JP2012017822A - 自動変速機及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温時でも良好な発進応答性が得られる自動変速機を提供する。
【解決手段】ATCU50は、ワンウェイクラッチOWCのロック不良が発生する作動油温TMPの温度領域で、ATCU50は、エンジンEngのイグニッションスイッチ56がOFFからONに操作されたタイミングでロー&リバースブレーキL&R/Bの締結を開始し、自動変速機ATのレンジがP、NレンジからDレンジに切り換えられたタイミングでロークラッチL/Cの締結を開始する。
【選択図】図7

Description

本発明は、自動変速機の制御に関し、特に、低温時の発進制御に関する。
自動変速機は、複数の遊星歯車機構と複数の摩擦締結要素を組み合わせ、複数の摩擦締結要素の締結状態を変更することで複数の変速段を実現している。一般的には、複数の摩擦締結要素にワンウェイクラッチを含み、発進時にある摩擦締結要素を締結するとともに、このワンウェイクラッチをロックさせることで発進用変速段が実現される。
しかしながら、変速機の作動油温が低く、その粘度が高い場合は、上記ワンウェイクラッチの構成部品が作動油をせん断できず、ワンウェイクラッチがロックできない場合がある。この場合、発進用変速段を実現できないため、車両を発進させることができない。
そこで、特許文献1に開示される自動変速機では、変速機の作動油温が低い場合は、変速機のレンジが非走行レンジ(Nレンジ)から前進レンジ(Dレンジ)に切り換えられたタイミングで、上記ある摩擦締結要素(C2クラッチ)ともワンウェイクラッチとも異なる別の擦締結要素(B2ブレーキ)を上記ある摩擦締結要素とともに締結するようにしている。この別の摩擦締結要素は、上記ある摩擦締結要素と共に締結されることで発進用変速段を実現できる摩擦締結要素である。
特開2006−183705号公報
特許文献1に記載の方法によれば、上記二つの摩擦締結要素を締結することで発進用変速段が実現され、ワンウェイクラッチがロックできなくても車両を発進可能にすることができる。
しかしながら、作動油の粘度が高い状況で上記二つの摩擦締結要素を締結しようとすると、いずれの要素においても締結遅れが生じる。したがって、レンジ切換え直後に運転者が車両を発進させようとすると、動力源から入力される駆動力を出力軸に伝達できない、又は、十分に伝達できず、発進応答性が悪くなるという問題があった。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、低温時でも良好な発進応答性が得られる自動変速機及びその制御方法を提供することを目的とする。
本発明のある態様によれば、第1摩擦締結要素、第2摩擦締結要素及びワンウェイクラッチを有し、前記第1摩擦締結要素が解放され、前記第2摩擦締結要素が締結され、かつ、前記ワンウェイクラッチがロックされる第1締結状態、及び、前記第1摩擦締結要素と前記第2摩擦締結要素とが共に締結される第2締結状態、いずれの締結状態であっても発進用変速段が実現され、動力源から入力される回転を変速して出力する自動変速機であって、前記ワンウェイクラッチのロック不良が発生する作動油温の温度領域で、前記動力源に対して始動操作が行われたタイミング以降、かつ、前記自動変速機のレンジが非走行レンジから前進レンジに切り換えられたタイミングよりも早いタイミングで前記第1摩擦締結要素の締結を開始し、前記自動変速機のレンジが前記非走行レンジから前記前進レンジに切り換えられたタイミング又はそれよりも早いタイミングで前記第2摩擦締結要素の締結を開始する低温時制御を行う低温時制御手段を備えたことを特徴とする自動変速機が提供される。
本発明の別の態様によれば、第1摩擦締結要素、第2摩擦締結要素及びワンウェイクラッチを有し、前記第1摩擦締結要素が解放され、前記第2摩擦締結要素が締結され、かつ、前記ワンウェイクラッチがロックされる第1締結状態、及び、前記第1摩擦締結要素と前記第2摩擦締結要素とが共に締結される第2締結状態、いずれの締結状態であっても発進用変速段が実現され、動力源から入力される回転を変速して出力する自動変速機の制御方法であって、前記ワンウェイクラッチのロック不良が発生する作動油温の温度領域で、前記動力源に対して始動操作が行われたタイミング以降、かつ、前記自動変速機のレンジが非走行レンジから前進レンジに切り換えられたタイミングよりも早いタイミングで前記第1摩擦締結要素の締結を開始し、前記自動変速機のレンジが前記非走行レンジから前記前進レンジに切り換えられたタイミング又はそれよりも早いタイミングで前記第2摩擦締結要素の締結を開始する低温時制御を行う手順を含むことを特徴とする自動変速機の制御方法が提供される。
これらの態様によれば、変速機のレンジが切り換えられたタイミングで二つの摩擦締結要素を締結させる従来技術(特許文献1)に比べ、第1摩擦締結要素の締結を開始するタイミングが早まるので、第1摩擦締結要素の締結遅れを解消、又は、少なくすることができ、発進応答性の低下を抑えることができる。
本発明の第1実施形態に係る自動変速機を搭載した車両の全体構成図である。 同自動変速機の変速機構の構成図である。 同自動変速機の締結作動表である。 同自動変速機の制御系を示した図である。 変速機コントローラが行う低温時制御の開始処理を示したフローチャートである。 変速機コントローラが行う低温時制御の終了処理を示したフローチャートである。 第1実施形態の作用効果を説明するためのタイムチャートである。 本発明の第2実施形態において変速機コントローラが行う低温時制御の終了処理を示したフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
−第1実施形態−
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動変速機を搭載した車両の全体構成を示している。変速機ATは、前進4速後進1速のFF車用自動変速機である。変速機ATは、図1に示すように、コンバータハウジング1と、トルクコンバータ2と、トランスアクスルケース3と、変速機入力軸4と、変速機出力ギヤ5と、変速機構6と、減速ギヤ軸7と、減速ギヤ機構8と、差動ギヤ機構9と、駆動軸10、11と、を備える。
コンバータハウジング1の内部には、発進機能や制振機能を実現するトルクコンバータ2が配置される。トルクコンバータ2はロックアップクラッチ12を有しており、ロックアップクラッチ12が締結すると、エンジンEngのクランク軸13と変速機入力軸4とが直結される。
コンバータハウジング1にはトランスアクスルケース3が連結される。トランスアクスルケース3の内部には、変速機能、前後進切換え機能及びニュートラル機能を実現する変速機構6と、減速機能を実現する減速ギヤ機構8、差動機能を実現する差動ギヤ機構9が配置される。
変速機構6は、変速機入力軸4と変速機出力ギヤ5の間に配置され、フロントプラネタリギヤFPGと、リヤプラネタリギヤRPGと、ロークラッチL/Cと、ロー&リバースブレーキL&R/Bと、2−4ブレーキ2-4/Bと、リバースクラッチREV/Cと、ハイクラッチH/Cとの組み合わせにより構成される。
減速ギヤ機構8は、減速ギヤ軸7に、変速機出力ギヤ5に噛み合う第1減速ギヤ14と、差動ギヤ機構9の駆動入力ギヤ15に噛み合う第2減速ギヤ16を設けることで構成される。
差動ギヤ機構9は、駆動入力ギヤ15から入力される駆動力を、駆動軸10、11の差動を許容しながら等配分し、図外の左前輪と右前輪に伝達する。
図2は、変速機ATの変速機構6の構成を示している。
変速機構6は、遊星歯車として、シングルピニオン式のフロントプラネタリギヤFPGとリヤプラネタリギヤRPGが設けられる。そして、摩擦締結要素として、ロークラッチL/Cと、ロー&リバースブレーキL&R/Bと、2−4ブレーキ2-4/Bと、リバースクラッチREV/Cと、ハイクラッチH/Cが設けられる。また、ロー&リバースブレーキL&R/Bと並列にワンウェイクラッチOWCが設けられる。
フロントプラネタリギヤFPGは、フロントサンギヤFSと、フロントリングギヤFRと、両ギヤFS,FRに噛み合うフロントピニオンFPを支持するフロントキャリアFCと、を有する。
リヤプラネタリギヤRPGは、リヤサンギヤRSと、リヤリングギヤRRと、両ギヤRS,RRに噛み合うリヤピニオンRPを支持するリヤキャリアRCと、を有する。
フロントキャリアFCとリヤリングギヤRRとは、第1回転メンバM1により一体的に連結される。フロントリングギヤFRとリヤキャリアRCとは、第2回転メンバM2により一体的に連結される。したがって、フロントプラネタリギヤFPGとリヤプラネタリギヤRPGとを組み合わせることで、6つの回転要素から2つの回転要素を差し引いた4つの回転要素(フロントサンギヤFS、リヤサンギヤRS、第1回転メンバM1、第2回転メンバM2)を有する構成となる。
フロントサンギヤFSは、リバースクラッチREV/Cを介して変速機入力軸4と断接可能に設けられる。2−4ブレーキ2-4/Bを介してトランスアクスルケース3に固定可能に設けられる。リヤサンギヤRSは、ロークラッチL/Cを介して変速機入力軸4と断接可能に設けられる。第1回転メンバM1は、ロー&リバースブレーキL&R/B(ワンウェイクラッチOWC)を介してトランスアクスルケース3に固定可能に設けられる。そして、ハイクラッチH/Cを介して変速機入力軸4と断接可能に設けられる。第2回転メンバM2は、変速機出力ギヤ5に直結される。
図3は、変速機ATの締結作動表であり、変速段ごとの各摩擦締結要素の締結状態を示している。図中○印は当該摩擦締結要素が締結状態であることを示し、空欄は当該摩擦締結要素が解放状態であることを示している。
変速機ATは、変速機構6に設けられた各摩擦締結要素の締結状態を変更することで前進4速後進1速の変速段を実現する。
具体的には、ロークラッチL/Cのみを締結するとワンウェイクラッチOWCがロックし(第1締結状態)、エンジンブレーキが非作動の「1速段」が実現される。「1速段」は、ロークラッチL/C及びロー&リバースブレーキL&R/Bを締結しても実現することができ(第2締結状態)、この場合、エンジンブレーキが作動する。
また、ロークラッチL/C及び2−4ブレーキ2-4/Bを締結することで「2速段」が実現される。ロークラッチL/C及びハイクラッチH/Cを締結することで「3速段」が実現される。ハイクラッチH/C及び2−4ブレーキ2-4/Bを締結することで「4速段」が実現される。リバースクラッチREV/C及びロー&リバースブレーキL&R/Bを締結することで「後進用変速段」が実現される。
ある変速段から別の変速段への変速は、ある変速段で締結していた1つの摩擦締結要素を解放するとともに、解放していた1つの摩擦締結要素を締結するという掛け替え変速を行うことで行われる。
図4は、変速機ATの制御系を示している。変速機ATの制御系は、大きく分けて、油圧制御回路と電子変速制御システムで構成される。
油圧制御回路は、オイルポンプOPと、マニュアルバルブ20と、ロークラッチ用調圧バルブ21と、ロークラッチ用アキュムレータ22と、2−4ブレーキ用調圧バルブ23と、2−4ブレーキ用アキュムレータ24と、兼用調圧バルブ25と、切換えバルブ26と、ソレノイド27と、ハイクラッチインヒビタバルブ28と、ハイクラッチ用アキュムレータ29と、ロー&リバースブレーキ用アキュムレータ30と、を有する。
また、油圧制御回路は、これら構成要素を連通する、ライン圧油路31と、パイロット圧油路32と、Dレンジ圧油路33と、Rレンジ圧油路34と、ロークラッチ圧油路35と、2−4ブレーキ圧油路36と、兼用圧出力油路37と、第1ハイクラッチ圧油路38と、第2ハイクラッチ圧油路39と、ロー&リバースブレーキ圧油路40と、を有する。
オイルポンプOPは、変速機ATのライン圧PLを発生させる油圧源である。オイルポンプOPは、エンジンEngの駆動力の一部を利用して駆動される。
マニュアルバルブ20には、シフトケーブル、リンク、ロッド等を介してセレクトレバー41の操作が機械的に伝達され、マニュアルバルブ20は運転者によるセレクトレバー41の操作に連動して切り換わる。セレクトレバー41は、1速段(エンジンブレーキ非作動)から4速段までの変速段を実現するDレンジ、変速機ATのレンジを切り換えるために用いられ、1速段(エンジンブレーキ作動)と2速段とを実現するLレンジ、後退用変速段を実現するRレンジ、全てのクラッチを解放するニュートラルレンジNレンジ、変速機ATを機械的にロックするPレンジのうちいずれか一つのレンジを選択することのできるレバーである。
なお、本明細書における「前進レンジ」はDレンジを指し、Lレンジを含まない。また、「後進レンジ」はRレンジを指し、「非走行レンジ」はPレンジ及びNレンジを指す。
マニュアルバルブ20は、例えば、Dレンジ選択時には、ライン圧油路31とDレンジ圧油路33とを連通し、ライン圧PLをDレンジ圧油路33に導く。Rレンジ選択時には、ライン圧油路31とRレンジ圧油路34とを連通し、ライン圧PLをRレンジ圧PRとしてRレンジ圧油路34に導く。また、Dレンジ、Nレンジ選択時には、マニュアルバルブ20は、ライン圧油路31とRレンジ圧油路34とを遮断し、Rレンジ圧油路34をドレーンする。
ロークラッチ用調圧バルブ21は、ノーマルハイ(電源OFF時に油圧を発生させる特性、以下同じ)による3ウェイ大容量リニアソレノイドバルブである。ロークラッチ用調圧バルブ21は、ロークラッチL/Cの締結時(1,2,3)、Dレンジ圧油路33からのDレンジ圧PDを元圧として調圧したロークラッチ圧を、ロークラッチ圧油路35を介してロークラッチL/Cに導く。また、ロークラッチ用調圧バルブ21は、ロークラッチL/Cの解放時(4,R)、ロークラッチL/Cに供給されるロークラッチ圧をドレーンする。
2−4ブレーキ用調圧バルブ23は、ノーマルロー(電源OFF時には油圧を発生しない特性、以下同じ)による3ウェイ大容量リニアソレノイドバルブである。2−4ブレーキ用調圧バルブ23は、2−4ブレーキ2-4/Bの締結時(2,4)、Dレンジ圧油路33からのDレンジ圧PDを元圧として調圧した2−4ブレーキ圧を、2−4ブレーキ圧油路36を介して2−4ブレーキ2-4/Bに導く。また、2−4ブレーキ用調圧バルブ23は、2−4ブレーキ2-4/Bの解放時(1,3,R)、2−4ブレーキ2-4/Bに供給される2−4ブレーキ圧をドレーンする。
兼用調圧バルブ25は、ノーマルハイによる3ウェイ大容量リニアソレノイドバルブである。兼用調圧バルブ25は、マニュアルバルブ20を介さずにオイルポンプOPから供給される油圧(ライン圧PL)を元圧として調圧した油圧を、切換えバルブ26の切換え状態に応じてハイクラッチH/Cまたはロー&リバースブレーキL&R/Bに導く。
ソレノイド27は、ノーマルローのON/OFFソレノイドである。切換えバルブ26は、ソレノイド27がOFF(油圧非発生)の時は、兼用圧出力油路37と第1ハイクラッチ圧油路38とを連通し、ロー&リバースブレーキ圧油路40とRレンジ圧油路34とを連通する。逆に、ソレノイド27がON(油圧発生)の時は、兼用圧出力油路37とロー&リバースブレーキ圧油路40とを連通し、ロー&リバースブレーキ圧油路40とRレンジ圧油路34とを遮断する。
切換えバルブ26の切換えは、後述する変速機コントロールユニット(以下、「ATCU」)50が変速機ATの変速状態や車速VSPに応じてソレノイド27のON/OFFを制御することで行われる。
ハイクラッチインヒビタバルブ28は、切換えバルブ26とハイクラッチH/Cとの間に配置される。ハイクラッチインヒビタバルブ28は、Dレンジの選択時に発生するDレンジ圧PDに応じて切り換えられ、Dレンジ圧PDの作用時に第2ハイクラッチ圧油路39と第1ハイクラッチ圧油路38とを連通し、Dレンジ圧PDの非作用時に第2ハイクラッチ圧油路39をドレーンする。
一方、電子変速制御システムは、CPU、メモリ、入出力インターフェース等を含んで構成されるATCU50と、アクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ51と、車速VSPを検出する車速センサ52と、変速機ATの入力回転速度を検出する入力回転速度センサ53と、変速機ATの作動油温を検出する油温センサ54と、変速機ATのセレクトレバー41の位置(選択レンジ)を検出するインヒビタスイッチ55と、を有する。
ATCU50には各センサ51〜55からの信号、エンジンEngを始動するイグニッションスイッチ56からの信号が入力される。イグニッションスイッチ56は、例えば、運転者がキーシリンダーに差し込んだキーを回すことによって、OFF位置、ACC位置、ON位置及びSTART位置のいずれかを選択することができるスイッチである。ATCU50は、Dレンジで走行中、アクセル開度APOと車速VSPとに基づきシフトマップを参照して目標変速段ntGPを設定し、目標変速段ntGPが実現されるよう、ロークラッチ用調圧バルブ21、2−4ブレーキ用調圧バルブ23、兼用調圧バルブ25、及び、ソレノイド27に制御指令を出力する。シフトマップは、アクセル開度APO及び車速VSPに応じてアップシフト線とダウンシフト線とを書き込んだマップである。
本実施形態においては、エンジンEngが始動され、車両が発進する場合、通常であれば、ATCU50は、ロークラッチL/Cのみを締結する。すると、ワンウェイクラッチOWCがロックされ(第1締結状態)、発進用変速段である1速段が実現され、車両を発進させることができる。
しかしながら、変速機ATの作動油温TMPがワンウェイクラッチOWCのロック不良が発生し始める下限温度TMPLLIM以下である場合は、作動油の粘度が高いためにワンウェイクラッチOWCの構成部品が作動油をせん断できずワンウェイクラッチOWCがロックできない可能性がある。ワンウェイクラッチOWCがロックできないと、1速段を実現できず、車両を発進させることができない。
そこで、ATCU50は、このような場合は低温時制御を行い、ロークラッチL/Cとともにロー&リバースブレーキL&R/Bが締結されるようにし(第2締結状態)、ワンウェイクラッチOWCがロックできない低温時であっても1速段を実現し、車両が発進できるようにする(図5)。
ただし、このようにして実現される1速段では、アクセルオフ時にエンジンブレーキが常に作用し、運転性を悪化させる可能がある。このため、低温時制御が長時間にわたって係属するのは好ましくない。そこで、ATCU50は、作動油温TMPが上昇して下限温度TMPLLIMを超えたタイミング、又は、ワンウェイクラッチOWCのロックが不要な変速段(例えば、2速段)への変速が行われるタイミングで、ロー&リバースブレーキL&R/Bを解放し、低温時制御を終了するようにする(図6)。
以下、図5、図6を参照しながらATCU50が行う低温時制御について説明する。図5、図6に示す処理は、いずれもATCU50において繰り返し実行される。以下、これらを参照しながら低温時制御の詳細について説明する。
図5は低温時制御の開始処理を示している。以下、これについて説明する。
まず、S11では、ATCU50は、運転者がイグニッションスイッチ56を操作し、イグニッションスイッチ56からの信号がOFFからONに変わったか判断する。肯定的な判断がなされた場合は処理がS12に進み、否定的な判断がなされた場合は処理が終了する。イグニッションスイッチ56からの信号がOFFからONに変わったタイミングでは、車両全体(ソレノイド等のアクチュエータ、点火コイル)への通電が開始される。
また、通常、運転者はイグニッションスイッチ56を続けてON位置からSTART位置まで操作し、これを受けて、エンジンEngのクランキング、燃料噴射が開始される。ただし、この時点では、エンジンEngはまだ完爆しておらず、オイルポンプOPはまだ油圧を発生させていない。
S12では、ATCU50は、油温センサ54によって検出される作動油温TMPがワンウェイクラッチOWCのロック不良が発生し始める下限温度TMPLLIM以下か判断する。下限温度TMPLLIMは、ワンウェイクラッチOWCが全くロックできなくなる温度ではなく、ロック失敗が発生し始める温度である。温度TMPLLIMは、作動油の温度特性、ワンウェイクラッチOWCの構造に応じて決まり、作動油の低温粘度指数、ワンウェイクラッチOWCの動作保証温度、実験結果等に基づき設定される。下限温度TMPLLIMは、例えば−10℃である。
S12で肯定的な判断がなされた場合は処理がS13に進み、否定的な判断がなされた場合は処理がS14に進む。
S13では、ATCU50は、ロー&リバースブレーキL&R/Bにその締結に必要な油圧が供給されるよう兼用調圧バルブ25に指令(締結指令)を出し、具体的には、ロー&リバースブレーキL&R/Bの油圧目標値を上昇させ、ロー&リバースブレーキL&R/Bの締結を開始する。また、ATCU50は、低温時制御フラグに低温制御実行中であることを示すONを設定する。
作動油温TMPが下限温度TMPLLIM以下であるので作動油の粘度が高いが、締結する摩擦締結要素がロー&リバースブレーキL&R/B一つであるので、短時間のうちにロー&リバースブレーキL&R/Bの締結を完了させることができる。また、他の摩擦締結要素で締結しているものはなく、ロー&リバースブレーキL&R/Bが締結することによるショックは発生せず、変速機ATは駆動力を伝達できない状態のままである。
なお、このとき、ロー&リバースブレーキL&R/Bの締結遅れを一層防止するために、通常変速でロー&リバースブレーキL&R/Bを締結する場合よりも油圧目標値を高く設定し、ロー&リバースブレーキL&R/Bへの供給油圧の上昇勾配を増大するようにしてもよい。
S14では、ATCU50は、インヒビタスイッチ55からの信号に基づき、セレクトレバー41が非走行レンジ(Pレンジ又はNレンジ)から前進レンジ(Dレンジ)に操作されたか判断する。肯定的な判断がなされた場合は処理がS14に進み、否定的な判断がなされた場合は処理がS16に進む。
S15では、ATCU50は、ロークラッチL/Cにその締結に必要な油圧が供給されるようロークラッチ用調圧バルブ21に指令(締結指令)を出し、具体的には、ロークラッチL/Cの油圧目標値を上昇させ、ロークラッチL/Cの締結を開始する。これにより、S13でロー&リバースブレーキL&R/Bの締結が開始されている場合(低温時)は、ロークラッチL/C及びロー&リバースブレーキL&R/Bが締結され(第2締結状態)、そうでない場合(通常時)は、ロークラッチL/Cのみが締結され、これを受けてワンウェイクラッチOWCがロックする(第1締結状態)。いずれの締結状態であっても1速段が実現される。
作動油温TMPが下限温度TMPLLIM以下の場合は作動油の粘度が高いが、締結する摩擦締結要素がロークラッチL/C一つであるので、短時間のうちにロークラッチL/Cの締結を完了させることができる。
なお、低温時のロークラッチL/Cの締結遅れを一層防止するために、通常変速でロークラッチL/Cを締結する場合よりも油圧目標値を高く設定し、ロークラッチL/Cへの供給油圧の上昇勾配を増大するようにしてもよい。
また、ATCU50は、セレクトレバー41が非走行レンジから前進レンジに操作されてからの経過時間を計測するためのタイマをスタートさせる。
S16では、ATCU50は、インヒビタスイッチ55からの信号に基づき、セレクトレバー41が非走行レンジ(Pレンジ又はNレンジ)から後進レンジ(Rレンジ)に操作されたか判断する。肯定的な判断がなされた場合は処理がS17に進み、否定的な判断がなされた場合は処理がS12に戻る。
S17では、ATCU50は、ロー&リバースブレーキL&R/Bが解放されるよう兼用調圧バルブ25に指令(解放指令)を出し、ロー&リバースブレーキL&R/Bに供給されている油圧をドレーンし、ロー&リバースブレーキL&R/Bを解放する。また、ATCU50は、低温時制御フラグに低温制御非実行中であることを示すOFFを設定する。
S18では、ATCU50は、後進用変速段を実現する。セレクトレバー41がRレンジに操作されたことにより、マニュアルバルブ20がライン圧油路31とRレンジ圧油路34とを連通するように切り替わり、リバースクラッチREV/Cにその締結に必要な油圧が供給され、リバースクラッチREV/Cの締結が開始される。ATCU50は、リバースクラッチREV/Cが締結され後に、ロー&リバースブレーキL&R/Bにその締結に必要な油圧が供給されるよう兼用調圧バルブ25に指令(締結指令)を出し、ロー&リバースブレーキL&R/Bの締結を開始する。
S17、S18の処理について補足すると、ロー&リバースブレーキL&R/Bは後進用変速段を実現するために締結する必要がある摩擦締結要素であるにも関わらず、S17で一旦解放されるのは、ショックの発生やリバースクラッチREV/Cの焼き付きを抑制するためである。すなわち、ショックを発生させることなく後進用変速段を実現するにはリバースクラッチREV/Cとロー&リバースブレーキL&R/Bとをこの順で締結する必要があり、順序が逆になるとショックが発生する。本実施形態では、この点に鑑み、ロー&リバースブレーキL&R/Bを一旦解放し(S17)、リバースクラッチREV/C、ロー&リバースブレーキL&R/Bの順に締結するようにしている(S18)。
図6は低温時制御の終了処理を示している。以下、これについて説明する。
まず、S21では、ATCU50は、低温時制御フラグがONか判断する。低温時制御フラグは図5のS13でロー&リバースブレーキL&R/Bが締結されたときにONになるフラグである。肯定的な判断がなされた場合は処理がS22に進み、否定的な判断がなされた場合は処理が終了する。
S22では、ATCU50は、アクセル開度APOと車速VSPとに基づきシフトマップを参照して設定される目標変速段ntGPが1速段か判断する。肯定的な判断がなされた場合は、処理がS23に進み、否定的な判断がなされた場合、すなわち、ワンウェイクラッチOWCのロックが必要でない1速段以外への変速段への変速が行われる場合は、処理がS25に進む。
S23では、ATCU50は、作動油温TMPが下限温度TMPLLIMを超えているか判断する。肯定的な判断がなされた場合は処理がS25に進み、否定的な判断がなされた場合は処理がS24に進む。
S24では、ATCU50は、図5のS15でスタートさせたタイマの値に基づき、セレクトレバー41が非走行レンジから前進レンジに操作されてからの経過時間が所定時間を超えているか判断し、肯定的な判断がなされた場合は処理がS25に進み、否定的な判断がなされた場合は処理がS22に戻る。所定時間は、セレクトレバー41の操作から十分な時間が経過し、作動油温TMPが明らかに下限温度TMPLLIMを超えている時間に設定される。
S25では、ATCU50は、ロー&リバースブレーキL&R/Bが解放されるよう兼用調圧バルブ25に指令(解放指令)を出し、ロー&リバースブレーキL&R/Bに供給されている油圧をドレーンし、ロー&リバースブレーキL&R/Bを解放する。また、低温時制御フラグに低温時制御非実行中であることを示すOFFを設定する。
したがって、上記終了処理によれば、以下のタイミング:
(a) ワンウェイクラッチOWCのロックが必要でない目標変速段ntGPに変速するタイミング
(b) 作動油温TMPが下限温度TMPLLIMを超えたタイミング
(c) 非走行レンジから前進レンジに操作されてからの経過時間が所定時間を超えたタイミング
のうち最も早いタイミングでロー&リバースブレーキL&R/Bが解放され、低温時制御が終了することになる。
ロー&リバースブレーキL&R/Bを解放するのは、ロー&リバースブレーキL&R/Bを締結して実現される1速段ではアクセルオフで常にエンジンブレーキが作用し、運転性を低下させる可能性があるからであるが、特に上記タイミングでロー&リバースブレーキL&R/Bを解放する理由は次の通りである。
(a)のタイミングで低温時制御を終了させるのは、目標変速段ntGPではワンウェイクラッチOWCをロックさせる必要がなく、したがって、低温時にワンウェイクラッチOWCの代わりに締結されるロー&リバースブレーキL&R/Bも締結する必要がなくなるからである。
(b)のタイミングで低温時制御を終了させるのは、ワンウェイクラッチOWCがロック可能になるからである。すなわち、ロー&リバースブレーキL&R/Bを解放しても、ワンウェイクラッチOWCがロックされ、1速段が実現される。
(c)のタイミングで低温時制御を終了させるのは、油温センサ54がフェールして作動油温を検出できない状態になっても、作動油温が明らかに下限温度TMPLLIMを超えている状況になっているのであれば、低油温時制御が終了されるようにするためである。
図7は作動油温TMPが下限温度TMPLLIM以下である時にエンジンEngが始動されて車両が発進する様子を示している。
時刻t1では、イグニッションスイッチ56がOFF位置からON位置を経由してSTART位置まで操作され、その後、運転者がイグニッションスイッチ56から手を離すと、ON位置まで自動的に戻される。車両全体(ソレノイド等のアクチュエータ、点火コイル)への通電は、イグニッションスイッチ56が最初にON位置になったタイミングで開始され、エンジンEngのクランキング(始動)及び燃料噴射は、イグニッションスイッチ56がSTART位置になったタイミングで開始される。イグニッションスイッチ56の上記操作は短時間のうちに行われるので、図7では、簡略化して時刻t1でイグニッションスイッチ56からの信号がOFFからONになるとして描いてある。
時刻t1でイグニッションスイッチ56からの信号がONになると、ロー&リバースブレーキL&R/Bの油圧目標値(実線)が高められ、ロー&リバースブレーキL&R/Bの締結が開始される。作動油の粘度が高くロー&リバースブレーキL&R/Bの実油圧(破線)は油圧目標値(実線)に遅れて上昇するが、締結する摩擦締結要素がロー&リバースブレーキL&R/B一つであるので、ロー&リバースブレーキL&R/Bは短時間のうちに締結される。
時刻t1以降、エンジンEngの回転速度Neは上昇を続け、完爆して一旦吹け上がった後は、アイドル回転速度で安定する(時刻t2)。
時刻t3で、運転者がセレクトレバー41をPレンジからDレンジに操作すると、このタイミングでロークラッチL/Cの油圧目標値(実線)が高められ、ロークラッチL/Cの締結が開始される。作動油の粘度が高くロークラッチL/Cの実油圧(破線)は油圧目標値(実線)に遅れて上昇するが、締結する摩擦締結要素がロークラッチL/C一つであり、オイルポンプOPも十分な油圧を発生しているので、ロークラッチL/Cはロー&リバースブレーキL&R/Bよりも短時間のうちに締結される。
時刻t4では、運転者がアクセルペダルを踏み込み、アクセル開度が0から3/8まで増大する。ロー&リバースブレーキL&R/B及びロークラッチL/Cが締結していることで1速段が実現されているので、アクセルペダルが踏み込まれると同時に車両を発進させ、車速VSPを増大させることができる。これにより、ワンウェイクラッチOWCをロックできない低温時であっても、良好な発進応答性を実現することができる。
作動油温TMPは、エンジンEngが始動した直後から上昇を始め、車速VSPが増大し変速機AT内の回転要素の回転速度が増大するとさらに上昇する。
時刻t5で作動油温TMPが下限温度TMPLLIMを超えると、ロー&リバースブレーキL&R/Bが解放され、低温時制御が終了する。
なお、この例では作動油温TMPが下限温度TMPLLIMを超えたタイミングで低温時制御が終了しているが、1速段以外に変速が行われるタイミング、セレクトレバー41が操作されてからの経過時間が所定時間を超えたタイミングであっても低温時制御が終了する。
上記低温時制御を行うことによる作用効果は次の通りである。
上記実施形態では、変速機ATの作動油温TMPが下限温度TMPLLIM以下で、ワンウェイクラッチOWCを締結できない場合は、イグニッションスイッチ56がOFFからONに操作されたタイミングでロー&リバースブレーキL&R/B(第1摩擦締結要素)の締結が開始され、変速機ATのレンジが非走行レンジ(Pレンジ、Nレンジ)から前進レンジ(Dレンジ)に切り換えられるタイミングでロークラッチL/C(第2摩擦締結要素)の締結が開始される。
変速機のレンジが切り換えられたタイミングで二つの摩擦締結要素を締結させる従来技術(特許文献1)に比べ、ロー&リバースブレーキL&R/Bの締結開始のタイミングが早まるので、ロー&リバースブレーキL&R/Bの締結遅れを解消、又は、少なくすることができ、発進応答性を向上させることができる(請求項1、7、10に記載の発明の効果)。
また、ロー&リバースブレーキL&R/Bを締結するには兼用調圧バルブ25及び切換えバルブ26にて調圧する必要があり、調圧時は非調圧時に比べて油路内が高圧になり、油路に作動油を供給するオイルポンプOPの負荷が増大して燃費が悪化する。しかしながら、上記実施形態では、変速機ATの作動油温TMPが下限温度TMPLLIM以下になって初めて低温時制御を行うので、かかる燃費の悪化を最小限にとどめることができる(請求項2に記載の発明の効果)。
エンジンEngの回転が立ち上がってオイルポンプOPが油圧を発生し始めるのは、イグニッションスイッチ56がOFFからONに操作されたタイミングよりも後である。しかしながら、イグニッションスイッチ56が操作されたタイミングでロー&リバースブレーキL&R/Bの締結を開始すれば、ロー&リバースブレーキL&R/Bの締結に関わるソレノイドバルブ等(本実施形態では兼用調圧バルブ25)を予めロー&リバースブレーキL&R/Bの締結油圧の発生に必要な状態にすることができるので、オイルポンプOPが油圧を発生してからロー&リバースブレーキL&R/Bに必要な油圧が供給されるまでの時間を短縮し、発進応答性をさらに向上させることができる(請求項4に記載の発明の効果)。
また、上記実施形態では、ロー&リバースブレーキL&R/Bを締結するタイミングとロークラッチL/Cを締結するタイミングとを異ならせている。これにより、2つの摩擦締結要素を同時に締結する従来技術(特許文献1)に比べ、オイルポンプOPの負荷が下がり、個々の摩擦締結要素の締結遅れを小さくすることができ、発進応答性をさらに向上させることができる(請求項3に記載の発明の効果)。
ロー&リバースブレーキL&R/Bの締結を開始するタイミングは、イグニッションスイッチ56がOFFからONに操作されたタイミングに限定されず、イグニッションスイッチ56がOFFからONに操作されたタイミング以降のタイミングで、かつ、変速機ATのレンジが非走行レンジ(Pレンジ、Nレンジ)から前進レンジ(Dレンジ)に切り換えられるタイミングよりも早いタイミングであれば、少なくとも上記作用効果が期待できる。
例えば、エンジンEngの回転速度Neをエンジンコントローラから入手し、エンジンEngの回転速度Neに基づきエンジンEngが完爆したと判断されたタイミングでロー&リバースブレーキL&R/Bの締結を開始するようにしてもよく、上記実施形態と同様の作用効果が奏される(請求項6に記載の作用効果)。
ロークラッチL/Cを締結するタイミングについては、変速機ATのレンジがPレンジであれば、変速機ATが機械的にロックされており、変速機ATが駆動力を伝達可能な状態になっても車両が発進することはないので、上記実施形態のタイミング(レンジが非走行レンジ(Pレンジ)から前進レンジ(Dレンジ)に切り換えられたタイミング)より早めることが可能である。これにより、ロークラッチL/Cの締結遅れを抑え、発進応答性をさらに向上させることができる。
ただし、変速機ATのレンジがNレンジであれば、非走行レンジ(Nレンジ)から前進レンジ(Dレンジ)に切り換えられるタイミングよりも前に変速機ATが駆動力を伝達可能な状態になるのは好ましくないので、ロークラッチL/Cの締結を開始するタイミングはレンジが切り換えられるタイミングに合わせる必要がある。
また、上記実施形態では、変速機ATの作動油温TMPが下限温度TMPLLIMを超えたタイミング、又は、ワンウェイクラッチOWCのロックが必要でない目標変速段ntGPに変速するタイミングで、ロー&リバースブレーキL&R/Bが解除され、低温時制御が終了する。いずれもロー&リバースブレーキL&R/Bを解除しても走行不能、加速不良等の問題が起こらないタイミングである。ロー&リバースブレーキL&R/Bを締結して実現される1速段はアクセルオフで常にエンジンブレーキが作用し、運転性を低下させる可能性があるが、このようなタイミングでロー&リバースブレーキL&R/Bを解放することで、走行不能、加速不良等の問題を生じることなく低温時制御を終了することができ、かつ、低温時制御が長い間継続することによる運転性低下の問題を抑えることができる(請求項8に記載の作用効果)。
−第2実施形態−
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、低温時制御の終了処理のみが第1実施形態と相違し、低温時制御を終了させるために、図6に示した処理に代えて図8に示す処理が実行される。終了処理の内容は図6に示した処理からS23、S24の処理を省いた内容となる。
これにより、第2実施形態では、以下のタイミング:
(a) ワンウェイクラッチOWCのロックが必要でない目標変速段ntGPに変速するタイミング
でのみロー&リバースブレーキL&R/Bを解放し、低温時制御を終了する(S22→S25)。
そして、第1実施形態で低温時制御を終了していた以下のタイミング:
(b) 作動油温TMPが下限温度TMPLLIMを超えたタイミング
(c) 非走行レンジから前進レンジに操作されてからの経過時間が所定時間を超えたタイミング
では低温時制御を終了させないようにする。
ロー&リバースブレーキL&R/Bを解放し、ワンウェイクラッチOWCがロックする場合、第1回転メンバM1の回転を規制する機能がロー&リバースブレーキL&R/BからワンウェイクラッチOWCに受け渡されるので、ショックが発生する。しかしながら、第2実施形態では、ワンウェイクラッチOWCのロックが必要でない目標変速段ntGPに変速するタイミングでのみ、ロー&リバースブレーキL&R/Bを解放するので、かかる回転を規制する機能の受け渡しが行われることはなく、したがって、ショックの発生も防止することができる(請求項9に記載の作用効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、変速機ATの作動油温TMPがワンウェイクラッチOWCのロック表が発生し始める下限温度TMPLLIM以下となった時に低温時制御が開始されるが、低温時制御は、少なくともワンウェイクラッチOWCのロック不良が発生する作動油温TMPの温度領域で行われればよく、低温時制御を開始する温度条件はこれに限定されない。例えば、ワンウェイクラッチOWCのロック不良が発生し始める温度よりも高い所定温度を設定し、当該所定温度以下で低温時制御を行うようにしてもよい。
また、本発明は、上記実施形態のようなエンジンEngと組み合わされる自動変速機だけでなく、その他の動力源、例えば、モータのみからなる動力源、エンジン及びモータを組み合わせた動力源と組み合わされる自動変速機に対しても適用可能である。
動力源がモータであれば、イグニッションスイッチ56がOFFからONに操作されたタイミングに代えて、モータの電源スイッチがOFFからONに操作されたタイミングでロー&リバースブレーキL&R/Bの締結を開始するようにすればよい。これにより、上記実施形態と同じ作用効果が奏される(請求項5に記載の発明の作用効果)
また、上記実施形態では、変速機ATの作動油温を、油温センサ54を用いて直接検出しているが、エンジンEngの冷却水温、外気温度等から推定するようにしてもよい。なお、エンジンEngの冷却水温と変速機ATの作動油温の間にはある程度の相関が認められることから、変速機ATの作動油温に代えてエンジンEngの冷却水温に基づき上記制御を行うようにしてもよい。
また、上記実施形態は、油圧源としてエンジンEngの駆動力の一部を利用して駆動されるオイルポンプOPを備えているが、これに代えて、又は、これに加えて電動オイルポンプを設けることも可能である。エンジンEngの駆動力の一部を利用して駆動されるオイルポンプOPの場合、エンジンEngの回転速度が上昇するまで油圧を発生することができず、イグニッションスイッチ56がOFFからONに操作されたタイミングでロー&リバースブレーキL&R/Bの締結を開始してもロー&リバースブレーキL&R/Bに供給される実油圧が上昇するまでには遅れが生じる。しかしながら、電動オイルポンプを用いれば、イグニッションスイッチ56がOFFからONに操作されたタイミングで油圧を発生させることができ、かかる遅れを解消することができる。
また、上記実施形態では発進用変速段は1速段のみであるが、第1摩擦締結要素(ロー&リバースブレーキL&R/Bに限定されない)、第2摩擦締結要素(ロークラッチL/Cに限定されない)及びワンウェイクラッチを有し、第1摩擦締結要素が解放され、第2摩擦締結要素が締結され、かつ、ワンウェイクラッチがロックされる第1締結状態、及び、第1摩擦締結要素と第2摩擦締結要素とが共に締結される第2締結状態、いずれの締結状態であっても実現される変速段(1速段に限定されない。例えば、2速段)を有する自動変速機であれば、当該変速段で発進する場合に本発明を適用することができる。
Eng エンジン(動力源)
AT 自動変速機
41 セレクトレバー
53 変速機コントロールユニット(ATCU)
54 油温センサ(油温取得手段)
55 インヒビタスイッチ
56 イグニッションスイッチ
L&R/B ロー&リバースブレーキ(第1摩擦締結要素)
OWC ワンウェイクラッチ
L/C ロークラッチ(第2摩擦締結要素)

Claims (10)

  1. 第1摩擦締結要素、第2摩擦締結要素及びワンウェイクラッチを有し、前記第1摩擦締結要素が解放され、前記第2摩擦締結要素が締結され、かつ、前記ワンウェイクラッチがロックされる第1締結状態、及び、前記第1摩擦締結要素と前記第2摩擦締結要素とが共に締結される第2締結状態、いずれの締結状態であっても発進用変速段が実現され、動力源から入力される回転を変速して出力する自動変速機であって、
    前記ワンウェイクラッチのロック不良が発生する作動油温の温度領域で、前記動力源に対して始動操作が行われたタイミング以降、かつ、前記自動変速機のレンジが非走行レンジから前進レンジに切り換えられたタイミングよりも早いタイミングで前記第1摩擦締結要素の締結を開始し、前記自動変速機のレンジが前記非走行レンジから前記前進レンジに切り換えられたタイミング又はそれよりも早いタイミングで前記第2摩擦締結要素の締結を開始する低温時制御を行う低温時制御手段を備えたことを特徴とする自動変速機。
  2. 請求項1に記載の自動変速機であって、
    前記低温時制御手段は、前記作動油温が、前記ワンウェイクラッチのロック不良が発生し始める温度以下であるときに前記低温時制御を行う、
    ことを特徴とする自動変速機。
  3. 請求項1または2に記載の自動変速機であって、
    前記低温時制御手段は、前記第1摩擦締結要素と前記第2摩擦締結要素とを異なるタイミングで締結する、
    ことを特徴とする自動変速機。
  4. 請求項1から3のいずれか一つに記載の自動変速機であって、
    前記動力源はエンジンを含む動力源であり、
    前記低温時制御手段は、前記エンジンのイグニッションスイッチがOFFからONに操作されたタイミングで前記第1摩擦締結要素の締結を開始する、
    ことを特徴とする自動変速機。
  5. 請求項1から3のいずれか一つに記載の自動変速機であって、
    前記動力源はモータを含む動力源であり、
    前記低温時制御手段は、前記モータの電源スイッチがOFFからONに操作されたタイミングで前記第1摩擦締結要素の締結を開始する、
    ことを特徴とする自動変速機。
  6. 請求項1から3のいずれか一つに記載の自動変速機であって、
    前記動力源はエンジンを含む動力源であり、
    前記低温時制御手段は、前記エンジンが完爆したタイミングで前記第1摩擦締結要素の締結を開始する、
    ことを特徴とする自動変速機。
  7. 請求項1から6のいずれか一つに記載の自動変速機であって、
    前記低温時制御手段は、前記自動変速機のレンジが前記非走行レンジから前記前進レンジに切り換えられたタイミングで前記第2摩擦締結要素の締結を開始する、
    ことを特徴とする自動変速機。
  8. 請求項1から7のいずれか一つに記載の自動変速機であって、
    前記低温時制御手段は、前記第1摩擦締結要素を締結した後、前記作動油温が前記下限温度を超えたタイミング、又は、前記発進用変速段から前記ワンウェイクラッチのロックが不要な別の変速段に変速するタイミングで、前記第1摩擦締結要素を解放する、
    ことを特徴とする自動変速機。
  9. 請求項1から7のいずれか一つに記載の自動変速機であって、
    前記低温時制御手段は、前記第1摩擦締結要素を締結した後、前記作動油温が前記下限温度を超えても前記第1摩擦締結要素の締結を継続し、前記発進用変速段から前記ワンウェイクラッチのロックが不要な別の変速段に変速するタイミングで前記第1摩擦締結要素を解放する、
    ことを特徴とする自動変速機。
  10. 第1摩擦締結要素、第2摩擦締結要素及びワンウェイクラッチを有し、前記第1摩擦締結要素が解放され、前記第2摩擦締結要素が締結され、かつ、前記ワンウェイクラッチがロックされる第1締結状態、及び、前記第1摩擦締結要素と前記第2摩擦締結要素とが共に締結される第2締結状態、いずれの締結状態であっても発進用変速段が実現され、動力源から入力される回転を変速して出力する自動変速機の制御方法であって、
    前記ワンウェイクラッチのロック不良が発生する作動油温の温度領域で、前記動力源に対して始動操作が行われたタイミング以降、かつ、前記自動変速機のレンジが非走行レンジから前進レンジに切り換えられたタイミングよりも早いタイミングで前記第1摩擦締結要素の締結を開始し、前記自動変速機のレンジが前記非走行レンジから前記前進レンジに切り換えられたタイミング又はそれよりも早いタイミングで前記第2摩擦締結要素の締結を開始する低温時制御を行う手順を含むことを特徴とする自動変速機の制御方法。
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