JP2012024886A - 位置および姿勢の補正機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速に動作可能である、位置および姿勢の補正機構を提供する。
【解決手段】減速機を介さない複数のリニアモータ101A〜Fの組み合わせによって構成されるリンク機構と、複数のリニアモータ101A〜Fのそれぞれの位置を測定するリニアエンコーダ120A〜Fと、複数のリニアモータ101A〜Fのそれぞれに流れる電流値を測定する電流センサ110A〜Fと、リニアエンコーダ120A〜Fにより測定された上記位置および電流センサ110A〜Fにより測定された電流値が入力される制御部130とを備えている。制御部130は、算出された上記力と入力された複数のリニアエンコーダ120A〜Fのそれぞれの位置に基づいて、リンク機構の位置および駆動力を制御するリンク機構駆動指令部140を含む。
【選択図】図4

Description

本発明は、位置および姿勢の補正機構に関し、特に、部品組立時の位置ずれ量を補正する位置および姿勢の補正機構に関する。
部品の組立工程においては、従来、人手により組立られていたが、生産ラインの人員削減および安定した組立を実現するために、組立作業の自動化に関する装置および技術が検討されている。特に、最近では多品種少量生産の傾向があり、また、新製品の投入される周期が短くなっているため、生産ラインの編成が短い周期で変更されること、または、同一の生産ラインで複数の種類の製品が同時に生産されることがある。
このような状況において自動組立装置が構築された場合、製造される製品の品種が変更されるたびに、自動組立装置の編成の変更が必要となる。自動組立装置の編成の変更のために多くの時間および多額のコストが必要となる場合、短いサイクルで変更が必要な生産ラインでは、人手による作業を自動組立装置に置き換えることは難しい。よって、部品の組立工程が自動化されるためには、製品の変更に対して柔軟に対応できる構成が求められる。このような環境のなか、産業用ロボット業界においては、人に近い動作およびセンシングのできる組立アーム、および、組付け部品を扱う組立ハンドについての研究が行なわれている。
産業用ロボットとして、2つの部品同士を取り付けまたは嵌め込むことができる、位置および姿勢の補正機構、および、それを有する組立ハンドなどがこれまでに検討されている。組付け部品の取付けなどが可能な組立ロボットの手首機構を開示した先行文献として、特許文献1がある。
特許文献1に記載された組立ロボットの手首機構においては、組付け部品を掴む組立ハンドと組立アームとの間に平行板ばね式コンプライアンス機構が設けられている。組立ロボットの手首機構は、コンプライアンス機構により部品同士の位置ズレを吸収することができるにようにされている。
部品を挿入する際の挿入力をセンシングすることで部品同士の位置ズレ量を測定して補正する組立ロボットを開示した先行文献として、特許文献2および3がある。特許文献2に記載された組立ロボットの手首機構においては、3つの回転モータによりリンク機構が構成され、各モータに設けられたトルクセンサ、または、チャックとの間に設けられた力センサによって、ハンド先端にかかる力が計測されている。特許文献3に記載されたロボットの制御装置においては、ロボットの各関節の電流値が検出されることにより推定された、各関節にかかる外力が、ロボットの制御に利用されている。
特開昭63−139681号公報 特開平9−309089号公報 特開平11−42578号公報
特許文献1に記載された組立ロボットの手首機構においては、動作アクチュエータとは別にコンプライアンス機構が設けられる必要があり、手先の重量およびサイズが増加して、手首機構の動作の際にかかる慣性力が大きくなる。また、平行板ばねを用いた機械的なコンプライアンス機構が用いられているため、コンプライアンス機構の硬さを変更するには、平行板ばねの変更が必要となり汎用性に欠ける。
特許文献2に記載された組立ロボットの手首機構においては、モータのトルクまたは手首機構の先端にかかる力を測定するためのセンサが設けられる必要がある。そのため、手首機構の重量およびサイズが増加して、手首機構の動作の際にかかる慣性力が大きくなるとともに、装置のコストが高くなる。また、部品の押し込み方向におけるコンプライアンス機構が設けられていないために、挿入作業時に高速な動作ができない。
特許文献3に記載されたロボットの制御装置においては、減速機を介して回転モータが用いられているため、外力と検出された電流値とのズレが大きくなる。さらに、減速機によってロボットの先端の質量が大きくなり、ロボットの動作の際にかかる慣性力が大きくなるため、正確に外力を抽出することが難しい。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、組立ハンドの先端にかかる力を力センサを用いることなく正確に測定してコンプライアンス動作することにより高速に動作可能である、位置および姿勢の補正機構を提供することを目的とする。
本発明に基づく位置および姿勢の補正機構は、リンク機構と位置測定部と電流測定部と制御部とを備えている。リンク機構は、減速機を介さない複数の電磁式アクチュエータの組み合わせによって構成される。位置測定部は、複数の電磁式アクチュエータのそれぞれの位置を測定する。電流測定部は、複数の電磁式アクチュエータのそれぞれに流れる電流値を測定する。制御部は、位置測定部により測定された位置および電流測定部により測定された電流値が入力される。制御部は、位置測定部により測定された複数の電磁式アクチュエータのそれぞれの位置からリンク機構の位置を算出し、かつ、電流測定部により測定された電流値から複数の電磁式アクチュエータのそれぞれに負荷された力を算出する。制御部は、算出された力と入力された複数の電磁式アクチュエータのそれぞれの位置に基づいて、リンク機構の位置および駆動力を制御するリンク機構駆動指令部を含む。
好ましくは、制御部は、複数の電磁式アクチュエータのそれぞれに流れる電流値を制御する電流制御部を含む。電流制御部が、複数の電磁式アクチュエータに流れる電流値を制御することにより、複数の電磁式アクチュエータの外力に対する特性が変化する。
好ましくは、電流制御部が、複数の電磁式アクチュエータのそれぞれに流れる電流値を個別に制御することにより、複数の電磁式アクチュエータのそれぞれの外力に対する特性が異方性を有する。
本発明の一形態においては、電磁式アクチュエータがリニアモータである。
本発明の一形態においては、電磁式アクチュエータがダイレクトドライブモータである。
好ましくは、電流制御部が、柔軟制御および高剛性制御を行なう。
本発明によれば、組立ハンドの先端にかかる力を力センサを用いることなく正確に測定してコンプライアンス動作することにより高速に動作可能である、位置および姿勢の補正機構を提供することができる。
比較例として、液晶テレビの従来の組立ラインを示す平面図である。 本発明の実施形態1に係る、位置および姿勢の補正機構を適用して、図1に示す組立ラインの一部について自動化した状態を示す平面図である。 同実施形態に係る位置および姿勢の補正機構を有する組立ハンド100の構成を示す斜視図である。 同実施形態に係る組立ハンドの構成を示すブロック図である。 制御部によって行なわれる、グリップハンドまたはグリップハンドによって把持されている組付け部品に負荷される外力のセンシング方法の概念図である。 同実施形態に係る組立ハンド100が組付け部品を把持する前の状態を示す側面図である。 同実施形態に係る組立ハンドが位置決めピンを把持した状態を示す側面図である。 同実施形態に係る組立ハンドが位置決めピンを対象物上に接触させた状態で滑らせながら穴部に近づけている状態を示す側面図である。 同実施形態に係る組立ハンドが位置決めピンを鉛直方向に把持した状態を示す側面図である。 同実施形態に係る組立ハンドが位置決めピンを対象物の穴部に挿入した状態を示す側面図である。 組立ハンドにより組付け部品を対象物の穴部に嵌め込む際の動作を示すフロー図である。 各リニアモータの外力特性に異方性を持たせた組立ハンドが位置決めピンを把持した状態を示す側面図である。 各リニアモータの外力特性に異方性を持たせた組立ハンドが位置決めピンを対象物上に接触させた状態を示す側面図である。 各リニアモータの外力特性に異方性を持たせた組立ハンドが位置決めピンを穴部に位置合わせした状態を示す側面図である。 各リニアモータの外力特性に異方性を持たせた組立ハンドが位置決めピンを対象物の穴部に挿入した状態を示す側面図である。 各リニアモータの外力特性に異方性を持たせた組立ハンドにより組付け部品を対象物の穴部に嵌め込む際の動作を示すフロー図である。 本発明の実施形態2に係る位置および姿勢の補正機構を有する組立ハンドの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態3に係る位置および姿勢の補正機構を有する組立ハンドの構成を示す斜視図である。
以下、本発明に係る位置および姿勢の補正機構の実施形態1について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。
実施形態1
図1は、比較例として、液晶テレビの従来の組立ラインを示す平面図である。図1に示すように、コンベア1上にトレイ2が載置されている。トレイ2上にワーク3が載置されている。コンベア1によって、トレイ2およびワーク3が所定の速度で搬送されている。コンベア1の側部には複数の作業者7が配置されている。作業者7は、液晶テレビの部品を部品供給部4から取り出して、その部品をワーク3上に配置する。各工程において、必要に応じて部品がねじにより締結されることにより、部品がワーク3に固定される。液晶テレビが組立られる際には、基板などの板状部品5、フレームなどの棒状部品6、および、位置決めピン201が配置される工程がある。各作業者が、それぞれの部品を配置およびねじ締めすることにより、液晶テレビが組立られている。
図2は、本発明の実施形態1に係る、位置および姿勢の補正機構を適用して、図1に示す組立ラインの一部について自動化した状態を示す平面図である。図2に示すように、本発明の実施形態1に係る組立ラインは、コンベア1およびトレイ2などの基本的なラインの構成については、図1に示す組立ラインと同一であるが、一部の作業者7が組立ロボット8に置き換えられている。
組立ロボット8の先端部には、液晶テレビの部品を把持するための組立ハンド100が設けられている。従来、作業者7が行っていた作業が、組立ハンド100を用いて組立ロボット8により行なわれる。組立ハンド100は、位置および姿勢の補正機構を備えている。
以下、組立ハンド100の構成について説明する。図3は、本実施形態に係る位置および姿勢の補正機構を有する組立ハンド100の構成を示す斜視図である。図3に示すように、組立ハンド100は、電磁式アクチュエータとして6本のリニアモータ101A〜Fを有している。リニアモータ101A〜Fは、長手方向を有する筒状部と、筒状部の内部に収容されて、筒状部の一端から突出した軸部とを有している。軸部は、筒状部内に直線的に出入り自在に保持されている。
6本のリニアモータ101A〜Fは、上部ジョイント102A〜Fにより手首機構ベース104と接続され、下部ジョイント103A〜Fによりハンドベース105と接続されている。
手首機構ベース104は、上方から平面視して、中心から外方に向けて3方向に延在している延在部を有し、3つの延在部の両側面に、上部ジョイント102A〜Fのそれぞれが接続されている。上部ジョイント102A〜Fのそれぞれは、接続された延在部の側面に直交する軸周りに回動自在に接続されている。
ハンドベース105は、上方から平面視して、中心から外方に向けて3方向に延在している延在部を有し、3つの延在部の両側面に、下部ジョイント103A〜Fのそれぞれが回動自在に接続されている。下部ジョイント103A〜Fのそれぞれは、接続された延在部の側面に直交する軸周りに回動自在に接続されている。
上部ジョイント102A〜Fのそれぞれは、筒状部の外表部に接続されており、下部ジョイント103A〜Fのそれぞれは、軸部の先端部に接続されている。上部ジョイント102A〜Fのそれぞれは、接続された筒状部の長手方向に直交する方向のうちの一つの方向の軸周りに回動自在に接続されている。下部ジョイント103A〜Fのそれぞれは、接続された軸部の長手方向に直交する方向のうちの一つの方向の軸周りに回動自在に接続されている。
このように、組立ハンド100は、減速機を介さない複数の電磁式アクチュエータの組み合わせによって構成されるスチュワートプラットフォーム型パラレルリンク機構を有している。
ハンドベース105の中央下部には、把持部であるグリップハンド106が設けられている。グリップハンド106は、互いの間隔が変更可能な、対向した板状部から構成されている。板状部同士の間に組付け部品が挟まれることにより組付け部品が保持された状態で、リンク機構が駆動されることにより組付け部品が所望の位置に移される。
図4は、本実施形態に係る組立ハンドの構成を示すブロック図である。図4に示すように、リニアモータ101A〜Fには、それぞれ電流測定部である電流センサ110A〜Fが接続されている。電流センサ110A〜Fは、接続されたリニアモータ101A〜Fに流れる電流値を測定する。
リニアモータ101A〜Fには、それぞれ位置測定部であるリニアエンコーダ120A〜Fが接続されている。リニアエンコーダ120A〜Fは、接続されたリニアモータ101A〜Fの位置を測定する。
電流センサ110A〜Fおよびリニアエンコーダ120A〜Fは、組立ハンド100の制御部130に接続されている。制御部130には、リニアエンコーダ120A〜Fにより測定されたリニアモータ101A〜Fの位置と、電流センサ110A〜Fにより測定された電流値とが入力される。よって、制御部130は、リニアモータ101A〜Fの位置と、リニアモータ101A〜Fに流れる電流値とを常に把握している。
制御部130は、後述するようにリンク機構の位置および駆動力を制御するリンク機構駆動指令部140を含む。また、制御部130は、組立ハンド100のコンプライアンス動作を可能にするためにリニアモータ101A〜Fに流れる電流値を制御する電流制御部150を含む。
以下、本実施形態に係る、グリップハンド106またはグリップハンド106によって把持されている組付け部品に負荷される外力のセンシング方法について説明する。
図5は、制御部によって行なわれる、グリップハンドまたはグリップハンドによって把持されている組付け部品に負荷される外力のセンシング方法の概念図である。グリップハンド106またはグリップハンド106に把持されている組付け部品に力が負荷された場合、リニアモータ101A〜Fにその力が伝達される。
本実施形態におけるパラレルリンク機構においては、減速機を介さない6つのリニアモータ101A〜Fと手首機構ベース104およびハンドベース105とが接続されているため、グリップハンド106またはグリップハンド106によって把持されている組付け部品に力が負荷された場合、その力はリニアモータ101A〜Fのそれぞれに分散されて伝達される。
なお、リニアモータ101A〜Fは、上部ジョイント102A〜Fおよび下部ジョイント103A〜Fにより保持されているため、リニアモータ101A〜Fには可動軸方向の力のみが負荷され、リニアモータ101A〜Fを曲げようとするモーメントが負荷されることはない。
リニアモータ101A〜Fの出力と、リニアモータ101A〜Fに流れる電流値とは、比例関係にある。そのため、リニアモータ101A〜Fに力が負荷された場合、負荷された力に応じてリニアモータ101A〜Fに流れる電流値が変化する。
よって、図5に示すように、電流センサ110A〜Fによるリニアモータ101A〜Fに流れる電流値の測定結果(I100)から、リニアモータ101A〜Fに負荷された力が推定可能である(I110)。
また、リニアモータ101A〜Fに設けられたリニアエンコーダ120A〜Fが測定したリニアモータ101A〜Fの位置情報(I200)から、リンク機構の位置および姿勢が算出可能である(I210)。
リニアエンコーダ120A〜Fによりリニアモータ101A〜Fの位置変化を測定することにより、リニアモータ101A〜Fの速度および加速度を算出する(I220)。算出されたリニアモータ101A〜Fの速度および加速度と、予め測定しておいたグリップハンド106および組付け部品の質量(I230)とから、グリップハンド106および組付け部品の移動によって生じる慣性力を算出する(I240)。
算出されたリンク機構の位置および姿勢(I210)から、リニアモータ101A〜Fの向きが分かる。この情報と推定されたリニアモータ101A〜Fに負荷された力(I110)とから,グリップハンド106またはグリップハンド106によって把持されている組付け部品に負荷される力を算出する(I120)。
算出されたグリップハンド106またはグリップハンド106によって把持されている組付け部品に負荷される力(I120)から、算出されたグリップハンド106および組付け部品の移動によって生じる慣性力を(I240)引くことにより、グリップハンド106またはグリップハンド106によって把持されている組付け部品に負荷される外力が算出される(I130)。上記の計算は、制御部130において行なわれる。
以下、組立ハンド100により組付け部品として位置決めピン201を対象物202の穴部203に嵌め込む際の動作について、図6から図11を用いて説明する。図6は、本実施形態に係る組立ハンド100が組付け部品を把持する前の状態を示す側面図である。なお、図6から図10においては、簡単のため、6本のリニアモータのうち3本のみ記載している。図11は、組立ハンドにより組付け部品を対象物の穴部に嵌め込む際の動作を示すフロー図である。
図6に示すように、組立ハンド100は、6本のリニアモータ101により、X,Y,Z方向およびその軸周りの6自由度を有している。
図7は、本実施形態に係る組立ハンドが位置決めピンを把持した状態を示す側面図である。図2,7,11に示すように、組立ハンド100のグリップハンド106で位置決めピン201を把持した状態で、位置決めピン201が対象物202の穴部203の近傍に位置するように、組立ハンド100を仮位置決めする(S100)。ただし、組立ハンド100自体は、大きな移動可能ストロークを有していないため、仮位置決めする際には、組立ハンド100を有する組立ロボット8が主に移動する。
図8は、本実施形態に係る組立ハンドが位置決めピンを対象物上に接触させた状態で滑らせながら穴部に近づけている状態を示す側面図である。図8,11に示すように、グリップハンド106が傾けられて位置決めピン201が傾斜させられた状態で、対象物202に位置決めピン201の一端が接触するまで、組立ハンド100が下降させられる(S110)。位置決めピン201の一端が対象物202の上面に接触した時点で、組立ハンド100の下降が停止される。その後、組立ハンド100は、位置決めピン201を傾斜させた状態のまま対象物202の上面を滑らせながら穴部203に近づくように、図8に示す矢印方向に移動させる(S120)。
位置決めピン201が穴部203の位置を通過する際には、穴部203の中に位置決めピン201の一端が落ち込んだ後、穴部203の上端の角部に位置決めピン201の一端が引っかかる状態となる。
この位置決めピン201が穴部203に引っかかった時点において、位置決めピン201が対象物202の上面を滑らせられている際にグリップハンド106に作用する反力より明らかに高い反力が作用する。リニアモータ101に設けられた電流センサ110A〜Fにより、この反力の変化を検出する(S130)ことで、位置決めピン201の位置が穴部203の位置に合致したことが確認できる。
図9は、本実施形態に係る組立ハンドが位置決めピンを鉛直方向に把持した状態を示す側面図である。図9,11に示すように、位置決めピン201の位置が穴部203の位置に合致したことを確認した後、組立ハンド100は、位置決めピン201の姿勢を位置決めピン201の長手方向が鉛直方向となるように変更する(S140)。
その後、位置決めピン201は、対象物202の穴部203に挿入される(S150)。このとき、位置決めピン201の長手方向および穴部203の深さ方向が、完全に鉛直方向と一致しているとは限らないため、グリップハンド106が、鉛直方向を軸とする回転方向にコンプライアンス動作可能になるようにする。
具体的には、図4に示す電流制御部150が、複数のリニアモータ101A〜Fのそれぞれに流れる電流値を制御することにより、複数のリニアモータ101A〜Fの外力に対する特性を変化させる。詳しくは、電流制御部150が複数のリニアモータ101A〜Fに対して一律に、鉛直方向であるZ軸方向における外力特性を高剛性制御し、水平方向であるX軸方向、Y軸方向およびX,Y,Z軸周りの外力特性を柔軟制御している。ここで、柔軟制御とは、所定の力以上の反力が負荷された場合にコンプライアンス動作するように制御することをいい、高剛性制御とは、コンプライアンス動作しないように制御することをいう。
このようにすることにより、位置決めピン201の長手方向と、穴部203の深さ方向とに僅かなズレがあった場合に、組立ハンド100は、そのズレを吸収するように位置決めピン201の傾きを修正しながら位置決めピン201を挿入することができる。
図10は、本実施形態に係る組立ハンドが位置決めピンを対象物の穴部に挿入した状態を示す側面図である。図10,11に示すように、組立ハンド100により位置決めピン201が完全に穴部203に挿入されたとき、位置決めピン201の一端と穴部203の底部とが接触する。このとき、グリップハンド106に大きな反力が作用する。この反力をリニアモータ101に設けられた電流センサ110A〜Fにより検出する(S160)ことで、位置決めピン201が穴部203に完全に挿入されたことが確認できる。ただし、位置決めピン201が穴部203の挿入途中において引っかかることによって反力が大きくなる可能性があるため、リニアモータ101の高さ方向の位置を同時に確認するようにしてもよい。
上記の動作中のリンク機構を制御しているのは、図4に示す制御部130に含まれるリンク機構駆動指令部140である。リンク機構駆動指令部140は、算出されたリニアモータ101A〜Fに負荷された外力と、入力されたリニアモータ101A〜Fのそれぞれの位置に基づいて、リンク機構の位置および駆動力を制御している。
以下、電流制御部150によりリニアモータ101A〜Fのそれぞれの外力に対する特性に異方性を持たせた状態において、組立ハンド100により組付け部品として位置決めピン201を対象物202の穴部203に嵌め込む際の動作について、図12から図16を用いて説明する。図16は、各リニアモータの外力特性に異方性を持たせた組立ハンドにより組付け部品を対象物の穴部に嵌め込む際の動作を示すフロー図である。
図12は、各リニアモータの外力特性に異方性を持たせた組立ハンドが位置決めピンを把持した状態を示す側面図である。図2,12,16に示すように、組立ハンド100のグリップハンド106で位置決めピン201を把持した状態で、位置決めピン201が対象物202の穴部203の近傍に位置するように、組立ハンド100を仮位置決めする(S200)。ただし、組立ハンド100自体は、大きな移動可能ストロークを有していないため、仮位置決めする際には、組立ハンド100を有する組立ロボット8が主に移動する。
図13は、各リニアモータの外力特性に異方性を持たせた組立ハンドが位置決めピンを対象物上に接触させた状態を示す側面図である。図13,16に示すように、組立ハンド100が下降させられる際に、電流制御部150が、各リニアモータ101のそれぞれに流れる電流値を個別に制御することにより、各リニアモータ101のそれぞれの外力に対する特性が異方性を有している。
具体的には、各リニアモータ101においては、位置決めピン201の挿入方向であるZ軸方向の外力特性は柔軟制御とされ、X,Y軸方向および、X,Y,Z軸周りの外力特性は高剛性制御とされる(S210)。この状態で、組立ハンド100が−Z軸方向に下降させられて、位置決めピン201が対象物202の上面に接触させられる(S220)。
各リニアモータ101のZ方向における外力特性は柔軟性を有しているため、高速で組立ハンド100が下降させられて位置決めピン201が対象物202の上面に衝突した場合、電流制御部150が設定している所定の電流制御値以上の反力は、コンプライアンス動作により吸収される。その結果、各リニアモータ101には電流制御部150の設定値以上のZ方向における外力が伝達されないため、各リニアモータ101に衝撃による影響が及ぶことを抑制することができる。よって、各リニアモータ101の外力特性に異方性を持たせることにより、組立ハンド100の下降速度を高速にすることが可能となる。
図13に示すように、位置決めピン201が対象物202の上面に接触した後、電流制御部150の制御が変更される。具体的には、位置決めピン201の挿入方向であるZ軸方向の外力特性が高剛性制御とされ、X,Y軸方向およびX,Y,Z軸周りの外力特性が柔軟制御とされる(S230)。この状態で、対象物202の穴部203の探索動作が行われる(S240)。
穴部203の探索動作は、上述したように、位置決めピン201の一端を対象物202の上面を滑らせながら、各リニアモータ101の水平方向(X,Y軸方向)の外力を検出することで行なわれる。各リニアモータ101に設けられた電流センサが、予め設定された閾値以上の反力を検出することで、穴部203の位置に位置決めピン201の位置が合致した状態で組立ハンド100が位置決めされる(S250)。
各リニアモータ101の水平方向(X,Y軸方向)における外力特性は柔軟性を有しているため、高速で組立ハンド100が探索動作を行なって位置決めピン201が穴部203に引っかかった場合、電流制御部150が設定している所定の電流制御値以上の外力は、コンプライアンス動作により吸収される。その結果、各リニアモータ101には電流制御部150の設定値以上の水平方向における外力が伝達されないため、各リニアモータ101に衝撃による影響が及ぶことが抑制される。よって、各リニアモータ101の外力特性に異方性を持たせることにより、組立ハンド100の探索動作を高速にすることが可能となる。
図14は、各リニアモータの外力特性に異方性を持たせた組立ハンドが位置決めピンを穴部に位置合わせした状態を示す側面図である。図14に示すように、探索動作により穴部203の位置に位置決めピン201が位置合わせされた後、組立ハンド100が位置決めピン201の挿入方向である−Z軸方向に下降させられることにより、位置決めピン201は、対象物202の穴部203に挿入される(S260)。
このとき、各リニアモータ101においては、水平方向(X,Y軸方向)およびX,Y,Z軸周りの外力特性は柔軟制御とされている。そのため、穴部203に対して位置決めピン201の位置が水平方向に僅かにズレている場合、および、穴部203に対して位置決めピン201が僅かに傾いている場合に、組立ハンド100は、その位置ずれおよび傾きをコンプライアンス動作により吸収しつつ、位置決めピン201を穴部203に挿入することができる。
図15は、各リニアモータの外力特性に異方性を持たせた組立ハンドが位置決めピンを対象物の穴部に挿入した状態を示す側面図である。図15,16に示すように、組立ハンド100により位置決めピン201が完全に穴部203に挿入されたとき、位置決めピン201の一端と穴部203の底部とが接触する。このとき、グリップハンド106に大きなZ軸方向の反力が作用する。この反力をリニアモータ101に設けられた電流センサ110A〜Fにより検出する(S270)ことで、位置決めピン201が穴部203に完全に挿入されたことが確認できる。
上記のように、各リニアモータの外力特性の異方性を適宜変更して、位置決めピン201の穴部203への嵌め込み動作を行なうことにより、組立ハンド100の動作を高速化させることができるため、液晶テレビの組立時間の短縮が図れる。
本実施形態における組立ハンド100においては、組立ハンド100は6自由度の動作が可能であるため、組立ロボット8により位置決めピン201を穴部203の近傍に配置した後は、組立ハンド100の動作のみで位置決めピン201を穴部203に嵌め込むことができる。
また、本実施形態の組立ハンド100においては、6つのリニアモータ101A〜Fが並列に接続されたパラレルリンク構造が採用されているため、リニアモータ101A〜Fの1つあたりの位置誤差が平均化され、6つのリニアモータ101A〜Fが直列に接続された構造と比較して、リンク機構の高精度な位置決めが可能である。さらに、6つのリニアモータ101A〜Fからリンク機構が構成されているため、高出力の組立ハンド100が形成できる。
さらに、本実施形態に係る位置および姿勢の補正機構を有する組立ハンド100は、組立ハンド100の先端にかかる力を力センサを用いることなく正確に測定してコンプライアンス動作することにより高速に動作可能である。
本実施形態の組立ハンド100において、位置決めピン201および穴部203の大まかな位置を認識できるカメラなどのセンサを設けた場合、組立ロボット8自身の位置決め精度が高くない場合においても、上記の組立ハンド100の動作を行なうことにより、精密部品の嵌め込みが可能となる。
本実施形態の組立ハンド100においては、位置決めピン201を挿入する時には、組立ハンド100の先方に位置している、ハンドベース105およびグリップハンド106のみが動作されるため、動作される部分の質量が小さく、低消費電力で高速な挿入動作が可能である。
なお、本実施形態においては、液晶テレビの組立を例に説明したが、本実施形態の組立ハンド100は、液晶テレビの組立に用いられるものに限定されず、他の一般的な組立にも適応可能である。また、位置決めピン201の嵌め込みを例に説明したが、本実施形態の組立ハンド100は位置決めピン201の嵌め込みだけでなく、部品同士の位置関係を組み立てハンド100の先端が部品に接触した際の外力により検知可能な作業に適応可能である。
以下、本発明の実施形態2に係る位置および姿勢の補正機構について説明する。
実施形態2
図17は、本発明の実施形態2に係る位置および姿勢の補正機構を有する組立ハンドの構成を示すブロック図である。図17に示すように、本実施形態の組立ハンド300においては、電磁式アクチュエータとしてダイレクトドライブモータ301A〜Fが用いられている。
ダイレクトドライブモータ301A〜Fのそれぞれには、電流測定部である電流センサ310A〜Fが設けられている。電流センサ310A〜Fは、ダイレクトドライブモータ301A〜Fのそれぞれに流れる電流値を測定する。
ダイレクトドライブモータ301A〜Fのそれぞれには、位置測定部であるエンコーダ320A〜Fが設けられている。エンコーダ320A〜Fは、ダイレクトドライブモータ301A〜Fのそれぞれの位置を測定する。
電流センサ310A〜Fおよびエンコーダ320A〜Fは、組立ハンド300の制御部330に接続されている。制御部330には、エンコーダ320A〜Fにより測定されたダイレクトドライブモータ301A〜Fの位置と、電流センサ310A〜Fにより測定された電流値とが入力される。よって、制御部330は、ダイレクトドライブモータ301A〜Fの位置と、ダイレクトドライブモータ301A〜Fに流れる電流値とを常に把握している。
制御部330は、リンク機構の位置および駆動力を制御するリンク機構駆動指令部340を含む。また、制御部330は、組立ハンド300のコンプライアンス動作を可能にするためにダイレクトドライブモータ301A〜Fのそれぞれに流れる電流値を制御する電流制御部350を含む。
ダイレクトドライブモータ301A〜Fの筒状部が手首機構ベース304に接続され、ダイレクトドライブモータ301A〜Fの回転軸がハンドベース305に接続される。この構造のダイレクトドライブモータ301A〜Fを組み合わせることで、実施形態1と同様のスチュワートプラットフォーム型パラレルリンク機構を構成することができる。
本実施形態に係る組立ハンド300においては、リンク長およびダイレクトドライブモータ301A〜Fに取り付けられたエンコーダ320A〜Fの測定結果から、パラレルリンク機構の位置および姿勢を算出することができる。さらに、電流センサ310A〜Fによるダイレクトドライブモータ301A〜Fに流れる電流値の測定結果から、ダイレクトドライブモータ301A〜Fにかかるトルクをダイレクトにセンシングすることができる。算出されたトルクと算出されたパラレルリンク機構の位置および姿勢の情報とから、把持部であるグリップハンド306またはグリップハンド306によって把持されている組付け部品に負荷される外力が算出される。他の構成については、実施形態1と同様であるため説明を省略する。
以下、本発明の実施形態3に係る位置および姿勢の補正機構について説明する。
実施形態3
図18は、本発明の実施形態3に係る位置および姿勢の補正機構を有する組立ハンドの構成を示す斜視図である。図18に示すように、組立ハンド400は、電磁式アクチュエータとして3本のリニアモータ401A〜Cを有している。リニアモータ401A〜Cは、長手方向を有する筒状部と、筒状部の内部に収容されて、筒状部の一端から突出した軸部とを有している。軸部は、筒状部内に直線的に出入り自在に保持されている。
3本のリニアモータ401A〜Cは、上部ジョイント402A〜Cにより手首機構ベース404と接続され、下部ジョイント403A〜Cによりハンドベース405と接続されている。
手首機構ベース404は、上方から平面視して、中心から外方に向けて3方向に延在している延在部を有し、3つの延在部の上面に上部ジョイント402A〜Cがそれぞれ接続されている。上部ジョイント402A〜Cは、接続された延在部の延在方向の軸周りに回動自在に接続されている。
ハンドベース405は、上方から平面視して、中心から外方に向けて3方向に延在している延在部を有し、3つの延在部の上面に下部ジョイント403A〜Cがそれぞれ接続されている。下部ジョイント403A〜Cは、接続された延在部の延在方向の軸周りに回動自在に接続されている。
上部ジョイント402A〜Cは、筒状部の外表部に接続されており、下部ジョイント403A〜Cは、軸部の先端部に接続されている。上部ジョイント402A〜Cは、接続された筒状部の長手方向に直交する方向のうちの一つの方向の軸周りに回動自在に接続されている。下部ジョイント403A〜Cは、接続された軸部の長手方向に直交する方向のうちの一つの方向の軸周りに回動自在に接続されている。
このように、組立ハンド400においては、減速機を介さない3つのリニアモータ401A〜Cを組み合わせることで、並進方向であるX,Y,Z軸方向の3自由度を持ったパラレルリンク機構が構成されている。
組立ハンド400においては、ハンドベース405の中央下部に把持部であるグリップハンド406が設けられ、グリップハンド406により組付け部品が把持される。
組立ハンドの姿勢を傾ける必要がある場合には、実施形態1に示したような6自由度を有する組立ハンドが必要であるが、たとえば、組付け部品を配置するだけの工程においては、組立ハンド自身の姿勢を変更する必要性はない。この場合、組立ハンド400は、X,Y,Z軸周りの回転に対する自由度を有する必要性がないため、実施形態1の組立ハンド100と比較して、リニアモータを3つ削減することができる。
このように、本実施形態における組立ハンド400は、実施形態1の組立ハンド100と比較して、軽量化されて、低消費電力で高速な動作が可能にされつつ低コスト化が図られる。
なお、力のセンシングおよび部品の嵌め込み方法は、実施形態1と同様であるため説明を繰返さない。ただし、本実施形態の組立ハンド400には、実施形態1の組立ハンド100のように組付け部品を傾ける軸が存在しないため、組付け部品を配置する際に反力によって位置ズレ量が把握できるように、組付け部品を対象物に押し当てる動作が必要である。
本実施形態においては、組立ハンド400が3つの電磁式アクチュエータによって構成されているが、電磁式アクチュエータの数はこれに限定されるものではなく、求められる動作に応じてリンク機構の軸数を変更することで、その作業にとって有効かつ廉価な組立ハンドが構成される。
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
1 コンベア、2 トレイ、3 ワーク、4 部品供給部、5 板状部品、6 棒状部品、7 作業者、8 組立ロボット、100,300,400 組立ハンド、101,101A〜F,401A〜C リニアモータ、102A〜F,402A〜C 上部ジョイント、103A〜F,403A〜C 下部ジョイント、104,304,404 手首機構ベース、105,305,405 ハンドベース、106,306,406 グリップハンド、110A〜F,310A〜F 電流センサ、120A〜F リニアエンコーダ、130,330 制御部、140,340 リンク機構駆動指令部、150,350 電流制御部、201 位置決めピン、202 対象物、203 穴部、301A〜F ダイレクトドライブモータ、320A〜F エンコーダ。

Claims (6)

  1. 減速機を介さない複数の電磁式アクチュエータの組み合わせによって構成されるリンク機構と、
    前記複数の電磁式アクチュエータのそれぞれの位置を測定する位置測定部と、
    前記複数の電磁式アクチュエータのそれぞれに流れる電流値を測定する電流測定部と、
    前記位置測定部により測定された前記位置および前記電流測定部により測定された前記電流値が入力される制御部と
    を備え、
    前記制御部は、前記位置測定部により測定された前記複数の電磁式アクチュエータのそれぞれの位置から前記リンク機構の位置を算出し、かつ、前記電流測定部により測定された前記電流値から前記複数の電磁式アクチュエータのそれぞれに負荷された力を算出し、
    前記制御部は、算出された前記力と入力された前記複数の電磁式アクチュエータのそれぞれの位置に基づいて、前記リンク機構の位置および駆動力を制御するリンク機構駆動指令部を含む、位置および姿勢の補正機構。
  2. 前記制御部は、前記複数の電磁式アクチュエータのそれぞれに流れる電流値を制御する電流制御部を含み、
    前記電流制御部が、前記複数の電磁式アクチュエータに流れる電流値を制御することにより、前記複数の電磁式アクチュエータの外力に対する特性が変化する、請求項1に記載の位置および姿勢の補正機構。
  3. 前記電流制御部が、前記複数の電磁式アクチュエータのそれぞれに流れる電流値を個別に制御することにより、前記複数の電磁式アクチュエータのそれぞれの外力に対する特性が異方性を有する、請求項2に記載の位置および姿勢の補正機構。
  4. 前記電磁式アクチュエータがリニアモータである、請求項1から3のいずれかに記載の位置および姿勢の補正機構。
  5. 前記電磁式アクチュエータがダイレクトドライブモータである、請求項1から3のいずれかに記載の位置および姿勢の補正機構。
  6. 前記電流制御部が、柔軟制御および高剛性制御を行なう、請求項2または3に記載の位置および姿勢の補正機構。
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