JP2012013931A - 平面導波路 - Google Patents

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昇 海老塚
Kenji Ishikawa
健治 石川
Hiroki Kondo
博基 近藤
Masaru Hori
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Abstract

【課題】 N.A.が大きく、小型で損失が少ないハイブリッドレンズを備えた平面導波路を提供する。
【解決手段】 クラッド層と、前記クラッド層の表面側に積層された、前記クラッド層より屈折率が高いコア層と、前記コア層の表面または内部に形成された、前記クラッド層より屈折率が高く、前記コア層とは屈折率が異なるハイブリッドレンズ部を備えており、前記ハイブリッドレンズ部は、光軸を中心に対称であり、光軸から離れるほど間隔が狭くなる略ノコギリ歯形状を有する、回折レンズである幾何格子部あるいは屈折レンズ部と、前記幾何格子部あるいは屈折レンズ部に対して光軸から遠い位置に設けられ、光軸から離れるほど間隔が狭くなる回折レンズであるVP格子部とを備えている、平面導波路のハイブリッドレンズ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、平面導波路に関する。
平面導波路のコア層に、コア層と屈折率の異なる材料層を形成することによって、回折格子や回折レンズ、屈折レンズ等の光学素子を形成する技術が知られている。例えば、非特許文献1には、コア層内に屈折レンズの一形態であるフレネルレンズが形成された平面導波路が記載されている。しかしながら、屈折レンズはコア層と材料層の屈折率の差が小さく、大きな屈折力(Optical power:焦点距離の逆数)を得ることが困難である。このため、集光や発散光束のコリメート等の光学系には、特許文献1、特許文献2のように金属反射や全反射の回折格子、金属の反射鏡、全反射鏡等が多くの場合に用いられる。特許文献1や特許文献2のような反射鏡や反射型回折格子は、光学系を構成する他の光学素子の近傍に配置することができないため、光学系が大きくなってしまう。また、平面導波路のコア層内に反射鏡や反射型回折格子を形成する場合には、コア層とは全く異なる材料層をコア層内に形成する必要があり、製造工程が複雑化してしまう。
回折レンズや屈折レンズを備えた平面導波路は、光学系を小型化するために有効である。例えば、非特許文献2のように、平面導波路のコア層に回折格子を形成すれば、透過型の回折格子を他の光学素子の近傍に配置することができる。
特表2009−531720号公報 特開2009−199041号公報
APPLIED OPTICS, Vol.21, No.11, 1982, "Graded-index Fresnel lenses for integrated optics" レーザー研究, 第8巻, 第4号, 1980「光集積回路」
集光や発散光束のコリメート等の光学系には、反射鏡や反射型回折格子に代えて、レンズを利用することもできる。この場合、平面導波路のコア層にレンズを形成するに際しては、コア層とは全く異なる材料層をコア層内に形成する必要が無いため、製造工程が複雑化してしまうことを回避することができる。しかしながら、コア層に光学素子を形成するために用いる材料層は、一般にコア層と屈折率の差が小さいため、屈折レンズの場合に、光学系の明るさ(光源や入射光の利用率)や回折限界おける像サイズの指標である、開口数(Numerical aperture:本明細書では、以下、N.A.という)を大きくすることが困難である。
回折レンズは、屈折レンズと比較して、大きな屈折力を得ることができるために、小型で比較的明るい光学系を構築することができる。回折レンズとして、ノコギリ歯(Saw tooth)形状を有する回折レンズが提案されている。しかし、ノコギリ歯形状を有する回折格子や回折レンズは、格子間隔が波長の3倍以下になると回折効率が急激に低下してしまうために、光学系の明るさや回折限界の像のサイズに限界があった。
上記の課題に鑑み、本願では、N.A.が大きく、小型で損失が少ないハイブリッドレンズ(例えば、回折レンズである場合には、N.A.が大きくても回折効率の高い回折レンズ)を備えた平面導波路を提供することを目的とする。
本発明は、クラッド層と、前記クラッド層の表面側に積層された、前記クラッド層より屈折率が高いコア層と、前記コア層の内部または表面に形成された、前記クラッド層より屈折率が高く、前記コア層とは屈折率が異なるハイブリッドレンズ部とを備えており、前記ハイブリッドレンズ部は、光軸を中心に対称であり、光軸から離れるほど間隔が狭くなる略ノコギリ歯形状を有する、回折レンズである幾何格子部あるいは屈折レンズ部と、前記幾何格子部に対して光軸から遠い位置に、光軸に対称に設けられ、光軸から離れるほど間隔が狭くなる、回折レンズであるVP(Volume Phase)格子部とを備えている、平面導波路を提供する。
幾何格子は入射光束が任意の回折次数に任意の強度(光波の振幅の二乗)の回折光が分配されるように、屈折あるいは反射の法則(幾何光学)や波動光学に従って格子の幾何学的形状が設計された回折格子である。一方、VP格子は、媒質の屈折率が周期的に変調された光軸方向に厚い回折格子であり、格子間隔が設計波長に近づくほど格子と光波との電磁気的な結合が強くなり、設計波長近傍において1次回折光に光波の振幅を集中させることができる(幾何光学や波動光学によって求められる回折光の強度分布とは異なる挙動を示す)。VP格子は、ホログラムの技術を用いた回折格子である場合にVPH(Volume Phase Holographic)格子と称されることもある。VP格子は、厚さと屈折率の変調量を調整して、光の入射角と射出角がブラッグ回折条件を満たす場合に、設計波長において100%に近い高い回折効率を得ることができる、高分散かつ高効率な回折格子である。平面導波路に幾何格子を形成することによって、回折レンズとして機能する幾何格子部とすることができる。同様に、平面導波路にVP格子を形成することによって、回折レンズとして機能するVP格子部とすることができる。
本発明に係る平面導波路では、ハイブリッドレンズ部は、光軸に近い側がN.A.が小から中程度の範囲で回折効率が高い幾何格子部あるいはN.A.が小さい範囲で機能する屈折レンズ部である一方で、光軸から遠い側がN.A.が中程度から大きい範囲で回折効率が高いVP格子部であるため、ハイブリッドレンズ全体において入射光束の損失を少なくすることが可能となる。これよって、N.A.が大きく、小型で損失が少ないハイブリッドレンズを備えた平面導波路を提供することが可能となる。
前記幾何格子部は、格子間隔が設計波長の3倍以上であり、前記VP格子部は、格子間隔が設計波長の10倍以下であることが好ましい。
本発明によれば、N.A.が大きく、小型で損失が少ないハイブリッドレンズを備えた平面導波路を提供することができる。
一実施形態に係る平面導波路を示す斜視図である。 一実施形態に係る平面導波路の平面図である。 図2に示すVP格子を拡大して入射光と回折光および格子の傾きの関係(ブラッグ回折条件)を示す図である。 図2のIV−IV線断面を拡大する図である。 他の実施形態に係る平面導波路を示す断面図である。
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る平面導波路30を示す斜視図であり、図2は、平面導波路30の平面図である。図1、図2に示すように、平面導波路30は、クラッド層である基板層31と、基板層31の表面に形成されたコア層32と、コア層32内に形成されたハイブリッドレンズ部4を備えている。ハイブリッドレンズ部4は、幾何格子部40およびVP格子部41,42を備えている。尚、本実施形態では、基板層31が平面導波路30のクラッド層である場合を例示して説明する。
基板層31の材料は誘電体であり、例えば、石英(SiO)ガラスや、ホウケイ酸系ガラス等のガラス材料、シリコン(Si)や、ニオブ酸リチウム(LiNbO)等の結晶材料、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)や、ポリカーボネート(PC)等の樹脂材料等を用いることができる。例えば、信越石英株式会社製や、日本石英株式会社製等の石英ガラス、株式会社オハラ製のE7、コーニング社製 #7059等のホウケイ酸系ガラス、日本ガイシ株式会社製や、株式会社山寿セラミックス製のニオブ酸リチウムの結晶材料等を好適に利用することができる。
コア層32の材料は誘電体であり、例えば、石英ガラス等のガラス材料、ニオブ酸リチウム等の結晶材料等を好適に利用することができる。コア層32は、基板層31にイオン注入を行うことによって形成してもよい。例えば、基板層31が石英ガラスである場合には、CVD法等によって基板層31の上にゲルマニウム(Ge)がドープされたアモルファス石英層を製膜することによって、基板層31より屈折率が大きいコア層32を形成することができる。また、例えば、基板層31がニオブ酸リチウムである場合には、基板層31にチタン(Ti)等のイオン注入を行うことによって、コア層32を形成してもよいし、基板層31にプロトン交換を行って屈折率を変化させて、コア層32を形成してもよい。
基板層31の屈折率がn31であり、コア層32の屈折率がn32であり、外部媒体(例えば空気等)の屈折率がn33である場合に、屈折率は、n32>n31かつ、n32>n33の関係となるように、平面導波路30は設計されている。この場合、平面導波路30では、光線が基板層31とコア層32との界面および外部媒体とコア層32との界面において全反射を繰り返しながらコア層32中に閉じ込められた状態で、コア層32の長手方向に伝搬される。
図4は、図2のIV−IV線断面を拡大する図である。図4の左側の端部は光軸Zを示している。ハイブリッドレンズ部4の幾何格子部40およびVP格子部41,42は、図4に示すように、コア層32の表面から、コア層32を貫通して基板層31に達している。
ハイブリッドレンズ部4の材料は、誘電体であり、例えば、石英ガラス等のガラス材料、ニオブ酸リチウム等の結晶材料等を好適に利用することができる。例えば、基板層31が石英ガラスである場合に、CVD法等によって基板層31の上にゲルマニウム(Ge)等がドープされたアモルファス石英層を製膜することによって、コア層32を形成し、さらにこのコア層32にゲルマニウム等のイオン注入を行って、ハイブリッドレンズ部4を形成することができる。また、例えば、基板層31がニオブ酸リチウムである場合には、チタン等のイオン注入を行う方法を用いてもよいし、基板層31にプロトン交換を行って屈折率を変化させて、コア層32を形成し、さらにこのコア層32にプロトン交換を行ってさらに屈折率を変化させて、ハイブリッドレンズ部4を形成する方法を用いてもよい。コア層32にイオン注入を行う場合には、コア層32の表面に、図2に示すハイブリッドレンズ部4の幾何格子部40およびVP格子部41,42の形状に応じてパターニングされたレジストを形成し、このレジストを介してイオン注入を行った後、アニール処理を行うことによって、幾何格子部40およびVP格子部41,42を形成することができる。
幾何格子部40およびVP格子部41,42に用いる材料の屈折率n40、n41、n42は、コア層32に用いる材料の屈折率n32と相違して(n40、n41、n42≠n32)かつ、n40、n41、n42>n33であればよい。n40、n41、n42とn32との差Δnは、平面導波路30の用途によって適宜設計されることが好ましい。例えば、波長可変レーザや発光ダイオード等を光源とする比較的広範な波長範囲の光学系に利用する場合には、Δnを大きくする設計することが好ましい。また、単色レーザ等を光源とする光学系であって、特定の波長の回折効率を高くしたい場合には、Δnを小さく設計することが好ましい。
図1、図2に示すように、幾何格子部40は、光軸Zについて対称なノコギリ歯形状の回折レンズである。幾何格子部40は、平面導波路30を平面視したときに、光軸Zについて対称な四辺形部分400と、四辺形部分400の両側に、光軸Zに対して対称に設けられた三角形部分401a〜401e,402a〜401eを備えている。図2、図4に示すように、四辺形部分400は、コア層32内に四角柱状に形成されており、三角形部分401a〜401e,402a〜402eは、コア層32内に三角柱状に形成されている。図2に示すように、四辺形部分400、三角形部分401a〜401e,402a〜402eを平面導波路30の表面において光軸Zの方向に沿って観察すると、光軸Zから離れる方向に、光軸Zと第1角度を成して一旦広くなり、さらに光軸Zの方向に進むと、逆に光軸Zに近づく方向に、光軸Zと第2角度を成して狭くなっている。第1角度と第2角度とは、同じ角度であってもよいし、相違していてもよい。すなわち、四辺形部分400、三角形部分401a〜401e,402a〜402eは、光軸Zに垂直な直線に対して対称である必要はない。
四辺形部分400の光軸Zに垂直な方向の幅は、三角形部分401a,402aの光軸Zに垂直な方向の幅の2倍よりも大きく、三角形部分401a,402aの光軸Zに垂直な方向の幅は、三角形部分401b,402bの光軸Zに垂直な方向の幅よりも大きい。すなわち、幾何格子部40は、光軸Zから遠い側ほど格子間隔が狭くなる周期的な構造を有している。
幾何格子部40は、光軸Zから距離L11となる範囲内の基板層31内に形成されている。幾何格子部40においては、ノコギリ歯形状の格子間隔が設計波長の5倍以下である場合に、電界が基板層31とコア層32の界面と水平に振動する光の効率が低下し、格子間隔が設計波長の2倍である場合には効率が0になってしまう。また、格子間隔が設計波長の3倍以下である場合には、電界が基板層31とコア層32の界面と垂直に振動する光の効率が急激に低下する。このため、幾何格子部40は、格子間隔が設計波長の3倍以上であることが好ましい。
図1、図2に示すように、VP格子部41,42は、導波路層コア層32内に、レンズ部幾何格子部40の両側を挟むように、光軸Zについて対称に形成されている。VP格子部41は、平面導波路30を平面視したときに、短冊状であるVP格子411a〜411gを備えている。VP格子部42は、平面導波路30を平面視したときに、短冊状であるVP格子421a〜421gを備えている。図2、図4に示すように、VP格子411a〜411g、421a〜421gは、導波路層コア層32内に四角柱状に形成されている。VP格子411a〜411g、421a〜421gは、光軸Zに対して、それぞれ角度φ〜φで傾いており、それぞれの位置の入射光束に対してブラッブの回折条件を実質的に満足するように調整されている。VP格子411a〜411gは、1:1の結像である場合は光軸Zと平行であるが、それ以外の場合には光軸Zに近い側ほど小さく傾いており、光軸Zに遠い側ほど大きく傾いている(すなわち、φ<φ<φ<φ<φ<φ<φ)。VP格子411a〜411g、421a〜421gは、光軸Zに近い側(すなわち、レンズ部幾何格子部40に近い側)ほど、光軸Zに平行な方向および垂直な方向の幅が大きくなっている。また、隣接するVP格子の格子間隔は、光軸Zに近い側ほど広くなっている。VP格子部41,42は、光軸Zに近い側ほど格子間隔が大きくなっている。
尚、図1、図2等は、幾何格子部40およびVP格子部41,42を概念的に図示するものであり、実際の格子の数は、より多くなっている。例えば、図2に示す平面導波路30のコア層32の屈折率が1.5であり、コア層32とハイブリッドレンズ部4との屈折率差が0.02であり、設計波長が1μmである場合に、平面サイズによらずに、幾何格子部40の格子密度は数本/mm〜数100本/mm、VP格子部41,42の格子密度は、数100本/mm〜数1000本/mmである。
VP格子は、光の入射角と射出角がブラック回折条件を満たす場合に、100%に近い高い回折効率を得ることができる。VP格子は、媒質の屈折率を周期的に変調して位相差を生じさせ、ブラッグの条件を満足するように入出射角度を調整することにより、広い波長範囲において高い回折効率を得ることが可能なものであり、高分散かつ高効率な回折格子である。図3においてVP格子は、入射角に応じて格子ごとにブラッグ回折条件を満たすように格子の傾きφを調整すると、広い波長範囲において高い回折効率を得ることができるようにすることができる。ブラッグ回折条件は、下記の式(1)によって表すことができる。
2nDsinθ=mλ ……(1)
ここで、nは媒質の屈折率、Dは格子間隔、θは格子面と光線の間の角度、λは光の設計波長、mは整数である。
VP格子部41,42のそれぞれの短冊形状の格子の光軸Zの向き(図3中、参照番号49で示す直線の向き)に対する傾きφは、式(1)の条件を満たすように格子ごとに調整されているため、高い回折効率を得ることができる。尚、光軸Zに対して角度αで光がVP格子部41、42のVP格子に入射する場合に、式(1)に係るθは、φおよびαによって、下記の式(2)のように表すことができる。
θ=φ−α(基板表面を境界として垂直線に対して時計回りを正) ……(2)
ここで、光束が光軸Zに対して水平に入射した場合にはα=0なので、θ=φであり、1:1結像の場合にはα=−θなので、φ=0(垂直)となる。
回折格子や回折レンズ等の回折光学素子は、格子間隔が設計波長の10倍程度以下になると格子と電磁波としての光波との電磁気的な結合により、幾何光学や波動光学によって求めた各次数に分配される回折光の振幅分布とは異なる挙動を示すようになる。透過型の幾何格子の場合に幾何格子の格子間隔が設計波長の4倍以上の領域においては、多くの場合に幾何光学(屈折の法則や反射の法則)および、波動光学(光を電磁気的ではない横波として回折現象や干渉現象を取り扱う)によって取り扱うことができる。しかし、格子間隔が設計波長の4倍以下の領域になると光波と格子との電磁気的な結合が強くなるために幾何光学や波動光学によって求められる光波の振幅分布とは異なる挙動を示すようになる。すなわち従来の矩形格子(ラメラ格子)やノコギリ歯格子(エシレット格子)等の幾何光学や波動光学によって設計された格子は格子間隔が波長の4倍以下になると幾何光学や波動光学を用いた数値計算とは異なる比率で、高次の回折次数に振幅が分配されるようになり、格子間隔が波長の3倍以下になると1次回折光の回折効率が急激に低下してしまう。
幾何格子部40について、電磁気学的な計算(厳密結合波解析:RCWA)に基づくと、理想的なノコギリ歯形状の格子において、格子間隔が設計波長の5倍(平行光束が入射した場合の結像側はN.A.が0.2、1:1結像についてはN.A.が0.1)である場合には回折効率の最大値は80%程度となり、格子間隔が設計波長の3倍(平行光束が入射した場合の結像側はN.A.が0.33、1:1結像についてはN.A.が0.17)である場合には、回折効率の最大値は60%程度となり、格子間隔が設計波長の2倍(平行光束が入射した場合の結像側はN.A.が0.5、1:1結像についてはN.A.が0.25)である場合には、回折効率の最大値は10%程度である(Proc. SPIE 5005, 8-19, (2003), “Optimization of a Volume Phase Holographic Grism for Astronomical Observation using the Photopolymer”のFig.5(b)を参照)。
また、VP格子部41,42では、電磁気学的な計算に基づくと、コア層32の屈折率を1.5とし、コア層32とハイブリッドレンズ部4との屈折率の差を0.02とし、格子間隔を設計波長の5倍(平行光束が入射した場合の結像側はN.A.が0.2、1:1結像についてはN.A.が0.1)にした場合に最大60%、格子間隔を設計波長の4倍(平行光束が入射した場合の結像側はN.A.が0.25、1:1結像についてはN.A.が0.125)にした場合に最大92%、格子間隔を設計波長の1.4倍(平行光束が入射した場合の結像側はN.A.が0.7、1:1結像についてはN.A.が0.35)とした場合に最大100%の回折効率を実現することができる(Proc. SPIE 5005, 8-19, (2003), “Optimization of a Volume Phase Holographic Grism for Astronomical Observation using the Photopolymer”のFig.5(b)を参照)。また、VP格子は屈折率差を小さくして、光軸Z方向の格子の長さを長くすることによって、格子間隔が広くなっても、特定の波長において高い回折効率が得られるようになる(岡 恵子 博士論文 日本女子大学 57-96,(2004), “厳密結合波解析による微細回折光学素子の光波解析と高分散分光素子への応用に関する研究”、および、Proc. IEEE, 73, 894-937, (1985), “Analysis and Applications of Optical Diffraction by Gratings”を参照)。例えば屈折率差が0.01である場合には格子間隔が設計波長の8倍で最大80%程度の回折効率を達成できる。よって屈折率差が0.005である場合には格子間隔が設計波長の10数倍で最大80%程度の回折効率を達成できると類推される。逆に屈折率差を大きくすることによって格子間隔が設計波長に近い場合に広い波長範囲において高い回折効率を達成できる(半値全幅が広くなる)。
ノコギリ歯形状の幾何格子部40の格子間隔が設計波長の3倍以上であり、VP格子部41,42の格子間隔が設計波長の10倍以下である場合に、N.A.が0.7を超える平面導波路のハイブリッドレンズを提供することができる。N.A.が0.7を超えるレンズは、明るく、回折限界の点像サイズが設計波長の2倍程度である。
幾何格子の回折レンズでは、光軸から遠ざかるほど、すなわちN.A.が大きくなると回折効率が急激に低下し、特に格子間隔が設計波長の3倍より狭くなる(平行光束を入射させ1点に結像させる場合あるいは点光源を平行光束にする場合のN.A.0.33を超える)と、著しく回折効率が低下する。平面導波路が幾何格子の回折レンズのみを備えている場合、格子間隔が設計波長の3倍未満であり、かつ、回折効率が良好に維持された平面導波路を提供することができない。
上記に説明したとおり、本実施形態に係る平面導波路30によれば、ハイブリッドレンズ部4は、光軸Zに近い側に幾何格子部40を備える一方で、光軸Zに遠い側にVP格子部41,42を備えているため、ハイブリッドレンズ全体において回折効率を高くすることが可能となる。これよって、平行光束を入射させ1点に結像させる場合、あるいは点光源を平行光束にする場合のN.A.が0.33を超え、かつ、回折効率が高いレンズとして機能する回折レンズを含むハイブリッドレンズを提供することができる。本実施形態によれば、N.A.が大きく、回折効率の高い回折レンズを含むハイブリッドレンズを備えた平面導波路を提供することが可能となる。そのために光コンピユータのような光集積回路等の小型化、高密度化に大きく貢献することができる。
上記に説明した実施形態では、幾何格子部40は、ノコギリ歯形状の回折レンズであったが、コア層32の屈折率が1.5であり、コア層32とハイブリッドレンズ部4との屈折率の差が0.02程度である場合に、幾何格子部40の光軸Zから格子間隔が波長の10倍以上の範囲においては、幾何格子部の代わりにフレネルレンズ等の屈折レンズ部が形成されていてもよい。例えば、平行光束を1点に結像するハイブリッドレンズの場合に、光軸ZからN.A.が0.1に相当する範囲については、屈折レンズ部であっても幾何格子部であっても良い。フレネルレンズは、屈折レンズの一形態であり、屈折レンズを光軸について等距離にある領域ごとに分割し、光軸方向の厚みを減らした、略ノコギリ歯状のレンズである。上記に説明した平面導波路において、幾何格子部40に代えてフレネルレンズを用いる場合には、光軸を中心に対称であり、光軸から離れるほど間隔が狭くなる略ノコギリ歯形状を有するフレネルレンズを利用することができる。
上記に説明した実施形態では、図1等に示すように、基板層31がクラッド層である(クラッド層と同一の材質である)場合を例示して説明したが、基板層(例えば、平行平面の基板)の上に、基板層と異なる材質のクラッド層が形成されている平面導波路であってもよい。例えば、シリコン基板を基板層として用いて、基板層の表面を酸化させて、基板層(シリコン)の表面に石英のクラッド層を形成し、石英のクラッド層の表面に、CVD法等によってゲルマニウムをドープしたアモルファス石英を積層させて、コア層を形成しても良い。また、本実施形態では、コア層の表面が外部媒体に接している場合を例示して説明したが、コア層が、2つのクラッド層の間に形成されていてもよい。平面導波路が第1のクラッド層と第2のクラッド層を備えており、コア層が第1のクラッド層の表面に形成されており、コア層の表面に、さらに第2のクラッド層が形成されていてもよい。
上記に説明した実施形態では、図4に示すように、ハイブリッドレンズ部4は、コア層32内に形成されていたが、図5に示すように、コア層32の表面に形成されていてもよい。図5は、ハイブリッドレンズ部5を備えた平面導波路の断面図であり、図4と同様に、図5の左側の端部は光軸Zを示しており、右側の端部は、平面導波路の端部を示している。図5に示すハイブリッドレンズ部5は、一般にローデッド型(Loaded type)と呼ばれており、コア層32の表面に、コア層32よりも屈折率の大きい材料を用いてハイブリッドレンズ部5を形成することによって、コア層32の屈折率を実効的に大きくすることが可能となる。ハイブリッドレンズ部4と同様に、ハイブリッドレンズ部5は、幾何格子部50とVP格子部51,52を備えている。幾何格子部50は、四辺形部分500、三角形部分501a〜501e、502a〜502eを備えており、VP格子部51は、VP格子511a〜511gを備えており、VP格子部52は、521a〜521gを備えている。図5において、四辺形部分500、三角形部分501a〜501e,502a〜502e、VP格子511a〜511g、521a〜521gを平面視すると、それぞれ図2に示す四辺形部分400、三角形部分401a〜401e,402a〜402e、VP格子411a〜411g、421a〜421gと同様の形状および大きさとなっている。図5に示すようなローデッド型の回折レンズ部を含むハイブリッドレンズを有する平面導波路においては、例えば、基板層31が石英ガラスであり、コア層32がゲルマニウムをドープしたアモルファス石英である場合に、ハイブリッドレンズ部5の材料としては、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)等を好適に利用できる。また、例えば、赤外線領域の光学系に利用する平面導波路であれば、基板層31がシリコン(Si)、コア層32がゲルマニウム(Ge)をドープしたシリコンである場合に、ハイブリッドレンズ部5の材料としては、ゲルマニウム(Ge)、ガリウムヒ素(GaAs)等を好適に利用できる。
ローデッド型のハイブリッドレンズ部5は、リフトオフ法によって形成することができる。例えば、ハイブリッドレンズ部5を形成する部分が開口するようにパターニングしたレジストをコア層32の表面に形成した状態で、ハイブリッドレンズ部5の材料をその表面に体積させた後、レジストを除去することによって、ハイブリッドレンズ部5の形状を精度よく形成することができる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
4,5 ハイブリッドレンズ部
30 平面導波路
31 基板層(クラッド層)
32 コア層
40 幾何格子部
41,42 VP格子部
400,500 四辺形部分
401a〜401e,402a〜402e,501a〜501e,502a〜502e 三角形部分
411a〜411g,421a〜421g,511a〜511g,521a〜521g VP格子

Claims (2)

  1. クラッド層と、前記クラッド層の表面側に積層された、前記クラッド層より屈折率が高いコア層と、前記コア層の内部または表面に形成された、前記クラッド層より屈折率が高く、前記コア層とは屈折率が異なるハイブリッドレンズ部を備えており、
    前記ハイブリッドレンズ部は、
    光軸を中心に対称であり、光軸から離れるほど間隔が狭くなる略ノコギリ歯形状を有する、回折レンズである幾何格子部あるいは屈折レンズ部と、
    前記幾何格子部あるいは屈折レンズ部に対して光軸から遠い位置に設けられ、光軸から離れるほど間隔が狭くなる回折レンズであるVP格子部とを備えている、平面導波路。
  2. 前記幾何格子部は、格子間隔が設計波長の3倍以上であり、
    前記VP格子部は、格子間隔が設計波長の10倍以下である、請求項1に記載の平面導波路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2020137979A1 (ja) * 2018-12-27 2021-10-21 京セラ株式会社 透明基板、および光学装置

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