JP2012016644A - 下水汚泥焼却灰の利用方法 - Google Patents

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【課題】 重金属イオンを含む廃棄物を含む汚泥を焼却して得られた焼却灰であっても安全に利用することのできる下水汚泥焼却灰の利用方法を提供する。
【解決手段】下水汚泥焼却灰を粉砕して、最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整し、この粉砕した焼却灰をエポキシ樹脂に混合して主剤とし、この主剤に硬化剤を混合して硬化させ所定の形状の成形物を成形する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、下水処理の工程で排出される汚泥を焼却した焼却灰の利用方法に関する。
従来より下水処理の工程で排出される汚泥を焼却した焼却灰を有効に利用する研究が盛んに行われており、園芸用土壌、土壌改良剤、路盤路床材、軽量骨材、タイル、煉瓦、ブロックなどのコンクリート二次製品、アスファルトフィラー、セメント原料等とすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−114365号公報
しかしながら、下水汚泥には重金属イオンを含む廃棄物が混ざっている場合が多く、重金属イオンを含む廃棄物が混ざっている汚泥を焼却して得られた焼却灰は、園芸用土壌、土壌改良剤としては到底利用できるものではなく、また、タイル、煉瓦やブロックなどのコンクリート二次製品にした場合、タイル、煉瓦やブロックなどが破壊したとき、焼却灰が露出し重金属イオンが溶出してしまうことがあるといった問題があり、下水汚泥焼却灰の利用も未だ十分とはなっていない。
本発明者等は、上記の問題点を解決するために研究を重ねた結果、エポキシ樹脂に下水汚泥焼却灰を混合することに着目し、さらに、エポキシ樹脂に下水汚泥焼却灰を混合すると優れた接着性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、重金属イオンを含む廃棄物を含む汚泥を焼却して得られた焼却灰であっても安全に利用することのできる下水汚泥焼却灰の利用方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の下水汚泥消却灰の利用方法は、下水汚泥焼却灰を粉砕して、最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整し、この粉砕した焼却灰をエポキシ樹脂に混合して主剤とし、この主剤に硬化剤を混合して硬化させ所定の形状の成形物を成形することを特徴とする。
請求項2に記載の下水汚泥消却灰の利用方法は、下水汚泥焼却灰を粉砕して、最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整し、この粉砕した焼却灰をエポキシ樹脂にフィラーとして混合して主剤とし、この主剤に硬化剤を混合して接着剤或いは塗布型ライニング材とすることを特徴とする。
請求項3に記載の下水汚泥消却灰の利用方法は、請求項2に記載の、前記したエポキシ樹脂は耐薬品性エポキシ樹脂であり、前記焼却灰とエポキシ樹脂と硬化剤を混合した混合物における前記焼却灰の含有率は、30重量%〜50重量%であることを特徴とする。
請求項1に記載の下水汚泥消却灰の利用方法によれば、下水汚泥焼却灰を粉砕して最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整し、この粉砕した焼却灰をエポキシ樹脂に混合して主剤とし、この主剤に硬化剤を混合して硬化させ所定の形状の成形物を成形することとしたので、粉砕された焼却灰は、表面に多数の不規則な角部があり、この表面にある多数の不規則な角部がエポキシ樹脂との結着性を強めることになり、圧縮強度、曲げ強度、引っ張り強度の高い成形物を得ることができる。
そして、焼却灰を粉砕して最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整してあるので、仮に成形物が破壊したとしても、焼却灰はエポキシ樹脂に覆われた状態にあり、破壊面から焼却灰が露出せず、また仮に焼却灰が露出したとしても僅かであり、焼却灰が重金属イオンを含む廃棄物を含む物であったとしても重金属イオンの溶出はごく僅かで済む。
請求項2に記載の下水汚泥消却灰の利用方法によれば、下水汚泥焼却灰を粉砕して、最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整し、この粉砕した焼却灰をエポキシ樹脂にフィラーとして混合して主剤とし、この主剤に硬化剤を混合して接着剤或いは塗布型ライニング材とするので、粉砕された焼却灰は、表面に多数の不規則な角部があり、この表面にある多数の不規則な角部が耐薬品性エポキシ樹脂との結着性を強めることになり、接着剤としたとき優れた接着力を得ることができ、また塗布型ライニング材としたとき、塗布時にダレがなく、塗布面からの塗布層の浮きがないライニングを得ることができるとともに、圧縮強度、曲げ強度、引っ張り強度の高いライニングを得ることができる。
そして、焼却灰を粉砕して最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整してあるので、仮に接着剤層が破壊したり、ライニングが破壊したとしても、焼却灰は耐薬品性エポキシ樹脂に覆われた状態にあり、破壊面から焼却灰が露出せず、また仮に焼却灰が露出したとしても僅かであり、焼却灰が重金属イオンを含む廃棄物を含む物であったとしても重金属イオンの溶出はごく僅かで済む。
請求項3に記載の下水汚泥焼却灰の利用方法によれば、請求項2に記載の、前記したエポキシ樹脂は耐薬品性エポキシ樹脂であるので、例えば、硫化塩から生成される硫化物やその他の腐食物質と接触しても侵食されることはなく、また、前記焼却灰とエポキシ樹脂と硬化剤を混合した混合物における前記焼却灰の含有率は、30重量%〜50重量%であるので、良好なダレ防止と耐薬品性が得られる。焼却灰の含有率が30重量%未満であるとダレが起き易く、また、40重量%を超えると耐薬品性が低下する。
以下、本発明に係る下水汚泥焼却灰の利用方法を実施するための形態を詳細に説明する。
先ず、本発明に係る下水汚泥焼却灰の利用方法を実施するための形態の第1例を説明する。
本例は、下水処理の工程で排出される汚泥を脱水焼却して焼却灰を得る。この焼却灰を粉砕機で粉砕して、最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整する。この粉砕した焼却灰をエポキシ樹脂に混合して主剤とし、この主剤に硬化剤を混合した混合物を得る。
焼却灰の最大粒径が100ミクロンを超え、且つ平均粒径が30ミクロンを超えると、成形物が破壊したとき焼却灰が露出し、焼却灰が重金属イオンを含む廃棄物を含む物であった場合、重金属イオンが溶出するおそれがある。
前記したエポキシ樹脂は、本例では耐薬品性のあるエポキシ樹脂が使用される。このエポキシ樹脂に希釈剤が添加されてエマルジョンとされ、エポキシ樹脂エマルジョンに焼却灰が混合される。この混合物を主剤とし、この主剤に硬化剤としてアミンが混合される。また、焼却灰は、エポキシ樹脂だけでなく、硬化剤にも混合することができる。本例では、焼却灰をエポキシ樹脂と硬化剤のいずれにも混合している。
焼却灰とエポキシ樹脂と硬化剤を混合した混合物における焼却灰の含有率にあっては特に限定されないが50重量%を超えないことが好ましい。50%を超えると混合物の粘度が高くなり成形性が悪くなる。また、エポキシ樹脂が耐薬品性のあるものである場合、焼却灰により耐薬品性が低下する。
このようにして得たエポキシ樹脂と焼却灰と硬化剤の混合物を型枠に流し込み、硬化させて所定の形状の成形物を成形する。
このようにして成形された成形物にあっては、粉砕された焼却灰は、その表面に多数の不規則な角部があり、この表面にある多数の不規則な角部がエポキシ樹脂との結着性を強めることになるので、圧縮強度、曲げ強度、引っ張り強度の高いものとなる。
そして、焼却灰を粉砕して、最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整してあるので、仮に成形物が破壊したとしても、焼却灰はエポキシ樹脂に覆われた状態にあり、破壊面から焼却灰が露出せず、また仮に焼却灰が露出したとしても僅かであり、焼却灰が重金属イオンを含む廃棄物を含む物であったとしても重金属イオンの溶出はごく僅かで済む。また、本例では、エポキシ樹脂が耐薬品性のあるものであるので、例えば、硫化塩から生成される硫化物やその他の腐食物質と接触しても侵食されることはない。
次ぎに、本発明に係る下水汚泥焼却灰の利用方法を実施するための形態の第2例を説明する。
本例は、第1例と同様、下水処理の工程で排出される汚泥を脱水焼却して焼却灰を得る。この焼却灰を粉砕機で粉砕して、最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整し、この粉砕した焼却灰をエポキシ樹脂にフィラーとして混合して主剤とし、この主剤に硬化剤を混合して、混合物を接着剤とする。
焼却灰の最大粒径が100ミクロンを超え、且つ平均粒径が30ミクロンを超えると、例えば、接着部分を構成する接着剤層が破壊したとき、破壊部分から焼却灰が露出し、焼却灰が重金属イオンを含む廃棄物を含む物であった場合、重金属イオンが溶出するおそれがある。
エポキシ樹脂は、本例では耐薬品性のあるエポキシ樹脂が使用される。このエポキシ樹脂に希釈剤が添加されてエマルジョンとされ、エポキシ樹脂エマルジョンに焼却灰が混合される。この混合物を主剤とし、この主剤に硬化剤としてアミンが混合される。また、焼却灰は、エポキシ樹脂だけでなく、硬化剤にも混合することができる。本例では、第1例と同様、焼却灰をエポキシ樹脂と硬化剤のいずれにも混合している。
焼却灰とエポキシ樹脂と硬化剤を混合した混合物における焼却灰の含有率にあっては、30重量%〜50重量%であることが好ましい。焼却灰の含有率が30重量%未満であると接着性が低下する。また、50重量%を超えるとエポキシ樹脂と焼却灰の混合物の粘度が高くなり作業性が悪くなり、また、エポキシ樹脂が耐薬品性のあるものである場合、焼却灰により接着部分の耐薬品性が低下する。
このようにして得た接着剤にあっては、粉砕された焼却灰は、表面に多数の不規則な角部があり、この表面にある多数の不規則な角部がエポキシ樹脂との結着性を強めることになるので優れた接着力を得ることができる。
そして、焼却灰を粉砕して最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整してあるので、仮に接着部分を構成する接着剤層が破壊したとしても、焼却灰はエポキシ樹脂に覆われた状態にあり、破壊面から焼却灰が露出せず、また仮に焼却灰が露出したとしても僅かであり、焼却灰が重金属イオンを含む廃棄物を含む物であったとしても重金属イオンの溶出はごく僅かで済む。また、本例ではエポキシ樹脂が耐薬品性のあるものであるので、例えば、接着部分が硫化塩から生成される硫化物やその他の腐食物質と接触しても侵食されることはない。
次ぎに、本発明に係る下水汚泥焼却灰の利用方法を実施するための形態の第3例を説明する。
本例は、第1例と同様、下水処理の工程で排出される汚泥を脱水焼却して焼却灰を得る。この焼却灰を粉砕機で粉砕して、最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整し、この粉砕した焼却灰をエポキシ樹脂にフィラーとして混合して主剤とし、この主剤に硬化剤を混合して、混合物を塗布型ライニング材とする。
焼却灰の最大粒径が100ミクロンを超え、且つ平均粒径が30ミクロンを超えると、例えば、ライニングが破壊したとき、破壊部分から焼却灰が露出し、焼却灰が重金属イオンを含む廃棄物を含む物であった場合、重金属イオンが溶出するおそれがある。
エポキシ樹脂は、本例では耐薬品性のあるエポキシ樹脂が使用される。このエポキシ樹脂に希釈剤が添加されてエマルジョンとされ、エポキシ樹脂エマルジョンに焼却灰が混合される。この混合物を主剤とし、この主剤に硬化剤としてアミンが混合される。また、焼却灰は、エポキシ樹脂だけでなく、硬化剤にも混合することができる。本例では、第1例と同様、焼却灰をエポキシ樹脂と硬化剤のいずれにも混合している。
焼却灰とエポキシ樹脂と硬化剤を混合した混合物における焼却灰の含有率にあっては、30重量%〜50重量%であることが好ましい。焼却灰の含有率が30重量%未満であるとダレが起き易い。また、50重量%を超えるとエポキシ樹脂と焼却灰の混合物の粘度が高くなり作業性が悪くなり、また、エポキシ樹脂が耐薬品性のあるものである場合、焼却灰により接着部分の耐薬品性が低下する。
このようにして得た塗布型ライニング材にあっては、粉砕された焼却灰は、表面に多数の不規則な角部があり、この表面にある多数の不規則な角部がエポキシ樹脂との結着性を強めることになるので、塗布時にダレがなく、塗布面からの塗布層の浮きがないライニングを得ることができるとともに、圧縮強度、曲げ強度、引っ張り強度の高いライニングを得ることができる。
そして、焼却灰を粉砕して最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整してあるので、仮にライニングが破壊したとしても、焼却灰はエポキシ樹脂に覆われた状態にあり、破壊面から焼却灰が露出せず、また仮に焼却灰が露出したとしても僅かであり、焼却灰が重金属イオンを含む廃棄物を含む物であったとしても重金属イオンの溶出はごく僅かで済む。また、本例ではエポキシ樹脂が耐薬品性のあるものであるので、例えば、ライニングが硫化塩から生成される硫化物やその他の腐食物質と接触しても侵食されることはない。

Claims (3)

  1. 下水汚泥焼却灰を粉砕して、最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整し、この粉砕した焼却灰をエポキシ樹脂に混合して主剤とし、この主剤に硬化剤を混合して硬化させ所定の形状の成形物を成形することを特徴とする下水汚泥焼却灰の利用方法。
  2. 下水汚泥焼却灰を粉砕して、最大粒径100ミクロン以下、平均粒径10〜30ミクロンに粒度調整し、この粉砕した焼却灰をエポキシ樹脂にフィラーとして混合して主剤とし、この主剤に硬化剤を混合して接着剤或いは塗布型ライニング材とすることを特徴とする下水汚泥焼却灰の利用方法。
  3. 前記したエポキシ樹脂は耐薬品性エポキシ樹脂であり、前記焼却灰とエポキシ樹脂と硬化剤を混合した混合物における前記焼却灰の含有率は、30重量%〜50重量%であることを特徴とする請求項2に記載の下水汚泥焼却灰の利用方法。
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