JP2012023526A - 屈曲振動片、振動子、発振器および電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動腕を振動させる振動変位エネルギーの損失を抑制し、安定した振動特性を維持することが可能な屈曲振動片を提供する。
【解決手段】屈曲振動片である水晶振動片1は、基部2と、基部2から延長して形成された振動腕3と、積層構造体9と、を備え、積層構造体9は、第1電極である励振電極12と、第2電極である励振電極22と、励振電極12および励振電極22との間に配置された圧電体層6と、を含み、少なくとも振動腕3に形成され、圧電体層6は、基部2の側に位置する端部が傾斜部4を有していることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、振動腕を有する屈曲振動片、屈曲振動片を備えた振動子、発振器、および電子機器に関する。
従来、屈曲振動片は、特許文献1に開示されているように、基部から延出する振動腕の表面に圧電体素子を備えていて、圧電体素子へ駆動電圧を印加して圧電体素子を変形させることにより、振動腕を所定方向へ屈曲させている。この場合、圧電体素子は、2つの電極で圧電体膜を挟みこんだ構成のものであり、これら2つの電極に対して駆動電流を印加して圧電体膜を変形させるようになっている。つまり、屈曲振動片は、圧電特性の良い膜体である圧電体素子を変形させて振動腕を屈曲させているため、振動腕を構成する基材が圧電性材でなくても良い、という特徴を有している。
特開2009−5022号公報
しかし、従来の技術では、圧電体素子が屈曲するために、2つの電極の間に圧電体膜が形成されていれば良い構成であった。振動腕を振動させる振動変位エネルギーは、電極の中央部において最大であり、中央部から離反するにつれて減衰し、さらに、圧電体膜の端部では、圧電体膜内に該振動変位エネルギーを保持できずに一部が損失となっていた。この傾向は、特に振動腕が延出して繋がっている基部側の端部において、顕著である。従来、この損失による圧電体膜への影響は、圧電体膜全体から見れば軽微なものであった。近年、圧電体膜を含む屈曲振動片が小型化される傾向にあり、小型化を推し進めていくほど、この損失の影響度が大きくなり、振動腕の振動特性を維持することが難しくなってきた。このように、単に圧電体膜を形成しただけでは、振動変位エネルギーを安定して保持することや、屈曲振動片をより小型化しつつ安定した振動特性を維持すること、が困難である、という課題が生じている。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る屈曲振動片は、基部と、前記基部から延長して形成された振動腕と、第1電極と、第2電極と、前記第1電極および前記第2電極との間に配置された圧電体層と、を含み、少なくとも前記振動腕に形成されている積層構造体と、を備え、前記圧電体層は、前記基部の側に位置する端部が傾斜部を有していることを特徴とする。
この屈曲振動片によれば、積層構造体(背景技術における圧電体素子)は、少なくとも振動腕には形成されていて、積層構造体の圧電体層(圧電体膜)は、所定の厚さを有した状態である。そして、圧電体層の外周をなす端部では、振動腕の面に対して、当該厚さ分だけ段差となっていて、この段差の部分は、振動腕の面とほぼ直角であり、圧電体層のいわゆる側面に該当する。そして、圧電体層は、外周をなす端部のうち、基部の側に位置する端部が傾斜部の形態を有している。この傾斜部は、圧電体層と振動腕の面との急激な段差を解消するために、緩やかな傾斜で形成されている。そのため、基部から圧電体層端部の段差を経て圧電体層まで第1電極または第2電極を蒸着等で形成する際に、端部の段差が傾斜部であれば、急激な段差をなす側面に形成する場合に比べ、より確実に且つ容易に形成することが可能である。つまり、傾斜部には、基部および圧電体層の面に形成された第1電極または第2電極とほぼ同等な電極が形成される。さらに、傾斜部が確実に形成された圧電体層は、積層構造体の基部側において、基部に対向する傾斜部の面が振動腕および基部との間隙を徐々に狭めていくように構成されており、振動変位エネルギーを振動腕および基部との間に徐々に閉じ込める効果、即ち振動変位エネルギーを圧電体層内に閉じ込める効果、を発揮するようになっている。従って、従来振動腕が直接繋がっている基部の側では保持し難った振動変位エネルギーが、傾斜部により、損失を抑制して保持されることになる。これにより、傾斜部を有する屈曲振動片は、振動変位エネルギーが確実に保持されるため、安定した振動特性を維持することが可能であり、小型化にも対応することが可能である。
[適用例2]上記適用例に係る屈曲振動片において、前記傾斜部は、前記基部の基面に設けられた第1基点と、前記振動腕に形成された前記圧電体層の層面に設けられた第2基点と、の間に形成され、前記第2基点は、前記基部と前記振動腕との連結部に位置していることが好ましい。
この構成によれば、連結部は、基部から延長する振動腕の付け根部分であって、傾斜部は、この連結部の位置から基部の方向へ向けて形成されている。傾斜部の第1基点は、基部の基面に位置し、傾斜部の第2基点は、圧電体層の層面に位置して基部の基面から圧電体層の厚さ分だけ離反している。このように、傾斜部の第2基点が連結部に位置していれば、振動腕に傾斜部がかからないため、圧電体層は、振動腕において、一定の間隙を保持した第1電極と第2電極とにより、振動変位エネルギーの最大化を図ることができ、加えて、連結部から基部の方向側では、傾斜部の効果により、振動変位エネルギーを閉じ込めてその損失を確実に抑制することが可能である。これにより、屈曲振動片は、振動腕において、圧電体層が振動変位エネルギーを十分に保持することによって、より安定した振動特性を維持することが可能である。
[適用例3]上記適用例に係る屈曲振動片において、前記傾斜部は、前記基部の側に位置する端部と反対側に位置する端部および前記圧電体層の側面の少なくともいずれかに設けられたことが好ましい。
この構成によれば、圧電体層は、振動変位エネルギーの保持が難しい基部側の端部に、傾斜部を有するだけでなく、圧電体層の外周をなす端部における基部側以外の部位、即ち基部と反対側に位置する端部や振動腕の延長方向に沿って位置する側面、の全部またはいずれかに傾斜部を有している。これにより、圧電体層の外周をなす端部のより広い範囲において、傾斜部の効果が発揮され、振動変位エネルギーを圧電体層内に閉じ込めて、振動変位エネルギーの損失をより確実に抑制することが可能である。
[適用例4]上記適用例に係る屈曲振動片において、前記傾斜部は、斜面状または階段状に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、傾斜部は、例えば、平面や曲面等によって斜面状をなして傾斜している形態や、階段状をなして傾斜している形態である。傾斜部は、緩やかな傾斜の形態であれば、斜面状や階段状であっても、振動変位エネルギーを閉じ込める効果を得ることができ、振動変位エネルギーの損失を抑制することが可能である。
[適用例5]上記適用例に係る屈曲振動片において、前記積層構造体は、前記振動腕の表裏両面にそれぞれ配置されていることが好ましい。
この構成によれば、屈曲振動片は、振動腕における表面および裏面のそれぞれの側に積層構造体を有している。いずれの積層構造体も傾斜部を有していて、振動変位エネルギーの損失を抑制して保持することができ、これにより、屈曲振動片は、表裏両面の積層構造体の相乗効果でより確実に屈曲し、安定した振動特性を維持することが可能である。
[適用例6]上記適用例に係る屈曲振動片において、前記振動腕は、前記基部から延長する方向と平面視で直交する方向に沿って複数本配列され、前記傾斜部を含む前記圧電体層をそれぞれ有し、端から数えて奇数番目の前記振動腕の前記第1電極と、偶数番目の前記振動腕の前記第2電極とが接続され、端から数えて偶数番目の前記振動腕の前記第1電極と、奇数番目の前記振動腕の前記第2電極とが接続されていることが好ましい。
この構成によれば、屈曲振動片は、傾斜部が形成された圧電体層を含む積層構造体がそれぞれ配置されている、振動腕を複数本有している。そして、屈曲振動片へ駆動電流が印加されると、隣り合う振動腕が異なる方向へ屈曲するように、各振動腕の第1電極と第2電極とが相互に接続されている。このような複数の振動腕においても、各振動腕が傾斜部を有することにより、それぞれ振動変位エネルギーを閉じ込めて保持することができ、振動変位エネルギーの損失を確実に抑制することが可能である。
[適用例7]本適用例に係る振動子は、上記のいずれか一項に記載の屈曲振動片と、前記屈曲振動片を収容するパッケージと、を備えていることを特徴とする。
この振動子によれば、パッケージ内に備えられている屈曲振動片は、傾斜部を有することにより、振動変位エネルギーを確実に保持でき、小型化されても安定して振動することが可能である。このような屈曲振動片を備えた振動子は、駆動電流が印加されると、安定した振動特性を維持し、且つ小型化を図ることも可能である。
[適用例8]本適用例に係る発振器は、上記に記載の屈曲振動片と、前記屈曲振動片を発振させるための発振回路を有する回路素子と、を備えていることを特徴とする。
この発振器によれば、屈曲振動片を発振させるための回路素子を付加してパッケージ化したものであって、屈曲振動片と回路素子等との配線の煩わしさを解消して、実装等を容易にすることが可能である。
[適用例9]本適用例に係る電子機器は、上記に記載の屈曲振動片を備えていることを特徴とする。
この電子機器によれば、安定した振動を維持することや、小型化すること、が可能な屈曲振動片をタイミングデバイス等として備えており、屈曲振動片を搭載した電子機器は、小型化が図れ、確実で安定した動作を保障することが可能である。
本発明における第1実施形態に係る水晶振動片の外観を示す斜視図。 (a)水晶振動片の傾斜部を示す斜視図、(b)水晶振動片の傾斜部を示す断面図。 水晶振動片の屈曲原理を示すための模式図。 傾斜部における振動変位エネルギーの閉じ込め効果を示す模式図。 本発明における第2実施形態に係る水晶振動片の外観を示す斜視図。 (a)水晶振動子の蓋体を開けた状態を示す平面図、(b)水晶振動子を示す断面図。 水晶振動子の製造方法を示すフローチャート。 (a)発振器の蓋体を開けた状態を示す平面図、(b)発振器を示す断面図。 (a)携帯電話を示す斜視図、(b)モバイルコンピューターを示す斜視図。 傾斜部の変形例を示す斜視図。
以下、屈曲振動片について、具体的な実施形態を図面に従って説明する。本実施形態の屈曲振動片は、3本の振動腕が屈曲する水晶振動片の場合を一例にして説明する。なお、図面において、描かれている屈曲振動片等は、分かりやすいように部分的に縮尺を異ならせて部分的に強調してある。
(第1実施形態)
図1は、本発明における第1実施形態に係る水晶振動片の外観を示す斜視図である。この水晶振動片(屈曲振動片)1においては、図1に示すように、基部2と振動腕3とが同一平面である側を表面側とし、基部2と振動腕3とがz’軸方向に段状をなしている側を裏面側とする。
最初に、水晶振動片1を形成する水晶について、簡単に説明する。水晶振動片1は、六角柱の水晶柱から切り出され、水晶柱は、柱の長手方向に光軸であるz軸と、z軸に垂直な六角形面のx−y平面において六角形の辺に平行な電気軸であるx軸と、x軸に垂直な機械軸であるy軸とを有している。また、六角形の辺に平行なx軸は、それぞれ120度の等角度で3本あって、これらのx軸によりx−y平面に形成される3つの面は、エッチング方向によるエッチング進行速度の違い等がそれぞれの面で同一である、という三方晶の性質を有している。このような水晶柱において、水晶振動片1は、x−y平面を、x軸とy軸との交点(座標原点)からみてx軸回りに角度5度傾けた平面に沿う水晶z板から切り出されたものである。この水晶z板は、x軸と、y’軸およびz’軸と、により表される。
水晶を基材とした水晶振動片1は、x軸方向を幅方向とする基部2と、基部2からy’軸方向へそれぞれ延長している3本の振動腕3(3a,3b,3c)と、を有している。振動腕3は、振動腕3bを中央にして、3本がx軸に沿って順に並んでいて、この場合、振動腕3aおよび振動腕3cが奇数番目に該当し、振動腕3bが偶数番目に該当する。また、基部2は、z’軸方向の厚さが振動腕3より厚く設定されていて、基部2および振動腕3ともに直方体の形状である。
水晶振動片1は、振動腕3aの表面に、振動腕3を屈曲させるための駆動電流を印加する役目を果たす、第1電極である励振電極12aが形成され、振動腕3bの表面に、第1電極である励振電極12bが形成され、振動腕3cの表面に、第1電極である励振電極12cが形成されている。なお、振動腕3に設けられたこれら励振電極12a,12b,12cは、振動腕3の各先端部分には形成されていない。
そして、水晶振動片1において、振動腕3の先端部を除いた表面側には、励振電極12(12a,12b,12c)を覆って、それぞれ圧電体層6(6a,6b,6c)が形成されている。この圧電体層6は、圧電性を有する酸化亜鉛(ZnO)により略直方体に形成されていて、圧電体層6の厚さ方向に沿った段差部分である側面のうち、基部2の側を向いている一面が傾斜部4(4a,4b,4c)の形態であって、該厚さ方向に沿っていない平面からなる斜面状となっている。この傾斜部4については、図2を参照して後述する。
また、各振動腕3には、振動腕3aの励振電極12aに対し圧電体層6aを挟んで対向する位置に、第2電極である励振電極22aが形成され、振動腕3bの励振電極12bに対し圧電体層6bを挟んで対向する位置に、第2電極である励振電極22bが形成され、振動腕3cの励振電極12cに対し圧電体層6cを挟んで対向する位置に、第2電極である励振電極22cが形成されている。これら励振電極12と、圧電体層6と、励振電極22とは、積層構造体9を構成しており、積層構造体9は、振動腕3aにおいては、励振電極12aと、圧電体層6aと、励振電極22aとで構成され、振動腕3bにおいては、励振電極12bと、圧電体層6bと、励振電極22bとで構成され、振動腕3cにおいては、励振電極12cと、圧電体層6cと、励振電極22cとで構成されている。即ち、積層構造体9は、水晶振動片1においては、第1電極である励振電極12a,12b,12cを振動腕3の側にした構成となっている。
また、基部2には、振動腕3c寄りの角部に電極端子10が形成されていて、この電極端子10と励振電極12aとを電気的に接続するために、電極配線11aが基部2に形成されている。さらに、電極配線11aから分岐し電極配線11aと励振電極12cとを電気的に接続するために、電極配線11cが基部2に形成され、電極配線11cから分岐し電極配線11cと圧電体層6bに形成されている励振電極22bとを電気的に接続するために、電極配線11bが形成されている。なお、電極配線11a,11b,11cは、励振電極12,22より細い幅で形成されていて、この場合、電極配線11bは、圧電体層6bの傾斜部4bに形成されている励振電極22bに接続されている。
また、基部2には、振動腕3a寄りの角部に電極端子20が形成されていて、この電極端子20と圧電体層6aに形成された励振電極22aとを電気的に接続するために、電極配線21aが基部2に形成されている。この電極配線21aは、圧電体層6aの傾斜部4aに形成されている励振電極22aに接続されている。そして、電極配線21aから分岐し電極配線21aと圧電体層6cに形成された励振電極22cとを電気的に接続するために、電極配線11a,11cを跨ぐ電極配線21dと電極配線21dに接続した電極配線21cとが形成されている。電極配線21cは、圧電体層6cの傾斜部4cに形成されている励振電極22cに接続されている。さらに、電極配線21dから分岐し電極配線21dと振動腕3bに形成された励振電極12bとを電気的に接続するために、電極配線21bが形成されている。これら電極端子10,20、電極配線11,21および励振電極12,22は、チタン(Ti)と金(Au)との2層からなる金属膜で形成されている。この金属膜については、図7のステップS3およびステップS6を参照して後述する。
なお、この構成では、電極配線21dは、基部2の表面において、電極配線11a,11cを跨いで交叉しなくてはならない。そこで、基部2の該交差する領域に、電極配線11a,11cを覆う酸化亜鉛(ZnO)の圧電体層7を設け、設けた圧電体層7へ電極配線21dを形成することにより、電極配線21dと電極配線11a,11cとの短絡を回避している。この場合、圧電体層7は、3つの貫通孔5(5a,5b,5c)を有している。各貫通孔5の孔壁には、金属膜が形成されていて、貫通孔5aは、電極配線21aと電極配線21dとを接続し、貫通孔5bは、電極配線21dと電極配線21bとを接続し、貫通孔5cは、電極配線21dと電極配線21cとを電気的に接続している。
ここで、傾斜部4の詳細について説明する。図2(a)は、水晶振動片の傾斜部を示す斜視図、図2(b)は、水晶振動片の傾斜部を示す断面図である。図2では、振動腕3aにおける傾斜部4aを示してある。
図2(a)および(b)に示すように、振動腕3aは、振動腕3aの表面側に形成された励振電極12aと、励振電極12aを覆って形成された圧電体層6aと、圧電体層6aの厚さだけ励振電極12aから離反している圧電体層6aの層面60に形成された励振電極22aと、を有している。そして、圧電体層6aの基部2の側の側面は、層面60から基部2の表面側である基面2aへかけて、該厚さが徐々に減じている斜面状をなす傾斜部4aとなっている。つまり、傾斜部4aは、基面2aの第1基点61と、層面60の第2基点62と、の間に平面で形成された斜面である。この傾斜部4aには、励振電極22aが層面60から連続して形成されている。
層面60の第2基点62は、基部2と基部2から延長する振動腕3aとの接点、即ち振動腕3aの付け根部分、である連結部8に対し、z’軸方向において同位置となるように設定されている。この設定では、傾斜部4aが基部2の基面2a側に形成されていることになり、傾斜部4aにおける圧電体層6aと基面2aとの間に、励振電極12aからの電極配線11aを形成することができると共に、振動腕3aにおける圧電体層6aを励振電極12aと励振電極22aとの間に均一な厚さで形成することができる。また、振動腕3bにおける傾斜部4bおよび振動腕3cにおける傾斜部4cも、傾斜部4aと同様な構成で形成されている。
次に、上記のような構成の水晶振動片1が、この場合屈曲して振動する原理について説明する。図3は、水晶振動片の屈曲原理を示す模式図である。水晶振動片1には、電極端子10または電極端子20から駆動電流が印加される。例えば、電極端子10から電極端子20へ駆動電流が印加されると、振動腕3aにおける駆動電流は、励振電極12aから励振電極22aを経て、さらに傾斜部4aを介して電極端子20へ至る方向となる。同様に、振動腕3cにおける駆動電流は、励振電極12cから励振電極22cを経て、さらに傾斜部4cを介して電極端子20へ至る方向となる。つまり、振動腕3aおよび振動腕3cでは、振動腕3a,3cの裏面側から表面側の方向へ駆動電流が印加されるため、共に、同一方向へ向いた電界が生じる。一方、振動腕3bにおける駆動電流は、傾斜部4bを介して励振電極22bへ至り、励振電極22bから励振電極12bを経て電極端子20へ至る方向となる。つまり、振動腕3bでは、振動腕3bの表面側から裏面側の方向へ駆動電流が印加されるため、振動腕3aおよび振動腕3cとは異なる方向の電界が生じる。
従って、振動腕3aおよび振動腕3cが、z’軸に沿って表面側の方向へ屈曲する際、振動腕3bは、z’軸に沿って裏面側の方向へ屈曲することになる。そして、電極端子10および電極端子20へ印加する駆動電流の方向を変えると、各振動腕3は、それぞれ逆方向へ屈曲する。つまり、振動腕3へ印加する駆動電流の方向を交互に変えることにより、振動腕3は、屈曲を繰り返して振動し、その振動は、隣り合って位置する振動腕3が互いに逆の位相で屈曲する、いわゆる面外振動である。
次に、水晶振動片1が傾斜部4を有することによる、傾斜部4aの作用およびその効果について述べる。図4は、傾斜部における振動変位エネルギーの閉じ込め効果を示す模式図である。図4は、振動腕3aのy’軸に沿う方向の断面であって、圧電体層6aの有する傾斜部4aでの振動変位エネルギー30を示している。図4に示すように、振動変位エネルギー30は、励振電極12aと励振電極22aとの間に均一な厚さで挟持された圧電体層6aにおいて、ほぼ均等に分布している。しかし、圧電体層6aにおいて、圧電体層6aの厚さ方向、即ち基面2aに直角方向、である側面近傍では、振動変位エネルギー30が側面で内部側へ反射されて多少閉じ込められるが、閉じ込められずに振動腕3aや基部2へ損失となって失われてしまう振動変位エネルギー30も多い。この損失は、振動腕3aが連結部8で基部2と繋がっている、基部2側の圧電体層6aにおいて、より顕著である。
そこで、水晶振動片1は、連結部8に位置する圧電体層6aの第2基点62と、基面2aの第1基点61と、を結ぶ傾斜部4aを有している。この傾斜部4aは、第2基点62から第1基点61へ向かうにつれて、圧電体層6aの厚さが薄くなっていく斜面状をなしている。従って、振動変位エネルギー30は、この斜面によって、振動が徐々に減衰されていくようにして、圧電体層6a内に閉じ込められる。これにより、圧電体層6aには、より多くの振動変位エネルギー30が蓄えられることになり、いわゆるCI値を低下させることが可能である。CI値の低下により、圧電体層6aは、安定して確実に屈曲し、圧電体層6aの屈曲に伴って、振動腕3aも安定して確実に屈曲することができる。さらに、傾斜部4aであれば、圧電体層6aの段差状になっている側面へ励振電極22aを形成する場合に比べ、励振電極22aをより容易且つ確実に形成できる、という効果もある。なお、振動腕3bおよび振動腕3cにおける振動変位エネルギー30も、傾斜部4b,4cによる振動変位エネルギー30の閉じ込め効果により、振動腕3aの場合と同様な作用効果を発揮する。従って、傾斜部4を有する水晶振動片1は、安定した振動を維持することができ、小型化も可能である。
(第2実施形態)
次に、屈曲振動片として水晶振動片1以外の他の実施形態について説明する。図5は、本発明における第2実施形態に係る水晶振動片の外観を示す斜視図である。本実施形態の水晶振動片50と、実施形態1における水晶振動片1と、の相違点は、各振動腕3の圧電体層6において、傾斜部40,65の構成が異なっていることである。従って、水晶振動片1と同一の構成部分については、同一符号を付して説明を省略する。なお、図5では、水晶振動片50の振動腕3aの部分のみを表している。
図5に示すように、水晶振動片50の振動腕3aは、振動腕3aの表面側に、励振電極12a(図1)と、圧電体層6aと、圧電体層6aの層面60に形成された励振電極22aと、を有している。そして、圧電体層6aの基部2側の側面は、水晶振動片1における傾斜部4と同様な斜面状をなす傾斜部40となっていて、傾斜部40は、圧電体層6aの層面60から基部2の基面2aへかけて、基面2aの第1基点61と層面60の第2基点62とを結ぶように形成されている。この傾斜部40には、励振電極22が層面60から連続して形成されている。また、振動腕3aにおける第2基点62は、振動腕3aの付け根部分である連結部8に対し、z’軸方向において同位置に設定されている。
さらに、水晶振動片50は、振動腕3aにおいて、圧電体層6aの外周をなす側面のうち、基部2の側に傾斜部40を有するだけでなく、他の側面にも傾斜部65を有している。振動腕3aにおいて、振動腕3aの先端側の側面に、傾斜部65aを有し、傾斜部40と傾斜部65aとの間を結んで位置する2つの側面に、それぞれ傾斜部65bと傾斜部65cとを有している。即ち、振動腕3aは、圧電体層6aの外周をなす側面のすべてが斜面状の傾斜部40,65a,65b,65cとなっている。同様に、振動腕3b,3cにも、傾斜部40および傾斜部65(共に不図示)が形成されている。
これにより、水晶振動片50は、水晶振動片1に比べて、圧電体層6aの外周をなす側面のより広い範囲において、傾斜部40,65による効果が発揮されるため、振動変位エネルギー30(図4)を圧電体層6内に閉じ込めることができ、振動変位エネルギー30の損失をより確実に抑制することができる。
以下では、実施形態1の水晶振動片1または実施形態2の水晶振動片50を用いた水晶振動子(振動子)について説明する。図6(a)は、水晶振動子の蓋体を開けた状態を示す平面図である。図6(b)は、水晶振動子を示す断面図であり、図6(a)のE−E’における断面図である。図6では、傾斜部4を有する水晶振動片1を用いた場合を示しているが、水晶振動片50を用いても同様な効果が得られる。
図6において、水晶振動子(振動子)100は、水晶振動片1と、水晶振動片1を収容したパッケージ70を備えている。パッケージ70は、一方に開口を有する箱状のパッケージベース71と、パッケージベース71の開口を閉鎖するための蓋体73と、パッケージベース71と蓋体73とを接合するためのシームリング72と、により構成されている。また、パッケージベース71は、その箱状内部に形成され水晶振動片1を載置するための段部77と、段部77に設けられ水晶振動片1の電極端子10,20と接続するための2つの振動片接続端子76と、パッケージベース71の外周部に設けられ振動片接続端子76からの配線により電気的に接続されている外部接続端子75と、を有している。この場合、パッケージベース71および蓋体73は、セラミックにより形成され、シームリング72は、コパール合金で形成されている。なお、形成材は、これらに限定されるものではない。
そして、段部77には、水晶振動片1の基部2の裏面側が、接着剤79を介して、接着固定され、振動腕3a,3b,3cが自由端として片持ち支持されている。また、水晶振動片1の電極端子10,20は、ボンディングワイヤー78によって、振動片接続端子76にそれぞれ接続されている。そして、水晶振動子100は、パッケージベース71と蓋体73とを、減圧状態下において、シームリング72で接合することにより、水晶振動片1を収容した空間を減圧雰囲気にしている。なお、水晶振動片1を収容した空間は、減圧雰囲気ではなく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを封入した雰囲気等でも良い。
このような構成の水晶振動子100は、外部接続端子75を介して外部から駆動電流が印加されることにより、水晶振動片1が励振され、所定の周波数で振動することができる。これにより、水晶振動子100は、水晶振動片1が連結部8に傾斜部4を有していて、傾斜部4に確実に励振電極22を形成できると共に、傾斜部4により圧電体層6内に振動変位エネルギー30を閉じ込めて、振動変位エネルギー30の損失を抑制できるため、優れた振動特性を維持することができ、小型化も可能である。
続いて、水晶振動片1,50の内、ここでは水晶振動片1の製造工程を含む水晶振動子100の製造工程について説明する。図7は、水晶振動子の製造工程を示すフローチャートである。本製造工程では、ウエハー状の基材をベースにして、水晶振動片1を製造するため、ウエハー状の基材として水晶ウエハーを用意する。水晶ウエハーは、既述した水晶z板の表面を研磨して平坦な平板形状としたものである。
まず、ステップS1において、振動腕3の薄化エッチングを行う。水晶振動片1においては、振動腕3となるべき部位の裏面側が、基部2より薄くなっている。そのため、まず、水晶ウエハーにレジスト膜を塗布し、振動腕3の裏面を、エッチングで除去できるように、レジスト膜のパターニングを行う。こうして露出した水晶ウエハーの部分をバッファード弗酸(BHF)で所定時間だけエッチングし、振動腕3を所定厚になるまで薄く形成する。水晶振動片1において、基部2の厚さは50μm〜100μmが好ましく、この場合50μmとなるよう水晶ウエハー厚を決め、振動腕3の厚さは2μm〜10μmが好ましく、この場合2μmにエッチングした。そして、レジスト膜を除去してステップS2へ進む。
ステップS2において、外形のエッチングを行う。まず、水晶ウエハーにレジスト膜を塗布してから、フォトリソグラフィーにより、水晶振動片1の振動腕3形状を含む外形形状、および外形形状同士を接続する連結部形状にあわせて、レジスト膜をパターニングする。この状態で、水晶ウエハーの露出した部分をバッファード弗酸(BHF)でエッチングして、水晶振動片1の外形と、連結部と、を形成する。これにより、水晶ウエハーに対し、それぞれ細い連結部で接続された、水晶振動片1となるべき多数の外形完成状態のものが得られる。エッチング後、レジスト膜を剥離してステップS3へ進む。
ステップS3において、水晶面に電極形成を行う。まず、水晶ウエハーの表面全体に、この場合、チタン(Ti)膜と金(Au)膜とからなる金属膜を形成する。そして、金属膜にレジスト膜を形成し、このレジスト膜には、電極端子10と、電極端子10と接続する電極配線11a,11b,11cと、電極配線11aと接続する励振電極12aと、電極配線11cと接続する励振電極12cと、励振電極12bと、に対応したパターニングがなされる。さらに、レジスト膜には、電極端子20と、電極端子20と接続する電極配線21aと、励振電極12bに接続する電極配線21bと、電極配線21cと、に対応したパターニングがなされる。レジスト膜の形成後、レジスト膜のない金属膜の部分をエッチングして電極端子10,20、電極配線11a,11b,11c,21a,21b,21cおよび励振電極12a,12b,12cを形成する。この場合、振動腕3の先端に錘金属膜(不図示)として金属膜を残しておく。電極の形成後、レジスト膜を剥離してステップS4へ進む。
ステップS4において、圧電体層の形成をする。ステップS4では、圧電体層6,7となるべき圧電性を有する層として、酸化亜鉛(ZnO)を基部2および振動腕3に形成する。酸化亜鉛(ZnO)は、反応性スパッタリングにより、振動腕3において励振電極12を覆って0.4μm〜0.05μm程度の厚さで形成されることが好ましく、この場合、0.1μmの厚さで形成されている。酸化亜鉛(ZnO)は、反応性スパッタリングによる成膜中において、柱状結晶が成長する際に、配向性が揃い、分極反転が起こり難い特性を有している。そこで、この特性をより活かすため、酸化亜鉛(ZnO)が形成される励振電極12の上層膜として、酸化亜鉛(ZnO)の配向性を揃える効果を促しやすい金(Au)を用いている。このように形成された酸化亜鉛(ZnO)は、z’軸方向とy’軸方向とのエッチング速度が異なる、いわゆる異方性を有している。
なお、金(Au)以外に酸化亜鉛(ZnO)の配向性を促す可能性のある金属膜としては、Pt、Al、Ag、Cu、Mo、Cr、Nb、W、Ni、Fe、Ti、Co、Zn、Zr、などがある。また、圧電体層7となる層は、記述したように電極配線21dと電極配線11a,11cとの短絡を回避するための、絶縁層として機能するものであって、絶縁層として機能するものであれば、酸化亜鉛(ZnO)に限定されるものではなく、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si34)、アルミナ(Al23)等により別途ステップで形成されても良い。圧電体層6,7となる酸化亜鉛(ZnO)の形成後、ステップS5へ進む。
ステップS5において、圧電体層6に傾斜部4を形成する。傾斜部4は、金属膜と同様のパターニングとエッチングとにより形成され、この場合2回行われる。1回目は、圧電体層6の層面60が第1基点61の部分まで延びた状態の一面を有する直方体を形成するよう、酸化亜鉛(ZnO)の異方性に左右され難い燐酸を用いてエッチング加工する。燐酸を用いれば、酸化亜鉛(ZnO)の異方性に関わらず、酸化亜鉛(ZnO)の厚さに該当する側面を基部2および振動腕3の表面に対して、ほぼ直角にエッチングできる。圧電体層7も、1回目のパターニングとエッチングとにより、貫通孔5(5a,5b,5c)と共に形成される。そして、2回目は、1回目のレジストを剥離し、第2基点62および連結部8を境界として、振動腕3側の酸化亜鉛(ZnO)にレジストを塗布する。この状態で、塩酸を用いて、酸化亜鉛(ZnO)をエッチングする。塩酸によるエッチングでは、酸化亜鉛(ZnO)の異方性により、z’軸方向とy’軸方向とのエッチング速度が異なるため、酸化亜鉛(ZnO)は、第2基点62から基部2の表面へほぼ直角にエッチングされるのではなく、第2基点62から第1基点61へ斜面を形成しつつエッチングされる。この斜面が傾斜部4(4a,4b,4c)である。傾斜部4の形成後、レジストを剥離して、ステップS6へ進む。
ステップS6において、圧電体層6,7の面に電極を形成する。ここで形成される電極は、電極配線21aと電気的に導通し、振動腕3aの圧電体層6aの傾斜部4aおよび層面60に形成される励振電極22aと、電極配線11bと電気的に導通し、振動腕3bの圧電体層6bの傾斜部4bおよび層面60に形成される励振電極22bと、電極配線21cと電気的に導通し、振動腕3cの圧電体層6cの傾斜部4cおよび層面60に形成される励振電極22cと、圧電体層7に形成される電極配線21dと、である。これら電極は、ステップS3における金属膜と同様の方法で形成される。なお、金属膜は、貫通孔5の孔壁にも形成されており、貫通孔5aは、電極配線21aと電極配線21dとを導通させている。また、貫通孔5bは、電極配線21bと電極配線21dとを導通させ、貫通孔5cは、電極配線21cと電極配線21dと、を導通させている。圧電体層6,7へ電極を形成した後、ステップS7へ進む。
ステップS7において、水晶振動片1の個片化を行う。即ち、水晶ウエハーにおける細い連結部を折り取り、連結状態であった水晶振動片1を個片にする。ここまでが、水晶振動片1の製造工程である。個片化の後、水晶振動子100を製造するために、ステップS8へ進む。
ステップS8において、パッケージに装着を行い、水晶振動片1を固定する。つまり、図6に示すように、水晶振動片1をパッケージベース71の段部77へ接着剤79で固定する。水晶振動片1の装着後、ステップS9へ進む。
ステップS9において、周波数の調整を行う。この調整は、水晶振動片1に駆動電流を印加して、その周波数を見ながら、イオンビーム、レーザー光等を各振動腕3の先端の錘金属膜へ照射し、振動腕3の質量をそれぞれ調整する。これにより、水晶振動片1の振動腕3は、所定の周波数で正確に振動するように調整される。調整の後、ステップS10へ進む。
ステップS10において、パッケージを封止する。図6(b)に示すように、パッケージベース71へ蓋体73を接合して、水晶振動片1をパッケージ70内へ封止する。以上で、水晶振動片1を備えた水晶振動子100が完成する。
この水晶振動子100は、傾斜部4により圧電体層6内に振動変位エネルギー30を閉じ込めて、優れた振動特性を維持することができる水晶振動片1を備えているため、安定した精度の高い振動を維持することができる。
また、水晶振動片1,50は、発振器にも搭載され、図8(a)は、発振器の蓋体を開けた状態を示す平面図である。図8(b)は、発振器を示す断面図であり、図8(a)のE−E’における断面図である。発振器200は、上記水晶振動子100の構成に回路素子をさらに備えた構成となっている。この場合、発振器200は、水晶振動片1と、水晶振動片1を発振させる発振回路を有する回路素子としてのICチップ80と、を備えているが、水晶振動片1にかえて水晶振動片50を用いても良い。ICチップ80は、パッケージベース71の底部に固着され、外部接続端子75や振動片接続端子76等の配線と接続されている。この発振器200は、ICチップ80の発振回路からの駆動信号により水晶振動片1が励振され、所定の周波数で発振する。
このように、発振器200は、水晶振動片1を備えていることから、傾斜部4により圧電体層6内に振動変位エネルギー30を閉じ込めて、優れた振動特性を維持することができる上に、さらに、ICチップ80を付加してパッケージ化したものであって、水晶振動片1とICチップ80との配線等の煩わしさを解消して、実装等を容易にすることができる。
そして、これら水晶振動子100および発振器200は、水晶振動片1または水晶振動片50が傾斜部4または傾斜部40,65を有することにより、圧電体層6内に振動変位エネルギー30を閉じ込めて、優れた振動特性を維持することができ、搭載された電子機器等の精度向上を図ることができる。例えば、図9(a)は、携帯電話を示す斜視図であり、図9(b)は、モバイルコンピューターを示す斜視図である。一例である携帯電話300およびモバイルコンピューター400に、水晶振動子100または発振器200を搭載することにより、電子機器の確実で安定した動作を保証することができることに加え、その小型化にも貢献することができる。
また、水晶振動片1,50、水晶振動子100および発振器200は、上記の実施形態に限定されるものではなく、次に挙げる変形例のような形態であっても、実施形態と同様な効果が得られる。
(変形例1)水晶振動片1は、圧電体層6(6a,6b,6c)に斜面状の傾斜部4(4a,4b,4c)を有する構成であるが、この構成に限定されるものではない。図10は、傾斜部の変形例を示す斜視図であり、振動腕3aの場合を表している。図10に示すように、水晶振動片90の振動腕3aは、振動腕3aの表面側に、励振電極12a(図1)と、圧電体層6aと、圧電体層6aの層面60に形成された励振電極22aと、を有している。そして、圧電体層6aの基部2の側の側面には、水晶振動片1において傾斜部4が形成されている同位置に、傾斜部95が形成されている。この傾斜部95は、圧電体層6aの層面60から基部2の基面2aへかけて、基面2aの第1基点61と層面60の第2基点62とを結ぶように形成されていて、その形態は、階段状をなしている。階段状の傾斜部95には、励振電極22が層面60から連続して形成されている。また、振動腕3aにおける第2基点62は、振動腕3aの付け根部分である連結部8に対し、z’軸方向において同位置に設定されている。同様に、振動腕3b,3cにも、傾斜部95(不図示)が形成されている。
これら傾斜部95は、レーザー加工により、この場合4段の階段状に形成されている。レーザーは、酸化亜鉛(ZnO)の場合、透過しやすく加工が難しいが、波長がフェムト秒(10-15秒)程度のフェムト秒レーザーを用いれば、レーザー光の焦点位置に集光された多数の光子が酸化亜鉛(ZnO)の電子と相互作用して吸収される、いわゆる多光子吸収の現象が生じて、容易に階段状の加工が可能である。あるいは、酸化亜鉛(ZnO)を透過しやすい300nm〜1300nmの波長領域を避けて、他方式のレーザー機で加工しても良い。
このように加工された階段状の傾斜部95を有する圧電体層6は、傾斜部95で振動変位エネルギー30を閉じ込めることができ、安定して確実に屈曲することが可能である。即ち、水晶振動片90は、振動腕3が安定して確実に振動することができる。なお、レーザーによる加工は、水晶振動片1の傾斜部4や、水晶振動片50の傾斜部40,65にも適用することが可能である。
(変形例2)水晶振動片1の傾斜部4は、1つの平面で形成された斜面であるが、曲面や複数の平面等で形成された斜面であっても良い。
(変形例3)電極配線11,21は、励振電極12,22より細い幅で形成されているが、電極配線11,21と同幅で形成された構成等であっても良い。
(変形例4)水晶振動片50において、傾斜部65は、傾斜部65a,65b,65cのすべてを形成せず、いずれかを選択的に形成した構成であっても良く、また、水晶振動片90において、階段状の傾斜部95が圧電体層6の側面全周に形成された構成であっても良い。さらに、水晶振動片は、水晶振動片1の傾斜部4と、水晶振動片50の傾斜部65と、水晶振動片90の傾斜部95と、を組み合わせた構成の圧電体層6を有する構成であっても良い。
(変形例5)水晶振動片1,50,90の励振電極12,22は、酸化亜鉛(ZnO)の配向性を促すため、チタン(Ti)および金(Au)の2層構造の金属膜であるが、酸化亜鉛(ZnO)の配向性を促すものであれば、この組み合わせ構成に限定されることなく、例えば、チタン(Ti)の単層構造の金属膜等であっても良い。また、励振電極12,22は、圧電体層6の基部2側の傾斜部4,40,95に形成されることに限定されず、傾斜部65のような基部2側以外の傾斜部にも形成された構成であっても良い。
(変形例6)水晶振動片1,50,90の圧電体層6は、反応性スパッタリングにより形成された酸化亜鉛(ZnO)であるが、これに限定されるものではなく、例えば、圧電性を有する窒化アルミニウム(AlN)等であっても良い。この場合、窒化アルミニウム(AlN)の配向性をより促すため、励振電極12,22は、窒化アルミニウム(AlN)側にプラチナ(Pt)を設けた、チタン(Ti)とプラチナ(Pt)との2層構造の金属膜が好ましい。
(変形例7)屈曲振動片は、水晶を基材として用いた水晶振動片1,50,90に限定されることなく、水晶以外のニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン鉛(PZT)、シリコン、ゲルマニウム等を用いても良い。これにより、屈曲振動片において、要求特性や用途等に応じて、適切な材料を選ぶことができ選択肢が拡大する。
(変形例8)水晶振動片1,50,90は、3本の振動腕3a,3b,3cを有している構成であるが、3本以外の本数であっても良い。また、振動腕3が複数本の場合、隣り合う振動腕3が互いに異なる位相で振動する形態に限定されず、振動腕3が同位相で振動する形態であっても良い。
(変形例9)水晶振動片1,50,90は、積層構造体9が振動腕3の表面側にのみ設けられているが、積層構造体9が振動腕3の裏面側にのみ設けられている構成や、振動腕3の表裏両面に積層構造体9が設けられた構成であっても良い。積層構造体9が表裏両面に設けられた構成であれば、振動腕3は、より確実に屈曲することが可能である。
(変形例10)水晶振動子100および発振器200は、水晶振動片1の裏面側がパッケージベース71の段部77に接着固定されているが、表面側がパッケージベース71の段部77に接着固定されている構成であっても良い。この場合、段部77の振動片接続端子76が水晶振動片1の電極端子10,20と導電性接着剤で直接接続される。
屈曲振動片としての水晶振動片1,50,90を備えた水晶振動子(振動子)100や発振器200は、優れた振動特性を維持することができるため、携帯電話300やモバイルコンピューター400だけでなく、電子時計、ビデオレコーダー、テレビ等の電子機器に、タイミングデバイスなどとして広く用いられ、これら機器の精度向上や小型化に貢献することが可能である。
1…屈曲振動片としての水晶振動片、2…基部、2a…基面、3…振動腕、4…傾斜部、6…圧電体層、8…連結部、9…積層構造体、10…電極端子、11…電極配線、12…第1電極としての励振電極、20…電極端子、21…電極配線、22…第2電極としての励振電極、30…振動変位エネルギー、40…傾斜部、50…屈曲振動片としての水晶振動片、60…層面、65…傾斜部、95…傾斜部、100…振動子としての水晶振動子、200…発振器、300…電子機器としての携帯電話、400…電子機器としてのモバイルコンピューター。

Claims (9)

  1. 基部と、
    前記基部から延長して形成された振動腕と、
    第1電極と、第2電極と、前記第1電極および前記第2電極との間に配置された圧電体層と、を含み、少なくとも前記振動腕に形成されている積層構造体と、を備え、
    前記圧電体層は、前記基部の側に位置する端部が傾斜した傾斜部を有していることを特徴とする屈曲振動片。
  2. 請求項1に記載の屈曲振動片において、
    前記傾斜部は、前記基部の基面に設けられた第1基点と、前記振動腕に形成された前記圧電体層の層面に設けられた第2基点と、の間に形成され、
    前記第2基点は、前記基部と前記振動腕との連結部に位置していることを特徴とする屈曲振動片。
  3. 請求項1または2に記載の屈曲振動片において、
    前記傾斜部は、前記基部の側に位置する端部と反対側に位置する端部および前記圧電体層の側面の少なくともいずれかに設けられたことを特徴とする屈曲振動片。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の屈曲振動片において、
    前記傾斜部は、斜面状または階段状に形成されていることを特徴とする屈曲振動片。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の屈曲振動片において、
    前記積層構造体は、前記振動腕の表裏両面にそれぞれ配置されていることを特徴とする屈曲振動片。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の屈曲振動片において、
    前記振動腕は、前記基部から延長する方向と平面視で直交する方向に沿って複数本配列され、前記傾斜部を含む前記圧電体層をそれぞれ有し、
    端から数えて奇数番目の前記振動腕の前記第1電極と、偶数番目の前記振動腕の前記第2電極とが接続され、
    端から数えて偶数番目の前記振動腕の前記第1電極と、奇数番目の前記振動腕の前記第2電極とが接続されていることを特徴とする屈曲振動片。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の屈曲振動片と、
    前記屈曲振動片を収容するパッケージと、を備えていることを特徴とする振動子。
  8. 請求項1に記載の屈曲振動片と、
    前記屈曲振動片を発振させるための発振回路を有する回路素子と、を備えていることを特徴とする発振器。
  9. 請求項1に記載の屈曲振動片を備えていることを特徴とする電子機器。
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