JP2012029788A - 胃瘻造設術用拡張器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】先端部が鈍角又は略半球状な棒状部材4と、前記棒状部材4を挿通自在とする内腔を有する穿刺針3と、前記穿刺針3を挿通自在とする内腔を有し、先端に向かって先細りのテーパー部を有する拡張器2と、前記拡張器2を挿通自在とする内腔を有するシース1と、から構成されると共に、前記棒状部材4の先端部において、前記棒状部材4の基端部側に向かって発生する付勢力の有無により、前記棒状部材4を、前記穿刺針3の先端部から突没させる突没調整部5を有することを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
近年、経腸栄養剤とその投与法の発達により、経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG:Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)による経腸栄養管理が頻繁に行われるようになってきた。
一方、Introducer法は、胃瘻チューブが咽頭部を通過しないため、上記創部感染の危険性が低く、また内視鏡も1回の挿入ですむが、ガイドワイヤを用いないで太い穿刺針(外径4mm以上)を穿刺しなければならないため、穿刺に伴う危険性が大きく、さらにシースを介して比較的細径のバルーンカテーテルしか留置できないため栄養剤の投与に時間がかかるという問題点を有している。
この方法では、腹壁及び胃壁を胃壁腹壁固定具と呼ばれる器具を用いて、縫合糸により固定し、ガイドワイヤ下でダイレータを用いて、腹壁及び胃壁に瘻孔を開け、その瘻孔にガイドワイヤ下でオブチュレータにより体内留置部を伸展した太径のボタン型胃瘻カテーテルを挿入し、胃内で体内留置部の伸展を解除してカテーテルを留置する。
これに対し、ボタン型胃瘻カテーテルは、体内留置部をオブチュレータによって縮径状態にしても、チューブ部よりも外径を小さくすることが困難であるため、ボタン型胃瘻カテーテルの挿入時には、体内留置部が瘻孔を押し拡げるように働き、挿入抵抗が若干大きくなる点でさらなる挿入性の向上が求められている。
一般的に、ガイドワイヤを用いて胃瘻カテーテルを留置する従来の方法では、以下の(1)〜(5)のステップを行う必要がある。
(1)胃瘻造設部位にカニューラ針を穿刺する。
(2)カニューラ針の内針を抜去する。
(3)カニューラの中を通してガイドワイヤを胃内に挿入する。
(4)カニューラを抜去し、ガイドワイヤを留置する。
(5)ガイドワイヤの後端側から拡張器の先端を通す。(その後、拡張器により瘻孔を拡張する。)
本発明の課題は、従来のガイドワイヤを用いる胃瘻造設手技に比較して、ガイドワイヤを用いるステップを省略することにより手術時間を短縮でき、且つ使用器具の削減を図ることができると共に、ガイドワイヤを使用しなくても安全、確実に胃瘻造設を行うことができる胃瘻造設術用拡張器を提供することである。
(1)先端部が鈍角又は略半球状な棒状部材4と、
前記棒状部材4を挿通自在とする内腔を有する穿刺針3と、
前記穿刺針3を挿通自在とする内腔を有し、先端に向かって先細りのテーパー部を有する拡張器2と、
前記拡張器2を挿通自在とする内腔を有するシース1と、
から構成されると共に、
前記棒状部材4の先端部において、前記棒状部材4の基端部側に向かって発生する付勢力の有無により、前記棒状部材4を、前記穿刺針3の先端部から突没させる突没調整部(5)を有することを特徴とする胃瘻造設術用拡張器。
(2)前記突没調整部5は、前記棒状部材4の基端部に付設されたフランジ部材44と、前記フランジ部材44に当接する弾性部材52とを内部に有するケース部材51から構成されている(1)に記載の胃瘻造設術用拡張器。
(3)先端部が鈍角又は略半球状な棒状部材4と、
前記棒状部材4を挿通自在とする内腔を有し、基端部近傍にガス注出孔35を有する穿刺針3と、
前記穿刺針3を挿通自在とする内腔を有し、先端に向かって先細りのテーパー部を有する拡張器2と、
前記拡張器2を挿通自在とする内腔を有するシース1と、
から構成されると共に、
前記棒状部材4の先端部に発生する付勢力の有無により、前記棒状部材4を前記穿刺針3の先端部から突没させる突没調整部5と、を有し、
更に、前記突没調整部5を内装すると共に、前記棒状部材4と前記穿刺針3との隙間を通って前記ガス注出孔35から注入されたガスを貯留させるガス貯留室72を有する気密チャンバー7と、
から構成されていることを特徴とする胃瘻造設術用拡張器。
(4)更に、前記気密チャンバー7の後端部には、前記突没調整部5の基端部と当接するストッパー5が嵌装された(3)に記載の胃瘻造設術用拡張器。
(5)前記穿刺針3の外径が0.5mm以上、4mm以下である(1)乃至(4)のいずれかに記載の胃瘻造設術用拡張器。
図1(a)は、本発明の一実施例における第一の胃瘻造設術用拡張器01において、シース1、拡張器2、穿刺針3、棒状部材4、突没調整部5、固定部6を組み合わせた時の未使用時の正面図を示す。ここで未使用時とは、棒状部材先端部に付勢力が働いていない状態のことを指す。
図1(b)は、図1(a)の断面図を示しており、図1(b)を用いて、各部の構成を説明する。
また、シース1は、長手方向に渡って中空構造の内腔を有しており、拡張器2が挿通可能となっている。シース先端部11の内径は、拡張器胴体部22の外径とほぼ同径が好ましい。また、シース先端部11と、拡張器胴体部22との段差は最小限にすることが好ましい。こうすることで、拡張器2を挿入後、シース先端部11が挿入される際の抵抗を下げることができるため、拡張器2を容易に挿入することができる。
また、拡張器2は、長手方向に渡って中空構造の拡張器内腔24を有しており、穿刺針3が挿通可能となっている。拡張器先端部21の内径は、穿刺針胴体部32の外径とほぼ同径が好ましい。
また、拡張器先端部21と、穿刺針胴体部32の外径との段差は最小限にすることが好ましい。こうすることで、穿刺針3を穿刺後、拡張器先端部21が挿入される際の抵抗を下げることができるため、拡張器2を容易に挿入することができる。
また、穿刺針3は、長手方向に渡って中空構造の穿刺針内腔34を有しており、棒状部材4が挿通可能となっている。
穿刺針3の外径は、組織に対してガイドワイヤなどのガイドなしに穿刺するために、極力細いほうが安全に穿刺できる点で好ましく、特に限定されないが、0.5mm以上、4mm以下の範囲が好ましく、特に0.5mm以上、3mm以下の範囲が好ましい。
棒状部材後端部43に付設されたフランジ部44は、ケース部材51の内部に位置しており、同じくケース部材51の内部に存在する弾性部材52に当接している。上述した棒状部材先端部41において棒状部材4の基端部側に向かって付勢力が作用したときには、フランジ部44が弾性部材52を押し縮め、穿刺針3に対する棒状部材4の相対位置が変化する(図1(c)参照)。
フランジ部44の形状は特に規定しないが、円盤形状であることが好ましい。円盤形状にすることにより、弾性部材52に均等な力で付勢力を作用させることができる。
ケース部材51は、弾性部材52の状態変化が確認できることが好ましいため、透明性を有している材料から構成されることが好ましい。
また、ケース部材51の長手方向の長さは、穿刺針先端部31より棒状部材先端部41が基端部側へ移動するだけの長さがあればよく、特に規定しない。
弾性部材52は、付勢力により状態変化できるものであれば、特に限定しないが、バネ、スポンジなどが好ましい。
図2(a)は、本発明の他の実施例における第二の胃瘻造設術用拡張器02において、シース1、拡張器2、穿刺針3、棒状部材4、突没調整部5、固定部6、気密チャンバー7を組み合わせた時の未使用時の正面図を示す。ここで未使用時とは、棒状部材先端部に付勢力が作用していない状態のことを指す。
図2(b)は、図2(a)の断面図を示しており、図2(c)は棒状部材先端部において棒状部材4の基端部側に向かって付勢力が作用した際の断面図、図2(d)は、棒状部材先端部に付勢力が作用していない状態でストッパーを取り外した時の断面図、図2(e)は、穿刺針が拡張器内部に収納された時の断面図をそれぞれ示す。
第二の胃瘻造設術用拡張器02は、基端部側に気密チャンバー7を有しており、固定部B62を介して拡張器2と固定されている。
また気密チャンバーケース71の内部には突没調整部5を内包している。ストッパー75は、突没調整部5の基端部と当接するように嵌装されており、ストッパー75が嵌装している状態においては、気密チャンバー7と突没調整部5の相対位置が変化しないようになっている。
気密弁74は、ガス貯留室72の先端側に付設されており、穿刺針胴体部32が移動可能で且つ、気密性を保持するように設けられている。
ストッパー75を取り外した状態で、ガス貯留室72の内部にガスが入ることにより体積を増加させることができ、気密チャンバー7に対する突没調整部5の相対位置が変化することになる。
穿刺針先端部31と棒状部材胴体部42との隙間からガスが入った場合、ガス注入孔35が出口となり、ガス貯留室72の内部にガスが入ることが可能となる。
上述したように、穿刺針先端部31と棒状部材胴体部42との隙間からガスが入ると、ガス注入孔35から、ガス貯留室72の内部にガスが入り、ガス貯留室72の体積が増加することにより、気密チャンバー7に対する突没調整部5の相対位置が変化する。
更に、突没調整部5の相対位置が変化することにより、拡張器2に対する穿刺針3の相対位置が変化し、穿刺針先端部31は拡張器先端部21よりも基端部側へ移動し、拡張器2内に収納された状態となる。
その工程は、以下の工程からなる。
(1)腹壁と胃壁とを固定する固定する工程(以下、第1工程とも記載する)。
(2)腹壁及び胃壁に本発明の胃瘻造設術用拡張器を穿刺・挿入し、穿刺針の貫通孔の径を拡張して瘻孔を形成する工程(以下、第2工程とも記載する)。
(3)シースのみを残して、胃瘻造設術用拡張器を抜去する工程(以下、第3工程とも記載する)。
(4)シースを介して胃瘻カテーテルを胃内に留置する工程(以下、第4工程とも記載する)
続いて、第1工程として、その部位において、腹壁と胃壁の相対位置のずれを防止するため、胃壁腹壁固定を行う。
穿刺予定位置に、メスで小切開を加えておく。場合によっては、金属鉗子によって充分に組織(筋層)剥離を行うことにより、より瘻孔造設術用拡張器が挿入しやすくなる。この部位が、カテーテルの挿入予定部位となる。
図2(a)及び(b)の状態の第二の胃瘻造設術用拡張器02の棒状部材先端部41を小切開部位に押し当て、先端側へ力を加えていくことにより、棒状部材先端部41において棒状部材4の基端部側に向かって付勢力が作用し、図2(c)に見られるように棒状部材先端部41は穿刺針先端部31よりも基端部側へ移動し、穿刺針先端部31が小切開部位に当接する状態となる。この状態にてさらに先端側へ力を加えることにより、穿刺針3が腹壁、胃壁を穿刺することが可能となる。
胃内に穿刺針先端部31が到達したとき、棒状部材先端部41に付勢力が作用しなくなるため、図2(d)のように棒状部材先端部41は穿刺針先端部31よりも先端側へ移動し、穿刺針先端部31による胃後壁損傷等を防止することが可能となる。
また、穿刺針3により設けられた貫通孔は、穿刺針3と拡張器2とシース1は一体型に構成されているため、連続して拡張器2、続いてシース1にて貫通孔の径を拡張する。
内視鏡にて、胃内に拡張器先端部21が到達したことを確認した後、図2(d)のようにストッパー75を取り外す。本術式において、内視鏡の送気ガスにより、胃を膨張させているため、胃内圧が高くなっている。そのため、ストッパー75を取り外すと、穿刺針先端部31と棒状部材4との隙間からガスが入り、穿刺針内腔34を通って、ガス注入孔35からガス貯留室72にガスが貯留されることにより、突没調整部5が基端部側へ移動し、突没調整部5と連結され、連動して可動するように取り付けられた穿刺針3も連動して基端部側へ移動する。このようにして、穿刺針先端部31は、拡張器2内に収納される。(図2(e)参照)
穿刺針先端部31が拡張器2内に収納されることにより、拡張器2で組織拡張を続ける際に、鋭利な刃を有する穿刺針先端部31が胃後壁へ誤穿刺されるのを防止できるため、安全に組織の拡張を行うことができる。
ここで、ストッパー75は、必ずしも必要としない。ストッパー75を付設しない実施形態において、胃内からのガスがガス貯留室72に入らない限り、突没調整部5が基端部側へ移動しないように、穿刺針3の基端部側への移動を制限できるように構成したほうが、ストッパー75の取り外す動作を省略できる点でより好ましい。
上述したように、伸展具によって伸展させた胃瘻カテーテルを上記シース1の基端部側の内腔より、挿入していくことにより、上記シース1の外表面長手方向に設けられた切込み溝(図示せず)が裂けながら、胃内に留置させる。(特許文献1参照)
胃瘻カテーテルが胃内に留置された後に、上記シース1を抜去し、続いて伸展具による胃瘻カテーテルの伸展を解除し、伸展具を抜去することで、胃瘻カテーテルの留置が完了する。
02 第二の胃瘻造設術用拡張器
1 シース
11 シース先端部
12 シース胴体部
13 シース後端部
14 シース把持部
2 拡張器
21 拡張器先端部
22 拡張器胴体部
23 拡張器後端部
24 拡張器内腔
3 穿刺針
31 穿刺針先端部
32 穿刺針胴体部
33 穿刺針後端部
34 穿刺針内腔
35 ガス注入孔
4 棒状部材
41 棒状部材先端部
42 棒状部材胴体部
43 棒状部材後端部
44 フランジ部
5 突没調整部
51 ケース部材
52 弾性部材
6 固定部
61 固定部材A
62 固定部材B
7 気密チャンバー
71 気密チャンバーケース
72 ガス貯留室
73 ストッパー差込み孔
74 気密弁
75 ストッパー
Claims (5)
- 先端部が鈍角又は略半球状な棒状部材4と、
前記棒状部材4を挿通自在とする内腔を有する穿刺針3と、
前記穿刺針3を挿通自在とする内腔を有し、先端に向かって先細りのテーパー部を有する拡張器2と、
前記拡張器2を挿通自在とする内腔を有するシース1と、
から構成されると共に、
前記棒状部材4の先端部において、前記棒状部材4の基端部側に向かって発生する付勢力の有無により、前記棒状部材4を、前記穿刺針3の先端部から突没させる突没調整部5を有することを特徴とする胃瘻造設術用拡張器。 - 前記突没調整部5は、前記棒状部材4の基端部に付設されたフランジ部材44と、前記フランジ部材44に当接する弾性部材52とを内部に有するケース部材51から構成されている請求項1に記載の胃瘻造設術用拡張器。
- 先端部が鈍角又は略半球状な棒状部材4と、
前記棒状部材4を挿通自在とする内腔を有し、基端部近傍にガス注出孔35を有する穿刺針3と、
前記穿刺針3を挿通自在とする内腔を有し、先端に向かって先細りのテーパー部を有する拡張器2と、
前記拡張器2を挿通自在とする内腔を有するシース1と、
から構成されると共に、
前記棒状部材4の先端部に発生する付勢力の有無により、前記棒状部材4を前記穿刺針3の先端部から突没させる突没調整部5と、を有し、
更に、前記突没調整部5を内装すると共に、前記棒状部材4と前記穿刺針3との隙間を通って前記ガス注出孔35から注入されたガスを貯留させるガス貯留室72を有する気密チャンバー7と、
から構成されていることを特徴とする胃瘻造設術用拡張器。 - 更に、前記気密チャンバー7の後端部には、前記突没調整部5の基端部と当接するストッパー5が嵌装された請求項3に記載の胃瘻造設術用拡張器。
- 前記穿刺針3の外径が0.5mm以上、4mm以下である請求項1乃至4のいずれかに記載の胃瘻造設術用拡張器。
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