JP2012052252A - パラ型全芳香族コポリアミド繊維およびパラ型全芳香族コポリアミドの製造方法 - Google Patents

パラ型全芳香族コポリアミド繊維およびパラ型全芳香族コポリアミドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】引張強度に優れたパラ型全芳香族コポリアミド繊維およびその製造方法を提供する。
【解決手段】重合終了時の中和度を75〜95モル%、およびポリマー固有粘度(IV)を5.0〜7.0として、下記(1)および(2)の構造反復単位を有するパラ型全芳香族コポリアミドを得、このポリマー溶液を用いて繊維を形成する。
Figure 2012052252

Figure 2012052252

【選択図】なし

Description

本発明は、引張強度に優れたパラ型全芳香族コポリアミド繊維および当該繊維を得るためのパラ型全芳香族コポリアミドの製造方法に関する。
従来、芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを主成分としてなるパラ型全芳香族ポリアミド繊維は、その高い引張強度、高弾性率、高耐熱性等の特徴を有することから、様々な産業資材用途や、防弾・防刃材といった防護衣料用途等で幅広く用いられている。
代表的なパラ型全芳香族ポリアミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(以下PPTAと記す)繊維が知られており、PPTA繊維は前述の特徴を持つことから、幅広い用途で使用されている。しかし、PPTAポリマーは、固有粘度(以下IVと記すことがある)が一定値以上になると汎用の有機溶剤に不溶となるため、製糸する場合においては、汎用の有機溶剤中で重合したポリマーを一度単離し、その後、単離したポリマーを濃硫酸に溶解してドープを作成せねばならず、このため、安全面や環境面等において問題があった。さらに、繊維物性に関しても、引張強度や耐薬品性、耐光性等が十分高いものではなく、さらに、擦過等により容易に繊維がフィブリル化する等、幾つかの問題があった。
そこで、濃硫酸を用いることなく紡糸でき、かつ、製糸工程における延伸や熱処理等により、高い引張強度や耐薬品性、耐光性、耐フィブリル性を有するパラ型全芳香族コポリアミド繊維を提供できる製造方法の開発がなされている。
例えば、特許文献1、2および3には、汎用のアミド系溶媒を用いてパラ型全芳香族ポリアミドを重合し、当該アミド系溶媒に溶解したポリマー溶液をそのまま用いて繊維を製造する方法が記載されている。しかしながら、特許文献1、2および3に記載されたパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、いまだ高い機械的物性を十分に満足し得るものではなかった。
特開平07−300534号公報 特開2006−207064号公報 特開2007−154328号公報
本発明は、かかる従来技術を背景になされたものであり、その目的とするところは、引張強度に非常に優れたパラ型全芳香族コポリアミド繊維および当該繊維を得るためのパラ型全芳香族コポリアミドの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。そして、重合終了時の中和度およびポリマー固有粘度(IV)を特定範囲として特定構造を有するパラ型全芳香族コポリアミドを得て、得られたポリマー溶液を用いて繊維を形成することにより、従来に比べて引張強度が明らかに優れたパラ型全芳香族コポリアミド繊維が得られることを見出し、本発明を完成するに到達した。
すなわち本発明は、下記化学構造式(1)、および下記化学構造式(2)の構造反復単位を含むパラ型全芳香族コポリアミド繊維であって、
繊維の引張強度が33.0〜38.0cN/dtexであるパラ型全芳香族コポリアミド繊維である。
Figure 2012052252
Figure 2012052252
また別の本発明は、下記化学構造式(1)、および下記化学構造式(2)の構造反復単位を含むパラ型全芳香族コポリアミドの製造方法であって、
重合終了時の中和度を75〜95モル%の範囲とし、且つポリマー固有粘度(IV)を5.0〜7.0の範囲とするパラ型全芳香族コポリアミドの製造方法である。
Figure 2012052252
Figure 2012052252
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、引張強度に優れた繊維となる。このため、本発明の繊維は、防弾・防刃材等の防護衣料用途や、その他様々な産業資材用途において、非常に有用である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<パラ型全芳香族コポリアミド>
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドは、下記化学構造式(1)、および下記化学構造式(2)で示される構造反復単位からなり、1種類または2種類以上の2価の芳香族基が直接アミド結合により連結されているポリマーであって、一般に公知の方法に従って、アミド系極性溶媒中で、芳香族ジカルボン酸ジクロライドと芳香族ジアミンの重縮合反応により得られる。このとき、該芳香族基は2個の芳香族環が酸素、硫黄、アルキル基で結合されたものであっても特に差し支えない。また、これらの2価の芳香環は、非置換またはメチル基やメチル基等の低級アルキル基や、メトキシ基、または塩素基等のハロゲン基で置換されたものであっても、複素環等が結合されたものであっても特に差し支えはなく、その置換基の種類や置換基の数は特に限定されるものではない。
Figure 2012052252
Figure 2012052252
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維中に含まれる上記構造反復単位を含むパラ型全芳香族コポリアミドは、繊維質量全体に対して、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
[構造反復単位の割合]
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドは、前記化学構造式(1)と前記化学構造式(2)の構造反復単位の合計に対して、前記化学構造式(2)の構造反復単位が30〜90モル%であることが好ましく、さらに好ましくは35〜85モル%、最も好ましくは40〜80モル%である。
前記化学構造式(1)と前記化学構造式(2)の構造反復単位の合計に対して、前記化学構造式(2)の構造反復単位が30モル%未満の場合には、ポリマーを重合する際の反応制御やポリマーIVの制御が困難になるばかりでなく、曳糸性や製糸工程通過性が著しく悪化し、得られる繊維の機械的物性が低くなる。また、前記化学構造式(2)の構造反復単位が90モル%を超える場合についても同様に、ポリマーを重合する際の反応制御やポリマーIVの制御が困難になる上、曳糸性や製糸工程通過性の悪化し、得られる繊維の物性が低くなる。
前記化学構造式(1)と前記化学構造式(2)の構造反復単位の合計に対して、前記化学構造式(2)の構造反復単位を30〜90モル%の範囲とする方法としては、例えば、後述するパラ型全芳香族コポリアミドの重合において、用いる芳香族ジアミンの内、前記化学構造式(2)を含む芳香族ジアミン、例えば5−アミノ−2−(4−アミノフェニレン)ベンズイミダゾールを、重合に用いる芳香族ジアミン全量に対して、30〜90モル%用いる方法等が挙げられる。
<パラ型全芳香族コポリアミドの製造方法>
本発明に用いられる、上記化学構造式(1)、および上記化学構造式(2)の構造反復単位を含むパラ型全芳香族コポリアミドは、公知の方法により重縮合反応を行うことにより得られる。具体的には、アミド系極性溶媒を重合溶媒として、これに芳香族ジアミンを溶解させた後、この溶液に芳香族ジカルボン酸ジクロライドを添加して重縮合反応を行う。
[パラ型全芳香族コポリアミドの原料]
〔芳香族ジカルボン酸ジクロライド〕
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドの原料となる芳香族ジカルボン酸ジクロライドとしては、例えば、テレフタル酸ジクロライド、2−クロロテレフタル酸ジクロライド、3−メチルテレフタル酸ジクロライド、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジクロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジクロライド等が挙げられる。これらの中では、汎用性や繊維の機械的物性等の面から、テレフタル酸ジクロライドが最も好ましい。またこれら芳香族ジカルボン酸ジクロライドは、1種類のみを用いても、あるいは、2種類以上を併用してもよく、その場合の組成比は特に限定されるものではない。
〔芳香族ジアミン〕
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドの原料となる芳香族ジアミンとしては、例えば、パラフェニレンジアミン、5−アミノ−2−(4−アミノフェニレン)ベンズイミダゾール、パラビフェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ジクロロパラフェニレンジアミン等が挙げられる。本発明においては、これらに限定されるものではなく、芳香環に置換基がついていたり、その他複素環等がついていたりしても差し支えない。
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドの原料としては、上記化学構造式(1)で示される構造反復単位と上記化学構造式(2)で示される構造反復単位とをそれぞれ構成するため、少なくとも2種類以上の芳香族ジアミン用いる。その組み合わせとしては、汎用性や繊維の機械的物性、曳糸性等の面から、パラフェニレンジアミンと5−アミノ−2−(4−アミノフェニレン)ベンズイミダゾールとの組み合わせが最も好ましい。その組成比は特に限定されるものではないが、用いる芳香族ジアミンの全量に対して、5−アミノ−2−(4−アミノフェニレン)ベンズイミダゾールを30〜90モル%とすることが好ましく、さらに好ましくは、35〜85モル%、最も好ましくは、40〜80モル%とする範囲である。
[溶媒]
パラ型全芳香族コポリアミドの重合に用いるアミド系極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと記す)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン等が挙げられるが、汎用性、有害性、取り扱い性、パラ型全芳香族コポリアミドポリマーに対する溶解性等の観点から、NMPが最も好ましい。
[中和反応(重合終了時の中和度)]
重合終了後、重縮合反応により系内に塩酸が発生し系内が酸性になるため、中和する目的で、水酸化カルシウム等のアルカリを添加する。中和反応により発生する塩化カルシウム等は、生成したポリマーの溶媒への溶解を高める溶解助剤として、そのまま用いることができる。このため、系内から除去する必要はない。
なお本発明においては、重合終了時の中和度を75〜95モル%の範囲とすることが必須である。さらに好ましくは80〜95モル%の範囲、好ましくは85〜95モル%の範囲とする。
なお、本発明における「中和度」とは、重縮合反応により系内に発生した塩酸に対する、添加するアルカリの割合を指す。
重合終了時の中和度が75モル%未満の場合には、得られるポリマー溶液が強い酸性を呈するために、加水分解反応によりポリマーが分解し、得られる繊維の物性が低くなる。また、重合終了時の中和度が95モル%を超える場合には、加水分解反応等によるポリマーの分解は抑制されるものの、高い物性を有する繊維を得ることが困難となる。
重合終了時の中和度を75〜95モル%の範囲とする方法としては、例えば、重合終了時に添加するアルカリの量を、重合反応により生成した塩酸に対して75〜95モル%の範囲となるように調整する方法等が挙げられる。
[ポリマー固有粘度(IV)]
本発明においては、上記化学構造式(1)、および上記化学構造式(2)の構造反復単位を含むパラ型全芳香族コポリアミドのポリマー固有粘度(IV)を、5.0〜7.0の範囲とすることが必須であり、さらに好ましくは5.3〜6.8の範囲、最も好ましくは5.5〜6.6の範囲とする。
なお、本発明における「ポリマー固有粘度(IV)」とは、重合後のポリマー溶液から単離し乾燥したポリマーを98%濃度の濃硫酸中に溶解して、ポリマー濃度=0.5g/dLの溶液を調製し、オストワルド粘度計にて30℃で測定した固有粘度をいう。
ポリマー固有粘度(IV)が5.0未満の場合には、仮に重合終了時の中和度を本発明で特定する範囲内としても、十分な引張強度等の機械的物性を有する繊維が得られない。一方で、ポリマー固有粘度(IV)が7.0を超える場合には、ポリマー溶液の粘性が高くなり、ポリマー溶液を紡糸口金から吐出する際の吐出安定性が著しく悪化するばかりでなく、製糸工程での工程通過性が悪化し、繊維自体を得ることが困難となる。
ポリマー固有粘度(IV)を5.0〜7.0の範囲とする方法としては、例えば、パラ型全芳香族コポリアミドポリマーを重合する際に、添加する芳香族ジアミンの全モル数に対する芳香族ジカルボン酸ジクロライドのモル比を調整する方法等が挙げられる。なお、重合の際のモル比は、重合の状況等により異なるため特に限定されるものではないが、通常、0.98〜1.00の範囲とすることが好ましい。また重合の進行等により、芳香族ジカルボン酸ジクロライドを逐次添加する等の方法によっても、ポリマーIVを5.0〜7.0の範囲とすることが可能である。
[重合後処理等]
得られたパラ型全芳香族コポリアミドポリマーは、NMP等のアミド系極性溶媒に溶解したポリマー溶液であり、単離することなくそのまま、製糸工程で用いることができる。このとき、パラ型全芳香族コポリアミドポリマーの濃度は、ポリマー溶液の粘度や安定性に著しく影響し、ひいては、後の製糸工程における曵糸性等に大きく影響する。このため、ポリマー濃度は、2〜10質量%の範囲に調整することが好ましい。ポリマー濃度や粘度調整をするために、得られたポリマー溶液にNMP等のアミド系極性溶媒を適量添加することができる。
<パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法>
次に、パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法について説明する。本発明においては、パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造にあたっては、上記した、重合終了時の中和度およびポリマーIVを特定範囲として製造したパラ型全芳香族コポリアミドを用いて、繊維を製造する。
繊維の製造にあたっては、得られたパラ型全芳香族コポリアミドのポリマー溶液をそのまま用いることも可能であるが、特に限定されるものではない。なお、繊維形成用ポリマー溶液(ポリマードープ)としては、ハンドリング性や紡糸口金からの吐出安定性を考慮して、溶液温度80〜120℃に加熱したパラ型全芳香族コポリアミドの溶液を用いることが好ましい。
[凝固工程]
先ず、公知の半乾半湿式法を適用し、紡糸口金からエアギャップを介してポリマー溶液を凝固液中に吐出して凝固させる凝固工程を実施する。
〔紡糸口金の孔径〕
用いる紡糸口金の孔径は特に限定されるものではないが、吐出安定性や曳糸性等の観点から、0.05〜0.3mmとすることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.25mmの範囲とする。
〔紡糸口金の孔数〕
紡糸口金の孔数は、50〜1000とすることが好ましく、さらに好ましくは100〜500の範囲とする。孔数が50未満の場合には、得られた繊維の繊度が小さく、得られた繊維を使用するにあたって合糸等の別の工程が必要になり、生産性が悪くなる。一方で、1000を超える場合には、単糸数が増えることに起因して、単糸毎の均一な凝固が困難となり、凝固不良等の問題が発生して得られる繊維の品質が低下する他、走行する繊維束のハンドリング性も悪化し、生産面においても好ましくない。
〔紡糸ドラフト〕
紡糸ドラフトは、特に限定されるものではないが、得られる繊維の機械的物性や製糸工程における工程通過性、また得られる繊維の単糸繊度を調整する等の観点から、1.5〜8の範囲とすることが好ましい。
なおここで言う「紡糸ドラフト」とは、ポリマードープが紡糸口金から吐出される際の線速度に対する、凝固工程後に配置した引き取りローラーでの引き取り速度の割合を表す。
[延伸工程]
凝固工程を実施して凝固糸束を得た後は、得られた凝固糸束を延伸に付す延伸工程を実施する。延伸にあたっては、例えば、高濃度のNMP水溶液中で繊維束を可塑化し、可塑化状態にして行うことができる。
延伸工程における延伸倍率は特に限定されるものではないが、得られる繊維の機械的物性や製糸工程における工程通過性、また得られる繊維の単糸繊度を調整する等の観点から、1.2〜2.0倍の範囲とすることが好ましい。
また、本延伸工程における延伸張力についても特に限定されるものではないが、得られる繊維の機械的物性や製糸工程における工程通過性等の観点から、単糸あたりの張力を10〜25mN/filの範囲とすることが好ましい。
[水洗工程]
延伸後の繊維束は、高濃度のNMPを含むため、繊維束からNMPを除く目的で水洗を行う。繊維束の水洗方法については、特に限定されるものではなく、公知の水洗方法をそのまま適用することができる。水洗後の繊維束中の残存溶媒量は、特に限定されるものではないが、乾燥工程や熱処理工程での工程通過性や最終的に得られる繊維の色相への影響等の観点から5000ppm以下とすることが好ましい。
[乾燥工程]
水洗後の繊維束は、多くの水分を含むため、繊維束から水分を除くために乾燥を行う。繊維束の乾燥方法については、特に限定されるものではなく、公知の乾燥方法をそのまま適用することができる。乾燥する際の温度は、水分が十分に除去できる温度であれば特に限定されるものではないが、乾燥効率や乾燥による繊維の劣化等の観点から、100〜200℃の範囲とすることが好ましい。
[熱処理工程]
最後に、高配向化、高結晶化する目的で、繊維束に熱処理を行う。繊維束の熱処理方法については特に限定されるものではなく、公知の熱処理方法をそのまま適用することができるが、最終的に得られる繊維の色相への影響や機械的物性等の観点から、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、その際の酸素濃度を2000ppm以下にすることが好ましい。
また熱処理温度は、特に限定されるものではないが、最終的に得られる繊維の色相への影響や機械的物性等の観点から、350〜500℃の範囲とすることが好ましい。
また熱処理工程における熱処理張力は、特に限定されるものではないが、熱処理工程での工程通過性や最終的に得られる繊維の機械的物性等への観点から、3〜10mN/filの範囲とすることが好ましい。
本発明においては、上記工程を実施すれば、重合および製糸におけるその他の工程は、特に限定されるものではない。熱処理後の繊維束には、使用する用途等に応じて油剤や加工剤等を付与しても特に差し支えない。なお、各工程における条件は特に限定されるものではなく、公知の工程条件を基に、曳糸性や工程通過性、得られる繊維の色相や機械的物性、品位等の観点から、適宜調整することができる。
<パラ型全芳香族コポリアミド繊維>
[引張強度]
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、その引張強度が33.0〜38.0cN/dtexの範囲となる。さらには33.5〜38.0cN/dtexの範囲、究極には34.0〜38.0cN/dtexの範囲となる。
[単糸繊度]
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維の単糸繊度は、1〜3dtexの範囲とすることが好ましい。単糸繊度が1dtex未満の繊維は、高い延伸倍率が必要となるばかりでなく、工程通過時の糸切れ等が多くなり安定的に繊維を得ることが困難となる。一方、単糸繊度が3dtexを超える場合には、単糸繊度が太く水洗工程において繊維中からの脱溶媒が困難となり好ましくない。
[単糸数]
本発明のパラ型全芳香族コポリアミドの単糸数は、50〜1000本の範囲とすることが好ましい。単糸数が50未満の場合には、繊維の繊度が小さいため、繊維を使用するにあたって合糸等の別の工程が必要となる。一方で、1000を超える場合には、単糸数が増えることに起因して、凝固不良等の問題が発生する他、走行する繊維束のハンドリング性も悪化し、得られる繊維の品質および生産性の両者において好ましくない。
以下、本発明を実施例等によりさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらに何等限定されるものではない。
<測定・評価方法>
実施例および比較例においては、下記の項目について、下記の方法によって測定・評価を行った。
(1)ポリマー固有粘度(IV)
重合により得られたポリマーを単離し乾燥後、98%濃硫酸に溶解し、以下の条件で測定を実施した。
[測定条件]
温度 :30℃
ポリマー濃度 :0.5g/dL
粘度計 :オストワルド粘度計
(2)繊維の繊度
得られた繊維を、公知の検尺機を用いて100m巻き取り、その質量を測定した。得られた質量に100を乗じた値を10000mあたりの質量、即ち繊度(dtex)として算出した。
(3)繊維の引張強度、破断伸度、弾性率
引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、ASTM D885の手順に基づき、以下の条件で測定を実施した。
[測定条件]
温度 :室温
試験片 :75cm
試験速度 :250mm/分
チャック間距離 :500mm
<実施例1>
[パラ型全芳香族コポリアミドの製造]
公知の方法により、NMPに溶解したパラフェニレンジアミン16.3質量部と5−アミノ−2−(4−アミノフェニレン)ベンズイミダゾール79.0質量部に、テレフタル酸ジクロライド100質量部を添加し、重縮合反応を行った。反応が十分進行した後、ポリマーIVの調整を行うためにテレフタル酸ジクロライド1.3質量部を添加した。ポリマーIVの調整の後、重合終了時に、中和剤として水酸化カルシウム34.2質量部を添加し、パラ型全芳香族コポリアミドポリマー溶液を得た。このときの中和度は92.6モル%であり、得られたポリマー溶液のポリマー濃度は4.5質量%であり、ポリマーIVは5.97であった。
[パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造]
孔径0.20mm、孔数が300の紡糸口金を105℃に加熱した後、105℃に加熱した上記で得られたポリマー溶液を吐出し、半乾半湿式法により10mmのエアギャップを介して、NMP濃度が40質量%、50℃の水溶液で満たした凝固浴を通過させ、凝固糸束を得た。このときの紡糸ドラフトは、5.2とした。
引き続き、得られた凝固糸束を、NMP濃度が72質量%、20℃の水溶液で満たした可塑化浴に通過させて可塑化状態にし、次いで可塑化延伸を行った。可塑化延伸倍率は1.48倍、また延伸張力は19.5mN/filとした。
続いて、延伸工程通過後の繊維束を十分に水洗し、200℃の乾燥ローラーにて乾燥を行うことにより、乾燥糸を得た。
その後、非接触熱処理装置を用い、炉内酸素濃度を300ppm、炉内温度を460℃の条件で熱処理を行い、最後にワインダーで巻き取り、最終的にパラ型全芳香族コポリアミド繊維を得た。
得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、繊度が560dtex、フィラメント数が300であった。得られた繊維の引張強度、破断伸度、および弾性率を、表1に示す。
<実施例2>
重合工程において、重合終了時に加える水酸化カルシウム(中和剤)の量を35.0質量部として中和度を94.8モル%とした以外は、実施例1と同じ手法によりパラ型全芳香族コポリアミド繊維を得た。得られた芳香族コポリアミドのポリマーIVは5.76、また、得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、繊度が554dtex、フィラメント数が300であった。得られた繊維の引張強度、破断伸度、および弾性率を、表1に示す。
<実施例3>
重合工程において、重合終了時に加える水酸化カルシウム(中和剤)の量を31.4質量部として中和度を85.1モル%とした以外は、実施例1と同じ手法によりパラ型全芳香族コポリアミド繊維を得た。得られた芳香族コポリアミドのポリマーIVは5.70、また、得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、繊度が563dtex、フィラメント数が300であった。得られた繊維の引張強度、破断伸度、および弾性率を、表1に示す。
<実施例4>
重合工程において、ポリマーIVを調整するために加えるテレフタル酸ジクロライドを1.6質量部とし、重合終了時に加える水酸化カルシウム(中和剤)の量を34.3質量部とした以外は、実施例1と同じ手法によりパラ型全芳香族コポリアミド繊維を得た。重合終了時の中和度は92.6モル%、得られた芳香族コポリアミドのポリマーIVは6.45、また、得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、繊度が551dtex、フィラメント数が300であった。得られた繊維の引張強度、破断伸度、および弾性率を、表1に示す。
<比較例1>
重合工程において、重合終了時に加える水酸化カルシウム(中和剤)の量を36.4質量部として中和度を98.5モル%とした以外は、実施例1と同じ手法によりパラ型全芳香族コポリアミド繊維を得た。得られた芳香族コポリアミドのポリマーIVは5.99、また、得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、繊度が551dtex、フィラメント数が300であった。得られた繊維の引張強度、破断伸度および弾性率を、表1に示す。
<比較例2>
重合工程において、重合終了時に加える水酸化カルシウム(中和剤)の量を25.6質量部として中和度を70.0モル%とした以外は、実施例1と同じ手法によりパラ型全芳香族コポリアミドポリマー溶液を得た。得られた芳香族コポリアミドのポリマーIVは5.85、また、得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、繊度が545dtex、フィラメント数が300であった。得られた繊維の引張強度、破断伸度、および弾性率を、表1に示す。
なお、貯蔵および105℃に加熱した後のポリマーIVを再度測定したところ、4.41であり、ポリマーの分解が確認された。因みに、他の実施例および比較例についても同様に、貯蔵および105℃に加熱した後のポリマーIVを再度測定したが、他の例においては明確なポリマーIVの低下は確認できなかった。
<比較例3>
[パラ型全芳香族コポリアミドの製造]
重合工程において、パラフェニレンジアミンを16.5質量部と5−アミノ−2−(4−アミノフェニレン)ベンズイミダゾールを79.9質量部に、テレフタル酸ジクロライドを100質量部添加し、重縮合反応を行った。反応が十分進行した後、ポリマーIVの調整を行うためにテレフタル酸ジクロライド0.9質量部を添加した。ポリマーIVの調整の後、重合終了時に、中和剤として水酸化カルシウム34.1質量部を添加し、パラ型全芳香族コポリアミドポリマー溶液を得た。このときの中和度は92.6モル%、ポリマー濃度は4.5質量%、ポリマーIVは4.73であった。
[パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造]
引き続き、得られたポリマー溶液を用い、実施例1と同じ手法でパラ型全芳香族コポリアミド繊維を得た。得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、繊度が548dtex、フィラメント数が300であった。得られた繊維の引張強度、破断伸度、および弾性率を、表1に示す。
<比較例4>
[パラ型全芳香族コポリアミドの製造]
重合工程において、パラフェニレンジアミンを16.3質量部と5−アミノ−2−(4−アミノフェニレン)ベンズイミダゾールを78.6質量部に、テレフタル酸ジクロライドを100質量部添加し、重縮合反応を行った。反応が十分進行した後、ポリマーIVの調整を行うためにテレフタル酸ジクロライド0.9質量部を添加した。ポリマーIVの調整の後、重合終了時に、中和剤として水酸化カルシウム34.5質量部を添加し、パラ型全芳香族コポリアミドポリマー溶液を得た。このときの中和度は92.6モル%、ポリマー濃度は4.5質量%、ポリマーIVは7.14であった。
[パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造]
引き続き、得られたポリマー溶液を用い、実施例1と同じ手法でパラ型全芳香族コポリアミド繊維を製造しようとしたが、ポリマー溶液の粘度が高すぎたために紡糸口金を通過する際に吐出不良が多発し、このため、凝固工程以降の工程を通過させることができず、繊維を得ることができなかった。
Figure 2012052252
本発明の繊維は、引張強度に優れた高強度の繊維となる。このため、様々な産業資材として有用であり、とりわけ、防弾・防刃材等の防護衣料用途において、特に有用である。

Claims (5)

  1. 下記化学構造式(1)、および下記化学構造式(2)の構造反復単位を含むパラ型全芳香族コポリアミド繊維であって、
    繊維の引張強度が33.0〜38.0cN/dtexであるパラ型全芳香族コポリアミド繊維。
    Figure 2012052252
    Figure 2012052252
  2. 前記パラ型全芳香族コポリアミドは、前記化学構造式(1)と前記化学構造式(2)の構造反復単位の合計に対して、前記化学構造式(2)の構造反復単位が30〜90モル%である請求項1記載のパラ型全芳香族コポリアミド繊維。
  3. 単糸繊度が1〜3dtexである請求項1〜2いずれか記載のパラ型全芳香族コポリアミド繊維。
  4. 単糸数が50〜1000本である請求項1〜3いずれか記載のパラ型全芳香族コポリアミド繊維。
  5. 下記化学構造式(1)、および下記化学構造式(2)の構造反復単位を含むパラ型全芳香族コポリアミドの製造方法であって、
    重合終了時の中和度を75〜95モル%の範囲とし、且つポリマー固有粘度(IV)を5.0〜7.0の範囲とするパラ型全芳香族コポリアミドの製造方法。
    Figure 2012052252
    Figure 2012052252
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