JP2012025340A - 車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】走行用電動機による回生を伴う自動変速機のコーストダウンシフトが実行される際、走行用電動機が負トルクダウンを実行不可と判定されたときであっても、その負トルクダウンを適切に実行して変速ショックを抑制する。
【解決手段】自動変速機18のダウンシフトの際に蓄電装置26の出力制限により第2電動機MG2が負トルクダウンを実行不可と判定された場合には、負トルクダウンの実行により不足する蓄電装置26の電力量が第2電動機MG2による目標回生量WMG2 として算出され、ダウンシフトの開始前に第2電動機MG2による回生量WMG2が目標回生量WMG2 分増加させられ、ダウンシフトの開始後に負トルクダウンが実行されるので、ダウンシフトの進行に合わせて第2電動機MG2による回生トルクTMG2を減少させることができ、ダウンシフト時に出力軸トルクTOUTの落ち込み(減速トルクの増大)を抑制することができる。
【選択図】図16

Description

本発明は、エンジンに動力伝達可能に連結されて差動状態が電気的に制御される差動機構と、差動機構の出力側に連結される自動変速機と、自動変速機の入力側に動力伝達可能に連結される電動機とを備える車両用動力伝達装置の制御装置に係り、特に、自動変速機のコーストダウンシフトを実行する際の技術に関するものである。
エンジンに動力伝達可能に連結された差動機構とその差動機構に動力伝達可能に連結された差動用電動機とを有してその差動用電動機の運転状態が制御されることによりその差動機構の差動状態が制御される電気式変速機構と、その電気式変速機構の出力軸に連結される自動変速機と、その自動変速機の入力側に動力伝達可能に連結される走行用電動機と、その差動用電動機及びその走行用電動機との各々の間で電力の授受を行う蓄電装置とを備える車両用動力伝達装置が良く知られている。例えば、特許文献1−5に記載された車両がそれである。このような車両では、例えば蓄電装置の入出力制限が為される場合がある。この場合、例えば差動用電動機や走行用電動機は、蓄電装置が充電側となる回生が制限されたり、蓄電装置が放電側となる駆動が制限される。そうすると、例えば自動変速機の変速時に差動用電動機や走行用電動機を適切の制御できず、変速ショックが増大する可能性がある。これに対して、例えば特許文献1には、蓄電装置の充電制御中であっても自動変速機の変速ショックを抑制する為に、蓄電装置の充電制御中における自動変速機のダウンシフト時には、差動用電動機の発電量の増加を抑制すると共に、走行用電動機のトルクが小さくなるように制限することが提案されている。
特開2008−168729号公報 特開2004−204957号公報 特開2006−327435号公報 特開2008−168749号公報 特開2008−207690号公報
ところで、走行用電動機による回生を伴うコースト走行時(惰性走行時、減速走行時)に自動変速機のダウンシフトを実行する場合、自動変速機の出力側に現れるパワー(車速一定と見ればトルクも同意)を変速前後で略一定とする所謂等パワー変速を実行して変速ショックを抑制する為に、ダウンシフト時に走行用電動機による回生トルクを減少させる負トルクダウンを実行することが考えられる。このコーストダウンシフトの際、エンジンブレーキ作用を効かそうとすると、差動用電動機によりエンジン回転速度を所定回転以上に保つ必要があり、差動用電動機は駆動トルク(正トルク)を発生する為に蓄電装置から電力を持ち出す駆動側となる。このとき、蓄電装置の出力制限が為されていると、差動用電動機で消費する電力分を走行用電動機による回生電力で賄う必要があり、走行用電動機がコーストダウンシフト時の負トルクダウンをダウンシフトの進行に合わせて適切に実行できない可能性がある。そうすると、走行用電動機が負トルクダウンを実行できないことで、ダウンシフト時に自動変速機の出力トルクの落ち込みが生じてすなわち走行用電動機が回生トルクを低減することができないことにより減速トルクが増大して、変速ショックが増大する可能性がある。尚、このような課題は未公知であり、走行用電動機による回生を伴う減速走行中に自動変速機のダウンシフトが実行される際、蓄電装置の出力制限が為されている場合にも走行用電動機が適切に負トルクダウンを実行して変速ショックを抑制することについて未だ提案されていない。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、走行用電動機による回生を伴う減速走行中に自動変速機のダウンシフトが実行される際、走行用電動機が負トルクダウンを実行不可と判定されたときであっても、その負トルクダウンを適切に実行して変速ショックを抑制することができる車両用動力伝達装置の制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) エンジンに動力伝達可能に連結された差動機構とその差動機構に動力伝達可能に連結された差動用電動機とを有してその差動用電動機の運転状態が制御されることによりその差動機構の差動状態が制御される電気式変速機構と、その電気式変速機構の出力軸に連結される自動変速機と、その自動変速機の入力側に動力伝達可能に連結される走行用電動機と、その差動用電動機及びその走行用電動機との各々の間で電力の授受を行う蓄電装置とを備える車両用動力伝達装置の制御装置であって、(b) 前記走行用電動機による回生を伴う減速走行中に前記自動変速機のダウンシフトが実行される際には、前記自動変速機の出力側のトルク変化が可及的に抑制されるように、そのダウンシフトの進行に伴ってその走行用電動機による回生トルクを減少させる負トルクダウンを実行するものであり、(c) 前記蓄電装置の出力制限が為されていることにより前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断した場合には、その負トルクダウンを実行することで不足するその蓄電装置の電力量を前記走行用電動機による目標回生量として算出し、前記ダウンシフトの開始前にその走行用電動機による回生量をその目標回生量分増加させ、そのダウンシフトの開始後にその負トルクダウンを実行することにある。
このようにすれば、前記蓄電装置の出力制限が為されていることにより前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断された場合には、その負トルクダウンが実行されることで不足させられるその蓄電装置の電力量が前記走行用電動機による目標回生量として算出され、前記ダウンシフトの開始前にその走行用電動機による回生量がその目標回生量分増加させられ、そのダウンシフトの開始後にその負トルクダウンが実行されるので、例えば前記走行用電動機による回生を伴う減速走行中に前記自動変速機のダウンシフトが実行される際に走行用電動機が負トルクダウンを実行不可と判定された場合には、負トルクダウンの実行により走行用電動機の回生量が減少することによる蓄電装置の電力量の不足分が減速走行中の走行用電動機による回生量に上乗せされて蓄電装置に事前に充電され、走行用電動機による負トルクダウンの実行不可判定時であっても、ダウンシフトの進行に合わせて走行用電動機による回生トルクを減少させることができ、ダウンシフト時に出力トルクの落ち込み(減速トルクの増大)を抑制することができる。このように、走行用電動機による回生を伴う減速走行中に自動変速機のダウンシフトが実行される際、走行用電動機が負トルクダウンを実行不可と判定されたときであっても、その負トルクダウンを適切に実行して変速ショックを抑制することができる。
ここで、好適には、前記差動用電動機を用いてエンジン回転速度を引き上げることで、前記減速走行中のエンジンブレーキ効果を高める為の所定の制御様式を備え、前記蓄電装置の出力制限が為されていること、及び前記所定の制御様式とされていることにより、前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断することにある。このようにすれば、例えば前記所定の制御様式では、前記減速走行中のエンジンブレーキ効果を高めることを実行しない通常の制御様式に比べて、エンジン回転速度をより引き上げる為に差動用電動機における消費電力量が大きくなることに対して、前記負トルクダウンの実行が不可能であることが適切に判断されると共に、その負トルクダウンを実行不可と判定されたときであっても、その負トルクダウンを適切に実行して変速ショックを抑制することができる。このように、前記所定の制御様式とされているときには、前記負トルクダウンの実行不可時に実行される前記本発明の必要性がより高くなる。
また、好適には、前記目標回生量分が増加させられるまで、前記減速走行中の前記走行用電動機による回生トルクを、前記自動変速機の出力側のトルク変化が可及的に抑制されるように所定の回生トルク分だけ増加することにある。このようにすれば、例えば負トルクダウンの実行により低減される回生量すなわち不足する蓄電装置の電力量に対応する前記目標回生量分は、前記走行用電動機による回生を伴う減速走行中に所定の回生トルク分を必要な時間だけ増加すれば事前に増加させられるので、その所定の回生トルク分増加している期間中の前記自動変速機の出力側のトルク変化が可及的に抑制され、ダウンシフト開始前に事前に目標回生量分を増加させてもドライバビリティの悪化は抑制される。
また、好適には、前記自動変速機は、係合装置の係合と解放とにより変速段が切り替えられる機械式変速機構であり、前記負トルクダウンは、前記ダウンシフトの過渡過程におけるトルク相中に実行されるものであり、前記走行用電動機による回生量を前記目標回生量分増加させることは、前記ダウンシフト判断から前記トルク相が開始されるまでの間に実行されることにある。このようにすれば、例えば前記自動変速機のダウンシフトの過渡過程におけるトルク相中に実行される前記負トルクダウンによって前記自動変速機の出力側のトルク変化が可及的に抑制されると共に、走行用電動機が負トルクダウンを実行不可と判定されたときであっても、前記ダウンシフトの開始後にその負トルクダウンを適切に実行して変速ショックを抑制することができる。
また、好適には、前記自動変速機は、前記電気式変速機構の出力軸に動力伝達可能に連結され、前記走行用電動機は、前記電気式変速機構の出力軸に前記自動変速機を介して動力伝達可能に連結されることにある。このようにすれば、例えば前記電気式変速機構と、その電気式変速機構の出力軸に動力伝達可能に連結される自動変速機と、その電気式変速機構の出力軸にその自動変速機を介して動力伝達可能に連結される走行用電動機と、前記蓄電装置とを備える車両用動力伝達装置の制御装置において、走行用電動機による回生を伴う減速走行中に自動変速機のダウンシフトが実行される際、走行用電動機が負トルクダウンを実行不可と判定されたときであっても、その負トルクダウンを適切に実行して変速ショックを抑制することができる。
本発明が適用されるハイブリッド車両を説明する図である。 車両用動力伝達装置に備えられた動力分配機構における各回転要素の回転速度の相対的関係を表す共線図である。 車両用動力伝達装置に備えられた自動変速機を構成しているラビニヨ型遊星歯車機構についての各回転要素の相互関係を表す共線図である。 第1ブレーキ及び第2ブレーキの係合解放によって自動変速機の変速を制御する為の油圧制御回路である。 非通電時において入力ポートと出力ポートとの間が開弁(連通)される常開型の第1リニヤソレノイド弁の弁特性を示す図である。 非通電時において入力ポートと出力ポートとの間が閉弁(遮断)される常閉型の第2リニヤソレノイド弁の弁特性を示す図である。 油圧制御回路の作動を説明する図表である。 シフトレバーを備えた複数種類のシフトポジションを選択するために操作されるシフト操作装置の一例である。 シフトポジションによって異なる減速走行中のエンジンブレーキ効果を説明する為の一例を示す図である。 電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 エンジンの燃費マップであって、破線は運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に設定されたエンジンの最適燃費率曲線である。 自動変速機の変速制御において用いられる変速線図である。 蓄電装置温度と入出力可能電力との予め実験的に求められて定められた入出力可能電力マップの一例を示す図である。 充電容量と入出力可能電力の補正係数との予め実験的に求められて定められた入出力可能電力用補正係数マップの一例を示す図である。 目標回生量の算出を説明する為の一例を示す図である。 電子制御装置の制御作動の要部すなわち第2電動機による回生を伴う減速走行中に自動変速機のダウンシフトが実行される際第2電動機が負トルクダウンを実行不可と判定されたときであってもその負トルクダウンを適切に実行して変速ショックを抑制する為の制御作動を説明するフローチャートである。 図16のフローチャートに示す制御作動を実行した場合の一例を示すタイムチャートである。
本発明において、好適には、前記自動変速機は、例えば1組或いは複数組の遊星歯車装置の回転部材が係合装置によって選択的に連結されることにより複数のギヤ段(変速段)が択一的に達成される例えば前進2段、前進3段、更にはそれ以上の変速段を有する等の種々の遊星歯車式多段変速機により構成される。この係合装置としては、油圧アクチュエータによって係合させられる多板式、単板式のクラッチやブレーキ、或いはベルト式のブレーキ等の油圧式摩擦係合装置が広く用いられる。この油圧式摩擦係合装置を係合作動させる為の作動油を供給するオイルポンプは、例えば走行用駆動力源であるエンジンにより回転駆動されて作動油を吐出するものでも良いが、エンジンとは別に配設された専用の電動モータなどで回転駆動されるものでも良い。
また、好適には、上記油圧式摩擦係合装置を含む油圧制御回路は、例えば電磁弁装置としてのリニアソレノイドバルブの出力油圧を直接的に油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)にそれぞれ供給することが応答性の点で望ましいが、そのリニアソレノイドバルブの出力油圧をパイロット油圧として用いることによりシフトコントロールバルブ(変速制御弁)を制御して、そのコントロールバルブから油圧アクチュエータに作動油を供給するように構成することもできる。また、上記リニアソレノイドバルブは、例えば複数の油圧式摩擦係合装置の各々に対応して1つずつ設けられるが、同時に係合したり係合、解放制御したりすることがない複数の油圧式摩擦係合装置が存在する場合には、それ等に共通のリニアソレノイドバルブを設けることもできるなど、種々の態様が可能である。また、必ずしも全ての油圧式摩擦係合装置の油圧制御をリニアソレノイドバルブで行う必要はなく、一部乃至全ての油圧制御をON−OFFソレノイドバルブのデューティ制御など、リニアソレノイドバルブ以外の調圧手段で行っても良い。尚、この明細書で「油圧を供給する」という場合は、「油圧を作用させ」或いは「その油圧に制御された作動油を供給する」ことを意味する。
また、好適には、前記差動機構は、前記エンジンに連結された第1回転要素(回転部材)と前記差動用電動機に連結された第2回転要素(回転部材)と前記出力軸に連結された第3回転要素(回転部材)との3つの回転要素(回転部材)を有する装置である。このようにすれば、前記差動機構が簡単に構成される。
また、好適には、前記差動機構はシングルピニオン型の遊星歯車装置であり、前記第1回転要素はその遊星歯車装置のキャリヤであり、前記第2回転要素はその遊星歯車装置のサンギヤであり、前記第3回転要素はその遊星歯車装置のリングギヤである。このようにすれば、前記差動機構の軸心方向寸法が小さくなる。また、差動機構が1つのシングルピニオン型遊星歯車装置によって簡単に構成される。
また、好適には、前記車両用動力伝達装置の車両に対する搭載姿勢は、駆動装置の軸線が車両の幅方向となるFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両などの横置き型でも、駆動装置の軸線が車両の前後方向となるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両などの縦置き型でも良い。
また、好適には、前記エンジンと前記差動機構とは作動的に連結されればよく、例えばエンジンと差動機構との間には、脈動吸収ダンパー(振動減衰装置)、直結クラッチ、ダンパー付直結クラッチ、或いは流体伝動装置などが介在させられるものであってもよいが、エンジンと差動機構とが常時連結されたものであってもよい。また、流体伝動装置としては、ロックアップクラッチ付トルクコンバータやフルードカップリングなどが用いられる。
また、好適には、前記エンジンとしては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関が広く用いられる。さらに、補助的な走行用の駆動力源として、電動機等がこのエンジンに加えて用いられても良い。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用されるハイブリッド車両(以下、車両)10を説明する図である。この図1に示す車両10は、主動力源としてのエンジン12から出力される動力を第1電動機MG1と伝達部材としての出力軸14とに分配する動力分配機構16と、出力軸14に作動的に(動力伝達可能に)連結された自動変速機18と、自動変速機18の入力側に作動的に(動力伝達可能に)連結されると共にその自動変速機18を介して出力軸14に作動的に(動力伝達可能に)連結された走行用電動機としての第2電動機MG2とを有する車両用動力伝達装置(以下、動力伝達装置)11を備えて構成されている。この動力伝達装置11は、FR(フロントエンジン・リアドライブ)車両等に好適に用いられるものであって、エンジン12、第2電動機MG2等から出力されるトルクが出力軸14に伝達され、その出力軸14から差動歯車装置20を介して左右一対の後輪(駆動輪)22にトルクが伝達されるようになっている。尚、動力伝達装置11は、その中心線に対して対称的に構成されているため、図1ではそれらの半分を省略して示している。
また、車両10には、例えば動力伝達装置11の各種制御を実行する制御装置を含む電子制御装置80が備えられている。この電子制御装置80は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置80は、エンジン12の出力制御、第1電動機MG1及び第2電動機MG2の各出力制御及び回生制御、自動変速機18の変速制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用電子制御装置(E−ECU)、モータジェネレータ制御用電子制御装置(MG−ECU)、変速制御用電子制御装置(T−ECU)等に分けて構成される。
動力伝達装置11では、第2電動機MG2から出力軸14へ伝達されるトルクが自動変速機18において設定される変速比γs(=MG2の回転速度NMG2/出力軸14の回転速度NOUT)に応じて増減されるようになっている。この自動変速機18は、変速比γsが「1」より大きい複数段を成立させることができるように構成されており、第2電動機MG2から出力トルクTMG2を出力する力行時にはそのMG2トルクTMG2を増大させて出力軸14へ伝達することができるので、第2電動機MG2を一層低容量若しくは小型に構成することができる。これにより、例えば高車速に伴って出力軸14の回転速度(出力軸回転速度)NOUTが増大した場合には、第2電動機MG2の運転効率を良好な状態に維持する為に、自動変速機18の変速比γsを小さくする(ハイギヤ比側にする)ことで第2電動機MG2の回転速度(第2電動機回転速度)NMG2が低下させられる。また、出力軸回転速度NOUTが低下した場合には、自動変速機18の変速比γsを大きくする(ローギヤ比側にする)ことで第2電動機回転速度NMG2が適宜増大させられる。
エンジン12は、車両10の主動力源であり、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等、所定の燃料を燃焼させて動力を出力させる公知の内燃機関である。このエンジン12は、例えば前記エンジン制御用電子制御装置(E−ECU)によってスロットル開度或いは吸入空気量、燃料供給量、点火時期等の運転状態が電気的に制御されることにより、エンジン12の出力トルク(エンジントルク)Tが制御されるようになっている。
第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、駆動トルクを発生させる電動機(モータ)としての機能及び発電機(ジェネレータ)としての機能のうち少なくとも一方を備えた例えば同期電動機であって、好適には、発動機又は発電機として選択的に作動させられるモータジェネレータである。これら第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、例えばインバータ24を介して蓄電装置26に接続されており、前記モータジェネレータ制御用電子制御装置(MG−ECU)によってそのインバータ24が制御されることにより、第1電動機MG1及び第2電動機MG2の各々の出力トルク或いは回生トルク(MG1トルクTMG1、MG2トルクTMG2)が制御されるようになっている。
動力分配機構16は、サンギヤS0と、そのサンギヤS0に対して同心円上に配置されたリングギヤR0と、それらサンギヤS0及びリングギヤR0に噛み合うピニオンギヤP0を自転且つ公転自在に支持するキャリアCA0とを三つの回転要素(回転部材)として備える公知のシングルピニオン型の遊星歯車装置から構成されており、差動作用を生じる差動機構として機能する。この遊星歯車装置は、エンジン12及び自動変速機18と同心に設けられている。また、動力伝達装置11において、エンジン12のクランク軸28は、ダンパ30を介して動力分配機構16のキャリアCA0に連結されている。これに対してサンギヤS0には第1電動機MG1が連結され、リングギヤR0には出力軸14が連結されている。動力分配機構16において、キャリアCA0は入力要素として機能し、サンギヤS0は反力要素として機能し、リングギヤR0は出力要素として機能している。
動力分配機構16における各回転要素(回転部材)の回転速度の相対的関係は、図2の共線図により示される。この共線図において、縦軸S、縦軸CA、及び縦軸Rは、サンギヤS0の回転速度、キャリアCA0の回転速度、及びリングギヤR0の回転速度をそれぞれ表す軸であり、縦軸S、縦軸CA、及び縦軸Rの相互の間隔は、縦軸Sと縦軸CAとの間隔を1としたとき、縦軸CAと縦軸Rとの間隔がρ(サンギヤS0の歯数Zs/リングギヤR0の歯数Zr)となるように設定されたものである。斯かる動力分配機構16において、キャリアCA0に入力されるエンジントルクTに対して、第1電動機MG1による負トルクである反力トルクが正回転にてサンギヤS0に入力されると、出力要素となっているリングギヤR0には正回転にて正トルクとなる出力トルクTOUTが現れる。このとき、正回転にて負トルクを発生する第1電動機MG1は発電機として機能する。すなわち、エンジン12に動力伝達可能に連結された差動機構としての動力分配機構16と動力分配機構16に動力伝達可能に連結された差動用電動機としての第1電動機MG1とを有して、第1電動機MG1の運転状態が制御されることにより動力分配機構16の差動状態が制御される電気式変速機構(電気式差動機構)としての電気式無段変速機17(図1参照)が構成される。つまり、電気式無段変速機17は、その変速比γ0(=エンジン12の回転速度N/出力軸回転速度NOUT)を連続的に変化させて電気的な無段変速機として作動させられる。そして、エンジン12の動力は、この電気式無段変速機17を介して出力軸14に伝達される。
動力分配機構16の差動状態が制御されることにより、リングギヤR0の回転速度(出力軸回転速度)NOUTが一定であるとき、第1電動機MG1の回転速度(第1電動機回転速度)NMG1を上昇或いは下降させることで、エンジン12の回転速度(エンジン回転速度)Nを連続的に(無段階に)変化させることができる。図2の破線は第1電動機回転速度NMG1を実線に示す値から下げたときにエンジン回転速度Nが低下する状態を示している。また、第1電動機MG1を制御することで動力分配機構16が無段変速機として機能させられることにより、例えば燃費が最もよいエンジン12の動作点(例えばエンジン回転速度NとエンジントルクTとで定められるエンジン12の運転点)に沿ってエンジン12を作動させることができる。この種のハイブリッド形式は、機械分配式或いはスプリットタイプと称される。
図1に戻って、自動変速機18は、例えば一組のラビニヨ型遊星歯車機構によって構成されている。すなわち、第1サンギヤS1と第2サンギヤS2とが設けられており、その第1サンギヤS1にショートピニオンP1が噛合すると共に、そのショートピニオンP1がそれより軸長の長いロングピニオンP2に噛合し、そのロングピニオンP2が各サンギヤS1,S2と同心円上に配置されたリングギヤR1に噛合している。これら各ピニオンP1,P2は、共通のキャリアCA1によって自転且つ公転自在にそれぞれ保持されている。また、第2サンギヤS2がロングピニオンP2に噛合している。また、第2サンギヤS2には第2電動機MG2が連結され、キャリアCA1が出力軸14に連結されている。第1サンギヤS1とリングギヤR1とは、各ピニオンP1,P2と共にタプルピニオン型遊星歯車装置に相当する機構を構成し、また第2サンギヤS2とリングギヤR1とは、ロングピニオンP2と共にシングルピニオン型遊星歯車装置に相当する機構を構成している。
また、自動変速機18には、第1サンギヤS1を選択的に固定する為にその第1サンギヤS1と非回転部材であるハウジング32との間に設けられた第1ブレーキB1と、リングギヤR1を選択的に固定する為にそのリングギヤR1とハウジング32との間に設けられた第2ブレーキB2とが設けられている。これらのブレーキB1,B2は摩擦力によって制動力を生じる所謂摩擦係合装置であって、好適には互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型の油圧式摩擦係合装置などにより構成され、それが介挿されている両側の部材を選択的に連結する為のものである。そして、これらのブレーキB1,B2を作動させる為の作動油の油圧(係合圧)に応じてブレーキB1,B2のトルク容量が連続的に変化するように構成されている。
以上のように構成された自動変速機18では、第2サンギヤS2が入力回転要素(回転部材)として機能すると共にキャリアCA1が出力回転要素(回転部材)として機能し、第1ブレーキB1が係合させられると「1」より大きい変速比γshの高速段Hが達成される。また、第1ブレーキB1に替えて第2ブレーキB2が係合させられるとその高速段Hの変速比γshより大きい変速比γslの低速段Lが設定されるように構成されている。このように、自動変速機18は、油圧式摩擦係合装置への作動油の給排を制御することにより変速段が成立させられる、すなわち油圧式摩擦係合装置の係合と解放とにより変速段が切り替えられる機械式変速機構である。
上記変速段H及びLの間での変速は、車速や要求駆動力関連値(目標駆動力関連値)等の走行状態に基づいて実行される。より具体的には、前記変速制御用電子制御装置(T−ECU)によって、変速段を選択する為の変速線を有する予め求められて記憶された関係(変速線図、変速マップ、図12参照)から実際の走行状態に基づいて何れかの変速段を成立させられるようになっている。
また、前記要求駆動力関連値における駆動力関連値とは、車両の駆動力に1対1に対応するものであって、駆動輪22での駆動トルク或いは駆動力のみならず、例えば出力軸14の出力トルク(出力軸トルク)TOUT、エンジントルクT、車両加速度であってもよい。また、要求駆動力関連値は、例えばアクセル開度(或いはスロットル弁開度、吸入空気量、空燃比、燃料噴射量)に基づいて決定される駆動力関連値の要求値(目標値)であるが、アクセル開度等がそのまま用いられても良い。
図3は、自動変速機18を構成しているラビニヨ型遊星歯車機構についての各回転要素(回転部材)の相互関係を表す為に4本の縦軸S1、縦軸R1、縦軸CA1、及び縦軸S2を有する共線図を示している。これら縦軸S1、縦軸R1、縦軸CA1、及び縦軸S2は、第1サンギヤS1の回転速度、リングギヤR1の回転速度、キャリアCA1の回転速度、及び第2サンギヤS2の回転速度をそれぞれ示すものである。自動変速機18では、第2ブレーキB2によってリングギヤR1が固定されると、低速段Lが設定され、第2電動機MG2の出力したアシストトルクがそのときの変速比γslに応じて増幅されて出力軸14に付加される。これに替えて、第1ブレーキB1によって第1サンギヤS1が固定されると、低速段Lの変速比γslよりも小さい変速比γshを有する高速段Hが設定される。この高速段Hにおける変速比も「1」より大きいので、第2電動機MG2の出力したアシストトルクがその変速比γshに応じて増大させられて出力軸14に付加される。尚、各変速段L、Hが定常的に設定されている状態では、出力軸14に付加されるトルクは、第2電動機MG2の出力トルクを各変速比に応じて増大させたトルクとなるが、自動変速機18の変速過渡状態では各ブレーキB1、B2でのトルク容量や回転数変化に伴う慣性トルク等の影響を受けたトルクとなる。また、出力軸14に付加されるトルクは、第2電動機MG2の駆動状態では正トルク(駆動トルク)となり、被駆動状態では負トルク(ブレーキトルク)となる。すなわち、第2電動機MG2の被駆動状態においては、回生作動により各駆動輪22に回生制動力が発生させられる。
図4は、上記各ブレーキB1,B2の係合と解放とによって自動変速機18の変速を制御する為の油圧制御回路50を示している。この油圧制御回路50には、エンジン12のクランク軸28に作動的に連結されることによりそのエンジン12により回転駆動される機械式油圧ポンプ52と、電動機54aとそれにより回転駆動されるポンプ54bを備えた電動式油圧ポンプ54とを油圧源として備えており、それら機械式油圧ポンプ52及び電動式油圧ポンプ54は、図示しないオイルパンに還流した作動油をストレーナ56を介して吸入し、或いは還流油路58を介して直接還流した作動油を吸入してライン圧油路60へ圧送する。
ライン圧調圧弁62は、リリーフ形式の調圧弁であって、電磁開閉弁64を介して受け入れるモジュール圧油路66内のモジュール圧PMに基づいてライン圧PLの設定圧が高く変更されることにより、低圧及び高圧の2種類の何れかの一定のライン圧PLを出力する。
モジュール圧調圧弁68は、上記ライン圧PLを元圧とし、そのライン圧PLの変動に拘わらず、低圧側のライン圧PLよりも低く設定された一定のモジュール圧PMをモジュール圧油路66に出力する。第1ブレーキB1を制御する為の第1リニヤソレノイド弁SLB1及び第2ブレーキB2を制御する為の第2リニヤソレノイド弁SLB2は、上記モジュール圧PMを元圧として電子制御装置80からの指令値である駆動電流ISOL1及びISOL2に応じた制御圧PC1及びPC2を出力する。
第1リニヤソレノイド弁SLB1は、非通電時において入力ポートと出力ポートとの間が開弁(連通)される常開型の弁特性を備え、図5に示すように、駆動電流ISOL1の増加に伴って出力される制御圧PC1が低下させられる。図5に示すように、第1リニヤソレノイド弁SLB1の弁特性には、駆動電流ISOL1が所定値Iaを超えるまで出力される制御圧PC1が低下しない不感帯Aが設けられている。第2リニヤソレノイド弁SLB2は、非通電時において入力ポートと出力ポートとの間が閉弁(遮断)される常閉型の弁特性を備え、図6に示すように、駆動電流ISOL2の増加に伴って出力される制御圧PC2が増加させられる。図6に示すように、第2リニヤソレノイド弁SLB2の弁特性には、駆動電流ISOL2が所定値Ibを超えるまで出力される制御圧PC2が増加しない不感帯Bが設けられている。
B1コントロール弁70は、ライン圧油路60内のライン圧PLを元圧として、第1リニヤソレノイド弁SLB1からの制御圧PC1に応じた大きさのB1係合油圧PB1を出力し、インターロック弁として機能するB1アプライコントロール弁72を介してそのB1係合油圧PB1をブレーキB1に供給する。また、B2コントロール弁74は、ライン圧油路60内のライン圧PLを元圧として、第2リニヤソレノイド弁SLB2からの制御圧PC2に応じた大きさのB2係合油圧PB2を出力し、インターロック弁として機能するB2アプライコントロール弁76を介してそのB2係合油圧PB2をブレーキB2に供給する。
B1アプライコントロール弁72は、第2ブレーキB2を係合させる為のB2係合油圧PB2が供給されるまでは開弁状態(図4の中心線の右側に示す位置)とされるが、そのB2係合油圧PB2が供給されると閉弁状態(図4の中心線の左側に示す位置)に切換られて、第1ブレーキB1の係合が阻止される。また、B2アプライコントロール弁76も、B1アプライコントロール弁72と同様に、第1ブレーキB1を係合させる為のB1係合油圧PB1が供給されるまでは開弁状態(図4の中心線の右側に示す位置)とされるが、そのB1係合油圧PB1が供給されると閉弁状態(図4の中心線の左側に示す位置)に切換られて、第2ブレーキB2の係合が阻止される。
図7は、以上のように構成された油圧制御回路50の作動を説明する図表である。図7では、○印が励磁状態或いは係合状態を示し、×印が非励磁状態或いは解放状態を示している。すなわち、第1リニヤソレノイド弁SLB1及び第2リニヤソレノイド弁SLB2は共に励磁状態とされることによって、第1ブレーキB1が解放状態且つ第2ブレーキB2が係合状態とされ、自動変速機18の低速段Lが達成される。一方、第1リニヤソレノイド弁SLB1及び第2リニヤソレノイド弁SLB2は共に非励磁状態とされることによって、第1ブレーキB1が係合状態且つ第2ブレーキB2が解放状態とされ、自動変速機18の高速段Hが達成される。
図1に戻り、電子制御装置80には、例えばアクセルペダル34の操作量(アクセル操作量、アクセル開度)を検出する為のアクセル開度センサAS、ブレーキペダル36の操作を検出する為のブレーキセンサBS、シフトレバー38の操作位置(シフトポジション)PSHを検出する為の操作位置センサSS、作動油の温度(作動油温)THOILを検出する為の油温センサTS、車速に対応する出力軸回転速度NOUTを検出する為の出力回転速度センサNOS、エンジン回転速度Nを検出する為のエンジン回転速度センサNES、第1電動機回転速度NMG1を検出する為の第1電動機回転速度センサNM1S、第2電動機回転速度NMG2を検出する為の第2電動機回転速度センサNM2S、蓄電装置26の温度(蓄電装置温度)THbatや蓄電装置26の充電電流又は放電電流(充放電電流或いは入出力電流)Icdや蓄電装置26の電圧(蓄電装置電圧)Vbatを検出する為のバッテリ状態検出センサBATS等からの検出信号が供給されるようになっている。尚、上記蓄電装置温度THbat、充放電電流Icd、及び蓄電装置電圧Vbatに基づいて蓄電装置26の充電容量(充電状態)SOCが算出される。
蓄電装置26は、例えば第1電動機MG1及び第2電動機MG2との各々の間で電力の授受を行う充放電可能な直流電源であり、例えばニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池から成る。具体的には、車両加速走行時には、エンジン12の出力に対する反力をとるときに第1電動機M1により発電された電気エネルギ(電力)がインバータ24を通して蓄電装置26に蓄電される。また、車両減速走行時の回生制動の際には、第2電動機M2により発電された電力がインバータ24を通して蓄電装置26に蓄電される。また、第2電動機M2によるモータ走行時には、蓄電された電力がインバータ24を通して第2電動機M2へ供給される。
図8は、複数種類のシフトポジションPSHを人為的操作により切り換える切換装置としてのシフト操作装置40の一例を示す図である。このシフト操作装置40は、例えば運転席の近傍に配設され、複数種類のシフトポジションPSHを選択する為に操作されるシフトレバー38を備えている。このシフトレバー38は、例えば第1電動機M1及び第2電動機M2を共に無負荷状態とすることで動力伝達装置11(電気式無段変速機17)を動力伝達経路が遮断されたニュートラル状態(中立状態)とし且つ出力軸14をロックする為の駐車ポジション「P(パーキング)」、後進走行の為の後進走行ポジション「R(リバース)」、動力伝達装置11をニュートラル状態とする為のニュートラルポジション「N(ニュートラル)」、電気式無段変速機17の変速可能な範囲内で無段階に変速比γ0を変化させて自動変速制御を実行する為の前進自動変速走行ポジション「D(ドライブ)」、手動変速走行モードを成立させて上記自動変速制御における高速側の変速比を制限する所謂変速レンジを設定する為の前進手動変速走行ポジション「S(シーケンシャル)」へ手動操作されるように設けられている。例えば、有段変速機における変速段に対応するように予め複数の固定された電気式無段変速機17の変速比が記憶されており、シフトレバー38が「S」ポジションへ操作されることにより、その複数の固定された変速比における高速側の変速比を制限する変速レンジが設定される。そして、シフトレバー38が「S」ポジションにおけるアップシフト位置「+」又はダウンシフト位置「−」へ手動操作されると、上記変速レンジがシフトレバー38の操作に応じて変更される。
上記「P」乃至「S」ポジションに示す各シフトポジションPSHにおいて、「P」ポジション及び「N」ポジションは、例えば車両を走行させないときに選択される非走行ポジションであって、動力伝達経路の動力伝達遮断状態へ切換えを選択する為の非駆動ポジションでもある。また、「R」ポジション、「D」ポジション、及び「S」ポジションは、例えば車両を走行させるときに選択される走行ポジションであって、動力伝達経路の動力伝達可能状態への切換えを選択する為の駆動ポジションでもある。更に、「S」ポジションは、例えば第1電動機MG1を用いてエンジン回転速度Nを引き上げることで、アクセルオフの減速走行中のエンジンブレーキ効果(エンジンブレーキ作用)を高める為の所定の制御様式としてのエンジンブレーキ増大モードを成立させる為のエンジンブレーキポジションでもある。
図9は、図2に示すような動力分配機構16における共線図を用いて、シフトポジションPSHによって異なる減速走行中のエンジンブレーキ効果を説明する為の図である。図9において、「D」ポジション及び「S」ポジション共に、第1電動機MG1を駆動してエンジン回転速度Nを各ポジション毎の所定回転速度以上に保持することで、アクセルオフの減速走行中にエンジンブレーキ効果を得ている。また、「S」ポジションでは、「D」ポジションに比較して、第1電動機回転速度NMG1がより上昇させられてエンジン回転速度NEがより引き上げられ、エンジンブレーキ効果がより高められる。「D」ポジションにおける上記所定回転速度は例えばエンジン12のアイドリング回転速度であり、「S」ポジションにおける上記所定回転速度は例えばエンジンブレーキ効果をより高める為の予め求められて設定されたアイドリング回転速度よりも高い回転速度である。尚、このとき、エンジン12は、燃料の供給が停止される公知のフューエルカット作動が実行されることが望ましい。また、「D」ポジションでは、第2電動機MG2による回生エネルギをより得る為に、第1電動機MG1を無負荷としてエンジン12を回転停止させ、エンジンブレーキ効果を可及的に低下させても良い。このように、「D」ポジションは、例えばアクセルオフの減速走行中のエンジンブレーキ効果を高めることを実行しない通常の制御様式としての通常走行モードである。
図10は、電子制御装置80による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図10において、ハイブリッド駆動制御部すなわちハイブリッド駆動制御手段82は、例えばアクセル操作量に基づいて運転者の要求出力を算出し、低燃費で排ガス量の少ない運転となるようにエンジン12及び/又は第2電動機MG2から要求出力を発生させる。例えば、エンジン12を停止し専ら第2電動機MG2を駆動源とするモータ走行モード、エンジン12の動力で第1電動機MG1により発電を行いながらエンジン12の動力を機械的に出力軸14(駆動輪22)に伝えて走行するエンジン走行モード、エンジン走行モードにおいて第1電動機MG1による発電電力により第2電動機MG2を駆動して出力軸14にトルクを付加するアシスト走行モード等を、走行状態に応じて選択的に成立させる。
また、ハイブリッド駆動制御手段82は、エンジン12を駆動する場合に、エンジン12が最適燃費曲線上で作動するように第1電動機MG1によってエンジン回転速度Nを制御すると共に、エンジントルクTを制御する。また、第2電動機MG2を駆動してトルクアシストする場合、車速Vが比較的遅い状態では自動変速機18を低速段Lに設定して出力軸14に付加するトルクを大きくし、車速が比較的増大した状態では、自動変速機18を高速段Hに設定して第2電動機MG2の回転速度を相対的に低下させて損失を低減し、効率の良いトルクアシストを実行させる。更に、減速走行時(コースト走行時)には車両10の有する慣性エネルギで例えば第2電動機MG2を回転駆動することにより電力として回生し、蓄電装置26にその電力を蓄える。また、この減速走行時に例えば「S」ポジションとされている場合、第1電動機MG1を駆動してエンジン回転速度Nを引き上げてエンジンブレーキ効果をより高める。
上記エンジン走行モードにおける制御を一例としてより具体的に説明すると、ハイブリッド駆動制御手段82は、エンジン12を効率のよい作動域で作動させる一方で、そのエンジン12と第2電動機MG2との駆動力の配分や第1電動機MG1の発電による反力を最適になるように変化させて電気式無段変速機17の電気的な無段変速機としての変速比γ0を制御する。例えば、ハイブリッド駆動制御手段82は、そのときの走行車速Vにおいて、運転者の出力要求量としてのアクセル開度や車速などに基づいて車両10の目標(要求)出力を算出し、その車両の目標出力と充電要求値から必要なトータル目標出力を算出し、そのトータル目標出力が得られるように伝達損失、補機負荷、第2電動機MG2のアシストトルクや自動変速機18の変速段等を考慮して目標エンジンパワーP を算出する。そして、ハイブリッド駆動制御手段82は、例えば図11に示すようなエンジン回転速度NとエンジントルクTとで構成される二次元座標内において運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められて記憶されたエンジンの最適燃費率曲線(燃費マップ、関係)に沿ってエンジン12が作動させられるように、例えば目標エンジンパワーP が得られる為のエンジン12の動作点(運転点)すなわちエンジン回転速度NとエンジントルクTとなるように、エンジン12を制御すると共に第1電動機MG1の発電量を制御する。
図11に破線で示すエンジン12の最適燃費率曲線は、等燃費率曲線のうちの最も低い燃費領域をエンジン回転速度Nの上昇に伴って通過するように形成された予め実験的に求められた最適燃費点を結ぶ曲線である。この最適燃費率曲線は、運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に設定されたエンジン12の最低燃費動作点を表す点の連なりでもある。また、図11の実線a、b、cは、目標エンジンパワーP を表す一例であって、等しいエンジンパワーとなるエンジン12の動作点を表す点の連なりでもあり、実線a、b、cの順に目標エンジンパワーP は大きくなる。例えば、目標エンジンパワーP が図11に示す実線aから実線bに増大させられると、その実線bの目標エンジンパワーP を得る為にエンジン12は最適燃費率曲線に沿って点A1から点A2となるように作動させられる。すなわち、エンジン回転速度NをNE1からNE2へ上昇させるように例えば第1電動機回転速度NMG1が引き上げられると共に、エンジントルクTをTE1からTE2へ上昇させるように例えばスロットル制御、燃料噴射制御、点火時期制御等が行われる。
ハイブリッド駆動制御手段82は、第1電動機MG1により発電された電気エネルギをインバータ24を介して蓄電装置26や第2電動機MG2へ供給する制御を行う。エンジン12の動力の主要部は機械的に出力軸14へ伝達されるが、そのエンジン12の動力の一部は第1電動機MG1の発電の為に消費されてそこで電気エネルギに変換され、インバータ24を介してその電気エネルギが第2電動機MG2へ供給され、斯かる電気エネルギによりその第2電動機MG2が電動機として駆動されることで、その第2電動機MG2から出力される動力が自動変速機18を介して出力軸14へ伝達される。この電気エネルギの発生から第2電動機MG2で消費されるまでに関連する機器により、エンジン12の動力の一部を電気エネルギに変換し、その電気エネルギを機械的エネルギに変換するまでの電気パスが構成される。尚、ハイブリッド駆動制御手段82は、電気パスによる電気エネルギ以外に、蓄電装置26からインバータ24を介して直接的に電気エネルギを第2電動機MG2へ供給してその第2電動機MG2を駆動することが可能である。
また、ハイブリッド駆動制御手段82は、車両の停止中又は走行中に拘わらず、動力分配機構16の差動作用により第1電動機MG1を制御することでエンジン回転速度Nを略一定に維持したり任意の回転速度に制御することができる。換言すれば、ハイブリッド駆動制御手段82は、エンジン回転速度Nを略一定に維持したり任意の回転速度に制御しつつ第1電動機MG1を任意の回転速度に回転制御することができる。
また、ハイブリッド駆動制御手段82は、スロットル制御の為にスロットルアクチュエータにより電子スロットル弁を開閉制御する他、燃料噴射制御の為に燃料噴射装置による燃料噴射量や噴射時期を制御したり、点火時期制御の為にイグナイタ等の点火装置による点火時期を制御する為の指令を単独で或いは組み合わせて図示しないエンジン出力制御装置に出力して、必要なエンジン出力を発生させるようにエンジン12の出力制御を実行するエンジン出力制御手段を機能的に備えている。
図10に戻って、変速制御部すなわち変速制御手段84は、自動変速機18における変速動作を判定し、その判定された変速動作を実行する。例えば、変速制御手段84は、予め記憶された図12に示すような変速線図(変速マップ)から、車速V(出力軸回転速度NOUT)及び要求駆動力(例えばアクセル開度等)に基づいて自動変速機18の変速を判断し、その判断結果に基づいた変速段に切り換えるように第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2を制御する変速指令を出力する。例えば、変速制御手段84は、低速段Lから高速段Hへの変速動作を判定した場合、油圧制御回路50を介して第1ブレーキB1を係合させると共に第2ブレーキB2を解放させるようにそれらブレーキB1、B2の油圧アクチュエータを制御する。また、高速段Hから低速段Lへの変速動作が判定された場合、油圧制御回路50を介して第1ブレーキB1を解放させると共に第2ブレーキB2を係合させるようにそれらブレーキB1、B2の油圧アクチュエータを制御する。例えば、低速段Lから高速段Hへの変速動作、高速段Hから低速段Lへの変速動作の何れにおいても所謂クラッチ・ツウ・クラッチ変速が行われる。
図12に示す変速線図において、実線は低速段Lから高速段Hへ切り換える為のアップシフト線(アップ線)であり、破線は高速段Hから低速段Lへ切り換える為のダウンシフト線(ダウン線)であって、アップシフト線とダウンシフト線との間に所定のヒステリシスが設けられている。この図12に示す変速線図は、例えば車両10の性能を充分引き出しつつ燃費の良い状態で運転可能なようにすなわち燃費性能と走行性能(動力性能)とを両立させる変速段にて運転可能なように、予め実験的に求められて記憶されたものである。つまり、図12に示す変速線図は、燃費性能と動力性能とを両立させる最適な変速段が選択されるように予め設定された変速線(アップシフト線及びダウンシフト線)を有する変速マップである。このように、自動変速機18は、上記変速マップに従って油圧式摩擦係合装置(ブレーキB1、B2)への作動油の給排が制御されることにより上記最適な変速段が成立させられる。
ここで、第2電動機MG2による回生を伴う減速走行時に自動変速機18のダウンシフトが実行される際に、ダウンシフト前後で回生によるMG2トルクTMG2すなわち回生トルクが一定のまま維持されると、ダウンシフトによる自動変速機18の変速比γsの変化分だけ減速走行中の出力軸トルクTOUTすなわち減速トルクが増大させられて変速ショックが増大する可能性がある。その為、ハイブリッド駆動制御手段82は、例えば第2電動機MG2による回生を伴う減速走行中に変速制御手段84により自動変速機18のダウンシフト(コーストダウンシフト)が実行される際には、変速ショックの増大を抑制する為に、出力軸トルクTOUTの変化が可及的に抑制されるように、そのコーストダウンシフトの進行に伴って第2電動機MG2による回生トルクを減少させる負トルクダウンを実行する。具体的には、ハイブリッド駆動制御手段82は、自動変速機18のダウンシフト過程において、第2電動機回転速度NMG2が未だ高速段H側の回転にはあるが変速比γsとしては低速段L側の変速比γslに向かって変化していく変速過渡過程におけるトルク相中にて、出力軸トルクTOUTの変化が可及的に抑制されるように、変速比γsの増大変化に合わせて上記負トルクダウンを実行する。尚、このトルク相は、例えば変速制御手段84により自動変速機18のダウンシフトが判断された後に低速段Lへ切り換える為の変速指令が出力されてから、トルク相が開始される時間として予め実験的に求められて記憶された所定のトルク相開始時間が経過したときに、そのトルク相の開始が判断される。また、トルク相は、例えば第2電動機回転速度NMG2が変化するイナーシャ相の開始までであるが、トルク相の終了時点で上記負トルクダウンを完了させておきたいので、トルク相の時間としては、例えば予め実験的に求められて記憶された所定のトルク相時間を用いる。また、特に区別することなく「負トルクダウン」との文言を用いる場合には、ダウンシフト過渡過程におけるトルク相中にて実行する第2電動機トルクTMG2(<0)の低減(すなわち回生トルクの減少)のことを示すものとする。
ところで、減速走行の際、エンジンブレーキ作用を効かそうとすると、前述したように第1電動機MG1によりエンジン回転速度Nを所定回転速度以上に保つ必要があり、第1電動機MG1は駆動トルク(正トルク)を発生する為に蓄電装置26から電力を持ち出す駆動側となる。特に、積極的にエンジンブレーキ効果を高める「S」ポジションにおいては、「D」ポジションに比較して、第1電動機MG1における消費電力が増大する。このとき、蓄電装置26の出力制限が為されていると、第1電動機MG1で消費する電力分を第2電動機MG2による回生電力で賄う必要がある。一方、上記コーストダウンシフト中には変速過渡過程におけるトルク相中にて上記負トルクダウンが実行されるので、つまり第2電動機回転速度NMG2が未だ高速段H側の回転にあるときから回生トルクTMG2を減少させるので、第2電動機回転速度NMG2が低速段L側の回転に到達するまでは回生電力PMG2(=NMG2×TMG2×2π/60)が一時的に低下することになる。従って、上記コーストダウンシフト中に蓄電装置26の出力制限が為されていると、回生電力PMG2が一時的に低下している間はエンジンブレーキ効果を高められないか、或いは回生電力PMG2を低下させない為に上記負トルクダウンを適切に実行できない可能性がある。そうすると、上記コーストダウンシフト時に変速ショックが増大する可能性がある。
そこで、本実施例の電子制御装置80は、例えば第2電動機MG2による回生を伴う自動変速機18のコーストダウンシフトが実行される際、第2電動機MG2が前記負トルクダウンを実行不可と判定されたときであっても変速ショックを抑制する為に、蓄電装置26の出力制限が為されていることによりその負トルクダウンの実行が不可能であると判断した場合には、その負トルクダウンを実行することで不足する蓄電装置26の電力量(すなわち負トルクダウンを実行することで減少する第2電動機MG2による回生量WMG2)を第2電動機MG2による目標回生量WMG2 として算出し、上記コーストダウンシフトの開始前に(すなわちコーストダウンシフトの実行に先立って事前に)第2電動機MG2による回生量WMG2をその目標回生量WMG2 分増加させ、自動変速機18のコーストダウンシフトの開始後にすなわちダウンシフト過渡過程におけるトルク相中に上記負トルクダウンを実行する。
より具体的には、図10に戻り、入出力可能電力設定部すなわち入出力可能電力設定手段86は、例えば蓄電装置26における入力可能電力Win及び出力可能電力Woutを設定する。図13は、蓄電装置温度THbatと、充電可能な電力(パワー)又は放電可能な電力すなわち入力可能電力Win又は出力可能電力Woutとの予め実験的に求められて定められた関係(入出力可能電力マップ)である。また、図14は、充電容量SOCと入出力可能電力Win/Woutの補正係数との予め実験的に求められて定められた関係(入出力可能電力用補正係数マップ)である。そして、入出力可能電力設定手段86は、例えば図13の入出力可能電力マップから蓄電装置温度THbatに基づいて入力可能電力Win及び出力可能電力Woutの基本値をそれぞれ設定し、例えば図14の入出力可能電力用補正係数マップから充電容量SOCに基づいて入力可能電力用補正係数及び出力可能電力用補正係数をそれぞれ設定し、入力可能電力Win及び出力可能電力Woutの基本値に入力可能電力用補正係数及び出力可能電力用補正係数をそれぞれ乗算して入力可能電力Win及び出力可能電力Woutを設定する。
出力制限実行部すなわち出力制限実行手段88は、例えば入出力可能電力設定手段86により設定された出力可能電力Woutの範囲で、減速走行時のエンジンブレーキを作用させる為の第1電動機MG1における駆動電力(消費電力)WMG1を全て賄うことができない場合には、第1電動機MG1への電力供給を制限する(例えば可能な範囲までの第1電動機MG1への電力供給を行う或いは第1電動機MG1への電力供給を停止する)蓄電装置26の出力制限(出力可能電力Wout制限、Wout制限)を行う。
ハイブリッド駆動制御手段82は、例えば第2電動機MG2による回生を伴う減速走行時に、出力制限実行手段88により蓄電装置26の出力制限が為されている場合には、第1電動機MG1における上記駆動電力PMG1(=NMG1×TMG1×2π/60)を全て賄う為に、第2電動機MG2による回生電力PMG2の一部乃至全部を直接的に第1電動機MG1に供給する。その為、例えば第2電動機MG2による回生を伴う自動変速機18のコーストダウンシフトが実行される際、第2電動機MG2による前記負トルクダウンを実行すると一時的に上記回生電力PMG2が低下するので、上記駆動電力PMG1に対して供給電力が不足する可能性がある。
そこで、負トルクダウン実行可否判定部すなわち負トルクダウン実行可否判定手段90は、例えば第2電動機MG2による回生を伴う減速走行中に変速制御手段84により自動変速機18のダウンシフトが判断されたときに、出力制限実行手段88により蓄電装置26の出力制限が為されている場合には、第2電動機MG2による前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断する。尚、「S」ポジションとされているときの方が、「D」ポジションとされているときと比較して、第1電動機MG1における上記駆動電力PMG1が増大させられて、上記駆動電力PMG1に対して供給電力が一層不足する可能性がある。よって、負トルクダウン実行可否判定手段90は、例えば第2電動機MG2による回生を伴う自動変速機18のコーストダウンシフトが実行される際、出力制限実行手段88により蓄電装置26の出力制限が為されているときに加え、「S」ポジションとされているときに、第2電動機MG2による前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断しても良い。
目標回生量算出部すなわち目標回生量算出手段92は、例えば負トルクダウン実行可否判定手段90により第2電動機MG2による前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断された場合には、その負トルクダウンを実行することで第1電動機MG1における消費電力量WMG1に対して不足する蓄電装置26の電力量(すなわち負トルクダウンを実行することで減少する第2電動機MG2による回生量WMG2)を第2電動機MG2による目標回生量WMG2 として算出する。図15は、目標回生量WMG2 の算出を説明する為の図である。この図15においては、例えば第2電動機MG2による回生電力PMG2が全て第1電動機MG1の駆動電力PMG1として供給されることを前提としている。その為、破線に示すような負トルクダウンを実行しないときの回生電力PMG2B(=NMG2×TMG2B×2π/60)と、実線に示すような負トルクダウンを実行したときの回生電力PMG2A(=NMG2×TMG2A×2π/60)すなわち負トルクダウンの実行により減少する回生電力PMG2Aとの差分電力ΔP(=PMG2B−PMG2A)が、上記駆動電力PMG1に対して逐次不足する蓄電装置26の電力となる。従って、斜線部「A」の面積部分が消費電力量WMG1に対して不足する蓄電装置26の電力量(すなわち減少する第2電動機MG2による回生量WMG2)に対応する目標回生量WMG2 となる。
ここで、例えばt1時点のダウンシフト判断時において、上記目標回生量WMG2 に対応する斜線部「A」の面積を算出する上で必要となるのは、第2電動機回転速度NMG2、回生トルクTMG2A及びTMG2B、t3時点乃至t4時点の時間、t4時点乃至t5時点の時間である。上記t3時点乃至t4時点の時間は、例えば自動変速機18のダウンシフトが実行される際のトルク相の時間であり、予め実験的に求められて記憶された所定のトルク相時間を用いる。また、上記t4時点乃至t5時点の時間は、例えば自動変速機18のダウンシフトが実行される際のイナーシャ相の時間であり、予め実験的に求められて記憶された所定のイナーシャ相時間を用いる。また、上記第2電動機回転速度NMG2は、例えばt1時点の実際の第2電動機回転速度NMG2と、ダウンシフトによる変速比γsの変化に基づいて算出されるダウンシフト終了時点(t5時点)の第2電動機回転速度NMG2とに基づいて算出される推定の第2電動機回転速度NMG2を用いる。また、回生トルクTMG2Aは、例えばt1時点の第2電動機MG2の回生時の電流等から求まる実際の回生トルクTMG2Aと、ダウンシフトによる変速比γsの変化に基づいて算出されるトルク相終了時点(t4時点)の回生トルクTMG2Aとに基づいて算出される推定の回生トルクTMG2Aを用いる。また、回生トルクTMG2Bは、例えばt1時点の第2電動機MG2の回生時の電流等から求まる実際の回生トルクTMG2Bと、ダウンシフトによる変速比γsの変化に基づいて算出されるイナーシャ相終了時点(t5時点)の回生トルクTMG2Bとに基づいて算出される推定の回生トルクTMG2Bを用いる。
尚、ここでは、第2電動機MG2による回生電力PMG2が全て第1電動機MG1の駆動電力PMG1として供給されることを前提としたが、例えば第2電動機MG2による回生電力PMG2の一部が第1電動機MG1の駆動電力PMG1として供給されるような場合には、破線に示すような負トルクダウンを実行しないときの回生電力PMG2Bを駆動電力PMG1に置き換えて目標回生量WMG2 を算出すれば良い。従って、駆動電力PMG1によっては、実線に示すような負トルクダウンを実行したときの回生電力PMG2Aでも十分にその駆動電力PMG1を賄える場合がある。このような場合には、例えば目標回生量WMG2 は零とされるので、Wout制限により前記負トルクダウンが実行不可と判断されたときであっても、ダウンシフト開始前に回生量WMG2を余分に増加させることなく、負トルクダウンが実行可能となる。その為、負トルクダウン実行可否判定手段90は、例えば消費電力量WMG1に対して回生量WMG2が不足しないときすなわち目標回生量WMG2 が零とされるときには前記負トルクダウンが実行可能であると判断し、消費電力量WMG1に対して回生量WMG2が不足するときには前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断しても良い。
ハイブリッド駆動制御手段82は、例えば目標回生量算出手段92により算出された目標回生量WMG2 分が増加させられるまで、減速走行中の第2電動機MG2による回生トルクTMG2を、出力軸トルクTOUTの変化が可及的に抑制されるように所定の回生トルクTMG2’分だけ増加する。具体的には、ハイブリッド駆動制御手段82は、負トルクダウン実行可否判定手段90により前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断されたときから、所定の回生トルクTMG2’によって目標回生量WMG2 分が増加させられる為の所定時間TK経過するまで、回生トルクTMG2を回生トルクTMG2’分だけ増加して、ダウンシフト開始前に目標回生量WMG2 (=NMG2×TMG2’×2π/60×TK)分だけ回生量WMG2を増加する(図15のt1時点乃至t2時点参照)。上記所定の回生トルクTMG2’は、例えば第2電動機MG2による回生を伴う減速走行中にドライバビリティを悪化させない程度の回生トルクTMG2の増加分として予め実験的に求められて記憶された目標回生量WMG2 を得る為の回生トルクTMG2の増加分である。また、所定時間TKは、例えば算出された目標回生量WMG2 と実際の第2電動機回転速度NMG2と所定の回生トルクTMG2’とに基づいて、目標回生量WMG2 を得る制御を実行する毎にその都度算出される時間(=WMG2 /NMG2/TMG2’/2π×60)である。尚、本実施例では、上記ダウンシフト開始前とは、ダウンシフト指令が出力されることによりダウンシフトが実質的に開始(実行)される前のことであって、ダウンシフト判断だけでは未だダウンシフトが開始されていないものとする。また、前記負トルクダウンはトルク相中に実行されるので、このトルク相が開始されるまでは実質的にダウンシフトが実行される前としても良い。
変速制御手段84は、例えば自動変速機18のダウンシフトを判断したときに、負トルクダウン実行可否判定手段90により前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断された場合には、ハイブリッド駆動制御手段82により目標回生量WMG2 分が増加させられるまで低速段Lへ切り換える為の変速指令の出力を待機する。そして、変速制御手段84は、例えばハイブリッド駆動制御手段82により目標回生量WMG2 が得られた場合には、低速段Lへ切り換える為の変速指令を出力する。従って、減速走行中の第2電動機MG2による回生量WMG2を目標回生量WMG2 分増加させることは、例えば変速制御手段84によるダウンシフト判断からダウンシフト過渡過程におけるトルク相が開始されるまでの間に実行されることになる。よって、ハイブリッド駆動制御手段82により、トルク相中に前記負トルクダウンが適切に実行される。
図16は、電子制御装置80の制御作動の要部すなわち第2電動機MG2による回生を伴う減速走行中に自動変速機18のダウンシフトが実行される際、第2電動機MG2が負トルクダウンを実行不可と判定されたときであっても、その負トルクダウンを適切に実行して変速ショックを抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。この図16のスタート時点は、例えば第2電動機MG2による回生を伴う減速走行中が前提とされる。図17は、図16のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートである。
図16において、先ず、変速制御手段84に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、例えば自動変速機18のダウンシフトが判断されたか否かが判定される。このS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合は負トルクダウン実行可否判定手段90に対応するS20において、例えば第2電動機MG2による前記負トルクダウンの実行が可能であるか否かが判断される(図17のt1時点)。例えば、蓄電装置26の出力制限が為され、且つ「S」ポジションとされているときに、第2電動機MG2による前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断される。このS20の判断が否定される場合は目標回生量算出手段92に対応するS30において、例えば前記負トルクダウンを実行することで第1電動機MG1における消費電力量WMG1に対して不足する第2電動機MG2による回生量WMG2が目標回生量WMG2 として算出される(図17のt1時点)。つまり、前記負トルクダウンの実行が可能となる目標回生量WMG2 が算出される。次いで、ハイブリッド駆動制御手段82に対応するS40において、例えば目標回生量WMG2 分が事前に(ダウンシフトの開始に先立って)増加させられるように、回生トルクTMG2が所定時間TKに亘って回生トルクTMG2’分だけ増加させられて第2電動機MG2による回生量WMG2が増加させられる(図17のt1時点乃至t2時点)。すなわち、目標回生量WMG2 分が増加させられるまで一定レートで第2電動機MG2による回生量WMG2が増加させられる。次いで、変速制御手段84に対応するS50において、例えば上記S40にて目標回生量WMG2 が得られた場合には、低速段Lへ切り換える為の変速指令が出力される(図17のt2時点)。前記S20の判断が肯定される場合(図17のt1時点)は或いは上記S50に次いで、ハイブリッド駆動制御手段82に対応するS60において、例えばダウンシフト過渡過程におけるトルク相中にて第2電動機MG2による負トルクダウンが実行される(図17のt3時点乃至t4時点)。
図17において、実線は、前記負トルクダウンの実行不可判定時にダウンシフトの実行に先立って事前に蓄電装置26の電力量の不足分を余分に回生する本実施例を示している。また、破線は、Wout制限の為に負トルクダウンが実行できず、回生電力PMG2を減少させないように第2電動機回転速度NMG2の上昇MG2トルク(回生トルク)TMG2を減少させる従来例を示している。また、二点鎖線は、前記負トルクダウンの実行可能判定時の一例を示している。破線に示す従来例では、負トルクダウンが実行されないので、ダウンシフト過渡過程において、出力軸トルクTOUTの落ち込みが増大して変速ショックが増大する(図17のt3時点乃至t5時点)。これに対して、実線に示す本実施例では、二点鎖線に示す一例と同様に、トルク相にて負トルクダウンが適切に実行されて変速ショックが抑制される。また、実線に示す本実施例では、事前に蓄電装置26の電力量の不足分を得るように第2電動機MG2による回生量WMG2が増加させられるが、出力軸トルクTOUTの落ち込みが浅くなるように、回生トルクTMG2がt1時点乃至t2時点に亘って回生トルクTMG2’分だけ増加させられるので、ドライバビリティの悪化が抑制される。
上述のように、本実施例によれば、蓄電装置26の出力制限が為されていることにより前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断された場合には、その負トルクダウンが実行されることで不足させられる蓄電装置26の電力量が第2電動機MG2による目標回生量WMG2 として算出され、自動変速機18のダウンシフトの開始前に第2電動機MG2による回生量WMG2が目標回生量WMG2 分増加させられ、そのダウンシフトの開始後にその負トルクダウンが実行されるので、例えば第2電動機MG2による回生を伴う減速走行中に自動変速機18のダウンシフトが実行される際に第2電動機MG2が負トルクダウンを実行不可と判定された場合には、負トルクダウンの実行により第2電動機MG2の回生量WMG2が減少することによる蓄電装置26の電力量の不足分が減速走行中の第2電動機MG2による回生量WMG2に上乗せされて蓄電装置26に事前に充電され、第2電動機MG2による負トルクダウンの実行不可判定時であっても、ダウンシフトの進行に合わせて第2電動機MG2による回生トルクTMG2を減少させることができ、ダウンシフト時に出力軸トルクTOUTの落ち込み(減速トルクの増大)を抑制することができる。このように、第2電動機MG2による回生を伴う減速走行中に自動変速機18のダウンシフトが実行される際、第2電動機MG2が負トルクダウンを実行不可と判定されたときであっても、その負トルクダウンを適切に実行して変速ショックを抑制することができる。
また、本実施例によれば、第1電動機MG1を用いてエンジン回転速度Nを引き上げることで、減速走行中のエンジンブレーキ効果を高める為の所定の制御様式(「S」ポジションによるエンジンブレーキ増大モード)を備え、蓄電装置26の出力制限が為されていること、及び「S」ポジションとされていることにより、前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断するので、例えば「S」ポジションでは、減速走行中のエンジンブレーキ効果を高めることを実行しない通常の制御様式(「D」ポジションによる通常走行モード)に比べて、エンジン回転速度Nをより引き上げる為に第1電動機MG1における消費電力量WMG1が大きくなることに対して、前記負トルクダウンの実行が不可能であることが適切に判断されると共に、その負トルクダウンを実行不可と判定されたときであっても、その負トルクダウンを適切に実行して変速ショックを抑制することができる。このように、「S」ポジションとされているときには、前記負トルクダウンの実行不可時に実行される本実施の必要性がより高くなる。
また、本実施例によれば、目標回生量WMG2 分が増加させられるまで、減速走行中の第2電動機MG2による回生トルクTMG2を、出力軸トルクTOUTの変化が可及的に抑制されるように所定の回生トルクTMG2’分だけ増加するので、例えば前記負トルクダウンの実行により低減される回生量WMG2すなわち不足する蓄電装置26の電力量に対応する目標回生量WMG2 分は、第2電動機MG2による回生を伴う減速走行中に所定の回生トルクTMG2’分を必要な時間(所定時間TK)だけ増加すれば事前に増加させられる。よって、その所定の回生トルクTMG2’分増加している期間中の出力軸トルクTOUTの変化が可及的に抑制され、ダウンシフト開始前に事前に目標回生量WMG2 分を増加させてもドライバビリティの悪化は抑制される。
また、本実施例によれば、前記負トルクダウンは、自動変速機18のダウンシフトの過渡過程におけるトルク相中に実行されるものであり、第2電動機MG2による回生量WMG2を目標回生量WMG2 分増加させることは、ダウンシフト判断から前記トルク相が開始されるまでの間に実行されるので、例えば自動変速機18のダウンシフトの過渡過程におけるトルク相中に実行される前記負トルクダウンによって出力軸トルクTOUTの変化が可及的に抑制されると共に、第2電動機MG2が負トルクダウンを実行不可と判定されたときであっても、前記ダウンシフトの開始後にその負トルクダウンを適切に実行して変速ショックを抑制することができる。
また、本実施例によれば、自動変速機18は電気式無段変速機17の出力軸14に動力伝達可能に連結され、第2電動機MG2はその出力軸14に自動変速機18を介して動力伝達可能に連結されるので、例えば電子制御装置80において、第2電動機MG2による回生を伴う減速走行中に自動変速機18のダウンシフトが実行される際、第2電動機MG2が負トルクダウンを実行不可と判定されたときであっても、その負トルクダウンを適切に実行して変速ショックを抑制することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、自動変速機18は第2電動機MG2の出力したトルクが増大させられて出力軸14に付加されるように、第2電動機MG2と出力軸14との間に備えられた低速段Lと高速段Hとを有する2段の自動変速機(減速機)であったが、この自動変速機18に限らず、第2電動機MG2の出力したトルクが出力軸14に伝達されるように第2電動機MG2と出力軸14との間に備えられた自動変速機であれば本発明は適用され得る。例えば、3段以上の変速段を有する遊星歯車式多段変速機、一部或いは全部の変速段においてMG2の出力したトルクが増大させられて出力軸14に付加される有段式自動変速機などであっても良い。
また、前述の実施例では、自動変速機18は電気式無段変速機17の出力軸14に動力伝達可能に連結され、第2電動機MG2はその出力軸14に自動変速機18を介して動力伝達可能に連結される構成の動力伝達装置11を例示したが、これに限らず、例えば自動変速機18が電気式無段変速機17と直列に連結されすなわち自動変速機18の入力側が電気式無段変速機17の出力軸14に連結され、第2電動機MG2がその出力軸14に動力伝達可能に連結される構成の動力伝達装置であっても本発明は適用され得る。
また、前述の実施例では、前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断された場合には目標回生量WMG2 分が増加させられるまで低速段Lへ切り換える為の変速指令の出力が待機され、目標回生量WMG2 が得られた場合には低速段Lへ切り換える為の変速指令が出力されたが、これに限らず、例えば目標回生量WMG2 分の増加中に低速段Lへ切り換える為の変速指令が出力されても良い。要は、少なくともダウンシフト過渡過程におけるトルク相の開始前までに目標回生量WMG2 分が増加させられておれば良い。
また、前述の実施例において、動力分配機構16はシングルプラネタリであるが、ダブルプラネタリであってもよい。また、動力分配機構16は、例えばエンジン12によって回転駆動されるピニオンと、そのピニオンに噛み合う一対のかさ歯車が第1電動機M1及び出力軸14に作動的に連結された差動歯車装置であってもよい。
また、前述の実施例において、シフト操作装置40は、複数種類のシフトポジションPSHを選択する為に操作されるシフトレバー38を備えていたが、それに限らず、シフトポジションPSHを選択する為の装置を備えておれば良い。例えば、押しボタン式やスライド式のスイッチ、手動操作に因らず運転者の音声に反応してシフトポジションPSHを切り換えられる装置、足の操作によりシフトポジションPSHを切り換えられる装置等であっても良い。また、シフトレバー38が「S」ポジションへ操作されることにより、変速レンジが設定されるものであったが、これに限らず、例えば有段変速機における変速段に対応するように予め複数の固定された電気式無段変速機17の変速比が記憶されており、シフトレバー38が「S」ポジションへ操作されることにより、その複数の固定された変速比が設定されても良い。この場合、電気式無段変速機17では上記固定された変速比が切り換えられて変速が実行される。例えば、シフトレバー38が「S」ポジションにおけるアップシフト位置「+」又はダウンシフト位置「−」へ手動操作されると、上記固定された変速比がシフトレバー38の操作に応じて変更される。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
11:車両用動力伝達装置
12:エンジン
14:出力軸
16:動力分配機構(差動機構)
17:電気式無段変速機(電気式変速機構)
18:自動変速機(機械式変速機構)
26:蓄電装置
80:電子制御装置(制御装置)
B1:第1ブレーキ(係合装置)
B2:第2ブレーキ(係合装置)
MG1:第1電動機(差動用電動機)
MG2:第2電動機(走行用電動機)

Claims (5)

  1. エンジンに動力伝達可能に連結された差動機構と該差動機構に動力伝達可能に連結された差動用電動機とを有して該差動用電動機の運転状態が制御されることにより該差動機構の差動状態が制御される電気式変速機構と、該電気式変速機構の出力軸に連結される自動変速機と、該自動変速機の入力側に動力伝達可能に連結される走行用電動機と、該差動用電動機及び該走行用電動機との各々の間で電力の授受を行う蓄電装置とを備える車両用動力伝達装置の制御装置であって、
    前記走行用電動機による回生を伴う減速走行中に前記自動変速機のダウンシフトが実行される際には、前記自動変速機の出力側のトルク変化が可及的に抑制されるように、該ダウンシフトの進行に伴って該走行用電動機による回生トルクを減少させる負トルクダウンを実行するものであり、
    前記蓄電装置の出力制限が為されていることにより前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断した場合には、該負トルクダウンを実行することで不足する該蓄電装置の電力量を前記走行用電動機による目標回生量として算出し、前記ダウンシフトの開始前に該走行用電動機による回生量を該目標回生量分増加させ、該ダウンシフトの開始後に該負トルクダウンを実行することを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
  2. 前記差動用電動機を用いてエンジン回転速度を引き上げることで、前記減速走行中のエンジンブレーキ効果を高める為の所定の制御様式を備え、
    前記蓄電装置の出力制限が為されていること、及び前記所定の制御様式とされていることにより、前記負トルクダウンの実行が不可能であると判断することを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
  3. 前記目標回生量分が増加させられるまで、前記減速走行中の前記走行用電動機による回生トルクを、前記自動変速機の出力側のトルク変化が可及的に抑制されるように所定の回生トルク分だけ増加することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
  4. 前記自動変速機は、係合装置の係合と解放とにより変速段が切り替えられる機械式変速機構であり、
    前記負トルクダウンは、前記ダウンシフトの過渡過程におけるトルク相中に実行されるものであり、
    前記走行用電動機による回生量を前記目標回生量分増加させることは、前記ダウンシフト判断から前記トルク相が開始されるまでの間に実行されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
  5. 前記自動変速機は、前記電気式変速機構の出力軸に動力伝達可能に連結され、
    前記走行用電動機は、前記電気式変速機構の出力軸に前記自動変速機を介して動力伝達可能に連結されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
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