JP2012037447A - 雷インパルス耐電圧試験システムおよび基準波形算出プログラム、並びに雷インパルス耐電圧試験方法 - Google Patents

雷インパルス耐電圧試験システムおよび基準波形算出プログラム、並びに雷インパルス耐電圧試験方法 Download PDF

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Abstract

【課題】雷インパルス耐電圧試験において対象物の絶縁耐性を正確に判定することが可能な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる雷インパルス耐電圧試験システムの構成は、対象物に雷インパルス電圧を印加した記録波形データRDを取得する記録波形データ取得部110と、波頭領域W1において第1閾値以上かつ第2閾値以下の波頭領域中核部Wfを抽出する波頭領域抽出部112と、波尾領域W2において第3閾値以下かつ第4閾値以上の波尾領域中核部Wrを抽出する波尾領域抽出部114と、波頭領域中核部Wfおよび前記波尾領域中核部Wrのデータを用いて式(1)を回帰分析することにより、基準波形関数BCを算出する基準波形算出部116と、基準波形関数BCと記録波形データRDに基づきオーバーシュート率OSrを算出する絶縁耐性判定部118と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、雷インパルス耐電圧試験に適用される雷インパルス耐電圧試験システムおよび基準波形算出プログラム、並びに雷インパルス耐電圧試験方法に関する。
電力機器の絶縁耐性を判定するための1つの方法として、IEC60060−1に基づく雷インパルス耐電圧試験が採用されている。IEC60060−1に基づく雷インパルス耐電圧試験では、例えば特許文献1に記載されているような試験装置を使用して、対象物に雷インパルス電圧を印加して記録波形データ(時間に対する推移データ)を取得する。そして、記録波形データを取得したら、これに基づき基準波形関数を導出する。
現状において基準波形関数は、記録波形データの立ち上がり部分の波高値に対して20%以上の部分から収束部分(終端部分)の40%以上の部分までのデータを用いて、下記の式(1)を回帰分析することにより4つの係数A、α、β、tを決定して算出される。なお、上記算出法を用いずに、基準波形を記録波形データに基づき経験(目分量)で設定することも行われている。
Figure 2012037447
基準波形関数(基準波形)が求まると、記録波形データと基準波形関数の波高値に基づきオーバーシュート率が算出される。オーバーシュート率は下記の式(2)によって求められる。このオーバーシュート率によって、対象物の絶縁耐性が判定される。
Figure 2012037447
現行のIEC60060−1では、オーバーシュート率を5%以内とすることを規定している。しかし、UHV(Ultra High Voltage)に適用する大型機器では、静電容量および電源ライン等の残留インダクタンス(寄生容量)が必然的に大きくなるので振動成分の重畳の抑制(オーバーシュート率の低減)が極めて困難である。そこで、オーバーシュート率を10%以内に緩和するとともに、k−ファクタ法を導入しようというIEC60060−1の改定案が了承されつつある。k−ファクタ法に関しては、例えば非特許文献1に記載されている。
特開2009−168733号公報
加藤利次、"k-ファクタ法によるインパルスパラメータの決定法"、[online]、同志社大学 理工学部、[平成22年7月20日検索]、インターネット<URL: http://kairo.doshisha.ac.jp/~kato/documents/temp/080924B%83p%83l%83%8B/%89%c1%93%a1-Kfactor.ppt>
上述した従来の基準波形関数の算出法では、記録波形データのオーバーシュートした部分に引っ張られて、その波高値が高めに算出される傾向がある。基準波形関数とは、対象物に雷インパルス電圧を印加した際に振動成分が重畳してオーバーシュートすることのない理想的な波形を仮定したものであるため(寄生容量等を把握できないため正確な導出は不可能)、オーバーシュートした部分に引っ張られることは本来の波形からの乖離につながる。なお、EMPT(Electro Magnetic Transients Program)解析等によってこの理想的な波形を概算しても、従来の基準波形関数の算出法ではその波高値が高めに算出されることが証明される。
基準波形関数の波高値が高めに算出されると、絶縁耐性の判定基準たるオーバーシュート率が低めに算出される。これより、規格に適合しているか否かの判定が甘めになり、不合理をもたらす可能性がある。一方、基準波形を記録波形データに基づき経験で設定する場合には、人員の主観性に強く依存するため、判定基準を一定に保てないおそれがある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、雷インパルス耐電圧試験において対象物の絶縁耐性を正確に判定することが可能な雷インパルス耐電圧試験システムおよびこれに利用される基準波形算出プログラム、並びに雷インパルス耐電圧試験方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討し、記録波形データのオーバーシュートした部分に着目した。上記のようにUHV(Ultra High Voltage)に適用する大型機器では、静電容量および電源ライン等の残留インダクタンス(寄生容量)が必然的に大きく、振動成分の重畳を防止してオーバーシュートを回避することは実質的に不可能である。そこで、記録波形データのオーバーシュートした部分の影響を除外して基準波形関数を導出できるように研究を重ねた結果、記録波形データを立ち上がりから波高値に至るまでの波頭領域と波高値通過後の波尾領域に分割して、それぞれの中核部を抜き出す新手法を見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明にかかる雷インパルス耐電圧試験システムの代表的な構成は、対象物に雷インパルス電圧を印加した記録波形データを取得する記録波形データ取得部と、記録波形データの立ち上がりから波高値に至るまでの波頭領域において第1閾値以上であって第2閾値以下の波頭領域中核部を抽出する波頭領域抽出部と、記録波形データの波高値通過後の波尾領域において第3閾値以下であって第4閾値以上の波尾領域中核部を抽出する波尾領域抽出部と、波頭領域中核部および波尾領域中核部のデータを用いて上記の式(1)を回帰分析することにより、4つの係数A、α、β、tを決定して基準波形関数を算出する基準波形算出部と、基準波形関数と記録波形データの波高値に基づきオーバーシュート率を算出して対象物の絶縁耐性を判定する絶縁耐性判定部と、を有することを特徴とする。
かかる構成によれば、記録波形データのオーバーシュートした部分の影響を除外して考慮するので、より適切な基準波形関数を算出することができる。よって、対象物の絶縁耐性を正確に判定することが可能となる。
上記第1閾値が波高値に対し20%、上記第2閾値が波高値に対し75%〜85%、上記第3閾値が波高値に対し75%〜85%、上記第4閾値が波高値に対し40%であるとよい。これにより、さらに適切な基準波形関数を算出することができる。
本発明にかかる基準波形算出プログラムの代表的な構成は、雷インパルス耐電圧試験に用いる基準波形関数を算出するためにコンピュータを、対象物に雷インパルス電圧を印加した記録波形データを取得する記録波形データ取得手段、記録波形データの立ち上がりから波高値に至るまでの波頭領域において第1閾値以上であって第2閾値以下の波頭領域中核部を抽出する波頭領域抽出手段、記録波形データの波高値通過後の波尾領域において第3閾値以下であって第4閾値以上の波尾領域中核部を抽出する波尾領域抽出手段、並びに、波頭領域中核部および波尾領域中核部のデータを用いて上記の式(1)を回帰分析することにより、4つの係数A、α、β、tを決定して基準波形関数を算出する基準波形算出手段、として機能させることを特徴とする。
かかる構成によれば、適切な基準波形関数を算出するプログラムとして、汎用化を図ることができる。なお、上述した雷インパルス耐電圧試験システムにおける技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該基準波形算出プログラムにも適用可能である。
本発明にかかる雷インパルス耐電圧試験方法の代表的な構成は、対象物に雷インパルス電圧を印加して記録波形データを取得する記録波形データ取得ステップと、記録波形データの立ち上がりから波高値に至るまでの波頭領域において第1閾値以上であって第2閾値以下の波頭領域中核部を抽出する波頭領域抽出ステップと、記録波形データの波高値通過後の波尾領域において第3閾値以下であって第4閾値以上の波尾領域中核部を抽出する波尾領域抽出ステップと、波頭領域中核部および波尾領域中核部のデータを用いて上記の式(1)を回帰分析することにより、4つの係数A、α、β、tを決定して基準波形関数を算出する基準波形算出ステップと、基準波形関数と記録波形データの波高値に基づきオーバーシュート率を算出して対象物の絶縁耐性を判定する絶縁耐性判定ステップと、を含むことを特徴とする。
かかる構成によれば、雷インパルス耐電圧試験において対象物の絶縁耐性を正確に判定することが可能となる。なお、上述した雷インパルス耐電圧試験システムにおける技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該雷インパルス耐電圧試験方法にも適用可能である。
本発明によれば、雷インパルス耐電圧試験において対象物の絶縁耐性を正確に判定することが可能な雷インパルス耐電圧試験システムおよびこれに利用される基準波形算出プログラム、並びに雷インパルス耐電圧試験方法を提供可能である。
本実施形態にかかる雷インパルス耐電圧試験システムの概略構成を示すブロック図である。 本実施形態にかかる雷インパルス耐電圧試験方法について説明するフローチャートである。 基準波形関数の算出について説明する図である。 評価波形データの算出について説明する図である。 評価波形データの判定について説明する図である。 本実施形態の基準波形算出法と従来の基準波形算出法の精度を比較した図である。 重畳する振動成分が300kHzの場合と、重畳する振動成分が600kHzの場合とを比較した図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態にかかる雷インパルス耐電圧試験システム100の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、雷インパルス耐電圧試験システム100は、システム制御部102および記憶部104を含んで構成されるコンピュータシステムである。システム制御部102は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)を含む半導体集積回路であって、雷インパルス耐電圧試験システム100全体の管理、制御を行う。記憶部104は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、システムで利用されるプログラムや各種データを記憶する。
また、雷インパルス耐電圧試験システム100には、入力部106および出力部108が備えられている。入力部106は、キーボードやマウス、タッチパネル、あるいはファイル入出力装置やネットワークを通じたデータ通信等により、外部からシステムへ所定の情報を取り込む。出力部108は、ディスプレイやプリンタ等で構成され、使用者に情報を表示したり、印刷を行ったりする。また、出力内容をデータとして記録媒体に保存したり、ネットワークを通じたデータ通信やウェブ表示などを行ったりすることも可能である。
以下、図2〜図5を用いて雷インパルス耐電圧試験システム100の記録波形データ取得部110、波頭領域抽出部112、波尾領域抽出部114、基準波形算出部116、絶縁耐性判定部118、残差波形算出部120、残差波形処理部122、評価波形算出部124および評価波形判定部126について説明する。
図2は、本実施形態にかかる雷インパルス耐電圧試験方法について説明するフローチャートである。雷インパルス耐電圧試験システム100は、図2のフローチャートの各ステップを経て対象物の絶縁耐性を判定する。図3は、基準波形関数BCの算出について説明する図である。図4は、評価波形データEDの算出について説明する図である。図5は、評価波形データEDの判定について説明する図である。
記録波形データ取得ステップS110では、記録波形データ取得部110によって、対象物に雷インパルス電圧を印加した記録波形データRD(時間に対する推移データ)が取得される(図3(a)参照)。記録波形データ取得部110は、自らが上記の雷インパルス電圧を対象物に印加する試験装置(回路)であってもよいし、このような装置から出力された記録波形データRDを受け取る部分として構成してもよい。
なお、図3(a)〜図3(c)に示すように、本実施形態では記録波形データRDにおいてその立ち上がりから波高値P(波高点)に至るまでを波頭領域Wとする。また、記録波形データRDにおいて波高値P通過後を波尾領域Wとする。
波頭領域抽出ステップS112では、波頭領域抽出部112が波頭領域Wから、第1閾値以上であって第2閾値以下の波頭領域中核部Wfを抽出する(図3(b)参照)。波尾領域抽出ステップS114では、波尾領域抽出部114が波尾領域Wから、第3閾値以下であって第4閾値以上の波尾領域中核部Wrを抽出する(図3(b)参照)。なお、図2のフローチャートでは波頭領域抽出ステップS112の後に波尾領域抽出ステップS114を実施しているが、この順番は逆にしても良く、並列的に同時に処理してもよい。
基準波形算出ステップS116では、基準波形算出部116が、上記波頭領域中核部Wfおよび上記波尾領域中核部Wrのデータを用いて下記の式(1)を回帰分析することにより(下記の式(1)がこれらのデータを近似するように回帰分析することにより)、4つの係数A、α、β、tを決定して基準波形関数BCを算出する(図3(c)参照)。
Figure 2012037447
本実施形態では、第1閾値を波高値Pに対し20%、第2閾値を波高値Pに対し75%〜85%、第3閾値を波高値Pに対し75%〜85%、第4閾値を波高値Pに対し40%としている。すなわち、波頭領域抽出部112、波尾領域抽出部114は波高値Pを算出してこれらの比率を乗じ、各閾値を算出する。少なくとも第2閾値および第3閾値を80%(許容誤差+5%〜−5%)とすれば、オーバーシュートした部分の影響を除外して適切な基準波形関数BCを導出可能なことが確認されている。
なお、従来の算出法、すなわち記録波形データRDの80%を超える範囲も含んで算出された基準波形関数BCpは、オーバーシュートした部分に引っ張られてその波高値が相対的に高めに算出される。これはEMPT解析により概算される振動成分が重畳してオーバーシュートすることのない理想的な波形(本来の波形)からも乖離することとなる。よって、対象物の絶縁耐性を正確に判定できないおそれがある。
絶縁耐性判定ステップS118では、絶縁耐性判定部118が、記録波形データRDの波高値Pと、基準波形関数BCの波高値PBCに基づき、下記の式(2)よりオーバーシュート率OSrを算出する。IEC60060−1において、オーバーシュート率OSrは、現行では5%以内、改定案では10%以内とされている。
Figure 2012037447
上記のオーバーシュート率OSrが所定範囲内(例えば10%以内)でなかった場合には(絶縁耐性判定ステップS118No)、対象物の絶縁耐性が所定の規格外と見なされ、その旨がユーザに出力される(非適合出力ステップS130)。上記のオーバーシュート率OSrが所定範囲内であった場合には(絶縁耐性判定ステップS118Yes)、さらに下記の各ステップを経て、記録波形データRDの波高値Pの裕度、規格波頭長、規格波尾長が所定範囲内であるか否かが判定される。
残差波形算出ステップS120では、残差波形算出部120が、記録波形データRDから基準波形関数BCを差し引いた残差波形データGDを算出する(図4(a)参照)。残差波形処理ステップS122では、残差波形処理部122が、残差波形データGDをk−ファクタ法に基づきフィルタリング処理して、フィルタリング処理後の残差波形データGDfを出力する(図4(b)参照)。k−ファクタ法に関しては、当業者において周知であるためその説明を省略する。
評価波形算出ステップS124では、評価波形算出部124が、上記で求めた基準波形関数BCにフィルタリング処理後の残差波形データGDfを足し合わせて、評価波形データEDを算出する(図4(c)参照)。これより、評価波形判定ステップS126にて、評価波形判定部126が、評価波形データEDの波高値PEDの裕度(目標電圧値(規定値)と実測値との差)、規格波頭長T、規格波尾長Tが所定範囲内であるか否かを判定する。
図5は、評価波形データEDの判定について説明する図である。図5に示すように、規格波頭長Tとは、波形の立ち上がり部分において波高値PEDに対し30%および90%を通る直線Lが時間軸と交わる規格原点Oから、この直線Lが波高値PEDに至るまでの時間のことである。規格波尾長Tとは、規格原点Oから、波高値PED通過後に波高値PEDに対し50%に低下するまでの時間のことである。現行の基準では、評価波形データEDの波高値PEDの裕度は+3%から−3%とされている。また、規格波頭長Tは、1.2μs(許容誤差+30%〜−30%)とされており、規格波尾長Tは、50μs(許容誤差+20%〜−20%)とされている。
波高値PEDの裕度、規格波頭長T、規格波尾長Tが上記の基準を満たしている場合には(評価波形判定ステップS126Yes)、対象物の絶縁耐性が所定の規格を満たしていると見なされ、その旨がユーザに出力される(適合出力ステップS128)。一方、波高値PEDの裕度、規格波頭長T、規格波尾長Tが上記の基準を満たしていない場合には(評価波形判定ステップS126No)、対象物へ雷インパルス電圧を印加する試験装置を調整して(例えば、制動抵抗を増減して)、再び対象物に雷インパルス電圧を印加して記録波形データRDを取得する。
以上、上述した雷インパルス耐電圧試験システム100によれば、従来よりも正確な基準波形関数BCを算出することができるため、対象物の絶縁耐性をより正確に判定することが可能となる。なお、コンピュータを記録波形データ取得部110(記録波形データ取得手段)、波頭領域抽出部112(波頭領域抽出手段)、波尾領域抽出部114(波尾領域抽出手段)および基準波形算出部116(基準波形算出手段)として機能させる基準波形算出プログラムを構築することで、汎用のコンピュータを用いて上述した基準波形算出方法を実施することができる。従来の基準波形算出法に比して、本実施形態の基準波形算出法が優れていることは明確であり、新たなスタンダードとしての定着が見込まれるため、このような汎用化は顕著な効果を奏する。
以下、本実施形態が奏する効果について確認するために、本発明者らが行った検討手法について実施例として記載する。
本実施例では、下記の式(3)に基づき記録波形データRDを模擬する。そして、記録波形データRDを模擬したものに、上記実施形態の基準波形算出法と従来の基準波形算出法を適用して、これらの精度を比較する。なお、式(3)では右辺第1項(式(1)に相当する部分)が振動成分を除外した理想的な波形(本来の波形)を表し、右辺第2項(式(1)に相当する部分を除いた残りの部分)がインダクタンスの影響によりこれに重畳する振動成分を表している。精度を確認するために、1000kV級の試験装置にて実測した記録波形データRDをこの式(3)にあてはめたところ、非常によく模擬できることを確認した。
Figure 2012037447
ここでは、右辺第1項は、標準雷インパルス電圧(規格波頭長1.2μs(許容誤差+30%〜−30%)、規格波尾長50μs(許容誤差+20%〜−20%))となるように、各パラメータ(A、α、β、t’)を決定した。具体的には、所定の定数Aを1.0373、波尾要素αを0.014659、波頭要素βを2.4689に設定した。右辺第2項は、右辺第1項と上記式(3)すなわち模擬した記録波形データRDとの波高値に基づき算出されるオーバーシュート率OSrが所定の値(10%、20%、30%)となるように各パラメータ(C、f、θ、γ)を決定した。詳細には、振幅Cは所定の定数Aと同値に固定した。周波数fは100kHz〜800kHzの間にて100kHzごとに設定した。位相θと減衰率γはオーバーシュート率OSrが所定の値となるように設定した。
表1では、周波数fをそれぞれ100kHz、200kHz、300kHz、400kHzに設定して記録波形データRDを模擬し、これに本実施形態の基準波形算出法と従来の基準波形算出法を適用した場合の精度を示している。また、図6は、これらの精度を比較する図である。表1および図6に示すように、記録波形データRDの重畳周波数を100kHz〜400kHzとして模擬した場合に対して、本実施形態の基準波形算出法を適用すると従来の基準波形算出法よりもはるかに高い精度を獲得できることが証明された。
Figure 2012037447
表2では、周波数fをそれぞれ500kHz、600kHz、700kHz、800kHzに設定して記録波形データRDを模擬し、これに本実施形態の基準波形算出法と従来の基準波形算出法を適用した場合の精度を示している。また、図7は、重畳する振動成分が300kHzの場合と、重畳する振動成分が600kHzの場合とを比較した図である。表2に示すように、本実施形態の基準波形算出法と従来の基準波形算出法の精度の差は、周波数fが高いものに適用するほど少なくなる。これは、図7に示すように、高周波になるほど波高値通過後の谷部C1、C2の割合(降下範囲)が大きくなり、従来の基準波形算出法を適用したとしてもオーバーシュートした部分の影響が相殺されるためと考えられる。いずれにせよ、本実施形態の基準波形算出法では、高い精度が確保されることが証明された。
Figure 2012037447
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、雷インパルス耐電圧試験に適用される雷インパルス耐電圧試験システムおよび基準波形算出プログラム、並びに雷インパルス耐電圧試験方法として利用することができる。
100…雷インパルス耐電圧試験システム、102…システム制御部、104…記憶部、106…入力部、108…出力部、110…記録波形データ取得部、112…波頭領域抽出部、114…波尾領域抽出部、116…基準波形算出部、118…絶縁耐性判定部、120…残差波形算出部、122…残差波形処理部、124…評価波形算出部、126…評価波形判定部、O…規格原点、P、PED、PBC…波高値、T…規格波頭長、T…規格波尾長、W…波頭領域、W…波尾領域、Wf…波頭領域中核部、Wr…波尾領域中核部、RD…記録波形データ、BC…基準波形関数、BCp…従来手法に基づく基準波形関数、GD…残差波形データ、GDf…フィルタリング処理後の残差波形データ、ED…評価波形データ、C1、C2…谷部

Claims (4)

  1. 対象物に雷インパルス電圧を印加した記録波形データを取得する記録波形データ取得部と、
    前記記録波形データの立ち上がりから波高値に至るまでの波頭領域において、第1閾値以上であって第2閾値以下の波頭領域中核部を抽出する波頭領域抽出部と、
    前記記録波形データの波高値通過後の波尾領域において、第3閾値以下であって第4閾値以上の波尾領域中核部を抽出する波尾領域抽出部と、
    前記波頭領域中核部および前記波尾領域中核部のデータを用いて下記の式(1)を回帰分析することにより、4つの係数A、α、β、tを決定して基準波形関数を算出する基準波形算出部と、
    前記基準波形関数と前記記録波形データの波高値に基づきオーバーシュート率を算出して、前記対象物の絶縁耐性を判定する絶縁耐性判定部と、
    を有することを特徴とする雷インパルス耐電圧試験システム。
    Figure 2012037447
  2. 前記第1閾値が波高値に対し20%、前記第2閾値が波高値に対し75%〜85%、前記第3閾値が波高値に対し75%〜85%、前記第4閾値が波高値に対し40%であることを特徴とする請求項1に記載の雷インパルス耐電圧試験システム。
  3. 雷インパルス耐電圧試験に用いる基準波形関数を算出するためにコンピュータを、
    対象物に雷インパルス電圧を印加した記録波形データを取得する記録波形データ取得手段、
    前記記録波形データの立ち上がりから波高値に至るまでの波頭領域において、第1閾値以上であって第2閾値以下の波頭領域中核部を抽出する波頭領域抽出手段、
    前記記録波形データの波高値通過後の波尾領域において、第3閾値以下であって第4閾値以上の波尾領域中核部を抽出する波尾領域抽出手段、並びに
    前記波頭領域中核部および前記波尾領域中核部のデータを用いて下記の式(1)を回帰分析することにより、4つの係数A、α、β、tを決定して基準波形関数を算出する基準波形算出手段、
    として機能させるための基準波形算出プログラム。
    Figure 2012037447
  4. 対象物に雷インパルス電圧を印加して記録波形データを取得する記録波形データ取得ステップと、
    前記記録波形データの立ち上がりから波高値に至るまでの波頭領域において、第1閾値以上であって第2閾値以下の波頭領域中核部を抽出する波頭領域抽出ステップと、
    前記記録波形データの波高値通過後の波尾領域において、第3閾値以下であって第4閾値以上の波尾領域中核部を抽出する波尾領域抽出ステップと、
    前記波頭領域中核部および前記波尾領域中核部のデータを用いて下記の式(1)を回帰分析することにより、4つの係数A、α、β、tを決定して基準波形関数を算出する基準波形算出ステップと、
    前記基準波形関数と前記記録波形データの波高値に基づきオーバーシュート率を算出して、前記対象物の絶縁耐性を判定する絶縁耐性判定ステップと、
    を含むことを特徴とする雷インパルス耐電圧試験方法。
    Figure 2012037447
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