JP2012033225A - ディスク検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハードウェアの微調整等を行うことなく、装置間での検査結果のばらつきを抑え得るディスク検査装置を提供する。
【解決手段】ディスクを検査するディスク検査装置は、ディスクに再生用レーザ光を照射した際に得られる反射光の強度に基づいてRF信号を取得する光ピックアップ等からなるRF信号取得手段と、入力されたRF信号をエラー訂正しつつ復号し訂正後の復号データおよびエラーレートを出力する復号部40と、RF信号取得手段により取得されるとともに復号部40に入力される前のRF信号のS/N比を、品質が既知の基準ディスクを検査した際に前記復号部40から出力される特定のジッター値におけるエラーレートが規定の範囲内に収まるような値に劣化可能なS/N比調整部42と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、ディスクを検査するディスク検査装置に関する。
従来から、レーザ光を照射することによりデータの記録再生が可能な光ディスクなどの記録媒体ディスクが広く知られている。かかるディスクにおいては、経年劣化などにより、データの記録品質が劣化し、場合によっては、データの再生が困難になり、情報が損失する場合がある。ディスクで各種情報を記録保管しているディスクアーカイブにおいては、こうしたディスクの劣化による情報損失は、大きな問題となる。そのため、ディスクアーカイブにおいては、定期的に保管されている大量のディスクの品質を検査することが求められる。また、ディスクの貸し出しや販売を行うディスクのレンタルショップや中古販売店においても、当該光ディスクの貸し出し・販売に先立って、当該ディスクの品質を検査することが求められる。
こうした問題を受け、ディスクの良否を高速に検査するための装置が従来から多数提案されている。こうした検査装置の多くは、通常のディスク再生装置と同様のディスクドライブを備えている。そして、検査装置の多くは、このディスクドライブでディスクを再生した際の再生品質、例えば、エラーレートなどに基づいてディスクの品質を検査している。
特開平10−302412号公報
しかし、このエラー検出量は、各検査装置に搭載されているオプティカルパワーユニットや、データ処理のハードウェアに依存しており、同一ディスクを検査した場合であっても、検査装置によって、結果が異なることがあった。その結果、検査装置ごとに、検査結果のばらつきが生じてしまい、正確に品質を検査できないという問題があった。もちろん、OPUやデータ処理のハードウェアの特性を揃えるように、これら部品を交換したり、微調整したりすることで、こうした問題は低減できる。しかし、各種ハードウェアの交換や微調整は、コスト増加や手間増加といった新たな問題を生じる。
なお、特許文献1には、ビタビ復号処理で用いるパスメモリ長を変更することで、エラーレートを向上させる技術が開示されているが、かかる技術では、エラー感度が過度に低い検査装置のエラー感度を適正値に修正することはできなかった。
そこで、本発明では、ハードウェアの微調整等を行うことなく、装置間での検査結果のばらつきを抑え得るディスク検査装置を提供することを目的とする。
本発明のディスク検査装置は、ディスクを検査するディスク検査装置であって、ディスクに再生用レーザ光を照射した際に得られる反射光の強度に基づいて、RF信号を取得するRF信号取得手段と、入力されたRF信号をエラー訂正しつつ復号し、訂正後の復号データおよびエラーレートを出力する復号手段と、前記RF信号取得手段により取得されるとともに復号手段に入力される前のRF信号のS/N比を、品質が既知の基準ディスクを検査した際に前記復号手段から出力される特定のジッター値におけるエラーレートが規定の範囲内に収まるような値に劣化可能なS/N比調整手段と、を備えることを特徴とする。
好適な態様では、前記S/N比調整手段は、前記復号手段に入力される前のRF信号に対して、ホワイトノイズを付加することで、S/N比を劣化させる。他の好適な態様では、前記S/N比劣化手段は、前記復号手段に入力される前のRF信号を、前記基準ディスクを検査した際に前記復号手段から出力される特定のジッター値におけるエラーレートと、予め規定された基準値と、の差が最小になるような値に劣化させる。
他の好適な態様では、さらに、前記復号手段から出力されたエラーレートに対して係数を乗算し、当該係数乗算後のエラーレートを当該ディスク検査装置での検査結果として出力する係数乗算手段を含み、前記係数は、前記基準ディスクを検査した際に特定のジッター値において得られるエラーレートが予め規定された基準値になるような値に調整可能である。
他の好適な態様では、前記復号手段は、前記ノイズ付加後の信号に対してビタビ復号を行うビタビ復号手段と、前記ビタビ復号手段から出力されたデータをエラー訂正しつつ復号し、訂正後の復号データおよびエラーレートを出力する主復号手段と、を含み、さらに、前記基準ディスクを検査した際に前記復号手段から出力される特定のジッター値におけるエラーレートが前記規定の範囲内に収まる値になるように、前記ビタビ復号手段のエラー訂正能力を調整可能なビタビ調整手段を備える。この場合、前記ビタビ調整手段は、ビタビ訂正処理で用いるパスメモリのメモリ長を変化させることで訂正能力を調整する、ことが望ましい。
他の本発明であるディスク検査装置の調整方法は、ディスクを再生した際に得られるRF信号をエラーを訂正しつつ復号し、訂正後の復号データおよびエラーレートを出力する復号手段を備えたディスク検査装置の調整方法であって、前記復号手段に入力されるRF信号のS/N比を、品質が既知の基準ディスクを検査した際に前記復号手段から出力される特定のジッター値におけるエラーレートが規定の範囲内に収まる値に劣化させるS/N比調整ステップを含む、ことを特徴とする。
本発明によれば、RF信号のS/N比が一定範囲内に劣化可能であるため、エラー感度が過度に低い検査装置であっても、基準検査装置に近いエラー感度に調整することが可能となる。その結果、ハードウェアの微調整等を行うことなく、装置間での検査結果のばらつきを抑えることができる。
本発明の実施形態であるディスク検査装置の構成を示すブロック図である。 復号ユニットの詳細構成を示すブロック図である。 装置ごとのエラー感度の違いを示すグラフである。 エラー感度調整の流れを示すフローチャートである。 ノイズ強度・メモリ長調整の流れを示すフローチャートである。 補正係数の算出・設定の流れを示すフローチャートである。 検査装置A,Bにノイズ強度・メモリ長調整を施した結果を示すグラフである。 検査装置Aに係数乗算を施した結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態であるディスク検査装置10の構成ブロック図である。このディスク検査装置10は、ディスク100(例えば、DVDやCD、ブルーレイディスクなど)の再生を困難にする不具合(欠陥)の有無を検査する装置である。以下、このディスク検査装置10について詳説する。
検査対象であるCDやDVD等のディスク100はスピンドルモータ(SP)12により回転駆動される。スピンドルモータ12は、SPドライバ14で駆動され、SPドライバ14はサーボプロセッサ30により所望の回転速度となるようにサーボ制御される。
光ピックアップ16は、レーザ光をディスク100に照射するためのレーザダイオード(LD)やディスク100からの反射光を受光して電気信号に変換するフォトディテクタを含み、ディスク100に対向配置される。光ピックアップ16はスレッドモータ(SLD)18によりディスク100の半径方向に駆動され、スレッドモータ18はSLDドライバ20で駆動される。SLDドライバ20は、SPドライバ14と同様にサーボプロセッサ30によりサーボ制御される。また、光ピックアップ16のレーザダイオードはLDドライバ22により駆動され、LDドライバ22は、オートパワーコントロール回路(APC)24により、駆動電流が所望の値となるように制御される。APC24及びLDドライバ22は、システムコントローラ32からの指令によりレーザダイオードの発光量を制御する。なお、図ではLDドライバ22は光ピックアップ16と別個に設けられているが、LDドライバ22を光ピックアップ16に搭載してもよい。また、光ピックアップ16には、対物レンズを駆動するアクチュエータ(ACT)が設けられており、当該アクチュエータは、ACTドライバ25で駆動される。このACTドライバ25は、サーボプロセッサ30により所望の駆動量となるようにサーボ制御される。
ディスク100の検査に当たっては、ディスク100に記録されたデータを再生するが、当該再生を実行する際には、光ピックアップ16のレーザダイオードから再生パワーのレーザ光が照射され、その反射光がフォトディテクタで電気信号に変換されてRF信号として出力される。
光ピックアップ16からのRF信号はRF回路26に供給される。RF回路26は、RF信号からフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を生成し、サーボプロセッサ30に供給する。サーボプロセッサ30は、これらのエラー信号に基づいて光ピックアップ16をサーボ制御し、光ピックアップ16をオンフォーカス状態及びオントラック状態に維持する。また、RF回路26は、RF信号に含まれるアドレス信号を2値化回路34を介してアドレスデコード回路28に供給する。アドレスデコード回路28は2値化されたアドレス信号からディスク100のアドレスデータを復調し、サーボプロセッサ30やシステムコントローラ32に供給する。
また、RF回路26は、RF信号を2値化回路34を介して復号ユニット36にも供給する。復号ユニット36では、2値化されたRF信号を復号するとともに、当該ディスク100のエラーレートを出力する。ディスク検査装置10では、この復号ユニット36で算出されるエラーレートに基づいて、ディスク100の良否を判定するが、この復号ユニット36の詳細については、後に詳説する。
システムコントローラ32は、システム全体の動作を制御する部位である。本実施形態のシステムコントローラ32は、ディスク100の装填が検出された場合には、当該ディスク100の良否、具体的には、再生を困難にし得る程度のディスク100の不具合、すなわち、欠陥の有無を判定するディスク100検査処理を実行するべく、各部位の動作を制御する。そして、最終的には、復号ユニット36から出力されたエラーレートに基づいて、ディスク100の良否を判定し、その判定結果をインターフェース回路(I/F)42を介してユーザに提示する。また、このシステムコントローラ32は、ユーザからの指示に応じて、適宜、復号ユニット36のエラー感度の調整動作も実行するが、これについては、後に詳説する。
ところで、こうしたディスク検査装置10での検査結果は、すべての検査装置で同等であることが望まれる。すなわち、ある基準ディスクを検査した場合に得られるエラーレートは、いずれの検査装置でも同等であることが望まれる。しかしながら、エラーレート、ひいては、エラー検出量は、光ピックアップ16などからなるオプティカルパワーユニット(OPU)や、データ検出のハードウェアに依存し、同一種類の検査装置であっても、ばらつきが多く発生していた。その結果、同じディスク100を検査した場合であっても、ある検査装置では、良品と判定され、他の検査装置では不良品と判定されることもあり、ユーザがディスク100の品質を正確に判断できないという問題があった。
こうした問題を避けるために、基準の検査装置と同等の感度になるように、各検査装置ごとに得られたエラーレートを補正することも考えられる。すなわち、一つの基準ディスクを基準検査装置および補正が必要な検査装置の両方で検査し、基準検査装置で得られるエラーレートと同じ値になるように、検査装置で得られるエラーレートを補正するなどの手法が考えられる。しかし、S/N比とエラーレートとの関係は指数関数的であるため、装置間の検出エラーの差異が大きい場合には、上述した手法では補正しきれない場合があった。これについて、図3を参照して説明する。
図3は、基準検査装置と他の検査装置A,Bで、品質が既知の基準ディスクを検査した結果を示すグラフである。図3において横軸はジッターを、縦軸は検出されたエラーレートを示している。また、図3において、白丸は基準検査装置での検査結果を、黒三角は検査装置Aでの検査結果を、黒四角は検査装置Bでの検査結果をそれぞれ示している。
本来であれば、検査装置A,Bのいずれででも、基準検査装置と同等のエラーレートが検出されることが望ましい。しかし、OPUやデータ検出のハードウェアの差異に起因して、検査装置Aのように、K付近(DVD企画ではPI−SUM8=280Line.280/1664≒0.17付近)のエラーレートが検出されてしかるべきジッター13%付近においても、殆どエラーが検出されず、検出エラー数がほぼゼロになる場合があった。この検査装置Aのように検出エラー数がほぼゼロの場合、如何なる数値を乗算したとしても、当該エラーレートを基準装置と同等の値に補正することは困難となる。
逆に、検査装置Bのように、エラー感度が高く、ジッター13%付近において、エラー検出の限界値を超えるような場合には、得られた検出エラー数が意味を持たない数値になる。こうした意味のない数値に対して何らかの係数を乗算する補正を行ったとしても、基準検査装置と同等のエラーレートを得ることは無理である。つまり、検査装置A,Bのように、基準検査装置に比べて、エラー感度が大幅に異なる場合には、得られたエラーレートに係数を乗算して補正するだけでは、基準検査装置と同等のエラー感度に調整することは困難であった。
そこで、本実施形態では、検査装置のエラー感度を調整可能とするべく、復号ユニット36の構成を特殊なものとしている。以下、復号ユニット36の構成について詳説していく。
図2は、復号ユニット36の詳細ブロック図である。復号ユニット36は、既述したとおり、RF信号を復号するとともに、当該ディスク100のエラーレートを出力するもので、復号部40、S/N比調整部42、ビタビ調整部44、および、係数乗算部46を有している。
復号部40は、RF信号をエラー訂正しつつ復号し、訂正後の復号データおよびエラーレートLnを出力する。この復号部40は、AD変換器48、適応フィルタ50、ビタビ復号器52、エラー訂正器54を備えている。AD変換器48は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。適応フィルタ50は、後段で行う復号処理のために、入力されたRF信号に対して、後段にある復号器に適した周波数特性に波形等価処理を施す。本実施形態では、復号器としてビタビ復号器52を用いているため、適応フィルタは、入力されたRF信号に対して、PR(Partial Response)特性に波形等価処理が施される。
ビタビ復号器52は、適応フィルタ50から出力された信号に基づいて、ビタビ復号方法によって復号データを生成する。ビタビ復号方法は、考えられる復号データ値の中から最も確からしい、すなわち、最尤な復号データ値を選択し、復号データ系列を生成する復号方法である。かかるビタビ復号器52を設けることにより、エラーレート限界を改善することができる。すなわち、図3で例示した検査装置Bのように、ジッターが低い段階で、エラー検出限界を超えることを防止できる。ただし、ビタビ復号によるエラー訂正能力が高すぎる場合には、図3で例示した検査装置Aのように、ジッターが高くても、エラーが殆ど検出されない恐れがある。そこで、本実施形態では、ビタビ復号器52のパスメモリ長を調整可能としている。すなわち、ビタビ復号器52は、通常、チャンネルクロックn個分のパスメモリを有している。そして、このパスメモリのメモリ長を長くするほど復号データの確度が増す一方で、ディスク欠陥の影響を受けやすくなったり、復号による遅延が大きくなったりといった問題が生じやすくなることが知られている。本実施形態では、好適なディスク検査を可能とするために、このパスメモリ長をビタビ調整部44により可変可能としているが、これについては、後述する。
エラー訂正器54は、ビタビ復号器52から出力されたデータを、エラー訂正しつつ復号し、訂正後の復号データおよびエラーレートを出力する主復号手段として機能するものである。より具体的には、エラー訂正器54は、ビタビ復号器52から出力された復号信号に対し、リードソロモン積符号方式を用いて、16セクタから成る1ECCブロックを単位としてエラー訂正処理を行う。そして、エラー訂正器は、このエラー訂正処理で得られるエラーレートと、エラー訂正後の復号データを出力する。
S/N比調整部42は、上述した復号部40に入力されるRF信号のS/N比を劣化させるもので、ノイズを発生するノイズ発生器56と、当該ノイズ発生器56から出力されたノイズを復号部40に入力されるRF信号に加算する加算器58と、から構成される。ここで、付加するノイズとしては、全ての強度で同じ強度を持つホワイトノイズなどを用いることができる。また、劣化度合いは、RF信号の振幅と、加算するノイズの振幅と、の比率を変更することで調整される。したがって、加算するノイズの振幅を変更して劣化度合いを調整してもよいし、逆に、RF信号の振幅を変更して劣化度合いを調整してもよい。
いずれにしても、このようにノイズを加算してRF信号のS/N比を劣化させることで、エラーが検出されやすくなり、図3において例示した検査装置Aのように、エラーレートがほぼゼロになるという現象を防止できる。その結果、復号部40から出力されたエラーレートLnに何らかの補正を加え、基準の検査装置とほぼ同等のエラーレートを出力することが可能となる。このS/N比調整部42で調整するS/N比の劣化度合い(加算するノイズ強度)は、検査装置で基準ディスクを検査した際に得られるエラーレートに基づいて設定されるが、これについては後述する。
ビタビ調整部44は、ビタビ復号器52のエラー訂正能力を調整するものである。記述したように、ビタビ復号器52は、チャンネルクロックのn個分のパスメモリを有しており、このパスメモリ長を調整することで復号データの確度が変わってくる。ビタビ調整部44は、このパスメモリ長を変更するものである。このビタビ調整部44で、パスメモリ長を長くすることにより、図3で例示した検査装置Bのように、早々にエラー検出限界を超える検査装置のエラー感度を下げることができる。また、逆に、パスメモリ長を短くすることにより、検査装置Aのように、エラーが殆ど検出されないような検査装置のエラー感度を上げることができる。このビタビ調整部44で調整するパスメモリ長の長さは、検査装置で基準ディスクを検査した際に得られるエラーレートに基づいて設定されるが、これについても後述する。
係数乗算部46は、エラー訂正器から出力されたエラーレートLnに、所定の係数を乗算して補正する。この補正後のエラーレートLmが、当該検査装置での検査結果として取り扱われる。本実施形態では、一次関数Lm=A×Lnを用いてエラーレートを補正する。ここで、Lnは補正前のエラーレート、すなわちエラー訂正器54から出力されるエラーレートであり、Lmは補正後のエラーレート、すなわち、係数乗算部46から出力され、当該検査装置での検査結果として取り扱われるエラーレートである。この一次関数における係数A,Bの具体的数値も、検査装置で基準ディスクを検査した際に得られるエラーレートに基づいて設定されるが、これについても後述する。
次に、このディスク検査装置10のエラー感度を調整する流れについて説明する。図4は、エラー感度調整の流れを示すフローチャートである。エラー感度の調整処理は、ノイズ強度・メモリ長の調整処理(S10)と、補正計数A,Bの算出処理(S12)と、に大別される。図5,6は、この各処理S10,S12の詳細な流れを示すフローチャートである。以下、この図5、図6を参照して、各処理の流れについて詳説する。
はじめに図5を参照してノイズ強度・メモリ長の調整処理について説明する。この処理においては、調整対象の検査装置が、基準の検査装置のエラー閾値付近にエラー検出感度を持つように加算するノイズ強度と、ビタビ復号器52のパスメモリ長を調整する。具体的には、特定のジッター値G1におけるエラーレートL1が規定の範囲に収まるようにする。ここで、特定のジッター値G1は、基準の検査装置で、基準エラーレートK1が測定されたジッター値である。エラー感度を調整する場合には、予め、基準の検査装置で、基準ディスクを測定し、この基準ジッター値G1の値を取得しておく。また、規定の範囲とは、後段に行う係数乗算により、基準検査装置と同等のエラー感度に調整可能な範囲である。すなわち、図3の検査装置Aのように、エラーが殆ど検出されず、基準ジッター値G1におけるエラーレートL1がほぼゼロの状態では、後に如何なる係数を乗算しても、基準検査装置と同等のエラー感度を持たせることは難しい。逆に、図3の検査装置Bのように、基準ジッター値G1の段階で検出エラーが限界値を超えるような場合にも、後に如何なる係数を乗算しても、基準検査装置と同等のエラー感度を持たせることは難しい。そこで、本実施形態では、RF信号に加算するノイズ強度・ビタビ復号器52で用いるパスメモリ長を調整して、復号部40から出力されるエラーレートを後段に行う係数乗算により、基準検査装置と同等のエラー感度に補正可能な範囲にしている。
なお、本実施形態では、より好適な補正を可能にするために、調整対象の検査装置で、基準ディスクを検査した際に得られる基準ジッター値G1におけるエラーレートL1と、予め規定された基準エラーレートK1と、の差が最小になるように、ノイズ強度・パスメモリ長を設定している。以下、この処理の流れについて詳説する。
ノイズ強度・メモリ長を調整する場合には、まず、パラメータi,jを初期化し、i=0、j=0に設定する(S16)。続いて、ビタビ復号器52で用いるパスメモリ長をPiに、また、ノイズ発生器56で発生させるノイズの強度をNjに設定する(S18,S20)。この状態で、調整対象の検査装置で、基準ディスクの検査を行い、基準ジッター値G1におけるエラーレートLnjを取得し、得られたエラーレートLnjをメモリに格納する(S22,S24)。一つのエラーレートが得られれば、パラメータjが最大値J以下か否かを確認する(S26)。j≦Jの場合には、パラメータjをインクリメントしたうえで、ノイズ強度を新たな値Njに設定する(S28,S20)。そして、再度、基準ディスクを検査し、基準ジッター値G1におけるエラーレートLnjを取得・記憶する(S22,S24)。この処理を、j>Jになるまで繰り返せば、続いて、パラメータiが最大値I以下か否かを確認する(S30)。i≦Iの場合には、パラメータiをインクリメントしたうえで、パスメモリ長を新たな値Piに設定する(S32,S18)。そして、i>Iになるまで、上述の処理を繰り返す。
全ての処理が完了すれば、(I+1)×(J+1)個のエラーレートLnjが得られることになる。システムコントローラ32は、メモリに格納されている、これらエラーレートLnjのうち、基準エラーレートK1との誤差が最小のエラーレートLnjを特定する(S34)。そして、この特定されたエラーレートLnjを取得した際のノイズ強度Nj、パスメモリ長Piを、それぞれ、当該検査装置で用いるノイズ強度およびパスメモリ長として、S/N比調整部42およびビタビ調整部44に設定する(S34)。
このようにノイズ強度・パスメモリ長を調整することで、検査装置で得られるエラーレートを、基準の検査装置のエラーレートに近づけることができる。その結果、OPUやデータ検出のハードウェアの交換や微調整を行わなくても、後に行う係数乗算での補正が可能になる。
図7は、このノイズ強度・メモリ長調整処理を検査装置A,Bに施した結果を示すグラフである。図7において、白丸は、基準検査装置のエラーレートを、黒三角は検査装置Aの調整前のエラーレートを、白三角は検査装置Aの調整後のエラーレートを、黒四角は検査装置Bの調整前のエラーレートを、白四角は検査装置Bの調整後のエラーレートを、それぞれ示している。
この図7から明らかなように、ノイズ強度・メモリ長を調整することにより、調整前には、ほぼゼロであった検査装置Aのエラーレートが、基準検査装置のエラーレートに近づいていることが分かる。また、同様に、調整前には、限界値を超えていた検査装置Bのエラーレートも、ノイズ強度・メモリ長を調整することで基準検査装置のエラーレートに近づいていることが分かる。
なお、図5に示す処理を実行することにより、検査装置Aのように、エラー感度が過度に低い検査装置の場合は、加算するノイズ強度は強くし、かつ、ビタビ復号器52で用いるパスメモリ長は短く設定される。また、検査装置Bのように、エラー感度が過度に高い検査装置では、加算するノイズ強度はゼロに、かつ、ビタビ復号器52で用いるパスメモリ長は長く設定される。
こうしたノイズ強度・メモリ長の調整処理が終了すれば、続いて、補正係数の算出・設定(S12)が実行される。図6は、この補正係数算出・設定処理の詳細な流れを示すフローチャートである。係数乗算部46で用いる補正係数A,Bを算出する場合には、まず、調整対象の検査装置で、基準ディスクを検査し、基準ジッター値G1,G2におけるエラーレートL1,L2を取得する(S40)。ここで、基準ジッター値G1,G2は、基準検査装置で基準ディスクを検査した際に、基準エラーレートK1,K2が測定されたジッター値である。
基準ジッター値G1,G2におけるエラーレートL1,L2が取得できれば、続いて、基準エラーレートK1,K2と、得られたエラーレートL1,L2を以下の式1,2に代入し、係数乗算部46で用いる一次関数Lm=A×Ln+Bの補正係数A,Bを算出する(S42)。
Figure 2012033225
なお、この式1、式2は、次の連立方程式の解である。この式1,2により求めた補正係数A,Bで測定エラーレートを補正することにより、基準ジッター値G1,G2における補正後のエラーレートが、基準エラーレートK1,K2と等しくなることになる。
Figure 2012033225
補正係数A,Bの値が求まれば、システムコントローラ32は、この得られた補正係数A,Bを係数乗算部46に設定する(S44)。そして、以降は、この補正係数A,Bで補正されたエラーレートが、当該検査装置での検査結果値として取り扱われることになる。
なお、本実施形態では、補正後のエラーレートLmがマイナスになることを防止するために、エラーレートL1以下の測定値については、Lm=(K1/L1)Lnで補正する。また、エラーレートL1以上の測定値であっても、補正値Lmがマイナスになった場合には、補正値をゼロに固定してもよい。
図8は、この係数乗算部46で検査装置Aを補正した結果を示すグラフである。図8において、白丸は基準検査装置でのエラーレートを、白三角は検査装置Aの補正前のエラーレート(ノイズ加算、パスメモリ長調整のみがされた状態のエラーレート)を、実線は上述の一次関数で補正された検査装置Aのエラーレートを、それぞれ示している。
図8から明らかなとおり、一次関数で補正することにより、基準検査装置に比較的近い値のエラーレートを得られており、エラー感度が基準検査装置に近づいていることが分かる。その結果、本来、エラー感度が非常に低い検査装置Aであっても、基準検査装置と同様のエラーレートを出力することができる。このように、係数乗算により補正を施すことにより、検査装置の出力を、基準検査装置に近づけることができ、装置ごとの検査結果のバラツキを低減できる。
なお、本実施形態では、一次関数を用いてエラーレートの補正を行っているが、より、多次の関数を用いてエラーレートの補正を行ってもよい。例えば、二次関数Lm=Ax2+Bx+Cを用いてエラーレートの補正を行ってもよい。ここで、x=Ln−L1、B=K1/L1、C=K1とし、二次関数にLm=K2、Ln=L2を代入すると、
K2=A(L2−L1)2+B(L2−L1)+K1
となり、二次関数の係数Aは、
Figure 2012033225
となる。なお、二次関数Lm=Ax2+Bx+Cを用いて補正を行う場合であっても、エラーレートL1以下の測定値は、Lm=(K1/L1)Lnで補正することが望ましい。
図8における破線は、検査装置Aを、この二次関数で補正した結果を示している。この図8から明らかなとおり、二次関数を用いてエラーレートを補正することにより、補正後のエラーレートを、基準の検査装置のエラーレートに、より近づけることができる。その結果、装置ごとの検査結果のバラツキをより低減できる。
以上の説明から明らかなとおり、本実施形態では、各検査装置ごとに、エラー感度を調整することができる。その結果、OPUやデータ検出のハードウェアによって微妙に変化するエラー感度の装置ごとの違いを吸収することができる。換言すれば、本実施形態によれば、エラー感度を調整するために、OPUやデータ検出のハードウェア等を交換や微調整する必要がなくなる。その結果、比較的簡易な操作で、検査結果のバラツキを低減できる。
10 ディスク検査装置、12 スピンドルモータ、16 光ピックアップ、18 スレッドモータ、18 SPドライバ、20 SLDドライバ、22 LDドライバ、25 ACTドライバ、26 RF回路、28 アドレスデコード回路、30 サーボプロセッサ、32 システムコントローラ、36 復号ユニット、40 復号部、42 S/N比調整部、44 ビタビ調整部、46 係数乗算部、48 AD変換器、50 適応フィルタ、52 ビタビ復号器、54 エラー訂正器、56 ノイズ発生器、58 加算器、100 ディスク。

Claims (7)

  1. ディスクを検査するディスク検査装置であって、
    ディスクに再生用レーザ光を照射した際に得られる反射光の強度に基づいて、RF信号を取得するRF信号取得手段と、
    入力されたRF信号をエラー訂正しつつ復号し、訂正後の復号データおよびエラーレートを出力する復号手段と、
    前記RF信号取得手段により取得されるとともに復号手段に入力される前のRF信号のS/N比を、品質が既知の基準ディスクを検査した際に前記復号手段から出力される特定のジッター値におけるエラーレートが規定の範囲内に収まるような値に劣化可能なS/N比調整手段と、
    を備えることを特徴とするディスク検査装置。
  2. 請求項1に記載のディスク検査装置であって、
    前記S/N比調整手段は、前記復号手段に入力される前のRF信号に対して、ホワイトノイズを付加することで、S/N比を劣化させる、ことを特徴とするディスク検査装置。
  3. 請求項1または2に記載のディスク検査装置であって、さらに、
    前記S/N比劣化手段は、前記復号手段に入力される前のRF信号を、前記基準ディスクを検査した際に前記復号手段から出力される特定のジッター値におけるエラーレートと、予め規定された基準値と、の差が最小になるような値に劣化させる、ことを特徴とするディスク検査装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のディスク検査装置であって、さらに、
    前記復号手段から出力されたエラーレートに対して係数を乗算し、当該係数乗算後のエラーレートを当該ディスク検査装置での検査結果として出力する係数乗算手段を含み、
    前記係数は、前記基準ディスクを検査した際に特定のジッター値において得られるエラーレートが予め規定された基準値になるような値に調整可能である、
    ことを特徴とするディスク検査装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のディスク検査装置であって、
    前記復号手段は、
    前記ノイズ付加後の信号に対してビタビ復号を行うビタビ復号手段と、
    前記ビタビ復号手段から出力されたデータをエラー訂正しつつ復号し、訂正後の復号データおよびエラーレートを出力する主復号手段と、
    を含み、さらに、
    前記基準ディスクを検査した際に前記復号手段から出力される特定のジッター値におけるエラーレートが前記規定の範囲内に収まる値になるように、前記ビタビ復号手段のエラー訂正能力を調整可能なビタビ調整手段を備える、
    ことを特徴とするディスク検査装置。
  6. 請求項5に記載のディスク検査装置であって、
    前記ビタビ調整手段は、ビタビ訂正処理で用いるパスメモリのメモリ長を変化させることで訂正能力を調整する、ことを特徴とするディスク検査装置。
  7. ディスクを再生した際に得られるRF信号をエラーを訂正しつつ復号し、訂正後の復号データおよびエラーレートを出力する復号手段を備えたディスク検査装置の調整方法であって、
    前記復号手段に入力されるRF信号のS/N比を、品質が既知の基準ディスクを検査した際に前記復号手段から出力される特定のジッター値におけるエラーレートが規定の範囲内に収まる値に劣化させるS/N比調整ステップを含む、
    ことを特徴とするディスク検査装置。
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