JP2012050351A - マトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置を用いたイオン源内解裂によるrna配列決定法 - Google Patents

マトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置を用いたイオン源内解裂によるrna配列決定法 Download PDF

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Abstract

【課題】非修飾RNA及び修飾RNAのインソースディケイ(ISD)を引き起こし、多くのフラグメントイオンを生じさせることによって、多くの配列情報が得られる分析手法、特にMALDI−TOFMSで一般的な波長のレーザーを有する装置で、20塩基以上のRNAについて効率よくISDによる分解を引き起こすマトリクスを用いた分析手法を提供する。
【解決手段】RNAを含む試料を、2,4−ジヒドロキシアセトフェノンをマトリクスとしたマトリクス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析に供し、ISDにより前記RNA由来のフラグメントイオン群を得て、前記フラグメントイオン群のイオンのピーク間の質量差に基づいて前記RNAの配列解析を行う、RNA配列決定法。
【選択図】図3

Description

本発明は、RNAの配列決定をMALDI−TOFMSによって行う技術に関する。核酸医薬を開発している製薬企業やオリゴヌクレオチドを合成・販売している企業、及び核酸を研究しているライフサイエンス系分野などの領域での利用が期待される。
近年の核酸医薬開発の活発化に伴い、数十塩基長程度のオリゴヌクレオチドの配列解析技術が求められている。核酸医薬品では、リボース2’−OH基の修飾やリン酸エステルのチオエステル化など、非天然部位の導入により生体内での滞留性をよくすることが一般的であり、これら非天然部位を含めた核酸配列解析技術が求められている。
MALDI−TOFMSを用いてオリゴヌクレオチドの配列解析を行った例として、酸で部分的にリン酸エステルを加水分解したRNAについてラダー状のマススペクトルを取得し、ピーク間の質量差から配列を解析する手法(非特許文献1)と、エンドヌクレアーゼにより3’−末端もしくは5’−末端から順にRNAを分解し、経時的にマススペクトルを取得して配列情報を得る手法(非特許文献2)とが報告されている。
MALDI−TOFMSのイオン源での解裂(インソースディケイ:in-source decay, ISD)は主にペプチドのアミノ酸配列解析に応用されている技術であるが(非特許文献3,4)、核酸の塩基配列解析へ応用された例についても数例報告されている(非特許文献5,6)。
非特許文献5では、11塩基長のDNAについて、ピコリン酸をマトリクスとし、266 nmの波長のレーザーを照射することによりフラグメントイオンを発生させたことが開示されている。
非特許文献6では、7塩基長のDNAについて、2,5-ヒドロキシ安息香酸(2,5-dihydroxybenzoic acid(2,5-DHB))をマトリクスとし、フラグメントイオンを発生させたことが開示されている。レーザー波長は文献に明記されていないが、Voyager Elite(Perspective Biosystems社)を使用していることから、337 nmの波長と推測される。
非特許文献7では、ジヒドロキシアセトフェノン(Dihydroxyacetophenone(DHAP))と1.5-ジアミノナフタレン(1,5-Diaminonaphtalene(DAN))との混合物をマトリクスとし、ISDによってDNAの配列解析を行ったことが開示されている。また、RNAではISDによるフラグメントイオンはほとんど検出されなかったことが開示されている。
非特許文献8では、TCリピートの配列からなる100塩基長のDNAと102塩基長のDNAとをマススペクトル上で分離して検出するために、2,4-ジヒドロキシアセトフェノン(2,4-Dihydroxyacetophenone)をマトリックスとして用いたことが開示されている。
なお、質量分析による核酸の塩基配列解析において、核酸から生じうるフラグメントイオンは、リン酸結合における開裂部位によって、5’−OH基を有するフラグメントイオンはa、b、c又はdと、3’−OH基を有するフラグメントイオンはw、x、y又はzと命名される(非特許文献9)。
しかしながら、RNA(非修飾のもの)及び修飾基を有するRNAについてISDによりフラグメントイオン群を発生させ、生じたフラグメントイオン群のマススペクトルを利用し、配列解析を行ったことの報告はない。
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非特許文献1の方法において、RNAのリン酸エステルの酸加水分解にはリボースの2’−OH基が必要である。従って、2’−OH基がメチル化などの修飾を受けたRNAではリン酸エステルの分解が起こらないため、前記メチル化修飾を受けた塩基の場所を特定することができない点で問題がある。
非特許文献2の方法は、酵素消化時間などの諸条件の検討、および経時的に質量分析を行なう必要があるため、煩雑かつ時間を要する点で問題がある。
非特許文献5の方法は、オリゴヌクレオチドのISD解析に用いられたレーザーの波長(266nm)が汎用的でないため、解析を可能にする装置が上記波長のレーザーを有する装置に限られる点で問題がある。
また、非特許文献5の方法では11塩基長のDNAでのフラグメント解析例が記載されているが、核酸医薬として検討されている20塩基長以上のRNAのISD分析例は記載されていない。
非特許文献6で分析されたDNAは7塩基長であり、かつ、ISDにより得られたフラグメントイオンは少なく、配列情報としては一部しか得られていない。従って、核酸医薬として検討されている20塩基長以上のRNAについて配列解析をすることができない点で問題がある。
非特許文献7の方法では、開示されているとおり、RNAについてISDによる配列解析ができない点で問題がある。
非特許文献8では、長鎖DNAの親イオンが検出されたのみであり、配列決定を可能にするようなフラグメントイオンは検出されていない。
ペプチドのISDによる分解機構は、カルボニル酸素への水素原子付加から引き起こされると考えられている。オリゴヌクレオチドのISDによる解裂は、リン酸エステルの酸素への水素原子付加に起因すると考えられ、2’−OHの有無に関わらず分解すると推測できる。
一方、非特許文献5には、オリゴヌクレオチドのISDフラグメント効率によると、インタクトイオンに対して数%のイオン強度しか得られないことが開示されている。従って、ISDイオンを豊富に得るためには、オリゴヌクレオチド自体のイオン化効率のよいマトリクスが必要であると考えられる。
以上に鑑み、本発明は、非修飾RNA及び修飾RNAのISDを引き起こし、多くのフラグメントイオンを生じさせることによって、多くの配列情報が得られる分析手法を提供することを目的とする。
また、本発明は、MALDI−TOFMSで一般的な波長のレーザーを有する装置で、20塩基長以上のRNAについて効率よくISDによる分解を引き起こすマトリクスを用いた分析手法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、2,4−ジヒドロキシアセトフェノンが効率よくRNAのISDを引き起こすことを見出した。また、本発明者は、2,4−ジヒドロキシアセトフェノンが汎用性の高い波長337nmの窒素レーザーでISDによるフラグメントイオンを生じさせることを見出した。さらに、本発明者は、2,4−ジヒドロキシアセトフェノンが修飾を含んだRNAのISDも引き起こすことを見出した。
本発明者は、上記知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下の発明を含む。
(1)
RNAを含む試料を、2,4−ジヒドロキシアセトフェノンをマトリクスとしたマトリクス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析に供し、インソースディケイにより前記RNA由来のフラグメントイオン群を得て、前記フラグメントイオン群のイオンのピーク間の質量差に基づいて前記RNAの配列解析を行う、RNA配列決定法。
上記において、RNAには、非修飾RNA及び修飾RNAの両方を含む。
(2)
前記RNAが、リボースに2’修飾基を有するものである、(1)に記載のRNA配列決定法。
(3)
前記RNAが、リボースに2’−O−メチル基を有するものである、(2)に記載のRNA配列決定法。
(4)
前記RNAの塩基長が20〜30である、(1)〜(3)のいずれかに記載のRNA配列決定法。
本発明によると、非修飾RNA及び修飾RNAのISDを引き起こし、多くのフラグメントイオンを生じさせることによって、多くの配列情報が得られる分析手法を提供することができる。
本発明によると、MALDI−TOFMSで一般的な波長のレーザーを有する装置で、RNAからISDによる分解を効率よく引き起こすマトリクスを用いた分析手法を提供することができる。
本発明によると、解析対象のRNAから生じる、ISDに特徴的なw系列やy系列、d系列のフラグメントイオンを帰属することにより、全配列のうち例えば少なくとも90%に相当するイオンの帰属が行うことができる。
本発明によると、核酸医薬の対象となる20mer以上のRNAの配列解析に有用な分析手法を提供することができる。また、酸処理などの前処理を不要とする簡便なオリゴヌクレオチド配列解析手段を手供することができる。
RNAがISDによりw系列に分解する推定メカニズムを示す。式中、B1及びB2は塩基を表す。 21塩基長であり5’末端から8塩基目のアデノシンが2’−O−メチル化されたRNA(5'-UCG AAG U(Am)U UCC GCG UAC GdTdT-3', Amは、2’-O-methyl- adenosineを表す)のISDにより発生したフラグメントイオン群のマススペクトルを示す。マトリクスとして2,4−DHAP、2,5−DHAP(比較用)、2,6−DHAP(比較用)及び2,4,6−THAP(比較用)を使用したスペクトルを示す。 21塩基長の非メチル化RNAのISDにより生じたフラグメントイオン群のマススペクトル(a)、及び5’末端から8塩基目のアデノシンが2’−O−メチル化されたRNAのISDにより生じたフラグメントイオンのマススペクトル(b)を示す。 2’−O−メチル化RNAのISDにより発生したフラグメントイオン群のスペクトル(a)、及び前処理として酸処理に供された2’−O−メチル化RNAのマススペクトル(b)(比較用)を示す。 RNAのフラグメントイオンの命名法について示す。RNAの構造式はリン酸結合部位を除く部位は簡略化した。n1、n2、n3はヌクレオシド部を表す。
[1.RNA]
本発明で対象となるRNA(リボ核酸)は、基本的に塩基部位を構成するアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、ウラシル(U)と、糖部を構成するリボースと、リン酸部位を構成するリン酸結合とを有するものであれば特に限定されるものではない。また、本発明において、RNAは、天然型RNA及び非天然型RNAアナログの両方を含む。(本明細書においては、天然型RNAの一態様を非修飾RNA、非天然型RNAアナログの一態様を修飾RNAと記載する場合がある。)
非天然型RNAアナログの態様としては特に限定されるものではなく、塩基部位修飾RNA、糖部位修飾RNA、及びリン酸部位修飾RNAを問わない。これらの態様は、核酸医薬の分野において許容される修飾態様であることが好ましい。
塩基部位修飾RNAの例として、メチル化シトシン等が挙げられる。
糖部位修飾RNAの例として、リボースに2’修飾基を有するRNAや、2’位と4’位が結合したlinked nucleic acid (LNA)等が挙げられる。好ましい例として、リボースに2’−O−メチル基を有するRNA(2’−O−メチル化RNA)やリボースに2’−F基を有するRNA(2’−フルオロ化RNA)等が挙げられる。
リン酸部位修飾RNAの例として、リン酸エステルの酸素原子(P=O)が硫黄原子に置き換わったホスホロチオエートRNAが挙げられる。
RNAの塩基長としては限定されないが、低分子のRNAであることが好ましい。一例として、30塩基長まで(例えば20〜30塩基長)でありうる。RNAが核酸医薬である場合は、20〜25塩基長であることが好ましく、21〜23塩基長であることがより好ましい。RNAが医薬代謝物である場合や医薬に限らない場合には、20塩基長未満であってもよい。
本発明に供されるRNAのスケールは特に限定されない。特に、本発明は、微量のRNAを取り扱う場合に有用であるため、RNAはピコモルレベル、例えば5〜20ピコモル程度でありうる。
[2.マトリクス]
本発明においては、マトリクスとして2,4−ジヒドロキシアセトフェノンを用いる。 2,4−ジヒドロキシアセトフェノンは、汎用性の高い337nmのレーザーでフラグメントイオンを生じさせることができ、ISDによる分解を効率よく引き起こすことができる。2,4−ジヒドロキシアセトフェノンの使用量としては特に限定されず、通常のマトリクスと同様に当業者が適宜決定する事ができる。例えば、解析対象となるRNAに対し数千〜数万倍量、例えば2000〜50000倍量(モル基準)で用いることができる。
2,4−ジヒドロキシアセトフェノンは、適切な溶液中に溶解して用いられうる。上記溶液の組成としては特に限定されず、当業者が適宜決定する事ができる。例えば、アセトニトリル、メタノールなどの有機溶媒の水溶液に溶解して用いることができる。前記有機溶媒の濃度としては特に限定されないが、例えば30%〜50%(体積基準)でありうる。
本発明においては、マトリクスは2,4−ジヒドロキシアセトフェノン単独で用いられ、他のマトリクスと混合しては用いられないことが好ましい。特に、ISDを効率よく引き起こすマトリクスとして知られている1,5−ジアミノナフタレン(DAN)と混合して用いられることはない。
本発明においては、マトリクス添加剤が用いられてよい。マトリクス添加剤としては、有機酸又は無機酸のアンモニウム塩を用いることができる。具体的には、クエン酸ジアンモニウム(Ammonium citrate dibase (ACDB))、酢酸アンモニウム(Ammonium Acetate (AA))、塩化アンモニウム(Ammonium Chloride (ACl))、クエン酸トリアンモニウム(Ammonium citrate tribase (ACTB))、フッ化アンモニウム(Ammonium fluoride (AF))、酒石酸アンモニウム(Ammonium tartarate (AT))などが挙げられる。
添加剤の使用量としては特に限定されず、当業者が適宜決定する事ができる。例えば、マトリクスである2,4−ジヒドロキシアセトフェノンに対し4分の1〜等倍量(モル基準)で用いることができる。
[3.質量分析]
上記RNAは上記マトリクスと混合され質量分析に供される。質量分析においては、マトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間(MALDI−TOF)型質量分析装置を用い、イオン源内解裂(インソースディケイ;ISD)により前記RNA由来のフラグメントイオン群を得る。ISDによるMALDI−TOF質量分析においては、RNAにレーザーを照射することにより、レーザー照射と同時にイオン源内でRNAが断片化し、断片化により生じた励起分子イオン、すなわちフラグメントイオンを検出することによって、RNAの配列情報を得る。ISDによるフラグメントイオンはポジティブ、ネガティブの両モードにおいて検出されるため、極性に関する検出モードについては限定されないが、一般的にオリゴヌクレオチドの測定に用いられるネガティブモードが好ましい。
RNAのISD推定メカニズムを図1に示す。図1に示すように、RNAのISDによる分解は、ホスホリル(P=O)酸素原子への水素原子付加から引き起こされると考えられる。
同様に、例えばホスホロチオエート型のRNAのISDによる分解も、P=S硫黄原子への水素原子付加から引き起こされると考えられる。
従って、RNAの塩基部位や糖部(2’水酸基)、及びリン酸部のいずれに修飾がある場合であっても、ISDによる分解が引き起こされうる。
本発明のRNA配列決定法においては、上述のマトリクスを用いることによって、RNAのISDを効率よく引き起こし、配列情報を与えるに十分なRNAフラグメントイオンをw系列、y系列、d系列のイオンとして得ることができる。ここで、RNAの各フラグメントイオンの名称は、図5に示すオリゴヌクレオチド命名法に基づく。特にw系例のフラグメントイオンは酸処理などでは生じない系列であり、ISDに特徴的である。ISDで得られるマススペクトルは、各系列のイオンのピーク間の質量差が、RNAを構成するヌクレオチドの質量を示すものとして得ることができる。従って、ピーク間の質量差を読むことによって、RNA配列決定を非常に容易に行うことができる。
以下に実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、以下において、%で表された量は特に断りのない限り体積を基準にしたものである。また、実施例で得られたマススペクトルにおいては、横軸は質量/電荷(m/z)を表し、縦軸は相対強度を表す。
[実施例1]
以下の構造を有する4種の化合物(2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン(比較用)、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン(比較用)、及び2,4,6−トリヒドロキシアセトフェノン(比較用))をマトリクスとして、RNAサンプルをISD解析に供した。解析対象としたRNAサンプルは、21塩基長、5’末端から8塩基目のアデノシンが2’−O−メチル化されたものであり、具体的な配列は5'-UCG AAG U(Am)U UCC GCG UAC GdTdT-3'(UCG AAG U(Am)U UCC GCG UAC Gを配列番号1とする。Amは、2’-O-methyl- adenosineを表す。)である(以下、このRNAサンプルを2’−O−メチル化RNAと記載する)。
各マトリクスを、70mMのクエン酸ジアンモニウム及び50%アセトニトリルを含む水溶液に溶解した。2,4−DHAP、2,6−DHAP、及び2,4,6−THAPは前記水溶液中20mg/mL、2,5−DHAPは10mg/mLの濃度に調製し、マトリクス溶液とした。
50pmol/μLの21塩基長2’−O−メチル化RNAをマトリクス溶液と1:1(体積比)で混合し、MALDI−TOFMS測定用のステンレスプレートに滴下し、乾燥させ、MALDI−TOFMS測定に供した。MALDI−TOFMS測定では、AXIMA Confidence(登録商標)(島津製作所製)により、リニア、ネガティブモードを用いた。
MALDI−TOFMS測定により得られたマススペクトルを図2に示す。解析対象のRNAの分子量関連イオン(m/z 6658)のイオン強度は2,4−DHAPをマトリクスに用いた場合において、他のマトリクスを用いた場合と比較して最も強かった。また、図2が示すように、m/z 3500-m/z 6000付近のフラグメントイオンが他のマトリクスの場合よりも強い強度で検出され、ISD効率が高いことが確認できた。
[実施例2]
マトリクスとして2,4−DHAPを用い、2’−O−メチル化RNA、及び2’−O−メチル化されていないRNA(非メチル化RNA)それぞれを、実施例1と同様にMALDI−TOFMS測定に供した。非メチル化RNAの具体的な配列は5'-UCG AAG UAU UCC GCG UAC GdTdT-3'(UCG AAG UAU UCC GCG UAC Gを配列番号2とする。)である。
ISDにより生じたフラグメントイオンのマススペクトルを図3に示す((a):非メチル化RNA、(b)2’−O−メチル化RNA)。w系列のフラグメントイオンが検出され、21塩基中、3’末端の2塩基を除くすべてのイオンを帰属することができ、RNAの配列解析を行うことができた。また、メチル化修飾塩基(mA)の位置を確認することができた。
[比較例1]
2’−O−メチル化RNAサンプルを10pmol/μl水溶液に調製した。さらに、5%トリフルオロ酢酸水溶液中に50mg/mlの濃度で3−ヒドロキシピコリン酸(3−HPA)を含む試薬溶液を調製した。
上記サンプル水溶液と上記試薬溶液とを同体積混合して反応混合液とした(すなわちトリフルオロ酢酸の終濃度を2.5%とした)後、直ちに反応混合液1μlをMALDI用ステンレスプレートにアプライし、風乾させた。得られた乾燥スポットに、0.5μlの10mg/mlクエン酸ジアンモニウム水溶液を重ねてアプライし、さらに風乾させた。乾燥後、MALDI−TOFMSにより測定を行った。
酸処理及びMALDI−TOFMS測定によって得られたマススペクトルを、図4(b)に示す。合わせて、実施例2で得られた2’−O−メチル化RNAサンプルに関する図3(b)のマススペクトルにおけるm/z3700〜4600のスペクトル部分を拡大したものを図4(a)に示す。
図4(b)が示すように、酸処理ではy13が検出されていないことから、メチル化部位の切断が起こっていないことを確認した。一方、図4(a)が示すように、ISDにより生じたフラグメントイオンにおいては、w13イオンが検出されていることから、メチル化の有無の関わらずリン酸エステル結合の切断が起こっていることを確認した。
配列番号1は、8番目に2’−O−メチルアデノシンを有する合成オリゴヌクレオチドである。
配列番号2は、合成オリゴヌクレオチドである。

Claims (4)

  1. RNAを含む試料を、2,4−ジヒドロキシアセトフェノンをマトリクスとしたマトリクス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析に供し、インソースディケイにより前記RNA由来のフラグメントイオン群を得て、前記フラグメントイオン群のイオンのピーク間の質量差に基づいて前記RNAの配列解析を行う、RNA配列決定法。
  2. 前記RNAが、リボースに2’修飾基を有するものである、請求項1に記載のRNA配列決定法。
  3. 前記RNAが、リボースに2’−O−メチル基を有するものである、請求項2に記載のRNA配列決定法。
  4. 前記RNAの塩基長が20〜30である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のRNA配列決定法。
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