JP2012014622A - 水力発電所の水位管理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】非定常時に必要な天気情報と河川の上流情報をデータ採取手段で入手してシミュレーションを行い、結果を運転員に分かり易くガイダンスして運転員の負担の軽減を図り、非定常時に熟練運転員に頼らなくても運用することを可能にする。
【解決手段】データ蓄積処理手段81に、貯水池水位情報11、放流ゲート開度情報12、水車発電機出力情報13、天気情報71および河川上流水位72の各データを取り込み、蓄積する。非定時用シミュレーション演算手段82により、所定時間内に一定時間刻み毎に得られた予測貯水値水位54a、予測発電機出力58、予測ゲート開度指令値53aを全て出力する。データ重合せ処理手段は、各データを重ね合せ処理して履歴データ83として出力する。非定常時用ガイダンス処理手段84は、これらのデータをグラフィック演算処理して非定常時用ガイダンス表示データ86としてヒューマンインターフェース部42で表示する。
【選択図】図1
【解決手段】データ蓄積処理手段81に、貯水池水位情報11、放流ゲート開度情報12、水車発電機出力情報13、天気情報71および河川上流水位72の各データを取り込み、蓄積する。非定時用シミュレーション演算手段82により、所定時間内に一定時間刻み毎に得られた予測貯水値水位54a、予測発電機出力58、予測ゲート開度指令値53aを全て出力する。データ重合せ処理手段は、各データを重ね合せ処理して履歴データ83として出力する。非定常時用ガイダンス処理手段84は、これらのデータをグラフィック演算処理して非定常時用ガイダンス表示データ86としてヒューマンインターフェース部42で表示する。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、水力発電所の水位管理システムに関する。
水力発電所では、運転員が河川の状況(貯水池への流入水量や貯水池水位等)を踏まえて効率的な発電を行うように、水車発電機の運転/停止や出力調整を行うとともに貯水池の水位を調整するために必要に応じて放水用のゲートを制御することもある。このための情報としては、流入する河川の上流地点の水位、雨量、積雪量などを常時計測することが望ましい。
このためには、これらの情報を取得するための計測装置を複数地点に設置するとともに、設置地点からの情報を伝送する伝送装置および伝送路の設置が必要となる。また、上流地点の水位、雨量、積雪量などを計測する計測装置、計測した情報すなわち、上流情報を送るための伝送装置などの機器を常時動作させるための電源を確保する必要もあり、上流情報を常時取り込むためには、非常に費用が掛かるため、簡素化した水力発電所の貯水池水位管理システムの開発が望まれている。
なお、水力発電所の水位管理またはシミュレーション演算に関連する特許文献としては下記のものもある。
河川の状況は季節等の環境状態により刻々と変化し、想定した通常運転(定常時)時でも運転員が様々な判断を行う必要がある。さらに、台風の接近時等のように相当量の降雨量が予測あるいは観測される場合には流量、水位等が刻々と変化するので、定常運転時の感覚でゲート開度を行うことができない。このような状況下においても水力発電所の効率的な水位管理を行うためには、刻々と変化する複雑な情報を総合的に判断するための深い知識が運転員に要求される。このことは、運転員の精神的負担が大きくなるばかりでなく、場合によっては熟練運転員を適所に配置するという管理体制の見直しも必要となる。
そこで本発明は、定常時および非定常時に必要な河川の上流情報を簡便なデータ採取手段で入手してシミュレーションを行うとともに、そのシミュレーションの結果を運転員に分かり易くガイダンスして運転員の負担の軽減を図るとともに、特に、非定常時に熟練運転員に頼らなくても運用することが可能な水力発電所の水位管理システムを提供することを目的とする。
実施形態1によれば、データ蓄積処理手段に、貯水池水位情報、放流ゲート開度情報、水車発電機出力情報に加えて天気情報および河川の上流水位の各データを取り込み、これらの各データに日付・時間を付加してパッケージ化し、履歴データとして蓄積する。さらに、非定時用シミュレーション演算手段に設けた第1の繰返し演算手段により、河川の上流水位データを取り込み上流水位データに所定の着水遅れ時間処理して求めたダム流入量から前記放流ゲート開度情報に基づいて算出された前記ゲート放流量と、前記水車発電機出力情報に基づいて算出された水車放流量とを減算して流量差の体積を求め、当該流量差の体積と前記貯水池水位情報に基づいて算出された貯水値容量との加算により得られた予測貯水値容量を既知の容量−水位特性に基づいて予測貯水値水位を求めてその都度記憶させ、この流量差の体積演算から記憶までの一連の処理を一定時間刻みで所定時間に到達するまで繰返し実施し、所定時間到達後に前記記憶されている一定時間刻み毎に得られた予測貯水値水位を出力し、第2の繰返し演算手段により、水車放流量を既知の水車放流量−発電機出力特性に基づいて予測発電機出力を求めてその都度記憶させ、この演算を一定時間刻みで所定時間に到達するまで繰返し実施し、所定時間到達後に前記記憶されている一定時間刻み毎に得られた予測発電機出力を出力し、第3の繰返し演算手段によりゲート放流量を既知のゲート放流量−ゲート開度特性に基づいて予測ゲート開度指令値を求めてその都度記憶し、この演算を一定時間刻みで所定時間に到達するまで繰返し実施し、所定時間到達後に前記記憶されている一定時間刻み毎に得られた予測ゲート開度指令値を出力する。そして、非定常時用ガイダンス処理手段により、予測貯水値水位、予測発電機出力、予測ゲート開度指令値および履歴データを取り込んでグラフィック演算処理し、その演算結果を運転員への非定常時用ガイダンス表示データとして出力し、この非定常時用ガイダンス表示データをヒューマンインターフェース部の表示部で表示する。
以下、本発明に係る水力発電所の水位管理システムの実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図を通して同一手段・同一構成要素には同一符号を付けて、重複する部分の説明は適宜省略するものとする。
[実施形態1]
図1乃至図7を参照して実施形態1に係る水力発電所の水位管理システムについて説明する。
まず、図1を参照して説明する。
図1乃至図7を参照して実施形態1に係る水力発電所の水位管理システムについて説明する。
まず、図1を参照して説明する。
本実施形態に係る水力発電所の水位管理システムは、河川の流量が比較的安定している場合に運用される定常時用水位管理システム100と、台風等で河川の流量が急激に増加する可能性がある非定常時の場合に運用される非定常時用水位管理システム101とから構成されている。
これら定常時用水位管理システム100および非定常時用水位管理システム101は、ともにプロセスコンピュータや、ワークステーション等のコンピュータシステムによって構成されており、水力発電所の貯水池の水位を管理する上で必要な各種の演算を実行するためのプログラムを予めメモリに格納しておき、演算手段がこのプログラムに基づいて各種入力データ、途中の演算結果データおよび予め設定されている設定値等を用いて水位管理システムにとって必要な演算を実行し、演算結果を表示データとして表示部に出力することができるように構成されている。
まず、定常時用水位管理システム100についてその概要を説明する。
定常時用水位管理システム100は、以下のように構成されている。
定常時用水位管理システム100は、以下のように構成されている。
貯水池に設置されている図示しない水位計によって検出されたのち所定のサンプリング周期で伝送装置や伝送路により伝送されてきた貯水池水位11と既知の貯水池容量特性を用いて貯水池容量31を算出する貯水池容量演算手段21と、前記貯水池水位11と所定のサンプリング周期で伝送されてきた貯水池のゲート開度12と既知のゲート放流量特性を用いてゲート放流量32を算出するゲート放流量演算手段22と、図示しない水車発電機の出力端子に設置されている電力検出器で検出されたのち所定のサンプリング周期で伝送装置や伝送路により伝送されてきた水車発電機出力13と既知の水車放流量特性から水車放流量33を算出する水車放流量演算手段23と、前記ゲート放流量32および水車放流量33を加算して総合放流量34を算出する加算演算部35と、前述したそれぞれの演算結果である貯水池容量31、ゲート放流量32および総合放流量34を用いて予め設定した時間後の予測総合放流量52、予測ゲート開度指令値53および予測貯水池水位54をそれぞれ算出する定常時用シミュレーション演算手段51と、これら算出された予測値52、53、54、前記貯水池容量31、総合放流量34、貯水池水位11、ゲート開度12および水車発電機出力13を入力してグラフィック処理を行い、その演算処理結果を定常時用ガイダンス表示データ56として出力する定常時用ガイダンス処理手段55とから構成されている。そして、ガイダンス表示データ56は後述する切替処理部65に入力されるようになっている。
次に、図2を参照して前述した定常時用シミュレーション演算手段51および定常時用ガイダンス処理手段55の詳細構成の一例を説明する。
図2において、定常時用シミュレーション演算手段51は、所定のサンプリング周期で送られてくる貯水池容量情報31、ゲート放流量32および総合放流量34を時系列的に入力し、これらの入力情報をそれぞれメモリM1、M2、M3で所定サンプリング時刻分だけ記憶するようにしている。
そして、演算部C1では最新のサンプリング値(貯水池容量情報(現在値))と、メモリM1に記憶されている所定サンプリング時刻前のサンプリング値(貯水池容量メモリ(前回値))との差分から「貯水池容量変化率」を演算し、また、演算部C2では最新のサンプリング値(総合放流量情報(現在値))と、メモリM2に記憶されている所定サンプリング時刻前のサンプリング値(総合放流量情報メモリ(前回値))との差分から「総合放流量変化率」を演算し、さらに、演算部C3では最新のサンプリング値(ゲート放流量情報(現在値))と、メモリM3に記憶されている所定サンプリング時刻前のサンプリング値(ゲート放流量情報メモリ(前回値))との差分から「ゲート放流量変化率」を演算する。
次に、演算部C1で求められた「貯水池容量変化率」を、時間設定部Tで予め設定されている一定時間(固定時間)tc分だけ積分して予測貯水池容量P1を求め、また、演算部C2で求められた「総合放流量変化率」を、前記一定時間(固定時間)tc分だけ積分し、かつ、リミット値である最大放流量を超えないようにして予測総合放流量P2を求め、さらに、演算部C3で求められた「ゲート放流量変化率」を、前記一定時間(固定時間)tc分だけ積分して予測ゲート放流量P3を求める。
そして、演算部C4で前記予測貯水池容量P1と既知の貯水池容量特性とを用いて、リミット値である「最大貯水容量」を超えないように予測貯水池水位54を演算し出力する。予測総合放流量P2はそのまま予測総合放流量52として出力する。そして、演算部C5で予測ゲート放流量P3と既知のゲート特性(水理公式)と予測貯水池水位54とを用いて、リミット値である「最大ゲート開度」を超えないように予測ゲート開度指令値53を演算し出力する。
定常時用ガイダンス処理手段55は、内部構成を図示していないが、入力した信号をビジュアル化して表示するためのグラフィック演算処理手段を備えており、定常時用シミュレーション演算手段51から出力された3つの予測値(予測貯水池水位54、予測総合放流量52および予測ゲート開度指令値53の3項目)を入力するほか、前記貯水池水位情報11、ゲート開度情報12、水車発電機出力情報13、シミュレーション演算部51に入力された貯水池容量31および総合放流量34を入力してグラフィック演算処理し、その処理結果を定常時用ガイダンス表示データ56として出力する。
この定常時用ガイダンス表示データ56は切替処理部65の一方の入力端子に入力される。この切替処理部65は、他方の入力端子に後述する非定常時用ガイダンス処理手段84から出力される非定常時用ガイダンス表示データ86を入力するように構成しており、運転員からの選択指令61に基づいて、定常時用ガイダンス処理手段55から出力される定常時用ガイダンス表示データ56あるいは非定常時用ガイダンス処理手段84から出力される非定常時用ガイダンス表示データ86のいずれかを選択し、ヒューマンインターフェース部42(別称「運転員による監視・手動操作部42」)に出力するように構成されている。
このヒューマンインターフェース部42には表示部42Dと、押しボタンスイッチやタッチスイッチまたは捻回形スイッチ等の各種スイッチ、スイッチのオン/オフ状態を表示する表示器や表示灯等を装備した手動操作部42Mとを備えている。
運転員が選択指令61によって定常時の運用を選択している場合、定常時水位管理システム100から出力された定常時用ガイダンス表示データ56が切替処理部65を経てヒューマンインターフェース部42の表示部42Dに入力され、この表示部42Dにおいて入力信号を例えば図3に示すような2次元座標で表示する。運転員は表示部42Dに表示されたガイダンス内容を目視確認することによって手動操作部42Mを操作し、貯水池ダムのゲート制御を行うことが可能になる。
図3は、代表例として、(a)貯水池水位の現在値および一定時間後の予測貯水池水位、(b)貯水池ダムのゲート開度の現在値および一定時間後の予測ゲート開度、および(c)総合放流量の現在値および一定時間後の予測値を示している。
なお、本実施形態におけるビジュアル化とは、図3に示すようなグラフ表示のための処理のほか、例えば、貯水池の断面を模式的に示した図に現在水位と予測水位とを重ねて表示する処理等も含まれる。
次に、図1に戻って非定常時用水位管理システム101の概要について説明する。
非定常時用水位管理システム101は、構成要素を大別すると、データ蓄積処理手段81と、非定常時用シミュレーション演算手段82と、非定常時用ガイダンス処理手段84と、切替処理部65とに分かれている。
非定常時用水位管理システム101は、構成要素を大別すると、データ蓄積処理手段81と、非定常時用シミュレーション演算手段82と、非定常時用ガイダンス処理手段84と、切替処理部65とに分かれている。
まず、データ蓄積処理手段81や非定常時用シミュレーション演算手段82に取り込まれるデータの採取手段から説明する。
データ採取手段(A)62は、気象情報自動配信サービスとか天気情報無料配信サービス、あるいはローカル地区の天気情報配信サービスを利用することによって、それらの配信サービスからほぼ一定周期で送られてくる天気、温度、湿度、降水量等の天気情報71を採取する手段であり、水力発電所に通常設置されている天気、温度、湿度、降水量等に関する天気情報用計測装置とか、その天気情報用計測装置で計測した天気情報71を伝送するための伝送装置、伝送路およびそれらの電源設備は備えていない。そして、このデータ採取手段(A)62により採取された天気情報71のデータは、データ蓄積処理部81に取り込まれるようになっている。
データ採取手段(B)63は、前記データ採取手段A62と同様に外部からほぼ一定周期で送られてくる上流水位に関する上流水位情報72を採取する手段であり、水力発電所に通常設置されている水位計とか、その水位計で計測した上流水位情報72を伝送するための伝送装置、伝送路およびそれらの電源設備は備えていない。このデータ採取手段(B)63により採取された上流水位72のデータは、データ蓄積処理部81および後述する非定常時用シミュレーション演算手段82にそれぞれ取り込まれるようになっている。
次に、データ蓄積処理部81について説明する。
データ蓄積処理部81は、前述のデータ採取手段(A)62およびデータ採取手段(B)63から入力した天気情報71のデータおよび上流水位情報72のデータと、前述の定常時用水位管理システム100に入力されている貯水池水位情報11、ゲート開度情報12および水車発電機出力情報13と、日付・時間に関する情報(日付・時間情報という)60とを取り込み、天気情報71のデータおよび上流水位情報72のデータ、貯水池水位情報11、ゲート開度情報12および水車発電機出力情報13に対して、それぞれ日付・時間情報60を付加して蓄積データ85として蓄積し、そして、データ出力要求を受けると、この蓄積データ85を出力するように構成されている。
データ蓄積処理部81は、前述のデータ採取手段(A)62およびデータ採取手段(B)63から入力した天気情報71のデータおよび上流水位情報72のデータと、前述の定常時用水位管理システム100に入力されている貯水池水位情報11、ゲート開度情報12および水車発電機出力情報13と、日付・時間に関する情報(日付・時間情報という)60とを取り込み、天気情報71のデータおよび上流水位情報72のデータ、貯水池水位情報11、ゲート開度情報12および水車発電機出力情報13に対して、それぞれ日付・時間情報60を付加して蓄積データ85として蓄積し、そして、データ出力要求を受けると、この蓄積データ85を出力するように構成されている。
次に、非定常時用シミュレーション演算手段82について説明する。
非定常時用シミュレーション演算手段82は、データ採取手段(B)63により採取された上流水位情報72、前述した定常時用水位管理システム100に入力されている貯水池水位情報11、ゲート開度情報12、水車発電機出力情報13、貯水池容量31、ゲート放流量32、水車放流量33および前記データ蓄積処理81からの蓄積データ85を取り込んで演算処理することにより、予測ゲート開度指令値53a、予測貯水池水位54a、予測発電機出力58および履歴データ83をそれぞれ出力するように構成されている。
非定常時用シミュレーション演算手段82は、データ採取手段(B)63により採取された上流水位情報72、前述した定常時用水位管理システム100に入力されている貯水池水位情報11、ゲート開度情報12、水車発電機出力情報13、貯水池容量31、ゲート放流量32、水車放流量33および前記データ蓄積処理81からの蓄積データ85を取り込んで演算処理することにより、予測ゲート開度指令値53a、予測貯水池水位54a、予測発電機出力58および履歴データ83をそれぞれ出力するように構成されている。
次に、非定常時用ガイダンス処理手段84について説明する。
非定常時用ガイダンス処理手段84は、非定常時用シミュレーション演算手段82から出力された予測ゲート開度指令値53a、予測貯水池水位54a、予測発電機出力58および履歴データ83を取り込んでグラフィック演算処理し、その処理結果を運転員への非定常時ガイダンスの表示データ86として出力する。
非定常時用ガイダンス処理手段84は、非定常時用シミュレーション演算手段82から出力された予測ゲート開度指令値53a、予測貯水池水位54a、予測発電機出力58および履歴データ83を取り込んでグラフィック演算処理し、その処理結果を運転員への非定常時ガイダンスの表示データ86として出力する。
非定常時ガイダンスの表示データ86は、前述したように切替処理部65の他方の入力端子に入力されるので、切替処理部65に非定常時の運用指令61が出ると、ヒューマンインターフェース部42の表示部42Dに入力され、ここでビジュアル表示される。この非定常時ガイダンスの表示データ86の表示例については後述する。
なお、図1のシステム構成図では、非定常時用水位管理システム101に天気情報71および上流水位72の双方のデータを導入しているが、天気情報71または上流水位72のデータ採取が困難であるとか、データ採取の費用が高額である場合にはいずれか一方のデータのみを採取するようにしてもよい。
次に、図4を参照して前述したデータ蓄積処理手段81および非定常時用シミュレーション演算手段82の詳細構成の一例について説明する。
データ蓄積処理81は、採取データをパッケージ化するためのパッケージ化処理手段S1、このパッケージ化されたデータを保存するデータ保存処理S2および保存されているデータの中から類似のデータを検索する類似データ検索処理S3を備えている。
このうちパッケージ化処理手段S1は、データ採取手段(A)62により天気情報71、データ採取手段(B)63により上流水位72、貯水池水位11、ゲート開度12および水車発電機出力13および日付・時間データ60を入力し、天気情報71、上流水位72、貯水池水位11、ゲート開度12および水車発電機出力13に日付・時間60を付加して1つにパッケージ化されたデータに編集する。このパッケージ化されたデータはデータ保存処理S2にて処理されて蓄積される。
また、類似データ検索処理S3は、天気情報71を検索キーワードとした検索要求102をデータ保存処理手段S2に出力し、データ保存処理手段S2に保存されているデータから類似データを検索し、この検索によって類似データが見つかった場合、類似データを見つけた時点を起点にして、その前後数時間の指定時間内のデータを履歴データ103として取り出し、取り出した履歴データ103を非定常時用シミュレーション演算手段82に蓄積データ85として出力する。
次に、非定常時用シミュレーション演算手段82について一例を説明する。
非定常時用シミュレーション演算手段82は、前記データ採取手段(B)63にて取込んでいる上流水位72を「水位−流量特性」演算手段D3(特性カーブについては図5(a)参照)に入力し、この特性に基づいて計測地点の河川の流量110を算出する。この算出された流量110は、計測した上流水位の測定地点から貯水池に着水するまでに要した時間(着水時間)後にダムへ流入するので、着水時間遅れ処理手段D4にて一定時間メモリし、着水時間分だけ前(過去)の流量110を現在のダム流入量111として後述する繰返し演算部120内の流量差積算処理手段D8に出力される。
非定常時用シミュレーション演算手段82は、前記データ採取手段(B)63にて取込んでいる上流水位72を「水位−流量特性」演算手段D3(特性カーブについては図5(a)参照)に入力し、この特性に基づいて計測地点の河川の流量110を算出する。この算出された流量110は、計測した上流水位の測定地点から貯水池に着水するまでに要した時間(着水時間)後にダムへ流入するので、着水時間遅れ処理手段D4にて一定時間メモリし、着水時間分だけ前(過去)の流量110を現在のダム流入量111として後述する繰返し演算部120内の流量差積算処理手段D8に出力される。
なお、ここでは貯水池に流れ込んでいる河川が1つの場合を例にしたが、貯水池に流れ込んでいる河川が複数存在する場合は、それぞれの河川の水位情報から流量110を算出し、その流量110が貯水池まで届く着水時間を各々処理し、流入タイミングを合わせて流量の総和をダム流入量として出力する必要がある。
次に、切替処理手段D5は、前記定常時用水位管理システム100から取り込んだゲート放流量32と、予め非定常時用シミュレーション演算手段82内に設定されているゲート放流量運転パターン設定D1とを入力し、運転員が指定した切替操作指令D21(なお、前述した定常時/非定常時の運用状態指令61とは別のタイミングで発せられる)に基づいて指定された入力信号によって切替処理され、指定された方の入力信号を選択してゲート放流量114として出力する。
同様に切替処理手段D6は、前記定常時用水位管理システム100から取り込んだ水車放流量33と、水車放流量運転パターン設定D2とを入力し、運転員が指定した切替操作指令D21に基づいて指定された入力信号によって切替処理され、指定された方の入力信号を選択して水車放流量115として出力する。
なお、ゲート放流量運転パターン設定D1はゲート開度で設定し「ゲート開度−流量特性」を使用してゲート放流量を算出するようにしても良い。また、水車放流量運転パターン設定D2は発電機出力で設定し「P−Q特性」を使用し水車放流量を算出するようにしても良い。以上のようにして算出されたダム流入量111、ゲート放流量114および水車放流量115を繰返し演算部120内の流量差積算処理手段D8に取込む。
この流量差積算処理手段D8は、一定時間刻みに予測時間設定手段D7で設定した時間分の流量差{ダム流入量111−流出量(ゲート放流量+水車放流量)を算出し、流量差の体積112として出力する。流量差の体積112の算出式は次のとおりである。
流量差の体積=∫{流入量−(ゲート放流量+水車放流量)}dt
流量差の体積=∫{流入量−(ゲート放流量+水車放流量)}dt
このようにして算出した流量差の体積112と、前述の定常時用水位管理システム100から取込んだ貯水池容量31とを加算演算部D11にて加算して予測貯水池容量113を算出し、この予測貯水池容量113を「容量−水位特性部」D12(特性カーブについては図5(b)参照)に入力し、この特性に基づいて予測貯水池水位116を算出し、その都度予測貯水池水位テーブルD13に格納(記憶)する。この流量差の体積演算から予測貯水池水位テーブルD13に格納するまでの一連の処理を一定時間刻みで所定時間到達まで繰返し実施し、所定時間に到達すると前記一定時間刻み毎に予測貯水池水位テーブルD13に格納された予測貯水値水位を全て出力する。
なお、流量差積算処理手段D8による流量差の体積112の算出から予測貯水池水位116を予測貯水池水位テーブルD13に格納するまでの一連の処理を一定時間刻みで所定時間到達まで繰返すことを便宜上、第1の繰返し演算という。
そして、前記水車放流量115を既知の水車放流量−発電機出力特性D14(特性カーブについては図5(c)参照)に入力し、この特性に基づいて予測発電機出力を求めてその都度予測発電機出力テーブルD15に格納し、この演算から格納までの一連の処理を一定時間刻みで所定時間まで繰返し実施し、所定時間後に前記一定時間刻み毎に得られた予測発電機出力を出力する。
なお、水車放流量115を既知の水車放流量−発電機出力特性D14に基づいて予測発電機出力117を求めてその都度予測発電機出力テーブルD15に格納(記憶)させ、この演算を一定時間刻みで所定時間到達まで繰返し実施し、所定時間到達後に前記記憶されている一定時間刻み毎に得られた予測発電機出力を出力することを便宜上、第2の繰返し演算という。
さらに、前記ゲート放流量114を既知のゲート放流量−ゲート開度特性D16(特性カーブについては図5(d)参照)に入力し、この特性に基づいて予測ゲート開度指令値を求めてその都度予測ゲート開度指令値テーブルD17に格納し、この演算から格納までの一連の処理を一定時間刻みで所定時間まで繰返し実施し、所定時間後に前記一定時間刻み毎に得られた予測ゲート開度指令値を出力する。
なお、ゲート放流量を既知のゲート放流量−ゲート開度特性に基づいて予測ゲート開度指令値を求めてその都度格納(記憶)し、この演算を一定時間刻みで所定時間到達まで繰返し実施し、所定時間到達後に前記記憶されている一定時間刻み毎に得られた予測ゲート開度指令値を出力することを便宜上、第3の繰返し演算という。
図6(a)、(b)および(c)は、以上説明した繰返し演算部120における一定時間刻みの繰り返し処理(第1の繰返し演算〜第3の繰返し演算)の流れを示すフローチャートである。
図6では、予測時間設定手段D7の設定時間(T)を例えば1時間、演算周期を10分とそれぞれ設定して1時間の間に繰返し処理を6回行う例を示す。
図6(a)は、第1の繰返し演算に対応する、予測貯水池水位算出のフローチャートであり、流量差演算D8にて流量差の体積112を算出したあと、加算演算部D11にて、予測貯水池容量113を算出する。そして、次に予測貯水池容量113を「容量−水位特性」D12に入力し、この特性に基づいて予測貯水池水位116を算出し、算出した予測貯水池水位116を予測貯水池水位テーブルD13に格納する。この流量差演算D8から予測貯水池水位116の予測貯水池水位テーブルD13への格納までの一連の処理を繰返し6回行われると、予測貯水池テーブルD13に格納された全ての予測貯水池水位54aのデータが出力される。しかし、繰返し回数が6回に満たない場合、6回になるまで繰返す。
図6(b)は、第2の繰返し演算に対応する、予測発電機出力算出のフローチャートであり、水車放流量115を繰返し部120内の「水車放流量−発電機出力特性部」D14(図5(c)参照)に入力し、この特性に基づいて予測発電機出力117を算出し、この算出した予測発電機出力117を予測発電機出力テーブルD15に格納する。この一連の処理を予測時間設定手段D7にて設定した時間Tになるまで繰返し6回行われると、予測発電機出力テーブルD15に格納された全ての予測発電機出力58のデータが出力される。しかし、繰返し回数が6回に満たない場合、6回になるまで繰返す。
図6(c)は、第3の繰返し演算に対応する、予測ゲート開度算出のフローチャートであり、ゲート放流量114を繰返し部120内の「ゲート放流量−ゲート開度特性部」D16(図5(d)参照)に入力し、この特性に基づいて予測ゲート開度118を算出し、この算出した予測ゲート開度118を予測ゲート開度テーブルD17に格納する。この一連の処理を予測時間設定手段D7にて設定した時間Tになるまで繰返し6回行われると、予測ゲート開度テーブルD17に格納された全ての予測ゲート開度指令値53aのデータが出力される。しかし、繰返し回数が6回に満たない場合、6回になるまで繰返す。
次に、データ重合せ処理手段D20について説明する。
このデータ重合せ処理手段D20は、データ採取手段(B)63から入力された上流水位72と、貯水池水位11、ゲート開度12、水車発電機出力13、さらに繰返し演算部120から出力された3つの信号(予測貯水池水位54a、予測発電機出力58および予測ゲート開度指令値53a)と、データ蓄積処理手段81の類似データ検索手段S3から取込んだ蓄積データ85である前記履歴データ103を用いて、表示用の重合せ処理を行い、処理結果を一つまたは複数の重合せデータ83として出力する。
このデータ重合せ処理手段D20は、データ採取手段(B)63から入力された上流水位72と、貯水池水位11、ゲート開度12、水車発電機出力13、さらに繰返し演算部120から出力された3つの信号(予測貯水池水位54a、予測発電機出力58および予測ゲート開度指令値53a)と、データ蓄積処理手段81の類似データ検索手段S3から取込んだ蓄積データ85である前記履歴データ103を用いて、表示用の重合せ処理を行い、処理結果を一つまたは複数の重合せデータ83として出力する。
上述した非定常時用シミュレーション演算手段82から出力された予測貯水池水位54a、予測発電機出力58、予測ゲート開度指令値53aおよび重合せデータ83は、運転員への非定常時用ガイダンス処理手段84に入力され、ここで演算処理されて非定常時用ガイダンス表示データ86として出力される。
なお、データ重合せ処理手段D20を設けず、上流水位72、貯水池水位11、ゲート開度12、水車発電機出力13、データ蓄積処理手段81の類似データ検索手段S3から取込んだ蓄積データ85である前記履歴データ103を、個々に非定常時用ガイダンス処理手段84に出力し、個々に表示するようにしてもよい。
この非定常時用ガイダンス処理手段84は、前述した定常時用ガイダンス処理手段55と同様に、入力信号をビジュアル化するためのグラフィック演算処理手段を備えており、非定常時用シミュレーション演算手段82から出力された3つの予測値(予測貯水池水位54a、予測発電機出力58および予測ゲート開度指令値53aの3項目)と、一つまたは複数の重合せデータ83を入力してグラフィック演算処理し、その処理結果を非定常時用ガイダンス表示データ86として出力する。
なお、非定常時用ガイダンス処理手段84は、一つまたは複数の重合せデータ83の代わりに上流水位72、貯水池水位11、ゲート開度12、水車発電機出力13、データ蓄積処理手段81の類似データ検索手段S3から取込んだ蓄積データ85である前記履歴データ103を個々に入力しても良い。
この非定常時用ガイダンス表示データ86は切替処理部65の他方の入力端子に入力される。前述したようにこの切替処理部65は、運転員からの選択指令61に基づいて定常時用ガイダンス処理手段55から出力される定常時用ガイダンス表示データ56か、非定常時用ガイダンス処理手段84から出力される非定常時用ガイダンス表示データ86かのいずれかを選択してヒューマンインターフェース部42に出力されるので、切替処理部65で選択された表示データは表示部42Dで表示される。
表示部42Dには、定常時用ガイダンス表示データ56が選択されているときは前述した図3に示す定常時の貯水値水位、ゲート開度、総合放流量等の内容が2次元座標で表示される。一方、非定常時用ガイダンス表示データ86が選択されているときは、予測貯水値水位54a、予測発電機出力58、予測ゲート開度指令値53aがそれぞれ図3と同様に単独で2次元座標で表示される。
なお、表示部42Dは、履歴データ83も入力しているので、天気情報を検索キーワードとして検索された過去の類似データを併せて表示することができる。例えば、図7は予測ゲート開度指令値53a、予測貯水池水位54a、予測発電機出力58と履歴データとを重ね合わせて表示したもので、予測データと履歴データとの比較をビジュアル的に確認することが可能になっている。
運転員は、定常時あるいは非定常時のいずれの運用状態であっても、この表示部42Dに表示された情報を目視確認することによって、手動操作部42Mのスイッチを操作し、ダムゲートの開度を制御できる。
以上述べたように、本実施形態1によれば、定常時の場合、定常時用水位管理システム100に設けたガイダンス処理手段55で定常時の予測貯水池水位、予測総合放流量または予測ゲート開度指令値等をグラフィック演算処理した結果をヒューマンインターフェース部42の表示部42Dで表示するようにしたので、運転員は、ヒューマンインターフェース部の表示部42Dに表示されたガイダンス情報を目視するだけで、現状の貯水池容量と総合放流量から今後予想される貯水池水位状態等を総合的に確認することが可能となり、複雑な情報を総合的に判断するための運転マニュアルや高度のスキルが無くても効率的な水位管理を行うためのゲート制御指令値を判断し、ヒューマンインターフェース部42の手動操作部42Mによりゲート制御43を行うことが可能となる。
また、台風接近等の非定常時の場合、非定常時用水位管理システム101は、常設の天気情報用計測装置、水位計、伝送装置、伝送路およびそれらの電源を確保する必要の無い安価な方法で天気情報、上流水位をデータ収集し、定常時用水位管理システム100のデータも有効に使用して蓄積データを構築し、運転員が状況に応じて類似の蓄積データも確認可能にすることにより、非定常時においても定常時と同様に河川の状況に応じた運用を行う必要がある運転員へ有効なサポート情報を提示する水位管理システムを安価に提供することができる。
これにより、運転員の負担・負荷を軽減させる効果がある。また、運転に必要な経験やスキルが今までより低くとも対応可能となるためベテランを運転員として確保する必要が無くなり人員配置・人材確保などの観点でも楽になる。これによる人件費低減も間接的な効果が期待できる。
また、データ蓄積を継続的に実施することで、特に台風接近等の非定常時の際、過去の類似の状況を精度よく参照することが可能となる。
[実施形態2]
図8を参照して実施形態2について説明する。
本実施形態2が前述の実施形態1と比較して相違する点は、非定常時用水位管理システム101に取り込む天気情報71を採取するデータ採取手段(A)62を、インターネットを使った採取手段62−1に置き替えたことにあり、その他については実施形態1のシステム構成図1と同じなので同一手段・同一部分には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図8を参照して実施形態2について説明する。
本実施形態2が前述の実施形態1と比較して相違する点は、非定常時用水位管理システム101に取り込む天気情報71を採取するデータ採取手段(A)62を、インターネットを使った採取手段62−1に置き替えたことにあり、その他については実施形態1のシステム構成図1と同じなので同一手段・同一部分には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図8において、本実施形態2で採用する非定常時用水位管理システム101は、インターネット(気象情報自動配信サービス、天気情報無料配信サービスなど、無料又は低価格で入手できるサービスにて入手する方法、又はローカル地区の天気情報の有料配信サービス)を使った採取手段62−1により採取された天気情報71(天気、温度、湿度、降水量)を非定常時用水位管理システム101のデータ蓄積手段81に取り込む処理を行う。
ここで、インターネットを使った採取手段62−1は、内蔵するパソコンを特定のインターネットに接続することによって当該サイトから天気情報71を採取し、その採取した天気情報71をデータ蓄積手段81に取込むまでの処理を人手によらずに自動的に行うか、あるいは天気情報71を、地域の協力者等の運転員以外の人間の人手を介して取り込む手段を実行するものであり、以下にその一例を説明する。
インターネットを使った採取手段62−1によって採取した天気情報71を、人手を介さずにデータ蓄積手段81に自動的に取り込む場合は、当該採取手段62−1に内蔵されたパソコン等のコンピュータをデータ蓄積手段81に接続しておき、予め定めた時刻になるとパソコンを自動的に天気情報71の提供サイト(例えば、気象情報自動配信サービスサイト、天気情報無料配信サービスサイト、又はローカル地区の有料の天気情報配信サービスサイト等)に接続する処理(A−i)と、接続された当該サイトが提供する天気情報に関する表示データをテキスト形式で保存する処理(A−ii)と、この保存されたテキストデータにフィルタリングを掛けて必要な天気情報を取り出す処理(A−iii)と、この取り出した天気情報71をデータ蓄積手段81にて取込むためのデータフォーマットに変換を行い、テキストファイル又はCSVファイルなどのインポートができるファイル形態にて保存する処理(A−iv)と、この保存されたデータのエリアが状変したことにより最新ファイルをデータ蓄積手段81にインポートする処理(A−v)と、を連続して実行するように構成されている。
なお、インターネットから採取した天気情報71を自動的にデータ蓄積手段81に取込むことが困難な場合は、インターネットから入手した天気情報71を、水位管理システムに連動したインターネットのサイトにあるインターネット入力画面(図9(a)参照)より、手入力にてデータを入力し、入力された天気情報71を非定常時用水位管理システム101に取り込む。また、インターネットの使用が困難な場合は、テレビ、ラジオの情報から天気情報71のデータを入手し、入手したデータを手入力にて決められたフォーマットで作成されたデータファイル(図9(b)参照)を作成し、データ蓄積手段81に取込むように構成する。
以上述べた本実施形態2によれば、前述した実施形態1の奏する作用効果に加えて、インターネットにより採取した天気情報71をデータ蓄積手段81に取込むまでの一連の処理を自動的に行う手段、または地域の協力者等運転員以外の人間の人手を介して取込む手段を実行することにより、運転員の作業を減らし、負担を掛けないようにすることができるので、より安価に天気情報71のデータを採取することができる。
また、データ収集する際にインターネット画面入力を行う場合は、インターネットに接続できるところであれば、発電所以外でもデータ採取の作業が可能となり、運転員以外の人に依頼している場合でも、運転員を介さずにデータ保存を行うことができ運転員の負荷を軽減させる効果もある。
[実施形態3]
図10を参照して実施形態3について説明する。
本実施形態3が前述した実施形態2と比較して相違する点は、非定常時用水位管理システム101に取り込む上流水位72のデータを採取するデータ採取手段(B)63を、人手を使った採取手段63−1に置き替えた点にあり、その他については実施形態2のシステム構成図8と同じなので、同一手段・同一部分には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図10を参照して実施形態3について説明する。
本実施形態3が前述した実施形態2と比較して相違する点は、非定常時用水位管理システム101に取り込む上流水位72のデータを採取するデータ採取手段(B)63を、人手を使った採取手段63−1に置き替えた点にあり、その他については実施形態2のシステム構成図8と同じなので、同一手段・同一部分には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図10において、本実施形態3の非定常時用水位管理システム101は、「人手を使った採取手段」63−1により、上流水位72のデータを入手し、取り込む処理を行う。
ここで、上流水位72のデータ採取を行うには運転員以外の人間の人手を借りることになる。例えば、地域のボランティア、あるいは非ボランティアである地域住民等の運転員以外の人間に対して上流水位72のデータの採取作業を依頼する。
上流水位72のデータを具体的に入手する方法としては、河川情報を提供しているインターネットのサイト(例えば、国土交通省(国土地理院)等のサイト、水位情報や河川情報を配信しているローカル地区のサイト、又は有料にて水位情報や河川情報を配信しているサイト等)から上流水位72のデータを入手するとか、運転員以外の人間が発電所の河川上流の計測ポイントに測定用の水位標(量水標)を設置して目視にて上流水位72を直接測定し入手する。
入手した上流水位72は、非定常時用水位管理システム101に連動したインターネットのサイトにあるインターネット入力画面(前述の図9(a)参照)から、手入力にてデータを入力する。これにより、入力された上流水位72は非定常時用水位管理システム101の入力情報としてデータ採取される。
なお、インターネットの使用が困難な場合は、入手したデータを手入力にて決められたフォーマットで作成されたデータファイル(前述の図9(b)参照)を作成する。作成されたデータファイルは、テキストファイル又はCSVファイルなどの、インポート機能が適用できるファイル形態とし、そのデータファイルを水位管理システムにインポートすることで非定常時用水位管理システム101の情報としてデータを採取することができる。
本実施形態3は、データ採取手段(B)63−1にて人手を使って上流水位72を採取し、入力処理すること以外は実施形態2と同じなので、他の説明は省略する。
以上述べたように、本実施形態3によれば、前述した実施形態2の奏する作用効果に加えて、上流水位72のデータの採取を運転員以外の人間の人手を使ってデータ採取するようにしたので、上流水位の情報採取手段を安価に構成することができる。
[実施形態4]
図11を参照して実施形態4について説明する。
本実施形態4が前述した実施形態3と比較して相違する点は、非定常時用水位管理システム101の非定常時用ガイダンス処理手段84を、非定常時用ガイダンス処理手段84−1に置き替えた点にあり、その他については実施形態3のシステム構成図10と同じなので、同一手段、部には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図11を参照して実施形態4について説明する。
本実施形態4が前述した実施形態3と比較して相違する点は、非定常時用水位管理システム101の非定常時用ガイダンス処理手段84を、非定常時用ガイダンス処理手段84−1に置き替えた点にあり、その他については実施形態3のシステム構成図10と同じなので、同一手段、部には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図11において、本実施形態4の非定常時用水位管理システム101は、非定常時用シミュレーション演算手段82より出力された、予測発電機出力58、予測ゲート開度指令値53a、予測貯水池水位54aおよび履歴データ83を入力し、演算結果である非定常時用ガイダンス86を出力する点は、実施形態3と同じである。しかし、本実施形態4ではこれに加え、グラフィック演算処理手段により求められた非定常時用ガイダンス86をビジュアル化表示するための表示部(図示せず)を非定常時用ガイダンス処理手段84内に備えるようにした点で異なる。
これ以外については、実施形態3と同じなので、説明を省略する。
これ以外については、実施形態3と同じなので、説明を省略する。
本実施形態4では、非定常時用水位管理システム101内の非定常時用ガイダンス処理手段84−1に設けた表示部(図示せず)で、予測ゲート開度指令値53a、予測貯水池水位54a、予測発電機出力58に関して時間の経過により予測値の変化が確認できるように2次元座標で表示させ、併せて、天気情報を検索キーワードとして検索された過去の類似データも表示し、且つ入力された予測ゲート開度指令値53a、予測貯水池水位54a、予測発電機出力58を重ね合わせて表示する画面(前述の図7参照)で、履歴データとの比較をビジュアル的に確認することを可能にしている。
以上述べたように、本実施形態4によれば、前述した実施形態1乃至3の奏する作用効果に加えて、非定常時用ガイダンス表示データをヒューマンインターフェース部42だけではなく、非定常時用水位管理システム101内の非定常時用ガイダンス処理手段84−1でも表示することができる。これにより、有効なサポート情報が提供でき、運転員の負担・負荷を軽減させることができる。
11…貯水池水位、12…ゲート開度、13…水車発電機出力、21…貯水池容量演算、22…ゲート放流量演算、23…水車放流量演算、31…貯水池容量、32…ゲート放流量、33…水車放流量、34…総合放流量、35…加算演算、42…ヒューマンインターフェース部(運転員による監視・手動操作部)、42D…表示部、42M…手動操作部、43…ゲート制御手段、51…定常時用シミュレーション演算手段、52…予測総合法流量、53…予測ゲート開度指令値、53a…予測ゲート開度指令値、54…予測貯水池水位、54a…予測貯水池水位、55…定常時用ガイダンス処理手段、58…予測発電機出力、61…定常時/非定常時用運用の状態、62…データ採取手段(A)、63…データ採取手段(B)、65…切替処理部、71…天気情報、72…上流水位、81…データ蓄積処理手段、82…非定常時用シミュレーション演算手段、83…履歴データ、84…非定常時用ガイダンス処理手段、85…蓄積データ、100…定常時用水位管理システム、101…非定常時用水位管理システム、102…検索要求、103…履歴データ。
Claims (5)
- 貯水池水位情報、放流ゲート開度情報、水車発電機出力情報に加えて天気情報および河川の上流水位の各データを取り込み、これらの各データに日付・時間を付加してパッケージ化し、履歴データとして蓄積するデータ蓄積処理手段と、
前記河川の上流水位データを取り込み前記上流水位データに所定の着水遅れ時間処理して求めたダム流入量から前記放流ゲート開度情報に基づいて算出された前記ゲート放流量と、前記水車発電機出力情報に基づいて算出された水車放流量とを減算して流量差の体積を求め、当該流量差の体積と前記貯水池水位情報に基づいて算出された貯水値容量との加算により得られた予測貯水値容量を既知の容量−水位特性に基づいて予測貯水値水位を求めてその都度記憶させ、この流量差の体積演算から記憶までの一連の処理を一定時間刻みで所定時間に到達するまで繰返し実施し、所定時間到達後に前記記憶されている一定時間刻み毎に得られた予測貯水値水位を出力する第1の繰返し演算手段と、
前記水車放流量を既知の水車放流量−発電機出力特性に基づいて予測発電機出力を求めてその都度記憶させ、この演算を一定時間刻みで所定時間に到達するまで繰返し実施し、所定時間到達後に前記記憶されている一定時間刻み毎に得られた予測発電機出力を出力する第2の繰返し演算手段と、
前記ゲート放流量を既知のゲート放流量−ゲート開度特性に基づいて予測ゲート開度指令値を求めてその都度記憶し、この演算を一定時間刻みで所定時間に到達するまで繰返し実施し、所定時間到達後に前記記憶されている一定時間刻み毎に得られた予測ゲート開度指令値を出力する第3の繰返し演算手段と、
前記予測貯水値水位、予測発電機出力、予測ゲート開度指令値および履歴データを取り込んでグラフィック演算処理し、その演算結果を運転員への非定常時用ガイダンス表示データとして出力する非定常時用ガイダンス処理手段と、
前記非定常時用ガイダンス表示データを表示し、ゲート制御を行うためのヒューマンインターフェース部と、
を備えたことを特徴とする水力発電所の水位管理システム。 - 貯水池水位情報、放流ゲート開度情報および水車発電機出力情報のうち、貯水池水位情報と既知の貯水池容量特性とにより貯水池容量を算出する演算手段と、
前記ゲート開度情報と既知のゲート放流量特性とによりゲート放流量を算出する演算手段と、
前記水車発電機出力情報と水車放流特性とから水車放流量を算出する演算手段と、
前記各演算手段により算出された貯水池容量と、ゲート放流量と、当該ゲート放流量および前記水車放流量を加算して得られる総合放流量とを入力し、予め定めた時間後の予測総合放流量、予測ゲート開度指令値および予測貯水池水位をそれぞれ算出する定常時用シミュレーション演算手段と、
前記シミュレーション演算手段による演算結果、前記貯水池水位情報、前記ゲート開度情報、前記水車発電機出力情報、前記貯水池容量および前記総合放流量を入力してビジュアル化するためのグラフィック演算処理し、ガイダンス情報として出力する定常時用ガイダンス処理手段と、
前記貯水池水位情報、放流ゲート開度情報、水車発電機出力情報に加えて天気情報および河川の上流水位の各データを取り込み、これらの各データに日付・時間を付加してパッケージ化し、履歴データとして蓄積するデータ蓄積処理手段と、
前記河川の上流水位データを取り込み前記上流水位データに所定の着水遅れ時間処理して求めたダム流入量から前記放流ゲート開度情報に基づいて算出された前記ゲート放流量と、前記水車発電機出力情報に基づいて算出された水車放流量とを減算して流量差の体積を求め、当該流量差の体積と前記貯水池水位情報に基づいて算出された貯水値容量との加算により得られた予測貯水値容量を既知の容量−水位特性に基づいて予測貯水値水位を求めてその都度記憶させ、この流量差の体積演算から記憶までの一連の処理を一定時間刻みで所定時間に到達するまで繰返し実施し、所定時間到達後に前記記憶されている一定時間刻み毎に得られた予測貯水値水位を出力する第1の繰返し演算手段と、
前記水車放流量を既知の水車放流量−発電機出力特性に基づいて予測発電機出力を求めてその都度記憶させ、この演算を一定時間刻みで所定時間に到達するまで繰返し実施し、所定時間到達後に前記記憶されている一定時間刻み毎に得られた予測発電機出力を出力する第2の繰返し演算手段と、
前記ゲート放流量を既知のゲート放流量−ゲート開度特性に基づいて予測ゲート開度指令値を求めてその都度記憶し、この演算を一定時間刻みで所定時間に到達するまで繰返し実施し、所定時間到達後に前記記憶されている一定時間刻み毎に得られた予測ゲート開度指令値を出力する第3の繰返し演算手段と、
前記予測貯水値水位、予測発電機出力、予測ゲート開度指令値および履歴データを取り込んでグラフィック演算処理し、その演算結果を運転員への非定常時用ガイダンス表示データとして出力する非定常時用ガイダンス処理手段と、
運用指令に基づいて選択された前記非常時用ガイダンス表示データまたは前記常時用ガイダンス表示データを表示し、ゲート制御を行うためのヒューマンインターフェース部とから成る水力発電所の水位管理システム。 - 前記天気情報および河川の上流水位データの双方または何れか一方のデータをインターネット上のサイトの配信サービスを利用して採取し、前記データ蓄積手段に自動的に取り込むことを特徴とする請求項1または2記載の水力発電所の水位管理システム。
- 前記天気情報および河川の上流水位データの双方または何れか一方のデータをインターネット上のサイトまたはテレビ放送、ラジオ放送から採取して前記インターネット上のサイトに作成した所定の入力画面または所定のデータファイルを作成して採取することを特徴とする請求項1または2記載の水力発電所の水位管理システム。
- 前記各繰返し演算手段に取り込むゲート放流量および水車放流量を、それぞれゲート運転パターン設定値および水車放流量運転パターン設定値に切替える切替手段を付加したことを特徴とする請求項1または2記載の水力発電所の水位管理システム。
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Cited By (3)
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