JP2012058039A - キャピラリー電気泳動法による試料の分析方法、キャピラリー電気泳動装置及びキャピラリー電気泳動用チップ - Google Patents

キャピラリー電気泳動法による試料の分析方法、キャピラリー電気泳動装置及びキャピラリー電気泳動用チップ Download PDF

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Abstract

【課題】試料中に含まれる標的物質をより精度高く且つ簡便に検出可能なキャピラリー電気泳動法による分析方法、キャピラリー電気泳動装置及びこれらに適用可能なキャピラリー電気泳動用チップを提供する。
【解決手段】標的分子を含みうる試料中の成分分離を、複数の分離モードを連続的に適用して行うキャピラリー電気泳動法による試料の分析方法と、標的分子を含みうる試料に対して、複数の分離モードを連続的に適用可能な流路を備えたキャピラリー電気泳動装置(10)と、このキャピラリー電気泳動装置に適用可能なキャピラリー電気泳動用チップ(12)。
【選択図】図1A

Description

本発明は、キャピラリー電気泳動法による試料の分析方法、キャピラリー電気泳動装置及びキャピラリー電気泳動用チップに関する。
生物機能を分子レベルで明らかにするために、生体内のタンパク質、ペプチド、核酸、アミノ酸、糖質及び神経伝達関連物質などの生体関連物質を解析又は分析することが行われている。また、臨床検査などにおいても、血中の特定タンパク質などを、その物理化学的性質に基づいて正確に且つ効率よく検出することが求められている。このような物質の分析には、薄層クロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーなども用いられるが、必要となる試料の量が少量ですむことや、装置の小型化が可能であること、及び簡便性などの観点から、キャピラリー電気泳動法に対する期待が大きい。より高い精度や効率化の観点から、種々のキャピラリー電気泳動装置が開発されている。
キャピラリー電気泳動法による分析装置としては、例えば、特許文献1には、カルボン酸を含む泳動液に生体関連物質を可溶化するステップを含む電気泳動方法による分離分析方法が開示されている。この方法によれば、核酸又はタンパク質等の分離及び検出感度を上げることができることが記載されている。
また、特許文献2には、小型化及び分析時間の短縮が可能で且つ高精度で糖化ヘモグロビンの解析が可能な特定形状の電気泳動チップ及び電気泳動装置が開示されている。
特開2009−168541号公報 国際公開第2008/139866号パンフレット
一般に、キャピラリー電気泳動法による分析の対象となる試料、例えば血液試料中には種々の物質が混在しており、目的分子の他に同様の物理化学的な性質を有する類似の分子も含まれていることが多い。このような類似の生体関連分子を、1つの分離モードでは分離しきれない場合がある。
本発明は、試料中に含まれる標的物質をより精度高く且つ簡便に検出可能なキャピラリー電気泳動法による分析方法、キャピラリー電気泳動装置及びキャピラリー電気泳動用チップを提供することを目的とする。
本発明のキャピラリー電気泳動法による試料の分析方法は、標的分子を含み得る試料中の成分分離を、複数の分離モードを連続的に適用して行うキャピラリー電気泳動法による試料の分析方法である。
本分析方法によれば、複数の分離モードを連続して適用するので、一の分離モードに連続して他の分離モードでの成分分離を行う。この結果、例えば、試料中の標的分子が、一の分離モードでは充分に分離されない成分であっても、簡便に次の分離モードに適用して充分な成分分離を行い、精度よくキャピラリー電気泳動法による試料の分析を行うことができる。
上記分析方法は、前記試料を、一次分離モードによって成分分離を可能とする一次流路に供給して、一次分離処理による一次分離試料を得ること、得られた前記一次分離試料を、前記一次流路に連続して設けられると共に、前記一次分離モードとは異なる二次分離モードによって成分分離を可能とする1以上の二次流路に供給して、1以上の二次分離処理を行うこと、を含む方法であることが好ましい。
この態様では、複数の分離モードを、一次分離モードと二次分離モードとして、それぞれ一次流路及び二次流路が対応しているので、それぞれの流路に連続的に試料を供給することにより、簡便に精度よい分析を行うことができる。
前記一次分離モードと前記二次分離モードの組み合わせは、(1)互いに異なるイオン性基に基づく電気浸透流で成分分離を行う分離モードの組み合わせと、(2)イオン性基に基づく電気浸透流で成分分離を行う分離モード及び、前記試料中の成分の分離を促進させる分離促進剤を使用する分離モードの組み合わせとの少なくとも一方を含むものであってもよい。
互いに異なるイオン性基に基づく電気浸透流による分離モードの組み合わせとした場合には、イオン性基を選択することによって適切な成分分離を行うことができ、一方、イオン性基に基づく電気浸透流に基づく分離モードと、分離促進剤を使用する分離モードとの組み合わせとした場合には、種々の分離促進剤による分離を効果的に組み合わせた分離モードとすることができる。これらにより、目的とする試料中の標的成分の性質に基づいて、より精度よい分離モードの組み合わせを選択することができる。なお、二次分離モードは1つ以上あればよいため、上記(1)及び(2)の組み合わせの双方を適用してもよく、容易に多段階での成分分離を適用することができる。
本発明のキャピラリー電気泳動装置は、標的分子を含み得る試料に対して、複数の分離モードを連続的に適用可能な流路を備えたキャピラリー電気泳動装置である。
本キャピラリー電気泳動装置によれば、複数の分離モードを連続して適用可能な流路を有するので、流路に試料を供給することによって、一の分離モードに連続して他の分離モードでの成分分離を行うことができる。この結果、例えば、一の分離モードでは充分に分離されない成分があっても、他の流路に供給して、簡便に次の分離モードに適用して充分な成分分離を行い、精度よくキャピラリー電気泳動法による試料の分析を行うことができる。
また、前記キャピラリー電気泳動装置は、前記試料に対して、一次分離モードによって成分分離を行って一次分離試料を得るための一次流路と、前記一次流路に連続して設けられると共に、前記一次分離試料に対して、前記一次分離モードとは異なる二次分離モードによって成分分離するための1以上の二次流路と、を備えたものであることが好ましい。
これにより、一次流路と二次流路とが連続して設けられているので、一次流路と二次流路とに試料を連続的に供給することにより、簡便に且つ精度よく、試料の分析を行うことができる。
また、前記一次流路及び前記二次流路それぞれの前記試料との接触面が、互いに異なるイオン性基によって被覆されていてもよく、又は、前記一次分離試料を分離するための分離促進液を当該二次流路へ供給する分離促進液供給路を更に備え、前記一次流路及び二次流路の一方が、その試料との接触面をイオン性基によって被覆されており、前記一次流路及び二次流路の他方が、前記分離促進液供給路に接続されているものであってもよい。
これにより、目的とする試料中の成分の性質に基づいて、より精度よい分離モードの組み合わせを選択することができる。
また、上記キャピラリ電気泳動方法又はキャピラリー電気泳動装置において、前記一次流路と前記二次流路とは、試料の泳動方向に沿って連続していてもよく、交差していてもよい。
一次流路及び二次流路が泳動方向に沿って連続したものである場合には、上述したように、泳動方向を切り換える必要がなく、例えば、泳動方向の切り換え手段を特に必要としないため、装置構成を簡略化することができる。また、一次流路と二次流路とが交差している場合には、上述したように、例えば、複数の分離モードを一次流路の幅に沿って配列することができるため、泳動方向に連続して配置させるよりも装置構成を小型化することができる。
なお、前記二次流路は1つ以上あればよいので、1の二次流路は一次流路に泳動方向に沿って連続したものとし、他の二次流路は一次流路に直行したものとしてもよい。
また、上記のキャピラリー電気泳動方法及びキャピラリー電気泳動装置は、前記一次分離試料中の標的成分の分離状態を表す量が所定値未満のときに、前記一次分離試料の前記二次流路への供給を行って二次分離処理を行うものであってもよい。
これにより、標的成分の分離状態に基づいて選択的に二次流路への供給を行って二次分離処理を行うので、必要に応じて二次分離処理を行うことができ、例えば、分析処理全体としての効率を高めることができる。
なお、分離状態を示す量は、標的分子の種類又は試料の種類などによって異なるが、キャピラリー電気泳動法として成分分離の評価に通常用いられる量をそのまま適用すればよく、例えば、特定波長に基づく吸光度又は、溶液の濁度(透明度)等を挙げることができる。
更に、上記キャピラリー電気泳動装置は、温度調節機構を更に備えていることが好ましい。これにより、例えば、電気泳動中に発生したジュール熱による影響を最小限化することができる。この結果、例えば、試料中の標的成分の分離効率を高めることができ、また、同一試料の分離を繰り返し行った場合に、結果の再現性を高めることができる。
また、本発明のキャピラリー電気泳動装置における一次流路と二次流路とを、キャピラリー電気泳動用チップ上に設けてもよい。
本発明のキャピラリー電気泳動用チップは、標的分子を含み得る試料に対して、一次分離モードによって成分分離を行って一次分離試料を得るための上記の一次流路と、前記一次流路に連続して設けられると共に、前記一次分離試料に対して、前記一次分離モードとは異なる二次分離モードによって成分分離するための1以上の上記の二次流路と、を備えている。
これにより、上述したキャピラリー電気泳動装置用のチップとして取扱いしやすく、利便性を高めることができると共に、キャピラリー電気泳動用チップを試料毎に準備すればよいので、簡便に且つ精度よく試料の分析を行う本発明の試料分析方法を、より利便性よく行うことができる。
また、キャピラリー電気泳動用チップにおける一次流路及び二次流路は、上述したように、一次流路及び前記二次流路それぞれの前記試料との接触面が、互いに異なるイオン性基によって被覆されていてもよく、また、上述したように、前記一次分離試料を分離するための分離促進液を当該二次流路へ供給する分離促進液供給路を更に備え、前記一次流路及び二次流路の一方が、その試料との接触面をイオン性基によって被覆されており、前記一次流路及び二次流路の他方が、前記分離促進液供給路に接続されていてもよい。
これにより、上述したように、目的とする試料中の成分の性質に基づいて、より精度よい分離モードの組み合わせを選択することができる。
また、キャピラリー電気泳動用チップは、上述したように、前記1以上の二次流路が、前記一次流路に対して試料の泳動方向に沿って連続している前記二次流路と、前記一次流路と交差している前記二次流路と、の少なくとも一方を有することが好ましい。
一次流路及び二次流路が泳動方向に沿って連続したものである場合には、泳動方向を切り換える必要がないので、泳動方向の切り換え手段を有しないキャピラリー電気泳動装置にも用いることができる。また、一次流路と二次流路とが交差している場合には、上述したように、例えば、複数の分離モードを一次流路の幅に沿って配列することができるため、小型の装置にも用いることができる。
本発明によれば、試料中に含まれる標的物質をより精度高く且つ簡便に検出可能なキャピラリー電気泳動法による分析方法、キャピラリー電気泳動装置及びキャピラリー電気泳動用チップを提供することができる。
本発明の第1の実施形態にかかるキャピラリ電気泳動装置の概略平面図である。 図1AのI−I断面図である。 図1AのII−II断面図である。 本発明の第1の実施形態にかかる成分分離処理を説明するフローチャートである。 本発明の第2の実施形態にかかるキャピラリ電気泳動装置の概略平面図である。 本発明の第2の実施形態にかかる成分分離処理を説明するフローチャートである。 本発明の第3の実施形態にかかるキャピラリ電気泳動装置の概略平面図である。 本発明の第4の実施形態にかかるキャピラリ電気泳動装置の概略平面図である。 図6AのIII−III断面図である。 本発明の実施例によるヘモグロビンの電気泳動チャートである。 本発明の比較例1によるヘモグロビンの電気泳動チャートである。 本発明の比較例2によるヘモグロビンの電気泳動チャートである。
本発明の分析方法は、キャピラリー電気泳動法による試料の分析方法は、標的分子を含み得る試料中の成分分離を、複数の分離モードを連続的に適用して行うキャピラリー電気泳動法による試料の分析方法である。
本発明の分析方法では、複数の分離モードを連続的に適用可能な複数の流路を用いるので、一の分離モードのみの分析方法よりも精度が高く、また、複数の分離モードによる連続した分離を複数の流路を用いることによって行うので、複数の分離モードによる分離を簡便に行うことができる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても本工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
また、本発明において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本発明における「分離モード」とは、対象となる試料に含まれる複数の物質の物理化学的特性に基づいて分離するために設定された環境であって、キャピラリ内での泳動速度に影響する環境を意味する。従って、本発明において「分離モードが異なる」とは、試料中の物質の泳動速度に変化に拘わらず、試料中の物質に対して作用する物理化学的環境が異なることを意味する。
本発明に適用されるキャピラリー電気泳動法による分離モードとしては、キャピラリー電気泳動法で適用される分離モードであれば特に制限はなく、このような分離モードの種類としては、一般に、キャピラリーゾーン電気泳動、ミセル導電クロマトグラフィー、ゲル電気泳動及び等電点電気泳動の分離モードを挙げることができる。また、本発明では更に、それぞれの種類の分離モードにおいても、電機浸透流の速度、電気的特性、ゲルサイズ、若しくは、用いる緩衝液の種類、又はこれらの組み合わせなどの条件を変更することによって、試料中の成分に対する物理化学的環境が異なればよい。このような一般的な分離モードを複数適用する場合も、同一種類の分離モードによる異なる物理化学的環境下で成分分離を行う場合も、共に、本発明における「複数の分離モード」に包含される。
このような複数の分離モードとしては、例えば、特定のイオン性基に基づくキャピラリーゾーン電気泳動と、界面活性剤のような分離促進剤を使用したミセル導電クロマトグラフィーとの組み合わせのような、複数種類の分離モードを複数用いる場合や、アミノ基による電気浸透流及びスルホン酸基による電気浸透流のような2種以上のイオン性基を連続して用いたキャピラリーゾーン電気泳動を用いる場合などを挙げることができる。
このような複数の分離モードを連続的に適用可能な複数の流路を用いたキャピラリー電気泳動法としては、前記試料を、一次分離モードによって成分分離を可能とする一次流路に供給して、一次分離処理による一次分離試料を得ること(以下、一次分離処理工程という)、前記一次分離試料を、前記第一の流路に連続して設けられると共に、前記一次分離モードとは異なる他の分離モードによって成分分離を可能とする1以上の二次流路に供給して、1以上の二次分離処理を行うこと(以下、二次分離処理工程という)、を含むものであることが好ましい。
一次分離処理工程に続けて二次分離処理工程を行うことによって、簡便に連続した分離モードによる分析を行うことができる。
一次分離処理工程では、一次流路に試料を供給して一次分離処理を行い、一次分離試料が得られる。一次分離試料は、試料を電気泳動により成分分離した後の試料の一部分であって、一次流路に適用された分離モードに応じた電気浸透流の速度に従って分離された成分が含まれる画分を意味する。一次分離試料中には、泳動開始時には渾然一体となっていた試料中の成分の一部分が含まれる。
一次分離試料は、一次流路上の泳動開始点から所定距離の離れた特定の領域に存在する試料として捉えたものであってもよく、一次流路上に特定領域を設けて泳動開始から所定時間後に特定領域に存在する試料として捉えたものであってもよい。
二次分離処理工程では、一次分離試料を1以上の二次流路に供給して、一次分離モードに連続して二次分離モードによる成分分離を行う。これにより、一次分離モードによって分離された成分が、更に二次分離モードによる成分分離に供されて、より精度高く成分分離される。ここで、二次分離モードは、1つ以上あればよく、2つ以上あってよい。この場合には、一次分離試料を二次分離モードによって成分分離した後に、更に他の分離モードによる二次分離を行う。このときの他の分離モードは、直前の分離モードと異なっていればよい。
本発明のキャピラリー電気泳動法による分析方法には、連続的な複数の流路を設けると共に、この複数の流路に対して複数の分離モードを備えたキャピラリー電気泳動装置を適用することができる。
以下、本発明を適用可能なキャピラリー電気泳動装置を、具体例を挙げて説明する。
[第1の実施形態]
図1A〜図1Cには、本発明のキャピラリー電気泳動法によるキャピラリー電気泳動装置の一実施形態としてのキャピラリ電気泳動装置10が示されている。
電気泳動装置10は、第1のキャピラリ流路14及び第2のキャピラリ流路16を備えた電気泳動チップ12、高圧電源28、第1のスイッチ24、第2のスイッチ26、電極22a、22b、22c、22d、検出器30、及び、コンピュータを含むコントローラ40で構成されている。
電気泳動チップ12は、図示しないステージ上に着脱自在に配置されている。電気泳動チップ12において、一次分離モードによる成分分離を行う第1のキャピラリ流路14と、二次分離モードによる成分分離を行う第2のキャピラリ流路16とは、基板18に、第1のキャピラリ流路14と第2のキャピラリ流路16とが、交差、好ましくは直交するように形成されている。第1のキャピラリ流路14の端部のそれぞれには、液槽20a及び液槽20bが配置され、第2のキャピラリ流路16の端部のそれぞれには、液槽20c、20dが配置されている。コントローラ40は、CPU(中央処理装置)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、記録媒体としてのHDD(ハード・ディスク・ドライブ)、及び液晶ディスプレイなどを有する表示装置を含んで構成されており、HDDには、以下で説明する処理ルーチンのプログラムが記憶されている。
基板18を形成する材料としては、ガラス、又はポリマー材料等が挙げられる。ガラス材料としては、特に制限されないが、例えば、合成石英ガラス、ホウケイ酸ガラス及び溶融シリカ等が挙げられる。ポリマー材料としては、特に制限されないが、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリスチレン(PS)及びポリ乳酸(PLA)等が挙げられる。
基板18は、下基板18bに上基板18aが積層されることによって構成されている。上基板18aには、4つの貫通孔が形成されており、上基板18aの4つの貫通孔の底部が、下基板18bで封止されることで、4つの液槽20a、液槽20b、液槽20c及び液槽20dが形成されている。
液槽20a、20b、20c、20dは、特に制限されず、例えば、上基板18aに形成された貫通孔の底部が、下基板18bで封止されて形成された凹郎等が挙げられる。液槽20a、20b、20c、20dの形状は、特に限定されず、例えば、円柱状、四角柱状、四角錘状、円錐状等が挙げられる。
第1のキャピラリ流路14及び第2のキャピラリ流路16は、例えば、基板18に形成されたものであってもよく、基板18に埋設されたものであってもよい。
第1のキャピラリ流路14及び第2のキャピラリ流路16の内壁の表面は、それぞれの材質に応じて選択された陽極性基含有化合物又は陰極性基含有化合物を用いた表面処理によって被覆してもよい。陽極性基含有化合物を被覆した場合には、試料中のプラス電荷の物質が流路内壁に吸着することを防止することができ、また電気浸透流を、未処理の場合と比較して速くする傾向がある。一方、陰極性基含有化合物を被覆した場合には、試料中のマイナス電荷の物質が流路内壁に吸着することを防止することができ、また電気浸透流を、未処理の場合と比較して速くする傾向があると共に、陽極性基含有化合物を被覆した場合とは電気浸透流の方向が逆となる。また、前記試料と電気泳動液中に存在する前記陰極性基含有化合物とが複合体を形成し、この複合体を電気泳動させるため、試料単独で電気泳動するよりも分離効率が高くなる。これらの結果、より短時間で、より高精度な分析が可能となる。
陽極性基含有化合物としては、例えば、アミノ基及びアンモニウム基の少なくとも一方の陽極性基を有するシリル化剤を挙げることができる。アミノ基は、一級、二級及び三級のいずれであってもよい。
陽極性基を有するシリル化剤としては、例えば、N−(2−ジアミノエチル)−3−プロピルトリメトキシシラン、アミノフェノキシジメチルビニルシラン、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、3−アミノプロピルペンタメチルジシロキサン、3−アミノプロピルシラントリオール、ビス(p−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ビニルメチルシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−シアノプロピル(ジイソプロピル)ジメチルアミノシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、テトラキス(ジエチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)クロロシラン、トリス(ジメチルアミノ)シラン等が挙げられるが、これらに限定されない。前記陽極性基含有化合物としては、この他に、前記シリル化剤におけるケイ素原子を、チタンもしくはジルコニウムに置換した化合物を用いてもよい。前記陽極性基含有化合物は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
陰極性基含有化合物としては、例えば、陰極性基含有多糖類が好ましい。陰極性基含有多糖類としては、硫酸化多糖類、カルボン酸化多糖類、スルホン酸化多糖類及びリン酸化多糖類等が挙げられ、このなかで、分離効率の観点から硫酸化多糖類又はカルボン酸化多糖類が好ましい。これらの陰極性基含有多糖類は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。前記硫酸化多糖類としては、コンドロイチン硫酸又はヘパリン等が好ましく、より好ましくは、コンドロイチン硫酸である。前記カルボン酸化多糖類としては、アルギン酸またはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)が好ましい。前記コンドロイチン硫酸は、A、B、C、D、E、H及びKの7種類があり、いずれを用いてもよいが、ヘモグロビン分析の分離能の点で、コンドロイチン硫酸Cが好ましい。
陰極性基により構成される陰極性層は、例えば、介在層を介して、流路の内壁に積層されていてもよい。介在層としては、例えば、上述した陽極性基含有化合物を用いて形成することができる。前記介在層を介して積層された前記陰極性層は、例えば、前記陽極性基含有化合物により被覆された流路の内壁に、前記陰極性基含有化合物を含む液を接触させることにより、形成してもよい。この場合、前記陰極性基を形成するための液を別途調製してもよいが、操作効率の面から、前記陰極性基含有化合物を添加して調製した電気泳動液を、内壁に前記介在層が形成された流路に通液することが好ましい。
第1のキャピラリ流路14の内壁は、上述した陽極性基又は陰極性基(以下、総称する場合には、単に「イオン性基」という)含有化合物によって表面処理が施されており、所定のイオン性基で被覆されている。また、第2のキャピラリ流路16の内壁は、第1のキャピラリ流路14とは異なるイオン性基含有化合物によって表面処理が施されて、第1のキャピラリ流路14とは異なるイオン性基で被覆されている。この結果、第1のキャピラリ流路14と第2のキャピラリ流路16とでは、内壁面の電気的特性が異なり、異なる電気浸透流が生じる。これにより、第1のキャピラリ流路14では一次分離モード、第2のキャピラリ流路16では二次分離モードでの分離が可能となる。
例えば、アミノ基で被覆した第1のキャピラリ流路14と、スルホン酸基で被覆して第2のキャピラリ流路16との組み合わせとしてもよく、アミノ基で被覆した第1のキャピラリ流路14と、コンドロイチン硫酸層(介在層)を備えると共にアミノ基で被覆した第2のキャピラリ流路16との組み合わせとしてもよい。
キャピラリー電気泳動装置10における第1のキャピラリ流路14及び第2のキャピラリ流路16の形成は、一方の流路内壁の被覆を行う際に、他方の流路内部に処理が施されないように、例えばマスクで覆い、一方の流路内部の被覆処理が完了した後に他方の流路内部の被覆を行えばよい。流路内壁の被覆は、既に公知であり、例えば、WO2008/139867号、WO2010/010859号等に記載の方法を用いることができる。また、流路のマスク処理は、例えば、フォトマスク、クロムマスク、フィルムマスク、エマルジョンマスク、レーザーメタルマスク、等を用いる公知の方法をそのまま適用すればよい。
第1のキャピラリ流路14、第2のキャピラリ流路16及び液槽20a、20b、20c、20dには、一般に、電気泳動液が充填されている。電気泳動液としては、特に限定されないが、有機酸を含む電気泳動液が好ましい。前記有機酸は、特に限定されないが、例えば、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、フタル酸、マロン酸及びリンゴ酸等が挙げられる。また、前記電気泳動液は、特に限定されないが、例えば、ジュール熱の抑制、ヘモグロビン安定性、及びヘモグロビン分離能の観点から弱塩基を含むことが好ましい。前記弱塩基としては、特に限定されないが、例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジン及びトリス等が挙げられる。前記電気泳動液は、特に限定されないが、例えば、ADA緩衝液、MES緩衝液、Bis−Tris緩衝液、PIPES緩衝液、ACES緩衝液、MOPSO緩衝液、BES緩衝液、HEPES緩衝液、TES緩衝液及びリン酸緩衝液等が挙げられる。前記電気泳動液のpHは、特に限定されず、例えば、前述の範囲であり、好ましくは、pH4.5〜6.0の範囲である。
前記電気泳動液には、ヘモグロビン分離能向上の観点から、前記陰極性基含有化合物を添加することが好ましい。前記陰極性基含有化合物としては、特に限定されず、例えば、前述の陰極性基含有化合物等が挙げられる。前記電気泳動液中に含まれる前記陰極性基含有化合物の濃度は、特に限定されず、例えば、0.001〜10質量%の範囲であり、好ましくは、0.1〜5質量%の範囲である。
電気泳動液には、例えば、界面活性剤が添加されていてもよい。前記界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ベタイン型両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤等が挙げられる。前記ベタイン型両性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシベタイン型界面活性剤及びスルホベタイン型界面活性剤等が挙げられる。前記カルボキシベタイン型界面活性剤としては、例えば、N,N一ジメチルーN−アルキルーN一カルボキシアルキレンアンモニウムベタイン等が挙げられる。また、前記スルホベタイン型界面活性剤としては、例えば、N,N,N−トリアルキルーN−スルホアルキレンアンモニウムベタイン等が挙げられる。前記スルホベタイン型界面活性剤の具体例としては、例えば、パルミチルスルホベタイン等が挙げられる。
なお、電気泳動液には、電気浸透流の調整のために、上述した陰極性基含有化合物を添加してもよい。また、分離能の観点から、電気泳動液には、陰イオン性のカオトロピックイオンが添加されていることが好ましい。陰イオン性のカオトロピックイオンとしては、例えば、過塩素酸、チオシアン酸、ヨウ化カリウム等を挙げることができる。電気泳動液中の陰イオン性カオトロピックイオンの濃度は、例えば、1〜30000mmol/Lとすることができ、好ましくは5〜100mmol/Lとすることができる。
本発明の分析対象となる試料は、特に制限はないが、例えば、分析対象の血中タンパク質を含む試料としてもよく、全血、血液を溶血処理した試料等を挙げることができる。このほか、血清、血漿、尿、唾液等を挙げることができる。
第1のキャピラリ流路14及び第2のキャピラリ流路16に設けられた液槽20a、20b、20c、20dの内部には、それぞれ、電極22a、22b、22c、22dが配置されている。電極22aは、第1のスイッチ24を介して高圧電源28の陽極に接続されている。電極22bは、第2のスイッチ26を介して高圧電源28の陰極に接続されている。一方、電極22cは、第1のスイッチ24を介して高圧電源28の陽極に接続されており、電極22dは、第2のスイッチ26を介して高圧電源28の陰極に接続されている。第1のスイッチ24と、第2のスイッチ26はそれぞれ、第1のキャピラリ流路14と第2のキャピラリ流路16との間で電圧の印加が切り換えられるようになっている。
図1Bに示されるように、基板18の表面であって、第2のキャピラリ流路16の上方には、検出器30が配置されている。また、基板18の第2のキャピラリ流路16の裏面には、スリット32と、光源34と、光学フィルター36と、集光レンズ38とで構成された光学系が配置されている。検出器30及び光源34は、それぞれコントローラ40に接続されている。光学系は、物質の分析に適用される吸光度の測定波長としての特定波長光を、第2のキャピラリ流路16の検出点に向けて照射可能になっており、検出器30には、第2のキャピラリ流路16の検出点を透過した透過光が入射可能となっている。吸光度の測定波長としては、対象となる物質によって異なるが、一般に260nm〜300nm、又は380nm〜450nmとすることができる。
高圧電源28の陽極側の電極22a及び陰極側の電極22bの間に電圧が印加されると、液槽20a及び液槽20bの間で電位差が生じて、第1のキャピラリ流路14の内部で陽極側から陰極側へ電気浸透流が生じ、泳動開始点から他端に向けて試料が流路内を電気泳動する。また、陽極側の電極22c及び陰極側の電極22dの間に電圧が印加されると、第2のキャピラリ流路16の内部で陽極側から陰極側へ電気浸透流が生じ、泳動開始点から他端に向けて試料が流路内を電気泳動する。
キャピラリー電気泳動法により電気泳動させるために印加される電圧は、例えば、0.075kV〜20kVの範囲であり、分離能の観点からの観点から好ましくは0.3kV〜5kVの範囲である。
キャピラリ電気泳動装置10に備えられたコントローラ40には、第1のスイッチ24、第2のスイッチ26、検出器30、また図示しない装置全体の駆動部がそれぞれ接続されており、キャピラリ電気泳動装置10の全体を制御可能となっている。
次に、図2を参照して、本キャピラリ電気泳動装置10を用いて試料を分析する場合のCPUで実行される処理ルーチンと共に作用を説明する。
ステップ100において、第1のキャピラリ流路14に高圧電圧が印加されるように、第1のスイッチ24及び第2のスイッチ26を切り換える。これにより、第1のキャピラリ流路14内で電気浸透流が生じて、試料の電気泳動による成分分離が開始する。
次のステップ102において、所定時間経過したか否かを判断し、所定時間経過した場合には、ステップ104において第1のキャピラリ流路14への高圧電圧の印加が停止されるように第1のスイッチ24及び第2のスイッチ26を切り換えた後、ステップ106において第2のキャピラリ流路16に高圧電圧が印加されるように、第1のスイッチ24及び第2のスイッチ26を切り換える。標的成分を含みうる試料の成分分離については、標的成分の物理化学的性質、電圧の大きさ、電気泳動液の組成、及び温度などに基づいて、電気浸透流の速度が計算されており、第1のキャピラリ流路14と第2のキャピラリ流路16との交点に到達するまでの所定の時間が設定されている。このため、所定時間経過後に第1のスイッチ24と第2のスイッチ26との切り換えによって、標的成分を含み得る一次分離試料の泳動方向が、第1のキャピラリ流路14から第2のキャピラリ流路16に切り替わり、第2のキャピラリ流路16内での泳動を開始する。
ステップ108において所定時間経過したか否かを判断し、所定時間経過した場合には、ステップ110において検出器30で検出された吸光度を示す信号を取り込み、検出器30から信号に応じた吸光度を図示しない表示装置に表示する。
これにより、試料の成分分離を、複数の分離モードを連続して適用して行うことにより、簡便に且つ精度よく試料の分析を行うことができる。
なお、キャピラリ電気泳動装置10では、第1のキャピラリ流路14から第2のキャピラリ流路16への切り換えを、所定時間後での第1のスイッチ24及び第2のスイッチ26の切り換えにより自動で行ったが、これに限定されない。例えば、手動で第1のスイッチ24及び第2のスイッチ26の切り換えを行ってもよい。
上記実施形態では、第1のキャピラリ流路14による一次分離処理と第2のキャピラリ流路16による二次分離処理とを自動的に連続して行ったが、これに限定されない。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施の形態は、図3に示すように、本実施形態にかかるキャピラリ電気泳動装置50には、第1の実施の形態の第1のキャピラリ流路14に検出器30と同一構成の第2の検出器52が設けられている。第2の検出器52に対向する基板18の下方には、第1の実施形態の光学系と同一構成の第2の光学系(図示せず)が配置されている。第2の検出器52及び図示しない第2の光学系は、第1の実施形態にかかる第1の検出器30及び光学系と同様に、それぞれコントローラ40に接続されている。なお、図3において、第1の実施形態にかかるキャピラリ電気泳動装置10を説明した図1A、図1B及び図1Cと共通する部分については、同一符合を付して説明を省略する。
第2の実施形態にかかるキャピラリ電気泳動装置50は、第2の検出器30による第2の検出器52の出力に基づいて、例えば、分離状態を示す検出波形のピーク間隔が所定値未満か否かを判断することにより、分離状態が充分であるか否かを判断し、分離状態が充分でない場合に第1の実施形態と同様に第2のキャピラリ流路16を用いて分析するようにしたものである。
従って、本実施の形態の処理ルーチンを示す図4において、第1の実施形態における処理ルーチンを示した図2と対応する部分には、同一符号を付して説明を省略する。
ステップ100において第1のキャピラリ流路14の電極に電圧を印加した後、ステップ112において第2の検出器出力を取り込み、ステップ114において、取込んだ検出器出力から得られる検出波形のピーク間隔が所定値未満か否かを判断することにより、分離状態が充分であるか否かを判断する。検出波形のピーク間隔が所定値以上であることから、分離状態が充分であると判断された場合には、表示装置に検出波形を表示した後、この処理ルーチンを終了する。
一方、検出波形のピーク間隔が所定値未満であることから、分離状態が不充分であると判断された場合には、第1の実施形態で説明したのと同様に、ステップ104で第1のキャピラリ流路14の電極22a、22bへの電圧印加を停止し、ステップ106において第2のキャピラリ流路16の電極22c、22dへの電圧印加を行って二次分離処理を行う。
本実施形態では、検出器出力に基づいて、分離状態が充分であるか否かを判断しているので、正確なタイミングで第2の分離処理に移行することができる。
なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、ステップ108において所定時間経過したか否かを判断することにより、分離状態が充分か否かを判断する例について説明したが、ステップ110の処理をステップ108の判断より先に行って検出器30の検出出力を取り込み、ステップ108において所定時間経過したか否かを判断するのに代えて、ステップ114で説明したのと同様に検出波形のピーク間隔が所定値未満か否かを判断して、分離状態が充分であるか否かを判断するようにしてもよい。そして、分離状態が充分であると判断された場合には、表示装置に検出波形を表示した後、この処理ルーチンを終了する。
[第3の実施形態]
次に本発明の第3の実施形態について説明する。
本実施形態は、図5に示されるように、独立した1の流路64上に第1のキャピラリ流路64a、第2のキャピラリ流路64b及び第3のキャピラリ流路64cを設けて、第1の実施形態と同様に複数の分離モードを連続して適用して試料の成分分離処理を行うものである。
図5には、本発明のキャピラリー電気泳動装置の他の実施形態にかかるキャピラリー電気泳動装置60が示されている。図5では、図1で示したキャピラリ電気泳動装置10における作用と同様の作用を行う部材には同一の符合を付して説明を省略する。
本実施形態のキャピラリ電気泳動装置60には、1つの独立したキャピラリ流路64を有する電気泳動チップ62が備えられている。キャピラリ流路64上には、第1の分離モードが適用された第1のキャピラリ流路64aと、第2の分離モードが適用された第2のキャピラリ流路64bと、第3の分離モードが適用された第3のキャピラリ流路64cとが、ほぼ同様の長さとなるように区分けして設けられている。第1のキャピラリ流路64aと、第2のキャピラリ流路64bと、第3のキャピラリ流路64cとは、流路内壁の被覆が異なっている。例えば、第1のキャピラリ流路64aには、アミノ基で被覆されており、キャピラリ流路64bは、カルボキシ基が被覆されており、キャピラリ流路64cは、フェニル基で被覆されているとしてもよい。これにより、試料の泳動方向に沿って複数の分離モードが連続して適用可能になっている。
第1のキャピラリ流路64a、第2のキャピラリ流路64b、第3のキャピラリ流路64cの製造は、例えば、第1のキャピラリ流路64aに対して所定の分離モードとなるように内壁処理をする際、第2のキャピラリ流路64b及び第3のキャピラリ流路64cを所定のマスクで覆って処理を行い、順次、内壁処理を行うことにより行うことができるが、これに限定されない。
第1のキャピラリ流路64a、第2のキャピラリ流路64b及び第3のキャピラリ流路64cを備えたキャピラリ流路64の液槽20c内には、電極22cが配置されており、スイッチ66を介して高圧電源28の陽極側に接続されている。一方、液槽20d内には、電極22dが配置されており、高圧電源28の陰極側に接続されている。スイッチ66はコントローラ40に接続されている。なお、本実施形態では陽極側にスイッチ66が配置されているが、陰極側に配置されてもよい。
本キャピラリ電気泳動装置60では、試料を液槽20cに添加して、キャピラリ流路64の液槽20c内の電極22c及び液槽20d内の電極22dに電圧を印加すると陽極側と陰極側に生じた電位差に従って、キャピラリ流路64の陽極側から陰極側へ電気浸透流が生じて、泳動が開始される(図5の紙面左から右)。
このとき、第1のキャピラリ流路64a、第2のキャピラリ流路64b及び第3のキャピラリ流路64cが泳動方向の上流側からこの順で配置さているため、試料はまず第1のキャピラリ流路64aによる第1の分離モードによって成分分離が行われる。電気浸透流に従って試料が泳動することによって、一次分離試料が得られる。一次分離試料は電気泳動を継続することによって、第1のキャピラリ流路64aの内部を移動し、第2のキャピラリ流路64bに泳動位置が移動すると、一次分離試料は、そのままキャピラリ流路64bに供給されて分離モードが切り替わり、第2の分離モードによる成分分離が行われる。その後、電気泳動を継続することによって、第2のキャピラリ流路64b内を移動して第3のキャピラリ流路64cに供給されて分離モードが切り替わり、第3の分離モードによる成分分離が行われる。
このように、本実施形態では、第1のキャピラリ流路64aと第2のキャピラリ流路64bと第3のキャピラリ流路64cとが、キャピラリ流路64上に設けられているので、1の電気泳動操作で簡便に連続した3つの分離モードによる成分分離を行うことができる。これによって、より簡便に成分分離を行って精度よく試料の分析を行うことができる。
なお、本実施形態のキャピラリ電気泳動装置60では、キャピラリ流路64上に3つの分離モードによる流路を形成したが、これに限定されず、キャピラリ流路64の長さに応じて分離モードの数を増減してもよい。
また、本実施形態では、各分離モードを、アミノ基、カルボキシ基及びフェニル基でそれぞれ被覆されて構成したキャピラリ流路64を用いたが、分離モードは例示であって、他のイオン性基でキャピラリ流路64の内壁を修飾してもよく、他の種類の分離モードと組み合わせて適用してもよい。
[第4の実施形態]
次に本発明の第4の実施形態について説明する。
本実施形態は、図6A及び図6Bに示されるように、分離モードの切り換えを、第1の実施形態における流路の切り換え及び、第3の実施形態における流路上の位置の変更とは異なり、予め設けられた流路の分離モードを流路内の溶液の組成を変更することによって切り換えるものである。
図6A及び図6Bには、本実施形態のキャピラリ電気泳動装置80が示されている。図6A及び図6Bでは、図1A、図1B、図1C又は図5で示したキャピラリ電気泳動装置10における作用と同様の作用を行う部材には同一の符合を付して説明を省略する。
図6Aに示されるように、キャピラリ電気泳動装置80には、1つの独立したキャピラリ流路84を有する電気泳動チップ82が備えられている。キャピラリ流路84上には、第1の分離モードが適用された第1のキャピラリ流路84aと、第2の分離モードが適用された第2のキャピラリ流路84bとが設けられている。第1のキャピラリ流路84a
と第2のキャピラリ流路84bとでは、流路内壁の被覆が異なっている。例えば、第1のキャピラリ流路84aには、アミノ基で被覆されており、第2のキャピラリ流路84bでスルホン基で被覆されているとしてもよい。これにより、試料の泳動方向に沿って第1の分離モードと第2の分離モードとが連続して適用可能になっている。
また、電気泳動チップ82には、分離促進剤供給口88が設けられている。分離促進剤供給口88には、分離促進剤供給路86が連結され、キャピラリ流路84aとキャピラリ流路84bとの境界面近傍でキャピラリ流路84と接合している。分離促進剤供給口88には、図示しない分離促進剤槽が接続されている。分離促進剤は、試料中の成分分離を促進するための試薬を含む溶液である。このような分離促進剤としては、公知のものを挙げることができ、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステルなどのミセルを形成する物質、シクロデキストリンなどの包接化合物、カオトロピックイオン等を挙げることができる。
分離促進剤供給路86は、図6Bに示されるように、電気泳動チップ82上に設けられた分離促進剤供給口88から、キャピラリ流路84に向かって傾斜しており、このため、分離促進剤供給口88に分離促進剤を供給すると、キャピラリ流路84へ供給されるようになっている。
本キャピラリ電気泳動装置80では、試料をキャピラリ流路84の液槽20cに添加して、キャピラリ流路84内に配置された電極22c及び電極22dに電圧を印加すると、陽極側と陰極側に生じた電位差に従って、キャピラリ流路84の陽極側から陰極側へ電気浸透流が生じて、泳動が開始される(図6Aの紙面左から右)。
このとき、第1のキャピラリ流路84a及び第2のキャピラリ流路84bが泳動方向の上流側からこの順で配置されているため、試料はまず第1のキャピラリ流路84aによる第1の分離モードによって成分分離が行われる。電気浸透流に従って試料が泳動することによって、一次分離試料が得られる。一次分離試料は電気泳動を継続することによって、第1のキャピラリ流路84aの内部を移動し、第2のキャピラリ流路84bに泳動位置が移動すると、一次分離試料は、そのままキャピラリ流路84bに供給されて分離モードが切り替わり、第2の分離モードによる成分分離が行われる。第2の分離モードのよる成分分離の状況は、検出器30を介して確認可能となっている。
第2のキャピラリ流路84での成分分離処理を継続しているときに、分離促進剤が分離促進剤供給口88から添加されると、分離促進剤供給路86を経て、泳動方向下流側に配置される第2のキャピラリ流路84bに分離促進剤が供給される。これにより、第2のキャピラリ流路84bでは、電気泳動液に分離促進剤が混合してキャピラリ流路84b内の液の組成が変化し、これに伴って分離モードが変更されて、第3の分離モードによる成分分離が開始される。この分離モードの切り換えによって、例えば、キャピラリーゾーン電気泳動による分離モードからミセル導電泳動の分離モードに簡便に変更する。
このように、分離促進剤を添加することによって、分離モードを簡便に切り換えることができる。また、分離促進剤を添加することによって、分離モードを簡便に増やすことができる。
なお、分離供給剤の添加は、検出器30からの信号による第2のキャピラリ流路84bにおける分離状況に応じて行ってもよく、第2の実施形態のように、第1のキャピラリ流路84aの分離状況を確認するための検出器を更に設けて、第1のキャピラリ流路84aによる分離状況、第2のキャピラリ流路84b又はこれらの双方の成分分離の状況に応じて行ってもよい。
更に、コントローラ40に接続された分離促進剤槽の送液系(図示せず)を制御して、第2のキャピラリ流路64bにおける分離状況に応じて、分離促進剤の添加を自動的に行ってもよい。これにより、いっそう効率よく分析を行うことができる。
本実施形態では、分離モードをアミノ基修飾及びスルホン酸基修飾の組み合わせとしたがこれに限定されない。また、分離促進剤供給路86を第1のキャピラリ流路84aと第2のキャピラリ流路84bとの境界に配置したが、これに限定されない。例えば、キャピラリ流路84に対して直行する他のキャピラリ流路を設け、分離促進剤の添加を行う場合には、当該他のキャピラリ流路に対して分離促進剤を添加すると共に、電気泳動方向を当該他のキャピラリ流路へ変更してもよい。これにより、いっそう分離モードを多様化することができる。
本発明のキャピラリー電気泳動装置では、キャピラリー流路内の液相の温度を調整可能な温度調節機構を設けてもよい。これにより、キャピラリー電気泳動中に発生したジュール熱によって、生体由来の分析対象試料、例えばヘモグロビン等のタンパク質に熱変性が生じて分離能が低下することを防止することができ、より高い分析が可能となる。また温度差による分離度合いの差異が発生することを防止することができ、これにより、同一試料の繰り返し測定した場合でも結果の再現性を高めることができる。温度調節機構は、分子エネルギーを高めて各分離モードでの成分分離を容易にするための加温器であっても、分解しやすい分子などの変性を抑制して効果的な成分分離を行うための冷却器であってもよい。
このような温度調節機構としては、当業界公知のものを用いることができ、例えば、ペルチェ素子、放熱ファン、空気恒温槽又はこれらの組み合わせを挙げることができる。ペルチェ素子を用いる場合には、電気泳動チップ12、62、82を断熱材又は光学的透明部材で覆い、その周りにペルチェ素子を配置してよい。断熱材としては、発泡フェノールフォーム、発泡ウレタン、発泡ポリスチレン、ガラスウール、セルロースファイバー等を挙げることができ、成型加工容易性の観点から発泡ポリスチレンが好ましい。光学的透明部材としては、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。
なお、上記のキャピラリ電気泳動装置10、50、60、80では、設けられた流路のすべてを成分分離に用いたが、試料を成分分離するための流路に導くための導入用流路を別途設けてもよい。
なお、本発明の実施形態では、電気泳動チップ12を着脱自在に備えたキャピラリ電気泳動装置10とし、第1のキャピラリ流路14、第2のキャピラリ流路16を電気泳動チップ12上に形成したが、これに限定されない。第1のキャピラリ流路14及び第2のキャピラリ流路16がキャピラリ電気泳動装置10に備えられていれば、装置と一体に形成したものであってもよい。
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。しかしながら、本発明はそれらに何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
[実施例1]
図1に示した本発明の第1の実施形態にかかるキャピラリー電気泳動分析装置10を使用して糖化ヘモグロビン(HbA1c)の分析例を行った。
(1)電気泳動チップの作製
電気泳動チップ12は、PMMA製であり、チップの長さ(前記第2のキャピラリ流路16に沿った方向の寸法)は70mmであり、幅は30mmであった。電気泳動チップ12において、第1のキャピラリ流路14及び第2のキャピラリ流路16の幅は、それぞれ40μmであり、その深さは、それぞれ40μmであった。また、前記泳動開始点から、検出器30の位置に応じた検出点までの距離は、1.5cmであった。
第1のキャピラリ流路14は、25%濃度のビニルスルホン酸ナトリウム水溶液にて、30℃、24時間処理した後、37℃で送風乾燥し、これにより、スルホン酸基で内壁が修飾された第1のキャピラリ流路14を得た。
第2のキャピラリ流路16は、紫外線処理を6時間した後、2%濃度の3−アミノプロピルトリメトキシシランで30分処理して、グルタルアルデヒドを1%の割合で含む水溶液で、摂氏37度のオーブン内に30分間静置。2%コンドロイチン硫酸Cで処理する。
これにより、アミノ基とコンドロイチン硫酸Cで内壁が修飾された第2のキャピラリ流路16を得た。
この結果、2つの分離モードを備えた電気泳動チップ12が得られた。
(2)電気泳動
電気泳動チップ12を所定の位置に搭載して、図1に示したキャピラリー電気泳動装置10を構成した。また、100mmol/Lのフマル酸溶液(アルギニンでpH4.8に調整)に、終濃度0.8質量%となるようにコンドロイチン硫酸Cをさらに添加して、電気泳動液を調製した。
電気泳動液を用いて、ヘモグロビン(BML社製)を10g/Lの濃度に希釈し、試料を調製した。なお、前記試料は、ヘモグロビンA1c濃度が、約5重量%であり、そのヘモグロビン濃度は、ヒト血液を15倍に希釈したヘモグロビン濃度に相当した。
電気泳動チップ12の液槽20aに電気泳動液と試料とを導入し、第1のキャピラリ流路14に、450V/cmの電圧を印加して、電気泳動を開始して、第1の分離モードによる成分分離を開始した。泳動開始後3分後に、第1のキャピラリ流路14に対する電圧印加を停止すると共に、第2のキャピラリ流路16に対して、450V/cmの電圧を印加して、第2の分離モードによる成分分離を開始した。
結果を図7に示す。
図7に示されるように、安定型のHbA1cは、不安定型のHbA1cと明確に分離されており、精度よく分析できることが示された。
[比較例1]
アミノ基とコンドロイチン硫酸Cで内壁を修飾した以外は第2のキャピラリ流路16と同一のキャピラリ流路のみを備えた電気泳動チップを用いて1つの分離モードでの成分分離を行った以外は実施例と同様にして、電気泳動を行った。
結果を図8に示す。
図8に示されるように、安定型のHbA1cは、不安定型のHbA1cとは明確に分離されていなかった。
[比較例2]
スルホン酸基で内壁を修飾した以外は第2のキャピラリ流路16と同一のキャピラリ流路のみを備えた電気泳動チップを用いて1つの分離モードでの成分分離を行った以外は、実施例と同様にして、電気泳動を行った。
結果を図9に示す。
図9に示されるように、安定型のHbA1cは、不安定型のHbA1cとは明確に分離されていなかった。
このように、本発明によれば、複数の分離モードを連続的に適用して試料の成分分離を行うので、高い精度で簡便にキャピラリー電気泳動法による分析を行うことができる。
10 キャピラリ電気泳動装置
12 電気泳動チップ
14 第1のキャピラリ流路
16 第2のキャピラリ流路
30 検出器
40 コントローラ
50 キャピラリ電気泳動装置
60 キャピラリ電気泳動装置
62 電気泳動チップ
64 流路
80 キャピラリ電気泳動装置
82 電気泳動チップ
84 キャピラリ流路
88 分離促進剤供給口

Claims (19)

  1. 標的分子を含み得る試料中の成分分離を、複数の分離モードを連続的に適用して行うキャピラリー電気泳動法による試料の分析方法。
  2. 前記試料を、一次分離モードによって成分分離を可能とする一次流路に供給して、一次分離処理により一次分離試料を得ること、
    得られた前記一次分離試料を、前記一次流路に連続して設けられると共に、前記一次分離モードとは異なる二次分離モードによって成分分離を可能とする1以上の二次流路に供給して、1以上の二次分離処理を行うこと、
    を含む請求項1記載の分析方法。
  3. 前記一次分離モード及び前記二次分離モードの組み合わせが、
    (1)互いに異なるイオン性基に基づく電気浸透流で成分分離を行う分離モードの組み合わせと、
    (2)イオン性基に基づく電気浸透流で成分分離を行う分離モード及び、前記試料中の成分の分離を促進させる分離促進剤を使用する分離モードの組み合わせと、
    の少なくとも一方を含む請求項2記載の分析方法。
  4. 前記一次分離試料中の標的成分の分離状態を表す量が所定値未満のときに、前記一次分離試料の前記二次流路への供給を行って二次分離処理を行う請求項2又は請求項3記載の分析方法。
  5. 前記二次流路の少なくとも1つが、前記一次流路に対して試料の泳動方向に沿って連続している請求項2〜請求項4のいずれか1項記載の分析方法。
  6. 前記二次流路の少なくとも1つが、前記一次流路と交差している請求項2〜請求項5のいずれか1項記載の分析方法。
  7. 標的分子を含み得る試料に対して、複数の分離モードを連続的に適用可能な流路を備えたキャピラリー電気泳動装置。
  8. 前記試料に対して、一次分離モードによって成分分離を行って一次分離試料を得るための一次流路と、
    前記一次流路に連続して設けられると共に、前記一次分離試料に対して、前記一次分離モードとは異なる二次分離モードによって成分分離するための1以上の二次流路と、
    を備えた請求項7記載のキャピラリー電気泳動装置。
  9. 前記一次流路及び前記二次流路それぞれの前記試料との接触面が、互いに異なるイオン性基によって被覆されている請求項8記載のキャピラリー電気泳動装置。
  10. 前記一次分離試料を分離するための分離促進液を当該二次流路へ供給する分離促進液供給路を更に備え、
    前記一次流路及び二次流路の一方が、その試料との接触面をイオン性基によって被覆されており、前記一次流路及び二次流路の他方が、前記分離促進液供給路に接続されている請求項8又は請求項9記載のキャピラリー電気泳動装置。
  11. 前記1以上の二次流路が、
    前記一次流路に対して試料の泳動方向に沿って連続している前記二次流路と、
    前記一次流路と交差している前記二次流路と、
    の少なくとも一方を有する請求項8〜請求項10のいずれか1項記載のキャピラリー電気泳動装置。
  12. 前記一次流路及び前記二次流路に接続され、電圧の切り替えによって、前記一次流路で得られた一次分離試料を二次流路へ供給する電圧切替え手段を更に備えた請求項11記載のキャピラリー電気泳動装置。
  13. 前記一次分離試料中の標的成分の分離状態を表す量が所定値未満のときに、前記一次分離試料の前記二次流路への供給を行って二次分離処理を行う請求項8〜請求項12のいずれか1項記載のキャピラリー電気泳動装置。
  14. 温度調節機構を更に備えた請求項8〜請求項13のいずれか1項記載のキャピラリー電気泳動装置。
  15. 前記一次流路及び二次流路をチップに形成した請求項8〜請求項14のいずれか1項記載のキャピラリー電気泳動装置。
  16. 標的分子を含み得る試料に対して、一次分離モードによって成分分離を行って一次分離試料を得るための一次流路と、
    前記一次流路に連続して設けられると共に、前記一次分離試料に対して、前記一次分離モードとは異なる二次分離モードによって成分分離するための1以上の二次流路と、
    を備えたキャピラリー電気泳動用チップ。
  17. 前記一次流路及び前記二次流路それぞれの前記試料との接触面が、互いに異なるイオン性基によって被覆されている請求項16記載のキャピラリー電気泳動用チップ。
  18. 前記一次分離試料を分離するための分離促進液を当該二次流路へ供給する分離促進液供給路を更に備え、
    前記一次流路及び二次流路の一方が、その試料との接触面をイオン性基によって被覆されており、前記一次流路及び二次流路の他方が、前記分離促進液供給路に接続されている請求項16又は請求項17記載のキャピラリー電気泳動用チップ。
  19. 前記1以上の二次流路が、
    前記一次流路に対して試料の泳動方向に沿って連続している前記二次流路と、
    前記一次流路と交差している前記二次流路と、
    の少なくとも一方を有する請求項16〜請求項18のいずれか1項記載のキャピラリー電気泳動用チップ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015004565A (ja) * 2013-06-20 2015-01-08 大塚電子株式会社 分離分析方法
JP2016136135A (ja) * 2015-01-15 2016-07-28 アークレイ株式会社 試料の分析方法及びそれに用いる溶液
CN108732229A (zh) * 2018-05-23 2018-11-02 山东科立森生物股份有限公司 一种可替换的毛细管电泳装置

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