JP2012040831A - タイヤの空気バリア性回復方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】使用により空気バリア性が低下したタイヤを100℃以上かつ熱可塑性樹脂組成物に含まれる最も高い融点を有する熱可塑性樹脂の融点より低い温度で熱処理をすることにより、空気バリア性を回復する。熱処理には、タイヤ加硫用ブラダーおよびタイヤ加硫用モールドのうち少なくともいずれか一方、ギヤーオーブン、ヒーター、または熱風を使用することができる。
【選択図】なし
Description
前記熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、熱可塑性樹脂中にエラストマーが分散した熱可塑性エラストマー組成物である。
前記熱可塑性樹脂は、好ましくは、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66共重合体、ナイロンMXD6、およびナイロン6Tからなる群から選ばれた少なくとも1種である。
前記熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、エチレン−ビニルアルコール共重合体と、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66共重合体、ナイロンMXD6、およびナイロン6Tからなる群から選ばれた少なくとも1種のナイロン成分とを含む。
前記エラストマーは、好ましくは、臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、および無水マレイン酸変性エチレン−エチルアクリレート共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種である。
前記熱処理は、好ましくは、ギヤーオーブンを使用した熱処理である。
前記熱処理は、好ましくは、ヒーターを使用した熱処理である。
前記熱処理は、好ましくは、熱風を使用した熱処理である。
1つの熱処理方法は、タイヤ加硫用ブラダーおよびタイヤ加硫用モールドのうち少なくともいずれか一方を使用する熱処理方法である。具体的には、使用により空気バリア性が低下したタイヤ(以下「劣化タイヤ」ともいう。)を、タイヤ加硫用ブラダーに装着し、またはタイヤ加硫用モールドに装着し、またはタイヤ加硫用ブラダーおよびタイヤ加硫用モールドに装着し、加熱する。この方法においては、タイヤのリトレッド工程を兼ねることができる。
熱可塑性樹脂組成物が融点の異なる2種の熱可塑性樹脂を含む場合、熱処理の温度は、熱可塑性樹脂組成物に含まれる最も低い気体透過係数を有する熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、好ましくはその融点以上であり、融点の高い熱可塑性樹脂の融点未満である。たとえば、熱可塑性樹脂組成物が融点158℃のエチレン−ビニルアルコール共重合体と融点225℃のナイロン6を含む場合、熱処理の温度は158℃以上225℃未満であることが好ましい。
なかでも、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66共重合体、ナイロンMXD6、ナイロン6Tが、空気バリア性の点で、好ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体は、使用前の空気バリア性が高いが、実車走行等で使用すると疲労により空気バリア性が低下するので、本発明の方法は、熱可塑性樹脂としてエチレン−ビニルアルコール共重合体を使用した場合に、特に好適に適用することができる。
なかでも、臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−エチルアクリレート共重合体が、熱可塑性樹脂との親和性や空気バリア性の観点から、好ましい。
表1に示す配合において、各原材料ペレットを2軸混練機((株)日本製鋼所製TEX44)に投入し、230℃にて溶融混練を行った。混練された原材料は押出機から連続してストランド状に排出し、水冷却カッターで切断することにより、ペレット状のインナーライナー用熱可塑性樹脂組成物IL−1およびIL−2を得た。
EVOH: 日本合成化学工業株式会社製「ソアノール」(登録商標)H4815B(融点:158℃、ガラス転移温度:48℃)
ナイロン6: 宇部興産株式会社製「UBEナイロン」1030B(融点:225℃)
ナイロン6/66共重合体: 宇部興産株式会社製「UBEナイロン」5033B(融点:196℃)
マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体: 三井化学株式会社製「タフマー」(登録商標)MP−0620(非晶性)
表2に示す配合において、各原材料ペレットを2軸混練機((株)日本製鋼所製TEX44)に投入し、120℃にて溶融混練を行った。混練された原材料は押出機から連続してストランド状に排出し、水冷却カッターで切断することにより、ペレット状の粘接着剤組成物を得た。
エポキシ化SBS: ダイセル化学工業株式会社製エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマー「エポフレンド」AT501
酸化亜鉛: 正同化学工業株式会社製「亜鉛華3号」
ステアリン酸: 日油株式会社製ビーズステアリン酸YR
加硫促進剤: 大内新興化学工業株式会社製「ノクセラー」TOT−N
粘着性付与樹脂: ヤスハラケミカル株式会社製YSレジンD105
表1に示すインナーライナー用熱可塑性樹脂組成物と表2に示す粘接着剤組成物とを、インフレーション成型装置にて230℃で粘接着剤組成物層を外側とする2層のチューブ状に押し出し、インフレーション成型後ピンチロールで折りたたみそのまま巻き取った。前記のチューブ状フィルムは粘接着剤組成物層の厚みは20μmとし、熱可塑性樹脂組成物層の厚みは20μmとなるように押し出した。
前記(3)で作製した熱可塑性樹脂組成物層と粘接着剤組成物層からなる2層フィルムを、熱可塑性樹脂組成物層側を内側にしてタイヤ成形用ドラム上に配置した。その上に未加硫ゴムからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常のタイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとした。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って、加熱加硫することにより195/65R15サイズのタイヤを作製した。
前記(4)で作製した195/65R15サイズのタイヤを、リム15×6JJ、内圧200kPaとして、排気量1800ccのFF乗用車に装着し、市街地を30,000km走行した。
比較例1および3は、実車走行後のタイヤに対して、熱処理を行わなかったものである。
実施例1〜3、8〜11、14、比較例2、4においては、実車走行後のタイヤに対して、タイヤ内面に離型剤をスプレーにて塗布し、一般的なタイヤ加硫用モールドおよびブラダーを備えた加硫機を使用し、表3および表4に示す条件にて熱処理を行った。
実施例4および12においては、タイヤ加硫用モールドおよびブラダーを備えた加硫機による熱処理の際に、一般的なタイヤのリトレッド手法に従い、タイヤ踏面にキャップコンパウンドを巻き、リトレッドも兼ねて、表3および表4に示す条件にて熱処理を行った。
実施例5および13においては、ギヤーオーブンを使用し、表3および表4に示す条件にて熱処理を行った。
実施例6においては、タイヤ内面をセラミックヒーターにて加熱することで熱処理を行った。このとき、タイヤ内表面の温度が所望の温度になるようにヒーターの出力を適宜調節し、表3および表4に示す条件にて熱処理を行った。
実施例7においては、タイヤ内面をヒートガンの熱風にて加熱することで熱処理を行った。このとき、タイヤ内表面の温度が所望の温度になるように熱風の温度を適宜調節し、表3および表4に示す条件にて熱処理を行った。
実車走行後に熱処理したタイヤと実車走行前のタイヤの内圧低下率の差を、実車走行前のタイヤ内圧低下率に対する百分率で表し、その値を空気漏れ変化率とした。
空気漏れ変化率(%)=(実車走行後に熱処理したタイヤの内圧低下率−実車走行前のタイヤの内圧低下率)/実車走行前のタイヤの内圧低下率×100
各試験タイヤを正規リムに装着し、初期圧力250kPa、室温21℃、無負荷条件にて3か月間放置し、3時間毎に内圧を測定し、測定内圧Pt、初期圧力P0、経過日数tとして、次式で回帰してα値を求めた。
Pt/P0=exp(−αt)
得られたα値を用いて、t=30(日)を代入し、β=〔1−exp(−αt)〕×100からβ値を求め、そのβ値を1か月当たりの内圧低下率(%/月)とした。
Claims (12)
- 1種または2種以上の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物をインナーライナーとして用いたタイヤの、使用により低下した空気バリア性を回復する方法であって、空気バリア性が低下したタイヤを100℃以上かつ前記熱可塑性樹脂組成物に含まれる最も高い融点を有する熱可塑性樹脂の融点より低い温度で熱処理をすることを特徴とするタイヤの空気バリア性を回復する方法。
- 前記熱可塑性樹脂組成物が、融点の異なる2種以上の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のタイヤの空気バリア性を回復する方法。
- 前記熱可塑性樹脂組成物が熱可塑性樹脂中にエラストマーが分散した熱可塑性エラストマー組成物であることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤの空気バリア性を回復する方法。
- 前記熱可塑性樹脂がポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66共重合体、ナイロンMXD6、およびナイロン6Tからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤの空気バリア性を回復する方法。
- 前記熱可塑性樹脂組成物が、エチレン−ビニルアルコール共重合体と、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66共重合体、ナイロンMXD6、およびナイロン6Tからなる群から選ばれた少なくとも1種のナイロン成分とを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤの空気バリア性を回復する方法。
- 前記エラストマーが、臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、および無水マレイン酸変性エチレン−エチルアクリレート共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のタイヤの空気バリア性を回復する方法。
- 前記熱処理がタイヤ加硫用ブラダーおよびタイヤ加硫用モールドのうち少なくともいずれか一方を使用した熱処理であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤの空気バリア性を回復する方法。
- 前記熱処理がタイヤのリトレッド工程を兼ねることを特徴とする請求項7に記載のタイヤの空気バリア性を回復する方法。
- 前記熱処理がギヤーオーブンを使用した熱処理であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤの空気バリア性を回復する方法。
- 前記熱処理がヒーターを使用した熱処理であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤの空気バリア性を回復する方法。
- 前記熱処理が熱風を使用した熱処理であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤの空気バリア性を回復する方法。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法により空気バリア性を回復したタイヤ。
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