JP2012054843A - 空気超音波センサー及び空気超音波センサーの整合層の形状決定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い透過波信号強度とSN比とを得るのに最適な形状・寸法を備えた整合層を備えた空気超音波センサー及びその形状決定方法を提供する。
【解決手段】空気超音波センサー1の整合層11形状の決定方法(ステップS1〜S9)は、集束点21に伝播する透過波成分が第1波成分22又は第2波成分23のいずれかであるとして、いずれの透過波成分もある同一の集束点21に集束するように決定し、いずれの波成分22,23も最も効果的に励起されるように集束点21から逆算的に整合層11の放射面13上の点を求めることを特徴とする。さらに、これらの点14の軌跡から第1波励起形状13aと第2波励起形状とを決定し、これらを組み合せた放射面形状13を決定するものである。この放射面形状13を備えた整合層11から出射して測定対象物2の集束点21に透過した超音波の信号強度とSN比とは格段に向上する。
【選択図】図4
【解決手段】空気超音波センサー1の整合層11形状の決定方法(ステップS1〜S9)は、集束点21に伝播する透過波成分が第1波成分22又は第2波成分23のいずれかであるとして、いずれの透過波成分もある同一の集束点21に集束するように決定し、いずれの波成分22,23も最も効果的に励起されるように集束点21から逆算的に整合層11の放射面13上の点を求めることを特徴とする。さらに、これらの点14の軌跡から第1波励起形状13aと第2波励起形状とを決定し、これらを組み合せた放射面形状13を決定するものである。この放射面形状13を備えた整合層11から出射して測定対象物2の集束点21に透過した超音波の信号強度とSN比とは格段に向上する。
【選択図】図4
Description
本発明は、空気超音波センサーに用いられる超音波整合層の形状決定方法に関するものであり、より具体的には、透過波信号の強度とSN比(signal-to-noise ratio)とを向上させるために最適な形状・寸法を求める超音波整合層の形状決定方法に関するものである。
非接触超音波法の一種である空気超音波センサーは、例えば、溶接材料の特性評価に利用されている。この技術は、非接触であると共に小型で安価にシステムを構成できるため、工学・工業の幅広い分野への応用が期待されている。しかしながら、空気中においては超音波が高減衰と低インピーダンスとの特性を有するために、高精度な測定が困難となり、そのセンサーの実用化には克服すべき課題が多い。例えば、振動子と整合層とから構成されたセンサーから出射し、測定対象物を透過していく波の信号強度やSN比が小さくなり過ぎてしまうといった課題が挙げられる。
従来の空気超音波センサー(以下、「従来センサー」と呼ぶ。)の原理を簡単に説明する。従来センサーは、圧電素子に金属板を張り合わせたユニモルフ構造を成す振動子と、音響整合層(音響レンズとも呼ばれる)とを備える。超音波は異種の伝達媒質間の界面を透過する際に、媒質間の音響インピーダンスの差が大きいほど透過率が低下する。振動子は代表的にはPZT等のセラミックから成り、大気に比べて音響インピーダンスが著しく大きく、振動子から直接大気中へ放射しようとしても、透過率が非常に小さくなるか全反射してしまい実用化できない。
そのため空気超音波センサーでは、振動子と大気との間に、両者の中間の音響インピーダンスを持つ音響整合層を介在させ、振動子において発生した超音波を実用的な透過率で大気中へ放射できるようにしてある。この整合層としては一般にエポキシ樹脂等が用いられている。
図1(a)に、従来センサー100の構造と超音波の伝達経路とを例示する。図1(a)では、振動子で発生した超音波が整合層110と空気とを透過して測定対象物である平板2(例えば、鋼板)に入射する。従来センサー100に利用されてきた整合層110の放射面130は、通常、曲率半径が一定の凹形状を成した断面を有する。ここで、凹状を成す放射面130は、奥行方向にその断面形状が変化しない溝状凹部を成す場合と、放射面130の中心Oが最も窪み、その中心Oを基点に同心円状に一定の曲率半径を有した球状凹部を成す場合とがある。
放射面130から局所的に発生した超音波は、放射面130の中心線又は中心面に対して、線対称又は面対称となるために、鋼鈑2に入射した透過波は、上記中心線又は中心面の延長線上の点21に集束することになる。しかしながら、従来センサー100における整合層110の放射面130は、上述のように曲率半径が一定の凹部形状を成すために、集束点21が多数存在(つまり分散)してしまうことになる。これは、測定対象物2を透過していく波の信号強度やSN比が小さくなり過ぎることを意味する。従って、測定対象物2から透過(又は反射)した波の十分な受信が困難になり、高精度な測定が困難になってしまう。
従来センサー100の整合層110として、現時点(本出願時点)での技術水準を示すものとして、例えば、特許文献1〜3に開示の技術が知られている。具体的には、特許文献1では、超音波を探触子から試験体に入射することにより試験体表面に表面波を発生させると共に、この探触子により前記表面波に起因する漏洩波を受信し、この試験体の表面波音速により試験体の劣化又は損傷の程度を評価する方法が開示されている。この特許文献1において利用されている整合層は曲率半径5mmが一定の外壁形状を成しており(段落番号0019の記載)、上述の集束点の分散の課題を解決するものではない。
また、特許文献2に開示の超音波プローブは、曲率半径が一定の整合層(音響レンズ)の中央部に、振動子設定面からレンズ曲率面まで貫通する透孔が開設されると共に、音響レンズの径方向に延びるスリットが形成されている。しかしながら、特許文献2の技術は、音響レンズの垂直入射波及び垂直反射波の伝搬経路における超音波の伝搬速度と、音響レンズの斜角入射波及び漏洩波の伝搬経路における超音波の伝搬速度とを異ならせ、かつ、被検体への斜角入射波及び被検体からの漏洩波の伝搬経路を一部遮断することが目的であり、これも本発明の上記課題を解決するものではない。
また、特許文献3では、音響レンズの超音波放射面を中央部の超音波放射面はある集束点に超音波を集束する曲率半径の曲面に形成し、その両側の複数の超音波放射面は同一の曲率半径で異なる曲率中心を有する曲面に形成した超音波アプリケータが開示されている。しかしながら、特許文献3は、超音波振動子より発生した超音波を生体内の複数の集束点に集束させることができ、且つ、超音波振動子および/または音響レンズの厚みを薄くできるようにした超音波アプリケータを提供することを目的とするものであって、本発明のように一つの集束点に集束させて信号強度やSN比の感度を向上させることを目的とするものではない。
また、音響レンズの形状としてはギザギザ状で円心状に区分けされた曲面状の放射面になっており、区分けされた各曲面区分では曲率半径は一定である。従って、当該特許文献3に開示の技術も、各曲面区分では上記図1(a)に示した従来センサー100の伝播経路及び原理に従うと考えられる。
以上の事情に鑑み、本発明の目的は、高い透過波信号強度とSN比とを得るのに最適な形状・寸法を備えた整合層を備えた空気超音波センサー及びその整合層形状の決定方法を提供することである。
本発明者らは、透過波信号強度とSN比とを向上させるためには、整合層放射面上の任意の点から測定対象物に入射する全ての透過波(通常、縦波)が該測定対象物内の一点に同時に集束・励起させることが有効であること、さらに、別のモードである横波も上記集束点にて同時に集束・励起させることがさらに有効であること、これらのモードの超音波の集束・励起は整合層放射面を所望の最適な形状に決定することで実現可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
例えば、本発明の一実施態様は以下に示すものである。
整合層の最適な形状を決定するための空気超音波センサーの形状決定方法であって、
使用する測定対象物の材料と、前記測定対象物内の集束点の位置と、前記測定対象物から前記整合層の放射面中心までの測定距離と、を予め決定する予備決定ステップと、
前記測定対象物内において前記集束点まで伝播する第1波成分を超音波の縦波又は横波のいずれかから選択する波成分選択ステップと、
前記第1波成分が前記集束点に向かう第1屈折角を任意に決定する第1屈折角決定ステップと、
前記第1波成分の有する音速と前記第1屈折角とから、前記測定対象物表面上の第1入射角と入射位置とを決定する第1入射角決定ステップと、
前記整合層内を伝播する第2入射角を少なくとも前記第1入射角を利用して決定する第2入射角決定ステップと、
前記第1入射角と前記入射位置と前記第2入射角と前記整合層の前記中心とを利用して形成される複数の三角形を構成し、前記三角形の一点を前記整合層の前記放射面上の一点に決定する曲面点決定ステップと、
前記第1屈折角を連続的に変更させながら前記1屈折角決定ステップ乃至前記曲面点決定ステップを繰り返し実行して、前記点の軌跡から第1波励起形状を決定する第1波励起形状決定ステップと、
前記波成分選択ステップにおいて選択されなかった波成分を第2波成分として選択して、前記第1屈折角決定ステップ乃至前記第1励起形状決定ステップと同様のステップを実行して第2波励起形状を決定する第2波励起形状決定ステップと、
空気から前記測定対象物への前記第1・第2波成分の入射角依存性から前記第1・第2励起曲面形状を組み合せて前記整合層の前記放射面の最終的な形状を決定する放射面決定ステップと、を含むことを特徴とする形状決定方法。
整合層の最適な形状を決定するための空気超音波センサーの形状決定方法であって、
使用する測定対象物の材料と、前記測定対象物内の集束点の位置と、前記測定対象物から前記整合層の放射面中心までの測定距離と、を予め決定する予備決定ステップと、
前記測定対象物内において前記集束点まで伝播する第1波成分を超音波の縦波又は横波のいずれかから選択する波成分選択ステップと、
前記第1波成分が前記集束点に向かう第1屈折角を任意に決定する第1屈折角決定ステップと、
前記第1波成分の有する音速と前記第1屈折角とから、前記測定対象物表面上の第1入射角と入射位置とを決定する第1入射角決定ステップと、
前記整合層内を伝播する第2入射角を少なくとも前記第1入射角を利用して決定する第2入射角決定ステップと、
前記第1入射角と前記入射位置と前記第2入射角と前記整合層の前記中心とを利用して形成される複数の三角形を構成し、前記三角形の一点を前記整合層の前記放射面上の一点に決定する曲面点決定ステップと、
前記第1屈折角を連続的に変更させながら前記1屈折角決定ステップ乃至前記曲面点決定ステップを繰り返し実行して、前記点の軌跡から第1波励起形状を決定する第1波励起形状決定ステップと、
前記波成分選択ステップにおいて選択されなかった波成分を第2波成分として選択して、前記第1屈折角決定ステップ乃至前記第1励起形状決定ステップと同様のステップを実行して第2波励起形状を決定する第2波励起形状決定ステップと、
空気から前記測定対象物への前記第1・第2波成分の入射角依存性から前記第1・第2励起曲面形状を組み合せて前記整合層の前記放射面の最終的な形状を決定する放射面決定ステップと、を含むことを特徴とする形状決定方法。
また、本発明の別の態様として、以上のような方法よってその形状が決定された整合層を備えた空気超音波センサーが提供される。
本発明によって作られた超音波センサーによれば、放射面が上記形状を成すよう決定された整合層を有するため、測定対象物内の一点において縦波モード及び横波モードの超音波を効率よく発生・透過させることができる。従って、空気超音波センサーでの空間分解能を高めるとともに、検出可能な透過波信号強度とSN比とを向上させることができるようになる。
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づき説明するが、本発明は、下記の具体的な実施形態に何等限定されるものではない。
図1(b)に、本発明の空気超音波センサー1における超音波伝播経路の考え方を示す。図1(a)に示す従来センサー100の場合と異なり、本発明のセンサー1は、図1(b)に示すように、整合層11の放射面13上の任意の点から測定対象物2に入射した超音波が一つの点21に集束する。この集束点21において励起した透過波のエネルギーは飛躍的に増大するため、信号強度やSN比が向上し、高精度な測定が可能になる。
このような本発明のセンサー1を実現するには、測定対象物2内のある一点を集束点21とし、整合層11から空気を介して入射する透過波がこの集束点21に向かうように、屈折の法則(スネルの法則)に基づいて放射面13の形状を逆算的に決定すれば良いことに本発明者らは想到した。
次に、空気と測定対象物2との界面での超音波の屈折及びモード変換(入射角依存性)について説明する。図2(a)は、空気と測定対象物2(図示の例では鋼)との界面での超音波の反射及び透過の挙動を示した図である。超音波がある媒質(空気)から異なる媒質(鋼)に入射すると、界面での固有音響インピーダンスの相違により入射波の一部が反射し、残りが鋼内部に屈折して透過する。ここで、鋼等の弾性体を媒質とする媒質内の透過波には、縦波成分と横波成分との両方が存在する。なお、空気中を伝播する入射波は、空気密度の振動が伝播するもの(疎密波)であり、縦波成分のみである。
図2(a)に示すように、異種材料界面に超音波が角度θaiで斜入射する場合の縦波成分及び横波成分のエネルギー透過率TlとTtとは、それぞれ次式(1)、(2)で表される。
なお、上記式中のρa及びCalは空気の密度および音速であり、ρs、Csl及びCstは測定対象物(鋼)の密度,縦波成分の音速及び横波成分の音速であり、θslr及びθstrは縦波成分の屈折角及び横波成分の屈折角である。
次に、本発明のセンサー1に設けられた整合層11は凹形状の放射面13を有するため、入射角θaiが0°から所定の角度まで変化する。図2(b)は、空気から鋼へのエネルギー透過率の入射角依存性を示したものである。図2(b)に示すように、縦波成分のエネルギー透過率Tlは、入射角θaiが0°〜約3.3°の範囲で支配的であり、θaiが上記範囲の上限(第1臨界角とも呼ぶ。)を超えると完全に消失する。一方、横波成分のエネルギー透過率Ttは、θaiが約1°〜約3.3°の範囲で所定の大きさを有し、第1臨界角では一旦消失するものの、第1臨界角を越えてから次の臨界角(第2臨界角とも呼ぶ。)の約3.3°〜約6°までは著しく大きな値を有し、支配的となる。
従って、所定の範囲にある入射角θaiを有する入射波では、横波成分のエネルギー透過率Ttを積極的に活用することで超音波センサー1の性能を向上できると考えられる。具体的には、以下の実施例に示すように、入射角θaiが比較的小さな範囲では透過率が支配的な縦波成分に着目してこれをある一点21に集束するように整合層11の放射面13の形状を決定し、入射角θaiが比較的大きな範囲では透過率が支配的な横波成分に着目してこれを上記集束点21と同一の点に集束するように整合層11の放射面13の形状を決定すれば良い。
図3に、本発明の実施例1に係る整合層11(音響レンズ型)の放射面形状13の決定方法の概略を示す。なお、図3では、説明の便宜上、振動子12及び整合層11はその中心点Oを通る中心線(又は中心面)から左半分のみが示されている。本発明の決定方法では、この放射面13を、第1波(例えば、縦波)励起形状13aと第2波(例えば、横波)励起形状13bとの二つの形状部分に分け、それぞれの形状について放射面形状13の決定を行う。ここで、第1波(縦波)励起形状13aは図示のように中心線から半径方向rの所定の位置まで延びた領域であり、第2波(横波)励起形状13bはこの第1励起形状13aから半径方向r外側にさらに延びた領域である。なお、測定対象物2にて第1波22が透過する部分Aを拡大した図を図3(b)に示し、測定対象物2にて第2波23が透過する部分Bを拡大した図を図3(c)に示している。
なお、整合層11は、放射面3の凹形状が奥行方向に同一になったトンネル形状をなすものと、放射面3の凹形状が中心点Oを中心にして半径方向rに線対称となる同心円状をなすものとがある。
次に、図4を参照しながら、本発明の整合層11の形状13を決定する方法のフローについて説明する。最初のステップとして、使用する測定対象物2の材料物性値(図3の例では鋼であり、鋼2内の縦波及び横波の音速Csl,Cstは既知)と、測定対象物2内の集束点21の位置(図3中、距離H)と、測定対象物2から整合層11の放射面中心(基点)Oまでの測定距離(図3中、距離L)とを決定する(ステップS1)。なお、ステップS1を本明細書では「予備決定ステップ」とも呼ぶ。
ここで、集束点21は測定対象物2内であれば特に限定されない(図3に示す例では、集束点21は中心線上であり、測定対象物2の厚さ方向に中央に定めている)。また、測定距離Lについても特に限定されないが、現実的には、L=5mm〜20mの範囲から選択される。
次に、測定対象物2内において集束点21まで伝播する第1波成分22を縦波又は横波のいずれかから選択する(ステップS2)。なお、ステップS2を本明細書では「波成分選択ステップ」とも呼ぶ。図3に示す例では縦波を選択しているので、以下の説明はこれに対応した記載となる。図3に示すように測定対象物2が鋼であり、第1波成分22が縦波である場合、後述のスネルの法則の計算に用いる音速はCsl=5900m/sである。
この波成分選択ステップS2で選択された第1波成分22が集束点21に向かう伝播角を任意に決定する(ステップS3)。なお、伝播角は屈折角θsr(以下、第1屈折角と呼ぶ)に等しい。よって、ステップS3を本明細書では「第1屈折角決定ステップ」とも呼ぶ。なお、第1屈折角θsrのうち、縦波成分による第1屈折角をθslrと、横波成分による第1屈折角をθstrと呼ぶことにする。
次に、第1波成分22の有する音速Cslと上記任意に決定された第1屈折角θslrとから、測定対象物2表面上の入射角θai(第1入射角とも呼ぶ。)と入射位置x1とを決定する(ステップS4)。なお、ステップS4を本明細書では「第1入射角決定ステップ」とも呼ぶ。この第1入射角θaiは、次式(3)のスネルの法則により導出可能である。
次に整合層11の幾何学的形状に着目する。整合層11内を伝播する入射角θei(第2入射角とも呼ぶ)と空気中へ出射する屈折角θarとを、上記ステップS4にて決定された第1入射角θaiとともに形成される三角関係とスネルの法則とを利用して決定する(ステップS5)。なお、ステップS5を本明細書では「第2入射角決定ステップ」とも呼ぶ。
この第2入射角決定ステップS5を、図5(a)を参照しながら詳細に説明する。本実施例1のように音響レンズ型の整合層11の使用を前提とする場合、整合層11から空気を介して測定対象物2へと伝播する超音波が形成する経路は図5(b)中のAに示すような第1三角形を構成する。つまり、未知変数である第2入射角θei及び第2屈折角θarと、上記ステップS4によって既知である第1入射角θaiとは、次式(4)の関係が得られる。同様に、整合層11においてもスネルの法則が成り立つため、次式(5)の関係が得られる。
このように、2つの未知変数θei,θarに対して2つの数式(4),(5)が成立するため、これらの解を導き出すことができる。
次に、以上のように決定された第1入射角θaiと入射位置x1と第2入射角θeiと整合層11の基点Oとを利用して形成される複数の三角形(第2・第3三角形)を構成し、これらの三角形の一点14を整合層11の放射面13上の一点14(つまり、超音波出射点)に決定する(ステップS6)。なお、ステップS6を本明細書では曲面点決定ステップとも呼ぶ。
この曲面点決定ステップS6を、図5(c)を参照しながら詳細に説明する。整合層11の基点Oと超音波出射点14とは図5(c)に示す直角三角形Bを構成する。この三角形Bの各辺の距離x,yは未知変数であり、内角θは上記第2入射角である(θ=θei)ため既知である。一方、超音波出射点14と測定対象物2表面上の入射点24とを利用して図5(d)に示す直角三角形Cが構成される。これらの三角形B,Cから次式(6)、(7)に示す三角関係が得られる。
このように、2つの未知変数x,yに対して2つの数式(6)、(7)が成立するため、これらの解を導出することができる。つまり、任意に定めた第1屈折角θsr(縦波成分ではθslr、横波成分ではθstr)に設定して、固定した集束点21から逆算的に放射面13形状の一点14を割り出したことになる。
次に、上記任意で定めた第1屈折角θsrを連続的に変更して上記ステップS3〜S6を実行して上記曲面13上の点14を繰り返し求める(ステップS7)。そうすると、上記ステップS6とS7とで求められた曲面13上の点14を結んで第1波成分22を励起するための第1励起曲面形状13が形成される。なお、ステップS7を本明細書では「第1波励起形状決定ステップ」とも呼ぶ。
次に、上記ステップS2で選択していなかった波(図示の例では横波)を第2波成分23として選択して、上記ステップS3〜S7を実行して上記第2波成分23を励起するための第2励起曲面形状13bを形成する(ステップS8)。なお、ステップS8を本明細書では「第2波励起形状決定ステップ」とも呼ぶ。また、図3に示すように測定対象物2が鋼であり、第2波成分23が横波である場合、このステップS8において用いられる音速はCst=3200m/sである。
以上のステップS1〜S8を実行すると、第1励起曲面形状13aと第2励起曲面形状13bとを、それぞれ、放射面13の半径方向rに亘って描画することができる。しかしながら、第1・第2波成分22,23のそれぞれが同一の集束点21に対して最も効率的に励起されるように、第1・第2励起曲面形状13a,13bの各領域を区画する必要がある。つまり、空気から測定対象物2への超音波の入射角依存性から第1・第2励起曲面形状13a,13bを組み合せて整合層11の放射面13の最終的な形状を決定する(ステップS9)。なお、ステップS9を本明細書では「放射面決定ステップ」とも呼ぶ。
このように、上記導出フローS1〜S9は、集束点21に伝播する透過波成分が第1波成分22(縦波)又は第2波成分23(横波)のいずれかであるとして、いずれの透過波成分もある一点21に集束するように決定し、いずれの波成分22,23も最も効果的に励起されるように集束点21から逆算的に整合層11の放射面13の曲面形状を決定するものである。これにより、測定対象物2内の集束点21にて励起される超音波の信号強度とSN比との向上に最適な整合層11の放射面13における曲面形状13a,13bを定めることが可能となる。
なお、ステップS3において任意に定める第1屈折角θsrは、0°から所定の角度(例えば、6°)まで微小な角度Δθsr(例えば、0.1°)ずつ変化させながら、その都度、上記ステップS1〜S9を行い、僅かな領域ずつ整合層11の放射面13の第1・第2励起形状13a,13bを求めていくことになる。従って、本発明によって決定された放射面13の曲率半径は一定ではなく、連続的に変化していくことになる。
なお、ステップS9において、第1・第2波成分22,23のそれぞれが同一の集束点21に対して最も効率的に励起されるように、第1・第2励起曲面形状13a,13bの各領域を区画するには、図2(b)で示した透過率の入射角依存性を利用すれば良い。例えば、図2(b)に示すように、横波は入射角θaiが第1臨界角度から第2臨界角度までの範囲(θai=3.3°〜6.0°)で最も効果的に励起される。一方、縦波は入射角θaiが第1臨界角未満である場合に効果的に励起される。従って、これらの入射角θaiの範囲とスネルの法則とに基づいて第1・第2波成分の屈折角を画定し、ひいては第1・第2波励起形状13a,13bを決定し、組み合わせれば良い。
なお、図2(b)に示すように、横波(第2波成分)の方が縦波成分(第1波成分)より高い透過率を出力するため、屈折角θai=3.3°〜6.0°とこれに対応する入射角θaiの範囲では第2波成分23から優先的に形状を画定するようにすることが好ましい。このように第2波成分(横波成分)23から曲面形状13bを決定した場合、残った第1波励起形状13aに対応する入射角θaiはθai=0°〜2.35°となる。従って、第2波励起形状13bの半径方向rの最も内側位置での計算上の最小入射角はθai=3.3°であり、それと界面をなす第1波励起形状13aの半径方向rの最も外側位置での計算上の最大入射角はθai=2.35°である。これは測定対象物2内の縦波と横波との物性値が異なるため、この界面においてのみ入射角θaiのギャップが生ずるからである。
図6に、本発明の実施例2に係る整合層(湾曲振動子型)11の放射面形状13の決定方法の概略を示す。ここで、図6に示すように、整合層11は放射面13のみならず反対の面15でも同様に湾曲している。図6の振動子12(以下、湾曲振動子とも呼ぶ)は、整合層11の形状に合わせて湾曲した形状をなす振動子である。
この湾曲振動子12の特徴・利点は、実施例1の平坦な振動子12に比べて空気中に伝播されるときの超音波のエネルギーが大きいことである。つまり、上述のように整合層11の湾曲形状に合わせて振動子12も湾曲していることで、整合層11中での超音波の損失を軽減でき、効率よく超音波が振動子12から整合層11へ、整合層11から空気へと励起されるからである。言い換えれば、湾曲振動子12を用いることで、振動子12の共振による縦波が振動子12から整合層11に励起される。この縦波は、媒質に関係なく入射角が0度(つまり垂直入射)のときにエネルギー透過率が最も良いため、伝播される縦波が振動子12から整合層11、整合層11から空気へ垂直入射するように振動子12自体も湾曲している方が好ましい。
なお、この実施例2においても、実施例1で説明した決定手法と同様な手法で整合層11の放射面13形状を決定するが、以下の点が異なる。
先ず、図7(a)に示すように、整合層11から空気中へ出射する超音波は、実施例1の場合と異なり、整合層11/空気界面では屈折せず、整合層11内を伝播する角度のまま測定対象物2の表面上に入射位置24まで進む。従って、図4に示したステップS6において求めるべき第2入射角θeiは、既知の第1入射角θaiと等しくなる(θei=θai)。なお、図7(b)及び(c)に示す図形(三角関係)は実施例1の図5(c)及び(d)と略同様であり、その詳細な説明は省略する。
次の異なる点として、実施例2においては放射面形状13を決定する(ステップS1〜S9)のに加え、振動子12に接触する整合層11の接触面形状15についても決定する(ステップS10、図示せず)。なお、ステップS10を本明細書では「接触面形状決定ステップ」とも呼ぶ。具体的には、整合層11の厚みteを所望の厚さに設定し、上記基点Oから測定対象物2までの測定距離Lに厚みteを単純に加えて、放射面形状13の導出方法(ステップS1〜S9)と同様のステップを実行して接触面形状15を求めればよい。
ここで、図8(a)に示すように、整合層11の厚みteは、適用する超音波の波長をλとすると、λ/4,λ/2,又はλに設定することが好ましい。te=λ/4の場合は、多重反射によるリンギング(パルスの尾引き)を無くすことができるからである。つまり、厚みte=λ/4に設定すると、図8(a)及び(b)に示すように、振動子12から整合層11に入射して進行する超音波(図中、符号Aで表示)と整合層11内で反射して進行する多数の反射波(図中、符号Bで一反射波を表示)との位相差がλ/2となり、これらの超音波が部分的に適切に干渉・相殺し合い、最終的な波形(図中、符号Cで表示)が適切な波形として取得・測定することができるからである。
一方、te=λ/2又はその整数倍(例えば、λ)の場合は、整合層11における超音波の透過率Tが最大になるからである。つまり、図8(c)に示すように、振動子12から、整合層11を介して空気に超音波が伝播する際の透過率Tは次式のように表される。
ここで、ωは超音波の各周波数、ρ1,C1,及びk1は振動子12の密度、音速、及び波数であり、ρ2,C2,及びk2とは整合層11の密度、音速、及び波数であり、ρ3,C3,及びk3とは空気の密度、音速、及び波数である。なお、各媒体の波数k1〜k3は、各周波数ωを対応する音速C1〜C3で除した値である。
整合層11を伝播する超音波の透過率Tは上記式(8)に示すことができ、また、上記式(9)の関係式が成立することになる。これらの関係式(8),(9)から、整合層11の厚みteがte=(nλ)/2(ここで、nは整数)に設定したときに透過率Tは極大になるからである。また、整合層11の厚みteが2λより大きくすることは、センサー1の小型化の要求の面から好ましくない。
(実証試験)
以上説明した本発明の方法により実際に空気超音波センサー1を作製し、測定対象物2(試験片)に対して非接触測定を行った。測定対象物2として、図9(a)の側面図に示すように、縦16mm、横16mm、厚さ1.2mmの高張力鋼板(High-Tensile Steel)2a,2bを二枚張り合わせた構造材を用意した。ここで、図9(b)の正面図に示すように、一方の高張力鋼板2bには、ある表面から高さ0.4mmだけ隆起した中実円筒状を成す凸部が4つ形成されており、それぞれの直径φは1mm、2mm、3mm、4mmである。従って、二枚の鋼板2a,2bを貼り合わると、一方の鋼板面上に形成された4つの凸部の端面が他方の鋼板2a面に接触するため、鋼板2a,2b間は0.4mmだけ離間することになる。このように用意された試験片2は、スポット溶接された二枚の鋼板を模擬することが可能である。
以上説明した本発明の方法により実際に空気超音波センサー1を作製し、測定対象物2(試験片)に対して非接触測定を行った。測定対象物2として、図9(a)の側面図に示すように、縦16mm、横16mm、厚さ1.2mmの高張力鋼板(High-Tensile Steel)2a,2bを二枚張り合わせた構造材を用意した。ここで、図9(b)の正面図に示すように、一方の高張力鋼板2bには、ある表面から高さ0.4mmだけ隆起した中実円筒状を成す凸部が4つ形成されており、それぞれの直径φは1mm、2mm、3mm、4mmである。従って、二枚の鋼板2a,2bを貼り合わると、一方の鋼板面上に形成された4つの凸部の端面が他方の鋼板2a面に接触するため、鋼板2a,2b間は0.4mmだけ離間することになる。このように用意された試験片2は、スポット溶接された二枚の鋼板を模擬することが可能である。
この試験片2を図10に示すような超音波測定装置30にセットして超音波測定を行った。ここで、試験片2はステージコントローラー31によって駆動されるスキャニングステージ32に載置される。試験片2の両側には送信センサー33と受信センサー34とが向き合った構成となっている。これらのセンサー33,34の間にはプリアンプ35とバースト波パルサー・レシーバー36とが接続される。なお、ステージコントローラー31とパルサー・レシーバー36とはさらにパーソナルコンピュータ37に接続されている。なお、本実証実験用のパルサー・レシーバー36としてジャパンプローブ株式会社製JPR−10Bを用い、送信波の波数は5とし、周波数は0.26MHzとした。受信信号の雑音を低減するために64回の加算平均を施した。なお、比較例として市販のセンサー(ジャパンプローブ株式会社製、エアプローブ0.4K20N R50)を用いて同様の実験を行った。
図11に本発明のセンサー1と市販センサーとを比較した実験結果を示す。ここで、図11(a)は、比較例(市販センサー)を用いた場合のx−y平面の透過強度(mV)を示し、図11(b)は図11(a)中のX−X’線上での透過強度を示す。一方、図11(c)は、本発明のセンサー1を用いた場合のx−y平面の透過強度(mV)を示し、図11(d)は図11(c)中のX−X’線上での透過強度を示す。
図11の結果から明らかなように、市販センサーでは直径φが極めて小さい1mmや2mmの試験片2上の隆起部を十分に測定できていないのに対し、本発明のセンサー1では、このような極めて小さな直径φの隆起部も捉えることができている。定量的には、透過強度を約2倍に高めて測定対象物2を検出していることがわかる。図11の結果を言い換えれば、(1)本発明のセンサー1を使用した場合の方が透過強度が大きいこと、(2)本発明のセンサー1を使用した場合の方が透過強度のピークとバックグラウンドとの比が大きいこと(この比はSN比と相関がある)の二点が実証されたといえる。
また、同一集束点における縦波と横波との励起が織りなす本発明の相乗効果(本明細書では合成波の相乗効果とも呼ぶ)を検討するために、放射面が同一の曲率を有した市販センサーと、縦波だけを一集束点に励起する縦波励起センサーと、本発明の合成波を一集束点21に励起する合成波励起センサー1と、を作製・用意して上述の測定と同様な超音波測定を行った。なお、整合層11として音響レンズ型と湾曲振動子型とを用意した。
図12(a)と(b)は、各センサー(音響レンズ型の整合層を有する場合)により得られた透過波の信号強度とSN比とを比較したグラフである。図12に示すように、本発明の実施例1に係る合成波励起センサー1は、比較例の市販センサーや縦波励起センサーに比べて、高い信号強度とSN比が得られている。特に、SN比は市販センサーでのSN比の約2倍近くまで向上していることがわかる(図12(b)を参照)。
図13(a)と(b)は、各センサー(湾曲振動子型の整合層を有する場合)により得られた信号強度とSN比とを比較したグラフである。図13に示すように、本発明の実施例2に係る合成波励起センサー1についても、通常の湾曲振動子型整合層を有した市販センサーに比べ、高い信号強度とSN比が得られている。なお、図12と図13とを参照しながら、整合層11の種類が異なる本発明のセンサー1同士を比較すると、どちらも得られる信号強度について大差はないが、SN比については、実施例2(湾曲振動子型)の方が実施例1(音響レンズ型)に比べ、約5倍と著しく大きな値が得られることがわかる。従って、SN比の増強に着目した場合は、本発明の整合層11を湾曲振動子型に選択することが好ましい。
工学・工業の諸分野において材料の寸法・形状等を非接触で高精度にモニタリングしたいとう要望が数多くある。本発明の空気超音波センサーは、このような要望に応えるものであり、産業上の利用可能性が非常に高い。
本発明によって設計される超音波センサーは、測定対象物の素材、測定距離、及び焦点位置等を予め定めるものであるが、例えば、自動車や家電品等の部品のスポット溶接等の品質確認検査においては、同一の部品が何度も自動化して流れてくるため、測定対象物、測定距離、焦点を同一にして毎回、非接触検査を行う必要がある。従って、このような用途に本発明の超音波センサーは大変好都合である。
1 空気超音波センサー
2 測定対象物(明細書中では鋼)
11 整合層
12 振動子
13 放射面
13a,13b 放射面の第1・第2波励起形状
14 放射面に決定される点(曲面点)
15 接触面
21 集束点
22 第1波成分
23 第2波成分
24 入射位置
H 焦点21まで距離
L 測定距離
O 放射面の中心
x1 中心Oを通る中心線の入射距離
T 超音波のエネルギー透過率
Tl,Tt 縦波のエネルギー透過率,横波のエネルギー透過率
θai 第1入射角
θsr 透過波の第1屈折角
θstr,θstr 透過波の第1屈折角(縦波成分,横波成分)
θei 第2入射角(整合層/空気界面での入射角)
θar 第2屈折角(整合層/空気界面での屈折角)
S1 予備決定ステップ
S2 波成分選択ステップ
S3 第1屈折角決定ステップ
S4 第1入射角決定ステップ
S5 第2入射角決定ステップ
S6 曲面点決定ステップ
S7 第1波励起形状決定ステップ
S8 第2波励起形状決定ステップ
S9 放射面決定ステップ
S10 接触面形状決定ステップ
2 測定対象物(明細書中では鋼)
11 整合層
12 振動子
13 放射面
13a,13b 放射面の第1・第2波励起形状
14 放射面に決定される点(曲面点)
15 接触面
21 集束点
22 第1波成分
23 第2波成分
24 入射位置
H 焦点21まで距離
L 測定距離
O 放射面の中心
x1 中心Oを通る中心線の入射距離
T 超音波のエネルギー透過率
Tl,Tt 縦波のエネルギー透過率,横波のエネルギー透過率
θai 第1入射角
θsr 透過波の第1屈折角
θstr,θstr 透過波の第1屈折角(縦波成分,横波成分)
θei 第2入射角(整合層/空気界面での入射角)
θar 第2屈折角(整合層/空気界面での屈折角)
S1 予備決定ステップ
S2 波成分選択ステップ
S3 第1屈折角決定ステップ
S4 第1入射角決定ステップ
S5 第2入射角決定ステップ
S6 曲面点決定ステップ
S7 第1波励起形状決定ステップ
S8 第2波励起形状決定ステップ
S9 放射面決定ステップ
S10 接触面形状決定ステップ
Claims (11)
- 整合層の最適な形状を決定するための空気超音波センサーの形状決定方法であって、
使用する測定対象物の材料と、前記測定対象物内の集束点の位置と、前記測定対象物から前記整合層の放射面中心までの測定距離と、を予め決定する予備決定ステップと、
前記測定対象物内において前記集束点まで伝播する第1波成分を超音波の縦波又は横波のいずれかから選択する波成分選択ステップと、
前記第1波成分が前記集束点に向かう第1屈折角を任意に決定する第1屈折角決定ステップと、
前記第1波成分の有する音速と前記第1屈折角とから、前記測定対象物表面上の第1入射角と入射位置とを決定する第1入射角決定ステップと、
前記整合層内を伝播する第2入射角を少なくとも前記第1入射角を利用して決定する第2入射角決定ステップと、
前記第1入射角と前記入射位置と前記第2入射角と前記整合層の前記中心とを利用して形成される複数の三角形を構成し、前記三角形の一点を前記整合層の前記放射面上の一点に決定する曲面点決定ステップと、
前記第1屈折角を連続的に変更させながら前記1屈折角決定ステップ乃至前記曲面点決定ステップを繰り返し実行して、前記点の軌跡から第1波励起形状を決定する第1波励起形状決定ステップと、
前記波成分選択ステップにおいて選択されなかった波成分を第2波成分として選択して、前記第1屈折角決定ステップ乃至前記第1励起形状決定ステップと同様のステップを実行して第2波励起形状を決定する第2波励起形状決定ステップと、
空気から前記測定対象物への前記第1・第2波成分の入射角依存性から前記第1・第2励起曲面形状を組み合せて前記整合層の前記放射面の最終的な形状を決定する放射面決定ステップと、を含むことを特徴とする形状決定方法。 - 前記第1入射角決定ステップは、前記空気と前記測定対象物との間に成立するスネルの法則を利用することを特徴とする請求項1に記載の形状決定方法。
- 前記放射面決定ステップは、前記入射角依存性において前記横波が最も効果的に励起されるように前記第1・第2励起曲面形状を組み合せることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の形状決定方法。
- 前記整合層が音響レンズ型整合層であり、
前記第2入射角決定ステップは、前記整合層と前記空気とのとの間に成立するスネルの法則を利用するとともに、前記第1入射角と前記第2入射角と前記第2入射角に対応する第2屈折角との間に成立する関係式を利用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の形状決定方法。 - 前記整合層が湾曲振動子型整合層であり、
前記第2入射角決定ステップでは、前記第2入射角が前記第1入射角と等しいことを利用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の形状決定方法。 - 前記整合層の厚みを設定し、前記測定距離に該厚みを加えて、前記放射面形状を導出する前記形状決定方法と同様のステップを実行して接触面形状を決定する接触面形状決定ステップをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の形状決定方法。
- 前記厚みが、適用する前記超音波の波長の1/4倍,1/2倍,又は1倍の長さに設定されていることを特徴とする請求項6に記載の形状決定方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の形状決定方法よって作られた前記整合層を備えた空気超音波センサー。
- 前記整合層は前記放射面の前記中心を基点とした凹部をなし、かつ、
前記凹部の曲率半径が連続的に変化することを特徴とする請求項8に記載の空気超音波センサー。 - 前記凹部の断面形状が、奥行方向に同一となるトンネル形状であることを特徴とする請求項9に記載の空気超音波センサー。
- 前記凹部の断面形状が、前記中心を通る中心線について半径方向に線対象となる形状であることを特徴とする請求項9に記載の空気超音波センサー。
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- 2010-09-02 JP JP2010197190A patent/JP2012054843A/ja active Pending
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