JP2012037839A - 電子鍵盤楽器 - Google Patents

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Abstract

【課題】面スピーカの配設構造を工夫することにより、薄型で柔軟性のある面スピーカの特長を活用した電子鍵盤楽器を提供する。
【解決手段】左右の側面板2の間において、ペダルユニット11から鍵盤部の底板までの吹き抜け部に、一連の面スピーカパネル131〜134が設けられる。面スピーカ14が4個の面スピーカ141〜144に分割され、各面スピーカ141〜144は、周縁部が枠体151〜154に支持されることにより、面スピーカパネル131〜134を構成する。枠体151〜154で支持された各面スピーカパネル131〜134は、枠体151〜154同士がヒンジ等の連結部材で連結されることにより、互い違いに折れ曲がるように相互に連結される。一連の面スピーカパネル131〜134は、面一を保持する形態に加えて、互い違いの折れ曲がりを保持する形態を有し、両形態間で形態が変化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電型の面スピーカが筐体外に外付けされる電子鍵盤楽器に関するものである。
電気音響変換器として、厚みの薄い面スピーカが知られている。例えば、電極間に電圧を印加しクローン力を利用して駆動する静電型スピーカ(コンデンサスピーカともいう)や、圧電特性を有するフィルムを用いたものなどが知られている。
面スピーカは、平板の面積を広くとるほど、音の指向性が平板に垂直な方向に強くなり、その結果、音が遠くまで到達する。
このうち、静電型スピーカとして、最近注目されているものは、薄型フレキシブル(flexible)静電型スピーカである。これは、薄型・軽量であるとともに、柔軟性があるため、曲げることが可能で、曲げた後に応力が残らず、元の形状に戻りにくいという性質がある(特許文献1,2等参照)。
このような特徴を活用して、複数個の静電型スピーカを折り曲げ可能に連結することにより、カーテンスピーカを実現し、音場を自在にコントロールできるようにしたものが知られている(特許文献2)。
しかし、静電型スピーカのような面スピーカを、その特色を活用して電子鍵盤楽器に採用することまでは検討されていない。
特開2010−68053号公報 特開2008−28652号公報
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、面スピーカの配設構造を工夫することにより、薄型で柔軟性のある面スピーカの特長を活用した電子鍵盤楽器を提供することを目的とするものである。
本発明は、請求項1に記載の発明においては、鍵盤部を備える楽器本体部を当該左右において支持する左脚体及び右脚体(図1、図8の2)を有する電子鍵盤楽器において、面スピーカ(図1の141〜144、図8の112)を前記左脚体及び前記右脚体の間で面一を含む任意の形に保持する保持部(図2の11b,23、図9(a)の117,115、図9(b)の117〜120、図9(c)の117,118,121)を有し、該保持部にて前記面スピーカを保持することで、該面スピーカの面状態が変化して、変化したその状態で該面スピーカが配設されるものである。
このように左脚体と右脚体との間に面スピーカを配設することにより、演奏者に対して音の伝搬効率がよくなる。
面スピーカは、近似的に2次元面と見なせるような厚みの薄いスピーカであって、平坦で薄い平板形状であるが、薄い平板を湾曲させた曲面、さらには、任意の曲面や、折り曲げ面を形成した面スピーカなど、任意の形態の面スピーカも可能である。
請求項1に記載の発明における保持部が、左脚体及び右脚体の間に配設された平坦で薄い平板形状の面スピーカを保持することで、この面スピーカの面状態が変化して、面スピーカが、変化した後の、面一を含む任意の形態を維持するように保持される。
面スピーカが面一(平坦)である場合、面スピーカは、平面波を発生するので、聴取位置が電子鍵盤楽器から遠ざかっても減衰が少なく、よく聞こえる。一方、聴取位置が電子鍵盤楽器の至近位置になってもうるさく感じられない。
面スピーカの音圧は、低音域が大きく減衰し、周波数が高くなるに従い音圧が大きくなるが、中高音域は面積干渉により平坦な周波数特性を呈する。ここで、面スピーカの面積(振動板の面積)を広くするに従って、面積分だけ低音域の音圧が上がる。
電子鍵盤楽器は、鍵盤部の鍵配列方向の幅が長い。そのため、面スピーカの一辺が鍵配列方向に沿うように、左脚体と右脚体との間に、面スピーカを配設すれば、面スピーカの面積を広くとることができる。
また、アップライト型の電子鍵盤楽器は、演奏者の身長に見合う高さがある。そのため、面スピーカの一辺が筐体の高さ方向に沿うように、面スピーカの上端を左脚体と右脚体との間の上部位置に配設すれば、面スピーカの面積を広くとることができる。
一方、湾曲面が形成された湾曲面スピーカである場合、湾曲面の凸面側においては、音波の指向角が広角になり、湾曲面の凹面側においては、音波が集束する。
なお、楽器本体部を左右において支持する左脚体と右脚体とは、棒状の脚体に限らず、左右の側板が脚体を兼ねるものでもよい。
本発明は、請求項2に記載の発明においては、鍵盤部を備える楽器本体部を当該左右において支持する左脚体及び右脚体(図1、図8の2)を有する電子鍵盤楽器において、前記左脚体及び前記右脚体(2)の間に面一を保持する形態(図2(a)、図9(a))の面スピーカ(図1の141〜144、図8の112)が配設されるものである。
このように左脚体と右脚体との間に面一を保持する形態の面スピーカを配設することにより、演奏者に対して音の伝搬効率がよくなる。
本発明は、請求項3に記載の発明においては、請求項2に記載の電子鍵盤楽器において、前記面スピーカ(図1の141〜144、図8の112)は、前記面一を保持する形態に加えて、折れ曲がりを保持する形態(図2(b),(c)、図9(b),(c))を有し、両形態間で形態が変化するものである。
面スピーカが面一を保持する形態のときは、平面波に近い音波が出力される。しかし、面スピーカが折れ曲がりを保持する形態では、音の出力方向が面内の領域によって一致しなくなるため、折れ曲がり形状に応じて、面スピーカが面一のときの平面波よりも指向角が広角になったり、複数の方向に指向角を有したりする。
従って、面スピーカの保持形態に応じて、音の伝搬方向を様々に変化させることができる。その結果、演奏者や聴取者のいる方向に音がよく伝搬するようにすることが可能となる。
上述した面スピーカは、少なくとも1つの面スピーカユニットを有し、該面スピーカユニットは、柔軟性を有し折り曲げ可能なものである。
従って、面スピーカは薄く表面積が大きいので、そのままでは収納に困る場合がある。しかし、柔軟性を有し折り曲げ可能であることから、面スピーカを、折れ曲がりを保持する形態にすれば、面スピーカの不使用時に、面スピーカを収納したり、小さくまとめて保管したりすることができる。面スピーカを折り畳むことができるようにすれば、さらに、収納や保管の効率がよくなる。
本発明は、請求項4に記載の発明においては、請求項3に記載の電子鍵盤楽器において、前記面スピーカは、複数の面スピーカに分割されたもの(図1の141〜144)であり、分割された複数の面スピーカ(141〜144)は、各分割された面スピーカの周縁部が枠体(151〜154)に支持されることにより、複数の面スピーカパネル(131〜134)を構成し、該複数の面スピーカパネル(131〜134)は、各面スピーカパネルの枠体(151〜154)が隣接し、隣接した枠体が連結部材(図2の24,25,26)により相互に連結されることにより、一連の面スピーカパネルとなるものであり、該一連の面スピーカパネルは、当該上端部(図2の28)が前記左脚体及び前記右脚体(2)の間、例えば、その上部位置に支持され、当該下端部(図2の27)が自由端となるものであり、前記一連の面スピーカパネル(131〜134)は、前記分割された複数の面スピーカ(141〜144)が、全体として面一を保持する形態と全体として折れ曲がりを保持する形態とを有し、両形態間で形態が変化するものである。
このように、面スピーカを複数の面スピーカに分割し、分割された各面スピーカの周縁部が枠体に支持されることにより、単に、面スピーカの強度が増すだけでなく、折れ曲がりを保持する形態に変えるときに、面スピーカの取扱いが容易になる。
本発明は、請求項5に記載の発明においては、請求項4に記載の電子鍵盤楽器において、前記左脚体及び前記右脚体(2)にそれぞれ案内部材(図2の23)が設けられ、前記一連の面スピーカパネル(131〜134)は、前記案内部材により移動規制される被案内部材(図2の25,27)を有し、前記複数の面スピーカパネル(131〜134)が、前記被案内部材を前記案内部材(図2の23)により移動規制されながら相対移動することにより、前記分割された複数の面スピーカ(141〜144)が、全体として面一を保持する形態と全体として折れ曲がりを保持する形態との間で、形態が変化するものである。
このように、複数の面スピーカパネルは、その被案内部材が移動規制されながら相対移動することにより、いつも同じ形態変化をする。特に、分割された面スピーカの個数が3以上であれば、折れ曲がりを保持する形態を、互い違いに折れ曲がる(ジグザグ)形態にすることができる。
ここで、折れ曲がりを保持する形態は、例えば、案内部材に対する被案内部材の結合位置を保持することにより得られたり、隣接した枠体を相互に連結する角度を連結部材が保持することにより得られたりする。
本発明は、請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の電子鍵盤楽器において、前記面スピーカ(図8の112)を沿わせて折り曲げる案内部材(図9の118)と、前記面スピーカの下端部(114)に結合する結合部材(119)を有し、前記面スピーカ(図9の112)は、当該上端部(116)が前記左脚体及び前記右脚体(2)の間の、例えば、上部位置に固定され、当該下端部(114)が自由端となるものであり、前記面スピーカ(112)は、前記案内部材(118)に沿って折れ曲がった後に当該面スピーカの下端部(114)が前記結合部材(118)に結合することにより、前記面一を保持する形態から前記折れ曲がりを保持する形態に変化するものである。
従って、面スピーカの柔軟性を利用して、折れ曲がりを保持する形態を簡単に実現することができる。
特に、複数の面スピーカユニット(図6の811〜815、831〜834、図10の130A,130B)が連接部(図6の82,84a,84b、図10の130C)により間隔を空けて連設された面スピーカ(80A,80B,130)である場合、面スピーカユニットの連接部が、案内部材(118)に沿う面に形成されることが好ましい。
連接部は、面スピーカユニットでないため、連接部の柔軟性を増すことが容易である。そのため、連接部に、折り曲げの繰り返しに対し、十分な耐久性を持たせることができる。また、折り曲げの繰り返しに対し、面スピーカユニットが傷まない。従って、面スピーカの耐久性が向上する。
連接部(図10の130C)は、隣接する面スピーカユニット(130A,130B)の前面保護シート(61)と一体の前面保護シート(61)、及び、隣接する面スピーカユニット(130A,130B)の背面保護シート(67)と一体の背面保護シート(67)を少なくとも有し、かつ、隣接する面スピーカユニット(130A,130B)の固定電極シート(62,65)及び振動電極シート(64)を少なくとも欠如したものである。連接部(130C)には、固定電極シート、振動電極シートがないので、連接部の柔軟性が増す。従って、連接部において折り曲げ、折り畳みを繰り返しても、固定電極シート、振動電極シートが傷まない。また、連接部において、面スピーカは、前面保護シート、背面保護シートにより内部が保護される。
上述した各請求項の引用記載等において、「発明を特定するための事項」に付した括弧内の符号は、後述する「発明を実施するための形態」における、「発明を特定するための事項」に対応するものに付した符号である。この符号は、「発明を特定するための事項」とその一例との対応を示すにすぎない。「発明を特定するための事項」は、この符号により対応付けられた一例に限定されない。
上述した各請求項に記載の発明において、上述した面スピーカは、静電型に限らず、圧電フィルム型等でもよい。
上述した本発明によれば、薄型で柔軟性のある面スピーカを、演奏者に対して音の伝搬効率がよく、かつ、面スピーカの面積を拡げることが可能な位置に配置することができるという効果がある。
本願発明の第1の実施形態であるアップライトピアノ型電子鍵盤楽器の外観図である。 図1に示した実施形態における面スピーカ取付構造を示す第1の説明図である。 図1に示した実施形態におけるヒンジの取付構造を示す第2の説明図である。 図1に示した実施形態における面スピーカの一具体例である静電型の面スピーカの構造図である。 図4に示した静電型の面スピーカの第2の具体例を示す部分平面図である。 図4に示した静電型の面スピーカの第3の具体例を示す部分平面図である。 図1に示した実施形態における電子鍵盤楽器の機能ブロック図である。 本願発明の第2の実施形態である、アップライトピアノ型電子鍵盤楽器の外観図である。 図8に示した実施形態における面スピーカ取付構造を示す説明図である。 図8に示した実施形態に適用される静電型の面スピーカの具体例を示す平面図である。
図1は、本願発明の第1の実施形態であるアップライトピアノ型電子鍵盤楽器の外観図である。図1(a)は斜視図、図1(b)はそのペダルレバー付近を示す拡大正面図である。
また、図1(c)は面スピーカパネルの長手方向中央の垂直断面図、図1(d)は面スピーカパネルの変形例の長手方向中央の垂直断面図である。
この電子鍵盤楽器は、演奏者から見て右側において、1は脇側面板(側面部)、2は側面板(側面部、右脚体)、3は前脚、4は前脚と側面板2とを接続するステーである。同様の構造が図示左側にもあり、同じ符号を付している。
左右の脇側面板1の間に配置されている鍵盤部は、鍵盤蓋5が閉じているので見えない。図示の鍵盤蓋5は、折り畳み式で、演奏時には後述する上前板7の下部に収納される。
鍵盤部の演奏者側の前面は口棒6であり、鍵盤部の底面は棚板(図2の21)である。鍵盤部の奥行き側の上部は上前板7であり、その中央に譜面受8が設けられている。上前板7と左右の側面板2と背面板(図2の22)、これらの上部に天板9が掛け渡され、その中央に譜面板10(図示の状態は倒れた状態)が設けられている。
足下には、ペダルユニット11が設けられ、その中央に3本のペダル12が収容され演奏者側に突き出ている。ペダル12cは中央のペダルである。
図示の左右の側面板(左脚体及び右脚体)2の間において、ペダルユニット11から鍵盤部の底板(棚板)21までを、演奏者側から背面側に抜ける吹き抜けとしている。この吹き抜け部に、一連の面スピーカパネル131〜134が面一(同一の平面上にある)を保持する形態で設けられている。
面スピーカ14は、4個の面スピーカ141〜144に分割されている。面スピーカ141〜144は、周縁部が枠体151〜154に支持されることにより、面スピーカパネル131〜134を構成する。
図1(c)に示すように、面スピーカパネル131について例示すると、矩形の面スピーカ141の背面を矩形の枠体151の前面にあてがうことにより、矩形の面スピーカ141が矩形の枠体151の前面に加えて、上面及び下面を覆う。
図1(d)に示すように、図示の面スピーカパネル131は、矩形の面スピーカ141の前面と背面の周縁部が、1対の矩形の枠体151に挟まれたものでもよい。
なお、図1(c)、図1(d)のいずれにおいても、面スピーカ141の周縁部には、固定電極や振動電極を設けないようにすることが望ましい。また、枠体151は、木や硬質の合成樹脂のように剛性のあるものであっても、面スピーカと柔軟性がさほど変わらない、軟質の合成樹脂製のものを採用してもよい。
各面スピーカパネル131〜134は、それぞれの枠体151〜154が隣接し、隣接した枠体151〜154が、図2を参照して後述するヒンジ24〜26等の連結部材で相互に連結されることにより、一連の面スピーカパネル131〜134となっている。
従って、図2を参照して後述するように、一連の面スピーカパネル131〜134は、面一を保持する形態に加えて、折れ曲がりを保持する形態を有し、形態が変化するものである。
一連の面スピーカパネル131〜134は、その上端面、図示の例では、面スピーカパネル131の枠体151の上縁部の左右端が左側面板(左脚体)2及び右側面板(右脚体)2の間の上部位置に固定される。また、一連の面スピーカパネル131〜134は、その下端面、図示の例では、面スピーカパネル134の枠体154の下端面が自由端となり、この左右端部にヒンジ27、この下端部の中央に掛止具(フック)16が取り付けられている。
掛止具16は、例えば、後述する図2に示されているように、その根元部がヒンジ(軸のみを示す)16bにより、上述した枠体154の下端面に取り付けられ、その先端部が直角に曲がることにより係止片16aとなったものである。上述した根元部のヒンジ16bは、枠体154の下端面に平板(ヒンジの羽根)を一本のネジ部材で緩く取り付けることにより、枠体154の下端面に対し、平板自体もネジ部材を中心に回転可能にする。
図1(b)に示すように、ペダルユニット11は、静止位置にある中央のペダル12cを収容する切り欠き11aを有する。演奏者がペダル12cを踏み込むとペダル12cは、図示12c’のように床面17に近づき、ペダル12cが離されると静止位置に戻る。
この切り欠き11aの上端中央からペダルユニット11の上端面まで、奥側に凹んだ窪み11cが形成され、さらに、この窪み11cの切り欠き11a側に、切り欠き11bが形成されている。
演奏者が、先に説明した掛止部16を窪み11cに嵌め込み、掛止部16の係止片16aを切り欠き11bに差し込むことにより、掛止部16が係着される。その結果、一連の面スピーカパネル131〜134、及び、面スピーカ141〜144が、図1(a)に示すような面一の状態を保持するようにする。
再び図1(a)に戻って説明を続ける。ダイナミック型コーンスピーカ18,19は、上前板7をバッフル板として、その左右領域に分かれて設けられている。以下、ダイナミック型コーンスピーカを、単に「コーンスピーカ」という。上前板7の表面には、音響透過性のあるパンチングメタル板、ネット、又は、スピーカグリルが設けられる(図示省略)。
コーンスピーカ18,19には、ステレオの駆動信号が供給される。右側のコーンスピーカ19を無くして、鍵盤の低音域側に対応する左側のコーンスピーカ18だけにしてもよい。コーンスピーカ18,19は、上前板7に設ける場合に限らず、図示しない棚板にスピーカの前面開口部を下向きにして配置してもよい。
上述した脇側面板1、側面板2、天板9、棚板(底面部)(図2の21)、口棒6、上前板7、背面板(図2の22)が楽器筐体となる。これに、鍵盤部と内部空間を有するものが楽器本体部である。この楽器本体部に、前脚3、ステー4、ペダルユニット11、及び、面スピーカパネル111を加えたものが電子鍵盤楽器となる。
楽器本体部は、ユーザの鍵操作により楽音信号を生成する楽音信号生成部を内蔵する。
楽音信号生成部により生成された楽音信号を増幅し、増幅された楽音信号を昇圧トランスにより昇圧し、高電圧のバイアス電圧が重畳されたものが面スピーカ141〜144の駆動信号となる。駆動信号は図示しない出力コードを介して、各枠体151〜154に設けられた図示しない端子を介して面スピーカ141〜144の各固定電極、振動電極に供給される。面スピーカ141〜144は、楽音信号生成部から出力される楽音信号に応じた音を出力する。
図2は、図1に示した実施形態における面スピーカ取付構造を示す第1の説明図である。図1において、右側の側面板2を除去したときに右側面から見える、一連の面スピーカパネル131〜134と左側の側面板2とを図示している。
図面を簡単にするため、面スピーカパネル131〜134を矩形で表示し、面スピーカ141〜144及び枠体151〜154の表示を省略する。
図2(a)は、各面スピーカパネルが面一を保持する形態を示す説明図である。
図2(b)は、各面スピーカパネルが互い違いの折れ曲がりを保持する形態を示す説明図である。
図2(c)は、各面スピーカパネルが畳み込まれた形状を保持する形態を示す説明図である。畳み込まれた状態は、互い違いの折れ曲がりを保持する形態の極限の形態である。
ユーザが一連の面スピーカパネル131〜134を手動操作することにより、上述した3種類の保持形態間で形態が変化する。
演奏者が演奏するときや自動演奏のとき、図2(a)に示す形態で楽音を発生させる。面スピーカパネル131〜134で楽音を発生させないとき、図2(c)に示すように、面スピーカパネル131〜134を折り畳んで収納できる。
また、図2(b)に示す形態で楽音を発生させる場合、演奏者の耳の位置32において、面スピーカパネル132,134(面スピーカ142,144)から出力される直達音D1,D2が、より効果的に受聴される。この場合、図2(b)に示す形態を保持する必要がある。
図中、図1と同様な部分には同じ符号を付している。21は鍵盤部の底板となる棚板、22は楽器本体部の背面板である。23は一連の面スピーカパネル131〜134の相対移動を規制するガイドレール(案内部材)である。図示の例では、このガイドレール23は、幅の狭い開口部23aが垂直方向に延長されたもので、左右の側面板2の演奏者寄りの領域に垂直方向に形成された溝に嵌め込まれ、開口部23aの両側の縁部23bは、側面板2の表面と面一になる。
24〜26は、ヒンジ(蝶番、連結部材)である。この図では、白い丸印でその配置を示している。左右の側面板2に対応して、一対ずつ設けられている。
隣接した面スピーカ141〜144(枠体151〜154)がヒンジ24〜26により、互い違い(ジグザグ)に折り曲げ可能に相互に連結されている。
このうち、ヒンジ24、26は、一般的なヒンジを用いることが可能である。ヒンジ24は、面スピーカパネル131(枠体151)の下端面と前面との角部、及び、面スピーカパネル132(枠体152)の上端面と前面との角部、の両者の間に配置される。ヒンジ26は、面スピーカパネル133(枠体153)の下端面と前面との角部、及び、面スピーカパネル134(枠体154)の上端面と前面との角部、の両者の間に配置される。
これに対し、ヒンジ25は、面スピーカパネル132(枠体152)の下端面と背面との角部、及び、面スピーカパネル133(枠体153)の上端面と背面との角部、の両者の間に配置される。ヒンジ25は、ヒンジの軸の片側(左又は右の側面板2の側)が延長されて、左右の側面板2に設けられた左右のガイドレール23の開口部23aに挿入されることにより、被案内軸(被案内部材)の機能を兼ねる。
27は被案内軸(被案内部材)であり、左右の側面板2に対応して、一対ずつ設けられている。この被案内軸27は、面スピーカパネル134(枠体154)の下端面と背面との角部に配置されている。被案内軸27は、ガイドレール23の開口部23aに挿入されている。
28は回動支持軸であり、左右の側面板2に対応して、一対ずつ設けられている。この回動支持軸28は、面スピーカパネル131(枠体151)の上端面と背面との角部に配置されている。回動支持軸28の軸端は、左又は右側のガイドレール23の開口部23aに挿入され、底面部23d(図3(c))を貫通することにより、左右の側面板(左脚体及び右脚体)2に対し、直接的に回動可能に軸支されている。
これに代えて、回動支持軸28は、ガイドレール23の内部に固定取り付けされた支持部材(図示せず)によりガイドレール23内で支持されてもよい。
また、回動支持軸28の軸受部材を棚板21の底面に設けることにより、回動支持軸28が左右の側面板(左脚体及び右脚体)2に、間接的に支持される構成にしてもよい。
以上のようにして、一連の面スピーカパネル131〜134は、その上端部となる、面スピーカパネル131(枠体151)の上端面が、回動支持軸28により、左右の側面板(左脚体及び右脚体)2の間の上部位置に支持される。
また、一連の面スピーカパネル131〜134は、ヒンジ24〜26、及び、被案内軸27がガイドレール(案内部材)23により移動規制されつつ、面スピーカパネル134(枠体154)の下端部を自由端として、図2(a)、図2(b)、図2(c)に示した形態間を変化する。
図2(a)においては、掛止部16の係止片16aを切り欠き11bに差し込むことにより保持が強固になる。
図2(b)に示されるように、ヒンジ16bを半回転させ、図2(c)において、掛止部16の係止片16aを面スピーカパネル131(枠体151)の上端面に設けた溝31に差し込んで係合させることにより折り畳み形態が保持される。これに代えて、棚板21の底面に、係止片16aを差し込む係着部を設けてもよい。
なお、図2(a)、図2(b)に図示した掛止部16は、図示の長さが短いため、図2(c)のように、係止片16aを溝31に係着させることができない。面スピーカパネル131〜134はその厚みを図示の厚みよりも薄くできるから、掛止部16が短くても、その係止片16aを溝31に差し込むことができる。
また、掛止部16とは別体のものとして、溝31に係着する掛止部を面スピーカパネル134の下端面に設けてもよい。
図示のように棚板21の底面の背面板22に近い側に永久磁石29を設け、一方、面スピーカパネル131の背面に鉄板30を設けてもよい。折り畳み時に、鉄板30が永久磁石29に吸引される。この吸引力により、枠体151が後方に傾きがちになるのを防止することができる。
一方、図2(b)に示す折れ曲がり形態を保持したい場合、掛止部16では保持できない。
折れ曲がりを保持する形態は、ガイドレール(案内部材)23に対するヒンジ25、被案内軸27の結合位置を保持させることにより実現される。ガイドレール23に、中間係止部33,34を設けておき、ヒンジ25、被案内軸27の軸端がこの中間係止部33,34の位置に来たとき、一時的に係止されるようにする。強い力を加えて、面スピーカパネル131〜134を引き上げたり引き下げたりすれば、係止状態が解除される。
上述した中間係止部33,34では、ガイドレール23の底面部23dを切り欠き、ここに、曲げ加工された帯状の板バネが、ガイドレール23の内部に突出するように取り付けておく。板バネの中間部は、ヒンジ25、被案内軸27の軸端を係止するための凹部となっており、仮固定位置(中間安定位置)を形成する。この凹部の上方側及び下方側に山部があり、この山部は、ヒンジ25、被案内軸27の軸端を弾性で押圧するように突出する。ヒンジ25、被案内軸27の軸端は、山部を超えて凹部に入り込むことにより移動が阻止される。山部は、なめらかに傾斜しているので、ユーザが面スピーカパネル131〜134に余分に力を加えれば、再び山部を超えることにより移動可能になる。
あるいは、隣接する面スピーカパネル132(枠体152)と面スピーカパネル133(枠体153)とを相互に連結する角度を保持する機能を、ヒンジ25に持たせたり、ヒンジ24とヒンジ26に連結角度保持機能を持たせることによっても、図2(b)に示す形態の保持が実現される。
図3は、図1に示した実施形態におけるヒンジの取付構造を示す第2の説明図である。
図3(a)は、図2(a)に示した左側の側面板2の切断線X-Xにおいて、矢印方向を見たときの平面図であって、ヒンジ24の構成例を示し、側面板2及びガイドレール23については水平断面図を示している。図3(b)は、図3(a)に示した部分の正面図である。右側の側面板2についても同様な構造が左右対称で設けられている。
図3(c)は、図2(a)に示した切断線Y-Yにおいて、矢印方向を見たときの平面図であって、ヒンジ25の構成例を示し、側面板2については水平断面図を示している。図3(d)は、図3(c)に示した部分の正面図である。
図中、図1、図2と同様な部分には同じ符号を付している。
図3(a),図3(b)に示すヒンジ24は、羽根となる平板42,44と軸43を備える。第2の面スピーカパネル132(枠体152)の上端面と前面との角部に、段差面となる溝41が形成され、ネジ部材45により平板42がねじ止めされている。一方、一点鎖線で示す平板44は、第1の面スピーカパネル131(枠体152)の下端面にねじ止めされている。
平板42,44には、管状部分が互い違いに形成され、管状部分に軸43が挿通され、左右の端部43a,43bが抜け止めされることにより、軸43を中心に平板42,43が回動可能となり、第2の面スピーカパネル132(枠体152)と第1の面スピーカパネル131(枠体151)とが、相対的に回動可能となる。
軸43の径を大きくしたり、軸43に摩擦係数の大きな材料を嵌め込むことにより、平板42,44の管状部分と軸43との間の摩擦力が大きくなるようにすることができる。このようにすれば、ヒンジ24の連結角度を保持する作用を奏する。
図3(c),図3(d)に示すヒンジ25は、平板47,49と軸48を備える。第3の面スピーカパネル133(枠体153)の上端面と背面との角部に、段差面となる溝46が形成され、ネジ部材51に平板47がねじ止めされている。一方、一点鎖線で示す平板49は、第2の面スピーカパネル132(枠体152)の下端面にねじ止めされている。
平板47,49には、管状部分が互い違いに形成され、管状部分に軸48が挿通され、端部48aが抜け止めされる。一方、軸の他端部48bは、平板47,49の図示左端を超えて、ガイドレール23の開口部23aに挿入される。
図示のガイドレール23は、開口部23aの両縁部23bが両側面部23cに連なり、両側面部23cが底面部23dに連なる形状であり、開口部23aの幅は両側面部23cの幅よりも狭い。
軸48の他端部48bの直径を、開口部23aの幅よりも大きくすることにより、軸の他端部48bは抜け止めされる。
軸48の他端部48bと両側面部23cとの摩擦力を大きくしたり、軸48とガイドレール23との間の摩擦力を大きくしたりすれば、ヒンジ25の結合位置を保持する作用を奏する。
なお、図2に示した被案内軸27は、図3(c),図3(d)に示したヒンジ25の構成のうち、軸48と平板49とを用いることにより実現できる。また、図2に示した回動支持軸28は、平板47と軸48により実現できる。ただし、ガイドレール23の内部において、軸48の他端部48bを図示しない支持部材により支持する。
図4は、図1に示した実施形態における面スピーカ141〜144の一具体例である、柔軟性を有する面スピーカ60の構造図である。
図4(a)は面スピーカ30の積層構造を開いて見せた模式図、図4(b)は面スピーカ60の部分平面図、図4(c)は面スピーカ60の部分断面図、図4(d)は面スピーカ60の他の例を示す部分断面図である。
まず、積層構造の主要部を説明する。
図4(a)〜図4(c)において、音響透過性を有する第1の固定電極シート62と音響透過性を有する第2の固定電極シート66との間に、音響透過性を有する第1の絶縁性シート63と音響透過性を有する第2の絶縁性シート65とを介して、特に薄くて柔軟性を有する振動電極シート64が積層配置されている。
第1の絶縁性シート63、第2の絶縁性シート65は、薄くて柔軟性がある緩衝材(クッション材)である。また、上述した第1の固定電極シート62、第2の固定電極シート66も、薄くて柔軟性がある。
振動電極シート(振動膜)64の前面から出力された音は、第1の絶縁性シート63、第1の固定電極シート62を透過し、この静電型スピーカの前面から放出されるとともに、振動電極シート64の背面から出力された音は、第2の絶縁性シート65、第2の固定電極シート66を透過し、この静電型スピーカの背面から放出される。
61は音響透過性を有する第3の絶縁性シート、67は音響透過性を有する第4の絶縁性シートであって、これらは、静電型スピーカの背面を保護したり防水したりするとともに、感電を防止するためのカバーでもある。これらも柔軟性がある。
従って、この面スピーカ60は、全体としても、柔軟性のある薄型フレキシブル(flexible)静電型スピーカである。
上述した振動電極シート64を除き、他の第1の固定電極シート62、第2の固定電極シート66、第1の絶縁性シート63、第2の絶縁性シート65、第3の絶縁性シート61、第4の絶縁性シート67は、通気性を有している。なお、第3の絶縁性シート61、第4の絶縁性シート67は、省略可能である。
68a〜68e,69a〜69eは、振動電極シート64を、第1の絶縁性シート63、第2の絶縁性シート65により、部分的に支持するための接着層であって、その幅は狭く、例えば、4〜10[mm]であり、柔軟性があり、その厚みは薄く、例えば、0.1〜0.5[mm]である。図示の例において接着層はテープ状であり、具体的には両面接着テープを使用している。
振動電極シート64は、接着層68a〜68e,69a〜69eにより間隔をあけて支持される。
この接着層68a〜68e,69a〜69eにより、振動電極シート64は、接着層68a〜68e,69a〜69eのない領域で、振動電極シート64に対し、第1の絶縁性シート63との間、及び、第2の絶縁性シート65との間が僅かに離間して支持される。
振動電極シート64、第1の絶縁性シート63、第2の絶縁性シート65は柔軟性を有するため、接触していても問題ない。第1の絶縁性シート63、第2の絶縁性シート65は、振動電極シート64を支持するとともに、振動電極シート64に適度な弾性応力を付与する。
接着層68a〜68e,69a〜69eは、静電型の面スピーカにとって必須のものではない。しかし、振動電極シート64は、緩衝作用のある第1の絶縁性シート63、第2の絶縁性シート65との間で相互作用を及ぼし合いながら、これらと一体となって振動する。
従って、接着層68,69は、スペーサというよりも、振動電極シート64と第1の絶縁性シート63、第2の絶縁性シート65との相互作用を安定させる機能がある。接着層68,69は、また、面スピーカ60の全体を折り曲げたときに、多層状に形成された積層シートの各層が破損しないようにしたり、ずれて皺ができないようにしたりする役目を果たす。
図4(c)において、振動電極シート64は、接着層68a〜68eにより、第1の絶縁性シート63に等間隔の第1の支持位置で支持されるとともに、接着層69a〜69eにより、第2の絶縁性シート65に同じ第1の支持位置で支持される。第1の支持位置の間隔は、1[cm]〜10[cm]とし、試作品では3.6[cm]とした。
図4(d)において、振動電極シート64は、接着層68f,68gにより、第1の絶縁性シート63に等間隔の第1の支持位置で支持されるとともに、接着層69f,69gにより、第2の絶縁性シート65に等間隔の第2の支持位置で支持される。第1の支持位置と第2の第1の支持位置とは交互に配置されるので、振動電極シート64は、交互に支持される。
なお、図4(b),図4(c)に示したように、面スピーカ60の端部(図示右端部)は、接着層68e,69e,68h,69hで支持することが好ましい。面スピーカ60の周縁部において、各シートの層間を、接着層68e,69e,68h,69hと同様な接着層(両面接着テープ)で相互に接着したり、接着剤を塗布したりして、層が離れないようにする。面スピーカ60の周縁部は、縫合したり、合成樹脂でまとめたり、図示しない枠体に取り付けられたりする。
上述した振動電極シート64は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリプロピレン(PP)等の、合成樹脂薄膜の両面又は片面に、アルミニウム等の導電性を有する金属を蒸着したり、導電性塗料を塗布したりしたものであり、その厚さは数[μm]〜数十[μm]である。
上述した第1の固定電極シート62、第2の固定電極シート66は、ポリエチレンテレフタレートの片面又は両面に、アルミニウム等の導電性を有する金属を蒸着したり、導電性塗料を塗布したりして、その厚みを貫通する多数の貫通孔62a,66aが形成されたパンチングメタルである。この試作品では、厚さが0.5[mm]である。
第1の固定電極シート62、第2の固定電極シート66は、パンチングメタルに代えて、金網を用いてもよいし、不織布にアルミニウム蒸着をしたものを用いてもよい。後者の場合、第3の絶縁性シート61と第1の固定電極シート62とを一体化し、第4の絶縁性シート67と第2の固定電極シート66とを一体化することができる。
上述した第1の絶縁性シート63、第2の絶縁性シート65は、例えば、発泡合成樹脂や不織布である。
上述した第3の絶縁性シート61、第4の絶縁性シート67も、例えば、発泡合成樹脂や不織布であるが、材料選択の自由度が大きい。
図5は、図4に示した柔軟性を有する静電型の面スピーカの第2の具体例を示す部分平面図である。
先の図4(b)においては、接着層68a〜68e,69a〜69eを図示縦方向に並べて互いに平行配置していた。図5においては、加えて、接着層71a,71b,71cを、図示横方向に並べて互いに平行配置したものである。
図示の接着層71a,71bは、接着層68a〜68d,69a〜69dと同じ間隔で配置されている。
上述した縦方向、横方向に配置する2種の接着層に代えて、1枚の格子状接着層を用いれば、接着層の厚みが均一になる。
この面スピーカ70の積層断面構造は、接着層の配置を除けば図4(c)、図4(d)と同じであるので図示を省略する。
図4、図5に示した例では、接着層68a〜68h、69a〜69h、71a〜71cにより、振動電極シート64と第1の絶縁性シート63、振動電極シート64と第2の絶縁性シート65が接着されていた。
これらに加えて、第3の絶縁性シート61と第1の固定電極シート62との層間、第1の固定電極シート62と第1の絶縁性シート63との層間、第2の絶縁性シート65と第2の固定電極シート66との層間、第2の固定電極シート66と第4の絶縁性シート67との層間のうち、任意の層間を、図示しない接着層(両面接着テープ)で接着してもよい。特に、面スピーカ40の周縁部においては、全ての層間を接着層(両面接着テープ)で接着してもよい。
このようにすることにより、積層体としての一体性が増し、層間に隙間ができたり、層間がずれたりしない。図示しない両面接着テープによる接着位置は、図4(c),図4(d)、図5に示す接着層68a〜68h、69a〜69h、71a〜71cの支持位置と一致させることが、音響透過率を下げないようにする点で望ましい。
しかし、層間によって、接着位置を異ならせてもよい。また、層間によって、縦方向に並べる1次元平行配置と、これに直交する横方向に並べる1次元平行配置の選択を変えたりすることができる。
図6は、図4に示した柔軟性を有する静電型の面スピーカの第3の具体例を示す部分平面図である。
この具体例は、図4に示した積層断面構造を有した面スピーカ60を1ユニットとし、複数のユニットを、間隔をあけて配置したものを、1つの面スピーカ80A又は80Bとして形成したものである。
すなわち、面スピーカ80A,80Bは、複数のユニットと、これら複数のユニットのうち隣接するユニット同士を連結する連接部に区分された積層シートである。
図6(a)においては、複数の面スピーカユニットを1次元配置し、図6(b)においては、複数の面スピーカユニットを2次元配置(縦横方向)している。
図6(a)において、静電型の面スピーカユニット811〜815は、図4(c)又は図4(d)に示した積層断面構造を有し、面スピーカ80Aの振動面となる。これに対し、スピーカユニットの連接部82の領域においては、図4(c)又は図4(d)に示した導電層(第1の固定電極シート62、振動電極シート64、第2の固定電極シート66)がなく、絶縁層(第3の絶縁性シート61、第1の絶縁性シート63、第2の絶縁性シート65、第4の絶縁性シート67)のみを残しており、これらが連接部82を構成する。
連接部82の領域においては、さらに、第1の絶縁性シート63、第2の絶縁性シート65をなくしてもよい。この場合、まず、各面スピーカユニット811〜815として、それぞれ、第1の固定電極シート62、第1の絶縁性シート63、振動電極シート64、第2の絶縁性シート65、第2の固定電極シート66、及び、接着層68a〜68h、69a〜69h、71a〜71cの積層構造を予め作成しておき、これらの面スピーカユニット811〜815の上面と下面とを、第3の絶縁性シート61、第4の絶縁性シート67で覆うことにより、面スピーカ80Aを形成することができる。この場合、第3の絶縁性シート61、第4の絶縁性シート67が連接部82を構成する。
このような工程で製造すれば、箇々の面スピーカユニット811〜815の面積が小さくても、広い面積の面スピーカ80A,80Bが得られる。
連接部82においては、第1,第2の固定電極シート62,66の層及び振動電極シート64の層が存在しないので、この連接部82で、折り曲げたり折り畳んだりしても、電極シートが傷まない。
ここで、連接部82に存在する絶縁性シートの層は、隣接するユニットにおける同じ層から連続して存在する。言い換えれば、これらの層は、全てのユニット及び連接部に共通の連続した層である。そのため、連接部を設けるために、別の連結部材を設けたり、この別の連結部材を隣接するユニットと縫合や接着等により結合する工程が不要である。
図6(b)において、各面スピーカユニット831〜834は、図6(a)に示した面スピーカユニット811〜815と同様の積層構造を有し、面スピーカ80Bの振動面となる。この具体例では、面スピーカユニット831〜834は、横方向が連接部84aにより連接され、縦方向が連接部84bにより連接されている。連接部84a,84bにおける積層構造は、図6(a)に示した連接部82と同様である。
さらに、静電型スピーカユニット831〜834の周縁部84cも、図示しない枠体を取り付ける領域とするために、連接部84a,84bと同じく、導電層のない積層構造にしている。
上述した図6(a)の面スピーカユニット811〜815、図6(b)の面スピーカユニット831〜834は、各ユニットの各電極にリード線を接続し、これらのリード線をユニット毎に独立して駆動回路に接続する。又は、連接部82、84a,84bにおいて、隣接するユニットの対応する電極同士を短いリード線でつなぎ、各ユニットの各電極を共通のリード線で駆動回路に接続してもよい。
図7は、図1に示した実施形態における電子鍵盤楽器の機能ブロック図である。
図1に示した鍵盤蓋5に隠れた鍵盤部90における各白鍵,黒鍵の操作及びペダル12の操作は、検出部91により検出され、検出信号が制御部92に出力される。制御部92は、演奏データを音源部93に出力する。この演奏データには、押鍵及び離鍵のタイミング、押鍵又は離鍵された鍵に対応するノートナンバ(音高)、ベロシティ(押鍵速度)、アフタタッチ量等のデータが含まれている。また、操作されたペダル12の種別、操作量のデータも出力される。上述した制御部92は、機器組み込みプログラムをCPUに実行させることにより実現される。
図1に示した電子鍵盤楽器には、鍵盤蓋5の下に、鍵盤部90とともに操作パネルが設置され、ここに複数の操作子(ボタン、ノブ)94が配置されている。操作子94としては、例えば、楽器音色等の設定操作用スイッチや、自動演奏のための選曲、再生開始や再生停止等を制御するスイッチがある。
操作子94の操作は、検出部91により検出され、制御部92に出力され、制御部92では、各操作子に割り付けられた機能を、電子鍵盤楽器に設定する。音源部93に対する設定の場合は、音源部93に音源設定データを出力する。
上述した電子鍵盤楽器は、自動演奏部95と曲データ記憶部96が内蔵されている。自動演奏部95は、操作子の操作により、曲データ記憶部96に記憶された曲を読出し、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)形式の演奏データを制御部92に出力する。上述した自動演奏部95も、機器組み込みプログラムをCPUに実行させることにより実現される。
MIDIインタフェース97は、パーソナルコンピュータや他の電子楽器から供給されるMIDI形式の演奏データを、背面板22(図2)に設けられた端子から入力し、制御部92に出力する。
音源部93は、制御部92から入力された演奏データに応じて、音色等の音源設定や、押鍵操作に応じた音高と強さのステレオ(L,Rの2チャンネル)の楽音信号を生成し、増幅器98L,98R,100L、101R、及び、混合部(ミキサー)102に出力する。
図示の音源部93は、1つの楽音の発生用に、ステレオ用の左ソース、右ソースを使用する。これらの音源ソースは、図示しない音源波形メモリに記憶されている。
また、音源部93は、モノラルソースを使用するとし、操作された鍵の帯域等に応じて、左右の音量比を制御(音像定位制御)するものでもよい。
増幅器98L,98Rの出力は、それぞれ、ヘッドフォン用の外部出力端子99L,99Rに出力される。増幅器100Lの出力は、図1に示したコーンスピーカ18に出力され、増幅器100Rの出力はコーンスピーカ19に出力される。
混合部101は、音源部93のステレオ出力を混合し、増幅器102に出力する。増幅器102の出力は、昇圧トランス103の1次コイルに出力される。昇圧トランス103の2次コイルには、図1に示した面スピーカ141〜144を一例とする静電型スピーカが接続される。昇圧トランス103の2次コイルは、中点タップCTを有し、中点タップCTには、高圧のバイアス直流電源104と高抵抗の抵抗器105との直列回路が接続されている。上述した2次コイルの両端が端子106,107、抵抗器105の他端が端子108となる。
端子106は、図4(c),図4(d)に示した第1の固定電極シート62に接続され、端子107は、第2の固定電極シート66に接続され、端子108は、振動電極シート64に接続される。
ここで、静電型面スピーカの動作原理を、振動電極シート64を電位の基準にとって説明する。バイアス直流電源104により、第1の固定電極シート62及び第2の固定電極シート66は、E0=数百[V]の負に帯電し、振動電極シート64と第1の固定電極シート62との間、及び、振動電極シート64と第2の固定電極シート66との間に、互いに逆方向の静電吸引力が発生する。
この状態で、第1の固定電極シート62及び第1の固定電極シート66に、逆位相の楽音信号±e[V](eはE0より十分に小さい値)が印加されると、第1の固定電極シート62及び第2の固定電極シート66は、それぞれ、(E0+e)[V]、(E0−e)[V]で負に帯電する。その結果、振動電極シート64と第1の固定電極シート62との電極間、及び、振動電極シート64と第2の固定電極シート66との間の静電吸引力のバランスがくずれ、結果として、楽音信号e[V]に比例した静電吸引力が発生し、振動電極シート64は、楽音信号e[V]の正負に応じてプッシュプル駆動される。
上述した説明では、増幅器100L,100Rの出力を直接にコーンスピーカ18,19へ出力していた。コーンスピーカ18,19は、面スピーカ141〜144の低周波数側の再生出力低下を補うために用いる。そのため、通常は、ウーファスピーカと呼ばれるものを使用する。そこで、コーンスピーカ18,19の周波数特性に応じた楽音信号を供給するために、低域通過型フィルタ回路を、増幅器100L,100Rの入力側又は出力側に挿入することが望ましい。
同様に、増幅器102の入力側又は出力側に、面スピーカ141〜144の周波数特性に応じた楽音信号を昇圧トランス103に供給するための高域、又は、中高域通過型フィルタ回路を挿入してもよい。
上述したフィルタ回路の特性は、コーンスピーカ18,19から出力される音と面スピーカ141〜144から出力される音とが、周波数特性上においてバランスするように設計する。
さらにまた、高域再生用のツィータスピーカ(例えば、ドーム型ダイナミックスピーカ)を設け、増幅器100L,100Rはツィータスピーカにも楽音信号を分配してもよい。面スピーカ141〜144とツィータスピーカとを選択的に切替えていずれか一方を使用するためのスイッチを設けてもよい。
図示を省略したが、音源部93に、面スピーカ141〜144に専用のソースが用意されていてもよい。この場合、この専用のソースに基づく楽音信号を、増幅器102で増幅し、昇圧トランス103に供給する。
上述した面スピーカ141〜144を、左右のチャンネルに分けた場合、音源部93からステレオ信号の供給を受けて、混合部101にて混合することなく、増幅し、左右のチャンネルの昇圧トランスに出力する。
図8は、本願発明の第2の実施形態である、アップライトピアノ型電子鍵盤楽器の外観図である。
図8(a)は斜視図、図8(b)は図8(a)に示す面スピーカパネル111の長手方向中央の垂直断面図、図8(c)は面スピーカパネル111の変形例の長手方向中央の垂直断面図である。
図中、図1と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。
図8(a)において、面スピーカパネル111は、電子鍵盤楽器の左右の側面板(左脚体及び右脚体)2の間に、その面スピーカ112が面一を保持する形態で配設される。
図8(b)に示す面スピーカパネル111は、矩形の枠体113を矩形の面スピーカ112の前面にあてがうことにより、矩形の面スピーカ112が矩形の枠体113の背面を覆うものである。これに代えて、面スピーカパネル111は、図8(c)に示すように、矩形の面スピーカ112の前面及び背面の周縁部が、1対の矩形の枠体113に挟まれたものでもよい。
なお、図8(b)、図8(c)のいずれにおいても、面スピーカ112の周縁部には、固定電極や振動電極を設けないようにすることが望ましい。また、枠体113として、面スピーカ112と柔軟性がさほど変わらない、軟質の合成樹脂製のものを用いる。
枠体113の下端部に、図示の例では、下端部の中央及び左右に結合部材114が固着されている。一方、ペダルユニット11の前面には第1の被結合部材115が設けられている。第1の被結合部材115は、面スピーカパネル111の下端部、具体的には結合部材114に結合するための部材である。図示の第1の被結合部材115は、例えば、フック、孔、溝などであって、突起片、貫通孔、リング等の結合部材114を掛止めする部品である。結合部材114を永久磁石とし、被結合部材115を鉄製の部材としてもよい。
面スピーカパネル111は、結合部材114が第1の被結合部材115に掛止めされることにより、その面スピーカ112が面一の状態から形態が変わらない。
図8(b)、図8(c)において、116は回動支持軸であって、枠体113の上端部に設けられ、左右の側面板(左脚体及び右脚体)2の軸受穴117(図9(a))に回動可能に支持されている。
従って、面スピーカパネル111は、その上端部が左右の側面板(左脚体及び右脚体)2の間の上部位置に固定され、その下端部が自由端となる。
なお、面スピーカパネル111の上端部は、回動しない単なる固定軸によって、左右の側面板(左脚体及び右脚体)2の間の上部位置に固定されていたり、棚板21の下面に固定されていたりしてもよい。
図9は、図8に示した実施形態における面スピーカ取付構造を示す説明図である。
図9(a)〜図9(c)は、図8において、右側の側面板2を除去したときに、右側面から見える、面スピーカパネル111と左側の側面板2とを図示している。
図面を簡単化するため、面スピーカパネル111における面スピーカ112及び枠体113の表示を省略する。
図中、図1、図2、図8と同様な部分には同じ符号を付している。
図9(a)は面スピーカパネル111が、面一を保持する形態を示す説明図である。
図9(b)、図9(c)は、面スピーカパネル111が折れ曲がりを保持する第1,第2の形態を示す説明図である。
ユーザが面スピーカパネル111を手動操作することにより、上述した3種類の保持形態間で形態が変化する。
演奏者による演奏や自動演奏で楽音を発生させるとき、面スピーカパネル111(面スピーカ112)は、図9(a)〜図9(c)に示すいずれの形態であってもよい。
116は回動支持軸であり、面スピーカパネル111(枠体113)の上端面に配置され、左右の側面板(左脚体及び右脚体)2に設けられた軸受穴117に挿入されることにより、左右の側面板2に対し、回動可能に支持される。
118は、面スピーカパネル111を沿わせて折り曲げる案内部材であって、図示の例では、断面が円形の棒であり、左右の側面板2の間に架設される。
119は第2の被結合部材であり、120はこの被結合部材119の支持体であって、図示の例では、断面が矩形の棒であり、左右の側面板2の間に架設されている。
121は、第3の被結合部材であり、図示の例では、背面板22の裏面に設けられる。
図9(a)において、面スピーカパネル111は、その面スピーカ112を、左右の側面板(左脚体及び前記右脚体)2の間に面一を保持する形態で配設されている。
この形態で面スピーカ112を駆動すると、面スピーカ112の前面から、電子鍵盤楽器の前方に平面波が出力される。同時に、面スピーカ112の背面からも、電子鍵盤楽器の後方に平面波が出力される。
ここで、ユーザが、結合部材114と第1の被結合部材115との結合を外し、面スピーカパネル111の下端部を、案内部材118の向こう側(奥側)に通す。
図9(b)に示すように、ユーザが、案内部材118に沿って折れ曲がった面スピーカパネル111の結合部材114を第2の被結合部材119に結合することにより、面スピーカパネル111は、折れ曲がりを保持する形態に変化する。
この形態で面スピーカ112を駆動すると、案内部材118に当接する位置を境に、面スピーカ112のC1の部分の前面から発生する楽音が、演奏者の耳122により効果的に受聴される。
また、図9(a)に示す状態から、ユーザが、結合部材114と第1の被結合部材115との結合を外し、面スピーカパネル111の下端部を、案内部材118の向こう側に通すことなく、案内部材118に沿って折れ曲がった面スピーカパネル111の結合部材114を第3の被結合部材121に結合することにより、面スピーカパネル111は、図9(c)に示す折れ曲がりを保持する形態に変化する。
この場合、面スピーカ112のC1の部分の背面から発生する楽音が、電子鍵盤楽器の後方にいる聴衆に効果的に直達される。
図示の例では、折り曲げが1箇所であるが、複数の案内部材を用いて、複数箇所で折り曲げる場合は、図1に示した面スピーカパネル131〜134と同様に、面スピーカパネル111(面スピーカ112)をジグザグに折り曲げたり、湾曲させたりすることができる。その際、電子鍵盤楽器の前方(演奏者のいる側)を凸面にすれば、面スピーカ112の前面から出力される音の指向角が拡がる。一方、電子鍵盤楽器の前方(演奏者のいる側)を凹面にすれば、面スピーカ112の前面から出力される音が集束する。図9(b)において、面スピーカ112のC1の部分が、自身の撓みのため、凹面となっている。この場合、面スピーカ112のC1の部分から出力される楽音が、演奏者の耳の位置122で、光に例えて言えば、凸状の円柱レンズのような集束効果が得られる。
図9(c)の形態は、面スピーカ112の不使用時に、面スピーカパネル111をつり上げて収容する形態とすることもできる。
さらに、面スピーカパネル111を折り曲げる角度を180度とすることにより、畳み込まれた状態を保持する形態にすることもできる。この畳み込まれた状態は、折れ曲がる形態の極限の形態である。
図示を省略するが、図1、図2に示した一連の面スピーカパネル131〜134(面スピーカ141〜144)を、ヒンジ24〜26,被案内軸27を、全て、面スピーカパネル131〜134の前面側に配置しなおす。図9の案内部材118のような案内部材を1又は複数個用い、かつ、支持体120、結合部材114、第2の被結合部材119を用いることにより、上述した面スピーカ141〜144を、前方に凹となる湾曲面スピーカとすることができる。
図10は、図8、図9に示した実施形態に適用される柔軟性を有する静電型の面スピーカの具体例を示す平面図である。
図10(a)は、面スピーカの平面図であって、面スピーカ内の固定電極シートの配置を加えたものである。図10(b)は、図10(a)に面スピーカ内の導電性接着層の配置を加えた平面図である。
図10(c),(d),(e)は、それぞれ、図10(b)の矢視X-X,Y-Y,Z-Z方向を見た断面図である。図中、図4と同様な部分には同じ符号を付している。
この面スピーカ130は、モノラル(単チャンネル)用に、左右に2つの面スピーカユニット130A,130Bが中央の連接部130Cにおいて折り曲げ可能に配置されたものである。ほぼ左右対称構造であるため、左右の対称構成には同じ符号を付し、左側の面スピーカユニット130Aについてのみ説明する。
面スピーカユニット130A,130Bの間の領域が連接部130Cであり、面スピーカユニット130A,130Bを合わせたものの周縁部は、図示しない枠体を取り付ける領域となる。
図10(b)、図10(c)に示す141は、帯状の第1の導電性接着層であり、第1の固定電極シート62と第3の絶縁性シート61との両者の層間にあって、面スピーカ130の上縁の左半分に延設され、両者を接着する。導電性接着層は、例えば、導電性粘着剤自体や、金属箔テープの両面に導電性粘着剤を塗布したもので実現される。
図10(a)、図10(b)に示す132は、第1のフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit Board、以下FPCという)であり、絶縁フィルムの片面に導体箔(図示されない)が被着されたものである。
第1のFPC132は、第1の導電性接着層131と同一の層間にあって、面スピーカユニット130Aの上縁の一端部に設けられる。第1の導電性接着層131の一端部131aと第1のFPC132の一端部132aにおける導体箔とは、面スピーカユニット130Aの上縁の一部において重なり合い接着される。
第1のFPC132の他端部は、幅狭の第1の接続端子132bとなる。第1の接続端子132bの裏面にも導体箔が被着されている。第1の接続端子132bには入力線141の一端を挿入するための孔が開いており、挿通された入力線141の先端は、導体箔に半田付けされる。
図10(b)に示す133は、帯状の第2の導電性接着層であり、振動電極シート64と第1の絶縁性シート63との両者の層間にあって、面スピーカユニット130Aの左縁を縦方向に延設され、向きを変えて下縁の一部に至り、両者を接着する。
134は第2のFPCであり、絶縁フィルムの裏面に導体箔(図示せず)が被着されたものである。第2のFPC134は、第2の導電性接着層133と同一の層間にあって、面スピーカユニット130Aの左縁の上部に設けられる。第2の導電性接着層133の一端部133aと第2のFPC134の一端部134aにおける導体箔とは、面スピーカユニット130Aの左縁の一部において重なり合い接着される。
第2のFPC134の他端部は、幅狭の第2の接続端子134bとなる。第2の接続端子134bには、入力線142の一端を挿入するための孔が開いており、挿通された入力線142の先端は、導体箔に半田付けされる。
135は帯状の第3の導電性接着層であり、第2の絶縁性シート65と第2の固定電極シート66との両者の層間にあって、面スピーカユニット130Aの下縁に延設され、両者を接着する。
136は第3のFPCであり、第3の導電性接着層135と同じ層間にあって、面スピーカユニット130Aの下縁の一部から、方向を変えて左縁(第2の導電性接着層133の左側)を縦に延設される。第3の導電性接着層135の一端部135aと第3のFPC136の一端部136aにおける導体箔(図示せず)は、面スピーカユニット130Aの下縁の一部において重なり合い接着される。
第3のFPC136の他端部は、幅狭の第3の接続端子136bとなる。第3の接続端子136bには、入力線143の一端を挿入するための孔が開いており、挿通された入力線143の先端は、導体箔に半田付けされる。
図10(b)、図10(d)に示すように、連接部130Cは、この連接部130Cに隣接する面スピーカユニット130A,130Bの第3の絶縁性シート(前面保護シート)61、第1の絶縁性シート63、第2の絶縁性シート65、第4の絶縁性シート(背面保護シート)67のそれぞれと一体である、第3の絶縁性シート61、第1の絶縁性シート63、第2の絶縁性シート65、第4の絶縁性シート(背面保護シート)67を有し、かつ、面スピーカユニット130Aと130Bの第1の固定電極シート62、振動電極シート(振動膜)64、及び、第2の固定電極シート66を欠如したものである。
なお、連接部130Cにおいては、第1の絶縁性シート63、第2の絶縁性シート65も欠如していてもよい。
従って、図6に示した連接部82と同様に、連接部130Cに存在する絶縁性シートの層は、左右に隣接するユニット130A,130Bにおける同じ層から連続して存在し、全てのユニット及び連接部に共通の連続した層である。この連接部130Cで折り曲げたり折り畳んだりしても、電極シートが傷まない。振動電極シート(振動膜)64も、この連接部(折り畳み部)130Cに存在しないことになるので、折り曲げ使用時での振動を妨げないメリットもある。
次に、左右の面スピーカユニット130Aと130Bとの電気的結合構造について説明する。図10(b)、図10(d)に示す137は、帯状の第4の導電性接着層であり、先に説明した第3の導電性接着層133と同様に、振動電極シート64と第1の絶縁性シート63との両者の層間にあって、面スピーカユニット130Aの右縁を縦方向に延設され、両者を接着する。
右側の面スピーカユニット130Bにおいても、上述した第4の導電性接着層137と対称配置(面スピーカユニット130Bの左縁を縦方向)で同じ符号を付した第4の導電性接着層137が設けられている。
138は第4のFPCであり、絶縁フィルムの裏面に導体箔(図示せず)が被着され、その一端部138aと他端部138bとは縦方向に延びた短冊状であり、両者は、縦方向上部において幅狭の連結部により連結された形状である。
第4のFPC138は、第4の導電性接着層137と同一の層間にあって、面スピーカユニット130Aの左縁及び面スピーカユニット130Bの右縁の上部に設けられる。左の第4の導電性接着層137の一端部137aと第4のFPC138の一端部138aにおける導体箔とは、面スピーカユニット130Aの右縁の一部において重なり合い接着される。同様に、右の第4の導電性接着層137の一端部137aと第4のFPC138の他端部138bにおける導体箔とは、面スピーカユニット130Bの左縁の一部において重なり合い接着される。
また、右側の面スピーカユニット130Bにおいて、上述した第1の導電性接着層131と対称配置(面スピーカユニット130Bの上縁)で同じ符号を付した第1の導電性接着層131が設けられている。
139は第5のFPCであり、絶縁フィルムの裏面に導体箔(図示せず)が被着され、その一端部139aと他端部139bとは横方向に延びた短冊状であり、両者は、同じ横方向の幅狭の連結部により連結された形状である。
第5のFPC153は、第1の導電性接着層131と同一の層間にあって、面スピーカユニット130A及び面スピーカユニット130Bの上縁に設けられる。左の第1の導電性接着層131の他端部131bと第5のFPC139の一端部139aにおける導体箔(図示せず)とは、面スピーカユニット130Aの上縁の一部において重なり合い接着される。同様に、右の第1の導電性接着層131の他端部131bと第5のFPC139の他端部139bにおける導体箔とは、面スピーカユニット130Bの上縁の一部において重なり合い接着される。
右側の面スピーカユニット130Bにおいて、上述した第2の導電性接着層135と対称配置(面スピーカユニット130Bの下縁)で同じ符号を付した第2の導電性接着層135が設けられている。
図10(b)、図10(e)に示す140は第6のFPCであり、絶縁フィルムの裏面に導体箔が被着され、上述した第6のFPC140と上下対称の形状をしている。
第6のFPC140は、第2の導電性接着層135と同一の層間にあって、面スピーカユニット130A及び面スピーカユニット130Bの下縁に設けられる。左の第2の導電性接着層135の他端部135bと第6のFPC140の一端部140aにおける導体箔140cとは、面スピーカユニット130Aの下縁の一部において重なり合い接着される。同様に、右の第2の導電性接着層135の他端部135bと第6のFPC140の他端部140bにおける導体箔とは、面スピーカユニット130Bの下縁の一部において重なり合い接着される。
上述した第4〜第6のFPC138,139,140により、面スピーカユニット130Aの電極と130Bの電極との対応する者同士が電気的に接続される。
面スピーカユニット130A,130Bの連接部130Cにおいては、上述した第4〜第6のFPC138,139,140の幅を狭くすることにより、連接部130Cを折り曲げやすくしている。
上述した第1〜第4の導電性接着層131,133,135、137、及び、第1〜第6のFPC132,134,136,138,139,140は、面スピーカユニット130A、130Bの振動を妨げないように、その縁部又は縁部のさらに外側に配置されている。第1〜第3の接続端子132b,134b,136bは、いずれも、それぞれの層間において、入力線141,142,143に接続され、入力線141,142,143は、図示の例では、共通のプラグ144に接続される。
上述した面スピーカ130において、第4〜第6のFPC138,139,140を用いないで、面スピーカユニット130Bを、面スピーカユニット130Aと対称構造にし、面スピーカユニット130Bにも入力線141,142,143を設ければ、面スピーカ130がステレオスピーカとなる。
図8,図9に示した面スピーカ112として、図10に示したような、面スピーカユニット130A,130Bが、連接部130Cにより間隔を空けて連設された面スピーカ130を採用することができる。
この場合、面スピーカ130の上辺を面スピーカ112の右辺とし、面スピーカ130の左辺を面スピーカ112の上辺とし、各辺の長さは、図8に示した電子鍵盤楽器の寸法に応じた値になるように設計する。
さらに、連接部130Cの位置を、案内部材118に沿う面に形成されるように設計する。
連接部130Cは構造上、柔軟性を増すことが容易であるため、案内部材118による折り曲げの繰り返しに対して、十分な耐久性を持たせることができる。
1…脇側面板、2…側面板、3…前脚、4…ステー、5…鍵盤蓋、6…口棒、7…上前板、8…譜面受、9…天板、10…譜面板、11…ペダルユニット、11a…切り欠き、11b…切り欠き、11c…窪み、12…ペダル、12c…中央のペダル、131〜134…面スピーカパネル、141〜144…面スピーカ、151〜154…枠体、16…掛止具(フック)、16a…係止片、16b…ヒンジ、17…床面、18,19…コーンスピーカ、
21…棚板、22…背面板、23…ガイドレール、23a…開口部、23b…縁部、23c…側面部、23d…底面部、24〜26…ヒンジ、27…被案内軸、28…回動支持軸、29…永久磁石、30…鉄板、31…溝、32…演奏者の耳、33,34…中間係止部、
41…溝、42,44…平板、43…軸、43a,43b…端部、45…ネジ部材、46…溝、47,49…平板、48…軸、48a…端部、48b…他端部、51…ネジ部材、
60…面スピーカ、61…第1の絶縁性シート、62…第1の固定電極シート、63…第2の絶縁性シート、62a…貫通孔、64…振動電極シート、65…第3の絶縁性シート、66…第2の固定電極シート、66a…貫通孔、67…第4の絶縁性シート、68a〜68h,69a〜69h…接着層、
70…面スピーカ、71a,71b,71c…接着層、80A…面スピーカ、80B…面スピーカ、811〜815…面スピーカユニット、82…連接部、831〜834…面スピーカユニット、84a,84b…連接部、84c…周縁部、
90…鍵盤部、91…検出部、92…制御部、93…音源部、94…操作子、95…自動演奏部、96…曲データ記憶部、97…インタフェース、98L,98R,100L,100R…増幅器、99L,99R…外部出力端子、101…混合部、102…増幅器、103…昇圧トランス、104…バイアス直流電源、105…抵抗器、106,107,108…端子、
111…面スピーカパネル、112…面スピーカ、113…枠体、114…結合部材、115…第1の被結合部材、116…回動支持軸、117…軸受穴、118…案内部材、119…第2の被結合部材、120…支持体、121…第3の被結合部材、122…演奏者の耳、
130…面スピーカ、130A,130B…面スピーカユニット、130C…連接部、131,133,135,137…第1〜第4の導電性接着層、131a,133a,135a,137a…一端部、131b,135b…他端部、132,134,136,138,139,140…第1〜第6のFPC(フレキシブルプリント基板)、132a,134a,136a,137a,138a,139a,140a…一端部、132b,134b,136b…接続端子、138b,139b,140b…他端部、140c…導体箔、
141,142,143…入力線、144…プラグ

Claims (6)

  1. 鍵盤部を備える楽器本体部を当該左右において支持する左脚体及び右脚体を有する電子鍵盤楽器において、
    面スピーカを前記左脚体及び前記右脚体の間で面一を含む任意の形に保持する保持部を有し、
    該保持部にて前記面スピーカを保持することで、該面スピーカの面状態が変化して、変化したその形態で該面スピーカが配設される、
    ことを特徴とする電子鍵盤楽器。
  2. 鍵盤部を備える楽器本体部を当該左右において支持する左脚体及び右脚体を有する電子鍵盤楽器において、
    前記左脚体及び前記右脚体の間に面一を保持する形態の面スピーカが配設される、
    ことを特徴とする電子鍵盤楽器。
  3. 前記面スピーカは、前記面一を保持する形態に加えて、折れ曲がりを保持する形態を有し、両形態間で形態が変化するものである、
    ことを特徴とする請求項2に記載の電子鍵盤楽器。
  4. 前記面スピーカは、複数の面スピーカに分割されたものであり、
    分割された複数の面スピーカは、各分割された面スピーカの周縁部が枠体に支持されることにより、複数の面スピーカパネルを構成し、
    該複数の面スピーカパネルは、各面スピーカパネルの枠体が隣接し、隣接した枠体が連結部材により相互に連結されることにより、一連の面スピーカパネルとなるものであり、
    該一連の面スピーカパネルは、当該上端部が前記左脚体及び前記右脚体の間に支持され、当該下端部が自由端となるものであり、
    前記一連の面スピーカパネルは、前記分割された複数の面スピーカが、全体として面一を保持する形態と全体として折れ曲がりを保持する形態とを有し、両形態間で形態が変化するものである、
    ことを特徴とする請求項3に記載の電子鍵盤楽器。
  5. 前記左脚体及び前記右脚体にそれぞれ案内部材が設けられ、
    前記一連の面スピーカパネルは、前記案内部材により移動規制される被案内部材を有し、
    前記複数の面スピーカパネルは、前記被案内部材が前記案内部材により移動規制されながら相対移動することにより、前記分割された複数の面スピーカが、全体として面一を保持する形態と全体として折れ曲がりを保持する形態との間で、形態が変化する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の電子鍵盤楽器。
  6. 前記面スピーカを沿わせて折り曲げる案内部材と、
    前記面スピーカの下端部に結合する結合部材を有し、
    前記面スピーカは、当該上端部が前記左脚体及び前記右脚体の間に固定され、当該下端部が自由端となるものであり、
    前記面スピーカは、前記案内部材に沿って折れ曲がった後に当該面スピーカの下端部が前記結合部材に結合することにより、前記面一を保持する形態から前記折れ曲がりを保持する形態に変化する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の電子鍵盤楽器。
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