JP2012029834A - 抗血栓性コーティング剤及び医療用具 - Google Patents

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Abstract

【課題】医療用具などの表面への付着性に優れ、かつ、硫酸基が導入された1,3−β−架橋型D−グルコースを繰り返し単位とする多糖類又はその塩の担持量が多く、抗血栓性に優れる抗血栓性コーティング剤を提供する。
【解決手段】硫酸基が導入された1,3−β−架橋型D−グルコースを繰り返し単位とする多糖類又はその塩と、ポリマー材料とからなるコーティング成分を含む抗血栓性コーティング剤において、該ポリマー材料は、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又はその誘導体を重合主成分とする分岐鎖を複数本有する分岐型重合体であり、該抗血栓性コーティング剤中の該ポリマー材料の濃度が0.75〜3重量%であり、該ポリマー材料と硫酸基が導入された1,3−β−架橋型D−グルコースを繰り返し単位とする多糖類又はその塩とのイオンモル比が1/2〜1/5であることを特徴とする抗血栓性コーティング剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、優れた抗血液凝固性(抗血栓性)を長期間に亘って持続することができ、生体組織に適用したり、人工臓器や人工血管などの各種医療用具の構成材料として適用が可能な抗血栓性コーティング剤と、この抗血栓性コーティング剤がコーティングされた医療用具とに関する。
血液は異物と接触した場合に、血液中の種々の成分の作用により凝固してしまう性質を有している。したがって、人工心臓、人工心臓弁、人工血管、血管カテーテル、カニューレ、人工心肺、血管バイパスチューブ、大動脈バルーンポンピング、輸血用具及び体外循環回路などの血液と接触する部位に使用される医療用具の構成材料には、高い抗血液凝固性が要求される。しかしながら、従来の医療用具の構成材料の多くは長期間に亘って使用した場合には血液凝固が生じることが避けられず、抗血液凝固性の持続力という点において充分ではない。また、上記の医療用具を患者に施用する場合には、通常、ヘパリンなどの抗血液凝固剤を医療用材料の表面に固定するか又は徐放させる技術が種々提案されていた。例えば、カチオン性残基を有したポリマー材料にヘパリンを接触させ、ヘパリンをイオン結合状に該ポリマー材料に担持させたものとして、ポリ塩化ビニルとアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体にヘパリン又はその塩をイオン結合してなるコーティング用の抗血栓性医療材料が特許文献1に記載されている。
しかしながら、ウシなどの肝臓から抽出して得る生物由来物質であるヘパリンには未知ウイルス、有害プリオン、細菌が混入する問題があり、さらにその抗血栓の活性も個体ごとのバラツキや製造ロットごとのバラツキが大きく、投与量と効果の制御が困難である問題があった。そこで、生物由来物質ではなく化学合成で製造可能な合成高分子での抗血栓コーティングの技術が研究され、例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレートと塩基性官能基を有するモノマーとのコポリマーよりなる抗血栓コーティング剤及びこれを医療用材料の表面に固定した抗血栓性医療用具が特許文献2に記載されている。
この特許文献2では、血液フィルターに前記コポリマーを、アルコール、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒に溶解させて塗布しているため(特許文献2第0050段落)、生体組織や、有機溶媒に対する耐性が低い材料の表面には適用することができない。
本出願人らは、生体組織などにも適用することができるコーティング剤として、所定温度(T)よりも低い温度では親水性であり、該所定温度(T)よりも高い温度では疎水性であるポリマー材料を基材とし、これに、硫酸基が導入された1,3−β−架橋型D−グルコースを繰り返し単位とする多糖類又はその塩(以下、これらを単に、「硫酸化多糖類」と総称する場合がある。)を担持させた抗血栓性コーティング剤を先に特許出願した(特許文献3)。
この抗血栓性コーティング剤に用いるポリマー材料は、分岐鎖として、カチオン性モノマーを重合してなるポリマー部分と、N−イソプロピルアクリルアミドを重合してなるポリマー部分とを含むものであるため、前記カチオン性モノマーからなるポリマー部分により、硫酸化多糖類との親和性を具備すると共に、前記N−イソプロピルアクリルアミドを重合してなるポリマー部分により、低温では親水性、高温では疎水性となる上記温度応答性を具備する。即ち、上記ポリマー材料は、所定温度よりも低い温度では親水性(水溶性)であるため、これを水に溶解させて生体あるいは医療用具に塗布し、その後、所定温度よりも高い温度とすることにより、疎水性(水不溶性)とし、生体あるいは医療用具に付着させることができる。
特許第3341503号 特開2002−105136号 特開2008−237344号公報
特許文献3に記載の抗血栓性コーティング剤であれば、生体組織等に影響を与える有機溶媒を使用することなく医療用具などの表面処理を行うことができるが、N−イソプロピルアクリルアミドを重合してなるポリマー部分は、電気的に中性であり、電気的に陰性である硫酸化多糖類との相互作用が無い又は極めて小さいため、担持することができる硫酸化多糖類の量が十分ではなく、更なる改善が望まれている。
本発明は、上記従来の問題点を解消し、医療用具などの表面への付着性に優れ、かつ、硫酸基が導入された1,3−β−架橋型D−グルコースを繰り返し単位とする多糖類又はその塩の担持量が多く、抗血栓性に優れる抗血栓性コーティング剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、検討を重ねる過程で、所定温度以下では親水性を示し、所定温度以上では疎水性を示し、且つ僅かながらカチオン性を備える2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートをポリマー材料の分岐鎖に導入することを試みた。2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを構成単位とするポリマー材料であれば、カチオン性の2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート単位が、硫酸化多糖類との結合に寄与し、硫酸化多糖類の担持量を多くすることができる。
しかしながら、このポリマー材料は、常温の水溶液中であっても2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート単位が容易に加水分解され、2−N,N−ジメチルアミノエタノールが脱離するため、前記所定温度(所謂、LCST(Lower Critical Solution Temperature))が上昇し、体温付近の温度でも疎水性を示さなくなってしまう。さらに、加水分解により主鎖に生成したアニオン性官能基の効果によって、ポリマー材料がアニオン性物質である硫酸化多糖類を静電的に反発するように変化するため、抗血栓性コーティング剤のポリマー材料としては不適当であると考えられた。
そこで、本発明者らは、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート単位の加水分解を抑える方法について検討を重ねた結果、この2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを構成単位とするポリマー材料の濃度と、硫酸化多糖類との混合割合を制御することにより、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート単位の加水分解を抑制することが可能であることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
本発明(請求項1)の抗血栓性コーティング剤は、硫酸基が導入された1,3−β−架橋型D−グルコースを繰り返し単位とする多糖類又はその塩と、ポリマー材料とからなるコーティング成分を含む抗血栓性コーティング剤において、該ポリマー材料は、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又はその誘導体を重合主成分とする分岐鎖を複数本有する分岐型重合体であり、該抗血栓性コーティング剤中の該ポリマー材料の濃度が0.75〜3重量%であり、該ポリマー材料と、硫酸基が導入された1,3−β−架橋型D−グルコースを繰り返し単位とする多糖類又はその塩とのイオンモル比が1/2〜1/5であることを特徴とするものである。
請求項2の抗血栓性コーティング剤は、請求項1において、前記分岐鎖1本当りの2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又はその誘導体単位の分子量が、該分岐鎖1本当りの分子量の90%以上であることを特徴とするものである。
請求項3の抗血栓性コーティング剤は、請求項1又は2において、前記分岐鎖は、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又はその誘導体単位のみからなることを特徴とするものである。
請求項4の抗血栓性コーティング剤は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記コーティング成分を含む水溶液であることを特徴とするものである。
請求項5の抗血栓性コーティング剤は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記ポリマー材料は、N,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これに少なくとも2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又はその誘導体を光照射リビング重合させた分岐型重合体であることを特徴とするものである。
請求項6の抗血栓性コーティング剤は、請求項5において、前記N,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物は、ベンゼン環を核とし、この核に分岐鎖として3個以上の該N,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基が結合していることを特徴とするものである。
請求項7の抗血栓性コーティング剤は、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記ポリマー材料の分子量は、5,000〜500,000であることを特徴とするものである。
請求項8の抗血栓性コーティング剤は、請求項1ないし7のいずれか1項において、前記コーティング成分は、所定温度(T)よりも低い温度では親水性であり、該所定温度(T)よりも高い温度では疎水性であることを特徴とするものである。
請求項9の抗血栓性コーティング剤は、請求項8において、前記所定温度(T)は、25〜37℃の間の温度であることを特徴とするものである。
本発明(請求項10)の医療用具は、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の抗血栓性コーティング剤がコーティングされたものである。
本発明においては、抗血栓性コーティング剤中の2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又はその誘導体(以下、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又は誘導体を、単に、「DMAEM」と略記する場合がある。)を重合主成分とする分岐鎖を複数本有する分岐型重合体からなるポリマー材料の濃度を0.75〜3重量%とし、かつ、このポリマー材料と硫酸化多糖類とのイオンモル比を1/2〜1/5とすることにより、分岐鎖中のDMAEM由来の構成単位(以下、「DMAEM単位」と称す場合がある。)の加水分解を抑制することができ、若干のカチオン性を有するDMAEMを構成単位とし、硫酸化多糖類の担持効率に優れたポリマー材料を、抗血栓性コーティング剤に適用することが可能となる。
なお、ポリマー材料と硫酸化多糖類とを前記イオンモル比で混合することにより、DMAEM単位の加水分解を抑制することができるメカニズムの詳細は明らかではないが、所定のイオンモル比で混合した場合には、分岐鎖のDMAEM単位と硫酸化多糖類との電気的な親和力により、DMAEM単位の近傍に硫酸化多糖類が存在するようになり、この硫酸化多糖類が水分子の接近を阻害し、結果として、加水分解が生じにくくなることが考えられる。
本発明において、前記分岐鎖1本当りのDMAEM単位の分子量は、該分岐鎖1本当りの分子量の90%以上であることが好ましく(請求項2)、特に、前記分岐鎖が、DMAEM単位のみからなることが好ましい(請求項3)。分岐鎖に含まれるDMAEM単位の量が多いほど、分岐鎖のカチオン性が高くなるため、アニオン性である硫酸化多糖類との親和性が向上し、ポリマー材料の硫酸化多糖類担持量が増加する。
本発明の抗血栓性コーティング剤は、ポリマー材料と硫酸化多糖類との複合体であるコーティング成分を水に溶解させた水溶液とすることができ(請求項4)、このような抗血栓性コーティング剤であれば、有機溶媒を不使用として生体に与える影響を低減させることができる。
本発明で用いるポリマー材料は、N,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これに少なくともDMAEMを光照射リビング重合させた分岐型重合体であることが好ましく(請求項5)、このN,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物としては、ベンゼン環を核とし、この核に分岐鎖として3個以上のN,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基が結合しているものが好ましい(請求項6)。
また、本発明で用いるポリマー材料の分子量は5,000〜500,000であることが好ましい(請求項7)。ポリマー材料の分子量がこの範囲内であれば、硫酸化多糖類の担持量を十分なものとすると共に、抗血栓性コーティング剤の医療用具などに対する付着性を高めることができる。
本発明に係るコーティング成分は、所定温度(T)よりも低い温度では親水性であり、該所定温度(T)よりも高い温度では疎水性であることが好ましく(請求項8)、この所定温度(T)としては、25〜37℃の間の温度であることが好ましい(請求項9)。
本発明(請求項10)の医療用具は、本発明の抗血栓性コーティング剤がコーティングされた医療用具であり、抗血栓性コーティング剤の付着性、長期安定性に優れるため、優れた抗血液凝固性(抗血栓性)を長期間に亘って持続することができる。この医療用具は、人工臓器や人工血管などの各種医療用具として有用である。
6分岐型重合体溶液の温度と光透過率との関係を示すグラフである。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[抗血栓性コーティング剤]
本発明の抗血栓性コーティング剤は、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又はその誘導体(DMAEM)を重合主成分とする分岐鎖を複数本有するポリマー材料と、硫酸化多糖類とからなるコーティング成分を含むものであって、該抗血栓性コーティング剤中の該ポリマー材料の濃度が0.75〜3重量%であり、該ポリマー材料と硫酸化多糖類とのイオンモル比が1/2〜1/5であることを特徴とするものである。
本発明によれば、前述の通り、DMAEMに由来する構成単位の加水分解を抑制することができ、これにより、コーティング成分が疎水性を示すようになるため、医療用具の表面に長期に亘り安定に付着させることが可能となる。また、カチオン性のDMAEM単位により、十分量の硫酸化多糖類を安定に担持することができる。
本発明において、抗血栓性コーティング剤中のポリマー材料の濃度は、0.75〜3重量%、特に1.0〜2.0重量%程度とすることが好ましい。抗血栓性コーティング剤中のポリマー材料の濃度が上記下限よりも低い場合には、ポリマー材料と硫酸化多糖類とを後述のイオンモル比で混合してもDMAEM単位の加水分解を抑制することができず、また、均一なコーティング膜を得ることができない可能性もある。上記上限よりも濃度が高い場合には、抗血栓性コーティング剤の粘度が高くなるため、医療用具などの表面に対して抗血栓性コーティング剤を均一に塗布できなくなる場合がある。抗血栓性コーティング剤中のポリマー材料の濃度を前記範囲とした場合には、DMAEM単位の加水分解が有効に抑制されると共に、抗血栓性コーティング剤を塗布する際のハンドリング性がよく、薄く均一なコーティング膜を形成することができる。
<コーティング成分>
本発明に係るコーティング成分を構成するポリマー材料と硫酸化多糖類とのイオンモル比は1/2〜1/5、特に1/2〜1/3程度が好ましい。このイオンモル比が上記範囲外であるとポリマー材料中のDMAEM単位の加水分解を十分に抑制することができない。本発明においては、このようにポリマー材料に対して硫酸化多糖類を過剰に混合することができるので、DMAEM単位の加水分解を抑制しつつ、優れた抗血栓性を得ることが可能である。即ち、硫酸化多糖類は、親水性を示すため、硫酸化多糖類の混合量を増加させると、抗血栓性コーティング剤の医療器具表面に対する付着性が低下してしまうが、本発明においては、この問題をポリマー材料の濃度と、このポリマー材料に対する硫酸化多糖類の配合量を調整することにより解決している。ただし、硫酸化多糖類を前記上限よりも多く配合すると、抗血栓性コーティング剤がゲル化してしまうため好ましくなく、また、製造コストの面においても好ましくない。
なお、本明細書において、イオンモル比とは、ポリマー材料中の陽電荷のモル数と、硫酸化多糖類中の陰電荷のモル数との比のことである。
前記コーティング成分を調製するには、ポリマー材料の低温の水溶液に対して硫酸化多糖類を添加して混合し、ポリマー材料に硫酸化多糖類を担持させればよい。
前記所定濃度でポリマー材料と硫酸化多糖類とを混合させてなるコーティング成分は、所定温度(T)よりも低温では親水性となり、所定温度(T)よりも高温では疎水性を示すようになる。この所定温度(T)としては、25〜37℃、特に30〜35℃が好ましい。
前記所定温度が30℃である場合には、30℃よりも低い温度、例えば10〜25℃程度の抗血栓性コーティング剤の水溶液を生体あるいは医療用具に塗布などにより付着させ、30℃よりも高い温度に昇温させ、必要に応じ乾燥させることにより、水不溶性の、硫酸化多糖類を担持したコーティングが形成される。生体の場合、この際の昇温は赤外線、照明ライトなどの非接触式の加温装置や生体の体温によって行われる。
≪ポリマー材料≫
本発明において用いるポリマー材料は、N,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、このイニファターに少なくともDMAEMを光照射リビング重合させたものが好ましい。
なお、本明細書において、イニファターとは、光照射によりラジカルを発生させる重合開始剤、連鎖移動剤としての機能と共に、成長末端と結合して成長を停止する機能、さらに光照射が停止すると重合を停止させる重合開始・重合停止剤として機能する分子のことである。
イニファターとなるN,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する芳香族化合物としては、ベンゼン環に該N,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基、好ましくはN,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル基が3個以上分岐鎖として結合しているものが好適であり、具体的には次が例示される。即ち、3分岐鎖化合物としては、1,3,5−トリ(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジアルキルジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られる1,3,5−トリ(N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル)ベンゼンであり、4分岐鎖化合物としては、1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジアルキルジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られる1,2,4,5−テトラキス(N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル)ベンゼンであり、6分岐鎖化合物としては、ヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジアルキルジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られるヘキサキス(N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル)ベンゼンが挙げられる。なお、ここで、N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル基に含まれるジアルキル部分のアルキル基としては、エチル基等の炭素数2〜18個のアルキル基が好ましいが、アルキル基に限らず、フェニル基など芳香族系の炭化水素基であっても構わない。即ち、N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル基に限らず、N,N−ジアリールジチオカルバミルメチル基等を含む、脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基で置換されたN,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基であれば目的を達成することができる。
上記のイニファターは、アルコール等の極性溶媒に対しては殆ど不溶であるが、非極性溶媒には易溶である。この非極性溶媒としては炭化水素、ハロゲン化アルキル又はハロゲン化アルキレンが好適であり、特に、ベンゼン、トルエン、クロロホルム又は塩化メチレン特にトルエンが好適である。
イニファターと上記DMAEMとを反応させるには、イニファター、及びDMAEMを含んでなる原料溶液を調製し、これに光照射することによって、イニファターに対し、DMAEMが結合した反応生成物を生成させる。
該原料溶液中のDMAEMの濃度は0.5M以上、例えば0.5M〜2.5Mが好適であり、イニファターの濃度は1〜20mM程度が好適である。
照射する光の波長は250〜400nmが好適であり、例えば蛍光灯、ショートアークキセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯などを用いることができる。光の照射時間は照射強度にも依存するが、1〜90分程度が好適であり、1μW/cm〜10mW/cm程度の低い照射強度で1〜60分程度が特に好適である。市販の蛍光灯を用いて光照射を行う場合には、1〜100時間程度光照射を行うことが好ましい。
この光照射により、反応液中に目的とする分岐型重合体が生成するので、必要に応じ精製することにより、分岐鎖部分にDMAEM単位よりなるポリマー鎖が導入され、分岐鎖の末端がN,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基であるホモポリマーを得る。
この分岐型重合体の分岐鎖の1本当たりの分子量としては、100〜60,000程度、特に200〜30,000程度が好ましい。この分子量は、光照射の時間を制御することにより調整することができる。即ち、反応時間を長くすることにより、重合反応を進行させて分子量の大きい分岐型重合体を得ることができる。
なお、本明細書において、分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリエチレングリコール換算の数平均分子量をさす。
分岐型重合体の分岐鎖は、前述のDMAEMをモノマーとする1種のモノマーのみからなるホモポリマーであることが好ましいが、DMAEMとDMAEMとは異なる1種以上のモノマーを導入したブロックコポリマー又はランダムコポリマーであってもよい。
この場合の他のモノマーとしては、アクリル酸誘導体、スチレン誘導体等のビニル系モノマーが好適であり、具体的には、N,N−ジメチルアクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドCH=CHCONHCN(CH、4−N,N-ジメチルアミノスチレン、及び4−アミノスチレンの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のビニル系モノマーが挙げられ、特に、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドCH=CHCONHCN(CH等のカチオン性ビニル系モノマーが好ましい。これらのビニル系モノマーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
イニファターとDMAMEとDMAEMとは異なるモノマーとを反応させるには、前述のイニファターとDMAEMとを反応させる場合と同様に、イニファター、DMAEM、及びDMAEM以外のモノマーを含んでなる原料溶液を調製し、これに光照射することによって、イニファターに対し、DMAEM及びDMAEM以外のモノマーが結合したランダムコポリマーを得る。
また、上記イニファターに対し、まず、DMAEMをブロック重合させて、ホモポリマーを形成し、その後、このホモポリマーに3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドをブロック重合させ、分岐鎖の基端側をDMAEMのブロックポリマー、分岐鎖の先端側を3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドブロックポリマーで構成した分岐鎖としてもよい。このように、分岐鎖を2種類以上のモノマーのブロックコポリマーとする場合、イニファターに対する重合の順序は任意である。
いずれの場合も分岐鎖の末端は、N,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基となる。
前記のように、DMAEMとDMAEM以外のモノマーとを反応させた場合には、分岐鎖1本当りのDMAEM単位の分子量が、当該分岐鎖1本当りの分子量の90%以上、特に95〜100%となるようにするのが好ましい。DMAEM単位はカチオン性であるため、分岐鎖に含まれるDMAEM単位が多いほど、ポリマー材料とアニオン性である硫酸化多糖類との親和性が高くなり、硫酸化多糖類の担持量を高めることができ、抗血栓性コーティング剤の抗血栓性が向上する。
また、本発明において、ポリマー材料は硫酸化多糖類の担体として機能すると共に、医療用具等への付着のためのアンカーとして機能することから、ポリマー材料の分岐型重合体の分岐鎖は多い方が好ましく、分岐鎖は4本以上、特に6本であることが好ましい。
また、ポリマー材料の分子量としては、上記機能を有効に得る上で5,000〜500,000程度、特に25,000〜150,000程度が好ましい。
≪硫酸化多糖類≫
本発明においては、硫酸化多糖類として、硫酸基が導入された1,3−β−架橋型D−グルコースを繰り返し単位とする多糖類又はその塩を用いることができる。この硫酸基が導入された1,3−β−架橋型D−グルコースを繰り返し単位とする多糖類とは、D−グルコースの1位及び3位の炭素に結合したOH基同士が脱水縮合したものであって、かつ6位、4位及び/又は2位の炭素に対し硫酸基(−SOH)を結合させたものである。硫酸基の結合数としては、D−グルコース1ユニット中に平均して1個〜2個程度が好ましい。硫酸基が導入される前の1,3−β−架橋型D−グルコースを繰り返し単位とする多糖は、『カードラン』の名称で食品添加物などとして公知であり、微生物発酵法により製造される。この多糖類のD−グルコースの重合度(繰り返し単位の数)は10〜90万程度が好ましい。この多糖類への硫酸基の導入は、例えば、DMSO溶媒中でピペリジン−N−硫酸を作用させることで行うことが可能である。
硫酸化多糖類は、前記多糖類の硫酸基のHを置換したナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩であってもよい。なお、すべての硫酸基について置換してもよく、一部の硫酸基についてのみ置換してもよいが、ヒトの体温(約36℃)付近で水不溶性とするためには、硫酸基の一部のみを塩の形態とすることが好ましい。
[医療用具]
本発明の医療用具としては、人工心臓、人工心臓弁、人工血管、血管カテーテル、血管ステント、カニューレ、人工心肺、血管バイパスチューブ、大動脈バルーンポンピング、輸血用具及び体外循環回路などの血液と接触する部位に使用される医療用具などが例示される。
本発明の抗血栓性コーティング剤を医療用具に適用する場合、医療用具の表面1cm当りに本発明の抗血栓性コーティング剤を0.1〜30mg程度付着させるのが好ましい。この付着量は、抗血栓性コーティング剤中のコーティング成分濃度、コーティング剤の塗布量(1回の塗布量、塗布回数)、洗浄操作などにより調整することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(1) イニファターの合成
イニファターとしての1,2,3,4,5,6−ヘキサキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンを次のようにして合成した。
1,2,3,4,5,6−ヘキサキス(ブロモメチルベンゼン)5.0gとN,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム34.0gとをエタノール100mL中へ加え、遮光下、室温で4日間撹拌した。沈殿物を濾過し、3Lのメタノール中に投入して30分間撹拌した後、濾過した。この操作を繰り返し合計4回行った。沈殿物をクロロホルム200mLに溶解させた後、100mLのメタノールを加えて50℃に加温し、熱濾過後、冷蔵庫内で15時間保管して再結晶させ、結晶を濾別後に大量のメタノールで洗浄した。結晶を室温で減圧乾燥して、白色の1,2,3,4,5,6−ヘキサキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンの針状結晶を得た(収率90%)。この結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析し、結晶中に原料が含まれていないこと、及び結晶が単一物質であることを確認した。
H−NMR(in CDCl)の測定結果は、δ1.26−1.31ppm(t,36H,CHCH),δ3.69−3.77ppm(q,12H,N(CHCH),δ3.99−4.07ppm(q,12H,N(CHCH),δ4.57ppm(s,12H,Ar−CH)であった。
Figure 2012029834
(2) 6分岐型重合体の合成
2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートをモノマーとして用い、1,2,3,4,5,6−ヘキサキス[(N,N−ジエチルジチオカルバミル)ポリ(2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)メチル]ベンゼンの合成を行った。
上記(1)により合成した1,2,3,4,5,6−ヘキサキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼン46.0mgを20mLのクロロホルムに溶解し、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート8.0gを加えて混合し、全量をクロロホルムで50mLに調整した。1mm厚軟質ガラスセル中で激しく撹拌しながら高純度窒素ガス(G1グレード、流量:2L/min)で10分間パージした後、丸管形蛍光灯(O字形)(東芝製:FCL30L)の環の内側に前記ガラスセルとマグネットスターラーを配置し、ガラスセルの側面の全周方向から蛍光灯の光を96時間照射した。光照射後の溶液の色は薄い黄色であった。重合溶液をエバポレーターで濃縮し、n−ヘキサンで重合物を再沈殿させ、n−ヘキサンをデカンテーションした後、沈殿物をクロロホルムに溶解した。溶媒をエバポレーター留去し、フラスコの内壁面にフィルムを形成した。ジエチルエーテル/n−ヘキサン(v/v:1/1)の混合溶液で前記フィルムを洗浄することにより精製し、目的とする6分岐型重合体を得た。GPCにより、この重合体のポリエチレングリコールを標準物質とした数平均分子量を測定したところ、26,000(Mw/Mn=2.0)であった。また、計算により分岐鎖1本当たりの分子量を求めたところ、4159であった。
Figure 2012029834
(3) 曇点の評価
上記(2)で合成した6分岐型重合体20mgを水に溶解させ、溶解させた直後(実験例1)、溶解から1時間後(実験例2)、3時間後(実験例3)、5時間後(実験例4)、及び24時間後(実験例5)の溶液の30〜40℃における光透過率を測定することにより前記重合体の曇点(LCST)を求めた。結果を図1に示す。
全ての実験例において、温度の上昇により溶液が白濁したことから、前記重合体が温度感応性を備えていることが分かる。また、溶解させてから測定までの保持時間に比例して曇点が上昇したこと、及び時間の経過と共に溶液中に揮発性の低分子量アミン化合物が生成していたことから、経時的に6分岐型重合体中の2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート単位が水溶液中で加水分解され、脱溶媒和の性質が徐々に失われることが分かる。
(4) 複合体(コーティング成分)の調製及び曇点の評価
上記(2)で合成した6分岐型重合体と硫酸化多糖類とを水溶液中で混合して複合体の形成を行った。この実施例において用いた硫酸化多糖類は、「カードラン」(武田キリン食品(株)製)をサイズ排除カラムクロマトグラフィーと疎水クロマトグラフィーで精製し(精製後の1,3−β−架橋型D−グルコースの平均重合度:約1,000)、これをピペリジン−N−硫酸で硫酸化したものである。
なお、6分岐型重合体溶液中の陽電荷(イオン)のモル数は、6分岐型重合体溶液中のDMAEM単位の重量を、1陽電荷あたりの分子量(DMAEM単位の分子量)157で除することにより求めることができる。硫酸化多糖類溶液中の陰電荷(イオン)のモル数は、溶液中の硫酸化多糖類の重量を、1陰電荷あたりの分子量で除することにより求めることができる。本実施例に用いた硫酸化多糖類の1陰電荷あたりの分子量は242である。
また、参考までに、硫酸化多糖類溶液中の陰電荷(イオン)のモル数は、その水溶液を中和滴定し、硫酸化多糖類のイオン交換容量を測定することによっても平均的な値を求めることができる。
複合体を形成するにあたり、6分岐型重合体溶液と硫酸化多糖類溶液とを混合し、6分岐型重合体の終濃度が0.5〜3.0重量%となり、かつ、6分岐型重合体中の陽電荷と硫酸化多糖類中の陰電荷のイオンモル比が、1.0/2.0〜1.0/10.0となるように混合し、速やかに30〜45℃における光透過率を測定し、複合体の曇点を求めた(実施例1)。
前記実験により、硫酸化多糖類の混合量が多い程、曇点が低温側にシフトすることが分かった。これは、親水性のアニオン性物質(前記実験では硫酸化多糖類)の量を増やすと複合体全体の親水性が向上し、結果として曇点が上昇する、という公知の現象と異なるものであった。イオンモル比が1.0/10.0の場合の曇点は0℃以下であり、正確な曇点を測定することができなかった。前記イオンモル比で調製した曇点が0℃以下のコーティング剤であっても、基材の表面で各溶液を混合することにより、コーティング膜を直接基材表面に形成させることが可能であると考えられるが、実用性の面から、コーティング剤の曇点は室温程度であることが望ましい。従って、イオンモル比は本発明の範囲内であることが好ましい。
(5) 耐加水分解性の評価
表1に記載の6分岐型重合体濃度、及び6分岐型重合体と硫酸化多糖類とのイオンモル比の水溶液よりなる抗血栓性コーティング剤を調製した。この溶液10μLを2×3cm角のPE(ポリエチレン)フィルムへ均質に流延し、ドライヤーで乾燥させることによりコーティング処理を行い、次いで、このPEフィルムを37℃の温水で24時間洗浄した。洗浄後のPEフィルム、及びコーティング処理を行っていないPEフィルムについて、それぞれフィルム表面の水の接触角を協和界面化学社製、CA−Dにより測定し、抗血栓性コーティング剤の耐加水分解性を評価した。即ち、洗浄後のPEフィルムの接触角が、未処理のPEフィルムの接触角と異なるものは耐加水分解性があり(○)、洗浄後のPEフィルムの接触角が未処理のPEフィルムの接触角と同じものは耐加水分解性がない(×)。結果を表1に示す。
Figure 2012029834
表1の結果より、6分岐型重合体よりなるポリマー材料の濃度、及びポリマー材料と硫酸化多糖類とのイオンモル比が本発明の範囲内である抗血栓性コーティング剤は、耐加水分解性を有し、抗血栓性コーティング剤として有用であることが分かる。

Claims (10)

  1. 硫酸基が導入された1,3−β−架橋型D−グルコースを繰り返し単位とする多糖類又はその塩と、ポリマー材料とからなるコーティング成分を含む抗血栓性コーティング剤において、
    該ポリマー材料は、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又はその誘導体を重合主成分とする分岐鎖を複数本有する分岐型重合体であり、
    該抗血栓性コーティング剤中の該ポリマー材料の濃度が0.75〜3重量%であり、
    該ポリマー材料と硫酸基が導入された1,3−β−架橋型D−グルコースを繰り返し単位とする多糖類又はその塩とのイオンモル比が1/2〜1/5であることを特徴とする抗血栓性コーティング剤。
  2. 請求項1において、前記分岐鎖1本当りの2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又はその誘導体単位の分子量が、該分岐鎖1本当りの分子量の90%以上であることを特徴とする抗血栓性コーティング剤。
  3. 請求項1又は2において、前記分岐鎖は、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又はその誘導体単位のみからなることを特徴とする抗血栓性コーティング剤。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記コーティング成分を含む水溶液であることを特徴とする抗血栓性コーティング剤。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記ポリマー材料は、N,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これに少なくとも2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又はその誘導体を光照射リビング重合させた分岐型重合体であることを特徴とする抗血栓性コーティング剤。
  6. 請求項5において、前記N,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物は、ベンゼン環を核とし、この核に分岐鎖として3個以上の該N,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基が結合していることを特徴とする抗血栓性コーティング剤。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記ポリマー材料の分子量は、5,000〜500,000であることを特徴とする抗血栓性コーティング剤。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、前記コーティング成分は、所定温度(T)よりも低い温度では親水性であり、該所定温度(T)よりも高い温度では疎水性であることを特徴とする抗血栓性コーティング剤。
  9. 請求項8において、前記所定温度(T)は、25〜37℃の間の温度であることを特徴とする抗血栓性コーティング剤。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の抗血栓性コーティング剤がコーティングされた医療用具。
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