JP2012016142A - ソフトスイッチング用駆動回路およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】メインスイッチSmのオン状態への切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によってオン状態への切り替えがソフトスイッチングとされるものにあって、メインスイッチSmに対するオン状態への切り替え指令と実際のスイッチング状態の切り替わりとの時間差のばらつきによってソフトスイッチングの制御性が低下すること。
【解決手段】メインスイッチSmのゲートには、共通抵抗96、充電用インダクタ94、充電用抵抗体92、および充電用スイッチング素子90を介して電源88が接続されている。また、メインスイッチSmのゲートおよびエミッタ間には、コンデンサ110が接続されている。上記時間差の誤差を低減すべく、充電用インダクタ94のインダクタンスやコンデンサ110の静電容量が調節される。
【選択図】 図4
【解決手段】メインスイッチSmのゲートには、共通抵抗96、充電用インダクタ94、充電用抵抗体92、および充電用スイッチング素子90を介して電源88が接続されている。また、メインスイッチSmのゲートおよびエミッタ間には、コンデンサ110が接続されている。上記時間差の誤差を低減すべく、充電用インダクタ94のインダクタンスやコンデンサ110の静電容量が調節される。
【選択図】 図4
Description
本発明は、電力変換回路を構成する電圧制御形のスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされる電力変換回路に適用され、前記電力変換回路を構成するスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とし、前記駆動対象スイッチング素子をオン状態とするための電荷の供給手段と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続する充電用電気経路を開閉する充電用スイッチング素子と、前記電荷を放電するための放電用電気経路を開閉する放電用スイッチング素子とを備えて前記駆動対象スイッチング素子を駆動するソフトスイッチング用駆動回路およびその製造方法に関する。
ソフトスイッチングを可能とする電力変換回路として、昇圧チョッパ回路の主スイッチング素子にコンデンサを並列接続するとともに、補助スイッチや補助インダクタ等を設けるものが提案されている(特許文献1、非特許文献1)。具体的には、補助スイッチング素子のオン状態への切り替えタイミングに対する主スイッチング素子のオン状態への切り替えタイミングの遅延時間を制御することで、主スイッチング素子に並列接続されたコンデンサの電荷がゼロとなったタイミングで主スイッチング素子をオン状態に切り替え、ひいてはオン状態への切り替えをゼロ電圧スイッチング(ZVS)とすることが提案されている。
"次世代クリーンエネルギ応用分野における電力変換器を対象としたソフトスイッチング回路方式に関する研究",[online]、[平成22年6月8日検索]、インターネット<URL:http://www.kawalab.dnj.ynu.ac.jp/research/power_electronics/Chopper/Chopper1.html>
ただし、上記ソフトスイッチングを行なうに際しては、上記遅延時間を高精度に制御することが要求される。したがって、補助スイッチング素子や主スイッチング素子に対するオン操作指令と実際にオン状態に切り替わるタイミングとの間に個体差等に起因したずれが生じる場合には、ソフトスイッチングを適切に行なうことができなくなるおそれがある。そしてこうした事態は、従来のハードスイッチングを行なう電力変換回路の駆動系を用いることで実際に生じることが発明者らによって見出されている。
ここで、従来のハードスイッチングを行なう電力変換回路の場合、遅延時間の調節が必要とされるのは、相補的に駆動される一対のスイッチング素子の双方をオフとするためのデッドタイムの設定に限られていた。デッドタイムの設定は、双方がオン状態となる期間の発生を確実に回避することができるものであればよいため、十分なマージンが設けられることが常であった。そして、こうしたマージン設定による制御への影響は、周知のデッドタイム補償等のスイッチング素子の操作信号の補正によって比較的容易に補償することができる。これに対し、上記遅延時間が短くても長くてもソフトスイッチングの効果は目減りしてしまうため、上記マージン設定のような手法を用いることができない。
なお、上記電力変換回路に限らず、電圧制御形のスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされるものにあっては、ソフトスイッチングを適切に行なうことができなくなるおそれのあるこうした実情も概ね共通したものとなっている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、スイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされるものにあって、スイッチング状態の切り替え指令と実際のスイッチング状態の切り替わりとの時間差のばらつきによるソフトスイッチングの制御性の低下を好適に抑制することのできるソフトスイッチング用駆動回路およびその製造方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、電力変換回路を構成する電圧制御形のスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされる電力変換回路に適用され、前記電力変換回路を構成するスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とし、前記駆動対象スイッチング素子をオン状態とするための電荷の供給手段と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続する充電用電気経路を開閉する充電用スイッチング素子と、前記電荷を放電するための放電用電気経路を開閉する放電用スイッチング素子とを備えて前記駆動対象スイッチング素子を駆動するソフトスイッチング用駆動回路について、該ソフトスイッチング用駆動回路を製造するソフトスイッチング用駆動回路の製造方法において、前記駆動回路を、前記充電用電気経路と前記放電用電気経路とに抵抗体を設けることに加えて、前記充電用電気経路および放電用電気経路の少なくとも一方にインダクタを設けるか前記充電用電気経路および前記放電用電気経路の少なくとも一方にキャパシタを接続するかして構成し、前記スイッチング状態の切り替え指令を前記駆動対象スイッチング素子側に伝達させることで前記遅延時間の誤差を検出する検出工程と、該検出される誤差を低減すべく、前記インダクタのインダクタンスおよび前記キャパシタの静電容量の少なくとも一方を調節する調節工程とを有することを特徴とする。
ソフトスイッチングがなされる電力変換回路のスイッチング素子については、サージによるスイッチング素子の要求耐圧の上昇を招きにくいことから、サージを低減すべく駆動回路の構成を複雑化する動機に乏しい。このため、ソフトスイッチングがなされる電力変換回路のスイッチング素子の駆動回路については、充電用電気経路や放電用電気経路に抵抗体を備えれば十分であるとも考えられる。ただし、こうした抵抗体のみによっては、上記遅延時間の誤差を低減する自由度に乏しく、これによりスイッチング状態の切り替え速度の設定との干渉が避けにくくなる。上記発明では、この点に鑑み、インダクタやキャパシタを設けることで、これを上記遅延時間の誤差を低減するための調節用素子として利用する。これにより、上記遅延時間の誤差を低減する上での自由度を向上させることができ、ひいてはスイッチング状態の切り替え速度の設定との干渉を好適に抑制することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記調節工程において、前記抵抗体の抵抗値をさらに調節することを特徴とする。
上記発明では、調節工程において抵抗体の抵抗値を調節することで、上記遅延時間の誤差を低減するための処理がスイッチング状態の切り替え速度の設定に干渉することを好適に抑制することができる。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記検出工程は、前記電力変換回路の実際の使用時において想定される温度のうちの高温側の温度において行われることを特徴とする。
スイッチング状態の切り替え指令の伝達経路の回路特性や電力変換回路の回路特性は温度に応じて変化しうる。一方、電力変換回路は過度の高温となることでその信頼性が低下する懸念がある。上記発明では、この点に鑑み、高温において検出を行なうことで、高温時においてソフトスイッチングを確実に行なうことができるようになる。このため、高温時における電力損失を低減することができ、ひいては過度の温度上昇を回避することができる。
請求項4記載の発明は、電力変換回路を構成する電圧制御形のスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされる電力変換回路に適用され、前記電力変換回路を構成するスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とし、前記駆動対象スイッチング素子をオン状態とするための電荷の供給手段と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続する充電用電気経路を開閉する充電用スイッチング素子と、前記電荷を放電するための放電用電気経路を開閉する放電用スイッチング素子とを備えて前記駆動対象スイッチング素子を駆動するソフトスイッチング用駆動回路において、前記充電用電気経路と前記放電用電気経路とに設けられた抵抗体と、前記充電用電気経路および前記放電用電気経路の少なくとも一方に設けられたインダクタとを備えることを特徴とする。
ソフトスイッチングがなされる電力変換回路のスイッチング素子については、サージによるスイッチング素子の要求耐圧の上昇を招きにくいことから、サージを低減すべく駆動回路の構成を複雑化する動機に乏しい。このため、ソフトスイッチングがなされる電力変換回路のスイッチング素子の駆動回路については、充電用電気経路や放電用電気経路に抵抗体を備えれば十分であるとも考えられる。ただし、こうした抵抗体のみによっては、切り替え指令が駆動対象スイッチング素子に伝達されるまでの時間のばらつきを補償する自由度に乏しく、これによりスイッチング状態の切り替え速度の設定との干渉が避けにくくなる。上記発明では、この点に鑑み、インダクタを設けることで、これを上記遅延時間の誤差を低減するための調節用素子として利用する。これにより、上記遅延時間の誤差を低減する上での自由度を向上させることができ、ひいてはスイッチング状態の切り替え速度の設定との干渉を好適に抑制することができる。特にインダクタは、切り替え指令が駆動対象スイッチング素子に伝達されるまでの時間を遅延させる一方、スイッチング状態の切替速度を高めうる。これに対し、線形素子としての抵抗体は、抵抗値を増加させることで、上記伝達されるまでの時間を遅延させて且つスイッチング速度を遅くする。このため、インダクタを用いることで、抵抗体とは相違する調節が可能となる。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記充電用スイッチング素子の入力端子側および前記放電用スイッチング素子の出力端子側の少なくとも一方と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続するキャパシタをさらに備えることを特徴とする。
上記発明では、キャパシタを備えることで、上記遅延時間の誤差を低減する上での自由度をさらに向上させることや、供給手段の電圧を安定化させることなどができる。特に、キャパシタによって、インダクタによるスイッチング状態の切り替え速度の上昇を低減する機能をも持たせうる。
請求項6記載の発明は、電力変換回路を構成する電圧制御形のスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされる電力変換回路に適用され、前記電力変換回路を構成するスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とし、前記駆動対象スイッチング素子をオン状態とするための電荷の供給手段と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続する充電用電気経路を開閉する充電用スイッチング素子と、前記電荷を放電するための放電用電気経路を開閉する放電用スイッチング素子とを備えて前記駆動対象スイッチング素子を駆動するソフトスイッチング用駆動回路において、前記充電用電気経路と前記放電用電気経路とに設けられた抵抗体と、前記充電用スイッチング素子の入力端子側および前記放電用スイッチング素子の出力端子側の少なくとも一方と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続するキャパシタとを備えることを特徴とする。
ソフトスイッチングがなされる電力変換回路のスイッチング素子については、サージによるスイッチング素子の要求耐圧の上昇を招きにくいことから、サージを低減すべく駆動回路の構成を複雑化する動機に乏しい。このため、ソフトスイッチングがなされる電力変換回路のスイッチング素子の駆動回路については、充電用電気経路や放電用電気経路に抵抗体を備えれば十分であるとも考えられる。ただし、こうした抵抗体のみによっては、切り替え指令が駆動対象スイッチング素子に伝達されるまでの時間のばらつきを補償する自由度に乏しく、これによりスイッチング状態の切り替え速度の設定との干渉が避けにくくなる。上記発明では、この点に鑑み、キャパシタを設けることで、これを上記遅延時間の誤差を低減するための調節用素子として利用することが可能となる。これにより、上記遅延時間の誤差を低減する上での自由度を向上させることができ、ひいてはスイッチング状態の切り替え速度の設定との干渉を好適に抑制することができる。また、上記利用に代えて、供給手段の電圧を安定化させることもできる。
請求項7記載の発明は、請求項5または6記載の発明において、前記キャパシタは、前記充電用スイッチング素子の入力端子側と前記導通制御端子側とを接続する放電側キャパシタを備えることを特徴とする。
上記発明では、充電経路を介して導通制御端子に電荷を充電するに際し、放電側キャパシタが供給手段に電荷を供給するため、供給手段の出力電圧が低下する事態を好適に抑制することができる。
請求項8記載の発明は、請求項5〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記キャパシタは、前記放電用スイッチング素子の出力端子側と前記導通制御端子側とを接続する充電側キャパシタを備え、該充電側キャパシタは、前記導通制御端子から前記充電側キャパシタ側へと進む方向を順方向とする充電側整流手段を備えて前記導通制御端子に接続されるものであり、前記充電側キャパシタに並列に充電側抵抗体が接続されていることを特徴とする。
上記発明では、導通制御端子の充電速度を充電側キャパシタの静電容量によって調節して且つ、導通制御端子の放電速度については、充電側キャパシタの影響を受けないようにすることができる。
請求項9記載の発明は、請求項5〜8のいずれか1項に記載の発明において、前記充電用電気経路および前記放電用電気経路の少なくとも一方に設けられたインダクタをさらに備えることを特徴とする。
上記発明では、インダクタを備えることで、上記遅延時間の誤差を低減する上での自由度をさらに向上させることができる。特にインダクタは、切り替え指令が駆動対象スイッチング素子に伝達されるまでの時間を遅延させる一方、スイッチング状態の切替速度を高めうる。これに対し、線形素子としての抵抗体は、抵抗値を増加させることで、上記伝達されるまでの時間を遅延させて且つスイッチング速度を遅くする。このため、インダクタを用いることで、抵抗体とは相違する調節が可能となる。これにより、例えばインダクタによって上記伝達される時間を遅延させる際にスイッチング状態の切り替え速度が上昇することをキャパシタによって低減することなどもできる。
請求項10記載の発明は、請求項4、5、9のいずれか1項に記載の発明において、前記インダクタは、前記充電用電気経路であって前記放電用電気経路でない経路に、充電用インダクタを備えることを特徴とする。
上記発明では、充電用インダクタのインダクタンスによって導通制御端子の充電特性を調節して且つ、このインダクタンスによって導通制御端子の放電特性が影響を受けないようにすることができる。
請求項11記載の発明は、請求項4,5,9、10のいずれか1項に記載の発明において、前記インダクタは、前記放電用電気経路であって前記充電用電気経路でない経路に、放電用インダクタを備えることを特徴とする。
上記発明では、放電用インダクタのインダクタンスによって導通制御端子の放電特性を調節して且つ、このインダクタンスによって導通制御端子の充電特性が影響を受けないようにすることができる。
請求項12記載の発明は、請求項4〜11のいずれか1項に記載の発明において、前記導通制御端子側から前記充電用スイッチング素子側へと進む方向を順方向とするダイオードをさらに備えることを特徴とする。
上記発明では、駆動回路内の電流の変化に起因したサージをダイオードによって抑制することができる。
請求項13記載の発明は、請求項4〜12のいずれか1項に記載の発明において、前記駆動対象スイッチング素子の出力端子側から前記導通制御端子側へと進む方向を順方向とするツェナーダイオードをさらに備えることを特徴とする。
上記発明では、駆動回路内の電流の変化に起因したサージをツェナーダイオードによって抑制することができる。
請求項14記載の発明は、請求項4〜13のいずれか1項に記載の発明において、前記電力変換回路は、これを構成するスイッチング素子の入力端子および出力端子間に並列接続されるキャパシタと、インダクタとを備え、前記ソフトスイッチングは、前記キャパシタと前記インダクタとの共振現象を利用して前記キャパシタを放電させた状態で前記キャパシタが並列接続されたスイッチング素子をオン操作するものであることを特徴とする。
請求項15記載の発明は、請求項4〜14のいずれか1項に記載の発明において、前記電力変換回路は、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を備え、前記ソフトスイッチングは、前記第1スイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングと前記第2スイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングとの時間差を制御することでなされるものであり、前記駆動対象スイッチング素子は、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子の少なくとも一方であることを特徴とする。
請求項16記載の発明は、請求項4〜15のいずれか1項に記載の発明において、前記駆動対象スイッチング素子は、スイッチング状態のオン状態への切り替えとオフ状態への切り替えの双方ともソフトスイッチングとされるものであることを特徴とする。
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかるソフトスイッチング用信号伝達装置を車載主機との間の電力の授受を司る電力変換回路に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
以下、本発明にかかるソフトスイッチング用信号伝達装置を車載主機との間の電力の授受を司る電力変換回路に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
図示されるモータジェネレータ10は、車載主機であり、その回転軸(回転子)は、駆動輪に機械的に連結されている。モータジェネレータ10は、インバータ12およびコンバータCVを介して高電圧バッテリ14およびコンデンサ16に接続されている。ここで、高電圧バッテリ14は、その端子電圧が百V以上となる高電圧の2次電池である。
上記コンバータCVは、基本的には、メインスイッチSmがオン状態とされることで高電圧バッテリ14からの電力をインダクタ20,22に蓄え、メインスイッチSmがオフされることでインダクタ20,22の充填エネルギをダイオード24を介して出力端子側(コンデンサ26)に出力する周知の昇圧チョッパ回路である。ただし本実施形態では、上記メインスイッチSmを絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)としていることから、これにダイオードDmを逆並列に接続している。なお、高電圧バッテリ14への電力の回生を可能とするうえでは、ダイオード24にさらにスイッチング素子を並列接続し昇降圧チョッパ回路とすることが望ましいが、以下の内容と直接関係しないためこれについての記載を省略している。
上記コンバータCVは、上記昇圧チョッパ回路に加えて、ソフトスイッチングを行なうための補助回路を備えている。すなわち、メインスイッチSmには、ダイオード28およびコンデンサ30の直列接続体が並列接続されている。そして、これらダイオード28とコンデンサ30との接続点(ダイオード28のカソード)には、ダイオードDsを介してIGBT(サブスイッチSs)の入力端子が接続され、サブスイッチSsの出力端子は、インダクタ20,22の接続点に接続されている。
上記メインスイッチSmやサブスイッチSsのゲートには、ドライブユニットDUが接続されている。ドライブユニットDUは、駆動対象となるスイッチング素子のゲート電圧を操作してこれを駆動する。また、ドライブユニットDUは、メインスイッチSmやサブスイッチSsの備えるセンス端子Stから出力される微少電流に基づき、メインスイッチSmやサブスイッチSsを流れる電流が閾値電流以上であるか否かを判断し、閾値電流以上であると判断される場合にこれを強制的に停止する機能を有する。
上記モータジェネレータ10やインバータ12、コンバータCV、高電圧バッテリ14等は、車載低電圧システムから絶縁された車載高電圧システムを構成している。一方、車載低電圧システムには、高電圧バッテリ14と比較して低い端子電圧(例えば数V〜十数V)を有する低電圧バッテリ50を電源とする制御装置52が備えられている。制御装置52は、モータジェネレータ10の制御量を制御すべくインバータ12やコンバータCVを操作する。詳しくは、モータジェネレータ10の制御量を制御する上で適切な電圧となるようにコンバータCVの出力電圧を制御する。この出力電圧の制御のために、制御装置52は、メインスイッチSmの操作信号gmとサブスイッチSsの操作信号gsとを生成してインターフェース40を介してドライブユニットDUに出力する。ドライブユニットDUでは、操作信号gm、gsに応じてメインスイッチSmやサブスイッチSsを操作する。
なお、上記インターフェース40は、基本的には、低電圧システムと高電圧システムとを絶縁するものであるが、その1次側には、ドライブユニットDUにおいて閾値電流以上である旨判断された場合にコンバータCVやインバータ12をシャットダウンするフェール処理部42等をさらに備えている。ここで、フェール処理部42は、例えば特開2009−60358号公報に記載されたもの等によって構成すればよい。
次に、図2及び図3に基づき、本実施形態にかかるソフトスイッチング制御について説明する。ここで、図2および図3に記載したタイムチャートは、いずれも同じものであり、タイムチャート上方のモード1〜4についての電流の流れが等が図2に、またモード5〜8についての電流の流れ等が図3にそれぞれ記載されている。上記タイムチャートにおいて、(a)は、メインスイッチSmの状態を示し、(b)は、サブスイッチSsの状態を示し、(c)は、インダクタ22の電流iLと、サブスイッチSsを流れる電流との推移を示し、(d)は、メインスイッチSmの入出力端子間電圧(コレクタエミッタ間電圧Vce)と、これを流れる電流との推移を示す。以下、モード1〜モード8について、順次説明する。
「モード1」
メインスイッチSmおよびサブスイッチSsの双方がオフ状態となる状態である。高電圧バッテリ14からの電流がインダクタ20,22、ダイオード24を介してコンデンサ26に流入する。ここで、インダクタ20,22を流れる電流は、高電圧バッテリ14の端子電圧である入力電圧VinとコンバータCVの出力電圧Voutとの差に比例した速度で漸減する。なお、コンデンサ30の充電電圧は、出力電圧Vout相当となっているため、ダイオードDsはオフ状態となっている。
「モード2」
メインスイッチSmをオフ状態としたままサブスイッチSsをオン状態とする状態である。これにより、インダクタ20およびインダクタ22の接続点がコンデンサ30の正極と短絡されるため、接続点の電圧は、出力電圧Vout相当となる。このため、インダクタ22の両端には電圧が印加されなくなり、インダクタ22には、モード2への切り替え時の電流が継続して流れようとする。一方、インダクタ20の両端に印加される電圧の絶対値は、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差に増大し、これにより、インダクタ20を流れる電流の漸減速度が増大する。インダクタ20を流れる電流の減少量がサブスイッチSsを流れる電流の増加量となる。これにより、サブスイッチSs、インダクタ22、およびダイオードDsを備えるループ回路に電流が流れ、この電流は漸増する。この電流は、サブスイッチSsがオン状態となった後、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差をインダクタ20のインダクタンスによって除算した値に比例して増大するため、サブスイッチSsをオン状態に切り替える際にこれに流れる電流は基本的にゼロとなる。このため、サブスイッチSsのオン状態への切り替えは、ゼロ電流スイッチング(ZCS)となる。
「モード3」
インダクタ20を流れる電流が漸減してゼロとなった時点である。このときには、ダイオード24から出力される電流もゼロとなり、インダクタ22、ダイオードDsおよびサブスイッチSsを備えるループ回路に電流が流れる。
「モード4」
コンデンサ30の充電電圧が高電圧バッテリ14の端子電圧(Vin)よりも高いために、コンデンサ30がインダクタ20を介して高電圧バッテリ14に放電する状態である。
「モード5」
コンデンサ30の充電電荷がゼロとなり、インダクタ20を流れる電流がゼロとなった状態である。なお、コンデンサ30の充電電荷がゼロとなるためには、出力電圧Voutが入力電圧Vinの定数倍(2倍)だけ大きくなる必要があるが、定数倍未満の場合についての説明はここでは省略する。
「モード6」
メインスイッチSmをオン状態に切り替えた状態である。ここで、コンデンサ30の充電電圧がゼロであるときには、メインスイッチSmの入出力端子間の電圧がゼロであるため、このときにメインスイッチSmをオン状態に切り替えると、オン状態への切り替えをゼロ電圧スイッチング(ZVS)とすることができる。メインスイッチSmのオン状態への切り替えにより、高電圧バッテリ14、インダクタ20,22およびメインスイッチSmを備えるループ回路に電流が流れ、インダクタ20,22にエネルギが蓄積される。この際、インダクタ20を流れる電流が漸増し、インダクタ20を流れる電流の増加量だけサブスイッチSsを流れる電流が減少する。
「モード7」
サブスイッチSsを流れる電流がゼロとなった状態である。この状態となることに同期してサブスイッチSsをオフ状態に切り替える。この場合、サブスイッチSsに電流が流れていないことから、オフ状態への切り替えは、ゼロ電流スイッチング(ZCS)となる。
「モード8」
メインスイッチSmをオフ状態に切り替えた状態である。ここで、メインスイッチSmのオフ状態への切り替えによってメインスイッチSmの入出力端子間の電圧は上昇するが、この上昇速度はコンデンサ30の充電速度によって制限される。このため、メインスイッチSmのオフ状態への切り替えは、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)となる。メインスイッチSmがオフ状態に切り替えられコンデンサ30の充電電圧が出力電圧Vout程度となることで、高電圧バッテリ14、インダクタ20、22、ダイオード24を介して電流が出力される。
「モード1」
メインスイッチSmおよびサブスイッチSsの双方がオフ状態となる状態である。高電圧バッテリ14からの電流がインダクタ20,22、ダイオード24を介してコンデンサ26に流入する。ここで、インダクタ20,22を流れる電流は、高電圧バッテリ14の端子電圧である入力電圧VinとコンバータCVの出力電圧Voutとの差に比例した速度で漸減する。なお、コンデンサ30の充電電圧は、出力電圧Vout相当となっているため、ダイオードDsはオフ状態となっている。
「モード2」
メインスイッチSmをオフ状態としたままサブスイッチSsをオン状態とする状態である。これにより、インダクタ20およびインダクタ22の接続点がコンデンサ30の正極と短絡されるため、接続点の電圧は、出力電圧Vout相当となる。このため、インダクタ22の両端には電圧が印加されなくなり、インダクタ22には、モード2への切り替え時の電流が継続して流れようとする。一方、インダクタ20の両端に印加される電圧の絶対値は、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差に増大し、これにより、インダクタ20を流れる電流の漸減速度が増大する。インダクタ20を流れる電流の減少量がサブスイッチSsを流れる電流の増加量となる。これにより、サブスイッチSs、インダクタ22、およびダイオードDsを備えるループ回路に電流が流れ、この電流は漸増する。この電流は、サブスイッチSsがオン状態となった後、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差をインダクタ20のインダクタンスによって除算した値に比例して増大するため、サブスイッチSsをオン状態に切り替える際にこれに流れる電流は基本的にゼロとなる。このため、サブスイッチSsのオン状態への切り替えは、ゼロ電流スイッチング(ZCS)となる。
「モード3」
インダクタ20を流れる電流が漸減してゼロとなった時点である。このときには、ダイオード24から出力される電流もゼロとなり、インダクタ22、ダイオードDsおよびサブスイッチSsを備えるループ回路に電流が流れる。
「モード4」
コンデンサ30の充電電圧が高電圧バッテリ14の端子電圧(Vin)よりも高いために、コンデンサ30がインダクタ20を介して高電圧バッテリ14に放電する状態である。
「モード5」
コンデンサ30の充電電荷がゼロとなり、インダクタ20を流れる電流がゼロとなった状態である。なお、コンデンサ30の充電電荷がゼロとなるためには、出力電圧Voutが入力電圧Vinの定数倍(2倍)だけ大きくなる必要があるが、定数倍未満の場合についての説明はここでは省略する。
「モード6」
メインスイッチSmをオン状態に切り替えた状態である。ここで、コンデンサ30の充電電圧がゼロであるときには、メインスイッチSmの入出力端子間の電圧がゼロであるため、このときにメインスイッチSmをオン状態に切り替えると、オン状態への切り替えをゼロ電圧スイッチング(ZVS)とすることができる。メインスイッチSmのオン状態への切り替えにより、高電圧バッテリ14、インダクタ20,22およびメインスイッチSmを備えるループ回路に電流が流れ、インダクタ20,22にエネルギが蓄積される。この際、インダクタ20を流れる電流が漸増し、インダクタ20を流れる電流の増加量だけサブスイッチSsを流れる電流が減少する。
「モード7」
サブスイッチSsを流れる電流がゼロとなった状態である。この状態となることに同期してサブスイッチSsをオフ状態に切り替える。この場合、サブスイッチSsに電流が流れていないことから、オフ状態への切り替えは、ゼロ電流スイッチング(ZCS)となる。
「モード8」
メインスイッチSmをオフ状態に切り替えた状態である。ここで、メインスイッチSmのオフ状態への切り替えによってメインスイッチSmの入出力端子間の電圧は上昇するが、この上昇速度はコンデンサ30の充電速度によって制限される。このため、メインスイッチSmのオフ状態への切り替えは、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)となる。メインスイッチSmがオフ状態に切り替えられコンデンサ30の充電電圧が出力電圧Vout程度となることで、高電圧バッテリ14、インダクタ20、22、ダイオード24を介して電流が出力される。
このように、本実施形態では、メインスイッチSmおよびサブスイッチSsのスイッチング状態の切り替えを全てソフトスイッチングとすることができる。ところで、例えばコンデンサ30が完全に放電される前にメインスイッチSmをオン状態に切り替える場合には、オン状態への切り替えが良好なZVSとならないことから、スイッチング損失が増加する。また、コンデンサ30が完全に放電されたタイミング(モード5となるタイミング)よりも遅れたタイミングでメインスイッチSmをオン状態に切り替える場合には、ダイオード28を介したコンデンサ30の充電が開始された後にオン状態への切り替えを行なうこととなる。このため、この場合にも、オン状態への切り替えが良好なZVSとならず、スイッチング損失が増加する。
ここで、本実施形態では、メインスイッチSmをオン状態に切り替えるために、コンデンサ30の充電電圧がゼロとなることを直接検出することはしない。代わりに、サブスイッチSsのオン状態への切り替えタイミングを基準タイミングとし、このタイミングからメインスイッチSmのオン状態への切り替えタイミングまでの遅延時間を、コンデンサ30の充電電圧がゼロとなると想定される時間に制御する。このため、ソフトスイッチングを行なうためには、上記遅延時間を正確に制御することが望まれる。ただし、制御装置52からの操作信号gm、gsの出力タイミングと、これらに応じてメインスイッチSmやサブスイッチSsのスイッチング状態が切り替わるタイミングとの間の時間差(遅延時間)は、インターフェース40やドライブユニットDUの個体差等によってばらつくおそれがある。そして、このばらつきは、上記遅延時間の誤差を生じさせる要因となる。
そこで本実施形態では、制御システムの製造時において上記遅延時間の誤差を検出し、これを低減する処理を行なう。以下、これについて説明する。
図4に、メインスイッチSmに関するインターフェース40およびドライブユニットDUの回路構成を示す。インターフェース40は、低電圧システム側から高電圧システム側へと信号を伝達するための絶縁手段としてフォトカプラ60を備えている。フォトカプラ60のフォトダイオードのアノードには、電源62の電圧が印加されており、フォトダイオードのカソードは、抵抗体64およびNチャネルMOSトランジスタ(スイッチング素子66)を介して接地されている。スイッチング素子66の導通制御端子(ゲート)には、操作信号gmが印加される。なお、フォトダイオードには抵抗体68が並列接続され、フォトダイオード、抵抗体64およびスイッチング素子66には、コンデンサ70が並列接続されている。
フォトカプラ60のフォトトランジスタの入力端子(コレクタ)には、抵抗体76を介して電源72の電圧が印加されており、フォトトランジスタの出力端子(エミッタ)は、メインスイッチSmの出力端子(エミッタ)に接続されている。また、フォトトランジスタと抵抗体76とには、コンデンサ74が並列接続されている。上記フォトトランジスタには、さらに、コンデンサ80が並列接続されている。
コンデンサ80の充電電圧は、メインスイッチSmのスイッチング状態の指令信号として、ドライブユニットDUに入力される。ドライブユニットDUでは、コンデンサ80の充電電圧に基づきメインスイッチSmをオン・オフ操作する。
図の下方には、ドライブユニットDUの構成の一部を示している。図示されるように、メインスイッチSmをオンするための電荷を供給する供給手段(電源88)は、充電用スイッチング素子90、充電用抵抗体92、充電用インダクタ94、共通抵抗96を介してメインスイッチSmの導通制御端子(ゲート)に接続されている。また、ゲートは、共通抵抗96、放電用抵抗体98および放電用スイッチング素子100を介して電源88の負極に接続されている。また、充電用スイッチング素子90、充電用抵抗体92および充電用インダクタ94には、ダイオード102とコンデンサ106とが並列接続されている。また、放電用抵抗体98と放電用スイッチング素子100とには、ツェナーダイオード104と、ダイオード108およびコンデンサ110の直列接続体とが並列接続されている。そして、コンデンサ110には、抵抗体112が接続されている。
ここで、本実施形態では、ドライブユニットDUのうち特に、充電用スイッチング素子90およびメインスイッチSmのゲート間の電気経路と、放電用スイッチング素子100およびメインスイッチSmのゲート間の電気経路との回路特性を調節することで、上記遅延時間の誤差を低減する。これは、第1に、ソフトスイッチングがなされるが故に、スイッチング状態の切り替え速度の設定の観点からは上記電気経路を簡素な構成とすることが可能であることによる。すなわち、ソフトスイッチングを行なう場合、サージ対策と損失低減との両立を図る上でゲートの充電期間において充電速度を可変とする手段等、上記電気経路を複雑化する手段を採用する動機に乏しい。このため、上記遅延時間の誤差を低減するために上記電気経路を構成しやすい。第2に、ドライブユニットDUのうち充電用スイッチング素子90や放電用スイッチング素子100を備える部分は、小型化や量産化によるコストダウンを狙って集積回路として1チップ化する要望があるためである。すなわち、この場合、汎用性のあるものとする要請が強くなるため、この部分を個体毎に調節することは適切とは言いがたく、また調節要素とすることで小型化が妨げられる懸念もある。第3に、低電圧システム側については、上記のようにフェール処理部42が備えられており、回路特性の調節によってフェール処理部42の動作特性に影響を及ぼすことが懸念されるためである。以下、図5および図6を用いて、本実施形態にかかるスイッチング状態の切り替え指令の伝達時間の調節原理について説明する。
図5は、充電用インダクタ94による伝達時間の調節機能を示す。ちなみに、キャパシタCpは、メインスイッチSmのゲート容量を示す。図5(c)に示されるように、充電用インダクタ94を設けた場合(図(a)の構成)には設けない場合(図(b)の構成)と比較して計測ポイント(コンデンサ110と共通抵抗96との接続点)の電圧の上昇過程における初期の上昇が遅れるものの、その後の上昇速度は大きくなっている。このため、充電用インダクタ94を備えることで、上記伝達時間を伸長させて且つ充電速度を大きくすることができる。この機能は、線形素子としての抵抗体によっては実現が困難なものである。すなわち、抵抗体の場合、キャパシタCpの充電速度を調節するため、上記伝達時間を伸長させるなら充電速度も小さくなる。
ちなみに、先の図4に示したダイオード102やツェナーダイオード104は、充電用インダクタ94を流れる電流の急変に起因したサージ電圧を抑制するためのものである。
図6に、コンデンサ110による伝達時間の調節機能を示す。図示されるように、メインスイッチSmのゲート(共通抵抗96)側からコンデンサ110側へと進む方向を順方向とするダイオード108を備えると、コンデンサ110の静電容量は、計測ポイント(キャパシタCpと共通抵抗96との接続点)の電圧の上昇速度の調節要素となるものの、低下速度には寄与しない。図6(c)には、ダイオード108を備える構成(図(a)の構成)とダイオード108を備えない構成(図(b)の構成)との電圧の上昇速度等を対比して示している。ちなみに、コンデンサ110に並列接続された抵抗体112は、コンデンサ110を放電させるためのものである。ここでは、スイッチング状態の切替時間よりも十分に長い時間の経過に伴ってコンデンサ110の充電電圧がゼロとなるように、抵抗体112の抵抗値を設定する。具体的には、例えば充電用抵抗体92や放電用抵抗体98の抵抗値よりも抵抗体112の抵抗値を大きく設定する。
なお、先の図4に示したコンデンサ106は、メインスイッチSmのゲート充電時における電源88の電圧の安定化を図るためのものである。すなわち、電源88として、低電圧システムからフライバックコンバータ等によって供給されるエネルギを蓄電するコンデンサ等を想定しているため、ゲートの充電時には、一時的にその電圧が低下するおそれがある。これに対し、本実施形態では、ゲートの充電に伴ってコンデンサ106を放電させその放電エネルギを電源88に回生することができる。このため、電源88の電圧を安定化させることができる。これにより、オン状態への切り替え指令の伝達時間の変動を好適に抑制することができる。
図7に、本実施形態にかかる上記遅延時間の誤差の検出工程を示す。
この工程は、半導体基板120上に、先の図4に示した回路を形成した状態で行なう。詳しくは、本実施形態では、制御装置52を接続する以前に計測を行なうため、スイッチング素子66に、オン状態への切り替え指令を示すテスト信号tsを印加する。そしてこの際のメインスイッチSmの入出力端子間の電圧dsを電圧センサ124によって検出することで、メインスイッチSmが実際にオン状態に切り替わるまでの時間を計測する。なお、コンバータCVが実際に動作している場合には、メインスイッチSmにコンデンサ30が並列接続されるためオン状態に切り替わるタイミングを入出力端子間の電圧によって検出することは困難である。このため、本実施形態では、検出工程用にメインスイッチSmに電源と抵抗体とを直列接続することで、電圧の検出によって上記切り替わるタイミングを検出する。ちなみに、上記遅延時間の計測には、サブスイッチSsのオン状態への切り替えタイミングが要求されるため、メインスイッチSmの上記計測と同時に、上記と同様の手法でサブスイッチSsがオン状態に切り替わるまでの信号の伝達時間を計測する。これにより、サブスイッチSsがオン状態に切り替わるタイミングからメインスイッチSmがオン状態に切り替わるタイミングまでの遅延時間は、サブスイッチSsのオン状態への切り替え指令に対するメインスイッチSmの切り替え指令の遅延時間を、上記計測された一対の伝達時間の差によって補正することで計測される。もっとも、これに代えて、サブスイッチSsとメインスイッチSmとのそれぞれが実際にオン状態に切り替わるタイミングの差(遅延時間)を直接計測してもよい。
なお、この検出工程は、ヒータ126による加熱処理によって、半導体基板120やメインスイッチSmの温度を、コンバータCVが車両に搭載されて実際に稼動する際の温度として想定される温度の上限温度(図では、「80〜90°C」と例示)に設定して行われる。これは、ソフトスイッチングによってメインスイッチSmの発熱量を低減する要求が最も大きいときにおける上記遅延時間の誤差を最も低減するための設定である。
ここで、本実施形態では、充電用抵抗体92や放電用抵抗体98を、レーザトリミングが可能な薄膜導体によって構成する。また、充電用インダクタ94を複数のインダクタによって構成し、これらのうちのメインスイッチSmのゲートに接続するものの種類と数とを制御端子Tcの印加電圧に応じて選択する選択回路130を形成する。そして、制御端子Tcの印加電圧は、抵抗体132によって調節可能とする。この抵抗体132は、レーザトリミングが可能な薄膜導体として形成されたものである。また、コンデンサ110についても複数のコンデンサによって構成し、これらのうちメインスイッチSmのエミッタに接続するものの種類および数を、制御端子Tcの印加電圧に応じて選択する選択回路140を形成する。そして、選択回路140の制御端子Tcの印加電圧を、抵抗体142によって調節可能とする。この抵抗体142は、レーザトリミングが可能な薄膜導体として形成されたものである。
図8に、調節工程を示す。例えば、抵抗体132の抵抗値を調節することで、充電用インダクタ94のインダクタンスを調節し、ひいてはオン状態への切り替え指令の伝達時間を調節する。また例えば、抵抗体142の抵抗値を調節することで、コンデンサ110の静電容量を調節し、これによりオン状態への切り替え指令の伝達時間を調節する。ここで、充電用インダクタ94のインダクタンスによって上記伝達時間を伸長させる場合、スイッチング状態の切替速度については上昇する。これに対し、コンデンサ110の静電容量を大きくするなら、オン状態への切り替え指令の伝達時間を伸長させて且つスイッチング状態の切替速度を低下させることができる。このため、充電用インダクタ94のインダクタンスを増大させつつコンデンサ110の静電容量を大きくするなら、スイッチング状態の切替速度の変化を抑制しつつオン状態への切り替え指令の伝達時間を伸長させることも可能となる。もっとも、本実施形態のように充電用インダクタ94のインダクタンスやコンデンサ110の静電容量が離散的にのみ変更可能な場合、これらによっては微調整が困難となることもある。こうした場合には、充電用抵抗体92の抵抗値を調節することで、上記伝達時間とスイッチング状態の切替速度とを微調整すればよい。なお、オン状態への切り替え指令の伝達時間の調節によってメインスイッチSmのオン状態の継続時間自体が変化する場合には、放電用抵抗体98の抵抗値の調節によってその変化を補償すればよい。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)充電用抵抗体92や放電用抵抗体98に加えて、充電用インダクタ94を備えた。これにより、メインスイッチSmがオン状態に切り替わるタイミングの遅延時間の誤差を低減する上での自由度を向上させることができ、ひいてはスイッチング状態の切り替え速度の設定との干渉を好適に抑制することができる。特にインダクタを用いることで、線形素子としての抵抗体とは違った特性によって上記遅延時間の誤差を低減することができる。
(2)放電用スイッチング素子100の出力端子とメインスイッチSmのゲートとを接続するコンデンサ110と、メインスイッチSmのゲートからコンデンサ110へと進む方向を順方向とするダイオード108と、コンデンサ110に並列接続される抵抗体112とを備えた。これにより、コンデンサ110の静電容量によってメインスイッチSmの放電速度とは独立に充電速度を調節することができる。
(3)コンデンサ106を備えることで、メインスイッチSmのゲート充電時の電源88の電圧を安定化させることができる。
(4)メインスイッチSmのゲート側から充電用スイッチング素子90の入力端子側へと進む方向を順方向とするダイオード102をさらに備えた。これにより、駆動回路内の電流の変化に起因したサージを抑制することができる。
(5)メインスイッチSmの出力端子側からゲート側へと進む方向を順方向とするツェナーダイオード104を備えた。これにより、駆動回路内の電流の変化に起因したサージを抑制することができる。
(6)充電用抵抗体92や放電用抵抗体98をレーザトリミングが可能な抵抗体とすることで、充電用抵抗体92や放電用抵抗体98を半導体基板120上に形成した後にそれらの抵抗値を簡易に調節することができる。
(7)充電用インダクタ94のインダクタンスをレーザトリミングが可能な抵抗体132の抵抗値によって調節可能とした。これにより、充電用インダクタ94を半導体基板120上に形成した後にそのインダクタンスを簡易に調節することができる。
(8)コンデンサ110をレーザトリミングが可能な抵抗体142の抵抗値によって調節可能とした。これにより、コンデンサ110を半導体基板120上に形成した後にその静電容量を簡易に調節することができる。
(9)コンデンサ30とインダクタ20との共振現象を利用してコンデンサ30の充電電圧が極小値となるタイミングでメインスイッチSmをオン状態に切り替えた。この場合、オン状態への切り替え指令の伝達時間のばらつきを低減することが必要となるため、充電用インダクタ94のインダクタンスやコンデンサ110の静電容量を調節するメリットが特に大きい。
(10)検出工程を、コンバータCVの実際の使用時において想定される温度のうちの高温側の温度において行なった。これにより、高温時における電力損失を低減することができ、ひいては過度の温度上昇を回避することができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図9に、本実施形態にかかるドライブユニットDUの構成を示す。なお、図9において、先の図4に示した部材と対応する部材については、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、放電用抵抗体98に放電用インダクタ150を直列接続する。そして、放電用インダクタ150と充電用インダクタ94との接続点を介してこれらをメインスイッチSmのゲートに接続することで、放電用インダクタ150を放電時にのみ機能するようにする。放電用インダクタ150は、オフ状態への切り替え指令がメインスイッチSmに伝達される時間を伸長させて且つ、オフ状態への切替速度を大きくする機能を有する。このため、放電用抵抗体98とは相違する調節が可能となる。すなわち、放電用抵抗体98の抵抗値が大きくなるとオフ状態への切り替え指令の伝達時間が伸長して且つオフ状態への切替速度が小さくなる。
本実施形態では、さらに、メインスイッチSmのゲート側からコンデンサ106側に進む方向を順方向とするダイオード152と、ダイオード152に並列接続された抵抗体154とを備える。これにより、コンデンサ106の充電速度を抵抗体154によって調節可能となり、ひいては、ゲート放電速度を抵抗体154によって調節可能となる。しかもこの際、コンデンサ106の放電速度については、抵抗体154による影響を小さくすることもできる。
以上詳述した本実施形態によれば、上記第1の実施形態の上記(1)〜(10)の効果に加えて、さらに以下の効果が得られるようになる。
(11)放電用インダクタ150を備えることで、メインスイッチSmのオフ状態への切り替え指令の伝達時間の調節の自由度を向上させることができる。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
「ドライブユニットDUの構成について」
ドライブユニットDUの構成としては、上記第1、第2の実施形態において例示したものに限らない。例えば、図10(a)に示すように、コンデンサ110を設けつつも、コンデンサ110の電流の流通方向を規制するダイオード108や、コンデンサ110に並列接続される抵抗体112を備えないようにしてもよい。この場合、コンデンサ110の静電容量は、オン状態への切り替え指令の伝達時間とオフ状態への切り替え指令の伝達時間との双方を伸長させる。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
「ドライブユニットDUの構成について」
ドライブユニットDUの構成としては、上記第1、第2の実施形態において例示したものに限らない。例えば、図10(a)に示すように、コンデンサ110を設けつつも、コンデンサ110の電流の流通方向を規制するダイオード108や、コンデンサ110に並列接続される抵抗体112を備えないようにしてもよい。この場合、コンデンサ110の静電容量は、オン状態への切り替え指令の伝達時間とオフ状態への切り替え指令の伝達時間との双方を伸長させる。
また例えば図10(b)に示すように、コンデンサ106を備えない構成としてもよい。
また例えば図10(c)に示すように、コンデンサ110を備えず、コンデンサ106のみを備えるようにしてもよい。
また例えば図10(d)に示すように、ダイオード102、ツェナーダイオード104を備えないようにしてもよい。
さらに例えば図10(e)に示すように、充電用インダクタ94や放電用インダクタ150を備えない構成としてもよい。なお、図10(e)においては、ダイオード102およびツェナーダイオード104を備えているが、これは充電用電気経路や放電用電気経路の寄生インダクタンスに起因したサージを抑制するための手段として備えたものである。
ちなみに、ドライブユニットDUの構成としては、これら図10に例示するものにも限らない。例えば、充電用インダクタ94を、充電用スイッチング素子90の入力端子と電源88との間に設けてもよい。
「検出工程について」
メインスイッチSmやサブスイッチSsのスイッチング状態が切り替わることを検出する手法としては、上記メインスイッチSmやサブスイッチSsの入力端子および出力端子間の電圧の変化に基づき検出するものに限らない。例えば、メインスイッチSmやサブスイッチSsのゲート電圧の変化に基づき検出するものであってもよい。
「検出工程について」
メインスイッチSmやサブスイッチSsのスイッチング状態が切り替わることを検出する手法としては、上記メインスイッチSmやサブスイッチSsの入力端子および出力端子間の電圧の変化に基づき検出するものに限らない。例えば、メインスイッチSmやサブスイッチSsのゲート電圧の変化に基づき検出するものであってもよい。
また、スイッチング状態の切り替え指令が絶縁手段の1次側からメインスイッチSmやサブスイッチSsまで伝達する時間の計測手法としては、半導体基板120に形成された最上流の部材にテスト信号tsを出力することで行なうものに限らない。例えば、半導体基板120に制御装置52を接続し、制御装置52が切り替え指令を出力することで行なってもよい。
ちなみに、こうした場合において、コンバータCVを構成したものについて、メインスイッチSmやサブスイッチSsへの信号の伝達の有無を検出してもよい。
さらに、メインスイッチSmやサブスイッチSsまで伝達したことを検出するものにも限らず、例えばドライブユニットDUについてはその信号の伝達時間のばらつきが非常に小さくなると考えることができる状況下等にあっては、コンデンサ80の電圧が変化するまでの時間を伝達時間として計測し、これに応じて回路特性を調節してもよい。
また、検出工程としては、切り替え指令の伝達時間の計測に基づき遅延時間の誤差を検出するものに限らない。例えばコンバータCVを構成した状態でメインスイッチSmのオン状態への切り替え時の電力損失を遅延時間の誤差と相関を有するパラメータとしてこれを検出してもよい。
なお、検出工程としては、コンバータCVの実際の使用時において想定される温度のうちの高温側の温度において行われるものに限らない。
「抵抗値の調節手法について」
半導体基板120の製造時において抵抗値を変更可能とする抵抗値変更手段としては、抵抗体92,98等をレーザトリミングが可能な薄膜導体とすることで構成されるものに限らない。例えば、複数の抵抗体を並列接続可能に設けた手段であってもよい。すなわちこの場合、調節工程においてそのうちのいくつを用いるかを選択し、それらのみを充電経路や放電経路に接続すればよい。また例えば、抵抗体92,98等を抵抗値を操作するつまみのついた可変抵抗器としてもよい。
「抵抗値の調節手法について」
半導体基板120の製造時において抵抗値を変更可能とする抵抗値変更手段としては、抵抗体92,98等をレーザトリミングが可能な薄膜導体とすることで構成されるものに限らない。例えば、複数の抵抗体を並列接続可能に設けた手段であってもよい。すなわちこの場合、調節工程においてそのうちのいくつを用いるかを選択し、それらのみを充電経路や放電経路に接続すればよい。また例えば、抵抗体92,98等を抵抗値を操作するつまみのついた可変抵抗器としてもよい。
もっとも、抵抗値変更手段を備えることなく、調節工程において抵抗体の付け替えを行ってもよい。
「静電容量の調節手法について」
半導体基板120の製造時において静電容量を変更可能とする静電容量変更手段としては、上記に限らない。すなわち例えば、複数のキャパシタをいくつ並列接続するかを選択する選択手段に対する指令を、抵抗体の抵抗値によって決定するものとしては、レーザトリミング可能な薄膜の導体を備えて構成するものに限らず、任意の抵抗値変更手段を備えて構成するものであってもよい。
「静電容量の調節手法について」
半導体基板120の製造時において静電容量を変更可能とする静電容量変更手段としては、上記に限らない。すなわち例えば、複数のキャパシタをいくつ並列接続するかを選択する選択手段に対する指令を、抵抗体の抵抗値によって決定するものとしては、レーザトリミング可能な薄膜の導体を備えて構成するものに限らず、任意の抵抗値変更手段を備えて構成するものであってもよい。
また、複数のキャパシタをいくつ並列接続するかを選択する選択手段に代えて、複数のキャパシタをいくつ直列接続するかを選択する選択手段を用いてもよい。
さらに、複数のキャパシタをいくつ利用するかを選択する選択手段に対する指令を、抵抗体の抵抗値によって決定するものにも限らない。例えば、複数のキャパシタのそれぞれとの接続箇所をレーザによって切断可能な手段であってもよい。
もっとも、静電容量変更手段を備えることなく、調節工程においてキャパシタの付け替えを行ってもよい。
「インダクタンスの調節手法について」
半導体基板120の製造時においてインダクタンスを変更可能とするインダクタンス変更手段としては、上記に限らない。すなわち例えば、複数のインダクタをいくつ並列接続するかを選択する選択手段に対する指令を、抵抗体の抵抗値によって決定するものとしては、レーザトリミング可能な薄膜の導体を備えて構成するものに限らず、任意の抵抗値変更手段を備えて構成するものであってもよい。
「インダクタンスの調節手法について」
半導体基板120の製造時においてインダクタンスを変更可能とするインダクタンス変更手段としては、上記に限らない。すなわち例えば、複数のインダクタをいくつ並列接続するかを選択する選択手段に対する指令を、抵抗体の抵抗値によって決定するものとしては、レーザトリミング可能な薄膜の導体を備えて構成するものに限らず、任意の抵抗値変更手段を備えて構成するものであってもよい。
また、複数のインダクタをいくつ並列接続するかを選択する選択手段に代えて、複数のインダクタをいくつ直列接続するかを選択する選択手段を用いてもよい。
さらに、複数のインダクタをいくつ利用するかを選択する選択手段に対する指令を、抵抗体の抵抗値によって決定するものにも限らない。例えば、複数のインダクタのそれぞれとの接続箇所をレーザによって切断可能な手段であってもよい。
もっとも、インダクタンス変更手段を備えることなく、調節工程においてインダクタの付け替えを行ってもよい。
「遅延時間のばらつき低減のための調節対象駆動回路について」
上記各実施形態では、メインスイッチSmのオン状態への切り替えタイミングの遅延時間の誤差の低減ために、メインスイッチSmのドライブユニットDUを調節対象としたが、これに限らない。例えばサブスイッチSsのドライブユニットDUを調節対象としてもよい。
「ソフトスイッチングを行なう電力変換回路について」
ソフトスイッチングを行なう電力変換回路としては、先の図1等に例示したものに限らない。例えば、特開2009−213215号公報に記載のものであってもよい。この公報では、電流がゼロとなった時点でスイッチング状態をオフ状態からオン状態へと切り替える旨記載されているが、高速でスイッチングをする場合には、電流がゼロとなった時点を遅延なく検出することは困難である。このため、電流が漸減してゼロとなり逆方向に流れる電流の極値を検出し、この検出タイミングからの遅延時間に基づきスイッチング状態をオン状態に切り替えるようソフトスイッチング手法を変更することも考えられる。そして、この場合、検出タイミング(基準タイミング)からの遅延時間を高精度に制御する上で本発明の適用は有効である。
「そのほか」
・上記実施形態では、サブスイッチSsのオン状態への切り替えタイミングを基準タイミングとし、メインスイッチSmのオン状態への切り替えタイミングの遅延時間を制御したがこれに限らない。例えばコンデンサ30の電圧を検出する手段を備え、コンデンサ30の電圧が規定電圧(>0)まで低下したタイミングを基準タイミングとして、メインスイッチSmのオン状態への切り替えタイミングの遅延時間を制御してもよい。
「遅延時間のばらつき低減のための調節対象駆動回路について」
上記各実施形態では、メインスイッチSmのオン状態への切り替えタイミングの遅延時間の誤差の低減ために、メインスイッチSmのドライブユニットDUを調節対象としたが、これに限らない。例えばサブスイッチSsのドライブユニットDUを調節対象としてもよい。
「ソフトスイッチングを行なう電力変換回路について」
ソフトスイッチングを行なう電力変換回路としては、先の図1等に例示したものに限らない。例えば、特開2009−213215号公報に記載のものであってもよい。この公報では、電流がゼロとなった時点でスイッチング状態をオフ状態からオン状態へと切り替える旨記載されているが、高速でスイッチングをする場合には、電流がゼロとなった時点を遅延なく検出することは困難である。このため、電流が漸減してゼロとなり逆方向に流れる電流の極値を検出し、この検出タイミングからの遅延時間に基づきスイッチング状態をオン状態に切り替えるようソフトスイッチング手法を変更することも考えられる。そして、この場合、検出タイミング(基準タイミング)からの遅延時間を高精度に制御する上で本発明の適用は有効である。
「そのほか」
・上記実施形態では、サブスイッチSsのオン状態への切り替えタイミングを基準タイミングとし、メインスイッチSmのオン状態への切り替えタイミングの遅延時間を制御したがこれに限らない。例えばコンデンサ30の電圧を検出する手段を備え、コンデンサ30の電圧が規定電圧(>0)まで低下したタイミングを基準タイミングとして、メインスイッチSmのオン状態への切り替えタイミングの遅延時間を制御してもよい。
・駆動対象スイッチング素子としては、IGBTに限らず、例えばパワーMOS型電界効果トランジスタ等の電界効果トランジスタであってもよい。
・電力変換回路としては、車載主機に電力を供給するためのものに限らない。例えば車載パワーステアリングに搭載される電動機に電力を供給するためのものであってもよい。
10…モータジェネレータ、12…インバータ、14…高電圧バッテリ、20、22…インダクタ、30…コンデンサ、40…インターフェース、52…制御装置、60…フォトカプラ、Sm…メインスイッチ、Ss…サブスイッチ、DU…ドライブユニット。
Claims (16)
- 電力変換回路を構成する電圧制御形のスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされる電力変換回路に適用され、前記電力変換回路を構成するスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とし、前記駆動対象スイッチング素子をオン状態とするための電荷の供給手段と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続する充電用電気経路を開閉する充電用スイッチング素子と、前記電荷を放電するための放電用電気経路を開閉する放電用スイッチング素子とを備えて前記駆動対象スイッチング素子を駆動するソフトスイッチング用駆動回路について、該ソフトスイッチング用駆動回路を製造するソフトスイッチング用駆動回路の製造方法において、
前記駆動回路を、前記充電用電気経路と前記放電用電気経路とに抵抗体を設けることに加えて、前記充電用電気経路および放電用電気経路の少なくとも一方にインダクタを設けるか前記充電用電気経路および前記放電用電気経路の少なくとも一方にキャパシタを接続するかして構成し、
前記スイッチング状態の切り替え指令を前記駆動対象スイッチング素子側に伝達させることで前記遅延時間の誤差を検出する検出工程と、
該検出される誤差を低減すべく、前記インダクタのインダクタンスおよび前記キャパシタの静電容量の少なくとも一方を調節する調節工程とを有することを特徴とするソフトスイッチング用駆動回路の製造方法。 - 前記調節工程において、前記抵抗体の抵抗値をさらに調節することを特徴とする請求項1記載のソフトスイッチング用駆動回路の製造方法。
- 前記検出工程は、前記電力変換回路の実際の使用時において想定される温度のうちの高温側の温度において行われることを特徴とする請求項1または2記載のソフトスイッチング用駆動回路の製造方法。
- 電力変換回路を構成する電圧制御形のスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされる電力変換回路に適用され、前記電力変換回路を構成するスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とし、前記駆動対象スイッチング素子をオン状態とするための電荷の供給手段と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続する充電用電気経路を開閉する充電用スイッチング素子と、前記電荷を放電するための放電用電気経路を開閉する放電用スイッチング素子とを備えて前記駆動対象スイッチング素子を駆動するソフトスイッチング用駆動回路において、
前記充電用電気経路と前記放電用電気経路とに設けられた抵抗体と、
前記充電用電気経路および前記放電用電気経路の少なくとも一方に設けられたインダクタとを備えることを特徴とするソフトスイッチング用駆動回路。 - 前記充電用スイッチング素子の入力端子側および前記放電用スイッチング素子の出力端子側の少なくとも一方と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続するキャパシタをさらに備えることを特徴とする請求項4記載のソフトスイッチング用駆動回路。
- 電力変換回路を構成する電圧制御形のスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングが基準タイミングに対して有する遅延時間の制御によって前記スイッチング状態の切り替えがソフトスイッチングとされる電力変換回路に適用され、前記電力変換回路を構成するスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とし、前記駆動対象スイッチング素子をオン状態とするための電荷の供給手段と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続する充電用電気経路を開閉する充電用スイッチング素子と、前記電荷を放電するための放電用電気経路を開閉する放電用スイッチング素子とを備えて前記駆動対象スイッチング素子を駆動するソフトスイッチング用駆動回路において、
前記充電用電気経路と前記放電用電気経路とに設けられた抵抗体と、
前記充電用スイッチング素子の入力端子側および前記放電用スイッチング素子の出力端子側の少なくとも一方と前記駆動対象スイッチング素子の導通制御端子とを接続するキャパシタとを備えることを特徴とするソフトスイッチング用駆動回路。 - 前記キャパシタは、前記充電用スイッチング素子の入力端子側と前記導通制御端子側とを接続する放電側キャパシタを備えることを特徴とする請求項5または6記載のソフトスイッチング用駆動回路。
- 前記キャパシタは、前記放電用スイッチング素子の出力端子側と前記導通制御端子側とを接続する充電側キャパシタを備え、
該充電側キャパシタは、前記導通制御端子から前記充電側キャパシタ側へと進む方向を順方向とする充電側整流手段を備えて前記導通制御端子に接続されるものであり、
前記充電側キャパシタに並列に充電側抵抗体が接続されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のソフトスイッチング用駆動回路。 - 前記充電用電気経路および前記放電用電気経路の少なくとも一方に設けられたインダクタをさらに備えることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載のソフトスイッチング用駆動回路。
- 前記インダクタは、前記充電用電気経路であって前記放電用電気経路でない経路に、充電用インダクタを備えることを特徴とする請求項4、5、9のいずれか1項に記載のソフトスイッチング用駆動回路。
- 前記インダクタは、前記放電用電気経路であって前記充電用電気経路でない経路に、放電用インダクタを備えることを特徴とする請求項4,5,9、10のいずれか1項に記載のソフトスイッチング用駆動回路。
- 前記導通制御端子側から前記充電用スイッチング素子側へと進む方向を順方向とするダイオードをさらに備えることを特徴とする請求項4〜11のいずれか1項に記載のソフトスイッチング用駆動回路。
- 前記駆動対象スイッチング素子の出力端子側から前記導通制御端子側へと進む方向を順方向とするツェナーダイオードをさらに備えることを特徴とする請求項4〜12のいずれか1項に記載のソフトスイッチング用駆動回路。
- 前記電力変換回路は、これを構成するスイッチング素子の入力端子および出力端子間に並列接続されるキャパシタと、インダクタとを備え、
前記ソフトスイッチングは、前記キャパシタと前記インダクタとの共振現象を利用して前記キャパシタを放電させた状態で前記キャパシタが並列接続されたスイッチング素子をオン操作するものであることを特徴とする請求項4〜13のいずれか1項に記載のソフトスイッチング用駆動回路。 - 前記電力変換回路は、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を備え、
前記ソフトスイッチングは、前記第1スイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングと前記第2スイッチング素子のスイッチング状態の切り替えタイミングとの時間差を制御することでなされるものであり、
前記駆動対象スイッチング素子は、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子の少なくとも一方であることを特徴とする請求項4〜14のいずれか1項に記載のソフトスイッチング用駆動回路。 - 前記駆動対象スイッチング素子は、スイッチング状態のオン状態への切り替えとオフ状態への切り替えの双方ともソフトスイッチングとされるものであることを特徴とする請求項4〜15のいずれか1項に記載のソフトスイッチング用駆動回路。
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JP2010149146A JP2012016142A (ja) | 2010-06-30 | 2010-06-30 | ソフトスイッチング用駆動回路およびその製造方法 |
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JP2014220913A (ja) * | 2013-05-08 | 2014-11-20 | ビステオン グローバル テクノロジーズ インコーポレイテッド | ゼロカレントスイッチング回路及びフルブリッジ回路 |
WO2023162976A1 (ja) * | 2022-02-28 | 2023-08-31 | パナソニック株式会社 | 電力変換システム |
-
2010
- 2010-06-30 JP JP2010149146A patent/JP2012016142A/ja active Pending
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