JP2012052073A - 塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来廃棄処理されていたホタテやカキなどの貝殻の有効利用を図るべく、水酸化カルシウムを使用した塗料において、主材である水酸化カルシウムの含有量を高め、遮熱性、保温性、消臭性、耐火性、抗カビ性、調湿効果、保冷効果のさらなる向上が可能な硬化膜を形成しうる塗料組成物を提供すること。
【解決手段】 本発明に係る塗料組成物は、水酸化カルシウムと、無機骨材と、分散媒とを含み、全固形分に対する水酸化カルシウムの割合が50重量%以上であることを特徴としている。
【選択図】なし
【解決手段】 本発明に係る塗料組成物は、水酸化カルシウムと、無機骨材と、分散媒とを含み、全固形分に対する水酸化カルシウムの割合が50重量%以上であることを特徴としている。
【選択図】なし
Description
本発明は建築物、戸建住宅、集合住宅および商業ビルを含む建築物の室内壁面、天井、外壁などの壁面に対する表面仕上層を形成するのに適した塗料組成物に関する。
近年、建築物構造内装仕上材として、施工性、経済性の観点から、工期が短期間で済み、安価である合板プリントあるいはビニールクロスの使用が増大している。
しかし、内装材として上記合板プリント、ビニールクロスを使った場合には、製造時及び施工時に使用される接着剤等に含まれるホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等の有機溶剤、その他の化学物質等の有害ガスが室内に揮散してしまう。また、近年の住宅の高気密化や冬期の暖房による室内温度上昇から、密閉された壁面や壁裏に結露が生じ黒カビや細菌、窒素酸化物、ダニなどのアレルゲンが発生する。そのため、有機溶剤、各種化学物質、アレルゲンなどに起因するいわゆるシックハウス症候群が問題となっている。
一方、伝統的な内装材として古くから漆喰が知られている。漆喰は消石灰(水酸化カルシウム、Ca(OH)2)に角又、銀杏草、布のりなどの天然物由来の接着成分、ならびにワラ、和紙、麻などの植物繊維を水と混合して練り合わせたものである。漆喰は、調湿性を有し、結露及びカビ防止だけではなく、他の建材から発生するホルムアルデヒド、その他の有毒ガスを吸着する効果もあり、室内の空気汚染を防止する効果が期待できる。従来、左官用の材料となる石灰は、石灰石(CaCO3)を原料とし、900〜1200℃で焼いて製造されている。この石灰石は焼成によって生石灰となるが、これに水を加えて消化させ、消石灰(水酸化カルシウム、Ca(OH)2)とする。
ところで、ホタテやカキなどの貝類は、天然に産出される食品又は養殖品として広く知られている。しかし、食用となる内容物を取り去った後の貝殻がかなりの量で出るため、その処理が問題となっているが、処理コストなどの負担が敬遠され、山積みに放置されているのが実情である。これらの貝殻は炭酸カルシウムが主たる成分であり、その利用が種々検討されている。
このような廃棄貝殻の使用の一態様として、貝殻を利用した漆喰類似の塗料も種々提案されている。たとえば、特許文献1には、「貝殻などのカルシウムを含む天然多孔質材を焼成し粉砕してなる粉砕物を主成分とすることを特徴とする壁面などの表面仕上げ材」が開示されている。また、特許文献2には、「ホタテなどの貝殻を粉砕して得られた貝殻粉体を、高周波照射または赤外線照射による所定温度の加熱環境の下で加熱して、貝殻粉体表面の一部を酸化カルシウムに焼成することを特徴とする有害ガス吸着性塗膜材の製造方法」が記載されている。また、特許文献3には、焼成ホタテ貝殻粉末、シラスバルーン、バインダー、顔料および水からなる内装用水性塗料が開示されている。
しかし、上記特許文献1では、貝殻の焼成温度について200℃以上と記載するのみであり、炭酸カルシウムを主体とする貝殻を、酸化カルシウムに転化するのに十分な温度である700℃以上での焼成については記載がない。このため、特許文献1における焼成は、付着した有機物などを燃焼させることを目的とするものであり、700℃未満を示していると考えられる。このような低温での焼成では、炭酸カルシウムの大部分は酸化されない。炭酸カルシウムが主体の塗料では、硬化性、結着性が不十分になることが多い。このため、特許文献1では、貝殻を0.001〜0.2mm(1μm〜200μm)にまで粉砕することが推奨され、また接着剤を配合することが推奨されている。貝殻を微粒化することで、塗工性、硬化性は向上するものの、硬化膜が緻密化しすぎるため、通気性が低下し、またひび割れなどが発生しやすくなる。また、接着剤により貝殻粉末が隠蔽されてしまうため、貝殻粉末が本来有する多孔性が減殺され、調湿性や、化学物質に対する吸着性が損なわれることがある。さらに、バインダーである接着剤が必要になるため、主材である焼成貝殻粉砕物の量が相対的に低下してしまう。塗膜における主材含量に制限があるため、上記特許文献1の材料を用いた塗膜では、遮熱性、保温性、消臭性、耐火性、抗カビ性、調湿効果、保冷効果の向上に限界があり、またシックハウス症候群対策の面でも不十分であった。
また、特許文献2では、貝殻表面の一部を焼成し酸化カルシウムとしており、塗膜材の大部分は貝殻本来の組成である炭酸カルシウムにより形成されていると考えられる。このため、上記特許文献1と同様の問題を招来するおそれがある。
特許文献3では、ホタテ貝殻を800〜1100℃で1時間焼成し、焼成ホタテ貝殻粉末を得ることが記載されている。しかし、1100℃1時間の焼成では、一般的にホタテ貝殻のすべてを酸化カルシウムとすることは不可能であり、大部分、少なくとも50重量%以上は、炭酸カルシウムの形態を維持していると考えられる。このため、上記特許文献1と同様に、硬化性、結着性が不十分になることが多く、特許文献3では、貝殻を0.5μm〜50μmにまで粉砕することが推奨され、また接着剤を配合することが推奨されている。したがって、特許文献1の塗料と同様に、細粒化や接着剤の使用に伴い発生する問題がなお未解決である。
したがって、本発明の第1の目的は、廃棄貝殻等の有効利用を図るため、廃棄貝殻由来の水酸化カルシウムの使用分野を拡大することにある。かかる目的を達成すべく、本発明者が鋭意検討したところ、炭酸カルシウムを主体とする貝殻を、高温下で長時間焼成することで、ほぼすべてを酸化カルシウムとし、さらにこれを消化することで得た水酸化カルシウムを塗料の主成分とすることを着想するに至った。
水酸化カルシウムは、それ自体が高い被膜形成能を有するため、接着剤の使用量が低減され、また場合によっては接着剤を使用しなくても塗膜を形成することができる。このため、塗料において、水酸化カルシウムを増量することが可能になり、上記した廃棄貝殻の有効利用が期待される。さらに、水酸化カルシウムは高い被膜形成能を有するため、細粒化せずとも塗膜形成が可能なる。このため、水酸化カルシウムを比較的粒径の大きな粗粒のまま使用できるため、硬化膜は高い通気性を有し、また化学物質などに対する優れた吸着性を有することが期待される。
したがって、本発明の第2の目的は、かかる水酸化カルシウムを使用した塗料において、主材である水酸化カルシウムの含有量を高め、遮熱性、保温性、消臭性、耐火性、抗カビ性、調湿効果、保冷効果のさらなる向上が可能な、塗膜を提供することにある。
上記課題を解決する本発明は、下記事項を要旨として含む。
(1)水酸化カルシウムと、無機骨材と、分散媒とを含み、全固形分に対する水酸化カルシウムの割合が50重量%以上である塗料組成物。
(1)水酸化カルシウムと、無機骨材と、分散媒とを含み、全固形分に対する水酸化カルシウムの割合が50重量%以上である塗料組成物。
(2)水酸化カルシウムが焼成貝殻由来の水酸化カルシウムである(1)に記載の塗料組成物。
(3)水酸化カルシウムが焼成ホタテ貝殻由来の水酸化カルシウムである(2)に記載の塗料組成物。
(4)全固形分に対する水酸化カルシウムの割合が65重量%以上である(1)〜(3)の何れかに記載の塗料組成物。
(5)全固形分に対する水酸化カルシウムの割合が80重量%以上である(4)に記載の塗料組成物。
(6)水ガラスをさらに含む(1)〜(5)の何れかに記載の塗料組成物。
(7)天然物由来の接着成分をさらに含む(1)〜(6)の何れかに記載の塗料組成物。
本発明に係る塗料組成物は、水酸化カルシウムを比較的多量に含有することが可能であるため、従来廃棄処理されていたホタテやカキなどの貝殻を焼成、消化して得られる水酸化カルシウムの使用分野を拡大することができる。また、本発明に係る塗料組成物は、水酸化カルシウムの含有量が高いため、塗料組成物を塗布・乾燥して得られる硬化膜の遮熱性、保温性、消臭性、耐火性、抗カビ性、調湿効果、保冷効果の向上が可能になる。
以下に本発明について、その実施形態を含め、さらに詳しく記述する。
本発明に係る塗料組成物は、水酸化カルシウムと、無機骨材と、所望により添加される他の成分と、分散媒とを含み、全固形分に対する水酸化カルシウムの割合が50重量%以上であることを特徴としている。
(水酸化カルシウム)
本発明で使用する水酸化カルシウムは、特に限定はされず、従来建材に多用されている石灰石由来の消石灰であってもよいが、本発明の塗料組成物は、水酸化カルシウムを比較的多量に含有するため、原材料の調達コストや環境保全を考慮して、廃棄貝殻由来の水酸化カルシウムを使用することが特に好ましい。廃棄貝殻の中でも、特に多量に発生するホタテやカキの貝殻は、廃棄処理が社会問題化しているが、本発明によれば、これら廃棄貝殻由来の水酸化カルシウムを使用することで、廃棄物の有効利用が図られる。使用される廃棄貝殻は、ホタテやカキなどが一般的であるが、これ以外の貝殻であってもよい。しかしながら、塗料組成物を塗工・乾燥して得られる硬化膜の通気性、多孔性などの観点から、ホタテやカキの貝殻が好ましく、特にホタテ貝殻が好ましい。以下の説明では、ホタテ貝殻の使用を例にとり記述するが、本発明で使用する水酸化カルシウムが、ホタテ貝殻由来のものに限定されることはない。
本発明で使用する水酸化カルシウムは、特に限定はされず、従来建材に多用されている石灰石由来の消石灰であってもよいが、本発明の塗料組成物は、水酸化カルシウムを比較的多量に含有するため、原材料の調達コストや環境保全を考慮して、廃棄貝殻由来の水酸化カルシウムを使用することが特に好ましい。廃棄貝殻の中でも、特に多量に発生するホタテやカキの貝殻は、廃棄処理が社会問題化しているが、本発明によれば、これら廃棄貝殻由来の水酸化カルシウムを使用することで、廃棄物の有効利用が図られる。使用される廃棄貝殻は、ホタテやカキなどが一般的であるが、これ以外の貝殻であってもよい。しかしながら、塗料組成物を塗工・乾燥して得られる硬化膜の通気性、多孔性などの観点から、ホタテやカキの貝殻が好ましく、特にホタテ貝殻が好ましい。以下の説明では、ホタテ貝殻の使用を例にとり記述するが、本発明で使用する水酸化カルシウムが、ホタテ貝殻由来のものに限定されることはない。
ホタテ貝殻は、良く知られたものであり、天然物であってもよく、また養殖物であってもよい。一般には、食用となる部位を除き、廃棄される貝殻を使用すればよい。ホタテ貝殻は、炭酸カルシウムを主体としており、貝殻を酸化、消化することで、水酸化カルシウムが得られる。酸化、消化の方法は特に限定はされないが、通気性、多孔性に優れた塗膜を形成しうる水酸化カルシウムを得る上では、水酸化カルシウムは粗粒であることが好ましい。このような水酸化カルシウムの製法を一例を以下に説明する。
まず廃棄されるホタテ貝殻を回収し、粗洗浄の後、粉砕する。粉砕方法は特に限定はされず、ロールミルなどの粉砕器を使用すればよい。この際の粉砕物の粒度についても特に限定はなく、粗粉砕程度でよい。
次いで、得られた粗粉砕物を煮沸、洗浄し、付着している汚れ、有機物を除去する。
次いで、粗粉砕物を焼成する。焼成は、ホタテ貝殻粉砕物を酸化し、酸化カルシウムとするために行う。したがって、焼成雰囲気は、酸化雰囲気であり、通常は大気中で行う。また、焼成温度および焼成時間は、ホタテ貝殻粉砕物が十分に酸化される条件であれば特に限定はされないが、一般には700℃〜1200℃程度の温度で6〜12時間程度行えば十分である。このような焼成により、ほぼすべての炭酸カルシウムが酸化され、酸化カルシウムとなる。
次いで、得られた酸化物は粉砕する。この粉砕は、次工程の湿式粉砕に先立ち行うものであり、粉末を湿式粉砕器に導入できる程度の粒度まで粉砕すればよい。
次いで、水を用いた湿式粉砕を行い、酸化物粉末をさらに粉砕しつつ消化し、所望の粒子性状を有する水酸化カルシウム粉末のスラリーを得る。湿式粉砕は、たとえばボールミル、ディスクミルなどの粉砕器により行う。この際の水の使用量は特に限定はされないが、最終的に得られる水酸化カルシウムスラリーの水酸化カルシウム濃度が、好ましくは280〜400g/リットル程度、さらに好ましくは300〜350g/リットル程度になるように水を使用することが好ましい。なお、消化は、酸化カルシウムが水酸化カルシウムに転化する発熱反応であり、消化に際しては水分が蒸発するため、水の使用量は、蒸発する水分量を考慮して決定する必要がある。
得られる水酸化カルシウムは、粗粒であるほど硬化膜の多孔性が高く、通気性、調湿性、化学物質等の吸着性に優れ、また、塗料中の水酸化カルシウム含有量を高くすることができ、得られる塗膜の遮熱性、保温性、消臭性、耐火性、抗カビ性、調湿効果、保冷効果が向上する。
したがって、湿式粉砕により得られるスラリー中の水酸化カルシウムの平均粒子径は、好ましくは500〜2000μm、さらに好ましくは500〜1000μmである。また、水酸化カルシウムの比表面積は、好ましくは0.6〜1cm2/g、さらに好ましくは0.7〜0.9cm2/gである。なお、本明細書において、平均粒子径は、光散乱法により求められ、比表面積はBET法により求められる。
水酸化カルシウム粉末を用いて形成される塗膜は、塗工後に空気中の二酸化炭素と反応し、酸化カルシウムを主体とする硬化膜を生成する。粗粒の水酸化カルシウムを使用するため、得られる硬化膜も多孔性を有し、水分を適度に吸収、放出でき、調湿効果が高く、また各種化学物質の吸収性にも優れる。また、水酸化カルシウムは、膜形成能に優れるため、接着剤を使用しなくても塗工可能であり、水酸化カルシウムを比較的多量に含有する本発明の塗料組成物によれば、強度、耐火性、遮熱性、保温性の高い硬化膜が得られる。
次いで、得られた水酸化カルシウムスラリーに、無機骨材と、所望により添加される他の成分と、適量の分散媒を添加混合することで、本発明の塗料組成物が得られる。
(無機骨材)
無機骨材としては、各種塗料に用いられる種々の無機骨材が特に制限されることなく用いられるが、好ましくはけい砂、パーライト等があげられる。
無機骨材としては、各種塗料に用いられる種々の無機骨材が特に制限されることなく用いられるが、好ましくはけい砂、パーライト等があげられる。
これら無機骨材の粒子性状は、特に限定はされないが、けい砂の場合、その平均粒子径は、好ましくは300〜900μm、さらに好ましくは330〜600μmである。また、比表面積は、好ましくは5〜10cm2/g、さらに好ましくは6〜8cm2/gである。また、パーライトの場合、その平均粒子径は、好ましくは300〜900μm、さらに好ましくは330〜600μmである。また、比表面積は、好ましくは100〜255cm2/g、さらに好ましくは144〜200cm2/gである。
このような無機骨材を塗料組成物に配合することで、得られる硬化膜の強度が向上する。
(その他の配合物)
また、本発明に係る塗料組成物は、上記に加えて、さらに必要に応じ各種の添加物を含有することができる。
また、本発明に係る塗料組成物は、上記に加えて、さらに必要に応じ各種の添加物を含有することができる。
好ましい添加剤としては、水ガラスがあげられる。水ガラスは、ケイ酸ナトリウムの濃い水溶液である。ケイ酸ナトリウムを水に溶かして加熱することで得られる。水ガラスを配合することで、硬化膜の凝集性が向上し、緻密化するとともに、耐火性も向上する。
また、他の好ましい添加剤としては、天然物由来の接着成分があげられる。このような接着成分としては、たとえば、角叉、銀杏草などの海藻由来の粉末糊、グアーガム、セルロース誘導体等があげられ、特に好ましくは角叉が用いられる。接着成分を添加することで、塗料組成物の塗工性が向上する。
さらに、本発明の塗料組成物には、上記各成分に加え、顔料などの着色剤、接着性向上のために水性アクリルエマルジョンなどが配合されていてもよい。
(分散媒)
本発明に係る塗料組成物は、上記した各成分が、適当な分散媒に分散してなるスラリーである。分散媒は、上記各成分を均一に分散できる限り特に限定はされてないが、作業衛生上の観点から水が最も好ましく用いられる。
本発明に係る塗料組成物は、上記した各成分が、適当な分散媒に分散してなるスラリーである。分散媒は、上記各成分を均一に分散できる限り特に限定はされてないが、作業衛生上の観点から水が最も好ましく用いられる。
(塗料組成物)
本発明に係る塗料組成物は、水酸化カルシウムと、無機骨材と、所望により添加される他の成分と、分散媒とを含み、全固形分100重量%に対する水酸化カルシウムの割合が50重量%以上、好ましくは55〜65重量%、さらに好ましくは58〜63重量%の範囲にある。したがって、無機骨材および所望により添加される他の成分の含有量は、全固形分100重量%に対し、50重量%以下、好ましくは35〜45重量%、さらに好ましくは37〜42重量%の範囲にある。また、これらの中でも無機骨材の割合は、全固形分100重量%に対し、好ましくは33〜43重量%、さらに好ましくは35〜40重量%の範囲にある。
本発明に係る塗料組成物は、水酸化カルシウムと、無機骨材と、所望により添加される他の成分と、分散媒とを含み、全固形分100重量%に対する水酸化カルシウムの割合が50重量%以上、好ましくは55〜65重量%、さらに好ましくは58〜63重量%の範囲にある。したがって、無機骨材および所望により添加される他の成分の含有量は、全固形分100重量%に対し、50重量%以下、好ましくは35〜45重量%、さらに好ましくは37〜42重量%の範囲にある。また、これらの中でも無機骨材の割合は、全固形分100重量%に対し、好ましくは33〜43重量%、さらに好ましくは35〜40重量%の範囲にある。
本発明に係る塗料組成物は、水酸化カルシウムの含有量が高いため、廃棄貝殻の有効利用が図られ、また硬化膜の遮熱性、保温性、消臭性、耐火性、抗カビ性、調湿効果、保冷効果の向上が可能になる。
本発明に係る塗料組成物は、上記したように、水酸化カルシウムスラリーに、無機骨材と、所望により添加される他の成分と、適量の分散媒を添加混合することで得られる。添加順は特に限定はされず、水酸化カルシウムスラリーに、無機骨材、他の成分および分散媒を任意の順に加え、ハンドミキサー等で混合撹拌することで塗料組成物が得られる。分散媒の使用量は、塗工方法や、塗工対象に応じて、適宜の粘度となるように添加される。したがって、固形分濃度は特に限定はされないが、一般的には、分散媒と全固形分との合計100重量%に対する全固形物の割合は、33〜40重量%、好ましくは35〜38重量%程度の範囲にある。
(硬化膜)
本発明に係る塗料組成物を建築物の室内壁面、天井、外壁などの壁面に塗工、乾燥することで硬化膜が得られる。塗膜に含まれる水酸化カルシウムは、塗工後に空気中の二酸化炭素と反応し、酸化カルシウムを主体とする硬化膜を生成する。
本発明に係る塗料組成物を建築物の室内壁面、天井、外壁などの壁面に塗工、乾燥することで硬化膜が得られる。塗膜に含まれる水酸化カルシウムは、塗工後に空気中の二酸化炭素と反応し、酸化カルシウムを主体とする硬化膜を生成する。
塗工方法は、塗工対象、塗工箇所に応じて、適宜選択され、吹付けであってもよく、ローラや、左官鏝を使用した塗工であってもよい。また、塗工後の乾燥は、自然乾燥であってもよく、熱風乾燥であってもよい。
Claims (7)
- 水酸化カルシウムと、無機骨材と、分散媒とを含み、全固形分に対する水酸化カルシウムの割合が50重量%以上である塗料組成物。
- 水酸化カルシウムが焼成貝殻由来の水酸化カルシウムである請求項1に記載の塗料組成物。
- 水酸化カルシウムが焼成ホタテ貝殻由来の水酸化カルシウムである請求項2に記載の塗料組成物。
- 全固形分に対する水酸化カルシウムの割合が65重量%以上である請求項1〜3の何れかに記載の塗料組成物。
- 全固形分に対する水酸化カルシウムの割合が80重量%以上である請求項4に記載の塗料組成物。
- 水ガラスをさらに含む請求項1〜5の何れかに記載の塗料組成物。
- 天然物由来の接着成分をさらに含む請求項1〜6の何れかに記載の塗料組成物。
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