JP2012031070A - 組織の保存方法、及び組織保存装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】組織をよりよい状態に維持しながら保存する方法を提供すること。特に、保存温度の影響を受けにくい組織の保存方法を提供すること。
【解決手段】光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行いながら、組織を10〜40℃にて該組織保存液内で保存することを含む、組織の保存方法。本方法においては、光合成微生物を含む培養液と組織保存液とが、通気性シートを介して接合しており、光合成微生物の光合成により産生された酸素が光合成微生物を含む培養液内から通気性シートを介して組織保存液内へと移行し、組織保存液中に含まれる二酸化炭素が、組織保存液内から通気性シートを介して光合成微生物を含む培養液内へと移行することにより、組織保存液のガス交換が行われる。
【選択図】なし
【解決手段】光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行いながら、組織を10〜40℃にて該組織保存液内で保存することを含む、組織の保存方法。本方法においては、光合成微生物を含む培養液と組織保存液とが、通気性シートを介して接合しており、光合成微生物の光合成により産生された酸素が光合成微生物を含む培養液内から通気性シートを介して組織保存液内へと移行し、組織保存液中に含まれる二酸化炭素が、組織保存液内から通気性シートを介して光合成微生物を含む培養液内へと移行することにより、組織保存液のガス交換が行われる。
【選択図】なし
Description
本発明は、組織の保存方法、及び組織保存装置に関する。
種々の組織の機能不全により引き起こされる疾患の治療法として、正常な機能を有する他人の組織を患者に移植する移植医療が頻繁に行われている。移植を行う際には、ドナーから組織を摘出し、移植が行われる所定の場所まで摘出された組織を運搬し、移植時までその組織を適切な条件下で保存する必要がある。
組織を保存する方法として、従来からUW液(University of Wisconsin solution)、ET−Kyoto液、New ET−Kyoto液等の組織保存液中に組織を浸漬し、低温にて静置する方法が提案されている(非特許文献1、特許文献1、非特許文献2)。
従来、組織を組織保存液中で保存する場合には、組織の代謝活動を抑制し、酸素欠乏による組織障害を回避するため、組織保存液の温度を比較的低温(例えば−4〜10℃)で保存することが推奨されている。そのため、組織をドナーから摘出後、すぐに冷却した保存液中に浸漬し、低温を維持したまま移動しなければならず、保存操作が煩雑となる。また、何らかのトラブルにより保存温度が上昇すると、保存対象の組織の状態が急速に悪化してしまうリスクがある。そのため、保存温度の影響を受けにくい組織の保存方法の開発が望まれている。
組織保存液中の酸素分圧を高めたり、組織保存液中へヘモグロビン、PFC等の酸素運搬体を添加することにより、組織保存効果を増大させる試みが報告されている(特許文献2〜4)。しかしながら、これらの組織保存液を用いた場合であっても、組織は低温(約4℃)にて保存されている。
一方、肺換気を行い、気体の外部供給を行うために機械装置に依存する代わりに、植物の光合成に基づいて酸素を生成し、二酸化炭素を除去するための循環型生命維持システム(ガス交換装置)の開発が活発に行われている。
非特許文献3には、生物学的プロセスを基礎とする生命維持システムの開発に向けた予備調査として、クロレラの光合成能力における光強度、基質濃度、細胞密度の寄与について評価している。そして、光合成バイオリアクターを半透膜を介して血液と最終的に相互作用させ、血中CO2をO2に触媒的に直接変換する可能性に触れている。
非特許文献4には、インビトロで、藻類(クロレラ)タンク内で光合成により相当のO2形成を生じさせたあと、血液ポンプを用いて酸素供給器を介してO2豊富な藻類懸濁液をポンピングさせ、藻類培養物と血液とをガス透過性膜を介して接合すると、藻類タンクに蓄積されたO2がガス透過性膜を介して培地中に浸透し、CO2が培地から藻類タンク中に輸送されたことが開示されている。
しかしながら光合成微生物による光合成を、組織保存の技術分野に応用したことは報告されていない。
Transplant proc, vol.31, p.2069-2070, 1999
Yonsei Medical Journal, vol.45, No.6, p.1107-1114, 2004
ASIO Journal, 1994; 40: M743-M746
ASIO Journal, 1997; 43: 279-283
上記事情に鑑み、本発明は、組織をよりよい状態に維持しながら保存する方法を提供することを目的とする。特に、本発明は、比較的高い保存温度で、安定に、よい状態を維持しながら組織を保存する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を進めた。その結果、光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行いながら、組織を該組織保存液内で保存すると、組織の機能が高度に維持され、移植後のレシピエントの生存率が上昇することを見出した。特に、この方法により組織を保存すると、10℃を超えるような比較的高温で組織を保存しても、常法により組織保存液中で4℃にて浸漬した場合を上回るような組織保存効果が達成可能であった。更に、この方法を用いると、組織内の二酸化炭素を除去し、pHの低下を抑制することができた。これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下に関する。
[1]光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行いながら、組織を10〜40℃にて該組織保存液内で保存することを含む、組織の保存方法。
[2]組織を15〜37℃にて組織保存液内で保存する、[1]記載の方法。
[3]組織を20〜25℃にて組織保存液内で保存する、[1]又は[2]記載の方法。
[4]以下の工程を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法:
(I)光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行うことにより、酸素が溶解した組織保存液を得ること;
(II)(I)で得られた酸素が溶解した組織保存液内に、組織を浸漬すること;及び
(III)光合成微生物による光合成により、組織が浸漬した組織保存液内のガス交換を行うこと。
[5]光合成微生物を含む培養液と組織保存液とが、通気性シートを介して接合しており、
光合成微生物の光合成により産生された酸素が光合成微生物を含む培養液内から通気性シートを介して組織保存液内へと移行し、組織保存液中に含まれる二酸化炭素が、組織保存液内から通気性シートを介して光合成微生物を含む培養液内へと移行することにより、組織保存液のガス交換が行われる、
[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]光合成微生物を含む培養液が通気性容器に収容されており、
組織保存液が容器に収容されており、
通気性容器を構成する通気性シートの少なくとも一部が組織保存液中に接触するように通気性容器が配置されることにより、光合成微生物を含む培養液と組織保存液とが通気性シートを介して接合している、
[5]記載の方法。
[7]通気性容器が培養槽と連結しており、
ここで、該培養槽は液体を導入可能な導入口と、液体を導出可能な導出口を少なくとも1つずつ有しており、
該通気性容器には、液体を導入可能なポート、及び液体を導出可能なポートが、気密的に少なくとも1つずつ設けられており、
培養槽の導出口と、通気性容器に設けられた液体を導入可能なポートとが、チューブを介して連結され、
通気性容器に設けられた液体を導出可能なポートと、培養槽の導入口とがチューブを介して連結され、
光合成微生物を含む培養液が、通気性容器の内腔と培養槽の内部との間を循環する、
[6]記載の方法。
[8]組織保存液が酸素運搬体を含有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行うことにより、酸素が溶解した組織保存液を得ることを含む、酸素含有組織保存液の製造方法。
[10]組織保存液が収容された容器、及び
光合成微生物を含む培養液が収容された通気性容器を備える組織保存装置であって、
通気性容器を構成する通気性シートの少なくとも一部が組織保存液中に接触するように通気性容器が配置されることにより、光合成微生物を含む培養液と組織保存液とが通気性シートを介して接合されている、組織保存装置。
[11]通気性容器内の光合成微生物に対して、光合成を誘導する光を照射可能な光源を更に備える、[10]記載の組織保存装置。
[12]培養槽を更に備え、
ここで、該培養槽は液体を導入可能な導入口と、液体を導出可能な導出口を少なくとも1つずつ有しており、
該通気性容器には、液体を導入可能なポート、及び液体を導出可能なポートが、気密的に少なくとも1つずつ設けられており、
光合成微生物を含む培養液が、通気性容器の内腔と培養槽の内部との間を循環し得るように、
培養槽の導出口と、通気性容器に設けられた液体を導入可能なポートとが、チューブを介して連結され、且つ
通気性容器に設けられた液体を導出可能なポートと、培養槽の導入口とがチューブを介して連結される、
[10]記載の組織保存装置。
[13]培養槽内の光合成微生物に対して、光合成を誘導する光を照射可能な光源を更に備える、[12]記載の組織保存装置。
[14]組織保存液が酸素運搬体を含有する、[10]〜[13]のいずれかに記載の組織保存装置。
[15]以下を含む、組み合わせ物:
(1)光合成微生物;
(2)光合成微生物を培養するための培養液;
(3)通気性容器;及び
(4)組織保存液。
[16]光合成を誘導する光を照射可能な光源を更に含む、[15]記載の組み合わせ物。
[17]酸素運搬体を更に含む、[15]又は[16]記載の組み合わせ物。
[1]光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行いながら、組織を10〜40℃にて該組織保存液内で保存することを含む、組織の保存方法。
[2]組織を15〜37℃にて組織保存液内で保存する、[1]記載の方法。
[3]組織を20〜25℃にて組織保存液内で保存する、[1]又は[2]記載の方法。
[4]以下の工程を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法:
(I)光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行うことにより、酸素が溶解した組織保存液を得ること;
(II)(I)で得られた酸素が溶解した組織保存液内に、組織を浸漬すること;及び
(III)光合成微生物による光合成により、組織が浸漬した組織保存液内のガス交換を行うこと。
[5]光合成微生物を含む培養液と組織保存液とが、通気性シートを介して接合しており、
光合成微生物の光合成により産生された酸素が光合成微生物を含む培養液内から通気性シートを介して組織保存液内へと移行し、組織保存液中に含まれる二酸化炭素が、組織保存液内から通気性シートを介して光合成微生物を含む培養液内へと移行することにより、組織保存液のガス交換が行われる、
[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]光合成微生物を含む培養液が通気性容器に収容されており、
組織保存液が容器に収容されており、
通気性容器を構成する通気性シートの少なくとも一部が組織保存液中に接触するように通気性容器が配置されることにより、光合成微生物を含む培養液と組織保存液とが通気性シートを介して接合している、
[5]記載の方法。
[7]通気性容器が培養槽と連結しており、
ここで、該培養槽は液体を導入可能な導入口と、液体を導出可能な導出口を少なくとも1つずつ有しており、
該通気性容器には、液体を導入可能なポート、及び液体を導出可能なポートが、気密的に少なくとも1つずつ設けられており、
培養槽の導出口と、通気性容器に設けられた液体を導入可能なポートとが、チューブを介して連結され、
通気性容器に設けられた液体を導出可能なポートと、培養槽の導入口とがチューブを介して連結され、
光合成微生物を含む培養液が、通気性容器の内腔と培養槽の内部との間を循環する、
[6]記載の方法。
[8]組織保存液が酸素運搬体を含有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行うことにより、酸素が溶解した組織保存液を得ることを含む、酸素含有組織保存液の製造方法。
[10]組織保存液が収容された容器、及び
光合成微生物を含む培養液が収容された通気性容器を備える組織保存装置であって、
通気性容器を構成する通気性シートの少なくとも一部が組織保存液中に接触するように通気性容器が配置されることにより、光合成微生物を含む培養液と組織保存液とが通気性シートを介して接合されている、組織保存装置。
[11]通気性容器内の光合成微生物に対して、光合成を誘導する光を照射可能な光源を更に備える、[10]記載の組織保存装置。
[12]培養槽を更に備え、
ここで、該培養槽は液体を導入可能な導入口と、液体を導出可能な導出口を少なくとも1つずつ有しており、
該通気性容器には、液体を導入可能なポート、及び液体を導出可能なポートが、気密的に少なくとも1つずつ設けられており、
光合成微生物を含む培養液が、通気性容器の内腔と培養槽の内部との間を循環し得るように、
培養槽の導出口と、通気性容器に設けられた液体を導入可能なポートとが、チューブを介して連結され、且つ
通気性容器に設けられた液体を導出可能なポートと、培養槽の導入口とがチューブを介して連結される、
[10]記載の組織保存装置。
[13]培養槽内の光合成微生物に対して、光合成を誘導する光を照射可能な光源を更に備える、[12]記載の組織保存装置。
[14]組織保存液が酸素運搬体を含有する、[10]〜[13]のいずれかに記載の組織保存装置。
[15]以下を含む、組み合わせ物:
(1)光合成微生物;
(2)光合成微生物を培養するための培養液;
(3)通気性容器;及び
(4)組織保存液。
[16]光合成を誘導する光を照射可能な光源を更に含む、[15]記載の組み合わせ物。
[17]酸素運搬体を更に含む、[15]又は[16]記載の組み合わせ物。
本発明の組織保存方法を用いれば、組織の機能を高度に維持したまま組織を保存することが可能である。
本発明の組織保存方法を用いれば、比較的高温での組織の保存が可能である。
本発明の組織保存方法を用いれば、組織保存液中へ酸素を供給するのみならず、組織保存液中から二酸化炭素が除去され、組織内のpH低下が抑制され、組織保存効果が高まる。
本発明の組織保存方法を用いれば、比較的高温での組織の保存が可能である。
本発明の組織保存方法を用いれば、組織保存液中へ酸素を供給するのみならず、組織保存液中から二酸化炭素が除去され、組織内のpH低下が抑制され、組織保存効果が高まる。
(1.組織の保存方法)
本発明は、光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行いながら、組織を該組織保存液内で保存することを含む、組織の保存方法を提供する。
本発明は、光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行いながら、組織を該組織保存液内で保存することを含む、組織の保存方法を提供する。
本発明に使用される光合成微生物としては、光照射により酸素を発生し、二酸化炭素を固定することの出来る微生物であれば、特に限定されない。光合成微生物としては、例えば、光合成細菌、単細胞の微細藻類、糸状の微細藻類、単細胞ラン藻、糸状のラン藻などが挙げられる。このうち、単細胞の微細藻類は、11の植物門に分かれており、クロレラやヘマトコッカスなどの緑藻類、スピルリナなどの藍藻類などに分類される。光合成微生物は好ましくは単細胞の微細藻類であり、より好ましくは緑藻類(クロレラ等)である。
組織保存液とは、摘出した組織を長時間安定に保存するための溶液を意味する。本発明に使用される組織保存液は、組織保存の分野において既知の何れかの組織保存液を使用することが可能である。例えば、ET−Kyoto液、NEW ET−Kyoto液、UW液、ユーロ・コリンズ液、ソルジャー液等が使用できるが、その種類は限定されない。また、特定の組織の保存に最適化された組織保存液を使用してもよい。特に、組織保存液としてET−Kyoto液又はNEW ET−Kyoto液を用いることが好ましい。ET−Kyoto液の組成や製造方法は特許第3253131号に記載されている。ET−Kyoto液は大塚製薬工場株式会社より商業的に入手可能である。NEW−ET−Kyoto液の組成や製造方法は、WO2007/043698に記載されている。
組織保存液には、酸素の保存組織内への移行を促進するため、酸素運搬体が含まれていてもよい。酸素運搬体とは、生体内で酸素を可逆的に吸脱着する酸素運搬能を有するものをいい、例えば、パーフルオロカーボン、ヘモグロビン、ポルフィリン金属錯体等が挙げられる。パーフルオロカーボンとしては、特に限定されないが、一部または全部がフッ素化された炭素数5〜20のアルキル、アルコールおよびアルキルエーテルなどを使用することができる。パーフルオロカーボンとしては、具体的には、ペルフルオロ−n−ブチルテトラヒドロフラン、ペルフルオロジクロロオクタン、ペルフルオロ−ビスクロロブチルエーテル、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロメチルデカリン、ペルフルオロジメチルデカリン、ペルフルオロジメチルアダマンタン、臭化ペルフルオロオクチル、ペルフルオロ−4−メチル−オクタヒドロキノリジジン、ペルフルオロ−N−メチル−デカヒドロキノリン、F−メチル−1−オキサ−デカリン、ペルフルオロオクタヒドロキノリジジン、ペルフルオロ−5,6−ジヒドロ−5−デセン、及びペルフルオロ−4,5−ジヒドロ−4−オクテン、塩素化ペルフルオロカーボン類又はそれらの混合物が挙げられる。
組織保存液中の酸素運搬体の含有量は、本発明の組織保存方法による組織の保存が可能な範囲で適宜設定されるが、例えばヘモグロビンを使用する場合は、通常0.1〜5.0(g/dL)、好ましくは0.5〜3.0(g/dL)であり、パーフルオロカーボンを使用する場合には、通常5〜95%(v/v)、好ましくは10〜50%(v/v)である。
本発明の方法における保存対象となる組織には、保存液中での保存が所望される全ての臓器(例:脳、脊髄、胃、膵臓、膵島、腎臓、肝臓、甲状腺、骨髄、皮膚、筋肉、肺、消化管(例: 大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、末梢血、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、骨格筋など)や単離された細胞(例:肝細胞、脾細胞、神経細胞、膵β細胞、骨髄細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞 (例:マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、単球)、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、精子、卵子、受精卵、またはこれら細胞の前駆細胞, 幹細胞もしくは癌細胞)が含まれる。当該組織は、生体から分離されている。
また、前記組織の由来となる生物の種類に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中でも、哺乳動物組織が好ましい。哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等のげっ歯類やウサギ等の実験動物、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ミンク等の家畜、イヌ、ネコ等のペット、ヒト、サル、アカゲザル、マーモセット、オランウータン、チンパンジーなどの霊長類等を挙げることが出来る。哺乳動物は、好ましくはヒトである。
本明細書において、ガス交換とは、酸素を供給し、二酸化炭素を除去することを意味する。即ち、本発明の方法においては、光合成微生物による光合成の作用により、組織保存液へ酸素を供給し、また組織保存液から二酸化炭素を除去しながら、当該組織保存液内で組織を保存する。
組織の保存に際しては、生体から摘出された組織を組織保存液中に浸漬し、これを静置する。光合成により供給された酸素や、組織から放出された二酸化炭素が組織保存液の全体に均一に拡散するように、組織保存液を緩やかに攪拌してもよい。
保存温度(即ち、組織保存液の温度)は、光合成微生物による光合成による組織保存液のガス交換が可能であり、生存した状態での組織の保存が可能である限り、特に限定されない。従来の方法により、組織を組織保存液中で保存する場合には、組織の代謝活動を抑制し、酸素欠乏による組織障害を回避するため、組織保存液の温度を比較的低温(例えば−4℃以上、10℃未満、好ましくは−1〜6℃)で保存することが推奨されており、本発明の方法を用いた場合においても、このような低温での組織の比較的良好な保存が可能である。しかしながら、驚くべきことに、本発明の方法を用いれば、比較的高温(例えば10℃以上、好ましくは15℃以上)で保存をすると、比較的低温で保存した場合を上回るような、極めて良好な状態での組織の保存が可能であり、本発明の方法は、このような比較的高温での組織の保存に有利である。一方、保存温度が高すぎると組織がダメージを負う危険性があるので、この観点から、保存温度は40℃以下、好ましくは37℃以下、より好ましくは30℃以下である。従って、一態様において、組織が10〜40℃、好ましくは15〜37℃(例、20〜25℃)にて組織保存液内で保存される。比較的高温での組織の保存を可能とするメカニズムとしては、組織保存液中に持続的に酸素が供給されるため、酸素欠乏による組織障害が低減されること、組織保存液から持続的に二酸化炭素が除去されること等が推測されるが、これらの理論には拘束されない。
本発明の方法による組織の保存期間は、目的に応じて適宜設定することが可能であるが、通常15分〜3ヶ月程度、好ましくは30分〜1ヶ月程度である。
本発明の方法により、組織を保存する場合、組織を組織保存液に浸漬する前に、予め光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行い、組織保存液中の溶存酸素濃度を高めておくことにより、より高い組織保存効果が期待できる。従って、1つの態様において、本発明は以下の工程を含む:
(I)光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行うことにより、酸素が溶解した組織保存液を得ること;
(II)(I)で得られた酸素が溶解した組織保存液内に、組織を浸漬すること;及び
(III)光合成微生物による光合成により、組織が浸漬した組織保存液内のガス交換を行うこと。
(I)光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行うことにより、酸素が溶解した組織保存液を得ること;
(II)(I)で得られた酸素が溶解した組織保存液内に、組織を浸漬すること;及び
(III)光合成微生物による光合成により、組織が浸漬した組織保存液内のガス交換を行うこと。
工程(I)において獲得される組織保存液中の酸素分圧は、通常200mmHg以上、好ましくは300mmHg以上である。尚、本発明は、工程(I)を含む、酸素含有組織保存液の製造方法をも提供するものである。
本発明の方法を実施する場合、光合成微生物を含む培養液と組織保存液とを、通気性シートを介して接合させる。即ち、通気性シートの一方の面が、光合成微生物を含む培養液と接触し、通気性シートの当該接触部分における他方の面が組織保存液に接触することにより、光合成微生物を含む培養液と組織保存液とが接合する。この際、組織を浸漬する場となる組織保存液中に、光合成微生物を含む培養液が混入しないように、組織保存液と光合成微生物を含む培養液とは、通気性シートを介して分離される。
通気性シートは、少なくとも酸素及び二酸化炭素を透過し得るものであれば、一般に通気性材料と称される材料を特に制限なく選択可能である。ただし、通気性シートは、光合成微生物を含む培養液や組織保存液が当該通気性シートを透過しない程度の遮水性を備えていることが好ましい。さらに工業的に成形加工性に優れ、ガンマ線滅菌に耐えうるものであり、かつ内部の培地の様子を観察することができる透明性の材料であることが好ましい。選択すべき適切な材料としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)コポリマー、ポリ(エチレン−エチルアクリレート)コポリマーおよびポリ(エチレン−メタアクリレート)コポリマーなどが挙げられ、これらを使用した積層体であってもよいが、これに限定されるものではない。
光合成微生物の培養液には、培地及びそれに懸濁された光合成微生物が含まれる。培地としては、光合成微生物による光合成を可能にするものである限り特に限定されず、当該技術分野において自体公知の培地を用いることが出来る。例えば、光合成微生物としてクロレラを使用する場合には、培地には有機炭素の添加が必須であり、一般にはグルコースや酢酸、尿素などが用いられるが、クロレラが利用できる有機物であればその種類を問わず利用することができる。その他の培地成分として窒素、リン、カリウム、マグネシウムなどの多種類の元素が必要であるが、これらもクロレラを培養できるものであれば制限はない。該培地には、光合成を促進するために炭酸水素ナトリウムを添加してもよい。炭酸水素ナトリウムの濃度は、好ましくは、0.6〜1.8mg/dLの範囲内である。具体的には、クロレラ用の培地としてブリストール培地やソロキン・クラウス培地などを挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明の方法により保存された組織は、最終的にはヒト等の動物レシピエントの体内に移植して用いられるものであるため、安全性の観点から光合成微生物の培養液中には、ヒト等の動物レシピエントの健康にとって有害な因子が実質的に含まれないものであることが好ましい。そのような有害な因子としては、例えばウイルス、エンドトキシン等を挙げることができる。
光合成微生物を含む培養液と組織保存液とを、通気性シートを介して接合させるためには、例えば、光合成微生物を含む培養液を通気性容器内に収容し、組織保存液を他の容器内に収容し、通気性容器を構成する通気性シートの少なくとも一部が組織保存液に接触するように光合成微生物を含む培養液を含む通気性容器及び組織保存液を含む容器を配置する(態様I)。こうすることにより、通気性容器を構成する通気性シートが、少なくともその一部において、通気性容器の内腔側で光合成微生物を含む培養液と接触し、外壁側で組織保存液と接触することにより、通気性容器内の光合成微生物を含む培養液が組織保存液と通気性シートを介して接合する。
態様Iで用いられる通気性容器は、密閉された状態でその内部と外部が通気性の材料を介して隔てられるように、少なくともその一部に通気性シート材を含む。例えば、容器の内部に培地を充填した際に、該培地が接し得る面の少なくとも30%、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは実質的に100%が通気性シート材により構成される。尚、本明細書において、密閉とは、内部に充填する培地が外部に漏れない状態を意味する。本明細書において、密閉は、例えば、クランプ等でチューブを閉鎖する方法、熱溶着によりチューブを閉鎖する方法等により実施される。
態様Iで用いられる通気性容器は、通気性シート材を重ね合わせた上で、縁部を強シールすることにより製造することが出来る。
態様Iで用いられる通気性容器は、取り扱いが容易となるように、その全体として可撓性を有するように、可撓性を有するシート状の材料からなることが好ましい。
態様Iで用いられる通気性容器の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、袋状、筒状、中空糸状等の形状が挙げられる。通気性容器が袋状である場合、その外観は、特に限定されないが、例えば、正方形、長方形、菱形、円形および楕円形などが挙げられる。本発明に用いられる通気性容器の大きさや内容積は、本発明の実施が可能な範囲で適宜設定することができる。
態様Iで用いられる通気性容器は、滅菌処理が施されていることが好ましい。滅菌方法は、通気性容器の材料に応じて、例えば、放射線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌又はオートクレーブ滅菌等から選択して実施することができる。ここで、通気性容器の内腔のみならず、組織保存液と光合成細菌の培養液の双方に接触する通気性シート部分を含む外側表面も滅菌処理が施されていることが好ましい。光合成微生物の培養液中における光合成微生物以外の細菌の繁殖と、組織保存液への細菌の混入の双方を防止するためである。
他方の容器は、組織保存液を収容可能であり、本発明の方法により目的とする組織を当該容器内で保存可能である限り、その材料は特に限定されないが、材料としては、金属、ガラス、プラスチック、ビニール等が挙げられる。組織保存液への細菌の混入を防止するため、当該容器は、少なくともその内腔が滅菌処理が施されていることが好ましい。滅菌方法は、容器の材料に応じて、例えば、放射線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌又はオートクレーブ滅菌等から選択して実施することができる。
より具体的には、例えば、通気性容器として、通気性シートからなる袋状容器を使用する場合、光合成微生物を含む培養液を当該袋状容器内に収容し、組織保存液を他の容器内に収容し、当該袋状容器の一部又は全部を組織保存液に浸漬する。
態様Iにおいては、通気性容器に、光合成微生物を含む培養液や培地等の液体を導入可能なポート、及び該液体を導出可能なポートを、該通気性容器に、気密的に少なくとも1つずつ設けてもよい(以下、態様Iaとする)。上記ポートは、2枚のシート材で挟んだ状態で強シールすることで設けることができる。従って、上記ポートはある程度可撓性を有する材料であり、シート材と熱溶着性のよいものを使用することが好ましく、例えば低密度ポリエチレンなどで作製したものが挙げられる。上記ポートには、通気性容器を密閉し得るように、閉鎖手段を設けることができる。閉鎖手段としては、クリップなどの狭持体、連通ピース、コック等を挙げることができる。
態様Iaにおいては、該ポートを通じて光合成微生物が循環可能なように、該通気性容器が光合成微生物の培養槽と連結されていてもよい。培養槽は、光合成微生物の液体培養を可能とするものであり、このために必要な機能(攪拌機能、温度調節機能等)を備えたものであることが好ましい。この場合、該培養槽は液体を導入可能な導入口と、液体を導出可能な導出口を少なくとも1つずつ有し、光合成微生物が、通気性容器の内腔と培養槽の内部との間を循環し得るように、培養槽の導出口と、通気性容器に設けられた液体を導入可能なポートとが、チューブを介して連結され、且つ通気性容器に設けられた液体を導出可能なポートと、培養槽の導入口とがチューブを介して連結される。この循環回路の途中に更にポンプを設けてもよい。ポンプにより、一定の方向に安定的に光合成微生物を送り出すことにより、光合成微生物の循環をスムースなものとすることが可能となる。このように、通気性容器と培養槽とを循環可能な態様で連結することにより、通気性容器内へ絶えず新鮮な光合成微生物が送り込まれ、また、ガス交換を終えた光合成微生物が通気性容器の外へ排出されるので、安定的かつ持続的なガス交換が可能となる。
そして、光合成微生物を光合成を誘導する光に曝露することにより、光合成を誘導する。光の波長は、光合成微生物による光合成を誘導し得る限り特に限定されないが、光合成を促進するため600〜700nmの波長領域の光を用いることが好ましい。光源の種類は、光合成微生物による光合成を誘導するものであれば特に制限されないが、具体的には蛍光灯、タングステンランプなど通常の光源でよく、発光ダイオード(LED)を光源とすることもまた効果的である。
光合成を誘導する際の光合成微生物を含む培養の温度は、光合成微生物の種類に応じて適宜設定することが可能であるが、通常20〜37℃程度である。また、光合成微生物を含む培養液中の光合成微生物の密度は、光合成による組織保存液のガス交換が可能であれば特に限定されないが、通常、1mlあたり1×106〜1×1010個程度に設定される。
態様Iにおいては、通気性容器内に収容された光合成微生物に対して光を直接照射することができる。この場合、通気性容器を構成する通気性シート材は光透過性であることが好ましい。この場合、通気性容器内の光合成微生物による光合成が誘導され、組織保存液のガス交換が行われる。
態様Iaにおいては、培養槽内の光合成微生物対して光を照射することが好ましい。この場合、培養槽内に光が照射されると、培養槽内の光合成微生物による光合成が誘導され、この光合成微生物が通気性容器内へ送達され、該容器内でガス交換を行い、ガス交換を終えた光合成微生物が再び培養槽内へ戻り、そこでまた光照射を受けて光合成が誘導される、というサイクルが生じ、長期間にわたる安定的なガス交換及び組織保存が可能となる。
以上により、光合成微生物の光合成により産生された酸素が光合成微生物を含む培養液内から通気性シートを介して組織保存液内へと移行し、組織保存液中に含まれる二酸化炭素が、組織保存液内から通気性シートを介して光合成微生物を含む培養液内へと移行し、組織保存液のガス交換が行われる。
(2.組織保存装置)
本発明は、組織保存液が収容された容器、及び光合成微生物を含む培養液が収容された通気性容器を備える組織保存装置であって、通気性容器を構成する通気性シートの少なくとも一部が組織保存液中に接触するように通気性容器が配置されることにより、光合成微生物を含む培養液と組織保存液とが通気性シートを介して接合されている、組織保存装置を提供する。本項において、本発明の組織保存装置を説明するにあたり用いられる各用語の定義や説明は(1.組織の保存方法)の項の記載に従うものとする。本発明の組織保存装置は、上述の態様Iに対応するものである。本発明の組織保存装置に含まれる、組織保存液が収容された容器内に保存対象の組織を入れて、当該組織保存液に浸漬することにより、上記本発明の保存法に従って、当該組織を保存することが出来る。
本発明は、組織保存液が収容された容器、及び光合成微生物を含む培養液が収容された通気性容器を備える組織保存装置であって、通気性容器を構成する通気性シートの少なくとも一部が組織保存液中に接触するように通気性容器が配置されることにより、光合成微生物を含む培養液と組織保存液とが通気性シートを介して接合されている、組織保存装置を提供する。本項において、本発明の組織保存装置を説明するにあたり用いられる各用語の定義や説明は(1.組織の保存方法)の項の記載に従うものとする。本発明の組織保存装置は、上述の態様Iに対応するものである。本発明の組織保存装置に含まれる、組織保存液が収容された容器内に保存対象の組織を入れて、当該組織保存液に浸漬することにより、上記本発明の保存法に従って、当該組織を保存することが出来る。
本発明の組織保存装置においては、通気性容器を構成する通気性シートが、少なくともその一部において、通気性容器の内壁側で光合成微生物を含む培養液と接触し、外壁側で組織保存液と接触することにより、通気性容器内に収容された光合成微生物を含む培養液と容器内に収容された組織保存液とが通気性シートを介して接合する。
本発明の組織保存装置においては、通気性容器に、光合成微生物を含む培養液や培地等の液体を導入可能なポート、及び該液体を導出可能なポートが、該通気性容器に、気密的に少なくとも1つずつ設けられていてもよい(上述の態様Iaに対応する)。上記ポートは、2枚のシート材で挟んだ状態で強シールすることで設けることができる。従って、上記ポートはある程度可撓性を有する材料であり、シート材と熱溶着性のよいものを使用することが好ましく、例えば低密度ポリエチレンなどで作製したものが挙げられる。上記ポートには、通気性容器を密閉し得るように、閉鎖手段を設けることができる。閉鎖手段としては、クリップなどの狭持体、連通ピース、コック等を挙げることができる。
態様Iaにおいては、本発明の組織保存装置は、光合成微生物の培養槽をさらに有しており、該ポートを通じて光合成微生物が循環可能なように、該通気性容器が光合成微生物の培養槽と連結されていてもよい。培養槽は、光合成微生物の液体培養を可能とするものであり、このために必要な機能(攪拌機能、温度調節機能等)を備えたものであることが好ましい。この場合、該培養槽は液体を導入可能な導入口と、液体を導出可能な導出口を少なくとも1つずつ有し、光合成微生物が、通気性容器の内腔と培養槽の内部との間を循環し得るように、培養槽の導出口と、通気性容器に設けられた液体を導入可能なポートとが、チューブを介して連結され、且つ通気性容器に設けられた液体を導出可能なポートと、培養槽の導入口とがチューブを介して連結される。この循環回路の途中に更にポンプを設けてもよい。ポンプにより、一定の方向に安定的に光合成微生物を送り出すことにより、光合成微生物の循環をスムースなものとすることが可能となる。このように、通気性容器と培養槽とを循環可能な態様で連結することにより、通気性容器内へ絶えず新鮮な光合成微生物が送り込まれ、また、ガス交換を終えた光合成微生物が通気性容器の外へ排出されるので、安定的かつ持続的なガス交換が可能となる。
本発明の組織保存装置は、組織保存液の温度を所望の温度(例えば10〜40℃、好ましくは15〜37℃(例、20〜25℃))に調節するための、温度コントローラー(ヒーター及びクーラー)を備えていてもよい。
本発明の組織保存装置は、更に光合成を誘導する光を照射可能な光源を更に備えていても良い。光源の種類は、光合成微生物による光合成を誘導するものであれば特に制限されないが、光合成を促進するためには600〜700nmの波長領域の光を用いることが好ましい。具体的には蛍光灯、タングステンランプなど通常の光源でよく、発光ダイオード(LED)を光源とすることもまた効果的である。
一態様において、該光源は、通気性容器内に収容された光合成微生物に対して光を照射可能なように、備え付けられる。この場合、通気性容器を構成する通気性シート材は光透過性であることが好ましい。この場合、通気性容器内の光合成微生物による光合成が誘導され、組織保存液のガス交換が可能となる。
上記態様Iaにおいては、該光源は、培養槽内の光合成微生物対して光を照射可能なように、備え付けられることが好ましい。例えば、培養槽に光源が直接組み込まれる。この場合、培養槽内に光が照射されると、培養槽内の光合成微生物による光合成が誘導され、この光合成微生物が通気性容器内へ送達され、該容器内でガス交換を行い、ガス交換を終えた光合成微生物が再び培養槽内へ戻り、そこでまた光照射を受けて光合成が誘導される、というサイクルが生じ、長期間にわたる安定的なガス交換及び組織保存が可能となる。
(3.組み合わせ物)
本発明は以下を含む組み合わせ物を提供するものである:
(1)光合成微生物;
(2)光合成微生物を培養するための培養液;
(3)通気性容器;及び
(4)組織保存液。
本発明は以下を含む組み合わせ物を提供するものである:
(1)光合成微生物;
(2)光合成微生物を培養するための培養液;
(3)通気性容器;及び
(4)組織保存液。
本項において、本発明の組み合わせ物を説明するにあたり用いられる各用語の定義や説明は(1.組織の保存方法)及び(2.組織保存装置)の項の記載に従うものとする。
本発明の組み合わせ物には、上記本発明の方法に使用する、種々の試薬や機器を含めることが出来る。
例えば、本発明の組み合わせ物は、光合成微生物に対して光合成を誘導する光を照射し得る光源を更に含んでいてもよい。
また、本発明の組み合わせ物は、酸素運搬体を更に含んでいてもよい。
本発明の組み合わせ物は、光合成微生物の培養槽を更に含んでいてもよい。該培養槽には、導出口及び導入口が設けられていることが好ましい。この場合、本発明の組み合わせ物に含まれる通気性容器は、液体を導入可能なポート、及び液体を導出可能なポートが、該通気性容器に、気密的に少なくとも1つずつ設けられていることが好ましい。また、本発明の組み合わせ物は、光合成微生物が、通気性容器の内腔と、生体外の培養槽の内部との間を循環可能するようなポンプを更に含んでいてもよい。
本発明の組み合わせ物は、上記本発明の組織保存方法を実施するため、或いは上記本発明の組織保存装置の組み立て用キットとして有用である。
刊行物、特許文献を含む、本明細書に引用されたすべての参考文献は、引用により、それらが個々に具体的に参考として援用されかつその内容全体が具体的に記載されているのと同程度にまで、本明細書に援用される。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
実験には体重200−300gの雄性LEWラットを用いた(日本チャールスリバー株式会社)。ドナーラットは、移植前日から絶食処置を行った。レシピエントラットとしては、移植前日までにクエン酸バッファーに溶解したストレプトゾトシン(50mg/kg)を静脈投与することにより、通常時血糖値が300mg/dlを超えたラットを使用した。
実験には体重200−300gの雄性LEWラットを用いた(日本チャールスリバー株式会社)。ドナーラットは、移植前日から絶食処置を行った。レシピエントラットとしては、移植前日までにクエン酸バッファーに溶解したストレプトゾトシン(50mg/kg)を静脈投与することにより、通常時血糖値が300mg/dlを超えたラットを使用した。
ドナーラットをジエチルエーテルによる過麻酔で心停止させた。ラットは心停止後室温にて3時間静置した。3時間経過後開腹し、脾臓の切離は行わず、膵臓及び脾臓を一括して摘出した。このとき総胆管は結紮した。摘出した膵臓の腹部大動脈より18Gのサーフロー外筒(テルモ)を挿入し、10%ヘパリン生理食塩水200μlを灌流した。摘出した膵臓グラフトを30分間、次の前処置液に浸漬した。前処置液には光合成により溶存酸素濃度を高めたHb(Hemoglobin、ウシヘモグロビン 1.5g/dLを混和)−ETK液、Hb−ETK液、ETK液(株式会社大塚製薬工場)を用いた。光合成処理Hb−ETK及びHb−ETK液は室温(22℃)で、ETK液は4℃で使用した。図1に光合成装置の概略を示した。光合成細胞にはクロレラ(クロレラチクゴ株、クロレラ工業株式会社)を用い、光合成反応には0.6g/dL NaHCO3の溶液に2.2×108個/mLの濃度で使用した。50mLのクロレラ溶液を10cm×10cmの袋状の多孔質フィルム内(OTP−35H、大塚テクノ(株))に入れ、LED照射板を溶液内に入れ7万ルクスの照度下に光合成を開始した。このクロレラ溶液の入ったフィルム製バッグを50mLのHb−ETK液に浸け、Hb−ETK液内の溶存酸素濃度を高めた。この光合成反応は組織浸漬の30分前より開始し、光合成処理Hb−ETK液は酸素分圧が300mmHg以上の条件で使用した。組織浸漬後も引き続き光合成反応を継続した。
レシピエントラットをジエチルエーテルによって麻酔し、右頚部を切開した。右頚静脈、右頚動脈を剥離し、頚動脈に20G、頚静脈に16Gのサーフロー外筒(テルモ)で作成したカフを装着した。膵グラフトの腹部大動脈を頚動脈に、門脈を頚静脈に吻合した後、血流を再開させた。再灌流後、膵グラフトから脾臓を切離し、頚部皮膚を連続縫合にて縫い閉じた。手術終了後に生理食塩水5mlの皮下投与を行った。さらに移植4時間後には25%糖液2mlの腹腔内投与を行った。
図2に各液に浸漬した膵臓を移植したラット群の1週間生存数を示した。4℃でETK液に浸漬した膵臓を移植した群では、移植後3から5時間の間に6例中5例が死亡し、残りの1例については1週間以上生存した(図2 4degrees C)。一方、室温にてHb−ETK液中で保存した膵臓を移植した群では、移植後5時間目と7.5時間にそれぞれ1例が死亡し、残りの4例については1週間以上生存した(図2 RT)。光合成下にて光合成処理したHb−ETK液中で保存した膵臓を移植した群では、全例が1週間以上生存し、4℃のETK液で膵臓を保存した群に比して、ラットの生存数が有意に高かった(図2 RT−Photosynthesis)。
(比較例1)
実験には体重200−300gの雄性LEWラットを用いた(日本チャールスリバー株式会社)。ドナーラットは、移植前日から絶食処置を行った。レシピエントラットとしては、移植前日までにクエン酸バッファーに溶解したストレプトゾトシン(50mg/kg)を静脈投与することにより、通常時血糖値が300mg/dlを超えたラットを使用した。
実験には体重200−300gの雄性LEWラットを用いた(日本チャールスリバー株式会社)。ドナーラットは、移植前日から絶食処置を行った。レシピエントラットとしては、移植前日までにクエン酸バッファーに溶解したストレプトゾトシン(50mg/kg)を静脈投与することにより、通常時血糖値が300mg/dlを超えたラットを使用した。
ドナーラットをジエチルエーテルによる過麻酔で心停止させた。ラットは心停止後室温にて3時間静置した。3時間経過後開腹し、脾臓の切離は行わず、膵臓及び脾臓を一括して摘出した。このとき総胆管は結紮した。摘出した膵臓の腹部大動脈より18Gのサーフロー外筒(テルモ)を挿入し、10%ヘパリン生理食塩水200μlを灌流した。摘出した膵臓グラフトを30分間、前処置液に浸漬した。前処置液には光合成により溶存酸素濃度を高めたHb(Hemoglobin、ウシヘモグロビン 1.5g/dLを混和)−ETK液を4℃に冷却したものを用いた。光合成細胞にはクロレラ(クロレラチクゴ株、クロレラ工業株式会社)を用い、光合成反応には0.6g/dL NaHCO3の溶液に2.2×108個/mLの濃度で使用した。50mLのクロレラ溶液を10cm×10cmの袋状の多孔質フィルム内(OTP−35H、大塚テクノ(株))に入れ、LED照射板を溶液内に入れ7万ルクスの照度下に光合成を開始した。このクロレラ溶液の入ったフィルム製バッグを50mLのHb−ETK液に浸け、Hb−ETK液内の溶存酸素濃度を高めた。この光合成反応は組織浸漬の30分前より開始し、光合成処理Hb−ETK液は酸素分圧が300mmHg以上の条件で使用した。組織浸漬後も引き続き冷却を続けながら光合成反応を継続した。
レシピエントラットをジエチルエーテルによって麻酔し、右頚部を切開した。右頚静脈、右頚動脈を剥離し、頚動脈に20G、頚静脈に16Gのサーフロー外筒(テルモ)で作成したカフを装着した。膵グラフトの腹部大動脈を頚動脈に、門脈を頚静脈に吻合した後、血流を再開させた。再灌流後、膵グラフトから脾臓を切離し、頚部皮膚を連続縫合にて縫い閉じた。手術終了後に生理食塩水5mlの皮下投与を行った。さらに移植4時間後には25%糖液2mlの腹腔内投与を行った。
その結果、光合成処理4℃Hb−ETK液に浸漬した膵臓を移植したラット群の1週間生存数は6例中3例であった。ただし、生存3例のうち1例は移植後も通常時血糖が300mg/ml以上であり、移植膵臓は機能していなかった。移植後に死亡した個体のそれぞれの死亡時間は、移植3.5時間後、5時間後、3日後であった。
本発明の組織保存方法を用いれば、組織の機能を高度に維持したまま組織を保存することが可能である。
本発明の組織保存方法を用いれば、比較的高温での組織の保存が可能である。
本発明の組織保存方法を用いれば、組織保存液中へ酸素を供給するのみならず、組織保存液中から二酸化炭素が除去され、組織内のpH低下が抑制され、組織保存効果が高まる。
本発明の組織保存方法を用いれば、比較的高温での組織の保存が可能である。
本発明の組織保存方法を用いれば、組織保存液中へ酸素を供給するのみならず、組織保存液中から二酸化炭素が除去され、組織内のpH低下が抑制され、組織保存効果が高まる。
Claims (17)
- 光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行いながら、組織を10〜40℃にて該組織保存液内で保存することを含む、組織の保存方法。
- 組織を15〜37℃にて組織保存液内で保存する、請求項1記載の方法。
- 組織を20〜25℃にて組織保存液内で保存する、請求項1又は2記載の方法。
- 以下の工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法:
(I)光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行うことにより、酸素が溶解した組織保存液を得ること;
(II)(I)で得られた酸素が溶解した組織保存液内に、組織を浸漬すること;及び
(III)光合成微生物による光合成により、組織が浸漬した組織保存液内のガス交換を行うこと。 - 光合成微生物を含む培養液と組織保存液とが、通気性シートを介して接合しており、
光合成微生物の光合成により産生された酸素が光合成微生物を含む培養液内から通気性シートを介して組織保存液内へと移行し、組織保存液中に含まれる二酸化炭素が、組織保存液内から通気性シートを介して光合成微生物を含む培養液内へと移行することにより、組織保存液のガス交換が行われる、
請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 - 光合成微生物を含む培養液が通気性容器に収容されており、
組織保存液が容器に収容されており、
通気性容器を構成する通気性シートの少なくとも一部が組織保存液中に接触するように通気性容器が配置されることにより、光合成微生物を含む培養液と組織保存液とが通気性シートを介して接合している、
請求項5記載の方法。 - 通気性容器が培養槽と連結しており、
ここで、該培養槽は液体を導入可能な導入口と、液体を導出可能な導出口を少なくとも1つずつ有しており、
該通気性容器には、液体を導入可能なポート、及び液体を導出可能なポートが、気密的に少なくとも1つずつ設けられており、
培養槽の導出口と、通気性容器に設けられた液体を導入可能なポートとが、チューブを介して連結され、
通気性容器に設けられた液体を導出可能なポートと、培養槽の導入口とがチューブを介して連結され、
光合成微生物を含む培養液が、通気性容器の内腔と培養槽の内部との間を循環する、
請求項6記載の方法。 - 組織保存液が酸素運搬体を含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- 光合成微生物による光合成により、組織保存液のガス交換を行うことにより、酸素が溶解した組織保存液を得ることを含む、酸素含有組織保存液の製造方法。
- 組織保存液が収容された容器、及び
光合成微生物を含む培養液が収容された通気性容器を備える組織保存装置であって、
通気性容器を構成する通気性シートの少なくとも一部が組織保存液中に接触するように通気性容器が配置されることにより、光合成微生物を含む培養液と組織保存液とが通気性シートを介して接合されている、組織保存装置。 - 通気性容器内の光合成微生物に対して、光合成を誘導する光を照射可能な光源を更に備える、請求項10記載の組織保存装置。
- 培養槽を更に備え、
ここで、該培養槽は液体を導入可能な導入口と、液体を導出可能な導出口を少なくとも1つずつ有しており、
該通気性容器には、液体を導入可能なポート、及び液体を導出可能なポートが、気密的に少なくとも1つずつ設けられており、
光合成微生物を含む培養液が、通気性容器の内腔と培養槽の内部との間を循環し得るように、
培養槽の導出口と、通気性容器に設けられた液体を導入可能なポートとが、チューブを介して連結され、且つ
通気性容器に設けられた液体を導出可能なポートと、培養槽の導入口とがチューブを介して連結される、
請求項10記載の組織保存装置。 - 培養槽内の光合成微生物に対して、光合成を誘導する光を照射可能な光源を更に備える、請求項12記載の組織保存装置。
- 組織保存液が酸素運搬体を含有する、請求項10〜13のいずれかに記載の組織保存装置。
- 以下を含む、組み合わせ物:
(1)光合成微生物;
(2)光合成微生物を培養するための培養液;
(3)通気性容器;及び
(4)組織保存液。 - 光合成を誘導する光を照射可能な光源を更に含む、請求項15記載の組み合わせ物。
- 酸素運搬体を更に含む、請求項15又は16記載の組み合わせ物。
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