JP2012026755A - 電流測定装置および電流測定方法 - Google Patents

電流測定装置および電流測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被検体に影響を及ぼすことなく非接触でかつ場所的な制約も受けず、被測定電流の電流値を高精度に測定すること。
【解決手段】基準平面S1上に配置された線状部分2aを有する導体2と、電流量を変化可能とした可変電流を導体2に流す電流発生手段3と、磁界の強さを検出するセンサー部4、5と、被検体Wを基準平面S1上に位置決めするとともに、センサー部4、5を基準平面S1から外れた位置に位置決めする位置決め手段20と、を備え、センサー部4、5は、該センサー部4、5に作用する磁界における少なくとも一方向の成分の磁界の強さを検出する電流測定装置1を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、被検体に流れる被測定電流の電流値を測定する電流測定装置および電流測定方法に関する。
従来から、被検体である電気回路に流れる被測定電流を測定する手法として、例えば下記非特許文献1に示すような、シャントを電気回路に挿入してシャント抵抗両端に現れる電圧を測定し、電圧とシャント抵抗値とから被測定電流を算出する手法がある。
また、シャント抵抗を挿入せずに非接触で被測定電流を測定する方法として、下記非特許文献2に示されるクランプ式の電流計がある。この方法では、測定対象とする導体を環状磁芯内に挿通させて被測定電流を測定する。
さらに、被測定電流が直流電流の場合、下記特許文献1に記載の電流測定方式で被測定電流を測定することが考えられる。この方法においても、測定対象とする導体を環状磁芯内に挿通させて被測定電流を測定する。
国際公開第03/107017号パンフレット
「港湾構造物の電気防食調査(その1)」、港湾技研資料、運輸省 港湾技術研究所、昭和59年3月、No.475 カタログ ディジタルクランプオンハイテスタ3281、3282等、日置電気
しかしながら、前記非特許文献1に記載の方法では、電気回路(被検体)を一部切断し、シャント抵抗を挿入しなければならないため、例えば、電気回路としてのパイプラインに流れる被測定電流を測定するというような、電気回路を切断することが不可能な場合には適用することができないといった課題があった。さらに、電気回路を切断してシャント抵抗を挿入し、シャント両端の電圧が測定できたとしても、もともとあった測定回路系にシャント抵抗分が加味されることとなる。したがって、シャント抵抗分が加味されない本来測定したい被測定電流の電流値が原理的に測定できないといった課題があった。
また、前記非特許文献2に記載の方法は、交流測定においてはカレントトランスフォーマとして広く知られている。しかしカレントトランスフォーマは、被測定電流の作り出す磁束の変化を環状磁芯でとらえ、測定可能な電流に変換する機構であるため、交流にしか適用することができない。
なお、前記非特許文献2に示されるクランプオンテスタでは、環状磁芯の一部を切り欠き、そこにホール素子を挿入して直流磁界を検出することで直流を測定することを可能としている。しかし、ホール素子は温度依存性が強く、測定条件の変化によって測定精度も大きく変化することが課題として挙げられる。
また、前記特許文献1に記載の方法では、測定対象とする電気回路(被検体)を切断することなく、環状磁芯内に電気回路を挿通させるためには、環状磁芯を分割しクランプさせる機構を持たせなければならない。しかしながら、非常に精度の良いクランプ構造の加工を施しても、切断部分でのエアギャップを消滅させることは不可能である。したがって、環状磁芯にエアギャップができることで、測定精度が低下することが課題として挙げられる。
さらに、長期的にみると前記クランプ機構が磁芯全体の弱点部となり、ここからの機械的破損や隙間腐食の発生原因となるといったことも課題として挙げられる。
また、電気回路(被検体)は、壁面に沿って延びていたり、壁内部または地中、コンクリート内部などに埋設されていたりする場合がある。そのため前記非特許文献2および前記特許文献1記載の方法では、構造的に環状磁芯内に電気回路を挿通できない場合があるといった場所的な制約があるといった課題があった。
また、以上列挙した各測定方法において、直流電流を測定対象として地球上で測定する場合には、測定系への外乱要因としての地磁気の混入は避けることはできず、地磁気の影響排除を行わなければならないといった課題があった。地磁気の対策としては、例えばパーマロイのような高級磁性鋼材でシールドするなどの対策を施すことも考えられる。しかしこの場合、構造の複雑化による取扱いの煩雑さの増加や、加工費および材料費の高騰といったことが課題として挙げられる。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その主目的は、被検体に影響を及ぼすことなく非接触でかつ場所的な制約も受けず、被測定電流の電流値を高精度に測定することができる電流測定装置および電流測定方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、外部磁界の影響を排除し、安価で構造も単純な電流測定装置および電流測定方法を提供することである。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る電流測定装置は、被検体に流れる被測定電流の電流値を測定する電流測定装置であって、基準平面上に配置された線状部分を有する導体と、電流量を変化可能とした可変電流を前記導体に流す電流発生手段と、磁界の強さを検出するセンサー部と、前記被検体を前記基準平面上に位置決めするとともに、前記センサー部を前記基準平面から外れた位置に位置決めする位置決め手段と、を備え、前記センサー部は、該センサー部に作用する磁界における少なくとも一方向の成分の磁界の強さを検出することを特徴とする。
また、本発明に係る電流測定方法は、被検体に流れる被測定電流の電流値を測定する電流測定装置を用いた電流測定方法であって、前記電流測定装置は、基準平面上に配置された線状部分を有する導体と、電流量を変化可能とした可変電流を前記導体に流す電流発生手段と、磁界の強さを検出するセンサー部と、を備え、該センサー部は、該センサー部に作用する磁界における少なくとも一方向の成分の磁界の強さを検出し、前記基準平面上に前記被検体を配置するとともに、前記センサー部を前記基準平面から外れた位置に配置する配置工程と、前記被検体から発生する磁界および前記線状部分から発生する磁界を合成してなり、前記センサー部に作用する合成磁界における前記少なくとも一方向の成分の磁界の強さが0になったときの前記可変電流の電流値を計測する計測工程と、前記計測工程で得られた前記可変電流の電流値に基づいて前記被測定電流の電流値を算出する算出工程と、を有し、前記計測工程は、前記電流発生手段によって前記可変電流をその電流値を変化させながら前記導体に流し、前記センサー部によって前記少なくとも一方向の磁界の強さを検出することで行うことを特徴とする。
これらの発明では、まず、基準平面上に被検体を配置するとともに、センサー部を基準平面から外れた位置に配置する配置工程を行う。その後、前記合成磁界における前記少なくとも一方向の成分の磁界の強さが0になったときの可変電流の電流値を計測する計測工程を行う。この計測工程は、電流発生手段によって可変電流をその電流値を変化させながら導体に流し、センサー部によって前記少なくとも一方向の磁界の強さを検出することで行う。そして、計測工程で得られた可変電流の電流値に基づいて被測定電流の電流値を算出する算出工程を行う。
以上により、被検体に流れる被測定電流の電流値を非接触で安定して測定することが可能になり、被検体を加工せずにこの被検体に影響を及ぼすことなく、容易に被測定電流の電流値を測定することができる。
また前記従来技術のように、被検体を環状磁芯内に挿通させるといった必要が無いので、場所的な制約を受けずに測定することができる。さらに、このように被検体を環状磁芯内に挿通させる必要が無いので、環状磁芯にエアギャップができることによって測定精度が低下するといったおそれがなく、被測定電流の電流値を高精度に測定することができる。
また配置工程の際、センサー部を基準平面から外れた位置に配置するので、センサー部によって前記合成磁界における複数方向の成分の磁界の強さを検出することができる。すなわち、センサー部が基準平面上に位置する場合、前記合成磁界の元となる被検体から発生する磁界、および線状部分から発生する磁界のいずれもが、基準平面に直交する同一方向にセンサー部に作用することとなる。
これにより、被測定電流の電流値を確実に高精度に算出することができる。
また、前記電流測定装置では、前記線状部分は、直線状に形成され、前記位置決め手段は、前記被検体を、前記線状部分に直交し前記基準平面に平行なX方向に前記線状部分と並列しかつ該線状部分に平行になるように位置決めするとともに、前記センサー部を、前記線状部分が延在するZ方向において、前記線状部分と前記被検体とが平行に並列する区間の内側の領域に位置決めしても良い。
また、前記電流測定方法では、前記線状部分は、直線状に形成され、前記配置工程の際、前記被検体を、前記線状部分に直交し前記基準平面に平行なX方向に該線状部分と並列しかつ該線状部分に平行になるように配置するとともに、前記センサー部を、前記線状部分が延在するZ方向において、前記線状部分と前記被検体とが平行に並列する区間の内側の領域に配置しても良い。
これらの場合、配置工程の際、Z方向において、線状部分と被検体とが平行に並列する区間の内側の領域にセンサー部を配置するので、前記合成磁界の磁界の強さを高精度に検出することができる。
また、前記電流測定装置では、前記センサー部は、該センサー部に作用する磁界のうち、前記X方向の成分の磁界の強さ、または前記X方向および前記Z方向に直交するY方向の成分の磁界の強さを検出しても良い。
また、前記電流測定方法では、前記計測工程の際、前記センサー部によって、該センサー部に作用する磁界のうち、前記X方向の成分の磁界の強さ、または前記X方向および前記Z方向に直交するY方向の成分の磁界の強さを検出しても良い。
これらの場合、計測工程の際、センサー部によって、センサー部に作用する磁界のうち、X方向の成分の磁界の強さ、またはY方向の成分の磁界の強さを検出するので、算出工程の際、可変電流の電流値に基づいて被測定電流の電流値を容易に算出することができる。
また、前記電流測定装置では、前記位置決め手段は、前記センサー部を、前記X方向において、前記線状部分と前記被検体との間に位置する領域に位置決めしても良い。
また、前記電流測定方法では、前記配置工程の際、前記X方向において、前記線状部分と前記被検体との間に位置する領域に前記センサー部を配置しても良い。
これらの場合、配置工程の際、X方向において、線状部分と被検体との間に位置する領域にセンサー部を配置するので、前記合成磁界の磁界の強さをより高精度に検出することができる。
また、前記電流測定装置では、前記位置決め手段は、前記センサー部を、該センサー部から前記被検体までの前記X方向に沿った距離と、該センサー部から前記線状部分までの前記X方向に沿った距離と、が同等になるように位置決めしても良い。
また、前記電流測定方法では、前記配置工程の際、前記センサー部を、該センサー部から前記被検体までの前記X方向に沿った距離と、該センサー部から前記線状部分までの前記X方向に沿った距離と、が同等になるように配置しても良い。
これらの場合、配置工程の際、センサー部を、該センサー部から被検体までのX方向に沿った距離と、該センサー部から線状部分までのX方向に沿った距離と、が同等になるように配置するので、算出工程の際、可変電流の電流値に基づいて被測定電流の電流値をより容易に算出することができる。
また、前記電流測定装置では、前記センサー部として、第1センサー部および第2センサー部を備え、前記位置決め手段は、前記第1センサー部および前記第2センサー部を、前記Z方向に直交する同一のXY平面上に位置決めしても良い。
また、前記電流測定方法では、前記センサー部として、第1センサー部および第2センサー部を備え、前記配置工程の際、これらのセンサー部を、前記Z方向に直交する同一のXY平面上に配置し、前記計測工程の際、前記第1センサー部および前記第2センサー部それぞれによって、前記X方向の成分または前記Y方向の成分の磁界の強さを検出し、これらのセンサー部によって検出された磁界の強さが互いに同等になるときの前記可変電流の電流値を計測しても良い。
これらの場合、計測工程の際、第1センサー部および第2センサー部それぞれによって検出されたX方向の成分、またはY方向の成分の磁界の強さが互いに同等になるときに、前記合成磁界におけるX方向の成分またはY方向の成分の磁界の強さが0になる。したがって、計測工程の際、外部磁界の影響によらず、前記合成磁界におけるX方向の成分またはY方向の成分の磁界の強さが0になったときの可変電流の電流を高精度に計測することができる。
またこのように、外部磁界をシールドせずに、外部磁界の影響を排除した測定を行うことができるので、電流測定装置を安価で構造も単純なものとすることができる。
本発明に係る電流測定装置および電流測定方法によれば、被検体に影響を及ぼすことなく非接触でかつ場所的な制約も受けず、被測定電流の電流値を高精度に測定することができる。
本発明の第1実施形態に係る電流測定装置の概略構成図である。 図1に示すA−A断面矢視図である。 本発明に係る電流測定方法の説明図である。 本発明に係る電流測定方法の説明図である。 図1に示す電流測定装置において、可変電流の電流値と、センサー部によって検出されたX方向の成分の磁界の強さと、の関係を示すグラフである。 図1に示す電流測定装置において、可変電流の電流値と、センサー部によって検出されたY方向の成分の磁界の強さと、の関係を示すグラフである。 図1に示す電流測定装置において、可変電流の電流値と、センサー部によって検出されたX方向の成分の磁界の強さと、の関係を示すグラフである。 図1に示す電流測定装置において、可変電流の電流値と、センサー部によって検出されたY方向の成分の磁界の強さと、の関係を示すグラフである。 本発明の第3実施形態に係る電流測定装置の概略構成図である。
(第1実施形態)
(電流測定装置)
以下、図面を参照し、本発明に係る第1実施形態を説明する。
図1に示すように、電流測定装置1は、リード線等の被検体Wに流れる直流電流である被測定電流の電流値を測定する。この種の電流測定装置1は、電気防食におけるモニタリング、調査、診断といった方面への応用が期待できる。
なお図示の例では、被検体Wの断面形状は円形となっている(図2参照)。
図1および図2に示すように、電流測定装置1は、基準平面S1上に配置された線状部分2aを有する導体2と、電流値を変化可能な直流電流である可変電流を導体2に流す電流発生手段3と、磁界の強さを検出するセンサー部4、5を有する磁界検出手段6と、被検体Wを基準平面S1上に位置決めするとともに、センサー部4、5を、基準平面S1から外れた位置に位置決めする位置決め手段20と、を備えている。
図2に示すように、導体2は、例えば金属等の電気抵抗が小さい材料で形成され、導体2の断面形状は円形に形成されている。図1に示すように、この導体2の線状部分2aは、直線状に形成されている。なお以下では、線状部分2aに直交し基準平面S1に平行な方向をX方向といい、線状部分2aが延在する方向をZ方向といい、X方向およびZ方向に直交する方向をY方向という。
電流発生手段3は、導体2に可変電流を流す出力可変直流電源7と、可変電流の電流値を計測する直流電流計8と、を備えている。なお図示の例では、直流電流計8は、可変電流の電流値を表示可能となっている。
磁界検出手段6は、センサー部4、5としての第1センサー部4および第2センサー部5と、これらのセンサー部4、5で検出された磁界の強さに関する磁気信号を処理する処理部9と、を備えている。
センサー部4、5は、このセンサー部4、5に作用する磁界における少なくとも一方向の成分の磁界の強さを検出する。本実施形態では、センサー部4、5は、このセンサー部4、5に作用する磁界のうち、X方向の成分の磁界の強さ、およびY方向の成分の磁界の強さを検出する。
なおセンサー部4、5としては、MI素子(磁気インピーダンス素子)、ホール素子、磁気コイル、SQID(Superconducting Quantum Interfence Device)等、磁気検知機能を有するものであればどのようなセンサーでも適用可能である。この種のセンサーには、磁界の強さを磁界の向きとともに検出する有極性のものと、磁界の強さは検出するが磁界の向きは検出できない無極性のものとがあり、図示の例では、有極性の構成を採用している。
また処理部9は、センサー部4、5によって計測された磁界の強さを、正の値〜零(0)〜負の値として表示する。なお、センサー部4、5として無極性の構成を採用した場合、処理部9は、磁界の強さを正の値〜零(0)として表示する。
位置決め手段20は、被検体Wを、X方向に線状部分2aと並列しかつ該線状部分2aに平行になるように位置決めする。また位置決め手段20は、センサー部4、5を、Z方向において、線状部分2aと被検体Wとが平行に並列する区間の内側の領域T1に位置決めし、かつZ方向に直交する同一のXY平面S2上に位置決めする。
また図2に示すように、位置決め手段20は、センサー部4、5を、X方向において、線状部分2aと被検体Wとの間に位置する領域T2に位置決めし、かつ、該センサー部4、5から被検体WまでのX方向に沿った距離L1と、該センサー部4、5から線状部分2aまでのX方向に沿った距離L2と、が同等になるように位置決めする。さらに位置決め手段20は、第1センサー部4および第2センサー部5を、基準平面S1を挟んで互いに反対側に位置決めする。
図示の例では、位置決め手段20は、被検体Wが配置される被検体配置部W1と、線状部分2aとセンサー部4、5および被検体配置部W1とを各別に連結する連結部材21、22、23と、を備えている。
被検体配置部W1には、被検体WがZ方向に沿って配置される。図示の例では、被検体配置部W1は、Z方向に延在し被検体Wが内挿可能な管状に形成されるとともに径方向に2分割されている。そして被検体Wは、分割された被検体配置部W1によって径方向の両側から挟みこまれることで、被検体配置部W1に配置されている。Z方向に延在しており、この被検体配置部W1には、
また図示の例では、連結部材21、22、23として、線状部分2aと第1センサー部4とを連結する第1連結部材21と、線状部分2aと第2センサー部5とを連結する第2連結部材22と、線状部分2aと被検体配置部W1とを連結する第3連結部材23と、が備えられている。これらの連結部材21、22、23は、線状部分2a、センサー部4、5および被検体配置部W1にそれぞれ着脱自在に装着されている。
そして、センサー部4、5および被検体配置部W1(被検体W)は、連結部材21、22、23によって線状部分2aに連結されることで、線状部分2a(基準平面S1)に対して位置決めされる。
なお、センサー部4、5から被検体WまでのX方向に沿った距離L1と、該センサー部4、5から線状部分2aまでのX方向に沿った距離L2と、が同等になるように配置することで、被検体Wの中心軸線O1と、線状部分2aの中心軸線O2と、第1センサー部4の中心(検出点)O3と、を頂点としてXY平面S2上に形成される三角形は、二等辺三角形(図示の例では、直角二等辺三角形)となる。また、被検体Wの中心軸線O1と、線状部分2aの中心軸線O2と、第2センサー部5の中心(検出点)O4と、を頂点としてXY平面S2上に形成される三角形も同様に二等辺三角形(図示の例では、正三角形)となる。図示の例では、これらの2つの三角形は、非合同となっている。
(電流測定原理)
次に、前記電流測定装置1を用いて被検体Wに流れる被測定電流の電流値を測定する電流測定原理について、測定に外部磁界が影響しない場合を説明する。
なお外部磁界としては、例えば、地磁気のように一様に分布する平行磁界や、アノードが付属している鋼構造物や鉄板等の強磁性体による磁界が挙げられる。また、測定に外部磁界が影響しない場合としては、外部磁界が無視できるほど小さかったり、被検体Wおよび前記電流測定装置1を磁気遮蔽手段(例えば、パーマロイ等の磁気遮蔽材料で形成されたもの)で覆ったりする場合などが考えられる。
まず、前述のように被検体Wと、線状部分2aと、センサー部4、5と、の位置関係が決められた状態で、第1センサー部4が検出する磁界の強さ(A/m)の理論値を求める。なお、第2センサー部5が検出する磁界の強さの理論値については、第1センサー部4と同様に求めることができるので省略する。
図3に示すように、被検体Wに流れる被測定電流が被検体Wの周囲に作り出す磁界による磁力線Mは、被検体Wの中心軸線O1を中心とした円形になる。したがって、被測定電流が作り出し第1センサー部4に作用する磁界は、第1センサー部4を通る磁力線Mの接線方向に向けて発生し、この磁界の強さは、ビオサバールの法則によって下記(1)式で表される。なお、以下式において、μは大気の透磁率(N/A)を意味し、Iは被測定電流の電流値を意味し、rはXY平面S2に沿った被検体Wの中心軸線O1と第1センサー部4の中心O3との距離を意味している。
Figure 2012026755
上記(1)式より、この磁界のX方向の成分の磁界の強さ、およびY方向の成分の磁界の強さはそれぞれ、下記(2)式、および(3)式で表される。なお、以下式において、θは、基準平面S1を基準とし被検体Wから見た第1センサー部4の仰角を意味している。
Figure 2012026755
Figure 2012026755
一方、図4に示すように、電流発生手段3によって、被測定電流と同一方向に向けて可変電流を導体2に流すと、この可変電流が線状部分2aの周囲に作り出す磁界による磁力線Mは、線状部分2aの中心軸線o2を中心とした円形になる。したがって、可変電流が作り出し第1センサー部4に作用する磁界は、第1センサー部4を通る磁力線Mの接線方向に向けて発生し、この磁界の強さは、ビオサバールの法則によって下記(4)式で表される。なお、以下式において、Iは可変電流の電流値を意味し、rはXY平面S2に沿った線状部分2aの中心軸線O2と第1センサー部4の中心O3との距離を意味している。また可変電流の電流値は、被測定電流と同一方向に向けて流れる場合を正とし、被測定電流と反対方向に向けて流れる場合を負とする。
Figure 2012026755
上記(4)式より、この磁界のX方向の成分の磁界の強さ、およびY方向の成分の磁界の強さはそれぞれ、下記(5)式、および(6)式で表される。なお、以下式において、φは、基準平面S1を基準とし線状部分2aから見た第1センサー部4の仰角を意味している。
Figure 2012026755
Figure 2012026755
以上より、被検体Wから発生する磁界および線状部分2aから発生する磁界が合成されてなり、第1センサー部4によって検出される合成磁界におけるX方向の成分の磁界の強さ、およびY方向の成分の磁界の強さはそれぞれ、下記(7)式、および(8)式で表される。
Figure 2012026755
Figure 2012026755
上記(7)式、および(8)式により、第1センサー部4が検出する磁界の強さの理論値が求められることとなる。
ここで、上記(7)式において磁界の強さが0になる場合を考えると、下記(9)式のようになり、この(9)式をIについて整理すると下記(10)式のようになる。なお、r×sinθ=r×sinφである。
Figure 2012026755
Figure 2012026755
また、上記(8)式において磁界の強さが0になる場合を考えると、下記(11)式のようになる。
Figure 2012026755
さらに本実施形態では、被検体Wの中心軸線O1と、線状部分2aの中心軸線O2と、第1センサー部4の中心O3と、を頂点としてXY平面S2上に形成される三角形が、二等辺三角形なので、r=r、θ=φとなり、上記(10)式、および(11)式は、下記(12)式、および(13)式に整理することができる。
Figure 2012026755
Figure 2012026755
上記(12)式より、前記合成磁界におけるX方向の成分の磁界の強さが0になったときの可変電流の電流値(I)に基づいて、被測定電流の電流値(I)を算出することができる。また上記(13)式より、前記合成磁界におけるY方向の成分の磁界の強さが0になったときの可変電流の電流値(I)に基づいて、被測定電流の電流値(I)を算出することができる。
(電流測定方法)
次に、前述した電流測定原理に基づいて、被測定電流の電流値を測定する電流測定方法について説明する。
まず、基準平面S1上に被検体Wを配置するとともに、センサー部4、5を基準平面S1から外れた位置に配置する配置工程を行う。
この工程では、図1に示すように、被検体Wを線状部分2aとX方向に並列しかつ該線状部分2aに平行になるように配置する。このとき、被検体Wを被検体配置部W1に配置するとともに、第3連結部材23によって線状部分2aと被検体配置部W1とを連結し、被検体Wを線状部分2aに対して位置決めする。
また、センサー部4、5を、線状部分2aが延在するZ方向において、線状部分2aと被検体Wとが平行に並列する区間の内側の領域T1に配置するとともに、第1センサー部4および第2センサー部5を、Z方向に直交する同一のXY平面S2上に配置する。さらに図2に示すように、センサー部4、5を、X方向において、線状部分2aと被検体Wとの間に位置する領域T2に配置するとともに、該センサー部4、5から被検体WまでのX方向に沿った距離L1と、該センサー部4、5から線状部分2aまでのX方向に沿った距離L2と、が同等になるように配置する。さらにまた、第1センサー部4と第2センサー部5とを、基準平面S1を挟んで互いに反対側に配置する。このとき、センサー部4、5と線状部分2aとを連結部材21、22によって連結し、センサー部4、5を線状部分2aに対して位置決めする。
その後、前記合成磁界におけるX方向の成分の磁界の強さ、およびY方向の成分の磁界の強さがそれぞれ0になったときの可変電流の電流値を計測する計測工程を行う。
なおこの計測工程は、第1センサー部4を用いる場合も、第2センサー部5を用いる場合も、同様に行うので、以下では第1センサー部4を用いる場合について説明し、第2センサー部5を用いる場合については、その説明を省略する。
この計測工程は、電流発生手段3によって可変電流をその電流値を変化させながら導体2に流し、第1センサー部4によってX方向の成分の磁界の強さを検出することで行う。また、電流発生手段3によって可変電流をその電流値を変化させながら導体2に流し、第1センサー部4によってY方向の成分の磁界の強さを検出することで行う。
ここで本電流測定方法では、測定に外部磁界が影響していないので、第1センサー部4によって検出された磁界の強さは、前記合成磁界の磁界の強さと一致する。
なお、可変電流の電流値と、第1センサー部4によって検出されたX方向の成分の磁界の強さと、の関係は、図5に示すグラフに示された2直線100、101のうちの実線100のようになる。このグラフにおいて、横軸は、可変電流の電流値(A)を示し、縦軸は、X方向の成分の磁界の強さ(A/m)を示している。またこのグラフにおいて、可変電流の電流値(横軸)は、被測定電流と同一方向に向けて流れる場合を正とし、磁界の強さ(縦軸)は、X方向に沿って被検体Wよりも線状部分2a側を正としている。
また、可変電流の電流値と、第1センサー部4によって検出されたY方向の成分の前記磁界の強さと、の関係は、図6に示すグラフに示された2直線110、111のうちの実線110のようになる。このグラフにおいて、横軸は、可変電流の電流値(A)を示し、縦軸は、Y方向の成分の磁界の強さ(A/m)を示している。またこのグラフにおいて、可変電流の電流値(横軸)は、被測定電流と同一方向に向けて流れる場合を正とし、磁界の強さ(縦軸)は、Z方向に沿って鉛直上側(図2の紙面上側)を正としている。
そして、計測工程で得られた可変電流の電流値に基づいて被測定電流の電流値を算出する算出工程を行う。すなわち、前記合成磁界におけるX方向の成分の磁界の強さが0になったときの可変電流の電流値(図5に示す例では、I=−10)と、上記(12)式と、を用いて、被測定電流の電流値(図5に示す例では、I=10)を算出する。また、前記合成磁界におけるY方向の成分の磁界の強さが0になったときの可変電流の電流値(図6に示す例では、I=10)と、上記(13)式と、を用いて、被測定電流の電流値(図6に示す例では、I=10)を算出する。
以上より、被測定電流の電流値を算出することができる。
なお、可変電流の電流値を変化させながら、第1センサー部4によってX方向の成分およびY方向の成分の磁界の強さを検出するのと併せて、第2センサー部5によってX方向の成分およびY方向の成分の磁界の強さを検出しても良い。
この場合、可変電流の電流値と、第2センサー部5によって検出されたX方向の成分の磁界の強さと、の関係は、図5に示すグラフに示された2直線100、101のうちの二点鎖線101のようになる。このグラフにおいて、2直線100、101は、いずれも上記(12)式を満たすため、磁界の強さが0のときに交差することとなる。なお第1センサー部4および第2センサー部5が、基準平面S1を挟んで互いに反対側に配置されていることから、これらの2直線100、101の傾きは、正負が互いに逆になっている。
さらに、可変電流の電流値と、第2センサー部5によって検出されたY方向の成分の磁界の強さと、の関係は、図6に示すグラフに示された2直線110、111のうちの二点鎖線111のようになる。このグラフにおいて、2直線110、111は、いずれも上記(13)式を満たすため、磁界の強さが0のときに交差することとなる。
以上説明したように、本実施形態に係る電流測定装置1および電流測定方法によれば、被検体Wに流れる被測定電流の電流値を非接触で安定して測定することが可能になり、被検体Wを加工せずにこの被検体Wに影響を及ぼすことなく、容易に被測定電流の電流値を測定することができる。
また前記従来技術のように、被検体Wを環状磁芯内に挿通させるといった必要が無いので、場所的な制約を受けずに測定することができる。さらに、このように被検体Wを環状磁芯内に挿通させる必要が無いので、環状磁芯にエアギャップができることによって測定精度が低下するといったおそれがなく、被測定電流の電流値を高精度に測定することができる。
また配置工程の際、センサー部4、5を基準平面S1から外れた位置に配置するので、センサー部4、5によって前記合成磁界における複数方向(X方向、Y方向)の成分の磁界の強さを検出することができる。すなわち、センサー部4、5が基準平面S1上に位置する場合、前記合成磁界の元となる被検体Wから発生する磁界、および線状部分2aから発生する磁界のいずれもが、基準平面S1に直交する同一方向(Y方向)にセンサー部4、5に作用することとなる。
これにより、被測定電流の電流値を確実に高精度に算出することができる。
また、配置工程の際、Z方向において、線状部分2aと被検体Wとが平行に並列する区間の内側の領域T1にセンサー部4、5を配置するので、前記合成磁界の磁界の強さを高精度に検出することができる。
さらに、配置工程の際、X方向において、線状部分2aと被検体Wとの間に位置する領域T2にセンサー部4、5を配置するので、前記合成磁界の磁界の強さをより高精度に検出することができる。
また、計測工程の際、センサー部4、5によって、センサー部4、5に作用する磁界のうち、X方向の成分の磁界の強さ、およびY方向の成分の磁界の強さを検出するので、算出工程の際、可変電流の電流値に基づいて被測定電流の電流値を容易に算出することができる。
さらに、配置工程の際、センサー部4、5を、該センサー部4、5から被検体WまでのX方向に沿った距離L1と、該センサー部4、5から線状部分2aまでのX方向に沿った距離L2と、が同等になるように配置するので、算出工程の際、可変電流の電流値に基づいて被測定電流の電流値をより容易に算出することができる。
なお本実施形態では、第2センサー部5を備えるものとしたが、第2センサー部5は無くても良い。
またセンサー部4、5は、このセンサー部4、5に作用する磁界のうち、X方向の成分の磁界の強さ、およびY方向の成分の磁界の強さを検出するものとしたが、X方向の成分の磁界の強さ、またはY方向の成分の磁界の強さを検出するものであっても良い。さらに、X方向およびY方向と異なる方向の成分の磁界の強さを検出するものであっても良い。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態を説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
(電流測定原理)
本実施形態では、前記電流測定装置1を用いて被検体Wに流れる被測定電流の電流値を測定する電流測定原理について、測定に外部磁界が影響する場合を説明する。
この場合、センサー部4、5によって検出される磁界の強さは、前記合成磁界の磁界の強さに、一定の外部磁界の磁界の強さが加えられたものとなる。すなわち、図7に示すように、可変電流の電流値と、センサー部4、5によって検出されたX方向の成分の磁界の強さと、の関係は、外部磁界の影響がない場合に比べて、一定の外部磁界の磁界の強さの分だけ全体的に縦軸方向にシフトすることとなる。
ここで前述のように、図7に示すグラフにおいて、2直線100、101は、合成磁界の磁界の強さが0のときに交差する。すなわち、第1センサー部4および第2センサー部5によって検出されたX方向の成分の磁界の強さが互いに同等になるときに、前記合成磁界におけるX方向の成分の磁界の強さが0になる。したがって、このときの可変電流の電流値を計測し、この電流値と上記(12)式とを用いることで、被測定電流の電流値を算出することができる。
また図8に示すように、可変電流の電流値と、センサー部4、5によって検出されるY方向の成分の磁界の強さと、の関係も同様であり、第1センサー部4および第2センサー部5によって検出されたY方向の成分の磁界の強さが互いに同等になるときの可変電流の電流値を計測し、この電流値と上記(13)式とを用いることで、被測定電流の電流値を算出することができる。
(電流測定方法)
次に、前述した電流測定原理に基づいて、被測定電流の電流値を測定する電流測定方法について説明する。
この場合、計測工程の際、第1センサー部4および第2センサー部5それぞれによって、X方向の成分の磁界の強さを検出し、これらのセンサー部4、5によって検出された磁界の強さが互いに同等になるときの可変電流の電流値を計測する。この電流値が、前記合成磁界におけるX方向の成分の磁界の強さが0になったときの可変電流の電流値となる。
またこのとき、第1センサー部4および第2センサー部5それぞれによって、Y方向の成分の磁界の強さを検出し、これらのセンサー部4、5によって検出された磁界の強さが互いに同等になるときの可変電流の電流値を計測する。この電流値が、前記合成磁界におけるY方向の成分の磁界の強さが0になったときの可変電流の電流値となる。
以上説明したように、本実施形態に係る電流測定装置1および電流測定方法によれば、計測工程の際、外部磁界の影響によらず、前記合成磁界におけるX方向の成分、およびY方向の成分の磁界の強さが0になったときの可変電流の電流を高精度に計測することができる。
またこのように、外部磁界をシールドせずに、外部磁界の影響を排除した測定を行うことができるので、電流測定装置1を安価で構造も単純なものとすることができる。
なお本実施形態では、センサー部4、5は、このセンサー部4、5に作用する磁界のうち、X方向の成分の磁界の強さ、およびY方向の成分の磁界の強さを検出するものとしたが、第1センサー部4と第2センサー部5とが、同一方向の成分の磁界の強さを検出すれば、これに限られるものではない。例えば、センサー部4、5は、X方向の成分の磁界の強さ、またはY方向の成分の磁界の強さを検出するものであっても良い。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態を説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
(電流測定装置)
本実施形態の電流測定装置10は、被検体Wに流れる交流電流である被測定電流の電流値を測定し、前記電流発生手段3は、交流電流である可変電流を導体2に流す。この電流測定装置10は、前記導体2と、前記電流発生手段3と、前記磁界検出手段6と、基準信号を発生する基準信号発生器11と、を備えている。
電流発生手段3は、所望の周波数と位相の可変電流を導体2に流す出力可変交流電源12と、導体2を流れる可変電流の位相を調整する移相器13と、可変電流の電流値を計測する交流電流計14と、を備えている。なお図示の例では、交流電流計14は、可変電流の位相を計測可能となっており、例えばロックインアンプ等で構成されている。
センサー部4、5は、交流電流によって発生させられる交流磁界の磁界の強さ(実効値、ピークツーピーク値など)を検出する。また処理部9は、センサー部4、5の磁気信号から被測定電流の周波数および位相を算出可能となっている。
基準信号発生器11は、電流発生手段3の交流電流計14、および磁気検出手段6の処理部9に接続されており、これらの交流電流計14および処理部9に位相のずれを測定するための基準信号を送出する。
(電流測定原理)
次に、前記電流測定装置10を用いて被検体Wに流れる被測定電流の電流値を測定する電流測定原理について、測定に外部磁界が影響しない場合を説明する。
交流電流は直流電流が交番して流れるものと考えられるので、被測定電流と可変電流とを同位相とした場合において、被測定電流の電流値と可変電流の電流値との関係は、前記合成磁界におけるX方向の成分の磁界の強さが0になる場合には上記(12)式を満たし、また前記合成磁界におけるY方向の成分の磁界の強さが0になる場合には上記(13)式を満たすこととなる。
ここで上記(12)式では、被測定電流の電流値と可変電流の電流値との正負が逆になっている。したがって、被測定電流と可変電流とを逆位相にした状態で、可変電流の電流値を変化させ、前記合成磁界におけるX方向の成分の磁界の強さが0になったときの可変電流の電流値を、被測定電流の電流値として求めることができる。
一方、上記(13)式では、被測定電流の電流値と可変電流の電流値との正負が同一になっている。したがって、被測定電流と可変電流とを同位相にした状態で、可変電流の電流値を変化させ、前記合成磁界におけるY方向の成分の磁界の強さが0になったときの可変電流の電流値を、被測定電流の電流値として求めることができる。
(電流測定方法)
次に、測定に外部磁界が影響しない場合の電流測定方法について説明する。
この場合、前記配置工程とともに、被測定電流と可変電流との位相を調整する位相調整工程を行う。
この位相調整工程では、まず、出力可変交流電流が導体2に流す可変電流の周波数を、被測定電流の周波数に調整する。なお、被測定電流の周波数が未知の場合には、被測定電流によって発生させられる磁界の周波数を、被測定電流の周波数としてセンサー部4、5によって検出し、処理部9から取得しても良い。このとき、センサー部4、5を被検体Wに近接させることで、被測定電流の周波数を高精度に測定しても良い。
また、被測定電流と可変電流との位相のずれを検出する。図示の例では、まず基準信号発生器11が、磁界検出手段6の処理部9および電流発生手段3の交流電流計14にそれぞれ基準信号を送出する。すると、処理部9は、センサー部4、5の磁気信号から求められる被測定電流の位相と基準信号の位相とのずれを算出し、また交流電流計14は、可変電流の位相と基準信号の位相とのずれを算出する。これらの位相のずれに基づいて被測定電流と可変電流との位相のずれを検出する。
なおセンサー部4、5に代えて、カレントトランスフォーマを用いて被測定電流の位相を測定しても良い。この場合、カレントトランスフォーマによって所望の周波数でフィルタリングすることで、被測定電流の位相を高精度に検出することができる。
そして、被測定電流と可変電流との位相を調整する。このとき、後の計測工程で、前記合成磁界におけるX方向の成分の磁界の強さが0になったときの可変電流の電流値を計測する場合には、被測定電流と可変電流とを逆位相とする。また後の計測工程で、前記合成磁界におけるY方向の成分の磁界の強さが0になったときの可変電流の電流値を計測する場合には、被測定電流と可変電流とを同位相とする。
なお、これらの被測定電流と可変電流との周波数の調整、被測定電流と可変電流との位相のずれの検出および調整は、図示しない制御部などで自動に行うものとしても良い。
以上説明したように、本実施形態に係る電流測定装置10および電流測定方法によれば、被検体Wに被測定電流として交流電流が流れている場合であっても、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお本実施形態では、電流測定原理および電流測定方法について、測定に外部磁界が影響しない場合について説明したが、測定に外部磁界が影響していても、本発明を採用することが可能である。この場合、前記第2実施形態で示した電流測定原理および電流測定方法と同様に、第1センサー部4および第2センサー部5によって検出されたX方向(Y方向)の成分の磁界の強さが互いに同等になるときに、前記合成磁界におけるX方向の成分の磁界の強さが0になっていることとなる。したがって、このときの可変電流の電流値を計測し、この電流値に基づいて、被測定電流の電流値を算出することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記各実施形態では、導体2および被検体Wの断面形状を円形としたが、これらに限らず、断面形状は楕円形、正方形、長方形等、いずれであってもよい。また、導体2の線状部分2aは直線状に形成されているとしたが、線状部分2aは湾曲状に形成されていてもよい。
また、前記電流測定装置1、10に、電流測定装置1、10の各構成要素を制御可能な図示しない制御部を設け、制御部によって前記電流測定方法を自動で行う構成としても良い。
また、前記各実施形態では、位置決め手段20は、センサー部4、5を、該センサー部4、5から被検体WまでのX方向に沿った距離L1と、該センサー部4、5から線状部分2aまでのX方向に沿った距離L2と、が同等になるように位置決めするものとしたが、これに限られない。
さらに、前記各実施形態では、位置決め手段20は、センサー部4、5を、X方向において、線状部分2aと被検体Wとの間に位置する領域T2に位置決めするものとしたが、これに限られない。
さらにまた、前記各実施形態では、位置決め手段20は、センサー部4、5を、Z方向において、線状部分2aと被検体Wとが平行に並列する区間の内側の領域T1に位置決めするものとしたが、これに限られない。
また位置決め手段20は、前記各実施形態に示されるものに限られない。
例えば、位置決め手段20は、第1連結部材21および第2連結部材22に代えて、導体2およびセンサー部4、5を一体に保持する保持具(ケース等)を備える構成であっても良い。
また例えば、被検体Wが構造物(壁内部または地中、コンクリート内部など)に埋設されている場合、被検体配置部W1および第1連結部材21に代えて、該構造物と線状部分2aとを連結することで、構造物を線状部分2aに対して位置決めする連結部材を備える構成であっても良い。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
1、10 電流測定装置
2 導体
2a 線状部分
3 電流発生手段
4 第1センサー部
5 第2センサー部
20 位置決め手段
W 被検体
S1 基準平面
S2 XY平面

Claims (12)

  1. 被検体に流れる被測定電流の電流値を測定する電流測定装置であって、
    基準平面上に配置された線状部分を有する導体と、
    電流量を変化可能とした可変電流を前記導体に流す電流発生手段と、
    磁界の強さを検出するセンサー部と、
    前記被検体を前記基準平面上に位置決めするとともに、前記センサー部を前記基準平面から外れた位置に位置決めする位置決め手段と、を備え、
    前記センサー部は、該センサー部に作用する磁界における少なくとも一方向の成分の磁界の強さを検出することを特徴とする電流測定装置。
  2. 請求項1記載の電流測定装置であって、
    前記線状部分は、直線状に形成され、
    前記位置決め手段は、前記被検体を、前記線状部分に直交し前記基準平面に平行なX方向に前記線状部分と並列しかつ該線状部分に平行になるように位置決めするとともに、前記センサー部を、前記線状部分が延在するZ方向において、前記線状部分と前記被検体とが平行に並列する区間の内側の領域に位置決めすることを特徴とする電流測定装置。
  3. 請求項2記載の電流測定装置であって、
    前記センサー部は、該センサー部に作用する磁界のうち、前記X方向の成分の磁界の強さ、または前記X方向および前記Z方向に直交するY方向の成分の磁界の強さを検出することを特徴とする電流測定装置。
  4. 請求項3記載の電流測定装置であって、
    前記位置決め手段は、前記センサー部を、前記X方向において、前記線状部分と前記被検体との間に位置する領域に位置決めすることを特徴とする電流測定装置。
  5. 請求項4記載の電流測定装置であって、
    前記位置決め手段は、前記センサー部を、該センサー部から前記被検体までの前記X方向に沿った距離と、該センサー部から前記線状部分までの前記X方向に沿った距離と、が同等になるように位置決めすることを特徴とする電流測定装置。
  6. 請求項5記載の電流測定装置であって、
    前記センサー部として、第1センサー部および第2センサー部を備え、
    前記位置決め手段は、前記第1センサー部および前記第2センサー部を、前記Z方向に直交する同一のXY平面上に位置決めすることを特徴とする電流測定装置。
  7. 被検体に流れる被測定電流の電流値を測定する電流測定装置を用いた電流測定方法であって、
    前記電流測定装置は、
    基準平面上に配置された線状部分を有する導体と、
    電流量を変化可能とした可変電流を前記導体に流す電流発生手段と、
    磁界の強さを検出するセンサー部と、を備え、
    該センサー部は、該センサー部に作用する磁界における少なくとも一方向の成分の磁界の強さを検出し、
    前記基準平面上に前記被検体を配置するとともに、前記センサー部を前記基準平面から外れた位置に配置する配置工程と、
    前記被検体から発生する磁界および前記線状部分から発生する磁界を合成してなり、前記センサー部に作用する合成磁界における前記少なくとも一方向の成分の磁界の強さが0になったときの前記可変電流の電流値を計測する計測工程と、
    前記計測工程で得られた前記可変電流の電流値に基づいて前記被測定電流の電流値を算出する算出工程と、を有し、
    前記計測工程は、前記電流発生手段によって前記可変電流をその電流値を変化させながら前記導体に流し、前記センサー部によって前記少なくとも一方向の磁界の強さを検出することで行うことを特徴とする電流測定方法。
  8. 請求項7記載の電流測定方法であって、
    前記線状部分は、直線状に形成され、
    前記配置工程の際、前記被検体を、前記線状部分に直交し前記基準平面に平行なX方向に該線状部分と並列しかつ該線状部分に平行になるように配置するとともに、前記センサー部を、前記線状部分が延在するZ方向において、前記線状部分と前記被検体とが平行に並列する区間の内側の領域に配置することを特徴とする電流測定方法。
  9. 請求項8記載の電流測定方法であって、
    前記計測工程の際、前記センサー部によって、該センサー部に作用する磁界のうち、前記X方向の成分の磁界の強さ、または前記X方向および前記Z方向に直交するY方向の成分の磁界の強さを検出することを特徴とする電流測定方法。
  10. 請求項9記載の電流測定方法であって、
    前記配置工程の際、前記X方向において、前記線状部分と前記被検体との間に位置する領域に前記センサー部を配置することを特徴とする電流測定方法。
  11. 請求項10記載の電流測定方法であって、
    前記配置工程の際、前記センサー部を、該センサー部から前記被検体までの前記X方向に沿った距離と、該センサー部から前記線状部分までの前記X方向に沿った距離と、が同等になるように配置することを特徴とする電流測定方法。
  12. 請求項11記載の電流測定方法であって、
    前記センサー部として、第1センサー部および第2センサー部を備え、
    前記配置工程の際、これらのセンサー部を、前記Z方向に直交する同一のXY平面上に配置し、
    前記計測工程の際、前記第1センサー部および前記第2センサー部それぞれによって、前記X方向の成分または前記Y方向の成分の磁界の強さを検出し、これらのセンサー部によって検出された磁界の強さが互いに同等になるときの前記可変電流の電流値を計測することを特徴とする電流測定方法。
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