JP2012055109A - 非接触電力転送装置の異常検出装置、およびそれを備える非接触送電装置、非接触受電装置および車両 - Google Patents

非接触電力転送装置の異常検出装置、およびそれを備える非接触送電装置、非接触受電装置および車両 Download PDF

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Abstract

【課題】共鳴法による非接触給電システムにおいて、共鳴コイルの共鳴状態への影響を抑制しつつ、共鳴コイルの異常を検出する。
【解決手段】電磁共鳴を用いた非接触給電システムにおける電力転送装置の異常を検出するための異常検出装置は、電流センサ190,250と、ECU180,260とを備える。電流センサ190,250は、共鳴コイル110,240にそれぞれ取付けられ、共鳴コイル110,240に流れる電流に関連する信号を検出する。電流センサ190,250は、共鳴コイル110,240に発生する電圧の振幅が最小となる位置に設置される。そして、ECU180,260は、電流センサ190,250によって検出された信号に基づいて、共鳴コイル110,240の異常を判定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、非接触電力転送装置の異常検出装置、およびそれを備える非接触送電装置、非接触受電装置および車両に関し、より特定的には、共鳴法を用いた非接触給電における共鳴コイルの異常を検出する技術に関する。
環境に配慮した車両として、電気自動車やハイブリッド車などの車両が大きく注目されている。これらの車両は、走行駆動力を発生する電動機と、その電動機に供給される電力を蓄える再充電可能な蓄電装置とを搭載する。なお、ハイブリッド車には、電動機とともに内燃機関をさらに動力源として搭載した車両や、車両駆動用の直流電源として蓄電装置とともに燃料電池をさらに搭載した車両等が含まれる。
ハイブリッド車においても、電気自動車と同様に、車両外部の電源から車載の蓄電装置を充電可能な車両が知られている。たとえば、家屋に設けられた電源コンセントと車両に設けられた充電口とを充電ケーブルで接続することにより、一般家庭の電源から蓄電装置を充電可能ないわゆる「プラグイン・ハイブリッド車」が知られている。
一方、送電方法として、電源コードや送電ケーブルを用いないワイヤレス送電が近年注目されている。このワイヤレス送電技術としては、有力なものとして、電磁誘導を用いた送電、電磁波を用いた送電、および共鳴法による送電の3つの技術が知られている。
このうち、共鳴法は、一対の共鳴器(たとえば一対の共鳴コイル)を電磁場(近接場)において共鳴させ、電磁場を介して送電する非接触の送電技術であり、数kWの大電力を比較的長距離(たとえば数m)送電することが可能である。
特許第4453741号公報(特許文献1)には、このような共鳴法を用いて、電動車両に搭載された蓄電装置を非接触で充電する技術が開示される。このような共鳴法を用いた非接触給電においては、電力の送電および受電を行なう共鳴コイルには大電力が発生し得る。そのため、発熱等によるシステムの故障を防止するために、共鳴コイルの異常検出をすることが望まれている。
特許第4453741号公報 特開2010−070048号公報 特開2009−136132号公報 特開2010−063245号公報 特開2010−068632号公報
共鳴法による非接触給電においては、送電装置と受電装置とに含まれる共鳴コイルを共鳴させることによって電力が伝達される。そして、電力の伝達効率を向上するためには、送電装置および受電装置の共鳴コイルにおけるQ値を大きくすることが必要となる。
共鳴コイルの異常検出を行なう場合、共鳴コイルの状態を検出するためのセンサを取付けることが必要となるが、センサを共鳴コイルに接近させると、センサと共鳴コイルとの間の寄生容量を介して電流が流れたり、この寄生容量によって共鳴コイルの共鳴状態が変化したりする場合があり、これによって共振のQ値が悪化してしまい、電力の伝達効率を低下させるおそれがある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、共鳴法による非接触給電システムにおいて、共鳴コイルの共鳴状態への影響を抑制しつつ、共鳴コイルの異常を検出することである。
本発明による異常検出器は、第1の共鳴コイルを含み、対向する第2の共鳴コイルとの電磁共鳴によって非接触で電力の送電および受電の少なくともいずれか一方を行なうように構成された電力転送装置において、第1の共鳴コイルの異常を検出する。第1の共鳴コイルまたはその近傍に取付けられ、第1の共鳴コイルの温度に関連する信号および第1の共鳴コイルに流れる電流に関連する信号の少なくとも一方を検出するための検出器と、検出器によって検出された信号に基づいて、第1の共鳴コイルの異常を判定するための制御装置とを備える、異常検出装置。
好ましくは、検出器は、第1の共鳴コイルに発生する電圧の振幅が最小となる位置に設置される。
好ましくは、検出器は、第1の共鳴コイルを流れる電流に関連する信号を検出するための電流センサである。
好ましくは、制御装置は、電流に関連する信号が予め定められた基準値を上回る場合に第1の共鳴コイルが高温となる異常であると判定する。
好ましくは、電力転送装置は、第1の共鳴コイルで送電するための電力または第1の共鳴コイルで受電された電力を変換するための電力変換装置を含む。制御装置は、第1の共鳴コイルが高温となる異常が発生している場合は、電力変換装置により変換される電力が低減されるように、電力変換装置を制御する。
好ましくは、制御装置は、電流に関連する信号と、第1の共鳴コイルに供給される給電電圧との比較に基づいて、第1の共鳴コイルにおいてインピーダンスの異常が発生しているか否かを判定する。
好ましくは、制御装置は、第1の共鳴コイルにおいてインピーダンスの異常が発生している場合は、送電される電力を増加させるための信号を生成する。
好ましくは、異常検出装置は、第1の共鳴コイルの異常が検出された場合に、操作者に対して警報を出力するための警報出力部をさらに備える。
好ましくは、制御装置は、電流センサで検出された第1の共鳴コイルを流れる電流の電流振幅に基づいて、第1の共鳴コイルの異常を判定する。
好ましくは、制御装置は、電流センサで検出された第1の共鳴コイルを流れる電流を時間軸方向に積分した電流積分値に基づいて、第1の共鳴コイルの異常を判定する。
好ましくは、電流センサは、ロゴスキーコイルを含んで構成される。
好ましくは、検出器は、第1の共鳴コイルの温度に関連する信号を検出するための温度センサである。
好ましくは、制御装置は、温度に関連する信号が予め定められた基準値を上回る場合に第1の共鳴コイルが高温となる異常であると判定する。
好ましくは、検出器は、光ファイバ型の検出器を含んで構成される。
好ましくは、光ファイバ型の検出器は、光ファイバ型電流センサである。
好ましくは、光ファイバ型の検出器は、光ファイバ型温度センサである。
好ましくは、電力転送装置は、その両端が第1の共鳴コイルの両端にそれぞれ接続されたキャパシタを含む。検出器に含まれる光ファイバは、キャパシタの周囲に巻回される。
本発明による非接触送電装置は、電磁共鳴によって電源からの電力を受電装置へ非接触で伝達する。非接触送電装置は、受電装置と電磁共鳴を行なうための共鳴コイルと、共鳴コイルまたはその近傍に取付けられ共鳴コイルの温度に関連する信号および共鳴コイルに流れる電流に関連する信号の少なくとも一方を検出するための検出器と、検出器によって検出された信号に基づいて共鳴コイルの異常を判定するための制御装置とを備える。
本発明による非接触受電装置は、電磁共鳴によって送電装置からの電力を非接触で受電する。非接触受電装置は、送電装置と電磁共鳴を行なうための共鳴コイルと、共鳴コイルまたはその近傍に取付けられ共鳴コイルの温度に関連する信号および共鳴コイルに流れる電流に関連する信号の少なくとも一方を検出するための検出器と、検出器によって検出された信号に基づいて共鳴コイルの異常を判定するための制御装置とを備える。
本発明による車両は、非接触受電装置と、蓄電装置と、駆動装置と、検出器と、制御装置とを備える。非接触受電装置は、電磁共鳴によって送電装置からの電力を非接触で受電するように構成され、共鳴コイルを含む。蓄電装置は、非接触受電装置によって受電された電力を用いて充電が可能である。駆動装置は、蓄電装置からの電力を用いて車両を走行するための駆動力を発生する。検出器は、共鳴コイルまたはその近傍に取付けられ、共鳴コイルの温度に関連する信号および共鳴コイルに流れる電流に関連する信号の少なくとも一方を検出する。制御装置は、検出器によって検出された信号に基づいて共鳴コイルの異常を判定する。
本発明によれば、共鳴法による非接触給電システムにおいて、共鳴コイルの共鳴状態への影響を抑制しつつ、共鳴コイルの異常を検出することができる。
本発明の実施の形態に従う非接触給電システムの全体構成図である。 本実施の形態における共鳴コイルの異常検出を行なうための構成を説明するための図である。 本実施の形態におけるコイルユニットの例を示す図である。 図3のコイルユニットの断面を示す図である。 本実施の形態におけるセンサ取付位置を説明するための図である。 共鳴コイル両端における寄生容量が等しい場合のセンサ取付位置の例を説明するための図である。 共鳴コイル両端における寄生容量が異なる場合のセンサ取付位置の例を説明するための図である。 本実施の形態において、光ファイバ型電流センサを用いた場合の、コイルユニットの例を示す図である。 本実施の形態における共鳴コイルの異常検出制御を説明するための機能ブロック図である。 共鳴コイルの異常検出回路の一例を示す図である。 本実施の形態における共鳴コイルの異常検出制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。 実施の形態2におけるコイルユニットの例を示す図である。 実施の形態2における共鳴コイルの異常検出回路の一例を示す図である。 実施の形態2における共鳴コイルの異常検出制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
図1は、基本的な非接触給電システムを示す全体構成図である。図1を参照して、非接触給電システムは、車両100と、給電装置200とを備える。
車両100は、二次共鳴コイル110と、受電コイル120と、コンバータ140と、蓄電装置150と、パワーコントロールユニット(以下「PCU(Power Control Unit)」とも称する。)160と、モータ170と、車両ECU(Electronic Control Unit)180と、検出器190と、警告装置195とを含む。
なお、車両100の構成は、モータにより駆動される車両であれば、図1に示される構成に限らない。たとえば、車両100は、モータと内燃機関とを備えるハイブリッド車両や、燃料電池を備える燃料電池自動車、電気自動車などを含む。
二次共鳴コイル110は、たとえば車体下部に設置される。二次共鳴コイル110は、両端に所定の静電容量のキャパシタ(図示せず)が接続されたLC共振器であり、給電装置200の一次共鳴コイル240と電磁場を介して共鳴することにより給電装置200から電力を受電する。なお、二次共鳴コイル110に接続されたキャパシタは必ずしも必要ではなく、コイルの寄生容量によって所望の共鳴周波数が得られる場合には、コイルの両端をオープン(非接続)としてもよい。
二次共鳴コイル110は、給電装置200の一次共鳴コイル240との距離や、一次共鳴コイル240と二次共鳴コイル110と間の共鳴周波数等に基づいて、一次共鳴コイル240と二次共鳴コイル110との共鳴強度を示すQ値(たとえば、Q>100)およびその結合度を示すκ等が大きくなるようにその巻数が適宜設定される。
受電コイル120は、二次共鳴コイル110と同軸上に設置され、電磁誘導により二次共鳴コイル110と磁気的に結合可能である。この受電コイル120は、二次共鳴コイル110により受電された電力を電磁誘導により取出してコンバータ140へ出力する。
コンバータ140は、車両ECU180からの制御信号に基づいて、受電コイル120によって取出された交流電力を整流するとともに、蓄電装置150の電圧レベルになるように電圧変換を行なって蓄電装置150へ出力する。なお、車両を走行しながら給電装置200から受電する場合には、コンバータ140は、整流した電力をシステム電圧に変換してPCU160へ直接供給してもよい。また、コンバータ140による電圧変換機能は、必ずしも必要ではなく、コンバータ140を整流器として機能させて、受電コイル120によって取出された交流電力を整流した電力が蓄電装置150に直接与えられるようにしてもよい。
蓄電装置150は、再充電可能な直流電源であり、たとえばリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池を含んで構成される。蓄電装置150は、コンバータ140から供給される電力を蓄えるほか、モータ170によって発電される回生電力も蓄える。そして、蓄電装置150は、その蓄えた電力をPCU160へ供給する。なお、蓄電装置150として大容量のキャパシタも採用可能であり、給電装置200から供給される電力やモータ170からの回生電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力をPCU160へ供給可能な電力バッファであれば如何なるものでもよい。
PCU160は、蓄電装置150から出力される電力、あるいはコンバータ140から直接供給される電力によってモータ170を駆動する。また、PCU160は、モータ170により発電された回生電力(交流電力)を直流電力に変換して蓄電装置150へ出力し、蓄電装置150を充電する。モータ170は、PCU160によって駆動され、車両走行のための駆動力を発生して駆動輪へ出力する。また、モータ170は、駆動輪や、ハイブリッド車両の場合には図示されないエンジンから受ける運動エネルギによって発電を行ない、その発電した回生電力をPCU160へ出力する。
車両ECU180は、いずれも図1には図示しないがCPU(Central Processing Unit)、記憶装置および入出力バッファを含み、各センサ等からの信号の受信や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、車両100および各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。なお、図1においては、車両ECU180が、車両100の走行制御、および給電装置200からの電力の受電制御の両方を行なう構成としているが、制御装置の構成はこれに限定されない。すなわち、車両100が、機器ごとあるいは機能ごとに対応した制御装置を個別に備える構成とすることもできる。たとえば、受電制御を主として行なうための受電ECUを備える構成としてもよい。
車両ECU180は、給電装置200から車両100への給電時、コンバータ140を制御する。車両ECU180は、たとえば、コンバータ140を制御することによって、蓄電装置150に供給する電圧を所定の目標電圧に制御する。また、車両ECU180は、車両の走行時は、車両の走行状況や蓄電装置150の充電状態(「SOC(State Of Charge)」とも称される。)に基づいてPCU160を制御する。
また、車両ECU180は、二次共鳴コイル110に設けられた検出器190によって検出された、二次共鳴コイル110の状態に関する信号を受ける。車両ECU180は、後述するように、受信した信号に基づいて二次共鳴コイルの異常の有無を判断する。そして、車両ECU180は、警告装置195に対して、二次共鳴コイル110の異常の有無を示す制御信号を出力する。なお、実施の形態1においては、検出器190および後述する給電装置200における検出器250は、それぞれ二次共鳴コイル110および一次共鳴コイル240に流れる電流を検出するための電流センサである。
車両ECU180は、二次共鳴コイル110に異常があると判断した場合には、たとえば、通信によって給電電力の制限や給電を停止するような指示を給電装置200に対して出力する。車両ECU180は、それに代えて、または、それに加えて、コンバータ140を停止したり、二次共鳴コイル110に設置された図示しないインピーダンス調整器によって二次共鳴コイルの共振周波数を変更したりすることによって、受電動作を停止する。
警告装置195は、車両ECU180からの制御信号に基づいて、二次共鳴コイル110の異常の有無を操作者に通知する。警告装置195としては、たとえば、ブザーやチャイムなどのように聴覚的に異常の有無を通知するものや、ランプや表示灯、液晶表示器などのように視覚的に異常の有無を通知するものなどが含まれる。
一方、給電装置200は、交流電源210と、高周波電力ドライバ220と、送電コイル230と、一次共鳴コイル240と、検出器250と、送電ECU260と、警告装置270とを含む。
交流電源210は、車両外部の電源であり、たとえば商用電源である。高周波電力ドライバ220は、交流電源210から受ける電力を高周波の電力に変換し、その変換した高周波電力を送電コイル230へ供給する。なお、高周波電力ドライバ220が生成する高周波電力の周波数は、たとえば1M〜数十MHzである。
送電コイル230は、一次共鳴コイル240と同軸上に設置され、電磁誘導により一次共鳴コイル240と磁気的に結合可能である。そして、送電コイル230は、高周波電力ドライバ220から供給される高周波電力を電磁誘導により一次共鳴コイル240へ給電する。
一次共鳴コイル240は、たとえば地面近傍に設置される。一次共鳴コイル240は、二次共鳴コイル110と同様に、両端に所定の静電容量のキャパシタ(図示せず)が接続されたLC共振器であり、車両100の二次共鳴コイル110と電磁場を介して共鳴することにより車両100へ電力を送電する。なお、一次共鳴コイル240に接続されたキャパシタは必ずしも必要ではなく、コイルの寄生容量によって所望の共鳴周波数が得られる場合には、コイルの両端をオープン(非接続)としてもよい。
この一次共鳴コイル240も、車両100の二次共鳴コイル110との距離や、一次共鳴コイル240および二次共鳴コイル110の共鳴周波数等に基づいて、Q値(たとえば、Q>100)および結合度κ等が大きくなるようにその巻数が適宜設定される。
送電ECU260は、いずれも図1には図示しないがCPU、記憶装置および入出力バッファを含み、給電装置200の制御を行なう。また、送電ECU260は、車両100の車両ECU180と無線などにより通信できるように構成される。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
送電ECU260は、車両100の種類や充電状態などに基づいて、高周波電力ドライバ220から車両100への給電電力を制御する。
また、送電ECU260は、検出器250で検出された一次共鳴コイル240の状態を表わす信号を受ける。送電ECU260は、この信号に基づいて一次共鳴コイル240の異常の有無を判断する。そして、送電ECU260は、警告装置270に対して、一次共鳴コイル240の異常の有無を示す制御信号を出力する。
送電ECU260は、一次共鳴コイル240に異常があると判断した場合には、たとえば高周波電力ドライバ220を制御して、給電電力の制限や給電停止を行なう。
警告装置270は、送電ECU260からの制御信号に基づいて、一次共鳴コイル240の異常の有無を操作者に通知するための装置である。警告装置270としては、たとえば、ブザーやチャイムなどのように聴覚的に異常の有無を通知するものや、ランプや表示灯、液晶表示器などのように視覚的に異常の有無を通知するものなどが含まれる。
なお、図1の非接触給電システムにおいては、共鳴コイルの状態を検出するための検出器、および共鳴コイルの異常を通知するための警告装置が、車両100および給電装置200の両方に備えられる構成が示されているが、車両100および給電装置200のいずれか一方のみに検出器および警告装置が設けられる構成としてもよい。
上述のような共鳴法を用いた電力伝達は、一般的に、電磁誘導を用いた場合と比べて大きな電力(たとえば、数kW)を非接触でより遠方に伝達することができる。しかしながら、共鳴コイルにはこのような大電力が発生するため、共鳴コイルの異常に起因して異常な発熱等が発生すると、それに起因してシステム故障が発生するおそれがある。そのため、このような故障の防止のために、共鳴コイルの異常検出をすることが必要とされる。
そこで、本実施の形態においては、共鳴コイルに流れる電流または共鳴コイルの温度に基づいて、共鳴コイルの異常を判定する。しかしながら、共鳴法においては、このような電流や温度を検出するためのセンサを共鳴コイルに接触させて、または共鳴コイルの近傍に配置すると、共鳴コイルとセンサ間との寄生容量によって共鳴コイルの共鳴周波数が変わってしまったり、この寄生容量によってセンサに電流が流れることによりQ値を悪化させてしまったりするなど、共鳴状態に影響をおよぼすおそれがある。
そのため、本実施の形態においては、これらのセンサを、共鳴状態への影響が少なくなる位置に配置し、その検出信号に基づいて共鳴コイルの異常を判定する手法を採用する。以下、詳細について説明する。
図2は、実施の形態1における共鳴コイルの異常検出を行なうための構成を説明するための図である。なお、図1と重複する要素の説明は繰り返さない。
図2を参照して、交流電源210から供給される交流電力は、高周波電力ドライバ220を経由して送電コイル230に接続される。
一次共鳴コイル240の両端には、共振周波数を調整するためのキャパシタ245が必要に応じて接続される。
電流センサ250は、一次共鳴コイル240に設けられ、一次共鳴コイル240に流れる電流を検出する。そして、電流センサ250は、一次共鳴コイル240に流れる電流に比例した電圧信号VIC1を送電ECU260へ出力する。
送電ECU260は、上述の信号VIC1と基準電圧とを比較することによって、後述するように一次共鳴コイル240の温度が許容温度より大きくなっているか否かを判定する。また、送電ECU260は、上記の信号VIC1と、交流電源210から供給される送電電圧に関連する信号VSとを比較することによって、一次共鳴コイル240または二次共鳴コイル110のQ値が低下しているか否かを判定する。そして、送電ECU260は、これらの異常の少なくともいずれか一方が発生していると判断した場合は、警告信号ALM1を警告装置270へ出力して操作者へ異常の発生を通知する。
なお、送電コイル230、一次共鳴コイル240、キャパシタ245および電流センサ250は、図示しないシールドケースに収納され、給電装置200のコイルユニット205を形成する。
一方、車両100側の二次共鳴コイル110の両端には、共振周波数を調整するためのキャパシタ115が必要に応じて接続される。
受電コイル120は、二次共鳴コイル110で受電された電力を電磁誘導によって取出し、コンバータ140へ出力する。コンバータ140は、車両ECU180により制御されて、受電コイル120からの電力を整流および電圧変換して、以降の負荷145へ出力する。なお、負荷145は、図1における蓄電装置150、PCU160およびモータ170を包括的に表わしたものである。
電流センサ190は、二次共鳴コイル110に設けられ、二次共鳴コイル110に流れる電流を検出する。そして、電流センサ190は、二次共鳴コイル110に流れる電流に関連する信号VIC2を車両ECU180へ出力する。
車両ECU180は、上述の信号VIC2と基準電圧とを比較することによって、二次共鳴コイル110の温度が許容温度より大きくなっているか否かを判定する。また、車両ECU180は、上記の信号VIC2と、送電ECU260から伝送される送電電圧に関連する信号VSとを比較することによって、一次共鳴コイル240と二次共鳴コイル110との間のQ値が低下しているか否かを判定する。そして、車両ECU180は、これらの異常の少なくともいずれか一方が発生していると判断した場合は、警告信号ALM2を警告装置195へ出力して操作者へ異常の発生を通知する。
なお、二次共鳴コイル110、受電コイル120、キャパシタ115および電流センサ190は、図示しないシールドケースに収納され、車両100のコイルユニット105を形成する。
車両ECU180と送電ECU260とは、たとえば無線通信などによって通信可能に構成される。送電ECU260は、給電装置200から供給される送電電圧に関する信号VSを車両ECU180へ送信する。また、車両ECU180は、給電装置200の動作を制御するための制御信号CRLを送電ECU260へ送信する。
次に、図3および図4を用いて、コイルユニットの詳細について説明する。なお、図3および図4は、車両100側のコイルユニット105(図2)を例として説明するが、給電装置200側のコイルユニット205についても基本的な構造は同様であり、その説明は繰り返さない。
図3および図4を参照して、二次共鳴コイル110および受電コイル120は、各コイルがほぼ同軸上となるように配置される。なお、図3においては、二次共鳴コイル110は単巻コイルの場合を例としているが、コイルの巻数はこれに限られるものではなく、複数巻きのコイルであってもよい。
キャパシタ115は二次共鳴コイル110の両端に接続される。キャパシタ115は、図3においては、二次共鳴コイルの円周に沿って配置されているが、二次共鳴コイル110の内側あるいは外側に配置されてもよい。
電流センサ190は、たとえば、ロゴスキーコイルやカレントトランスなどのように、非接触で二次共鳴コイル110に流れる電流を測定できるタイプのセンサであることが好ましく、二次共鳴コイル110の近傍に配置される。
二次共鳴コイル110、受電コイル120、キャパシタ115および電流センサ190は、図4の断面図のように、シールドケース106内に収納される。シールドケース106は、電磁遮蔽材を給電装置200側が開放された箱状に形成したものであり、電磁共鳴によって発生する電磁場が、給電装置200の方向以外の方向へ漏洩することを防止する。
このような構成において、電流センサ190は、二次共鳴コイル110の近傍に配置されるので、電流センサ190を介した接地(シールドケース)との間の寄生容量によって、二次共鳴コイル110の共振周波数に影響を与えたり、二次共鳴コイル110と電流センサ190との間でコロナ放電が発生したりするおそれがある。したがって、電流センサ190は、できるだけ二次共鳴コイル110への影響の少ない位置に配置することが望ましい。
図5は、図4で示したコイルユニットの等価回路を示したものである。図5を参照して、Cはキャパシタ115の静電容量を示し、CaおよびCbは、二次共鳴コイル110の両端の接地(シールドケース)に対する寄生容量を示す。また、Cmは、電流センサ190を介した、二次共鳴コイル110の接地に対する寄生容量を示し、LaおよびLbは、電流センサ190が配置された位置から、二次共鳴コイル110の各端までのインダクタンスとする。
二次共鳴コイルのインダクタンスLa,Lbには、受電コイル120などのような他のコイルとの相互インダクタンスを介して誘導電圧が発生するが、一般的には、二次共鳴コイル110に沿った位置であれば、その両端すなわち図5における点P1,P3における電圧振幅が、コイルの中央部の電圧振幅よりも大きくなる。したがって、二次共鳴コイル110の両端の寄生容量Ca,Cbがほぼ同じである場合には、図6に示すように、二次共鳴コイル110に沿った位置のほぼ中央における電圧振幅が最小となる。
そのため、図6のように、電圧振幅が最小となる位置(点P2)に電流センサ190を取付けることによって、二次共鳴コイル110に対する電流センサ190の影響を最小限にとどめることが可能となる。
なお、二次共鳴コイル110の両端の寄生容量Ca,Cbがアンバランスであり、たとえばCa>Cbであるような場合には、図7に示すように、点P3における電圧振幅が点P1における電圧振幅よりも大きくなり、電圧振幅が最小となる位置(図7の点P2*)が中央から点P1側へ移動する。このような場合においても、電流センサ190の取付位置を、電圧振幅が最小となる点P2*の位置とすることによって、二次共鳴コイル110に対する電流センサ190の影響を最小とすることができる。
すなわち、二次共鳴コイル110に沿った電圧振幅の分布において、最小の電圧振幅となる位置にセンサを配置することが重要である。
また、電流センサとしては、上記のようなセンサの他に、光ファイバを用いた光ファイバ型電流センサを採用することも可能である。このような光ファイバ型電流センサの場合は、電界による影響をほとんど受けないので、取付位置については、上述のように二次共鳴コイル110に生じる電圧振幅の分布に関係なく、二次共鳴コイル110とキャパシタ115とを含む回路上のどこに配置してもよい。
図8に、光ファイバ型電流センサを用いた場合のコイルユニットの例を示す。図8においては、図3の電流センサ190に代えて、光ファイバ191および検出部192が備えられる。光ファイバ型電流センサの原理については公知であるので詳細は繰り返さない。
光ファイバ191は、二次共鳴コイル110およびキャパシタ115において、電流の流れる経路(導体)の周りに巻回される。このとき、光ファイバ191の折損を防ぐために、所定の巻回半径以上で巻回することが必要であり、光ファイバ用の巻枠が必要となる場合がある。たとえば、図8のように、キャパシタ115が円筒型の外形を有している場合であって、その円筒形状が上述の巻回半径以上である条件を満たす場合には、キャパシタ115を巻枠として使用することで、光ファイバ用の巻枠を省略することができる。
光ファイバ191は、検出部192に接続される。検出部192は、光ファイバ191を伝播する円偏光の位相差に基づいて、二次共鳴コイル110に流れる電流を検出し、たとえば、その電流に比例する電圧信号を生成して車両ECU180へ出力する。
図9は、本実施の形態における共鳴コイルの異常検出制御を説明するための機能ブロック図である。図9で説明される機能ブロック図に記載された各機能ブロックは、車両ECU180および送電ECU260において、ハードウェア的あるいはソフトウェア的な処理によって実現される。なお、図9および以降で説明する図10,図11においては、車両100側の車両ECU180における制御を例として説明するが、給電装置200側の送電ECU260についても基本的には同様の構成とすることが可能であり、その説明は繰り返さない。
図2および図9を参照して、車両ECU180は、電圧検出部600と、基準電圧設定部610と、異常判定部620と、警報出力部630と、指令生成部640とを含む。
電圧検出部600は、検出器190から出力された二次共鳴コイル110に流れる電流に対応する電圧信号VIC2(交流信号)、および、給電装置200から受けた給電装置200からの送電電圧に関する信号VS(直流信号)を受ける。電圧検出部600は、電圧信号VIC2を整流するとともに、必要に応じてそれぞれの信号のゲインを調整して電圧信号VIC2d,VSd(直流信号)を生成し、異常判定部620へ出力する。なお、送電電圧はMHzオーダの高周波であり、実際の高周波の電圧振幅をコンピュータ等によって計測するためには高速のA/D変換等の処理が必要となるので、コスト面などを考慮すると、送電電圧に関する信号VSとしては、実際の電圧信号を整流した直流信号を用いて伝送することが好適である。ただし、たとえばアナログ回路を用いて処理するような場合には、送電電圧に関する信号VSを交流信号として伝達することも可能である。
基準電圧設定部610は、図示しない温度センサで検出された外気温TMPを受ける。そして、基準電圧設定部610は、この外気温TMPに基づいて、二次共鳴コイル110に許容される温度上昇に対応する基準電圧Vrefを設定し、異常判定部620へ出力する。
ここで、基準電圧設定部610における基準電圧Vrefの設定についての概要を説明する。一般的に、共鳴コイルの発熱は、共鳴コイルの抵抗成分と共鳴コイルに流れる電流の二乗に比例する。そして、共鳴コイルの温度の定常値は、周囲温度(すなわち外気温)と共鳴コイルの発熱による温度上昇に基づいて推定できる。そして、たとえば外気温が高い場合には、外気温が低い場合に比べて、コイルの許容温度までの温度上昇量を小さく抑えることが必要となる。そのため、たとえば、予め実験等によって定められた、二次共鳴コイルに流れる電流とそのときの二次共鳴コイルの温度との関係を示すマップなどを用いて、現在の外気温において許容される共鳴コイルの発熱量に相当する基準電圧Vrefを設定することができる。
異常判定部620は、電圧検出部600からの直流電圧VIC2d,VSdおよび基準電圧設定部610からの基準電圧Vrefの入力を受ける。
異常判定部620は、電圧VIC2dと基準電圧Vrefとを比較する。異常判定部620は、電圧VIC2dが基準電圧Vrefより大きい場合は、二次共鳴コイル110が許容温度以上となっていると判断する。そして、異常判定部620は、共鳴コイルが高温になっていることを示す高温信号HTMPを生成して、警報出力部630および指令生成部640へ出力する。基準電圧設定部610で設定される基準電圧Vrefは、上述のような二次共鳴コイル110の許容温度による設定に限られず、それに代えて、あるいは、それに加えてキャパシタ115の耐電圧や二次共鳴コイル110の絶縁耐圧などを検出するための他の基準電圧を設定するようにしてもよい。
さらに、異常判定部620は、電圧VIC2dと電圧VSdとを比較する。異常判定部620は、電圧VIC2dが電圧VSdより小さい場合は、二次共鳴コイル110とキャパシタ115とで構成される共振回路の絶縁不良や、共振回路以外の他の機器等(または、誘電体や磁性体など)の接近などに起因してQ値が低下している、すなわち共振回路による損失が増加していると判断する。そして、異常判定部620は、Q値が低下したことを示すQ値低下信号LQを生成して、警報出力部630および指令生成部640へ出力する。
警報出力部630は、高温信号HTMP、Q値低下信号LQなどの異常を示す信号を異常判定部620から受ける。そして、警報出力部630は、異常が発生している場合には、警告装置195へ警告信号ALM2を出力することによって、操作者に対して異常の発生を通知する。
指令生成部640は、高温信号HTMP、Q値低下信号LQなどの異常を示す信号を異常判定部620から受ける。そして、異常の状態に応じて、給電装置200に対して、給電装置200からの給電電力の変更(増加または減少)や給電停止を指示したり、または、車両100のコンバータ140を停止させたりするための制御信号CRLを生成し、給電装置200およびコンバータ140などに出力する。
なお、上述の説明において、共鳴コイルに流れる電流については、電流センサにより検出される電流の瞬時値を用いてもよいが、ノイズや瞬間的な電流変動の影響を排除するために、たとえば制御周期の数周期分の時間における電流値の平均値を用いることが好適である。また、検出電流を時間軸方向に所定時間積分した値を用いるようにしてもよい。
図10は、図9で説明した機能ブロック図における、電圧検出部600および異常判定部620をアナログ回路で構成した一例を示す図である。
図9および図10を参照して、車両ECU180は、整流回路710,720と、ゲイン調整部730と、比較器740,750とを含む。この中で、整流回路710,720およびゲイン調整部730が図9における電圧検出部600の一例であり、比較器740,750が図9における異常判定部620の一例である。なお、図10においては、送電電圧に関する信号VSが交流信号で伝達される場合として説明する。
整流回路710は、電流センサ190から受ける二次共鳴コイル110に流れる電流に対応する電圧信号VIC2(交流信号)を直流信号のVIC2dに整流する。そして、整流回路710は、信号VIC2dを比較器740の正側の入力端子、比較器750の負側の入力端子へ出力する。
比較器740は、整流回路710で整流された信号VIC2dと、比較器740の負側の入力端子に入力される基準電圧Vrefとを比較し、信号VIC2dが基準電圧Vrefより大きい場合は、高温信号HTMPを警報出力部630および指令生成部640へ出力する。
整流回路720は、送電ECU260から伝送された交流信号である供給電圧を表わす電圧信号VSを直流信号のVSd*に整流する。ゲイン調整部730は、整流回路720からの直流信号VSd*に所定のゲインを乗じて信号VSdを生成し、比較器750の正側の入力端子に出力する。
比較器750は、整流回路710で整流された信号VIC2dと、ゲイン調整部730からの信号VSdとを比較し、信号VIC2dが信号VSdよりも小さい場合は、Q値低下信号LQを警報出力部630および指令生成部640へ出力する。
なお、図10の回路は、アナログ回路で構成した例を説明したが、上記の機能の少なくとも一部をデジタル信号処理(ハードウェア、ソフトウェアを含む)によって実現するようにしてもよい。そのような場合には、送電電圧に関する信号VSは、図9で説明したように整流後の直流信号として伝送されることが好ましく、その場合上述の整流回路720は不要である。
また、給電装置200と車両100との間での信号の授受がされない構成の場合には、図10の回路におけるQ値低下を判定する部分が省略される。
図11は、本実施の形態における共鳴コイルの異常検出制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。図11に示されるフローチャート中の各ステップについては、車両ECU180に予め格納されたプログラムを所定周期でメインプログラムから呼び出して実行することによって実現される。あるいは、一部のステップについては、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である。
図11を参照して、車両ECU180は、ステップ(以下、ステップをSと略す。)100において、二次共鳴コイル110に流れる電流に対応する電圧信号VIC2および給電装置200からの送電電圧に関する信号VSと、外気温TMPを取得する。そして、車両ECU180は、交流信号の信号VIC2,VSから直流信号の信号VIC2d,VSdをそれぞれ算出する。
次に、車両ECU180は、S110にて、外気温TMPに基づいて、基準電圧Vrefを演算する。そして、車両ECU180は、S120にて信号VIC2dが基準電圧Vrefより大きいか否かを判定する。
信号VIC2dが基準電圧Vrefより大きい場合(S120にてYES)は、ECU180は、S130に処理を進めて、二次共鳴コイル110の高温異常が発生していると判定し、異常判定信号HTMPを設定する。そして、車両ECU180は、S140にて、コイル高温異常に対応した異常処理を行なう。具体的には、給電装置200に対して指令を出力して、給電電力を低下または停止させたり、コンバータ140を停止させて受電動作を停止したりする。あるいは、二次共鳴コイル110を冷却するための冷却装置(図示せず)を有する場合には、冷却装置を作動させながら給電動作を継続するようにしてもよい。
そして、車両ECU180は、S150にて、アラームを出力して、コイル高温異常が発生していることを操作者に通知し、S160に処理を進める。
一方、信号VIC2dが基準電圧Vref以下の場合(S120にてNO)は、車両ECU180は、二次共鳴コイル110は高温となっていないと判定し、S130〜S150の処理をスキップして、S160に処理を進める。
S160では、車両ECU180は、信号VIC2dが信号VSdより大きいか否かを判定する。
信号VIC2dが信号VSdより小さい場合(S160にてYES)は、ECU180は、S170に処理を進めて、Q値の低下異常が発生していると判定し、異常判定信号LQを設定する。そして、車両ECU180は、S180にて、Q値低下異常に対応した異常処理を行なう。具体的には、給電装置200に対して指令を出力して、所望の電力を供給するために給電電力を増加したり、あるいは他の機器等への影響を抑制するために給電を停止したりする。
そして、車両ECU180は、S190にて、アラームを出力して、Q値低下異常が発生していることを操作者に通知する。
一方、信号VIC2dが信号VSd以上の場合(S160にてNO)は、車両ECU180は、Q値低下が発生していないと判定し、S170〜S190の処理をスキップして、メインルーチンの処理を戻す。
このような処理に従って制御を行なうことによって、共鳴コイルに流れる電流に関する信号に基づいて共鳴コイルの発生する異常を検出することが可能となる。このとき、電流センサは、共鳴コイルにおいて接地に対する電位が最低となる位置に設けられるので、電流センサを設置することによる、共鳴状態への影響を低減することが可能となる。
[実施の形態2]
実施の形態1においては、共鳴コイルに流れる電流に基づいて共鳴コイルの異常を検出する構成について説明した。
実施の形態2においては、共鳴コイルの温度に基づいて共鳴コイルの異常を検出する構成について説明する。
図12は、実施の形態2における、温度センサを備えるコイルユニットの例を示す図である。図12は、実施の形態1で説明した図3のコイルユニットの図における電流センサ190に代えて、接触型の温度センサ193および温度検出部194が備えられたものとなっている。図12において、図3と重複する要素の説明は繰り返さない。
図12を参照して、温度センサ193は、たとえば、熱電対やサーミスタなどの接触型の温度センサであり、二次共鳴コイル110上に熱的に結合するように取付けられる。この温度センサ193の取付位置についても、実施の形態1と同様に、二次共鳴コイル110の電圧振幅が最小となる位置に取付けることが好ましい。
温度センサ193は、温度検出部194に接続される。温度検出部194は、温度センサ193によって検出された温度に関する信号に基づいて、たとえば温度に比例する電圧信号VT2を生成して車両ECU180へ出力する。
接触型の温度センサを用いることは、非接触型のセンサを用いる場合に比べて、共鳴状態に与える影響は大きくなるが、センサ本体が安価でかつ比較的検出精度も高いので、共鳴状態への影響が許容される範囲内である場合には採用することが可能である。
なお、温度センサとしては、たとえば非接触型のセンサであるレーザ型温度センサを採用することも可能であり、あるいは、絶縁体だけでできた誘導電流の流れないセンサとして、実施の形態1と同様に光ファイバを用いた光ファイバ型温度センサを用いたりしてもよい。
図13は、実施の形態2における共鳴コイルの異常検出回路の一例を示す図である。図13は、実施の形態1で説明した図10の機能ブロック図における整流回路710が削除されたものとなっている。温度センサによって検出される温度に関する信号は、一般的に直流信号であるため、整流回路710を不要とできる。
図12における温度検出部194から出力された、共鳴コイルの温度に対応する電圧信号VT2は、比較器740の正の入力端子および比較器750の負の入力端子に入力される。そして、共鳴コイルの温度に対応する電圧信号VT2と、基準電圧Vrefおよび電圧VSdとを比較することによって、図10における説明と同様に、共鳴コイルの高温異常およびQ値低下を判定することができる。
なお、図13において基準となるVrefおよびVSdの値については、電圧信号VC2dと電圧信号VT2との大きさの違いに応じて、適宜ゲインを調整してもよい。
図14は、実施の形態2における共鳴コイルの異常検出制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。図14においては、実施の形態1における図11のフローチャートにおけるステップS100,S120,S160が、それぞれS100A,S120A,S160Aに置き換わったものとなっている。S100A,S120A,S160Aにおいては、図11における電流に対応する電圧信号(VC2,VC2d)が、温度に関する電圧信号VT2に置き換わったものであるので、各ステップの処理の詳細については繰り返さない。
以上のように、電流センサに代えて温度センサを用いた構成においても、共鳴コイルの発生する異常を検出することが可能となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 車両、105,205 コイルユニット、106 シールドケース、110 二次共鳴コイル、115,245 キャパシタ、120 受電コイル、140 コンバータ、145 負荷、150 蓄電装置、160 PCU、170 モータ、180 車両ECU、190,250 検出器、191 光ファイバ、192 検出部、193 温度センサ、194 温度検出部、195,270 警告装置、200 給電装置、210 交流電源、220 高周波電力ドライバ、230 送電コイル、240 一次共鳴コイル、260 送電ECU、600 電圧検出部、610 基準電圧設定部、620 異常判定部、630 警報出力部、640 指令生成部、710,720 整流回路、730 ゲイン調整部、740,750 比較器。

Claims (20)

  1. 第1の共鳴コイルを含み、対向する第2の共鳴コイルとの電磁共鳴によって非接触で電力の送電および受電の少なくともいずれか一方を行なうように構成された電力転送装置において、前記第1の共鳴コイルの異常を検出するための異常検出装置であって、
    前記第1の共鳴コイルまたはその近傍に取付けられ、前記第1の共鳴コイルの温度に関連する信号および前記第1の共鳴コイルに流れる電流に関連する信号の少なくとも一方を検出するための検出器と、
    前記検出器によって検出された信号に基づいて、前記第1の共鳴コイルの異常を判定するための制御装置とを備える、非接触電力転送装置の異常検出装置。
  2. 前記検出器は、前記第1の共鳴コイルに発生する電圧の振幅が最小となる位置に設置される、請求項1に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  3. 前記検出器は、前記第1の共鳴コイルを流れる電流に関連する信号を検出するための電流センサである、請求項2に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  4. 前記制御装置は、前記電流に関連する信号が予め定められた基準値を上回る場合に前記第1の共鳴コイルが高温となる異常であると判定する、請求項3に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  5. 前記電力転送装置は、前記第1の共鳴コイルで送電するための電力または前記第1の共鳴コイルで受電された電力を変換するための電力変換装置を含み、
    前記制御装置は、前記第1の共鳴コイルが高温となる異常が発生している場合は、前記電力変換装置により変換される電力が低減されるように、前記電力変換装置を制御する、請求項4に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  6. 前記制御装置は、前記電流に関連する信号と、前記第1の共鳴コイルに供給される給電電圧との比較に基づいて、前記第1の共鳴コイルにおいてインピーダンスの異常が発生しているか否かを判定する、請求項3に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  7. 前記制御装置は、前記第1の共鳴コイルにおいてインピーダンスの異常が発生している場合は、送電される電力を増加させるための信号を生成する、請求項6に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  8. 前記第1の共鳴コイルの異常が検出された場合に、操作者に対して警報を出力するための警報出力部をさらに備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  9. 前記制御装置は、前記電流センサで検出された前記第1の共鳴コイルを流れる電流の電流振幅に基づいて、前記第1の共鳴コイルの異常を判定する、請求項3に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  10. 前記制御装置は、前記電流センサで検出された前記第1の共鳴コイルを流れる電流を時間軸方向に積分した電流積分値に基づいて、前記第1の共鳴コイルの異常を判定する、請求項3に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  11. 前記電流センサは、ロゴスキーコイルを含んで構成される、請求項3に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  12. 前記検出器は、前記第1の共鳴コイルの温度に関連する信号を検出するための温度センサである、請求項2に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  13. 前記制御装置は、前記温度に関連する信号が予め定められた基準値を上回る場合に前記第1の共鳴コイルが高温となる異常であると判定する、請求項12に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  14. 前記検出器は、光ファイバ型の検出器を含んで構成される、請求項1に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  15. 前記光ファイバ型の検出器は、光ファイバ型電流センサである、請求項14に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  16. 前記光ファイバ型の検出器は、光ファイバ型温度センサである、請求項14に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  17. 前記電力転送装置は、その両端が前記第1の共鳴コイルの両端にそれぞれ接続されたキャパシタを含み、
    前記検出器に含まれる前記光ファイバは、前記キャパシタの周囲に巻回される、請求項14〜16のいずれか1項に記載の非接触電力転送装置の異常検出装置。
  18. 電磁共鳴によって電源からの電力を受電装置へ非接触で伝達するための非接触送電装置であって、
    前記受電装置と電磁共鳴を行なうための共鳴コイルと、
    前記共鳴コイルまたはその近傍に取付けられ、前記共鳴コイルの温度に関連する信号および前記共鳴コイルに流れる電流に関連する信号の少なくとも一方を検出するための検出器と、
    前記検出器によって検出された信号に基づいて、前記共鳴コイルの異常を判定するための制御装置とを備える、非接触送電装置。
  19. 電磁共鳴によって送電装置からの電力を非接触で受電するための非接触受電装置であって、
    前記送電装置と電磁共鳴を行なうための共鳴コイルと、
    前記共鳴コイルまたはその近傍に取付けられ、前記共鳴コイルの温度に関連する信号および前記共鳴コイルに流れる電流に関連する信号の少なくとも一方を検出するための検出器と、
    前記検出器によって検出された信号に基づいて、前記共鳴コイルの異常を判定するための制御装置とを備える、非接触受電装置。
  20. 車両であって、
    電磁共鳴によって送電装置からの電力を非接触で受電するように構成され、共鳴コイルを含む非接触受電装置と、
    前記非接触受電装置によって受電された電力を用いて充電が可能な蓄電装置と、
    前記蓄電装置からの電力を用いて前記車両を走行するための駆動力を発生するための駆動装置と、
    前記共鳴コイルまたはその近傍に取付けられ、前記共鳴コイルの温度に関連する信号および前記共鳴コイルに流れる電流に関連する信号の少なくとも一方を検出するための検出器と、
    前記検出器によって検出された信号に基づいて、前記共鳴コイルの異常を判定するための制御装置とを備える、車両。
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