本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、まず、画像処理装置におけるスキャン処理(画像読取処理)を制御する機能を有する無線通信装置について説明する。
この無線通信装置は、制御部(プロセッサ)と、この制御部がアクセス可能なメモリとを備えている。上記メモリには、ユーザ入力に基づいて画像処理装置に原稿のスキャン処理(ウェブサービス)を実行させるためのウェブメソッドコールを送信するための処理を制御部に実行させるための指示情報(命令)が格納されている。なお、ウェブサービスとは、ネットワーク上に分散して接続されているウェブサーバが各々提供しているアプリケーションをインターネットの標準技術を用いて連携させるためのインターネット分野において従来から汎用されている技術である。また、ウェブメソッドコールとは、インターネット分野において汎用されている、上記アプリケーションを提供するウェブサーバにインターネット経由で処理を依頼するための標準的な通信手段である。
上記指示情報は、スキャンされた原稿の画像データ全体を画像処理装置から直接受信して格納する処理を制御部に実行させるための情報を含んでいてよい。この場合、スキャンされた原稿の画像データは画像処理装置からこの画像処理装置の独自フォーマット(上記画像処理装置の機種、あるいは上記画像処理装置の機種を含む特定の機種群に固有のデータ形式。あるいは、上記画像処理装置のメーカー独自のデータ形式。)を保ったまま無線通信装置に受信・格納され、画像処理装置および無線通信装置とは異なる他の装置(第三者サーバ)には格納されない。これにより、上記画像データを再び画像処理装置に送信して印刷処理等を行う場合に画質が低下してしまうことを防止できる。すなわち、画像処理装置でスキャンした画像データを上記の独自フォーマットからPDFやTiffなどの汎用のデータ形式に変換すると画像処理装置において当該画像データを再利用する場合にフォーマット変換に伴う画質の低下を招いてしまうが、上記の構成によれば、独自フォーマットのままの画像データを画像処理装置に送信して再利用できるので、画質の低下を防止できる。ただし、本発明は画像処理装置と無線通信装置との間で独自フォーマットの画像データを送受信する構成に限定されるものではなく、画像処理装置が取り扱い可能な、汎用されているフォーマットの画像データを送受信するようにしてもよい。
なお、上記の無線通信装置と画像処理装置との間の通信を、IEEE802.11プロトコル、あるいは携帯電話ネットワークを用いて行ってもよい。また、無線通信装置が、画像処理装置上のウェブサービスとHTTP(Hypertext Transfer Protocol)メッセージを介したSOAP(Simple Object Access Protocol)の通信を行うようにしてもよい。
ウェブメソッドコールは、画像処理装置で実行される画像処理プラットフォームの一部であるウェブメソッドを起動する。上記の画像処理プラットフォームは、シャープOSA(登録商標)プラットフォームであってもよい。また、無線通信装置は、HTTPリスナースレッド(HTTP listener thread)を用いてスキャンされた原稿の画像データ全体を受信してもよい。HTTPリスナーは、IPアドレス、ポート番号、サーバ名、およびデフォルトの仮想サーバを持つ待機ソケットである。
メモリに格納された上記指示情報は、画像処理装置のウェブサービスのためのウェブサービスオブジェクトを初期化させるためのウェブメソッドコールを送信する処理を制御部に行わせるための情報を含んでいてもよい。また、上記指示情報は、画像処理装置の処理能力に関する情報を画像処理装置から取得するためのウェブメソッドコールを画像処理装置に送信する処理を制御部に行わせるための情報を含んでいてもよい。また、上記指示情報は、画像処理装置から取得した上記の処理能力に応じたオプションメニューを無線通信装置に備えられる表示部に表示する処理を制御部に行わせるための情報を含んでいてもよい。また、上記指示情報は、画像処理装置におけるキャンセルイベントおよび完成イベントを予約するためのウェブメソッドコールを画像処理装置に送信する処理を制御部に行わせるための情報を含んでいてもよい。また、上記指示情報は、上記表示部に表示させたオプションメニューの中からユーザが所望するオプションを選択する選択入力を受け付ける処理を制御部に行わせるための情報を含んでいてもよい。また、上記指示情報は、上記選択入力によって選択されたオプションに応じて画像処理装置にスキャンジョブ(画像処理ジョブ)の設定を行わせるためのウェブメソッドコールを画像処理装置に送信する処理を制御部に行わせるための情報を含んでいてもよい。
また、本実施形態では、無線通信装置を用いて画像処理装置におけるスキャン処理(画像読取ジョブ)を制御する制御方法を開示する。画像処理装置に原稿のスキャン処理を行わせるためのウェブメソッドコールがユーザ入力に基づいて無線通信装置から画像処理装置に送信される。スキャンされた原稿の画像データ全体が画像処理装置から無線通信装置に直接送信されて無線通信装置に保存される。スキャンされた原稿の画像データは画像処理装置の独自フォーマットを保ったまま無線通信装置に送信され、他の装置(第三者サーバ)には保存されない。
また、本実施形態では、無線通信装置を用いて画像処理装置におけるスキャン処理(画像読取ジョブ、画像処理ジョブ)を制御するためのプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を開示する。上記記録媒体には、画像処理装置におけるスキャン処理を制御するための指示情報が記録されている。上記指示情報は、ユーザ入力に基づいて画像処理装置にスキャン処理を実行させるためのウェブメソッドコールを送信する処理をコンピュータに行わせるためのものであってもよい。また、上記指示情報は、スキャンされた原稿の画像データ全体を画像処理装置から直接受信し、保存する処理をコンピュータに行わせるためのものであってもよい。スキャンされた画像データは画像処理装置の独自フォーマットを保ったまま無線通信装置に送信され、他の装置(第三者サーバ)には保存されない。
また、本実施形態では、画像処理装置に印刷ジョブ(画像形成ジョブ、画像処理ジョブ)を行わせるための無線通信装置を開示する。この無線通信装置は、制御部(プロセッサ)と、この制御部がアクセス可能なメモリとを備えている。上記メモリには、無線通信装置に格納されている画像データ全体を画像処理装置に直接送信する処理を制御部に行わせるための指示情報(命令)が格納されている。上記画像データは、他の装置(第三者サーバ)に保存されず、画像処理装置でサポートされているフォーマットで送信される。なお、上記指示情報は、ユーザ入力に基づいて画像処理装置に上記画像データの印刷を行わせるためのウェブメソッドコールを送信する処理を制御部に行わせるためのものであってもよい。
また、本実施形態では、無線通信装置を用いて画像処理装置に印刷ジョブを行わせる方法も開示している。無線通信装置に格納されている画像データ全体が画像処理装置に直接送信される。上記画像データは他の装置(第三者サーバ)に保存されず、画像処理装置でサポートされているフォーマットで送信される。また、ユーザ入力に基づいて画像処理装置に上記画像データの印刷を行わせるためのウェブメソッドコールが無線通信装置から画像処理装置に送信される。
また、本実施形態では、無線通信装置を用いて画像処理装置に印刷を行わせるためのプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を開示する。上記記録媒体には、無線通信装置に保存されている画像データ全体を画像処理装置に直接送信する処理をコンピュータに行わせるための指示情報が記録されている。上記画像データは他の装置(第三者サーバ)に保存されず、画像処理装置でサポートされているフォーマットで送信される。上記指示情報は、ユーザ入力に基づいて画像処理装置に上記画像データの印刷を行わせるためのウェブメソッドコールを無線通信装置から画像処理装置に送信する処理をコンピュータに行わせるためのものであってもよい。
無線技術の進歩は、無線通信装置の需要拡大、およびコストの低減をもたらしてきた。なお、本明細書において、「無線通信装置」という用語は、無線通信を行う装置全般を指すものであり、例えば、様々なアプリケーションによって様々な形式でコード化された情報を無線通信する演算装置、情報処理装置、携帯電話、音声再生装置、表示装置などが含まれる。無線通信装置は、例えば、携帯電話、スマートフォン、PDA(登録商標)、ラップトップコンピュータ、ネットブック、eリーダー、無線モデムなどであってもよい。また、無線通信装置は、接続端末(アクセルターミナル)、携帯端末、移動局(モバイルステーション)、リモートステーション、ユーザ端末、端末、加入者ユニット、加入者ステーション、携帯装置、無線装置、ユーザ装置、または他の類似する用語で表現されるものであってもよい。
これらの装置が、Wi-Fi(登録商標)ネットワーキング、組み込みの(ビルトイン)Webブラウザ、組み込みのメールクライアント、写真や文書を閲覧する機能などの先進的な機能を有していてもよい。ただし、これらの先進の装置には、他の装置との互換性を有さない場合があるという問題がある。このため、例えば、MFP(multi-function printer)を無線通信装置とインターフェース(相互作用)させることが望まれている。具体的には、例えば、無線通信装置がMFPでスキャンされた画像データをこのMFPから直接受信したり、無線通信装置からMFPに印刷する画像データを直接送信したりすることが望まれている。しかしながら、無線通信装置については、様々な製造者により、様々なオペレーションシステムが採用されている。
本実施形態にかかる制御システムおよび制御方法では、無線通信装置を用いて画像処理装置を制御する。すなわち、本実施形態では、無線通信装置が、画像処理装置に画像処理ジョブ(例えばスキャンジョブ(画像読取ジョブ)あるいは印刷ジョブ((画像形成ジョブ))を行わせるためにこの画像処理装置と通信を行う。例えば、無線通信装置を、もともと画像処理装置に搭載されている画像処理プラットフォーム(例えばシャープOSA(シャープ・オープンシステム・アーキテクチャ、登録商標)など)に無線接続するようにしてもよい。具体的には、本実施形態では、ウェブメソッドを用いることにより、ウェブサービスを用いる各種の無線通信装置により、画像処理プラットフォームを用いる画像処理装置に画像処理ジョブ(例えば、画像読取ジョブ、あるいは画像形成ジョブ)を行わせることができる。
図1は、本実施形態にかかる制御システム(画像処理装置の制御システム)100の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、制御システム100は、画像処理装置102と無線通信装置104とを有しており、これら両装置がネットワーク130を介して通信可能に接続されている。また、画像処理装置102は、操作パネル(フロントパネル)105、画像読取部(スキャナ部、イメージキャプチャモジュール)114、画像形成部(プリンタ部、プリントモジュール)116、ネットワークモジュール(無線通信部)118、およびメモリ(画像処理装置メモリ)120を備えている。
なお、本明細書において、「画像処理」という用語は、画像データを用いた処理あるいは画像データに対する処理全般を指すものであり、例えば、画像データに応じた画像を記録材上に形成(印刷)する処理(印刷処理、画像形成処理)、原稿を読み取って当該原稿の画像データを取得する処理(スキャン処理、画像読取処理)、画像データに応じた画像を表示装置に表示させる処理などを含む。画像処理装置102の例としては、例えば、プリンタ(画像形成装置)、FAX装置(画像送信装置)、コピー機(画像形成装置)、スキャナ(画像読取装置)、ディスプレイモニタ(画像表示装置)、多機能周辺装置(MFP)、イメージセッター(imagesetter)、プレートセッター(platesetter)、ファイリング装置、ウェブ公開装置(web publishing device)などが挙げられる。また、印刷するために画像処理装置102に送信される画像データ、あるいは画像データと印刷処理に適用する各種設定値とを含む情報を印刷ジョブと称する。
操作パネル105は、画像処理装置102に取り付けられているか、あるいは画像処理装置102に備えられており、ユーザに情報を提示するとともに、ユーザからの操作入力を受け付ける。操作パネル105は、ユーザが操作入力を行うための1または複数のパネルコマンドボタン(操作ボタン)112を備えている。なお、操作パネル105に備えられる表示部106にユーザが操作入力を行うための1または複数の表示コマンドボタン(操作ボタン)110を表示させるようにしてもよい。また、表示部106に1または複数の画像サムネイルを表示させるようにしてもよい。また、表示部106は、ウェブページや他の有用な情報をユーザに提示する機能を有していてもよい。表示部106としては、従来から公知の種々のディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ、ブラウン管ディスプレイなど)を用いることができる。また、表示部106としてタッチパネル機能を有するものを用い、表示部106に表示される表示コマンドボタン110に対するユーザの入力を受け付けるようにしてもよい。
画像読取部114は、画像読取処理(スキャン処理)を行うためのハードウェア、および/またはソフトウェアを有するモジュールである。例えば、画像読取部114は、スキャナ、デジタルカメラ、または画像読取機能を有する他の装置を備えていてもよい。画像形成部116は、画像形成処理(印刷処理)を行うためのハードウェア、および/またはソフトウェアを有するモジュールである。例えば、画像形成部116は、電子写真方式の画像形成装置、あるいはインクジェット方式の画像形成装置を備えていてもよい。ネットワークモジュール118は、ネットワーク130を介して他の装置と通信を行うモジュールであり、送受信のためにデータを定型化するハードウェアおよび/またはソフトウェアを備えている。メモリ120は、画像処理装置102で用いられる各種データを記憶するためのものである。メモリ120としては、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、その他の異なる種類のメモリ、あるいはそれらの組み合わせを用いることができる。メモリ120は、磁気ディスク、内部回路、半導体チップ、電子データを記憶するためのその他の電子機器、またはそれらの組み合わせによって実装されるものであってもよい。
無線通信装置104は、画像処理アプリケーション122およびメモリ(無線通信装置メモリ)132を備えている。また、画像処理アプリケーション122は、スキャンアプリケーション124、印刷アプリケーション126、および通信アプリケーション128を備えている。スキャンアプリケーション124は、無線通信装置104のユーザからの指示に応じて、画像処理装置102の画像読取部114の動作を制御し、原稿をスキャンして原稿の画像データを取得させる処理、および取得した画像データを当該無線通信装置104に送信(画像処理装置102の独自フォーマットで送信)させる処理を行わせる。印刷アプリケーション126は、無線通信装置104のユーザからの指示に応じて、画像処理装置102の画像形成部116の動作を制御し、当該無線通信装置104から送信する印刷ジョブ(画像データ)を受け取らせ、それを印刷させる。通信アプリケーション128は、ネットワーク130を介して他の装置との通信を行うアプリケーションであり、送受信するためのデータを定型化する処理などを行う。
これにより、画像処理アプリケーション122は、画像処理装置102に印刷ジョブを送信する処理、および画像処理装置102からスキャンされた画像データを受信する処理などを行う。なお、画像処理装置102と無線通信装置104とは、他の装置(第三者サーバ)を介することなく、ネットワーク130を用いて直接通信する。
メモリ132としては、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、その他の異なる種類のメモリ、あるいはそれらの組み合わせを用いることができる。メモリ132は、磁気ディスク、内部回路、半導体チップ、電子データを記憶するためのその他の電子機器、またはそれらの組み合わせによって実装されるものであってもよい。メモリ132は、要求される解像度および/またはサイズで取得された画像データ(フル画像データ)を記憶する。上記画像データ(フル画像データ)は1または複数の画像ファイル(フル画像ファイル)からなるものであってもよい。
画像読取部114は電子画像データを得るために使われる。例えば、画像読取部114は、原稿を読み取って原稿の画像データ(電子画像データ)を取得するスキャナを備えていてもよい。画像読取部114が、読み取られた画像データ(フル画像データ)をメモリ120に保存するようにしてもよい。画像形成部116は、無線通信装置104の印刷アプリケーション126からの指示に応じて、メモリ120に保存している印刷ジョブあるいは無線通信装置104から送信される印刷ジョブを処理する(印刷ジョブに応じた画像を記録材上に形成する)。
図2は、制御システム100のより具体的な構成を示す説明図である。この制御システム100では、無線通信装置104を用いて画像処理装置102の動作を制御するようになっている。この制御システム100は、画像処理装置102の動作を制御するための画像処理アプリケーション122を有する無線通信装置104を備えている。無線通信装置104は、例えば、ローカルネットワーク230(例えばWiFi(登録商標))を介してアクセスポイント256を用いて画像処理装置102と通信可能に接続されるものであってもよい。あるいは、外部ネットワーク(例えばインターネット258)に接続された基地局(ベースステーション)254を用いて画像処理装置102と通信可能に接続されるものであってもよい。「WiFi(登録商標)」では、IEEE802.11プロトコルを用いる無線ローカルエリアネットワークを介した通信が行われる。画像読取部114および画像形成部116は、図1について説明したように、それぞれ、ユーザあるいは無線通信装置104が画像処理装置102にスキャン処理あるいは印刷処理を行わせるためのインターフェースである。
なお、無線通信装置104がネットワークに接続するための優先順位のリストを用いる構成としてもよい。例えば、無線通信装置104は、まずアクセスポイント256への接続(すなわちWiFi(登録商標)を用いた接続)を試みる。アクセスポイント256は、基地局254よりも物理的に近い位置にあるので、基地局254との接続よりも信頼性が高い。また、アクセスポイント256は企業のファイアウォールの中にあるので、通信速度が速い。アクセスポイント256への接続ができなかった場合、基地局254との4Gを用いた接続を試み、4Gを用いた接続も出来なかった場合に基地局254との3Gを用いた接続を試みる。通信速度の遅いエッジネットワークも利用し得るが、ネットワークの通信速度はスキャンデータ(スキャンによって取得した画像データ)および印刷データ(印刷を行う画像データ)の送信に要する時間に影響を与える。
画像処理装置102は、この画像処理装置102における個別の機能(インターネットの閲覧機能、電子メールクライアント機能、クライアント装置の相互接続(インターフェース)機能、画像処理装置102内における印刷ジョブの管理機能など)を統合するための画像処理プラットフォーム208を備えている。画像処理プラットフォーム208として、例えばシャープOSA(登録商標)技術を用いてもよい。例えば、画像処理プラットフォーム208が、電子メールを送信する前にスキャンジョブ(画像データ)にメタデータを付加する、データベースから登録情報にアクセスする、デジタルデータを表示する、他のネットワークシステムと相互接続する、他の画像処理装置102の主要部へのアクセスを制御する、請求書作成システムの動作を報告する、ウェブサービスを用いて通信する、カスタムメニューを生成するというった処理を行うようにしてもよい。
スキャンされた画像データ244aを無線通信装置104へ送信する方法の1つとして、電子メールのトランザクションを用いて外部ネットワークを介して送信する方法が考えられる。この場合、スキャンされた画像データ244bは、画像処理装置102から外部の電子メールサーバ264に送信される。ユーザは、電子メールクライアントのアプリケーションによりスキャンされた画像データ244bを閲覧するためのアカウントにアクセスする。しかし、この方法では、スキャンされた画像データ244bを配布するために、潜在的なセキュリティ上の危険性を有する電子メールのトランザクションを用いることになる。
無線通信装置104から画像処理装置102に印刷を行わせるために、画像処理装置102の製造者が提供するプリンタドライバを用いることもできる。これは、パソコンから印刷を行わせる従来の方法と同様である。しかしながら、この方法では、ユーザがプリンタドライバのインストールを行う必要がある。また、印刷のための処理を無線通信装置104および画像処理装置102で行う場合には複数の装置において最新のドライバへの更新を行う必要がある。
これらのウェブメソッドを用いない方法を実行するために、画像処理装置102の画像処理プラットフォーム208(例えばシャープOSA(登録商標))は、8つのアプリケーションスロット250を確保している。各アプリケーションスロット250は、画像処理装置102にもともと設定されているウェブページを介してシステム管理者268により管理される。標準アプリケーション260を開始するために、ユーザは、画像処理装置102の操作パネルに表示される8つのアプリケーションの中からいずれか1つを選択する。画像処理装置102は、標準アプリケーション260が登録された場合、予め登録されているURL(Universal Resource Locator)252とのソケット接続を開始する。外部ウェブサーバ262は、その要求(ソケット接続の開始要求)を受け取り、ユーザインターフェースページ242a、あるいは画像処理装置102に組み込まれているウェブブラウザがサポートしている標準HTMLを用いて記述されたページを提供する。標準アプリケーション260を、画像処理装置102の操作パネルから予め登録されたURL252を用いて開始させるようにしてもよい。標準アプリケーション260は、外部ウェブサーバ262に含まれていてもよい。ネットワーク通信を企業内のローカルネットワーク230を介して行うようにしてもよく、ユーザインターフェースページ242aを画像処理装置102の操作パネルに表示するようにしてもよい。この構成において印刷を行う場合、印刷する画像データは外部ウェブサーバ262に保存されていてもよい。
一方、本実施形態における無線通信装置104は、ウェブメソッド(画像処理装置102のファームウェアにおける画像処理装置ウェブメソッド246、および無線通信装置104の画像処理アプリケーションウェブメソッド248)を用いて画像処理装置102との通信を行う画像処理アプリケーション122を備えている。
これにより、スキャンされた画像データ244cを電子メールトランザクションではなくウェブメソッドを用いて送信したり、プリンタドライバではなくウェブメソッドを用いて画像データを印刷したりすることができる。スキャンまたは印刷を要求するウェブメソッドのシーケンスは、画像処理プラットフォーム208のソフトウェア開発キット(SDK;software development kit)、例えばシャープOSA(登録商標)SDKで配布されるアプリケーションであってもよい。なお、本実施形態では、無線通信装置104からのウェブメソッドコールを用いて画像処理ジョブを実行させるようにしているが、上述した8つのアプリケーションスロット250についても従来の構成(登録値)のまま維持することができ、従来から用いられているウェブメソッドを用いない方法についても利用可能になっている。
なお、スキャンされた画像データを、例えばHTTPトランザクションを用いて、画像処理装置102で取得された画像処理装置102の独自フォーマットで無線通信装置104に完全に保存できるという利点もある。画像処理アプリケーション122は、送信されてくるスキャンされた画像データ244cを受信するためにHTTPリスナースレッド(HTTP listener thread)240を実行してもよい。HTTPリスナーは、IPアドレス、ポート番号、サーバ名、およびデフォルトの仮想サーバを持つ待機ソケットである。また、印刷ジョブ266(印刷処理を行う画像データを含む)全体を、無線ネットワーク接続を介したHTTPトランザクションを用いて無線通信装置104から画像処理装置102に送信することができる。
このウェブメソッドを用いる構成では、標準アプリケーション260を画像処理装置102に登録しておく必要がない。スキャンウェブメソッドコール234(スキャンアプリケーション224から送信される)、および印刷ウェブメソッドコール236(印刷アプリケーション126から送信される)が、無線通信装置104から画像処理装置102に直接送信される。これらのウェブメソッドコール234,236は、画像処理装置102のウェブサービス269の一部である画像処理装置ウェブメソッド246を起動する。
8つのアプリケーションスロット250は、いかなる既存の登録値も保持し得る。外部ウェブサーバ262を用いる代わりに、無線通信装置104に画像処理アプリケーション122が備えられている。この画像処理アプリケーション122は、画像処理装置102からではなく無線通信装置104から起動される。オンサイトの場合、無線通信装置104がアクセスポイント256(例えばWiFi(登録商標))と通信してもよい。オフサイトの場合、無線通信装置104が基地局254(例えば携帯電話3Gあるいは4G無線ネットワーク)と通信してもよい。企業環境内の画像処理装置102にアクセスするために、ファイアウォールを介して通信するための既存の技術を用いてもよい。例えば、無線通信装置104が、安全なアクセスのために仮想プライベートネットワーク(VPN)を用いてもよい。あるいは、画像処理アプリケーション122などのモバイルアプリケーションが画像処理装置102に接続することを可能にするために、企業ファイアウォールに穴を開けてもよい。
また、ユーザインターフェースページ242bを無線通信装置104に表示させてもよく、ユーザインターフェースページ242bおよび印刷する画像データの両方を無線通信装置104に表示させてもよい。印刷ジョブ266は外部ウェブサーバ(第三者サーバ、他の装置)262を介することなく画像処理装置102に直接送信される。
ウェブメソッドは、ウェブサービスエンドポイント値を用いるものであってもよい。非ウェブメソッドモードでは、ウェブメソッドではないのでエンドポイントは存在しない。この場合、プリンタドライバあるいは外部ウェブサーバ262上の標準アプリケーション260が用いられる。画像処理装置102が外部権限モードの場合、ウェブサービスエンドポイント値はHello() ウェブメソッド レスポンスの一部に含まれてもよい。しかしながら、ウェブメソッドを用いて画像処理アプリケーション122から画像処理装置102を制御する場合、画像処理装置102のファームウェアがエンドポイント値を検索するようにしてもよい。
画像処理装置102が、CreateJob() ウェブメソッドを起動するためのユーザインターフェース(UI)ID値を検索するようにしてもよい。非ウェブメソッドの構成では、上記IDはHTTPウェブページレスポンスの一部として生成されてもよい。無線通信装置104からの非同期接続を可能にするために画像処理装置102が追加のセキュリティ対策を有していてもよい。
無線通信装置104のユーザが、画像処理アプリケーション122における画像処理装置102のIPアドレス238あるいはDNS(Domain Name System)名の設定を行ってもよい。画像処理アプリケーション122が、DNS名を用いて画像処理装置102のウェブサービス269とのソケット接続(例えばWiFi、3G、あるいは4Gを用いたネットワーク接続)を開始してもよい。無線通信装置104がHTTPメッセージを介してSOAP(Simple Object Access Protocol)を送信することによりウェブサービス269と接続してもよい。無線通信装置104のオペレーションシステムへの拡張子あるいは第3者ライブラリを用いてもよい。
画像処理プラットフォーム208は、MFP Core WSと呼ばれるウェブサービス269を実行するシャープOSA(登録商標)であってもよい。このウェブサービス269は、画像処理装置102のファームウェアに備えられていてもよい。上記ウェブサービス269は、画像処理装置102に実装された12個の画像処理装置ウェブメソッド246(画像処理アプリケーション122が要求し、画像処理装置102が応答するウェブメソッド)および画像処理アプリケーション122に実装された4個の画像処理アプリケーションウェブメソッド248(画像処理装置102が要求し、画像処理アプリケーション122が応答するウェブメソッド)を公表するものであってもよい。本実施形態にかかる制御システムおよび制御方法は、必ずしも利用可能なウェブメソッドを全て用いるものでなくてもよい。ウェブメソッド246,248はSOAPを用いて起動されてもよい。各ウェブメソッド246,248の定義は、以下の通りである。ただし、ウェブメソッドの内容はこれに限るものではない。
本実施形態では、ウェブメソッド246は以下の(1)〜(12)のいずれか1つ以上を含む。
(1)CancelJob():現在実行中のスキャンジョブあるいは印刷ジョブをキャンセルする。
(2)CloseJob():ジョブ終了メソッド。スキャンジョブあるいは印刷ジョブを閉じ、ジョブによって用いられるリソース(資源)を解放する。
(3)CreateJob():ジョブ生成メソッド。新たなスキャンジョブあるいは印刷ジョブを生成し、生成したジョブの拡張子あるいはリソースを保持する。
(4)EnableDevice():MFPのロックを解除し、MFP主要部へのアクセスを許可する。
(5)ExecuteJob():実行メソッド。CreateJobメソッドコールによって予め定義されたスキャンジョブあるいは印刷ジョブを開始する。
(6)GetJobResults():スキャンジョブあるいは印刷ジョブの結果(ページ数、エラー状態など)を検索(取得)する。
(7)GetJobSettableElements():スキャンジョブあるいは印刷ジョブに関する当該MFPの能力を検索(取得)する。
(8)GetJobStatus():ステータス取得メソッド。実行しているジョブのステータス(開始、エラー、終了など)を検索(取得)する。
(9)GetTotalCounters():スキャン、印刷、あるいはFAXされたページ数を検索(取得)する。
(10)SetJobElements():ジョブ設定メソッド。スキャンジョブあるいは印刷ジョブのメタデータ値(片面/両面、コピー枚数など)を設定する。
(11)ShowScreen():MFPに予め設定されている画面、あるいはユーザが定義した画面を表示させる。
(12)Subscribe():ジョブ特有のイベント(エラー、ジョブ完了など)のアプリケーションへの通知を要求する。
また、画像処理アプリケーションウェブメソッド248は、以下の(1)〜(4)のいずれか1つ以上を含む。
(1)Authenticate():MFP主要部へのアクセスを許可するためのユーザの認証情報を確認する。
(2)Authorize():ユーザが特定のタスク(コピー、スキャン、プリントなど)を実行することを許可する。
(3)Event():MFPがアプリケーションに予め設定されたメッセージを送信する。
(4)Hello():MFPからMFPの特徴および能力を定義するアプリケーションへの起動メッセージ。
また、シャープOSA(登録商標)を用いる構成において、画像処理装置102によって予めサポートされているフォーマット(形式)の画像データ(例えば、PDF(Portable Document Format)、XPS(XML Paper Specification)、TXT、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、PS(PostScript)、HDPhoto、PNG(Portable Network Graphic)、TIFF(Tagged Image File Format)などの文書や画像、ファイル、あるいは写真など)を印刷するようにしてもよい。サポートされていないフォーマットのファイルをサポートされているフォーマットに変換(例えばXMLファイルを印刷するためにPDFファイルに変換するなど)することにより、無線通信装置104から多様なファイルの印刷を行えるようにしてもよい。
図3は、無線通信装置104に備えられる画像処理アプリケーション122と画像処理装置102との間で行われるウェブメソッドを用いるための処理の概要を示す説明図である。なお、この図は、ウェブメソッドを用いてスキャン処理を行う場合の処理の概要を示している。図3に示す例におけるスキャン処理には、無線通信装置104(例えばスマートフォン)のユーザ370からの指示入力を受け付ける処理、およびこのユーザ370に提示する情報を表示する処理が含まれている。ユーザ370の指示入力に応じて無線通信装置104(例えばスマートフォン)において画像処理アプリケーション122が起動され(372)、初期画面が表示される(374)。ユーザ370は、スキャンオプションおよびメタデータの選択を行い(376)、スキャンジョブを開始させる(378)。なお、スキャンジョブを開始させる前に、ユーザ370は原稿を自動搬送装置あるいは原稿載置台に載置する。画像処理アプリケーション122が、「しばらくお待ち下さい」といったメッセージを表示させるようにしてもよい(380)。
ユーザが「スキャン開始」ボタンを操作すると(378)、画像処理アプリケーション122は原稿をスキャンさせるための一連のウェブメソッドコールを開始する。具体的には、画像処理アプリケーション122は、新たなスキャンジョブあるいは印刷ジョブを生成させるためのジョブ生成メソッド(例えばシャープOSAにおける「CreateJob()」ウェブメソッド)をコールする(呼び出す)(382)。また、画像処理アプリケーション122は、スキャンジョブあるいは印刷ジョブのメタデータ値(片面/両面、印刷枚数など)を設定するためのジョブ設定メソッド(例えばシャープOSAにおける「SetJobElements()」ウェブメソッド)をコールする(384)。また、画像処理アプリケーション122は、ジョブ生成メソッド(382)によって予め定義されたスキャンジョブあるいは印刷ジョブを開始させるための実行メソッド(例えばシャープOSAにおける「CreateJob()」ウェブメソッド)をコールする(382)。また、画像処理アプリケーション122は、処理中のジョブのステータス(例えば開始、エラー、終了など)を検索(取得)するためのステータス取得メソッド(例えばシャープOSAにおける「GetJobStatus()」ウェブメソッド)をコールする(388)。
非ウェブメソッドの構成では、この時点で、画像処理装置102がHTTPメッセージを用いてスキャンした画像データを外部ウェブサーバ262に送信する。これに対して、ウェブメソッドを用いる構成では、画像処理装置102は外部ウェブサーバ262を用いず、スキャンした画像データを例えばHTTPを用いて画像処理アプリケーション122に直接送信する(390)。画像処理アプリケーション122が、入力されてくるスキャンされた画像データをHTTPリスナースレッド(HTTP listener thread)を用いて受信するようにしてもよい。このHTTPリスナースレッドは、無線通信装置にもともと備えられているウェブブラウザと干渉しないように、非標準のポートに実装されてもよい。この無線通信装置104の非標準URLは、ジョブ設定メソッド(384)がコールされたとき(呼び出されたとき)にメタデータの1つとしてスキャン処理に関連する他のメタデータ値とともに画像処理装置102に送信されてもよい。
画像処理装置102は、スキャンした画像データを画像処理アプリケーション122に送信した後、スキャンジョブのステータス情報を画像処理アプリケーション122に送信する(392)。また、画像処理アプリケーション122は、スキャンジョブによって利用されている画像処理装置102のリソースを開放させるためのジョブ終了メソッド(例えばシャープOSAにおける「CloseJob()」ウェブメソッド)をコールする(394)。画像処理アプリケーション122は、スキャンされた画像データの処理および保存を行う(396)。スキャンされた画像データは、外部メールサーバに保存されることなく、画像処理アプリケーション122に当該画像データ全体が保存される。スキャンされた画像データの処理および保存(396)を行った後、ユーザ370はこのスキャンされた画像データを閲覧できる(398)。
図4はウェブメソッドを用いる構成におけるスキャン処理の初期化および開始処理の流れを示すフローチャートであり、無線通信装置104に備えられる画像処理アプリケーション122およびユーザの処理を示している。
まず、画像処理アプリケーション122が、例えば無線通信装置104のユーザによって開始される(402)。次に、画像処理アプリケーション122は、ユーザに対して開始ページを呈示(表示)する(404)。次に、画像処理アプリケーション122は、ウェブサービスオブジェクトを初期化し(406)、ジョブ生成メソッド(例えば当該ジョブについての識別装置およびリソースに備えられるCreateJob())をコールする(408)。ジョブ生成メソッドコール(CreateJob()コール)を完了するために認証処理を行ってもよい。次に、画像処理アプリケーション122は、画像処理装置102の能力情報を検索(取得)するための能力取得メソッド(例えばシャープOSAにおける「GetJobSettableElements()」ウェブメソッド)をコールする。次に、画像処理アプリケーション122は、スキャンオプションメニューを生成してユーザに呈示する(すなわち、能力取得メソッドから検索され得るオプションのユーザインターフェースを生成する)(410)。上記スキャンオプションメニューは、テキストボックス、ラジオボタン、ドロップダウンリスト、リストボックス、チェックボックス、データグリッドのうちの1または複数のものを用いたものであってもよい。次に、画像処理アプリケーション122は、スキャンオプションに関するユーザの選択指示を受け付ける。すなわち、ユーザはメニューページからスキャンオプションを選択する(414)。
画像処理アプリケーション122は、選択されたスキャンの優先順位(例えばSetJobElements()ウェブメソッド)を用いてジョブ設定メソッドをコールする(416)。次に、ユーザが、スキャンする原稿を画像処理装置102の原稿自動搬送装置または原稿載置台に載置する(418)。次に、画像処理アプリケーション122は、ユーザからのスキャンジョブ開始指示の入力(すなわち、ユーザが画像処理アプリケーション122の操作画面における「スキャン開始」ボタンを押し下げる操作)を受け付ける。画像処理アプリケーション122は、予約メソッドを用いてキャセルおよび完了を予約する(例えば画像処理アプリケーション122は、シャープOSA(登録商標)における「Subscribe()」ウェブメソッドを用いて「OnJobCancel」イベントおよび「OnJobComplete」イベントを予約する)(418)。ジョブに特有のイベント(例えばエラー、ジョブ完了など)が生じた場合にその通知をことを予約してもよい。その後、画像処理アプリケーション122は、実行メソッド(例えば「ExecuteJob()」ウェブメソッド)をコールする(424)。実行メソッドがコールされると、画像処理装置102においてスキャンが実際に開始される。このように、本実施形態では、画像処理アプリケーション122における「スキャン開始」ボタンがユーザによって押し下げられると、それに応じて「ExecuteJob()」ウェブメソッドがコールされる。なお、画像処理アプリケーション122は、「スキャン キャンセル」ボタンを操作可能にし、当該ボタンが押された場合には、スキャンジョブをキャンセルするためのウェブメソッドコールを画像処理装置102に送信する(426)。
図5はウェブメソッドを用いる構成におけるスキャンジョブが完了するまでの流れを示すフローチャートである。すなわち、図5は、画像処理装置102において原稿のスキャンが開始された後の処理の流れを示している。なお、図5に示す処理は、画像処理装置102および無線通信装置104の画像処理アプリケーション122によって行われる。画像処理アプリケーション122の要求により、画像処理装置102が原稿のページをスキャンする(528)。あるいは、無線通信装置104およびその画像処理アプリケーション122とは無関係に上記処理を行ってもよい。
スキャンジョブを最後まで継続する場合(例えば「スキャンキャンセル」ボタンが押されていない場合)、画像処理装置102は、画像処理アプリケーション122に完了イベントを送信する(例えば、画像処理装置102は、画像処理アプリケーションにおける「Event()」ウェブメソッドを起動する)(530)。この処理は、図4に示した予約422に対する応答において行われてもよい。画像処理装置102は、スキャンした原稿画像データを、HTTPプロトコルを用いて無線通信装置104に送信する(532)。画像処理アプリケーション122は、ジョブ終了メソッド(例えば「CloseJob()」ウェブメソッド)をコールすることにより(534)、スキャンジョブを終了させて当該ジョブによって使用されているリソースを解放させる。画像処理アプリケーション122は、画面表示をメイン画面に戻す(536)。この際、ユーザが閲覧アプリケーションを用いて原稿画像を閲覧できるようにしてもよい。
スキャンジョブをキャンセルする場合(例えば「スキャンキャンセル」ボタンが押された場合)、画像処理アプリケーション122は、処理中のスキャンジョブをキャンセルするためにジョブキャンセルメソッド(例えばシャープOSA(登録商標)の「CancelJob()」ウェブメソッド)をコールする(538)。これに応じて、画像処理装置102はスキャンジョブをキャンセルする(540)。画像処理アプリケーション122は、ジョブ終了メソッド(例えば「CloseJob()」ウェブメソッド)をコールすることにより、スキャンジョブを終了させ、当該ジョブによって使用されているリソースを解放させる(542)。画像処理アプリケーション122はジョブをキャンセルした旨のメッセージ(例えば「ジョブをキャンセルしました」というメッセージ)を表示させ(544)、画面表示をメイン画面に戻す(546)。
図6は、ウェブメソッドを用いる構成における印刷処理の初期化および開始処理の流れを示すフローチャートであり、無線通信装置104に備えられる画像処理アプリケーション122およびユーザの処理を示している。画像処理アプリケーション122は、例えば無線通信装置104のユーザによって開始される(602)。上記ユーザは、印刷を行う原稿を選択する(604)。画像処理アプリケーション122は、ウェブサービスオブジェクトを初期化し(606)、ジョブ生成メソッド(例えばこのジョブの識別子およびリソースを含む「CreateJob()」)をコールする(608)。次に、画像処理アプリケーション122は、画像処理装置102の能力を取得するための能力取得メソッド(例えばシャープOSA(登録商標)における「GetJobSettableElements()」)をコールする(610)。次に、画像処理アプリケーション122は、印刷オプションメニューを生成してユーザに呈示する(612)。すなわち、能力取得メソッド(610)によって取得した利用可能なオプションを示すユーザインターフェースを生成して表示する。印刷オプションメニューは、例えば、テキストボックス、無線ボタン(radio button)、ドロップダウンリスト、リストボックス、チェックボックス、データグリッドなどのうちの1つ以上を用いて表示される。また、画像処理アプリケーション122は印刷の優先順位を選択するためのユーザ入力を受け付ける。
画像処理アプリケーション122は、選択された印刷の優先順位を用いてジョブ設定メソッド(例えば「SetJobElements()」ウェブメソッド)をコールする(616)。画像処理アプリケーション122は、ユーザからの印刷ジョブの開始指示(例えば、ユーザが画像処理アプリケーション122の操作画面における「印刷」ボタンを押す操作)を受け付ける(620)。画像処理アプリケーション122は、予約メソッドを用いてキャンセルおよび完了イベントを予約する(例えばシャープOSA(登録商標)の「Subscribe()」ウェブメソッドを用いて「OnJobCancel」イベントおよび「OnJobComplete」イベントを予約する)(622)。この際、ジョブに特有のイベント(例えば、エラー、ジョブ完了など)が生じた場合にその通知を行うことを予約するようにしてもよい。
画像処理アプリケーション122は、実行メソッド(例えば「ExecuteJob()」ウェブメソッド)をコールする(624)。この実行メソッドには、印刷する原稿画像データを画像処理装置102にコールバックURLを介して送信させる処理が含まれていてもよい。画像処理アプリケーション122は、例えば標準的なシャープOSA(登録商標)のアプリケーションと同様の方法により、印刷する原稿画像データを画像処理装置102に送信する。具体的には、上記の「SetJobElements()」ウェブメソッドは、印刷する原稿画像データのファイル名およびパスを含むコールバックURLを含んでいる。画像処理アプリケーション122は、コールバック要求に応答するためのHTTPリスナースレッド(HTTP listener thread)を準備している。画像処理アプリケーション122は、画像処理装置102からの要求に応じて、印刷する原稿画像データを開くための標準的なファイルI/Oコマンドとファイルの内容を画像処理装置102に送信するためのHTTPレスポンスオブジェクトとを用いる。「HTTPレスポンス」という用語は、利用可能な言語のいずれかを用いたHTTPメッセージを介して送信される応答全般を意味する。本実施形態では、ユーザが画像処理アプリケーション122の「印刷」ボタンの押すと、それに応じた応答として「ExecuteJob()」ウェブメソッドが送信される。画像処理アプリケーション122が、印刷処理をキャンセルさせるための「印刷キャンセル」ボタンを操作可能に表示させるようにしてもよい(626)。
図7は、ウェブメソッドを用いる構成における印刷ジョブが完了するまでの処理を示すフローチャートであり、画像処理装置102において原稿の印刷が開始された後の処理の流れを示している。なお、図7に示す処理は、画像処理装置102および無線通信装置104の画像処理アプリケーション122によって行われる。画像処理アプリケーション122の要求により、画像処理装置102が原稿画像データのページを印刷する(728)。あるいは、無線通信装置104およびその画像処理アプリケーション122とは無関係に上記処理を行ってもよい。
印刷ジョブを最後まで継続する場合(例えば「スキャンキャンセル」ボタンが押されていない場合)、画像処理装置102は、画像処理アプリケーション122に完了イベントを送信する(例えば、画像処理装置102は、画像処理アプリケーション122における「Event()」ウェブメソッドを起動する)(730)。この処理は、図6に示した予約622に対する応答において行われてもよい。画像処理アプリケーション122は、ジョブ終了メソッド(例えば「CloseJob()」ウェブメソッド)をコールすることにより(734)、印刷ジョブを終了させて当該ジョブによって使用されているリソースを解放させる。画像処理アプリケーション122は、画面表示をメイン画面に戻す(736)。
印刷ジョブをキャンセルする場合(例えば「スキャンキャンセル」ボタンが押された場合)、画像処理アプリケーション122は、処理中の印刷ジョブをキャンセルするためにジョブキャンセルメソッド(例えばシャープOSA(登録商標)の「CancelJob()」ウェブメソッド)をコールする(738)。これに応じて、画像処理装置102は印刷ジョブをキャンセルする(740)。次に、画像処理アプリケーション122は、ジョブ終了メソッド(例えば「CloseJob()」ウェブメソッド)をコールすることにより、印刷ジョブを終了させ、当該ジョブによって使用されているリソースを解放させる(742)。画像処理アプリケーション122はジョブをキャンセルした旨のメッセージ(例えば「ジョブをキャンセルしました」というメッセージ)を表示させ(744)、画面表示をメイン画面に戻す(746)。
図8は、画像処理装置(例えばMFP)102および無線通信装置104のハードウェア構成の一例を示す説明図である。この図に示す例では、無線通信装置104は、例えばCPU(中央処理装置)などのプロセッサからなる制御部859を備えている。この制御部859は、ユーザからの指示入力を受け付けるための入力部855、およびユーザに呈示する情報を表示したり音声出力したりする出力部861と電気的に通信可能に接続されており、これら各部との間で電気信号を入出力する。制御部859、入力部855、および出力部861は、共通の筐体に収容されていてもよく、別々の筐体に備えられていてもよい。
また、無線通信装置104は、制御部859に供給する上述した各指示情報、ウェブメソッドコール、ウェブメソッドなどを記憶する指示記憶部(ウェブメソッドコール記憶部)867aと、画像処理装置のIPアドレス、HTTPリスナースレッドに関する情報、ユーザインターフェースページに関する情報、画像処理アプリケーション122、画像処理装置102から受信した画像データなどの各種データを記憶するデータ記憶部(画像データ記憶部)865aを有するメモリ132を備えている。メモリ132は、制御部859に提供するための情報(指示情報およびデータ)を記憶できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ROM(read-only memory)、RAM(random access memory)、あるいはその他の記憶手段を用いることができる。メモリ132の一部は、不揮発性のランダムアクセスメモリ(NVRAM;non-volatile random access memory)であってもよい。また、メモリ132は制御部859とは別に設けられていてもよく、制御部859と同じ基板上に設けられていてもよい。例えば、マイクロコントローラのようなオンボードメモリを含む構成であってもよい。データ記憶部865aに記憶されているデータ、および指示記憶部867aに記憶されている指示情報は、無線通信装置104が上述の各メソッドを実行するために用いられる。すなわち、制御部859は、上述した各メソッドを実行するために、データ記憶部865aに記憶されているデータ、および指示記憶部867aに記憶されている指示情報を用いる。制御部859が、データ記憶部865aに記憶されているデータ、および/または指示記憶部867aに記憶されている指示情報を読み込む(ロードする)ようにしてもよい。
制御部859は、通信インターフェース853と電気的に通信可能に接続されている。通信インターフェース853は、他の無線通信装置104、画像処理装置102、サーバ装置(図示せず)などとの無線通信を行う。このように、様々な無線通信装置104に備えられる通信インターフェース853により、無線通信装置104同士で信号やメッセージを送受信できるようになっている。また、無線通信装置104は、他の通信ポート863、および他の要素857を有していてもよい。
なお、無線通信装置104としては、例えば、マイクロコントローラなどのワンチップコンピュータ、コントローラなどの1ボード型のコンピュータ、一般的なデスクトップ型コンピュータ、PDS(Personal Digital Assistant、登録商標)、Unix(登録商標)に基づくワークステーションなど、多用な種類のものを用いることができる。したがって、図8は無線通信装置104の一形態を例示するものであって、無線通信装置104の構成はこれに限るものではない。
無線通信装置104は、画像処理装置102(例えばMFP)と無線通信を行う。画像処理装置102は、画像処理ジョブに関する情報の送受信を行う、例えばMFP(Multi-Function Peripheral)などの装置である。画像処理装置102としては、例えば、物理的なプリンタ、MFP、プリンタプール、プリンタクラスタ、FAX装置、プロッター、スキャナ、コピー機、論理装置、コンピュータモニター、ファイリング装置、電子黒板装置、文書サーバなどを用いることができる。物理的なプリンタ、FAX装置、スキャナ、MFP、コピー機などの一般的なプリンタ装置は無線通信装置の一例でもある。画像処理装置102は、制御部(画像処理制御部)875、メモリ(ウェブサービス記憶部)120、通信インターフェース(無線通信部)869、入力部871、出力部879、および無線通信装置104に関する説明で示した通信ポートおよび他の要素と同様の通信ポート881および/または他の要素873を備えている。
画像処理装置102のメモリ120は、上述した各指示情報、ウェブメソッドコール、ウェブメソッドなどを記憶する指示記憶部885a、および画像処理ジョブを実行するための各種データ、ウェブサービス、画像データ、設定値などを記憶するデータ記憶部883aを備えている。データ記憶部883aに記憶されているデータ、および指示記憶部885aに記憶されている指示情報は、制御部875上にロードされる(読み出される)。メモリ120が、オペレーティンスシステム(OS)記憶部887およびファームウェア記憶部889を備えていてもよい。画像処理装置102において利用可能なオペレーティングシステムとしては、例えば、VxWorks(登録商標)、リナックス(登録商標)、埋め込み型のWindows(登録商標)XPなどが挙げられる。ファームウェア記憶部889に記憶されるファームウェアは、画像処理装置102を適切に動作させるためのデータ、および/または指示情報(命令)を含んでいてもよい。画像処理装置102は、単体であってもよく、複数の装置の集合体(例えば、プールあるいはクラスタ)であってもよい。また、無線通信装置104は、送信装置893および受信装置895を有するハウジングを備えていてもよい。上記ハウジングは、1または複数のアンテナ897a〜897nが接続された送受信部891と組み合わされていてもよい。
また、画像処理装置102は、画像読取部114および画像形成部116などの画像処理機能部を備えており(図8には図示せず。図1,図2参照。)、制御部875が無線通信装置104から受信したウェブメソッドコールに応じたウェブサービスを実行することにより、これら各画像処理機能部の動作を制御するようになっている。
本明細書において、「決定する」という用語は、計算する、演算する、処理する、引き出す、調査する、検索する(例えば、ルックアップテーブル、データベース、あるいは他のデータ構造などから所望のデータを検索する)、確認するなどの様々な意味を含む。また、「決定する」という用語は、受信する(例えば情報を受信する)、アクセスする(例えばメモリに記憶されているデータにアクセスする)といった意味も含む。
また、「〜に基づいて」という用語は、「〜」のみに基づくことを意味するものではなく、他の構成も含み得る。すなわち、「〜に基づいて」という用語は、「〜のみの基づいて」という意味を示す場合と、「少なくとも〜に基づいて」という意味を示す場合がある。
また、「プロセッサ」という用語は、汎用されているプロセッサ、CPU、マクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP;digital signal processor)、コントローラ、マイクロコントローラ、状態機械(state machine)などを含み得る。また、「プロセッサ」という用語は、特定用途向けIC(ASIC;application specific integrated circuit)、プログラマブルロジック装置(PLD;programmable logic device)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA;field programmable gate array)などを含み得る。また、「プロセッサ」という用語は、複数の処理装置を組み合わせたもの(例えば、DSPとマイクロプロセッサとを組み合わせたもの、複数のマイクロプロセッサからなるもの、DSPコアと協働する1または複数のマイクロプロセッサからなるもの、あるいは他の組み合わせからなるものなど)も含み得る。
また、「メモリ」という用語は、電子データを保存する機能を有する電気的要素全般を意味する。「メモリ」としては、プロセッサが読み取り可能な様々なタイプの記録媒体(例えば、RAM(random access memory),ROM(read-only memory),NVRAM(non-volatile random access memory),PROM(programmable read-only memory),EPROM(erasable programmable read-only memory),EEROM(electrically erasable PROM)、フラッシュメモリ、時期記録媒体、光学記録媒体、レジスタなど)を用いることができる。プロセッサは、メモリからのデータの読み出し、および/またはメモリへのデータの書き込みを行うときに当該メモリと電気的に通信を行う。メモリは、プロセッサと一体的に備えられていてもよく、プロセッサと電気的に通信するものであってもよい。
「指示」という用語、および「コード」という用語は、コンピュータが判読可能なステートメント全般を含む。例えば、「指示」および「コード」は、プログラム、ルーチン、サブルーチン、機能、手順、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。また、「指示」および「コード」は、コンピュータが判読可能な単独のステートメントであってもよく、コンピュータが判読可能な複数のステートメントであってもよい。
また、本実施形態において、画像処理装置102および/または無線通信装置104に備えられる各部(各ブロック)、特に画像処理装置102の制御部875および/または無線通信装置104の制御部859を、CPU等のプロセッサを用いてソフトウェアによって実現してもよい。この場合、画像処理装置102および/または無線通信装置104は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像処理装置102および/または無線通信装置104の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、画像処理装置102および/または無線通信装置104に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって達成される。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R/ブルーレイディスク(登録商標)等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、画像処理装置102および/または無線通信装置104を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムコードを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
また、画像処理装置102および/または無線通信装置104の各ブロックは、ソフトウェアを用いて実現されるものに限るものではない。例えば、ハードウェアロジックによって構成されるものであってもよく、処理の一部を行うハードウェアと当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うソフトウェアを実行する演算手段とを組み合わせたものであってもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。