリー層18、キャップ層19が
順に積層されて構成される。この内、ピン層14、スペーサ層16、およびフリー層18
が、全体として、二つの強磁性層の間に非磁性のスペーサ層を挟んでなるスピンバルブ膜
に対応する。なお、見やすさのために、スペーサ層16はその上下層(下部金属層15お
よび上部金属層17)から切り離した状態で表している。
クタ(DF)調整層21を挿入することで、STIノイズの低減を図っている。
ン層14を上部に配置したトップ型でも差し支えない。即ち、下電極11、下地層12〜
キャップ層19、および上電極20の積層構造の上下を逆転することが可能である。
上電極20との間に電圧が印加されることで、スピンバルブ膜内部をその膜垂直方向に沿
って電流が流れる。この電流によって、磁気抵抗効果に起因する抵抗の変化を検出するこ
とで、磁気の検知が可能となる。具体的な材料としては、下シールドと兼用したNiFe
や、非磁性のCu,Ta,Ru、Crなどの金属層が用いられる。
2bは、その上に成膜されるスピンバルブ膜の結晶配向および結晶粒径を制御するための
層である。
用いることができる。バッファ層12aの膜厚は2〜10nm程度が好ましく、3〜5n
m程度がより好ましい。バッファ層12aの厚さが薄すぎるとバッファ効果が失われる。
ることになるので好ましくない。なお、バッファ層12a上に成膜されるシード層12b
がバッファ効果も有する場合には、バッファ層12aを必ずしも設ける必要はない。
、hcp構造(hexagonal close-packed structure:六方最密構造)またはfcc構造(
face-centered cubic structure:面心立方構造)を有する金属層などが好ましい。シー
ド層12bとして、Ruを用いることにより、その上のスピンバルブ膜の結晶配向をfc
c(111)配向にすることができる。また、ピニング層13(例えば、PtMn)の結
晶配向を規則化したfct構造(face-centered tetragonal structure:面心正方構造)
、あるいはbcc(body-centered cubic structure:体心立方構造)(110)配向と
することができる。
バルブ膜のfcc(111)ピーク、ピニング層13(PtMn)のfct(111)ピ
ークまたはbcc(110)ピークでのロッキングカーブの半値幅を3.5〜6度として
、良好な配向性を得ることができる。なお、この配向の分散角は断面TEMを用いた回折
スポットからも判別することができる。
mに制御することができ、CCP−CPP素子のサイズが小さくなっても特性のばらつき
を招くことなく高MR変化率を実現できる。
0%、好ましくは75〜85%)や、NiFeに第3元素Xを添加して非磁性にした(N
ixFe100−x)100−yXy(X=Cr、V、Nb、Hf、Zr、Mo)などの
NiFeベースの合金を用いることもできる。Ruよりも、NiFeベースのほうが、シ
ード層12bとして良好な結晶配向性を得るのがより容易であり、上記と同様に測定した
ロッキングカーブの半値幅を3〜5度とすることができる。
0〜30%程度とすることが好ましい(yが0%の場合も含む)。結晶粒径を40nmよ
りも粗大化させるためには、さらに多量の添加元素を用いることが好ましい。例えば、N
iFeCrの場合にはCr量を35〜45%程度とし、fccとbccの境界相を示す組
成を用いることが好ましい。
nm以下になるので、結晶粒径が大きすぎると特性のばらつきを招くことがあり、大きな
結晶粒を用いることはあまり好ましくない。一方、例えばMRAMとして用いる場合には
、素子サイズが100nm以上の場合があるので、結晶粒径を粗大化させるシード層12
bを用いてもよい。
い。シード層12bの厚さが薄すぎると結晶配向制御などの効果が失われる。一方、シー
ド層12bの厚さが厚すぎると直列抵抗の増大を招くうえに、スピンバルブ膜の界面凹凸
の原因となることがある。
与して磁化を固着する機能を有する。ピニング層13の材料としては、PtMn、PdP
tMn、IrMn、RuRhMnなどの反強磁性材料を用いることができる。
。ピニング層13がPtMnやPdPtMnの場合には、膜厚は8〜20nm程度が好ま
しく、10〜15nmがより好ましい。ピニング層13がIrMnやRuRhMnの場合
には、PtMnなどより薄い膜厚でも一方向異方性を付与することができるので、5〜1
8nmが好ましく、7〜15nmがより好ましい。
13がMR変化率に直接寄与しない直列抵抗を増大させ、RAの値を大きくする要因にな
る可能性がある。直列抵抗の増加を防止するために、ピニング層13として、反強磁性層
の代わりに、ハード磁性層を用いることができる。ハード磁性層としては、例えばCoP
t(Co=50〜85%)、(CoxPt100−x)100−yCry(x=50〜8
5%、y=0〜40%)、FePt(Pt40〜60%)などを用いることができる。ハ
ード磁性層(特にCoPt)は比抵抗が比較的小さいため、直列抵抗およびRAの増大を
抑制できる。
例えば、Ru)、および上部ピン層143(例えば、Co90Fe10[4nm])から
なる3層構造のシンセティックピン層とすることができる。ピニング層13(例えば、P
tMn)とその直上の下部ピン層141は一方向異方性をもつように交換磁気結合してい
る。磁気結合層142の上下の下部ピン層141および上部ピン層143は、磁化の向き
が互いに反平行になるように強く磁気結合している。
xFe100−x合金(x=0〜100%)、またはこれらに非磁性元素を添加したもの
を用いることができる。
ピン層143とほぼ等しくなるように設計することが好ましい。一例として、上部ピン層
143が(Fe50Co50[1nm]/Cu[0.25nm])×2/Fe50Co5
0[1nm]の場合には、FeCoの飽和磁化が約2.2Tであるため、磁気膜厚は2.
2T×3nm=6.6Tnmとなる。下部ピン層141についてはCo90Fe10の飽
和磁化が約1.8Tなので、上記と等しい磁気膜厚を与える下部ピン層141の膜厚tは
6.6Tnm/1.8T=3.66nmとなる。したがって、膜厚が約3.6nmのCo
90Fe10を用いることが望ましい。
13(例えば、PtMn)による一方向異方性磁界強度およびRuを介した下部ピン層1
41と上部ピン層143との反強磁性結合磁界強度という観点に基づく。下部ピン層14
1が薄すぎるとMR変化率が小さくなる。一方、下部ピン層141が厚すぎるとデバイス
動作に必要な十分な一方向性異方性磁界を得ることが困難になる。
ティックピン構造を形成する機能を有する。磁気結合層142としてのRu層の膜厚は0
.8〜1nmであることが好ましい。なお、上下の磁性層(下部ピン層141および上部
ピン層143)に十分な反強磁性結合を生じさせる材料であれば、Ru以外の材料を用い
てもよい。
をなす。上部ピン層143として、fcc構造をもつCo90Fe10の換わりに、bc
c構造をもつFeCoなどを用いた場合、スピン依存界面散乱効果が大きいため、大きな
MR変化率を実現することができる。bcc構造をもつFeCo系合金としては、Fex
Co100−x(x=30〜100%)や、FexCo100−xに添加元素を加えたも
のが挙げられる。スピンバルブ膜に用いられる金属材料は、fcc構造またはfct構造
であることが多いため、上部ピン層143のみがbcc構造を有することがあり得る。
いMR変化率が得られなくなるので、上部ピン層143の膜厚は2nm以上であることが
好ましい。一方、大きなピン固着磁界を得るために、上部ピン層143の膜厚は5nm以
下であることが好ましい。
ている場合には、bcc構造をより安定に保つために、bcc構造をもつ層の膜厚は2n
m以上であることが好ましい。
膜厚は2.5nm〜4nm程度が好ましい。FeCo系の磁性膜に関しては、相図上でよ
り安定なbcc構造が得られる組成範囲として、Fe75Co25〜Fe85Co15が
挙げられる。
合金や、hcp構造をもつコバルト合金も用いることができる。Co、Fe、Niなどの
単体金属、またはこれらのいずれか一つの元素を含む合金材料はすべて用いることができ
る。上部ピン層143の磁性材料として、大きなMR変化率を得るのに有利なものから並
べると、bcc構造をもつ合金材料、50%以上のコバルト組成をもつコバルト合金、5
0%以上のNi組成をもつニッケル合金の順になる。
ズの抑制を図ることができる。この詳細は後述する。
の供給源である。ただし、電流パス162の形成後にも明確な金属層として残存している
必要はない。
、スペーサ層16、下部金属層15、および上部金属層17を含めて、スペーサ層として
取り扱うことも可能である。
れるAl2O3もあれば、MgOのような結晶構造を有する場合もある。
、これに添加元素を加えたものがある。添加元素として、Ti、Hf、Mg、Zr,V,
Mo、Si,Cr,Nb,Ta,W、B,Cなどがある。これらの添加元素の割合は0%
〜50%程度の割合で適宜変えて用いることができる。
物、Mg酸化物、Zr酸化物、Cr酸化物、V酸化物、Ta酸化物、Nb酸化物、Mo酸
化物、Si酸化物なども用いることができる。これらの酸化物の場合でも、添加元素とし
て上述したような材料を用いることができる。また、添加元素の量としても0%〜50%
程度の割合で適宜変えて用いることができる。
Mo,Nb,Ta,W,B,Cをベースとした酸窒化物や、窒化物を用いても良い。
通過させる導電体として機能し、例えば、Cu等の非磁性金属から構成できる。即ち、ス
ペーサ層16は電流狭窄構造(CCP構造)を有する。電流狭窄効果により素子抵抗およ
びMR変化率を増大させることができる。
(少なくとも2倍以上の酸素や窒素の含有量の差がある)、一般的には結晶相である。結
晶相は非結晶相よりも抵抗が小さいため、電流パス162として機能しやすい。
て酸化されないように保護するバリア層としての機能を有する。
しも上部金属層17を設けなくてもよい。しかし、製造上のマージンを考慮すると、スペ
ーサ層16上に上部金属層17を形成することが好ましい。
できる。上部金属層17の材料は、スペーサ層16の電流パス162の材料と同一である
ことが好ましい。上部金属層17の材料が電流パス162の材料と異なる場合には界面抵
抗の増大を招くが、両者が同一の材料であれば界面抵抗の増大は生じない。
。上部金属層17が厚すぎると、スペーサ層16で狭窄された電流が上部金属層17で広
がって電流狭窄効果が不十分になり、MR変化率の低下を招く。
えば、界面にCoFeを挿入してNiFeを用いたCo90Fe10[1nm]/Ni83Fe
17[3.5nm]という3層を用いてもよい。高いMR変化率を得るためには、スペーサ
層16の界面に位置するフリー層18の磁性材料の選択が重要である。この場合、スペー
サ層16との界面には、NiFe合金よりもCoFe合金を設けることが好ましい。なお
、NiFe層を用いない場合には、Co90Fe10[4nm]を用いることができる。
。Co90Fe10近傍のCoFe合金を用いる場合には、膜厚を0.5〜4nmとすること
が好ましい。
nm程度の極薄Cu層とを、複数層交互に積層したものを用いてもよい。
から形成される場合には、bccのFeCo層をスペーサ層16との界面材料として用い
るとMR変化率が大きくなるので、スペーサ層16との界面材料として、fccのCoF
e合金の換わりにbccのFeCo合金を用いることもできる。この場合にはbcc層が
形成されやすい、FexCo100−x(x=30〜100)や、これに添加元素を加え
た材料も用いることができる。
、STIノイズの抑制を図ることができる。この詳細は後述する。
ば、複数の金属層、例えば、Cu層とRu層の2層構造とすることができる。このときC
u層の膜厚は0.5〜10nm程度が好ましい。また、Ru層の膜厚を0.5〜10nm
程度とすることができる。
ー層18上に直接設けてもよい。また、Ru層の代わりに他の金属層を設けてもよい。キ
ャップ層19の構成は特に限定されず、キャップとしてスピンバルブ膜を保護可能なもの
であれば、他の材料を用いてもよい。
上電極20との間に電圧が印加されることで、スピンバルブ膜内部をその膜垂直方向に沿
って電流が流れる。
ダンピングファクタ調整層21はSTIノイズを低減するための層である。前述したよ
うに、磁化方向を動かそうとするトルクによって、STIノイズが発生する。スピントル
クを持った電子(簡易的な言い方をすると、磁性層の磁化情報をもった電子)がピン層1
4からフリー層18もしくはその逆向きに流れることで、磁化情報を互いに平行に揃える
方向、もしくは反平行の向きに揃えるトルクが発生し、このトルクがノイズの原因となる
。このような磁化方向を動かそうとするトルクを抑制すること(電流通電による磁化トル
クを安定させること)がSTIノイズの低減に有効である。このトルクへのダンピングを
表すパラメータがダンピングファクタである。
R変化率を高い値に維持することが可能である。具体的な手法として、CCP−CPPス
ピンバルブ膜の磁性層中に、ダンピングファクタ調整層21として、例えば、0.5nm
程度の極薄のPt層を挿入する。これによりスピントランスファートルク現象、ひいては
STIノイズが抑制される。
3d遷移金属の極薄層を用いることが、ダンピングファクタを上昇させるために有効であ
る。ダンピングファクタ調整層21は、ピン層14、またはフリー層18に挿入される。
混入させることは、弊害をもたらす危険性がある。具体的には、大きな原子番号を有する
材料を磁性層に混入させると、スピン軌道相互作用によってGMR効果が減少する。特に
、メタルCPPスピンバルブ膜においては、GMR効果への影響が顕著である。これは、
CPP−GMRでは、スピン依存界面散乱効果とスピン依存バルク散乱効果の二つがある
が、通常のメタルCPPスピンバルブ膜ではスピン依存バルク散乱効果の方が顕著である
ことに起因する。
界面におけるGMR効果であり、界面近傍のみで生じる現象である。それに対し、スピン
依存バルク散乱効果は、ピン層14、もしくはフリー層18の磁性層内部で生じるGMR
効果である。スピン依存バルク散乱効果は磁性層内での現象であるため、磁性層の膜厚が
厚いほうが、スピン依存バルク散乱効果が大きくなり、MR変化率が大きくなる。
現象は小さく、GMR現象のほとんどがスピン依存バルク散乱効果に起因する(非特許文
献3:H. Yuasa et al., J. Appl. Phys. 92 (5), 2646 (2002))。この非特許文献3の
Fig5で、磁性層膜厚がゼロの極限でのAdR(面積抵抗変化量)に比べて(この値が
スピン依存界面散乱効果に相当)、磁性層膜厚が厚いところでのAdRのほうがはるかに
大きいこと(磁性層膜厚が厚いところではスピン依存界面散乱効果とスピン依存バルク散
乱効果の和をみていることになる)から、この事実を理解することができる。
が非常に大きい。このため、スピン依存バルク散乱効果を低下させる大きな原子番号の材
料を磁性層に挿入することは、MR変化率の低下、ひいてはヘッド出力の低下、という観
点において好ましくない。即ち、低STIノイズと高出力の両立が困難である。このよう
に、通常のメタルスペーサ層16を有するメタルCPPスピンバルブ膜において、大きな
原子番号の元素をピン層14もしくはフリー層18の磁性層に挿入するのは好ましい手法
とは言いにくい。
スピン依存界面散乱効果の影響のほうがはるかに大きい(非特許文献4:H. Fukuzawa et
al., Appl. Phys. Lett. 87, 082507 (2005))。これは、スピンバルブ膜のトータル抵
抗に占める、CCP部分の寄与が非常に大きいため、CCP近傍での界面効果の影響が大
きいことに起因する。つまり、CCP−CPPスピンバルブ膜においては、多少のスピン
依存バルク散乱効果の低下があったとしても、スピン依存界面散乱効果の低下が起こらな
ければ、MR変化率およびヘッド出力の低下は生じにくい。このため、低STIノイズと
高いMR変化率の両立を図ることが容易となる。
よって、MRを事実上低下させることなく、STIノイズを抑制することが可能となる。
,Pd,Ag,La,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Auなどの原子番号が
比較的大きな材料や、非磁性のTi、V、Cr、Mnなどの3d遷移金属も用いることが
できる。
ファクタ調整層21を介した上下磁性層間)での磁気結合が分断される可能性がある。ダ
ンピングファクタ調整層21を介した磁気結合を十分大きな値として保つためには、ダン
ピングファクタ調整層21の膜厚として、0.1〜1nm、さらに好ましくは0.1nm
〜0.7nmが好ましい。
されていても差し支えない。
少を招き好ましくない。スペーサ層16から少なくとも1nm以上離れた位置に、ダンピ
ングファクタ調整層21を挿入することが好ましい。即ち、MR変化率への影響を考慮し
、スペーサ層16からある程度離れた位置にダンピングファクタ調整層21を配置する。
クタ調整層21が配置されることによって、スピン依存界面散乱効果には悪影響を与える
ことなく、ダンピングファクタを抑制することができる。つまり、CCP−CPPの場合
にはMR変化率を犠牲にすることなく、効率的にSTIノイズを抑制することが可能とな
る。
クタ調整層21を挿入することも可能である。具体的には、Ti、Zr、PdやNbなど
をダンピングファクタ調整層21として用いたときには、比較的スピン依存界面散乱効果
の影響を乱すことがないので、スペーサ層16との界面から1nm以下の領域にダンピン
グファクタ調整層21を挿入しても構わない。より具体的には、スペーサ層16との界面
(つまり界面から0nmの距離)から1nmまでの距離における挿入位置でも用いること
ができる。当然のことながら、これらの材料は、それよりも離れた距離など、任意の位置
に挿入することが可能ある。
どの材料はダンピングファクタ調整層21として用いやすい材料である。
複数層挿入しても構わない。この場合には、上記Ti、Zr、Nbなどの材料を用いると
きはスペーサ層16からの距離が1nm以下のところに第一層を挿入し、Pt等他の元素
のときにはスペーサ層16からの距離が1nmよりも離れたところに第一層を挿入する。
位置に挿入することになる。これら第1層と第2層、もしくは第2層と第3層との間の距
離は、1nmから2nm程度が好ましい範囲である。しかし、厚い磁性層を用いる場合に
はこの範囲よりも厚い間隔で用いることも可能である。
ことのメリットとして、ダンピングファクタ調整の効果、ひいてはノイズ低減の効果がよ
り増大する点がある。ダンピングファクタ調整層21を複数層挿入するのは、フリー層1
8だけの場合でもよいし、ピン層14だけの場合でもよく、またピン層14、フリー層1
8両方を積層構成にしても構わない。
したり、ダンピングファクタ調整層21を介した磁性層間の磁気結合が弱まったりするこ
とで、磁気特性が悪くなる可能性がある。磁気特性を防止するため、フリー層18、もし
くはピン層14内でのダンピングファクタ調整層21の膜厚の総量が、一層の場合と同様
の膜厚範囲であることが好ましい。また、一つの磁性層内での複数のダンピングファクタ
調整層21間の距離としては、上述したように、1〜2nmが好ましい範囲となる。
層(ピン層14、フリー層18)の構成材料自体に、ST効果が抑制されるような材料(
例えば、合金材料)を選択することが考えられる。
ルブ膜ではスペーサ層16の界面近傍でのMR効果が大きく、この界面近傍にMR変化率
を低下させるような添加元素が存在することは好ましくない。
層14、フリー層18)の内部に極薄の層(ダンピングファクタ調整層21)を挿入する
ことでST効果を抑制できる。このようにすることで、ST効果の抑制と、MR変化率の
維持とを両立することが容易となる。
元素として用いた場合を考える。フリー層18として用いる、CoFe/NiFeのよう
な積層磁性層に、Ptを全体的に添加すると、CoFePt/NiFePtのフリー層1
8となる。この場合、ダンピングファクタが上昇し、STIノイズを抑制することができ
る。しかし、その一方では、MR変化率が低下するため、ヘッド出力の低下を招くことに
なる。具体的には、Pt添加しないフリー層においては、9%であったMR変化率が、P
tを添加したフリー層においては、4%となり、MR変化率が大幅に低下してしまう。
することで、大きなスピン依存界面散乱効果を維持したままで、ダンピングファクタ調整
する効果が発揮される。具体的には、0.5nmの極薄Pt層をNiFe層中に挿入する
ことで、MR変化率は8.5%と若干低下するが、さほど大きな低下ではなく、かつST
Iノイズを大幅に抑制することが可能となる。即ち、本実施形態では、MR変化率が微減
して信号出力が微減する影響よりも、ノイズが低減することでS/N比が向上するメリッ
トの方が大きく、結果的にBER(Bit Error Rate)が低下し、良好な特性を得ることが
可能となる。
CCP構造を有しないメタルCPPスピンバルブ膜の場合には、スピン依存界面散乱効
果が主ではなく、スピン依存バルク散乱効果が非常に大きな寄与となっている。このため
、スペーサ層16の界面から遠ざかったところに極薄のPt層を挿入したとしても、MR
変化率は低下してしまい、ダンピングファクタ調整層21としての機能を発揮することが
できない。
る通常のメタルCPPスピンバルブ膜で、標準的なCoFe/NiFeフリー層の場合に
は、MR変化率は2%である。このとき、NiFe層中に0.5nmの極薄Pt層等を挿
入すると、MR変化率は1%になってしまう。単純なメタルCPPスピンバルブ膜の場合
には、もともとのMR変化率が1〜3%とただでさえ小さい値で、磁気ヘッドとして十分
な出力を取りにくい。そして、このメタルCPPスピンバルブ膜にダンピングファクタ調
整層21を挿入することによるMR変化率の劣化量は、CCP−CPPの場合よりも大き
い。このため、トータルパフォーマンスとしては、メタルCPPスピンバルブ膜のダンピ
ングファクタ調整層21として、極薄Pt層を用いることは困難である。
ことで、大きな効果が発揮される。
基本となるCCP−CPPスピンバルブ膜を固定し、ダンピングファクタ調整層21を
変えたときのMR変化率への影響を検討する。
しては以下のような構成を用いて検討した。まず、ピン層143として、2〜3nmのF
e50Co50に、0.2nmの極薄Cuを1nmのFeCoごとに積層したものを用い
た。スペーサ層16は、CCP構造を有するAl2O3を絶縁層として用い、Cuをメタ
ルパスとして用いた1.5〜2nmのスペーサ層16とした。フリー層18としては、C
oFe 1nm/NiFe 3.5nmを基本膜構成とした。
この表1は、ダンピングファクタ調整層21をフリー層18のみに挿入した場合の、材
料、および挿入位置(距離:CCP界面からの距離)へのMR変化率の依存性を表す。な
お、比較例0は、ダンピングファクタ調整層21を有しない場合である。
層16の界面に挿入した場合には、MR変化率は大きく減少し、有効とはいえない。通常
は、スペーサ層16の界面から1nm以上離れた位置にダンピングファクタ調整層21を
挿入することが望ましい。
ペーサ層16の界面近傍に挿入してもMR変化率の減少の程度は比較的小さく、界面近傍
においても用いることができる。しかしながら、界面よりも磁性層内部に挿入した場合の
ほうが、MR変化率減少への影響が少なくなるので、MR変化率の観点からは望ましい。
けるかが最適化される。媒体の磁界に対する磁化応答はフリー層18が担い、ピン層14
は媒体磁界の向きによらず磁化固着されているため、フリー層18にダンピングファクタ
調整層21を挿入することがSTIノイズ低減に有効である。よって、実施例1〜11の
ようにフリー層18に挿入することが、MR変化率と、STIノイズ低減とが両立する構
成として好ましい。
表2に示す。この場合も材料への依存性は定性的には実施例1〜11と同様である。しか
しながら、ピン層14の場合にはスピン依存界面散乱効果が大きなbcc−FeCoを用
いていることで、スピン依存界面散乱効果の上昇程度が大きい。このため、ダンピングフ
ァクタ調整層21を挿入することによるMR変化率の減少へのダメージはフリー層18の
場合よりも大きくなる。
ピン層14、フリー層18ともに挿入した場合の実施例41〜51を表3に示す。傾向
はこれまでと同様であり、ピン層14のみ、フリー層18のみに挿入した場合と比較する
と、MR変化率の減少度合いは大きくなるが、STIノイズ抑制効果は大きくなる。
(磁気抵抗効果素子の製造方法)
以下、本実施の形態における磁気抵抗効果素子の製造方法についてより詳細に説明する
。
ある。
た、図4は、この成膜装置中の酸化チャンバー60を表す模式図である。
ー51、プレクリーニングチャンバー52、第1の金属成膜チャンバー(MC1)53、
第2の金属成膜チャンバー(MC2)54、酸化チャンバー(OC)60がそれぞれゲー
トバルブを介して設けられている。この成膜装置では、ゲートバルブを介して接続された
各チャンバーの間で、真空中において基板を搬送することができるので、基板の表面は清
浄に保たれる。
は、DCマグネトロンスパッタ、RFマグネトロンスパッタ等のスパッタ法や、イオンビ
ームスパッタ法、蒸着法などが挙げられる。
チャンバー60にはマスフローコントローラー(MFC)63により流量制御された酸素
ガスが酸素供給管62から導入される。
、ICP(Inductive coupled plasma)型、Capacitive coupled plasma型、ECR(Ele
ctron-cyclotron resonance)型、カウフマン型などが挙げられる。
ンソース70からのイオン放出口には、イオン加速度を調整する3枚のグリッド71、7
2、73が設けられている。イオンソース70の外側にはイオンを中和するニュートララ
イザ74が設けられている。基板ホルダー80は傾斜可能に支持されている。基板1への
イオンの入射角度は広い範囲で変えることができるが、典型的な入射角度の値は15°〜
60°である。
金属層15、スペーサ層16、上部金属層17、フリー層18、キャップ層19、上電極
20を順に形成する。なお、形成の順序をこの逆とすることも可能である。
、54で、酸化を酸化チャンバー60でそれぞれ行う。金属成膜チャンバーの到達真空度
は1×10−8Torr以下とすることが好ましく、5×10−10Torr〜5×10
−9Torr程度が一般的である。搬送チャンバー50の到達真空度は10−9Torr
オーダーである。酸化チャンバー60の到達真空度は8×10−8Torr以下である。
せず)上に、下電極11を形成する。
する。既述のように、Taは下電極の荒れを緩和したりするためのバッファ層12aであ
る。Ruはその上に成膜されるスピンバルブ膜の結晶配向および結晶粒径を制御するシー
ド層12bである。
、PdPtMn、IrMn、RuRhMnなどの反強磁性材料を用いることができる。
ピニング層13上にピン層14を形成する。ピン層14は、例えば、下部ピン層141(
Co90Fe10)、磁気結合層142(Ru)、および上部ピン層143(Co90F
e10[4nm])からなるシンセティックピン層とすることができる。
タ調整層21を挿入することができる。具体的には、成膜材料をCo90Fe10からP
tに切り換えて、またCo90Fe10に戻すことで、上部ピン層143中にPtからな
るダンピングファクタ調整層21が挿入される。
次に、電流狭窄構造(CCP構造)を有するスペーサ層16を形成する。スペーサ層1
6を形成するには、酸化チャンバー60を用いる。
構造を有するAl2O3からなる絶縁層161中に金属結晶構造を有するCuからなる電流
パス162を含むスペーサ層16を形成する場合を例に説明する。
成膜した後、下部金属層15上に絶縁層に変換される被酸化金属層(例えばAlCuやA
l)を成膜する。
処理をPIT(Pre-ion treatmentという)。このPITの結果、被酸化金属層中に下部
金属層の一部が吸い上げられて侵入した状態になる。
酸化金属層をAl2O3からなる絶縁層161に変換するとともに、絶縁層161を貫通す
る電流パス162を形成して、スペーサ層16を形成する。
ス(例えば酸素)を供給して被酸化金属層を酸化する(イオンビームアシスト酸化(IA
O:Ion beam-assisted Oxidation))。この酸化処理により、絶縁層161であるAl2
O3と電流パス162であるCuとが分離した形態のスペーサ層16が形成される。Al
が酸化されやすく、Cuが酸化されにくいという、酸化エネルギーの差を利用した処理で
ある。
ステップS14)
スペーサ層16の上に、上部金属層17として、例えば、Cu[0.25nm]を成膜
する。
17[3.5nm]を形成する。
整層21を挿入することができる。具体的には、成膜材料をNi83Fe17からPtに切り
換えて、またNi83Fe17に戻すことで、フリー層18のNi83Fe17中にPtからなる
ダンピングファクタ調整層21が挿入される。
フリー層18の上に、キャップ層19として例えば、Cu[1nm]/Ru[10nm
]を積層する。キャップ層19の上にスピンバルブ膜へ垂直通電するための上電極20を
形成する。
本発明の実施例の一例として、以下のような構成を挙げることができる。この実施例で
は、上部ピン層143中、およびフリー層18のFe50Co50層中に、ダンピングフ
ァクタ調整層21として、0.5nmのPt層を配置している。ダンピングファクタ調整
層21を用いることで、RAが300〜1000mm2で、MR変化率が8〜15%とい
う高い値を保持しつつ、STIノイズを抑制することが可能となる。
・下地層12:Ta[5nm]/Ru[2nm]
・ピニング層13:Pt50Mn50[15nm]
・ピン層14:Co90Fe10[4nm]/Ru[0.9nm]/Fe50Co50[
2nm]/Pt0.5nm/Fe50Co50[2nm]
・下部金属層15:Cu[0.5nm]
・スペーサ層(CCP−NOL)16:Al2O3からなる絶縁層161およびCuから
なる電流パス162(Al90Cu10[0.9nm]を成膜した後、酸化処理)
・上部金属層17:Cu[0.25nm]
・フリー層18:Co90Fe10[1nm]/Ni83Fe17[1nm]/Pt[0
.5nm]/Ni83Fe17[1nm]
・キャップ層19:Cu[1nm]/Ru[10nm]
・ 上電極20
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る磁気抵抗効果素子(CCP−CPP素子)を
表す斜視図である。
よびこれを上下から夾む下電極11および上電極20を有し、図示しない基板上に構成さ
れる。
5、スペーサ層(CCP−NOL)16、上部金属層17、フリー層18a、キャップ層
19が順に積層されて構成される。磁気抵抗効果膜10aは、本質的に磁気抵抗効果膜1
0と異なる訳ではないので、これら下地層12〜キャップ層19の詳細な説明は省略する
。
に電子乱反射層(Diffusive Electron Scattering Layer: DESL)22を配置することで
、STIノイズの低減を図っている。第1の実施形態と異なり、ピン層14aには電子乱
反射層22は配置していない。
電子乱反射層22で電子を乱反射させることで、強磁性層(フリー層18a)の外側界面
(スペーサ層16とは反対側の界面)での電子反射を制限し、ST効果、ひいてはSTI
ノイズを抑制することができる。なお、電子乱反射層22をキャップ層19に含めて考え
ることも可能である。
ルファス材料のアモルファス構造によって、電子を乱反射させ、STIノイズが抑制され
る。
単体金属、またはこれらの元素を少なくとも50%以上含む合金材料を用いることができ
る。非磁性アモルファス材料として、AlBや、AlSiB、AlSiなどの合金組成に
よるアモルファス材料を用いても良い。
ズを抑制するため、電子乱反射層22が結晶構造を有することは好ましくない。電子乱反
射層22内の結晶化を抑制するために、電子乱反射層22がある程度薄い方が好ましい。
体的には、電子乱反射層22の厚さとして0.5〜5nmが好ましく、1〜3nmがより
好ましい。
よって、電子の乱反射を発生させ、STIノイズを抑制できる。
ある少なくとも二種以上の合金材料を2層にわけて積層し、その界面に固溶なミキシング
層を形成できる。相互に固溶な材料の組み合わせとして、CuとAl(CuAl合金を形
成)、CuとNi(CuNi合金を形成)などが挙げられる。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る磁気抵抗効果素子の製造工程を表すフロー図
である。
と異なる。これ以外の点では、図6は図2と本質的に異なる訳ではないので、以下、電子
乱反射層22の形成のみを説明する。
れかを適用できる。
既述のTaなどの単体金属、これらの元素を少なくとも50%以上含む合金材料、Al
Bなどの合金材料を成膜することで、非磁性アモルファス材料の層が形成される。この成
膜にDCマグネトロンスパッタ、RFマグネトロンスパッタ等のスパッタ法や、イオンビ
ームスパッタ法、蒸着法を用いることができる。
する手段を成膜時に適用しなくても差し支えない。
1)既述のように、相互に固溶な関係にある少なくとも二種以上の合金材料を第1層、
第2層にわけて積層することで、その界面に固溶なミキシング層を形成できる。この積層
にDCマグネトロンスパッタ、RFマグネトロンスパッタ等のスパッタ法や、イオンビー
ムスパッタ法、蒸着法を用いることができる。
.5nm、順に積層する。AlとCuは互いに固溶な関係にあるため、その界面において
ミキシング層が形成され、このミキシング層で電子が乱反射される。
、キャップ層19とすることができる(図6のステップS26)。
可能である。
としてCuを0.5nm成膜後、プラズマやイオンビーム等の処理をその表面に施す。表
面処理を施すことで、Al層とCu層の界面でのミキシング層の形成をエンハンス(促進
)できる。イオン等の入射エネルギーにより、Al層とCu層の界面の原子が移動し、入
り交じることで、ミキシング層の形成が促進される。
第1層の成膜後、第2層の成膜中に、表面処理を施すことができる。
ができる。このとき、希ガスのイオンの他に、中性原子も、この表面処理に寄与し得る。
界面に入射した際に、ある程度のエネルギーを有していれば、そのイオン化の有無を問わ
ず、界面の原子を移動させることができる。
の組み合わせの場合(例えば、NiとCu)でも有効である。
本発明の実施例の一例として、以下のような構成を挙げることができる。ここではキャ
ップ層19内のTa層が電子乱反射層22として機能する。即ち、ここでは電子乱反射層
22をキャップ層19に含めて考えている。フリー層18の内部にある非磁性層や、スペ
ーサ層16との界面にある非磁性層はダンピングファクタ調整層21として考えるが、フ
リー層18の最上部に積層された非磁性層はキャップ層19の一部とみなすことができる
。
を形成している。非特許文献3で示したように、FeCoはスピン依存界面散乱効果が大
きいため用いており、Cuを積層するのはスピン依存バルク散乱効果を向上させるためで
ある。
・下地層12:Ta[5nm]/Ru[2nm]
・ピニング層13:Pt50Mn50[15nm]
・ピン層14:Co90Fe10[4nm]/Ru[0.9nm]/(Fe50Co50
[1nm]/Cu[0.25nm])×2/Fe50Co50[1nm]
・下部金属層15:Cu[0.5nm]
・スペーサ層(CCP−NOL)16
・上部金属層17:Cu[0.25nm]
・フリー層18:Co90Fe10[1nm]/Ni83Fe17[3.5nm]
・キャップ層19:Ta[1nm]/Cu[10nm]
・上電極20
(磁気ヘッド)
図7および図8は、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を磁気ヘッドに組み込ん
だ状態を示している。図7は、磁気記録媒体(図示せず)に対向する媒体対向面に対して
ほぼ平行な方向に磁気抵抗効果素子を切断した断面図である。図8は、この磁気抵抗効果
素子を媒体対向面ABSに対して垂直な方向に切断した断面図である。
ed)構造を有する。磁気抵抗効果膜10は上述したCCP−CPP膜である。磁気抵抗効
果膜10の上下には、下電極11と上電極20とがそれぞれ設けられている。図7におい
て、磁気抵抗効果膜10の両側面には、バイアス磁界印加膜41と絶縁膜42とが積層し
て設けられている。図8に示すように、磁気抵抗効果膜10の媒体対向面には保護層43
が設けられている。
って矢印Aで示したように、膜面に対してほぼ垂直方向に通電される。また、左右に設け
られた一対のバイアス磁界印加膜41、41により、磁気抵抗効果膜10にはバイアス磁
界が印加される。このバイアス磁界により、磁気抵抗効果膜10のフリー層18の磁気異
方性を制御して単磁区化することによりその磁区構造が安定化し、磁壁の移動に伴うバル
クハウゼンノイズ(Barkhausen noise)を抑制することができる。
度の磁気再生が可能となる。
図7および図8に示した磁気ヘッドは、記録再生一体型の磁気ヘッドアセンブリに組み
込んで、磁気記録再生装置に搭載することができる。
ち、本発明の磁気記録再生装置150は、ロータリーアクチュエータを用いた形式の装置
である。同図において、磁気ディスク200は、スピンドル152に装着され、図示しな
い駆動装置制御部からの制御信号に応答する図示しないモータにより矢印Aの方向に回転
する。本発明の磁気記録再生装置150は、複数の磁気ディスク200を備えたものとし
てもよい。
のサスペンション154の先端に取り付けられている。ヘッドスライダ153は、上述し
たいずれかの実施形態に係る磁気抵抗効果素子を含む磁気ヘッドをその先端付近に搭載し
ている。
気ディスク200の表面から所定の浮上量をもって保持される。あるいはスライダが磁気
ディスク200と接触するいわゆる「接触走行型」であってもよい。
ュエータアーム155の他端には、リニアモータの一種であるボイスコイルモータ156
が設けられている。ボイスコイルモータ156は、ボビン部に巻かれた図示しない駆動コ
イルと、このコイルを挟み込むように対向して配置された永久磁石および対向ヨークから
なる磁気回路とから構成される。
いボールベアリングによって保持され、ボイスコイルモータ156により回転摺動が自在
にできるようになっている。
ク側から眺めた拡大斜視図である。すなわち、アセンブリ160は、アクチュエータアー
ム155を有し、アクチュエータアーム155の一端にはサスペンション154が接続さ
れている。サスペンション154の先端には、上述したいずれかの実施形態に係る磁気抵
抗効果素子を含む磁気ヘッドを具備するヘッドスライダ153が取り付けられている。サ
スペンション154は信号の書き込みおよび読み取り用のリード線164を有し、このリ
ード線164とヘッドスライダ153に組み込まれた磁気ヘッドの各電極とが電気的に接
続されている。図中165はアセンブリ160の電極パッドである。
、高い記録密度で磁気ディスク200に磁気的に記録された情報を確実に読み取ることが
可能となる。
次に、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を搭載した磁気メモリについて説明す
る。すなわち、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を用いて、例えばメモリセルが
マトリクス状に配置されたランダムアクセス磁気メモリ(MRAM: magnetic random a
ccess memory)などの磁気メモリを実現できる。
。この図は、メモリセルをアレイ状に配置した場合の回路構成を示す。アレイ中の1ビッ
トを選択するために、列デコーダ350、行デコーダ351が備えられており、ビット線
334とワード線332によりスイッチングトランジスタ330がオンになり一意に選択
され、センスアンプ352で検出することにより磁気抵抗効果膜10中の磁気記録層(フ
リー層)に記録されたビット情報を読み出すことができる。ビット情報を書き込むときは
、特定の書き込みワード線323とビット線322に書き込み電流を流して発生する磁場
を印加する。
る。この場合、マトリクス状に配線されたビット線322とワード線334とが、それぞ
れデコーダ360、361により選択されて、アレイ中の特定のメモリセルが選択される
。それぞれのメモリセルは、磁気抵抗効果素子10とダイオードDとが直列に接続された
構造を有する。ここで、ダイオードDは、選択された磁気抵抗効果素子10以外のメモリ
セルにおいてセンス電流が迂回することを防止する役割を有する。書き込みは、特定のビ
ット線322と書き込みワード線323とにそれぞれに書き込み電流を流して発生する磁
場により行われる。
図13のA−A’線に沿う断面図である。これらの図に示した構造は、図11または図1
2に示した磁気メモリに含まれる1ビット分のメモリセルに対応する。このメモリセルは
、記憶素子部分311とアドレス選択用トランジスタ部分312とを有する。
、324とを有する。磁気抵抗効果素子10は、上述した実施形態に係る磁気抵抗効果素
子(CCP−CPP素子)である。
して接続されたトランジスタ330が設けられている。このトランジスタ330は、ゲー
ト332に印加される電圧に応じてスイッチング動作をし、磁気抵抗効果素子10と配線
334との電流経路の開閉を制御する。
交する方向に設けられている。これら書き込み配線322、323は、例えばアルミニウ
ム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、タンタル(Ta)あるいはこれらいずれ
かを含む合金により形成することができる。
ときは、配線322、323に書き込みパルス電流を流し、それら電流により誘起される
合成磁場を印加することにより磁気抵抗効果素子の記録層の磁化を適宜反転させる。
子10と、下電極324とを通してセンス電流を流し、磁気抵抗効果素子10の抵抗値ま
たは抵抗値の変化を測定する。
CP−CPP素子)を用いることにより、セルサイズを微細化しても、記録層の磁区を確
実に制御して確実な書き込みを確保でき、且つ、読み出しも確実に行うことができる。
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張、変更可能であり、拡張、変更した
実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
や材質に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施
し、同様の効果を得ることができる。
ルドを付与することにより、磁気ヘッドの検出分解能を規定することができる。
ッドあるいは磁気再生装置についても適用できる。
ものでも良く、一方、記録媒体が差し替え可能ないわゆる「リムーバブル」方式のもので
も良い。
て、当業者が適宜設計変更して実施しうるすべての磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド、磁気
記憶再生装置および磁気メモリも同様に本発明の範囲に属する。
ニング層、14…ピン層、141…下部ピン層、142…磁気結合層、143…上部ピン
層、15…下部金属層、16…スペーサ層、161…絶縁層、162…電流パス、17…
上部金属層、18…フリー層、19…キャップ層、20…上電極、21…ダンピングファ
クタ調整層、22…電子乱反射層
Claims (8)
- 磁化方向が実質的に一方向に固着される磁化固着層と、
前記磁化固着層上に配置され、かつ絶縁層と、この絶縁層の層方向に電流を通過させる
導電体と、を有する非磁性層と、
前記非磁性層上に配置され、かつ磁化方向が外部磁界によって変化する磁化自由層と、
前記磁化自由層上に配置され、電子を乱反射する電子乱反射層と、
を具備する磁気抵抗効果素子。 - 前記電子乱反射層が、非磁性アモルファス層を含む請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記電子乱反射層が、第1、第2の元素をそれぞれ有する第1、第2の非磁性層、および
前記第1、第2の非磁性層の境界に配置され、前記第1、第2の元素を有する混合層を含
む請求項1記載の磁気抵抗効果素子。 - 前記混合層の厚さが0.5nm以上、1.5nm以下である請求項3記載の磁気抵抗効
果素子。 - 前記磁化自由層、または磁化固着層の層平面上での大きさが100nm以下である請求
項1記載の磁気抵抗効果素子。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を具備する磁気抵抗効果ヘッ
ド。 - 請求項6記載の磁気抵抗効果ヘッドを具備する磁気記憶装置。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を具備する磁気メモリ。
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