JP2012020933A - セラミックグリーンシート及びセラミック基板 - Google Patents

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将弘 梶村
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Abstract

【課題】低温で焼結させることができ、かつ高い強度が得られるセラミックグリーンシート及びこれを焼成することにより形成したセラミック基板を得る。
【解決手段】無機粉末と有機樹脂とを含むセラミックグリーンシートであって、無機粉末は、無機粉末の合計重量を100重量%としたとき、酸化アルミニウムを72重量%〜98重量%、酸化銅を1重量%〜12重量%、酸化チタンを0.1重量%〜3重量%及び酸化ケイ素を0.25重量%〜10重量%の範囲でそれぞれ含むことを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックグリーンシート及びセラミック基板に関する。
近年、携帯電話などの移動体通信機や携帯通信端末においては、従来のプリント基板にコンデンサやインダクタを表面実装したモジュールに変わって、積層セラミック基板を用いた回路モジュールが用いられるようになってきている。積層セラミック基板は、所定の導電パターンを形成することにより、内部に配線ライン、L成分、C成分が形成され、配線の高密度化が実現されている。積層セラミック基板を用いることにより、ディスクリート部品(表面実装部品SMD)として搭載されるインダクタやコンデンサの数量を減らすことができるので、回路モジュールを小型化することができる。
積層セラミック基板に用いる材料には、HTCC(High Temperature Co−fired Ceramics)とLTCC(Low Temperature Co−fired Ceramics)の主に2種類がある。HTCCとしては、Al2O3、AlN、SiCなどを用いたものがあり、これらは1500℃以上の高温で焼成することによって製造される。このため、材料強度は高いものの、基板の内層に用いる導体材料には、低抵抗のAgやCuを使用することができず、融点の高い高抵抗のMoやWを用いる必要がある。従って、損失が大きくなり、車載用回路基板や低周波のセンサ基板には適用可能であるが、携帯電話用等の高周波モジュールには適用が困難である。
他方、LTCCは、主にセラミック原料(フィラー)に50%前後の多量の低融点ガラス材料を混合することによって、AgやCuが溶融しない950℃〜1000℃程度の低温での焼結が可能である。AgやCu等の貴金属高導電材料との同時焼成が可能であるため、導体損失を小さくすることができ、携帯電話用等の高周波モジュールに適用することが可能である。また、焼成温度を下げることにより、製造時に消費するエネルギーを少なくすることができる。
しかしながら、このLTCCはガラスを多量に含んでいるため、機械強度や耐薬品性がHTCCと比較して劣るという欠点がある。特に、積層セラミック基板は、携帯機器の小型化・多機能化に伴い薄型化される傾向にあるため、基板の強度不足は、商品の信頼性に大きな問題を引き起こすおそれがある。この問題を解決するため、Al2O3の含有量をできるだけ下げずに焼成温度を下げたものとして、ガラスの代わりに焼成を促進する促進剤として、TiO2とCuOや、Nb2O5とCuOなどを添加することが提案されている(特許文献1〜7など)。
しかしながら、上記の添加剤を用いた場合にも、AgやCuを配線材料として使用できる1000℃以下の低温での焼結性は不十分であった。従って、配線材料として高価なAg−Pd材料等を用いる必要があり、携帯機器用等の高周波モジュールや、受動素子を内蔵した高密度実装基板には容易に適用することができないものであった。
特許第3220360号公報 特開2004−256384号公報 特開平9−67159号公報 特開平9−235154号公報 特開平9−278516号公報 特開2003−95732号公報 特開2005−145722号公報
本発明の目的は、低温で焼結させることができ、かつ高い強度が得られるセラミックグリーンシート及びこれを焼成することにより形成したセラミック基板を提供することにある。
本発明のセラミックグリーンシートは、無機粉末と有機樹脂とを含むセラミックグリーンシートであって、無機粉末は、無機粉末の合計重量を100重量%としたとき、酸化アルミニウムを72重量%〜98重量%、酸化銅を1重量%〜12重量%、酸化チタンを0.1重量%〜3重量%及び酸化ケイ素を0.25重量%〜10重量%の範囲でそれぞれ含むことを特徴としている。
本発明において、酸化アルミニウムとしては、Al2O3やAlOなどのアルミニウム酸化物が挙げられる。酸化銅としては、CuOやCu2Oなどの銅酸化物が挙げられる。酸化チタンとしては、TiO2などのチタン酸化物が挙げられる。酸化ケイ素としては、SiO2などのケイ素酸化物が挙げられる。
本発明のセラミックグリーンシートにおいては、上記のように、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化チタン、及び酸化ケイ素が含まれているので、比較的低温で焼成しても、気孔率が低いセラミック基板を得ることができる。これにより、高い強度を有するセラミック基板を容易に得ることができる。
上記従来のLTCCがガラス成分のマトリックス中にセラミックのフィラーを分散させた構造を有しているのに対して、本発明のセラミックグリーンシートを焼成することにより形成されるセラミック基板では、多結晶セラミック(酸化アルミニウム)の主に粒界近傍に、副成分である焼成助剤(酸化銅、酸化チタン、酸化ケイ素)の混合物または化合物、あるいはセラミック母材成分及び焼成助剤成分のうちの少なくとも1つ以上の反応物からなる材料が分散して存在する構造を有していると考えられる。本発明のセラミックグリーンシートを焼成することにより形成されるセラミック基板は、このような構造を有することにより、材料強度が高く、高い熱伝導性を有するものと考えられる。
本発明のセラミックグリーンシートにおいては、酸化アルミニウムを主成分として含有し、酸化銅、酸化チタン、酸化ケイ素を副成分として含有することにより、酸化アルミニウムの含有率を高めながら低温で焼成が可能なセラミックグリーンシートとしている。従って、副成分の各含有量が少なくなると、低温での焼結が困難になる場合がある。また、これらの各成分の含有量が多くなると、焼結して得られるセラミック基板の強度が低下する場合がある。同様に、主成分の酸化アルミニウムの含有量が上記範囲よりも少なくなると、焼結して得られるセラミック基板の強度が低下する場合があり、上記範囲よりも多くなると、相対的に上記副成分の含有量が低下するので、低温で焼結させることができない場合がある。
本発明のセラミックグリーンシートにおいては、酸化ボロン及び酸化ビスマスの内の少なくとも1種をさらに含有することが好ましい。酸化ボロン及び酸化ビスマスの内の少なくとも1種を含有することにより、低温で焼結させやすくなり、焼成後における焼結密度をさらに高めることができる。
酸化ボロン及び酸化ビスマスの含有量は、酸化ボロン及び酸化ビスマスを含めた無機粉末の合計重量を100重量%としたとき、1〜3重量%であることが好ましい。
また、本発明のセラミックグリーンシートにおいては、酸化ケイ素及び酸化ボロンを硼珪酸ガラスとして含有していてもよい。硼珪酸ガラスは、一般にB2O3−SiO2−R2O(Rは、アルカリ金属)などで表わされるガラスである。硼珪酸ガラスの含有量は、無機粉末の合計重量100重量%としたとき、0.5〜10重量%であることが好ましい。
硼珪酸ガラスの軟化点は、900℃以下であることが好ましい。しかしながら、軟化点が900℃を超える場合であっても、焼結することは可能である。軟化点が高くなると、配線材料と同時に焼成する際に、配線材料の導電ペーストと硼珪酸ガラスの焼成収縮特性とのずれが発生し変形しやすくなる。また、軟化点が焼結温度より低い方が、焼結促進の効果が高くなる。これらの観点から、軟化点は500℃以上900℃以下であることが好ましい。
硼珪酸ガラスの代わりに、酸化ケイ素と酸化ボロンを用いてもよい。一般に、アルミナを焼結する温度以下において、酸化ケイ素と酸化ボロンが混じり合い、焼結温度付近において硼珪酸ガラスと同じ状態となる。
本発明のセラミックグリーンシートの表面には、Ag、Ag−Pd、及びCuの内のいずれかを含む導電ペーストが形成されていることが好ましい。このような導電ペーストは、セラミックグリーンシートと同時に焼成され、セラミック基板表面または内部における導電層となる。
本発明のセラミック基板は、上記本発明のセラミックグリーンシートを焼成することにより形成されていることを特徴としている。
本発明のセラミック基板は、例えば、上記本発明のセラミックグリーンシートを950℃〜1000℃程度の比較的低温で焼成して製造することができる。本発明のセラミックグリーンシートを用いているので、本発明のセラミック基板は、気孔率が低く、高い強度を有するセラミック基板とすることができる。
また、本発明のセラミック基板は、上記本発明のセラミックグリーンシートを複数積層して焼成し、積層セラミック基板としてもよい。
上記のように、セラミックグリーンシートの表面に導電性ペーストを塗布して形成し、これをセラミックグリーンシートと同時に焼成することにより、セラミック基板の表面及び内部の少なくともいずれか一方に導電層を形成することができる。これらの導電層を形成することにより、基板表面または基板内部に配線を有するセラミック基板とすることができる。このようなセラミック基板は、高周波モジュールや、受動素子を内蔵した電子部品に用いることができる。
本発明のセラミックグリーンシートは、低温で焼結させることができ、かつ焼成後において高い強度を得ることができる。従って、AgやCuなどの低抵抗の導電材料からなる配線パターンを容易に形成することができるので、導体損失を小さくすることができる。また、低抵抗配線パターンを備えた高強度のセラミック基板とすることができるので、携帯電話用の高周波モジュールなど電子部品に適用することができる。
本発明のセラミックグリーンシート及びこれを焼成したセラミック基板の製造工程の一例を示すフロー図。 本発明のセラミックグリーンシートを用いた積層セラミック基板の製造方法の一例を示す斜視図。 本発明に従う実施例の焼結体における気孔率と抗折強度との関係を示す図。 本発明に従う実施例におけるAl2O3含有量と抗折強度との関係を示す図。
図1は、本発明のセラミックグリーンシート及びこれを焼成することにより形成するセ
ラミック基板の製造プロセスの一例を説明するためのフロー図である。図1を参照して、本発明のセラミックグリーンシート及びそれを焼成することにより形成する積層セラミック基板の製造プロセスについて説明する。
<第1工程>
図1に示すように、酸化アルミニウム粉末、酸化銅粉末、酸化チタン粉末、及び酸化ケイ素粉末などの原料粉末をそれぞれ秤量する。酸化ボロン、酸化ビスマス、硼珪酸ガラスを用いる場合にはこれらの原料粉末を秤量する。
<第2工程>
次に、これらの原料粉末に水またはイソプロピルアルコール(IPA)などの溶媒を添加して、ボールミルなどにより15時間程度、湿式混合した後、添加した溶媒を乾燥除去する。
<第3工程>
次に、乾燥した混合原料粉末に、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルブチラール(PVB)などの有機樹脂、及びIPAなどの溶媒を添加して混合する。これにより、無機粉末、有機樹脂及び溶媒を含むスラリーが作製される。
<第4工程>
次に、ドクターブレード法などにより、このスラリーをPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上などに塗布し、乾燥することにより、50μm〜200μm程度の厚さを有するシート状に成形する。これにより、無機粉末と有機樹脂を含むセラミックグリーンシートが作製される。
<第5工程>
最後に、上記セラミックグリーンシートを400℃〜500℃程度の温度で脱バインダ処理を行った後、800℃〜1100℃の温度で焼成することにより、セラミック基板を形成することができる。
以下、具体的な実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜7及び比較例1〜5)
原料粉末として、純度99.99%、粒径0.5μmの酸化アルミニウム(Al2O3)粉末、純度99.9%以上の試薬級の酸化チタン(TiO2)粉末及び酸化銅(CuO)
粉末、試薬級の一般的な硼珪酸ガラス粉末(組成比:酸化ケイ素(SiO2)50%、酸化ボロン(B2O3)16.7%、その他33.3%、軟化点770℃)を用い、これらを表1に示す所定の組成比(重量%)となるように秤量し、ジルコニアボールを用いたボールミルで混合した。なお、ジルコニアボールに代えてアルミナボールを用いてもよい。実施例7(試料No.11)及び比較例5(試料No.12)においては、硼珪酸ガラス粉末を用いる代わりに、SiO2粉末及びB2O3粉末を表1に示す割合で用いた。
<気孔率測定用ペレット試料の作製>
ボールミルで粉砕した混合粉末を乾燥した後、これらの原料粉末100重量部に対してバインダとしてPVAを1.3重量部含むPVA水溶液と混合して造粒した。この粉末を直径15mm、厚さ1mmのペレット状にプレス成型し、この成型体を400℃、2時間の熱処理により脱バインダ処理した後、950℃、1000℃、及び1050℃のそれぞれの温度で2時間焼成した。得られた焼結体の気孔率を、JIS−Z 2505に準拠して測定し、アルキメデス法により算出した。結果を表1に示す。なお、気孔率は、セラミ
ック焼結体の内部の気孔の存在率を示すものであり、気孔率が低いほど焼結が進んでおり、強度の向上が認められる。
また、得られた焼結体について、蛍光X線分析にて、焼結前後のセラミックの組成を分析した。その結果、原料粉体の配合組成と、焼結後のセラミックの組成はほぼ一致していることが確認された。
気孔率は具体的には以下の方法により測定した。まず、得られた焼結体の乾燥重量W1を測定し、次に焼結体ペレットを3時間以上純水中で煮沸し、含水したペレットの水中での重量W2を測定した。さらに、この含水した焼結体ペレットの空気中での重量W3を測定した。気孔率は以下の式から算出した。
気孔率(%)=〔(W3−W1)/(W3−W2)〕×100
Figure 2012020933
表1に示すように、Al2O3のみを用いた比較例1では、950〜1050℃の焼成温度のいずれにおいても気孔率が47%となっており、焼結が不十分であることがわかる。また、Al2O3に硼珪酸ガラスのみを添加した比較例2(試料No.3)においても、気孔率は40%以上であり、焼結は不十分であった。また、Al2O3にCuOとTiO2を添加した比較例3(試料No.4)においては1000℃以下の焼成温度で気孔率
が高くなっており、焼結が不十分であった。また、Al2O3にCuOと硼珪酸ガラスを添加した比較例4(試料No.5)においては、950〜1050℃の焼成温度において気孔率が高くなっており、焼結が不十分であった。
上記の比較例1〜4に対し、本発明に従いAl2O3にCuOとTiO2と硼珪酸ガラ
スを添加した実施例1(試料No.2)においては、1000℃及び1050℃の焼成温度で低い気孔率が得られており、低温での焼結が可能であることがわかる。
また、実施例2〜6(試料No.6〜10)から明らかなように、TiO2の含有量が
0.5〜3重量%、CuOの含有量が1〜12重量%、硼珪酸ガラスの含有量が0.5〜5重量%の範囲で、1000℃の低温で焼結可能であることがわかる。
また、Al2O3含有量が98重量%と高い実施例1においても、Al2O3含有量が80重量%と低い実施例6においても、低温で焼結することが可能であることがわかる。
また、硼珪酸ガラスに代えて、SiO2とB2O3を用いた実施例7においても、低温で焼結することが可能であることがわかる。
Al2O3の含有量を70重量%とした比較例5も低温で焼結することが可能であるが、後述するように、抗折強度が低下し、セラミック基板としての強度が不足していた。
(実施例8〜13及び比較例6〜9)
原料粉末として、純度99.99%、粒径0.5μmのAl2O3粉末、純度99.9%以上の試薬級のTiO2粉末、CuO粉末、及びSiO2粉末を用い、これらを表2に示す所定の組成比(重量%)となるように秤量し、ジルコニアボールを用いたボールミルで混合した。なお、ジルコニアボールに代えてアルミナボールを用いてもよい。
<気孔率測定用ペレット試料の作製>
ボールミルで粉砕した混合粉末を乾燥した後、これらの原料粉末100重量部に対してバインダとしてPVAを1.3重量部含むPVA水溶液と混合して造粒した。この粉末を直径15mm、厚さ1mmのペレット状にプレス成型し、この成型体を400℃、2時間の熱処理により脱バインダ処理した後、950℃、1000℃、及び1050℃のそれぞれの温度で2時間焼成した。得られた焼結体の気孔率を、上記と同様にして測定した。結果を表2に示す。
また、得られた焼結体について、蛍光X線分析にて、焼結前後のセラミックの組成を分析した。その結果、原料粉体の配合組成と、焼結後のセラミックの組成はほぼ一致していることが確認された。
Figure 2012020933
表2に示すように、Al2O3のみを用いた比較例6では、950〜1050℃の焼成温度のいずれにおいても気孔率が47%となっており、焼結が不十分であることがわかる。また、Al2O3にCuOとTiO2を添加した比較例7(試料No.15)において
は、1000℃以下の焼成温度で気孔率が高くなっており、焼結が不十分であった。また、Al2O3にCuOとSiO2を添加した比較例8(試料No.16)においては、9
50〜1050℃の焼成温度において気孔率が高くなっており、焼結が不十分であった。
上記の比較例6〜8に対し、本発明に従いAl2O3にCuOとTiO2とSiO2を添加した実施例8(試料No.14)においては、1000℃及び1050℃の焼成温度で低い気孔率が得られており、低温での焼結が可能であることがわかる。
また、実施例9〜13(試料No.17〜21)から明らかなように、TiO2の含有
量が0.5〜3重量%、CuOの含有量が1〜12重量%、SiO2の含有量が0.5〜
5重量%の範囲で、1000℃の低温で焼結可能であることがわかる。
また、Al2O3含有量が98重量%と高い実施例8においても、Al2O3含有量が80重量%と低い実施例13においても、低温で焼結することが可能であることがわかる。
Al2O3の含有量が70重量%である比較例9においては、低温で焼結することが可能であったが、後述するように、抗折強度が低下しており、セラミック基板の強度として不足していた。
(実施例14〜21及び比較例10〜13)
表3に示す所定の組成(重量%)となるように、Al2O3、CuO、TiO2、SiO2、B2O3、及びBi2O3の各原料粉体を混合して用いる以外は、上記実施例と同様にして気孔率測定用ペレット試料を作製し、気孔率を測定した。表3において、「CuO+TiO2+SiO2」は、CuO、TiO2及びSiO2の各粉末を重量比(CuO:TiO2:
SiO2)で4:3:3の割合となるように用いており、表3においては、これら各酸化
物の合計の配合量を示している。
また、得られた焼結体について、蛍光X線分析にて、焼結前後のセラミックの組成を分析した。その結果、原料粉末の配合組成と、焼結後のセラミックの組成はほぼ一致していることが確認された。
Figure 2012020933
表3に示すように、Al2O3にB2O3を添加した比較例10(試料No.23)及びAl2O3にBi2O3を添加した比較例11(試料No.24)においては、1050℃における気孔率が20%以上となっており、焼結が不十分であった。
Al2O3にCuO、TiO2及びSiO2を添加した実施例14(試料No.25)に比べ、焼成助剤としてB2O3またはBi2O3をさらに添加した実施例15〜21(試料No.26〜30及び32〜33)は、950℃及び1000℃の焼成温度において気孔率が低くなっていることがわかる。従って、焼成助剤として、B2O3及び/またはBi2O3を添加することにより、さらに焼結を促進できることがわかる。
Al2O3の含有量が70重量%である比較例12及び13は、気孔率が低く、低温で焼結可能であるが、後述するように、抗折強度が低下しており、セラミック基板の強度として不足していた。
(実施例22〜30及び比較例14〜18)
<気孔率測定用ペレット試料の作製>
まず、原料粉末には、純度99.99%、粒径0.5μmのAl2O3粉末と、純度99.9%以上の試薬級のTiO2粉末、CuO粉末及びBi2O3粉末と、試薬級の硼珪酸ガラス粉末(組成比:SiO250%、B2O319.4%、その他2.9%、軟化点760℃)を用いた。これらを表4に示す所定の組成比(重量%)となるように秤量し、さらに溶媒として水を添加した状態でジルコニアボールを用いたボールミルにより15時間、湿式混合した。そして、湿式混合の後、添加した溶媒を乾燥除去した。なお、比較例17及び18においては、硼珪酸ガラスに代えて、SiO2粉末及びB2O3粉末を用いた。
ボールミルで粉砕した混合粉末を乾燥した後、これらの原料粉末100重量部に対してバインダとしてPVAを1.3重量部含むPVA水溶液と混合して造粒した。この粉末を直径15mm、厚さ1mmのペレット状にプレス成型し、この成型体を400℃、2時間
の熱処理により脱バインダ処理した後、950℃及び1000℃で2時間焼成した。
また、得られた焼結体について、蛍光X線分析にて、焼結前後のセラミックの組成を分析した。その結果、原料粉体の配合組成と、焼結後のセラミックの組成はほぼ一致していることが確認された。
また、得られたペレット状の焼結体の気孔率を、上記と同様にして、JIS−Z 2505に準拠して測定し、アルキメデス法により算出した。結果を表4に示す。
Figure 2012020933
表4に示すように、Al2O3粉末のみを用いた場合(比較例14:試料No.35)と比較して、Al2O3粉末にCuO粉末およびTiO2粉末を添加した場合(比較例15:試料No.36)は、各焼結温度で気孔率の低減が見られるが、1000℃の焼結温度における気孔率は、20%以上であった。
これに対して、Al2O3粉末にCuO粉末、TiO2粉末、Bi2O3粉末および硼珪酸ガラス粉末を添加した場合(実施例22〜30:試料No.37〜45)には、950℃および1000℃の焼結温度でさらに低い10%以下の気孔率が得られた。
また、実施例22〜30(試料No.37〜45)から明らかなように、Al2O3粉末が80〜98重量%、CuO粉末が1〜12重量%、TiO2粉末が0.1〜3重量%、Bi2O3が0.1〜10重量%および硼珪酸ガラスが0.5〜10重量%の範囲で、950℃の低温で焼結可能であることがわかる。
また、Al2O3粉末の含有量が98重量%と高い実施例23(試料No.38)においても、Al2O3粉末の含有量が80重量%と低い実施例27〜30(試料No.42〜45)においても、低い気孔率が得られており、Al2O3粉末の含有量が大きく変化しても、950℃の低温で10%以下の気孔率が得られるように焼成することが可能であることがわかる。
Al2O3粉末の含有量が70重量%である比較例16及び17は、気孔率が低く、低温焼成可能であったが、後述するように、抗折強度が低下しており、セラミック基板としての強度が不足していた。
<強度評価用試料の作製>
次に、表1の実施例2(試料No.6)、表2の実施例9(試料No.17)、及び表4の実施例22〜30(試料No.37〜45)と同じ組成の原料粉末を用いるとともに、これらの原料粉末100重量部に対してバインダとしてPVBを12重量部含むIPA溶液と混合して、スラリーを作製した。これらのスラリーを用いて形成したセラミックグリーンシートを20枚程度積層した積層体を900℃〜1050℃の範囲の異なる温度で焼成することにより、焼成後の外形が35mm×3.5mm×0.8mm(焼成後寸法)である気孔率の異なる棒状のセラミック基板を得た。
得られたセラミック基板について、上記ペレット状のセラミック基板と同様にして気孔率を測定するとともに、それぞれの抗折強度をJIS−R 1601に準拠して、3点曲げ法により測定した。実際の抗折強度の測定は、次のように行った。まず、30mmの間隔で平行に配置された2つのナイフエッジ(支点)上に橋渡しするようにセラミック基板を置いた。次に、セラミック基板の支点と支点の間の中間点上を別のナイフエッジで押し付け、セラミック基板を破壊させた。クロスヘッド速度は0.5mm/秒とした。この破壊した時の荷重をナイフエッジに接合された荷重センサにて読み取ることにより、抗折強度を算出した。
図3は、上記のようにして測定したセラミック基板の気孔率と抗折強度との関係を示す図である。図3より、気孔率が20%以下のときに従来のLTCCと同程度である250MPaの抗折強度が得られている。また、従来のHTCCとして実用的に有する300MPa以上の抗折強度については、気孔率が15%以下のときに得られることがわかった。
図4は、Al2O3含有量と抗折強度の関係を示す図である。図4から明らかなように、Al2O3含有量が72重量%以上になると、抗折強度が300MPaより大きくなり、実用的な強度が得られることがわかる。
上記実施形態では、原料粉末の無機粉末として、Al2O3粉末、TiO2粉末、CuO粉末、SiO2粉末などを用いていたが、本発明はこれに限らず、AlOなどからなる他の酸化アルミニウム粉末、Cu2Oなどからなる他の酸化銅粉末をそれぞれ用いてもよく、TiO2以外の他の酸化チタン粉末、SiO2以外の他の酸化ケイ素粉末をそれぞれ用いてもよい。また、大気中などで焼成することによって、それぞれ、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化チタンおよび酸化ケイ素となる、アルミニウム、銅、チタンおよびケイ素の炭酸塩、硝酸塩等の塩からなる粉末や、金属粉末を用いてもよい。
また、上記実施形態では、硼珪酸ガラスとしては、軟化温度が760℃または770℃のものを用いたが、本発明はこれに限らず、軟化温度が500℃〜900℃の範囲であれば焼結プロセスを低温で開始することができるので好ましい。また、より好ましくは、軟化温度が560℃〜830℃の範囲である。
また、上記実施形態では、第2工程で作製した乾燥した混合原料粉末に有機樹脂および溶媒を添加して混合することによりスラリーを形成した(第3工程)が、本発明はこれに限らず、図1に示すように、上記有機樹脂および溶媒を添加する前に、一旦、乾燥した混合原料粉末を仮焼成(第2a工程)した後、ボールミルなどで再粉砕(第2b工程)してもよい。このように、第2工程の後、第2a工程および第2b工程に続いて第3工程を行うことにより、混合時の均一性、粉体のハンドリング性および成形性をさらに改善することができる。
<積層セラミック基板の作製>
図2は、本発明のセラミックグリーンシートを用いた積層セラミック基板の製造方法の一例を示す斜視図である。
図2(a)に示すように、本発明のセラミックグリーンシート21A〜21Fを作製し、これらのグリーンシートの上にAg、Ag−Pdなどの銀粉末、またはCuなどの銅粉末等の導電材料を含む導電ペーストをスクリーン印刷法等により印刷することにより、配線パターン22A〜22Fを形成する。
図2(b)に示すように、各グリーンシート21A〜21Fを積層し、静水圧プレス法などで圧着することにより積層体20を得る。
図2(c)に示すように、積層体20を大気雰囲気中で焼成し、セラミック焼結体が積層された積層セラミック基板30を得ることができる。このときの焼成温度は、導電ペースト22A〜22Fが銀粉末を含む場合は950℃程度、銅粉末を含む場合は1000℃程度とすることにより、セラミックグリーンシート21A〜21Fの焼成と同時に導電ペースト22A〜22Fを焼成することができる。積層セラミック基板30の上には、焼成前の配線パターン22Aに対応する配線パターン32Aが形成されており、内部には配線パターン22B〜22Fに対応する配線パターンが形成されている。
この実施形態による積層セラミック基板30では、上記セラミックグリーンシートを複数積層して形成した積層体20を焼成することにより形成している。これにより、高強度のセラミック基板を容易に得ることができる。
また、セラミックグリーンシート21A〜21F上には、銀粉末または銅粉末を含み、所定のパターンを有する導電ペースト22A〜22Fが形成されているので、セラミックグリーンシート21A〜21Fの焼成と同時に導電ペースト22A〜22Fを焼成し、銀または銅を含む配線パターンを形成することができる。これにより、安価で低抵抗な銀や銅を用いた配線パターンを有し、かつ、気孔率が低く、高強度のセラミック基板を容易に得ることができる。
また、積層セラミック基板30の表面および内部には、配線パターンが形成されているので、高周波モジュールや、受動素子を内蔵した電子部品に用いることが可能なセラミック基板を得ることができる。
図2においては、グリーンシートの積層数を6層としているが、本発明における積層セラミック基板はこのような積層数に限定されるものではない。また、配線パターンも図3に示すものに限定されるものではない。
20…積層体
21A〜21F…グリーンシート
22A〜22F…配線パターン
30…積層セラミック基板
32A…配線パターン

Claims (8)

  1. 無機粉末と有機樹脂とを含むセラミックグリーンシートであって、
    前記無機粉末は、前記無機粉末の合計重量を100重量%としたとき、酸化アルミニウムを72重量%〜98重量%、酸化銅を1重量%〜12重量%、酸化チタンを0.1重量%〜3重量%及び酸化ケイ素を0.25重量%〜10重量%の範囲でそれぞれ含み、
    前記酸化銅の含有量は、前記酸化チタンの含有量より多く、かつ、前記酸化ケイ素の含有量より多いことを特徴とするセラミックグリーンシート。
  2. 酸化マンガン又は酸化カルシウムを実質的に含まないことを特徴とする請求項1に記載のセラミックグリーンシート。
  3. 酸化ボロン及び酸化ビスマスの内の少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート。
  4. 前記酸化ボロン及び前記酸化ビスマスの含有量が、前記酸化ボロン及び前記酸化ビスマスを含めた前記無機粉末の合計重量を100重量%としたとき、1〜3重量%であることを特徴とする請求項3に記載のセラミックグリーンシート。
  5. 前記無機粉末は、前記酸化ケイ素及び前記酸化ボロンを硼珪酸ガラスとして含むことを特徴とする請求項3または4に記載のセラミックグリーンシート。
  6. 前記硼珪酸ガラスの含有量が、前記無機粉末の合計重量を100重量%としたとき、0.5〜10重量%であることを特徴とする請求項5に記載のセラミックグリーンシート。
  7. 前記硼珪酸ガラスの軟化点が900℃以下であることを特徴とする請求項5または6に記載のセラミックグリーンシート。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のセラミックグリーンシートを焼成することにより形成されていることを特徴とするセラミック基板。
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