JP2012027338A - 光ビーム走査装置およびそれを用いたセンサ装置 - Google Patents

光ビーム走査装置およびそれを用いたセンサ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】偏向器の駆動周波数の設定自由度を高めることが可能な光ビーム走査装置およびそれを用いたセンサ装置を提供する。
【解決手段】光ビーム走査装置は、光源411と、光源411から出射される光ビームLB2を反射させ光ビームLB2を垂直方向および水平方向に走査可能なMEMSデバイスからなる偏向器403と、光源411および偏向器403を制御する制御装置500とを備える。制御装置500は、水平駆動回路501、垂直駆動回路502、クロック発生部510、第1〜第3の制御部(制御手段)511〜513、第1のカウンタ531、および第2のカウンタ532を備える。第3の制御部513は、水平座標特定手段541により特定された水平座標と垂直座標特定手段542により特定された垂直座標とで画素位置を特定して、この画素位置に対応付けられた画素データに基づいて光源411の出力をクロック信号に同期して制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ビーム走査装置およびそれを用いたセンサ装置に関するものである。
従来から、光ビームを走査する光ビーム走査装置として、図12に示す構成の二次元光走査装置601が提案されている(特許文献1)。
この二次元走査装置601は、ビーム状の光を出射する光源610、光源610から出射された光を主走査方向及び副走査方向に偏向走査する偏向器620と、偏向器620で走査された光が走査面605(図13参照)に形成する走査線のうち隣接する走査線の副走査方向の間隔を検出する走査線検出器630と、光源610および偏向器620を制御する制御部640とを備えている。ここで、制御部640は、光源駆動部649を備えており、光源610の輝度と発光色との少なくとも一方を制御することができる。
偏向器620は、MEMS(micro electro mechanicalsystems)技術を用いて形成されたデバイス(いわゆるMEMSデバイス)であり、光源610から出射されたビーム状の光を反射する反射面621、内フレーム622、外フレーム623、反射面621を内フレーム622に支持する内梁624、反射面621を外フレーム623に支持する外梁625、反射面621を内梁624、および外梁625の周りにねじるように駆動させる駆動部で構成されている。
また、走査線検出器630は、多数のフォトダイオードが主走査方向および副走査方向に配列されたフォトダイオードアレイにより構成されている。
制御部640は、偏向器620を駆動するための2つの駆動回路部643,646を備えている。
また、制御部640は、クロック発振部650で発振するクロックを分周して、偏向器620を主走査方向に走査周波数fxで駆動するための正弦波の偏向器駆動信号を生成する駆動信号生成部641と、偏向器620を副走査方向に走査周波数fyで駆動するための正弦波の偏向器駆動信号を生成する駆動周波数生成部644とを備えている。そして、上述の駆動回路部643,646は、駆動信号生成部641,644からの偏向器駆動信号の振幅などを調整して偏向器620を駆動する。
ところで、駆動周波数生成部641,644では、主走査方向の走査周波数fxおよび副走査方向の走査周波数fyと、走査面605に形成される表示の更新周波数Fとが以下の式1に示す関係となるように、主走査方向および副走査方向それぞれの偏向器駆動信号の周波数を制御する。
x=nx×F、fy=ny×F (nx、nyは、互いに素の整数)・・・(式1)
また、制御部640は、走査線検出器630で検出した3本の副走査方向の走査線の間隔が一定となるように、2つの偏向器駆動信号の位相を各別に調整する2つの位相調整部642,645を備えている。
また、制御部640は、表示制御部647において、走査線の走査位置と外部から入力される画像の表示位置との対応を記憶し、表示制御部647に記憶された走査線と画像の表示位置との対応に基づいて、偏向器620の偏向角度と光源610とを制御する。
また、従来から、赤外線パルス光を送出するレーザダイオードと、レーザダイオードから送出された赤外線パルス光を二次元走査するスキャナと、スキャナを介して送出された赤外線パルス光が物標に反射して戻ってきた反射光を受信するフォトダイオードと、スキャナの縦振動周波数および横振動周波数を制御する制御装置とを備え、走査領域に存在する物標を検出するレーダ装置が提案されている(特許文献2)。
特許文献2には、上述のレーダ装置において、スキャナの縦振動周波数をf1、横振動周波数をf2、走査観測時間をTとすると、制御装置が、以下の式2の関係式を満たすように、縦振動周波数f1と横振動周波数f2とを設定することが記載されている。
|m・f1−n・f2|=1/T (ただし、m,nは互いに素の整数)・・・(式2)
特開2008−216299号公報 特開2003−4851号公報
図12に示した構成の二次元光走査装置601では、主走査方向の走査周波数fxおよび副走査方向の走査周波数fyと、走査面605に形成される表示の更新周波数Fとの関係が式1を満たす必要があり、各偏向器駆動信号それぞれの周波数(偏向器620の駆動周波数)の設定の自由度が低く、主走査方向振幅θy(図13参照)および副走査方向振幅θx(図13参照)が制限されてしまう。要するに、図12に示した構成の二次元光走査装置601のような光ビーム走査装置では、偏向器620における反射面621の振れ角が制限されてしまう。
また、上述のレーダ装置においては、スキャナの縦振動周波数f1および横振動周波数f2と走査観測時間Tとが式2を満たす必要があり、縦振動周波数f1および横振動周波数f2の設定の自由度が低くなってしまう。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、偏向器の駆動周波数の設定自由度を高めることが可能な光ビーム走査装置およびそれを用いたセンサ装置を提供することにある。
本発明の光ビーム走査装置は、光源と、前記光源から出射される光ビームを反射させ前記光ビームを垂直方向および水平方向に走査可能なMEMSデバイスからなる偏向器と、前記光源および前記偏向器を制御する制御装置とを備え、前記偏向器は、外側フレーム部と、前記外側フレーム部の内側に配置され一対の第1の捩ればね部を介して前記外側フレーム部により支持された可動フレーム部と、前記可動フレーム部の内側に位置し前記第1の捩ればね部の並設方向に直交する方向に並設された一対の第2の捩ればね部を介して前記可動フレーム部に支持され前記光ビームを反射するミラー面が形成されたミラー部と、前記外側フレーム部において前記可動フレーム部側に設けられた第1の固定電極と、前記可動フレーム部において前記外側フレーム部側に設けられた第1の可動電極と、前記可動フレーム部において前記ミラー部側に設けられた第2の固定電極と、前記ミラー部において前記可動フレーム部側に設けられた第2の可動電極とを有し、前記制御装置は、前記光ビームが水平方向に走査されるように前記第1の可動電極・前記第1の固定電極間と前記第2の可動電極・前記第2の固定電極間との一方に第1の駆動周波数の駆動電圧を印加する水平駆動回路と、前記光ビームが垂直方向に走査されるように前記第1の可動電極・前記第1の固定電極間と前記第2の可動電極・前記第2の固定電極間との他方に第2の駆動周波数の駆動電圧を印加する垂直駆動回路と、クロック信号を発生するクロック発生部と、前記水平駆動回路を制御する第1の制御手段と、前記垂直駆動回路を制御する第2の制御手段と、前記偏向器により前記光ビームを垂直方向および水平方向に走査させることにより形成する画像の離散的な画素位置ごとに、前記画素位置に対応付けられた画素データに基づいて前記光源の出力を前記クロック信号に同期して制御する第3の制御手段と、前記クロック発生部から発生するクロック信号をカウントし前記偏向器が前記光ビームを水平走査する際の第1の基準位置に戻るたびにカウント数がリセットされる第1のカウンタと、前記クロック発生部から発生するクロック信号をカウントし前記偏向器が前記光ビームを垂直走査する際の第2の基準位置に戻るたびにカウント数がリセットされる第2のカウンタと、前記光ビームが走査される前記画素位置の水平座標を前記第1のカウンタのカウント数に基づいて特定する水平座標特定手段と、前記光ビームが走査される前記画素位置の垂直座標を前記第2のカウンタのカウント数に基づいて特定する垂直座標特定手段とを有し、前記第3の制御手段は、前記水平座標特定手段により特定された水平座標と前記垂直座標特定手段により特定された垂直座標とで前記画素位置を特定することを特徴とする。
本発明のセンサ装置は、前記光ビーム走査装置と、光ビーム走査装置と、前記画像が表示される表示部と、検知用光ビームを出射する検知用光源と、前記光ビームを前記偏向器側へ反射し且つ前記検知用光ビームを反射および透過するハーフミラーと、前記検知用光源と前記ハーフミラーとの間に位置し前記光源から出射された前記光ビームを前記ハーフミラー側へ反射させ且つ前記検知用光源からの前記検知用光ビームを透過させるダイクロイックミラーと、前記ハーフミラーを挟んで前記偏向器の反対側に位置し前記表示部側で反射された後に前記偏向器で反射され前記ハーフミラーを透過した前記検知用光ビームを検出する光検出部と、前記光検出部の出力に基づいて前記偏向器と前記表示部との間の検知対象空間における物体の有無を判断する判断部とを備え、前記光源と前記偏向器との間の第1の光軸と、前記検知用光源と前記偏向器との間の第2の光軸とを、前記ダイクロイックミラー・前記偏向器間で一致させてあることを特徴とする。
本発明の光ビーム走査装置においては、偏向器の駆動周波数の設定自由度を高めることが可能となる。
本発明のセンサ装置においては、偏向器の駆動周波数の設定自由度を高めることが可能となり、小型化を図りながらも、検知対象空間を広くすることが可能となる。
実施形態1の光ビーム走査装置に関し、(a)は機能ブロック図、(b)は動作説明図、(c)は画像の一例を示す図である。 同上の光ビーム走査装置の動作説明図である。 同上の光ビーム走査装置における偏向器の概略分解斜視図である。 同上の光ビーム走査装置における偏向器の概略斜視図である。 同上の光ビーム走査装置における偏向器の製造方法を説明するための主要工程断面図である。 実施形態2のセンサ装置の機能ブロック図である。 同上のセンサ装置の動作説明図である。 同上のセンサ装置の要部概略斜視図である。 同上のセンサ装置の動作説明図である。 同上のセンサ装置の要部概略平面図である。 同上のセンサ装置の応用例の説明図である。 従来例を示す二次元光走査装置の機能ブロック図である。 同上の二次元光走査装置の動作説明図である。
(実施形態1)
以下、本実施形態の光ビーム走査装置について図1〜図5を参照しながら説明する。
光ビーム走査装置は、図1(a)に示すように、光源411と、光源411から出射される光ビームLB2を反射させるMEMSデバイス(MEMSミラー)からなる偏向器403と、光源411および偏向器403を制御する制御装置500とを備える。ここにおいて、偏向器403は、光ビームLB2を垂直方向および水平方向に走査可能となっている。したがって、光ビーム走査装置は、例えば、図1(b)に示すようなスクリーンからなる表示部410上で光ビームLB2を垂直方向および水平方向に走査させることができる。要するに、光ビーム走査装置は、光ビームLB2を二次元的に走査することができる。
光源411は、光ビームLB2を出射するものであれば特に限定するものではないが、サイズや省電力の観点から、半導体レーザが好ましい。
偏向器403は、図3、図4および図5(f)に示すように、半導体基板であるSOI(Silicon on Insulator)基板100を用いて形成され可動部20にミラー面21が設けられたミラー形成基板1を備えている。また、偏向器403は、ミラー形成基板1においてミラー面21が設けられた一表面側に接合された第1のカバー基板2を備えている。また、偏向器403は、ミラー形成基板1の他表面側に接合された第2のカバー基板3を備えている。
ミラー形成基板1は、上述のSOI基板100をバルクマイクロマシニング技術などにより加工することによって形成してある。このSOI基板100は、導電性を有する第1のシリコン層(活性層)100aと第2のシリコン層(シリコン基板)100bとの間に絶縁層(SiO層)100cが介在している。なお、SOI基板100は、第1のシリコン層100aの厚さを30μm、第2のシリコン層100bの厚さを400μmに設定してあるが、これらの数値は一例であり、特に限定するものではない。また、SOI基板100の一表面である第1のシリコン層100aの表面は(100)面としてある。
ミラー形成基板1は、外側フレーム部10と、外側フレーム部10の内側に配置された上述の可動部20と、外側フレーム部10の内側で可動部20を挟む形で配置され外側フレーム部10と可動部20とを連結した一対の第1の捩りばね部30,30とを有する。各第1の捩りばね部30,30は、捩れ変形が可能となっている。
外側フレーム部10は、枠状(ここでは、矩形枠状)の形状であり、外周形状および内周形状それぞれが矩形状に形成されている。ここにおいて、偏向器403は、ミラー形成基板1および各カバー基板2,3それぞれの外周形状が、矩形状であり、各カバー基板2,3の外形寸法を、ミラー形成基板1の外形寸法に合わせてある。
ミラー形成基板1の外側フレーム部10は、SOI基板100の第1のシリコン層100a、絶縁層100c、第2のシリコン層100bそれぞれを利用して形成してある。そして、ミラー形成基板1は、外側フレーム部10のうち第1のシリコン層100aにより形成された部位が、第1のカバー基板2の外周部と全周に亘って接合され、外側フレーム部10のうち第2のシリコン層100bにより形成された部位が、第2のカバー基板3の外周部と全周に亘って接合されている。
また、ミラー形成基板1の可動部20および各第1の捩りばね部30,30は、SOI基板100の第1のシリコン層100aを用いて形成されており、外側フレーム部10よりも十分に薄肉となっている。また、可動部20に設けられたミラー面21は、光源411からの光ビームLB2を反射するものであり、可動部20において第1のシリコン層100aにより形成された部位上に形成した金属膜(例えば、Al−Si膜など)からなる反射膜21aの表面により構成されている。なお、本実施形態では、反射膜21aの膜厚を500nmに設定してあるが、この数値は一例であり、特に限定するものではない。
以下では、図3の左側に示すように、平面視において一対の第1の捩りばね部30,30の並設方向に直交する方向をx軸方向、一対の第1の捩りばね部30,30の並設方向をy軸方向、x軸方向およびy軸方向に直交する方向をz軸方向として説明する。
ミラー形成基板1は、一対の第1の捩りばね部30,30がy軸方向に並設されており、可動部20が、外側フレーム部10に対して一対の第1の捩りばね部30,30の回りで変位可能となっている(y軸方向の軸回りで回動可能となっている)。つまり、一対の第1の捩りばね部30,30は、外側フレーム部10に対して可動部20が揺動自在となるように外側フレーム部10と可動部20とを連結している。言い換えれば、外側フレーム部10の内側に配置される可動部20は、可動部20から相反する2方向へ連続一体に延長された2つの第1の捩りばね部30,30を介して、外側フレーム部10に揺動自在に支持されている。ここで、一対の第1の捩りばね部30,30は、両者のy軸方向に沿った中心線同士を結ぶ直線が、平面視で可動部20の重心を通るように形成されている。なお、各捩りばね部30,30は、厚み寸法(z軸方向の寸法)を30μm、幅寸法(x軸方向の寸法)を、5μmに設定してあるが、これらの数値は一例であり、特に限定するものではない。また、外側フレーム部10の内周形状も矩形状に限らず、例えば、円形状でもよい。
上述のミラー形成基板1は、可動部20において一対の第1の捩りばね部30,30を結ぶ方向(一対の第1の捩りばね部30,30の並設方向)に直交する方向(つまり、x軸方向)の両側に形成された櫛形状の第1の可動電極22を備えている。さらに、ミラー形成基板1は、外側フレーム部10に形成され第1の可動電極22の複数の可動櫛歯片22bに対向する複数の固定櫛歯片12bを有する櫛形状の第1の固定電極12を備えている。ここにおいて、ミラー形成基板1は、第1の可動電極22と第1の固定電極12との間に駆動電圧が印加されることによって第1の可動電極22と第1の固定電極12との間に生じる静電力により、可動部20が揺動する。なお、この動作については後述する。
第1の固定電極12は、平面視形状が櫛形状であり、外側フレーム部10のうちy軸方向に沿った枠片部において第1のシリコン層100aにより形成された部位の一部が、櫛骨部12aを構成している。そして、第1の固定電極12は、櫛骨部12aにおける可動部20との対向面(外側フレーム部10におけるy軸方向に沿った内側面)に、多数の固定櫛歯片12bが一対の第1の捩りばね部30,30の並設方向に沿って列設されている。ここで、各固定櫛歯片12bは、第1のシリコン層100aの一部により構成されている。
一方、第1の可動電極22は、可動部20における第1の固定電極12の櫛骨部12a側の櫛骨部22aの側面(可動部20におけるy軸方向に沿った側面)において、固定櫛歯片12bにそれぞれ対向する多数の可動櫛歯片22bが上記並設方向に列設されている。ここで、各可動櫛歯片22bは、第1のシリコン層100aの一部により構成されている。
第1の固定電極12と第1の可動電極22とは、それぞれの櫛骨部12a,22aが互いに対向し、第1の固定電極12の各固定櫛歯片12bが第1の可動電極22の櫛溝に入り組んでおり、固定櫛歯片12bと可動櫛歯片22bとが、y軸方向において互いに離間している。したがって、ミラー形成基板1では、第1の固定電極12と第1の可動電極22との間に電圧が印加されることにより、第1の固定電極12と第1の可動電極22との間に互いに引き合う方向に作用する静電力が発生する。なお、y軸方向における固定櫛歯片12bと可動櫛歯片22bとの間の隙間は、例えば、2μm〜5μm程度の範囲で適宜設定すればよい。
ところで、可動部20は、外側フレーム部10に一対の第1の捩りばね部30,30を介して揺動自在に支持された枠状(ここでは、矩形枠状)の可動フレーム部23と、可動フレーム部23の内側に配置されミラー面21が設けられたミラー部24と、可動フレーム部23の内側でミラー部24を挟む形で配置され可動フレーム部23とミラー部24とを連結し捩れ変形が可能な一対の第2の捩りばね部25,25とを有している。
第2の捩りばね部25,25は、第1の捩りばね部30,30の並設方向(y軸方向)とは直交する方向(x軸方向)に並設されている。要するに、可動部20は、一対の第2の捩りばね部25,25がx軸方向に並設されており、ミラー部24が、可動フレーム部23に対して一対の第2の捩りばね部25,25の回りで変位可能となっている(x軸方向の軸回りで回動可能となっている)。つまり、一対の第2の捩りばね部25,25は、可動フレーム部23に対してミラー部24が揺動自在となるように可動フレーム部23とミラー部24とを連結している。言い換えれば、可動フレーム部23の内側に配置されるミラー部24は、ミラー部24から相反する2方向へ連続一体に延長された2つの第2の捩りばね部25,25を介して可動フレーム部23に揺動自在に支持されている。ここで、一対の第2の捩りばね部25,25は、両者のx軸方向に沿った中心線同士を結ぶ直線が、平面視でミラー部24の重心を通るように形成されている。なお、各第2の捩りばね部25は、厚み寸法(z軸方向の寸法)を30μm、幅寸法(y軸方向の寸法)を、30μmに設定してあるが、これらの数値は一例であり、特に限定するものではない。また、ミラー部24およびミラー面21の平面視形状は、矩形状に限らず、例えば、円形状でもよい。また、可動フレーム部23の内周形状も矩形状に限らず、例えば、円形状でもよい。
上述の説明から分かるように、ミラー部24は、一対の第1の捩りばね部30,30の軸回りの回動と、一対の第2の捩りばね部25,25の軸回りの回動とが可能である。要するに、偏向器403は、ミラー部24のミラー面21が、二次元的に回動可能に構成されており、光ビームLB2を二次元的に走査することができる。ここで、可動部20は、可動フレーム部23における第1のカバー基板2側とは反対側に、可動フレーム部23を支持する枠状(矩形枠状)の支持体29が一体に設けられており、支持体29が可動フレーム部23と一体に回動可能となっている。
また、ミラー形成基板1は、ミラー部24において一対の第2の捩りばね部25,25を結ぶ方向(一対の第2の捩りばね部25,25の並設方向)に直交する方向(つまり、y軸方向)の両側に形成された櫛形状の第2の可動電極27と、可動フレーム部23に形成され第2の可動電極27の複数の可動櫛歯片27bに対向する複数の固定櫛歯片26bを有する櫛形状の第2の固定電極26とを備えている。ここにおいて、ミラー形成基板1は、第2の可動電極27と第2の固定電極26との間に駆動電圧が印加されることによって第2の可動電極27と第2の固定電極26との間に生じる静電力により、ミラー部24が揺動する。なお、この動作については後述する。
上述の第2の固定電極26は、平面視形状が櫛形状であり、櫛骨部26aが可動フレーム部23の一部により構成されている。そして、第2の固定電極26の櫛骨部26aにおけるミラー部24との対向面(可動フレーム部23におけるx軸方向に沿った内側面)には、多数の固定櫛歯片26bが、一対の第2の捩りばね部25,25の並設方向に沿って列設されている。一方、第2の可動電極27はミラー部24の一部により構成されており、第2の固定電極26の櫛骨部26a側の側面(ミラー部24におけるx軸方向に沿った側面)には、固定櫛歯片26bにそれぞれ対向する多数の可動櫛歯片27bが上記並設方向に列設されている。ここで、櫛形状の第2の固定電極26と櫛形状の第2の可動電極27とは、櫛骨部26a,27aが互いに対向し、第2の固定電極26の各固定櫛歯片26bが第2の可動電極27の櫛溝に入り組んでおり、固定櫛歯片26bと可動櫛歯片27bとが、x軸方向において互いに離間している。したがって、ミラー形成基板1は、第2の固定電極26と第2の可動電極22との間に電圧が印加されることにより、第2の固定電極26と第2の可動電極27との間に、互いに引き合う方向に作用する静電力が発生する。なお、x軸方向における固定櫛歯片26bと可動櫛歯片27bとの間の隙間は、例えば、2μm〜5μm程度の範囲で適宜設定すればよい。
また、ミラー形成基板1は、外側フレーム部10に、3つのパッド13が平面視において一直線上に並ぶように略等間隔で並設されている。これに対して、第1のカバー基板2は、各パッド13それぞれを各別に露出させる3つの貫通孔202が貫設されている。各パッド13は、平面視形状が円形状であり、金属膜(例えば、Al−Si膜など)により構成されている。なお、本実施形態では、各パッド13の膜厚を500nmに設定してあるが、この数値は一例であり、特に限定するものではない。
ミラー形成基板1は、外側フレーム部10において第1のシリコン層100aにより形成された部位に複数(ここでは、3つ)のスリット10aを形成するとともに、可動部20の可動フレーム部23において第1のシリコン層100aにより形成された部位に複数(ここでは、4つ)のスリット20aを形成してある。これにより、ミラー形成基板1は、3つのパッド13のうち図3における真ん中のパッド13(13b)が第1の固定電極12と電気的に接続されて同電位となり、右側のパッド13(13a)が第1の可動電極22および第2の可動電極26と電気的に接続されて同電位となり、左側のパッド13(13c)がミラー部24の第2の可動電極27と電気的に接続されて同電位となっている。
ここで、外側フレーム部10の複数のスリット10aは、絶縁層100cに達する深さで形成されている。偏向器403は、各スリット10aをトレンチとし、各スリット10aの平面視形状を外側フレーム部10の外側面側に開放されない形状とすることで、外側フレーム部10にスリット10aを形成した構造を採用しながらも、外側フレーム部10と第1のカバー基板2との接合性が低下するのを防止し、外側フレーム部10と各カバー基板2,3とで囲まれる空間の気密性を確保している。
また、可動部20における可動フレーム部23の各スリット20aは、トレンチとしてあり、SOI基板100の絶縁層100cの一部と第2のシリコン層100bの一部とで構成される上述の支持体29における絶縁層100cに達する深さに形成してある。要するに、偏向器403では、可動フレーム部23に複数のスリット20aを形成した構成を採用しながらも、可動フレーム部23と支持体29とが、一対の第1の捩りばね部30,30の軸回りで一体に回動可能となっている。ここにおいて、支持体29は、可動フレーム部23のうち各固定櫛歯片26bおよび各可動櫛歯片22bを除く部位を覆う枠状に形成されている(図4参照)。また、可動フレーム部23の複数のスリット20aは、支持体29を含めた可動部20の重心が、平面視において一対の第1の捩りばね部30,30のy軸方向に沿った中心線を結ぶ直線の略真ん中に位置するように形状を設計してある。しかして、本実施形態における偏向器403では、可動部20が一対の第1の捩りばね部30,30の軸回りでスムーズに揺動し、反射光の走査が適正に行われる。なお、本実施形態では、支持体29において第2のシリコン層100bにより構成される部位の厚さを、外側フレーム部10において第2のシリコン層100bにより構成される部位と同じ厚さに設定してあるが、同じに限らず、厚くしてもよいし薄くしてもよい。
また、第1のカバー基板2は、それぞれパイレックス(登録商標)ガラスなどからなる2枚のガラス板を厚み方向に重ねて接合することにより形成した第1のガラス基板200を用いて形成してある。また、第2のカバー基板3は、パイレックス(登録商標)ガラスなどからなる第2のガラス基板300を用いて形成してある。なお、第1のガラス基板200および第2のガラス基板300の厚さは、0.5mm〜1.5mm程度の範囲で設定してあるが、これらの数値は一例であり、特に限定するものではない。
第1のカバー基板2は、上述のように第1のガラス基板200を用いており、第1のガラス基板200の厚み方向に貫通して各パッド13それぞれを全周に亘って露出させる3つの貫通孔202が形成されている。ここにおいて、第1のガラス基板200の各貫通孔202は、ミラー形成基板1から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなるテーパ状に形成されている。各貫通孔202は、サンドブラスト法により形成してある。各貫通孔202の形成方法は、サンドブラスト法に限定するものではなく、ドリル加工法やエッチング法などを採用してもよい。
また、偏向器403は、各パッド13の平面視形状を円形状としてあり、各貫通孔202の第1のミラー形成基板1側での開口径が各パッド13の直径よりも大きくなるようにしてある。各パッド13の直径は、0.5mmに設定してあるが、特に限定するものではない。また、各パッド13の平面視形状は、必ずしも円形状である必要はなく、例えば、正方形状としてもよいが、各貫通孔202の開口径を小さくするうえでは円形状の方が正方形状よりも好ましい。
ところで、各パッド13の一部が厚み方向において第1のカバー基板2に重なる場合には、各パッド13の厚みの影響で接合性や気密性が損なわれて製造時の歩留まり低下や、動作安定性の低下、経時安定性の低下の原因となる懸念がある。したがって、このような場合には、外側フレーム部10の幅寸法(外側フレーム部10の外側面と内側面との距離)を増大させる必要が生じて、偏向器403の小型化が制限されてしまうことが考えられる。
これに対して、本実施形態における偏向器403では、第1のカバー基板2が各パッド13と重なることがなく、第1のカバー基板2と外側フレーム部10との間に各パッド13の一部が介在することもない。したがって、偏向器403は、第1のカバー基板2とミラー形成基板1の外側フレーム部10との接合が、各パッド13により妨げられるのを防止することができる。その結果、本実施形態における偏向器403では、各パッド13の厚みの影響で接合性や気密性が損なわれるのを防止することができ、外側フレーム部10の幅寸法を増大させずに歩留まりの向上による低コスト化を図れるとともに、動作安定性の低下、経時安定性の低下を抑制することが可能となる。
また、偏向器403では、ミラー形成基板1の外側フレーム部10と各カバー基板2,3とで囲まれる気密空間を真空(真空雰囲気)とすることで、低消費電力化を図りつつ可動部20およびミラー部24の機械振れ角を大きくすることが可能となる。そこで、偏向器403では、上記気密空間を真空とするとともに、第2のカバー基板3におけるミラー形成基板1との対向面において外側フレーム部10に接合される部位よりも内側の適宜部位に非蒸発型のゲッタ(図示せず)を設けてある。なお、非蒸発型のゲッタは、例えば、Zrを主成分とする合金やTiを主成分とする合金などにより形成すればよい。また、偏向器403では、外側フレーム部10と第1のカバー基板2と第2のカバー基板3とで囲まれた上記気密空間を、不活性ガス雰囲気(例えば、ドライ窒素ガス雰囲気など)としてもよい。上述の偏向器403では、上記気密空間を真空雰囲気と不活性ガス雰囲気とのいずれにしても、ミラー面21の酸化を防止できるから、ミラー面21の材料の選択肢が多くなるとともに、ミラー面21の反射特性の経時変化を抑制することができる。
第1のガラス基板200は、ミラー形成基板1との対向面に、可動部20の変位空間を確保するための第1の凹部201を有している。ここで、第1のガラス基板200は、上述のように2枚のガラス板を接合して形成されている。そこで、第1のガラス基板200は、ミラー形成基板1に近い側に配置するガラス板(以下、第1のガラス板と称する)において第1の凹部201に対応する部位に、厚み方向に貫通する開孔部を形成し、ミラー形成基板1から遠い側に配置するガラス板(以下、第2のガラス板と称する)を平板状としてある。したがって、第1のガラス基板200は、サンドブラスト加工などにより第1の凹部201が形成されたものに比べて、第1の凹部201の内底面を滑らかな表面とすることができ、第1の凹部201の内底面での拡散反射、光拡散、散乱損失などを低減できる。
また、第2のカバー基板3は、第2のガラス基板300におけるミラー形成基板1側の上記一表面に、可動部20の変位空間を確保するための第2の凹部301を形成してある。
ここにおいて、第2のガラス基板300の上記一表面に第2の凹部301を形成する場合は、例えば、サンドブラスト法などにより形成すればよい。また、第2のカバー基板3についても、第1のカバー基板2と同様、2枚のガラス板を接合して形成してもよく、ミラー形成基板1に近い側に配置するガラス板(以下、第3のガラス板と称する)において第2の凹部301に対応する部位に厚み方向に貫通する開孔部を形成するとともに、ミラー形成基板1から遠い側に配置するガラス板(以下、第4のガラス板と称する)を平板状としてもよい。なお、第2のカバー基板3は、光を透過させる必要がないので、第2のガラス基板300に限らず、ミラー形成基板1との接合が容易で且つ半導体基板(SOI基板100)の材料であるSiとの線膨張率差が小さな材料により形成された基板であればよく、例えば、シリコン基板を用いて形成してもよく、この場合の第2の凹部301は、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成すればよい。
また、本実施形態における偏向器403では、外側フレーム部10と第1のカバー基板2と第2のカバー基板3とで囲まれる気密空間を真空とすることで、低消費電力化を図りつつ可動部20の機械振れ角を大きくすることが可能となるので、上記気密空間を真空とするとともに、第2の凹部301の内底面に、上述のゲッタを配置してある。
なお、本実施形態では、第1のカバー基板2および第2のカバー基板3の厚さを0.5mm〜1.5mm程度の範囲で設定し、第1の凹部201および第2の凹部301の深さを300μm〜800μmの範囲で設定してあるが、これらの数値は一例であり、可動部20のz軸方向への変位量に応じて適宜設定すればよく(つまり、可動部20の回動運動を妨げない深さであればよく)、特に限定するものではない。
各ガラス基板200,300のガラス材料としては、上述のように硼珪酸ガラスであるパイレックス(登録商標)を採用しているが、硼珪酸ガラスに限らず、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラスなどを採用してもよい。
以下、偏向器403の製造方法について図5を参照しながら説明するが、図5の(a)〜(f)は図3のA−B断面に対応する部分の概略断面を示している。
まず、半導体基板であるSOI基板100の上記一表面側および上記他表面側それぞれに熱酸化法などによりシリコン酸化膜111a,111bを形成する酸化膜形成工程を行うことによって、図5(a)に示す構造を得る。
その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してSOI基板100の上記一表面側のシリコン酸化膜(以下、第1のシリコン酸化膜と称する)111aをパターニングする第1のシリコン酸化膜パターニング工程を行うことによって、図5(b)に示す構造を得る。この第1のシリコン酸化膜パターニング工程では、第1のシリコン酸化膜111aのうち、可動部20において反射膜21aの形成予定領域以外の部分、第1の捩りばね部30,30などに対応する部位などが残るように、第1のシリコン酸化膜111aをパターニングする。
第1のシリコン酸化膜パターニング工程の後、SOI基板100の上記一表面側に所定膜厚(例えば、500nm)の金属膜(例えば、Al−Si膜)をスパッタ法や蒸着法などにより成膜する金属膜形成工程を行い、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して金属膜をパターニングすることにより各パッド13および反射膜21aを形成する金属膜パターニング工程を行うことによって、図5(c)に示す構造を得る。なお、本実施形態では、各パッド13と反射膜21aとの材料および膜厚を同じに設定してあるので、各パッド13と反射膜21aとを同時に形成しているが、各パッド13と反射膜21aとの材料や膜厚が相違する場合には、各パッド13を形成するパッド形成工程と反射膜21aを形成する反射膜形成工程とを別々に設ければよい。
上述の各パッド13および反射膜21aを形成した後、SOI基板100の上記一表面側で、第1のシリコン層100aのうち可動フレーム部23、ミラー部24、一対の第1の捩りばね部30,30、一対の第2の捩りばね部25,25、外側フレーム部10、第1の固定電極12、第2の可動電極22、第2の固定電極26、第2の可動電極27に対応する部位を覆うようにパターニングされた第1のレジスト層130を形成する。その後、第1のレジスト層130をマスクとして、第1のシリコン層100aを絶縁層100cに達する深さ(第1の所定深さ)までエッチングすることにより第1のシリコン層100aをパターニングする第1のシリコン層パターニング工程(表面側パターニング工程)を行うことによって、図5(d)に示す構造を得る。第1のシリコン層パターニング工程での第1のシリコン層100aのエッチングは、誘導結合プラズマ型のエッチング装置などのように、異方性の高いエッチングが可能なドライエッチング装置により行えばよい。また、第1のシリコン層パターニング工程では、絶縁層100cをエッチングストッパ層として利用している。
上述の第1のシリコン層パターニング工程の後、SOI基板100の上記一表面側の第1のレジスト層130を除去する。その後、SOI基板100の上記一表面側の全面に第2のレジスト層131を形成する。続いて、SOI基板100の他表面側で、第2のシリコン層100bのうち外側フレーム部10、支持体29に対応する部位以外を露出させるようにパターニングされた第3のレジスト層132を形成する。その後、第3のレジスト層132をマスクとして、第2のシリコン層100bを絶縁層100cに達する深さ(第2の所定深さ)までエッチングすることにより第2のシリコン層100bをパターニングする第2のシリコン層パターニング工程を行うことによって、図5(e)に示す構造を得る。第2のシリコン層パターニング工程での第2のシリコン層100bのエッチングは、誘導結合プラズマ型のエッチング装置などのように、異方性が高く垂直深堀が可能なドライエッチング装置により行えばよい。また、第2のシリコン層パターニング工程では、絶縁層100cをエッチングストッパ層として利用している。
上述の第2のシリコン層パターニング工程の後、SOI基板100の絶縁層100cの不要部分をSOI基板100の上記他表面側からエッチングする絶縁層パターニング工程を行うことでミラー形成基板1を形成する。続いて、第2のレジスト層131および第3のレジスト層132を除去する。その後、ミラー形成基板1と、第1のカバー基板2および第2のカバー基板3とを陽極接合などにより接合する接合工程を行うことによって、図5(f)に示す構造の偏向器403を得る。
上述の接合工程では、ミラー形成基板1のミラー面21を保護する観点から、第1のカバー基板2とミラー形成基板1とを接合する第1の接合過程を行ってから、ミラー形成基板1と第2のカバー基板3とを接合する第2の接合過程を行うことが好ましい。ここで、第1の接合過程では、先ず、第1のガラス基板200に第1の凹部201や各貫通孔202などを形成した第1のカバー基板2とミラー形成基板1とを重ねた積層体を、所定真空度(例えば、10Pa以下)の真空中で所定の接合温度(例えば、300℃〜400℃程度)に加熱した状態で、第1のシリコン層100aと第1のカバー基板2との間に第1のカバー基板2側を低電位側として所定電圧(例えば、400V〜800V程度)を印加し、この状態を所定の接合時間(例えば、20分〜60分程度)だけ保持すればよい。また、第2の接合過程では、上述の第1の接合過程に準じて、第2のシリコン層100bと第2のカバー基板3との陽極接合を行う。なお、ミラー形成基板1と各カバー基板2,3を接合する接合方法は、陽極接合に限らず、例えば、常温接合法などでもよい。また、第1のシリコン層パターニング工程の後に、SOI基板100と第1のカバー基板2とを接合し、その後、第2のシリコン層パターニング工程、絶縁層パターニング工程を行うことでミラー形成基板1を形成し、その後、ミラー形成基板1と第2のカバー基板3とを接合するようにしてもよい。なお、上述の偏向器403の製造にあたっては、接合工程が終了するまでは、ミラー形成基板1、第1のカバー基板2および第2のカバー基板3それぞれについてウェハの状態で行い、接合工程の後で、個々の偏向器403に分離するダイシング工程を行えばよい。
次に、偏向器403の動作について説明する。
偏向器403では、互いに対向する第1の可動電極22と第1の固定電極12との間に、可動部20を駆動するためのパルス電圧を一対のパッド13,13を介して印加することにより、第1の可動電極22・第1の固定電極12間に静電力が発生し、可動部20がy軸方向の軸回りで回動する。しかして、偏向器403では、第1の可動電極22・第1の固定電極12間に所定の駆動周波数のパルス電圧を印加することにより、周期的に静電力を発生させることができ、可動部20を揺動させることができる。
ここで、上述の可動部20は、内部応力に起因して、静止状態でも水平姿勢(xy平面に平行な姿勢)ではなく、きわめて僅かであるが傾いているので、例えば、第1の可動電極22・第1の固定電極12間にパルス電圧が印加されると、静止状態からであっても、可動部20に略垂直な方向(z軸方向)の駆動力が加わり、可動部20が一対の第1の捩りばね部30,30を回動軸として当該一対の第1の捩りばね部30,30を捩りながら回動する。そして、第1の可動電極22・第1の固定電極12間の駆動力を、可動櫛歯片22bと固定櫛歯片12bとが完全に重なりあうような姿勢となったときに解除すると、可動部20は、慣性力により、一対の第1の捩りばね部30,30を捩りながら回動し続ける。そして、可動部20の回動方向への慣性力と、一対の第1の捩りばね部30,30の復元力とが等しくなったとき、当該回動方向への可動部20の回動が停止する。このとき、第1の可動電極22・第1の固定電極12間に再びパルス電圧が印加されて静電力が発生すると、可動部20は、一対の第1の捩りばね部30,30の復元力と第1の可動電極22・第1の固定電極12間の駆動力とにより、それまでとは逆の方向への回動を開始する。可動部20は、第1の可動電極22・第1の固定電極12間の駆動力と一対の第1の捩りばね部30,30の復元力とによる回動を繰り返して、一対の捩りばね部30,30を回動軸として揺動する。
なお、第1の可動電極22・第1の固定電極12間への駆動電圧の印加形態や周波数は特に限定するものではなく、例えば、第1の可動電極22・第1の固定電極12間に印加する電圧を正弦波電圧としてもよい。
ところで、偏向器403は、例えば、第1の可動電極22と第2の固定電極26とが電気的に接続されたパッド13aの電位を基準電位として、第1の固定電極12および第2の可動電極27それぞれの電位を周期的に変化させることにより、可動部20を一対の第1の捩りばね部30,30の軸回りで回動させることができるとともに、ミラー部24を一対の第2の捩りばね部25,25の軸回りで回動させることができる。要するに、本実施形態における偏向器403では、対向する第1の固定電極12と第1の可動電極22との間に、可動部20を駆動するためのパルス電圧を一対のパッド13b,13aを介して印加することにより、第1の固定電極12・第1の可動電極22間に静電力が発生し、可動部20がy軸方向の軸回りで回動する。また、この偏向器403では、対向する第2の固定電極26と第2の可動電極27との間に、ミラー部24を駆動するためのパルス電圧を一対のパッド13a,13cを介して印加することにより、第2の固定電極26・第2の可動電極27間に静電力が発生し、ミラー部24がx軸方向の軸回りで回動する。しかして、本実施形態における偏向器403では、第2の固定電極26・第2の可動電極27間に所定の第1の駆動周波数のパルス電圧を印加することにより、周期的に静電力を発生させることができ、可動部20のミラー部24を揺動させることができ、さらに、第1の固定電極12・第1の可動電極22間に所定の第2の駆動周波数のパルス電圧を印加することにより、周期的に静電力を発生させることができ、可動部20全体を揺動させることができる。なお、ミラー形成基板1は、外側フレーム部10と第1のカバー基板2とで囲まれた空間側において、第1のシリコン層100aの反射膜21aが形成されていない部位の表面に、シリコン酸化膜111a(図5(f)参照)が形成されている。
本実施形態における偏向器403では、第1の固定電極12・第1の可動電極22間に、可動部20と一対の第1の捩りばね部30,30とにより構成される振動系の共振周波数の略2倍の周波数のパルス電圧を印加することにより、可動部20が共振現象を伴って駆動され、機械振れ角(xy平面に平行な水平面を基準としたときの傾き)が大きくなる。また、本実施形態における偏向器403では、第2の固定電極26・第2の可動電極27間に、ミラー部24と一対の第2の捩りばね部25,25とにより構成される振動系の共振周波数の略2倍の周波数のパルス電圧を印加することにより、ミラー部24が共振現象を伴って駆動され、機械振れ角(可動フレーム部23における第1のカバー基板2側の表面に平行な面を基準としたときの傾き)が大きくなる。
ところで、上述の制御装置500は、光ビームLB2が水平方向に走査されるように第2の可動電極27・第2の固定電極26間に第1の駆動周波数の駆動電圧を印加する水平駆動回路501と、光ビームLB2が垂直方向に走査されるように第1の可動電極22・第1の固定電極12間に第2の駆動周波数の駆動電圧を印加する垂直駆動回路502とを備えている。なお、偏向器403の配置によっては、水平駆動回路501が、第1の可動電極22・第1の固定電極12間に第1の駆動周波数の駆動電圧を印加するようにし、垂直駆動回路502が、第2の可動電極27・第2の固定電極26間に第2の駆動周波数の駆動電圧を印加するようにしてもよい。
また、制御装置500は、水平駆動回路501を制御する第1の制御手段である第1の制御部511と、垂直駆動回路502を制御する第2の制御手段である第2の制御部512とを備えている。
また、制御装置500は、クロック信号を発生するクロック発生部510を備えている。ここで、クロック発生部510は、例えば、水晶発振器などにより構成すればよい。
また、制御装置500は、偏向器403により光ビームLB2を垂直方向および水平方向に走査させることにより形成する画像の離散的な画素位置ごとに、画素位置に対応付けられた画素データに基づいて光源411の出力をクロック信号に同期して制御する第3の制御手段である第3の制御部513を備えている。ここで、第3の制御部513は、光源411を駆動する光源駆動回路503を介して光源411の出力を制御する。第1の制御部511と第2の制御部512と第3の制御部513とは、例えば、適宜のプログラムを搭載したマイクロコンピュータなどにより構成すればよい。画素データは、例えば、表示部410に対して図1(c)に示すような画像を表示させるために必要な画像データにおける各画素ごとのデータであり、光源411から出射させるべき光ビームLB2の強度や色などの情報を含んでいる。なお、画素ごとの画素データを有する画像データは、外部から制御装置500へ与えられるようにしてもよいし、第3の制御部513の内部メモリあるいは外部メモリに記憶しておき、第3の制御部513が、適宜読み出すようにしてもよい。
また、制御装置500は、クロック発生部510から発生するクロック信号をカウントする第1のカウンタ531および第2のカウンタ532を備えている。第1のカウンタ531は、偏向器403が光ビームLB2を水平走査する際の第1の基準位置に戻るたびにカウント数がリセットされ、また、第2のカウンタ532は、偏向器403が光ビームLB2を垂直走査する際の第2の基準位置に戻るたびにカウント数がリセットされる。ここにおいて、制御装置500は、偏向器403が光ビームLB2を水平走査する際の第1の基準位置(ここでは、可動フレーム部23に対してミラー部240が傾いていない位置)にあるか否かを特定する第1の基準位置特定手段521と、偏向器403が光ビームLB2を垂直走査する際の第2の基準位置(ここでは、固定フレーム部10に対して可動部20の可動フレーム部23が傾いていない位置)にあるか否かを特定する第2の基準位置特定手段522とを備えている。
ところで、制御装置500は、第1の基準位置特定手段521で第1の基準位置を特定するとともに、第2の基準位置特定手段522で第2の基準位置を特定するために、水平駆動回路501から偏向器403の第2の可動電極27・第2の固定電極26間に印加する第1の駆動周波数の駆動電圧に、当該駆動電圧に比べて高周波の第1の電圧(以下、第1の基準位置特定電圧と称する)を重畳させるとともに、垂直駆動回路502から偏向器403の第1の可動電極22・第1の固定電極12間に印加する第2の駆動周波数の駆動電圧に、当該駆動電圧に比べて高周波の第2の電圧(以下、第2の基準位置特定電圧と称する)を重畳させるようにしている。ここにおいて、第1の基準位置特定電圧および第2の基準位置特定電圧の波形は、正弦波であることが好ましい。
ここで、可動フレーム部23に対するミラー部24の相対的な位置(機械振れ角)の変化に応じて、第2の可動電極27・第2の固定電極26間の静電容量に変化が生じ、第1の基準位置特定電圧に基づく電流値(振幅)に微小な変化が生じる。この電流値は、第1の基準位置、すなわち機械振れ角がゼロのときに最も大きくなる。このことから、第1の基準位置特定手段521において、第2の固定電極26に接続されているパッド13cを流れる電流を監視することにより、偏向器403が第1の基準位置にあるか否かを知ることができる。また、固定フレーム部10に対する可動フレーム部23の相対的な位置(機械振れ角)の変化に応じて、第1の可動電極22・第1の固定電極12間の静電容量に変化が生じ、第2の基準位置特定電圧に基づく電流値(振幅)に微小な変化が生じる。このことから、第2の基準位置特定手段522において、第1の固定電極12に接続されているパッド13bを流れる電流を監視することにより、偏向器403が第2の基準位置にあるか否かを知ることができる。
第1の基準位置特定手段521は、例えば、第1の駆動周波数よりも高周波の第1の基準位置特定電圧の周波数成分を通過させる第1のバンドパスフィルタと、第1のバンドパスフィルタの出力の振幅成分を取り出す第1の検波回路と、第1の検波回路の出力が第1の規定値以上、すなわち、偏向器403が第1の基準位置にあるときであれば“1”、第1の規定値未満であれば“0”を出力する第1のA/D変換器と、第1のA/D変換器の出力が“1”のときに第1のカウンタ531にリセット信号を出力する第1のリセット回路とで構成すればよい。また、第2の基準位置特定手段522は、例えば、第2の駆動周波数よりも高周波の第2の基準位置特定電圧の周波数成分を通過させる第2のバンドパスフィルタと、第2のハイパスフィルタの出力の振幅成分を取り出す第2の検波回路と、第2の検波回路の出力が第2の規定値以上、すなわち、偏向器403が第2の基準位置にあるときであれば“1”、第2の規定値未満であれば“0”を出力する第2のA/D変換器と、第2のA/D変換器の出力が“1”のときに第2のカウンタ532にリセット信号を出力する第2のリセット回路とで構成すればよい。
さらに、制御装置500は、光ビームLB2が走査される画素位置の水平座標を第1のカウンタ521のカウント数に基づいて特定する水平座標特定手段541と、光ビームLB2が走査される画素位置の垂直座標を第2のカウンタ532のカウント数に基づいて特定する垂直座標特定手段542とを有している。なお、水平座標特定手段541および垂直座標特定手段542は、例えば、上述のマイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載することより実現できる。
そして、第3の制御部513は、水平座標特定手段541により特定された水平座標と垂直座標特定手段542により特定された垂直座標とで画素位置を特定する。
なお、本実施形態では、図2に示すように、任意の画素位置の水平座標をx、垂直座標をyとし、偏向器430が第1の基準位置にある場合の水平座標を0、偏向器430が第2の基準位置にある場合の垂直座標を0、偏向器430が水平方向において光ビームLB2を最大変位させている場合の水平座標をx0,−x0、偏向器430が垂直方向において光ビームLB2を最大変位させている場合の垂直座標をy0,−y0とし、第1の駆動周波数をf1、第2の駆動周波数をf2、時間をtとすると、画素位置の座標(x,y)は、
(x0・sin(2πf1t),y0・sin(2πf2t))
となる。
以上説明した本実施形態の光ビーム走査装置では、制御装置500が、上述のように、水平駆動回路501と、垂直駆動回路502と、クロック発生部510と、第1の制御部511と、第2の制御部512と、第3の制御部513と、第1のカウンタ531と、第2のカウンタ532と、水平座標特定手段541と、垂直座標特定手段542とを有し、第3の制御部513が、水平座標特定手段541により特定された水平座標と垂直座標特定手段542により特定された垂直座標とで画素位置を特定して光源411を制御するから、偏向器403の駆動周波数である第1の駆動周波数および第2の駆動周波数の設定自由度を高めることが可能となる。
(実施形態2)
本実施形態では、実施形態1において説明した光ビーム走査装置を備えたセンサ装置について図6〜図10を参照しながら説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
センサ装置は、図7(a),(b)に示すように、検知対象空間405内の物体406を検知するものであり、光ビーム走査装置の他に、物体406を検知するための検知用光ビームLB1を出射する検知用光源401を備えている。
また、センサ装置は、光ビーム走査装置において光源(以下、表示用光源と称する)411からの光ビーム(以下、表示用光ビームと称する)LB2を二次元的に走査することにより形成される画像が表示される表示部410と、表示用光ビームLB2を偏向器403側へ反射し且つ検知用光ビームLB1を反射および透過するハーフミラー402とを備えている。
また、センサ装置は、検知用光源401とハーフミラー402との間に位置するダイクロイックミラー412を備えている。このダイクロイックミラー412は、表示用光源411から出射された表示用光ビームLB2をハーフミラー402側へ反射させ且つ検知用光源401からの検知用光ビームLB1を透過させるように光学設計されている。
ここにおいて、センサ装置は、表示用光源411と偏向器403との間の第1の光軸と、検知用光源401と偏向器403との間の第2の光軸とを、ダイクロイックミラー412・偏向器403間で一致させてある。
さらに、センサ装置は、ハーフミラー402を挟んで偏向器403の反対側に位置し表示部410側で反射された後に偏向器403で反射されハーフミラー402を透過した検知用光ビームLB1を検出する光検出部404と、光検出部404の出力に基づいて偏向器403と表示部410との間の検知対象空間405における物体406の有無を判断する判断部(図示せず)とを備えている。上記判断部は、光ビーム走査装置の制御装置500に設けてもよい。なお、上記判断部は、例えば、マイクロコンピュータなどに適宜のプログラムを搭載することにより実現すればよい。
検知用光源401としては、検知用光ビームLB1として赤外光を出射する半導体レーザを用いている。
なお、図7に関して、(a)中の一点鎖線は光軸を示し、(b)中の実線の矢印は、検知用光源401から出射された検知用光ビームLB1の検知対象空間405への進行経路を示し、(c)中の実線の矢印は、表示部410で反射された検知用光ビームLB1の進行経路を示し、(d)中の実線の矢印は、表示用光源411から出射された光ビームLB2の表示部410までの進行経路を示している。
上述のセンサ装置では、光ビーム走査装置により、表示部410に所定の画像(例えば、図11に示すような仮想のスイッチ440の像)を表示させることができる。また、センサ装置は、表示部410に画像を表示させるための光学系と物体406を検知するための光学系とでハーフミラー402を共用しているので、部品点数を削減でき、小型化および軽量化を図ることができる。
また、光検出部404は、赤外光に対して感度を有するフォトダイオードであり、受光光量に応じて出力が変化する。したがって、センサ装置では、検知用光ビームLB1の光路上の物体406の有無に応じて、検知対象空間405内で検知用光ビームLBが反射される反射面の反射率が変化することにより、光検出部404の受光光量が変化する。すなわち、検知対象空間405において検知用光ビームLB1の光路上に物体406が存在しない場合には、表示部410により反射面の反射率が決まるが、検知対象空間405において検知用光ビームLB1の光路上に物体406が有る場合には、物体406により反射面の反射率が決まるので、反射面の反射率の差に応じて光検出部404の受光光量が変化する。
また、センサ装置は、ハーフミラー402と光検出部404との間に位置するレンズ407を備えている。このレンズ407は、ハーフミラー402を透過した検知用光ビームLB1を光検出部404の受光面404aに集光するためのものである。
レンズ407は、両凸レンズであり、表示部410に対して結像関係になる位置に配置されている。要するに、レンズ407は、図9(a)に示すように、検知用レーザ光LB1の光路上に物体406が存在しない場合に、光検出部404の光軸の方向において結像面が光検出部404の受光面404aに一致するように配置されており、光検出部404の受光面404aの位置で、検知用光ビームLB1のスポット径が最小スポット径となる。したがって、図9(b)に示すように、検知用光ビームLB1の光路上に物体406が存在する場合には、光検出部404の光軸の方向において結像面の位置がずれる。その結果、検知用光ビームLB1の光検出部404での像414(図9(c)参照)が広がる(いわゆる像高が変化する、言い換えれば、ピントが合わずにぼけが生じる)ので、物体406の有無による光検出部404の受光光量の変化を大きくすることが可能となる。例えば、光検出部404の受光面404aの直径が1mmで、図9(a)のように、検知用光ビームLB1の光路上に物体406が存在しない場合の像高が1mmであるとし、図9(b)のように、検知用光ビームLB1の光路上に物体406が存在した場合の像高が2mmであるとすると、光検出部404での受光光量が激減する。したがって、物体406の反射率と表示部410の反射率の差とが比較的小さい場合でも、物体406の有無による受光光量の変化が大きくなる。
ところで、表示部410として検知用光ビームLB1の反射光の輝度が、ランバートの余弦則(Lambert’s cosine law)に従うスクリーン(つまり、表示部410が検知用光ビームLB1をランバート反射するスクリーン)を用いた場合には、物体406の存在しない場合の光検出部404の受光光量が小さく、物体406の有無による光検出部404の受光光量の変化が小さいので、S/N比が小さくなる。
そこで、表示部410は、検知用光ビームLB1を再帰反射するスクリーンにより構成することが好ましい。要するに、表示部410を構成するスクリーンとしては、いわゆる再帰性反射スクリーンを用いることが好ましい。再帰性反射スクリーンは、入射光と同じ方向に反射光を出射させるスクリーンであり、高い反射指向性を有している。したがって、表示部410として、再帰性反射スクリーンを用いれば、物体406の存在しない場合の光検出部404の受光光量を大きくすることができ、物体406の有無による光検出部404の受光光量の変化を大きくすることが可能となり、S/N比を大きくすることが可能となる。これにより、センサ装置では、光検出部404の出力のS/N比の向上が可能となり、物体406の検知精度の向上を図れる。
再帰性反射スクリーンなどに用いる再帰性反射体としては、光を屈折させるためのガラスビーズを2次元的に配列した反射シートや、光を屈折させるためのプリズムレンズなどを2次元的に配列した反射シートなどが知られている。
上述のセンサ装置は、図10に示すように、検知用光源401、ハーフミラー402、偏向器403、光検出部404、表示用光源411、ダイクロイックミラー412、レンズ407などを収納する筐体420を備えている。なお、筐体420内には、偏向器403で反射され検知対象空間405側へ向う検知用光ビームLB1(図7(b)参照)および表示用光ビームLB2(図7(d)参照)、並びに、検知対象空間405内の表示部410や物体406で反射され偏向器403へ向う検知用光ビームLB1(図7(c)参照)、を通過させる通過部(図示せず)が形成されている。この通過部は、貫通孔でもよいし、検知用光ビームLB1および表示用光ビームLB2を透過する材料により形成されたものでもよい。また、筐体420内には、検知用光源401、ハーフミラー402、偏向器403、光検出部404、表示用光源411、ダイクロイックミラー412、レンズ407などを位置決めして保持する保持部材(図示せず)が配置されている。
ところで、上述のセンサ装置では、検知用光ビームLB1の一部が、ハーフミラー402や偏向器403などで散乱されたり、筐体420の内面で反射されたりして、光検出部404の受光面404aに到達する迷光となってしまい、光検出部404の出力のS/N比が低下してしまう懸念がある。
そこで、センサ装置は、検知用光ビームLB1および表示用光ビームLB2の光路の周辺に配置され迷光を遮る遮光用部材430を備えることが好ましい。センサ装置では、遮光用部材430を設けることにより、光検出部404に到達する迷光を低減でき、光検出部404の出力のS/N比の向上を図れる。遮光用部材430は、黒色の樹脂の成形品により構成してあるが、迷光を遮ることができればよく、遮光用部材430の材料や形成方法は特に限定するものではない。なお、図10に示した例では、6個の遮光用部材430を設けてあるが、遮光用部材430の数は特に限定するものではなく、1個でもよい。
また、センサ装置は、筐体420の内面が、迷光を散乱する粗面となっていることが好ましい。これにより、センサ装置は、光検出部404の受光面404aに到達する迷光を低減することが可能となる。筐体420の内面を粗面とする加工方法としては、例えば、ブラスト加工などがある。また、筐体420の内面に入射して光検出部404の受光面404aに到達する迷光を低減する手段は、筐体420の内面を粗面とする例に限らない。例えば、筐体420の材料が金属の場合には、筐体420の内面側を黒色の塗装材料により塗装してもよいし、黒色のアルマイトを形成してもよい。
以上説明した本実施形態のセンサ装置では、実施形態1にて説明した光ビーム走査装置と、画像が表示される表示部410と、検知用光ビームLB1を出射する検知用光源401と、表示用光ビームLB2を偏向器403側へ反射し且つ検知用光ビームLB1を反射および透過するハーフミラー402と、検知用光源401とハーフミラー402との間に位置し表示用光源411から出射された光ビームLB2をハーフミラー402側へ反射させ且つ検知用光源401からの検知用光ビームLB1を透過させるダイクロイックミラー412と、ハーフミラー402を挟んで偏向器403の反対側に位置し表示部410側で反射された後に偏向器403で反射されハーフミラー402を透過した検知用光ビームLB1を検出する光検出部404と、光検出部404の出力に基づいて偏向器403と表示部410との間の検知対象空間405における物体406の有無を判断する上記判断部とを備え、表示用光源411と偏向器403との間の第1の光軸と、検知用光源401と偏向器403との間の第2の光軸とを、ダイクロイックミラー412・偏向器403間で一致させてあるので、偏向器403の駆動周波数である第1の駆動周波数および第2の駆動周波数それぞれの設定自由度を高めることが可能となり、小型化を図りながらも、検知対象空間405を広くすることが可能となり、また、検知対象空間405内での検知用光ビームLB1と表示用光ビームLB2との光路を精度良く一致させることが可能となる。なお、物体406は、特に人の手の指に限定するものではない。
また、本実施形態のセンサ装置では、検知用光源401−偏向器403間の光軸と、偏向器403−光検出部404間の光軸とを、偏向器403−ハーフミラー402間で一致させてあるので、これら2つの光軸が一致しない場合(例えば、交差する場合)に比べて、小型化および軽量化を図ることができる。
本実施形態のセンサ装置は、例えば、図11に示すように、屋内の壁面460においてドア470の近くに表示部410を設置し、表示部410に、外部機器(例えば、照明器具、エアコン、テレビなど)をオンオフ制御するための仮想のスイッチ(以下、バーチャルスイッチと称する)440の画像を表示させることができるとともに、検知対象空間405内の任意の位置での物体406の有無を検知することが可能となる。図11の例では、バーチャルスイッチ440の画像において、“ON”の文字の左側の四角形の像からなる仮想の第1のスイッチ要素441の位置に物体406が有る場合と、“OFF”の文字の左側の四角形の像からなる仮想の第2のスイッチ要素442の位置に物体406が有る場合とを、上記判断部において判別することが可能となる。したがって、上記判断部の判別結果に応じて、外部機器と当該外部機器へ電力を供給する電源との間に挿入されているスイッチをオンオフ制御するためのリモートコントロール信号を外部機器へ送信する送信部(アンテナなど)を設けておけば、屋内の壁などの造営材に埋込型の配線器具の一種である埋込型のスイッチなどを埋め込むための埋込穴を形成したり、埋込型の配線器具を施工するための先行配線を壁裏などに設けたりすることなく、表示部410を造営材の表面からなる壁面460に設置することによりバーチャルスイッチ440を設けることが可能となる。なお、表示部410を造営材に設置するにあたっては、例えば、予め裏面側に設けられた感圧性の接着剤などにより造営材に貼り付ければよい。
10 固定フレーム部
21 ミラー面
23 可動フレーム部
24 ミラー部
25 第2の捩ればね部
30 第1の捩ればね部
401 検知用光源
402 ハーフミラー
403 偏向器
404 光検出部
410 表示部
411 光源
412 ダイクロイックミラー
500 制御装置
501 水平駆動回路
502 垂直駆動回路
510 クロック発生部
511 第1の制御部(第1の制御手段)
512 第2の制御部(第2の制御手段)
513 第3の制御部(第3の制御手段)
531 第1のカウンタ
532 第2のカウンタ
541 水平座標特定手段
542 垂直座標特定手段
LB1 検知用光ビーム
LB2 光ビーム

Claims (2)

  1. 光源と、前記光源から出射される光ビームを反射させ前記光ビームを垂直方向および水平方向に走査可能なMEMSデバイスからなる偏向器と、前記光源および前記偏向器を制御する制御装置とを備え、前記偏向器は、外側フレーム部と、前記外側フレーム部の内側に配置され一対の第1の捩ればね部を介して前記外側フレーム部により支持された可動フレーム部と、前記可動フレーム部の内側に位置し前記第1の捩ればね部の並設方向に直交する方向に並設された一対の第2の捩ればね部を介して前記可動フレーム部に支持され前記光ビームを反射するミラー面が形成されたミラー部と、前記外側フレーム部において前記可動フレーム部側に設けられた第1の固定電極と、前記可動フレーム部において前記外側フレーム部側に設けられた第1の可動電極と、前記可動フレーム部において前記ミラー部側に設けられた第2の固定電極と、前記ミラー部において前記可動フレーム部側に設けられた第2の可動電極とを有し、前記制御装置は、前記光ビームが水平方向に走査されるように前記第1の可動電極・前記第1の固定電極間と前記第2の可動電極・前記第2の固定電極間との一方に第1の駆動周波数の駆動電圧を印加する水平駆動回路と、前記光ビームが垂直方向に走査されるように前記第1の可動電極・前記第1の固定電極間と前記第2の可動電極・前記第2の固定電極間との他方に第2の駆動周波数の駆動電圧を印加する垂直駆動回路と、クロック信号を発生するクロック発生部と、前記水平駆動回路を制御する第1の制御手段と、前記垂直駆動回路を制御する第2の制御手段と、前記偏向器により前記光ビームを垂直方向および水平方向に走査させることにより形成する画像の離散的な画素位置ごとに、前記画素位置に対応付けられた画素データに基づいて前記光源の出力を前記クロック信号に同期して制御する第3の制御手段と、前記クロック発生部から発生するクロック信号をカウントし前記偏向器が前記光ビームを水平走査する際の第1の基準位置に戻るたびにカウント数がリセットされる第1のカウンタと、前記クロック発生部から発生するクロック信号をカウントし前記偏向器が前記光ビームを垂直走査する際の第2の基準位置に戻るたびにカウント数がリセットされる第2のカウンタと、前記光ビームが走査される前記画素位置の水平座標を前記第1のカウンタのカウント数に基づいて特定する水平座標特定手段と、前記光ビームが走査される前記画素位置の垂直座標を前記第2のカウンタのカウント数に基づいて特定する垂直座標特定手段とを有し、前記第3の制御手段は、前記水平座標特定手段により特定された水平座標と前記垂直座標特定手段により特定された垂直座標とで前記画素位置を特定することを特徴とする光ビーム走査装置。
  2. 請求項1記載の光ビーム走査装置と、前記画像が表示される表示部と、検知用光ビームを出射する検知用光源と、前記光ビームを前記偏向器側へ反射し且つ前記検知用光ビームを反射および透過するハーフミラーと、前記検知用光源と前記ハーフミラーとの間に位置し前記光源から出射された前記光ビームを前記ハーフミラー側へ反射させ且つ前記検知用光源からの前記検知用光ビームを透過させるダイクロイックミラーと、前記ハーフミラーを挟んで前記偏向器の反対側に位置し前記表示部側で反射された後に前記偏向器で反射され前記ハーフミラーを透過した前記検知用光ビームを検出する光検出部と、前記光検出部の出力に基づいて前記偏向器と前記表示部との間の検知対象空間における物体の有無を判断する判断部とを備え、前記光源と前記偏向器との間の第1の光軸と、前記検知用光源と前記偏向器との間の第2の光軸とを、前記ダイクロイックミラー・前記偏向器間で一致させてあることを特徴とするセンサ装置。
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