JP2012040213A - 骨セメント組成物、骨セメント組成物キット、骨セメント組成物の製造方法および骨セメント組成物硬化体 - Google Patents

骨セメント組成物、骨セメント組成物キット、骨セメント組成物の製造方法および骨セメント組成物硬化体 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化チタン粒子と共に、酸化チタン粒子以外の無機化合物粒子を含有する場合においても、生体活性能と共に物理的強度を有する硬化体を形成することのできる骨セメント組成物およびその製造方法、並びに骨セメント組成物キットを提供すること、生体活性能と共に物理的強度を有する骨セメント組成物硬化体を提供することにある。
【解決手段】骨セメント組成物は、酸化チタン粒子を含む二種以上の無機化合物粒子が集合することによって形成された凝集体と、ポリメタクリレート系ポリマーを含む基材形成成分とを含有することを特徴とする。本発明の骨セメント組成物硬化体は、本発明の骨セメント組成物を養生することによって得られることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体活性能を有する酸化チタン粒子を含んだ骨セメント組成物、骨セメント組成物キット、骨セメント組成物の製造方法および骨セメント組成物硬化体に関する。
従来、骨セメント組成物は、骨の欠損部の補填剤、あるいは人工股関節などの人工関節を周囲の骨と固定する接着剤などとして世界中において広く使用されており、このような骨セメント組成物としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)系骨セメント組成物が最も汎用されている。
PMMA系骨セメント組成物は、従来から生体親和性を有するものの、生体活性能、すなわち骨に結合する骨結合性能を有するものではないことから、特に人工関節と周囲の骨とを固定する接着剤として用いた場合には、適用してから長期間が経過することにより、接着剤が周囲の骨から隔離してしまい、これに起因して人工関節と骨との間に緩みを生じてしまうという問題が生じている。この問題を解決すべく、生体活性能を付与する目的から酸化チタン粒子を添加してなる骨セメント組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2007−54619号公報
また、骨セメント組成物においては、種々の特性を付与する目的で、酸化チタン粒子以外の無機化合物粒子を含ませる場合がある。具体的には、例えばX線の造影性を付与するために、硫酸バリウム粒子や酸化ジルコニウム粒子などを含ませることが検討されている。
このような場合においても、生体活性能を付与するために酸化チタン粒子を所定量含ませることが必要となるため、最終的に得られる硬化体中における無機化合物粒子の合計の含有割合が必然的に高くなる。このように無機化合物粒子の割合が高くなることにより、硬化体の強度は低下する傾向にある。また、酸化チタン粒子と、酸化チタン粒子以外の無機化合物粒子とを単に混合して用いた場合には、これらの粒子が生体内において凝集しやすくなることから、更には硬化体の強度低下の原因となる。
本発明は、以上の事情に基づいて、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、酸化チタン粒子と、酸化チタン粒子以外の一種以上の無機化合物粒子とを、これらが集合した状態の凝集体として含有させることにより、骨セメント組成物に、酸化チタン粒子以外の無機化合物粒子に由来する機能を付与でき、しかも、最終的に得られる骨セメント組成物硬化体の生体活性能と物理的強度とを良好に維持できることを見出し、これにより、なされたものである。
本発明の目的は、酸化チタン粒子と共に、酸化チタン粒子以外の無機化合物粒子を含有する場合においても、生体活性能と共に物理的強度を有する硬化体を形成することのできる骨セメント組成物およびその製造方法、並びに骨セメント組成物キットを提供することにある。
本発明の他の目的は、生体活性能と共に物理的強度を有する骨セメント組成物硬化体を提供することにある。
本発明の骨セメント組成物は、少なくとも酸化チタン粒子を含む二種以上の無機化合物粒子が集合することによって形成された凝集体と、ポリメタクリレート系ポリマーを含む基材形成成分とを含有することを特徴とする。
本発明の骨セメント組成物においては、少なくとも酸化チタン粒子を含む二種以上の無機化合物粒子が集合することによって形成された凝集体が以下の特徴を有するものであることが好ましい。
(1)形状が球状であること。
(2)メジアン径が0.5〜7.0μmであること。
(3)窒素吸着法によって測定されるBET比表面積が1.0〜30.0m2 /gであること。
(4)凝集体を構成する無機化合物粒子として、硫酸バリウム粒子および/または酸化ジルコニウム粒子を含むこと。
(5)凝集体を構成する酸化チタン粒子の含有割合が、当該凝集体と前記ポリメタクリレート系ポリマーを含む基材形成成分との合計100質量%に対して2.0質量%以上であること。
本発明の骨セメント組成物キットは、少なくともメタクリレート系モノマーおよび重合開始剤を含有する骨セメント組成物キットであって、
メタクリレート系モノマーを含む第一成分と、重合開始剤を含む第二成分とを有し、
当該第一成分および/または当該第二成分が、少なくとも酸化チタン粒子を含む二種以上の無機化合物粒子が集合することによって形成された凝集体を含むことを特徴とする。
本発明の骨セメント組成物の製造方法は、前記の骨セメント組成物キットを構成する第一成分と第二成分とを混合し、少なくとも酸化チタン粒子を含む二種以上の無機化合物粒子が集合することによって形成された凝集体の存在下において、メタクリレート系モノマーを重合させる工程を有することを特徴とする。
本発明の骨セメント組成物硬化体は、前記の骨セメント組成物または前記の骨セメント組成物の製造方法によって得られた骨セメント組成物を養生することによって得られることを特徴とする。
本発明の骨セメント組成物においては、酸化チタン粒子と、酸化チタン粒子以外の少なくとも一種の無機化合物粒子とが集合した凝集体を含有していることから、当該酸化チタン粒子以外の無機化合物微粒子に由来する機能を有し、しかも、酸化チタン粒子に由来する生体活性能と物理的強度との双方を両立することができる。
従って、本発明の骨セメント組成物によれば、酸化チタン粒子と共に、酸化チタン粒子以外の無機化合物粒子を含有する場合においても、生体活性能と共に物理的強度を有する硬化体を形成することができる。
本発明の骨セメント組成物キットによれば、キット成分を単に混合することにより、少なくとも酸化チタン粒子を含む二種以上の無機化合物粒子が集合することによって形成された凝集体の存在下において、メタクリレート系モノマーを重合させることができるため、骨セメント組成物を容易に製造することができ、しかもメタクリレート系モノマーと、重合開始剤とが個別のキット成分とされていることから、適用前の保管されている状態あるいは運搬されている状態などにおいて、メタクリレート系モノマーが重合することを防止することができる。
本発明の骨セメント組成物の製造方法によれば、本発明の骨セメント組成物キットを用いることから、前述のようにキット成分を混合することによって容易に本発明の骨セメント組成物を得ることができる。
本発明の骨セメント組成物硬化体は、本発明の骨セメント組成物または本発明の骨セメント組成物の製造方法によって得られる骨セメント組成物を養生することによって得られるものであることから、酸化チタン粒子と共に、酸化チタン粒子以外の無機化合物粒子を含有する場合においても、生体活性能と共に物理的強度が得られる。
凝集体の製造例1に係る凝集体(a)のSEM写真である。 凝集体の製造例8に係る凝集体(h)のSEM写真である。 実施例1に係る硬化体(1)の疑似体液に浸漬した後の表面を示すSEM写真である。 実施例2に係る硬化体(2)の疑似体液に浸漬後の表面を示すSEM写真である。 実施例3に係る硬化体(3)の疑似体液に浸漬後の表面を示すSEM写真である。 実施例4に係る硬化体(4)の疑似体液に浸漬後の表面を示すSEM写真である。 比較例1に係る硬化体(5)の疑似体液に浸漬後の表面を示すSEM写真である。 比較例1に係る硬化体(6)の疑似体液に浸漬後の表面を示すSEM写真である。 実施例9に係る硬化体(11)の断面を示すSEM写真である。 比較例3に係る硬化体(12)の断面を示すSEM写真である。
本発明の骨セメント組成物は、ポリメタクリレート系ポリマーを含む基材形成成分と共に、フィラーとして、少なくとも酸化チタン粒子を含む二種以上の無機化合物粒子が集合することによって形成された凝集体(以下、「特定の凝集体」ともいう。)を含有することを特徴とするものである。
本発明の骨セメント組成物は、骨欠損部に充填、あるいは人工関節を周りの骨と結合させるのに有効な粘度のペースト状の組成物であり、時間の経過と共に硬化するものである。
本発明の骨セメント組成物を構成する特定の凝集体は、酸化チタン粒子と、一種または二種以上の酸化チタン以外の無機化合物(以下、「凝集体用無機化合物」ともいう。)よりなる粒子(以下、「凝集体用無機化合物粒子」ともいう。)とが集合してなる粒子であり、これらの酸化チタン粒子および凝集体用無機化合物粒子が、例えば複合酸化物のような複合化合物を成すことなく、互いに異なる組成を有する粒子として存在しているものである。
ここに、特定の凝集体においては、特定の凝集体を粉末X線回折などにより測定したプロファイルには、酸化チタン粒子に由来するピークと、凝集体用無機化合物粒子に由来するピークとが、明確に分かれて現れる。仮に複合化反応が進んだ場合には、酸化チタン粒子および凝集体用無機化合物粒子に由来の個別のピークは消失し、酸化チタンと凝集体用無機化合物との複合化によって生成される別組成の粒子に由来するピークが現れるため、本発明に係る特定の凝集体であるか否かは、粉末X線回折等の測定により判断することができる。
特定の凝集体は、レーザー回折/散乱式粒度分布計によって測定されるメジアン径が0.5〜7. 0μmであることが好ましく、より好ましくは1.5〜7.0μm、更に好ましくは2.0〜5.0μm、特に好ましくは2.0〜4.0μmである。
ここに、レーザー回折/散乱式粒度分布計としては、例えば粒度分布測定装置「LA−950」(株式会社堀場製作所製)を用いることができる。
特定の凝集体のメジアン径が過小である場合には、得られる骨セメント組成物硬化体の物理的強度(例えば、曲げ強度)が小さくなりやすい。一方、特定の凝集体のメジアン径が過大である場合には、得られる骨セメント組成物硬化体の物理的強度(例えば、曲げ強度)が過剰に大きくなり、硬化体と当該硬化体の適用部位に係る骨との物理的強度の差が大きくなることに起因して骨折が生じやすくなるなどの弊害が生じやすくなる。
また、特定の凝集体は、窒素吸着法によって測定されるBET比表面積が0.5m2 /g以上で40.0m2 /g以下であることが好ましく、更に好ましくは1.0〜35.0m2 /g、特に好ましくは1.0〜30.0m2 /gである。
ここに、窒素吸着法によるBET比表面積の測定には、例えばBET比表面積測定装置「MONOSORB」(ユアサアイオニクス株式会社製)を用いることができる。
特定の凝集体のBET比表面積が過小である場合には、メジアン径が大きくなり、その結果、得られる骨セメント組成物硬化体の物理的強度(例えば、曲げ強度)が過剰に大きくなるため、この硬化体と、当該硬化体の適用部位に係る骨との物理的強度の差が大きくなることに起因して骨折が生じやすくなるなどの弊害が生じるおそれがある。一方、特定の凝集体のBET比表面積が過大である場合には、メジアン径が過剰に小さくなる、あるいは多孔質状態となることに起因して得られる骨セメント組成物硬化体に実用上必要とされる物理的強度(例えば、曲げ強度)が得られなくなるおそれがある。
また、特に特定の凝集体のBET比表面積が1.0〜30.0m2 /gであることにより、当該特定の凝集体が所望のメジアン径(骨セメント組成物に適したメジアン径)を有する緻密体粒子となるため、得られる骨セメント組成物硬化体を実用上必要な物理的強度(例えば、曲げ強度)を有するものとすることができる。
特定の凝集体を構成する酸化チタン粒子は、特に限定されるものではなく、その結晶系がルチル型であっても、アナターゼ型であっても、あるいはアナターゼ型とルチル型との混相であってもよいが、得られる骨セメント組成物硬化体の物理的強度の観点から、ルチル型であることが好ましい。
また、特定の凝集体を構成する酸化チタン粒子としては、その粒子形状が、通常の工業製法で得られる粒状若しくは不定形の他、板状、薄片状、針状、棒状、繊維状および柱状など公知な種々の形状のものを使用することもできるが、得られる骨セメント組成物硬化体の物理的強度の観点から、粒状形状のうちの球状であることが好ましい。
また、粒子形状が球状であるの酸化チタン粒子は、例えばルチル型酸化チタンの粉体あるいはアナターゼ型酸化チタンの粉体を噴霧乾燥処理したものや、オルトチタン酸、メタチタン酸などのチタン酸のスラリーを噴霧乾燥処理し、焼成処理をすることより得られるものであることが好ましい。
また、特定の凝集体を構成する酸化チタン粒子は、その粒子径が特に限定されるものではないが、得られる骨セメント組成物硬化体の物理的強度の観点から、メジアン径が0.1〜0.5μmの範囲であることが好ましい。
ここに、酸化チタン粒子のメジアン径は、レーザー回折/散乱式粒度分布計を用いて測定されるものであり、レーザー回折/散乱式粒度分布計としては、例えば粒度分布測定装置「LA−950」(株式会社堀場製作所製)を用いることができる。
特定の凝集体を構成する酸化チタン粒子の含有割合は、当該特定の凝集体と、ポリメタクリレート系ポリマーを含む基材形成成分との合計100質量%に対して、生体活性能の観点から、2.0質量%以上であることが好ましく、また、得られる骨セメント組成物硬化体の物理的強度の観点からは、20.0質量%以下であることが更に好ましい。
特定の凝集体を構成する酸化チタン粒子以外の無機化合物粒子(凝集体用無機化合物粒子)としては、リン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム)、硫酸バリウム、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)などの無機化合物よりなる粒子から選ばれる少なくとも一種であり、これらの無機化合物よりなる粒子を単独または二種以上を適宜に選択して組み合わせてなるものを用いることができる。これらのうちでは、酸化ジルコニウムおよび硫酸バリウムなどのX線造影効果を有する無機化合物よりなるものが好ましく、特に、硫酸バリウム粒子を用いた場合には、後述の実施例から明らかなように、酸化チタンに由来の生体活性能を更に向上させることができる点で好ましい。
また、特定の凝集体を構成する凝集体用無機化合物粒子は、その粒子径が特に限定されるものではないが、得られる骨セメント組成物硬化体の物理的強度の観点から、メジアン径が0.1〜0.5μmの範囲であることが好ましい。
ここに、凝集体用無機化合物粒子のメジアン径は、レーザー回折/散乱式粒度分布計を用いて測定されるものであり、レーザー回折/散乱式粒度分布計としては、例えば粒度分布測定装置「LA−950」(株式会社堀場製作所製)を用いることができる。
特定の凝集体においては、当該特定凝集体を構成する酸化チタン粒子および凝集体用無機化合物粒子の含有割合は、質量比(酸化チタン粒子:凝集体用無機化合物粒子)で1:9〜9:1であることが好ましい。
このような構成を有する特定の凝集体は、例えば酸化チタン粒子および/またはチタン化合物と、凝集体用無機化合物粒子および/または凝集体用無機化合物粒子の出発物質となる化合物を混合した後、造粒することによって製造することができるが、下記の手法によって製造することが好ましい。
特定の凝集体を製造するための手法の好ましい具体例としては、例えば酸化チタン粒子の原料であるチタン酸のスラリーおよび凝集体用無機化合物粒子の原料である凝集体用無機化合物のスラリーとを個別に調製し、それぞれ必要に応じて粉砕処理するスラリーの調製工程、スラリーの調製工程において得られたチタン酸スラリーと凝集体用無機化合物のスラリーの混合スラリーを噴霧乾燥処理することによって酸化チタン粒子と凝集体用無機化合物粒子との混在した造粒体を得る造粒工程、造粒工程において得られた造粒体を、酸化チタン粒子と凝集体用無機化合物粒子とが複合化合物を成すことのない温度によって焼成処理する焼成工程をこの順に経ることによって特定の凝集体を得る手法が挙げられる。
このような手法によれば、得られる特定の凝集体の粒子形状を球状のものとすることができる。
以下、スラリーの調製工程、造粒工程および焼成工程について、詳細に説明する。
(スラリーの調製工程)
このスラリーの調製工程においては、酸化チタン粒子の原料としてのチタン酸のスラリーと、凝集体用無機化合物粒子の原料としての凝集体用無機化合物のスラリーを得る。
チタン酸のスラリーは、チタン酸として、例えばオルトチタン酸およびメタチタン酸などを用い、このチタン酸を水などの溶媒に懸濁させることによって調製することができる。
一方、凝集体用無機化合物のスラリーは、凝集体用無機化合物を水などの溶媒に懸濁させることによって調製することができる。
また、このスラリーの調製工程においては、必要に応じて、得られたチタン酸のスラリーおよび凝集体用無機化合物のスラリーの各々を、個別に粉砕処理することができる。
チタン酸のスラリーおよび凝集体用無機化合物のスラリーを粉砕処理することによっては、後工程の造粒工程および焼成工程を経ることによって得られる凝集体のメジアン径を適宜調整することができる。
粉砕処理は、例えばコロイドミル、ボールミル、ダイノミル、サンドグラインダー、加圧乳化機タイプの装置および高速撹拌装置などの種々の装置を用いて行うことができる。
また、特定の凝集体を構成する酸化チタン粒子としてルチル型酸化チタン酸粒子を形成する場合においては、チタン酸のスラリーには、ルチル転位促進シードが混合されていることが好ましい。
このようにルチル転位促進シードが混合されている場合においては、後工程の焼成工程の焼成処理中において、得られる凝集体に係る酸化チタン粒子がルチル型の結晶構造を有するものとなりやすくなる。
ここに、「ルチル転位促進シード」とは、ルチル結晶構造を有する微小核晶であり、チタン酸のルチル転位を促進するものである。ルチル転位促進シードとしては、具体的に、例えば従来公知の硫酸法によってルチル型酸化チタン白色顔料を製造する方法において、原料である硫酸チタニルを加水分解する際に添加するシードなどを用いることができる。
(造粒工程)
この造粒工程においては、噴霧乾燥装置を用い、スラリーの調製工程において得られた、必要に応じて粉砕処理されたチタン酸のスラリーおよび凝集体用無機化合物のスラリーを混合し、このようにして得られた混合スラリーを噴霧乾燥用のスラリーとして用い、当該噴霧乾燥装置のノズルから微細な霧状液滴として噴射して熱風中に噴出させて乾燥することにより、その粒子形状が球状の造粒体(乾燥造粒体)を得る。
噴霧乾燥装置としては、通常のスプレードライヤーなどの通常の噴霧乾燥機を用いることができ、また、その噴霧方式は、噴霧乾燥用スラリーの性状や噴霧乾燥機の処理能力などに応じて、例えばディスク式、圧力ノズル式、二流体ノズル式、四流体ノズル式などを適宜選択することができる。
また、噴霧乾燥温度(霧状液滴の乾燥条件)は、給気温度が150〜250℃であって、排気温度が60〜120℃であることが好ましい。
この造粒工程においては、得られる造粒体のメジアン径およびBET比表面積、造粒体中の酸化チタン粒子と凝集体用無機化合物粒子の割合は、噴霧乾燥用のスラリーにおける酸化チタンおよび凝集体用無機化合物の濃度調整や、噴霧される液滴の大きさを制御することにより制御することができる。
(焼成工程)
この焼成工程においては、造粒工程において得られた造粒体を、当該造粒工程に係る噴霧乾燥温度よりも高い温度条件(具体的には250℃以上)によって焼成処理することにより、酸化チタン粒子と凝集体用無機化合物粒子とを含有する凝集体を得る。
この焼成処理によれば、得られる凝集体のメジアン径やBET比表面積などを調整することができる。
焼成処理に係る焼成条件は、焼成温度が、500〜1000℃であることが好ましく、更に好ましくは700〜1000℃であり、特に好ましくは800〜1000℃である。
焼成温度が上記の範囲内にあることにより、造粒体を構成する酸化チタンと凝集体用無機化合物との複合化合物の生成を抑制することができ、また、酸化チタン粒子としてルチル型酸化チタン粒子を含む凝集体を有利に得ることができる。
また、焼成時間は、適宜に設定することができるが、例えば、前記のルチル型酸化チタン粒子を含む凝集体を得る場合においては、30分〜10時間とすることが好ましい。
また、焼成雰囲気は、特に限定されるものではないが、経済的観点から、大気などの酸素が存在する雰囲気であることが好ましい。
更に、焼成処理は、焼成負荷を均一に付与する目的から、500〜800℃の焼成温度によって第1の焼成処理を行った後、更に800〜1000℃の焼成温度によって第2の焼成処理を行うものであってもよい。
このようにして、スラリーの調製工程、造粒工程および焼成工程を経ることによって形成された凝集体は、その粒子表面に対してより一層高い親水性を付与するために、酸洗浄処理されることが好ましい。凝集体の表面に対してより一層高い親水性を付与することができれば、より一層高い生体活性能を得ることができる。
酸洗浄処理は、例えば凝集体のスラリーを調製し、このスラリーと酸とを混合し、室温あるいは加熱下において撹拌することによって行うことができる。
そして、この酸洗浄処理の後、固液分離処理、洗浄処理および乾燥処理、必要に応じて解砕処理を経ることによって親水性の付与された凝集体が得られる。
また、特定の凝集体の製造過程においては、このような酸洗浄処理の他、必要に応じて、焼成工程において得られた凝集体に含まれる粗大な粒子を解砕する目的から、例えば遠心粉砕機などを用いて乾式粉砕処理、または例えばボールミル、ダイノミル、サンドグラインダーなどを用いて湿式粉砕処理を行うこと、所望のメジアン径を有するものを選別する目的から、例えば静置法などによって湿式分級処理を行うこと、あるいは、メジアン径および/またはBET比表面積の異なる凝集体を混合することなどの他の工程を経ることもできる。
特定の凝集体の含有割合は、特定の凝集体とポリメタクリレート系ポリマーを含む基材形成成分との合計100質量%に対して5〜40質量%であることが好ましい。
骨セメント組成物の基材形成成分を構成するポリメタクリレート系ポリマーは、重合性単量体としてのメタクリレート系モノマーが重合されてなるものであり、その具体例としては、例えば、(A)メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、ブチルメタクリレートなどのアルキルメタクリレートモノマーの重合体である、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート(PEMA)、ポリブチルメタクリレート(PBMA)などのポリアルキルメタクリレート、(B)メチルメタクリレートと共に、スチレン、エチルメタクリレートおよびメチルアクリレートからなる群から選択される少なくとも一種が共重合されてなる共重合体、(C)ビスフェノール−Aジグリシジルジメタクリレート(Bis−GMA)、2,2−ビス[4−(3−メタクリロキシ−2−ハイドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン(Bis−MEPP)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)などのジメタクリレート系モノマーの重合体などが挙げられる。
ポリメタクリレート系ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは100,000以上、更に好ましくは100,000〜400,000、特に好ましくは130,000〜180,000である。
ポリメタクリレート系ポリマーの含有割合は、骨セメント組成物全体に対して32.4〜67.5質量%であることが好ましい。
骨セメント組成物の基材形成成分としては、ポリメタクリレート系ポリマーの他、メタクリレート系モノマーが含有される。
本発明の骨セメント組成物には、必須成分である、特定の凝集体およびポリメタクリレート系ポリマーを含む基材形成成分の他、必要に応じて、各種の無機添加材、有機添加材などの任意成分が含有されていてもよい。
ここに、任意成分を構成する無機添加材としては、例えばリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム)、硫酸バリウム、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)などの無機化合物を、適宜選択して用いることができる。これらの無機化合物は、特定の凝集体を構成する凝集体用無機化合物粒子に係る無機化合物(凝集体用無機化合物)と同種であっても異種であってもよい。
また、これらの無機添加材の含有割合は、適宜に設定することができるが、骨セメント組成物全体に対して10〜40質量%であることが好ましい。無機添加材の含有割合が過大である場合には、骨セメント組成物硬化体の物理的強度が小さくなるおそれがある。
更に、本発明の骨セメント組成物には、任意成分として、例えば色素、抗生物質、抗がん剤、骨成長因子、その他薬学的に許容しうる成分が含有されていてもよい。
このような構成の本発明の骨セメント組成物は、特定の凝集体、および重合性単量体としてのメタクリレート系モノマーを含む基材形成成分を形成するための成分(以下、「基材形成用成分」ともいう。)その他、必要に応じた成分(例えば、骨セメント組成物に係る任意成分(以下、「組成物構成任意成分」ともいう。))などの材料成分を混合し、特定の凝集体を含むフィラーの存在下にて、基材形成用成分を構成するメタクリレート系モノマーと、重合開始剤とを混合して混練し、当該メタクリレート系モノマーを重合させることによって得ることができる。
このように、メタクリレート系モノマーと重合開始剤を接触させることによってメタクリレート系モノマーの重合反応が進み、徐々に粘度が高くなり、骨欠損部に充填、あるいは人工関節を周りの骨と結合させるのに有効な粘度のペースト状の組成物、すなわち本発明の骨セメント組成物が得られる。
ここに、メタクリレート系モノマーと重合開始剤とを接触させることによる重合反応は、生体外で行ってもよく、若しくは生体内の人工骨を必要とする部位に上記の各材料成分を導入して、その場で重合してもよい。生体外で行う場合においては、予め本発明の骨セメント組成物を製造した後、硬化する前に所望の形状を有する離型性のよい容器に挿入して、固化させることで成形することもできる。
基材形成用成分を構成するメタクリレート系モノマーの具体例としては、例えばアルキルメタクリレートモノマー、ジメタクリレート系モノマーなどの基材形成成分を構成するメタクリレート系ポリマーを得るための重合性単量体として例示したものが挙げられる。
また、基材形成用成分においては、重合反応を促進させることを目的として、メタクリレート系モノマーと共に、メタクリレート系ポリマーが含有されていることが好ましい。
メタクリレート系ポリマーとしては、基材形成成分を構成するメタクリレート系ポリマーとして例示したものが挙げられる。
重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化tert−ブチル、過酸化ラウロイル、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
これらのうちでは、過酸化ベンゾイルが好ましく、この過酸化ベンゾイルを重合開始剤として用いることにより、重合反応が速やかに開始し、しかも反応が持続しやすくなるという利点が得られる。
また、メタクリレート系モノマーと重合開始剤の重合反応系には、特定の凝集体、およびメタクリレート系モノマーを含む基材形成用成分、必要に応じて添加される組成物構成任意成分の他、当該メタクリレート系モノマーの重合反応をより一層速やかに進行させる目的から、重合開始剤と共に重合促進剤が含有されていることが好ましい。
重合促進剤としては、例えばN,N−ジメチル−p−トルイジン、トリ−ジメチルアミノメチルフェノールなどを用いることができる。
これらのうちでは、メタクリレート系モノマーの重合反応を速やかに進行させることができることから、N,N−ジメチル−p−トルイジンを用いることが好ましい。
而して、本発明の骨セメント組成物は、製造に係る簡便性などの観点から、骨セメント組成物を得るための各材料成分を予め個別の収容部材に収容してキットとして保管しておき、必要に応じてキット成分を混合することによって調製することもできる。
ここに、収容部材としては、キット成分を保管および運搬することのできるようなものであればよく、例えばガラス、金属およびプラスチックよりなる容器、例えば紙やプラスチックよりなる包装部材などを適宜に選択して用いることができる。
本発明の骨セメント組成物キットは、本発明の骨セメント組成物、最終的には当該骨セメント組成物の硬化体である本発明の骨セメント組成物硬化体を簡便に得るための骨セメント組成物キットである。
この本発明の骨セメント組成物キットは、特定の凝集体、メタクリレート系モノマーおよび重合開始剤のうちのメタクリレート系モノマーと重合開始剤とが別個のキット成分とされている、すなわち、少なくともメタクリレート系モノマーを含有する第一成分と、少なくとも重合開始剤を含有する第二成分との2つのキット成分よりなり、特定の凝集体が、第一成分および/または第2成分に含有されてなるものである。
本発明の骨セメント組成物キットにおいては、第一成分に含有される重合開始剤が、通常、固体状のものであって、第二成分に含有されるメタクリレート系モノマーが、通常、液状のものであると共に、特定の凝集体が固体状のものであって、重合開始剤との反応性を有さないものであることから、特定の凝集体は第一成分に含有されることが好ましい。
また、本発明の骨セメント組成物キットにおいて、特定の凝集体、メタクリレート系モノマーおよび重合開始剤と共に、その他の成分、具体的には、例えば組成物構成任意成分、メタクリレート系モノマーと共に基材形成用成分を構成するメタクリレート系ポリマー、重合促進剤などが含有されてなるものである場合には、その他の成分を、第一成分および第二成分とは異なる個別のキット成分とすることもできるが、持ち運びに係る便宜性および重合反応操作の簡便性の観点から、これらの2つのキット成分のいずれかに含有させることが好ましく、いずれのキット成分に含有させるかは、第一成分および第二成分に含有されている材料成分との反応性の有無およびその性状に基づいて適宜に選択される。
ここに、骨セメント組成物キットが、組成物構成任意成分、メタクリレート系モノマーと共に基材形成用成分を構成するメタクリレート系ポリマーおよび重合促進剤を含有するものである場合には、第一成分に、組成物構成任意成分のうちの固体状のもの、あるいはメタクリレート系モノマーとの反応性を有するもの、および通常は固体状であるメタクリレート系ポリマーが含有され、また、第二成分に、通常は液体状である重合促進剤、および、組成物構成任意成分のうちの液体状のものであってメタクリレート系モノマーとの反応性を有さないものが含有されることが好ましい。
本発明の骨セメント組成物の製造方法は、前述の本発明の骨セメント組成物キットを用いることによって骨セメント組成物を得るものである。
すなわち、本発明の骨セメント組成物キットを構成する第一成分と第二成分とを混合し、特定の凝集体の存在下において、メタクリレート系モノマーを重合させる工程を有するものである。この工程においては、第一成分と第二成分を混合し、例えば常圧下において30秒間にわたって混練した後、更に脱気雰囲気下において1分間にわたって混練する混練条件にて混練することによってメタクリレート系モノマーと重合開始剤が接触され、メタクリレート系モノマーの重合反応が進行することにより、本発明の骨セメント組成物が得られる。
このような本発明の骨セメント組成物は、生体内でアパタイトを形成し、アパタイトを介して骨と結合することができ、一定時間養生させることにより、ポリメタクリレート系ポリマーよりなる基材と特定の凝集体を含有する骨セメント組成物硬化体を成すことができるものである。
なお、アパタイト形成能は、通常、擬似体液に浸漬させることにより評価することができる。擬似体液とは、ヒトの血漿とほぼ等しい無機イオン濃度を有する水溶液であり、下記の表1に示す組成を有するものである。この擬似体液としては、「T.Kokubo、H.Kushitani、S.Sakka、T.Kitsugi and T.Yamamuro J.Biomed.Mater.Rer.24、721−734(1990)」に記載の擬似体液(SBF;Simulated Body Fluid)などが挙げられる。
本発明の骨セメント組成物においては、フィラーとして、酸化チタン粒子と、凝集用無機化合物粒子(酸化チタン粒子以外の無機化合物粒子)とが集合した特定の凝集体が含有されていることから、これらの酸化チタン粒子および凝集用無機化合物粒子の各々に由来する機能が得られ、しかも酸化チタン粒子と共に凝集用無機化合物粒子が含有されることによってこれらの無機化合物粒子の合計の含有割合が大きくなったものであるにも拘わらず、得られる硬化体に十分な物理的強度を得ることができる。
このように、本発明の骨セメント組成物によれば、酸化チタン粒子と共に、凝集用無機化合物粒子を含有するものであっても、生体活性能と共に物理的強度を有する硬化体を形成することができるため、フィラーとして、特定の凝集体と同等のメジアン径を有する酸化チタン粒子を用いた骨セメント組成物や、酸化チタン粒子と酸化チタン粒子以外の無機化合物粒子の混合物を用いた骨セメント組成物に比べて、優れた生体活性能が得られる。
本発明の骨セメント組成物キットによれば、少なくとも第一成分と第二成分とを含有するキット成分を単に混合することにより、特定の凝集体の存在下において、メタクリレート系モノマーを重合させることができるため、骨セメント組成物を容易に製造することができ、しかもメタクリレート系モノマーと、重合開始剤とが個別のキット成分とされていることから、適用前の保管されている状態あるいは運搬されている状態などにおいて、メタクリレート系モノマーが重合することを防止することができる。
また、本発明の骨セメント組成物キットが第一成分および第二成分の2つのキット成分のみよりなる場合には、キット成分の総数が少ないものであることから、骨セメント組成物キットの持ち運びに係る便宜性および重合反応操作がより一層優れたものとなる。
本発明の骨セメント組成物の製造方法によれば、本発明の骨セメント組成物キットを用いることから、前述のように、キット成分を混合することによって容易に本発明の骨セメント組成物を形成することができる。
本発明の骨セメント組成物硬化体は、本発明の骨セメント組成物または本発明の骨セメント組成物の製造方法によって得られた骨セメント組成物を養生することによって得られるものであることから、酸化チタン粒子と共に、酸化チタン粒子以外の無機化合物粒子(凝集体用無機化合物粒子)を含有するものであるにも拘わらず、生体活性能と共に物理的強度が得られる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、噴霧乾燥処理によって得られた造粒体(粉体)の回収方法としては、噴霧乾燥処理によって得られた全ての造粒体を分別することなく、その全量を回収する「全量回収方式」、あるいは噴霧乾燥処理によって得られた造粒体を分級して回収する「サイクロン方式」の2通りの方式のうちのいずれかを採用した。また、サイクロン方式においては、サイクロンによる分級により、粒度分布の大きいもの(メジアン径の大きいもの)をガラス容器内に、粒度分布の小さいもの(メジアン径の小さいもの)をバグフィルター内に回収し、それぞれ、ガラス容器内に回収されたものを「サイクロン品」と称し、バグフィルター内に回収されたものを「バグ品」と称する。
また、以下の実施例および比較例において行ったメジアン径の測定方法およびBET比表面積の測定方法は、以下の通りである。
(メジアン径の測定方法)
メジアン径は、レーザー回折/散乱式粒度分布計によって測定されるものであり、レーザー回折/散乱式粒度分布計として、粒度分布測定装置「LA−950」(株式会社堀場製作所製)を用いて行った。
すなわち、メジアン径を測定すべき粉体粒子を、濃度0.2質量%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液よりなる分散媒50mL中に添加して撹拌・混合することによって懸濁液を調製し、この懸濁液を、粒度分布測定装置「LA−950」(株式会社堀場製作所製)に対して試料投入口から投入し、3分間かけて超音波処理した後に測定を開始した。
(BET比表面積の測定方法)
BET比表面積は、窒素吸着法によって測定されるものであり、BET比表面積測定装置「MONOSORB」(ユアサアイオニクス株式会社製)を用いて行った。
このBET比表面積測定装置「MONOSORB」(ユアサアイオニクス株式会社製)は、BET一点法によって測定を行うものである。
〔凝集体の製造例1(凝集体(a)の調製)〕
(スラリーの調製工程)
四塩化チタン水溶液をアンモニア水によって中和した後、ろ過して水洗によってオルトチタン酸を得た。その後、得られたオルトチタン酸と純水とをミキサーに仕込み、十分撹拌混合することによってチタン酸スラリーを得た。
一方、硫酸バリウム(ナカライテクス社製)と純水とをミキサーに仕込み、十分撹拌混合することによって硫酸バリウムスラリー(凝集用無機化合物スラリー)を得た。
得られたチタン酸スラリーを、ダイノミル「DYNO−MILL」(株式会社シンマルエンタープライゼス製)を用いて流量160mL/分の条件で送液し、湿式粉砕処理を行うことにより、メジアン径が0.2μmのチタン酸が溶媒中に分散した状態の粉砕チタン酸スラリー(以下、「粉砕処理済チタン酸スラリー」ともいう。)を得た。
また、得られた硫酸バリウムスラリーについても、チタン酸スラリーと同様にして、湿式粉砕処理を行うことにより、メジアン径が0.2μmの硫酸バリウムが溶媒中に分散した状態の粉砕硫酸バリウムスラリー(以下、「粉砕処理済硫酸バリウムスラリー」ともいう。)を得た。
粉砕処理済チタン酸スラリーを、当該スラリー中に存在する酸化チタンの濃度が7質量%となるように調製した後、酸化チタン濃度が7質量%のルチル転位促進シードスラリーを添加し、粉砕処理済チタン酸スラリーと、ルチル転位促進シードスラリーに係る酸化チタンとの質量比(粉砕処理済チタン酸スラリーの質量/ルチル転位促進シード中の酸化チタン質量)が95/5となる割合で混合することにより、噴霧乾燥処理用の酸化チタン粒子含有スラリー(以下、「スラリーA」ともいう。)を得た。
一方、粉砕処理済硫酸バリウムスラリーの硫酸バリウム濃度を7質量%に調製することにより、噴霧乾燥処理用の硫酸バリウム粒子含有スラリー(以下、「スラリーB」ともいう。)を得た。
ここに、得られたスラリーAおよびスラリーBの濃度は、後述の焼成工程にて得られる凝集体における酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子との質量比が1:1となるように定めた。
(造粒工程)
噴霧乾燥機「MDL−050C」(藤崎電機株式会社製)を用い、この噴霧乾燥機に対して得られたスラリーAおよびスラリーBを送液し、送液量30mL/分、給気温度200℃、排気温度65〜85℃、空気量40mL/分の条件によって噴霧乾燥処理を行い、サイクロン回収(サイクロン方式)によりサイクロン品の造粒体を得た。
(焼成工程)
得られたサイクロン品の造粒体をルツボに入れ、電気炉「SK−3035F」(株式会社モトヤマ製)を用いて、焼成温度850℃、焼成時間6時間の焼成条件によって焼成処理を行った。
焼成処理によって得られた粒子を純水と混合することによって濃度が1000g/Lであるスラリーを調製し、このスラリーを容積0.87Lのポットミルに投入し、ポットミル回転台「ANZ−51S」(日陶科学株式会社製)を用いて3時間かけて粉砕処理を行った。
粉砕処理したスラリーに、塩酸を添加することによって1mol/L塩酸溶液を得、この塩酸溶液を、室温下、3時間撹拌することによって酸洗浄処理を行った。その後、ろ過洗浄し、ろ液の比抵抗が2kΩ・m以上であることを確認した後、洗浄ケーキを100℃にて乾燥処理した。
乾燥処理することによって得られた乾燥粉体を、遠心粉砕機を用い、回転数14000rpmの条件によって乾式粉砕処理を行うことにより、酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子とよりなる凝集体(以下、「凝集体(a)」ともいう。)を得た。
得られた凝集体(a)は、粉末X線回折の結果から、ルチル型酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子が凝集したものであることが確認された。また、走査型電子顕微鏡による観察の結果から、その形状が球状であることが確認された。メジアン径は、3.4μmであり、BET比表面積は、6.1m2 /gであった。走査型電子顕微鏡により得られた写真(SEM写真)を図1に示す。
〔凝集体の製造例2(凝集体(b)の調製)〕
凝集体の製造例1において、スラリーの調製工程にて、噴霧乾燥処理用の酸化チタン粒子含有スラリーにおける酸化チタン濃度を3質量%、噴霧乾燥処理用の硫酸バリウム粒子含有スラリーにおける硫酸バリウム濃度を3質量%とし、また、造粒工程にて、噴霧乾燥処理における空気量の条件を80mL/分としたこと以外は当該凝集体の製造例1と同様の手法により、酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子とよりなる凝集体(以下、「凝集体(b)」ともいう。)を得た。
得られた凝集体(b)は、凝集体の製造例1と同様の手法により、ルチル型酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子とが凝集したものであることが確認され、その形状が球状であることが確認された。また、メジアン径は2.5μmであり、BET比表面積は6.4m2 /gであった。
〔凝集体の製造例3(凝集体(c)の調製)〕
凝集体の製造例2において、スラリーの調製工程にて、噴霧乾燥処理用の酸化チタン粒子含有スラリーにおける酸化チタン濃度を5質量%、噴霧乾燥処理用の硫酸バリウム粒子含有スラリーにおける硫酸バリウム濃度を5質量%とし、また、造粒工程にて、噴霧乾燥処理における回収方式として全量回収(全量回収方式)を採用したこと以外は当該凝集体の製造例2と同様の手法により、酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子とよりなる凝集体(以下、「凝集体(c)」ともいう。)を得た。
得られた凝集体(c)は、凝集体の製造例1と同様の手法により、ルチル型酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子とが凝集したものであることが確認され、その形状が球状であることが確認された。また、メジアン径は2.2μmであり、BET比表面積が5.6m2 /gであった。
〔凝集体の製造例4(凝集体(d)の調製)〕
凝集体の製造例3において、スラリーの調製工程にて、硫酸バリウムとしてナカライテクス社製のものに代えて伏見製薬所社製のものを用いることによって粉砕硫酸バリウムスラリーとしてメジアン径が0.1μmの硫酸バリウムが分散されてなるものを得たこと以外は当該凝集体の製造例3と同様の方法により、酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子とよりなる凝集体(以下、「凝集体(d)」ともいう。)を得た。
得られた凝集体(d)は、凝集体の製造例1と同様の手法により、ルチル型酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子が凝集したものであることが確認され、その形状が球状であることが確認された。また、メジアン径は1.5μmであり、BET比表面積は7.0m2 /gであった。
〔凝集体の製造例5(凝集体(e)の調製)〕
凝集体の製造例1に係る造粒工程において得られるバグ品と、凝集体の製造例2に係る造粒工程において得られるバグ品とを混合することによって凝集体(以下、「凝集体(e)」ともいう。)を得た。
得られた凝集体(e)は、凝集体の製造例1と同様の手法により、ルチル型酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子が凝集したものであることが確認され、その形状が球状であることが確認された。また、メジアン径は1.0μmであり、BET比表面積は6.6m2 /gであった。
〔凝集体の製造例6(凝集体(f)の調製)〕
凝集体の製造例3において、造粒工程にて、噴霧乾燥処理における回収方式としてサイクロン回収(サイクロン方式)を採用して造粒体としてサイクロン品を得たこと以外は当該凝集体の製造例3と同様の方法により、酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子とよりなる凝集体(以下、「凝集体(f)」ともいう。)を得た。
得られた凝集体(f)は、凝集体の製造例1と同様の手法により、ルチル型酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子の凝集体であることが確認され、その形状が球状であることが確認された。メジアン径は1.8μmであり、BET比表面積は7.7m2 /gであった。
〔凝集体の製造例7(凝集体(g)の調製)〕
凝集体の製造例1において、スラリーの調製工程にて、噴霧乾燥処理用の酸化チタン粒子含有スラリーにおける酸化チタン濃度を4質量%、噴霧乾燥処理用の硫酸バリウム粒子含有スラリーにおける硫酸バリウム濃度を6質量%とし、また、造粒工程にて、噴霧乾燥処理における空気量の条件を80mL/分としたこと以外は当該凝集体の製造例1と同様の手法により、酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子とよりなる凝集体(以下、「凝集体(g)」ともいう。)を得た。
ここに、スラリー調製工程にて得られた酸化チタン粒子含有スラリーおよび硫酸バリウム粒子含有スラリーの濃度は、焼成工程にて得られる凝集体における酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子との質量比が2:3となるように定めた。
得られた凝集体(g)は、凝集体の製造例1と同様の手法により、ルチル型酸化チタン粒子と硫酸バリウム粒子が凝集したものであることが確認され、その形状が球状であることが確認された。メジアン径は2.0μmであり、BET比表面積が6.6m2 /gであった。
〔凝集体の製造例8(凝集体(h)の調製)〕
凝集体の製造例3において、スラリーの調製工程にて、硫酸バリウムに代えて酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業株式会社製)を用いたこと以外は当該凝集体の製造例3と同様の手法により、酸化チタン粒子と酸化ジルコニウム粒子とよりなる凝集体(以下、「凝集体(h)」ともいう。)を得た。
得られた凝集体(h)は、凝集体の製造例1と同様の手法により、ルチル型酸化チタン粒子と酸化ジルコニウム粒子の凝集したものであることが確認され、その形状が球状であることが確認された。メジアン径は2.6μmであり、BET比表面積が20.8m2 /gであった。走査型電子顕微鏡により得られた写真(SEM写真)を図2に示す。
〔凝集体の比較用製造例1(凝集体(i)の調製)〕
凝集体の製造例1において、スラリーの調製工程にて、スラリーAのみを調整し、このスラリーAのみを噴霧乾燥処理用のスラリーとして用いて造粒体を得たこと以外は当該凝集体の製造例1と同様の手法により、酸化チタン粒子のみよりなる凝集体(以下、「凝集体(i)」ともいう。)を得た。
得られた凝集体(i)は、凝集体の製造例1と同様の手法により、ルチル型酸化チタン粒子が凝集したものであることが確認され、その形状が球状であることが確認された。また、メジアン径は3.5μmであり、BET比表面積は2.3m2 /gであった。
〔実施例1〕
先ず、ポリメチルメタクリレート/スチレン共重合体粉末(平均粒子径:35μm、平均分子量:170,000、粒子形状:球状;積水化成品工業株式会社製)76.45g、微粒子ポリメチルメタクリレート(平均粒子径:0.5μm、平均分子量:300,000、粒子形状:球状;積水化成品工業株式会社製)12.97gおよび過酸化ベンゾイル(川口薬品株式会社製)2.0gを、ヘンシェルミキサーを用い、回転数1,000rpmの条件で3分間にわたって混合することによって粉末成分を得た。
そして、得られた粉末成分17.87gと、凝集体の製造例5に係る凝集体(e)1.3gとをターブラーシェーカミキサー(株式会社シンマルエンタープライゼス製)を用いて10分間にわたって混合することによって混合粉末成分を得た。
一方、メチルメタクリレート(三菱ガス化学株式会社製)150.4gに、N,N−ジメチル−p−トルイジン(三星化学研究所製)1.625gを添加し、スターラーを用いて5分間にわたって混合することによって混合液体成分を得た。
そして、このようにして得られた混合粉体成分および混合液体成分により、当該混合粉体成分18.52gよりなる第一成分と、当該混合液体成分7.05gよりなる第二成分とにより構成されてなる骨セメント組成物キット(以下、「骨セメント組成物キット(1)」ともいう。)を作製した。
次いで、ポリテトラフルオロエチレン製の混練容器に、骨セメント組成物キット(1)のうちの第一成分(混合粉末成分18.52g)を入れた後、当該骨セメント組成物キット(1)の第二成分(液体成分7.05g)を投入し、常圧下において30秒間にわたって混練した後、更に脱気雰囲気下において1分間にわたって混練することによって混練物(以下、「骨セメント組成物(1)」ともいう。)を得た。
得られた骨セメント組成物(1)における凝集体(e)と、ポリメタクリレート系ポリマーを含む基材形成成分(以下、単に「基材形成成分」ともいう。)との合計100質量%に対する凝集体(e)を構成する酸化チタン粒子の含有割合は、2.5質量%であった。
骨セメント組成物(1)をポリテトラフルオロエチレン製の生体活性測定用試験片作製治具に入れ、蓋をして、温度30℃の環境下において、24時間以上静置して養生することにより、直径15mmの円板状の骨セメント組成物硬化体(以下、「硬化体(1)」という。)を得た。このような骨セメント組成物キット(1)の第一成分と第二成分を混合して混練し、最終的に骨セメント組成物の硬化体を得るまでの過程において、メチルメタクリレートが重合反応することにより、硬化体(1)を構成するポリメタクリレート系ポリマーよりなる基材が形成される。
得られた硬化体(1)における凝集体(e)の含有割合(凝集体(e)とポリメタクリレート系ポリマーの合量に対する凝集体(e)の配合量)は5.0質量%であり、酸化チタン粒子の含有割合(凝集体(e)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(e)を構成する酸化チタン粒子の配合量)は、2.5質量%であった。
〔実施例2〕
実施例1において、凝集体(e)に代えて、凝集体の製造例6に係る凝集体(f)を用いたこと以外は当該実施例1と同様にして混練物(以下、「骨セメント組成物(2)」ともいう。)を得、この骨セメント組成物(2)を用いて骨セメント組成物硬化体(以下、「硬化体(2)」ともいう。)を得た。
得られた骨セメント組成物(2)における凝集体(f)と、基材形成成分との合計100質量%に対する凝集体(f)を構成する酸化チタン粒子の含有割合は、2.5質量%であった。
また、得られた硬化体(2)における凝集体(f)の含有割合(凝集体(f)とポリメタクリレート系ポリマーの合量に対する凝集体(f)の配合量)は5.0質量%であり、酸化チタン粒子の含有割合(凝集体(f)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(f)を構成する酸化チタン粒子の配合量)は、2.5質量%であった。
〔実施例3〕
実施例1において、凝集体(e)に代えて、凝集体の製造例7に係る凝集体(g)を用いたこと以外は当該実施例1と同様にして混練物(以下、「骨セメント組成物(3)」ともいう。)を得、この骨セメント組成物(3)を用いて骨セメント組成物硬化体(以下、「硬化体(3)」ともいう。)を得た。
得られた骨セメント組成物(3)における凝集体(g)と、基材形成成分との合計100質量%に対する凝集体(g)を構成する酸化チタンの含有割合は、2.0質量%であった。
また、得られた硬化体(3)における凝集体(g)の含有割合(凝集体(g)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(g)の配合量)は5.0質量%であり、酸化チタン粒子の含有割合(凝集体(g)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(g)を構成する酸化チタン粒子の配合量)は、2.0質量%であった。
〔実施例4〕
実施例1において、凝集体(e)に代えて、凝集体の製造例8に係る凝集体(h)を用いたこと以外は当該実施例1と同様にして混練物(以下、「骨セメント組成物(4)」ともいう。)を得、この骨セメント組成物(4)を用いて骨セメント組成物硬化体(以下、「硬化体(4)」ともいう。)を得た。
得られた骨セメント組成物(4)における凝集体(h)と、基材形成成分との合計100質量%に対する凝集体(h)を構成する酸化チタン粒子の含有割合は、2.5質量%であった。
また、得られた硬化体(4)における凝集体(h)の含有割合(凝集体(h)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(h)の配合量)は5.0質量%であり、酸化チタン粒子の含有割合(凝集体(h)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(h)を構成する酸化チタン粒子の配合量)は、2.5質量%であった。
〔比較例1〕
実施例1において、凝集体(e)に代えて、凝集体の比較用製造例1に係る凝集体(i)(酸化チタン粒子のみの凝集体)を用いたこと以外は当該実施例1と同様にして混練物(以下、「骨セメント組成物(5)」ともいう。)を得、この骨セメント組成物(5)を用いて骨セメント組成物硬化体(以下、「硬化体(5)」ともいう。)を得た。
得られた硬化体(5)における凝集体(i)の含有割合(凝集体(i)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(i)の配合量)は5.0質量%であった。
〔比較例2〕
実施例1において、凝集体(e)に代えて、微粒子酸化チタン「PT-501R」(超微粒子酸化チタン、石原産業株式会社製、メジアン粒子径:1.0μm、BET比表面積:10.2m2 /g)を用いたこと以外は当該実施例1と同様にして混練物(以下、「骨セメント組成物(6)」ともいう。)を得、この骨セメント組成物(6)を用いて骨セメント組成物硬化体(以下、「硬化体(6)」ともいう。)を得た。
得られた硬化体(6)における微粒子酸化チタン(「PT-501R」)の含有割合(微粒子酸化チタンとポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する微粒子酸化チタンの配合量)は5.0質量%であった。
作製した硬化体(1)〜硬化体(6)の各々について、下記の電子顕微鏡による観察および蛍光X線による元素分析を行った。
〔電子顕微鏡による観察(生体活性の観察)〕
作製した硬化体(1)〜硬化体(6)の各々を、温度36.5℃の条件下において、疑似体液(SBF;Simulated Body Fluid)に14日間浸漬した後、その表面を電子顕微鏡(SEM)によって観察した。
硬化体(1)〜硬化体(6)の各々に係る電子顕微鏡写真(SEM写真)を、各々図3〜図8に示す。
この電子顕微鏡による観察の結果から、実施例1〜実施例4に係る硬化体(1)〜硬化体(4)には、高い生体活性能が得られることが確認された。
また、特に酸化チタン粒子以外の無機化合物粒子(凝集体用無機化合物粒子)として硫酸バリウム粒子を含む硬化体(1)〜硬化体(3)は、凝集体用無機化合物粒子として酸化ジルコニウム粒子を含む硬化体(4)、酸化チタン以外の無機化合物粒子を含まない硬化体(5)および硬化体(6)に比して、優れた生体活性能を有していること確認された。
また、硬化体(4)における酸化チタン粒子の含有量は2.5質量%であるが、図4により生体活性能を有することがわかる。一方、硬化体(5)および硬化体(6)は、硬化体(1)〜硬化体(4)よりも酸化チタン粒子の含有割合が多いものの、その生体活性能は硬化体(1)〜硬化体(4)のいずれよりも低いことがわかる。
〔蛍光X線による元素分析〕
作製した硬化体(1)〜硬化体(6)の各々を、温度36.5℃の条件下において、疑似体液(SBF;Simulated Body Fluid)に14日間浸漬した後、蛍光X線分析装置「RIX2100」(理学電気工業株式会社製)を用いて表面近傍の元素分析を行った。結果を表2に示す。
表2に示すように、硬化体(1)〜硬化体(4)においては、硬化体(5)および硬化体(6)に比して、カルシウム元素が多く検出されたことが確認された。これは、擬似体液中において硬化体の表面近傍にアパタイトが形成されたことを示している。
また、硬化体(1)〜硬化体(4)においては、硬化体(5)および硬化体(6)に比してチタン元素の検出量が少なくなっていることが確認された。このことから、硬化体(1)〜硬化体(4)においては、表面近傍におけるチタン元素の存在割合が少ないにも拘わらず、優れた生体活性能を有することがわかる。
また、実施例1〜実施例4に係る硬化体(1)〜硬化体(4)は、後述の実施例5〜実施例9に係る硬化体(7)〜硬化体(11)に比して高い物理的強度を有するものであることが確認された。
硬化体(1)〜硬化体(4)において硬化体(7)〜硬化体(11)よりも高い物理的強度が得られた理由は、フィラーを含有する構成の骨セメント組成物の硬化体においては、フィラーの含有割合が小さくなるほど高い物理的強度が得られるところ、硬化体(1)〜硬化体(4)における凝集体の含有割合(凝集体とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体の配合量)が5.0質量%であるのに対し、硬化体(7)〜硬化体(11)における凝集体の含有割合(凝集体とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体の配合量)は20.0質量%と高くなっており、このため、凝集体(フィラー)の含有割合の小さい硬化体(1)〜硬化体(4)には高い物理的強度が得られる。
〔実施例5〕
先ず、凝集体の製造例1に係る凝集体(a)12.40gと、ポリメチルメタクリレート/スチレン共重合体粉末(平均粒子径:40μm、平均分子量:172,000、粒子形状:球状;積水化成品工業株式会社製)27.68gを、ヘンシェルミキサー「IMC−1857」(株式会社井元製作所製)を用い、回転数1000rpmの条件で5分間にわたって混合した。その後、この混合系に、微粒子ポリメチルメタクリレート(平均粒子径:0.5μm、平均分子量:316,000、粒子形状:球状;積水化成品工業株式会社製)4.70gおよび過酸化ベンゾイル(川口薬品株式会社製)0.93gを加え、ヘンシェルミキサー「IMC−1857」(株式会社井元製作所製)を用い、回転数1000rpmの条件で5分間かけて混合することによって混合粉末成分を得た。
一方、メチルメタクリレート(三菱ガス化学株式会社製)16.94gに、N,N−ジメチル−p−トルイジン(三星化学研究所製)0.183gを添加し、スターラーを用いて5分間にわたって混合することによって混合液体成分を得た。
そして、このようにして得られた混合粉体成分および混合液体成分により、当該混合粉体成分44.98gよりなる第一成分と、当該混合液体成分17.123gよりなる第二成分とにより構成されてなる骨セメント組成物キット(以下、「骨セメント組成物キット(2)」ともいう。)を作製した。
次いで、ポリテトラフルオロエチレン製の混練容器に、骨セメント組成物キット(2)のうちの第一成分(混合粉末成分44.98g)を入れた後、当該骨セメント組成物キット(2)の第二成分(混合液体成分17.123g)を投入し、常圧下において30秒間にわたって混練した後、更に脱気雰囲気下において1分間にわたって混練することによった混練物(以下、「骨セメント組成物(7)」ともいう。)を得た。
得られた骨セメント組成物(7)における凝集体(a)の含有割合と、ポリメタクリレート系ポリマーを含む基材形成成分との合計100質量%に対する凝集体(a)を構成する酸化チタン粒子の含有割合は、10.0質量%であった。
骨セメント組成物(7)をポリテトラフルオロエチレン製の曲げ強度測定用試験片作製治具に入れ、流動性が小さい状態となったことを確認した後蓋をして、温度30℃の環境下において、24時間以上静置して養生することにより、骨セメント組成物硬化体(以下、「硬化体(7)」という。)を得た。このような骨セメント組成物キット(2)の第一成分と第二成分を混合して混練し、最終的に骨セメント組成物の硬化体を得るまでの過程において、メチルメタクリレートが重合反応することにより、硬化体(7)を構成するポリメタクリレート系ポリマーよりなる基材が形成される。
得られた硬化体(7)における凝集体(a)の含有量(凝集体(a)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(a)の配合量)は20.0質量%であり、酸化チタン粒子の含有割合(凝集体(a)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(a)を構成する酸化チタン粒子の配合量)は、10.0質量%であった。
〔実施例6〕
実施例5において、凝集体(a)に代えて、凝集体の製造例2に係る凝集体(b)を用いたこと以外は当該実施例5と同様にして混練物(以下、「骨セメント組成物(8)」ともいう。)を得、この骨セメント組成物(8)を用いて骨セメント組成物硬化体(以下、「硬化体(8)」ともいう。)を得た。
得られた骨セメント組成物(8)における凝集体(b)と、基材形成成分との合計100質量%に対する凝集体(b)を構成する酸化チタン粒子の含有割合は、10.0質量%であった。
また、得られた硬化体(8)における凝集体(b)の含有量(凝集体(b)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(b)の配合量)は20.0質量%であり、酸化チタン粒子の含有割合(凝集体(b)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(b)を構成する酸化チタン粒子の配合量)は、10.0質量%であった。
〔実施例7〕
実施例5において、凝集体(a)に代えて、凝集体の製造例3に係る凝集体(c)を用いたこと以外は当該実施例5と同様にして混練物(以下、「骨セメント組成物(9)」ともいう。)を得、この骨セメント組成物(9)を用いて骨セメント組成物硬化体(以下、「硬化体(9)」ともいう。)を得た。
得られた骨セメント組成物(9)における凝集体(c)と、基材形成成分との合計100質量%に対する凝集体(c)を構成する酸化チタン粒子の含有割合は、10.0質量%であった。
また、得られた硬化体(9)における凝集体(c)の含有量(凝集体(c)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(c)の配合量)は20.0質量%であり、酸化チタン粒子の含有割合(凝集体(c)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(c)を構成する酸化チタン粒子の配合量)は、10.0質量%であった。
〔実施例8〕
実施例5において、凝集体(a)に代えて、凝集体の製造例4に係る凝集体(d)を用いたこと以外は当該実施例5と同様にして混練物(以下、「骨セメント組成物(10)」ともいう。)を得、この骨セメント組成物(10)を用いて骨セメント組成物硬化体(以下、「硬化体(10)」ともいう。)を得た。
得られた骨セメント組成物(10)における凝集体(d)と、基材形成成分との合計100質量%に対する凝集体(d)を構成する酸化チタン粒子の含有割合は、10.0質量%であった。
また、得られた硬化体(10)における凝集体(d)の含有量(凝集体(d)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(d)の配合量)は20.0質量%であり、酸化チタン粒子の含有割合(凝集体(d)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(d)を構成する酸化チタン粒子の配合量)は、10.0質量%であった。
〔実施例9〕
実施例5において、凝集体(a)に代えて、凝集体の製造例5に係る凝集体(e)を用いたこと以外は当該実施例5と同様にして混練物(以下、「骨セメント組成物(11)」ともいう。)を得、この骨セメント組成物(11)を用いて骨セメント組成物硬化体(以下、「硬化体(11)」ともいう。)を得た。
得られた骨セメント組成物(11)における凝集体(e)と、基材形成成分との合計100質量%に対する凝集体(e)を構成する酸化チタン粒子の含有割合は、10.0質量%であった。
また、得られた硬化体(11)における凝集体(e)の含有量(凝集体(e)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(e)の配合量)は20.0質量%であり、酸化チタン粒子の含有割合(凝集体(e)とポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する凝集体(e)を構成する酸化チタン粒子の配合量)は、10.0質量%であった。
〔比較例3〕
実施例5において、凝集体(a)に代えて、比較例2において用いた微粒子酸化チタン「PT-501R」を用いたこと以外は当該実施例5と同様にして混練物(以下、「骨セメント組成物(12)」ともいう。)を得、この骨セメント組成物(12)を用いて骨セメント組成物硬化体(以下、「硬化体(12)」ともいう。)を得た。
得られた硬化体(12)における微粒子酸化チタン(「PT-501R」)の含有量(微粒子酸化チタンとポリメタクリレート系ポリマーとの合量に対する微粒子酸化チタンの配合量)は20.0質量%であった。
〔曲げ強度の測定〕
作製した硬化体(7)〜硬化体(12)を、♯400の研磨紙を用いて湿式研磨処理することにより、75mm×10mm×3.3mmの寸法となるように整え、ISO5833に基づく測定法に従って曲げ強度の測定を行った。結果を表3に示す。
表3において、「SSA」とは、窒素吸着法によって測定されるBET比表面積を示す。
表3の結果から、実施例5〜実施例9に係る硬化体(7)〜硬化体(11)には、高い物理的強度が得られることが確認された。
また、実施例9に係る硬化体(11)の作製に用いられた凝集体のメジアン径は、比較例3に係る硬化体(12)の作製に用いられた酸化チタン粒子のメジアン径と同程度であるが、曲げ強度の点では、硬化体(11)は、硬化体(12)よりも強いことがわかる。その理由は、図9に示す硬化体(11)の断面写真と、図10に示す硬化体(12)の断面写真とを比べると明らかなように、硬化体(12)は、内部において酸化チタン粒子が凝集したため、その凝集部分を中心に、強度が低下するが、一方、硬化体(11)では、上述の凝集部分が存在しないため、強度の低下を抑制することができる。
更に、硬化体を構成する凝集体(フィラー)のメジアン径が1.5〜3.4μmである硬化体(7)〜硬化体(11)は、その曲げ強度が65MPaより大きくなっており、これらのうち、メジアン径が2.5〜3.4μmである硬化体(7)および硬化体(8)は、その曲げ強度が70MPaより大きくなっており、またメジアン径が2.5〜3.0μmである硬化体(7)は、その曲げ強度が80MPaより大きくなっている。
また、実施例5〜実施例9に係る硬化体(7)〜硬化体(11)は、高い生体活性能を有するものであることが確認された。
すなわち、前述の実施例1〜実施例4に係る硬化体(1)〜硬化体(4)において明らかなように、骨セメント組成物硬化体の生体活性能は、含有されている凝集体の粒子径や比表面積に依存するものではないため、本発明に係る特定の凝集体を含有する硬化体(7)〜硬化体(11)においてもまた、硬化体(1)〜硬化体(4)と同様の生体活性能が得られることは明らかである。

Claims (9)

  1. 少なくとも酸化チタン粒子を含む二種以上の無機化合物粒子が集合することによって形成された凝集体と、ポリメタクリレート系ポリマーを含む基材形成成分とを含有することを特徴とする骨セメント組成物。
  2. 前記凝集体の形状が球状であることを特徴とする請求項1に記載の骨セメント組成物。
  3. 前記凝集体のメジアン径が0.5〜7.0μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の骨セメント組成物。
  4. 前記凝集体は、窒素吸着法によって測定されるBET比表面積が1.0〜30.0m2 /gであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の骨セメント組成物。
  5. 前記凝集体が、当該凝集体を構成する無機化合物粒子として、硫酸バリウム粒子および/または酸化ジルコニウム粒子を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の骨セメント組成物。
  6. 前記凝集体を構成する酸化チタン粒子の含有割合が、当該凝集体と前記ポリメタクリレート系ポリマーを含む基材形成成分との合計100質量%に対して2.0質量%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の骨セメント組成物。
  7. 少なくともメタクリレート系モノマーおよび重合開始剤を含有する骨セメント組成物キットであって、
    メタクリレート系モノマーを含む第一成分と、重合開始剤を含む第二成分とを有し、
    当該第一成分および/または当該第二成分が、少なくとも酸化チタン粒子を含む二種以上の無機化合物粒子が集合することによって形成された凝集体を含むことを特徴とする骨セメント組成物キット。
  8. 請求項7に記載の骨セメント組成物キットを構成する第一成分と第二成分とを混合し、少なくとも酸化チタン粒子を含む二種以上の無機化合物粒子が集合することによって形成された凝集体の存在下において、メタクリレート系モノマーを重合させる工程を有することを特徴とする骨セメント組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の骨セメント組成物または請求項8に記載の骨セメント組成物の製造方法によって得られた骨セメント組成物を養生することによって得られることを特徴とする骨セメント組成物硬化体。
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