JP2012015105A - リチウム二次電池用正極活物質およびこれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用正極活物質およびこれを用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract


【課題】高エネルギー密度でありながら、負荷特性に優れたリチウム二次電池を実現し得るリチウム遷移金属系化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるリチウム遷移金属系化合物を主成分とし、リチウム遷移金属系化合物の原料の焼結を促進する効果を有する元素を有する物質を添加した後、焼成され、細孔分布曲線において、細孔半径800nm以上6000nm以下にメインピークのピークトップおよび細孔半径80nm以上800nm以下にサブピークのピークトップを有することを特徴とするリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体。
Li[LiaMn2−x−a]O4+δ・・・(I)
(式中、0≦a≦0.3、 0.4 <x <1.1、−0.5 <δ<0.5を満たし、Mは、Ni、Cr、Fe、CoおよびCuから選ばれる遷移金属のうちの少なくとも1種を表す。)
【選択図】 図1

Description

本発明は、リチウム二次電池に用いられる正極活物質材料及びその製造方法、並びにこの正極活物質材料を用いたリチウム二次電池用正極、並びにこのリチウム二次電池用正極を備えるリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池は、エネルギー密度及び出力密度等に優れ、小型、軽量化に有効であるため、ノート型パソコン、携帯電話及びハンディビデオカメラ等の携帯機器用電源としてその需要は急激な伸びを示している。リチウム二次電池はまた、電気自動車や電力のロードレベリング等の電源としても注目されており、近年ではハイブリッド電気自動車用電源としての需要が急速に拡大しつつある。
近年、これら携帯機器の高機能化や多機能化はますます進んでおり、その電源であるリチウム二次電池のさらなるエネルギー密度向上が強く望まれている。また、エンジンを使用せず、バッテリーから供給される電力のみで走行する電気自動車の普及には、発進時や停車時の急速な充放電に耐え得る電気応答性や、長距離の走行を可能にする高いエネルギー密度を有するリチウム二次電池が必須である。加えて、安全性やコスト競争力、寿命(特に高温下)などにも優れた性能バランスの良い電池が求められており、これらのニーズに応え得るリチウム二次電池の開発が盛んに行われている。
このような現状において、リチウム二次電池としてのエネルギー密度を向上させるために様々な提案がなされている。電池のエネルギー密度を向上させるにはいくつかの手段が考えられるが、その一つに、電池としての作動電圧を引き上げることが挙げられる。作動電圧の高い電池は、従来電池に比べて少ないセル数で同等の出力を確保出来るため、発進時に300V以上の電圧を必要とする電気自動車など、高電圧で作動する機器に対しては特に有効であり、このような電池に対する需要は今後ますます高まると考えられる。
高電圧で作動するリチウム二次電池を実現するための有力な正極活物質材料として、スピネル型の結晶構造を有するマンガン酸リチウムであり、かつ、マンガンの一部をニッケル、コバルト、クロムや鉄など、マンガン以外の金属元素で置換したリチウム遷移金属系化合物が有望視されている。これらのリチウム遷移金属系化合物は、従来のものより高い電圧(リチウム対極を基準として4.5V以上)で充放電反応が起きるため、正極活物質
として用いた場合、エネルギー密度の高いリチウム二次電池を作製することが可能である。
ただし、これらのリチウム遷移金属系化合物を正極活物質材料として用いたリチウム二次電池においては、エネルギー密度と負荷特性の両立を図ることが困難であった。すなわち、リチウム遷移金属系化合物を作製する際の焼成温度を引き上げるなどして嵩密度を向上させた材料においては、レート特性や出力特性などに代表される負荷特性が劣る傾向にあり、逆に負荷特性を重視した材料においては嵩密度が十分に確保出来ず、正極活物質材料としてのエネルギー密度が向上しないという問題点があった。
そこで、本発明者らは、リチウム二次電池のエネルギー密度と負荷特性のバランスを向上させるという課題を解決するためには、4.5V以上の電圧で充放電反応が進行するリ
チウム遷移金属系化合物の製造工程において、焼成時の炉内雰囲気や焼成時間、本発明の添加剤の種類、組み合わせ、添加方法などを工夫することにより、焼成温度を引き上げずにリチウム遷移金属系化合物の焼結を促進する必要があると考えた。上記の考えに基づい
て鋭意検討した結果、リチウム遷移金属系化合物の主成分原料と特定の本発明の添加剤を液体媒体中で粉砕し、これらが均一に分散したスラリーを噴霧乾燥した後、特定の焼成条件下で焼成することを含む製造方法によって、レート特性や出力特性などの負荷特性を損なうことなく、4.5V以上の電圧で充放電反応が進行し、所望の粉体物性を有するエネ
ルギー密度の高いリチウム遷移金属系化合物が簡略かつ短時間のプロセスで得られることを見出し、本発明を完成させた。
特開2001-048547号公報 特開2001-148249号公報 特開2002-63900号公報 特開2004-303710号公報 特開2005-322480号公報
本発明は、充放電反応が4.5V以上の電圧で進行し、嵩密度が高く、かつレート特性
や出力特性に優れるため、リチウム二次電池用正極材料として用いた場合、高エネルギー密度でありながら、負荷特性に優れたリチウム二次電池を実現し得るリチウム遷移金属系化合物を提供すること、および、それを簡略かつ短時間のプロセスで提供することを目的とする。
本発明者らは、4.5V以上の電圧で充放電反応が進行するリチウム遷移金属系化合物
の負荷特性を損なうことなく、エネルギー密度の向上を図るべく鋭意検討を重ねた結果、本発明のリチウム遷移金属系化合物の焼成を促進する効果を有する元素を少なくとも一種以上含む物質を所定の工程で添加した後に焼成することにより、簡略かつ短時間のプロセスでエネルギー密度と負荷特性に優れるリチウム遷移金属系化合物を製造し得ることを見出した。
本発明と関連のある公知の文献や発明としては、以下の特許文献1〜5が開示されている。
特許文献1には、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物に、酸化物の融点が800℃以
下である元素としてホウ素化合物などを添加し、所定の工程でリチウム遷移金属系化合物を製造することが提案されている。しかし、特許文献1に記載されているリチウム遷移金属系化合物におけるニッケルの置換量は本発明のニッケルの置換量と比較して少ない。そのため、充放電反応は4.5V未満の電圧領域でしか進行しないものであり、十分なエネ
ルギー密度を有する正極活物質材料であるとは言えない。さらに、本願発明のように、ニッケルの置換量の多いリチウムニッケルマンガン系複合酸化物に、本発明の添加剤を添加して焼成することで、本願発明のように、高いレート維持率を奏することについては記載もされていない。
特許文献2には、ニッケル・マンガン・コバルト系原料と種々の微量添加元素を溶解した溶液中において、沈殿段階から原子レベルで均一に混合する特殊な製法を採用することによって、高温サイクル特性などを改良することが提案されている。しかし、特許文献2に記載の発明においては、実際に、本発明の添加剤を用いてリチウム遷移金属系化合物を高いレート条件で使用した例がない。そのため、本願発明のようにエネルギー密度が高く、高いレート維持率を奏するリチウム遷移金属系化合物粉体を得ることができることについては記載されていない。また、原材料を全て溶解させた状態で混合するため、溶媒に溶
解しない添加剤の選択が原理的に不可能であり、本発明に用いた添加剤の一部などは用いることが出来ない。さらに、原材料を溶解させた溶液を乾燥させた上で焼成しており、本願発明のようにメソポアを有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物を得ることは出来ない。従って、本願発明のように、ニッケルの置換量が多く、かつメソポアを有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物に、本発明の添加剤を添加して焼成することで、本願発明のようにエネルギー密度が高く、高いレート維持率を奏するリチウム遷移金属系化合物粉体を得ることができることについては記載されていない。
特許文献3には、ニッケルおよびマンガン原料を湿式粉砕・混合した上で焼成し、得られた焼成物を解砕した後にリチウム原料およびホウ素原料を加え、再び湿式粉砕・混合したものを焼成したリチウム遷移金属系化合物が提案されている。しかしながら、原料の湿式粉砕・混合によって得られたスラリーを乾燥して焼成し、焼成によって得られた材料を粉砕していることから、得られるリチウム遷移金属系化合物の粒子形状は球状ではないと考えられ、嵩密度の向上によるエネルギー密度の向上は困難であると考えられる。一方、本発明においては原料の湿式粉砕・混合によって得られたスラリーを、例えば噴霧乾燥をして焼成することにより、球状のリチウム遷移金属系化合物粒子を得て嵩密度の向上を図ると共に、本発明の添加剤をより効率的に分散させて焼結促進作用を十分に引き出し、得られるリチウム遷移金属系化合物にメソポアを持たせることにより、負荷特性の向上も図っている。
特許文献4には、リチウム遷移金属系化合物中のニッケルおよびマンガンの組成比率を変更すること、原材料を湿式粉砕・混合した後に噴霧乾燥を行うことや、焼成温度を変化させることで嵩密度の高い材料を作製するための最適な条件を提案している。しかし、本発明の添加剤に関する記述はなく、得られた材料の嵩密度も十分なものではなかった。
従って、本願発明のように、ニッケルの置換量の多いリチウムニッケルマンガン系複合酸化物に、本発明の添加剤を添加して焼成することで、本願発明のようにエネルギー密度が高く、高いレート維持率を奏するリチウム遷移金属系化合物粉体を得ることができることについては記載されていない。
特許文献5には、種々の添加剤元素を含むリチウム遷移金属系化合物の各種原料を粉砕混合した上で焼成し、得られた材料に対して再び粉砕混合と焼成を行うことで得られるリチウム遷移金属系化合物が提案されている。しかし、添加剤元素を焼成助剤として用いることについては一切言及しておらず、実際に、本発明の添加剤であるホウ素が添加されたリチウム遷移金属系化合物には、焼結抑制効果を有するタングステンも同時に添加されており、嵩密度の向上によるエネルギー密度の向上は図られていない。また、噴霧乾燥法など、得られるリチウム遷移金属系化合物にメソポアを持たせる製造方法を採用してはいない。従って、本願発明のように、ニッケルの置換量の多いリチウムニッケルマンガン系複合酸化物に、本発明の添加剤を添加して焼成することで、本願発明のようにエネルギー密度が高く、メソポアを有することと合わせて高いレート維持率を奏するリチウム遷移金属系化合物粉体を得ることができることについては記載されていない。
即ち、本発明のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物の特徴は、下記のとおりである。
(1)下記一般式(I)で表されるリチウム遷移金属系化合物を主成分とし、リチウム遷移金属系化合物の原料の焼結を促進する効果を有する元素を有する物質(以下、「本発明の添加剤」と称する。)を添加した後、焼成され、細孔分布曲線において、細孔半径800nm以上6000nm以下にメインピークのピークトップおよび細孔半径80nm以上800nm以下にサブピークのピークトップを有することを特徴とするリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体。
Li[LiaMn2−x−a]O4+δ・・・(I)
(式中、0≦a≦0.3、 0.4 <x <1.1、−0.5 <δ<0.5を満たし、Mは、Ni、Cr、Fe、CoおよびCuから選ばれる遷移金属のうちの少なくとも1種を表す。)
(2)本発明の添加剤の融点が1000℃以下であることを特徴とする(1)に記載の粉体。
(3)本発明の添加剤を構成する元素がB、P、V、Pb、Sb、およびBiから選ばれることを
特徴とする(1)に記載の粉体。
(4)本発明の添加剤を構成する元素の量が、仕込み原料から算出される該リチウム遷移金属系化合物の合計量に対して、0.001モル%以上、10モル%以下の割合であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の粉体。
(5)二次粒子の表面部分のリチウム、本発明の添加剤を構成する元素以外の金属元素の合計に対する焼結を促進する効果を有する元素の合計の原子比が、二次粒子全体の該原子比の1倍以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載の粉体。
(6)嵩密度が1.3g/cc以上であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体。
(7)(1)に記載のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体の製造方法であって、リチウム化合物と、Mn,Ni、Cr、Fe、CoおよびCuから選ばれる少なくとも1種類以上の遷移金属化合物と、本発明の添加剤とを、噴霧乾燥して焼成することを特徴とする粉体の製造方法。
(8)リチウム遷移金属系化合物の焼成において、リチウム遷移金属系化合物の温度を室温から昇温する開始時刻を起点とし、最高温度に達してその温度を保持した後、降温して室温に戻し終えるまでの時間が24時間以下であることを特徴とする(7)に記載の粉体の製造方法。
(9)(1)〜(6)のいずれか1項に記載のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体を用いたリチウム二次電池用正極。
(10)(9)に記載のリチウム二次電池用正極を用いたリチウム二次電池。
本発明のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物は、リチウム二次電池正極材料として用いた場合、作動電圧の上昇、エネルギー密度の向上および負荷特性の向上が達成されると共に、製造コストの低減を図ることができる。このため、本発明によれば、エネルギー密度や出力特性などの電池性能に優れながらも安価なリチウム二次電池が提供される。
実施例1において製造されたリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体の水銀圧入法による細孔分布曲線を示すグラフである。 実施例2において製造されたリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体の水銀圧入法による細孔分布曲線を示すグラフである。 実施例3において製造されたリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体の水銀圧入法による細孔分布曲線を示すグラフである。 実施例4において製造されたリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体の水銀圧入法による細孔分布曲線を示すグラフである。 比較例1において製造されたリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体の水銀圧入法による細孔分布曲線を示すグラフである。 比較例2において製造されたリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体の水銀圧入法による細孔分布曲線を示すグラフである。 比較例3において製造されたリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体の水銀圧入法による細孔分布曲線を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
[リチウム遷移金属系化合物]
本願発明のリチウム遷移金属系化合物粉体は、下記一般式(I)で表されるリチウム遷移金属系化合物を主成分とし、リチウム遷移金属系化合物の原料の焼結を促進する効果を有する元素を有する物質(以下、「本発明の添加剤」と称する。)を添加した後、焼成され、細孔分布曲線において、細孔半径800nm以上6000nm以下にメインピークのピークトップおよび細孔半径80nm以上800nm以下にサブピークのピークトップを有することを特徴とする。
Li[LiaMn2−x−a]O4+δ・・・(I)
(式中、0≦a≦0.3、 0.4 <x <1.1、−0.5 <δ<0.5を満たし、Mは、Ni、Cr、Fe、CoおよびCuから選ばれる遷移金属のうちの少なくとも1種を表す。)
<組成>
本発明のリチウム遷移金属系化合物とは、下記一般式(I)で表されるリチウム遷移金属系化合物を主成分とするものである。
Li[LiaMn2−x−a]O4+δ・・・(I)
ただし、Mは、Ni、Cr、Fe、CoおよびCuから選ばれる遷移金属のうちの少なくとも1種から構成される元素であり、これらの中でも、高電位における充放電容量の点から、最も好ましくはNiである。
xの値は通常0.4以上、好ましくは0.425以上、より好ましくは0.45以上、
さらに好ましくは0.475以上、最も好ましくは0.49以上、通常1.1以下、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.55以下、最も好ましくは0.51以下である。
xの値がこの範囲であれば、リチウム遷移金属系化合物における単位重量当たりのエネルギー密度が高く、好ましい。
また、aの値は通常0以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、さらに好ましくは0.03以上、最も好ましくは0.04以上、通常0.3以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.15以下、更に好ましくは0.1以下、最も好ましくは0.075以下である。
aの値がこの範囲であれば、リチウム遷移金属系化合物における単位重量当たりのエネ
ルギー密度を大きく損なわず、かつ、良好な負荷特性が得られるため、好ましい。
さらに、δの値は通常±0.5の範囲、好ましくは±0.4の範囲、より好ましくは±0.2の範囲、さらに好ましくは±0.1の範囲、特に好ましくは±0.05の範囲である。
δの値がこの範囲であれば、結晶構造としての安定性が高く、このリチウム遷移金属系化合物を用いて作製した電極を有する電池のサイクル特性や高温保存が良好であるため、好ましい。
ここで本発明のリチウム遷移金属系化合物の組成であるリチウムニッケルマンガン系複合酸化物におけるリチウム組成の化学的な意味について、以下により詳細に説明する。
上記リチウム遷移金属系化合物の組成式のa,xを求めるには、各遷移金属とリチウム
を誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)で分析して、Li/Ni/Mnの比を求める事で計算される。
構造的視点では、aに係るリチウムは、同じ遷移金属サイトに置換されて入っていると考えられる。ここで、aに係るリチウムによって、電荷中性の原理によりMとマンガンの
平均価数が3.5価より大きくなる。
<本発明の添加剤>
本発明のリチウム遷移金属系化合物の主成分原料を同時に液体媒体中で粉砕し、これらを均一に分散させたスラリーを噴霧乾燥して焼成することを含む製造方法によって製造する場合、粒子内の空隙が大きく、かつ空隙量の多い形態の二次粒子を形成する結果、嵩密度の低下や比表面積の増大をもたらし、正極活物質材料としてのエネルギー密度向上が困難になる。また、嵩密度の向上や比表面積の低減を目的として焼成温度を引き上げた場合、レート特性などの負荷特性が損なわれるという問題がある。しかしながら、本発明の添加剤を添加して焼成することで、焼成温度を引き上げずに、リチウム遷移金属系化合物の一次粒子間または二次粒子間の焼結が促進されるなどして活物質粒子の成長と高結晶化が進み、負荷特性を損なうことなく高密度な粉体性状を得る効果がある。
また、本発明の添加剤に含まれる元素は、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれているか、あるいは、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれず、その粒子表面や結晶粒界などに単体もしくは化合物として存在することにより、充放電反応の際にリチウムの挿入・脱離を容易にし、出力特性やレート特性などの負荷特性を向上する効果がある。これは、本発明の添加剤に含まれる元素がリチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれて格子定数などに変化を及ぼし、リチウム遷移金属系化合物中におけるリチウムの拡散性を高めたり、粒子表面や結晶粒界にリチウム伝導性の高い単体や化合物として存在して粒子表面や粒界におけるリチウムの挿入・脱離および拡散を容易にすることによると考えられる。
また、本発明の添加剤は極めて微量でも効果を発揮するため、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれた場合においても、リチウム遷移金属系化合物における遷移金属の平均価数などには大きな影響を及ぼさない。そのため、充放電容量が低下するなどの弊害がもたらされることはない。さらに、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれず、その粒子表面や結晶粒界などに単体もしくは化合物として存在した場合でも、溶出するマンガンをトラップする層として働いたり、マンガン溶出を引き起こす電解液由来の化合物に対するバリア層として働くことでマンガン溶出量を低減し、サイクル特性や保存特性などを向上する効果もある。
つまり、本発明の添加剤を添加することで、リチウム遷移金属系化合物のエネルギー密度と負荷特性の両立を図ることが可能となるばかりか、マンガン溶出量の低減やサイクル特性の向上などの効果があり、リチウム二次電池用正極活物質として用いた場合の電池耐久性も改善される。
本発明のリチウム遷移金属系化合物に対して焼結促進作用を有する添加剤の一例としては、B、P、V、Sb、Pb、Biなどからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を有する化
合物が挙げられる。これらの元素は、本発明のリチウム遷移金属系化合物を焼成する際に融解することで固体粒子周辺において液相を形成し、粒成長や焼結を促進する効果を発現する特徴を有するため、焼成時に本発明の添加剤として作用する。これらの中でも、融点が1000℃以下の酸化物がリチウム遷移金属系化合物を焼成する際に融解し易い点から好ましく、950℃以下の酸化物がさらに好ましく、900℃以下の酸化物が特に好ましい。また、融点が900℃以下の酸化物を形成し、工業原料として比較的安価かつ容易に入手でき、かつ、毒性が低いことなどから、B、P、VおよびBiが好ましい。
本発明において、本発明の添加剤として添加する化合物の種類としては、本発明の効果を発現するものであればその種類に格別の制限はない。添加剤の例示化合物としては、BO、B、B、B、BO、BO、B13、LiBO、LiB、Li、HBO、HBO、B(OH)、B(OH)、P10、P、P、P、PH、HPO、VO、V、VO、V、V13、V(C)O、V(OH)、VH、VC、VN、VB、VB、LiVO、Sb23、Sb25、SbH3、PbO、PbO2、Pb34、Pb(N3)2、Pb(OCOCH3)2、Pb(OCOCH3)4、(C254Pb、BiBO、B
、Bi、Bi(OH)などが挙げられ、これらの中でも、融点が900℃以下であり、工業原料として比較的安価かつ容易に入手でき、かつ、毒性が低いことなどから、好ましくはB、HBO、P、V、Biなどが挙げられる。これらの添加剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明の添加剤の添加量の範囲としては、仕込んだ原料から算出される主成分の合計量に対して、通常0.001モル%以上、好ましくは、0.01モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは0.5モル%以上、また、通常10モル%以下、好ましくは8モル%以下、より好ましくは5モル%以下、特に好ましくは3モル%以下である。この下限を下回ると、前記効果が得られなくなる可能性があり、上限を超えると電池性能の低下を招く可能性がある。
<本発明の添加剤に含まれる元素の表面濃化度>
本発明のリチウム遷移金属系化合物は、その二次粒子表面部分に、本発明の添加剤由来の元素、即ち、B、P、V、Sb、PbおよびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素
が濃化して存在していることが、さらに好ましい。具体的には、二次粒子の表面部分に存在する添加元素の合計モル比が、仕込み組成比に対して、下限としては、通常、粒子全体の該原子比の1倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましく、3倍以上であることがさらに好ましく、4倍以上であることが特に好ましく、5倍以上であることが最も好ましい。
上限としては、通常、粒子全体の該原子以下300倍以下であることが好ましく、200倍以下であることがより好ましく、100倍以下であることがさらに好ましく、80倍以下であることが特に好ましく、50倍以下であることが最も好ましい。
濃化している割合が上記であれば、Liの挿入・脱離および活物質中における拡散が容易になり負荷特性が優れるため好ましい。
リチウム遷移金属系化合物の一次粒子の表面部分の組成の分析は、X線光電子分法(XPS)により、X線源として単色光AlKαを用い、分析面積0.8mm径、取り出し角65°の条件で行う。一次粒子の組成により、分析可能な範囲(深さ)は異なるが、通常0.1nm以上50nm以下、特に正極活物質においては通常1nm以上10nm以下となる。従って、本発明において、リチウム遷移金属系化合物の一次粒子の表面部分とは、この条件において測定可能な範囲を示す。
<水銀圧入法による細孔特性>
本発明のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物は、好ましくは水銀圧入法による測定において、特定の条件を満たす。
本発明のリチウム遷移金属系化合物の評価で採用する水銀圧入法について以下に説明する。
水銀圧入法は、多孔質粒子等の試料について、圧力を加えながらその細孔に水銀を浸入
させ、圧力と圧入された水銀量との関係から、比表面積や細孔径分布などの情報を得る手法である。
具体的には、まず、試料の入った容器内を真空排気した上で、容器内に水銀を満たす。水銀は表面張力が高く、そのままでは試料表面の細孔には水銀は浸入しないが、水銀に圧力をかけ、徐々に昇圧していくと、径の大きい細孔から順に径の小さい孔へと、徐々に細孔の中に水銀が浸入していく。圧力を連続的に増加させながら水銀液面の変化(つまり細孔への水銀圧入量)を検出していけば、水銀に加えた圧力と水銀圧入量との関係を表す水銀圧入曲線が得られる。
ここで、細孔の形状を円筒状と仮定し、その半径をr、水銀の表面張力をδ、接触角をθとすると、細孔から水銀を押し出す方向への大きさは−2πrδ(cosθ)で表される(θ>90°なら、この値は正となる)。また、圧力P下で細孔へ水銀を押し込む方向への力の大きさはπrPで表されることから、これらの力の釣り合いから以下の数式(1)、数式(2)が導かれることになる。
−2πrδ(cosθ)=πrP …(1)
Pr=−2δ(cosθ) …(2)
水銀の場合、表面張力δ=480dyn/cm程度、接触角θ=140°程度の値が一般的に良く用いられる。これらの値を用いた場合、圧力P下で水銀が圧入される細孔の半径は以下の数式(3)で表される。
Figure 2012015105
すなわち、水銀に加えた圧力Pと水銀が浸入する細孔の半径rとの間には相関があることから、得られた水銀圧入曲線に基づいて、試料の細孔半径の大きさとその体積との関係を表す細孔分布曲線を得ることができる。例えば、圧力Pを0.1MPaから100MPaまで変化させると、7500nm程度から7.5nm程度までの範囲の細孔について測定が行えることになる。
なお、水銀圧入法による細孔半径のおおよその測定限界は、下限が約2nm以上、上限が約200μm以下であり、後述する窒素吸着法に比べて、細孔半径が比較的大きな範囲における細孔分布の解析に向いていると言える。
水銀圧入法による測定は、水銀ポロシメータ等の装置を用いて行うことができる。水銀ポロシメータの具体例としては、Micromeritics社製オートポア、Quantachrome社製ポアマスター等が挙げられる。
本発明のリチウム遷移金属系化合物は、上述の水銀圧入法によって細孔分布曲線を測定した場合に、通常、以下に説明する特定のメインピークが現れる。なお、本明細書において「細孔分布曲線」とは、細孔の半径を横軸に、その半径以上の半径を有する細孔の単位重量(通常は1g)当たりの細孔体積の合計を、細孔半径の対数で微分した値を縦軸にプロットしたものであり、通常はプロットした点を結んだグラフとして表す。特に本発明のリチウム遷移金属系化合物を水銀圧入法により測定して得られた細孔分布曲線を、以下の記載では適宜「本発明にかかる細孔分布曲線」という。
また、本明細書において「メインピーク」とは、細孔分布曲線が有するピークの内で最も大きいピークをいい、「サブピーク」とは、細孔分布曲線が有するメインピーク以外のピークを表す。
また、本明細書において「ピークトップ」とは、細孔分布曲線が有する各ピークにおいて縦軸の座標値が最も大きい値をとる点をいう。
<メインピーク>
本発明に係る細孔分布曲線が有するメインピークは、そのピークトップが、細孔半径が通常800nm以上、より好ましくは900nm以上、最も好ましくは1000nm以上、また、通常6000nm以下、好ましくは5600nm以下、より好ましくは5400nm以下、更に好ましくは5200nm以下、最も好ましくは5000nm以下の範囲に存在する。この範囲の上限を超えると、本発明のリチウム遷移金属系化合物を正極材料として電池を作成した場合に、正極材内でのリチウム拡散が阻害され、又は導電パスが不足して、負荷特性が低下する可能性がある。一方、この範囲の下限を下回ると、本発明のリチウム遷移金属系化合物を用いて正極を作製した場合に、導電材や結着剤の必要量が増加し、正極板(正極の集電体)への活物質の充填率が制約され、電池容量が制約される可能性がある。また、微粒子化に伴い、塗料化時の塗膜の機械的性質が硬く、又は脆くなり、電池組立て時の捲回工程で塗膜の剥離が生じ易くなる可能性がある。
また、本発明に係る細孔分布曲線が有する、細孔半径800nm以上、6000nm以下にピークトップが存在するピークの細孔容量は、好適には、通常0.1cm/g以上、好ましくは0.15cm/g以上、より好ましくは0.2cm/g以上、最も好ましくは0.25cm/g以上、また、通常0.5cm/g以下、好ましくは0.45cm/g以下、より好ましくは0.4cm/g以下、最も好ましくは0.35cm/g以下である。この範囲の上限を超えると空隙が過大となり、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として用いる際に、正極板への正極活物質の充填率が低くなってしまい、電池容量が制約されてしまう可能性がある。一方、この範囲の下限を下回ると、粒子間の空隙が過小となってしまうため、本発明のリチウム遷移金属系化合物を正極材料として電池を作製した場合に、二次粒子間のリチウム拡散が阻害され、負荷特性が低下する可能性がある。
<サブピーク>
本発明に係る細孔分布曲線は、上述のメインピークに加えて、複数のサブピークを有していてもよく、特には80nm以上、800nm以下の細孔半径の範囲内にピークトップが存在するサブピークを有することを特徴としている。
本発明に係る細孔分布曲線が有する細孔半径80nm以上、800nm以下にピークトップが存在するサブピークの細孔容量は、好適には、通常0.01cm/g以上、好ましくは0.02cm/g以上、より好ましくは0.03cm/g以上、最も好ましくは0.04cm/g以上、また、通常0.2cm/g以下、好ましくは0.15cm/g以下、より好ましくは0.1cm/g以下、最も好ましくは0.08cm/g以下である。この範囲の上限を超えると二次粒子間の空隙が過大となり、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として用いる際に、正極板への正極活物質の充填率が低くなってしまい、電池容量が制約されてしまう可能性がある。一方、この範囲の下限を下回ると、二次粒子間の空隙が過小となってしまうため、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として電池を作製した場合に、二次粒子間のリチウム拡散が阻害され、負荷特性が低下する可能性がある。
なお、本発明においては、水銀圧入法による細孔分布曲線が、細孔半径800nm以上、6000nm以下にピークトップが存在するメインピークを少なくとも1つ以上有し、かつ細孔半径80nm以上、800nm以下にピークトップが存在するサブピークを有するリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物が好ましいものとして挙げられる。
<メジアン径及び90%積算径(D90)>
本発明のリチウム遷移金属系化合物のメジアン径は通常2μm以上、好ましくは2.5μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは3.5μm以上、最も好ましくは4μm以上で、通常60μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下、最も好ましくは20μm以下である。メジアン径がこの下限を下回ると、正極活物質層形成時の塗布性に問題を生ずる可能性があり、上限を超えると電池性能の低下を来たす可能性がある。
また、本発明のリチウムリチウム遷移金属系化合物の二次粒子の90%積算径(D90)は通常30μm以下、好ましくは25μm以下、より好ましくは22μm以下、最も好ましくは20μm以下で、通常3μm以上、好ましくは4μm以上、より好ましくは5μm以上、最も好ましくは6μm以上である。90%積算径(D90)が上記上限を超えると電池性能の低下を来たす可能性があり、下限を下回ると正極活物質層形成時の塗布性に問題を生ずる可能性がある。
なお、本発明において、平均粒子径としてのメジアン径及び90%積算径(D90)は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、屈折率1.60を設定し、粒子径基準を体積基準として測定されたものである。本発明では、測定の際に用いる分散媒として、0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用いて測定を行った。
<平均一次粒子径>
本発明のリチウムリチウム遷移金属系化合物の平均径(平均一次粒子径)としては、特に限定されないが、下限としては、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、最も好ましくは0.3μm以上、また、上限としては、好ましくは8μm以下、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは6μm以下、最も好ましくは5μm以下である。平均一次粒子径が、上記上限を超えると、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が低下したりするために、レート特性や出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる可能性がある。上記下限を下回ると結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等の問題を生ずる可能性がある。
なお、本発明における平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した平均径であり、10,000倍のSEM画像を用いて、10〜30個程度の一次粒子の粒子径の平均値として求めることができる。
<BET比表面積>
本発明のリチウムリチウム遷移金属系化合物はまた、BET比表面積が、通常0.2m/g以上、好ましくは0.3m/g以上、更に好ましくは0.35m/g以上、最も好ましくは0.4m/g以上で、通常3m/g以下、好ましくは2.5m/g以下、更に好ましくは2m/g以下、最も好ましくは1.5m/g以下である。BET比表面積がこの範囲よりも小さいと電池性能が低下しやすく、大きいと嵩密度が上がりにくくなり、正極活物質材料としてのエネルギー密度が向上しない可能性がある。
なお、BET比表面積は、公知のBET式粉体比表面積測定装置によって測定できる。本発明では、大倉理研製:AMS8000型全自動粉体比表面積測定装置を用い、吸着ガスに窒素、キャリアガスにヘリウムを使用し、連続流動法によるBET1点式法測定を行った。具体的には粉体試料を混合ガスにより150℃の温度で加熱脱気し、次いで液体窒素温度まで冷却して混合ガスを吸着させた後、これを水により室温まで加温して吸着された窒素ガスを脱着させ、その量を熱伝導検出器によって検出し、これから試料の比表面積を算出した。
<嵩密度>
本発明のリチウム遷移金属系化合物の嵩密度の下限は、通常1.3g/cm3以上、好ま
しくは1.35g/cm3以上、より好ましくは1.4g/cm3以上、最も好ましくは1.45g/cm3以上である。
上限は、通常5g/cm3以下、好ましくは4g/cm3以下、より好ましくは3.5g/cm3以下、最も好ましくは3.2g/cm3以下である。嵩密度がこの上限を上回ると粉体充填性や電極密度向上にとって好ましい一方、比表面積が低くなり過ぎる可能性があり、電池性能が低下する可能性がある。嵩密度がこの下限を下回ると粉体充填性や電極調製に悪影響を及ぼす可能性がある。なお、本発明では、嵩密度は、リチウム遷移金属系化合物5〜10gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、ストローク約30mmで少なくとも100回タップして嵩密度を測定し、以降、200タップ毎に嵩密度を測定し、200回タップしたことによる嵩密度の変化量が0.1 g/cm3以下になるまでタップした時の粉体充填密度(嵩密度)g/cm3として求める。
<結晶構造>
本発明のリチウム遷移金属系化合物は、スピネル構造を有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物を主成分としたものが好ましい。
ここで、スピネル型構造に関してさらに詳しく述べる。スピネル型構造を有するものの代表的な結晶系としては、LiMn2O4のようなMgAl2O4型に属するものがあり、これらは立方晶系であり、その対称性から空間群
Figure 2012015105
(以下「スピネル型Fd(−3)m構造」と表記することがある。)に帰属される。
ただし、スピネル型LiMeO4とは、スピネル型Fd(−3)m構造に限るものではな
い。これ以外にも異なる空間郡(P432)に属するスピネル型LiMeOも存在する。
<更なる添加元素>
本発明では、上記のB、P、V、Pb、Sb、およびBiからなる群より選ばれる少なくとも一
種の元素を有する化合物(本発明の添加剤)に加えて、更なる添加元素1として、Mo、W、Nb、Ta及びReから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。これらの更なる添加元素1の中でも、効果が大きい点から、更なる添加元素1がMoまたはWであることが好ましく、Wであることが最も好ましい。
更なる添加元素1を含有する化合物(更なる添加剤1)の種類としては、本発明の効果を発現するものであればその種類に格別の制限はないが、通常は酸化物が用いられる。更なる添加剤1の例示化合物としては、MoO、MoO、MoO、MoO、Mo、Mo、LiMoO、WO、WO、WO、WO、W、W、W1849、W2058、W2470,W2573、W40118、LiWO、NbO、NbO、Nb、Nb、Nb・nHO、LiNbO、TaO、Ta、LiTaO、ReO、ReO、Re、Reなどが挙げられ、工業原料として比較的入手し易い、又はリチウムを包含するといった点から、好ましくはMoO、LiMoO、WO、LiWOが挙げられ、特に好ましくはWOが挙げられる。これらの更なる添加剤1は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
B、P、V、Pb、Sb、およびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を有する化
合物(本発明の添加剤)と更なる添加剤1の合計の添加量の範囲としては、主成分を構成
する遷移金属元素の合計モル量に対して、下限としては、通常0.001モル%以上、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは1モル%以上、上限としては、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、特に好ましくは2モル%以下である。下限を下回ると、前記効果が得られなくなる可能性があり、上限を超えると電池性能の低下を招く可能性がある。
<含有炭素濃度C>
本発明のリチウム遷移金属系化合物の含有炭素濃度C(重量%)値は、通常0.005重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.015重量%以上、最も好ましくは0.02重量%以上であり、通常0.25重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.15重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下、最も好ましくは0.07重量%以下である。この下限を下回ると電池性能が低下する可能性があり、上限を超えると電池とした時のガス発生による膨れが増大したり電池性能が低下したりする可能性がある。
本発明において、リチウム遷移金属系化合物の含有炭素濃度Cは、後述の実施例の項で示すように、酸素気流中燃焼(高周波加熱炉式)赤外吸収法による測定で求められる。
なお、後述の炭素分析により求めたリチウム遷移金属系化合物体の含有炭素成分は、炭酸化合物、特に炭酸リチウムの付着量についての情報を示すものとみなすことができる。これは、炭素分析により求めた炭素量を、全て炭酸イオン由来と仮定した数値と、イオンクロマトグラフィーにより分析した炭酸イオン濃度が概ね一致することによる。
一方、電子伝導性を高めるための手法として導電性カーボンと複合化処理をしたりする場合には、前記規定範囲を超えるC量が検出されることがあるが、そのような処理が施された場合におけるC値は、前記規定範囲に限定されるものではない。
[リチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物の製造方法]
本発明のリチウム遷移金属系化合物を製造する方法は、特定の製法に限定されるものではないが、リチウム化合物と、Mn,Ni,Cr、Fe、Co及びCuから選ばれる少なくとも1種類以上の遷移金属化合物と、本発明の添加剤とを、液体媒体中で粉砕し、これらを均一に分散させたスラリーを得るスラリー調製工程と、得られたスラリーを噴霧乾燥する噴霧乾燥工程と、得られた噴霧乾燥体を焼成する焼成工程を含む本発明のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物の製造方法により、好適に製造される。
以下に、本発明の好適態様であるリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体の製造方法を例にあげて、本発明のリチウム遷移金属系化合物の製造方法について詳細に説明する。
<スラリー調製工程>
本発明の方法により、リチウム遷移金属系化合物を製造するに当たり、スラリーの調製に用いる原料化合物のうち、リチウム化合物としては、LiCO、LiNO、LiNO、LiOH、LiOH・HO、LiH、LiF、LiCl、LiBr、LiI、CHOOLi、LiO、LiSO、ジカルボン酸Li、クエン酸Li、脂肪酸Li、アルキルリチウム等が挙げられる。これらリチウム化合物の中で好ましいのは、焼成処理の際にSO、NO等の有害物質を発生させない点で、窒素原子や硫黄原子、ハロゲン原子を含有しないリチウム化合物であり、また、焼成時に分解ガスを発生する等して、噴霧乾燥粉体の二次粒子内に分解ガスを発生するなどして空隙を形成しやすい化合物であり、これらの点を勘案すると、LiCO、LiOH、LiOH・HOが好ましく、特にLiCOが好ましい。これらのリチウム化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
また、ニッケル化合物としては、Ni(OH)、NiO、NiOOH、NiCO
2NiCO・3Ni(OH)・4HO、NiC・2HO、Ni(NO・6HO、NiSO、NiSO・6HO、脂肪酸ニッケル、ニッケルハロゲン化物等が挙げられる。この中でも、焼成処理の際にSO、NO等の有害物質を発生させない点で、Ni(OH)、NiO、NiOOH、NiCO、2NiCO・3Ni(OH)・4HO、NiC・2HOのようなニッケル化合物が好ましい。また、更に工業原料として安価に入手できる観点、及び反応性が高い、という観点からNi(OH)、NiO、NiOOH、NiCO、さらに焼成時に分解ガスを発生する等して、噴霧乾燥粉体の二次粒子内に空隙を形成しやすい、という観点から、特に好ましいのはNi(OH)、NiOOH、NiCOである。これらのニッケル化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
また、マンガン化合物としてはMn、MnO、Mn等のマンガン酸化物、MnCO、Mn(NO、MnSO、酢酸マンガン、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マンガン、脂肪酸マンガン等のマンガン塩、オキシ水酸化物、塩化マンガン等のハロゲン化物等が挙げられる。これらのマンガン化合物の中でも、MnO、Mn、Mn、MnCOは、焼成処理の際にSO、NO等のガスを発生せず、更に工業原料として安価に入手できるため好ましい。これらのマンガン化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
また、上記のLi、Ni、Mn原料化合物以外にも他元素置換を行って前述の異元素を導入したり、後述する噴霧乾燥にて形成される二次粒子内の空隙を効率よく形成させたりすることを目的とした化合物群を使用することが可能である。なお、ここで使用する、二次粒子の空隙を効率よく形成させることを目的として使用する化合物の添加段階は、その性質に応じて、原料混合前又は混合後の何れかを選択することが可能である。特に、混合工程によって機械的剪断応力が加わるなどして分解しやすい化合物は混合工程後に添加することが好ましい。
本発明の添加剤としては、前述の通りである。
原料の混合方法は特に限定されるものではなく、湿式でも乾式でも良い。例えば、ボールミル、振動ミル、ビーズミル等の装置を使用する方法が挙げられる。原料化合物を水、アルコール等の液体媒体中で混合する湿式混合は、より均一な混合が可能であり、かつ焼成工程において混合物の反応性を高めることができるので好ましい。
混合の時間は、混合方法により異なるが、原料が粒子レベルで均一に混合されていれば良く、例えばボールミル(湿式又は乾式)では通常1時間から2日間程度、ビーズミル(湿式連続法)では滞留時間が通常0.1時間から6時間程度である。
なお、原料の混合段階においてはそれと並行して原料の粉砕が為されていることが好ましい。粉砕の程度としては、粉砕後の原料粒子の粒径が指標となるが、平均粒子径(メジアン径)として通常0.7μm以下、好ましくは0.6μm以下、さらに好ましくは0.55μm以下、最も好ましくは0.5μm以下とする。粉砕後の原料粒子の平均粒子径が大きすぎると、焼成工程における反応性が低下するのに加え、組成が均一化し難くなる。
ただし、必要以上に小粒子化することは、粉砕のコストアップに繋がるので、平均粒子径が通常0.01μm以上、好ましくは0.02μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上となるように粉砕すれば良い。このような粉砕程度を実現するための手段としては特に限定されるものではないが、湿式粉砕法が好ましい。具体的にはダイノーミル等を挙げることができる。
なお、本発明においてスラリー中の粉砕粒子のメジアン径は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、屈折率1.24を設定し、粒子径基準を体積基準に設定
して測定されたものである。本発明では、測定の際に用いる分散媒として、0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散(出力30W、周波数22.5kHz)後に測定を行った。
<噴霧乾燥工程>
湿式混合後は、次いで通常乾燥工程に供される。乾燥方法は特に限定されないが、生成する粒子状物の均一性や粉体流動性、粉体ハンドリング性能、乾燥粒子を効率よく製造できる等の観点から噴霧乾燥が好ましい。また、噴霧乾燥後に焼成したリチウム遷移金属系化合物においては粉砕工程を必要としないため、プロセスの簡略化が可能であり、かつ、粒子全体に均一に分布、もしくは表面に濃化した本発明の添加剤に含まれる元素がより効果を発現し易くなるという利点が挙げられる。
(噴霧乾燥粉体)
本発明のリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体等のリチウム遷移金属系化合物粉体の製造方法においては、原料化合物と本発明の添加剤とを湿式粉砕して得られたスラリーを噴霧乾燥することにより、一次粒子が凝集して二次粒子を形成してなる粉体を得る。
一次粒子が凝集して球状の二次粒子を形成してなる噴霧乾燥粉体は、本発明品の噴霧乾燥粉体の形状的特徴である。噴霧乾燥体が球状であることから充填性に優れたリチウム遷移金属系化合物を得ることが可能となる。噴霧乾燥体の形状の確認方法としては、例えば、SEM観察、断面SEM観察が挙げられる。
本発明のリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体等のリチウム遷移金属系化合物粉体の焼成前駆体でもある噴霧乾燥により得られる粉体のメジアン径(ここでは超音波分散をかけずに測定した値)は通常25μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは18μm以下、最も好ましくは16μm以下となるようにする。ただし、あまりに小さな粒径は得にくい傾向にあるので、通常は3μm以上、好ましくは4μm以上、より好ましくは5μm以上である。噴霧乾燥法で粒子状物を製造する場合、その粒子径は、噴霧形式、加圧気体流供給速度、スラリー供給速度、乾燥温度等を適宜選定することによって制御することができる。
即ち、例えば、リチウム化合物、ニッケル化合物、およびマンガン化合物と本発明の添加剤とを液体媒体中に分散させたスラリーを噴霧乾燥後、得られた粉体を焼成してリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体を製造するに当たり、噴霧乾燥時のスラリー粘度をV(cP)、スラリー供給量をS(L/min)、ガス供給量をG(L/min)とした際、スラリー粘度Vが、50cP≦V≦10000cPであって、かつ、気液比G/Sが、500≦G/S≦10000となる条件で噴霧乾燥を行う。
スラリー粘度V(cP)が低すぎると一次粒子が凝集して二次粒子を形成してなる粉体を得にくくなる虞があり、高過ぎると供給ポンプが故障したり、ノズルが閉塞する虞がある。従って、スラリー粘度V(cP)は、下限値として通常50cP以上、好ましくは100cP以上、更に好ましくは300cP以上、最も好ましくは500cPであり、上限値としては通常10000cp以下、好ましくは7500cp以下、更に好ましくは6500cp以下、最も好ましくは6000cp以下である。
また、気液比G/Sが上記下限を下回ると二次粒子サイズが粗大化したり、乾燥性が低下しやすくなるなどして、上限を超えると生産性が低下する虞がある。従って、気液比G/Sは、下限値として通常500以上、好ましくは800以上、更に好ましくは1000以上、最も好ましくは1500以上であり、上限値としては通常10000以下、好ましくは9000以下、更に好ましくは8000以下、最も好ましくは7500以下である。スラリー供給量Sやガス供給量Gは、噴霧乾燥に供するスラリーの粘度や用いる噴霧乾燥
装置の仕様等によって適宜設定される。
本発明の方法においては、前述のスラリー粘度V(cP)を満たし、かつ用いる噴霧乾燥装置の仕様に適したスラリー供給量とガス供給量を制御して、前述の気液比G/Sを満たす範囲で噴霧乾燥を行えばよく、その他の条件については、用いる装置の種類等に応じて適宜設定されるが、更に次のような条件を選択することが好ましい。
即ち、スラリーの噴霧乾燥は、通常、50℃以上、好ましくは70℃以上、更に好ましくは120℃以上、最も好ましくは140℃以上で、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、更に好ましくは200℃以下、最も好ましくは180℃以下の温度で行うことが好ましい。この温度が高すぎると得られた造粒粒子が中空構造の多いものとなる可能性があり、粉体の充填密度が低下する虞がある。一方、低すぎると粉体出口部分での水分結露による粉体固着・閉塞等の問題が生じる可能性がある。
<焼成工程>
このようにして得られた焼成前駆体は、次いで焼成処理される。
ここで、本発明において「焼成前駆体」とは、噴霧乾燥粉体を処理して得られる焼成前のリチウムニッケルマンガン系複合酸化物等のリチウム遷移金属系化合物の前駆体を意味する。例えば、前述の焼成時に分解ガスを発生又は昇華して、二次粒子内に空隙を形成させる化合物を、上述の噴霧乾燥粉体に含有させて焼成前駆体としてもよい。
この焼成条件は、組成や使用するリチウム化合物原料にも依存するが、傾向として、焼成温度が高すぎると一次粒子が過度に成長し、粒子間の焼結が進行し過ぎ、比表面積が小さくなり過ぎる。逆に低すぎると異相が混在し、結晶構造が発達せずに格子歪が増大する。また比表面積が大きくなりすぎる。焼成温度としては、通常700℃以上、好ましくは750℃以上、より好ましくは775℃以上、最も好ましくは800℃以上であり、通常1000℃以下、好ましくは950℃以下、更に好ましくは925℃以下、最も好ましくは900℃以下である。
また、リチウム遷移金属系化合物の温度を室温から昇温する開始時刻を起点とし、最高温度に達してその温度を保持した後、降温して室温に戻し終えるまでの時間を焼成時間とした時、焼成時間は短ければ短いほど工業的に有利であるが、焼成時間が短すぎると原料の焼結が十分に進まず、異相が混在し、結晶構造が発達せずに格子歪が増大する。焼成時間としては通常24時間以下、好ましくは18時間以下、より好ましくは15時間以下、最も好ましくは12時間以下であり、通常30分以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは1.5時間以上、もっとも好ましくは2時間以上である。
焼成には、例えば、箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を使用することができる。焼成工程は、通常、昇温・最高温度保持・降温の三部分に分けられる。二番目の最高温度保持部分は必ずしも一回とは限らず、目的に応じて二段階又はそれ以上の段階をふませてもよく、二次粒子を破壊しない程度に凝集を解消することを意味する解砕工程又は、一次粒子或いはさらに微小粉末まで砕くことを意味する粉砕工程を挟んで、昇温・最高温度保持・降温の工程を二回又はそれ以上繰り返しても良い。
最高温度保持工程に至る昇温工程は通常1℃/分以上15℃/分以下の昇温速度で炉内を昇温させる。この昇温速度があまり遅すぎても時間がかかって工業的に不利であるが、あまり速すぎても炉によっては炉内温度が設定温度に追従しなくなる。昇温速度は、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上で、好ましくは20℃/分以下、より好ましくは18℃/分以下である。
最高温度保持工程での保持時間は、温度によっても異なるが、通常前述の温度範囲であ
れば15分以上、好ましくは30分以上、更に好ましくは45分以上、最も好ましくは1時間以上で、24時間以下、好ましくは12時間以下、更に好ましくは9時間以下、最も好ましくは6時間以下である。焼成時間が短すぎると結晶性の良いリチウム遷移金属系化合物粉体が得られ難くなり、長すぎるのは実用的ではない。焼成時間が長すぎると、その後の解砕が困難になったりするので、不利である。
降温工程では、通常0.1℃/分以上15℃/分以下の降温速度で炉内を降温させる。降温速度があまり遅すぎても時間がかかって工業的に不利であるが、あまり速すぎても目的物の均一性に欠けたり、容器の劣化を早めたりする傾向にある。降温速度は、好ましくは1℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上で、好ましくは20℃/分以下、より好ましくは15℃/分以下である。
焼成時の雰囲気は、得ようとするリチウム遷移金属系化合物の組成によって適切な酸素分圧領域があるため、それを満足するための適切な種々ガス雰囲気が用いられる。ガス雰囲気としては、例えば、酸素、空気、窒素、アルゴン、水素、二酸化炭素、及びそれらの混合ガス等を挙げることができる。また、本発明のリチウム遷移金属系化合物の充填性を向上するためには、窒素雰囲気下など、酸素分圧の低い雰囲気で焼成された後に、空気などの酸素含有ガス雰囲気下で焼成されたものであることが好ましい。酸素含有ガスの酸素濃度は、通常1体積%以上、好ましくは10体積%以上、より好ましくは15体積%以上の雰囲気とする。
このような製造方法において、本発明のリチウム遷移金属系化合物、例えば前記特定の組成を有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体を製造するには、製造条件を一定とした場合には、リチウム化合物、ニッケル化合物およびマンガン化合物と、本発明の添加剤とを液体媒体中に分散させたスラリーを調製する際、各化合物の混合比を調整することで、目的とするLi/Ni/Mnのモル比を制御することができる。
上述したようなリチウム遷移金属系化合物の製造方法によれば、高エネルギー密度でありながら負荷特性に優れたリチウム二次電池を実現し得るリチウム遷移金属系化合物が簡略かつ短時間のプロセスで提供される。
[リチウム二次電池用正極]
本発明のリチウム二次電池用正極は、本発明のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成してなるものである。
正極活物質層は、通常、正極材料と結着剤と更に必要に応じて用いられる導電材及び増粘剤等を、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、或いはこれらの材料を液体媒体中に溶解又は分散させてスラリー状にして、正極集電体に塗布、乾燥することにより作成される。
正極集電体の材質としては、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が用いられる。中でも金属材料が好ましく、アルミニウムが特に好ましい。また、形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属薄膜が、現在工業化製品に使用されているため好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成しても良い。
正極集電体として薄膜を使用する場合、その厚さは任意であるが、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、また通常100mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは50μm以下の範囲が好適である。上記範囲よりも薄いと、
集電体として必要な強度が不足する可能性がある一方で、上記範囲よりも厚いと、取り扱い性が損なわれる可能性がある。
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して安定な材料であれば良いが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレンスチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
正極活物質層中の結着剤の割合は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、更に好ましくは5重量%以上であり、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。結着剤の割合が低すぎると、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させてしまう可能性がある一方で、高すぎると、電池容量や導電性の低下につながる可能性がある。
正極活物質層には、通常、導電性を高めるために導電材を含有させる。その種類に特に制限はないが、具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料や、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料などを挙げることができる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。正極活物質層中の導電材の割合は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上であり、また、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下である。導電材の割合が低すぎると導電性が不十分になることがあり、逆に高すぎると電池容量が低下することがある。
スラリーを形成するための液体媒体としては、正極材料であるリチウム遷移金属系化合物粉体、結着剤、並びに必要に応じて使用される導電材及び増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いても良い。水系溶媒の例としては水、アルコールなどが挙げられ、有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルアセタミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等を挙げることができる。特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤を加え、SBR等のラテックスを用いてスラリー化する。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
正極活物質層中の正極材料としての本発明のリチウム遷移金属系化合物の含有割合は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上であり、通常99.9重量%以下、好ましくは99重量%以下である。正極活物質層中のリチウム遷移金属系化合物粉体の割合が多すぎると正極の強度が不足する傾向にあり、少なすぎると容量の面で不十分となることがある。
また、正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。
正極のプレス後の電極密度としては、下限としては、通常、2.2g/cm以上、好ましくは2.4g/cm以上、特に好ましくは2.6g/cm以上、上限としては、通常、4.2g/cm以下、好ましくは4.0g/cm以下、特に好ましくは3.8g/cm以下である。
なお、塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
かくして、本発明のリチウム二次電池用正極が調製できる。
[リチウム二次電池]
本発明のリチウム二次電池は、リチウムを吸蔵・放出可能な上記の本発明のリチウム二次電池用正極と、リチウムを吸蔵・放出可能な負極と、リチウム塩を電解塩とする非水電解質とを備える。更に、正極と負極との間に、非水電解質を保持するセパレータを備えていても良い。正極と負極との接触による短絡を効果的に防止するには、このようにセパレータを介在させるのが望ましい。
<負極>
負極は通常、正極と同様に、負極集電体上に負極活物質層を形成して構成される。
負極集電体の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が用いられる。中でも金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属薄膜が、現在工業化製品に使用されていることから好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成しても良い。負極集電体として金属薄膜を使用する場合、その好適な厚さの範囲は、正極集電体について上述した範囲と同様である。
負極活物質層は、負極活物質を含んで構成される。負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、その種類に他に制限はないが、通常は安全性の高さの面から、リチウムを吸蔵、放出できる炭素材料が用いられる。
炭素材料としては、その種類に特に制限はないが、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)や、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物が挙げられる。有機物の熱分解物としては、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチの炭化物、石油系ピッチの炭化物、或いはこれらピッチを酸化処理したものの炭化物、ニードルコークス、ピッチコークス、フェノール樹脂、結晶セルロース等の炭化物等及びこれらを一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。中でも黒鉛が好ましく、特に好適には、種々の原料から得た易黒鉛性ピッチに高温熱処理を施すことによって製造された、人造黒鉛、精製天然黒鉛、又はこれらの黒鉛にピッチを含む黒鉛材料等であって、種々の表面処理を施したものが主として使用される。これらの炭素材料は、それぞれ1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
負極活物質として黒鉛材料を用いる場合、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離:d002)が、通常0.335nm以上、また、通常0.34nm以下、好ましくは0.337nm以下であるものが好ましい。
また、黒鉛材料の灰分が、黒鉛材料の重量に対して通常1重量%以下、中でも0.5重
量%以下、特に0.1重量%以下であることが好ましい。
更に、学振法によるX線回折で求めた黒鉛材料の結晶子サイズ(Lc)が、通常30nm以上、中でも50nm以上、特に100nm以上であることが好ましい。
また、レーザー回折・散乱法により求めた黒鉛材料のメジアン径が、通常1μm以上、中でも3μm以上、更には5μm以上、特に7μm以上、また、通常100μm以下、中でも50μm以下、更には40μm以下、特に30μm以下であることが好ましい。
また、黒鉛材料のBET法比表面積は、通常0.5m/g以上、好ましくは0.7m/g以上、より好ましくは1.0m/g以上、更に好ましくは1.5m/g以上、また、通常25.0m/g以下、好ましくは20.0m/g以下、より好ましくは15.0m/g以下、更に好ましくは10.0m/g以下である。
更に、黒鉛材料についてアルゴンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析を行った場合に、1580〜1620cm−1の範囲で検出されるピークPの強度Iと、1350〜1370cm−1の範囲で検出されるピークPの強度Iとの強度比I/Iが、0以上0.5以下であるものが好ましい。また、ピークPの半価幅は26cm−1以下が好ましく、25cm−1以下がより好ましい。
なお、上述の各種の炭素材料の他に、リチウムの吸蔵及び放出が可能なその他の材料の負極活物質として用いることもできる。炭素材料以外の負極活物質の具体例としては、酸化錫や酸化ケイ素などの金属酸化物、Li2.6Co0.4Nなどの窒化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金などが挙げられる。これらの炭素材料以外の材料は、それぞれ1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、上述の炭素材料と組み合わせて用いても良い。
負極活物質層は、通常は正極活物質層の場合と同様に、上述の負極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電材及び増粘剤とを液体媒体でスラリー化したものを負極集電体に塗布し、乾燥することにより製造することができる。スラリーを形成する液体媒体や結着剤、増粘剤、導電材等としては、正極活物質層について上述したものと同様のものを使用することができる。
<非水電解質>
非水電解質としては、例えば公知の有機電解液、高分子固体電解質、ゲル状電解質、無機固体電解質等を用いることができるが、中でも有機電解液が好ましい。有機電解液は、有機溶媒に溶質(電解質)を溶解させて構成される。
ここで、有機溶媒の種類は特に限定されないが、例えばカーボネート類、エーテル類、ケトン類、スルホラン系化合物、ラクトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素類、エーテル類、アミン類、エステル類、アミド類、リン酸エステル化合物等を使用することができる。代表的なものを列挙すると、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、1,2−ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、ジメチルジフルオロカーボネート等が挙げられ、これら化合物は、水素原子が一部ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、これらの単独若しくは2種類以上の混合溶媒が使用できる。
上述の有機溶媒には、電解塩を解離させるために、高誘電率溶媒を含めることが好まし
い。ここで、高誘電率溶媒とは、25℃における比誘電率が20以上の化合物を意味する。高誘電率溶媒の中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及び、それらの水素原子をハロゲン等の他の元素又はアルキル基等で置換した化合物が、電解液中に含まれることが好ましい。高誘電率溶媒の電解液に占める割合は、好ましくは20重量%以上、更に好ましくは25重量%以上、最も好ましくは30重量%以上である。高誘電率溶媒の含有量が上記範囲よりも少ないと、所望の電池特性が得られない場合がある。
また、有機電解液中には、CO、NO、CO、SO等のガスやビニレンカーボネート、ポリサルファイドS 2−など、負極表面にリチウムイオンの効率良い充放電を可能にする良好な被膜を形成する添加剤を、任意の割合で添加しても良い。このような添加剤としてはなかでもとりわけビニレンカーボネートが好ましい。
さらに、有機電解液中には、ジフルオロリン酸リチウムなど、サイクル寿命や出力特性の向上に効果を発揮する添加剤や、プロパンスルトンやプロペンスルトンなどの高温保存ガスの抑制に効果を発揮する添加剤を任意の割合で添加してもよい。
電解塩の種類も特に限定されず、従来公知の任意の溶質を使用することができる。具体例としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiB(C、LiBOB、LiCl、LiBr、CHSOLi、CFSOLi、LiN(SOCF、LiN(SO、LiC(SOCF、LiN(SOCF等が挙げられる。これらの電解塩は任意の1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
電解塩のリチウム塩は電解液中に、通常0.5mol/L以上1.5mol/L以下となるように含有させる。電解液中のリチウム塩濃度が0.5mol/L未満でも1.5mol/Lを超えても、電気伝導度が低下し、電池特性に悪影響を与えることがある。この濃度の下限としては0.75mol/L以上、上限として1.25mol/L以下が好ましい。
高分子固体電解質を使用する場合にも、その種類は特に限定されず、固体電解質として公知の任意の結晶質・非晶質の無機物を用いることができる。結晶質の無機固体電解質としては、例えば、LiI、LiN、Li1+xTi2−x(PO(J=Al、Sc、Y、La)、Li0.5−3xRE0.5+xTiO(RE=La、Pr、Nd、Sm)等が挙げられる。また、非晶質の無機固体電解質としては、例えば、4.9LiI−34.1LiO−61B、33.3LiO−66.7SiO等の酸化物ガラス等が挙げられる。これらは任意の1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いても良い。
<セパレータ>
電解質として前述の有機電解液を用いる場合には、電極同士の短絡を防止するために、正極と負極との間にセパレータが介装される。セパレータの材質や形状は特に制限されないが、使用する有機電解液に対して安定で、保液性に優れ、且つ、電極同士の短絡を確実に防止できるものが好ましい。好ましい例としては、各種の高分子材料からなる微多孔性のフィルム、シート、不織布等が挙げられる。高分子材料の具体例としては、ナイロン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィン高分子が用いられる。特に、セパレータの重要な因子である化学的及び電気化学的な安定性の観点からは、ポリオレフィン系高分子が好ましく、電池におけるセパレータの使用目的の一つである自己閉塞温度の点からは、ポリエチレンが特に望ましい。
ポリエチレンからなるセパレータを用いる場合、高温形状維持性の点から、超高分子ポリエチレンを用いることが好ましく、その分子量の下限は好ましくは50万、更に好まし
くは100万、最も好ましくは150万である。他方、分子量の上限は、好ましくは500万、更に好ましくは400万、最も好ましくは300万である。分子量が大きすぎると流動性が低くなりすぎてしまい、加熱された時にセパレータの孔が閉塞しない場合があるからである。
<電池形状>
本発明のリチウム二次電池は、上述した本発明のリチウム二次電池用正極と、負極と、電解質と、必要に応じて用いられるセパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。
本発明のリチウム二次電池の形状は特に制限されず、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。一般的に採用されている形状の例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。また、電池を組み立てる方法も特に制限されず、目的とする電池の形状に合わせて、通常用いられている各種方法の中から適宜選択することができる。
<満充電状態における正極の充電電位>
本発明のリチウム二次電池は、以下の実施例においては、満充電状態における正極の充電電位が5.0V(vs.Li/Li)以上となるように設計されている電池で特に効果を奏する。即ち、本発明のリチウム二次電池正極材料用リチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体は、高い充電電位で充電するように設計されたリチウム二次電池として使用した場合において、本願発明の効果を有効に発揮する。
以上、本発明のリチウム二次電池の一般的な実施形態について説明したが、本発明のリチウム二次電池は上記実施形態に制限されるものではなく、その要旨を超えない限りにおいて、各種の変形を加えて実施することが可能である。
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によってなんら制限されるものではない。
[物性の測定方法]
後述の各実施例及び比較例において製造されたリチウム遷移金属系化合物の物性等は、各々次のようにして測定した。
<X線光電子分光法(XPS)による一次粒子表面の組成分析>
Physical Electronics社製 X線光電子分光装置「ESCA−5700」を用い、下記条件で行った。
X線源:単色化AlKα
分析面積:0.8mm径
取り出し角:65°
定量方法:Li1S、C1s、O1s、B1s、Mn2p1、Ni2P3各ピークの面積を
感度係数で補正。
<結晶相(スピネル構造)の確認>
以下に記載のCuKα線を使用した粉末X線回折測定により求めた。
・実際のXRD測定(実施例、比較例)は、可変スリットモードで測定し、可変→固定のデータ変換を実施
・可変→固定の変換は、強度(固定)=強度(可変)/sinθの計算式による
(粉末X線回折測定装置仕様)
装置名:オランダ PANalytical社製 X’Pert Pro MPD
光学系:集中法光学系
(光学系仕様)
入射側:封入式X線管球(CuKα)
Soller Slit(0.04rad)
Divergence Slit (Variable Slit)
試料台:回転試料台(Spinner)
受光側:半導体アレイ検出器(X’Celerator)
Ni−filter
ゴニオ半径:243mm
(測定条件)
X線出力(CuKα):40kV、30mA
走査軸:θ/2θ
走査範囲(2θ):10.0−75.0°
測定モード:Continuous
読込幅:0.015°
計数時間:99.7sec
自動可変スリット(Automatic−DS:10mm(照射幅))
横発散マスク:10mm(照射幅)
<二次粒子のメジアン径>
公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用い、屈折率を1.60に設定し、粒子径基準を体積基準として測定した。また、分散媒としては0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い測定を行った。
<嵩密度>
資料粉体5〜10gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、ストローク約30mmで少なくとも100回タップして嵩密度を測定し、以降、200タップ毎に嵩密度を測定し、200回タップしたことによる嵩密度の変化量が0.1 g/ml以下になるまで
タップした時の粉体充填密度として求めた。
<比表面積>
BET法により求めた。
<スラリー中の粉砕粒子のメジアン径>
公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用い、屈折率を1.24に設定し、粒子径基準を体積基準として測定した。また、分散媒としては0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散(出力30W、周波数22.5kHz)後に測定を行った。
[リチウム遷移金属系化合物の製造(実施例及び比較例)]
(実施例1)
リチウム遷移金属系化合物の主成分を構成するための原料として、LiCO、NiCO、Mnを、Li:Ni:Mn:=1.05:0.5:1.5のモル比となるように秤量した。続いて、前記原料の仕込み重量から算出される該主成分の合計量に対して、ホウ素が0.5mol%の割合となるようにホウ酸を秤量して混合した後、これに純水
を加えてスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪拌型湿式粉砕機を用いて、スラリー中の固形分をメジアン径0.30μm程度に粉砕した。
次に、このスラリー(固形分含有量30重量%、粘度1150cP)を、二流体ノズル
型スプレードライヤー(大川原化工機(株)製:LT−8型)を用いて噴霧乾燥した。スプレードライヤーにより噴霧乾燥して得られた粒子状粉末、約10gをアルミナ製るつぼに仕込み、空気雰囲気下で、最高温度を825℃とし、最高温度保持時間を6時間として焼成(昇降温速度6.7℃/min.)した後、解砕して、スピネル型構造を有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体を得た。
(実施例2)
リチウム遷移金属系化合物の主成分の合計量に対して、ホウ素が1.0mol%の割合と
なるようにホウ酸を秤量したこと以外は実施例1と同様の条件でスピネル型構造を有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体を得た。
(実施例3)
リチウム遷移金属系化合物の主成分の合計量に対して、ホウ素が3.0mol%の割合と
なるようにホウ酸を秤量したこと以外は実施例1と同様の条件でスピネル型構造を有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体を得た。
(実施例4)
リチウム遷移金属系化合物の主成分の合計量に対して、ビスマスが0.5mol%の割合
となるように酸化ビスマスを秤量したこと以外は実施例1と同様の条件でスピネル型構造を有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体を得た。
(比較例1)
ホウ酸を添加しなかったこと以外は実施例1と同様の条件でスピネル型構造を有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物を得た。
(比較例2)
焼成における最高温度を950℃、最高温度の保持時間を3時間としたこと以外は、比較例1と同様の条件でスピネル型構造を有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物を得た。
(比較例3)
スラリーを噴霧乾燥する代わりに、80℃で10時間乾燥させ、かつ、焼成後に瑪瑙乳鉢を用いて粉砕したこと以外は、実施例1と同様の条件でスピネル型構造を有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物を得た。
上記、実施例及び比較例で製造したリチウム遷移金属系化合物の組成及び物性値を、表1に示す。
Figure 2012015105
表1より、実施例1〜5で製造されたリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体は、エネルギー密度およびレート維持率ともに比較例1〜3より高いことが分かる。
Figure 2012015105
表2より、実施例2で製造されたリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の粒子表面における、仕込み組成比に対するホウ素の濃化倍率は、比較例3より高くなっていることが分かる。
〔電池の作製及び評価〕
上述の実施例及び比較例で製造したリチウム遷移金属系化合物をそれぞれ正極材料(正極活物質)として用いて、以下の方法によりリチウム二次電池を作製し、評価を行った。
(1)レート試験:
実施例及び比較例で製造した混合粉体又は非混合粉体の各々75重量%、アセチレンブラック20重量%、及びポリテトラフルオロエチレンパウダー5重量%の割合で秤量したものを乳鉢で十分混合し、薄くシート状にしたものを9mmφのポンチを用いて打ち抜いた。この際、全体重量は約87.5mgになるように調整した。これをアルミニウムエキスパンドメタルに圧着して、9mmφの正極とした。
この9mmφの正極を試験極とし、リチウム金属板を対極とし、EC(エチレンカーボネート):DMC(ジメチルカーボネート):EMC(エチルメチルカーボネート)=3:3:4(容量比)の溶媒にLiPFを1mol/Lで溶解した電解液を用い、厚さ25μmの多孔性ポリエチレンフィルムをセパレータとしてコイン型セルを組み立てた。得られたコイン型セルについて、1サイクル目を、上限電圧5.0Vで0.2mA/cmの定電流定電圧充電、下限電圧3.0Vで0.2mA/cmの定電流放電試験を行い、
2サイクル目を、上限電圧5.0Vの定電流定電圧充電、下限電圧3.0Vで0.2mA/cmの定電流放電試験を行い、引き続いて、3サイクル目を、0.5mA/cmの定電流充電、11mA/cmの定電流放電試験を行った。 なお、表1に記載したレー
ト維持率とは、ここで言う1サイクル目の放電容量に対する3サイクル目の放電容量の百分率である。
前述のとおり、本発明のリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体は、エネルギー密度が高く、かつレート特性などの負荷特性に優れることが分かる。
このような粉体をリチウム二次電池正極材料として用いた場合、高エネルギー密度でありながら負荷特性に優れたリチウム二次電池を実現し得るリチウム遷移金属系化合物を簡略かつ短時間のプロセスで提供することが出来る。
本発明のリチウム遷移金属系複合酸化物粉体を用いたリチウム二次電池の用途は特に限定されず、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ、ペースメーカー、電動工具、自動車用動力源、軌道車両動力源、人工衛星用動力源等を挙げることができる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(I)で表されるリチウム遷移金属系化合物を主成分とし、リチウム遷移金属系化合物の原料の焼結を促進する効果を有する元素を有する物質(以下、「本発明の添加剤」と称する。)を添加した後、焼成され、細孔分布曲線において、細孔半径800nm以上6000nm以下にメインピークのピークトップおよび細孔半径80nm以上800nm以下にサブピークのピークトップを有することを特徴とするリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体。
    Li[LiaMn2−x−a]O4+δ・・・(I)
    ( 式中、0≦a≦0.3、 0.4 <x <1.1、−0.5 <δ<0.5を満たし、
    Mは、Ni、Cr、Fe、CoおよびCuから選ばれる遷移金属のうちの少なくとも1種を表す。)
  2. 本発明の添加剤の融点が1000℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の粉体。
  3. 本発明の添加剤を構成する元素がB、P、V、Pb、Sb、およびBiから選ばれることを特徴
    とする請求項1に記載の粉体。
  4. 本発明の添加剤を構成する元素の量が、仕込み原料から算出される該リチウム遷移金属系化合物の合計量に対して、0.001モル%以上、10モル%以下の割合であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉体。
  5. 二次粒子の表面部分のリチウム、本発明の添加剤を構成する元素以外の金属元素の合計に対する焼結を促進する効果を有する元素の合計の原子比が、二次粒子全体の該原子比の1倍以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粉体。
  6. 嵩密度が1.3g/cc以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体。
  7. 請求項1に記載のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体の製造方法であって、リチウム化合物と、Mn,Ni,Cr、Fe、Co及びCuから選ばれる少なくとも1種類以上の遷移金属化合物と、本発明の添加剤とを、液体媒体中で粉砕し、これらを均一に分散させたスラリーを得るスラリー調製工程と、得られたスラリーを噴霧乾燥する噴霧乾燥工程と、得られた噴霧乾燥体を焼成することを特徴とする粉体の製造方法。
  8. リチウム遷移金属系化合物の焼成において、リチウム遷移金属系化合物の温度を室温から昇温する開始時刻を起点とし、最高温度に達してその温度を保持した後、降温して室温に戻し終えるまでの時間が24時間以下であることを特徴とする請求項7に記載の粉体の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体を用いたリチウム二次電池用正極。
  10. 請求項9に記載のリチウム二次電池用正極を用いたリチウム二次電池。
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